説明

アルコキシインドリノン系プロテインキナーゼ阻害剤

アルコキシインドリノンに基づく酸及びアミドの誘導体は、プロテインキナーゼ阻害剤として、強化された、意想外の薬物特性を有し、癌などの異常なプロテインキナーゼ活性に関係する疾患の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明分野
本発明は、プロテインキナーゼ阻害剤に関し、また更に、異常なプロテインキナーゼ活性に関係する疾患、例えば癌及び肉芽腫生成、の治療へのその使用に関する。さらに詳細には、本発明は、プロテインキナーゼ阻害剤として使用できるアルコキシインドリノン系誘導体及びその薬学的認容性の塩に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
プロテインキナーゼは、プロテインのチロシン、セリン及びトレオニン残基のヒドロキシル基のリン酸化を触媒する酵素である。細胞寿命の多数の側面(例えば、細胞成長、分化、増殖、細胞サイクル及び生存)は、プロテインキナーゼ活性に依存する。更に、異常なプロテインキナーゼ活性は、疾患、例えば癌及び肉芽腫生成、の宿主に関係した。そのため、プロテインキナーゼ活性を変調する方法の同定に相当な努力が払われてきた。特に、プロテインキナーゼ阻害剤として作用する小分子を同定するため、多数の試みが実施された。
【0003】
幾つかのピロリル−インドリノン誘導体がプロテインキナーゼの阻害剤として優れた活性を有することが判明した(Larid et al.FASEB J.16,681,2002;Smolich et al.Blood,97,1413,2001;Mendel et al.Clinical Cancer Res.9,327,2003;Sun et al.J.Med.Chem.46,1116,2003)。これらの化合物は臨床的有用性に見込みがあるが、相対的に悪い水溶解度及び/又は他の薬物特性のために、この有用性は、部分的に損なわれた。必要であるのは、阻害活性及び強化された薬物特性の両方を有する、変性されたピロリル−インドリノン誘導体の種である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、アルコキシインドリノン系誘導体を対象とし、かつプロテインキナーゼの阻害剤としてのその使用を目的とする。アルコキシインドリノン系誘導体は、強化された、意想外の薬物特性を有し、この特性のため、プロテインキナーゼ阻害活性を有する公知のピロリル−インドリノン誘導体よりも優れ、際立っていることが、本明細書中に開示される。アルコキシインドリノン系誘導体は、異常プロテインキナーゼ活性に関係する疾患、例えば癌、の治療に有用であることも、本明細書中に開示される。
【0005】
本発明の第一態様は、式(I):
【化1】

[式中、Rは、水素、ハロ、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)ハロアルキル、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、アミド、スルホンアミド、シアノ、置換又は非置換(C〜C10)アリールからなる群から選択され;Rは、水素、ハロ、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)ハロアルキル、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルコキシアルキル、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、(C〜C10)アリールアミノからなる群から選択され;Rは、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリール、(C〜C10)へテロアリール、及びアミドからなる群から選択され;R、R、R及びRは、独立して、水素及び(C〜C)アルキルからなる群から選択され;Rは、(C〜C)アルキルであり;Rは、ヒドロキシ、(C〜C)O−アルキル、(C〜C)O−シクロアルキル、及びNR1011からなる群から選択され、但し、R10及びR11は、独立して、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)ヒドロキシアルキル、(C〜C)ジヒドロキシアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルカルボン酸、(C〜C)アルキルホスホン酸、(C〜C)アルキルスルホン酸、(C〜C)ヒドロキシアルキルカルボン酸、(C〜C)アルキルアミド、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)へテロシクロアルキル、(C〜C)アリール、(C〜C)へテロアリール、(C〜C)シクロアルキルカルボン酸からなる群から選択されるか、又はR10及びR11は、Nと共に、ヒドロキシル、ケトン、エーテル及びカルボン酸1つ以上で非置換又は置換された(C〜C)複素環を形成する;nは、1、2又は3であり;mは、0、1又は2である]により表される化合物を対象とする。あるいは、本発明のこの態様は、また、式(I)の薬学的認容性塩、その互変異性体、その互変異性体の薬学的認容性塩又はプロドラッグを対象とする。
【0006】
本発明の第一態様の第一の好ましい亜属(subgenus)は、式(II):
【化2】

により表される、化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグを対象とする。式(II)において、R12は、水素、(C〜C)アルキル及び(C〜C)シクロアルキルからなる群から選択される。他の基は、式(I)で定義されるものである。好ましい実施形態では、R及びRは、独立して、水素及びフッ素からなる群から選択され、R及びRは、メチルであり、R、R、R及びR12は、水素であり、Rは、(C〜C)アルキルであり、nは、1又は2であり、mは、0又は1である。好ましい種として、以下の化合物:
【化3A】

【化3B】

がある。
【0007】
本発明の第一態様の第二の好ましい亜属は、式(III):
【化4】

により表される、化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグを対象とする。式(III)において、種々のR基は、式(I)と同じものを表す。好ましい実施形態では、R及びRは、独立して、水素、ハロ、シアノからなる群から選択され;Rは、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリール、(C〜C10)へテロアリール、及びアミドからなる群から選択され;R、R、R及びRは、独立して、水素及び(C〜C)アルキルからなる群から選択され;Rは、(C〜C)アルキルであり;nは、1又は2であり;mは、0又は1であり;R10及びR11は、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)ヒドロキシアルキル、(C〜C)ジヒドロキシアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルカルボン酸、(C〜C)アルキルホスホン酸、(C〜C)アルキルスルホン酸、(C〜C)ヒドロキシアルキルカルボン酸、(C〜C)アルキルアミド、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)へテロシクロアルキル、(C〜C)アリール、(C〜C)へテロアリール、(C〜C)シクロアルキルカルボン酸からなる群から選択されるか、又はR10及びR11は、Nと共に、ヒドロキシル、ケトン、エーテル及びカルボン酸1つ以上で非置換又は置換された(C〜C)複素環を形成する。
【0008】
この第二の亜属の第一の下位群(subgroup)においては、mは0である。この第一の下位群の好ましい種は、以下の構造:
【化5】

により表される。
【0009】
この第二の亜属の第二の下位群においては、mは1である。この第二の下位群の好ましい種(species)は、以下の構造:
【化6A】

【化6B】

により表される。
【0010】
本発明の第二の態様の他の種は、以下の構造:
【化7】

[式中、Rは、以下の構造:
【化8】

により表される基からなる群から選択される]により表される。
【0011】
本発明のもう1つ別の態様は、式(I〜III)の化合物の何れか1つの化合物又は塩を用いる、プロテインキナーゼの触媒活性を変調する方法を対象とする。好ましい形態では、プロテインキナーゼは、VEGF受容体及びPDGF受容体からなる群から選択される。
【実施例】
【0012】
詳細な記述
例1〜8:
酸(1−4)及びアミド(1−5)の合成は、図1に示される。この一般的合成手順からの変法は、当業者により理解されかつ実行が可能である。従って、本発明の化合物は、当業者により合成されることができる。
【0013】
例1:4−({5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボニル}−アミノ)−3−メトキシ−酪酸
【化9】

DCM中のメチル4−アミノ−3−ヒドロキシブチレート(無水メタノール中の遊離アミノ酸をHCl1.2当量と共に還流させて製造、1.0当量)及びDIEA(5当量)の懸濁液に、Mmt−Cl(1.1当量)を、25℃で、少量宛添加した。一晩撹拌後、減圧下に、DCMを除去した。残分を酢酸エチル中に懸濁させ、塩水で洗浄し(3×)、無水NaSO上で乾燥させた。次いで、酢酸エチルを除去し、残分を高真空下に一晩乾燥させ、フラッシュクロマトグラフにかけて、化合物1−1が得られた。乾燥DMF中の化合物1−1の溶液に、NaH(1.5当量)を、アルゴン下に添加した。25℃で1時間撹拌後、MeI(5当量)を溶液に添加し、生じた懸濁液を25℃で一晩静かに揺すった。真空下にDMFを除去し、残分を酢酸エチルに懸濁させ、塩水で洗浄し(3×)、無水NaSO上で乾燥させた。蒸発により酢酸エチルを除去後、生じた残分をDCE/DCM中1%TFAで30分間処理した。次いで、有機溶媒を減圧下に除去し、生じた残分をヘキサンで粉砕し(triturate)(3×)、遊離アミノ酸1−2が得られた。このアミノ酸を、なんら精製及びキャラクタリゼーションせずに、次のステップに直接使用した。このように、DMF中の1−2(2当量)及びDIEA(5当量)の溶液に、化合物1−3(1当量)を25℃で添加した。30分の撹拌後(LC−MSは、1−3の完全な消費を示す)、KOH(5当量)水溶液を添加し、溶液を更に2時間撹拌した(LC−MSは、完全な加水分解を示した)。溶媒を減圧下に除去し、HCl(1N、過剰)を添加して、沈殿させた。この沈殿物を濾過により収集し、洗浄し(水により)、高真空下に乾燥させて、表題化合物が得られた(化合物1−3に基づいて95%)。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2122FN(MH)についての計算値:416;実測値:416。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.67(s,1H),12.18(b,1H),10.90(s,1H),7.75(dd,J=2.4Hz,J=9.6Hz,1H),7.71(s,1H),7.64(t,J=6.0Hz,1H),6.92(m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,J=8.4Hz,1H),3.73(m,1H),3.43−3.31(m,2H),3.22(s,3H),2.52−2.35(m,2H),2.43(s,3H),2.41(s,3H)。
【0014】
例2:3−エトキシ−4−({5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボニル}−アミノ)−酪酸
【化10】

例1の合成ルートと同様のルートを使用して、表題化合物を調製した。ヨードメタンの代わりにヨードエタンを使用して、3−エトキシ化合物が得られた(化合物1−3に基づいて9.7%)。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2224FN(MH)についての計算値:430;実測値:430。
【0015】
例3〜8:アミド(1−5)の合成のための一般的手順
アミン(2当量)を、DMF(5mL)中の酸(1−4)、HATU(1.05mmol)及びDIEA(5当量)の溶液に添加した。溶液を25℃で2時間撹拌後に、HCl(2mL、1N)水溶液を添加した。この溶液を分取HPLCにかけて、純粋アミド生成物が得られ、これは、引き続きLC−MS及びNMR分光法により同定した。
【0016】
例3:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(3−ジメチルカルバモイル−2−エトキシプロピル)−アミド
【化11】

分取HPLCにより、出発物質(酸)30mgから表題化合物13mg(41%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2429FN(MH)についての計算値:457;実測値:457。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.68(s,1H),10.89(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,9.2Hz,1H),7.72(s,1H),7.60(t,J=6.0Hz,1H),6.92(m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,8.4Hz,1H),3.89(m,1H),3.58−3.45(m,2H),3.40−3.27(m,2H,水のシグナルに埋没),2.97(s,3H),2.82(s,3H),2.43(s,3H),2.41(s,3H),1.07(t,J=7.2Hz,3H)。
【0017】
例4:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(3−ジメチルカルバモイル−2−メトキシプロピル)−アミド
【化12】

分取HPLCにより、出発物質(酸)120mgから表題化合物46mg(36%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2327FN(MH)についての計算値:443;実測値:443。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.68(s,1H),10.89(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,9.2Hz,1H),7.71(s,1H),7.63(t,J=5.6Hz,1H),6.92(m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,8.8Hz,1H),3.78(m,1H),3.42−3.31(m,2H),3.30(s,3H),2.97(s,3H),2.82(s,3H),2.43(s,3H),2.41(s,3H),2.63−2.43(m,2H)。
【0018】
例5:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(2−メトキシ−4−モルホリン−4−イル−4−オキソブチル)−アミド
【化13】

分取HPLCにより、出発物質(酸)110mgから表題化合物48mg(37%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2529FN(MH)についての計算値:485;実測値:485。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.68(s,1H),10.89(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,9.2 Hz,1H),7.71(s,1H),7.63(t,J=5.6Hz,1 H),6.92(m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,8.4Hz,1H),3.80(m,1H),3.55(m,4H),3.47(m,4H),3.38(m,2H),3.31(s,3H),2.60(m,1H),2.45(m,1H),2.43(s,3H),2.41(s,3H)。
【0019】
例6:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸[4−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−2−メトキシー4−オキソ−ブチル]−アミド
【化14】

分取HPLCにより、出発物質(酸)50mgから表題化合物20mg(33%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2631FN(MH)についての計算値:499;実測値:499。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.68(s,1H),10.89(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,9.6Hz,1H),7.72(s,1H),7.63(t,J=5.6Hz,1H),6.93(m,1H),6.83(dd,J=4.4Hz,8.4Hz,1H),3.92(m,1H),3.78(m,1H),3.68(b,1H),3.30(s,3H),3.15(m,1H),3.01(m,1H),2.60(m,1H),2.55(m,2H),2.50(m,1H),2.45(m,2H),2.43(s,3H),2.41(s,3H),1.70(m,2H),1.30(m,2H)。
【0020】
例7:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(2−メトキシ−4−オキソ−4−ピロリジン−1−イル−ブチル)−アミド
【化15】

分取HPLCにより、出発物質(酸)110mgから表題化合物40mg(32%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2529FN(MH)についての計算値:469;実測値:469。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.68(s,1H),10.89(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,9.6Hz,1H),7.71(s,1H),7.63(t,J=5.6Hz,1H),6.93(m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,8.8Hz,1H),3.82(m,1H),3.50−3.25(m,6H),3.30(s,3H),2.55−2.45(m,2H),2.43(s,3H),2.41(s,3H),1.86(m,2H),1.76(m,2H)。
【0021】
例8:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸[2−メトキシ−3−(メトキシ−メチルカルバモイル)−プロピル]−アミド
【化16】

分取HPLCにより、出発物質(酸)80mgから表題化合物15mg(15%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2327FN(MH)についての計算値:459;実測値:459。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.68(s,1H),10.90(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,9.2Hz,1H),7.72(s,1H),7.68(t,J=6.0Hz,1H),6.93(m,1H),6.84(dd,J=4.4Hz,8.4Hz,1H),3.79(m,1H),3.66(s,3H),3.50−3.35(m,2H),3.31(s,3H),3.13(s,3H),2.55−2.45(m,2H),2.43(s,3H),2.41(s,3H)。
【0022】
例9〜15:
酸(2−3)及びアミド(2−4)の合成が、図2に示される。この一般的合成手順からの変法は、当業者により理解されかつ実行可能である。従って、本発明の化合物は、当業者により合成されることができる。
【0023】
例9:3−({5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボニル}−アミノ)−2−メトキシ−プロピオン酸
【化17】

DCM中のメチル3−アミノ−2−ヒドロキシプロピオネート(無水メタノール中の遊離アミノ酸イソセリンをHCl1.2当量と共に還流させて製造、1.0当量)及びDIEA(5当量)の懸濁液に、Mmt−Cl(1.1当量)を、25℃で、少量宛添加した。一晩撹拌後、減圧下に、DCMを除去した。残分を酢酸エチル中に懸濁させ、塩水で洗浄し(3×)、無水NaSO上で乾燥させた。次いで、酢酸エチルを除去し、残分を高真空下に一晩乾燥させ、フラッシュクロマトグラフにかけて、化合物2−1が得られた。乾燥DMF中の化合物2−1の溶液に、NaH(1.5当量)を、アルゴン下に添加した。25℃で1時間撹拌後、MeI(5当量)を溶液に添加し、生じた懸濁液を25℃で一晩静かに撹拌した。真空下にDMFを除去し、残分を酢酸エチルに懸濁させ、塩水で洗浄し(3×)、無水NaSO上で乾燥させた。蒸発により酢酸エチルを除去後、生じた残分をDCE/DCM中1%TFAで30分間処理した。次いで、有機溶媒を減圧下に除去し、生じた残分をヘキサンで粉砕し(3×)、遊離アミノ酸2−2が得られた。このアミノ酸を、なんら精製及びキャラクタリゼーションせずに、次のステップに直接使用した。このように、DMF中の2−2(2当量)及びDIEA(5当量)の溶液に、化合物1−3(1当量)を25℃で添加した。30分の撹拌後(LC−MSは、1−3の完全な消費を示す)、KOH(5当量)水溶液を添加し、溶液を更に2時間撹拌した(LC−MSは、完全な加水分解を示した)。溶媒を減圧下に除去し、HCl(1N、過剰)を添加して、沈殿させた。この沈殿物を濾過により収集し、水で洗浄し、高真空下に乾燥させて、表題化合物が得られた(化合物1−3に基づいて99%)。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2020FN(MH)についての計算値:402。実測値:402。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.67(s,1H),12.83(b,1H),10.90(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,J=9.6Hz,1H),7.71(s,1H),7.69(t,J=6.0Hz,1H),6.92(m,1H),6.82(dd,J=4.8Hz,J=8.4Hz,1H),3.90(m,1H),3.55(m,1H),3.41(m,1H),3.32(s,3H),2.42(s,3H),2.40(s,3H)。
【0024】
例10:2−エトキシ−3−({5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボニル}−アミノ)−プロピオン酸
【化18】

例9の合成ルートと同様のルートを使用して、表題化合物を調製した。ヨードメタンの代わりにヨードエタンを使用して、2−エトキシ化合物が得られた(化合物1−3に基づいて38%)。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2122FN(MH)についての計算値:416;実測値:416。H−NMR(DMSO−d,400MHz), δ 13.67(s,1H),12.80(b,1H),10.89(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,J=9.2Hz,1H),7.71(s,1H),7.68(t,J=6.0Hz,1H),6.92(m,1H),6.83(dd,J=4.8 Hz,J=8.4Hz,1H),4.00(dd,J=5.2Hz,J=7.6Hz,1H),3.58(m,2H),3.41(m,2H),2.43(s,3H),2.41(s,3H),1.14(t,J=6.8Hz,3H)。
【0025】
例11〜15:アミド(化合物2−4)の合成のための一般的手順
相当するアミン(2当量)を、DMF(5mL)中の酸(化合物2−3)、HATU(1.05mmol)及びDIEA(5当量)の溶液に添加した。溶液を25℃で2時間撹拌後に、HCl(2mL、1N)水溶液を添加した。この溶液を分取HPLCにかけて、純粋アミド生成物が得られ、これは、引き続きLC−MS及びNMR分光法により同定した。
【0026】
例11:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(2−ジメチルカルバモイル−2−エトキシ−エチル)−アミド
【化19】

分取HPLCにより、出発物質(酸)70mgから表題化合物46mg(62%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2327FN(MH)についての計算値:443;実測値:443。
【0027】
例12:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(2−エトキシ−3−モルホリン−4−イル−3−オキソ−プロピル)−アミド
【化20】

分取HPLCにより、出発物質(酸)70mgから表題化合物40mg(49%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2529FN(MH)についての計算値:485;実測値:485。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.67(s,1H),10.89(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,J=9.6Hz,1H),7.71(s,1H),7.70(m,1H),6.93(m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,J=8.4Hz,1H),4.40(m,1H),3.73−3.35(m,12H),2.43(s,3H),2.41(s,3H),1.12(t,J=7.2Hz,3H)。
【0028】
例13:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(2−ジメチルカルバモイル−2−メトキシ−エチル)−アミド
【化21】

分取HPLCにより、出発物質(酸)115mgから表題化合物93mg(76%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2225FN(MH)についての計算値:429;実測値:429。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.68(s,1H),10.90(s,1H),7.75(dd,J=2.4Hz,J=9.6Hz,1H),7.72(m,1H),7.71(s,1H),6.93 (m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,J=8.8Hz,1H),4.40(dd,J=4.8Hz,J=7.2Hz,1H),3.50(m,1H),3.32(m,1H),3.24(s,3H),3.10(s,3H),2.86(s,3H),2.43(s,3H),2.41(s,3H)。
【0029】
例14:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(2−メトキシ−3−モルホリン−4−イル−3−オキソ−プロピル)−アミド
【化22】

分取HPLCにより、出発物質(酸)115mgから表題化合物98mg(73%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2427FN(MH)についての計算値:471;実測値:471。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.67(s,1H),10.89(s,1H),7.75(dd,J=2.4Hz,J=9.6Hz,1H),7.71(s,1H),7.70(m,1H),6.92(m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,J=8.8Hz,1H),4.34(dd,J=4.8Hz,J=7.2Hz,1H),3.85−3.30(m,10H),3.26(s,3H),2.44(s,3H),2.42(s,3H)。
【0030】
例15:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(2−メトキシ−3−オキソ−3−ピロリジン−1−イル−プロピル)−アミド
【化23】

分取HPLCにより、出発物質(酸)115mgから表題化合物86mg(66%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2427FN(MH)についての計算値:455;実測値:455。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.67(s,1H),10.89(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,J=9.6Hz,1H),7.70(m,1H),7.71(s,1H),6.93(m,1H),6.83(dd,J=4.4Hz,J=8.4Hz,1H),4.20(dd,J=5.2Hz,J=7.2Hz,1H),3.60−3.47(m,3H),3.43−3.28(m,3H),3.26(s,3H),2.43(s,3H),2.40(s,3H),1.88(m,2H),1.78(m,2H)。
【0031】
例16〜315:更に他のアミド例が以下の表に示される:
【化24】

【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0032】
前記表で、Rは、以下の基から選択される。
【化25A】

【化25B】

これらのアミド例16〜315は、前記の手順及び/又は公知手順に従い、当業者により製造されることができる。
【0033】
例316〜320:
酸(3−3)及びアミド(3−4)の合成が、図3に示される。この一般的合成手順からの変法は、当業者により理解されかつ実行可能である。従って、本発明の化合物は、当業者により合成されることができる。
【0034】
例316:(S)−4−({5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボニル}−アミノ)−2−メトキシ−酪酸
【化26】

DCM中のメチル4−アミノ−2−ヒドロキシブチレート(無水メタノール中の遊離アミノ酸をHCl1.2当量と共に還流させて製造、1.0当量)及びDIEA(5当量)の懸濁液に、Mmt−Cl(1.1当量)を、25℃で、少量宛添加した。一晩撹拌後、減圧下に、DCMを除去した。残分を酢酸エチル中に懸濁させ、塩水で洗浄し(3×)、無水NaSO上で乾燥させた。次いで、酢酸エチルを除去し、残分を高真空下に一晩乾燥させ、フラッシュクロマトグラフにかけて、化合物3−1が得られた。乾燥DMF中の化合物3−1の溶液に、NaH(1.5当量)を、アルゴン下に添加した。25℃で1時間撹拌後、MeI(5当量)を溶液に添加し、生じた懸濁液を25℃で一晩静かに撹拌した。真空下にDMFを除去し、残分を酢酸エチルに懸濁させ、塩水で洗浄し(3×)、無水NaSO上で乾燥させた。蒸発により酢酸エチルを除去後、生じた残分をDCE/DCM中1%TFAで30分間処理した。次いで、有機溶媒を減圧下に除去し、生じた残分をヘキサンで粉砕し(3×)、遊離アミノ酸3−2が得られた。このアミノ酸を、なんら精製及びキャラクタリゼーションせずに、次のステップに直接使用した。こうして、DMF中の3−2(2当量)及びDIEA(5当量)の溶液に、化合物1−3(1当量)を25℃で添加した。30分の撹拌後(LC−MSは、1−3の完全な消費を示す)、KOH(5当量)水溶液を添加し、溶液を更に2時間撹拌した(LC−MSは、完全な加水分解を示した)。溶媒を減圧下に除去し、HCl(1N、過剰)を添加して、沈殿させた。この沈殿物を濾過により収集し、かつ洗浄し(水により)、高真空下に乾燥させて、表題化合物が得られた(化合物1−3に基づいて97%)。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2122FN(MH)について計算された値:416。実測値:416。H−NMR (DMSO−d,400MHz),δ 13.68(s,1H),12.80(b,1H),10.90(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,J=9.6Hz,1H),7.71(s,1H),7.65(t,J=5.6Hz,1H),6.93(m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,J=8.4Hz,1H),3.77(dd,J=4.0Hz,J=8.8Hz,1H),3.40−3.30(m,2H),3.30(s,3H),2.43(s,3H),2.41(s,3H),1.92(m,1H),1.78(m,1H)。
【0035】
例317:(S)−2−エトキシ−4−({5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボニル}−アミノ)−酪酸
【化27】

例316の合成ルートと同様のルートを使用して、表題化合物を調製した。ヨードメタンの代わりにヨードエタンを使用して、2−エトキシ化合物が得られた(化合物1−3に基づいて84%)。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2224FN(MH)についての計算値:430;実測値:430。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.68(s,1H),12.70(b,1H),10.89(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,J=9.6Hz,1H),7.71(s,1H),7.66(t,J=5.6Hz,1H),6.93(m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,J=8.4Hz,1H),3.85(dd,J=4.0Hz,J=8.4Hz,1H),3.58(m,1H),3.40−3.25(m,3H),2.43(s,3H),2.41(s,3H),1.92(m,1H),1.77(m,1H),1.13(t,J=7.2Hz,3H)。
【0036】
例318〜320:アミド(化合物3−4)の合成の一般的手順
相当するアミン(2当量)を、DMF(5mL)中の酸(化合物3−3)、HATU(1.05mmol)及びDIEA(5当量)の溶液に添加した。溶液を25℃で2時間撹拌後に、HCl(2mL、1N)水溶液を添加した。この溶液を分取HPLCにかけて、純粋アミド生成物が得られ、これは、引き続きLC−MS及びNMR分光法により同定した。
【0037】
例318:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸((S)−3−ジメチルカルバモイル−3−メトキシ−プロピル)−アミド
【化28】

分取HPLCにより、出発物質(酸)60mgから表題化合物37mg(58%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2327FN(MH)についての計算値:443;実測値:443。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.68(s,1H),10.89(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,J=9.6Hz,1H),7.72(s,1H),7.65(t,J=5.6Hz,1H),6.93(m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,J=8.4Hz,1H),4.20(dd,J=4.0Hz,J=8.0Hz,1H),3.30(m,2H),3.27(s,3H),3.04(s,3H),2.88(s,3H),2.43(s,3H),2.41(s,3H),1.80(m,2H)。
【0038】
例319:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸((S)−3−メトキシ−4−モルホリン−4−イル−4−オキソ−ブチル)−アミド
【化29】

分取HPLCにより、出発物質(酸)60mgから表題化合物32mg(46%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2529FN(MH)についての計算値:485;実測値:485。H−NMR(DMSO−d,400MHz), δ 13.68(s,1H),10.89(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,J=9.6Hz,1H),7.72(s,1H),7.65(t,J=5.6Hz,1H),6.93(m,1H),6.83(dd,J=4.8Hz,J=8.4Hz,1H),4.19(dd,J=4.8Hz,J=8.0Hz,1H),3.57(m,6H),3.47(m,2H),3.28(m,2H),3.23(s,3H),2.44(s,3H),2.41(s,3H),1.79(m,2H)。
【0039】
例320:5−[5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−(3Z)−イリデンメチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸((S)−3−ジメチルカルバモイル−3−エトキシ−プロピル)−アミド
【化30】

分取HPLCにより、出発物質(酸)120mgから表題化合物67mg(57%)が得られた。LC−MS:254nmにシングルピーク。C2429FN(MH)についての計算値:457;実測値:457。H−NMR(DMSO−d,400MHz),δ 13.67(s,1H),10.88(s,1H),7.76(dd,J=2.4Hz,J=9.6Hz,1H),7.71(s,1H),7.56(m,1H),6.91(m,1H),6.83(m,1H),4.25(m,1H),3.45−3.25(m,4H),3.03(s,3H),2.83(s,3H),2.43(s,3H),2.41(s,3H),1.80(m,2H)。
【0040】
本明細書中に記載される化合物は、目下のところ、好ましい実施形態の代表であり、模範であり、かつ本発明の範囲を限定する意図はない。本明細書中に開示の発明に対し、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、変更、置換及び修正を実施できることは、当業者に容易に明らかであろう。
【0041】
VEGFR生化学アッセイ
以下の手順により、化合物は、生化学的活性に関し、英国、Dundee在のUpstate Ltdにより分析された。KDR(h)(5〜10mU)は、8mMのMOPS (pH7.0)、0.2mMのEDTA、0.33mg/mlのミエリン塩基性タンパク質、10mMの酢酸マグネシウム及び[γ−33P−ATP](比活性約500cpm/pmol、所要の濃度)と共に、最終反応容積25μlで、インキュベートした。反応は、MgATPミックスの添加により開始された。室温で、40分間のインキュベーション後、3%リン酸溶液5μlの添加により、反応を停止させた。次いで、P30フィルターマット上に、反応物10μlをスポットで置いた。75mMリン酸中で5分間の洗浄を3回、メタノール中の洗浄を1回実施した後、乾燥させ、シンチレーション計数した。
【0042】
本発明の化合物をこのアッセイで試験し、1〜5000nmのIC50が示された。
【0043】
PDGFRリン酸化アッセイ
NIH3T3細胞を、DMEM+10%FBSを含む96ウエルプレートに塗布した。細胞接着に続いて、細胞を、一晩、血清飢餓にした後、化学試験化合物を最終濃度0.1%DMSOまで添加した。37℃で1時間のインキュベーション後、細胞をインキュベーターから取り出し、20分かけて室温まで冷却するにまかせた。その後、室温で15分間PDGF−BBで刺激した。細胞を氷上に5分間置き、培地を除去し、100μL/ウエル溶解緩衝液を用いて、4℃で1時間かけて細胞を溶解した。プレートを、4℃、2000rpmで30分間回転させ、溶解されたリン酸化PDGFRをELISAにより定量化した。
【0044】
高結合マイクロプレートを、PBS中の抗マウスPDGFR−b捕捉抗体と共に室温で一晩インキュベートし、PBS+0.05%Tween20で洗浄し、室温で4時間、PBS+1%BSAでブロックし、再度洗浄した。100μL溶菌液/ウエルを4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄し、ウエル当たり100μLのマウス抗ホスホチロシン−HRP抗体を含むウエルを37℃で2時間インキュベートした。プレートを再度洗浄し、基質としてTMBを使用して、比色検出を行った。
【0045】
本発明の化合物の大部分は、このアッセイで、1μM未満のIC50を示した。
【0046】
VEGFRリン酸化アッセイ
マウスVEGFR−2(FLK−1)過剰発現NIHT3T細胞を、DMEM+10%FBSを含む96ウエルプレートに塗布した。4時間の細胞接着後、細胞を、一晩、血清飢餓にした後、化学試験化合物を最終濃度0.1%DMSOまで添加した。37℃で1時間のインキュベーション後、細胞をVEGF165により37℃で15分間刺激した。細胞を氷上に5分間置き、培地を除去し、氷冷PBSで1度洗浄し、50μL/ウエルの溶解緩衝液を用いて、4℃で1時間かけて細胞を溶解した。プレートを、4℃、2000rpmで10分間回転させ、溶解されたリン酸化VEGFRをELISAにより定量化した。
【0047】
高結合マイクロプレートを、PBS50μL中のVEGFR抗体と共に室温で一晩インキュベートし、PBS+0.05%Tween20で洗浄し、室温で4時間、PBS+1%BSAでブロックし、再度洗浄した。50μL溶菌液/ウエルを4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄し、ウエル当たり50μLのマウス抗ホスホチロシン−HRP抗体を含むウエルを37℃で2時間インキュベートした。プレートを再度洗浄し、基質としてTMBを使用して、比色検出を行った。
【0048】
本発明における化合物の大部分は、このアッセイで、1μM未満のIC50を示した。
【0049】
細胞アッセイ:HUVEC:VEGF誘発増殖
HUVEC細胞のVEGF誘発増殖における細胞活性について、化合物を分析した。HUVEC細胞(Cambrex、CC−2517)を、EGM(Cambrex、CC−3124)中に、37℃及び5%COで保持した。HUVEC細胞は、EGM中5000細胞/ウエル(96ウエルプレート)の密度で塗布した。細胞接着後(1時間)、EGM培地をEBM(Cambrex、CC−3129)+0.1%FBS(ATTC、30−2020)と交換し、細胞を37℃で20時間インキュベートした。培地をEBM+1%FBSと交換し、化合物をDMSOで順次希釈し、最終濃度0〜5000nM及び1%DMSOになるまで細胞に添加した。37℃で、1時間のプレインキュベーション後、細胞をVEGF(Sigma,V7259)10ng/mlで刺激し、37℃で45時間インキュベートした。細胞増殖をBrdUのDNA組込みにより4時間測定し、BrdU標識をELISA(Roche kit,16472229)により定量化し、1MHSOを使用して、反応を停止させた。690nmの対照波長を使用して、吸収を450nmで測定した。
【0050】
図の詳細な記述
図1は、メチル3−ヒドロキシ−4−アミノブタノエートヒドロクロリド及び活性アシル化剤1−3から出発して、3−アルコキシ−4−アシルアミノアミド誘導体を合成するために使用されるスキームを示す。アミノエステルヒドロクロリド出発物質は、無水メタノール中の遊離アミノ酸を、HCl1.2当量の存在下に還流させることにより調製した。アミノ基は、そのモノメトキシトリチル誘導体として、第二ヒドロキシル基の存在下に保護されて、中性のヒドロキシエステル1−1が得られた。ヒドロキシル基は、ヨウ化メチル又はヨウ化エチルを使用してアルキル化されて、保護アミノアルコキシエステルを形成した。Mmt基は、1%トリフルオロ酢酸中で除去されて、アミノヒドロクロリド、即ちトリフルオロアセテート化合物1−2が得られた。この化合物を、予形成されたアシル化剤1−3を用いて、迅速にアシル化し、メチルエステルを水/DMF中で水酸化カリウムにより加水分解して、1−4が得られた。次いで、遊離酸は、DMF中のHATU、アミン及びジイソプロピルエチルアミンに露出して、アルコキシアミド1−5が得られた。
【0051】
図2は、メチル2−ヒドロキシ−3−アミノプロピオネートヒドロクロリド及び活性アシル化剤1−3から出発して、2−アルコキシ−3−アシルアミノアミド誘導体を合成するために使用されるスキームを示す。アミノエステルヒドロクロリド出発物質は、無水メタノール中の遊離アミノ酸を、HCl1.2当量の存在下に還流させることにより調製した。アミノ基は、そのモノメトキシトリチル誘導体として、第二ヒドロキシル基の存在下に保護されて、2−1が得られた。ヒドロキシル基は、ヨウ化メチル又はヨウ化エチルを使用して、アルキル化されて、保護アミノアルコキシエステルを形成した。Mmt基は、1%トリフルオロ酢酸中で除去されて、アミノヒドロクロリド、即ちトリフルオロアセテート化合物2−2が得られた。この化合物を、予形成されたアシル化剤1−3を用いて、迅速にアシル化し、メチルエステルを水/DMF中で水酸化カリウムにより加水分解して、2−3が得られた。次いで、遊離酸は、DMF中のHATU、アミン及びジイソプロピルエチルアミンに露出して、アルコキシアミド2−4が得られた。
【0052】
図3は、メチル(2S)−2−ヒドロキシ−4−アミノブタノエートヒドロクロリド及び活性アシル化剤1−3から出発する、(2S)−2−アルコキシ−4−アシルアミノ−アミド誘導体の合成に使用されるスキームを示す。アミノエステルヒドロクロリド出発物質は、無水メタノール中の遊離アミノ酸を、HCl1.2当量の存在下に還流させることにより調製した。アミノ基は、そのモノメトキシトリチル誘導体として、第二ヒドロキシル基の存在下に保護されて、中性ヒドロキシエステル3−1が得られた。ヒドロキシル基は、ヨウ化メチル又はヨウ化エチルを使用して、アルキル化されて、保護アミノアルコキシエステルを形成した。Mmt基は、1%トリフルオロ酢酸中で除去されて、アミノヒドロクロリド、即ちトリフルオロアセテート化合物3−2が得られた。この化合物を、予形成されたアシル化剤1−3を用いて、迅速にアシル化し、メチルエステルを水/DMF中で水酸化カリウムにより加水分解して、3−3が得られた。次いで、遊離酸は、DMF中のHATU、アミン及びジイソプロピルエチルアミンに露出して、アルコキシアミド3−4が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】メチル3−ヒドロキシ−4−アミノブタノエートヒドロクロリド及び活性アシル化剤1−3から出発する3−アルコキシ−4−アシルアミノアミド誘導体の合成のために使用されるスキームを図示する。
【図2】メチル2−ヒドロキシ−3−アミノプロピオネートヒドロクロリド及び活性アシル化剤1−3から出発する2−アルコキシ−3−アシルアミノアミド誘導体の合成のために使用されるスキームを図示する。
【図3】メチル(2S)−2−ヒドロキシ−4−アミノブタノエートヒドロクロリド及び活性アシル化剤1−3から出発する(2S)−2−アルコキシ−4−アシルアミノ−アミド誘導体の合成のために使用されるスキームを図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、水素、ハロ、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)ハロアルキル、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、アミド、スルホンアミド、シアノ、置換又は非置換(C〜C10)アリールからなる群から選択され、
は、水素、ハロ、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)ハロアルキル、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルコキシアルキル、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、(C〜C10)アリールアミノからなる群から選択され、
は、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリール、(C〜C10)へテロアリール、及びアミドからなる群から選択され、
、R、R及びRは、独立して、水素及び(C〜C)アルキルからなる群から選択され、
は、(C〜C)アルキルであり、
は、ヒドロキシ、(C〜C)O−アルキル、(C〜C)O−シクロアルキル、及びNR1011からなる群から選択され、但し、R10及びR11は、独立して、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)ヒドロキシアルキル、(C〜C)ジヒドロキシアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルカルボン酸、(C〜C)アルキルホスホン酸、(C〜C)アルキルスルホン酸、(C〜C)ヒドロキシアルキルカルボン酸、(C〜C)アルキルアミド、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)へテロシクロアルキル、(C〜C)アリール、(C〜C)へテロアリール、(C〜C)シクロアルキルカルボン酸からなる群から選択されるか、又はR10及びR11は、Nと共に、ヒドロキシル、ケトン、エーテル及びカルボン酸1つ以上で非置換又は置換された(C〜C)複素環を形成する、
nは、1、2又は3であり、
mは、0、1又は2である。]
により表される化合物もしくは薬学的認容性の塩、その互変異性体、その互変異性体の薬学的認容性塩又はこれらのプロドラッグ。
【請求項2】
式(II):
【化2】

[式中、
12は、水素、(C〜C)アルキル及び(C〜C)シクロアルキルからなる群から選択される。]
により表される、請求項1に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項3】
及びRは、独立して、水素及びフッ素からなる群から選択され、
及びRは、メチルであり、
、R、R及びR12は、水素であり、
は、(C〜C)アルキルであり、
nは、1又は2であり、
mは、0又は1である、請求項2に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項4】
【化3A】

【化3B】

からなる群から選択される、請求項3に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項5】
以下の構造:
【化4】

により表される、請求項3に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項6】
以下の構造:
【化5】

により表される、請求項3に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項7】
以下の構造:
【化6】

により表される、請求項3に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項8】
以下の構造:
【化7】

により表される、請求項3に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項9】
以下の構造:
【化8】

により表される、請求項3に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項10】
以下の構造:
【化9】

により表される、請求項3に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項11】
式(III):
【化10】

により表される、請求項1に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項12】
及びRは、独立して、水素、ハロ、シアノからなる群から選択され、
は、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリール、(C〜C10)へテロアリール、及びアミドからなる群から選択され、
、R、R及びRは、独立して、水素及び(C〜C)アルキルからなる群から選択され、
は、(C〜C)アルキルであり、
nは、1又は2であり、
mは、0又は1であり、
10及びR11は、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)ヒドロキシアルキル、(C〜C)ジヒドロキシアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルカルボン酸、(C〜C)アルキルホスホン酸、(C〜C)アルキルスルホン酸、(C〜C)ヒドロキシアルキルカルボン酸、(C〜C)アルキルアミド、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)へテロシクロアルキル、(C〜C)アリール、(C〜C)へテロアリール及び(C〜C)シクロアルキルカルボン酸からなる群から選択されるか、又はR10及びR11は、Nと共に、ヒドロキシル、ケトン、エーテル及びカルボン酸1つ以上で非置換又は置換された(C〜C)複素環を形成する、請求項9に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項13】
mが0である、請求項12に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項14】
以下の構造:
【化11】

により表される群から選択される、請求項13に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項15】
以下の構造:
【化12】

により表される、請求項14に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項16】
以下の構造:
【化13】

により表される、請求項14に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項17】
以下の構造:
【化14】

により表される、請求項14に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項18】
以下の構造:
【化15】

により表される、請求項14に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項19】
以下の構造:
【化16】

により表される、請求項14に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項20】
以下の構造:
【化17】

により表される、請求項14に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項21】
以下の構造:
【化18】

により表される、請求項14に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項22】
以下の構造:
【化19】

により表される、請求項14に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項23】
mが1である、請求項12に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項24】
以下の構造:
【化20A】

【化20B】

により表される、請求項23に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項25】
以下の構造:
【化21】

により表される、請求項24に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項26】
以下の構造:
【化22】

により表される、請求項24に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項27】
以下の構造:
【化23】

により表される、請求項24に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項28】
以下の構造:
【化24】

により表される、請求項24に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項29】
以下の構造:
【化25】

により表される、請求項24に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項30】
以下の構造:
【化26】

により表される、請求項24に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項31】
以下の構造:
【化27A】

【化27B】

[式中、
Rは、以下の構造:
【化28A】

【化28B】

により表される基からなる群より選択される。]
により表される群から選択される、請求項1に記載の化合物、塩、互変異性体又はプロドラッグ。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか1項に記載の化合物又は塩を用いる、プロテインキナーゼの触媒活性の変調方法。
【請求項33】
前記プロテインキナーゼが、VEGF受容体及びPDGF受容体からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−508971(P2009−508971A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532411(P2008−532411)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/036946
【国際公開番号】WO2007/038251
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(501244222)ザ スクリプス リサーチ インスティテュート (33)
【Fターム(参考)】