説明

アルコール代謝を和らげる、およびアルコール誘発性疾患のリスクを減少させるための組成物

本発明は組成物、特に食品組成物、食事または食品のサプリメント、および薬学的組成物をそれぞれ対象とする。本組成物は神経障害、遅発性アルツハイマー病を含む神経変性疾患、ならびに癌、特に膵癌、食道癌、口腔咽頭癌、肝癌、結腸直腸癌、肺癌、および/または乳癌のリスクを、特に薬物および/またはアルコール誘発性の該疾患のリスクを減少させる。この点に関して、本発明はまた、人体内でのアルコール分解プロセスを助けるおよび/または和らげる組成物、特に食品組成物、食事または食品のサプリメント、および薬学的組成物もそれぞれ対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組成物、特に、食品組成物、食事または食品のサプリメント、および薬学的組成物をそれぞれ対象とする。本組成物は、神経障害、遅発性アルツハイマー病を含む神経変性疾患、および癌、特に膵癌、食道癌、口腔咽頭癌(oropharyngolaryngeal cancer)、肝癌、結腸直腸癌、肺癌、および/または乳癌のリスクを、特に薬物および/またはアルコールにより誘発される該疾患のリスクを減少させる。この点で、本発明はまた、人体内でのアルコール分解プロセスを助けるおよび/または和らげる組成物、特に食品組成物、食事または食品のサプリメント、および薬学的組成物もそれぞれ対象とする。
【0002】
本発明は特に、非白色人種タイプの遺伝子構造を有する人の大部分において生じうる、急速なアルコール分解後のアセトアルデヒドの蓄積、すなわちアルコール代謝の問題に対処するものである。
【背景技術】
【0003】
アルコール飲料を飲むことは神経障害性疾患のリスクの増加と関係があると考えられている。エタノールは、行動、運動協調性の変化、および極端な場合には脳損傷をもたらす、脳および神経系に対する多くの作用を誘発する。特に、末梢神経多発性神経炎はアルコール依存性患者において一般的に見られる。アルコールによる作用の予想される媒介物質の一つは、毒性の強いメタノール代謝物であるアセトアルデヒドである。アセトアルデヒドは、酸化的活性を有する反応性の高い分子であって、細胞毒性作用を有しており、細胞中のタンパク質を修飾してそれらを機能不全に陥らせる。
【0004】
アルコール飲料を飲むことは神経変性疾患のリスクの増加と関係があると考えられている。これらの疾患は、神経系細胞内の封入体の堆積、および最終的には細胞の消滅によって引き起こされると考えられる。活性酸素種のような酸化性物質によって引き起こされる酸化的ストレスおよびそれに続く脂質の過酸化は、アルツハイマー病、パーキンソン病、および脳虚血を含む神経変性疾患の病理発生において重要な役割を担うことが報告されている。したがってアセトアルデヒドは、いくつかのアルコール誘発性のニューロン変化の原因と考えられている。アセトアルデヒドは、確認されたそのDNA損傷作用(一本鎖および二本鎖の切断)および実験動物における発癌性から、アルコール関連癌の発生に中心的な役割を果たすことも疑われている。
【0005】
アルコール飲料を飲むことは、膵癌、肝癌、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、食道癌、および口腔咽頭癌を含むある種の癌のリスクの増加と関係があるとも考えられている。食道癌および口腔咽頭癌のリスク増加とアルコール摂取との関係は、アルコール自体および/またはその代謝物が発癌性潜在能力を有することを示す疫学的研究から少なくとも暗黙の内には明らかであると見なされている。
【0006】
さらに、女性の飲酒者におけるエストロゲンレベルの増加は、乳癌発生において重要な機序と考えられる。エストロゲン増加の予想機序の一つは、飲酒後に過剰産生された酢酸がステロイドに変換されることである。アルコール誘発性乳癌に対するアセトアルデヒドの潜在的な役割の可能性は明らかなようである。
【0007】
ごく最近の論文(Lancet Oncol 7:149-156, 2006(非特許文献1))では、アルコール摂取と結腸直腸癌および肺癌のリスクとの関係を考察している。
【0008】
体内へ取り込まれたエタノールは、その酸化によって主に肝臓において除去される。エタノール(CH3CH2OH)はまずアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)によってアセトアルデヒドへと代謝され(CH3CHO)、次にアセトアルデヒド(CH3CHO)は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)によって、主に肝臓アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)によってさらに酢酸(CH3COOH)へと代謝される。
CH3CH2OH + NAD → CH3CHO + NADH + H+
CH3CHO + NAD + H2O → CH3COOH + NADH + H+
【0009】
アルコール代謝の間に生成されたアセトアルデヒドの大部分は、低いKmを有するALDHであるALDH2によって即座に除去される。ALDHの多型アイソフォームが存在し、最も低い親和定数(Km)を有するクラス2のALDH(ALDH2)は、アルデヒド酸化における最も重要な酵素である。突然変異遺伝子であるALDH2*2は、活性ALDH2*1遺伝子のエキソン12に1つの点突然変異(G→A)を有する。この突然変異は、487位のアミノ酸のグルタミン酸(Glu)からリジン(Lys)への置換をもたらす。したがってALDH2*2は触媒的に不活性なサブユニットをコードし、ドミナントネガティブな様式で作用する。ヘテロ接合ALDH2*1/2*2遺伝子型を有する個体は、正常なホモ接合ALDH2*1/2*1遺伝子型を有する個体と比べると、わずか6%の活性しか有さないはずである。ALDH2*2対立遺伝子の分布は人種によって変化する。東アジアでは優勢であるが、活性ALDH2*1対立遺伝子を有する白色人種およびアフリカ人には見出されない。東アジア人の40〜50%は不活性ALDH2*2対立遺伝子を有している。少量のエタノール(0.1g/kg体重)飲酒後のALDH2*l/2*2ヘテロ接合体およびALDH2*2/2*2ホモ接合体の血中アセトアルデヒド濃度の平均ピークは、中程度量のエタノール(0.8g/kg体重)飲酒後のALDH2*1/2*1ホモ接合体のそれぞれ5倍および18倍であった。アルコールを与えたALDH2*1/2*2ヘテロ接合体において、唾液中のアセトアルデヒドの量は増加し、活性ALDH2*1/2*1ホモ接合体のアルコール酸化がALDH阻害剤である4-メチルピラゾールによって阻害される場合に、そのレベルは低下した。したがって、アセトアルデヒド酸化はALDH2*2対立遺伝子を有する個体において著しく低下する。
【0010】
ALDH2活性の欠乏は癌のリスク増加と関係があり、したがってアセトアルデヒドは発癌物質と考えられる。実際、アセトアルデヒドは培養肝細胞を損傷し、続発性の過剰増殖を招く。
【0011】
ALDH2欠損が多発性神経炎および遅発性アルツハイマー病のリスク増加と関連があることも明らだと思われる。さらに、感覚伝導時間(sensory conduction time)は、活性ALDH2*1/2*1ホモ接合体を有する日本人のアルコール依存性患者よりも、低機能ALDH2*2対立遺伝子を有する日本人のアルコール依存性患者において有意に長く、このことは後者の末梢ニューロンの機能不全を意味している。ALDHが遺伝的に不活性化されている実験ニューロン細胞系は、外から加えられたアルデヒド代謝物に対して非常に脆弱になり、このことはアセトアルデヒドによって引き起こされる酸化ストレスがニューロン細胞を相当損傷することを示している。総じてこれらの結果は、アセトアルデヒドによって誘発される酸化ストレスがミトコンドリアのエネルギー産生に損害を与え、ニューロン細胞内のタンパク質を修飾し、修飾タンパク質の堆積を生じさせることを示している。これらの変化はさらに細胞機能を損傷し、最終的には細胞死を引き起こす。ゆえに、アセトアルデヒドは多発性神経炎および/または遅発性アルツハイマー病のような神経変性疾患の病理発生と密接に関連しうる。
【0012】
ALDH2の欠損は乳癌のリスク増加にも関連すると考えられる。アセトアルデヒドは疎水性の性質を有し、脂肪性組織内に蓄積する。乳腺は脂肪および他の脂肪親和性組織に富んでいる。アルコール飲料を飲むことは乳癌のリスク増加と関連があると結論づけられる。したがってさらに、アルコール誘発性の乳癌に対するアセトアルデヒドの役割の可能性も同様に考えられる。
【0013】
肝癌に関しては、肝炎ウイルス(HV)、特にHVBおよびHVCによって肝癌のリスクが増加することが知られている。しかしながら、ALDH2欠損が、肝炎ウイルスを有するまたは有さないアルコール飲酒者の肝癌のリスク増加にも関連があることが、疫学的調査により支持されると考えられる。これはアセトアルデヒドがアルコール飲酒者における肝細胞の発癌に密接に関与しているという考えを支持するものである。
【0014】
さらに、アルコール飲料がヒトに対して発癌性であり、口腔、咽頭、喉頭、および食道の癌の原因として関係することは明らかなようである。特に、ALDH2欠損が口腔、咽頭、喉頭、および食道の癌のリスク増加とも関連があることは明らかなようである。特にALDH2*2対立遺伝子を有する人において、これらの上部消化管における上皮細胞は、飲酒後血液から拡散するだけでなく唾液腺からも分泌されるアセトアルデヒドによって攻撃される。本発明のサプリメント混合物は、ALDH2*1/2*1ホモ接合体だけでなくALDH2*1/2*2ヘテロ接合体において、飲酒後のアルコールおよびアセトアルデヒドの消失を促進する。本発明のサプリメントは、アルコール代謝を効率的に促進し、唾液腺からのアセトアルデヒドの分泌を抑制すると考えられる。したがって、本発明のサプリメントは、口腔、咽頭、喉頭、および食道の癌のリスクを減少させるために使用することができる。
【0015】
日本において、アルコール性膵炎は、男性における慢性膵炎の最も一般的なタイプ(68.5%)である。慢性膵炎は膵癌のリスク因子として指摘されている。喫煙が十分に証明された膵癌発生のリスク因子であると同時に、ALDH2欠損は喫煙者における膵癌のリスクを増加させ、アルコールは喫煙者の膵癌のリスクを増加させると考えられる。総じてこれらのデータは、アルコール、おそらくその代謝物であるアセトアルデヒドが膵臓細胞の発癌に関与することを示している。
【0016】
ALDH2欠損もまた、膵癌のリスク増加に関連があると考えられる。特にALDH2*2対立遺伝子を有する人において、これらの上部消化管における上皮細胞は、飲酒後血液から拡散するだけでなく唾液腺からも分泌されるアセトアルデヒドによって攻撃される。
【0017】
【非特許文献1】Lancet Oncol 7:149-156, 2006
【発明の開示】
【0018】
したがって、本発明の目的はアルコール誘発性疾患を減少させるのに有効な組成物を提供することである。
【0019】
この目的は、添付の特許請求の範囲に定義された内容によって解決される。
【0020】
添付の図面は本明細書の一部であり、本発明の特定の局面をさらに示すために含まれる。本発明は、これらの図面を、本明細書に示される特定の態様の詳細な説明と併せて参照することによって、より適切に理解することができる。
【0021】
本明細書において使用される「神経障害」という用語は、神経系ニューロンの任意の疾患または異常を意味する。特に、「神経障害」は、脳および脊髄を除く任意の場所の神経に発症する、末梢神経系の障害を意味する。神経障害の非限定的な例には、麻痺、自然発症的にまたは外部刺激に反応して起こる、知覚不全および異痛症と呼ばれる知覚異常、ならびに神経因性疼痛または神経痛を呼ばれる特徴的な種類の痛みによって特徴付けられるアルコール性神経障害がある。
【0022】
本明細書において使用される「神経変性疾患」という用語は、ニューロン死および神経伝達物質の機能喪失を含むニューロンの変質によって引き起こされる、神経系の任意の疾患または異常を意味する。神経変性疾患の非限定的な例には、アルツハイマー病およびパーキンソン病がある。
【0023】
本明細書において使用される「食品組成物」という用語は、それぞれの組成物を食べるまたは飲む場合に、対象に有毒な症状を引き起こすことなく食べるおよび/または飲むことができる、任意の種類の組成物を意味する。
【0024】
本明細書において使用される「サプリメント」、「食事のサプリメント」または「食品のサプリメント」という用語は、毎日の食事に加えてまたはその間に摂取される組成物を意味する。
【0025】
本明細書において使用される「遅発性アルツハイマー病」という用語は、年配の、特に65歳以上の人におけるアルツハイマー病の発症を意味する。
【0026】
本明細書において使用される「フラッシング症候群(flushing syndrome)」という用語は、アルコール飲酒の結果生じるフラッシングを意味する。フラッシングは、アルコール摂取後の、顔、首、および肩の紅斑(毛細管の拡張によって引き起こされる発赤)に付随する。アルコール摂取後のフラッシングは多くの場合、以下の種類の症状に付随する:眩暈、悪心、頭痛、脈拍増加、不定期の極度の眠気、ならびに不定期の皮膚の腫れおよび痒み。これらの症状はまとめて「フラッシング症候群」または「アジア潮紅(Asian flush)」と呼ばれる。
【0027】
本明細書において使用される「口腔咽頭癌」という用語は、口腔、咽頭、喉頭、または食道に由来する癌を意味する。この領域の癌の初期段階では、起源を特定することができる。しかしながら、非常に多くの場合、この領域の癌は後期の浸潤段階において発見され、起源を特定することができない。したがって、この源から生じる癌は「口腔咽頭癌」と総称される。
【0028】
本明細書において使用される「剤形」という用語は、一度に、任意で一定間隔で行われる投薬量を意味する。
【0029】
本発明に従って、以下の物質を含む組成物により目的が達成される:
デキストロース、ビタミンC、L-グルタミンおよび/またはL-グルタミン酸、システイン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸、コエンザイムQ10、ならびにナイアシン。
【0030】
本発明の組成物は、アセトアルデヒドの産生およびエタノール代謝プロセスを減速させ、人体に負荷をかけるアルコール誘発性のピークが減少するように、特定のアルコールデヒドロゲナーゼ酵素、すなわちADH3の活性を低下させる、またはその産生を抑制する。さらにアセトアルデヒドの代謝を助けるために、アルデヒドデヒドロゲナーゼALDH2の酵素活性を増強する。
【0031】
本発明の組成物は、飲酒後のアルコールおよびアセトアルデヒドの消失を促進する。組成物は、好ましくはALDH2*1/2*1ホモ接合体およびALDH2*l/2*2ヘテロ接合体対象において活性である。本発明の組成物は、アルコール代謝を効率的に促進し、唾液腺からのアセトアルデヒドの分泌を抑制する。したがって、本発明の組成物は、神経障害、神経変性疾患、例えば遅発性アルツハイマー病、ならびに癌、特に膵癌、食道癌、口腔咽頭癌、結腸直腸癌、肺癌、肝癌、および乳癌のリスクを減少させるために使用することができる。
【0032】
血流に入る過剰なアセトアルデヒドのピークを低下させ、それによって重要な臓器および人体機能への損傷のリスクを低下させることにより、本発明の組成物は、膵癌、食道癌、口腔咽頭癌、結腸直腸癌、肺癌、肝癌、および/または乳癌などのいくつかの種類の癌のリスクを低下させる。
【0033】
飲酒後の血中アセトアルデヒド濃度を減少させることにより、本発明の組成物は、好ましくは特にALDH2*2対立遺伝子を有し喫煙習慣を有するアルコール飲酒者に対して、膵癌のリスクを低下させる。
【0034】
トリカルボン酸(TCA)回路および電子伝達系の活性化により酢酸を除去することによって、ならびにその結果エストロゲンを含むステロイド合成を妨げることにより、本発明の組成物は、好ましくは特にALDH2*2対立遺伝子を有するアルコール飲酒者に対して、乳癌および肝癌のリスクを低下させる。
【0035】
本発明の組成物は、多くの場合アルコール性神経障害の患者に欠乏しているいくつかの物質を含む。ゆえに組成物は、フラッシング症候群を低減させる、頭痛の可能性を低減させる、およびアルコールによって誘発される翌日の二日酔いを回避する、または和らげるのを助けるのに有効である。組成物に含まれるナイアシン画分(ビタミンB3)は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)として機能し、それはアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)のコエンザイムに対して有効である。このビタミンはエタノール代謝を促進するために提供される。
【0036】
特定の好ましい態様によると、組成物は、特に約1〜約5mgの範囲のパントテン酸(pantotheic acid)も含む。パントテン酸は、酢酸の代謝に必須であると考えられているコエンザイムA(CoA)として機能する。酢酸は、CoAと結合して活性化されてアセチルCoAを形成し、TCA回路において代謝される。酵素学的観点から、生成物(酢酸)の除去は、基質(アセトアルデヒド)の代謝の促進に有効である。
【0037】
好ましくはこの組成物をアルコール摂取の5分前に摂取すべきであり、強いアルコール摂取の場合はアルコール摂取の間に再度摂取すべきである。摂取者が服用する組成物の量は、摂取する飲料に含まれるアルコールの量の約70〜120%の範囲であるべきである。標準的な用量は、デキストロース10.0g、ビタミンC 1.0g、L-グルタミンおよび/またはL-グルタミン酸1.5g、システイン500mg、リボフラビン40mg、コハク酸100mg、フマル酸100mg、コエンザイムQ10 60mg、ならびにナイアシン(ビタミンB3)約10mgを含んでもよい。好ましくは組成物成分の関係は上記の一定の関係に向かう。全体の用量は、摂取者の体重に合わせる。
【0038】
本発明の組成物は、大過剰なアセトアルデヒドがミトコンドリアマトリックスに入るのを妨げ、かつALDHの酵素活性の自己阻害を抑制し、このようにしてアセトアルデヒドの分解を促進することを意図している。
【0039】
本発明の組成物は、飲酒後のアセトアルデヒドレベルの初期の減少を共同的な様式で促進し、同時にフリーラジカルの生成の抑制については保護的な効果を与えるため、アルコール摂取に関連する生理的なリスクは、本発明の組成物の使用により有意に減少する。
【0040】
組成物が食品組成物または食事のサプリメントとして投与される場合、アルコール飲料を摂取する前に、レストランまたはバーで食品組成物を摂取することができるように、好ましくは食前酒の成分のような形態であることが好ましい。
【0041】
食品組成物または食事のサプリメントは、好ましくはその用量が錠剤の形状である様式で構成される。好ましくはそれぞれの錠剤は、容易に飲み込めるように成形され、かつ必要な大きさになっている。好ましくは、該錠剤は単一の用量がそれらの複数の錠剤を含むような形態である。錠剤は、多数のこれらの錠剤を含む投薬容器内に収容されうる。食品組成物は小型の錠剤または丸剤の形状をとること、ならびにそれらを小型のチューブに保存することが可能であり、同時に、摂取者が服用する食品組成物の体積は、摂取されると予想されるアルコールの体積に対して決定することができる。組成物または食事のサプリメントは、角砂糖に類似の形状であってもよく、または凍結粉末(cryopowder)の形状であってもよい。組成物または食事のサプリメントは別個のサブユニットに分かれていてもよい。1つのユニット、例えばビタミンC画分、システイン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸、およびコエンザイムQ10を含み、さらにデキストロース画分の大部分が、別個のユニットであるカプセル剤、錠剤などの中に維持されている、カプセル剤を提供することができる。果汁抽出物、ウコン、タンニン、パナックス ノトギンセン(Panax notoginseng)の粉末、およびツルニチソウなどのさらなる物質を、適切な量で添加することができる。ウーロン茶、バルバドスアロエ、およびらせん形水藻(spiral water algae)を添加してもよい。組成物または食事のサプリメントは液体の形状、特にシロップタイプの液体であってもよい。小ボトル内のソフトドリンクに存在する食品組成物を提供することが可能である。
【0042】
好ましくは体重約80kgの人に対する用量は、約75%のデキストロース画分を含む。そのような用量は、約18mlのアルコールの分解を大幅に減速させる。
【0043】
組成物は好ましくは、その用量が約75.2質量%のデキストロース画分を含む、すなわち13.3gの用量のうち、7.2〜12.8gの範囲内、好ましくは10.0gの量のデキストロースを含むように構成される。
【0044】
組成物は好ましくは、その用量が約7.5質量%のビタミンC画分を含む、すなわち13.3gの用量のうち、0.78〜1.18gの範囲、好ましくは1.0gの量のビタミンCを含むように構成される。
【0045】
組成物は好ましくは、その用量が約11.27質量%のL-グルタミンおよび/またはL-グルタミン酸画分を含む、すなわち13.3gの用量のうち、1.23〜1.7gの範囲、好ましくは1.5gの量のL-グルタミンおよび/またはL-グルタミン酸画分を含むように構成される。
【0046】
組成物は好ましくは、その用量が約3.76質量%のシステイン画分を含む、すなわち13.3gの用量のうち、460〜540mgの範囲、好ましくは500mgの量のシステイン画分を含むように構成される。
【0047】
組成物は好ましくは、その用量が約0.30質量%のリボフラビン画分を含む、すなわち13.3gの用量のうち、32〜48mgの範囲、好ましくは40mgの量のリボフラビンを含むように構成される。
【0048】
組成物は好ましくは、その用量が約0.752質量%のコハク酸画分を含む、すなわち13.3gの用量のうち、90〜110mgの範囲、好ましくは100mgの量のコハク酸を含むように構成される。
【0049】
組成物は好ましくは、その用量が約0.752質量%のフマル酸画分を含む、すなわち13.3gの用量のうち、90〜110mgの範囲、好ましくは100mgの量のフマル酸を含むように構成される。
【0050】
組成物は好ましくは、その用量が約0.451質量%のコエンザイムQ10画分を含む、すなわち13.3gの用量のうち、50〜70mgの範囲、好ましくは60mgの量のコエンザイムQ10画分を含むように構成される。
【0051】
組成物は好ましくは、13.3gの用量のうち、約1〜20mgの範囲、好ましくは15mgのナイアシン画分を含むように構成される。
【0052】
より好ましくは、ナイアシン以外の組成物の各成分は約0.01〜約100グラム、好ましくは約0.05〜50グラムの範囲で存在し、ナイアシンは約1〜20mgの範囲で存在する。
【0053】
組成物は以下の成果を与えると考えられる。
1. 第1の場所にアセトアルデヒドが蓄積することを防ぐための、エタノールのアセトアルデヒドへの酸化プロセスを減速させることによるエタノール代謝の低下
2. ALDH活性の刺激、およびその酵素活性の任意の阻害の回避
3. アセトアルデヒドから酢酸への反応およびクエン酸回路におけるさらなる分解の加速
4. アセトアルデヒドの有毒作用から保護する、アルコール摂取者の抗酸化物質レベルの改善
【0054】
第1の成果は、多量のブドウ糖(グルコース)摂取により達成されると考えられる。
【0055】
グルコースは肝細胞のサイトゾルにおいて、エタノールからアセトアルデヒドへの変換により使用される、同じサイトゾルのNADプールを用いて急速に酸化される。サイトゾルNADの量が限られており、常にNADH+H+からのみ再生しうるため、アセトアルデヒドの蓄積ははるかに少ない。
【0056】
第2の成果も多量のグルコース摂取により達成されると考えられる。グルコースはADHならびにALDHの酵素活性を増強する。肝細胞のサイトゾルにおいて多量のグルコース負荷が生じた場合、アセトアルデヒドが、ALDHの不活性化、またはミトコンドリアの破壊につながりうるレベルに到達する可能性はない。
【0057】
第3の成果は以下により実現されると考えられる。
a)ミトコンドリアの内膜を通過する電子の伝達を加速させることによりNADH+H+からNADへの再酸化を促進すること、
b)クレブス回路を促進すること。これはコエンザイムQ10およびリボフラビンを含むことにより達成されると考えられる。
【0058】
リボフラビンは、コエンザイムQ10とともにミトコンドリアマトリックス内でのNADH+H+からNAD+への再酸化速度を決定する物質であるFMNへと急速に変換される。アセトアルデヒドは酢酸へと代謝される際にNAD+を必要とする。この反応でNADはNADH+H+へと変換される。NADの利用可能性がミトコンドリアマトリックス内に限られていることから、アセトアルデヒド分解に再び供給するためにNADH+H+をNADへと再変換する必要がある。この反応はFMNおよびコエンザイムQ10がNADH+H+の電子を吸収し、それらをミトコンドリア膜を介して輸送するために可能である。より多くのFMNおよびコエンザイムQ10が利用可能になると、このプロセスがより加速し、より多くのNADが利用可能となるためにアセトアルデヒドの代謝が促進される。
【0059】
年齢が進むにつれて人体内でのコエンザイムQ10の含有量が減少することが知られている。
【0060】
クレブス(クエン酸)回路の活性化は、コハク酸およびフマル酸を含むことにより達成される。両方の物質はクエン酸回路の後半を活性化し、それによってミトコンドリア内の好気的酸化プロセスを活性化する。人体内に吸収された後、L-グルタミン酸はL-グルタミンへと急速に変換され、L-グルタミンはミトコンドリア-サイトゾルのリンゴ酸/アスパラギン酸輸送を加速させ、これはアセトアルデヒドによる中毒の過程において重要な役割を果たす。コハク酸の酸化プロセスは、シュウ酸および酢酸によるコハク酸デヒドロゲナーゼの阻害を妨げることによっても加速する。
【0061】
第4の成果である抗酸化物質レベルの上昇は、システイン、アスコルビン酸を含むこと、ならびに同様にL-グルタミンおよび/またはL-グルタミン酸を含むことにより達成される。システインはアスコルビン酸と同様に強力な抗酸化作用を提供する。人体はシステインを、特にアセトアルデヒドの有毒作用から防御するグルタチオンへと変換する。グルタチオンの最適レベルに到達するため、およびシスチンへと変換されるシステインをなくすためには、システインをグルタミンと結合させ、システインの2倍のアスコルビン酸を提供することが重要である。
【0062】
記載した物質を投与することにより、アルコール飲酒後のアセトアルデヒドのレベルは著しく減少し、フラッシング症候群は少なくとも低減する。頭痛および二日酔いなどのその他の公知のアセトアルデヒドの副作用もまた消失するはずである。
【0063】
したがって本発明は、人体内でのエタノール代謝に関してアルコール分解プロセスを和らげることにより、神経障害、遅発性アルツハイマー病を含む神経変性疾患、ならびに癌、特に食道癌、口腔咽頭癌、結腸直腸癌、肺癌、肝癌、乳癌、および/または膵癌のアルコール誘発性のリスクを減少させるための組成物に関する。本発明の組成物は生理的に適した量で、以下の物質を含む:ナイアシン(ビタミンB3)、デキストロース、ビタミンC、L-グルタミンおよび/またはL-グルタミン酸、システイン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸、ならびにコエンザイムQ10。
【0064】
さらに、本発明の組成物を薬剤として使用することができる。薬剤または薬物はそれぞれ、例えば癌の治療および/または予防のための薬物の製造に使用することができる。非限定的な例のために、乳癌、肝癌、膵癌、食道癌、結腸直腸癌、肺癌、および口腔咽頭癌からそのような癌を選択することができる。
【0065】
さらなる態様において、本発明の組成物は一般に腫瘍転移の予防のための薬物の製造に使用することもできる。
【0066】
さらなる態様において、本発明の組成物は神経障害の治療および/または予防、ならびに神経変性疾患、特に遅発性アルツハイマー病の治療および/または予防のための薬物の製造に使用することもできる。
【0067】
さらなる態様において、本発明の組成物は二日酔い、フラッシング症候群、頭痛、および/またはアルコール中毒の治療および/または予防のための薬物の製造に使用することもできる。
【0068】
さらなる態様において、本発明の組成物は錠剤の形状で存在する。さらなる態様において、本発明の組成物の用量は、複数の小型の錠剤またはカプセル剤を含む。特に該錠剤またはカプセル剤は投薬容器を含みうる。別の態様において、本発明の組成物は角砂糖型の形状である。別の態様において、本発明の組成物は凍結粉末の形状である。別の態様において、本発明の組成物は少量の飲料単位の形状である。別の態様において、本発明の組成物はシロップの形状である。
【0069】
さらなる局面において本発明は、神経障害、ならびに/または遅発性アルツハイマー病を含む神経変性疾患、食道癌、口腔咽頭癌、乳癌、肝癌、肺癌、結腸直腸癌、および/もしくは膵癌のアルコール誘発性のリスクを減少させるための組成物、食品または食事のサプリメント、および薬学的組成物に関し、該組成物は、特に人体内のエタノール代謝に関するアルコール分解プロセスに影響を及ぼすナイアシン、および特に人体内で以下の影響を与える上記の物質を含む:第1の場所にアセトアルデヒドが蓄積することを防ぐために、エタノールのアセトアルデヒドへの酸化プロセスを減速させることによってエタノール代謝を低下させる;ALDH活性を刺激し、その酵素活性の任意の阻害を回避する;アセトアルデヒドから酢酸への反応、およびクエン酸回路におけるさらなる分解を加速させる;アセトアルデヒドの有毒作用から保護する、アルコール摂取者の抗酸化物質レベルを改善する。
【0070】
上記のとおり、本発明はナイアシン(ビタミンB3)、デキストロース、ビタミンC、L-グルタミンおよび/またはL-グルタミン酸、システイン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸、ならびにコエンザイムQ10を含む組成物に関する。上記のとおり、本組成物には様々な態様がある。
【0071】
実施例
実施例1:サプリメント溶液および動物
コエンザイムQ10以外のサプリメント成分は、シグマアルドリッチジャパン株式会社(日本、東京)から購入した。デキストロース10グラム、ビタミンC 1.0グラム、L-グルタミン1.5グラム、システイン500mg、リボフラビン40mg、コハク酸100mg、フマル酸100mg、およびナイアシン10mgを100mlの蒸留水に溶解させた(サプリメント溶液)。100mgのコエンザイムQ10(Jarrow Formulas、米国、カルフォルニア、ロサンゼルス)を14mlのゴマ油に溶解させた。
【0072】
オスのBALB/cA-jcl-nu/nu種の6週齢ヌードマウスを購入し(日本クレア、日本、静岡)、調査前の1週間順応させた。実験の間、マウスを温度23℃、湿度50%、および特定病原体未感染(SPF)の条件下に維持した。
【0073】
実施例2:細胞系統および転移実験
ヒト結腸直腸癌由来のRPMI4788細胞はヌードマウスにおいて肺転移を引き起こす(Moore GE & Koike A(1964), Cancer January, 17:11-20; Kondo H. et al.(1987), Jpn J Cancer Res(Gann)78, 12:1400-1408)。細胞系統を10%ウシ胎児血清(FBS)(Hyclone Laboratories Inc.、ユタ州、ローガン)を添加したRPMI1640溶液培地(Nikken Biomedical Laboratory、日本、京都)を用いて、組織培養フラスコ内で、37℃、湿度100%、5%CO2、および95%大気環境下で継代培養した。続いて0.02%のEDTAを用いて培養細胞を分離し、0.01MのPBSを用いて細胞懸濁液を調製し、トリパンブルー染色により細胞生存率が98%を上回ることを確認した。
【0074】
肺転移を生じさせるため、ヌードマウスの尾静脈に5×104/0.1mlの細胞懸濁液を注射した。注射の28日後、肺表面上の全ての転移性結節を計測した。肺を10%の中性ホルムアルデヒドで固定し、パラフィン中に包埋した。切片をヘマトキシリンエオシンで染色し、組織学的に調べた。
【0075】
サプリメントについて試験するために、マウス1匹に対して、320μlのサプリメント溶液およびゴマ油に溶解させた50μlのCo-Q10を、経口金属チューブを用いて胃に投与した。サプリメント+EtOHの効果を分析するために、サプリメント投与の1時間後に、7.0ml/kgのエタノールを腹腔内に注射した。次にエタノール注射の1時間後、5×104/100μlのRPMI4788細胞を尾静脈に注射した。ヌードマウスを細胞注射の28日後に殺し、肺表面上の転移性結節を計測した。
【0076】
これらの実験結果を以下の表1に示す。
(表1)

【0077】
それぞれ8匹のマウスを用いた独立した実験を2回行った。肺表面上の転移性結節の平均は、対照(4788細胞のみ):26.6、エタノール+4788細胞:42.25、サプリメント+4788細胞:27.7、サプリメント+エタノール+4788細胞:34.75であった。これらの結果は本発明のサプリメントが4788細胞系統の転移の可能性に影響を与えなかったことを示す。エタノールは、4788細胞系統の転移の可能性を約60%上昇させた。サプリメントは、エタノールによって上昇した転移を半分減少させた。エタノール+4788細胞と、サプリメント+エタノール+4788細胞との間の差は、t検定により有意であった(P=0.03)。
【0078】
実施例3:NK活性
短期間の51Cr放出アッセイを用いて、ナチュラルキラー(NK)細胞障害活性を測定した。マウスを以下の3群に分けた:対照、エタノール投与、ならびにサプリメントおよびエタノール投与。エタノール投与の24時間後、ヌードマウスの脾細胞を単一細胞の懸濁液として分離した。標的YAC-1細胞(1×107)を、200μCiの51Crとともに37℃で2時間インキュベートして標識した。洗浄後、37℃で2時間インキュベートし、細胞をRPMI1640培地に加えた。標識された標的細胞20μlおよびエフェクター細胞100μlを、様々なエフェクター/標的細胞比率で96ウェルのマイクロタイタープレート(住友ベークライト株式会社、日本、東京)中で混合した。インキュベーションの4時間後、プレートを遠心分離して上清の放射能をガンマカウンターで測定した。細胞障害性の割合を(実験群放出−自然放出/全放出−自然放出)として計算した。t2検定によって結果の統計的分析を行い、p<0.5を有意なレベルとして規定した。実験結果を以下の表2に示す。
【0079】
(表2)

【0080】
したがって、エタノールは対照ヌードマウスのNK活性を45.5%まで減少させたが、アセトアルデヒドにより誘発されるこの効果は、多くの原稿に以前から報告されている。サプリメントはエタノールによって減少したNK活性を55.9%増加させた。サプリメントはヒトと同様にヌードマウスにおいてアセトアルデヒドおよびNK活性を減少させた。
【0081】
実施例4:サプリメント調製物、ヒトボランティア、およびアルコール
コエンザイムQ10以外のサプリメント成分は、シグマアルドリッチジャパン株式会社(日本、東京)から購入した。粉末形状で40%のコエンザイムQ10を含むAQUAQ10P40(Nissin Pharma.、日本、東京)をコエンザイムQ10として使用した。ビタミンC 1グラム、L-グルタミン酸1.5グラム、システイン500mg、リボフラビン40mg、コハク酸100mg、フマル酸100mg、ナイアシン10mg、およびAQUAQ10P40 250mg(正確な量はコエンザイムQ10 100mg)を混合した。サプリメント混合物は飲む直前に100mlの水に溶解した。
【0082】
4人の健康な成人のボランティア(男性2人、女性2人、年齢26〜48歳)が、アルコール摂取および血液試料採取に同意した。12.5%のエタノールを含む400mlの赤ワインをアルコールとして用いたが、これは正確な量としては50グラムのエタノールと等しい。実験開始から最初の30分間の間に赤ワインを投与した。対照およびサプリメントの調査は別の日に行った。
【0083】
実施例5:血液試料採取、ならびに血中エタノールおよびアルデヒドの測定
血液試料を以下の4回採取した:アルコール投与前(0)、ならびにアルコール投与の30分後、60分後、90分後(30、60、90min)。サプリメントは、投与の20分前に100mlの水と共に経口摂取した。エタノール測定用に全ての血液をヘパリンコーティングチューブに4℃で保存した。アセトアルデヒド測定用に、血液試料を直ちにヘパリンコーティングチューブで1500rpm×10分間遠心分離し、血清を-80℃で凍結させた。エタノールおよびアルデヒドは株式会社ビー・エム・エル(日本、東京、渋谷区)が測定を行った。t2検定によって結果の統計的分析を行い、p<0.5を有意なレベルとして規定した。この血中エタノール実験の結果を以下の表3に示す。
【0084】
(表3)ヒト血中エタノールに対するサプリメントの効果

(示したデータは4つの試料の平均値である。mg/dl)
【0085】
サプリメント(本発明の組成物)はアルコール投与の30分後、60分後、90分後の時点で、対照と比べて血中エタノールレベルを低下させた。対照とサプリメント調査との間で、60分、90分の時点で有意差(p<0.05)が観察された。
【0086】
この血中アセトアルデヒド実験の結果を以下の表4に示す。
(表4)ヒト血中アセトアルデヒドに対するサプリメントの効果

(示したデータは4つの試料の平均値である。μM)
【0087】
サプリメント(本発明の組成物)は、アルコール投与の30分後、60分後、90分後の時点で、対照と比べて低い血中アセトアルデヒドレベルを維持した。対照とサプリメント調査との間で、30分、60分、および90分の時点で有意差(p<0.05)が観察された。
【0088】
実施例6:本発明の組成物とアミノ デ カンパイ(Amino de Kanpai)との比較
アミノ デ カンパイは、2006年3月から日本の市場で販売されている味の素株式会社(日本、東京)の製品であり、1.4グラムのグルタミンおよび1.4グラムのアラニンを含んでいる。味の素株式会社はアミノ デ カンパイをヒト対象用のアルコール緩和組成物として販売している。さらに、組成物はアルコールによって引き起こされる頭痛および不快感を緩和するはずである。この実験において、3人のボランティアが参加したこと、および1回分のアミノ デ カンパイ(3.0グラム)をアルコール投与の20分前に投与したことを除いて、全ての実験条件は上記の実施例4および5の条件と同一である。アミノ デ カンパイを用いた血中エタノールレベルの結果、ならびに対応する対照およびサプリメント(SUP:本発明の組成物)のデータを以下の表5に示す。
【0089】
(表5)本発明の組成物とアミノ デ カンパイの比較

(示したデータは3つの試料の平均値である。mg/dl)
【0090】
アミノ デ カンパイは対照と比べてわずかなエタノール減少の効果を示した。90分の時点でのエタノール減少率は、アミノ デ カンパイでは12.8%、およびSUPでは31%であった。t2検定によると、アミノ デ カンパイと対照との間では有意差はなかった。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】アルコールによって促進されたRPMI4788の転移に対する、本発明の組成物の効果を示す図である。ETOHはエタノールを意味し、SUPは本発明の組成物を意味し、4788はRPMI4788細胞を意味する。
【図2】血中エタノールレベルに対する、本発明の組成物の効果を示す図である。SUPは本発明の組成物を意味する。
【図3】アセトアルデヒドレベルに対する、本発明の組成物の効果を示す図である。SUPは本発明の組成物を意味する。
【図4】アミノ デ カンパイと比較した、血中エタノールレベルに対する本発明の組成物の効果を示す図である。SUPは本発明の組成物を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイアシン、デキストロース、ビタミンC、L-グルタミンおよび/またはL-グルタミン酸、システイン、リボフラビン、コハク酸、フマル酸、ならびにコエンザイムQ10を含む組成物。
【請求項2】
パントテン酸(pantotheic acid)をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
約75.2質量%のデキストロース画分を含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
約7.5質量%のビタミンC画分を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
約11.28質量%のL-グルタミンおよび/またはL-グルタミン酸画分を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
約3.76質量%のシステイン画分を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
約0.3質量%のリボフラビン画分を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
約0.752質量%のコハク酸画分を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
約0.752質量%のフマル酸画分を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
約0.451質量%のコエンザイムQ10画分を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
薬剤としての、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
癌、腫瘍転移、神経障害、神経変性疾患、二日酔い症候群(hangover syndrome)、フラッシング症候群(flushing syndrome)、頭痛、および/またはアルコール中毒の治療および/または予防のための薬物の製造のための、請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項13】
癌が、乳癌、肝癌、結腸直腸癌、肺癌、膵癌、食道癌、および口腔咽頭癌(oropharyngolaryngeal cancer)から選択される、請求項12記載の使用。
【請求項14】
神経変性疾患がアルツハイマー病、特に遅発性アルツハイマー病である、請求項12記載の使用。
【請求項15】
凍結粉末(cryopowder)、液体、特に小型飲料単位、またはシロップとしての剤形で存在する、請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項16】
剤形が特に錠剤の形状もしくは角砂糖型の形状であるか、または用量が小型の錠剤もしくはカプセル剤を複数含む、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
錠剤またはカプセル剤が投薬容器内に存在する、請求項16記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−516639(P2009−516639A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523251(P2008−523251)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007466
【国際公開番号】WO2007/017139
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508028313)ティーマ ファウンデーション (3)
【Fターム(参考)】