説明

アンゲロイル基を有する抗腫瘍化合物

【解決課題】Xanifolia−Yまたは−Y3、−Y1、−Y2、−Y8、−Y9、および−Y10と指定する化合物などの新規の化合物、及びその抗癌活性に関わる。
【解決手段】これらの化合物は、ムクロジ科の植物(ブンカンカなど)または他の天然供給源もしくは天然産物から得ることができる。本発明の化合物を、化学合成することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブンカンカおよびムクロジ科由来の植物から得ることができる新規の抗腫瘍化合物に関する。
本出願は、2005年3月17日に出願された米国特許出願番号11/131,551号の一部継続出願、2005年4月27日に出願された米国特許出願番号11/117,760号の一部継続出願、2005年2月14日に出願された米国特許出願番号10/906,303号の一部継続出願、2004年12月23日に出願された国際出願番号PCT/US04/43465号の一部継続出願(2004年10月8日に出願された国際出願番号PCT/US04/33359号の一部継続出願であり、2003年12月23日に出願された米国特許出願番号60/532,101号および2003年10月9日に出願された60/509,851号の利益を主張し、2004年10月8日に出願された米国特許出願番号60/617,379号、2004年9月27日に出願された60/613,811号、2004年9月7日に出願された60/607,858号、2005年4月27日に出願された60/675,282号、および2005年4月27日に出願された60/675,284号の利益を主張する)である。これらの上記出願の内容は、その全体が、本明細書中で参考として援用される。
【0002】
本出願を通して、種々の刊行物が参照されている。これらの刊行物の開示は、本発明が属する分野の状況をより完全に説明するために、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【背景技術】
【0003】
文冠果(Wenguanguo)は、ムクロジ科の種である。その学名はブンカンカ(Xanthoceras sorbifolia Bunge)である。ブンカンカは、一般的な中国名である。他の名称には、Wenguannguo、Wenguanmu、Wenguanhua、Xilacedeng、Goldenhom、およびYellowhornがある。文冠果は、中国の遼寧、吉林、河北、山東、江蘇、河南、山西、陝西、甘粛、寧夏、および内蒙古に生息する。その種子、葉、および花は食用であり、何世紀にもわたって民間薬または伝統薬として使用されてきた。その枝および幹も、民間薬または伝統薬として使用されている。本発明のより詳細な情報および背景または関連分野については、2004年10月8日に出願された国際PCT出願番号PCT/US04/33359号の1頁25〜38行目および2005年2月14日に出願された米国特許出願番号10/906,303号を参照のこと。これらの先願の内容は、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0004】
Yingjie Chen,Tadahiro Takeda および Yukio Ogiharaは、Chem.Pharm.Bull 33(4)1387−1394(1985)で、ブンカンカについての研究を記載している。Section V.Saponins from the Fruits of Xanthoceras sorbifoliaを参照のこと。4つの新規のサポニン化合物が、ブンカンカの果実から単離された。これらの構造は、ブンカンカサポニンA、B、C、およびDである。Yingjie Chen,Tadahiro Takeda および Yukio Ogiharaは、Chem.Pharm.Bull 33(3)1043−1048(1985)で、ブンカンカに注目した別の研究を記載している。Section IV.Structures of the Miner Prosapogeninを参照のこと。Yingjie Chen,Tadahiro Takeda および Yukio Ogihara.Chem.Pharm.Bull 33(1)127− 134(1985)は、ブンカンカについてのさらに別の研究を記載している。Section III.Minor Prosapogenins Saponins from the Fruits of Xanthoceras sorbifolia Bungeを参照のこと。サポニン化合物に注目した他の研究には、以下が含まれる:Laurence Voutquenne,Cecile Kokougan.Catherine Lavaud,lsabelle Pouny,Marc Litaudon.’Triterpenoid saponins and Acylated prosapogenins from Harpullia austro− caledonica." Phytochemistry 59(2002)825−832.Laurence Voutquenne et al."Haemolytic acylated triterpenoil saponins from Harpullia austro−caledonica" Phytochemistry 66(2005)825−835.Zhong Jaing,Jean−francois Gallard,Marie−Therese Adeline,Vincent Dumontet,Mai Van Tri,Thierry Sevenet,および Mary Pais "Six Triterpennoid Saponins from Maesa laxiflora." J.Nat.Prod.(1999),62,873−876.Young Seo,John M.Berger,Jennine Hoch,Kim M Neddermann,lsia Bursuker,Steven W.Mamber および David G.Kingston."A new Triterpene Saponin from Pittosporum viridiflorum from the Madagascar Rainforest ".J.Nat.Prod.2002,65,65−68.Xiu−Wei Yang,Jing Zhao,Xue−Hui Lui,Chao−Mei Ma,Masao Hattori,および Li He Zhang "Anti− HIV−1 Protease Triterpenoid Saponins from the Seeds of Aesculus chinensis." J.Nat.Prod.(1999),62,1510−1513.Yi Lu,Tatsuya Umeda,Akihito Yagi,Kanzo Sakata,Tirthankar Chaudhuri,D.K.Ganguly,Secion Sarma."Triterpenoid Saponins from the roots of the tea plant(Camellia sinensis var.Assamica)." Phytochchemistry 53(2000)941−946.Sandra Apers,Tess E.De Bruyne,Magda Claeys,Arnold J.Viletinck,Luc A.C.Pieters."New acylated triterpenoid saponins from Maesa laceceolata." Phytochemistry 52(1999)1121−1131.Ilaria D’Acquarica,Maria Cristina,Di Giovanni,Francesco Gasparrini,Domenico Misiti,Claudio D’ Arrigo,Nicolina Fagnano,Decimo Guamieri,Giovanni lacono,Giuseppe Bifulco および Raffaele Riccio."Isolation and structure elucidation of four new triterpenoid estersaponins from fruits of the Pittosporumtobira AIT. 58(2002)10127−10136。上記引例の内容が、本明細書中で参考として援用される。
【0005】
しかし、これらの引例は、腫瘍細胞または癌細胞の成長を阻害することができる本発明の化合物と同一の構造を有するサポニン化合物を開示していない。
【0006】
癌細胞は、以下の2つの性質によって定義される:(1)正常な細胞分裂の制限を無視して再生すること、および(2)通常は他の細胞のために用意してあるテリトリーに侵入し、コロニーを形成すること。癌は、その発達に1つから多数の遺伝子の変異を必要とし、癌が生じる組織型および細胞型によって分類される。上皮細胞から生じる癌を癌腫といい、結合組織または筋細胞から生じる癌を肉腫という。さらに、白血病と呼ばれる癌が存在し、これは、造血細胞に由来する。癌は、中枢神経系の細胞からも発生し得る。
【0007】
卵巣癌は、女性の癌による死亡の5番目の原因であり、婦人科悪性腫瘍由来の主な死因である。米国では、一生涯で卵巣癌を発症する可能性は1.4〜2.5%(すなわち、40〜60人の女性に1人)である。高齢の女性が最もリスクが高い。55歳と74歳との間の女性の半分以上が、卵巣癌で死亡しており、35歳と54歳との間の女性の約1/4が卵巣癌で死亡している。http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/000889.htm.のMedline Plus Encyclopedia on ovarian cancerを参照のこと。
【0008】
卵巣癌は、多数の理由のために死に至る危険性が偏って高い。第1に、症状があいまい且つ非特異的であるので、女性および医師がこの症状の原因をより一般的な容態によるものと考える。癌と診断されるまでに、腫瘍はしばしば卵巣外に拡大している。また、卵巣癌は、悪性細胞が噴出し、子宮、膀胱、腸、および腸壁の内層(網)に頻繁に埋め込まれる。これらの細胞は、癌と疑われる前でさえも新規の腫瘍を形成し始めることが可能である。第2に、卵巣癌のための費用効果のあるスクリーニング試験は存在しないので、50%を超える卵巣癌の女性が、疾患が進行した段階で診断を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、ブンカンカまたは植物から抽出されるか、化学合成または生化学的に合成された、卵巣癌に対して実質的有効性を有する化合物および/または組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のこれらおよび他の目的にしたがって、本発明の簡単な要旨を示す。本発明のいくつかの態様を強調および提起することを目的として以下の要旨でいくらか簡略化および省略することができるが、本発明の範囲を制限しない。当業者が本発明の概念を実施および使用するのに適切な好ましい例示的実施形態の詳細な説明を、後の節に記載する。
【0011】
本発明は、図1に示す構造(Y1、Y2、Y(すなわちY3)、Y8、Y9、Y10)の6つの新規の化合物を提供する。本明細書中で使用される、「構造Y」は、「構造Y3」ともいう。
【化1】

【0012】
これらの化合物の式、化学名、および一般名を、以下の表1に示す。
【0013】
【表1】

【0014】
上記の6つの化合物(Y、Y1、Y2、Y8、Y9、およびY10)は、抗癌効果を有する。これらの化合物は、ヒト卵巣癌細胞および他の癌細胞の成長を阻害する。図2、3、および4を参照のこと。
【0015】
共通サブ構造を、本発明の生物活性化合物(Y、Y1、Y2、Y8、Y9、およびY10)から誘導するか、同定した。本発明の化合物のコンセンサスサブ構造は、隣接炭素上に存在するジアンゲロイル基である。例えば、構造Y、Y2、Y8、およびY10では、ジアンゲロイル基は、トリテルペン骨格の21βおよび22αに存在する。図5を参照のこと。Y1およびY9の構造について、ジアンゲロイル基は、糖環のC3およびC4に存在する。図6を参照のこと。1つの実施形態では、本発明の生物活性化合物(Y、Y1、Y2、Y8、Y9、およびY10)のジアンゲロイル基は、構造の隣接炭素中にトランス位で存在する。図7を参照のこと。別の実施形態では、糖部分または糖鎖は、トリテルペンのC3に存在する。さらなる実施形態では、糖部分または糖鎖は、D−グルコース、D−ガラクトース、L−ラムノース、L−アラビノース、D−キシロース、アルズロン酸、D−グルクロン酸、およびD−ガラクツロン酸からなる群から選択される。
【0016】
本発明の6つの化合物の構造と機能との関係に関する研究により、トリテルペンのC15およびC24に存在する官能基の変更または置換が抗癌活性に影響を与えないことが示された。本発明の化合物(Y、Y1、Y2、Y8、Y9、およびY10)は、腫瘍成長の阻害活性を有する。図2、3、および4を参照のこと。図8、9、10、11、12、および13に記載のように、化合物を、FPLCおよびHPLCを含むクロマトグラフィ精製過程によって調製する。本出願に記載の手順を使用して、化合物Yを精製する。図11Aは、化合物YのNMRピークを示す。図2および図14の化合物は、精製された化合物Yが元の抽出物(IC50=25μg/ml)の10倍の効力(IC50=1.5μg/ml)を有することを示す。化合物Yはまた、卵巣癌に対して高い選択性を有する。図15を参照のこと。
【0017】
精製された化合物Y1、Y2、Y8、Y9、およびY10はまた、ヒト癌細胞に対する阻害活性を示し、卵巣癌に対してより高い効力を示す。図3および4を参照のこと。化合物Ysを含む植物抽出物はまた、ヒト癌細胞に体して阻害活性を示す。例えば、11種のヒト癌細胞株について研究を行い、本発明の植物抽出物は、卵巣癌のより高い効力を示す。異なる癌細胞株の間の本発明の植物抽出物の活性の比較については、図14、15、および16、ならびに表3を参照のこと。本明細書中で使用される「Ys」または「化合物Ys」を使用して、化合物Y(すなわちY3)、Y1、Y2、Y8、Y9、Y10、または本発明のブンカンカ抽出物から得ることができる他の生物活性化合物を示す。
【0018】
本発明は、癌成長を阻害することができるブンカンカの抽出物を提供する。癌には、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、白血球の癌(leukocyte cancer)、および骨肉種が含まれるが、これらに限定されない。癌に対して有効性を示すことが示された本発明の化合物を、ブンカンカと呼ばれる植物から単離するか、化学合成するか、他の生物供給源(ムクロジ科由来の植物が含まれる)から抽出することができる。
【0019】
本発明は、文冠果の皮、葉、枝または幹、種子の殻、根、および樹皮からの生物活性化合物の精製過程を提供する。文冠果の異なる部位由来の本発明の生物活性化合物の抽出を、個別または同時に行うことができる。本発明は、さらに、本発明の生物活性化合物を得る方法を開示する。サポニン化合物に加えて、本発明の抽出物は、ポリサッカリド、タンパク質、グリコシド、フラボノイド、クマリン抽出物、アルカロイド抽出物、有機酸抽出物、タンニン、および他の生物化生化合物も含む。本発明の抽出物から得ることができるサポニン化合物を調査し、癌成長に対する阻害活性を有することが示された。
【0020】
本発明の化合物、抽出物、または組成物は、多数の細胞経路(細胞の受容体または成分(Gタンパク質受容体、Fasタンパク質、受容体チロシンキナーゼ、マイトジェン、マイトジェン受容体など)が含まれる)を調節することができる。本発明の化合物を、ブンカンカと呼ばれる植物から単離するか、化学合成するか、他の生物供給源(ムクロジ科由来の植物が含まれる)から抽出することができる。
【0021】
本発明は、ブンカンカから得ることができ、且つ癌成長を阻害することができる化合物(構造Y、Y1、Y2、Y8、Y9、およびY10の化合物が含まれる)を提供する。1つの実施形態では、癌には、膀胱癌、子宮頸癌、前立腺癌、肺癌、乳癌、白血球の癌、結腸癌、肝臓癌、骨肉種、脳腫瘍、および卵巣癌が含まれるが、これらに限定されない。本発明は、化合物の炭素21および炭素22に側鎖を含むオレアネントリテルペノイドサポニン化合物であって、側鎖がアンゲロイル基を含む、化合物を提供する。1つの実施形態では、化合物は、1つまたは複数の糖を含み、糖のC3およびC4がアンゲロイル基とアシル化している。本発明は、トリテルペン骨格およびジアンゲロイル基を含むトリテルペノイドサポニン化合物であって、1つのアンゲロイル基がトリテルペン骨格の21βに結合し、1つのアンゲロイル基がトリテルペン骨格の22αに結合し、ジアンゲロイル基の存在によって抗癌活性が得られる、化合物を提供する。本発明は、トリテルペン骨格および糖部分(すなわち、ラムノース)を含むトリテルペノイドサポニン化合物であって、糖部分(すなわち、ラムノース)がトリテルペン骨格に結合し、糖部分(すなわち、ラムノース)がジアンゲロイル基をさらに含み、ジアンゲロイル基の存在によって抗癌活性が得られる、化合物を提供する。本発明は、トリテルペン骨格を含むトリテルペノイドサポニン化合物であって、トリテルペン骨格が、21β位または22α位のいずれかまたは21β位および22α位の両方で糖部分または糖鎖とアシル化し、糖部分または糖鎖中の少なくとも1つの糖が糖のC3位およびC4位に結合したアンゲロイル基を含む、化合物を提供する。1つの実施形態では、2つのアンゲロイル基がトランス位で構造上に存在し、ジアンゲロイル基の存在によって抗癌活性が得られる。1つの実施形態では、2つのアンゲロイル基がトランス位で構造上の隣接炭素中に存在し、ジアンゲロイル基の存在によって抗癌活性が得られる。本発明は、上記化合物の塩を提供する。本発明は、有効量の上記化合物および薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0022】
本発明は、適量の有機溶媒でブンカンカを適切な時間抽出して抽出物を得る工程と、抽出物中の生物活性化合物を同定する工程と、FPLCを使用して抽出物中の生物活性化合物を精製して生物活性化合物画分を得る工程と、分離HPLCを使用して生物活性成分の画分から精製された各生物活性化合物を単離する工程とを含む、ブンカンカから化合物を単離する方法を提供する。本発明は、プロトンNMR、カーボンNMR、異核間多量子相関(Heteronuclear Multiple Quantum Correlation)(HMQC)、異核間多数結合相関(Heteronuclear Multiple Bond Correlation)(HMBC)、NOESY、およびCOSYの二次元NMR由来のNMRスペクトルデータ、ならびにMALDI−TOFおよびESI−MS由来のマススペクトルデータによって検証された構造を有する化合物を提供する。
【0023】
本発明は、癌に有効な化合物およびその誘導体を提供する。本発明の化合物または組成物は、種々の細胞経路(成分または受容体(Gタンパク質受容体、Fasタンパク質、チロシンキナーゼの受容体、マイトジェン、マイトジェン受容体、TGFβ−smad、FGF、FGF−βおよびTGF−α、ras−GTPアーゼ−MAPキナーゼ、jun−fos、Src−fyn、Jak−Jnk−STAT、BMP、Wnt、またはmyc細胞増殖など)が含まれるが、これらに限定されない)を調節することができる。ブンカンカ由来の本発明の化合物および組成物はまた、細胞死に関連する成分および受容体を調節することができ、細胞死のプログラムまたは経路を(再)活性化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、式(1):

【化2】

(式中、R1はアンゲロイル基を示し、R2はアンゲロイル基を示し、R3は、OHまたはHを示し、R4は、CH3またはCH2OHを示し、R7はH示し、R5はD−グルコースまたはD−ガラクトースを示し、R6はL−アラビノースを示す)の化合物、またはその塩、エステル、もしくは誘導体から選択される化合物を提供する。
【0025】
本発明は、式(2):

【化3】

(式中、R1はアンゲロイル基を示し、R2はアンゲロイル基を示し、R3は、AcまたはHを示し、R4は、HまたはAcを示し、R5は、CH3またはCH2OHを示す)の化合物、またはその塩、エステル、もしくは誘導体から選択される化合物を提供する。
【0026】
本発明は、式(3):

【化4】

(式中、R1はアンゲロイル基を示し、R2はアンゲロイル基を示し、R3は、OHまたはHを示し、R4は、CH3、CH2OH、アルキル基、またはこれらの誘導体示し、R6は、AcまたはHを示し、Rは糖部分を示し、ここで、糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、D−グルコース、D−ガラクトース、L−ラムノース、L−アラビノース、D−キシロース、アルズロン酸、D−グルクロン酸、またはD−ガラクツロン酸)またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む)の化合物、またはその塩、エステル、もしくは誘導体から選択される化合物を提供する。1つの実施形態では、R5は、糖部分の機能を果たすことができる化合物を示す。別の実施形態では、糖部分は、L−アラビノース、D−グルコース、D−ガラクトース、またはこれらの組み合わせを含む。
【0027】
本発明は、式(3A):

【化5】

(式中、R1はアンゲロイル基を示し、R2はアンゲロイル基を示し、R3は、OHまたはHを示し、化合物の炭素23位、24位、25位、26位、27位、29位、30位は、独立して、CH3、CH2OH、CHO、COOH、アルキル基、アセチル基、または誘導体を含み、R6は、AcまたはHを示し、R5は糖部分を示し、ここで、糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、D−グルコース、D−ガラクトース、L−ラムノース、L−アラビノース、D−キシロース、アルズロン酸、D−グルクロン酸、またはD−ガラクツロン酸)またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む)の化合物、またはその塩、エステル、もしくは誘導体から選択される化合物を提供する。1つの実施形態では、R5は、糖部分の機能を果たすことができる化合物を示す。別の実施形態では、糖部分は、L−アラビノース、D−グルコース、および/もしくはD−ガラクトース、またはこれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態では、R1、R2、R6のうちの任意の2つはアンゲロイル基であるか、R1、R2、R6のうちの任意の1つは、糖部分に結合しており、ここで、アンゲロイル基は、モノサッカリドの隣接炭素に結合している。さらなる実施形態では、R1、R2、およびR6は、アンゲロイル基、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、2〜5個の炭素を含む酸、またはこれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態では、R1、R2、またはR6のうちの少なくとも1つは、糖部分(すなわち、ラムノース)に結合し、ここで、糖部分(すなわち、ラムノース)は、2つのアンゲロイル基、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、2〜5個の炭素を含む酸、またはこれらの組み合わせを含む。
【0028】
本発明は、式(4):

【化6】

(式中、
【化7】

S1〜S4は、S1、S2、S3、またはS4であり、R1はアンゲロイル基を示し、R2はアンゲロイル基を示し、R3は、AcまたはHを示し、R4は、HまたはOHを示し、R6は、AcまたはHを示し、R7は、CH3、CH2OH、アルキル基、またはこれらの誘導体を示し、R5は、D−グルコース、D−ガラクトース、L−ラムノース、L−アラビノース、D−キシロース、アルズロン酸、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸、およびこれらの誘導体からなる群から選択される糖部分または糖鎖を示す)またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む)の化合物、またはその塩、エステル、もしくは誘導体から選択される化合物を提供する。1つの実施形態では、R1はアンゲロイル基を示し、R2はアンゲロイル基を示し、R3は、AcまたはOHを示し、R4は、HまたはOHを示し、化合物の炭素23位、24位、25位、26位、27位、29位、30位は、独立して、CH3、CH2OH、CHO、COOH、アルキル基、アセチル基、または誘導体を含み、R5は糖部分を示し、ここで、糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、D−グルコース、D−ガラクトース、L−ラムノース、L−アラビノース、D−キシロース、アルズロン酸、D−グルクロン酸、またはD−ガラクツロン酸)またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む。1つの実施形態では、R5は、糖部分の機能を果たすことができる化合物を示す。別の実施形態では、R1、R2、R3、R6は、アンゲロイル基、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、2〜5個の炭素を含む酸を含む。さらなる実施形態では、糖部分は、L−アラビノース、D−グルコース、もしくは/およびD−ガラクトース、またはこれらの組み合わせを含む。
【0029】
本発明は、式(5):

【化8】

(式中、R1およびR2はアンゲロイル基を示し、R3は、HまたはOHを示し、R4はCH2OR6を示し、ここで、R6はHであり、R5は、少なくとも1つの糖部分またはその誘導体を示す)の化合物、またはその塩、エステル、もしくは誘導体から選択される化合物を提供する。1つの実施形態では、R1およびR2はアンゲロイル基を示し、R3は、HまたはOHを示し、R4はCOOR6を示し、ここで、R6はHであり、R5は、少なくとも1つの糖部分またはその誘導体を示す。1つの実施形態では、R1はHを示し、R2はアンゲロイル基を示し、R3は、HまたはOHを示し、R4はCH2OR6またはCOOR6を示し、ここで、R6はアンゲロイル基であり、R5は、少なくとも1つの糖部分またはその誘導体を示す。別の実施形態では、R1、R2、およびR6のうちの少なくとも2つは、アンゲロイル基または5個の炭素を含む酸を含み、R3は、HまたはOHを示し、R4はCH2OR6またはCOOR6を示し、ここで、R6はアンゲロイル基であり、R5は、少なくとも1つの糖部分またはその誘導体を示す。さらなる実施形態では、R1またはR2のうちの少なくとも1つのアンゲロイルは、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、または2〜5個の炭素を含む酸に置換されており、R3は、HまたはOHを示し、R4はCH2OR6またはCOOR6を示し、ここで、R6はアンゲロイル基であり、R5は、少なくとも1つの糖部分またはその誘導体を示す。さらなる実施形態では、R1、R2、およびR6のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つのアンゲロイルは、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、2〜5個の炭素を含む酸、またはこれらの組み合わせを含む糖部分(すなわち、ラムノース)である。さらなる実施形態では、化合物の炭素23位、24位、25位、26位、29位、30位は、独立して、CH3、CH2OH、CHO、COOH、アルキル基、アセチル基、またはこれらの誘導体を含む。さらなる実施形態では、グルコース、ラクトース、またはアラビノースを含む糖部分を示す。さらなる実施形態では、R5は糖部分を示し、ここで、糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、D−グルコース、D−ガラクトース、L−ラムノース、L−アラビノース、D−キシロース、アルズロン酸、D−グルクロン酸、またはD−ガラクツロン酸)またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む。1つの実施形態では、R5は、糖部分の機能を果たすことができる化合物を示す。さらなる実施形態では、R5はHを示す。さらなる実施形態では、R4は、H、OH、またはCH3を示す。
【0030】
上記化合物の任意の基の置換、欠失、および/または付加は、本出願の教示に基づいて、当業者に明らかであろう。さらなる実施形態では、本発明の化合物中の基の置換、欠失、および/または付加は、化合物の生物機能に実質的に影響を与えない。さらなる実施形態では、アンゲロイル基は、構造上にトランス位で存在する。
【0031】
本発明は、以下の構造:

【化9】

(式中、R1はアンゲロイル基を示し、R2はアンゲロイル基を示す)を含む化合物を提供する。1つの実施形態では、ジアンゲロイル基は、トランス位でアシル化されている。別の実施形態では、ジアンゲロイル基は、隣接炭素上にトランス位でアシル化されている。さらなる実施形態では、ジアンゲロイル基は、構造中でアシル化されている。さらなる実施形態では、R1、R2は、アンゲロイル基、チグロイル基、セネシオイル基、2〜5個の炭素を含む酸、またはこれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態では、化合物は、少なくとも2つのアンゲロイル基、チグロイル基、セネシオイル基、2〜5個の炭素を含む酸、またはこれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態では、化合物は、糖部分をさらに含む。さらなる実施形態では、糖部分は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、またはこれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態では、糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、D−グルコース、D−ガラクトース、L−ラムノース、L−アラビノース、D−キシロース、アルズロン酸、D−グルクロン酸、またはD−ガラクツロン酸)またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む。さらなる実施形態では、構造A、B、またはCは、糖部分の機能を果たすことができる化合物を含む。上記化合物の任意の基の置換、欠失、および/または付加は、本出願の教示に基づいて、当業者に明らかであろう。さらなる実施形態では、本発明の化合物中の基の置換、欠失、および/または付加は、化合物の生物機能に実質的に影響を与えない。さらなる実施形態では、アンゲロイル基は、構造上にトランス位で存在する。
【0032】
本発明は、側鎖がトランス位で隣接炭素に存在する、アンゲロイル基を含む少なくとも2つの側鎖を含む化合物を含む癌の治療またはウイルスの阻害のための組成物を提供する。1つの実施形態では、側鎖は、シス位で代わりの炭素に存在する。1つの実施形態では、側鎖は、トランス位で代わりの炭素に存在する。1つの実施形態では、側鎖は、非隣接炭素中にシス位またはトランス位で存在する。1つの実施形態では、側鎖は、糖部分の機能を果たすことができる官能基を含む。
【0033】
本発明は、上記化合物を含む腫瘍細胞成長を阻害するための組成物を提供する。1つの実施形態では、組成物は、適切なキャリアを含む。別の実施形態では、組成物は、薬学的に適切なキャリアを含む。本発明は、被験体に有効量の上記組成物を投与する工程を含む、被験体の卵巣癌を治療する方法を提供する。
【0034】
本発明は、ブンカンカまたはムクロジ科由来の植物から化合物を単離する方法であって、(a)ブンカンカまたは植物粉末を有機溶媒で抽出して有機抽出物を得る工程と、(b)有機抽出物を回収する工程と、(c)有機抽出物を還流して第2の抽出物を得る工程と、(d)第2の抽出物から有機溶媒を除去する工程と、(e)第2の抽出物を乾燥および滅菌して粗抽出粉末を得る工程と、(f)シリカゲル、C18、または他の等価な固相材料を使用したHPLCおよびFPLCクロマトグラフィを使用して、粗抽出粉末を成分に分画する工程と、(g)207nmまたは254nmの吸収波長をモニタリングする工程と、(h)粗抽出粉末の生物活性成分を同定する工程と、(i)FPLCを使用して粗抽出粉末の1つまたは複数の生物活性成分を精製して、1つまたは複数の生物活性成分の画分を得る工程と、(j)分離HPLCを使用して生物活性成分の所望の画分を単離する工程とを含む方法を提供する。
【0035】
化合物Y(すなわちY3)
本発明は、式C578823および化学名3−O−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,15α,16α,21β,22α,28−ヘキサヒドロキシオレアン−12−エン(Xanifolia−Yとしても公知)を有する以下の構造を含む化合物(すなわち、図17を参照のこと)を提供する。本化合物を、ブンカンカまたはムクロジ科由来の植物から得ることができる。
【化10】

【0036】
本化合物は、アグリコンのC−3に結合したトリサッカリド鎖ならびにC−21およびC−22でアシル化した2つのアンゲロイル基を含むオレアネントリテルペノイドサポニンに属する。本化合物は、抗癌活性を有する。本構造の配置は、スペクトルデータ(すなわち、H−NMR、二次元NMR(HMBC、HMQC)、およびMS(MALDI−TOF、EMS))によって支持されている。したがって、本化合物は、図18〜22または表5.1に示す固有性を有する。
【0037】
化合物Y1
本発明は、式C6510027および化学名3−O−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−(3,4−ジアンゲロイル)−α−L−ラムノピラノシル−22−O−アセチル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エン(Xanifolia−Y1としても公知)を有する以下の構造を含む別の化合物(すなわち、図23を参照のこと)を提供する。
【化11】

【0038】
本化合物は、骨格のC−3にトリサッカリド鎖およびC−21にモノサッカリド部分を含み、2つのアンゲロイル基がC−3位およびC−4位でアシル化されている、ビスデスモジディック(bisdesmosidic)ポリヒドロキシオレアネントリテルペノイドサポニンである。本化合物は、抗癌活性を有する。本構造の配置は、スペクトルデータ(すなわち、H−NMR、二次元NMR(HMBC、HMQC、COSY)、およびMS(MALDI−TOF))によって支持されている。したがって、本化合物は、図24〜27に示す固有性を有する。
【0039】
化合物Y2
本発明は、式C578824および化学名3−O−[β−D−グルコピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,15α,16α,21β,22α,24β,28−ヘプタヒドロキシオレアン−12−エン(Xanifolia−Y2としても公知)を有する以下の構造を含む第3の化合物(すなわち、図28を参照のこと)を提供する。
【化12】

【0040】
本化合物(Y2)は、トリテルペン、糖部分、および骨格に結合したアンゲロイル基を含むサポニンに属する。アンゲロイル基は、C21位およびC22位で骨格に結合している。本化合物は、抗癌活性を有する。本構造の配置は、スペクトルデータ(すなわち、H−NMR、C−NMR、二次元NMR(HMBC、HMQC、COSY)、およびMS(MALDI−TOF))によって支持されている。したがって、本化合物は、図29〜34に示す固有性を有する。
【0041】
化合物Y8
本発明は、第4の活性化合物Y8を提供し、構造を、一次元NMR、二次元NMR、およびMS分析によって測定した。化合物は、式C578723および化学名3−O−[β−グルコピラノシル(1→2)]−α−アラビノフラノシル(1→3)−β−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,16α,21β,22α,24β,28−ヘキサヒドロキシオレアン−12−エン(Xanifolia−Y8としても公知)を有する以下の構造を含む。
【化13】

【0042】
本構造の配置は、スペクトルデータ(すなわち、H−NMR、C13−NMR、および二次元NMR(HMQC)によって支持されている。したがって、本化合物は、図36〜38に示す固有性を有する。
【0043】
化合物Y9
本発明は、第5の活性化合物Y9を提供し、構造を、一次元NMR、二次元NMR、およびMS分析によって測定した。化合物は、化学名3−O−[β−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−アラビノフラノシル(1→3)−β−グルクロノピラノシル−21−O−(3,4−ジアンゲロイル)−α−ラムノピラノシル−28−O−アセチル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エン(Xanifolia−Y9としても公知)を有する以下の構造(すなわち、図39を参照のこと)を含む。
【化14】

【0044】
本構造の配置は、スペクトルデータ(すなわち、H−NMR、二次元NMR(HMQCおよびHMBC)によって支持されている。したがって、本化合物は、図40〜42に示す固有性を有する。
【0045】
化合物Y10
本発明は、第6の活性化合物Y10を提供し、構造を、一次元NMR、二次元NMR、およびMS分析によって測定した。化合物は、式C578722および化学名3−O−[β−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−アラビノフラノシル(1→3)−β−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エン(Xanifolia−Y10としても公知)を有する以下の構造(すなわち、図43を参照のこと)を含む。
【化15】

【0046】
本構造の配置は、スペクトルデータ(すなわち、H−NMR、C13−NMR、および二次元NMR(HMQC)によって支持されている。したがって、本化合物は、図44〜46に示す固有性を有する。
【0047】
本発明は、トリテルペンまたはサポゲニンがアンゲロイル基とC21および22でアシル化している、糖部分およびトリテルペンまたはサポゲニンを含む化合物を提供する。1つの実施形態では、トリテルペンまたはサポゲニンは、2つのアンゲロイル基を含む糖部分と炭素21および/または22でアシル化されている。別の実施形態では、化合物は、1つまたは複数の糖を含む。別の実施形態では、化合物は、少なくとも2つのアンゲロイル基を含む。さらなる実施形態では、糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、D−グルコース、D−ガラクトース、L−ラムノース、L−アラビノース、D−キシロース、アルズロン酸、D−グルクロン酸、またはD−ガラクツロン酸)またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む。さらなる実施形態では、糖部分の機能を果たすことができる化合物は、トリテルペンまたはサポゲニンに結合している。さらなる実施形態では、アンゲロイル基を、チグロイル基、セネシオイル基、2〜5個の炭素を含む酸、またはこれらの組み合わせと置換することができる。上記化合物の任意の基の置換、欠失、および/または付加は、本出願の教示に基づいて、当業者に明らかであろう。さらなる実施形態では、本発明の化合物中の基の置換、欠失、および/または付加は、化合物の生物機能に実質的に影響を与えない。さらなる実施形態では、アンゲロイル基は、構造上にトランス位で存在する。さらなる実施形態では、アンゲロイル基は、構造上に隣接トランス位で存在する。
【0048】
抗癌活性を有するブンカンカから得た抽出物を開示する。本発明の抽出物の抗癌活性を測定するための実験は、11種のヒト器官に由来するヒト細胞株(HTB−9(膀胱)、HeLa−S3(頸部)、DU145(前立腺)、H460(肺)、MCF−7(乳房)、K562(白血球)、HCT116(結腸)、HepG2(肝臓)、U2OS(骨)、T98G(脳)、およびOVCAR−3(卵巣))を使用する。本発明の抽出物に対する11種の細胞株の反応を、以下の4つの群に分類することができる:(A)最高の感受性:卵巣(図14を参照のこと)、(B)感受性:膀胱、骨、(C)半感受性:前立腺、白血球、肝臓、乳房、および脳、(D)最も低い感受性:結腸、子宮頸管、および肺。図16A、B、Cを参照のこと。各IC50値を、表3.1に列挙する。
【0049】
【表2】

【0050】
ブンカンカの活性化合物を同定するために、ブンカンカの抽出物を、FPLC(中高圧液体クロマトグラフィ)およびHPLC(高速液体クロマトグラフィ)によって分離した。FPLC手順(すなわち、例えば、図9を参照のこと)およびHPLC(すなわち、図8を参照のこと)によって複数の画分が得られた。図8に示すように、HPLCによる画分の分析により、抽出物が26の同定可能な画分(a〜zと名付けた)を含むことが示された。これらの画分の抗癌活性を、MTTアッセイによって測定した。
【0051】
HPLC(すなわち、例えば、図8を参照のこと)における画分Yに対応するFPLC画分5962(すなわち、例えば、図10を参照のこと)は、抗癌活性を有する。化合物Yを、画分Yから精製することができる。画分5962を、4つの成分にさらに分離し、これらを、Y1〜Y4と名付けた。図11を参照のこと。化合物Y1〜Y4を、画分5962から精製することができる。画分6365を、5〜6つの成分にさらに分離し、これらはY5〜Y10と名付けた。図12を参照のこと。化合物Y5〜Y10を、画分6365から精製することができる。化合物Y(すなわち、Y3)、Y1、およびY2は、強い抗腫瘍活性を示し(すなわち、例えば、図2〜3を参照のこと)、したがって、これらを単離および精製した。同様に、化合物Y8、Y9、およびY10も、強い抗腫瘍活性を示し(すなわち、例えば、図を参照のこと)、したがって、これらを単離および精製した。図13を参照のこと。したがって、これらの活性化合物(すなわち、Y、Y1、Y2、Y8、Y9、およびY10)の構造およびその使用は、本発明の主題である。
【0052】
卵巣癌細胞に体する本発明の化合物の阻害効果を、MTTアッセイを使用して評価した。化合物Yは、図14に示す元の粗抽出物(IC50=20μg/ml)の10倍の効力(IC50=1.5μg/ml)(すなわち、例えば、図2を参照のこと)を示す。異なる細胞株に対する化合物Yの選択性を試験し、化合物Yが、子宮頸癌細胞と比較して、卵巣癌細胞ではるかに高い効力を有することが見出された。図15を参照のこと。
【0053】
本発明は、植物、ハーブ、または植物抽出物から生物活性化合物を同定および単離する方法を提供する。1つの実施形態では、抽出物には、ブンカンカまたはムクロジ科由来の植物の抽出物が含まれる。本発明は、ブンカンカまたはムクロジ科由来の植物から単離した6つの生物活性化合物の化学構造を提供する。本発明の化合物の構造を、図1に示す。本発明は、構造配置を補助するためのスペクトルデータ(H−NMR、C−13−NMR、二次元NMR(HMBC、HMQC、COSY、TOCSY)、およびMS(MALDI−TOF、EMS−MS))を提供する。
【0054】
本発明は、画分Yから精製された生物活性化合物由来のコンセンサスサブ構造または官能基を提供する。化合物(Y(すなわち、Y3)、Y1、Y2、Y8、Y9、およびY10など)を、画分Yから単離し、これらを集合的に「Ys」といい、その一般名は、Xanifolia−Ysである。これらの化合物のコンセンサスサブ構造または官能基は、隣接炭素上に存在するジアンゲロイル基である。例えば、化合物Y、Y2、Y8、およびY10では、ジアンゲロイル基は、トリテルペン骨格の21βおよび22αに存在する。図5を参照のこと。化合物Y1およびY9では、ジアンゲロイル基は、糖環のC3およびC4に存在する。図6を参照のこと。したがって、本発明の活性化合物のジアンゲロイル基は、互いにトランス位で構造上に存在する。図7を参照のこと。本発明の化合物の生物活性官能基が構造中に存在する隣接炭素とトランスで結合したジアンゲロイル基であることが示された。図7を参照のこと。本発明は、上記化合物の塩を提供する。
【0055】
本発明は、上記化合物および適切なキャリアを含む組成物を提供する。本発明は、有効量の上記化合物および薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。本発明は、抗卵巣癌薬または上記組成物を含む組成物を提供する。本発明は、癌成長に有効な組成物を提供する。癌には、膀胱癌、骨肉腫、および卵巣癌が含まれるが、これらに限定されない。本発明は、皮膚癌およびKB癌成長に有効な組成物を提供する。本発明は、腫瘍成長を阻害することができる上記化合物およびその塩、エステル、誘導体、または代謝産物を含む組成物を提供する。本発明は、上記化合物およびその塩、エステル、誘導体、または代謝産物を含む、ウイルスの成長および/または活性を阻害するための組成物を提供する。
【0056】
本発明は、溶血活性能力のある上記化合物およびその塩、エステル、誘導体、または代謝産物を含む組成物を提供する。図73を参照のこと。2つのアンゲロイル基を有する本発明の化合物が1つのアンゲロイル基を含む化合物より強い抗癌活性を有することを示した。図65、2、3を参照のこと。2つのアンゲロイル基を有する化合物は、1つのアンゲロイル基を含む化合物より強い溶血活性を有する。図73Aを参照のこと。化合物は、アンゲロイル基が除去された場合、溶血活性が喪失する図73Bを参照のこと。本発明の化合物またはその誘導体を、化学合成によって得ることができるか、天然供給源または生物供給源(ムクロジ科由来の植物が含まれる)から単離する。2つのアンゲロイル基を有するサポニン化合物が、溶血活性に関連する疾患の治療についてエシンよりも効力が高いことが示された。図73Aを参照のこと。
【0057】
本発明は、慢性静脈不全、末梢浮腫、抗抗止血、慢性静脈疾患、静脈瘤疾患、静脈瘤性症候群、静脈鬱滞、去痰薬、脳−器官痙攣、脳循環障害、脳浮腫、精神病、月経困難症、会陰切開術、血液様疾患、末梢浮腫形成、または術後腫脹の治療、脚の疼痛症状、そう痒、脚の堆積の低下(lower leg volume)の軽減、血栓症、血栓性静脈炎の軽減、および胃潰瘍の防止(抗痙攣薬)のための組成物を提供する。本発明は、抗MS、抗動脈瘤、抗喘息薬、抗運動緩慢薬、抗毛細管出血薬、抗頭痛薬、抗頸腕薬、抗子癇薬、抗浮腫薬、抗脳炎薬、抗喉頭蓋薬、抗滲出薬、抗インフルエンザ薬、抗骨折薬、抗歯肉炎薬、抗血腫薬、抗疱疹薬、抗ヒスタミン薬、抗関節炎薬、抗髄膜炎薬、酸化防止剤、抗歯周病薬、抗静脈炎薬、抗胸膜炎薬、抗嗄声薬、抗鼻炎薬、抗扁桃炎薬、抗潰瘍薬、抗静脈瘤薬、抗めまい薬、制癌薬、糖質ステロイド生成薬、利尿薬、殺真菌薬、溶血薬、ヒアルロニダーゼインヒビター、リンパ生成促進薬、ナトリウム利尿薬、殺虫剤、脳下垂体賦活薬、胸腺溶解薬、血管保護薬、血管緊張薬のための組成物を提供する。
【0058】
ブンカンカ抽出物の画分Rおよび画分Oから他の化合物も単離し、これらをそれぞれR1およびR54と名付けた。両化合物は、トリテルペノイドサポニンである。両化合物は、トリテルペン骨格中または糖環中にジアンゲロイル結合を欠く。予備実験により、R1およびO54は、抗癌活性を持たないことが示された。
【0059】
化合物R1
化合物R1の構造を、以下および図47に示す。化合物R1は、化学式C6510629および化学名3−O−[アンゲロイル−(1→3)−β−D−グルコピラノシル(1→6)]−β−D−グルコピラノシル−28−O−[α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−β−D−グルクロノピラノシル−(1→6)−β−D−グルクロノピラノシル−3β,21β,22α,28−テトラヒドロキシオレアン−12−エン(Xanifolia−R1としても公知)を有する。
【化16】

【0060】
本構造の配置は、スペクトルデータ(すなわち、H−NMR、C13−NMR、二次元NMR(HMBC、HMQC、COSY)およびMS(MALDI−TOF、EMS))によって支持されている。したがって、本化合物は、図48〜52に示す固有性を有する。
【0061】
化合物O54
本発明は、ブンカンカ抽出物から単離した化合物O54を提供する。O54の構造を測定し、式C6010028を有する。化合物O54の構造を、以下に示す。図53も参照のこと。
【化17】

【0062】
化合物O54の化学名は、3−O−β−D−グルコピラノシル(1→6)]−β−D−グルコピラノシル−28−O−[α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−β−D−グルクロノピラノシル−(1→6)−β−D−グルクロノピラノシル−3β,21β,22α,28−テトラヒドロキシオレアン−12−エン(Xanifolia−O54としても公知)である。本構造の配置は、スペクトルデータ(すなわち、1H−NMR、二次元NMR(HMBC、HMQC)によって支持されている。したがって、本化合物は、図54〜56に示す固有性を有する。
【0063】
化合物Ys、R1、およびO54に加えて、ブンカンカ抽出物の画分Xから他の化合物も単離し、これを本明細書中でXと名付けた。その構造を測定した。化合物は、トリテルペンのC22に結合したアンゲロイル基を有するトリテルペノイドサポニンである。
【0064】
化合物X
本発明は、ブンカンカ抽出物から単離した、「化合物X」と名付けた活性化合物を提供する。化合物Xは、アグリコンのC−3に結合したトリサッカリド鎖およびC−22でアシル化した1つのアンゲロイル基を含むオレアネントリテルペノイドサポニンである。化合物Xの式は、C589222であり、化合物Xの化学名は、3−O−{[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−[α−L−アラビノフラノシル(1→3)]−β−D−グルクロノピラノシドブチルエステル}−21−O−アセチル−22−O−アンゲロイル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エンである。化合物Xの化学構造を、以下に示す。図70も参照のこと。
【化18】

【0065】
本発明は、夜尿症および頻尿の治療、中枢神経系機能(熟睡から目を覚ますか膀胱を弛緩させ、それにより、膀胱がより多くの尿を貯蔵することができるようにするための膀胱のシグナル伝達が含まれる)の改善のための本発明の化合物を含む組成物を提供する。本発明の化合物を使用して、老化、ストレス、緊張症、活動亢進、不安定、反射亢進、および無抑制膀胱による排尿筋の緊張をほぐすことができる。別の実施形態では、アセチルコリン(Ach)によって誘導される萎縮膀胱組織の弛緩のために化合物を使用することができる。ブンカンカ抽出物から同定および単離された化合物を、尿の体積を減少させる抗利尿ホルモン(ADH)を調節するためのアセチルコリンエステラーゼ(AChEインヒビター)および抗炎症薬として使用することができる。
【0066】
本発明の化合物を、膀胱成長の促進、熟睡の抑制、就寝中の被験体の敏捷性の増加、抗利尿ホルモン(ADH)、およびその受容体の放出、破壊、および取り込みの調整、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)およびその受容体の分泌、破壊、および取り込みの調整、5−ヒドロキシトリプタミンおよびその受容体の放出、破壊、および取り込みの調整、アセチルコリン(Ach)およびその受容体の放出、破壊、および取り込みの調整、アドレナリン(AD)およびその受容体の放出、破壊、および取り込みの調整、ドーパミン(DA)およびその受容体の放出、破壊、および取り込みの調整、ノルエピネフリンおよびその受容体の放出、破壊、および取り込みの調整、睡眠麻酔の防止、神経ペプチドおよびその受容体の形成、放出、破壊、および活性の調整のために使用することができる。
【0067】
本発明は、癌の阻害、ウイルスの阻害、脳の老化の防止、記憶の改善、脳機能の改善、夜尿症、頻尿、尿失禁、認知症、アルツハイマー病、自閉症、脳外傷、パーキンソン病、または脳機能障害に起因する他の疾患の治癒、関節炎、リウマチ、循環不良、動脈硬化、レイノー症候群、狭心症、心疾患、冠状動脈性心疾患、頭痛、めまい、腎臓障害、脳血管障害の治療、NF−κB活性化の阻害、脳浮腫、重症急性呼吸器症候群、ウイルス性呼吸器疾患、慢性静脈不全、高血圧、慢性静脈疾患、抗浮腫疾患、抗炎症性疾患、血液様疾患、末梢浮腫形成、静脈瘤疾患、インフルエンザ、外傷後浮腫、および術後腫脹の治療、エタノール吸収の阻害、血糖値の低下、アドレノコルチコトロピンおよびコルチコステロンレベルの調節、性交不能症、早漏、または糖尿病の治療のための本発明の化合物を含む組成物を提供する。2005年2月14日に出願された米国特許出願番号10/906,303号、2004年12月23日に出願された国際出願番号PCT/US04/43465号、2004年10月8日に出願された国際出願番号PCT/US04/33359号、および2005年5月17日に出願された米国特許出願番号11/131,551号(その内容が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0068】
本発明は、膀胱細胞の酵素活性を調節することができる組成物を提供する。本発明のブンカンカ由来の化合物および/または組成物は、細胞の種々の成分または受容体を調節し、細胞成長過程を強化することができる。ブンカンカ由来の化合物および/または組成物は、細胞酵素の活性を調節する。2005年4月27日に出願された60/675,284号(その内容が、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。本発明は、細胞増殖に関与する経路を調節することができるブンカンカ、またはその誘導体もしくは代謝産物から単離した化合物を提供する。2005年2月14日に出願された米国特許出願番号10/906,303号、2004年12月23日に出願された国際出願番号PCT/US04/43465号、2004年10月8日に出願された国際出願番号PCT/US04/33359号(その内容が、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0069】
本発明は、植物から精製および単離されたトリテルペノイドサポニンの方法および使用を提供する。本発明は、腫瘍成長の阻害のためのトリテルペノイドサポニンまたはその誘導体を含む組成物を提供する。本発明の化合物は、そのサポンゲニン(sapongenin)の炭素21および22に結合したアンゲロイル基、チグロイル基、セネシオイル基、またはこれらの組み合わせを含む。1つの実施形態では、化合物は、そのサポンゲニンの炭素21および22に結合する糖環に結合した任意の2つのアンゲロイル基、チグロイル基、セネシオイル基、またはこれらの組み合わせを含み得る。生物活性化合物を、天然植物(ムクロジ科植物(140〜150の属の約1400〜2000種)が含まれる)から単離することができる。2005年4月27日に出願された60/675,282号を参照のこと。
【0070】
まとめ
本発明は、ブンカンカの植物抽出物から生物活性化合物を同定および精製する方法を提供する。これまで8つの生物活性化合物を同定および精製し、そのうちの6つが抗癌活性を有することが示された。これらの化合物を、集合的に、トリテルペノイドサポニンを呼ぶ。コンセンサスサブ構造を、本発明の生物活性化合物の構造から同定するか誘導した。生物活性化合物のコンセンサスサブ構造または活性官能基は、隣接炭素上に存在するジアンゲロイル基である。アンゲロイル基は、トリテルペン骨格の21βおよび22αに存在するか(すなわち、図5を参照のこと)、糖環のC3およびC4に存在する(すなわち、図6を参照のこと)。したがって、これらの生物活性化合物のジアンゲロイル基は、構造の隣接炭素中にトランス位でアシル化されている。図7を参照のこと。1つのアンゲロイル基を有する化合物は、2つのアンゲロイル基を有する化合物よりも抗癌活性が弱い(すなわち、図65、2、3を参照のこと)。1つのアンゲロイル基を有する化合物は、2つのアンゲロイル基を有する化合物よりも溶血活性が低い(すなわち、図73を参照のこと)。本発明の化合物の構造または誘導体を、化学合成または生物供給源から得ることもできる。
【0071】
本発明は、以下の実施例からより深く理解される。しかし、当業者は、考察された特定の方法および結果は本発明の例示に過ぎず、以下の特許請求の範囲により詳述されていることを容易に認識する。
【実施例】
【0072】
実験の詳細
実験1:ハーブの抽出
(a)ブンカンカの皮、枝、幹、葉、核種、根、または樹皮の粉末を有機溶媒にて1:2の比率でそれぞれ20〜35時間4〜5回抽出して有機抽出物を形成し、(b)機抽出物を回収し、(c)機抽出物を80℃で2〜3回還流して第2の抽出物を形成し、(d)第2の抽出物から有機溶媒を除去し、(e)第2の抽出物を乾燥および滅菌してブンカンカの抽出粉末を形成する。
【0073】
実験2:HPLCクロマトグラフィによるブンカンカ抽出成分の分析
方法
HPLC。C−18逆相μbondapakカラム(Water P/N27324)を、10%アセトニトリル、0.005%トリフルオロ酢酸(平衡溶液)で平衡化する。実験1に記載の方法を使用して調製したブンカンカを、平衡溶液(1mg/ml)に溶解し、カラムにアプライした。20μgのサンプルを、カラムにアプライした。溶離条件:10%から80%までのアセトニトリル勾配にて70分間画分を溶離し(流速0.5ml/分)、次いで、10分間80%のままにした。次いで、アセトニトリル濃度を10%に減少させ、25分間10%のままにした。画分を、207nmでモニタリングし、0.25cm/分のチャート速度および0.128のODフルスケールでチャートに記録した。
【0074】
装置。Waters Model 510 Solvent Delivery System;Waters 484 tunable Absorbance Detector;Waters 745/745B Data Module。
【0075】
吸収分析。種々の波長でのブンカンカの吸収プロフィールを測定した。本発明のブンカンカ抽出物を、10%アセトニトリル/TFAに溶解し、分光光度計(Spectronic Ins.Model Gene Sys2)を使用して、200〜700nmでスキャンした。
【0076】
結果
HPLC。プロフィール中で約60〜70のピークを明らかにすることができた。これらのうちの4つは、主なピークであり、10個が中程度のサイズであり、残りが小さな画分である。ピークに高濃度のアセトニトリル溶離後からa〜zで印をつける。図8を参照のこと。
【0077】
吸収極大。ブンカンカ植物抽出物について、3つの吸収極大が同定された:207nm、278nm、および500nm。図57を参照のこと。
【0078】
実験3:MTTアッセイを使用した異なるヒト器官由来の癌細胞でのブンカンカ抽出物によって影響を受けた細胞成長活性の測定
方法と材料
細胞。以下のヒト癌細胞株を、American Type Culture Collectionから入手した:HTB−9(膀胱)、HeLa−S3(頸部)、DU145(前立腺)、H460(肺)、MCF−7(乳房)、K562(白血球)、HCT116(結腸)、HepG2(肝臓)、U2OS(骨)、T98G(脳)、およびOVCAR−3(卵巣)。細胞を、10%ウシ胎児血清、グルタミン、および抗生物質を補足した培養培地(HeLa−S3、DU145、MCF−7、Hep−G2、およびT98Gを含むMEN(Earleの塩);HTB−9、H460、K562、OVCAR−3を含むRPMI− 1640;HCT−116、U2OSを含むMcCoy−5A)中にて、37℃の5%CO2加湿インキュベーターで成長させた。
【0079】
MTTアッセイ。MTTアッセイの手順は、わずかに修正した(Carmichael et al.,1987)に記載の方法にしたがった。細胞を、96ウェルプレートに、10、000/ウェル(HTB−9、HeLa、H460、HCT116、T98G、OVCAR−3)、15、000/ウェル(DU145、MCF−7、HepG2、U2OS)、または40、000/ウェル(K562)の濃度にて薬物処置前に24時間播種した。次いで、細胞を薬物に48時間曝露した(HepG2、U2OSについては72時間、MCF−7については96時間)。薬物処置後、MTT(0.5mg/ml)を、培養物に1時間添加した。ホルマザン(生存細胞によるテトラゾリウムの還元産物)の形成後、DMSOで溶解し、490nmにおけるO.D.を、ELISAリーダー(Dynatech.Model MR700)によって測定した。薬物処置前の細胞のMTTレベルも測定した。細胞成長率(%G)を、以下の式:
(数1)
%G=(TD−TO/TC−TO)×100 (1)
(式中、TCまたはTDは、コントロールまたは薬物処置細胞のO.D.読み取りを示す)で計算する。T0>TDの場合、コントロールに対する%で示す細胞傷害性(LC)を、以下の式:
(数2)
%LC=(TD−TO/TO)×100 (2)
で計算する。
【0080】
結果
11の細胞株研究のうち、植物抽出物の曝露後に細胞成長阻害が認められた。しかし、ブンカンカ抽出物に対するその感受性は異なる。ブンカンカ抽出物に対する細胞株の応答を、以下の4つの群に分類することができる:最高の感受性(すなわち、卵巣)、感受性(すなわち、膀胱、骨)、半感受性(すなわち、前立腺、白血球、肝臓、乳房、および脳)、最も低い感受性(すなわち、結腸、子宮頸管、および肺)。図14、15、16A〜Dを参照のこと。そのIC50値を、上記の表3.1に列挙する。
【0081】
細胞成長阻害に加えて、ブンカンカ植物抽出物はまた、膀胱、骨、および肺のわずかな細胞成長を低濃度で刺激する。結果は、抽出物中に細胞または組織の刺激成分が存在することを示す。図16Aおよび16Dを参照のこと。
【0082】
ブンカンカ植物抽出物の阻害成分を調査するために、植物抽出物を作製した。図10は、FPLCクロマトグラフィ後に得られた画分の細胞成長阻害活性についてのスクリーニングの結果を示す。膀胱細胞を使用してアッセイを行った。図9に示すように、FPLCから得た画分を使用した。図9に示すように、ブンカンカ抽出物の異なる成分は、細胞に対して成長または阻害効果を発揮した。画分Yと名付けた画分5962のみが、細胞成長を阻害した。横座標:濃度(μg/ml)。縦座標:細胞成長率(MTTアッセイによって測定)。
【0083】
実験4:ブンカンカ抽出物中の阻害成分の精製
(A)FPLCでの植物抽出物の分画
方法
カラム。オクタデシル官能化シリカゲル。カラム寸法:2cm×28cm(使用前に10%アセトニトリル−0.005%TFAで平衡化する)。
サンプルローディング:1〜2ml、濃度:100mg/mlを含む10%アセトニトリル/TFA。
勾配溶離条件:総体積が500mlの10〜80%アセトニトリル。
モニターする吸収波長:254nm。
フラクションコレクター:5ml/画分(10%〜72%アセトニトリルを回収)
装置:AKTA−FPLC,P920ポンプ;Monitor UPC−900;Frac−900。
【0084】
結果
クロマトグラフィの溶離プロフィールは、4〜5つの広い画分を示す。図9を参照のこと。これらの画分を、HPLCを使用して分析した。次いで、図8で特定したa〜zに対応する特定の成分を、これらのFPLC画分中に割り当てる。次いで、FPLC画分を、7つのプールに分類し、MTTアッセイを使用して、膀胱細胞の細胞成長活性について分析する。実験3を参照のこと。HPLCにおける画分Yに対応するプール番号5962のみが阻害活性を含むことが見出された。図10を参照のこと。62を超える画分も阻害活性を示すこともその後の実験で認められた。画分63〜65から単離した成分が阻害活性を示した。図4、12、および13を参照のこと。
【0085】
(B)分離HPLCでの成分Ysの単離
方法
カラム:分離HPLCカラム(Waters Delta Pak C18−300A);
溶離条件:ryuusoku1ml/分での45%アセトニトリル定組成溶離。
画分を207nmでモニタリングし、回収し、凍結乾燥した。
【0086】
結果
Y画分の最終分離を、分離カラムを使用したHPLCによって行った。図11および12を参照のこと。これらの画分(化合物Y1、Y2、Y(すなわち、Y3)、およびY4を含む)を回収した。化合物Yのリクロマトグラフィにより、C18逆相カラムを使用したHPLCにおいて1つのピークが示された。図11Aおよび11Bを参照のこと。化合物Y8、Y9、およびY10のリクロマトグラフィにより、C18逆相カラムを使用したHPLCにおいて1つのピークが示された。図13を参照のこと。
【0087】
(C)外観および可溶性
純粋な化合物Ysは無定形の白色粉末であり、アルコール水溶液(すなわち、メタノールまたはエタノール、50%アセトニトリル、および100%ピリジン)に溶解する。
【0088】
(D)MTTアッセイを使用した化合物Yの阻害分析
MTTアッセイを使用して、化合物Yの阻害分析を行った。図2は、化合物Yが卵巣癌細胞(OCAR−3)に対して活性を有し、そのIC50値は1.5μg/mlであり、図14に示す非精製抽出物の10〜15倍であることを示す。図15は、子宮頸癌細胞(HeLa)と比較した卵巣癌細胞に対する化合物Yの選択性を示す。図3は、卵巣癌細胞(OCAR−3)の成長に対する化合物Y1およびY2の阻害活性を示す。図4は、卵巣癌細胞(OCAR−3)の成長に対する化合物Y、Y8、Y9、およびY10の阻害活性を示す。
【0089】
実験5:化学構造の測定
方法
NMR分析。ブンカンカの純粋な化合物Yを、0.05%v/v TMSを含むピリジンD5中に溶解した。298KでQXIプローブ(1H/13C/15N/31P)を具備したBruker Avance 600MHz NMR分光計を使用して、全NMRスペクトルを得た。一次元1Hスペクトルのスキャン数は、サンプル濃度に依存して、16〜128であった。二次元HMQCスペクトルを、スペクトル幅6000×24,000Hzおよびデータポイント数2024×256でt2およびt1のディメンジョンでそれぞれ記録した。スキャン数は、4〜128であった。二次元HMBCを、スペクトル幅6000×30,000Hzおよびデータポイント数2024×512でt2およびt1のディメンジョンでそれぞれ得た。スキャン数は、64であった。二次元データを、t1ディメンジョンでゼロ充填してデータポイントを倍増し、t1およびt2ディメンジョンの両方におけるコサインスクエアベル時間枠関数(cosine−square−bell window function)を掛け、XWIN−NMRソフトウェアを使用してフーリエ変換した。HMQCおよびHMBCについてのこれらの二次元スペクトルの最終実行列サイズは、それぞれ、2048×356データポイントおよび2048×512データポイント(F2×F1)である。
【0090】
マススペクトル分析。サンプルの質量を、(A)MALDI−TOF質量分析および(B)ESI−MS質量分析によって分析した。(A)MALDI−TOFのサンプルを、最初にアセトニトリルに溶解し、次いで、マトリクスCHCA(すなわち、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸)(10mgCHCA/mLを含む50:50の水/アセトニトリルおよび0.1%TFA(最終濃度))と混合した。標準を使用した高分解能質量分析装置を使用して、分子量を測定した。(B)ESIについて、サンプルを、Thermo Finnigan製のLCQ DECA XP Plus装置を使用して分析した。サンプルをESIイオン源でイオン化し、化合物用の溶媒はアセトニトリルである。
【0091】
結果
プロトンNMRのプロフィールを、図18に示す。HMQCおよびHMBCの二次元NMRプロフィールを、図19および20にそれぞれ示す。これらのデータ由来の官能基の二次元NMR化学シフトデータおよび割り当てを表5.1にまとめている。これらのデータおよび分析に基づいて、化合物Y(Y3)の構造を、以下に示すように割り当てる。
【0092】
化合物Yの構造(図17を参照のこと)
【化19】

Yの化学名は、3−O−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,15α,16α,21β,22α,28−ヘキサヒドロキシオレアン−12−エンである。MALDI−TOFおよびESI−MSによって測定したYのマススペクトル(すなわち、図21、22を参照のこと)は、化合物Yの質量が1140.57であり、これは、化合物Yの質量の理論値と一致することを示す。
【0093】
結論
ブンカンカ抽出物から単離した活性化合物Yは、アグリコンのC−3に結合したトリサッカリド鎖ならびにC−21およびC−22でアシル化した2つのアンゲロイル基を含むオレアネントリテルペノイドサポニンである。Yの式は、C578823であり、化合物Yの化学名は、3−O−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,15α,16α,21β,22α,28−ヘキサヒドロキシオレアン−12−エンである。
【0094】
実験6:ブンカンカ抽出物のY1の化学構造の測定
方法
化合物Y1のNMRおよびMS分析方法は、実験5に記載の方法と類似している。
【0095】
結果
H−NMRのスペクトルを、図24に示す。HMQC、HMBC、およびCOSYの二次元NMRスペクトルを、図25、26、および27にそれぞれ示す。これらのデータ由来の官能基の化学シフトデータおよび割り当てを表6.1にまとめている。これらのデータおよび分析に基づいて、化合物Y1の構造を、以下に示すように割り当てる。
【0096】
化合物Y1の構造(図23を参照のこと)
【化20】

Y1の化学名は、3−O−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−(3,4−ジアンゲロイル)−α−L−ラムノピラノシル−22−O−アセチル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エンである。
【0097】
結論
ブンカンカ抽出物から単離した化合物Y1は、骨格のC−3にトリサッカリド鎖およびC−21にモノサッカリド部分を含み、2つのアンゲロイル基がC−3位およびC−4位でアシル化されている、ビスデスモジディックポリヒドロキシオレアネントリテルペノイドサポニンである。Y1の式は、C6510027である。
【0098】
実験7:ブンカンカ抽出物の化合物Y2の化学構造の測定
方法
化合物Y2のNMRおよびMS分析方法は、実験5に記載の方法と類似している。
【0099】
結果
Y2のH−NMR、C−13−NMR、HMQC、HMBC、および(TOCSY)の一次元および二次元NMRスペクトルおよびMS(MALDI−TOF)を、図29〜34に示す。これらのデータ由来の官能基の一次元および二次元NMR化学シフトデータおよび割り当てを表7.1にまとめている。
【0100】
結論
これらのデータおよび分析に基づいて、ブンカンカ抽出物から単離した化合物Y2は、アグリコンのC−3に結合したトリサッカリド鎖ならびにC−21およびC−22でアシル化した2つのアンゲロイル基を含むオレアネントリテルペノイドサポニンである。Y2の化学式を以下に示す。図28も参照のこと。
【0101】
【化21】

Y2の式は、C578824であり、Y2の化学名は、3−O−[β−D−グルコピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,15α,16α,21β,22α,24β,28−ヘプタヒドロキシオレアン−12−エンである。
【0102】
実験7B。Y4の化学構造分析
Y4分析の結果
Y4のプロトンNMRのプロフィールを、図58に示す。Y4の二次元NMR(HMQC)のプロフィールを、図59に示す。
【0103】
実験8。ブンカンカ抽出物中の阻害成分Y8〜Y10の精製
(A)FPLC法を使用したブンカンカ抽出物成分の分画
方法
本実験方法は、実験4の(A)項および(B)項に記載の方法と類似している。
【0104】
結果
溶離プロフィールは、4〜5つの広い画分を示す。図9を参照のこと。これらの画分を、HPLCを使用して分析した。FPLC画分63、64、および65を、45%定組成分析によってさらに分離し、4〜5つの主な成分が分離された。図12を参照のこと。これらの画分を、名称Y8、Y9、およびY10に割り当てた。これらの画分を回収した。化合物Y8、Y9、およびY10のリクロマトグラフィは、C18逆相カラムを使用したHPLC中で1つのピークを示した。図13を参照のこと。
【0105】
(B)MTTアッセイを使用した阻害分析
MTTアッセイを使用して、精製した化合物の阻害分析を行った。結果は、化合物Y8、Y9、およびY10が卵巣癌細胞に対して活性を有し、そのIC50値がそれぞれ3、4、および1.5μg/mlであことを示す。図4を参照のこと。
【0106】
実験9。ブンカンカ抽出物の化合物Y8の化学構造の測定
方法
化合物Y8のNMRおよびMS分析方法は、実験5に記載の方法と類似している。
【0107】
結果
化合物Y8のH−NMR、C13−NMR、および二次元NMR(HMQC)のスペクトルプロフィールを、図36〜38に示す。これらのデータ由来の官能基の一次元および二次元NMR化学シフトデータおよび割り当てを表9.1にまとめている。これらのデータおよび分析に基づいて、ブンカンカ抽出物から単離した化合物Y8は、アグリコンのC−3に結合したトリサッカリド鎖ならびにC−21およびC−22でアシル化した2つのアンゲロイル基を含むオレアネントリテルペノイドサポニンである。Y8の式は、C578723であり、Y8の化学名は、3−O−[β−D−グルコピラノシル(1→2)]−α−アラビノフラノシル(1→3)−β−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,16α,21β,22α,24β,28−ヘキサヒドロキシオレアン−12−エンである。化合物Y8の化学構造を、以下の図に示す。図35も参照のこと。
【化22】

【0108】
実験10。ブンカンカ抽出物の化合物Y9の化学構造の測定
方法
化合物Y9のNMRおよびMS分析方法は、実験5に記載の方法と類似している。
【0109】
結果
Y9のH−NMRおよび二次元NMR(すなわち、HMQCおよびHMBC)のスペクトルプロフィールを、図40〜42に示す。これらのデータ由来の官能基の一次元および二次元NMR化学シフトデータおよび割り当てを表10.1にまとめている。これらのデータおよび分析に基づいて、ブンカンカ抽出物から単離した化合物Y9は、骨格のC−3にトリサッカリド鎖およびC−21にモノサッカリド部分を含み、2つのアンゲロイル基がC−3位およびC−4位でアシル化されている、ビスデスモジディックポリヒドロキシオレアネントリテルペノイドサポニンである。Y9の式は、C6510027であり、Y9の化学名は、3−O−[β−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−アラビノフラノシル(1→3)−β−グルクロノピラノシル−21−O−(3,4−ジアンゲロイル)−α−ラムノピラノシル−28−O−アセチル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エンである。化合物Y9の化学構造を、以下の図に示す。図39も参照のこと。
【化23】

【0110】
実験11。ブンカンカ抽出物の化合物Y10の化学構造の測定
方法
化合物Y10のNMRおよびMS分析方法は、実験5に記載の方法と類似している。
【0111】
結果
H−NMR、C13−NMR、および二次元NMR(HMQC)のプロフィールを、図44〜46に示す。これらのデータ由来の官能基の一次元および二次元NMR化学シフトデータおよび割り当てを表11.1にまとめている。これらのデータおよび分析に基づいて、ブンカンカ抽出物から単離した化合物Y10は、アグリコンのC−3に結合したトリサッカリド鎖ならびにC−21およびC−22でアシル化した2つのアンゲロイル基を含むオレアネントリテルペノイドサポニンである。Y10の式は、C578722であり、Y10の化学名は、3−O−[β−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−アラビノフラノシル(1→3)−β−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エンである。化合物Y10の化学構造を、以下の図に示す。図43も参照のこと。
【化24】

【0112】
実験12。ブンカンカ抽出物由来の成分Rの精製
(A)FPLCおよびHPLCを使用したブンカンカ抽出物成分の分画
方法
使用した方法は、(A)項および(B)項で化合物Rの単離のためにHPLCで30%アセトニトリル定組成溶離を使用したこと以外は、実験4に記載の方法に類似している。
【0113】
結果
FPLCの勾配溶離由来の画分番号39〜41をプールし、定組成30%アセトニトリル溶離を使用したODS−C18オープンカラムでさらに精製した。2つの群中の6つの同定可能な画分を回収した。画分6〜13を、HPLCを使用してさらに特徴づけた。これらの画分を、DeltaPakカラムにおける30%アセトニトリル定組成溶離を使用して4〜5つの成分にさらに分離した。本明細書中で「R1」と名付けた画分が主成分である。図60Aを参照のこと。その後、カラム溶離物から純粋なR1を回収した。図60Bを参照のこと。
【0114】
(B)外観および可溶性
純粋なR1は無定形の白色粉末であり、アルコール水溶液(すなわち、メタノールまたはエタノール、50%アセトニトリル、および100%ピリジン)に溶解する。
【0115】
(C)R1の化学構造の測定
方法
R1のNMRおよびMS分析方法は、実験5に記載の方法と類似している。
【0116】
結果
純粋なR1のNMRスペクトルを、図48〜52に示す。化学シフト分析に基づいて、ブンカンカ抽出物から単離した化合物R1は、5つの糖および糖部分に結合した1つのアンゲロイル基を含むトリテルペノイドサポニンである。化合物R1の化学構造を、以下の図に示す。図47も参照のこと。
【化25】

【0117】
化合物R1の式は、C6510629であり、R1の化学名は、3−O−[アンゲロイル−(1→3)−β−D−グルコピラノシル(1→6)]−β−D−グルコピラノシル−28−O−[α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−β−D−グルクロノピラノシル−(1→6)−β−D−グルクロノピラノシル−3β,21β,22α,28−テトラヒドロキシオレアン−12−エンである。
【0118】
実験13:ブンカンカ抽出物由来の成分Oの精製
(A)FPLCおよびHPLCを使用したブンカンカ抽出物成分の分画
方法
使用した方法は、(A)項および(B)項で化合物Oの単離のためにHPLCで20%アセトニトリル定組成溶離を使用したこと以外は、実験4に記載の方法に類似している。
【0119】
結果
FPLCから得た画分を、HPLCを使用して分析した。元のサンプルのプロフィールと比較するために、特定の成分(この場合、画分O)を同定した(番号28〜30)。さらなる精製のために画分Oを回収した。溶離プロフィール中に16の同定可能なHPLC画分が認められた。図61を参照のこと。画分28、34、および54をさらに精製した。図62を参照のこと。これらの精製された成分を、それぞれ、O28、O34、およびO54と名付けた。
【0120】
(B)外観および可溶性
精製された化合物O23およびO34は、淡黄色の無定形粉末であり、アルコール水溶液(すなわち、メタノール、エタノール、50%アセトニトリル、および100%ピリジン)に溶解する。精製された化合物O54は、白色の無定形粉末であり、アルコール水溶液(すなわち、メタノール、エタノール、50%アセトニトリル、および100%ピリジン)に溶解する。
【0121】
(C)O54の構造分析
方法
O54のNMRおよびMS分析は、実験5に記載の方法と類似している。
【0122】
結果
化合物O54のNMRスペクトルを、図54〜56に示す。化学シフト分析に基づいて、ブンカンカ抽出物から単離した化合物O54は、C−3に結合したジッサリド鎖(β−D−グルクロノピラノシル−(1→6)−β−D−グルクロノピラノシド)およびC−28に結合したトリサッカリド鎖(α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−β−D−グルクロノピラノシル−(1→6)−β−D−グルクロノピラノシルエステル)を含むビスデスモジディックポリヒドロキシオレアネントリテルペノイドグリコシドである。化合物O54の化学構造を、以下の図に示す。図53も参照のこと。
【化26】

【0123】
化合物O54の式は、C6010028であり、O54の化学名は、3−O−β−D−グルコピラノシル(1→6)]−β−D−グルコピラノシル−28−O−[α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−β−D−グルクロノピラノシル−(1→6)−β−D−グルクロノピラノシル−3β,21β,22α,28−テトラヒドロキシオレアン−12−エンである。
【0124】
実験14:ブンカンカ抽出物由来の成分Xの精製
(A)FPLCおよびHPLCを使用したブンカンカ抽出物成分の分画
方法
使用した方法は、(A)項および(B)項で化合物Xを含むFPLC画分56および57を回収し、分離HPLCでさらに分離した使用したこと以外は、実験4に記載の方法に類似している。
【0125】
結果
クロマトグラム中に5つの主なピークおよび7つの小さなピークが認められた。化合物Xは、溶離プロフィールの中央付近に溶離された(図64)。化合物Xを回収し、凍結乾燥させた。
【0126】
(B)外観および可溶性
精製された化合物Xは白色粉末であり、50%アセトニトリルに溶解する。
【0127】
(C)MTTアッセイを使用した化合物Xの阻害分析
OVCAR−3細胞における化合物XのMTTアッセイにより、いくらかの阻害活性が示された。化合物XのIC50は、約27μg/mlである。図65を参照のこと。
【0128】
実験15。ブンカンカ抽出物の化合物Xの化学構造の測定
方法
化合物XのNMRおよびMS分析方法は、実験5に記載の方法と類似している。
【0129】
結果
プロトンおよびC13−NMRのプロフィールを、図66および69にそれぞれ示す。HMQCおよびHMBCの二次元NMRプロフィールを、図67および68に示す。これらのデータ由来の官能基の二次元NMR化学シフトデータおよび割り当てを表15.1にまとめている。これらのデータおよび分析に基づいて、以下に示すように化合物Xの構造を割り当てる。MALDI−TOFによって測定した化合物Xのマススペクトルは、化合物Yの質量が1140.60であり、これは、化合物Xの質量の理論値と一致することを示す。
【0130】
結論
ブンカンカ抽出物から単離した活性化合物Xは、アグリコンのC−3に結合したトリサッカリド鎖ならびにC−22でアシル化した1つのアンゲロイル基を含むオレアネントリテルペノイドサポニンである。Xの式は、C589222であり、化合物Xの化学名は、3−O−{[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−[α−L−アラビノフラノシル(1→3)]−β−D−グルクロノピラノシドブチルエステル}−21−O−アセチル−22−O−アンゲロイル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エンである。化合物Xの化学構造を、以下に示す。図70も参照のこと。
【化27】

【0131】
実験16:ブンカンカの化合物Yの溶血活性の測定
方法:
・ヒト全血を、ヒューストン ガルフコースト ブラッド センター(Houston Gulf Coast Blood Center)から得た。
・赤血球を以下の方法によって単離した:ヒト血液(EDTA中)を、PBSと1:1に希釈し、4mlのHistopaque−1077(SIGMA)に重層し、400gで30分間遠心分離した。
・赤血球(RBC)を回収し、PBSで3回洗浄した。
・使用前に、PBSを使用してRBCの10%懸濁液を調製した。
・50μlのRBC懸濁液を、異なる濃度の2mlのサポニンに添加した。
・懸濁液をボルテックスによって混合し、室温で60分間静置した。
・懸濁液を、3000rpmで5分間遠心分離した。上清の540nmの吸光度を測定した。
【0132】
結果
本実験では、Xanifolia−Y(番号63Y)、エシン、およびSIGMAサポニン標準によるヒト赤血球の溶血活性を比較した。Yは2つのアンゲロイル基を含み、エシンは1つのアンゲロイル基を有し、SIGMAサポニン標準はキラヤ樹皮由来のサポニンの混合物である。結果は、番号63Y(化合物Y)がエシンまたはSIGMAサポニン標準(IC50=5μg/ml)よりも高い溶血活性を有する(IC50=1μg/ml)ことを示す。図73Aを参照のこと。
【0133】
実験17:アルカリまたは酸による加水分解におるアンゲロイルまたは糖部分の除去後の化合物Yの溶血活性およびMTT活性の測定
方法:
(A)Xanifolia−Yのアルカリ加水分解。20mgのXanifolia−Yを、0.5mlの1M NaOHに溶解した。溶液を、80℃の水浴中で4時間インキュベートした。これを、室温に冷却し、0.5ml 1N HClで中和した(約pH3に調整する)。混合物を、2ml 1−ブタノールで3回抽出した。ブタノール画分を回収し、凍結乾燥させた。加水分解サポニンを、HPLCを使用して、25%アセトニトリルで溶離するC−18カラムにてさらに精製した。(B)Xanifolia−Yの酸加水分解。15mgのXanifolia−Yを、1mlのメタノールに溶解した。次いで、1mlの2N HClを添加した。混合物を、80℃の水浴中で5時間還流した。次いで、溶液を、2ml 1N HClで中和した(最終pH3〜4)。次いで、アグリコンを、3mlの酢酸エチルで3回洗浄した。抽出物を回収し、プールした。80%アセトニトリルの定組成溶離を使用したHPLCによって、アグリコン(糖を除去したXanifolia−Y)をさらに単離した。
【0134】
結果:
化合物Yのアンゲロイル基または糖部分を、アルカリまたは酸による加水分解によってそれぞれ除去した。次いで、加水分解生成物の溶血活性を分析した。これらの研究の結果は、糖の除去によって溶血活性が減少するが、アンゲロイル基の除去によって溶血活性が破壊されることを示す。溶血活性に糖は役立つが不可欠ではないことも示唆される。図73Bを参照のこと。実験結果は、アンゲロイル基が除去された場合に化合物YがMTT活性を喪失することを示す。しかし、化合物の糖部分を除去した場合、MTT活性は非常に弱かった。図73C、73Dを参照のこと。化合物Y、エシン、およびSIGMAのサポニン標準の溶血活性の比較結果を、図73Aおよび73Bに示す。化合物Yの間の溶血活性の比較結果により、糖部分またはアンゲロイル基を含まない化合物Yを図73Bに示す。糖部分またはアンゲロイル基を含まない化合物Yの化学構造を、図74および74Bにそれぞれ示す。
【0135】
実験18。化合物Yの抗ウイルス活性の測定
化合物Yの抗ウイルス活性の測定のための主な手順を以下に示す。
【0136】
A.非致死投薬量の化合物Yをウイルス培養系に添加した後のHIVウイルス産生を測定する。
【0137】
B.化合物Yとの接触後のHIVウイルスの成長活性を測定する。これらの実験工程を以下に示す。
1.種々の期間における異なる投薬量の化合物YでHIVを前処置する。
2.ウイルスから化合物Yを除去する。
3.処置したウイルスを細胞と混合する。
4.ウイルス産生を測定する。
5.負のコントロール:細胞中にウイルスなし
6.正のコントロール:非処置ウイルスを細胞と混合する
結果:化合物Yの処置後にウイルス成長が阻害された。
【0138】
実験結果の表
【表3】


【0139】
【表4】


【0140】
【表5】


【0141】
【表6】


【0142】
【表7】


【0143】
【表8】


【0144】
【表9】


【0145】
本発明を、特にその好ましい実施形態に関して詳述しているが、本発明は他の異なる実施形態が可能であり、詳細には、種々の自明の態様を修正することができると理解すべきである。当業者に容易に明らかなように、変形形態および修正形態をとることができる一方で、本発明の精神および範囲内に保持される。したがって、前述の開示、説明、および図面は例示のみを目的とし、本発明を決して制限せず、本発明は、特許請求の範囲のみによって定義される。
【0146】
参考
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4. Zhang, Y., Zhang, H. Y., Li, W. P. 1995. Study on effects of Anjifu on improving intelligence, Chinese Bulletin of Pharmacology, 11(3): 233.
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8. Bian, H. M., Yu, J. Z., Gong, J. N. 2000. Study on effects of Tongmai Yizhi capsule on improving learning and retention in mice, Pharmacology and Clinical of Chinese Medicines, 16 (5): 40.
9. Wei, X. L., Zhang, Y. X. 2000. Study of animal model for studying senile dementia, Chinese journal of Pharmacology, 8(16): 372.
10. Bureau of Medicinal Police, Department of Public Health. Guide line for study of effect of medicines for treatment of nervous system diseases, in Guidebook of study of new medicine. p45.
11. Zhang, D. Sh., Zhang, J. T. 2000. Effects of crude Ginseng saponins on improving impairment induced by B- peptide, Chinese journal of Pharmacology, 8(16): 22.
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の6つの生物活性抗癌サポニン化合物の構造を示す図である。
【図2】精製された化合物Yの抗癌活性を示す図である。卵巣癌細胞(OCAR−3)について実験を行い、MTTアッセイによって阻害活性を測定した。詳細については、実験3を参照のこと。横座標:濃度(μg/ml)。縦座標:細胞成長率。IC50は、約1〜1.5μg/mlである。A:ポイントスケール。B:リニアスケール。
【図3】卵巣癌細胞の成長に対する精製された化合物Y1および化合物Y2の阻害を示す図である。
【図4】MTTアッセイによって測定した、卵巣癌細胞に対するY、Y8、Y9、およびY10の抗癌活性を示す図である。
【図5】本発明の4つの生物活性抗癌サポニン化合物(すなわち、Y、Y2、Y8、およびY10)由来のコンセンサス構造を示す図である。
【図6】本発明の2つの生物活性抗癌サポニン化合物(すなわち、Y1およびY9)由来のコンセンサス構造を示す図である。
【図7】本発明の6つの生物活性抗癌サポニン化合物(すなわち、Y、Y1、Y2、Y8、Y9、およびY10)由来の一般的な構造式を示す図である。(A)コンセンサス活性官能基は、トリテルペン骨格の21βおよび22αに結合したジアンゲロイル基である。(B)コンセンサス活性官能基は、糖環(すなわち、ラムノース)のC3およびC4に結合したジアンゲロイル基である。1つの実施形態では、官能活性構造は、構造上にトランス位で存在するジアンゲロイル基である。
【図8】μbondapak C18カラムを使用したHPLCによるブンカンカ抽出物の成分の分離を示す図である。実験の詳細を、実験2に示した。
【図9】10〜80%勾配を使用したFPLCにおけるブンカンカ抽出物の溶離プロフィールを示す図である。縦座標:光学密度(245nm)。横座標:画分(5ml/画分)。
【図10】FPLCクロマトグラフィから得た画分を使用した細胞成長活性のスクリーニングの結果を示す図である。膀胱細胞でアッセイを行った。図9に示すように、FPLCから得た画分を使用した。この図で示すように、ブンカンカ抽出物の異なる成分により、細胞に対して成長効果または阻害効果のいずれかが得られる。画分5962(画分Y)のみが細胞を阻害する。画分610、1116、および1724は、細胞成長をわずかに刺激する。横座標:濃度(μg/ml)。縦座標:細胞成長率(MTTアッセイによって測定)。
【図11】分離C18カラム(Delta Pak C18)における45%アセトニトリル定組成溶離を使用した画分YのHPLCプロフィールを示す図である。これらの条件下で、画分Y(Y3)、Y1、およびY2は、互いに十分に分離されており、これらをその後に精製する。AおよびBは、同一条件下でのHPLCによる回収したY3およびY2の精製を示す。
【図12】分離C18カラム(Delta Pak C18)における45%アセトニトリル定組成溶離を使用した画分Y8、Y9、およびY10の分離プロフィールを示す図である。
【図13】精製したY8、Y9、およびY10のHPLCプロフィールを示す図である。
【図14】MTTアッセイによって測定した、ブンカンカの粗抽出物での処置後の卵巣癌細胞の成長曲線を示す図である。図中の2つの曲線は、2つの実験結果を示す。本研究は、癌細胞に対するブンカンカ抽出物の有効性を測定した。これらの実験では、11種の異なるヒト器官由来の癌細胞株を使用した。この図は、卵巣癌細胞が、本発明のブンカンカ抽出物に対する応答において最も高い感受性を示す癌細胞であることを示す。癌細胞の結果を、図16A、16B、16Cに示した。横座標:濃度(μg/ml)。縦座標:細胞成長率(MTTアッセイによって測定)。
【図15】卵巣癌細胞および子宮頸癌細胞における化合物Yの効力の比較を示す図である。卵巣癌細胞は、子宮頸癌細胞よりもはるかに感受性が高い。卵巣細胞における化合物YのIC50は約1.5μg/mlであり、子宮頸癌細胞におけるIC50は20μg/ml超である。
【図16A】MTTアッセイによって測定した、膀胱癌細胞および骨肉腫細胞の感受性群の成長曲線を示す図である。図中の曲線は、反復実験の結果である。横座標:濃度(μg/ml)。縦座標:細胞成長率(MTTアッセイによって測定)。
【図16B】MTTアッセイによって測定した、白血球癌細胞、肝臓癌細胞、前立腺癌細胞、乳癌細胞、および脳腫瘍細胞の半感受性群の成長曲線を示す図である。図中の曲線は、反復実験の結果である。横座標:濃度(μg/ml)。縦座標:細胞成長率(MTTアッセイによって測定)。
【図16C】MTTアッセイによって測定した、結腸癌細胞、子宮頸癌細胞、および肺癌細胞の最小感受性群の成長曲線を示す図である。図中の曲線は、反復実験の結果である。横座標:濃度(μg/ml)。縦座標:細胞成長率(MTTアッセイによって測定)。
【図17】式C578823および化学名3−O−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,15α,16α,21β,22α,28−ヘキサヒドロキシオレアン−12−エンを有する化合物Yの構造を示す図である。
【図18】化合物YのプロトンNMRのスペクトルを示す図である。
【図19】化合物Yの二次元NMR(HMQC)の結果を示す図である。
【図20】化合物Yの二次元NMR(HMBC)の結果を示す図である。
【図21】MALDI−TOF(高分子量)を使用した化合物Yのマススペクトルを示す図である:Y+マトリクス(CHCA)+アンギオテンシン1「2点較正」。
【図22】ESI−MSを使用した化合物Yのマススペクトルを示す図である。
【図23】式C6510027および化学名3−O−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−(3,4−ジアンゲロイル)−α−L−ラムノピラノシル−22−O−アセチル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エンを有する化合物Y1の構造を示す図である。
【図24】化合物Y1のプロトンNMRスペクトルを示す図である。
【図25】化合物Y1の二次元NMR(HMQC)の結果を示す図である。
【図26】化合物Y1の二次元NMR(HMBC)の結果を示す図である。
【図27】化合物Y1のCOSY−NMRプロフィールを示す図である。
【図28】化合物Y2の化学構造および化学名を示す図である。
【図29】化合物Y2のプロトンNMRスペクトルを示す図である。
【図30】化合物Y2の二次元NMRスペクトル(HMQC)−レベル−1を示す図である。
【図31】化合物Y2のC13 NMRスペクトルを示す図である。
【図32】化合物Y2の二次元NMR(HMBC)−レベル−1スペクトルを示す図である。
【図33】化合物Y2の二次元NMR HOHAHA(TOCSY)−レベル−1スペクトルを示す図である。
【図34】化合物Y2+マトリクス+標準のマススペクトルを示す図である。
【図35】Y8の化学構造を示す図である。
【図36】Y8のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図37】Y8のC13 NMRスペクトルを示す図である。
【図38】Y8の二次元NMR HMQC(レベル1)スペクトルを示す図である。
【図39】Y9の化学構造を示す図である。
【図40】Y9のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図41】Y9の二次元NMR HMQC(レベル1)スペクトルを示す図である。
【図42】Y9の二次元NMR HMBC(レベル1)スペクトルを示す図である。
【図43】Y10の化学構造を示す図である。
【図44】Y10のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図45】Y10のC13 NMRスペクトルを示す図である。
【図46】Y10の二次元NMR HMQC(レベル1)スペクトルを示す図である。
【図47】化合物R1の化学構造および化学名を示す図である。
【図48】化合物R1のプロトンNMRスペクトルを示す図である。
【図49】化合物R1の二次元NMR(HMQC)スペクトルを示す図である。
【図50】化合物R1の二次元NMR(HMBC)スペクトルを示す図である。
【図51】化合物R1の二次元NMR(COSY)スペクトルを示す図である。
【図52】化合物R1のC13 NMRスペクトルを示す図である。
【図53】化合物O54の化学構造を示す図である。
【図54】化合物O54のプロトンNMRスペクトルを示す図である。
【図55】化合物O54の二次元NMR(HMQC)スペクトルを示す図である。
【図56】化合物O54の二次元NMR(HMBC)スペクトルを示す図である。
【図57】本発明のブンカンカ抽出物の吸収スペクトルを示す図である。横座標:波長(nm)。縦座標:光学密度。抽出物は、207nm、278nm、および500nmに吸収極大を有する。
【図58】Y4のプロトンNMRスペクトルを示す図である。
【図59】Y4の二次元NMR(HMQC)スペクトルを示す図である。
【図60】HPLCを使用した成分Rの精製を示す図である。A:FPLC(iso−30)の画分番号10由来の抽出物を、HPLCによってさらに分離した。B:Aと同一条件下での主成分のリクロマトグラム。
【図61】20%アセトニトリル定組成溶離(iso−20)を使用したHPLCを使用した画分Oの分画。
【図62】O54、O28、およびO34のリクロマトグラフィ(iso−20由来)を示す図である。
【図63A】化合物(式中、Rはアンゲロイル基を示し、Rはアンゲロイル基を示し、Rは、OHまたはHを示し、Rは、H、OH、H、CH、CHOR、またはCOORを示し、Rは、H、アセチル、または糖部分であり、化合物の炭素23位、24位、25位、26位、29位、30位は、独立して、CH、CHOH、CHO、COOH、アルキル基、アセチル基、またはこれらの誘導体を含み、Rは、AcまたはHを示し、R5は糖部分を示し、ここで、糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、D−グルコース、D−ガラクトース、L−ラムノース、L−アラビノース、D−キシロース、アルズロン酸、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸)またはその誘導体もしくは組み合わせを含む)の化学構造を示す図である。1つの実施形態では、Rは、糖部分の機能を果たすことができる化合物を示す。
【図63B】化合物(式中、R1はアンゲロイル基を示し、R2はアンゲロイル基を示し、Rは、AcまたはHを示し、Rは、HまたはOHを示し、Rは、AcまたはHを示し、Rは、H、OH、H、CH、CHOR、またはCOORを示し、Rは、H、アセチル、または糖部分であり、化合物の炭素23位、24位、25位、26位、29位、30位は、独立して、CH、CHOH、CHO、COOH、アルキル基、アセチル基、またはこれらの誘導体を含み、R5は糖部分を示し、ここで、糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、D−グルコース、D−ガラクトース、L−ラムノース、L−アラビノース、D−キシロース、アルズロン酸、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸)またはその誘導体もしくは組み合わせを含む)の化学構造を示す図である。1つの実施形態では、R5は、糖部分の機能を果たすことができる化合物を示す。
【図64】FPLC画分番号5657のHPLC(iso−45)プロフィールを示す図である。
【図65】OCAR−3細胞の成長に対する化合物Xの効果を示す図である。
【図66】化合物XのH−NMRを示す図である。
【図67】化合物Xの二次元NMR(HMQC)を示す図である。
【図68】化合物Xの二次元NMR(HMBC)を示す図である。
【図69】化合物XのC13 NMRを示す図である。
【図70】化合物Xの化学構造を示す図である。
【図71】化合物Xのマススペクトル1(WALDI−TOF)を示す図である。
【図72】化合物Xのマススペクトル2(WALDI−TOF)を示す図である。
【図73】本発明のサポニン化合物および化合物YsのMTTおよび溶血活性の比較を示す図である。(A)および(B)は、溶血活性を示す。(C)および(D)は、MTT活性を示す。
【図74】(A)は、アンゲロイル基を含まない本発明の化合物を示す。(B)は、糖部分を含まない本発明の化合物を示す。
【図75】本発明のサポニン化合物を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(5):

【化1】

(式中、R1は、H、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、2〜5個の炭素を含む酸、糖部分、またはラムノースを含み、ここで、前記糖部分またはラムノースは、アンゲロイル基、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、および2〜5個の炭素を含む酸からなる群から選択される少なくとも2つの基を含み、R2は、H、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、2〜5個の炭素を含む酸、糖部分、またはラムノースを含み、ここで、前記糖部分またはラムノースは、アンゲロイル基、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、および2〜5個の炭素を含む酸からなる群から選択される少なくとも2つの基を含み、R4は、CH2OR6またはCOOR6を含み、R6は、H、アンゲロイル基、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、または2〜5個の炭素を含む酸であり、ここで、化合物の炭素23位、24位、25位、26位、29位、30位は、独立して、CH3、CH2OH、CHO、COOH、アルキル基、アセチル基を含み、R5は、Hまたは糖部分を含み、ここで、前記糖部分は、グルコース、ガラクトース、ラムノース、アラビノース、キシロース、アルズロン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む)
を有する化合物、またはその塩、エステル、代謝産物。
【請求項2】
1、R2、R6のうちの1つは、アンゲロイル基または5個の炭素を有する酸を含み、R1、R2、R6の残りの2つのうちの少なくとも1つは、アンゲロイル基、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、または2〜5個の炭素を含む酸を含むか、R1、R2、R6のうちの少なくとも1つは、糖部分またはラムノースを含み、ここで、前記糖部分またはラムノースは、アンゲロイル基、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、および2〜5個の炭素を含む酸からなる群から選択される少なくとも2つの基を含むか、R1、R2、R6のうちの少なくとも2は、アンゲロイル基または5個の炭素を有する酸を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の式(1):

【化2】

(式中、R1はアンゲロイル基を含み、R2はアンゲロイル基を含み、R3は、OHまたはHを含み、R4は、CH3またはCH2OHを含み、R7はHを含み、R5はグルコースまたはガラクトースを含み、R6はアラビノースを含む)
有する化合物、またはその塩、エステル、
(2):

【化3】

(式中、R1はアンゲロイル基を含み、R2はアンゲロイル基を含み、R3は、AcまたはHを含み、R4は、AcまたはHを含み、R5は、CH3またはCH2OHを含む)
有する化合物、またはその塩、エステル、
(3):

【化4】

(式中、R1はアンゲロイル基を含み、R2はアンゲロイル基を含み、R3は、OHまたはHを含み、R4は、CH3またはCH2OHを含み、R6は、AcまたはHを含み、R5は糖部分を含み、ここで、前記糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、グルコース、ガラクトース、ラムノース、アラビノース、キシロース、アルズロン酸、グルクロン酸、またはガラクツロン酸)またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む)
有する化合物、またはその塩、エステル、
または(4):
【化5】

(式中、

S1〜S4は、S1、S2、S3、またはS4を示し、R1はアンゲロイル基を含み、R2はアンゲロイル基を含み、R3は、AcまたはHを含み、R4は、HまたはOHを含み、R6は、AcまたはHを含み、R7は、CH3またはCH2OHを含み、R5は糖部分を含み、ここで、前記糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、D−グルコース、D−ガラクトース、L−ラムノース、L−アラビノース、D−キシロース、アルズロン酸、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸)またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む)
有する化合物、またはその塩、エステル。
【請求項4】
以下の構造:
(a)
【化7】

(式中、R1はアンゲロイル基を含み、R2はアンゲロイル基を含むか、R1およびR2は、アンゲロイル基、アセチル基、チグロイル基、セネシオイル基、または2〜5個の炭素を含む酸を含み、前記構造は糖部分を含み、ここで、前記糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、グルコース、ガラクトース、ラムノース、アラビノース、キシロース、アルズロン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸)またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含むか、前記構造は、糖部分の生物機能を果たすことができる化合物、
(b)
【化8】

または
【化9】

(式中、R1はアンゲロイル基を含み、R2はアンゲロイル基を含む)、
または
(c)
【化10】

(式中、R1はアンゲロイル基を含み、R2はアンゲロイル基を含む)を含む)
を有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
以下の構造:
(a)構造(Y3):
【化11】

(すなわち、化学名:3−O−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,15α,16α,21β,22α,28−ヘキサヒドロキシオレアン−12−エンまたはXanifolia−Y)
を含む化合物、
(b)構造(Y1):

【化12】

(すなわち、化学名:3−O−[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21−O−(3,4−ジアンゲロイル)−α−L−ラムノピラノシル−22−O−アセチル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エン、Y1、またはXanifolia−Y1)
を含む化合物、
(c)構造(Y2):

【化13】

(すなわち、化学名:3−O−[β−D−グルコピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノフラノシル(1→3)−β−D−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,15α,16α,21β,22α,24β,28−ヘプタヒドロキシオレアン−12−エンまたはXanifolia−Y2)
を含む化合物、
(d)構造(Y8):

【化14】

(すなわち、化学名:3−O−[β−グルコピラノシル(1→2)]−α−アラビノフラノシル(1→3)−β−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,16α,21β,22α,24β,28−ヘキサヒドロキシオレアン−12−エンまたはXanifolia−Y8)
を含む化合物、
(e)構造(Y9):

【化15】

(すなわち、化学名:3−O−[β−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−アラビノフラノシル(1→3)−β−グルクロノピラノシル−21−O−(3,4−ジアンゲロイル)−α−ラムノピラノシル−28−O−アセチル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エンまたはXanifolia−Y9)
を含む化合物、
(f)構造(Y10):

【化16】

(すなわち、化学名:3−O−[β−ガラクトピラノシル(1→2)]−α−アラビノフラノシル(1→3)−β−グルクロノピラノシル−21,22−O−ジアンゲロイル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エンまたはXanifolia−Y10)
を含む化合物、
(g)化合物の化学構造(X):

【化17】

(すなわち、化学名:3−O−{[β−D−ガラクトピラノシル(1→2)]−[α−L−アラビノフラノシル(1→3)]−β−D−グルクロノピラノシドブチルエステル}−21−O−アセチル−22−O−アンゲロイル−3β,16α,21β,22α,28−ペンタヒドロキシオレアン−12−エン)
を含む化合物
を含む、請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
トリテルペン骨格を含み、前記トリテルペン骨格が、21β位または22α位のいずれかまたは21β位および22α位の両方でアンゲロイル基または糖部分とアシル化し、ここで、前記糖部分中の少なくとも1つの糖が前記糖のC3位およびC4位に結合したアンゲロイル基を含み、ここで、前記トリテルペン骨格が糖部分を含み、ここで、前記糖部分は、少なくとも1つの糖(すなわち、グルコース、ガラクトース、ラムノース、アラビノース、キシロース、アルズロン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸)またはこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
塩形態である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
その構造が合成されているか天然供給源から単離されている、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
薬物または健康食品としての請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
腫瘍細胞または癌細胞の成長を阻害するための薬物として、治療有効量の請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項11】
前記癌が、乳癌、白血球の癌(leukocyte cancer)、肝臓癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、皮膚癌、骨肉種、または脳腫瘍であり、特には、卵巣癌である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
癌の阻害、ウイルス、HIV、真菌、または細菌の阻害、脳の老化の防止、記憶の改善、脳機能の改善、夜尿症、頻尿、尿失禁、認知症、アルツハイマー病、自閉症、脳外傷、パーキンソン病、または脳機能障害に起因する他の疾患の治癒、関節炎、リウマチ、循環不良、動脈硬化、レイノー症候群、狭心症、心疾患、冠状動脈性心疾患、頭痛、めまい、腎臓障害、脳血管障害の治療、NF−κB活性化の阻害、脳浮腫、重症急性呼吸器症候群、ウイルス性呼吸器疾患、慢性静脈不全、高血圧、慢性静脈疾患、抗浮腫疾患(anti−oedematous)、抗炎症性疾患(anti inflammatory)、血液様疾患(haemonhoid)、末梢浮腫形成(peripheral cedema formation)、静脈瘤疾患、インフルエンザ、外傷後浮腫、および術後腫脹の治療、疼痛症状の軽減、エタノール吸収の阻害、血餅形成の減少、血糖値の低下、アドレノコルチコトロピンおよびコルチコステロンレベルの調節、ACTH、PGF2の放出、5−HTまたはヒスタミンに対する拮抗作用の調節、組織ムコポリサッカリドの異化の軽減、性交不能症、早漏、または糖尿病の治療のための請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項13】
少なくとも2つの隣接アンゲロイル基、5個の炭素を含む酸、少なくとも2個の炭素を含む酸、またはアンゲロイル基の生物活性として機能する官能基を含む化合物、サポンゲニン(sapongenin)、またはトリテルペンを含む、癌の阻害またはウイルスの阻害のための請求項1〜請求項6に記載の組成物。
【請求項14】
前記2つのアンゲロイル基がトランス位で側鎖中に存在するか、前記2つのアンゲロイル基がシス位で側鎖中に存在するか、前記2つのアンゲロイル基が構造のトランス位またはシス位の代わりの位置の炭素の側鎖中に存在する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
トリテルペン骨格またはサポンゲニン骨格を含む化合物であって、前記骨格が糖部分を含み、ここで、前記糖部分が、グルコース、ガラクトース、ラムノース、アラビノース、キシロース、アルズロン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、またはこれらの組み合わせを含み、ここで、前記骨格が、骨格に結合した5個の炭素を含む酸、アンゲロイル基、チグロイル基、セネシオイル基、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される2つの基を含み、ここで、これらの2つの側鎖基によって抗癌活性または抗ウイルス活性が得られる、化合物。
【請求項16】
ジアンゲロイル基を含む化合物であって、前記ジアンゲロイル基が、構造に結合し、前記ジアンゲロイル基の存在によって抗癌活性または抗ウイルス活性が得られる、化合物。
【請求項17】
ブンカンカまたはムクロジ科由来の植物から化合物を単離する方法であって、
(a)ブンカンカまたは植物粉末を有機溶媒で抽出して有機抽出物を得る工程と、ここで、前記粉末が、ハーブまたは植物の皮、枝、幹、葉、核種、根、樹皮、または種子の殻から調製されていることと、
(b)前記有機抽出物を回収する工程と、
(c)前記有機抽出物を還流して第2の抽出物を得る工程と、
(d)前記第2の抽出物から有機溶媒を除去する工程と、
(e)前記第2の抽出物を乾燥および滅菌して粗抽出粉末を得る工程と、
(f)シリカゲル、C18、または他の等価な固相材料を使用したHPLCおよびFPLCクロマトグラフィを使用して、前記粗抽出粉末を成分に分画する工程と、
(g)207nmまたは254nmの吸収波長をモニタリングする工程と、
(h)前記粗抽出粉末の生物活性成分を同定する工程と、
(i)FPLCを使用して前記粗抽出粉末の生物活性成分を精製して、生物活性成分の画分を得る工程と、
(j)分離HPLCを使用して前記生物活性成分の画分から化合物を単離する工程と
を含む、方法。
【請求項18】
図18、19、20、24、25、26、27、29、30、31、32、33、36、37、38、40、41、42、45、46、48、49、50、51、52、54、55、56、58、または59に示すNMRスペクトルデータを含む、あるいはここで図17、23、28、35、39、または43に示される請求項17に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63A】
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【図63B】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【公表番号】特表2008−513360(P2008−513360A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530484(P2007−530484)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/031900
【国際公開番号】WO2006/029221
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(506096888)パシフィック アロー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】