説明

アンテナ回路装置ならびにそれを備えた非接触ICカード及び無線タグ、ならびにアンテナ回路装置の製造方法

【課題】非接触ICカードや無線タグに用いられるアンテナ回路について、厚みを薄くできるとともに生産性に優れ安価に製造することを可能にする。
【解決手段】基材2の少なくとも一方の面にアンテナ回路パターン3が形成されたアンテナ回路装置1において、写真製法により現像銀層4aを生成したその上に、無電解メッキにより金属メッキ層4bを積層してアンテナ回路パターン3を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚みを薄くできるとともに生産性に優れ安価に製造することが可能なアンテナ回路装置ならびにそれを備えた非接触ICカード及び無線タグ、ならびにアンテナ回路装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大量のデータが保存でき、非接触にてデータの読み込みと書き込みができ、効率化が図れることから、従来の磁気カードに代わり、非接触ICカードが、駅の乗車券改札システム、電子マネーシステム、セキュリティーカードシステムなどの用途分野で使用されるようになってきている。
非接触ICカードは、内部に電源をもっておらず、外から駆動電流及びデータ信号となる誘導電磁波を送受信するためのループアンテナと、データを読み込み、さらに書き込んで保管する1つ以上のICと、外装ケースとからなる部品構成となっている。
無線タグは、非接触ICカードと同様に、少なくともICチップと送受信用のアンテナを備えているが、外装ケースの有無や形状は特に規定されておらず、コイン型、カード型、ボックス型などの各種形状があり、用途に応じて最適な形状が選択される。
【0003】
これら非接触ICカードや無線タグ等に使用されるアンテナ回路の製造方法としては、従来(1)〜(4)に示す方法がある。
(1)細い金属線(銅細線)を巻き付ける方法(例えば特許文献1)
(2)基材に貼り合わせた金属箔をフォトリソグラフ法によりエッチングする方法(例えば特許文献2)
(3)基材の上に導電性ペーストを印刷する方法(例えば特許文献3)
(4)金属薄板をプレス加工する方法(例えば特許文献4)
【0004】
この他、基材上に導電性金属層を形成する方法としては、下記の(5)に示す方法がある。
(5)写真製法により金属銀を現像して形成した後、この金属銀の上にメッキすることにより導電性金属層を形成する写真銀−メッキ法(例えば、特許文献5、6)
【0005】
そして、写真銀−メッキ法には、下記の(a)、(b)に示す2通りがある。
【0006】
(a)支持体上に設けられた銀塩を含有する銀塩含有層を露光し、現像処理することにより金属銀部と光透過性部とを形成し、さらに前記金属銀部を物理現像及び/又はメッキ処理することにより前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させた導電性金属部を形成する方法(例えば、特許文献5参照)。この方法は、露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀は発現せず、露光マスクに覆われていなくて露光された部分に現像銀が発現する、したがって、露光マスクと比較して反転した形に現像銀が表れるネガ型の露光・現像法である。
【0007】
(b)透明基材上に、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層とをこの順で有する感光材料を露光し、物理現像核上に任意の細線パターンで金属銀を析出させ、次いで前記物理現像核上に設けられた層を除去した後、前記物理現像された金属銀を触媒核として金属をめっきする方法(例えば、特許文献6参照)。この方法は、露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀が発現し、露光マスクに覆われていなくて露光された部分には現像銀が発現しない、したがって、露光マスクと同じ形に現像銀が表れるポジ型の露光・現像法(銀錯塩拡散転写法、以降DTR法と称す。)である。
【特許文献1】特開平11−213115号公報
【特許文献2】特開2002−368523号公報
【特許文献3】特開平9−1970号公報
【特許文献4】特開2000−251047号公報
【特許文献5】特開2004−221564号公報
【特許文献6】国際公開第2004/007810号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の方法(1)においては、強度上の観点から線径を細くするには限界があり、巻線が重なった場合には厚みを充分に薄くできないという問題があった。
上記の方法(2)においては、エッチングにより、アンテナ回路パターンとなるほんのわずかな部分のみを残して、それ以外のほとんど大部分の金属を溶解除去するのは資源を節減するという観点から問題である。また、エッチング処理には時間を要し、生産性が低い上、エッチング処理に使用した廃液の処理にも費用がかさむという問題があった。
上記の方法(3)においては、約150℃以下の低温焼成では基材と印刷したアンテナ回路パターンとの密着性が悪く、剥がれやすいという問題があった。導電性ペーストにはバインダーとして絶縁性の成分が含まれるので比抵抗が大きく、アンテナ回路パターンの電気抵抗値を下げることが困難であるという問題があった。
上記の方法(4)においては、アンテナ回路パターンの線幅を細くするのに限界があるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、厚みを薄くできるとともに生産性に優れ安価に製造することが可能なアンテナ回路装置ならびにそれを備えた非接触ICカード及び無線タグ、ならびにアンテナ回路装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、基材の少なくとも一方の面にアンテナ回路パターンが形成されたアンテナ回路装置であって、前記アンテナ回路パターンは、写真製法により生成された現像銀層の上に無電解メッキによる金属メッキ層が積層された金属層からなることを特徴とするアンテナ回路装置を提供する。
前記無電解メッキ層が、無電解銅メッキ層及び/又は無電解ニッケルメッキ層からなることが好ましい。
前記基材は樹脂フィルムであることが好ましい。
前記アンテナ回路パターンの金属層の線幅が0.02〜1.2mmであり、厚みが0.5〜15μmであることが好ましい。
前記現像銀層は、ポジ型写真製法又はネガ型写真製法によって生成することができる。
【0011】
また、本発明は、上述のアンテナ回路装置を備えたことを特徴とする非接触ICカードを提供する。
また、本発明は、上述のアンテナ回路装置を備えたことを特徴とする無線タグを提供する。
【0012】
また、本発明は、基材の少なくとも一方の面に、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた基材を露光し、次いで現像することにより、現像銀層によるアンテナ回路パターンを生成する工程と、前記現像銀層の上に無電解メッキにより金属メッキ層を積層する工程とを少なくとも含むことを特徴とするアンテナ回路装置の製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、長尺の基材の少なくとも一方の面に、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた基材を、連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、現像銀層によるアンテナ回路パターンが生成した原反ロールを製造する工程と、前記原反ロールから前記基材を連続的に繰り出した後、前記現像銀層の上に無電解メッキにより金属メッキ層を形成し、再び巻き取ってロール体とする工程とを少なくとも含むことを特徴とするアンテナ回路装置の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、長尺の基材の少なくとも一方の面に、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた基材を連続的に繰り出し、連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、現像銀層によるアンテナ回路パターンを生成し、引き続いて、連続的に無電解メッキを行って前記現像銀層の上に金属メッキ層を形成し、再び巻き取ってロール体とすることを特徴とするアンテナ回路装置の製造方法を提供する。
【0015】
前記連続露光装置としては、上記写真製法における露光に用いられる光を透過する材質からなる円筒ドラムと、前記円筒ドラムの外周壁に設けられかつ前記アンテナ回路パターンに対応するマスクパターンが形成された露光マスク部分と、前記円筒ドラムの内部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに巻き付けられた基材に対して円筒ドラムの内側から光を照射する装置を用いることができる。
あるいは、連続露光装置として、円筒ドラムと、アンテナ回路パターンに対応するマスクパターンが形成された露光マスクフィルムと、前記円筒ドラムの外部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに重ねて巻き付けられた基材に対して前記円筒ドラムの外側から光を照射する装置を用いることもできる。
【0016】
前記金属メッキ層を形成する無電解メッキは、無電解銅メッキ及び/又は無電解ニッケルメッキにより行うことが好ましい。
前記現像銀層の生成は、ポジ型写真製法又はネガ型写真製法により行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアンテナ回路装置によれば、写真製法により生成された現像銀層の上に無電解メッキによる金属メッキ層が積層された金属層からアンテナ回路パターンを構成するので、金属層の厚みを薄くできるとともに、生産性に優れ、安価に製造することが可能となる。本発明のアンテナ回路装置を用いることにより、非接触ICカードや無線タグの厚みをより薄くでき、またより安価に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明のアンテナ回路装置の一例を示す図面であり、図1(a)はアンテナ回路装置の概略構成を示す正面図、図1(b)はアンテナ回路の部分拡大断面図である。図2は、図1のアンテナ回路が多数形成された長尺の基材を部分的に示す平面図である。
図3は、ロールtoロールで露光・現像に引き続いて無電解メッキを連続して行う装置の一例を示す概略図である。図4は、ロールtoロールで無電解メッキを行う装置の一例を示す概略図である。図5は、連続露光装置の一例を示す概略図である。図6は、連続露光装置の別の一例を示す概略図である。
【0019】
図1に示すアンテナ回路装置1は、基材2の片面にアンテナ回路パターン3が形成されたアンテナ回路装置であって、図1(b)に示すように、アンテナ回路パターン3を構成する金属層4は、写真製法により生成された現像銀層4aと、この現像銀層4aの上に積層された無電解メッキによる金属メッキ層4bとからなる。
【0020】
図1(a)に示すアンテナ回路パターン3は、基材2の表面上にて周回する渦巻状のコイルとして形成されている。アンテナ回路パターン3の両端には端子5a、5bが設けられており、これらの端子5a、5b間は、基材2の裏面または中間層に配置された導電性の配線6で電気的に接続されている。
アンテナ回路パターン3の作製は、詳しくは後述するが、写真製法により目的とするアンテナ回路パターン3と同じパターンで現像銀層4aを生成した後、この現像銀層4aの上に無電解メッキにより金属メッキ層4bを形成する方法により行う。
アンテナ回路パターン3の金属層4の線幅は、所望とする特性により任意に設定できるが、0.02〜1.2mmの範囲が好ましく、特に好ましいのは0.2〜0.8mmの範囲である。
金属層4の厚みは、所望とする特性により任意に設定できるが、0.5〜15μmの範囲が好ましく、特に好ましいのは2〜12μmの範囲である。
【0021】
非接触ICカードや無線タグに用いられるアンテナ回路装置1の場合、データを読み込み、さらに書き込んで保管する1つ以上のIC7が搭載され、該IC7はアンテナ回路パターン3と接続される。図1にはIC7を1個示すが、必要であれば複数のICを基材2上に搭載しても良い。
【0022】
本形態例のアンテナ回路装置1を製造する場合、図2に示すように、長尺の基材11(特にロールから繰り出したもの)の上に多数のアンテナ回路パターン3を分散して(孤立して)生成し、メッキ後に前記長尺の基材11を個々のアンテナ回路装置の基材2のサイズ(図1を参照。)に切り分けることにより、大量生産が容易になる。このアンテナ回路装置1から非接触ICカードを製造する場合には、アンテナ回路装置1上に、図1(a)に示すようにIC7を搭載してアンテナ回路パターン3と接続した後、基材2に強度を持たせるため、基材2を厚みのあるプラスチック基板に接着して積層し、さらに、外力による変形でアンテナ回路パターン3が断線するのを避けるため、これら全体を外装ケースに収納して保護する。
【0023】
(基材)
本発明に使用されるアンテナ回路の基材2は、誘電体であれば特に限定されないが、取扱い性に優れることからフレキシブル性を有する樹脂フィルムが好ましい。基材2に使用される樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる厚さ50〜300μmの単層フィルム又は前記樹脂からなる複数層の複合フィルムが挙げられる。
基材2は、可視領域で透明性を有し、一般に全光線透過率が90%以上のものが好ましい。なお、写真製法による現像銀層4aの生成に支障がなければ、全光線透過率が90%未満の基材2、例えば不透明の基材を用いても良い。
【0024】
(現像銀層の生成)
現像銀層4aを生成するための写真製法に基づく露光現像法には、上記のとおり、(a)露光マスクに覆われていなくて露光された部分に現像銀が発現する、即ち、露光マスクと反対の形に現像銀が表れるいわゆるネガ型の露光現像方法と、(b)露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀が発現する、即ち、露光マスクと同じ形に現像銀が表れるいわゆるポジ型の露光現像方法の2通りがある。本発明には、(a)ネガ型の露光・現像方法と、(b)ポジ型の露光・現像方法のいずれでも適用できる。
【0025】
以下、ポジ型の露光・現像方法(DTR法)と電解メッキ法を用いたアンテナ回路パターンの作製方法について説明する。DTR法の場合、上記の基材2の表面には、予め物理現像核層が設けられていることが好ましい。物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法等によって基材2上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
【0026】
基材2には、塩化ビニリデンやポリウレタン等のポリマーラテックス層の接着層を設けることができ、また接着層と物理現像核層との間にはゼラチン等の親水性バインダーからなる中間層を設けることもできる。
【0027】
物理現像核層は、親水性バインダーを含有するのが好ましい。親水性バインダー量は物理現像核に対して10〜300質量%程度が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。物理現像核層には親水性バインダーの架橋剤を含有することもできる。
【0028】
物理現像核層や前記中間層等の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができる。本発明において物理現像核層は、上記したコーティング法によって、通常連続した均一な層として設けることが好ましい。
【0029】
物理現像核層に金属銀を析出させるためのハロゲン化銀の供給は、基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に一体的に設ける方法、あるいは別の紙やプラスチック樹脂フィルム等の基材上に設けられたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する方法がある。コスト及び生産効率の面からは前者の物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を一体的に設けるのが好ましい。
【0030】
前記ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀写真感光材料の一般的なハロゲン化銀乳剤の製造方法に従って製造することができる。ハロゲン化銀乳剤は、通常、硝酸銀水溶液、塩化ナトリウムや臭化ナトリウムのハロゲン水溶液をゼラチンの存在下で混合熟成することによって作られる。
前記ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀組成は、塩化銀を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。塩化銀含有率を高くすることによって形成された物理現像銀の導電性が向上する。
【0031】
前記ハロゲン化銀乳剤層は、各種の光源に対して感光性を有している。アンテナ回路パターンを作製するための1つの方法として、例えば渦巻き状などのアンテナ回路に適したパターンの物理現像銀の形成が挙げられる。この場合、ハロゲン化銀乳剤層の露光方法として、前記アンテナ回路パターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて走査露光する方法等がある。前者の密着露光は、ハロゲン化銀の感光性は比較的低くても可能であるが、レーザー光を用いた走査露光の場合は比較的高い感光性が要求される。従って、後者の露光方法を用いる場合は、ハロゲン化銀の感光性を高めるために、ハロゲン化銀は化学増感あるいは増感色素による分光増感を施してもよい。化学増感としては、金化合物や銀化合物を用いた金属増感、硫黄化合物を用いた硫黄増感、あるいはこれらの併用が挙げられる。好ましくは、金化合物と硫黄化合物を併用した金−硫黄増感である。上記したレーザー光で露光する方法においては、450nm以下の発振波長の持つレーザー光、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードともいう)を用いることによって、明室下(明るいイエロー蛍光灯下)でも取り扱いが可能となる。
【0032】
物理現像核層が設けられる基材上の任意の位置、たとえば接着層、中間層、物理現像核層あるいはハロゲン化銀乳剤層、保護層、または支持体を挟んで設けられる裏塗り層にハレーションないしイラジエーション防止用の染料もしくは顔料を含有させてもよい。
【0033】
物理現像核層の上に直接にあるいは中間層を介してハロゲン化銀乳剤層が塗設された感光材料を用いて現像銀を生成する場合は、アンテナ回路パターンの透過原稿と上記感光材料を密着して露光、あるいは、アンテナ回路パターンのデジタル画像を各種レーザー光の出力機で上記感光材料に走査露光した後、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で処理することにより銀錯塩拡散転写現像(DTR現像)が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出してアンテナ回路パターンの物理現像銀薄膜を得ることができる。露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、ハロゲン化銀乳剤層及び中間層、あるいは必要に応じて設けられた保護層は水洗除去されて、アンテナ回路パターンの物理現像銀薄膜が表面に露出する。
【0034】
DTR現像後、物理現像核層の上に設けられたハロゲン化銀乳剤層等の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。
【0035】
一方、物理現像核層が塗布された基材とは別の基材上に設けたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する場合、前述と同様にハロゲン化銀乳剤層に露光を与えた後、物理現像核層が塗布された基材と、ハロゲン化銀乳剤層が塗布された別の感光材料とを、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で重ね合わせて密着し、アルカリ液中から取り出した後、数十秒〜数分間経過した後に、両者を剥がすことによって、物理現像核上に析出したアンテナ回路パターンの物理現像銀薄膜が得られる。
【0036】
次に、銀錯塩拡散転写現像のために必要な可溶性銀錯塩形成剤、還元剤、及びアルカリ液について説明する。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物であり、これらの作用はアルカリ液中で行われる。
【0037】
本発明に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、アルカノールアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、T.H.ジェームス編のザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス4版の474〜475項(1977年)に記載されている化合物等が挙げられる。
【0038】
前記還元剤としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
【0039】
上記した可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤は、物理現像核層と一緒に基材に塗布してもよいし、ハロゲン化銀乳剤層中に添加してもよいし、またはアルカリ液中に含有させてもよく、更に複数の位置に含有してもよいが、少なくともアルカリ液中に含有させるのが好ましい。
【0040】
アルカリ液中への可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.1〜5モルの範囲で用いるのが適当であり、還元剤は現像液1リットル当たり0.05〜1モルの範囲で用いるのが適当である。
【0041】
アルカリ液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14の範囲が好ましい。銀錯塩拡散転写現像を行うためのアルカリ液の適用は、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯流されたアルカリ液中に、物理現像核層及びハロゲン化銀乳剤層が設けられた基材を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えばハロゲン化銀乳剤層上にアルカリ液を1平方メートル当たり40〜120ml程度塗布するものである。
【0042】
上述の物理現像法によってアンテナ回路パターンとして形成される現像銀層の表面抵抗値は、3〜5Ω/□である。しかしながら、この物理現像法による現像銀層4a(銀画像)自体は、現像処理により生じる金属銀粒子が極めて小さく、かつ銀画像中に存在する親水性バインダー量が極めて少ないことにより、銀画像を形成する金属銀粒子が最密充填状態に近い状態で銀画像が形成されて通電性を有しているため、銅やニッケルなどの金属によるメッキを施すことにより、アンテナ回路パターン3を構成する金属層4の線幅が0.02〜1.2mm、厚みが0.5〜15μmであるとき、金属メッキ層4bを含めた表面抵抗値を0.01〜1.0Ω/□にすることができる。
【0043】
(金属メッキ層)
現像銀層4a上に金属メッキ層4bを積層するときに用いるメッキ法は、図2に示すように、長尺の基材11(特にロールから繰り出したもの)の上に多数のアンテナ回路パターン3を分散して(孤立して)生成し、メッキ後に前記長尺の基材11を個々のアンテナ回路装置の基材2のサイズ(図1を参照。)に切り分ける場合には、互いに電気的接続がないアンテナ回路パターン3へのメッキを一括して行うことが可能である点で、無電解メッキ法が好ましい。
【0044】
本発明において、金属メッキ法は公知の方法で行うことができるが、例えば無電解メッキ法は、銅、ニッケル、銀、金、スズ、はんだ、あるいは銅/ニッケルの多層あるいは複合系などの従来公知の方法を使用でき、これらについては、「無電解めっき 基礎と応用;日刊工業新聞社、1994年5月30日初版」等の文献を参照することができる。
メッキが容易で、かつメッキ層の導電性が優れ、さらに厚膜にメッキでき、低コストであるなどの理由により、メッキに用いる金属としては、銅(Cu)および/またはニッケル(Ni)が好ましい。金属メッキ層は、メッキを複数回行うことにより、同種の金属または異種の金属を複数層積層することも好ましい。例えば、現像銀の上に第1のメッキ層、さらにその上に第2のメッキ層を積層する場合に、一方のメッキ層が無電解ニッケルメッキ層であり、他方のメッキ層が無電解銅メッキ層である組み合わせが好ましい。
メッキに使用するメッキ槽の型式は、竪型、横型のいずれであっても構わないが、所定のメッキ滞留時間を確保できるように長さを決定する。
【0045】
(連続生産用の製造装置)
図2に示すように、長尺の基材11(特にロールから繰り出した長尺の基材)の上に多数のアンテナ回路パターン3を分散して(孤立して)生成する場合には、原反ロールから長尺の基材11を繰り出し、現像銀層の露光・現像工程および/または金属メッキ層のメッキ工程をロールtoロールで行うと、生産性を向上できる等の利点があり、好ましい。
【0046】
図3に示す装置10において、原反ロール12は、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層(詳しくは上述)を長尺の基材11上に設けたシートをロール状に巻き取ったものである。原反ロール12から繰り出された基材11は、所要箇所に配置された移送ロール13、13、13、…により、同図の左から右に移送される。基材11は、まず、連続露光装置14に移送されて所定のマスクパターンで焼き付けられる(露光される)。ここで、連続露光装置14とは、詳しくは後述するが、透明基材を連続送りにて移送しながら露光を行う装置である。
【0047】
次に、露光された基材11は、現像装置15に移送されて、写真現像された現像銀がアンテナ回路パターン形状に定着される。次に、水洗浄槽16に通されて洗浄され、不要な異物や汚染物が除去された後、メッキ工程を行うため無電解メッキ槽17に移送される。
【0048】
無電解メッキ槽17では、無電解メッキ液18を通して無電解メッキが行われ、基材11の表面の現像銀層の上に無電解メッキ層が析出する。無電解メッキ液18の温度は、所定温度となるように温度調整器(図示せず)にて制御される。無電解メッキ液18は、無電解メッキ槽17の基材11が通される隙間(スリット)から漏出して落下しうる。このため、無電解メッキ槽17の下方には、漏出した無電解メッキ液18を受ける受け槽19が設置されており、受け槽19に受け止められた無電解メッキ液18が循環ポンプ20及びフィルター21を経て再び無電解メッキ槽17に再循環するように構成されている。
無電解メッキ槽17を出た基材11は、水洗浄槽22で不要な無電解メッキ液18を洗い落としてから乾燥器23にて水切り乾燥され、再びロール24に巻き取られる。
【0049】
また、メッキ工程において、無電解メッキ槽17及び水洗浄槽22を複数組(2組以上)繰り返して設置し、1回のロールtoロールの処理の間に無電解メッキを複数回行うことにより、現像銀層とその上に2層以上の層数の金属メッキ層が積層された金属層からなるアンテナ回路パターンを得ることもできる。
【0050】
図3に示す装置構成によれば、1回のロールtoロール処理の間に、写真製法による現像銀層の生成(露光・現像工程)と無電解金属メッキ層の形成(金属メッキ工程)とを引き続いて連続的に実施することができ、処理速度の一層の向上、低コスト化を図ることができる。本形態例において、写真製法による現像銀層の生成後、基材の表面が湿潤した状態を保持したまま引き続いて金属メッキ工程を行うことが好ましい。この場合、微小気泡が現像銀層の表面に付着してメッキ液との接触を妨害してメッキ不良の原因となるのを減少させることができる。
【0051】
また、図4に示す製造装置10Aは、長尺の基材11の少なくとも一方の面に、写真製法により露光・現像されて現像銀がアンテナ回路パターンの形状に定着されている原反ロール12Aから基材11を繰り出し、連続的に無電解メッキを行う装置である。図4に示す製造装置10Aにおいて、基材11は、ロール状に巻き取られた原反ロール12Aから、所要箇所に配置された移送ロール13、13、13、…により、同図の左から右に移送される。基材11は、まず、水洗浄槽16に通されて洗浄され、不要な異物や汚染物が除去される。次に、メッキ工程を行うため無電解メッキ槽17に移送される。
図4の製造装置10Aにおいて、無電解メッキ槽17から製品のロール24までの構成は、図3に示す製造装置10と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0052】
(露光装置)
上記の露光方法による露光装置としては、枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いる枚葉処理方式の露光装置と、連続したパターンが形成できる連続露光装置とがある。枚葉処理方式の露光装置は、所定のマスクパターンが形成された枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いて、基材を間欠送りで露光装置に送り、装置内を真空排気して露光マスクと基材とを密着させて隙間を無くしてから、例えば紫外線で露光する。枚葉処理方式の露光装置では、真空排気、露光、大気開放を間欠的に行うので、連続的な生産ができず、処理速度は遅くなる。
【0053】
これに対して図5、図6に例示するように、基材を連続的に露光できる連続露光装置30、40を用いると、枚葉処理方式の露光装置に比較して処理速度が速く、連続的な生産が可能になるという長所がある。
これらの連続露光装置30、40は、図3に示すように、ロールtoロールで露光・現像工程とメッキ工程を引き続いて連続的に行う場合には、製造装置10に組み込まれる連続露光装置14として、図5、図6に例示するような連続露光装置30、40を用いることができる。また、図4に示すように、メッキ工程を行うロールtoロール処理とは別に露光・現像工程を行う場合には、製造装置10Aとは別に設けられた装置により連続露光と現像を行い、前記原反ロール12Aを製造する。
なお、これら連続露光装置30、40を示す図面では、前記露光に用いる基材には、図3に示す製造装置10を用いる場合と図4に示す製造装置10Aを用いる場合とで区別することなく、共通の符号34、44を付して説明することにする。
【0054】
図5に示す連続露光装置30は、写真製法における露光に用いられる光を透過する材質からなる円筒ドラム31と、円筒ドラム31の外周壁に設けられた露光マスク部分32と、円筒ドラム31の内部に配設された露光用光源33とを備え、円筒ドラム31の内側の光源33から出射した光によって円筒ドラム31に巻き付けられた基材34を露光する装置である。この連続露光装置30には、特定の照射方向に光を透過する開口部36を有する光源カバー35を露光用光源33の周囲に設けることができる。基材34を露光するパターン(すなわちアンテナ回路パターンに対応するパターン)は、露光マスク部分32の光を透過する部分のパターンによって決定される。円筒ドラム31に対する露光マスク部分32の配設は、例えば、円筒ドラム31の外周壁の表面(内面又は外面)に設けられ、あるいは外周壁の内部に挿入又は挟み込まれることによって行われる。なお図5は、露光マスク部分32を円筒ドラム31の外周壁の外面に設けた場合を例示した図面である。
【0055】
この連続露光装置30では、円筒ドラム31は、連続的に移送される基材34と同じ速度で回転しているので、基材34の各部分が円筒ドラム31に巻き付けられた箇所において露光される間、基材34に対する露光マスク部分32のパターン(光を透過する部分と遮光する部分のパターン)がずれることがなく、所要時間の露光を継続することが可能である。露光装置に利用する光源33としては、ハロゲン化銀乳剤層に含まれるハロゲン化銀乳剤の分光特性、感度により適宜選択することができるが、例えばタングステンランプ、紫外線ランプ、蛍光ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を利用することができる。露光の際、光源カバー35は回転せず、開口部36が常時一定の方向(図5の右方向)を向いているので、基材34が円筒ドラム31の表面から離れている部分では光源33の光が光源カバー35によって遮られる。すなわち、連続露光装置30の光源33による基材34の露光は、基材34がその移送経路上において円筒ドラム31の表面に巻き付けられている一定の範囲37内でなされるので、感光層の感度に合わせて、露光の光量及び照射時間を制御することにより、最適な光量を確実に照射することができる。
【0056】
一方、図6に示す連続露光装置40は、円筒ドラム41と、アンテナ回路パターンに対応したパターンが形成された露光マスクフィルム42と、前記円筒ドラム41の外部に配設された露光用光源43とを備え、前記円筒ドラム41に重ねて巻き付けられた基材44に対して円筒ドラム41の外側から光を照射し、露光マスクフィルム42を通して基材44を露光する装置である。
露光マスクフィルム42は、例えば、透明樹脂フィルムの上に、縮小露光によるフォトリソグラフ方法などの公知の方法にてマスクとなるパターンを形成したものであり、基材44と重ね合わせた状態で円筒ドラム41上にて露光に使用する。その後、露光マスクフィルム42は、基材44から切離されて巻き取られ、繰り返しての使用に供される。
光源43が円筒ドラム41の外部にある場合は、円筒ドラム41の透明性について特に限定はなく、不透明でもよい。
【0057】
この連続露光装置40には、特定の照射方向に光を透過する開口部46を有する光源カバー45を露光用光源43の周囲に設けることができる。これにより、光源43による基材44の露光は、基材44がその移送経路上において円筒ドラム41の表面に巻き付けられている一定の範囲47内でなされるので、露光の光量及び照射時間の制御を確実に行うことができる。ここで光源43としては、上記の連続露光装置30の光源33と同様のものを利用できるので、重複する説明を省略する。
【0058】
図6に示す連続露光装置40は、重ね合わせた基材44と露光マスクフィルム42を、円筒ドラム41に巻きつけながら連続的に移送するので、両者に適度なテンションを与えながら移送が可能であり、移送速度の制御が容易であるとともに、基材44の各部分が円筒ドラム41に巻き付けられた箇所において露光される間、基材44に対する露光マスクフィルム42のパターン(光を透過する部分と遮光する部分のパターン)がずれることがなく、所要時間の露光を継続することが可能である。
なお、上記に例示した連続露光装置30、40以外にも、例えば、重ね合わせた透明基材と露光マスクフィルムを、直線状の経路に沿って連続的に搬送しながら光源を用いて連続露光する装置などを用いることもできる。また、露光用の光源の個数は特に限定されず、必要に応じて複数個(複数箇所に)設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、RFID(Radio Frequency Identification)等に用いられる、非接触ICカードや無線タグに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明のアンテナ回路装置の一例を示す図面であり、(a)はアンテナ回路装置の概略構成を示す正面図、(b)はアンテナ回路の部分拡大断面図である。
【図2】図1に示すアンテナ回路が多数形成された長尺の基材を部分的に示す平面図である。
【図3】ロールtoロールで露光・現像に引き続いて無電解メッキを連続して行う装置の一例を示す概略図である。
【図4】ロールtoロールで無電解メッキを行う装置の一例を示す概略図である。
【図5】連続露光装置の一例を示す概略図である。
【図6】連続露光装置の別の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0061】
1…アンテナ回路装置、2…基材、3…アンテナ回路パターン、4…金属層、4a…現像銀層、4b…金属メッキ層、5a、5b…端子、6…導電性の配線、7…IC、10、10A…製造装置、11…長尺の基材、12、12A…原反ロール、13…移送ロール、14…連続露光装置、15…現像装置、16…水洗浄槽、17…無電解メッキ槽、18…無電解メッキ液、19…受け槽、20…循環ポンプ、21…フィルター、22…水洗浄槽、23…乾燥器、30…連続露光装置、31…円筒ドラム、32…露光マスク部分、33…露光用光源、34…基材、35…光源カバー、40…連続露光装置、41…円筒ドラム、42…露光マスクフィルム、43…露光用光源、44…基材、45…光源カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一方の面にアンテナ回路パターンが形成されたアンテナ回路装置であって、
前記アンテナ回路パターンは、写真製法により生成された現像銀層の上に無電解メッキによる金属メッキ層が積層された金属層からなることを特徴とするアンテナ回路装置。
【請求項2】
前記無電解メッキ層が、無電解銅メッキ層及び/又は無電解ニッケルメッキ層からなることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ回路装置。
【請求項3】
前記基材が樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ回路装置。
【請求項4】
前記アンテナ回路パターンの金属層の線幅が0.02〜1.2mmであり、厚みが0.5〜15μmであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のアンテナ回路装置。
【請求項5】
前記現像銀層は、ポジ型写真製法又はネガ型写真製法によって生成されたものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のアンテナ回路装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のアンテナ回路装置を備えたことを特徴とする非接触ICカード。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載のアンテナ回路装置を備えたことを特徴とする無線タグ。
【請求項8】
基材の少なくとも一方の面に、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた基材を露光し、次いで現像することにより、現像銀層によるアンテナ回路パターンを生成する工程と、
前記現像銀層の上に無電解メッキにより金属メッキ層を積層する工程とを少なくとも含むことを特徴とするアンテナ回路装置の製造方法。
【請求項9】
長尺の基材の少なくとも一方の面に、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた基材を、連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、現像銀層によるアンテナ回路パターンが生成した原反ロールを製造する工程と、
前記原反ロールから前記基材を連続的に繰り出した後、前記現像銀層の上に無電解メッキにより金属メッキ層を形成し、再び巻き取ってロール体とする工程とを少なくとも含むことを特徴とするアンテナ回路装置の製造方法。
【請求項10】
長尺の基材の少なくとも一方の面に、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた基材を連続的に繰り出し、連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、現像銀層によるアンテナ回路パターンを生成し、引き続いて、連続的に無電解メッキを行って前記現像銀層の上に金属メッキ層を形成し、再び巻き取ってロール体とすることを特徴とするアンテナ回路装置の製造方法。
【請求項11】
前記連続露光装置は、上記写真製法における露光に用いられる光を透過する材質からなる円筒ドラムと、前記円筒ドラムの外周壁に設けられかつ前記アンテナ回路パターンに対応するマスクパターンが形成された露光マスク部分と、前記円筒ドラムの内部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに巻き付けられた基材に対して円筒ドラムの内側から光を照射する装置であることを特徴とする請求項9又は10に記載のアンテナ回路装置の製造方法。
【請求項12】
前記連続露光装置は、円筒ドラムと、アンテナ回路パターンに対応するマスクパターンが形成された露光マスクフィルムと、前記円筒ドラムの外部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに重ねて巻き付けられた基材に対して前記円筒ドラムの外側から光を照射する装置であることを特徴とする請求項9又は10に記載のアンテナ回路装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−143003(P2007−143003A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336784(P2005−336784)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】