説明

アンテナ

【課題】 小型であるとともに従来のアンテナよりも優れた受信特性を有するアンテナを提供する。
【解決手段】 伝送線路4のうち平面部2Aに平行な伝送線路4Aおよび反射器2の平面部2Aは第1のストリップ線路を構成する。また、伝送線路4のうち平面部2Aに垂直な伝送線路4Bおよび導電板5A,5Bも同様に第2のストリップ線路を構成する。放射器6A,6Bの放射インピーダンスおよび伝送線路4の特性インピーダンスはともにアンテナ出力端基準インピーダンスが75Ωの場合150Ωに設定される。伝送線路4Aの中点をアンテナ出力端とすればこの部分の入力電流が2分されるため、インピーダンスはストリップ線路の半分となり同軸ケーブルを伝送線路4に直接接続することができる。よって、整合器あるいは合成器がアンテナ1には含まれないので、整合や合成による損失が生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小型、かつ、優れた受信特性を有するアンテナに関し、特にUHF(Ultrahigh Frequency)帯の電波を受信するアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来利用目的に応じた様々なアンテナが提案されている。近年では特に屋内での設置や携帯端末への搭載を目的とした小型アンテナや無指向性アンテナが多く提案されている。
【0003】
たとえば、特開2000−13130号公報(特許文献1)には、複数の閉ループ素子を有することによって、所望の周波数帯域に対応するための閉ループ素子の大きさを小さくすることが可能であるとともに指向性が広くなるアンテナが開示されている。
【0004】
また、特開2004−282319号公報(特許文献2)には、所定の幅寸法と厚さと所定の形状とを有する短冊状の平板金属体を本体部材とするアンテナが開示される。このアンテナは家屋内に設置することを目的として小型化されたアンテナである。
【0005】
また、特開2001−85928号公報(特許文献3)には、折返した方形ベルト状に形成された、導体のアンテナエレメントを有するフォールデッドダイポール状のアンテナが開示される。
【0006】
また、特開平5−63435号公報(特許文献4)には、放射素子に近接して付加素子を配置することによりアンテナに複共振特性を起こさせて帯域幅を広くするとともに、放射素子および付加素子にリアクタンス素子を装荷し、リアクタンスの値を変更して給電線の特性インピーダンスとのインピーダンス整合を行なうことにより、広帯域において十分な受信を行なうことができるアンテナ装置が開示される。
【0007】
一方、日本では2003年に地上デジタル放送が始まり、視聴可能地域が現在拡大中である。地上デジタル放送の開始にあわせ、デジタルハイビジョン受信マーク(DHマーク)が付された受信機器が市場に投入されている。
【0008】
DHマークとは社団法人電子情報技術産業協会(Japan Electronics and Information Technology industries Association:JEITA)に登録された、一定以上の性能を有する受信システム機器であることを保証するシンボルマークである。DHマークの登録対象製品の中には、地上デジタル放送を受信するUHF(Ultrahigh Frequency)アンテナが含まれる。
【0009】
テレビ放送信号の受信アンテナとしては、八木アンテナが多く用いられる。八木アンテナの場合、利得や前後比といった性能を向上させるために導波器の数を増やす、あるいは反射器の面積を大きくするといった改良が一般的に行なわれる。
【0010】
また、アンテナの性能を向上させる別の方法として、従来のものと構成を変える方法がある。たとえば利得を向上させることが可能なアンテナとしては複数のアンテナを組み合わせたスタックアンテナが従来から知られている。
【0011】
図25は、スタックアンテナの構成例を示す図である。
図25を参照して、スタックアンテナ100は、アンテナANT11,ANT12を含む。アンテナANT11,ANT12はともにUHF帯の電波を受信する八木アンテナである。アンテナANT11,ANT12で受信された電波はそれぞれ整合器101,102を介して合成器103に入力される。合成器103は入力された2つの電波を合成して出力する。
【0012】
アンテナANT11,ANT12の出力インピーダンスはともに300Ωである。一方、合成器103の入力インピーダンスは75Ωである。アンテナANT11,ANT12が合成器103に直接接続されるとインピーダンスの不整合に伴う損失が大きくなる。インピーダンスを整合させるために整合器101,102がそれぞれアンテナANT11,ANT12に接続される。
【特許文献1】特開2000−13130号公報
【特許文献2】特開2004−282319号公報
【特許文献3】特開2001−85928号公報
【特許文献4】特開平5−63435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
八木アンテナは一般的に屋外に設置されて使用される。よってアンテナが大型化すると、設置に要する面積が増えるとともに風の影響を受けやすくなる。特に性能の向上のために反射器の面積が大きくなると風を受けたときに破損しやすくなる。
【0014】
特に、アンテナの大型化の傾向はアナログ放送と地上デジタル放送とを受信できる広帯域アンテナ(全帯域アンテナ)において顕著に現われる。単数(シングル)の八木アンテナで利得を向上させて地上デジタル放送のようなUHFローチャネル帯域(13チャネル〜44チャネル)の電波を受信しようとすれば必然的にアンテナが大きくなるが、大きなアンテナほど、上述のような設置面積や破損の問題が生じやすくなる。
【0015】
また、図25に示されるスタックアンテナの場合、整合器や合成器において損失が発生する。よって、性能は理論どおりに向上しない。
【0016】
さらに、上述の小型アンテナや無指向性アンテナは地上デジタル放送の受信に適した性能を有していない。まず、従来のアンテナは小さくなるほど利得等の性能が低下する。また無指向性アンテナは送信アンテナから直接電波を受けるだけでなく、周囲に障害物があれば障害物によって反射された電波も受ける、マルチパス伝搬(多重路伝搬)の影響を受ける。
【0017】
アナログ放送の場合、多重路伝搬によってテレビジョンにゴーストが生じる。しかしデジタル放送の場合、ある一定上の多重路伝搬が生じると画像がテレビジョンに映し出されなくなる。よって、従来の小型アンテナや無指向性アンテナは地上デジタル放送の受信には適していない。
【0018】
本発明の目的は小型であるとともに従来のアンテナよりも優れた受信特性を有するアンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は要約すれば、アンテナであって、所定の電波を反射するための平面部を有する、導電体により構成される反射器と、平面部と所定の距離を隔てて、平面部に向き合うように設けられる、第1の伝送線路と、平面部に対して第1の伝送線路と同じ側に設けられ、各々が導電体により構成される複数の放射器とを備え、複数の放射器の各々は、第1、第2の給電点を有し、第1、第2の給電点は平面部との距離がともに所定の距離より大きくなるように配置される。
【0020】
アンテナは、複数の放射器の各々に対応して設けられ、第1の給電点と第1の伝送線路とを電気的に接続する複数の第2の伝送線路と、複数の第2の伝送線路とそれぞれ平行になるように設けられ、第2の給電点と平面部とを電気的に接続する複数の導電板とをさらに備える。
【0021】
複数の導電板の各々は、第2の伝送線路に沿う方向から見て、第2の伝送線路に対向する面の幅が第2の伝送線路の線幅よりも広い。
【0022】
好ましくは、第2の伝送線路の各々および複数の導電板の各々は、平面部に対して垂直になるように設けられる。
【0023】
より好ましくは、複数の導電板の各々は、第1の伝送線路の中点を通り平面部に垂直な軸に対し、第2の伝送線路よりも外側に設けられ、第2の給電点が第1の給電点よりも軸の内側にある場合には、対応する放射器との接続部分において第2の伝送線路と交差するように第2の給電点に電気的に接続される。
【0024】
好ましくは、アンテナは、複数の放射器のそれぞれに対応して設けられ、導電体により構成される複数の導波器をさらに備える。
【0025】
より好ましくは、複数の導波器の各々は、対応する放射器を平面部との間に挟み、複数の導波器の各々は、複数の平行に配置された導電板を含む。
【0026】
より好ましくは、複数の放射器の各々は、第1、第2の給電点を結ぶ線分を含む軸に対称な第1、第2の放射面を含み、複数の導波器の各々は、第1、第2の放射面の各々に対向するように、第1、第2の放射面ごとに設けられる。
【0027】
好ましくは、複数の放射器は、入力インピーダンスがともに所定の値の2倍である、2個の放射器であり、複数の第2の伝送線路は、特性インピーダンスがともに所定の値の2倍である、2本の導線であり、第1の伝送線路は、特性インピーダンスが所定の値の2倍であり、両端部において2本の導線のそれぞれと接続され、中点にアンテナ出力端が設けられる。
【0028】
より好ましくは、2個の放射器の各々は、第3、第4の給電点を有する第1、第2のダイポール素子を含み、第1、第2のダイポール素子は、第3の給電点同士が重なり、かつ、第4の給電点同士が重なるか、または、第3の給電点同士が近接し、かつ、第4の給電点同士が近接するように設けられ、第1の給電点は、重なりあう第3の給電点であるか、または近接する第3の給電点同士を結ぶ線分上の点であり、第2の給電点は、重なりあう第4の給電点であるか、または近接する第4の給電点同士を結ぶ線分上の点である。
【0029】
さらに好ましくは、第1および第2のダイポール素子の各々は、第3および第4の給電点を結ぶ線分の中点から第3および第4の給電点を通る軸に沿って遠ざかるに従い、軸に垂直な方向の幅が広がるように、少なくとも一部が形成される。
【0030】
さらに好ましくは、反射器は、アンテナが設置された状態において第1の伝送線路よりも下側に位置する辺に接し、平面部と180°以外の所定の角度をなすように設けられる周辺部をさらに有する。アンテナは、出力を伝達するケーブルを第1の伝送線路の中点に電気的に接続するコネクタをさらに備える。コネクタは、周辺部において、中点を通り第1の伝送線路に垂直な軸上との交点の位置に設けられる。
【0031】
好ましくは、複数の放射器の各々は、第1および第2のダイポール素子を含む。第1および第2のダイポール素子の各々は、第3および第4の給電点を有する。第1および第2のダイポール素子の各々は、第3および第4の給電点を結ぶ線分の中点から第3および第4の給電点を通る軸に沿って遠ざかるに従い、軸に垂直な方向の幅が広がるように少なくとも一部が形成される。
【0032】
好ましくは、複数の放射器は、各々の入力インピーダンスが所定の値の2倍である、4個の放射器であり、複数の第2の伝送線路は、各々の特性インピーダンスが所定の値の2倍である、4本の導線である。
【0033】
アンテナは、4本の導線のうちの第1、第2の導線と第1の伝送線路との間でインピーダンス整合を行なう第1の整合部と、4本の導線のうちの第3、第4の導線と第1の伝送線路との間でインピーダンス整合を行なう第2の整合部とをさらに備える。
【0034】
第1の伝送線路は、特性インピーダンスが所定の値の2倍であり、かつ、中点にアンテナ出力端が設けられ、第1の伝送線路の一方端と他方端とは、第1、第2の整合部のそれぞれと接続される。
【0035】
より好ましくは、4個の放射器の各々は、第3、第4の給電点を有する第1、第2のダイポール素子を含み、第1、第2のダイポール素子は、第3の給電点同士が重なり、かつ、第4の給電点同士が重なるか、または、第3の給電点同士が近接し、かつ、第4の給電点同士が近接するように設けられ、第1の給電点は、重なりあう第3の給電点であるか、または近接する第3の給電点同士を結ぶ線分上の点であり、第2の給電点は、重なりあう第4の給電点であるか、または近接する第4の給電点同士を結ぶ線分上の点である。
【0036】
好ましくは、複数の導波器の各々は、中央部と、中央部の周辺に設けられる周辺部とを含み、周辺部の少なくとも一部は、平面部との距離が、中央部と平面部との距離と異なるように設けられる。
【0037】
好ましくは、反射器は、平面部の周囲の少なくとも一部に、平面部に接する周辺部をさらに有し、周辺部は、平面部に対して180°以外の所定の角度をなすように設けられる。
【0038】
好ましくは、放射器の各々は、中央部と、端部とを含み、端部の少なくとも一部は、平面部との距離が、中央部と平面部との距離と異なるように設けられる。
【0039】
好ましくは、第1の伝送線路と平面部とは、平面部を地板とする第1のストリップ線路を構成し、複数の第2の伝送線路と、複数の導電板のうち複数の第2の伝送線路のそれぞれに対応する導電板とは、対応する導電板を地板とする複数の第2のストリップ線路を構成する。
【0040】
より好ましくは、アンテナは、受信する所定の電波と、所定の電波と異なる周波数帯の電波とを混合して出力する混合器をさらに備える。
【0041】
より好ましくは、アンテナは、受信する所定の電波を増幅する増幅器をさらに備える。
さらに好ましくは、所定の電波は、UHF(Ultrahigh Frequency)帯の電波である。
【発明の効果】
【0042】
本発明のアンテナによれば、放射器に対してストリップ線路による給電が行なわれ、かつ、ストリップ線路の伝送線におけるインピーダンスが同軸ケーブルの特性インピーダンスと等しくなるように設定されるので同軸ケーブルを直接、ストリップラインに接続することができる。よって、本発明のアンテナでは整合器あるいは混合器が不要になる結果、整合や混合による損失が生じないので、小型であるとともに性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0044】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1によるアンテナの全体図である。
【0045】
図1を参照して、アンテナ1は、反射器2、伝送線路4、導電板5A,5B、放射器6A,6B、および導波器7A,7Bを含む。
【0046】
反射器2はUHF帯の電波を反射するための平面部2Aを含む。反射器2は導電体により構成される。なお、反射器2は、平面部2Aの周囲に設けられる周辺部2B,2Cを含む。周辺部2B、2Cの各々は平面部2Aに対して180°以外の所定の角度をなすように設けられる。つまり、反射器2は周辺が反射方向(Z軸の正方向)に折れ曲がるように構成される。このように反射器2が構成されることによって、アンテナ1は小型になる。
【0047】
なお、図1では反射器2は周辺部2B、2Cがともに反射方向に折れ曲がるように形成されているが、周辺部2Bあるいは周辺部2Cのいずれか一方が反射方向に折れ曲がるように形成されてもよい。
【0048】
伝送線路4は所定の距離を隔てて平面部2Aに対向するように設けられる伝送線路4Aを含むとともに、放射器6A,6Bの各々に対応して設けられ、放射器6A,6Bの各々が有する2つの給電点のうち、第1の給電点と伝送線路4Aとを電気的に接続する伝送線路4Bを2つ含む。なお、伝送線路4Aは平面部2Aに平行であり、伝送線路4Bは平面部2Aに垂直である。
【0049】
導電板5A,5Bは放射器6A、6Bの各々に対応して設けられる。導電板5A,5Bはともに放射器の第2の給電点と反射器2とを電気的に接続する。なお、導電板5A,5Bの各々は、伝送線路4Bに沿った方向(Z軸方向)から見た場合に、伝送線路4Bに対向する面の幅が伝送線路4Bの線幅よりも広くなるように設けられる。
【0050】
伝送線路4Bおよび導電板5A、5Bは平面部2Aに対して垂直に設けられる。平面部2Aに対し伝送線路4Bおよび導電板5A、5Bの角度が90°に近づくほどアンテナ1の特性に影響を与えない。
【0051】
放射器6A,6Bは平面部2Aに対して伝送線路4Aと同じ側に設けられる。各々の放射器は2つの給電点を有する。2つの給電点と平面部2Aとの距離はともに伝送線路4Aと平面部2Aとの距離よりも大きい。なお、放射器6A,6Bは、ともに平面部2Aに平行になるように設けられてもよいし、平面部2Aに対する距離が放射器の中央部と端部で異なるように設けられてもよい。つまり、小型化のために放射器6A,6Bは端部が反射方向あるいは反射方向と逆方向に折れ曲がるように形成されてもよい。図1では放射器6A,6Bはそれぞれ反射方向と逆方向に折れ曲がるように形成される端部6AB,6BBを含む。
【0052】
導波器7A,7Bは放射器6A,6Bの各々に対応して設けられる導電板である。導電板の幅や長さは受信する電波に応じて適切に定められる。なお、導波器が1枚の導電板で構成される場合、所定の特性が得られない。このため導波器は放射器ごとに設けられる。
【0053】
次にアンテナ1の大きさについて、例えばUHFテレビ受信アンテナの場合を説明する。なお、以下ではアンテナ1のX軸方向の長さ、Y軸方向の長さ、Z軸方向の長さをそれぞれ「高さ」、「幅」、「長さ」と称することにする。アンテナ1の高さは約140mmであり、幅は約400mmであり、長さは約150mmである。
【0054】
8素子型の八木アンテナの場合における高さ、幅および長さの一例を示すとそれぞれ73mm、336mm、630mmである。アンテナ1は、8素子型の八木アンテナよりも反射器の面積が大きい(高さ×幅で定まる面積が大きい)が、長さが短いので8素子型の八木アンテナよりも全体の大きさが小さくなる。反射器2の面積が大きい理由は「前後比」や「半値幅」などの特性をUHF帯の全周波数範囲にわたり良好にするためである。
【0055】
アンテナ1の特徴について要約して説明する。伝送線路4のうち平面部2Aに平行な伝送線路4Aおよび反射器2の平面部2Aは第1のストリップ線路を構成する。また、伝送線路4のうち平面部2Aに垂直な伝送線路4Bおよび導電板5A,5Bも同様に第2のストリップ線路を構成する。放射器6A,6Bの放射インピーダンスおよび伝送線路4の特性インピーダンスはともにアンテナ出力端基準インピーダンスが75Ωの場合150Ωに設定される。伝送線路4Aの中点をアンテナ出力端とすればこの部分の入力電流が2分されるため、インピーダンスはストリップ線路の半分となり同軸ケーブルを伝送線路4に直接接続することができる。よって、従来のアンテナで利得を低下させる原因であった整合器あるいは合成器がアンテナ1には含まれず、整合や合成による損失が生じないため小型でありながら優れた受信性能を得ることができる。
【0056】
より詳細に説明すると、伝送線路4Aは第1のストリップ線路における導体線であり、平面部2Aは地板(接地板)である。同様に伝送線路4Bは第2のストリップ線路における導体線であり、導電板5A,5Bは地板である。伝送線路4はインピーダンスが150Ωになるように地板からの距離や線幅が適切に定められている。
【0057】
導電板5A,5Bは伝送線路4の外側に一定の指定間隔を隔ててほぼ平行に設けられる。つまり、Z軸を伝送線路4Aの中点を通り平面部2Aに垂直な軸としたときに、導電板5A,5Bは伝送線路4A,4BのそれぞれよりもZ軸の外側に設けられる。このように導電板5A,5Bが設けられることによって、伝送線路4はストリップ線路となる。
【0058】
図2は、図1のアンテナ1を分解して示す図である。
図2を参照して、アンテナ1は、反射器2、導波器7A,7Bおよび反射器2、導波器7A,7Bを除く部分に分解されて示される。なお、実際の使用環境においてアンテナ1はカバー8,9により覆われる。カバー8,9の材料はたとえば樹脂である。アンテナ1は屋外(たとえばベランダ)に設置されるため風雨の影響を受けやすい。このためカバー8,9が設けられる。なお、図2に示されるように伝送線路4Aの中点にはアンテナ出力端FD1が設けられる。
【0059】
図3(A)(B)(C)は、放射器と伝送線路4および導電板5A,5Bとの接続を説明する図である。
【0060】
図3(A)を参照して、伝送線路4Aは平面部2Aと所定の距離を隔て、平面部2Aに平行に設けられる。また、伝送線路4B1,4B2は平面部2Aに垂直に設けられる。導電板5A、5Bは平面部2Aに対して垂直に設けられるとともに、伝送線路4B1、4B2よりもそれぞれ外側に平行に設けられる。
【0061】
放射器6Aは給電点6A1,6A2を有する。伝送線路4B1は給電点6A1に電気的に接続され、導電板5Aは給電点6A2に電気的に接続される。同様に放射器6Bは給電点6B1,6B2を有する。ただし、伝送線路4B2と導電板5Bとは放射器6Aで受信した電波とアンテナ出力端において同位相で合成するために各々交差するように給電点6B1,6B2にそれぞれ接続される。
【0062】
このように、放射器の第1の給電点(給電点6A1,6B1)には伝送線路が接続され、放射器の第2の給電点(給電点6A2,6B2)には導電板が接続される。
【0063】
仮に伝送線路4B2が給電点6B2に接続され、導電板5Bが給電点6B1に接続される場合、伝送線路4B1に伝送される電波と伝送線路4B2に伝送される電波の位相が180°異なるので、アンテナ出力端FD1において所定の出力を取り出すことができない。よって、伝送線路4B2と導電板5Bとは交差して給電点に各々接続される。なお、上述のように導電板5Bが伝送線路4B2の外側に設けられることによって伝送線路4B2から不要な輻射が生じることを阻止できるので、伝送線路4B2と導電板5Bとが交差する位置は放射器6Bに近いほど好ましい。
【0064】
図3(B)は、図3(A)の変形例を示す図である。図3(B)における図3(A)との相違点は、放射器6Bの給電点6B1,6B2と伝送線路4B2,導電板5Bとのそれぞれの接続部分が交差していない点である。換言すれば図3(B)における図3(A)との相違点は、伝送線路4B2が給電点6B2に接続され、導電板5Bが給電点6B1に接続される点および、導電板5Bが伝送線路4B2の内側に設けられる点である。なお、図3(B)のその他の部分については、図3(A)の対応する部分と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
【0065】
図3(C)は、図3(A)の別の変形例を示す図である。図3(C)における図3(A)との相違点は、伝送線路4B1が給電点6A2に接続され、導電板5Aが給電点6A1に接続される点、および、伝送線路4B2が給電点6B2に接続され、導電板5Bが給電点6B1に接続される点である。換言すれば図3(C)における図3(A)との相違点は、導電板5Aが伝送線路4B1の内側に設けられる点、および導電板5Bが伝送線路4B2の内側に設けられる点である。なお、図3(C)のその他の部分については、図3(A)の対応する部分と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
【0066】
図4は、放射器の形状および各放射器における入力インピーダンスを説明する図である。
【0067】
図4を参照して、2種類の放射器の形状および各放射器の入力インピーダンスが示される。放射器R1は図1の放射器6Aまたは放射器6Bの基本となる部分である。放射器R1はループアンテナであり、給電点R1A,R1Bにおける入力インピーダンスは300Ωである。
【0068】
放射器R2は放射器R1を2つ組み合わせた形状の放射器であり、放射器6A,6Bの各々と同一の性能を有する。放射器6Aおよび放射器6Bの入力インピーダンスは150Ωになる。給電点R2A,R2Bは放射器6A,6Bの各々の給電点に対応する。
【0069】
給電点R2Aは2つの放射器R1の給電点R1A同士を結ぶ線分の中間に設けられる。同様に給電点R2Bは2つの放射器R1の給電点R1B同士を結ぶ線分の中間に設けられる。換言すれば放射器R2において給電点R1A同士あるいは給電点R1B同士は近接し、並列接続される。
【0070】
図5は、図1のアンテナ1におけるアンテナ出力端インピーダンスを説明する図である。
【0071】
図5を参照して、放射器6A、6Bはそれぞれ図4の放射器R2と同一の性能を有する。よって、放射器6A、6Bの各々の入力インピーダンスは150Ωである。伝送線路4に対して放射器6A、6Bは並列接続されているのでアンテナ出力端FD1におけるインピーダンスは150Ωの1/2、つまり75Ωになる。
【0072】
アンテナ出力端FD1におけるインピーダンスはテレビ放送受信用の同軸ケーブルのインピーダンスに等しい。また、放射器6A,6Bへの給電はストリップ線路により行なわれているのでアンテナ出力端FD1に同軸ケーブルの内部導体を接続し、アンテナ出力端FD2(反射器2)に同軸ケーブルの外部導体を接続することができる。
【0073】
なおストリップ線路を介さずに放射器6Aあるいは放射器6Bに同軸ケーブルを直接接続すると、同軸ケーブルの場合には内部導体と外部導体のそれぞれに流れる電流が等しくない(不平衡である)ために、アンテナの励振にアンバランスが生じ、また、放射器と同軸ケーブルとの間にインピーダンスの不整合が生じ、VSWR(電圧定在波比)が悪化し、利得の低下が発生する。
【0074】
従来はインピーダンス不整合を解消するために放射器と同軸ケーブルとの間に整合器が接続されていたが、実施の形態1のアンテナではアンテナ出力端FD1,FD2におけるインピーダンスが75Ωであり、アンテナ出力端FD1,FD2に同軸ケーブルの内部導体および外部導体がそれぞれ接続されても損失が生じない。よって、アンテナの利得が劣化することはない。
【0075】
図6は、図1のアンテナ1の利得を示すグラフである。
図6を参照して、横軸は周波数の範囲を示し、縦軸は利得を示す。周波数の範囲は470MHz〜770MHzであるが、この範囲は日本でのUHFテレビ放送における放送電波の周波数範囲である。なお、地上波デジタル放送の周波数範囲は470MHz〜710MHz(13チャネル〜52チャネル)である。
【0076】
図6において、曲線G1〜G3は周波数に対する利得の変化を示す。曲線G1は図1のアンテナ1における利得の変化である。アンテナ1と比較のため、14素子型および8素子型の八木アンテナにおける利得の変化がそれぞれ曲線G2,G3として示される。
【0077】
周波数620MHz以下の領域で曲線G1と曲線G3とを比較すると、曲線G1のほうが曲線G3よりも利得は高くなっている。つまり、この発明のアンテナは8素子型の八木アンテナよりも低帯域における利得が高い。特に地上波デジタル放送の受信に用いられるアンテナでは低帯域における特性が重要である。よって本発明のアンテナは8素子型の八木アンテナよりも地上波デジタル放送の受信に適しているといえる。
【0078】
図7は、図1のアンテナ1の前後比を示すグラフである。
図7を参照して、横軸は周波数の範囲を示し、縦軸は前後比を示す。周波数範囲は図6と同様に470〜770MHzである。曲線F1〜F3は、それぞれ図1のアンテナ1、14素子型の八木アンテナ、および8素子型の八木アンテナにおける前後比の変化を示す曲線である。
【0079】
曲線F1と曲線F3とを比較すると、横軸の全範囲において前後比は曲線F1のほうが曲線F3よりも大きい。また、曲線F1と曲線F2とを比較すると、周波数が650MHz以下の範囲では、前後比は曲線F2のほうが曲線F1よりも高いことを示す。しかし650MHz〜770MHzの範囲では、逆に曲線F1のほうが曲線F2よりも前後比は高い。
【0080】
図8は、図1のアンテナ1のVSWRを示すグラフである。
図8を参照して、横軸は周波数の範囲を示し、縦軸はVSWRを示す。周波数範囲は図6と同様に470〜770MHzである。曲線V1〜V3は、それぞれ図1のアンテナ1、14素子型の八木アンテナ、および8素子型の八木アンテナにおけるVSWRの変化を示す曲線である。
【0081】
VSWRの値が2以下であれば、実用面で問題がないレベルとみなされる。曲線V1〜V3の各々はいずれもVSWRの値が2以下であることを示す。よって本発明のアンテナにおけるVSWRは実用面で問題がないレベルである。
【0082】
図9は、図1のアンテナ1の半値幅を示すグラフである。
図9を参照して、横軸は周波数の範囲を示し、縦軸は半値幅を示す。周波数範囲は図6と同様に470〜770MHzである。曲線H1〜H3は、それぞれ図1のアンテナ1、14素子型の八木アンテナ、および8素子型の八木アンテナにおける半値幅の変化を示す曲線である。
【0083】
曲線H1と曲線H3とを比較すると、周波数が470〜590MHz以下の範囲では曲線H1における半値幅は、曲線H3における半値幅よりも小さい。上述のように地上波デジタル放送の受信に用いられるアンテナでは低帯域における特性が重要である。よって、半値幅の点においても本発明のアンテナは8素子型の八木アンテナより地上波デジタル放送の受信に適しているといえる。
【0084】
図6〜図9に示されるように、図1のアンテナ1は8素子型の八木アンテナよりも小型であるが14素子型の八木アンテナと同様にDHマークの認定に必要な基準(利得5.5dB以上、前後比12dB以上、VSWR2.5以下、半値幅60度以下)を満たすことができる。つまり、アンテナ1は8素子型の八木アンテナよりも小型化されているが14素子型の八木アンテナと同等の性能を有する。
【0085】
なお、実施の形態1における放射器は図1に示される放射器6A,6Bに限定されるものではなく、放射器の数や形状に関して様々な変形例が実現可能である。以下に実施の形態1の変形例を説明する。
【0086】
図10は、実施の形態1のアンテナにおける変形例を示すブロック図である。
図5,図10を参照して、実施の形態1におけるアンテナの変形例において放射器6C,6Dがさらに含まれる点において図1のアンテナ1と相違するが、他の点についてはアンテナ1と同様であるので他の部分についての説明は以後繰り返さない。放射器6C,6Dはそれぞれ放射器6Aと同様の性能を有する。
【0087】
伝送線路4B3は一端部が給電点6C1に接続され、他端部が伝送線路42Aに接続される。同様に伝送線路4B4は一端部が給電点6D1に接続され、他端部が伝送線路42Aに接続される。
【0088】
伝送線路4B1、4B2と伝送線路4Aとの間には伝送線路41Aおよびインピーダンス変換器IM1が設けられる。同様に、伝送線路4B3、4B4と伝送線路4Aとの間には伝送線路42Aおよびインピーダンス変換器IM2が設けられる。伝送線路41Aおよびインピーダンス変換器IM1は本発明における第1の整合部に含まれ、伝送線路42Aおよびインピーダンス変換器IM2は本発明における第2の整合部に含まれる。
【0089】
伝送線路41A,42Aのインピーダンスはともに75Ωである。アンテナ出力端FD1におけるインピーダンスを75Ωに設定するためにインピーダンス変換器IM1,IM2が設けられる。インピーダンス変換器IM1,IM2のそれぞれにおいて入力インピーダンスは75Ωであり、出力インピーダンスは150Ωになる。
【0090】
図11は、図10のインピーダンス変換器IM1,IM2の例を示す図である。
図11を参照して、インピーダンス変換器の構成例としてストリップラインにより構成される例と変成器(トランス)により構成される例とが示される。なお図11におけるインピーダンスZ1,Z2は、たとえば図10の場合であればそれぞれ75Ω、150Ωになる。
【0091】
インピーダンス変換器がストリップラインL1により構成される場合、線幅が変化することによりインピーダンスが変換される。インピーダンス変換器がトランスTR1により構成される場合にはインピーダンス変成比に応じたインピーダンス変換が行なわれる。たとえば図10におけるインピーダンス変換器IM1,IM2の場合、トランスの変性比は1:2となる。
【0092】
図12は、図10の放射器における配置の例を示す図である。
図12を参照して、放射器6A〜6Dの配置パターンが2つ示される。第1のパターンではX軸およびY軸により定まる平面上に放射器6A〜6Dが2行2列に配置される。なお、図12のX軸およびY軸の方向は図1のX軸およびY軸の方向にそれぞれ等しい。第2のパターンでは、放射器6A〜6DはX軸およびY軸により定まる平面上にY軸に沿って配置される。つまり、放射器6A〜6Dは1行4列に配置される。なお、これらの配置パターンに限定されずアンテナの大きさや性能に応じて放射器6A〜6Dは適切に配置される。
【0093】
図13は、実施の形態1のアンテナにおける別の変形例を示す図である。
図13を参照して、放射器61A,61Bは3線式折り返しダイポールアンテナである点において、ループアンテナを2つ組み合わせた形状の放射器である放射器6A,6Bのそれぞれと相違する。ただし、実施の形態1の変形例において放射器以外の点については図1のアンテナ1と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
【0094】
放射器61A,61Bはそれぞれの入力インピーダンスが150Ωになるように設計されている。よって、図5と同様にアンテナ出力端FD1におけるインピーダンスが75Ωになり、アンテナ出力端FD1,FD2に同軸ケーブルを直接接続することができる。
【0095】
なお、給電点6A2は図4の2つの放射器R1における給電点R1A同士を重ねあわせたものとみなすことができ、給電点6A1は給電点R1B同士を重ねあわせたものとみなすことができる。同様に、放射器61Bは給電点6A1に代えて給電点6B1とし、給電点6A2に代えて給電点6B2とする点において放射器61Aと異なるが、他の点は放射器61Aと同様であるので以後の説明は繰り返さない。
【0096】
図14は、実施の形態1のアンテナにおけるさらに別の変形例を示す図である。
図14を参照して、放射器62Aは、板状の導電体であるダイポール素子10,12を備える。図14におけるX軸およびY軸は図1のX軸およびY軸にそれぞれ対応する。ダイポール素子10,12のそれぞれの給電点14,16は、Y軸上に設けられる。また、ダイポール素子10,12は給電点14,16を結ぶ線分の中点でX軸と直交するY軸に対して互いに対称な形状であり、少なくとも一部がY軸からX軸に沿って、中点から遠ざかるにつれてY軸の向きに広がる形状である。具体的にはダイポール素子10,12の各形状は台形である。
【0097】
放射器62Aは、さらに、X軸の両側に、ダイポール素子10、12を共に挟んで設けられ、各々の一端部がダイポール素子10の先端部に接続されるとともに、各々の他端部がダイポール素子12の先端部に接続される導線部18、20を備える。導線部18、20の各々は、ダイポール素子10、12の形状に沿うように形成される。
【0098】
放射器62Aの放射インピーダンスは300Ωである。なお、放射器62B〜62Dのそれぞれの形状は放射器62Aの形状と同様であるので放射器62B〜62Dの形状に関する以後の説明は繰り返さない。
【0099】
放射器62Aと放射器62Cとは互いの給電点14同士が接続されるとともに互いの給電点16同士が接続される。互いの給電点14同士を結ぶ線分の中点に給電点6A2が設けられ、互いの給電点16同士を結ぶ線分の中点に給電点6A1が設けられる。放射器62Bと放射器62Dとの間における給電点同士の接続は放射器62Aと放射器62Cとの間における給電点同士の接続と同様であり給電点6A2に代えて給電点6B1となり、給電点6A1に代えて給電点6B2となる点において相違する。よって、放射器62Bと放射器62Dとの間における給電点同士の接続に関する以後の説明は繰り返さない。
【0100】
以上のように実施の形態1によれば、反射器の平面部を地板とする第1のストリップ線路および平面部に垂直な第2のストリップ線路によって給電が行なわれ、かつ、各ストリップ線路のインピーダンスが同軸ケーブルのインピーダンスの2倍に設定されることによって、同軸ケーブルを第1のストリップ線路の中点であるアンテナ出力端に接続することができ、整合や合成による損失が生じなくなるので従来よりも小型かつ性能が優れたアンテナが実現できる。
【0101】
[実施の形態2]
図15は、実施の形態2のアンテナを示す図である。
【0102】
図15を参照して、アンテナ1Aは、導波器7A1,7B1をさらに含む点において図1のアンテナ1と相違するが、他の点についてはアンテナ1と同様である。よってアンテナ1Aの構成に関する以後の説明は繰り返さない。導波器7A1,7B1は導電板である。
【0103】
導波器7A,7A1は、対応する放射器6Aを平面部2Aとの間に挟む。また、導波器7A,7A1は平行に配置される。同様に導波器7B,7B1は、対応する放射器6Bを平面部2Aとの間に挟むとともに平行に配置される。このように複数の導波器が設けられることによってアンテナの性能をより向上させることができる。なお、導波器7A、7A1、7B、7B1は放射器6A,6Bと平行に設けたが、各放射器に対し適当な角度を設けて配置してもよい。
【0104】
図16は、実施の形態2のアンテナの変形例を示す図である。
図16を参照して、アンテナ1Bは導波器7A,7A1,7B,7B1に代えて導波器7A2,7B2を含む点において図15のアンテナ1Aと相違するが他の点についてはアンテナ1Aと同様である。よってアンテナ1Bの構成に関する他の部分の説明は以後繰り返さない。
【0105】
導波器7A2は放射器6Aの放射面、つまり端部6ABの前方に、かつほぼ平行に設けられている。同様に導波器7B2は放射器6Bの端部6BBの前方に、かつほぼ平行に設けられている。なお、図16において導波器は放射面ごとに1つずつ(つまり放射器ごとに2つずつ)設けられるよう示されるが、図15と同様に各放射面に平行な面に複数の導波器が重ねられるように配置されてもよい。
【0106】
以上のように実施の形態2によれば、導波器が複数備えられることにより、アンテナの性能をより向上させることが可能になる。
【0107】
[実施の形態3]
図17は、実施の形態3のアンテナの全体図である。
【0108】
図17を参照して、アンテナ1Cは導波器7A,7Bに代えて導波器7A3,7B3を含む点において図1のアンテナ1と相違するが、他の点についてはアンテナ1と同様である。よってアンテナ1Cの他の部分の構成に関する以後の説明は繰り返さない。
【0109】
導波器7A3,7B3は、平面部2Aに対する距離が中央部と端部とで異なる。図17の場合、端部と平面部2Aとの距離のほうが中央部と平面部2Aとの距離よりも短い。具体的には導波器7A3,7B3はともにY軸方向から見てU字状あるいは円弧状に形成される。このように導波器7A3,7B3が形成されることによりX軸方向の長さが短くなることによってアンテナ1Cはより小型化される。
【0110】
なお、導波器7A3、7B3の形状は図17に示される形状に限定されるものではない。以下では導波器の形状に関する実施の形態3の変形例について説明する。
【0111】
図18は、図17の導波器7A3の変形例を示す図である。
図18を参照して、導波器7A4はY軸方向から見てV字状に折れ曲がるように形成される点において図17の導波器7A3と相違する。導波器7A4の他の点については導波器7A3と同様であるので以後の説明は繰り返さない。なお、図18のX軸、Y軸、Z軸のそれぞれの方向は図17のX軸、Y軸、Z軸の方向に対応する。
【0112】
図19は、図17の導波器7A3の別の変形例を示す図である。
図19を参照して、導波器7A5はX軸方向から見て台形状に形成される点において図17の導波器7A3と相違する。導波器7A5の他の点については導波器7A3と同様であるので以後の説明は繰り返さない。なお、図18と同様に図19のX軸、Y軸、Z軸のそれぞれの方向は図17のX軸、Y軸、Z軸の方向に対応する。導波器7A4は放射器6Aの表面に沿った形状である。
【0113】
なお、図17〜図19において導波器は反射方向と逆の方向に折れ曲がるように示されるが、導波器は反射方向に折れ曲がるように形成されてもよい。ただし、Z軸方向の長さを小さくするためには導波器は反射方向と逆の方向に折れ曲がるように形成されることが好ましい。
【0114】
以上のように実施の形態3によれば、導波器が反射面方向あるいは反射面と逆の方向に折れ曲がるように形成されることによって、アンテナを小型化することが可能になる。
【0115】
[実施の形態4]
図20は、実施の形態4によるアンテナのブロック図である。
【0116】
図20を参照して、アンテナ1DはUHF帯の電波を受信するアンテナANT1を含む。アンテナANT1は実施の形態1から形態3のいずれかのアンテナである。
【0117】
アンテナ1Dは、端子T1によりアンテナANT2と接続される。アンテナANT2は、たとえばBSアンテナ、BS・110度CSアンテナ、CSアンテナなどである。
【0118】
アンテナ1Dは、さらに、アンテナANT1によって受信された信号SIG1を増幅する増幅器AMP、および、増幅器AMPから出力される信号とアンテナANT2によって受信された信号SIG2とを混合し、信号SIG3を出力する混合器30を含む。信号SIG3は端子T2から外部に出力され、たとえば図示されないデジタルチューナなどの受信機器に送られる。
【0119】
アンテナ1Dに混合器が含まれない場合、受信機器にはアンテナANT1,ANT2のそれぞれから信号を受けるためのケーブルが接続されるので接続の手間がかかるとともに混合器を設置するための場所が必要になる。アンテナ1Dは混合器30を内蔵することによって、これらの問題を解決することができる。
【0120】
なお、アンテナ1Dは増幅器AMPを含んでいなくてもよい。この場合、信号SIG1が混合器30に直接入力される。また、アンテナ1DはアンテナANT1、増幅器AMPのみを含むよう構成されてもよい。
【0121】
以上のように実施の形態4によれば、アンテナに混合器が内蔵されることにより、受信装置に接続されるケーブルの本数を減らすことが可能になるとともに設置場所の増加を防ぐことが可能になる。
【0122】
また、実施の形態4によれば、増幅器によって受信した電波が増幅されるので、受信装置での処理に必要な強度を有する信号をアンテナから出力することが可能になる。
【0123】
[実施の形態5]
実施の形態5のアンテナはケーブルとアンテナ出力端とを電気的に接続するためのコネクタが設けられる点で、実施の形態1〜3の各々のアンテナと異なる。なお、実施の形態5のアンテナは図1のアンテナ1と同様の構成を有する。よって実施の形態5のアンテナの構成に関する説明は以後繰り返さない。ただし実施の形態5のアンテナはアンテナ1Aと同様の構成を有していてもよい。また実施の形態5のアンテナはアンテナ1Bと同様の構成を有していてもよい。
【0124】
上述のように、伝送線路4Aの中点がアンテナ出力端になる。よってコネクタの電極は伝送線路4Aの中点に接続される。また、コネクタは反射器2に設けられる。反射器2を構成する平面部2A,周辺部2B,2Cのうち、平面部2Aが伝送線路4Aに最も近い位置にある。平面部2Aにコネクタを取り付けた場合、伝送線路4Aの中点にコネクタを直接接続することができる。コネクタを伝送線路4Aの中点に直接接続することによって、出力の損失を防ぐことができる。
【0125】
しかしながらアンテナ1を屋外に設置する場合、アンテナ1を固定するためのマストは一般的に平面部2Aに取り付けられる。よって、平面部2Aにコネクタを取り付けたとしても、ケーブルの接続やケーブルの引き回しが容易に行なえなくなる可能性が高い。
【0126】
コネクタを反射器2の底面部に取り付けた場合には、このような問題を解決できるのでケーブル接続作業の手間を減らすことができる。また、防水の点からも、コネクタを反射器2の底面部に取り付けることが好ましい。
【0127】
ここで反射器2の底面部とは、アンテナ1が設置された状態において、平面部2Aの周囲のうち伝送線路4Aに対して下側の辺に接する周辺部を意味する。図1においては、2つの周辺部2Bのうち、伝送線路4AよりもX軸の負の方向に設けられる周辺部2Bが反射器2の底面部に該当する。
【0128】
周辺部2Bと伝送線路4Aとの距離は平面部2Aと伝送線路4Aとの距離よりも大きい。このため、実施の形態5では以下に示す方法によって、コネクタと伝送線路とが接続される。
【0129】
図21は、コネクタと伝送線路との接続の一例を示す図である。
図21を参照して、伝送線路4Cは伝送線路4Aに代えて図1のアンテナ1に設けられる伝送線路である。図1に示すように、伝送線路4AはY軸方向に沿った直線状の伝送線路である。一方、伝送線路4Cは、いわば伝送線路4Aを図1のZ軸方向に折り曲げた形状を有する。伝送線路4Cは、このような形状を有することにより、コネクタとの距離を伝送線路4Aよりも近づけることができる。よって伝送線路4Cはコネクタに直接接続することができる。これによりアンテナ出力の損失を防ぐことができる。
【0130】
伝送線路4Cは導線部4C1と、2つの導線部4C2とを含む。導線部4C1はコネクタ40に直接接続される。また2つの導線部4C2は2つの伝送線路4Bにそれぞれ接続される。
【0131】
コネクタ40は周辺部2Bに取り付けられる。また、コネクタ40は周辺部2Bにおいて、点P1を通り導線部4C1に垂直な軸X1との交点の位置に設けられる。点P1は伝送線路4Cの中点である。よって点P1はアンテナ出力端に相当する。また、軸X1の方向は、図1に示すX軸に沿った方向である。コネクタ40には同軸ケーブル44が接続される。
【0132】
点P1におけるインピーダンスがたとえば75Ωになるように、伝送線路4Cの長さや幅、および、平面部2Aと伝送線路4Cとの距離が設定される。一般的に同軸ケーブルのインピーダンスは75Ωである。よって図21に示す接続形態によれば伝送線路4Cと同軸ケーブル44との間でインピーダンスが整合する。これにより出力の損失を防ぐことができる。
【0133】
図22は、コネクタと伝送線路との接続の別例を示す図である。
図22を参照して、導線部4Dは伝送線路4Aとコネクタ40とを接続するために設けられる。軸X1は点P1を通り伝送線路4Aに垂直な軸である。点P1は伝送線路4Aの中点である。また、軸X1の方向は図1のX軸に沿った方向である。図21と同様にコネクタ40は周辺部2Bにおいて、軸X1との交点の位置に設けられる。
【0134】
導線部4Dは軸X1に対称な形状を有する。また、点P2においてコネクタ40と導線部4Dとが接続される。点P2は導線部4Dにおいて軸X1と重なる点である。
【0135】
点P2におけるインピーダンスがたとえば75Ωになるように導線部4Dの長さや幅が設定される。よって、図22に示す接続形態によれば伝送線路4Aと同軸ケーブル44との間でインピーダンスが整合する。これにより出力の損失を防ぐことができる。
【0136】
アンテナ1の内部に十分な大きさの空間が設けられている場合、アンテナ1は伝送線路4Aに代えて伝送線路4Cを備えることができる。しかし、伝送線路4Cは折れ曲がった形状を有するので、アンテナ1の内部に収納できない場合がある。このような場合にはアンテナ1に導線部4Dを追加することによって、周辺部2Bに設けられたコネクタと伝送線路4Aとの接続が可能になる。また、アンテナ出力の損失を防ぐことができる。
【0137】
なお、コネクタと伝送線路との接続形態は図21,図22に示す接続形態以外の接続形態であってもよい。ただし他の接続形態においても伝送線路の中点を通り、かつ伝送線路に垂直な軸上にコネクタが設けられる必要がある。また、コネクタは伝送線路の中点に電気的に接続される必要がある。
【0138】
図21,図22に示すように、実施の形態5のアンテナは伝送線路の構成が実施の形態1のアンテナと異なる。伝送線路の構成を変更することにより、利得などの性能が低下する可能性が生じる。実施の形態5のアンテナは、以下に示す放射器を備えることにより性能の低下を防ぐことができる。
【0139】
図23は、実施の形態5のアンテナに適用される放射器の例を示す図である。
図23を参照して、放射器63は、図4の放射器R2(ループアンテナ)と同様に、2つの放射器R1を含む。上述のように放射器R1はループアンテナである。給電点R2A,R2Bは図4に示す給電点R2A,R2Bにそれぞれ対応する。つまり給電点R2A,R2Bはそれぞれ第1および第2の給電点である。
【0140】
なお、図1において軸Y1は給電点R2A,R2Bを通る軸である。また、軸X2は軸Y1に垂直な軸である。軸X2と軸Y1との交点が給電点R2A,R2Bを結ぶ線分の中点である。なお、軸X2,Y1はそれぞれ図1のX軸およびY軸に沿って伸びる軸である。
【0141】
放射器R1は、この中点から軸Y1に沿って遠ざかるにしたがって軸X2方向の幅が広がるように少なくとも一部が形成される。この点で放射器63は放射器R2と異なる。
【0142】
また、放射器63は図14に示す放射器62A〜62Dの各々とほぼ同様の形状を有する。具体的に説明すると、領域10A,10Bは放射器62Aのダイポール素子10に相当する。また、領域12A,12Bは放射器62Aのダイポール素子12に相当する。領域18Aは放射器62Aの導線部18に相当する。領域20Aは放射器62Aの導線部20に相当する。領域18Aは領域10A,12Aの外周の一部に沿うように形成されている。また、領域20Aは領域10B,12Bの外周の一部に沿うように形成されている。
【0143】
放射器63は領域10A,10B,12A,12B,18A,20Aを備えることによって、放射器R2よりも利得を高くすることができる、よって、実施の形態5のアンテナにおいて伝送線路の構成を変更しても利得の低下を防ぐことができる。
【0144】
上述のように放射器63は放射器62Aとほぼ同様の形状を有する。したがって、放射器62Aが実施の形態5のアンテナに用いられてもよい。この場合にも、実施の形態5のアンテナにおいて伝送線路の構成の変更に伴う利得の低下を防ぐことができる。
【0145】
なお、放射器63は軸Y2,Y3に沿って折り曲げられてもよい。この場合、X軸方向の長さを小さくすることができるのでアンテナ1を小型化することができる。
【0146】
図24は、実施の形態5のアンテナの利得を示す図である。
図24を参照して、グラフの横軸は周波数を示し、グラフの縦軸はアンテナの利得を示す。曲線G4,G5は放射器の形状が異なる2つのアンテナ(以下、アンテナA,Bとする)の利得の変化をそれぞれ示す。
【0147】
アンテナAは伝送線路4Aに代えて伝送線路4Cを備え、周辺部2Bにコネクタが設けられる点で図1のアンテナ1と異なるが、他の部分はアンテナ1と同様である。アンテナBは放射器6A,6Bの各々を放射器63に代えた構成を有する点でアンテナAと異なるが他の部分の構成はアンテナAと同様である。なお、アンテナA,Bの他の部分の構成に関する説明は以後繰り返さない。
【0148】
曲線G4,G5によって示されるように、470〜590MHzの周波数範囲においてアンテナBの利得のほうがアンテナAの利得よりも高くなる。また、図6の曲線G1と比較すると、470〜590MHzの周波数範囲においてアンテナAの利得はアンテナ1の利得よりも低くなる。つまり、アンテナ1において伝送線路4Aを伝送線路4Cに代えた場合には利得の低下が生じる。しかし、放射器6A,6Bの各々を放射器63に代えることによって実施の形態5のアンテナはアンテナ1と同程度の性能を有する。
【0149】
以上のように実施の形態5によれば、ケーブル接続作業の手間を少なくすることができ、かつ、従来よりも性能が優れたアンテナを実現することができる。
【0150】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】実施の形態1によるアンテナの全体図である。
【図2】図1のアンテナ1を分解して示す図である。
【図3】放射器と伝送線路4および導電板5A,5Bとの接続を説明する図である。
【図4】放射器の形状および各放射器における入力インピーダンスを説明する図である。
【図5】図1のアンテナ1におけるアンテナ出力端インピーダンスを説明する図である。
【図6】図1のアンテナ1の利得を示すグラフである。
【図7】図1のアンテナ1の前後比を示すグラフである。
【図8】図1のアンテナ1のVSWRを示すグラフである。
【図9】図1のアンテナ1の半値幅を示すグラフである。
【図10】実施の形態1のアンテナにおける変形例を示すブロック図である。
【図11】図10のインピーダンス変換器IM1,IM2の例を示す図である。
【図12】図10の放射器における配置の例を示す図である。
【図13】実施の形態1のアンテナにおける別の変形例を示す図である。
【図14】実施の形態1のアンテナにおけるさらに別の変形例を示す図である。
【図15】実施の形態2のアンテナを示す図である。
【図16】実施の形態2のアンテナの変形例を示す図である。
【図17】実施の形態3のアンテナの全体図である。
【図18】図17の導波器7A3の変形例を示す図である。
【図19】図17の導波器7A3の別の変形例を示す図である。
【図20】実施の形態4によるアンテナのブロック図である。
【図21】コネクタと伝送線路との接続の一例を示す図である。
【図22】コネクタと伝送線路との接続の別例を示す図である。
【図23】実施の形態5のアンテナに適用される放射器の例を示す図である。
【図24】実施の形態5のアンテナの利得を示す図である。
【図25】スタックアンテナの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0152】
1,1A〜1D アンテナ、2 反射器、2A 平面部、2B,2C 周辺部、4,4A,4B,4B1〜4B4,41A,42A,4C 伝送線路、5A,5B 導電板、6A〜6D,61A,61B,62B〜62D,R1,R2,63 放射器、6AB,6BB 端部、6A1,6A2,6B1,6B2,6C1,6D1,14,16,R1A,R1B,R2A,R2B 給電点、7A,7A1〜7A5,7B,7B1〜7B3 導波器、8,9 カバー、10,12 ダイポール素子、18,20,4C1,4C2,4D 導線部、30 混合器、100 スタックアンテナ、101,102 整合器、103 合成器、ANT1,ANT2,ANT11,ANT12 アンテナ、F1〜F3 曲線、FD1,FD2 アンテナ出力端、G1〜G5 曲線、H1〜H3 曲線、IM1,IM2 インピーダンス変換器、L1 ストリップライン、TR1 トランス、T1,T2 端子、V1〜V3 曲線、10A,10B,12A,12B,18A,20A 領域、40 コネクタ、44 同軸ケーブル、AMP 増幅器、P1,P2 点、X1,X2,Y1〜Y3 軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナであって、
所定の電波を反射するための平面部を有する、導電体により構成される反射器と、
前記平面部と所定の距離を隔てて、前記平面部に向き合うように設けられる、第1の伝送線路と、
前記平面部に対して前記第1の伝送線路と同じ側に設けられ、各々が導電体により構成される複数の放射器とを備え、
前記複数の放射器の各々は、第1、第2の給電点を有し、前記第1、第2の給電点は前記平面部との距離がともに前記所定の距離より大きくなるように配置され、
前記アンテナは、
前記複数の放射器の各々に対応して設けられ、前記第1の給電点と前記第1の伝送線路とを電気的に接続する複数の第2の伝送線路と、
前記複数の第2の伝送線路とそれぞれ平行になるように設けられ、前記第2の給電点と前記平面部とを電気的に接続する複数の導電板とをさらに備え、
前記複数の導電板の各々は、前記第2の伝送線路に沿う方向から見て、前記第2の伝送線路に対向する面の幅が前記第2の伝送線路の線幅よりも広い、アンテナ。
【請求項2】
前記第2の伝送線路の各々および前記複数の導電板の各々は、前記平面部に対して垂直になるように設けられる、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記複数の導電板の各々は、前記第1の伝送線路の中点を通り前記平面部に垂直な軸に対し、前記第2の伝送線路よりも外側に設けられ、前記第2の給電点が前記第1の給電点よりも前記軸の内側にある場合には、対応する放射器との接続部分において前記第2の伝送線路と交差するように前記第2の給電点に電気的に接続される、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記複数の放射器のそれぞれに対応して設けられ、導電体により構成される複数の導波器をさらに備える、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記複数の導波器の各々は、対応する放射器を前記平面部との間に挟み、
前記複数の導波器の各々は、複数の平行に配置された導電板を含む、請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記複数の放射器の各々は、
前記第1、第2の給電点を結ぶ線分を含む軸に対称な第1、第2の放射面を含み、
前記複数の導波器の各々は、前記第1、第2の放射面の各々に対向するように、前記第1、第2の放射面ごとに設けられる、請求項4に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記複数の放射器は、入力インピーダンスがともに所定の値の2倍である、2個の放射器であり、
前記複数の第2の伝送線路は、特性インピーダンスがともに前記所定の値の2倍である、2本の導線であり、
前記第1の伝送線路は、特性インピーダンスが前記所定の値の2倍であり、両端部において前記2本の導線のそれぞれと接続され、中点にアンテナ出力端が設けられる、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記2個の放射器の各々は、第3、第4の給電点を有する第1、第2のダイポール素子を含み、
前記第1、第2のダイポール素子は、前記第3の給電点同士が重なり、かつ、前記第4の給電点同士が重なるか、または、前記第3の給電点同士が近接し、かつ、前記第4の給電点同士が近接するように設けられ、
前記第1の給電点は、重なりあう前記第3の給電点であるか、または近接する前記第3の給電点同士を結ぶ線分上の点であり、
前記第2の給電点は、重なりあう前記第4の給電点であるか、または近接する前記第4の給電点同士を結ぶ線分上の点である、請求項7に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記第1および第2のダイポール素子の各々は、前記第3および前記第4の給電点を結ぶ線分の中点から前記第3および前記第4の給電点を通る軸に沿って遠ざかるに従い、前記軸に垂直な方向の幅が広がるように、少なくとも一部が形成される、請求項8に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記反射器は、
前記平面部の周囲のうち、前記アンテナが設置された状態において前記第1の伝送線路よりも下側に位置する辺に接し、かつ、前記平面部と180°以外の所定の角度をなすように設けられる周辺部をさらに有し、
前記アンテナは、
出力を伝達するケーブルを前記第1の伝送線路の中点に電気的に接続するコネクタをさらに備え、
前記コネクタは、前記周辺部において、前記中点を通り前記第1の伝送線路に垂直な軸との交点の位置に設けられる、請求項9に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記複数の放射器の各々は、
第1および第2のダイポール素子を含み、
前記第1および第2のダイポール素子の各々は、第3および第4の給電点を有し、前記第3および前記第4の給電点を結ぶ線分の中点から前記第3および前記第4の給電点を通る軸に沿って遠ざかるに従い、前記軸に垂直な方向の幅が広がるように、少なくとも一部が形成される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記複数の放射器は、各々の入力インピーダンスが所定の値の2倍である、4個の放射器であり、
前記複数の第2の伝送線路は、各々の特性インピーダンスが前記所定の値の2倍である、4本の導線であり、
前記アンテナは、
前記4本の導線のうちの第1、第2の導線と前記第1の伝送線路との間でインピーダンス整合を行なう第1の整合部と、
前記4本の導線のうちの第3、第4の導線と前記第1の伝送線路との間でインピーダンス整合を行なう第2の整合部とをさらに備え、
前記第1の伝送線路は、特性インピーダンスが前記所定の値の2倍であり、かつ、中点にアンテナ出力端が設けられ、
前記第1の伝送線路の一方端と他方端とは、前記第1、第2の整合部のそれぞれと接続される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記4個の放射器の各々は、第3、第4の給電点を有する第1、第2のダイポール素子を含み、
前記第1、第2のダイポール素子は、前記第3の給電点同士が重なり、かつ、前記第4の給電点同士が重なるか、または、前記第3の給電点同士が近接し、かつ、前記第4の給電点同士が近接するように設けられ、
前記第1の給電点は、重なりあう前記第3の給電点であるか、または近接する前記第3の給電点同士を結ぶ線分上の点であり、
前記第2の給電点は、重なりあう前記第4の給電点であるか、または近接する前記第4の給電点同士を結ぶ線分上の点である、請求項12に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記複数の導波器の各々は、
中央部と、
前記中央部の周辺に設けられる周辺部とを含み、
前記周辺部の少なくとも一部は、前記平面部との距離が、前記中央部と前記平面部との距離と異なるように設けられる、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記反射器は、前記平面部の周囲の少なくとも一部に、前記平面部に接する周辺部をさらに有し、
前記周辺部は、前記平面部に対して180°以外の所定の角度をなすように設けられる、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項16】
前記放射器の各々は、
中央部と、
端部とを含み、
前記端部の少なくとも一部は、前記平面部との距離が、前記中央部と前記平面部との距離と異なるように設けられる、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記第1の伝送線路と前記平面部とは、前記平面部を地板とする第1のストリップ線路を構成し、
前記複数の第2の伝送線路と、前記複数の導電板のうち前記複数の第2の伝送線路のそれぞれに対応する導電板とは、前記対応する導電板を地板とする複数の第2のストリップ線路を構成する、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項18】
前記アンテナは、
受信する前記所定の電波と、前記所定の電波と異なる周波数帯の電波とを混合して出力する混合器をさらに備える、請求項1から17のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項19】
受信する前記所定の電波を増幅する増幅器をさらに備える、請求項1から17のいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項20】
前記所定の電波は、UHF(Ultrahigh Frequency)帯の電波である、請求項1から19のいずれか1項に記載のアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−211643(P2006−211643A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246049(P2005−246049)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】