説明

アンドロゲン受容体モジュレーターとしてのN−(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)ブタンアミド

本発明は、骨粗鬆症、歯周病、骨折、脆弱性、サルコペニアのような症状を治療するためにアンドロゲン受容体をモジュレートするための置換されたN−(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリル−2−イル)ブタンアミド誘導体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)ブタンアミド誘導体、それらの合成、および、アンドロゲン受容体モジュレーターとしてのそれらの使用に関する。より特定的には、本発明の化合物は、組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)であり、従って、骨粗鬆症、歯周病、骨折、脆弱性およびサルコペニアのようなアンドロゲン不足によって発症するかまたはアンドロゲン投与によって軽減できる状態の治療に有用である。さらに、本発明のSARMは、抑鬱、性的機能不全および認識減退のようなテストステロン低下を伴う精神障害を治療するために使用できる。特異的組織における拮抗薬(アンタゴニスト)であるSARMはまた、アンドロゲンの状態または活性が上昇することにより症状を引き起こす良性前立腺過形成および睡眠時無呼吸のような状態に有用である。
【背景技術】
【0002】
アンドロゲン受容体(AR)は、ステロイド/甲状腺ホルモン核受容体のスーパーファミリーに所属し、該ファミリーのその他のメンバーにはエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体およびミネラルコルチコイド受容体を含む。ARは体内の多くの組織で発現され、テストステロン(T)およびジヒドロテストステロン(DHT)のようなアンドロゲンの生理学的および病態生理学的作用を媒介する受容体である。構造的にはARは、3つの機能的ドメイン、すなわち、リガンド結合性ドメイン(LBD)、DNA結合ドメインおよびアミノ末端ドメインから構成されている。ARに結合し、内在性ARリガンドの効果を模倣する化合物をARアゴニストと呼び、内在性ARリガンドの効果を阻害する化合物をARアンタゴニストと呼ぶ。
【0003】
ARにアンドロゲンリガンドが結合すると、リガンド/受容体複合体が誘発し、該複合体は細胞の核に転移した後、核に存在するターゲット遺伝子のプロモーター領域またはエンハンサー領域内部の調節DNA配列(アンドロゲン応答配列と呼ぶ)に結合する。次に補因子と呼ばれる他のタンパク質が召集され、その補因子が受容体に結合して遺伝子転写に導く。
【0004】
アンドロゲン療法は、生殖障害、および、男性の一次性または二次性の性腺機能低下症のような男性の様々な障害を治療してきた。さらに、天然または合成のいくつかのARアゴニストが、骨疾患のような筋骨格障害、造血障害、神経筋疾患、リウマチ病的疾患、衰弱性疾患を治療するため、および、女性のアンドロゲン不足のようなホルモン置換療法(HRT)のために開発されてきた。さらに、フルタミドおよびビカルタミドのようなARアンタゴニストは前立腺癌の治療に使用されている。従って、ARの機能を組織選択的に活性化(“作動”)し、男性化および高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)抑制のような好ましくない男性性徴的特性を伴うことなくアンドロゲンの望ましい骨−および筋同化作用を生じるような化合物を得ることは有用であろう。
【0005】
閉経後骨粗鬆症の骨に対してアンドロゲンが有益な効果を有することはテストステロンおよびエストロゲンを併用投与した最近の試験で報告された[Hofbauerら,Eur.J.Edocrinol.140:271−286(1999)]。2年をかけた大規模な二重盲験比較試験では、複合エストロゲンによる単独療法が骨減量を防止するのに比べて複合エストロゲン(CEE)とメチルテストステロンとの併用経口投与は脊椎および腰椎の骨質量の増加促進に効果があることが証明された[J.Reprod.Med.,44:1012−1020(1999)]。
【0006】
さらに、CEEとメチルテストステロンとによって治療した女性ではホットフラッシュが減少することも証明されている。しかしながら、治療した女性の30%がかなりのニキビ増加および顔面の増毛に悩んでおり、これらは現用のすべてのアンドロゲン薬理療法に生じる合併症である[Wattsら,Obstet.Gynecol.,85:529−537(1995)]。また別の試験で観察されたように、CEEにメチルテストステロンを加えるとHDLレベルが低下することも知見された。このような現用のアンドロゲン療法に伴う男性化の可能性および脂質プロフィールに対する影響が組織選択的アンドロゲン受容体アゴニストの開発を促す理論的根拠を与える。
【0007】
アンドロゲンは男性におけるの骨代謝に重要な役割を果たす[Andersonら,“Androgen supplementation in eugonadal men with osteoporosis−effects of six months of treatment on bone mineral density and cardiovascular risk factors,”Bone,18:171−177(1996)]。骨粗鬆症を患っている性線機能が正常な男性のテストステロン治療に対する治療応答は、アンドロゲンが多大な骨同化作用を発揮することを示す。250mgのテストステロンエステルの筋肉内投与に応答して腰椎の平均BMDは5または6カ月で0.799gm/cmから0.839g/cmに増加した。従ってSARMは男性の骨粗鬆症の治療に使用できる。
【0008】
アンドロゲン不足は、アンドロゲン遮断療法(ADT)を受けているステージDの前立腺癌(転移性)の男性に生じる。内分泌性の精巣摘出術は長期作用性GnRHアゴニストによって行われ、アンドロゲン受容体遮断はARアンタゴニストによって行われる。ホルモン遮断に応答してこれらの男性はホットフラッシュ、有意な骨減量、衰弱および疲労に悩まされる。ステージDの前立腺癌男性の予備実験では、1年以上ADTを受けた男性患者はADTを受けなかった患者を上回る骨減少症(50%対38%)および骨粗鬆症(38%対25%)を示した[Weiら,Urology,54:607−611(1999)]。ADTを受けた男性では腰椎BMDが有意に減少していた。従って、骨および筋肉中でアンタゴニスト作用を生じない前立腺組織選択的ARアンタゴニストは、単独でまたは伝統的ADTの補助薬として、有用な前立腺癌治療薬になり得る[参照:A.Stochら,J.Clin.Endocrin.Metab.,86:2787−2791(2001)]。
【0009】
組織選択的ARアンタゴニストはまた、閉経女性の多嚢胞性卵巣症候群も治療できる。参照:C.A.Eaglesonら,“Polycystic ovarian syndrome:evidence that flutamide restores sensitivity of the gonadotropin−releasing hormone pulse generator to inhibition by estradiol and progesterone,”J.Clin.Endocrinol.Metab.,85:4047−4052(2000)。
【0010】
また、アンドロゲンが腎肥大およびエリスロポエチン(EPO)産生を刺激するので、SARMはある種の造血障害も治療できる。組換えヒトEPOが導入される以前には、慢性腎不全に起因する貧血を治療するためにアンドロゲンが使用されていた。さらに、アンドロゲンは、重篤でない再生不良性貧血および骨髄形成異常症候群のような貧血患者の血清EPOレベルを上昇させる。貧血治療にはSARMが与えるような選択的作用が必要であろう。
【0011】
SARMはまた、肥満症治療の補助薬として臨床的価値を有し得る。この体脂肪減少方法は、アンドロゲン投与が肥満患者の皮下脂肪および内臓脂肪を減少させたという所見の報告によって支持されている[J.C.Lovejoyら,“Oral anabolic steroid treatment,but not parenteral androgen treatment,decreases abdominal fat in obese,older men,”Int.J.Obesity,19:614−624(1995)],[J.C.Lovejoyら,“Exogenous Androgens Influence Body Composition and Regional Body Fat Distribution in Obese Postmenopausal Women−A Clinical Research Center Study,”J.Clin.Endocrinol.Metab.,81:2198−2203(1996)]。従って、不要なアンドロゲン作用のないSARMは肥満症の治療に有益であり得る。
【0012】
アンドロゲン受容体アゴニストはまた、特に男性の代謝症候群(インスリン抵抗性症候群、X症候群)に対して治療有効性を有し得る。男性の2型糖尿病、内臓型肥満、インスリン抵抗性(高インスリン血症、異常脂血症)および代謝症候群には総テストステロンおよび遊離テストステロンならびに性ホルモン結合性グロブリン(SHBG)のレベル低下が付随していた。参照:D.Laaksonenら,Diabetes Care,27(5):1036−1041(2004);D.Laaksonenら,Euro.J Endocrin,149:601−608(2003);P.Marinら,Int.J.Obesity.16:991−997(1992)およびP.Marinら,Obesity Res.,1(4):245−251(1993)。
【0013】
アンドロゲン受容体アゴニストはまた、アルツハイマー病(AD)のような神経変性疾患に治療有効性を有し得る。アンドロゲン受容体を介して神経保護を誘導するアンドロゲンの能力は、J.Hammondら,“Testosterone−mediated neuroprotection through the androgen receptor in human primary neurons,”J.Neurochem.,77:1319−1326(2001)によって報告された。Gourasらは、テストステロンがアルツハイマー病のβ−アミロイドペプチドの分泌を減少させること、従ってADの治療に使用できることを報告した。[(Proc.Nat.Acad.Sci.,97:1202−1205(2000)]。ADの進行に関与するタンパク質の超リン酸化の阻害メカニズムも記載されている[S.Papasozomenos,“Testosterone prevents the heat shock−induced over activation of glycogen synthase kinase−3β but not of cyclin−dependent kinase 5 and c−Jun NH−terminal kinase and concomitantly abolishes hyperphosphorylation of τ:Implications for Alzheimer’s disease,”Proc.Nat.Acad.Sci.,99:140−1145(2002)]。
【0014】
アンドロゲン受容体アゴニストはまた、筋緊張および筋強度に有益な効果を有し得る。最近の研究は、“健康な性腺機能が低下した男性の生理的アンドロゲン置換が無脂肪体重、筋肉の大きさおよび最高随意強度の有意な向上に関連している”ことを証明した[S.Bhasinら,J.Endocrin.,170:27−38(2001)]。
【0015】
アンドロゲン受容体モジュレーターは、男性および女性のリビドー低下を治療するために有用である。男性のアンドロゲン不足はリビドーの低下につながる。S.Howellら,Br.J.Cancer,82:158−161。生殖可能年齢後期の多くの女性の低いアンドロゲンレベルは性的関心の減退の一因である。S.Davis,J.Clin.Endocrinol.Metab.,84:1886−1891(1999)。1つの研究によれば、循環遊離テストステロンが性的欲望にプラスの相関関係を有していた。同上。別の研究では、一次性または二次性のアドレナリン不足の女性に生理的DHEA置換(50mg/日)を行った。DHEAを投与した女性ではプラセーボを接種した女性に比べて、性的な期待、関心および満足の頻度が増加していた。W.Arltら,N Engl.J.Med.341:1013−1020(1999)。他の参考文献:K.Miller,J.Clin.Endocrinol.Metab.,86:2395−2401(2001)。
【0016】
さらに、アンドロゲン受容体モジュレーターはまた、認識機能障害の治療に有用であろう。最近の研究では、高用量の経口エストロゲンを単独でまたは高用量の経口メチルテストステロンと併用で閉経後女性に4カ月間投与した。4ヶ月間のホルモン治療の前後に認識試験を行った。この調査では、エストロゲン(1.25mg)とメチルテストステロン(2.50mg)とを併用で服用した女性は記憶蓄積作業で一定レベルの成果を維持したが、エストロゲン(1.25mg)だけを服用した女性は低い成果を示したことが知見された。A.Wisniewski,Horm.Res.58:150−155(2002)。
【発明の開示】
【0017】
本発明は構造式I:
【0018】
【化3】

の化合物または医薬的に許容される塩またはそれらの立体異性体、それらの使用、および、医薬組成物に関する。
【0019】
これらの化合物はアンドロゲン受容体アゴニストとして有効であり、特にSARMとして有効である。従ってこれらの化合物は、アンドロゲン不足によって発症するかまたはアンドロゲン投与によって軽減できる状態の治療に有用である。
【0020】
本発明はまた、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。
【0021】
本発明でわれわれは、(i)N−C相互作用、(ii)転写抑制、および、(iii)転写活性化、のようなリガンドに媒介されたAR活性化プロフィルを与える一連のインビトロ細胞アッセイを使用することによってSARMとして機能する化合物を同定した。上記に挙げた方法で同定した本発明のSARM化合物はインビボで組織選択的ARアゴニズムを示す。すなわち、骨にはアゴニズム(骨粗鬆症の齧歯類モデルで骨形成の刺激)を示し、前立腺にはアンタゴニズム(去勢齧歯類では最小の前立腺成長効果、および、ARアゴニストによって誘導される前立腺成長に対するアンタゴニズム)を示す。
【0022】
SARMとして同定された本発明の化合物は、アンドロゲン不足によって発症しアンドロゲン投与によって軽減できる疾患または状態を治療するために有用である。このような化合物は、単独療法で、または、ビスホスホネート類、エストロゲン類、SERM類、カテプシンKインヒビター、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、カルシトニンおよびプロトンポンプインヒビターのような骨吸収インヒビターと併用して女性および男性の骨粗鬆症の治療に理想的である。それらはまた、副甲状腺ホルモンまたはその類似体のような骨形成を刺激する薬剤と共に使用できる。本発明のSARM化合物はまた、前立腺癌および良性前立腺過形成(BPH)のような前立腺疾患治療のために単独でまたは他の薬剤と組合せて使用できる。さらに、本発明の化合物は、皮膚に対する作用(ニキビおよび顔面の発毛)が極めて少なく、多毛症の治療にも有用である。さらに、本発明の化合物は筋成長を刺激することができ、サルコペニアおよび脆弱性の治療に有用である。それらは肥満症の治療で内臓脂肪を減少させるために使用できる。さらに本発明の化合物は、中枢神経系でアンドロゲンアゴニズムを示し、血管運動症状(ホットフラッシュ)を治療するため、ならびに、エネルギーおよびリビドーを増加するために有用である。それらは、アルツハイマー病の治療に使用できる。
【0023】
本発明の化合物はまた、骨修復能力を有するので前立腺癌の治療に単独でまたはGnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法の補助薬として使用でき、または、前立腺のアンドロゲンに拮抗し骨減量を極めて少なくする能力を有するので抗アンドロゲン療法に代替使用できる。さらに、本発明の化合物は、骨修復能力を有するので膵臓癌の治療に抗アンドロゲン治療の補助薬として使用でき、または抗アンドロゲン特性を利用して単独療法に使用でき、伝統的な抗アンドロゲンに比べて骨の消費を防ぐという利点を提供する。さらに本発明の化合物は、赤血球および血小板のような血液細胞の数を増加させ、再生不良性貧血のような造血障害の治療に有用である。このような上記の組織選択的アンドロゲン受容体アゴニズムを考察すると、本発明の化合物は性腺機能低下症(アンドロゲン不足)男性のホルモン置換療法に理想的である。
【0024】
本発明はまた、腹部脂肪過多、代謝症候群(“インスリン抵抗性症候群”および“X症候群”としても知られる)およびII型糖尿病の男性患者を安全にかつ特異的に治療する方法に関する。
(発明の詳細な説明)
本発明はアンドロゲン受容体モジュレーター、特に選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)として有用な化合物に関する。本発明の化合物は構造式I:
【0025】
【化4】

によって示される化合物、医薬的に許容される塩またはその立体異性体である。
【0026】
式中の、
mは、0、1、2または3であり;
nは、0、1、2または3であり;
【0027】
【化5】

は、アリールまたはヘテロシクリルであり、これらのアリールまたはヘテロシクリルのおのおのは、場合によりヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、COH、シアノ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、O(0−l)(C1−10)ペルフルオロアルキル、C1−10アルキルスルホニル、C0−10アルキルアミノスルホニル、C0−10アルキルアミノカルボニルおよびNHから選択された1つ以上の基で置換されており;
はC1−4アルキル、C1−4シクロアルキル、ペルフルオロC1−6アルコキシ、C1−6ペルフルオロアルキルから選択され、これらのアルキルおよびシクロアルキルは場合により1から4個のフッ素原子で置換されており;
およびRはおのおの独立に、
水素、
ハロゲン、
ペルフルオロC1−6アルキル、
ペルフルオロC1−6アルコキシ、
1−10アルキル、
2−10アルケニル、
2−10アルキニル、
アリールC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC0−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
1−10アルコキシ、
1−10アルキルオキシC0−10アルキル、
アリールオキシC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルオキシC0−10アルキルC0−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、
1−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
チオC1−10アルキル、
0−10アルキルチオ、
(C0−10アルキル)1−2アミノスルホニルC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノスルホニルC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルアミノスルホニルC0−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルアミノスルホニルC0−10アルキル、および、
ヒドロキシC0−10アルキル
から選択され、RおよびRの上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルのおのおのは、場合によりヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、COH、シアノ、O(C=O)C1−6アルキル、NO、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、−O(0−l)(C1−10)ペルフルオロアルキル、C0−10アルキルアミノカルボニルアミノ、C1−10アルキルオキシカルボニルアミノ、C1−10アルキルカルボニルアミノ、C0−10アルキルアミノスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニル、C0−10アルキルアミノスルホニル、C0−10アルキルアミノカルボニルおよびNHから選択された1つ以上の基で置換されている。
【0028】
本発明の化合物の非限定的代表例は以下の化合物である:
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルプロパンアミド;
(2Rまたは2S)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルブタンアミド;
(2Rまたは2S)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2Rまたは2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2Rまたは2S)−2−(4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2Rまたは2S))−2−(4−クロロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2Rまたは2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド;
(2Rまたは2S)−2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2Rまたは2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[3−(メチルチオ)フェニル]−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2Rまたは2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−(2−チエニル)プロパンアミド;
2−(5−ブロモ−2−チエニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
または医薬的に許容される塩またはそれらの立体異性体。
【0029】
入手容易な出発材料から当業界で公知の技術によって容易に合成できる化学的に安定な化合物を与えるために当業界で常用の技術の1つによって1つ以上のSi原子を本発明の化合物に組込めることは理解されよう。
【0030】
本発明の化合物は、非対称中心、キラル軸およびキラル平面を有することができ(記載文献:E.L.Eliel and S.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds,John Wiley & Sons,New York,1994,pp.1119−1190)、ラセミ体、ラセミ混合物および個別のジアステレオマーとして生成するので、光学異性体も含めた可能なすべての異性体およびそれらの混合物は本発明に包含される。
【0031】
さらに、本文中に開示した化合物は互変異性体として存在でき、一方の互変異性体構造が示されている場合であっても双方の互変異性体形態が本発明の範囲に包含される。例えば、以下の化合物Aに対する特許請求の範囲は互変異性体構造Bを包含し、およびその逆の場合も包含され、それらの混合物も包含されると理解されたい。
【0032】
【化6】

【0033】
“アルキル”という用語は、総炭素原子数が1から10またはこの範囲内のいずれかの数である直鎖状または分枝状アルカン(すなわち、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなど)を意味する。(例えばC0−8アルキルアリール”中の)“Cアルキル”という用語はアルキル基が存在しないことを表す。
【0034】
“アルケニル”という用語は総炭素原子数が2から10またはこの範囲内のいずれかの数である直鎖状または分枝状アルケンを意味する。
【0035】
“アルキニル”という用語は、2から10個の炭素原子と少なくとも1つの炭素炭素三重結合とを含む直鎖状、分枝状または環状の炭化水素ラジカルを表す。3つ以下の炭素炭素三重結合が存在できる。従って、“C−Cアルキニル”は、2から6個の炭素原子を有しているアルキニルラジカルを意味する。アルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、3−メチルブチニルなどを含む。アルキニル基の直鎖状、分枝状または環状部分は、三重結合を含有でき、置換アルキニル基が指示されているときは置換され得る。
【0036】
本文中に使用した“シクロアルキル”は、特定した数の炭素原子を有している非芳香族環状炭化水素基を含意し、これらは、架橋でも非架橋でもよく閉鎖構造でも非閉鎖構造でもよい。このようなシクロアルキルの非限定例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル、シクロオクチル、シクロヘプチル、テトラヒドロ−ナフタレン、メチレンシクロヘキシルなどである。本文中に使用した“C−C10シクロアルキル”の非限定例は、
【0037】
【化7】

を含む。
【0038】
“アルコキシ”は、酸素ブリッジを介して付着した指定数の炭素原子を有する環状または非環状アルキル基を表す。従って“アルコキシ”は上記のアルキルおよびシクロアルキルの定義を包含する。
【0039】
“ペルフルオロアルキル”は、対応する水素がすべてフッ素原子によって置換された炭素原子数10以下のアルキル鎖を表す。
【0040】
本文中に使用した“アリールは、各環が7原子以下で少なくとも1つの環が非芳香族の安定な単環式または二環式炭素環を意味する。このようなアリール要素の非限定例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロ−ナフチル、インダニルまたはビフェニルを含む。アリール置換基が二環式で1つの環が非芳香族の場合、付着が芳香環を介して生じていることは理解されよう。
【0041】
本文中に使用したヘテロアリールという用語は、各環の原子数7以下の安定な単環式または二環式の環を表し、この場合、少なくとも1つの環が非芳香族であり、O、NおよびSから選択された1から4個のヘテロ原子を含有している。この定義の範囲内のヘテロアリール基の非限定例は、アザベンズイミダゾール、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジヒドロフラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、インドリル、キノリル、キノキサリニル、イソキノリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、テトラヒドロキノリニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、イミダゾピリジニル、テトラゾリルおよびインダニルを含む。以下の複素環の定義と同様に、“ヘテロアリール”が窒素含有ヘテロアリールのN−オキシド誘導体も包含することは理解されよう。ヘテロアリール置換基が二環式で1つの環が非芳香族であるかまたはヘテロ原子非含有の場合、付着がそれぞれ芳香環またはヘテロ原子含有環を介して生じることは理解されよう。
【0042】
置換基の名称中に“アルキル”または“アリール”またはそれらの接頭根のいずれかが出現する場合(例えば、アリールC0−8アルキル)、これらは“アルキル”および“アリール”に関する上記の定義を含意すると解釈されたい。指定した炭素原子数(例えば、C0−8)は独立にアルキルまたは環状アルキル部分の炭素原子数を表すか、または接頭根にアルキルが存在するより大きい置換基のアルキル部分を表す。
【0043】
本文中に使用した“ハロ”または“ハロゲン”がクロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを表すことは当業者に理解されよう。
【0044】
本文中に使用した“複素環”または“ヘテロシクリル”という用語は、O、NおよびSから成るグループから選択された1から4個のヘテロ原子を含有する5−から14−員環の芳香族または非芳香族環系を意味しており、二環式の基を包含する。従って、“ヘテロシクリル”は、上記のヘテロアリールとそれらのジヒドロおよびテトラヒドロ類似体を包含する。それ以外の“ヘテロシクリル”の非限定例を以下に挙げる:アザベンズイミダゾール、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、アジリジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンズオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチエニルとそれらのN−オキシド。ヘテロシクリル置換基の付着は炭素原子またはヘテロ原子を介して生じる。
【0045】
“アリールアルキル”および“アルキルアリール”という用語は、上記に定義のアルキルを有するアルキル部分と上記に定義のアリールを有するアリール部分とを含む。アリールアルキルの非限定例は、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチルおよびナフチルエチルを含む。アルキルアリールの非限定例はトルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジンおよびブチルピリジンを含む。
【0046】
“オキシ”という用語は酸素(O)原子を意味する。“チオ”という用語はイオウ(S)原子を意味する。“オキソ”という用語は“=O”を意味する。“カルボニル”という用語は“C=O”を意味する。
【0047】
“置換された”という用語は、指名した置換基による多数の置換度を含意する。多数の置換基部分が開示または特許請求の範囲に記載されている場合、置換された化合物は1つ以上の開示されたまたは特許請求の範囲に記載された置換基部分によって単数的にまたは複数的に独立に置換され得る。独立に置換されたという表現は(2つ以上の)置換基が同じものでも異なるものでもよいことを意味する。
【0048】
いずれかの置換基または式Iに可変要素(例えば、R、Rなど)が2回以上出現する場合、出現毎のその定義は他の出現毎のその定義から独立している。また、置換基および/または可変要素の組合せは安定な化合物が得られる場合に限って許容される。
【0049】
この開示を通じて使用した標準命名法では、特定側鎖の末端部分を最初に記載し、次いで隣接官能基、付着点の順に記載する。例えば、C1−5アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル置換基は、
【0050】
【化8】

に等価である。
【0051】
本発明の化合物を選択するとき、種々の置換基、すなわち、R、R、R、Rなどを公知の化学構造結合適性原理に合うように選択すべきであることを当業者は認識されるであろう。
【0052】
置換基から環系に引かれた線は、指示した結合が置換可能な環原子のいずれかに付着できることを示す。環系が多環式のときは、結合が近接環の適正炭素原子のいずれかだけに付着できることを含意する。
【0053】
本発明の化合物の置換基および置換パターンは、当業界で公知の技術および後述する方法によって入手容易な出発材料から容易に合成できる化学的に安定な化合物を与えるように当業者によって選択できることは理解されよう。置換基自体が2つ以上の基で置換されているとき、これらの多数基は、安定な構造が形成される限り、同一炭素または異なる炭素のいずれに存在してもよいことは理解されよう。“場合により1つ以上の置換基で置換された”という表現は、“場合により少なくとも1つの置換基で置換された”という表現と等価であり、このような場合の1つの実施態様は0から3つの置換基を有するであろう。
【0054】
本発明の1つの実施態様では、
【0055】
【化9】

が、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、アザベンズイミダゾール、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジヒドロフラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、インドリル、キノリル、キノキサリニル、イソキノリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、テトラヒドロキノリニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、イミダゾピリジニル、テトラゾリルおよびインダニルから選択される。
【0056】
この実施態様の1つの変形例では、
【0057】
【化10】

が、フェニル、ナフチル、アザベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリル、インドリル、キノリル、キノキサリニル、イソキノリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、テトラヒドロキノリニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、イミダゾピリジニル、テトラゾリルおよびインダニルから選択される。この実施態様の別の変形例では、
【0058】
【化11】

が、フェニル、チエニル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリルから選択される。別の変形例では、
【0059】
【化12】

が、フェニル、チエニル、チアゾリルおよびイソチアゾリルから選択される。別の変形例で、
【0060】
【化13】

は、フェニルおよびチエニルから選択される。
【0061】
本発明の1つの実施態様では、nが0である。別の実施態様では、nが2である。また別の実施態様では、nが2または3である。1つの実施態様では、nが1である。
【0062】
本発明の1つの実施態様では、mが0である。別の実施態様では、mが2である。また別の実施態様では、mが2または3である。1つの実施態様では、mが1である。
【0063】
本発明の1つの実施態様では、Rが、ペルフルオロC1−6アルキル、C1−4シクロアルキルおよびC1−4アルキルから選択され、これらのアルキルおよびシクロアルキルはおのおの独立に、場合により1つ以上のフッ素原子で置換されている。
【0064】
別の実施態様では、Rが、ペルフルオロC1−6アルキルおよびC1−4アルキルから選択され、これらのアルキルは、場合により1つ以上のフッ素原子で置換されている。この実施態様の1つの変形例では、Rがトリフルオロメチルおよびペルフルオロエチルから選択されている。
【0065】
また別の実施態様では、Rが、フッ素、メチル、エチル、プロピル、トリフルオロメチル、ペルフルオロエチル、ジフルオロエチルおよびジフルオロプロピルから選択されている。
【0066】
本発明の1つの実施態様で、RおよびRのおのおのは独立に、水素、ハロゲン、ペルフルオロC1−6アルキル、ペルフルオロC1−6アルコキシ、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリールC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクリルC0−10アルキル、(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、C1−10アルコキシ、C1−10アルキルオキシC0−10アルキル、アリールオキシC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルオキシC0−10アルキルC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、C0−10アルキルチオC0−10アルキル、(C0−10アルキル)1−2アミノスルホニルC0−10アルキル、(アリールC0−10アルキル)1−2アミノスルホニルC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキルアミノスルホニルC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルアミノスルホニルC0−10アルキルおよびヒドロキシC0−10アルキルから選択される。
【0067】
本発明の1つの実施態様で、RおよびRのおのおのは独立に、水素、ハロゲン、ペルフルオロC1−6アルキル、ペルフルオロC1−6アルコキシ、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、アリールC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクリルC0−10アルキル、(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、C1−10アルコキシ、C1−10アルキルオキシC0−10アルキル、アリールオキシC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルオキシC0−10アルキルC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、C0−10アルキルチオC0−10アルキルおよびヒドロキシC0−10アルキルから選択される。
【0068】
およびRの上記実施態様で留意すべきは、これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルのおのおのが場合により、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、COH、シアノ、O(C=O)C−Cアルキル、NO、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、−O(0−1)(C1−10)ペルフルオロアルキル、C0−10アルキルアミノカルボニルアミノ、C1−10アルキルオキシカルボニルアミノ、C1−10アルキルカルボニルアミノ、C0−10アルキルアミノスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニル、C0−10アルキルアミノスルホニル、C0−10アルキルアミノカルボニルおよびNHから選択された1つ以上の基で置換されていることである。
【0069】
1つの実施態様では、本発明の化合物が以下から選択される:
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルプロパンアミド;
(2R)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルブタンアミド;
(2R)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−2−(4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−2−(4−クロロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド;
(2R)−2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[3−(メチルチオ)フェニル]−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−(2−チエニル)プロパンアミド;
2−(5−ブロモ−2−チエニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
および医薬的に許容される塩およびそれらの立体異性体。
【0070】
別の実施態様で本発明の化合物は以下から選択される:
(2S)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルブタンアミド;
(2S)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(4−クロロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド;
(2S)−2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(25)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[3−(メチルチオ)フェニル]−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−(2−チエニル)プロパンアミド;
および医薬的に許容される塩およびそれらの立体異性体。
【0071】
本発明の化合物はアンドロゲン受容体の組織選択的モジュレーター(SARM)であることが知見された。1つの特徴によれば、本発明の化合物は、哺乳動物のアンドロゲン受容体の機能を活性化するため、特に骨および/または筋組織のアンドロゲン受容体の機能を活性化し男性個体の前立腺または女性個体の子宮のアンドロゲン受容体の機能を阻止または阻害(“拮抗”)するために有用である。
【0072】
本発明の別の目的は、皮膚の増毛や声帯に影響を与えることなく男性個体の前立腺または女性個体の子宮でARアゴニストによって誘導されるアンドロゲン受容体の機能を弱化または遮断し、血液脂質レベルをコントロールする器官(例えば肝)の機能を活性化しないが骨および/または筋組織のアンドロゲン受容体の機能を活性化するための式Iの化合物の使用である。
【0073】
本発明の代表的化合物は典型的にはサブマイクロモルでアンドロゲン受容体に結合親和性を示す。従って本発明の化合物は、アンドロゲン受容体機能に関連した障害に悩む哺乳動物の治療に有用である。医薬的に許容されるその塩を含む化合物を治療有効量で哺乳動物に投与して、アンドロゲン不足のようなアンドロゲン受容体機能に関連する障害、アンドロゲン置換によって軽減できるかまたはアンドロゲン置換によって改善できる障害を治療する。これらの例は、低下した筋緊張の強化、骨粗鬆症、骨減少症、グルココルチコイド誘導骨粗鬆症、歯周病、骨折(例えば脊椎骨および非脊椎骨の骨折)、骨再建術後の骨損傷、サルコペニア、脆弱性、加齢肌、男性の性腺機能低下、女性の閉経後症状、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、肥満症、再生不良性貧血、他の造血障害、膵臓癌、炎症性関節炎および関節修復、HIV衰弱、前立腺癌、良性前立腺過形成(BPH)、癌カテキシー、アルツハイマー病、筋ジストロフィー、認識減退、性的機能不全、睡眠時無呼吸、抑鬱、未熟卵巣不全および自己免疫疾患を含む。治療は、このような治療を要する哺乳動物に治療有効量の構造式Iの化合物を投与することによって行う。さらに、これらの化合物は単独でまたは他の有効薬剤と組合せて医薬組成物の成分として有用である。
【0074】
1つの実施態様で、本発明の化合物は骨粗鬆症、骨減少症、グルココルチコイド誘導骨粗鬆症、歯周病、HIV衰弱、前立腺癌、癌カテキシー、肥満症、関節炎状態、再生不良性貧血のような貧血、筋ジストロフィー、アルツハイマー病、認識減退、性的機能不全、睡眠時無呼吸、抑鬱、良性前立腺過形成(BPH)、腹部脂肪過多、代謝症候群、II型糖尿病およびアテローム性動脈硬化症を非限定例とするアンドロゲン不足によって発症するかまたはアンドロゲン置換によって軽減できる男性個体の状態を治療するために単独でまたは他の有効薬剤と組合せて使用できる。治療は、このような治療を要する男性個体に治療有効量の構造式Iの化合物を投与することによって行う。
【0075】
“関節炎状態”または“関節炎状態群”という用語は、炎症性病巣が関節に限定されている疾患または関節の何らかの炎症状態を表し、もっとも顕著な例は骨関節炎およびリウマトイド関節炎である(Academic Press Dictionary of Science Technology;Academic Press;1st edition,January 15,1992)。式Iの化合物はまた単独でまたは組合せて、ベーチェット病;滑液嚢炎および腱炎;CPPD沈着疾患;手根管症候群;エーラース・ダンロス症候群;線維筋痛症;痛風;感染性関節炎;炎症性腸疾患;若年性関節炎;ループス・エリテマトーデス;ライム病;マルファン症候群;筋炎;骨関節炎;骨形成不全症;骨壊死;多発性関節炎;多発性リウマチ性筋痛症;乾癬性関節炎;レイノー現象;反射性交感神経異栄養症候群;ライター症候群;リウマトイド関節炎;強皮症;シェーグレン症候群のような関節炎状態の治療または予防に使用できる。本発明の1つの実施態様は、治療有効量の式Iの化合物を投与する段階を含む関節炎状態の治療または予防を包含する。より下位概念的な実施態様は、治療有効量の式Iの化合物を投与する段階を含む骨関節炎の治療または予防である。参照:Cutolo M,Seriolo B,Villaggio B,Pizzorni C,Craviotto C,Sulli A,Ann.N.Y.Acad.Sci.2002 Jun;966:131−42;Cutolo,M.Rheum Pis Clin North Am 2000 Nov;26(4):881−95;Bijlsma JW、Van den Brink HR.Am J Reprod Immunol 1992 Oct−Dec;28(3−4):231−4;Jansson L.Holmdahl R.;Arthritis Rheum 2001 Sep;44(9):2168−75;Purdie DW.Br Med Bull 2000;56(3):809−23。同じく参照:Merck Manual,17th edition,pp.449−451。
【0076】
関節炎状態を治療するために組合せ使用されるとき、式Iの化合物は、併用療法に有用な本文中に記載の薬物のいずれかと共に使用できるか、または、コルチコステロイド、細胞障害薬(または他の疾患調節薬または寛解誘導薬)、金治療、メトトレキセート、NSAIDおよびCOX−2インヒビターのような関節炎状態を治療または予防する公知の薬物と共に使用できる。
【0077】
別の実施態様では本発明の化合物は、骨粗鬆症、骨減少症、加齢肌、グルココルチコイド誘導骨粗鬆症、閉経後症状、歯周病、HIV衰弱、癌カテキシー、肥満症、再生不良性貧血のような貧血、筋ジストロフィー、アルツハイマー病、未熟卵巣不全、認識減退、性的機能不全、抑鬱、炎症性関節炎および関節修復、アテローム性動脈硬化症および自己免疫疾患を非限定例とする、アンドロゲン不足によって発症するかまたはアンドロゲン置換によって軽減できる女性個体の状態を治療するために単独でまたは他の有効薬剤と組合せて使用できる。治療は、このような治療を要する女性個体に治療有効量の構造式Iの化合物を投与することによって行う。
【0078】
式Iの化合物はまた、例えばヒトのような哺乳動物の筋緊張の強化に有用である。構造式Iの化合物はまた、前立腺癌の治療において伝統的アンドロゲン遮断療法の補助薬として、骨を修復し、骨減量を最小にし、骨ミネラル密度を維持するために使用できる。すなわち、これらは、P.Limontaら,Exp.Opin.Invest.Drugs,10:709−720(2001);HJ.Strieker,Urology,58(Suppl.2A):24−27(2001);R.P.Millarら,British Medical Bulletin.56:761−772(2000);A.V.Schallyら,Advanced Drug Delivery Reviews,28:157−169(1997)に開示されているようなGnRHアゴニスト/アンタゴニストを含む伝統的なアンドロゲン遮断療法と共に使用できる。構造式Iの化合物は、フルタミド、2−ヒドロキシフルタミド(フルタミドの活性代謝産物)、ニルタミドおよびビカルタミド(CasodexTM)のような抗アンドロゲン剤と組合せて前立腺癌の治療に使用できる。
【0079】
さらに、本発明の化合物はまた、それらのアンドロゲンアンタゴニスト特性を利用してまたはフルタミド、2−ヒドロキシフルタミド(フルタミドの活性代謝産物)、ニルタミドおよびビカルタミド(CasodexTM)のような抗アンドロゲン剤の補助薬として膵臓癌の治療に使用できる。
【0080】
“癌を治療する”または“癌の治療”という用語は、癌状態に罹った哺乳動物への投与を表し、また、癌細胞を殺すことによって癌状態を軽減する効果ならびに癌の増殖および/または転移を阻害する効果を表す。
【0081】
構造式Iの化合物は、脂質代謝に対する副作用を最小にできる。従って、それらの組織選択的アンドロゲンアゴニスト特性を考察すると、本発明の化合物は、性腺機能低下(アンドロゲン不足)の男性個体のホルモン置換療法として既存の方法を凌駕する利点を示す。
【0082】
さらに、本発明の化合物は、赤血球および血小板のような血液細胞の数を増加し、再生不良性貧血のような造血障害の治療に使用できる。
【0083】
本発明の1つの実施態様では、低下した筋緊張の強化、骨粗鬆症、骨減少症、グルココルチコイド誘導骨粗鬆症、歯周病、骨折、骨再建術後の骨損傷、サルコペニア、脆弱性、加齢肌、男性の性腺機能低下、女性の閉経後症状、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、肥満症、再生不良性貧血およびその他の造血障害、膵臓癌、炎症性関節炎および関節修復、HIV衰弱、前立腺癌、良性前立腺過形成(BPH)、癌カテキシー、アルツハイマー病、筋ジストロフィー、認識減退、性的機能不全、睡眠時無呼吸、抑鬱、未熟卵巣不全および自己免疫疾患から選択された障害を治療または改善するために治療有効量の式Iの化合物を哺乳動物に投与する。
【0084】
別の実施態様では、低下した筋緊張、骨粗鬆症、骨減少症、グルココルチコイド誘導骨粗鬆症、歯周病、骨折、骨再建術後の骨損傷、サルコペニア、アルツハイマー病および脆弱性から選択された障害を治療または改善するために治療有効量の化合物を使用できる。
【0085】
別の実施態様では、男性の性腺機能低下、女性の閉経後症状、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、肥満症、再生不良性貧血およびその他の造血障害、膵臓癌、炎症性関節炎および関節修復、HIV衰弱、前立腺癌、良性前立腺過形成(BPH)、癌カテキシー、筋ジストロフィー、認識減退、性的機能不全、睡眠時無呼吸、抑鬱、未熟卵巣不全および自己免疫疾患のような障害を治療または改善するために本発明の化合物を使用できる。
【0086】
本発明の化合物は、鏡像異性体的に純粋な形態で投与できる。ラセミ混合物は多数の慣用方法のいずれかによって個別の鏡像異性体に分割できる。これらの方法としては、キラルクロマトグラフィー、キラル副剤で誘導体化し次いでクロマトグラフィーもしくは結晶化によって分離する方法、ジアステレオマー塩の分別結晶化、などがある。
【0087】
本発明に使用されたアンドロゲン受容体の“アゴニスト”として機能する本発明の化合物は、アンドロゲン受容体に結合し該受容体に特有の生理的または薬理的応答を開始させる。“組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーター”という用語は、いくつかの組織では天然リガンドの作用を模倣するが他の組織ではそうでないアンドロゲン受容体リガンドを表す。“部分アゴニスト”は、化合物の使用量にかかわりなく受容体集団の最大活性化を誘導できないアゴニストである。“完全アゴニスト”は、所与の濃度でアンドロゲン受容体集団の完全活性化を誘導する。アンドロゲン受容体の“アンタゴニスト”として機能する本発明の化合物は、アンドロゲン受容体に結合し、天然のアンドロゲン受容体リガンドによって正常に誘導されるアンドロゲン関連応答を遮断または阻害できる。
【0088】
“医薬的に許容される塩”という用語は、無機または有機の塩基および無機または有機の酸を含む医薬的に許容される無毒性塩基または酸から製造された塩を表す。無機塩基に由来の代表的な塩の非限定例は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩である。本発明の1つの変形例では、塩がアンモニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩から選択される。医薬的に許容される無毒性有機塩基に由来の塩の非限定例は、第一級、第二級および第三級アミン、天然産生置換アミンを含む置換アミン、環状アミンの塩、ならびに、塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどを含む。
【0089】
本発明の化合物が塩基性であるとき、塩は、無機および有機の酸を含む医薬的に許容される無毒の酸から製造できる。使用できる代表的な酸は、酢酸、ベンゼスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、マロン酸、ムコ酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などを含む。1つの変形例では、酸が、クエン酸、フマル酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸から選択される。
【0090】
上記に記載の医薬的に許容される塩およびその他の典型的な医薬的に許容される塩の製造は、Bergら,“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,1977:66:1−19により詳細に記載されている。
【0091】
また、生理的条件下で化合物中のカルボキシル基のような脱プロトン化した酸性部分がアニオン性になり、この電荷は第四級窒素原子のようなプロトン化またはアルキル化塩基性部分のカチオン性電荷に対して内的に均衡しないので、本発明の化合物は、潜在的に分子内塩または双性イオンであることに注目されたい。
【0092】
“治療有効量”という用語は、組織、系、動物またはヒトの体内で研究者、獣医、内科医または他の臨床医が求めるような生物学的または医学的応答を誘発する構造式Iの化合物の量を意味する。
【0093】
本文中に使用した“組成物”という用語は、特定した成分を特定した量で含む生成物、および、特定した量の特定した成分の組合せから直接または間接に得られた生成物を含意する。
【0094】
“医薬的に許容される”という用語は、担体、希釈剤または賦形剤が配合物の他の成分と適合性でなければならないこと、および、そのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0095】
“化合物の投与”および“化合物を投与する”という用語は、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを要治療個体に与えることを意味すると理解されたい。
【0096】
“アンドロゲン受容体によって媒介される機能を組織選択的に変調する”という用語は、アンドロゲン受容体によって媒介される機能が、同化(骨および/または筋肉)組織で選択的に(または差別的に)変調され、前立腺、精巣、精嚢、卵巣、子宮のような男性性徴(生殖)組織およびその他の性別副存組織ではこのような変調が存在しないことを意味する。1つの実施態様では、同化組織中でアンドロゲン受容体の機能が活性化され、男性性徴組織中でアンドロゲン受容体の機能が遮断または抑制される。別の実施態様では、同化組織のアンドロゲン受容体の機能が遮断または抑制され、アンドロゲン性組織のアンドロゲン受容体の機能が活性化される。
【0097】
本発明の治療方法を実施するための構造式Iの化合物の投与は、有効量の構造式Iの化合物をこのような治療または予防を必要とする患者に投与することによって行う。本発明方法による予防的投与の必要性は公知の危険要因に基づいて判断する。該当症例の担当医が最終分析で個々の化合物の有効量を決定するが、有効量は、治療すべき正確な疾患、疾患の重篤度、患者が罹患している他の疾患または状態、選択された投与経路、患者に同時に必要な他の薬物および治療とその他の医師の判断要因に従属する。
【0098】
固定用量として製剤されるとき、このような合一型製品には、下記の薬用量範囲内の本発明の化合物と、それぞれの認可薬用量範囲内の(1種以上の)他の医薬有効物質とが使用される。あるいは、合一型配合物が適当でないときは、本発明の化合物を医薬的に許容される(1種以上の)既知の薬剤と順次に使用できる。
【0099】
一般に、構造式Iの化合物の1日投薬量は、1日に成人で約0.01から約1000mgの広い範囲で変更できる。例えば、投薬量の範囲は約0.1から約200mg/日である。経口投与するための組成物は、治療される哺乳動物への投薬量を症状に応じて調節できるように、約0.01から約1000mg、例えば、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、3.0、5.0、6.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75、100、125、150、175、180、200、225および500ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態で提供される。
【0100】
投与は1日に一回の投与でもよく、または、1日の合計投薬量を2、3または4回に分割した用量で投与してもよい。さらに、投与に選択された個々の化合物の特性に基づいて、投与頻度をもっと少なく、例えば、週一回、週2回、月一回、などにしてもよい。もちろん、投与頻度が少なくなれば、これに対応して一回の投薬量は増加するであろう。
【0101】
鼻腔内経路、経皮経路、直腸もしくは膣内座薬または静注溶液として投与されるときはもちろん、投薬計画全体を通じて投薬が間欠的でなく連続的であろう。
【0102】
本発明の代表例は、上述の化合物のいずれかと医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物である。また。上述の化合物のいずれかと医薬的に許容される担体とを組合せることによって製造した医薬組成物も本発明の代表例である。本発明の代表例は上述の化合物のいずれかと医薬的に許容される担体とを組合せる段階を含む医薬組成物の製造方法である。
【0103】
医薬用途で本発明方法に使用される組織選択的アンドロゲン受容体の配合物は、構造式Iの化合物を医薬的に許容されるその担体および場合により他の治療有効成分と共に含む。担体は医薬的に許容される担体でなければならないが、これは、配合物の他の成分と適合性であり配合物のレシピエント対象に有害でないという意味である。
【0104】
従って本発明はさらに、構造式Iの化合物を医薬的に許容されるその担体と共に含む医薬配合物を提供する。配合物は、経口、直腸、膣内、鼻腔内、外用および非経口(皮下、筋肉内、静脈内投与を含む)に適した配合物を含む。1つの実施態様で配合物は経口投与に適した配合物である。
【0105】
式Iの化合物の適当な外用配合物は、経皮デバイス、エアロゾル、クリーム、溶液、軟膏、ジェル、ローション、散布粉末などを含む。本発明の化合物を含有する外用医薬組成物は通常は、約0.005重量%から約5重量%の有効化合物を医薬的に許容されるビヒクルと混合して含む。本発明の化合物の投与に有用な経皮的皮膚貼付薬は平均的な技量の当業者に公知のものを含む。
【0106】
配合物は、単位剤形で提供され、製薬業界で公知の方法のいずれかによって調製できる。すべての方法が、有効化合物と1種以上の成分を構成する担体とを会合させる段階を含む。一般には、有効化合物を液体担体、ワックス状担体または微細分割個体担体と共に均一および均質に会合させ、次いで必要ならば生成物を所望の剤形に造形する段階を含む。
【0107】
経口投与に適した本発明の配合物は、カプセル、カシェ剤、錠剤もしくは甘味入り錠剤のようなおのおのが所定量の有効化合物を含有する個別単位、粉末もしくは顆粒、または、水性液体もしく非水性液体中の懸濁液もしくは溶液、例えば、シロップ、エリキシル剤、または、エマルションとして提供できる。
【0108】
錠剤は、場合により1種以上の副成分と共に圧縮または成形することによって製造できる。圧縮錠剤は、自由流動形態例えば粉末または顆粒形態の有効化合物を場合により副成分、例えば、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、崩壊剤または着色剤と混合して適当な機械で圧縮することによって製造できる。成形錠剤は、好ましくは粉末形態の有効化合物と適当な担体との混合物を適当な機械で成形することによって製造できる。適当な結合剤の非限定例は、デンプン、ゼラチン、ブドウ糖またはベータ−ラクトースのような天然の糖、トウモロコシ甘味料、アラビアガム、トラガカントガムまたはアルギン酸ナトリウムのような天然または合成のガム、カルボキシメチル−セルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどを含む。これらの剤形に使用される滑沢剤の非限定代表例は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤は非限定的に、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含む。
【0109】
合成および天然のガム、例えば、トラガカントガム、アラビアガム、メチルセルロースなどのような適宜着香した懸濁化剤または分散剤中のシロップまたは懸濁液のような経口液体形態は、溶液または懸濁液に有効化合物を添加することによって製造できる。使用できるその他の分散剤はグリセリンなどを含む。
【0110】
膣内または直腸内投与する配合物は、慣用の担体、すなわち、構造式Iの化合物に適合性であり、貯蔵安定性であり、構造式Iの化合物に結合したりその放出を妨害したりしない粘膜非刺激性の無毒性基剤を用いて坐剤として提供できる。適当な基剤は、カカオ脂(テオブロマ油)、ポリエチレングリコール(例えば、カーボワックスおよびポリグリコール)、グリコール−界面活性剤の組合せ、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween、MyrjおよびArlacel)、グリセリン化ゼラチン、水添植物油を含む。グリセリン化ゼラチン坐剤を使用するときは、メチルパラベンまたはプロピルパラベンのような保存剤を使用できる。
【0111】
有効薬物成分を含有している外用製剤は、例えばアルコール、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンAおよびE油、鉱油、PPG2ミリスチルプロピオネートなどのような当業界で公知の様々な担体材料と混合して、例えば、アルコール溶液、外用クレンザー、クレンジングクリーム、スキンジェル、スキンローションおよびクリームもしくはゲル配合物の形態のシャンプーを形成できる。
【0112】
本発明の化合物はまた、小さい単層小胞、大きい単層小胞および多層小胞のようなリポソームデリバーリシステムの形態で投与できる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンのような様々なリン脂質から形成できる。
【0113】
本発明の化合物はまた、化合物分子を結合させる独立担体としてモノクローナル抗体を使用することによって送達できる。本発明の化合物はまた、標的特異的薬物担体のような可溶性ポリマーに結合できる。このようなポリマーは、ポリビニル−ピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルタミドフェノール、または、パルミトイル残基で置換されたポリエチレン−オキシドポリリシンなどである。さらに、本発明の化合物は、薬物の調節放出を行うために有用な生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよび架橋したもしくは両親媒性のヒドロゲルブロックコポリマーに結合できる。
【0114】
非経口投与に適した配合物は、レシピエントの血液と等張性の有効化合物の無菌水性製剤を含む。このような配合物は好適には、レシピエント対象の血液と等張性の化合物の溶液または懸濁液を含む。このような配合物は、蒸留水と、蒸留水または生理食塩水中の5%デキストロースと有効化合物とを含有できる。使用溶媒に適した溶解度を有している医薬的および薬理学的に許容される有効化合物の酸付加塩がしばしば有用である。有用な配合物はまた、適当な溶媒で希釈したときに非経口投与に適した溶液を与える有効化合物の濃縮溶液または固体を含む。
【0115】
本発明の医薬組成物および方法はさらに、上述の骨粗鬆症、歯周病、骨折、骨再建術後の骨損傷、サルコペニア、脆弱性、加齢肌、男性の性腺機能低下、女性の閉経後症状、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、再生不良性貧血のような造血障害、膵臓癌、アルツハイマー病、炎症性関節炎および関節修復のような状態の治療に常用の他の治療有効化合物を含み得る。
【0116】
骨粗鬆症の治療および予防には、本発明の化合物を、抗吸収剤、骨同化促進剤、ならびに、カルシウムサプリメント、フラボノイド、ビタミンD類似体のような明確には解明されていないメカニズムによって骨格に有益に作用する他の薬剤などから選択された少なくとも1種類の骨強化剤と組合せて投与できる。歯周病、骨折および骨再建術後の骨損傷状態にはこれらの併用治療が有効である。例えば、本発明の化合物は、エストロゲン、ビスホスホネート、SERM類、カテプシンKインヒビター、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、空胞性ATPアーゼインヒビター、ポリペプチドオステオプロテゲリン、VEGFアンタゴニスト、チアゾリジンジオン、カルシトニン、プロテインキナーゼインヒビター、副甲状腺ホルモン(PTH)および類似体、カルシウム受容体アンタゴニスト、成長ホルモン分泌促進物質、成長ホルモン放出ホルモン、インスリン様増殖因子、骨形態形成タンパク質(BMP)、BMPアンタゴニズムインヒビター、プロスタグランジン誘導体、線維芽細胞増殖因子、ビタミンDおよびその誘導体、ビタミンKおよびその誘導体、大豆イソフラボン、カルシウム塩およびフッ化物塩のような有効量の他の薬剤と効果的に併用投与できる。これらの併用治療は歯周病、骨折および骨再建術後の骨損傷状態にも有効である。
【0117】
本発明の1つの実施態様では、本発明の化合物が、単独のまたはプロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体と組合せたエストロゲンおよびエストロゲン誘導体;ビスホスホネート;抗エストロゲンまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーター;αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト;カテプシンKインヒビター;破骨細胞空胞性ATPアーゼインヒビター;カルシトニン;オステオプロテゲリンから選択された少なくとも1種類の治療有効量の骨強化剤と効果的に併用投与できる。
【0118】
骨粗鬆症の治療における本発明の化合物の活性は、抗吸収剤;エストロゲン、ビスホスホネート、SERM類、カルシトニン、カテプシンKインヒビター、空胞性ATPアーゼインヒビター、RNAK/RANKL/オステオプロテゲリン経路の妨害剤、p38インヒビターまたはその他の破骨細胞生成もしくは破骨細胞活性化のインヒビターの活性とは明らかに違っている。構造式Iの化合物は、骨吸収を阻害するのではなく、例えば骨強度のかなりの部分を担う骨皮質に作用して骨形成の刺激を支援する。骨皮質の増粘は骨折の危険性、特に腰椎骨折の危険性の低下に実質的に貢献する。組織−構造式IのSARMと、例えば、エストロゲンまたはエストロゲン誘導体、ビスホスホネート、抗エストロゲン、SERM類、カルシトニン、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、空胞性ATPアーゼインヒビターおよびカテプシンKインヒビターのような抗吸収剤との組合せは、骨同化作用および抗吸収作用の相補効果があるので特に有効である。
【0119】
エストロゲンおよびエストロゲン誘導体の非限定的代表例は、例えば、17β−エストラジオール、エストロン、複合エストロゲン(PREMARIN(R))、ウマエストロゲン、17β−エチニルエストラジオールなどのようなエストロゲン活性を有するステロイド系化合物を含む。エストロゲンまたはエストロゲン誘導体は単独使用でもよくまたはプロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体との併用でもよい。プロゲスチン誘導体の非限定例はノルエチンドロンおよび酢酸メドロキシプロゲステロンである。
【0120】
同じく本発明の化合物と併用できるビスホスホネート化合物の非限定例を以下に挙げる:
(a)アレンドロネート(アレンドロン酸としても知られる)、4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸、アレンドロネートナトリウム、アレンドロネートモノナトリウム三水和物、または、4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸モノナトリウム三水和物。アレンドロネートは、米国特許:1990年5月1日付けの4,922,007、Kieczykowskiら;1991年5月28日付けの5,019,651、Kieczykowski;1996年4月23日付けの5,510,517、Dauerら;1997年7月15日付けの5,648,491、Dauerら、に記載されている;
(b)[(シクロヘプチルアミノ)−メチレン]−ビス−ホスホネート(インカドロネート)。これは、1990年11月13日付けの米国特許4,970,335、Isomuraら、に記載されている;
(c)(ジクロロメチレン)−ビス−ホスホン酸(クロドロン酸)および二ナトリウム塩(クロドロネート)。これらはベルギー特許672,205(1966)およびJ.Org.Chem 32、4111(1967)に記載されている;
(d)[1−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジニル)−プロピリデン]−ビス−ホスホネート(EB−1053);
(e)(1−ヒドロキシエチリデン)−ビス−ホスホネート(エチドロネート);
(f)[1−ヒドロキシ−3−(メチルペンチルアミノ)プロピリデン]−ビス−ホスホネート(イバンドロネート)。これは1990年5月22日付けの米国特許No.4,927,814、に記載されている;
(g)(6−アミノ−1−ヒドロキシヘキシリデン)−ビス−ホスホネート(ネリドロネート);
(h)[3−(ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロピリデン]−ビス−ホスホネート(オルパドロネート);
(i)(3−アミノ−1−ヒドロキシプロピリデン)−ビス−ホスホネート(パミドロネート);
(j)[2−(2−ピリジニル)エチリデン]−ビス−ホスホネート(ピリドロネート)。これは米国特許No.4,761,406に記載されている;
(k)[1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)−エチリデン]−ビス−ホスホネート(リセドロネート);
(l){[(4−クロロフェニル)チオ]メチレン}−ビス−ホスホネート(チルドロネート)。これは1989年10月24日付けの米国特許4,876,248、Breliereら、に記載されている;
(m)[1−ヒドロキシ−2−(1H−イミダゾール−1−イル)エチリデン]−ビス−ホスホネート(ゾレドロネート);および、
(n)[1−ヒドロキシ−2−イミダゾピリジン−(1,2−a)−3−イルエチリデン]−ビス−ホスホネート(ミノドロネート)。
【0121】
本発明の方法および組成物の1つの実施態様では、ビスホスホネートが、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、ピリドロネート、リセドロネート、チルドロネート、ゾレドロネート、これらのビスホスホネート類の医薬的に許容される塩およびそれらの混合物から選択される。1つの変形例では、ビスホスホネートが、アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロネート、イバンドロネート、チルドロネートおよびクロドロネートから選択される。このクラスの1つのサブクラスでは、ビスホスホネートが、アレンドロネート、医薬的に許容されるその塩およびその水和物、それらの混合物である。医薬的に許容されるアレンドロネートの塩の具体例は、アレンドロネートモノナトリウムである。アレンドロネートモノナトリウムの医薬的に許容される水和物は、一水和物および三水和物を含む。医薬的に許容されるリセドロネート塩の具体例は、リセドロネートモノナトリウムである。リセドロネートモノナトリウムの医薬的に許容される水和物はヘミ−五水和物を含む。
【0122】
さらにまた、ラロキシフェン(参照:例えば米国特許No.5,393,763)、クロミフェン、ズクロミフェン、エンクロミフェン、ナフォキシデン、CI−680、CI−628、CN−55,945−27、Mer−25、U−11,555A、U−100Aおよびそれらの塩など(参照:例えば米国特許Nos.4,729,999および4,894,373)のような抗エストロゲン化合物を本発明の方法および組成物において構造式Iの化合物と併用できる。これらの薬剤はまた、SERMまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーターとして知られており、エストロゲン経路と同様であると考えられている経路による骨吸収の阻害によって骨減量を予防する当業界で公知の薬剤である。
【0123】
SERMの非限定的代表例は例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、トレミフェン、アゾルキシフェン、EM−800、EM−652、TSE424、クロミフェン、ドロロキシフェン、イドキシフェンおよびレボルメロキシフェンを含む[Goldsteinら,“A pharmacological review of selective estrogen receptor modulators,”Human Reproduction Update,6:212−224(2000);Lufkinら,Rheumatic Disease Clinics of North America,27:163−185(2001)、および、“Targeting the Estrogen Receptor with SERMs,”Ann.Rep.Med.Chem.36:149−158(2001)]。
【0124】
αvβ3インテグリン受容体アンタゴニストは骨吸収を抑制し、骨粗鬆症のような骨疾患を治療するために構造式IのSARMと併用できる。αvβ3インテグリン受容体のペプチジルおよびペプチドミメティクアンタゴニストはいずれも科学文献および特許文献に記載されている。例えば、W.J.Hoekstra and B.L.Poulter,Curr.Med.Chem.5:195−204(1998)を参照するか、または、WO 95/32710;WO 95/37655;WO 97/01540;WO 97/37655;WO 98/08840;WO 98/18460;WO 98/18461;WO 98/25892;WO 98/31359;WO 98/30542;WO 99/15506;WO 99/15507;WO 00/03973;EP 853084;EP 854140;EP 854145;米国特許Nos.5,204,350;5,217,994;5,639,754;5,741,796;5,780,426;5,929,120;5,952,341;6,017,925;および6,048,861の引用を参照するとよい。
【0125】
別のαvβ3アンタゴニストは、R.M.Keenanら,J.Med.Chem.40:2289−2292(1997);R.M.Keenanら,Bioorg.Med.Chem.Lett.8:3165−3170(1998);R.M.Keenanら,Bioorg.Med.Chem.Lett.8:3171−3176(1998)に記載されている。
【0126】
種々のαvβ3インテグリン受容体アンタゴニストを記載している公開特許および特許出願のその他の非限定代表例を以下に示す:ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピンおよびベンゾシクロヘプテンを含むもの−PCT特許出願Nos.WO 96/00574、WO 96/00730、WO 96/06087、WO 96/26190、WO 97/24119、WO 97/24122、WO 97/24124、WO 98/14192、WO 98/15278、WO 99/05107、WO 99/06049、WO 99/15170、WO 99/15178、WO 97/34865,WO 99/15506、および、米国特許No.6,159,964;ジベンゾシクロフェプテンおよびジベンズオキサピンを含むもの−PCT特許出願Nos.WO 97/01540、WO 98/30542、WO 99/11626、WO 99/15508、および、米国特許Nos.6,008,213および6,069,158;フェノール束縛を有するもの−PCT特許出願Nos.WO 98/00395、WO 99/32457、WO 99/37621、WO 99/44994、WO 99/45927,WO 99/52872、WO 99/52879、WO 99/52896、WO 00/06169、欧州特許Nos.EP 0 820,988、EP 0 820,991、および、米国特許Nos.5,741,796、5773,644、5,773,646、5,843,906、5,852,210、5,929,120、5,952,281、6,028,223および6,040,311;単環式環束縛を有するもの−PCT特許出願Nos.WO 99/26945、WO 99/30709、WO 99/30713、WO 99/31099、WO 99/59992、WO 00/00486、WO 00/09503、欧州特許Nos.EP 0 796,855、EP 0 928,790、EP 0 928,793、および、米国特許Nos.5,710,159、5,723,480、5,981,546、6,017,926および6,066,648;二環式環束縛を有するもの−PCT特許出願Nos.WO 98/23608、WO 98/35949およびWO 99/33798、欧州特許No.EP 0 853,084、および、米国特許Nos.5,760,028、5,919,792、and 5,925,655。
【0127】
以前はカテプシンO2として知られていたカテプシンKはシステインプロテアーゼであり、PCT国際出願公開No.WO 96/13523;米国特許Nos.5,501,969および5,736,357に記載されている。システインプロテアーゼ、具体的にはカテプシン類は、腫瘍転移、炎症、関節炎および骨再建のような多くの疾患状態に関係がある。酸性pHでカテプシンはI型コラーゲンを分解できる。カテプシンプロテアーゼインヒビターは、コラーゲン線維の分解を阻害することによって骨破壊性骨吸収を阻害でき、従って、骨粗鬆症のような骨吸収疾患の治療に有用である。カテプシンKインヒビターの非限定例は、PCT国際公開WO 01/49288およびWO 01/77073に見出される。
【0128】
“スタチン”として知られたHMG−CoAレダクターゼインヒビターのクラスの構成員は、新しい骨の成長を開始させ、骨粗鬆症によって失われた骨を回復させることが知見された(参照:The Wall Street Journal,Friday,December 3,1999,page Bl)。従って、スタチンは骨吸収の治療に有望である。HMG−CoAレダクターゼインヒビターの例は、ラクトン化形態またはジヒドロキシ開酸形態のスタチンならびに医薬的に許容されるそれらの塩およびエステルを含む。非限定例は、ロバスタチン(参照:米国特許No.4,342,767);シンバスタチン(参照:米国特許No.4,444,784);ジヒドロキシ開酸シンバスタチン、特にそのアンモニウムまたはカルシウム塩;プラバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許No.4,346,227);フルバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許No.5,354,772);アトロバスタチン、特にそのカルシウム塩(参照:米国特許No.5,273,995);セリバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許No.5,177,080)、ZD−4522としても知られたロスバスタチン(参照:米国特許No.5,260,440)、および、NK−104、イタバスタチンまたはニスバスタチンとしても知られたピタバスタチン(参照:PCT国際出願公開WO 97/23200)である。
【0129】
プロトンポンプインヒビターとも呼ばれる破骨細胞空胞性ATPアーゼインヒビターは構造式IのSARMと共に使用できる。破骨細胞の先端膜に見出されるプロトンATPアーゼは、骨吸収プロセスで重要な役割を果たすと報告されている。従って、このプロトンポンプは、骨粗鬆症および類縁の代謝疾患の治療および予防に有効であり得る骨吸収インヒビターを設計する際に絶好の標的となる[参照:C.Farinaら,DDT,4:163−172(1999)]。
【0130】
血管形成誘導因子VEGFは、その受容体が破骨細胞に結合することによって骨吸収活性を刺激することが成熟ウサギの単離破骨細胞で証明された[参照:M.Nakagawaら,FEBS Letters,473:161−164(2000)]。従って、KDR/Flk−1およびFlt−1のような破骨細胞受容体に結合するVEGFのアンタゴニストの開発は骨吸収の治療または予防につながるまた別の方法を提供できる。
【0131】
チアゾリジンジオン(TZD)のようなペルオキシソーム増殖因子活性化受容体−γ(PPARγ)のアクチベーターは、破骨細胞様細胞形成および骨吸収をインビトロで阻害する。R.OkazakiらによってEndocrinology,140:5060−5065(1999)に報告された結果は、骨髄細胞に対する局部的メカニズムおよびグルコース代謝に対する全身的メカニズムを示している。PPARγアクチベーターの非限定例は、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンのようなグリタゾンおよびBRL 49653を含む。
【0132】
カルシトニンもまた、構造式IのSARMと共に使用できる。カルシトニンは好ましくはサケ鼻腔用スプレー(salmon nasal spray)として使用される(Azraら,Calcitonin.1996.In:J.P.Bilezikianら,Ed.,Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press;およびSilverman,“Calcitonin.”Rheumatic Disease Clinics of North America,27:187−196、2001)。
【0133】
プロテインキナーゼインヒビターもまた構造式IのSARMと共に使用できる。キナーゼインヒビターは、WO 01/17562に開示されたものを含み、また、1つの実施態様では、p38のインヒビターから選択される。本発明に有用なp38インヒビターの非限定例は、SB 203580を含む[Badgerら,J.Pharmacol.Exp.Ther.,279:1453−1461(1996)]。
【0134】
骨同化剤は、骨タンパク質マトリックスの産生量を増加することによって骨を造成することが判っている薬剤である。このような骨同化剤は例えば、上皮小体ホルモン(PTH)およびそのフラグメント、例えば、天然産生PTH(1−84)、PTH(1−34)、それらの天然型および置換型類似体、特に上皮小体ホルモン皮下注射剤である。PTHは、骨を形成する細胞である骨芽細胞の活性を増加しこれによって新しい骨の合成を促進することが知見されている(Modern Drug Discovery,Vol.3,No.8,2000)。ヒトPTHの注射可能な組換え体Forteo(テリパラチド)は米国で骨粗鬆症治療薬として正規に認可されている。
【0135】
また、Gowenら,J.Clin.Invest.105:1595−604(2000)に記載されているように、PTHの分泌を誘導するカルシウム受容体アンタゴニストも本発明のSARMと組合せて使用できる。
【0136】
骨粗鬆症の治療に構造式Iの化合物と併用できるその他の骨同化剤には、成長ホルモン分泌促進物質、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモンなどがある。代表的な成長ホルモン分泌促進物質は、米国特許Nos.3,239,345、4,036,979、4,411,890、5,206,235、5,283,241、5,284,841、5,310,737、5,317,017、5,374,721、5,430,144、5,434,261、5,438,136、5,494,919、5,494,920、5,492,916および5,536,716;欧州特許公開Nos.0,144,230および0,513,974;PCT特許公開Nos.WO 94/07486、WO 94/08583、WO 94/11012、WO 94/13696、WO 94/19367、WO 95/03289、WO 95/03290、WO 95/09633、WO 95/11029、WO 95/12598、WO 95/13069、WO 95/14666、WO 95/16675、WO 95/16692、WO 95/17422、WO 95/17423、WO 95/34311およびWO 96/02530;論文;Science260,1640−1643(June 11、1993);Am.Rep.Med.Chem.,28:177−186(1993);Bioorg.Med.Chem.Lett.,4:2709−2714(1994);およびProc.Natl.Acad.Sci.USA,92:7001−7005(1995)に開示されている。
【0137】
インスリン様成長因子(IGF)も構造式IのSARMと共に使用できる。インスリン様成長因子は、単独のまたはIGF結合性タンパク質3と組合せたインスリン様成長因子IおよびIGF IIから選択される[参照:Johannson and Rosen,“The IGFs as potential therapy for metabolic bone diseases,”1996,In:Bilezikianら,Ed.,Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press;およびGhironら,J.Bone Miner.Res.10:1844−1852(1995)]。
【0138】
骨形態形成タンパク質(BMP)も構造式IのSARMと共に使用できる。骨形態形成タンパク質は、BMP2、3、5、6、7、ならびに、近縁分子TGFベータおよびGDF5を含む[Rosenら,“Bone morphogenetic proteins,”1996.In:J.P.Bilezikianら,Ed.,Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press;およびWang EA,Trends Biotechnol.,11:379−383(1993)]。
【0139】
BMPアンタゴニズムのインヒビターも構造式IのSARMと共に使用できる。1つの実施態様で、BMPアンタゴニストインヒビターは、BMPアンタゴニストSOST、ノギン(noggin)、コルジン(chordin)、グレムリン(gremlin)およびダン(dan)のインヒビターから選択される[参照:Massague and Chen,“Controlling TGF−beta signaling,”Genes Dev.,14:627−644、2000;Aspenbergら,J.Bone Miner.Res.16:497−500、2001;およびBrunkowら,Am.J.Hum.Genet.68:577−89(2001)]。
【0140】
本発明の組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターはまた、骨粗鬆症のような骨減量に付随する状態を治療するためにポリペプチドオステオプロテゲリンと併用できる。オステオプロテゲリンは哺乳動物オステオプロテゲリンおよびヒトオステオプロテゲリンから選択できる。ポリペプチドオステオプロテゲリンは腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーの構成員であり、骨粗鬆症のような骨減量の亢進を特徴とする骨疾患の治療に有用である。米国特許No.6,288,032を参照されたい。
【0141】
プロスタグランジン誘導体もまた構造式IのSARMと共に使用できる。プロスタグランジン誘導体の非限定代表例は、プロスタグランジン受容体EP1、EP2、EP4、FP、IPおよびそれらの誘導体のアゴニストから選択される[Pilbeamら,“Prostaglandins and bone metabolism,”1996,In:Bilezikianら,Ed.Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press;Weinrebら,Bone,28:275−281(2001)]。
【0142】
線維芽細胞増殖因子もまた構造式IのSARMと共に使用できる。線維芽細胞増殖因子は、aFGF、bFGFおよびFGF活性を有している近縁ペプチドを含む[Hurley Florkiewicz,“Fibroblast growth factor and vascular endothelial growth factor families,”1996,In:J.P.Bilezikianら,Ed.Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press]。
【0143】
骨吸収インヒビターおよび骨同化剤以外にも、明確には解明されていないメカニズムによって骨格に有益に作用することが判っている他の薬剤が存在する。これらの薬剤も構造式IのSARMと共に有利に使用できる。
【0144】
ビタミンD、ビタミンDの誘導体および類似体も構造式IのSARMと共に使用できる。ビタミンDおよびビタミンD誘導体は、例えば、D(コレカルシフェロール)、D(エルゴカルシフェロール)、25−OH−ビタミンD、1α,25(OH)ビタミンD、1α−OH−ビタミンD、1α−OH−ビタミンD、ジヒドロタキステロール、26,27−F6−1α,25(OH)ビタミンD、19−ノル−1α,25(OH)ビタミンD、22−オキサカルシトリオール、カルシポトリオール、1α,25(OH)−16−エン−23−イン−ビタミンD(Ro 23−7553)、EB1089、20−エピ−1α,25(OH)ビタミンD、KH1060、ED71、1α,24(S)−(OH)ビタミンD、1α,24(R)−(OH)ビタミンDを含む[参照:Jones G.,“Pharmacological mechanisms of therapeutics:vitamin D and analogs,”1996,In:J.P.Bilezikianら,Ed.Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press]。
【0145】
ビタミンKおよびビタミンK誘導体も構造式IのSARMと共に使用できる。ビタミンKおよびビタミンK誘導体は、メナテトレノン(ビタミンK2)を含む[参照:Shirakiら,J.Bone Miner.Res.,15:515−521(2000)]。
【0146】
イプリフラボンのような大豆イソフラボンは構造式IのSARMと共に使用できる。
【0147】
フッ化ナトリウム(NaF)およびフルオロリン酸モノナトリウム(MFP)のようなフッ化物塩は構造式IのSARMと共に使用できる。経口カルシウムサプリメントも構造式IのSARMと共に使用できる。経口カルシウムサプリメントは、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウムおよび天然カルシウム塩を含む(Heaney.Calcium.1996.In:J.P.Bilezikianら,Ed.,Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press)。
【0148】
本発明の組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターはまた、良性前立腺過形成(BPH)を治療するためにアルファ−1アドレナリン作動遮断薬または5アルファレダクターゼインヒビターと併用できる。アルファ−1アドレナリン作動遮断薬の非限定例は、ドキサゾシン(Pfizer)、塩酸テラゾシン(Abbott)、塩酸タムスロシン(Boehringer Ihgelheim)、および、塩酸アルフゾシン(Sanofi−Synthelabo)を含む。5アルファレダクターゼインヒビターの非限定例は、構造式I:
【0149】
【化14】

[式中のRは、(a)未置換または1から3個のハロゲン置換基で置換されたC1−10アルキル、および、(b)未置換であるか、または、ハロゲン、メチルおよびトリフルオロメチルから独立に選択された1から3個の置換基で置換されたフェニルから選択される]の化合物を含む。例えば、フィナステリド(Merck & Co.,Inc.)、ジュタステリド(AVODART、GlaxoSmithKline)およびエピステリドがある。
【0150】
骨吸収インヒビター、骨同化剤、および、構造式Iの化合物と併用されたときに骨格に有益に作用する別の薬剤の1日の用量範囲は当業界で公知の範囲である。このような組合せの場合、一般に、構造式IのSARMの1日の用量範囲は、成人では1日に約0.01から約1000mg、例えば約0.1から約200mg/日の範囲である。しかしながら、併用薬剤の場合には薬効が向上するので個々の薬剤の用量を減らすという調節が可能である。
【0151】
特にビスホスホネートを使用する場合、投薬量は、治療用には約2.5から約100mg/日(遊離ビスホスホン酸として測定)、例えば5から20mg/日または約10mg/日の範囲が適当であろう。予防用には、約2.5から約10mg/日、特に約5mg/日を使用すべきである。副作用を少なくするために、構造式Iの化合物とビスホスホネートとの組合せは週一回の投与が望ましい。週一回の投与の場合、毎週約15mgから約700mgのビスホスホネートおよび約0.07から約7000mgの構造式Iの化合物という投薬量を個別にまたは合一剤形で使用できる。特に週一回の投与の場合、構造式Iの化合物は調節放出デリバリーデバイスで有利に投与できる。
【0152】
アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症および高脂血症の治療には構造式Iの化合物と1種以上の追加の有効薬剤との併用投与が効果的である。1種以上の追加の有効薬剤は、HMG−CoAレダクターゼインヒビターのような脂質変性化合物、他の医薬活性を有している薬剤、および、脂質変性効果と他の医薬活性との双方を有している薬剤から選択される。HMG−CoAレダクターゼインヒビターの非限定例は、ラクトン化形態またはジヒドロキシ開酸形態のスタチン類および医薬的に許容されるそれらの塩およびエステルを含む。非限定例は、ロバスタチン(参照:米国特許No.4,342,767);シンバスタチン(参照:米国特許No.4,444,784);ジヒドロキシ開酸シンバスタチン、特にそのアンモニウムまたはカルシウム塩;プラバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許No.4,346,227);フルバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許No.5,354,772);アトルバスタチン、特にそのカルシウム塩(参照:米国特許No.5,273,995);セリバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許No.5,177,080)、および、NK−104とも呼ばれるニスバスタチン(参照:PCT国際出願公開WO 97/23200)などである。
【0153】
構造式Iの化合物と併用できる追加の有効薬剤の非限定例は、HMG−CoAシンターゼインヒビター;スクアレンエポキシダーゼインヒビター;スクアレンシンテターゼインヒビター(スクアレンシンターゼインヒビターとしても知られる)、アシル−コエンザイムA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)インヒビター、これはACAT−1またはACAT−2の選択インヒビターとACAT−1および−2のデュアルインヒビターを含む;ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)インヒビター;プロブコール;ナイアシン;コレステロール吸収インヒビター、例えばエゼチミベとしても知られたSCH−58235、および、米国特許Nos.5,767,115および5,846,966に記載の1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン;胆汁酸封鎖剤;LDL(低密度リポタンパク質)受容体誘導物質;血小板凝集インヒビター、例えば、糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニストおよびアスピリン;ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)アゴニスト、例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンのようなグリタゾンという通称の化合物およびチアゾリジンジオンとして知られた構造クラスに含まれる化合物、ならびに、チアゾリジンジオン構造クラス以外のPPARγアゴニスト;クロフィブラート、微粒子化フェノフィブラートを含むフェノフィブラートおよびジェンフィブロジルのようなPPARαアゴニスト;PPARα/γデュアルアゴニスト;ビタミンB(ピリドキシンとしても知られる)および塩酸塩のような医薬的に許容されるそれらの塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られる);葉酸または医薬的に許容されるその塩もしくはエステル、例えば、ナトリウム塩およびメチルグルカミン塩;抗酸化性ビタミン、例えばビタミンCおよびEならびにベータカロテン;ベータ−ブロッカー;アンギオテンシンIIアンタゴニスト例えばロサルタン;アンギオテンシン変換酵素インヒビター例えばエナラプリルおよびカプトプリル;カルシウムチャンネルブロッカー例えばニフェジピンおよびジルチアゼム;エンドテリンアンタゴニスト;LXRリガンドのようなABC1遺伝子発現を増進する薬剤;アレンドロネートナトリウムのようなビスホスホネート化合物;シクロオキシゲナーゼ−2インヒビター例えばロフェコキシブおよびセレコキシブ、ならびに、これらの状態の治療に有用な既知の他の薬剤。
【0154】
構造式Iの化合物に併用するときのHMG−CoAレダクターゼインヒビターの1日の投薬量範囲は当業者に公知の量に一致する。同様に、HMG−CoAインターゼインヒビター;スクアレンエポキシダーゼインヒビター;スクアレンシンテターゼインヒビター(スクアレンシンターゼインヒビターとしても知られる)、アシルコエンザイムA:ACAT−1またはACAT−2選択インヒビターならびにACAT−1および−2のデュアルインヒビターを含むコレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)インヒビター;ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)インヒビター;プロブコール;ナイアシン;エゼチミベのようなコレステロール吸収インヒビター;胆汁酸封鎖剤;LDL(低密度リポタンパク質)受容体誘導物質;血小板凝集インヒビター、例えば、糖タンパク質IIb/II1aフィブリノーゲン受容体アンタゴニストおよびアスピリン;ヒトペルオキシソーム増殖物質活性化受容体ガンマ(PPARγ)アゴニスト;PPARαアゴニスト;PPARα/γデュアルアゴニスト;ビタミンB;ビタミンB12;葉酸;抗酸化性ビタミン;ベータ−ブロッカー;アンギオテンシンIIアンタゴニスト;アンギオテンシン変換酵素インヒビター;カルシウムチャンネルブロッカー;エンドテリンアンタゴニスト;ABC1遺伝子発現を増進するLXRリガンドのような薬剤;ビスホスホネート化合物;および、シクロオキシゲナーゼ−2インヒビターの1日の投薬量範囲も当業界で公知の量に一致するが、併用投与の場合には構造式Iの化合物との協力作用があるので投薬量をある程度減らすことができる。
【0155】
本発明の1つの実施態様は、治療有効量の式Iの化合物を投与する段階を含む骨交替マーカー操作方法である。骨交替マーカーの非限定例は、尿中のI型コラーゲンのC−テロペプチド分解産物(CTX)、尿中のI型コラーゲンのN−テロペプチド架橋(NTX)、オステオカルシン(骨G1aタンパク質)、デュアルエネルギーx線吸収測定法(DXA)、骨特異的アルカリホスファターゼ(BSAP)、定量的超音波(QUS)、および、デオキシピリジノリン(DPD)架橋を含む。
【0156】
本発明の方法によれば、併用する個々の成分を治療クール中の異なる時点で個別に投与してもよく、または、個別形態もしくは合一形態で同時に投与してもよい。従って本発明がこのような同時または交互の治療計画をすべて包含すると理解されるべきであり、“投与する”という用語はこれに応じて解釈されるべきである。本発明の化合物と他の薬剤との組合せの範囲は、アンドロゲン不足によって発症するかまたはアンドロゲン補給によって改善できる疾患の治療に有効な範囲であることが理解されよう。
【0157】
本発明の化合物の製造に関する記載で使用した略号
AcOH 酢酸
BOC (tert−ブトキシカルボニル)
BOCO ジ−tert−ブチルジカーボネート
DHT ジヒドロテストステロン
DPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMEM ダルベッコ改質イーグル培地
DMSO ジメチルスルホキシド
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EGTA エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
FBS ウシ胎仔血清
FCS 若ウシ胎仔血清
hr 時
HAP ヒドロキシアパタイト
HEPES (2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
HPLC 高性能液体クロマトグラフィー
LC/MS 液体クロマトグラフィー/質量スペクトロスコピー
MeOH メタノール
NMM N−メチルモルホリン
Pd(OAc) 酢酸パラジウム(II)
PyBop ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジンホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
Rtまたはrt 室温
TEGM 結合用バッファ
Ti(OEt) チタン(IV)エトキシド
TLC 薄層クロマトグラフィー。
【0158】
本発明の化合物は、文献に公知であるかまたは実験手順に例示した他の標準操作に加えて以下のスキームに示すような反応を使用することによって製造できる。従って以下に例示したスキームは、記載の化合物または例示目的で使用した置換基に限定されない。スキーム中の置換基の番号は特許請求の範囲に使用した番号に必ずしも一致しない。また、判り易いように、前述の式Iの定義で許容される多数の置換基の代わりに1つの置換基が化合物に結合した状態を示すことも多い。
【0159】
【化15】

【0160】
スキームAは、市販の(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)アセチルクロリド(A−1)および置換2−アミノベンズアミド(A−2)を出発材料としてキナゾリニルメチルアミン部分を製造する合成経路を示す。
【0161】
【化16】

【0162】
スキームBは、B−1またはB−3を出発材料として2−ヒドロキシ−2−ペルフルオロアルキル−2−アリール酢酸(B−5)を合成するための異なる2つの合成経路を示す。
【0163】
【化17】

【0164】
スキームCはチオフェン部分を導入するための合成方法を示す。
【実施例1】
【0165】
スキーム1は、本発明の化合物の合成に使用したキナゾリノンアルキルアミンカップリング化合物,1−e,の合成を示す。
【0166】
【化18】

【0167】
段階A & B
THF(15mL)中のフタリルグリシルクロリド(1−a、5.0g、22.4mmol)の溶液を、THF(45mL)中のアントラニルアミド(1−b、R=H、3.04g、22.3mmol)およびトリエチルアミン(3.74mL、26.8mmol)の溶液に添加した。反応混合物を一夜撹拌し、沈殿物(1−c、R=H)を濾過によって収集し、水洗し、乾燥した(1−c、R=H、6.28g、87%)。生成物(1−c、R=H)をジフェニルエーテルに懸濁させ、220℃のマイクロ波で1時間加熱した。沈殿物を濾過によって収集し、エーテルで洗浄し、減圧下で乾燥した(1−d、R=H);HRMS(M+1)=306.0870;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ12.53(s,1H),8.09(d,1H,J=8.0Hz),7.97−7.94(m,2H),7.92−7.90(m,2H),7.73(t,1H,J=7.2Hz),7.48(t,1H,J=7.5Hz),7.45(d,1H,J=8.0Hz),4.78(,2H)。
【0168】
段階C
(4−オキソ−3,4,−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メタナミニウムクロリド(1−e,R=H)
エタノール(50mL)中の1−d(R=H、1.5g、50mmol)とヒドラジン水和物(750mg、150mmol)との混合物を還流しながら3時間加熱した。高温反応混合物中の固体を濾過によって除去し、濾液を真空下で濃縮した。残渣を水(100mL)で希釈し、濃塩酸で酸性化してpH<7にした。得られた沈殿物を濾過によって収集し、アルカリ溶液で処理してpH8〜9とした。沈殿物を収集し乾燥した(1−e、R=H);HRMS(M+1)=176.0818;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ8.09(dd,1H,J=7.7,1.2Hz),7.79(ddd,1B,J=8.2,7.0,1.5Hz),7.62(d,1H,J=8.0Hz),7.47(dt,1H,J=7.,0.8Hz),5.35(bs,3H),3.64(s,2H)。
【実施例2】
【0169】
スキーム2は、本発明の化合物の合成に使用したフェニルカルボニルカップリングユニット,2−e,の代替合成経路を示す。
【0170】
【化19】

【0171】
表1の実施例1−1および1−2の製造に使用したカルボン酸部分は2−a(R=H)からスキーム2に示すように公知方法で製造した(Mosher,H.S.ら,J.Org.Chem.1969,34,2543)。エステルの鏡像異性体混合物の分割は、該文献に報告された酸の分別結晶化でなく、ChiralPack AD[360nm、95%ヘキサン(0.1%ジエチルアミン)および5%MeOH/EtOH(1:1)]で行った。(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン酸(2−e、R=H、R=CF)の絶対的立体配置はRであると判定した(測定値[α]+24.8,c0.1,MeOH;計算値[α]D+29.8,c0.8,MeOH,Sharpless,K.B.ら,Tetrahedron:Asymmetry 1994,5,1473)。分割した3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルブタン酸の絶対的立体配置は確定できなかった。同じ分割条件下で、ペンタフルオロエチル類似体(2−d、R=H、R=CF)はそれぞれ18分および21分に2つのピークを与えた。生化学アッセイで活性結合化合物(例えば(2R)−3−2または(2S)−3−2、表3)(表3はどこに?)を与えた酸(2−e、R=H、R=CF)は第二ピークの酸(RT=21分、[α]+4.4、c0.1、MeOH)であった。
【0172】
1−3から1−9までのカルボン酸部分は一般スキーム2の代替経路Bで製造した。
【0173】
代替経路B
化合物2−e(R=3−F & 4−Cl)へのグリニャール経路
テトラヒドロフラン(100mL)中のピルベート(2−c、R=CF、4g、23.5mmol)の撹拌溶液に−78℃でグリニャール試薬の溶液(2−b、R’=4−クロロ−3−フルオロ、1M、24.7mL、24.7mmol)を添加した。1時間後、ドライアイス浴を除去した。反応混合物を一夜撹拌し、1NのHClで反応停止させ、ジエチルエーテルに分配し、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中に20%酢酸エチル)は4.5gの所望エステルを与えたのでこれを引き続いて分割した[2−d、Chiracel AD、10cm、5%−(EtOH/MeOH、1:1)/ヘキサン(1%ジエチルアミン)]。2−dを加水分解すると化合物2−e(KOH、水性エタノール)が得られた。
【実施例3】
【0174】
スキーム3は本発明の化合物を形成するための最終カップリング段階を表す。
【0175】
【化20】

【0176】
実施例3−1
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルプロパンアミド(1−1)
【0177】
【化21】

【0178】
N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン酸(100mg、0.45mmol)(2−e、R=H;R=CF)、(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メタナミニウムクロリド(1−e、R=H、88mg、0.50mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、74mg、0.545mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(149uL、0.91mmol)の溶液を、室温で1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC、104mg、0.545mmol)で処理した。反応混合物を室温で15分間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルと水に分配した。次いで有機層を1.0NのNaOHで2回洗浄し、塩基性水層を氷浴に入れて結晶化を促進した。固体を濾過し、次いで酢酸エチルに溶解した。次にこれを0.1NのHClで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させると、所望生成物(1−1)が得られた;HRMS(M+H)=378.1073;H NMR(500MHz,DMSO−d)δ12.13(s,1H),8.72(t,1H,J=5.5Hz),8.10(d,1H,J=7.0Hz),7.96(s,1H),7.81(dt,1H,J=7.8,1.0Hz),7.74(m,2H),7.54−7.49(m,2H),7.47−7.44(m,2H),4.30(ddd,2H,J=23.1,16.9,5.9Hz)。
【0179】
化合物1−3、(2Rまたは2S)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミドは同じ手順で1−e(R=H)および2−e(R=3−F & 4−Cl)から製造した;HRMS(M+H)=430.0582。
【実施例4】
【0180】
化合物1−10および1−11(表1参照)はスキーム4に略述した全体手順に従って合成した。
【0181】
【化22】

(2Rまたは2S)−エチル3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(2−チエニル)プロパノエート(4−c、R=H、R=CF
【0182】
【化23】

【0183】
マイクロ波管に入れたチオフェン(1.0g、11.9mmol)およびエチル3,3,3−トリフルオロピルベート(2.02g、11.9mmol)の混合物に塩化亜鉛(0.16g、1.2mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波で150℃で30分間加熱した。得られた黄色油をフラッシュクロマトグラフィー(1−25%の酢酸エチル、ヘキサン中)で再精製し、ついでキラルカラム(CiralPak AD、4%(1:1のEtOH:MeOH、ヘキサン中)を使用して分割すると、所望生成物が得られた(4−c、R=H、R=CF);MS(M+H)=255.23;H NMR(500MHz,CDCl)δ7.37(m,2H),7.05(m,1H),4.59(bs,1H),4.44(m,12H),1.39(m,3H)。
【0184】
実施例4−1
(2Rまたは2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)メチル]−2−(2−チエニル)プロパンアミド(1−10)
【0185】
【化24】

【0186】
ジオキサン/水(2:1、50mL)中のエステル(4−c、R=H、R=CF、1.5g、5.9mmol)の溶液を室温で水酸化リチウム(0.74g、17.7mmol)で処理した。反応混合物を12時間撹拌し、酢酸エチルと1NのHClに分配した。有機層を分離して乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮すると(2Rまたは2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(2−チエニル)プロパン酸が得られた。N,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)中の(2Rまたは2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(2−チエニル)プロパン酸(100mg、0.44mmol)および2−(アミノメチル)キナゾリン−4(3H)−オン(1−e、R=H、0.77g、0.44mol)の溶液を、室温で1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt、0.08g、0.58mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミドHCl(EDC、0.11g、0.58mmol)によって処理した。2時間後、反応混合物をジクロロメタンと0.5NのNaOHに分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。逆相クロマトグラフィー(10−100%アセトニトリル、水中)によって所望生成物(1−10)が得られた;HRMS(M+H)=383.0591;H NMR(500MHz,CDCl)δ8.24(d,1H,J=7.8Hz),7.78(m,1H),7.63(d,1H,J=8.0z),7.51(t,1H,J=7.1Hz),7.43(d,1H,J=3.2Hz),7.38(d,1H,J=5.1Hz),7.05(m,1H),4.52(q,2H,J=17.0Hz),3.20(s,1H)。
【0187】
【表1】


【実施例5】
【0188】
医薬組成物
本発明の特定実施態様として、100mgの2−(R)−N−[(2−シクロプロピル−5−フルオロピリジン−4−イル)メチル]−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルブタンアミドを、十分に微細に分割したラクトースと配合して総量580から590mgとし、サイズ0の硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0189】
上記明細書は本発明の原理を教示しており、実施例は例示目的で与えられており、本発明の実施が慣用的な変更、応用または修正のすべてを特許請求の範囲およびそれらの等価の概念の範囲内に包含することは理解されよう。
【0190】
アッセイ
化合物のSARM活性を同定するためのインビトロおよびインビボアッセイ
本出願に例示した化合物は以下のアッセイの1つ以上で活性を示した。
【0191】
内在的に発現されたARに対する化合物親和性を検定するヒドロキシアパタイト基剤のラジオリガンド置換アッセイ
材料
結合用バッファ:TEGM(10mMのトリス−HCl、1mMのEDTA、10%グリセロール、1mMのベータ−メルカプトエタノール、10mMのモリブデン酸ナトリウム,pH7.2)
50%HAPスラリー:Calbiochem Hydroxyapatite,Fast Flow、10mMのトリス,pH8.0および1mMのEDTA
洗浄用バッファ:40mMのトリス,pH7.5、100mMのKCl、1mMのEDTAおよび1mMのEGTA
95%EtOH
メチルトリエノロン,[17α−メチル−H],(R1881*);NEN NET590
メチルトリエノロン(R1881),NEN NLP005(95%EtOHに溶解)
ジヒドロテストステロン(DHT)[1,2,4,5,6,7−H(N)] NEN NET453
Hydroxyapatite Fast Flow;Calbiochem Cat#391947
モリブデート=モリブデン酸(Sigma、M1651)
MPA−MB−453細胞培養培地
RPMI 1640(Gibco 11835−055)w/23.8mMのNaHCH、2mMのL−グルタミン
500mLの完全培地中 最終濃度
10mL(1M Hepes) 20mM
5mL(200mMのL−gIu) 4mM
0.5mL(10mg/mLのヒトインスリン) 10μg/mL
0.01NのHCl中
Calbiochem#407694−S)
50mLのFBS(Sigma F2442) 10%
1mL(10mg/mLのゲンタマイシン 20μg/mL
Gibco#15710−072)
【0192】
細胞継代
細胞(Hall R.E.ら,European Journal of Cancer,30A:484−490(1994))をPBSで2回すすぎ、フェノールレッド非含有トリプシン−EDTAを同じPBSで1:10に希釈する。細胞層を1×トリプシンですすぎ、余剰のトリプシンを除去し、細胞層を37℃で〜2分間インキュベートする。フラスコを叩いて、細胞剥離の徴候を点検する。細胞がフラスコから剥れて滑り始めると、完全培地を添加してトリプシンの作用を止める。この時点で細胞をカウントし、次いで適正濃度に希釈し、フラスコまたは培養皿に分け入れてさらに培養する(通常は1:3から1:6に希釈)。
【0193】
MDA−MB−453細胞溶解液の調製
MDA細胞が70から85%の単層集密状態になると、これらの細胞を上述のように剥離し、4℃、1000gで10分間遠心することによって収集する。次に細胞ペレットをTEGM(10mMのトリス−HCl、1mMのEDTA、10%グリセロール、1mMのベータ−メルカプトエタノール、10mMのモリブデン酸ナトリウム,pH7.2)で2回洗浄する。最終洗浄の後、細胞を10細胞/mLの濃度でTEGMに再浮遊させる。細胞浮遊液を液体窒素またはエタノール/ドライアイス浴で瞬間冷凍し、ドライアイスに載せた−80℃のフリーザーに移す。結合アッセイを開始する前に、凍結サンプルを氷水にのせて適宜解凍する(〜1時間)。次にサンプルを4℃、12,500gから20,000gで30分間遠心する。上清を使用して直ちにアッセイを開始する。50μLの上清を使用する場合、被験化合物は50μLのTEGMバッファ中で調製できる。
【0194】
多化合物スクリーニング手順
1×TEGMバッファを調製し、同位体含有アッセイ混合物を以下の処方で調製する:EtOH(反応中の最終濃度2%)、H−R1881またはH−DHT(反応中の最終濃度0.5nM)および1×TEGM。[例えば、100サンプルの場合、200μL(100×2)のEtOH+4.25μLの1:10のH−R1881予製液+2300μL(100×23)の1×TEGM]。化合物を系列希釈する、例えば、出発最終濃度が1μM、化合物が25μL溶液で、重複サンプル用に75μLの4×1μM溶液を調製する場合、3μLの100μM溶液を72μLのバッファに添加し、1:5に系列希釈する。
【0195】
25μLのH−R1881トレースおよび25μLの化合物溶液を最初に混ぜ合わせる。次いで、50μLの受容体溶液を添加する。反応混合物をゆるやかに混ぜ合わせ、約200rpmで短時間回転させ、4℃で一夜インキュベートする。100μLの50%HAPスラリーを調製し、インキュベートした反応混合物に加えて渦流させ、氷上で5から10分間インキュベートする。反応混合物のインキュベート中に反応混合物をさらに2回渦流させ、HAPを再懸濁させる。次にFilterMateTM Universal Harvesterプレート洗浄機(Packard)を使用し、96−ウェルフォーマットのサンプルを洗浄用バッファで洗浄する。洗浄プロセスで、発現したリガント結合受容体を含有しているHAPはUnifilter−96 GF/Bフィルタープレート(Packard)に移る。フィルタープレート上のHAPペレットを50μLのMICROSCINT(Packard)シンチラントと共に30分間インキュベートした後、TopCountマイクロシンチレーションカウンター(Packard)でカウントする。R1881を標準としてIC50を計算する。
【0196】
表1および表2に挙げた実施例1−1から1−19および実施例2−1から2−15の化合物を上記アッセイで試験すると、1マイクロモル以下のIC50値を有することが知見された。
【0197】
アンドロゲン受容体のN末端ドメインおよびC末端ドメインのリガンド誘導相互作用を検定する哺乳類ツーハイブリッドアッセイ(アゴニストモード:VIRCON)
このアッセイは、rhARのN末端ドメイン(NTD)とC末端ドメイン(CTD)との間の相互作用を誘導するARアゴニストの能力を評価する。この相互作用は活性化アンドロゲン受容体によって媒介されるインビボの男性化傾向に影響を及ぼす。rhARのNTDとCTDとの相互作用は、哺乳類ツーハイブリッドアッセイでCV−1サル腎細胞中のGal4DBD−rhARCTD融合タンパク質とVP16−rhARNTD融合タンパク質との間のリガンド誘導会合として定量される。
【0198】
トランスフェクション前日、CV−1細胞をトリプシン処理してカウントし、次いでDMEM+10%FCS中で96ウェルまたはもっと大きいプレートに20,000細胞/ウェル(プレートの大きさに応じて増量)で平板培養する。翌朝、LIPOFECTAMINE PLUS試薬(GIBCO−BRL)を販売者の推奨する手順に従って使用し、CV−1細胞にpCBB1(SV40初期プロモーター下で発現したGal4DBD−rhARLBD融合構築物)、pCBB2(SV40初期プロモーター下で発現したVP16−rhAR NTD融合構築物)およびpFR(Gal4応答性ルシフェラーゼリポーター、Promega)をコトランスフェクトする。簡単に説明すると、0.05μgのpCBB1、0.05μgのpCBB2および0.1μgのpFRのDNA混合物を、“PLUS Reagent”(1.6μL、GIBCO−BRL)に混合した3.4μLのOPTI−MEM(GIBCO−BRL)に混合し、室温(RT)で15分間インキュベートしてプレ複合体化DNAを形成する。
【0199】
各ウェル用に、0.4μLのLIPOFECTAMINE試薬(GIBCO−BRL)を第二管で4.6μLのOPTI−MEMに希釈して混ぜ合せ、希釈LIPOFECTAMINE試薬を調製する。プレ複合体化DNA(上記)と希釈LIPOFECTAMINE試薬(上記)とを一緒にして混ぜ合せ、室温で15分間インキュベートする。細胞上の培地を、40μL/ウェルのOPTI−MEMで交換し、10μLのDNA−脂質複合体を各ウェルに加える。複合体を静かに培地に混ぜ、37℃、5%COで5時間インキュベートする。インキュベーション後、200μL/ウェルのDMEMおよび13%の活性炭脱着FCSを添加し、次いで37℃、5%COでインキュベートする。24時間後、被験化合物を所望濃度(1nM−10μM)で添加する。48時間後、LUC−スクリーンシステム(TROPIX)を製造業者のプロトコル通りに使用してルシフェラーゼ活性を測定する。アッセイは、各50μLのアッセイ溶液1次いでアッセイ溶液2を順次にウェルに添加することによって直接的に行う。室温で40分間のインキュベーション後、2−5秒の積分で蛍光を直接測定する。
【0200】
被験化合物の活性は、3nMのR1881によって得られた活性に対するEmaxとして計算する。本発明の典型的な組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターはこのアッセイで弱いアゴニスト活性を示すかまたはアゴニスト活性を全く示さず、10マイクロモルでアゴニスト活性50%未満である。
【0201】
参照:He B,Kemppainen JA,Voegel JJ,Gronemeyer H,Wilson EM,“Activation function in the human androgen receptor ligand binding domain mediates inter−domain communication with the NH(2)−terminal domain,”J.Biol.Chem.274:37219−37225(1999)。
【0202】
アンドロゲン受容体のトランス活性化変調(TAMAR)
このアッセイは、ヒトARを天然に発現するヒト乳癌細胞系MDA−MB−453細胞中のMMTV−LUCリポーター遺伝子からの転写をコントロールする被験化合物の能力を評価する。このアッセイはLUCリポーター遺伝子に結合した修飾MMTV LTR/プロモーターの誘導を測定する。
【0203】
10%FBS、4mMのL−グルタミン、20mMのHEPES、10ug/mLのヒトインスリンおよび20ug/mLのゲンタマイシンを含有しているフェノールレッド非含有RPMI 1640から成る“対数増殖培地”中で、透明底部をもつ白色の96ウェルプレートに20,000から30,000細胞/ウェルを平板培養する。インキュベーター条件は、37℃および5%COである。トランスフェクションはバッチモードで行う。細胞をトリプシン処理し、適正量の新しい培地中で好都合な細胞数までカウントし、Fugene/DNAカクテルミックスとゆるやかに混ぜ合わせて、96ウェルプレートに平板培養する。全部のウェルに200Tlの培地+脂質/DNA複合体を入れ、次いで37℃で一夜インキュベートする。トランスフェクションカクテルは、無血清Optimem、Fugene6試薬およびDNAから成る。製造業者(Roche Biochemical)のカクテル調製プロトコルに従う。脂質(Tl)対DNA(Tg)比は約3:2であり、インキュベーション時間は室温で20分間である。トランスフェクションの16から24時間後、DMSO(ビヒクル)中の最終濃度<3%とした被験化合物で細胞を処理する。細胞を被験化合物に48時間接触させる。48時間後、細胞をPromega細胞培養物溶解バッファで30から60分間溶解し、次いで96ウェルフォーマット光量計で抽出物中のルシフェラーゼ活性を測定する。
【0204】
被験化合物の活性は、100nMのR1881で得られた活性に対するEmaxとして計算する。
【0205】
参照:R.E.Hallら,“MDA−MB−453,an androgen−responsive human breast carcinoma cell line with high androgen receptor expression,”Eur.J.Cancer,30A:484−490(1994)およびR.E.Hallら,“Regulation of androgen receptor gene expression by steroids and retinoic acid in human breast−cancer cells,”Int.J.Cancer,52:778−784(1992)。
【0206】
被験化合物の活性は、R1881で得られた活性に対するEmaxとして計算する。例示した本発明の組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターはこのアッセイで10%を上回る部分アゴニスト活性を示す。
【0207】
インビボ前立腺アッセイ
最初期の性的成熟年齢に達した9−10週齢の雄のスプレーグ−ドーリーラットを予防モードで使用する。目標は、精巣除去(精巣摘出術[ORX])後の7日間に生じる腹側前立腺および精嚢の急激な性能低下(〜85%)をアンドロゲン様化合物がどの程度遅延させるかを測定することである。
【0208】
ラットに精巣摘出術(ORX)を施す。各ラットを計量し、次いでイソフルランガスで麻酔し、目的を果たすまで維持する。陰嚢を1.5cm長さで腹背切開する。右精巣を体外に出す。精巣動脈および輸精管を精巣から0.5cm近位で4.0シルクによって結紮する。結紮部位の遠位を小型手術鋏で切断して精巣を切り離す。組織断端は陰嚢に戻す。左精巣についても同じ操作を繰返す。両方の断端を陰嚢に戻した後、陰嚢とその上の皮膚を4.0シルクで縫合する。擬ORX(Sham−ORX)の場合、結紮および鋏切断を除く全部の手順が完了している。ラットは10から15分以内に意識および十分な運動能力を完全に回復する。
【0209】
切開創の縫合後、直ちに所定用量の被験化合物をラットに皮下または経口投与する。さらに6日間連続して治療を継続する。
【0210】
剖検およびエンドポイント
ラットを先ず計量し、次いでCO室で仮死状態まで麻酔する。心臓穿刺によって約5mLの全血を採取する。次いでラットの死亡徴候およびORXの完了を調べる。次に、前立腺の腹側部分を探し出し、型通りのやり方で鈍的剥離する。腹側前立腺を3から5秒間ドライブロットし、次いで計量する(VPW)。最後に、精嚢を探し出し、切り離す。腹側精嚢を3から5秒間ドライブロットし、次いで計量する(SVWT)。
【0211】
このアッセイの一次データは、腹側前立腺および精嚢の重量である。二次データは、血清LH(黄体形成ホルモン)およびFSH(卵胞刺激ホルモン)、また、できれば骨形成および男性化の血清マーカーを含む。
群間差を確認するためにフィッシャーPLSDポストホック検定を加えたANOVAによってデータを解析する。被験化合物がORX誘導VPWおよびSVWTの減少を阻害する程度を評価する。
【0212】
インビボ骨形成アッセイ
成人女性をシミュレートするために7から10ヶ月齢の雌のスプレーグ−ドーリーラットを治療モードで使用する。骨減量を生じさせエストロゲン不足の骨減少症の成人女性をシミュレートするために75から180日前にラットに卵巣摘出術(OVX)を施しておく。低用量の強力な抗吸収剤アレンドロネート(0.0028mpk SC,2×/週)による前処置をDay0に開始する。被験化合物による治療をDay15に開始する。Days15−31まで被験化合物で治療し、Day32に剖検を行う。目標は、骨膜表面の蛍光色素ラベリングの増加によって示される骨形成量がアンドロゲン様化合物によってどの程度増加するかを測定することである。
【0213】
典型的アッセイでは、各7匹のラットから成る9グループを試験する。
【0214】
Days19および29(治療5および15日目)に、各ラットにカルセイン(8mg/kg)の皮下注射を一回行う。
【0215】
剖検およびエンドポイント
ラットを先ず計量し、次いでCO室で仮死状態まで麻酔する。心臓穿刺によって約5mLの全血を採取する。次いでラットの死亡徴候およびORVの完了を調べる。最初に、子宮を探し出し、型通りのやり方で鈍的剥離し、3から5秒間ドライブロットし、次いで計量する(UW)。子宮を10%中性緩衝ホルマリンに入れる。次に、右肢を股関節から外す。大腿骨と頚骨とを膝で分離し、筋肉を実質的に除去し、次いで70%エタノールに入れる。
【0216】
大腿骨の近位−遠位中点を中心にした右大腿骨中央の1cmセグメントをシンチレーションバイアルに入れ、工業用アルコールおよびアセトンで脱水および脱脂し、次いで漸増濃度のメチルメタクリレート溶液に導入する。これを90%メチルメタクリレート:10%ジブチルフタレートの混合物に埋封し、48から72時間重合させる。ボトルを割り、プラスチックブロックをLeica 1600 Saw Microtomeの万力型標本ホルダーに適合する形状に裁断し、骨の長軸の横断切片作製を準備する。85μm厚みの3つの横断切片を作製し、ガラススライドに封入する。骨の中点にほぼ対応する1つの切片を各ラットから選択し、ブラインドコードする。各切片の骨膜表面の全骨膜表面積、シングル蛍光色素ラベル、ダブル蛍光色素ラベルおよびラベル間距離を評価する。
【0217】
このアッセイの一次データは、骨形成の半独立マーカーであるダブルラベル含有骨膜表面のパーセンテージおよびミネラル付着率(ラベル間距離(μm)/10d)である。二次データは、子宮重量および組織学的特徴を含む。三次エンドポイントは、骨形成および男性化の血清マーカーを含み得る。
群間差を確認するためにフィッシャーPLSDポストホック検定を加えたANOVAによってデータを解析する。被験化合物が骨形成エンドポイントを増加させた程度を評価する。
【0218】
インビボ無脂肪体重アッセイ
目標は、SARM化合物による無脂肪体重(LBM)の変化度を測定することである。この変化度は、24日の治療期間中のLBMの変化によって示される。典型的なアッセイでは、各9匹のラットから成る7グループを試験した。7から10ヶ月齢のメスのスプレーグ−ドーリーラットを使用する。骨減量を生じさせエストロゲン不足の骨減少症の成人女性をシミュレートするために75から180日前にラットに卵巣摘出術(OVX)を施した。Day0に各ラットの無脂肪体重(LBM)を非侵襲的に測定する(デュアルエネルギーx線吸収法;DXA;Hologic Corporation;またはEchoMRI−700;Echo Medical Systems;Houston、TX)。Day1に、被験化合物による治療を開始し、24日間継続する。Day24に、各ラットの無脂肪体重を非侵襲的に再測定する。
【0219】
このLBMアッセイの一次データは、治療中の“LBM(g)の変化”である。群間差を確認するためにフィッシャーPLSDポストホック検定を加えたANOVAによってデータを解析する。被験化合物がLBMを変化させる程度を評価する。有効なSARMはLBMを対照よりも20−30g増加させる(5−7%増加)(P<.02)。
【0220】
インビボLBM試験用のラットは、子宮重量、皮脂腺肥大および骨形成速度のようなSARMによって影響を受け易い他のエンドポイントの試験にも使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、
mは、0、1、2または3であり;
nは、0、1、2または3であり;
【化2】

は、アリールまたはヘテロシクリルであり、前記アリールまたはヘテロシクリルのおのおのは、場合によりヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、COH、シアノ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、O(0−l)(C1−10)ペルフルオロアルキル、C1−10アルキルスルホニル、C0−10アルキルアミノスルホニル、C0−10アルキルアミノカルボニルおよびNHから選択された1つ以上の基で置換されており;
はC1−4アルキル、C1−4シクロアルキル、ペルフルオロC1−6アルコキシ、C1−6ペルフルオロアルキルから選択され、前記アルキルおよびシクロアルキルは場合により1から4個のフッ素原子で置換されており;
およびRはおのおの独立に、
水素、
ハロゲン、
ペルフルオロC1−6アルキル、
ペルフルオロC1−6アルコキシ、
1−10アルキル、
2−10アルケニル、
2−10アルキニル、
アリールC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC0−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
1−10アルコキシ、
1−10アルキルオキシC0−10アルキル、
アリールオキシC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルオキシC0−10アルキルC0−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、
1−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
チオC1−10アルキル、
0−10アルキルチオ、
(C0−10アルキル)1−2アミノスルホニルC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノスルホニルC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルアミノスルホニルC0−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルアミノスルホニルC0−10アルキル、および、
ヒドロキシC0−10アルキル
から選択され、RおよびRの前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルのおのおのは、場合によりヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、COH、シアノ、O(C=O)C1−6アルキル、NO、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、−O(0−l)(C1−10)ペルフルオロアルキル、C0−10アルキルアミノカルボニルアミノ、C1−10アルキルオキシカルボニルアミノ、C1−10アルキルカルボニルアミノ、C0−10アルキルアミノスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニル、C0−10アルキルアミノスルホニル、C0−10アルキルアミノカルボニルおよびNHから選択された1つ以上の基で置換されている)
の化合物、医薬的に許容される塩またはその立体異性体。
【請求項2】
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルプロパンアミド;
(2R)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルブタンアミド;
(2S)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルブタンアミド;
(2R)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−2−(4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−2−(4−クロロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(4−クロロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド;
(2R)−2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[3−(メチルチオ)フェニル]−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[3−(メチルチオ)フェニル]−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−(2−チエニル)プロパンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−(2−チエニル)プロパンアミド;
2−(5−ブロモ−2−チエニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
から選択される請求項1に記載の化合物および医薬的に許容される塩およびその立体異性体。
【請求項3】
その必要がある哺乳動物の筋緊張の低下、骨粗鬆症、骨減少症、グルココルチコイド誘導骨粗鬆症、歯周病、骨折、骨再建術後の骨損傷、サルコペニア、脆弱性、加齢肌、男性の性腺機能低下症、女性の閉経後症状、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、肥満症、再生不良性貧血、造血障害、関節炎状態および関節修復、HIV衰弱、前立腺癌、癌カテキシー、筋ジストロフィー、アルツハイマー病、認識減退、性的機能不全、睡眠時無呼吸、良性前立腺過形成、腹部脂肪過多、代謝症候群、II型糖尿病、抑鬱、未熟卵巣不全、および、自己免疫疾患から選択された状態の治療または予防医薬を製造するための請求項1または2に記載の化合物または医薬的に許容される塩またはその立体異性体の使用。
【請求項4】
前記状態が骨粗鬆症である請求項3に記載の使用。
【請求項5】
請求項1または2に記載の化合物または医薬的に許容される塩またはその立体異性体と医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項6】
さらに、単独のまたはプロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体と組合せたエストロゲンまたはエストロゲン誘導体、ビスホスホネート、抗エストロゲンもしくは選択的エストロゲン受容体モジュレーター、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、カテプシンKインヒビター、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、破骨細胞小胞ATPアーゼインヒビター、破骨細胞受容体に結合性のVEGFのアンタゴニスト、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γのアクチベーター、カルシトニン、カルシウム受容体アンタゴニスト、上皮小体ホルモンもしくはその類似体、成長ホルモン分泌促進物質、ヒト成長ホルモン、インスリン様成長因子、p38プロテインキナーゼインヒビター、骨形態形成タンパク質、BMPアンタゴニズムインヒビター、プロスタグランジン誘導体、ビタミンDもしくはビタミンD誘導体、ビタミンKもしくはビタミンK誘導体、イプリフラボン、フッ化物塩、経口カルシウムサプリメント、オステオプロテゲリン、アルファ−1アドレナリン遮断薬、および、5アルファレダクターゼインヒビターから選択された有効成分を含む請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ビスホスホネートがアレンドロネートである請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1または2に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩またはその立体異性体と医薬的に許容される担体とを組合せる段階を含む医薬組成物の製造方法。
【請求項9】
関節炎状態がリウマトイド関節炎および骨関節炎から選択される請求項3に記載の使用。
【請求項10】
前記状態が、筋緊張の低下、サルコペニアおよび癌カテキシーから選択された状態から選択される請求項3に記載の使用。

【公表番号】特表2009−509969(P2009−509969A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532475(P2008−532475)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/037273
【国際公開番号】WO2007/038444
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】