説明

イオン化放射線の走査方式の検知

対象物の画像を記録する為の走査方式の放射線検知装置であって、対象物と相互作用をした後、扇形イオン化放射線ビームに暴露される一次元検知器ユニット(41)と、前記対象物の二次元画像を作成する為に反復して検知している間、対象物に対して一次元検知器ユニット(41)及び扇形ビームを相対移動させるデバイス(87,88,89,91)と、反復検知を制御する為の制御装置を備える。一次元検知器ユニット(41)は、イオン化放射線感応厚さdtを有し、厚さdtは、一次元検知器ユニットを照射する時には、扇形ビームの厚さよりも大きい。各々の一次元画像の暴露時間を短くし、且つ二次元画像の空間分解能を高くする為に、扇形ビームの一次元画像は、前記移動のn番目の長さ単位毎に記録される。ここで、nは、この長さ単位において扇形ビームの厚さのほぼ半分よりも小さくはなく、この長さ単位において一次元検知器ユニット(41)のイオン化放射線感応厚さ(dt)より小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは放射線の走査方式による検知の為の装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当業界では、イオン化放射線の種々の線型(ライン)検知器が知られている。このような検知器は即座に一次元画像化を提供するが、二次元画像化は、線型検知器を、及び随意である放射源とを、一次元検知器アレーと交差する方向に走査することによってのみ実行され得る。一次元画像は、典型的には線型検知器、及び随意である放射線源とが、線型検知器の放射線検知面の幅に相当する距離を移動し終える度に記録される。
【0003】
このような走査方式の検知には時間がかかり、大面積を画像化せねばならないなら実用的ではないと言うことができる。検査対象物が走査中に移動すると、得られる画像品質をひどく低下させ得る。そこで走査は可能な限り速くされねばならない。しかし、それでも画像が高信号対雑音比と高ダイナミック・レンジを持つように、暴露量は選択しなければならない。
【0004】
更に、空間分解能はしばしば重要なパラメータである。多くの調査において、100ミクロンよりも良好な、例えば、50ミクロン程度の空間分解能が望まれている。これは、放射線感応面が狭く、且つ、読み出し素子又は画素が小さいという両面から見て、現在使用されている検知器に対する高度な要求である。もしくは/更に加えて、イオン化放射線の極めて薄い面状のビームを作成する為に用いられる放射線源及び各種コリメータについての高度の要求がある。例えば、厚さ50ミクロンで、余り強度は無い高品質の面状X線ビームを作成するのは、可能な限り試みたとしても極めて困難である。
【特許文献1】米国特許第6,118,125号
【特許文献2】米国特許第6,373,065号
【特許文献3】米国特許第6,337,482号
【特許文献4】米国特許第6,385,282号
【特許文献5】米国特許第6,414,317号
【特許文献6】米国特許第6,476,397号
【特許文献7】米国特許第6,477,223号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の主要な目的は、極めて高度な空間分解能での測定を提供するが、検知器及び放射線源に対する強い要望が緩和された、走査方式のイオン化放射線検知装置及び方法を提供することである。
【0006】
この点で、複雑ではなく、優れた信号対雑音比、ダイナミック・レンジ及び画像コントラストをもった高品質な二次元画像を作成できる装置及び方法を提供するという具体的な目的がある。
【0007】
本発明の更なる目的は、検査対象物を横断して迅速に走査できる装置と方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、信頼性があり、正確で、且つ安価である装置と方法を提供することである。
【0008】
特にこれらの目的は、添付の請求項にて請求されている装置及び方法によって成し遂げ
られる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが見出したことは、以下の通りである。即ち、暴露されるイオン化放射線の扇形ビームの厚さよりも大きな厚さであるイオン化放射線感応厚さを有する一次元検知器ユニットを備える工程と、走査のn番目の長さ単位毎にイオン化放射線の扇形ビームの一次元画像を得るように、一次元検知器ユニットによって走査を制御する工程とを備える。ここでnは、この長さ単位における扇形ビームの厚さのほぼ半分よりも小さくはなく、同じ長さ単位における扇形ビームの厚さよりも小さい。これにより、極めて薄い放射線ビーム、又は極めて狭い検知器を用いずに記録された、二次元画像における高い空間分解能を有する走査方式の検知が達成される。
【0010】
走査歩み長nは、扇形ビームの厚さよりもかなり小さいのが好ましく、扇形ビームの厚さのほぼ半分であるのがより好ましい。
扇形ビームの厚さが一次元検知器ユニットの放射線感応厚さよりも大きいのなら、走査歩み長は前記一次元検知器ユニットの放射線感応厚さより小さく、しかし、一次元検知器ユニットの放射線感応厚さのほぼ半分より小さくない値に設定されるべきである。
【0011】
一次元検知器ユニットは好ましくは、しかしこれに限ったものではないが、ガス系平行板検知器ユニットである。用いられ得る他の検知器には、ダイオード・アレー、シンチレータ系アレー、CCDアレー、TFT及びCMOS系検知器、液体検知器、並びに端面沿い、略端面沿い又は直角入射X線を用いた一次元PINダイオード・アレーなどの固体状態検知器がある。
【0012】
本発明の更なる特徴点及び利点は、ここに示される本発明の好ましい実施態様の詳細な記述、及び、例示のみをする方法により、従って、本発明を限定するものではない添付の図1乃至図4から、明らかになるであろう。
【0013】
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1の装置は、上から下にかけて、X線源11、フィルターデバイス12、扇形ビーム・コリメータ13、対象物用台、又はホルダー15、及び一次元検知器ユニット16を備える。
【0015】
X線源11は、電子を放出するカソードと、電子に衝撃されることに応答してX線を放出するアノードとを備える従来型のX線管である。ここで前記管は、アノードとカソードとの間の電圧降下である動作電圧、アノードとカソードとの間の電流である管電流、及び、明確には図示されてはいないが、アノードの放出X線の方向に投影される面積である、電子が衝撃した焦点サイズとを有している。典型的な焦点寸法は0.1−1mmである。このようなX線源からは、約50ミクロンの厚さの高品質な面状放射線ビームを作成することは困難である。
【0016】
フィルターデバイス12はX線管11の直下に配置されており、画像品質には大きくは寄与しない、最低の、及び、時には最高エネルギーの光子を吸収するフィルターとして作用する薄い金属箔を典型的には備えている。フィルターデバイスは、多様なスペクトルの透過特性を持っていてもよい。
【0017】
扇形ビーム・コリメータ13は、例えば、エッチングにより除去処理した狭い放射線透過スリットを有するタングステンなどの薄いフォイルでよい。スリットは、検知器ユニッ
ト16の線状感知面又は入射スリットに対応するように位置合わせされており、扇形ビーム・コリメータ13のスリットを通過したX線は、検知器ユニット16の感知面又は入射スリットに到達する。スリットの幅は、図2中のbt1にて示されている。扇形ビームは広がっていくので、検知器ユニット16に到達するときのその厚さbt2は、再度図2に示されているように、より大きくなる。X線管11から扇形ビーム・コリメータ13までの距離が約45cm、X線管11から検知器ユニット16までの距離が約60cm、焦点サイズは300μm、及び、コリメータ・スリット幅bt1は約70ミクロンであれば、検知器ユニット16におけるビーム厚さbt2は約100ミクロンであろう。スリットの長さは、ビームが検知器ユニット16に到達した時に、適切なサイズ、例えば30乃至50mmのビーム幅を持つようにする。
【0018】
検知器ユニット16は図2に詳細に図示されており、面状の又は扇形のX線ビーム24がほぼ面状のカソードとアノードとの集合体の間を横方向に進入できるように方向付けされている。各々の電極集合体は、誘電体基板26,28にそれぞれ支持された電導性電極層25,27を備えている。ここで集合体は、電導性のカソード層25とアノード層27とが互いに対向するように方向付けされている。放射線透過性窓30は、扇形ビーム24の検知器ユニット16への入口を形成するように、検知器ユニットの前端部に設けられている。
【0019】
好適には、誘電体基板26,28及び窓30は、後端壁29及び図示はされてはいない側壁と共に、イオン化性ガス又はガス混合物を充填され得るガス密閉容器を画定している。あるいは、電極集合体は、外部ガス密閉型容器の内部に置かれる(図示せず)。イオン化性ガス又はガス混合物は、例えば、クリプトン及び二酸化炭素、又はキセノン及び一酸化炭素からなっていてよい。
【0020】
検知器ユニット16は更に、明確には図示されてはいないが、扇形ビーム24の一次元画像を記録する個々の読み出し素子の一次元アレーからなる読み出し集合体を備えている。典型的には、読み出し集合体は、アノード集合体と集積されている。検知器ユニット16はまた、極めて微弱なX線束を記録する為に、又は、高効率で各単一X線を検出する為に、電子雪崩増幅能力を備えていてもよい。
【0021】
雪崩増幅が用いられる時には、一次元検知器ユニット16は、最大イオン化放射線感応厚さ又は高さdtを有する。これは即ち、検知器ユニット16によって検知される信号に大きく寄与している放射線ビームの最大厚さであって、この厚さ又は高さは典型的には、検知器ユニット16に到達した時の扇形ビームの厚さbt2とは関係なく、導電性電極層25,27間の距離よりも小さい。かくして、検知器ユニット16に到達した時の扇形ビームの厚さbt2が厚さdtよりも小さければ、検知器ユニット16にて実際に得られるビームの放射線感応厚さはbt2である。一方、検知器ユニット16に到達した時の扇形ビームの厚さbt2が厚さdtよりも大きければ、検知器ユニット16にて実際に得られるビームの放射線感応厚さはdtである。
【0022】
検知器の一つの例示的な実施態様において、電極間の距離は200乃至2000ミクロン、放射線感応厚さdtは100乃至1500ミクロン、検知器の奥行き、即ち、放射線ビーム24の方向での長さは10乃至100mm、及び、検知器の厚さ、即ち、図2の面に直角な方向の長さは20乃至200mmである。
【0023】
図1の装置の別の実施形態においては、検知器ユニットは、一次元又は二次元のアレーの形で配置された複数の一次元検知器ユニットを備える検知器集合体により置換される。そして、扇形ビーム・コリメータ13は、狭い放射線透過スリットが、各検知器ユニットに一つずつあり、複数あるコリメータにて置換される。スリットの寸法と方向は、各検知
器ユニットが各々の扇形X線ビームに暴露されるようになっている。この実施形態によると、走査の距離と時間はかなり短縮され得る。
【0024】
本発明における使用の為の様々なガス系検知器に関する更なる詳細に関しては、トム フランケ(Tom Francke)などによって為され、スウェーデンのエックスカウンター・アーベーにて出願されている米国特許に論及されている。
【0025】
X線管11、扇形ビーム・コリメータ13及び検知器ユニット16は、共通E型腕17に装着されていて、ほぼX線管11の高さにある支軸19によって、順に垂直スタンド18に回転可能に装着されている。この様にして、X線管11、扇形ビーム・コリメータ13及び検知器ユニット16は、対象物用台15上に載置された検査対象物に対して共通の軸を持つ旋回をすることができ、対象物を走査しその二次元画像を作成できる。旋回運動は、矢印23により図式的に示す。
【0026】
対象物用台15は、支柱20に堅固に装着され、支柱20は順に垂直スタンド18に堅固に装着されている。この目的の為に、破線にて図示されている凹部又は類似のものが、E型腕17に与えられている。走査中は対象物は動かずに静置される。
【0027】
図1の検知装置は、調査されている対象物に対する、X線管11、扇形ビーム・コリメータ13、及び検知器ユニット16の直線的な移動に合わせて改変され、及び、配置されてよいことは充分に理解されるべきである。このような直線的な走査の移動は図2に矢印23aにて図示されている。更に別の実施形態しては、図2の矢印23bにて図示されている如く、扇形ビーム・コリメータ13及び検知器ユニット16は、調査されている対象物に対して水平面を回転されてもよい。このような回転系の走査は、ゴードン(Gordon)による米国特許第6,067,342号、及びボバ(Bova)らによる米国特許第5,025,376号に開示されている。
【0028】
更に、図1の前記装置は、対象物は走査中に移動し、一方X線管11、扇形ビーム・コリメータ13及び検知器ユニット16は静止し続けるように改変されてもよいことは、理解されるべきである。
【0029】
更に、検知装置は、マイクロプロセッサ又はコンピュータ21、及び、電源装置22を備えている。ここで、マイクロプロセッサ又はコンピュータ21は、前記装置を制御し、線型検知器ユニット16からの信号の読み出し及び後処理をする為の適当なソフトウェアを備えており、また電源装置22は、検知器ユニット及びマイクロプロセッサ又はコンピュータ21に電源を供給し、垂直スタンド18に装着されている支軸19、ひいてはE型腕17を駆動する為のステップモータ又は類似物を駆動させる為に、電力を供給するものである。
【0030】
稼動中にはX線がX線管11から放出され、フィルターデバイス12を通過する。扇形ビーム・コリメータ13の前記スリットを通過したX線だけが、対象物を通り抜ける。対象物中ではX線光子が通過し、吸収され、又は散乱される。通過したX線は対象物を離れ、検知器ユニット16に進入し、検知される。この検知から、対象物の一次元画像が形成される。
【0031】
走査中には、X線源11を保持しているE型腕17と、扇形ビーム・コリメータ13と、検知器ユニット16とは軸中心の旋回をし、検知器ユニットは対象物用台15とほぼ平行な方向に対象物を横断して走査する。規則正しい移動間隔にて、即ち移動距離ssにて検知信号は読み出され、マイクロプロセッサ21の記憶部に格納される。X線源及び走査が停止する時には、対象物の多くの一次元画像が形成され、マイクロプロセッサ21によ
ってこれらが集約されて、対象物の二次元画像が生成される。
【0032】
他の走査技術においては、E型腕17は対象物に対して段階的に移動され、一次元感知器ユニット16が、段階的な移動の合間には静止して検知を続ける。
各々の走査歩みは図2の矢印23にて示される長さssを有している。一次元検知器ユニット16はイオン化放射線感応厚さdtを有し、これはイオン化放射線の扇形ビーム24の厚さbt2よりも大きいような、図2に示されるような場合には、本発明によると、マイクロプロセッサ21が、走査中には一次元検知器ユニット16による検知を制御し、イオン化放射線の扇形ビーム24の一次元画像を、移動のn番目の長さ単位ss毎に得るようにせしめられる。ここで、nはこの長さ単位での厚さbt2のほぼ半分よりは小さくないが、同じ長さ単位での厚さbt2より小さい。言い換えれば、走査歩み長ssは、以下のように定義され得る。
【0033】
〜0.5bt2≦ss<bt2 (1)
ここで、
bt2<dt (2)
である。
【0034】
このような設定であれば、二次元画像における空間分解能を確実に高くできる。
好ましくは、走査歩みssは、イオン化放射線の扇形ビーム24の厚さbt2よりも前記長さ単位にてかなり小さく、走査によって形成される多くの一次元画像から生成される前記二次元画像の空間分解能を向上させる。走査歩みssがイオン化放射線の扇形ビーム24の厚さbt2のほぼ半分であれば、最適な空間分解能が得られる。
【0035】
ビーム厚さbt2が約100ミクロンとすれば、走査歩みssは100ミクロンより小さく、好ましくはかなり小さく、しかし、約50ミクロンよりは小さくはない。走査歩みssが50ミクロンでは最適な空間分解能が得られる。
【0036】
しかし、使用されている一次元検知器ユニット16が、イオン化放射線感応厚さdtがイオン化放射線の扇形ビーム24の厚さbt2よりも小さいのなら(図示されていない)、マイクロプロセッサ21は、本発明によると、走査中には一次元検知器ユニット16による検知を制御し、移動のi番目の長さ単位ss毎にイオン化放射線の扇形ビーム24の一次元画像を得るようにせしめられる。ここで、iは、前記長さ単位にて一次元検知器ユニット16のイオン化放射線感応厚さdtのほぼ半分よりは小さくなく、同じ長さ単位にて、イオン化放射線感応厚さdtよりは小さい。言い換えれば、走査歩みssは以下の如く定義され得る。
【0037】
〜0.5dt≦ss<dt (3)
ここで、
bt2>dt (4)
である。
【0038】
走査歩みは、好ましくは放射線感応厚さdtよりかなり小さく、更に好ましくは、放射線感応厚さdtのほぼ約半分である。
本発明の好適な実施形態では、走査歩み長ssは、厚さbt2又は厚さ/高さ/幅dtの0.5から0.8倍であり、好ましくは0.5から0.7倍、更に好ましくは0.5から0.6倍、そして最も好ましくは約0.5倍である。ここで、前記厚さ/高さ/幅のどれが最小でもよい。
【0039】
走査歩みssが厚さbt2又はいずれが最小でもよいが厚さ/高さ/幅dtよりも小さ
くなると、空間分解能は、走査歩みssが厚さbt2又はいずれが最小でもよいが厚さ/高さ/幅dtの半分に至るまで徐々に向上する(走査の長時間化の代価はある)。走査歩みが更に小さくなると、もはや空間分解能の改善は得られない。
【0040】
先の説明における検知器ユニットはガス系イオン化検知器として説明されており、ここでの自由電子は入射に伴うイオン化方向とはほぼ直角の方向に浮遊する。しかし、本発明はこのような検知器に限定はしないと言うことは更に充分に理解されるべきである。実際のところ、実質的にいかなる種類の検知器であっても、暴露されるイオン化放射線の一次元画像を記録できる一次元検知器である限りは、本発明においては使用可能である。このような検知器の例は、シンチレータ系検知器、PINダイオード・アレー、TFT(薄膜トランジスタ)アレー、CCD(電荷結合素子)アレー、CMOS回路、又はあらゆる他の形式の半導体デバイスである。
【0041】
図3は、図2の断面図と類似の概略の拡大断面図であって、線型半導体アレー16´を基にした検知装置を図示している。半導体アレーの放射線感応厚さ又は幅、即ち、アレー長軸方向に直交する方向の寸法は、dtにて示されている。この図は、面状の放射線ビーム24のPINダイオード・アレー入口での厚さbt2は、線型半導体アレーの幅dtよりも大きいことに注意されたい。
【0042】
図4は、図2,3の断面図と同様な概略の拡大断面図である。しかし、PINダイオード・アレー16´´を基にした検知装置を図示している。検知器は、一方の面に均質金属層25´´、反対面には金属性多切片層27´´を被着したドープ済み珪素の平板31を備える。検知装置は、入射する放射線ビームに対して傾斜されており、これにより、ビームは検知装置の均質金属層25´´に鋭角的に衝突する。珪素平板31内では、入射放射線は平板内の物質と相互作用をし、それにより電子及び正孔が生成される。金属層25´´,27´´に適当な電圧をかけることにより、電子及び正孔は珪素平板31の反対の面に向けて駆動される。そして、電子及び正孔のどちらも、金属性多切片層27´´にて空間的な分解能をもって検知される。
【0043】
尚、図4は、PINダイオード・アレーの入口での平面状の放射線ビーム24の厚さbt2は、活性PINダイオード・アレーの幅dtよりも小さく、活性PINダイオード・アレーの幅dtは、前記PINダイオード・アレーの奥行き及び傾斜角度の順に依存していることを示していることに注意されたい。
【0044】
随意であるが、更なるコリメータが、検知器の前に(即ち、対象物の下流と想像できる位置に)配置される。これによりイオン化放射線感応厚さdtが定義され得る。
更に本発明は、対象物を透過する放射線ではなく、対象物からの散乱放射線の二次元画像を記録することも同様に可能であることは、充分に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の好ましい実施態様による、走査方式のX線画像化の為の装置の側面概略図。
【図2】図1A−A矢視部断面の前記装置部材の概略拡大断面図。
【図3】本発明の他の好ましい実施態様による、検知装置の同様な部材の概略拡大断面図。
【図4】本発明の更に別の好ましい実施態様による、検知装置の同様な部材の概略拡大断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を透過した、又は前記対象物から散乱したイオン化放射線の扇形ビーム(24)に暴露され、及びイオン化放射線の前記扇形ビームを反復して一次元画像化すべく配置された一次元検知器ユニット(16)と、前記イオン化放射線の扇形ビーム(24)は一次元検知器ユニット(16)を照射する時に、厚さ(bt2)を有することと、
一次元検知器ユニット(16)が前記対象物の二次元画像を生成すべく反復して検知するように配置されている間に、一次元検知器ユニット(16)とイオン化放射線の扇形ビーム(24)とを、前記対象物に対して相対移動させるデバイス(17,18,19,21,22)とを備えた対象物の二次元画像を記録する為の走査方式の放射線検知装置において、
一次元検知器ユニット(16)は、イオン化放射線の扇形ビーム(24)の厚さ(bt2)よりも大きく、且つ、イオン化放射線に感応することが可能なイオン化放射線感応厚さ(dt)を有し、
前記装置は、前記一次元検知器ユニットによる反復検知を制御し、イオン化放射線の前記扇形ビームの一次元画像を、前記移動のn番目の長さ単位(ss)毎に得る為の制御デバイス(21)を備えており、nは前記長さ単位におけるイオン化放射線の前記扇形ビームの厚さ(bt2)のほぼ半分より小さくなく、前記長さ単位におけるイオン化放射線の前記扇形ビームの厚さ(bt2)より小さいことを特徴とする放射線検知装置。
【請求項2】
nは前記長さ単位におけるイオン化放射線の扇形ビーム(24)の厚さよりも相当に小さい請求項1に記載の装置。
【請求項3】
nは前記長さ単位におけるイオン化放射線の扇形ビーム(24)の厚さのほぼ半分である請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記一次元検知器ユニットは、各々がほぼ平面であるカソード(25)及びアノード(27)と、これらの間にはイオン化ガスが注入されていることと、各々が読み出し可能な素子を一次元に配列したものを備える読み出し用集合体とを備え、前記イオン化ガスをイオン化するために、イオン化放射線の扇形ビーム(24)が前記一次元検知器ユニットに、前記カソードと前記アノードとの間にほぼ平行に横方向から入射できるように、前記カソードと前記アノードとが方向付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
一次元検知器ユニット(16)は電子雪崩増幅器を備える請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記対象物の透過又は前記対象物からの散乱をするイオン化放射線のそれぞれの扇形ビームに暴露され、且つ、暴露されるイオン化放射線のそれぞれの前記扇形ビームを反復して一次元に画像化すべく配置された複数の一次元検知器ユニットを備え、
前記複数の一次元検知器ユニットは共通の支柱上に二次元に配列された形態にて配置され、
前記移動の為のデバイスは、前記複数の一次元検知器ユニットと前記複数のイオン化放射線の扇形ビームとを、前記対象物に対して相対移動させることに適し、
制御の為の前記デバイスは、前記複数の一次元検知器ユニットによる前記反復検知を制御し、前記移動のn番目の長さ単位毎に前記複数の一次元検知器ユニットのそれぞれからの一次元画像を得ることに適することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記対象物を透過し、又は前記対象物から散乱するイオン化放射線の扇形ビーム(24)に一次元検知器ユニット(16)を暴露する工程であって、イオン化放射線の扇形ビー
ム(24)は、一次元検知器ユニット(16)を照射する時に厚さ(bt2)を有する暴露工程と、
前記対象物の二次元画像を生成すべく前記一次元検知器ユニットにより反復して検知する間に、一次元検知器ユニット(16)とイオン化放射線の扇形ビーム(24)とを、前記対象物に対して相対移動させる工程とを備えた、対象物の二次元画像を記録する為の走査方式の放射線検知方法において、
イオン化放射線の扇形ビーム(24)の厚さ(bt2)よりも大きいイオン化放射線感応厚さ(dt)を有する一次元検知器ユニット(16)を選択する工程と、
イオン化放射線の前記扇形ビームの一次元画像を、前記移動のn番目の長さ単位(ss)毎に得るように、前記一次元検知器ユニットによる反復検知を制御する工程であって、nは前記長さ単位におけるイオン化放射線の前記扇形ビームの厚さ(bt2)のほぼ半分より小さくなく、前記長さ単位におけるイオン化放射線の扇形ビーム(24)の厚さ(bt2)より小さいことを特徴とする方法。
【請求項8】
nは前記長さ単位におけるイオン化放射線の扇形ビーム(24)の厚さよりも相当に小さい請求項7に記載の方法。
【請求項9】
nは前記長さ単位におけるイオン化放射線の扇形ビーム(24)の厚さのほぼ半分である請求項7に記載の方法。
【請求項10】
対象物を透過した、又は前記対象物から散乱したイオン化放射線の扇形ビーム(24)に暴露され、及びイオン化放射線の前記扇形ビームを反復して一次元に画像化するの為に配置された一次元検知器ユニット(16)と、イオン化放射線の扇形ビーム(24)が一次元検知器ユニット(16)を照射する時に厚さ(bt2)を有することと、
前記対象物の二次元画像を生成すべく反復して検知するように、一次元検知器ユニット(16)が配置されている間、一次元検知器ユニット(16)とイオン化放射線の扇形ビーム(24)とを、前記対象物に対して相対移動させるデバイス(17,18,19,21,22)とを備えた、対象物の二次元画像を記録する為の走査方式の放射線検知装置において、
一次元検知器ユニット(16)は、イオン化放射線の扇形ビーム(24)の厚さ(bt2)よりも小さいイオン化放射線感応厚さ(dt)を有し、
前記装置は、前記一次元検知器ユニットによる反復検知を制御し、イオン化放射線の前記扇形ビームの一次元画像を、前記移動のn番目の長さ単位(ss)毎に得る為の制御デバイス(21)を備え、nは前記長さ単位における一次元検知器ユニット(16)の前記イオン化放射線感応厚さ(dt)のほぼ半分より小さくはなく、前記長さ単位における一次元検知器ユニット(16)のイオン化放射線感応厚さ(dt)より小さいことを特徴とする装置。
【請求項11】
nは前記長さ単位における一次元検知器ユニット(16)のイオン化放射線感応厚さ(dt)より相当に小さい請求項10に記載の装置。
【請求項12】
nは前記長さ単位における一次元検知器ユニット(16)のイオン化放射線感応厚さ(dt)のほぼ半分である請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記一次元検知器ユニットは各々がほぼ平面であるカソード(25)及びアノード(27)と、これらの間にはイオン化ガスが注入されていることと、各々が読み出し可能な素子を一次元に配列したものを備える読み出し用集合体とを備え、前記イオン化ガスをイオン化するために、イオン化放射線の扇形ビーム(24)が前記一次元検知器ユニットに、前記カソードと前記アノードとの間にほぼ平行に横方向から進入できるように、前記カソードと前記アノードとが方向付けられている、請求項10乃至12のいずれか一項に記載
の装置。
【請求項14】
一次元検知器ユニット(16)は電子雪崩増幅器を備える請求項13に記載の装置。
【請求項15】
それぞれが、前記対象物の透過又は前記対象物からの散乱をするイオン化放射線の対応する扇形ビームに暴露され、及び暴露されるイオン化放射線の前記対応する扇形ビームを反復して一次元に画像化すべく配置された、複数の一次元検知器ユニットを備える、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の装置であって、
前記複数の一次元検知器ユニットは、共通の支柱上に二次元に配列された形態にて配置され、
前記移動の為のデバイスは、前記複数の一次元検知器ユニットと前記複数のイオン化放射線の扇形ビームとを、前記対象物に対して相対移動することに適し、
制御の為の前記デバイスは、前記複数の一次元検知器ユニットによる前記反復検知を制御し、前記移動のn番目の長さ単位毎に前記複数の一次元検知器ユニットのそれぞれからの一次元画像を得ることに適することを特徴とする装置。
【請求項16】
対象物を透過し、又は、前記対象物から散乱したイオン化放射線の扇形ビーム(24)に一次元検知器ユニット(16)を暴露する工程であって、イオン化放射線の扇形ビーム(24)は、一次元検知器ユニット(16)を照射する時に、一定の厚さ(bt2)を有する工程と、
前記対象物の二次元画像を生成すべく、前記一次元検知器ユニットにより反復して検知する間に、一次元検知器ユニット(16)とイオン化放射線の前記扇形ビームとを、前記対象物に対して相対移動させる工程とを備えた、対象物の二次元画像を記録する為の走査方式の放射線検知方法において、
イオン化放射線の扇形ビーム(24)の厚さ(bt2)よりも小さいイオン化放射線感応厚さ(dt)を有する一次元検知器ユニット(16)を選択する工程と、
イオン化放射線の前記扇形ビームの一次元画像を前記移動のn番目の長さ単位(ss)毎に得るように、前記一次元検知器ユニットによる反復検知を制御する工程であって、nは前記長さ単位における一次元検知器ユニット(16)のイオン化放射線感応厚さ(dt)より小さくはなく、前記長さ単位における一次元検知器ユニット(16)のイオン化放射線感応厚さ(dt)より小さい、制御工程とを備えることを特徴とする方法。
【請求項17】
nは、前記長さ単位における一次元検知器ユニット(16)のイオン化放射線感応厚さ(dt)よりも相当に小さい請求項16に記載の方法。
【請求項18】
nは、前記長さ単位における一次元検知器ユニット(16)のイオン化放射線感応厚さ(dt)のほぼ半分である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
線型検知器(16)と、扇形の放射線ビーム(24)に暴露されている間に、前記対象物を横断して線型検知器(16)を走査するデバイス(17,18,19,21,22)と、この走査によって前記対象物の複数の線型画像を記録することと、複数の線型画像は対象物の二次元画像を形成する為に合成されることが可能であることとを備える放射線検知装置であって、
線型検知器(16)への入射時に、扇形ビーム(24)の厚さ(bt2)が線型検知器(16)の放射線感応厚さ(dt)よりも小さい、又は、等しいならば、線型画像の2連続記録間の走査間隔は、線型検知器(16)への入射時には、扇形ビーム(24)の厚さ(bt2)の0.5倍から1倍であり、線型検知器(16)への入射時に扇形ビーム(24)の厚さ(bt2)が線型検知器(16)の放射線感応厚さ(dt)より小さい、又は、等しいならば、線型画像の2連続記録間の走査間隔は線型検知器(16)の放射線感応厚さ(dt)の0.5倍から1倍であることを特徴とする放射線検知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2006−522331(P2006−522331A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507931(P2006−507931)
【出願日】平成16年3月2日(2004.3.2)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000278
【国際公開番号】WO2004/080130
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(500208058)エックスカウンター アーベー (12)
【Fターム(参考)】