説明

イソインドリン化合物及びその製造法及び使用法

本発明は、イソインドリン化合物、それらを含有する医薬組成物、及び様々な疾患及び障害を治療、予防又は管理するためのそれらの使用法を包含している。例は癌、炎症性腸疾患及び骨髄異形成症候群を含むが、これらに限定されるものではない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1. 発明の技術分野)
本発明は、新規イソインドリン誘導体、これらの化合物の医薬組成物、並びにPDE4阻害により媒介された疾患及び/又は異常なTNF-αレベルに関連した疾患の治療、予防及び管理のための、患者におけるこれらの化合物及び組成物の使用法を包含している。
【背景技術】
【0002】
(2. 発明の背景)
イソインドリン誘導体は、様々な障害又は疾患の治療、予防及び管理に有用であることが報告されている。例えばその全体が本願明細書に参照として組入れられている米国特許第6,667,316号は、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)のレベルを低下しかつホスホジエステラーゼ(PDE)を阻害する化合物の種類を開示している。しかし、TNF-α及びPDEにより媒介された様々な障害及び疾患の治療、予防及び/又は管理に有効な化合物の必要性が継続して存在する。
【0003】
(2.1. TNF-α)
腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)は、免疫刺激因子に反応し、炎症及び単核食細胞により主として放出されるサイトカインである。TNF-αは、分化、動員、増殖及びタンパク質分解などのほとんどの細胞プロセスを増強することが可能である。TNF-αは、低レベルで、感染性物質、腫瘍、及び組織損傷に対する保護をもたらす。しかし、TNF-αは、多くの疾患における役割も有する。ヒトなどの患者へ投与される場合、TNF-αは、炎症、発熱、心臓血管作用、出血、凝血、並びに急性感染症及びショック状態において認められるものに類似した急性相反応を引き起こすか又は増悪する。増強された又は調節されないTNF-α産生は、多くの疾患及び医学的状態、例えば固形腫瘍及び血液感染性腫瘍のような、癌;鬱血性心不全のような、心臓疾患;並びに、ウイルス疾患、遺伝病、炎症疾患、アレルギー疾患及び自己免疫疾患に関与している。
【0004】
癌は特に、破壊的な疾患であり、及び血中TNF-αレベルの上昇は、癌のリスク及び拡散に関連している。通常、健常対象において、癌細胞は、循環系において生存することができず、その理由のひとつは、血管裏層が腫瘍細胞の管外遊出の障壁として作用するからである。しかし増加したレベルのサイトカインは、インビトロにおいて、癌細胞の内皮への接着を実質的に増大することが示されている。ひとつの説明は、TNF-αのようなサイトカインは、ELAM-1(内皮白血球接着分子)と称される細胞表面受容体の生合成及び発現を刺激することである。ELAM-1は、LECAM-1及びGMP-140を含むLEC-CAMとして公知のカルシウム依存型細胞接着受容体ファミリーの一員である。炎症反応時に、内皮細胞上のELAM-1は、白血球の「ホーミング受容体」として機能する。内皮細胞上のELAM-1は、結腸癌細胞のサイトカイン処理された内皮細胞への接着増大を媒介することが示された(Riceらの論文、1989, Science 246:1303-1306)。
【0005】
関節炎、関連した関節炎状態(例えば骨関節炎及び関節リウマチ)、炎症性腸疾患、敗血症、乾癬、慢性閉塞性肺疾患及び慢性炎症性肺疾患のような炎症疾患も、蔓延している問題の多い病気である。TNF-αは、炎症反応において中心的役割を果たし、それらのアンタゴニストの投与は、慢性及び急性反応を炎症疾患の動物モデルにおいて遮断する。
【0006】
増強されるか又は調節されないTNF-α生成は、ウイルス疾患、遺伝病、炎症疾患、アレルギー疾患及び自己免疫疾患に関与している。そのような疾患の例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:HIV;肝炎;成人呼吸窮迫症候群;骨吸収疾患;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症疾患;皮膚炎;嚢胞性線維症;敗血症性ショック;敗血症;内毒素ショック;血行動態ショック;敗血症症候群;虚血後再潅流損傷;髄膜炎;乾癬;線維化疾患;悪液質;移植片対宿主疾患(GVHD);移植片拒絶反応;自己免疫疾患;リウマチ様脊椎炎;関節炎様状態、例えば関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎及び骨関節炎;骨粗鬆症;炎症性腸疾患;クローン病;潰瘍性大腸炎;多発性硬化症;全身性紅斑狼瘡;ハンセン病のENL;放射線障害;喘息;及び、高酸素肺胞損傷。Traceyらの論文、1987, Nature 330:662-664;及びHinshawらの論文、1990, Circ. Shock, 30:279-292(内毒素ショック);Dezubeらの論文、1990, Lancet, 335:662 (悪液質);Millarらの論文、1989, Lancet 2:712-714;及びFerrai-Balivieraらの論文、1989, Arch. Surg. 124:1400-1405(成人呼吸窮迫症候群);Bertoliniらの論文、1986, Nature 319:516-518;Johnsonらの論文、1989, Endocrinology 124:1424-1427;Hollerらの論文、1990, Blood, 75:1011-1016;及びGrauらの論文、1989, N. Engl. J. Med. 320:1586-1591 (骨吸収疾患);Pignetらの論文、1990, Nature, 344:245-247;Bissonnetteらの論文、1989, Inflammation, 13:329-339;及びBaughmanらの論文、1990, J. Lab. Clin. Med. 115:36-42 (慢性肺炎症疾患);Elliotらの論文、1995, Int. J. Pharmac. 17:141-145 (関節リウマチ);von Dullemenらの論文、1995, Gastroenterology 109:129-135 (クローン病);Duhらの論文、1989, Proc. Nat. Acad. Sci. 86:5974-5978;Pollらの論文、1990, Proc. Nat. Acad. Sci. 87:782-785;Montoらの論文、1990, Blood, 79:2670;Clouseらの論文、1989, J. Immunol. 142, 431-438;Pollらの論文、1992, AIDS Res. Hum. Retro virus, 191-197;Poliらの論文、1990, Proc. Natl. Acad. Sci. 87:782-784;Folksらの論文、1989, Proc. Natl. Acad. Sci. 86:2365-2368(HIV及びHIVに起因した日和見感染症)。
【0007】
(2.2. PDE4)
アデノシン3',5'-サイクリック一リン酸(cAMP)は、喘息及び炎症などであるが、これらに限定されない多くの疾患及び状態において役割を果たす別の酵素である(Lowe及びChengの論文、Drugs of the Future, 17(9), 799-807, 1992)。報告によると炎症白血球におけるcAMPの上昇は、それらの活性化、それに続くTNF-α及び核因子κB(NF-κB)を含む、炎症メディエーターの放出を阻害する。増加したレベルのcAMPは、気道平滑筋の弛緩にもつながる。
【0008】
cAMPの失活に関する主要な細胞機構は、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)と称されるアイソザイムファミリーによるcAMPの破壊であると考えられている(Beavo及びReitsnyderの論文、Trends in Pharm., 11, 150-155, 1990)。PDEファミリーには12の公知のメンバーが存在する。PDE IV型(PDE4)の阻害は、炎症が媒介した放出の阻害及び気道平滑筋の弛緩の両方において特に有効であることが認められている(Vergheseらの論文、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 272(3), 1313-1320, 1995)。従ってPDE4を特異的に阻害する化合物は、心臓血管系作用又は抗血小板作用のような、望ましくない副作用は最小で、炎症を阻害し、及び気道平滑筋の弛緩を補助することができる。
【0009】
cAMPに特異的であるPDE4ファミリーは、現在最大であり、並びに少なくとも4種のアイソザイム(a-d)、及び複数のスプライシング変種により構成される(Houslay, M.D.らの論文、Advances in Pharmacology 44, J. Augustらの編集、p.225, 1998)。多くの様々なプロモーターにより調節された細胞特異的パターンで発現される20種を超えるPDE4アイソフォームが存在し得る。選択的PDE4インヒビターが求められる病態は以下である:喘息、アトピー皮膚炎、鬱病、再潅流損傷、敗血症性ショック、毒素ショック、内毒素ショック、成人呼吸窮迫症候群、自己免疫性糖尿病、尿崩症、多発脳梗塞性痴呆、AIDS、癌、クローン病、多発硬化症、脳虚血、乾癬、移植片拒絶反応、再狭窄、潰瘍性大腸炎、悪液質、大脳マラリア、アレルギー性鼻腔結膜炎、骨関節炎、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、好酸球性(cosinophilic)肉芽腫、及び自己免疫脳脊髄炎(Houslayらの論文、1998)。PDE4は、脳細胞及び主要炎症細胞に存在し、特にアトピー性皮膚炎又は湿疹、喘息、及び枯草熱を含む、多くの疾患において異常に上昇したレベルが認められている(OHSU flyer及びJ. of Allergy and Clinical Immunology, 70: 452-457,1982、Greweら参照)。アトピー性疾患に罹患した個体において、上昇したPDE4活性が、固体の末梢血液単核白血球、T細胞、マスト細胞、好中球及び好塩基球において認められる。この増加したPDE活性は、cAMPレベルを低下し、これらの細胞におけるcAMP制御の破壊を生じる。これは、罹患した個体の血液及び組織において増強された免疫応答を生じる。
【0010】
一部のPDE4インヒビターは、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び他のアレルギー性障害、例えばアトピー性皮膚炎及び枯草熱のモデルにおいて、目立った活性を伴う抗炎症活性の広いスペクトルを有することが報告されている。使用されるPDE4インヒビターは、テオフィリン、ロリプラム、デンブフィリン、ARIFLO、ROFLUMILAST、CDP 840(トリ-アリールエタン)及びCP80633(ピリミドン)を含む。PDE4インヒビターは、好酸球反応に影響を及ぼし、好塩基球ヒスタミン放出を減少し、IgE、PGE2、IL10合成を低下し、及び抗CD3が刺激するIL-4産生を減少することが示されている。同様にPDE4インヒビターは、好中球機能をブロックすることが示されている。好中球は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び他のアレルギー性障害において大きな役割を果たす。PDE4インヒビターは、肺の構造を破壊し、その結果気道機能を破壊する好中球に関連した、接着分子、活性酸素種、インターロイキン(IL)-8及び好中球エラスターゼの放出を阻害することが示されている。PDE4インヒビターは、多機能性経路に影響を及ぼし、複数の免疫及び炎症の経路に作用し、並びに多数の免疫メディエーターの合成又は放出に影響を及ぼす。J.M. Hanifin及びS.C. Chanの論文「Atopic Dermatitis-Therapeutic Implication for New Phosphopodiesterase Inhibitors」、Monocyte Dysregulation of T Cells in AACI News, 7/2, 1995;J.M. Hanifin らの論文、「Type 4 Phosphodiesterase Inhibitors Have clinical and インビトロ Anti-inflammatory Effects in Atopic Dermatitis」、Journal of Investigative Dermatology, 1996, 107, pp51-56。
【0011】
第一世代のPDE4インヒビターの一部は、PDE4活性の阻害、並びにこの酵素の過剰発現により引き起こされた多くの炎症問題の改善において有効である。しかし、それらの有効性は、特に全身使用された場合に、悪心及び吐気などの副作用により限定される。Huangらの論文、Curr. Opin. In Chem. Biol. 2001, 5:432-438。実際今日までに開発された多くのPDE4インヒビターは、例えば、頭痛、悪心/嘔吐、及び胃液分泌などの、中枢神経系及び胃腸の副作用を伴う小型分子化合物である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
(3. 発明の概要)
本発明は、PDE4及び/又はTNF-αの阻害により媒介される疾患を含む、様々な疾患の治療に有用である、新規イソインドリン誘導体を包含している。本発明は、これらの化合物を含有する医薬組成物及び様々な疾患の治療法も提供する。
【0013】
(3.1. 略記及び定義)
本願明細書において使用される略記は、特に指定されない限りは、通常のものである。
特に指定されない限りは、本願明細書において使用される用語「治療する」、「治療している」、及び「治療」は、疾患又は障害の重症度を低下させる特定の疾患又は障害に患者が罹患している時に生じる作用を企図する。
【0014】
特に指定されない限りは、本願明細書において使用される用語「予防する」、「予防している」、及び「予防」は、疾患又は障害の重症度を阻害又は低下させる特定の疾患又は障害に患者が罹患し始める前に生じる作用を企図する。
特に指定されない限りは、本願明細書において使用される用語「管理する」、「管理している」、及び「管理」は、疾患もしくは障害に既に罹患した患者の特定の疾患又は障害の再発を防止すること、及び/又は疾患もしくは障害に罹患した患者が寛解を維持する期間を延長することを包含している。これらの用語は、疾患もしくは障害の閾値、進行及び/もしくは期間を調節すること、又は患者が疾患もしくは障害に反応する様式を変化させることを包含している。
【0015】
特に指定されない限りは、本願明細書において使用される用語「治療的有効量」は、治療される状態もしくは障害の進行を阻止する、又はそれらの1種もしくは複数の症状をある程度緩和することに加え、疾患それ自体の原因を緩和もしくは根絶するのに十分な、投与される化合物の量を意味する。
【0016】
特に指定されない限りは、本願明細書において使用される用語「PDE4反応性状態又は障害」又は「PDE4阻害により媒介された」又は「PDE4の阻害により媒介された」は、PDE4活性の調節に好ましく反応する状態又は障害を意味する。PDE4調節に対する好ましい反応は、疾患及び/又はその随伴症状の緩和もしくは停止、疾患の阻害(すなわち、疾患発生の停止もしくは低下)又はその臨床症状の阻害、並びに疾患又はその臨床症状の退縮を含む。PDE4反応性状態又は疾患は、PDE4調節に対し完全に又は部分的に反応性であってよい。PDE4反応性状態又は障害は、不適切な、例えば、正常なPDE4-活性よりも少ない又は多いことに関連している。不適切なPDE4機能活性は、通常はPDE4を発現しない、PDE4発現が低下した(例えば、脂質及び代謝の障害及び疾患につながる)又はPDE4発現が増加した細胞におけるPDE4発現の結果として生じることがある。PDE4反応性状態又は疾患は、PDE4媒介型状態又は疾患を含む。
【0017】
特に指定されない限りは、本願明細書において使用される用語「調節する」及び「調節」は、調節される分子(例えば、酵素)の活性又は発現が、増加又は減少されることを意味する。一部の実施態様において、調節される分子の活性又は発現は、調節されない分子の活性又は発現と比べ、10%、20%、50%、100%、又は200%もしくはそれよりも多く増大される。別の実施態様において、調節される分子の活性又は発現は、調節されない分子の活性又は発現と比べ、10%、20%、50%、70%、80%、又は90%もしくはそれよりも多く減少される。
【0018】
特に指定されない限りは、本願明細書において使用される用語「医薬として許容し得る塩」は、本願明細書において説明された化合物において認められる特定の置換基に応じて、比較的無毒の酸又は塩基により調製される塩を含む。本発明の化合物が比較的酸性の官能性を含む場合、塩基付加塩は、無希釈で又は適当な不活性溶媒中のいずれかで、そのような化合物の中性型を十分量の所望の塩基と接触することにより得ることができる。医薬として許容し得る塩基付加塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、及びマグネシウム塩を含む。本発明の化合物が比較的塩基性の官能性を含む場合、酸付加塩は、無希釈で又は適当な不活性溶媒中のいずれかで、そのような化合物の中性型を十分量の所望の酸と接触することにより得ることができる。医薬として許容し得る酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、ヨウ化水素酸、及び亜リン酸などの無機酸由来の塩、更には酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、及びメタンスルホン酸などの比較的無毒の有機酸由来の塩を含む。アルギン酸塩のような、アミノ酸の塩、並びに、グルクロン酸及びガラクツロン酸のような有機酸の塩も含まれる。例えば、Bergeらの論文、J. Pharm. Sci. 66:119 (1977)を参照のこと。本発明のある特定の化合物は、化合物を塩基付加塩又は酸付加塩のいずれかに転換することができる塩基性及び酸性の両官能性を含む。
【0019】
一部の化合物の中性型は、塩基又は酸を塩と接触し、及び通常の様式で親化合物を単離することにより生成されてもよい。化合物の親型は、極性溶媒中の溶解度のような、ある物理特性におけるその様々な塩型とは異なるが、これらの塩は典型的には、典型的には本発明の目的に関して化合物の親型と同等であることができる。
【0020】
本発明のある化合物は非溶媒和型に加え、水和型を含む溶媒和型で存在することができる。一般に溶媒和型は非溶媒和型と同等である。本発明のある化合物は、多晶型又は非晶質型で存在することができる。一般に全ての物理的型が、本発明により企図された用途について同等であり、及び本発明に包含される。
本発明のある化合物は、不斉炭素原子(光学中心又は立体中心)又は二重結合を有し;ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体及びそれらの混合物は全て本発明により包含されることが意図されている。
【0021】
また本発明の化合物は、そのような化合物を構成している原子で1種又は複数の原子同位体を自然でない割合で含むことができる。例えばこれらの化合物は、例えばトリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)又は炭素-14(14C)などの放射性同位体により放射標識することができる。放射標識された化合物は、癌治療薬などの治療薬、アッセイ試薬などの研究用試薬、及びインビボ造影剤などの診断薬として有用である。本発明の化合物の全ての同位体変種は、放射性であるかどうかにかかわらず、本発明の範囲に包含されることが意図されている。
特に指示がない限りは、本願明細書において使用される用語「立体異性体混合物」は、ラセミ混合物に加え、エナンチオマー豊富な混合物(例えば、R/S=30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35及び70/30)を包含している。
【0022】
特に指示がない限りは、本願明細書において使用される用語「立体的に純粋」又は「エナンチオマー的に純粋」は、その化合物が、ひとつの立体異性体を含み、及びその対抗する立体異性体又はエナンチオマーを実質的に含まないことを意味する。例えば、化合物が80%、90%、又は95%もしくはそれよりも多いひとつの立体異性体及び20%、10%、又は5%もしくはそれよりも少ない対抗する立体異性体を含む場合に、化合物は立体的に又はエナンチオマー的に純粋である。ある場合において、本発明の化合物は、キラル中心に関して化合物が約80%ee(エナンチオマー過剰)又はそれよりも多い場合、好ましくは特定のキラル中心に関して90%eeと等しい又はそれよりも多い場合、及びより好ましくは特定のキラル中心に関して95%eeである場合、光学活性又は立体的/エナンチオマー的に純粋であると考えられる(すなわち、実質的にR型又は実質的にS型)。従って本発明は、本発明の化合物のエナンチオマー的/立体的に純粋な、エナンチオマー的/立体的に豊富な、及びラセミ混合物の全てを含む。
【課題を解決するための手段】
【0023】
(4. 発明の詳細な説明)
本発明は、患者(例えば、ヒト)における疾患及び障害の治療、予防又は管理に使用することができる、新規化合物及び組成物を包含している。そのような疾患又は障害の例は:癌;ウイルス疾患、遺伝病、炎症疾患、アレルギー疾患、及び自己免疫疾患;細菌感染症;CNS障害;MDS及び関連症候群;CRPS及び関連症候群;MD及び関連症候群;MPD及び関連症候群;並びに、アスベスト関連疾患又は障害を含むが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物を使用し、過剰な、不充分な又は調節されないレベルのPDE4及び/又はTNF-αにより引き起こされた又は増悪された疾患を治療、予防又は管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の状況において有用な特定の化合物、並びにそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、塩、溶媒和物、及び立体異性体を、下記表1に列記した:
【表1】


【0025】
別の実施態様において、本発明は、2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4,5-ジニトロイソインドリン-1,3-ジオン及びその酸付加塩を包含している。特定の実施態様において、本発明は、2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4,5-ジニトロイソインドリン-1,3-ジオンの塩酸塩を包含している。
【0026】
本発明の化合物は一般に、固形型で存在し、及び周知の方法に従い再結晶し、高純度の結晶、好ましくは95%より高い純度、より好ましくは98%より高い純度をもたらすことができる。狭い融点範囲は、純度指標であることが多い。従って好ましい本発明の化合物は、3℃〜4℃の幅内、より好ましくは2℃の幅内の融点を有する。
【0027】
様々な本発明の化合物は、1個又は複数のキラル中心を含み、並びにエナンチオマーのラセミ混合物又はジアステレオマーの混合物として存在することができる。本発明は、そのような化合物の立体的に純粋な形の使用に加え、そのような形の混合物の使用を包含している。例えば本発明の特定の化合物のエナンチオマーの同等又は非同等の量を含む混合物を、本発明の方法及び組成物において使用することができる。これらの異性体は、キラルカラム又はキラル分割剤などの標準技術を用い、不斉合成又は分割することができる。例えば、Jacques, J.らの論文、Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley-Interscience, ニューヨーク, 1981);Wilen, S. H.らの論文、Tetrahedron, 33:2725 (1977);Eliel, E. L.の論文、Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962);及び、Wilen, S. H.の論文、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E.L. Eliel編集, Univ. of Notre Dame Press, ノートルダム, インディアナ州, 1972)を参照のこと。
【0028】
本発明の化合物は、1個又は複数のキラル中心及び/又は二重結合を含み、その結果立体異性体及び幾何異性体として存在することができる。立体化学を示さない本願明細書に示された化学構造及び化学構造の一部は、それらのエナンチオマー及び立体異性体の全て、例えば、ともに立体的に純粋な形の立体異性体混合物を包含する。
【0029】
ひとつの実施態様において、本発明は、本願明細書に説明された化合物の立体的に純粋なR異性体、実質的にS異性体を含まないもの、又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくはプロドラッグを包含する。
別の実施態様において、本発明は、本願明細書に説明された化合物の立体的に純粋なS異性体、実質的にR異性体を含まないもの、又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)、もしくはプロドラッグを包含する。
【0030】
本発明の化合物のエナンチオマー及び立体異性体の混合物は、キラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高速液体クロマトグラフィー、化合物のキラル塩錯体としての晶出、又はキラル溶媒中の化合物の晶出などの周知の方法により、それらの構成成分のエナンチオマー又は立体異性体に分割することができる。エナンチオマー又は立体異性体は、周知の不斉合成法により、立体的又はエナンチオマー的に純粋な中間体、試薬及び触媒から得ることもできる。
【0031】
本発明は更に、本発明の化合物のプロドラッグを包含する。特に指示がない限りは、本願明細書において使用される用語「プロドラッグ」は、生物学的条件(インビトロ又はインビボ)下で加水分解、酸化、又は反応し、この化合物を提供することができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例は、生体加水分解可能なアミド、生体加水分解可能なエステル、生体加水分解可能なカルバメート(カルバミン酸塩又はエステル)、生体加水分解可能なカルボナート(炭酸塩又はエステル)、生体加水分解可能なウレイド、及び生体加水分解可能なホスファート(リン酸塩又はエステル)のアナログなどの、生体加水分解可能な部分を含む、本発明の化合物の誘導体を含むが、これらに限定されるものではない。他のプロドラッグの例は、-NO、-NO2、-ONO、又は-ONO2部分を含む、本発明の化合物の誘導体を含む。プロドラッグは典型的には、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 172-178, 949-982 (Manfred E. Wolff 編集, 第5版 1995)、及びDesign of Prodrugs (H.Bundgaard編集、Elselvier, ニューヨーク 1985)に説明されたもののような、周知の方法を用い調製することができる。
【0032】
特に指示がない限りは本願明細書において使用される用語「生体加水分解可能なアミド」、「生体加水分解可能なエステル」、「生体加水分解可能なカルバメート」、「生体加水分解可能なカルボナート」、「生体加水分解可能なウレイド」、「生体加水分解可能なホスファート」は、各々、1)その化合物の生物学的活性を妨害しないが、その化合物に、取り込み、作用の期間、又は作用の開始などの、インビボにおける有利な特性を付与することができるか;又は、2)生物学的に不活性であるが、インビボにおいて生物学的活性化合物へ転換される;かのいずれかである化合物のアミド、エステル、カルバメート、カルボナート、ウレイド、又はホスファートを意味する。生体加水分解可能なエステルの例は、低級アルキルエステル、低級アシルオキシアルキルエステル(例えばアセトキシメチル、アセトキシエチル、アミノカルボニルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、及びピバロイルオキシエチルエステルなど)、ラクトニルエステル(例えばフタリジルエステル及びチオフタリジルエステルなど)、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル(例えば、メトキシカルボニルオキシメチル、エトキシカルボニルオキシエチル及びイソプロポキシカルボニルオキシエチルエステルなど)、アルコキシアルキルエステル、コリンエステル、及びアシルアミノアルキルエステル(例えばアセトアミドメチルエステルなど)を含むが、これらに限定されるものではない。生体加水分解可能なアミドの例は、低級アルキルアミド、-アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、及びアルキルアミノアルキルカルボニルアミドを含むが、これらに限定されるものではない。生体加水分解可能なカルバメートの例は、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、ヘテロ環式及びヘテロ芳香族アミン、並びにポリエーテルアミンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本発明の化合物は、それらの化学構造及び/又は化学名により本願明細書において定義されている。化合物が化学構造及び化学名の両方で引用される場合、並びに化学構造及び化学名が矛盾する場合、化学構造により重きを置く。
【0034】
本発明は、1種又は複数の本発明の化合物の治療的有効量又は予防的有効量及び医薬として許容し得るビヒクル又は担体を含有する医薬組成物を提供する。医薬として許容し得るビヒクル又は担体は、賦形剤、希釈剤、又はそれらの混合物を含むことができる。用語「治療的有効量」は、獣医師又は医師により治療される患者において生物学的又は医学的反応を誘起する本発明の化合物の量を意味する。用語「予防的有効」は、獣医師又は医師が防止、阻害又は緩和を試みる医学的状態を伴う患者から苦痛を防止もしくは阻害するか又は苦痛を緩和する本発明の化合物の量を意味する。
【0035】
別の実施態様において、本発明は、PDE4を有効量の本発明の化合物と接触することを含む、PDE4を阻害する方法を包含している。特定の実施態様は、患者へ有効量の本発明の化合物を投与することを含む、患者においてPDE4を阻害する方法を包含している。ひとつの実施態様において、患者はヒトである。
別の実施態様において、本発明は、患者(例えばヒト)においてTNF-αの生成を調節するか又はレベルを低下する方法を包含しており、これは有効量の本発明の化合物を該患者へ投与することを含む。ひとつの実施態様において、患者はヒトである。
更に別の実施態様において、本発明は、患者(例えばヒト)において、望ましくない血管新生を治療する方法を包含しており、これは有効量の本発明の化合物を該患者へ投与することを含む。血管新生に関連した疾患は、当該技術分野において周知である。例えば、Harrison 's Principle of Internal Medicine, 第13版(1994)、947頁参照のこと。
【0036】
本発明の別の実施態様は、骨髄異形成症候群(MDS)を治療、予防及び管理する方法を包含しており、これはそのような治療、予防又は管理が必要な患者へ、治療的又は予防的有効量の本発明の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体、もしくはプロドラッグを投与することを含む。MDSは、造血系幹細胞障害の多様な群を意味する。MDSは、無効な血液細胞産出から生じる、損なわれた形態及び成熟を伴う細胞性骨髄(cellular marrow)(異形骨髄造血)、末梢血血球減少、及び急性白血病への進行の変動リスクを特徴としている。The Merck Manual 953 (第17版, 1999)及びListらの論文、1990, J. Clin. Oncol. 8:1424。
【0037】
他の別の本発明の実施態様は、黄斑変性(MD)を治療、予防及び管理する方法を包含しており、これはそのような治療、予防又は管理が必要な患者へ、治療的又は予防的有効量の本発明の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体、もしくはプロドラッグを投与することを含む。MDは、斑を損傷することによる、中心視を破壊する眼疾患を意味する。
【0038】
本発明の別の実施態様において、骨髄増殖性疾患(MPD)を治療、予防及び管理する方法を包含しており、これはそのような治療、予防又は管理が必要な患者へ、治療的又は予防的有効量の本発明の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体、もしくはプロドラッグを投与することを含む。MPDは、造血幹細胞のクローン性異常を特徴とする障害群を意味する。例えば、Current Medical Diagnosis & Treatment, pp.499 (第37版、Tierneyらの編集、Appleton & Lange, 1998)を参照のこと。
【0039】
本発明は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)を治療、予防及び管理する方法も包含しており、これはそのような治療、予防又は管理が必要な患者へ、治療的又は予防的有効量の本発明の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体、もしくはプロドラッグを、患者の複合性局所疼痛症候群の症状を低下もしくは避けるように指示された手術もしくは物理療法の前、同時又は後に投与することを含む。
【0040】
別の実施態様において、本発明は、中枢神経系(CNS)障害を治療、予防及び管理する方法も包含しており、これはそのような治療、予防又は管理が必要な患者へ、治療的又は予防的有効量の本発明の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体、もしくはプロドラッグを投与することを含む。
【0041】
別の実施態様において、本発明は、アスベスト関連疾患又は障害を治療、予防及び管理する方法も包含しており、これはそのような治療、予防又は管理が必要な患者へ、治療的又は予防的有効量の本発明の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体、もしくはプロドラッグを投与することを含む。アスベスト関連疾患又は障害は、アスベストに曝露された場合に引き起こされる疾患又は障害を意味する。アスベスト関連疾患又は障害の例は、悪性中皮腫、石綿症、悪性胸水、良性胸水、胸膜プラーク、胸腔結石、びまん性胸膜肥厚、円型無気肺、及び気管支原性癌を含むが、これらに限定されるものではない。
【0042】
更に別の実施態様において、本発明は、患者の癌を治療、予防及び管理する方法も包含しており、これは該患者へ、治療的有効量の本発明の化合物を投与することを含む。本発明の化合物は、任意の癌、例えば固形腫瘍及び血液感染性腫瘍などの治療、予防、又は管理に使用することができる。癌の具体例は、メラノーマのような、皮膚;リンパ節;乳房;子宮頸部;子宮;胃腸管;肺;卵巣;前立腺;結腸;直腸;口腔;脳;頭頸部;咽喉;精巣;腎臓;膵臓;骨;脾臓;肝臓;膀胱;喉頭;鼻腔の癌;並びに、AIDS関連の癌を含むが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、多発性骨髄腫並びに急性及び慢性白血病、例えば、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ球性及び骨髄類性白血病のような、血液及び骨髄の癌の治療、予防又は管理に特に有用である。本発明の化合物は、原発性又は転移性のいずれかの腫瘍の治療、予防又は管理に使用することができる。
【0043】
別の実施態様において、本発明は、治療的有効量の本発明の化合物及び第二の治療薬を、それが必要な患者へ投与することを含む、患者において癌を治療、予防、及び管理する方法を包含する。追加の治療薬の例は、本願明細書に説明されている。
別の実施態様において、本発明は、炎症障害を治療、予防、及び管理する方法を包含しており、これは治療的有効量の本発明の化合物を、該患者へ投与することを含む。炎症疾患の例は、TNF-αのアップレギュレーションに関連したもの、例えば関節炎様状態(例えば関節リウマチ及び骨関節炎);リウマチ様脊椎炎;乾癬;虚血後灌流損傷;炎症性腸疾患;及び、慢性炎症性肺疾患などであるが、これらに限定されるものではないものを含む。
【0044】
別の実施態様において、本発明は、治療的有効量の本発明の化合物及び第二の抗炎症薬をそれが必要な患者へ投与することを含む、患者における炎症障害を治療、予防、及び管理する方法を包含している。
更なる実施態様において、本発明は、患者における心臓疾患を治療、予防、及び管理する方法を包含しており、これは治療的有効量の本発明の化合物を該患者へ投与することを含む。心臓疾患の例は、うっ血性心不全、心筋症、肺浮腫、内毒素媒介型敗血症性ショック、急性ウイルス性心筋炎、心臓移植拒絶反応、及び心筋梗塞を含むが、これらに限定されるものではない。
別の実施態様において、本発明は、患者における骨粗鬆症を治療、予防、及び管理する方法を包含しており、これは治療的有効量の本発明の化合物を該患者へ投与することを含む。
【0045】
別の実施態様において、本発明は、ウイルス疾患、遺伝病、アレルギー疾患及び自己免疫疾患を治療、予防、及び管理する方法を包含している。このような疾患の例は、HIV、肝炎、成人呼吸窮迫症候群、骨吸収疾患、慢性肺炎症疾患、皮膚炎、嚢胞性線維症、敗血症性ショック、敗血症、内毒素ショック、血行動態ショック、敗血症症候群、虚血後再潅流損傷、髄膜炎、乾癬、線維化疾患、悪液質、移植片対宿主疾患、移植片拒絶反応、自己免疫疾患、リウマチ様脊椎炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性紅斑狼瘡、ハンセン病のENL、放射線障害、癌、喘息、及び高酸素肺胞損傷を含むが、これらに限定されるものではない。
更に別の実施態様において、本発明は、患者においてマラリア、マイコバクテリア感染症、又はHIVに起因した日和見感染症を、治療、予防、及び管理する方法を包含しており、これは治療的有効量の本発明の化合物を該患者へ投与することを含む。
【0046】
更なる実施態様において、本発明は、患者の細胞又は組織におけるPDE4の産生を調節、好ましくは阻害又はレベルを低下する方法を包含しており、これは有効量の本発明の化合物を、該哺乳類の細胞又は組織と接触することを含む。
更なる実施態様において、本発明は、哺乳類の細胞又は組織におけるTNF-αの産生を調節又はレベルを低下する方法を包含しており、これは有効量の本発明の化合物を、該哺乳類の細胞又は組織と接触することを含む。
【0047】
これらの実施態様において、用語「有効量」は、研究者、獣医、医師又は臨床医が求める生物学的反応を誘導するであろう化合物の量を意味する。細胞は、細胞培養物もしくは組織培養物(インビトロ)又はヒトを含む生物(インビボ)中に存在することができることは理解されなければならない。
これらの実施態様の全てにおいて、用語「患者」は、哺乳類、好ましくはヒトを含む。
本発明は、本発明の実施態様を限定することなく例証することが意図された詳細な説明及び実施例の参照によって、理解することができる。
【0048】
(4.1. 化合物の調製)
本発明の化合物は、イミド及び2,3-ジヒドロ-1H-イソインドリノンの調製について当該技術分野において公知の方法を用い、調製することができる。これらは、以下に説明した新規方法により調製することもできる。
【0049】
特定の実施態様において、Shealyらの論文、Chem. & Ind., (1965) 1030 1031及びShealyらの論文、J. Pharm. Sci., 57: 757-764(1968)に説明されたように、従ってN-アルコキシカルボニルイミド及びアミンは、実質的に炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムのような塩基の存在下で反応し、N-置換イミドを得ることができる。あるいは、環式酸無水物を、適当なアミンと反応し、イミドを形成することができる。環式イミドの形成は、N,N'-カルボニルジイミダゾールによる、無水テトラヒドロフラン中の適宜置換されたジカルボン酸モノアミドの溶液の還流により実現することもできる。同じく以下に示したように、2-ブロモメチル安息香酸エステルは、適当なアミンと反応し、以下に示す2,3-ジヒドロ-1H-イソインドリノンを形成することができる。
【0050】
【化1】

【0051】
本発明の化合物を調製するために使用することができるその他の方法は、米国特許第5,605,914号及び第6,667,316号、並びに国際公開公報第01/34606 A1号に記載されており、これらは全て本願明細書に参照として組入れられている。
【0052】
(4.2. 医薬組成物)
本発明は、医薬として許容し得る担体、賦形剤又は希釈剤及び本発明の1種又は複数の化合物を含有する医薬組成物を提供する。
ひとつの実施態様において、本発明の化合物は、例えば滅菌生理食塩水、メチルセルロース液、界面活性剤溶液又は他の媒体、水、ゼラチン、及び油分などであるが、これらに限定されはない、医薬として許容し得る賦形剤と組合される。これらの化合物又は組成物は、単独で、又は任意の都合の良い担体及び/もしくは希釈剤と組合せて投与することができ、並びにそのような投与は、単回用量又は反復用量で提供される。この組成物は、特に非経口送達で使用される場合には、無菌であることが好ましい。しかし経口単位剤形は、滅菌される必要はない。有用な担体は、水溶性及び水不溶性の固形、脂肪酸、ミセル、逆ミセル、リポソーム及び半固形又は液体媒体で、水溶液及び無毒の有機溶媒を含むものである。前記製剤は全て、超音波処理、攪拌、混合、高剪断混合、加熱、粉砕、摩砕、エアロゾル化、微粉化及び/又は凍結乾燥し、医薬として許容し得る組成物を形成することができる。
【0053】
本発明の化合物からの医薬組成物の調製に関して、医薬として許容し得る担体は、固形又は液体のいずれかであることができる。固形調製物は、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散可能な顆粒剤を含む。固形担体は、同じく希釈剤、矯味矯臭剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル封入剤として作用可能な1種又は複数の物質であることができる。
散剤において、担体は細かく分割された固形物であり、これは、細かく分割された活性成分との混合物内にあることができる。錠剤において、活性成分は、必要な結合特性を有する担体と混合され、並びに望ましい形状及びサイズに圧縮される。
【0054】
散剤及び錠剤は、好ましくは活性化合物を5%又は10%〜70%含有する。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、スターチ、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。用語「調製物」は、カプセル封入された物質を担体として有する活性化合物の製剤を含みことを意図し、活性成分が、他の担体を伴い又は伴わずに担体により取り囲まれ、その結果成分は担体と会合しているカプセル剤を提供する。同様に、カシェ剤及び舐剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、及び舐剤は、経口投与に適した固形剤形として使用することができる。
【0055】
坐薬を調製するために、低融点ワックス、例えば脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物などを、最初に溶融し、活性成分をその中に攪拌により均質に分散する。その後溶融した均質混合物を、都合の良いサイズの金型に注ぎ、冷却し、これにより固化させる。
液体型調製物は、例えば、水又は水/プロピレングリコール溶液などの、液剤、懸濁剤、及び乳剤を含む非経口注射剤については、液体調製物を、水性ポリエチレングリコール溶液中の液剤中に製剤することができる。
【0056】
経口用途に適した水性液剤は、活性成分を水に溶解し、並びに望ましいならば、適当な着色剤、香料、安定化剤及び増粘剤を添加することにより、調製することができる。経口用途に適した水性懸濁剤は、細分した活性成分を、天然もしくは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他の周知の懸濁化剤などの粘性材料と共に、水中に分散することにより作製することができる。
【0057】
同じく使用直前に経口投与用の液体型調製物に転換されることが意図された、固形調製物も含まれる。このような液体型は、液剤、懸濁剤、及び乳剤を含む。これらの調製物は、活性成分に加え、着色剤、香料、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然の甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有してもよい。
【0058】
この医薬調製物は、単位剤形が好ましい。このような形において、調製物は、適量の活性成分を含有する単位投与量に分割される。単位剤形は、包装された調製物であることができ、この包装は、個別の量の調製物、例えば包装された錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル内の散剤を含む。同じく単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、もしくは舐剤それ自身であることができるか、又はこれは、包装された形でのこれらの適当な数であることができる。
【0059】
単位投与量調製物中の活性成分の量は、特定の適用及び活性成分の効力に応じて、0.1mg〜1000mg、好ましくは1.0mg〜100mgに、変動又は調節することができる。所望であればこの組成物は、他の適合する治療薬を含有することもできる。
本発明の医薬組成物及び方法は更に、本願明細書に示されたような、代謝障害、心臓血管系疾患、炎症状態又は新生物疾患及びそれに関連した病理(例えば糖尿病性ニューロパシー)の治療において有用な、他の治療的活性化合物、又は他のアジュバントを含有してもよい。多くの場合、本発明の化合物及び代替物質を含む組成物は、投与される場合、相加作用又は相乗作用を有する。
【0060】
(4.3.治療、予防及び管理の方法)
本発明に従い、本発明の化合物又は組成物は、疾患又は障害に罹患した、又はそのリスクのある患者(例えばヒト)に投与される。そのような疾患又は障害の例は、皮膚組織、臓器、血液、及び血管の癌などであるが、これらに限定されない癌を含み、これは膀胱、骨又は血液、脳、乳房、子宮頸部、胸、結腸、子宮内膜、食道、眼、頭部、腎臓、肝臓、リンパ節、肺、口腔、頸部、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、胃、精巣、咽喉及び子宮の癌を含むが、これらに限定されるものではない。具体的な癌は、進行性悪性腫瘍、アミロイド症、神経芽細胞腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形性膠芽腫、膠芽腫、脳幹グリオーマ、予後不良の悪性脳腫瘍、悪性グリオーマ、再発性悪性グリオーマ、未分化星状細胞腫、未分化希突起膠芽細胞腫、神経内分泌細胞腫瘍、直腸腺癌、Dukes C & D結腸直腸癌、切除不能な結腸直腸癌、転移性肝細胞癌、カポシ肉腫、核型急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、散在性ラージB細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、転移性メラノーマ(眼メラノーマを含むが、これに限定されない局所的メラノーマ)、悪性中皮腫、悪性胸水中皮腫症候群、腹膜癌、乳頭状漿液癌、婦人科領域の肉腫、軟組織肉腫、強皮症、皮膚脈管炎、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、平滑筋肉腫、進化性骨化性線維形成異常症、ホルモン抵抗性前立腺癌、切除された高リスク軟組織肉腫、切除不能な肝細胞癌、ヴァルデンストロームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無痛性骨髄腫、ファローピウス管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性IV期非転移性前立腺癌、ホルモン不感性前立腺癌、化学療法不感性前立腺癌、乳頭状甲状腺癌、濾胞性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、及び平滑筋腫を含むが、これらに限定されるものではない。特定の実施態様において、癌は転移性である。別の実施態様において、癌は、化学療法又は放射線照射に対し不応性又は抵抗性であり;特に、サリドマイド難治性である。
【0061】
本発明は、うっ血性心不全、心筋症、肺浮腫、内毒素媒介性敗血症性ショック、急性ウイルス性心筋炎、心臓移植拒絶反応、及び心筋梗塞などの、心臓疾患の治療、予防又は管理も包含している。
【0062】
本発明の化合物は、ウイルス疾患、遺伝病、炎症疾患、アレルギー疾患及び自己免疫疾患を治療、予防又は管理するためにも使用することができる。このような疾患の例は、HIV;肝炎;成人呼吸窮迫症候群;骨吸収疾患;慢性閉塞性肺疾患、慢性肺炎症疾患;皮膚炎;嚢胞性線維症;敗血症性ショック;敗血症;内毒素ショック;血行動態ショック;敗血症症候群;虚血後再潅流損傷;髄膜炎;乾癬;線維化疾患;悪液質;移植片拒絶反応;自己免疫疾患;リウマチ様脊椎炎;関節炎様状態、例えば関節リウマチ及び骨関節炎;骨粗鬆症、パーキンソン病、クローン病;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;多発性硬化症;全身性紅斑狼瘡;ハンセン病のENL;放射線障害;喘息;及び、高酸素肺胞損傷を含むが、これらに限定されるものではない。
【0063】
本発明は、マラリア、マイコバクテリア感染症、又はHIVに起因した日和見感染症などを含むが、これらに限定されない、細菌感染症を治療、予防又は管理する方法も包含している。
別の本発明の実施態様は、望ましくない血管新生を付随するか又は特徴とする疾患及び障害を治療、予防又は管理する方法を包含しており、これは治療的又は予防的有効量の本発明の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)、立体異性体、もしくはプロドラッグを、そのような治療、管理又は予防が必要な患者へ投与することを含む。
【0064】
望ましくない血管新生を随伴するか又は特徴とする疾患及び障害の例は、炎症疾患、自己免疫疾患、ウイルス疾患、遺伝病、アレルギー疾患、細菌疾患、眼の血管新生疾患、脈絡膜の血管新生疾患、網膜の血管新生疾患、ルベオーシス(隅角の血管新生)を含むが、これらに限定されるものではなく、これらは、望ましくない又は制御できない血管新生により媒介される。
他の例は、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、増殖性硝子体網膜症、トラコーマ、近視、視神経乳頭小窩、流行性角結膜炎、アトピー性角膜炎、上方輪部角膜炎、翼状片乾性角膜炎、シェーグレン病、酒さ性座瘡、フィレクテヌローシス(phylectenulosis)、梅毒、脂質分解、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状疱疹感染症、原虫感染症、カポシ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁角質溶解、関節リウマチ、全身性紅斑狼瘡、多発性動脈炎、外傷、ヴェゲナー類肉腫、強膜炎、スティーブンズ-ジョンソン症候群、類天疱瘡放射状角膜切開、鎌状赤血球貧血、類肉腫、弾性線維仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎症、ライム病、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎、脈絡膜炎、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラスマ症、ルベオーシス、サルコイドーシス、硬化症、ソリアチス(soriatis)、乾癬、原発性硬化性胆管炎、直腸炎、原発性胆汁性肝硬変、突発性肺線維症、アルコール性肝炎、内毒血症、毒素ショック症候群、骨関節炎、レトロウイルス複製、るいそう、髄膜炎、シリカ誘導型線維症、アスベスト誘導型線維症、悪性疾患随伴性高カルシウム血症、脳卒中、循環系ショック、歯周炎、歯肉炎、大球性貧血、不応性貧血、5q症候群、及びネコ免疫不全ウイルス、ウマ感染性貧血ウイルス、ヤギ関節炎ウイルス、ビスナウイルス、マエディウイルス又はレンチウイルスにより惹起される獣医学障害を含むが、これらに限定されるものではない。
【0065】
本発明のある実施態様において、具体的な疾患は、うっ血性心不全、心筋症、肺浮腫、内毒素媒介型敗血症性ショック、急性ウイルス性心筋炎、心臓移植拒絶反応、心筋梗塞、HIV、肝炎、成人呼吸窮迫症候群、骨吸収疾患、慢性閉塞性肺疾患、慢性肺炎症疾患、皮膚炎、嚢胞性線維症、敗血症性ショック、敗血症、内毒素ショック、血行動態ショック、敗血症症候群、虚血後再潅流損傷、髄膜炎、乾癬、線維化疾患、悪液質、移植片拒絶反応、リウマチ様脊椎炎、骨粗鬆症、パーキンソン病、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、多発性硬化症、全身性紅斑狼瘡、ハンセン病のらい性結節性紅斑、放射線障害、喘息、高酸素肺胞損傷、マラリア及びマイコバクテリア感染症を含まない。
【0066】
本発明は、不応性貧血(RA)、輪状担鉄赤芽球を伴うRA(RARS)、過剰な赤芽球を伴うRA(RAEB)、形質転換中のRAEB (RAEB-T)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、並びに貧血、血小板減少症、好中球減少症、血球減少、二血球減少(2種の不完全な細胞株)、及び汎血球減少(3種の不完全な細胞株)などの症状を含むが、これらに限定されない、MDS及び関連症候群の治療、予防又は管理も包含している。
【0067】
本発明は、CRPS及び関連症候群の治療、予防又は管理も包含している。特に指定されない限りは、本願明細書において使用される用語「CRPS」は、以下の1種又は複数により特徴付けられる慢性疼痛障害を意味する:自然発生又は誘発されたかのいずれかの疼痛で、異痛症(通常は痛くない刺激に対する有痛性反応)及び痛覚過敏(通常は単に軽度に痛い刺激に対する増悪された反応);原因となる事象に不釣り合いな疼痛(例えば、足首捻挫後数年間のひどい痛み);単独の末梢神経分布に限定されない局所的疼痛;及び、栄養障害性皮膚変化(頭髪及び爪の成長異常並びに皮膚潰瘍形成)を伴う自律神経調節異常(例えば、浮腫、血流の変更及び多汗症)。特に指示しない限りは用語「複合性局所疼痛症候群」、「CRPS」及び「CRPS及び関連症候群」は:神経損傷以外の最初の有害な事象後に生じる、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)として公知の状態を包含するI型;神経損傷後に生じる、カウサルギーとして公知の状態を包含する、II型;急性期(通常2-3ヶ月の高温期);ジストロフィー相(数ヶ月間にわたり血管運動不安定を示す);萎縮相(通常萎縮性変化を伴う冷たい四肢);反射性神経血管ジストロフィー;反射性ジストロフィー;交感神経により維持された疼痛症候群;骨のズーデック萎縮;有痛性神経ジストロフィー;肩手症候群;外傷後ジストロフィー;三叉神経痛;ヘルペス後神経痛;癌に関連した疼痛;幻肢痛;線維筋痛;慢性疲労症候群;神経根障害;及び、他の有痛性ニューロパシー状態、例えば糖尿病性ニューロパシー、梅毒性ニューロパシー、又はビンクリスチン、ベルケード及びサリドマイドなどの薬物により医原的に誘導された有痛性ニューロパシー状態を含む。
【0068】
本発明の化合物は、CRPS I型、CRPS II型、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)、反射性神経血管ジストロフィー、反射性ジストロフィー、交感神経により維持された疼痛症候群、カウサルギー、骨のズーデック萎縮、有痛性神経ジストロフィー、肩手症候群、外傷後ジストロフィー、三叉神経痛、ヘルペス後神経痛、癌に関連した疼痛、幻肢痛、線維筋痛、慢性疲労症候群、術後疼痛、脊椎損傷痛、中枢性卒中後痛、神経根障害、及び、他の有痛性ニューロパシー状態、例えば糖尿病性ニューロパシーを含むが、これらに限定されない、CRPSの全ての型及び関連症候群の治療、予防又は管理に使用されてもよい。
【0069】
本発明は、無栄養性(乾燥型)MD、滲出性(湿潤型)MD、加齢による黄斑(ARM)、脈絡膜血管新生(CNVM)、網膜色素上皮剥離(PED)、及び網膜色素上皮(RPE)萎縮などであるが、これらに限定されない、MD及び関連症候群の治療、予防又は管理も包含している。
【0070】
特に指示がない限りは、本願明細書において使用される用語「黄斑変性(MD)」は、患者の年齢とは無関係の黄斑変性疾患の全ての型を包含しているが、一部の黄斑変性疾患は、ある年齢群においてより一般的である。これらは、ベスト病又は卵黄様変性(約7歳以下の患者で最も一般的);シュタルガルト病、若年性黄斑変性もしくは黄色斑眼底(約5〜約20歳の患者で最も一般的);ベール病、ソーズビー疾患、ドイン疾患又は蜂巣状ジストロフィー(約30〜約50歳の患者で最も一般的);並びに、加齢による黄斑変性(約60歳以上の患者で最も一般的)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0071】
MD及び関連症候群に付随する症状は、眼底の白色-黄色がかった斑点状の丸みがかった結晶腔、黄斑下部の円板状瘢痕組織、脈絡膜血管新生、網膜色素上皮剥離、網膜色素上皮の萎縮、脈絡膜からの異常な血管発生(網膜直下の血管に富んだ組織層)、ぼやけた又はゆがんだ視野領域、中央の盲点、色素異常、ブルーフ膜の内側部分に付着した細かい顆粒物の連続層、並びにブルーフ膜の肥厚及び低下する浸透性を含むが、これらに限定されるものではない。
MDの原因は、遺伝的、生理的外傷、糖尿病のような疾患、及び細菌感染症(例えばハンセン病、特にENL)のような感染症を含むが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物は、全ての型のMD及び関連症候群又は症状を、それらの原因に関わりなく、効果的に治療、予防又は管理することができる。
【0072】
本発明は、全ての型のMPD及び関連症候群又は症状の治療、予防又は管理も包含している。MPDの例は、真性一次性赤血球増加症(PRV)、原発性血小板血症(PT)、慢性骨髄性白血病(CML)、及び原因不明の骨髄様化生(AMM)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0073】
特に指示がない限りは、本願明細書において使用される用語「骨髄増殖性疾患」又は「MPD」は、以下の1種又は複数を特徴とする造血幹細胞障害を意味する:血液の1種又は複数の形成要素の過剰産生を伴う、多能性造血前駆細胞のクローン性拡大(例えば、上昇した赤血球カウント、上昇した白血球カウント、及び/又は上昇した血小板カウント)、フィラデルフィア染色体又はbcr-abl遺伝子の存在、末梢血スミア上の涙液赤血球、白血赤芽球血液像、巨大な異常な血小板、細網線維症又はコラーゲン線維症を伴う過形成骨髄、前骨髄球及び芽球が低い割合占める顕著に左側に寄った(left-shifted)骨髄群、脾腫、血栓症、急性白血病又は形態が損なわれた骨髄細胞への進行のリスク。用語「骨髄増殖性疾患」又は「MPD」は、特に指示しない限り、真性一次性赤血球増加症(PRV)、原発性血小板血症(PT)、慢性骨髄性白血病(CML)、及び原因不明の骨髄様化生(AMM)を含む。
【0074】
MPDに関連した症状は、頭痛、眩暈、耳鳴り、ぼやけた視力、疲労、寝汗、低悪性度の発熱、全身の掻痒、鼻出血、ぼやけた視力、脾腫、異常な腹部膨満、血栓症、増加した出血、貧血、脾梗塞、重度の骨痛、肝造血、腹水、食道静脈瘤、肝不全、呼吸窮迫症及び持続勃起症を含むが、これらに限定されるものではない。MPDに関連した臨床検査所見は、血液の1種又は複数の形成要素の過剰産生を伴う、多能性造血前駆細胞のクローン性拡大(例えば、上昇した赤血球カウント、上昇した白血球カウント、及び/又は上昇した血小板カウント)、フィラデルフィア染色体又はbcr-abl遺伝子の存在、末梢血スミア上の涙液赤血球、白血赤芽球血液像、巨大な異常な血小板、細網線維症又はコラーゲン線維症を伴う過形成骨髄、前骨髄球及び芽球の低い割合を伴う顕著に左側に寄った骨髄群を含むが、これらに限定されるものではない。
【0075】
本発明は、全ての型のCNS障害の治療、予防又は管理も包含している。CNS障害の例は、パーキンソン病;アルツハイマー病、軽度の認知障害;鬱病;長期記憶欠落;筋萎縮性側索硬化症(ALS);CNS外傷;運動不全障害;動作緩慢;運動ののろさ;運動不足;手先の器用さの障害;発声不全;単調な発語;筋固縮;仮面顔;まばたき減少;猫背;歩行時の腕の揺れの減少;小字症;パーキンソン病様振戦;パーキンソン病様歩行;姿勢の不安定;加速歩行;動作凍結;認知、情動、感覚、睡眠又は自律神経機能の障害;痴呆;及び、睡眠障害を含むが、これらに限定されるものではない。
特定の実施態様において、中枢神経系障害は、パーキンソン病、アルツハイマー病、軽度の認知障害、痴呆、鬱病、長期記憶欠落、筋萎縮性側索硬化症(ALS)又はCNS外傷である。
【0076】
ひとつの実施態様において、本発明は、運動に関連した障害の治療、予防又は管理を包含しており、これは遅い運動又は動作緩慢、運動不足又は運動不能、細かい運動制御及び指の器用さを損なう運動障害、並びに発声不全及び単調な発語などであるがこれに限定されない動作緩慢の他の症状発現を含むが、これらに限定されるものではない。別の実施態様において、本発明は、筋固縮に関連した障害の治療、予防又は管理を包含しており、これは受動運動に対する抵抗の均一の増加、受動運動に対する遮断、及び固縮と萎縮の組合せを含むが、これらに限定されるものではない。特定の実施態様において、パーキンソン病又は関連疾患に付随した炎症が治療される。更に別の本発明の実施態様において、パーキンソン病様振戦に類似した障害が、治療、予防又は管理される。このような障害は、顔面、顎、舌、姿勢の振戦、並びに休止時に存在し運動時に弱まる他の振戦を含むが、これらに限定されるものではない。別の実施態様において、本発明は、歩行障害の治療、予防又は管理を包含しており、これはパーキンソン病様歩行に類似したもの、小股歩行、小刻み歩行、そろって方向転換する傾向(tendency to turn en bloc)、及び加速歩行を含むが、これらに限定されるものではない。別の本発明の実施態様において非運動症状が、治療、予防又は管理される。そのような障害は、情動、認知の障害、長期記憶欠落、興奮、睡眠、痴呆、及び鬱病を含むが、これらに限定されるものではない。別の本発明の実施態様において、パーキンソン病の続発症が、治療、予防又は管理される。例は、薬物誘導したパーキンソン症候群、血管性パーキンソン症候群、多システム萎縮、進行性核上麻痺、原発性タウ病理障害、皮質基底核変性、痴呆を伴うパーキンソン症候群、多動障害、舞踏病、ハンチントン病、ジストニー、ウィルソン病、ツーレット症候群、本態性振戦、ミオクローヌス、及び晩期運動障害を含むが、これらに限定されるものではない。別の本発明の実施態様において、他の中枢神経系障害が、治療、予防又は管理される。そのような障害は、アルツハイマー病、軽度の認知障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びCNS外傷を含むが、これらに限定されるものではない。
【0077】
本発明は更に、アスベスト関連疾患又は障害並びに関連した症状の治療、予防又は管理も包含している。アスベスト関連疾患又は障害の例は、悪性中皮腫、石綿症、悪性胸水、良性胸水、胸膜プラーク、胸膜石灰化、散在性胸膜肥厚、円形無気肺、及び気管支原性癌を含むが、これらに限定されるものではない。更にこれは、アスベスト関連疾患又は障害について治療歴があるが、十分に反応しなかったか又は全く反応しなかった患者、更には本疾患又は障害の治療歴のない患者を治療する方法を包含している。患者は均一でない臨床症状発現を有しかつ臨床の転帰が異なるので、患者へ与えられる治療は、患者の予後に応じて変更することができる。臨床専門医は、過度の実験をすることなく、個々の患者を治療するために効果的に使用することができる特定の二次薬及び物理療法の型を容易に決定することができるであろう。
【0078】
アスベスト関連疾患又は障害の症状は、呼吸困難、横隔膜閉塞、胸膜のX線透過性シート状外皮(encasement)、胸水、胸膜肥厚、胸部縮小、胸の不快感、胸痛、易疲労、発熱、発汗及び体重減少を含むが、これらに限定されるものではない。アスベスト関連疾患又は障害のリスクのある患者の例は、仕事場でアスベストに曝露されているもの、作業着内に留まったアスベストに曝露された家族の一員を含むが、これらに限定されるものではない。アスベスト関連疾患又は障害の家族歴のある患者も、予防投薬計画に好ましい候補である。
【0079】
(4.4. 医薬製剤)
本発明の化合物の投与は、全身性又は局所的であることができる。ほとんどの場合、患者への投与は、本発明の化合物の全身性(すなわち血流への)放出を生じるであろう。投与法は、経腸経路、例えば経口、口腔内、舌下及び直腸内など;局所的投与、例えば経皮及び皮内など;並びに非経口投与を含む。適当な非経口経路は、皮下針又はカテーテルによる注射、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、動脈内、脳室内、髄腔内、及び房室内注射、並びに非注射経路、例えば膣内、直腸内又は鼻腔内投与を含む。好ましくは本発明の化合物及び組成物は、経口投与される。特定の実施態様において、これは、治療が必要な領域に1種又は複数の本発明の化合物を局所的に投与することが望ましいことがある。これは、例えば、手術時の局所的注入、局所適用、例えば術後の創傷包帯と組合せた外用適用、注射による、カテーテルによる、坐薬による、又はインプラントにより実現することができ、該インプラントは、シアラスチック膜などの膜、又はファイバーを含む、多孔質非多孔質又はゼラチン性材料であることができる。
【0080】
本発明の化合物は、典型的送達システムに加え、標準でない送達システム、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどの中の封入により投与することができる。例えば本発明の化合物及び組成物は、ベシクル中、特にリポソーム中で送達することができる(Langerの論文, 1990, Science 249:1527-1533;Treatらの論文、Therapy of Infectious Disease and CancerのLiposome, Lopez-Berestein及びFidier(編集), Liss, ニューヨーク, pp. 353-365 (1989);Lopez-Berestein,同書, pp. 317-327;全体に同書参照)。別の実施例において、本発明の化合物及び組成物は、制御放出システムで送達することができる。ひとつの実施態様において、ポンプを使用することができる(Langerの論文, 前掲;Seftonの論文, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201;Buchwaldらの論文、 1980, Surgery 88:507;Saudekらの論文、1989, N. Engl. J. Med. 321:574参照)。別の例において、高分子材料を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release, Langer及びWise(編集), CRC Press., ボカラトン, フロリダ州 (1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen及びBall(編集), Wiley, ニューヨーク(1984);Ranger及びPeppasの論文, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61参照;同じく、Levyらの論文、1985, Science 228:190;Duringらの論文、1989, Ann. Neurol. 25:351;Howardらの論文、1989, J. Neurosurg. 71:105参照)。更に別の実施例において、制御放出システムが、例えば肝臓のような、治療される標的領域近傍に配置され、その結果全身性投与量の一部のみを必要とすることができる(例えば、Goodsonの論文, Medical Applications of Controlled Release, 前掲, vol.2, pp. 115-138 (1984)参照)。Langerらにより考察された(1990, Science 249:1527-1533)他の制御放出システムを、使用することができる。
【0081】
組成物として投与される場合、患者へ適切に投与する形を提供するために、本発明の化合物は、適量の医薬として許容し得るビヒクル又は担体と共に製剤されるであろう。用語「医薬として許容し得る」は、患者、より特定するとヒトにおける使用に関して、米連邦又は州政府の規制機関により承認されたか、もしくは米国薬局方又は他の一般に認められた局方に収載されたことを意味する。用語「ビヒクル」は、患者への投与のために、本発明の化合物と共に製剤される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、又は担体を意味する。このような医薬ビヒクルは、水、及び石油、動物、植物もしくは合成起源のものを含む油類などの液体であることができ、例としてピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などがある。医薬ビヒクルは、生理食塩水、アカシアガム、ゼラチン、でんぷんのり、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などがある。加えて佐剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤及び着色剤も使用することができる。好ましくは患者へ投与される場合、本発明の化合物及び組成物並びに医薬として許容し得るビヒクル、賦形剤又は希釈剤は、無菌である。水、生理食塩水、及び水性デキストロース及びグリセロール溶液のような、水性媒体は、本発明の化合物が静脈内投与される場合に、好ましいビヒクルである。
【0082】
前述の化合物及び組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、ペレット、舐剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、エリキシル剤、液剤、懸濁剤、乳剤、坐剤又はそれらの持続放出製剤、又は患者への投与に適した他の形をとることができる。好ましい実施態様において、本発明の化合物及び組成物は、ヒトへの経口又は静脈内投与に適合された医薬組成物として、慣習的手法に従い投与するために製剤される。ひとつの実施態様において、医薬として許容し得るビヒクルは、硬ゼラチンカプセルである。適当な医薬ビヒクル及びそれらの製剤法の例は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Alfonso R. Gennaro編集、Mack Publishing Co.、Easton, ペンシルバニア州, 第19版, 1995, 第86, 87, 88, 91,及び92章に説明されており、これは本願明細書に参照として組入れられている。
【0083】
経口送達のために製剤された本発明の化合物及び組成物は、好ましくはカプセル剤、錠剤、丸剤、又は任意の圧縮された医薬剤形である。更に錠剤又は丸剤の形である場合、これらの化合物及び組成物は、胃腸管中での崩壊及び吸収を遅延するために、コートすることができ、これにより長期間持続された作用を提供する。浸透圧活性を駆動する化合物を取り囲む選択的透過性メンブレンも、経口投与される本発明の化合物及び組成物に適している。これらの後者のプラットフォームにおいて、カプセル剤を取り囲む環境からの液体は、膨潤する駆動性化合物により吸収され、作用物質又は作用物質組成物を開口部を通して置き換える。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤のスパイク型のプロファイルとは対照的な、本質的に0次の送達プロファイルを提供することができる。グリセロールモノステアレート又はグリセロールステアレートのような時間遅延型物質も使用することができる。経口組成物は、標準のビヒクル、賦形剤、及び希釈剤、例えばステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、乳糖、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、スターチ、アカシアガム、珪酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリジノン、水、シロップ、及びメチルセルロースを含むことができ、並びにこれらの製剤は追加的に、滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、保存剤、例えばヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピルを含むことができる。このようなビヒクルは、好ましくは医薬等級である。経口投与される本発明の化合物及び組成物は、医薬的として口当たりの良い調製物を提供するために、任意に1種又は複数の甘味剤、例えば果糖、アスパルテーム又はサッカリンなど;1種又は複数の香料、例えばペパーミント、冬緑油、又はチェリーなど;もしくは、1種又は複数の着色剤も含むことができる。
【0084】
特定の障害又は状態の治療のための有効な薬物投与計画は、その性質及び重症度により左右され、並びに医師の判断に従い標準の臨床技術により決定することができる。加えて、インビトロ又はインビボアッセイを使用し、適量の確定を補助することができる。当然、治療的有効量を構成する本発明の化合物の量は、投与経路によっても決まる。一般に、経口投与のための適量の範囲は、体重1kgにつき1日あたり約本発明の化合物0.001mg〜約20mg、好ましくは約0.7mg〜約6mg、より好ましくは約1.5mg〜約4.5mgである。好ましい実施態様において、患者、好ましくはヒトは、本発明の化合物約0.01mg〜約1000mg/日、より好ましくは約0.1mg〜約300mg/日、又は約1mg〜約100mgを単回又は分割投与量で経口投与される。本願明細書に説明された用量は、投与された総量を意味し;すなわち、1種よりも多い本発明の化合物が投与される場合、好ましい用量は、投与される本発明の化合物の総量に相当する。経口組成物は好ましくは、本発明の化合物を10%〜95質量%含有する。好ましい単位経口剤形は、丸剤、錠剤及びカプセル剤であり、より好ましくはカプセル剤である。典型的にはそのような単位剤形は、本発明の化合物を約0.01mg、0.1mg、1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、50mg、100mg、250mg、又は500mg含有し、好ましくは単位剤形(unit dosage)当たり化合物を約5mg〜約200mg含有する。
【0085】
別の実施態様において、本発明の化合物及び組成物は非経口(例えば、筋肉内、髄腔内、静脈内、動脈内経路)で投与することができ、好ましくは静脈内である。典型的には静脈内投与用の本発明の化合物及び組成物は、滅菌された等張の水性ビヒクル中の溶剤、例えば水、生理食塩水、リンゲル液、又はデキストロース溶液などである。必要ならばこれらの組成物は、可溶化剤を含有してもよい。静脈内投与用の組成物は、注射部位の疼痛を緩和するために、任意に局所麻酔薬、例えばリグノカインなどを含有することができる。静脈内投与に関して、本発明の化合物及び組成物は、アンプル又はサシェのような密封された容器内に、無菌の乾燥し凍結された散剤又は水非含有濃縮物として供給することができ、この容器は活性物質の量を示している。このような散剤又は濃縮物はその後、静脈内投与前に、適当な水性媒体で希釈される。投与前の希釈のために、滅菌水、生理食塩水、又は他の適当な水性媒体のアンプルを、散剤又は濃縮物と共に提供することができる。又は、この組成物は、直ぐ投与するために、予め混合した形で供給することができる。本発明の化合物又は組成物が、静脈内点滴により投与される場合、これは、例えば無菌の医薬等級の水、生理食塩水又は他の適当な媒体を含む点滴ボトルに調合することができる。
【0086】
直腸投与は、通常の担体、例えばカカオバター、改質された植物油、及び他の脂肪の基剤から製剤された坐薬を使用し実行することができる。坐薬は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Alfonso R. Gennaro編集、Mack Publishing Co. イーストン, PA, 第19版、1995, pp.1591-1597を参照し、周知の製処方設計を使用する周知の方法により製剤することができ、これは本願明細書に参照として組入れられている。
【0087】
局所用剤形の処方及び投与のために、ローション剤、クリーム剤、及び軟膏剤などの、周知の経皮及び皮内送達媒体、並びに貼付剤のような経皮的送達用具を、使用することができる(Ghosh, T.K.;Pfister, W.R.;Yum, S.I.の論文、Transdermal and Topical Drug Delivery Systems, Interpharm Press, Inc. p. 249-297、これは本願明細書に参照として組入れられている)。例えば貯蔵庫型貼付剤のデザインは、接着剤でコーティングされた裏当てフィルム、及び半透過膜により皮膚から隔離されている、本発明の化合物又は組成物を含有する貯蔵庫コンパートメントを備えることができる(例えば、米国特許第4,615,699号、これは本願明細書に参照として組入れられている)。接着剤でコーティングされた裏当て層は、貯蔵庫の境界を囲むように伸びており、皮膚との同心の(concentric)密着を提供し、及び皮膚の近傍に貯蔵庫を保持する。
【0088】
本発明の経粘膜剤形は、点眼液、スプレー及びエアロゾル、又はその他の当業者に公知の形を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Publishing, イーストン PA (1990);及び、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 第4版、Lea & Febiger, フィラデルフィア(1985)を参照のこと。口腔内の粘膜組織の治療に適した剤形は、含嗽剤又は経口ゲル剤として製剤することができる。ひとつの実施態様において、エアロゾルは、担体を含有する。別の実施態様において、エアロゾルは担体非含有である。
【0089】
本発明の化合物は、吸入により肺へ直接投与することもできる。吸入による投与に関して、本発明の化合物は、多くの様々な装置により肺へ都合良く送達することができる。例えば、適当な低沸点噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素、又は他の適当な気体を含むキャニスターを利用する測定用量吸入器(「MDI」)を使用し、式Iの化合物を直接肺へ送達することができる。MDI装置は、3M Corporation、Aventis、Boehringer Ingleheim、Forest Laboratories、Glaxo-Wellcome、Schering Plough及びVecturaなどの多くの供給業者から入手可能である。
【0090】
あるいは、乾燥散剤吸入(DPI)装置を使用し、本発明の化合物を肺へ投与することができる(例えば、Raleighらの論文、Proc. Amer. Assoc. Cancer Research Annual Meeting, 1999, 40, 397参照、これは本願明細書に参照として組入れられている)。DPI装置は典型的には、気体の爆発が、容器内部に乾燥散剤の雲を作製し、これが次に患者により吸入されるような機構を使用する。DPI装置も、当該技術分野において周知であり、例えばFisons、Glaxo-Wellcome、Inhale Therapeutic Systems、ML Laboratories, Qdose 及び Vecturaを含む多くの販売業者から購入することができる。よくある変型は、反復投与量DPI("MDDPI")システムであり、これは1回よりも多い治療的投与量を送達することができる。MDDPI装置は、AstraZeneca、GlaxoWellcome、IVAX、Schering Plough、SkyePharma及びVecturaなどの会社から入手可能である。例えば吸入器又は注入器において使用するためのカプセル剤及びゼラチンカートリッジは、前記化合物及びこれらのシステムのための乳糖又はスターチなどの適当な散剤基剤の粉末混合物を含有するよう製剤することができる。
【0091】
肺への本発明の化合物の送達に使用することができる別の型の装置は、例えばAradigm Corporationにより供給される液体スプレー装置である。液体スプレーシステムは、その後肺へ直接吸入することができるよう液体薬物製剤を噴霧化するために、極めて小さいノズル穴を使用する。
【0092】
好ましい実施態様において、ネブライザー装置が、本発明の化合物を肺へ送達するために使用される。ネブライザーは、容易に吸入することができる細かい粒子を形成するために、例えば超音波エネルギー使用し、液体薬物製剤からエアロゾルを作製する(例えば、Verschoyleらの論文、British J Cancer, 1999, 80, Suppl 2, 96参照、これは本願明細書に参照として組入れられている)。ネブライザーの例は、Sheffield/Systemic Pulmonary Delivery Ltd. (Armerらの米国特許第5,954,047号;van der Lindenらの米国特許第5,950,619号;van der Lindenらの米国特許第5,970,974号参照、これらは本願明細書に参照として組入れられている)、Aventis and Batelle Pulmonary Therapeuticsにより供給されるものがある。
【0093】
特に好ましい実施態様において、電気流体力学("EHD")エアロゾル装置を使用し、本発明の化合物を肺へ送達する。EHDエアロゾル装置は、電気エネルギーを使用し、液体薬物の溶液又は懸濁剤をエアロゾル化する(例えば、Noakesらの米国特許第4,765,539号;Coffeeの米国特許第4,962,885号;CoffeeのPCT国際公開公報第94/12285号;CoffeeのPCT国際公開公報第94/14543号;CoffeeのPCT国際公開公報第95/26234号、CoffeeのPCT国際公開公報第95/26235号、CoffeeのPCT国際公開公報第95/32807号を参照し、これらは本願明細書に参照として組入れられている)。本発明の化合物を含有する製剤の電気化学特性は、この薬物を肺へEHDエアロゾル装置により送達する場合に最適化するための重要なパラメータであり、そのような最適化は、当業者により慣習的に行われる。EHDエアロゾル装置は、現存する肺送達技術よりも、薬物を肺へより効果的に送達することができる。肺内送達の他の方法は、当業者に公知であり、本発明の範囲内である。
【0094】
ネブライザー及び液体噴霧装置及びEHDエアロゾル装置での使用に適した液体薬物製剤は、典型的には医薬として許容し得る担体を含有する。好ましくは、医薬として許容し得る担体は、アルコール、水、ポリエチレングリコール又はペルフルオロカーボンなどの液体である。任意に、本発明の化合物の溶液又は懸濁液のエアロゾル特性を変更するために、他の材料を添加しても良い。好ましくはこの材料は、アルコール、グリコール、ポリグリコール又は脂肪酸などの液体である。エアロゾル装置において使用するのに適した液体薬物の溶液又は懸濁液を製剤する他の方法は、当業者に公知である(例えば、Biesalskiの米国特許第5,112,598号;Biesalskiの米国特許第5,556,611号を参照し、これらは本願明細書に参照として組入れられている)。本発明の化合物は、例えば、カカオバター又は他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含有する、坐薬又は持続浣腸剤などの、直腸又は膣用組成物において製剤することもできる。
【0095】
本発明の化合物は、前述の製剤に加え、デポ製剤としても製剤することができる。このような長期作用する製剤は、埋植(例えば皮下又は筋肉内)によるか、又は筋肉内注射により投与することができる。従って例えばこれらの化合物は、適当な高分子材料もしくは疎水性材料(例えば、許容し得る油中のエマルションとして)もしくはイオン交換樹脂と共に、又は溶けにくい誘導体として、例えば溶けにくい塩として製剤することができる。
【0096】
あるいは、他の医薬送達システムを使用することができる。リポソーム及びエマルションは、本発明の化合物を送達するために使用することができる送達ビヒクルの周知の例である。ジメチルスルホキシドなどのある種の有機溶媒も使用することができるが、通常は比較的大きい毒性という代償を払う。本発明の化合物は、制御放出システムにおいて送達することもできる。ひとつの実施態様において、ポンプを使用することができる(Seftonの論文、CRC Crit. Ref Biomed Eng., 1987, 14, 201;Buchwaldらの論文、Surgery, 1980, 88, 507;Saudekらの論文、N. Engl. J Med. 1989, 321, 574)。別の実施態様において、高分子材料を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release, Langer及びWise(編集), CRC Pres., Boca Raton, フロリダ州 (1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen及びBall(編集), Wiley, ニューヨーク (1984);Ranger及びPeppasの論文、J Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem., 1983, 23, 61参照;同じく、Levyらの論文、Science 1985, 228, 190;Duringらの論文、Ann. Neurol., 1989,25,351;Howardらの論文、1989, J. Neurosurg. 71, 105参照)。更に別の実施態様において、制御放出システムは、本発明の化合物の標的の近傍、例えば肺に配置することができ、その結果全身投与量の一部のみが必要である(例えば、Goodsonの論文、Medical Applications of Controlled Release, 前掲、第2巻、pp. 115 (1984)参照)。他の制御放出システムを使用することができる(例えば、Langerの論文、Science, 1990, 249, 1527参照)。
【0097】
本発明に包含される経粘膜剤形を提供するために使用することができる適当な賦形剤(例えば、担体及び希釈剤)及び他の材料は、医薬分野の業者に周知であり、並びに所定の医薬組成物又は剤形が投与される具体的部位又は方法により左右される。この事実を考慮し、典型的賦形剤は、無毒であり及び医薬として許容し得る水、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。そのような追加成分の例は、当該技術分野において周知である。例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」, 第18版, Mack Publishing, イーストン, PA (1990)を参照のこと。
【0098】
医薬組成物もしくは剤形のpH、又は医薬組成物もしくは剤形が適用される組織のpHも、1種又は複数の活性成分の送達を改善するように調節することができる。同様に溶媒担体の極性、そのイオン強度、又は等張性は、送達を改善するように調節することができる。送達を改善するために1種又は複数の活性成分の親水性又は親油性を有利に変更するために、ステアレート(ステアリン酸塩又はエステル)などの化合物も医薬組成物又は剤形へ添加することができる。これに関して、ステアレートは、乳化剤又は界面活性剤として、及び送達増強剤又は浸透増強剤として、製剤の脂質ビヒクルとして役立つことができる。得られる組成物の特性を更に調節するために、この活性成分の様々な塩又は溶媒和物(例えば水和物)を使用することができる。
【0099】
本発明は、1種又は複数の本発明の化合物が充填された1個又は複数の容器を含む、医薬パック又はキットも提供する。任意に、そのような容器(複数)に、医薬品又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関により規定された形式の注意事項も添付され、この注意事項は、ヒト投与用途の製造、使用又は販売の機関による承認を反映している。ひとつの実施態様において、このキットは、1種よりも多い本発明の化合物を含む。別の実施態様において、このキットは、本発明の一種の化合物及び他の生物学的活性物質を含む。
【0100】
本発明の化合物は、ヒトにおける使用前に、所望の治療的又は予防的活性に関して、インビトロ及びインビボにおいてアッセイされることが好ましい。例えば、インビトロアッセイを使用し、特定の本発明の化合物又は本発明の化合物の組合せの投与が好ましいかどうかを決定することができる。本発明の化合物及び組成物は、動物モデルシステムを用い、有効かつ安全であることが実証されてもよい。他の方法は、当業者には公知であり、本発明の範囲内であろう。
【0101】
(4.5. 併用療法)
ある実施態様において、本発明の化合物は、患者、好ましくはヒトへ、1種もしくは複数の他の治療薬と同時に、又は1種もしくは複数の本発明の他の化合物と同時に、又はこれら両方と同時に投与される。「同時に」とは、本発明の化合物及び他の作用物質が、連続しかつある時間間隔で、患者へ投与され、その結果本発明の化合物は、その他の作用物質と一緒に作用し、それらがそうでなく投与される場合よりも増加した又は相乗的な恩恵を提供することができることを意味する。例えば各成分は、同時に又は任意の順番で異なる時点で連続して投与することができる;しかし、同時に投与されない場合、これらは所望の治療効果を提供するために期間内で十分に近くで投与されなければならない。全ての成分は、同時に投与されることが好ましく、同時に投与されない場合は、これらは互いに約6時間〜約12時間間をあけて全て投与されることが好ましい。
【0102】
他の治療薬と組合せて使用される場合、本発明の化合物及び治療薬は、相加的に、より好ましくは相乗的に作用することができる。ひとつの実施態様において、本発明の化合物又は組成物は、同じ医薬組成物中の他の治療薬と同時に投与される。別の実施態様において、本発明の化合物又は組成物は、別の医薬組成物中の他の治療薬と同時に投与される。更に別の実施態様において、本発明の化合物又は組成物は、他の治療薬の投与前又はそれに続けて投与される。本発明の化合物及び組成物が治療において有用である多くの障害は慢性障害であるので、ひとつの実施態様において併用療法は、例えば特定の薬物に伴う毒性を最小化するために、本発明の化合物又は組成物の投与と、他の治療薬を含有する医薬組成物の投与の繰り返しを含む。ある実施態様において、本発明の組成物が、毒性を含むがこれに限定されない有害副作用を生じる可能性のある別の治療薬と同時に投与される場合、この治療薬は、有害副作用が誘発される閾値を下回る投与量で有利に投与することができる。追加の治療薬は、造血増殖因子、サイトカイン抗癌薬抗生物質、免疫抑制薬、ステロイド抗ヒスタミン薬、ロイコトリエンインヒビター及び本願明細書において検討された他の治療薬を含むが、これらに限定されるものではない。
【0103】
好ましい追加の治療薬は、Remicade(商標)、ドセタキセル、Celecoxib(商標)、メルファラン、デキサメタゾン、ステロイド、ゲムシタビン(gemcitabine)、シスプラチン、テモゾロミド、エトポシド、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキサート、Arisa(登録商標)、Taxol(商標)、タキソテレ、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、ゼローダ、CPT-11、インターフェロンα、ペグ化インターフェロンα、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パシリタキセル(pacilitaxel)、ビンブラスチン、IL-2、GM-CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニソン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、PEG INTRON-A、ドキシル、ビンクリスチン、デカドロン、ドキソルビシン、パシリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、エストラムスチン、Emcyt、スリンダク、及びエトポシドを含むが、これらに限定されるものではない。
【0104】
本発明は更に、インビボにおいてそれらが元にしたタンパク質の薬理活性の少なくとも一部を示す、天然のタンパク質の変異体及び誘導体(例えば、修飾型)を包含している。変異体の例は、そのタンパク質の天然の形の対応する残基と異なるアミノ酸残基を1個又は複数の有するタンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。同じく用語「変異体」は、それらの天然の形には通常存在する糖部分を欠いているタンパク質も包含している(例えば非グリコシル化型)。誘導体の例は、ペグ化誘導体及び融合タンパク質、例えばIgG1もしくはIgG3が対象のタンパク質もしくはタンパク質活性部分に融合することにより形成されたタンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、Penichet, M.L.及びMorrison, S.L.の論文、J. Immunol. Methods 248:91-101 (2001)を参照のこと。
【0105】
G-CSFの組換え型及び変異型は、米国特許第4,810,643号;第4,999,291号;第5,528,823号;及び、第5,580,755号に記載の通りに調製することができ;これらは全て本願明細書に参照として組入れられている。GM-CSFの組換え型及び変異型は、米国特許第5,391,485号;第5,393,870号;及び、第5,229,496号に開示されたように調製することができ;これらは全て本願明細書に参照として組入れられている。実際にG-CSF及びGM-CSFの組換え型は、特定の化学療法に関連した症状の治療のために、現在米国において販売されている。フィルグラスチムとして公知のG-CSFの組換え型は、商品名NEUPOGEN(登録商標)で、現在米国において販売されており、これは、有熱の重症好中球減少症の著しい発生率を伴う骨髄抑制性抗癌薬を受け取っている非骨髄性(nonmyeloid)悪性疾患を伴う患者において、発熱性好中球減少症により症状発現される感染症の発生を低下することが示されている。「Physicians' Desk Reference」, 587-592 (第56版, 2002)。同じくサルグラモスチムとして公知のGM-CSF組換え型は、商品名LEUKINE(登録商標)で米国において販売されている。LEUKINE(登録商標)は、好中球回復の期間を短縮するために、急性骨髄性白血病(AML)の高齢患者における導入化学療法後の使用が適応である。「Physicians' Desk Reference」, 1755-1760 (第56版, 2002)。同じくエポエチンαとして公知のEPO組換え型は、商品名EPOGEN(登録商標)で米国において販売されている。EPOGEN(登録商標)は、関係する赤血球前駆細胞の分割及び成熟を刺激することにより、赤血球生成を刺激するために使用される。「Physicians' Desk Reference」, 582-587 (第56版, 2002)。
【0106】
G-CSF、GM-CSF及びEPOなどの増殖因子又はサイトカインは、ワクチンの形で投与することもできる。例えばG-CSF及びGM-CSFのようなサイトカインを分泌するか、又は分泌を引き起こすワクチンは、本発明の方法、医薬組成物、及びキットにおいて使用することができる。例えば、Emens, L.A.らの論文、Curr. Opinion Mol. Ther. 3(1) :77-84 (2001)を参照のこと。
【0107】
本発明の方法、投薬計画、カクテル、医薬組成物及び剤形及びキットを含む、本発明の様々な実施態様において使用することができる抗癌薬は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アムボマイシン;酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチメール;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;カデフィンゴール;セレコキシブ;クロラムブシル;シロレマイシン(cirolemycin);シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキシオルマプラチン(dexormaplatin);デザグアニン;デザグアニンメシレート;ジアジキコン;ダカルバジン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン(duazomycin);エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミツルシン(elsamitrucin);エンロプラチン;エンプロメート(enpromate);エピロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸塩ナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロキシウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルオロシタビン;フォスキドン(fosquidone);フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イフォスファミド;イルモフォシン;インターロイキンII(組換えインターロイキンII、又はrIL2を含む),インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンα-n3;インターフェロンβ-Ia;インターフェロンγ-Ib;イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン(losoxantrone);マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲステロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン(mitocarcin);ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン;ミトスペル(mitosper);ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パシリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン(prednimustine);塩酸プロカルバジン;プロマイシン;塩酸プロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;タキソテレ;テガファー;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド(vapreotide);ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン(vinleurosine);酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン(vinrosidine sulfate);硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシン。他の抗癌薬は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール(adecypenol);アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミフォスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラフォリド;血管形成阻害薬;アンタゴニストD;アンタゴニストG.;アンタレリックス抗背側化形態発生タンパク質(ADMP)-1抗アンドロゲン、前立腺癌治療薬抗エストロゲン;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシン酸塩;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシスレギュレーター;アプリン酸;アラ-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β-アレチン;βクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害薬;ビカルタミド;ビサントレン;ビサジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテン(bistratene)A;ビゼレシン;ブレフラート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシイミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリポックスIL-2;カペシタビン;カルボキサミドアミノ-トリアゾール;カルボキサミドトリアゾール;軟骨由来阻害薬;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害薬(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロルリン(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェンアナログ;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチンアナログ;コナゲニン;クランベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン(cypemycin);シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン;デヒドロジデムニンB (dehydrodidemnin B);デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジコン;ジデムニンB;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチンアナログ;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin);フォルフェニメックス(forfenimex);フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ゴドリニウムタキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス(ganirelix);ゼラチナーゼ阻害薬;ゲムシタビン;グルタチオン阻害薬;ヘプサルファム(hepsulfam);ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモフォシン;アイロマスタット;イミキモド;免疫刺激性ペプチド;インスリン-様成長因子-1受容体阻害薬;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール, 4-イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン-Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲスタロン;ロイプロレリン;レバミソール;リアロゾール;直鎖ポリアミンアナログ;親油性ジサッカリドペプチド;親油性白金化合物;リソクリンラミド(lissoclinamide)7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルルトテカン(lurtotecan);ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害薬;マトリックスメタロプロテアーゼ阻害薬;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害薬;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシンアナログ;ミトナフィド(mitonafide);ミトトキシン(mitotoxin)線維芽細胞増殖因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;エルビタックス,ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モピダモール;マスタード抗癌薬;ミカペルオキシドB;ミコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン(myriaporone);N-アセチルジナリン;窒素で置換されたベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン(nemorubicin);ネリドロン酸;ニルタミド;ナイサマイシン(nisamycin);一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド酸化防止剤;ニトルリン(nitrullyn);O6-ベンジルグアニン;オクトレチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パシリタキセル;パシリタキセルアナログ;パシリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン(perflubron);ペルフォスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセテート;ホスファターゼ阻害薬;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーター阻害薬;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニソン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害薬;プロテインA-ベースの免疫調節剤;プロテインキナーゼC阻害薬;プロテインキナーゼC阻害薬;ミクロアルガル(microalgal);タンパク質チロシンホスファターゼ阻害薬;プリンヌクレオシドリン酸化酵素阻害薬;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化されたヘモグロビンポリオキシエチレン複合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasフェルネシルタンパク質転移酵素阻害薬;ras阻害薬;ras-GAP阻害薬;脱メチル化されたレテリプチン;レニウムRe 186エ
チドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツカイン(rohitukine);ロムルチド;ロキニメックス(roquinimex);ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1擬態;セムスチン;セネシン由来の阻害薬1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害薬;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;ナトリウムフェニルアセテート;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン(splenopentin);スポンジスタチン1;スクアラミン;スチピアミド(stipiamide);ストロメリシン阻害薬;スルフィノシン;超活性血管作用性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ(suradista);スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガファー;テルラピリリム;テロメラーゼ阻害薬;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;サリブラスチン(thaliblastine);チオコラリン(thiocoraline);トロンボポイエチン;トロンボポイエチン擬態;サイマルファシン;サイモポイエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルスズエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン(topsentin);トレミフェン;翻訳阻害薬;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン(triciribine);トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害薬;チルホスチン;UBC阻害薬;ウベニメクス;尿生殖器洞由来の増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン(verteporfin);ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及び、ジノスタチンスチマラマー。
【0108】
本発明ひとつの実施態様において、本発明の化合物は、障害を直接治療するのみではなく、他の化学療法の投与量もしくは毒性を低下するためにも使用することができる。例えば本発明の化合物は、トポイソメラーゼインヒビター、例えばイリノテカンに関連した胃腸管毒性を低下するために投与することができる。
【0109】
(4.6. 生物学的アッセイ)
PDE4及び/又はTNF-α阻害活性を有する化合物は、エンザイムイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、免疫電気泳動、及びアフィニティー標識を含むが、これらに限定されるものではない、当該技術分野において一般に公知の方法を用いてアッセイすることができる。利用することができる更なるアッセイは、LPS誘導型TNF及びPDE4酵素アッセイ、並びに国際公開公報第01/90076 A1号、国際公開公報第01/34606 A1号に開示された方法を含み、これらは各々本願明細書にそれらの全体を参照によって組入れられている。
【0110】
正常ドナ由来のPBMCは、Ficoll-Hypaque密度遠心分離により得られる。細胞は、10%、AB+血清、2mM L-グルタミン、100U/mLペニシリン及び100mg/mLストレプトマイシンで補完したRPMIにおいて培養される。
被験化合物は、ジメチルスルホキシド(Sigma Chemical)中に溶解され、更に補完したRPMI中で希釈が行われる。PBMC懸濁液中の薬物存在又は非存在下での最終のジメチルスルホキシド濃度は、0.25質量%である。被験化合物は、50mg/mLから始まり、0.5対数希釈(half-log dilutions)でアッセイされる。被験化合物は、96ウェルプレート中のPBMC(106細胞/mL)に添加され、その1時間後にLPSが添加される。
【0111】
被験化合物の存在又は非存在下でのPBMC(106細胞/mL)は、サルモネラ・ミネソタ(Salmonella Minnesota) R595 (List Biological Labs, Campbell, カリフォルニア州)由来の1mg/mLのLPSによる処理により刺激される。その後細胞は、37℃で18〜20時間インキュベーションされる。上清が収集され、即座にTNF-αレベルについてアッセイされるか、又はアッセイ時まで-70℃で凍結保存される(4日間を超えない)。
上清中のTNF-α濃度は、ヒトTNF-αELISAキット(ENDOGEN, ボストン, マサチューセッツ州)により、製造業者の指示に従い測定される。
【0112】
ホスホジエステラーゼは、通常のモデルで決定することができる。例えば、Hill及びMitchellの方法を使用し、ヒト前単球系細胞株のU937細胞は、1x106細胞/mLに増殖され、遠心により収集される。1x109細胞の細胞ペレットは、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄され、その後、後で精製するために-70℃で凍結されるか、又は即座に冷ホモジナイゼーション緩衝液(20mM Tris-HCl(pH7.1)、3mM 2-メルカプトエタノール、1mM塩化マグネシウム、0.1mMエチレングリコールビス-(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'-四酢酸(EGTA)、1μMフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、及び1μg/mLロイペプチン)中に溶解される。細胞は、Dounceホモジナイザー中で20ストロークでホモジナイズされ、細胞質ゾル画分を含有する上清を、遠心により得られる。次に上清はホモジナイゼーション緩衝液で平衡化したSephacryl S-200カラムに装荷される。ホスホジエステラーゼは、約0.5mL/分の速度でホモジナイゼーション緩衝液中に溶離され、画分は、ホスホジエステラーゼ活性-/+ロリプラムについてアッセイされる。ホスホジエステラーゼ活性(ロリプラム感受性)を有する画分は貯留され、後で使用するために分取される。
【0113】
ホスホジエステラーゼアッセイは、様々な濃度の被験化合物、50mM Tris-HCl(pH7.5)、5mM塩化マグネシウム、及びその1%は3H cAMPである1μM cAMPを含有する、総容積100μlで実行される。反応液は、30℃で30分間インキュベーションされ、2分間煮沸により停止される。これらの実験に使用される抽出物を含有するホスホジエステラーゼIVの量は、反応が直線範囲内であり及び総基質の15%未満が消費されるように予め決定される。反応停止後、試料を4℃で急冷し、その後10mg/mLヘビ毒10μlで30℃で15分間処理される。その後未使用の基質は、第4級アンモニウムイオン交換樹脂(AG1-X8, BioRad)200μlの15分間の添加により除去される。次に試料を、3000rpm、5分間遠心し、水相50μlがカウントのために採取される。各データ点は、2つ組で実行され、活性は対照の割合(%)として表される。その後化合物のIC50が、3回の独立した実験の最低の用量反応曲線から決定される。
下記実施例は、例証のために提供され、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【実施例】
【0114】
(5. 実施例)
(5.1. 実施例1) 3-(1,3-ジオキソベンゾ[e]イソインドリン-2-イル)-3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)プロパンニトリル
【化2】

【0115】
酢酸(10mL)中のナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン(440mg, 2.2mmol)及び3-アミノ-3-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-プロピオニトリル(490mg, 2.2mmol)の溶液を、一晩還流加熱した。この溶媒を、真空で除去し、固形物を得、これをクロマトグラフィー (シリカゲル, CH2Cl2)により精製し、3-(1,3-ジオキソベンゾ[e]イソインドリン-2-イル)-3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)プロパンニトリルを黄色固形物として得た(430mg, 収率48%):mp 163.0-165.0℃;1H NMR(CDCl3) δ 1.46 (t, J=7Hz, 3H, CH3), 3.34 (dd, J=7, 17Hz, 1H, CHH), 3.80-3.92 (m, 1H, CHH), 3.84 (s, 3H, CH3), 4.10 (q, J=7Hz, 2H, CH2), 5.67 (dd, J=7, 10.1Hz, 1H, NCH), 6.82-6.86 (m, 1H, Ar), 7.11-7.13 (m, 2H, Ar), 7.61-7.74 (m, 2H, Ar), 7.81 (d, J=8Hz, 1H, Ar), 7.92 (d, J=7.9Hz, 1H, Ar), 8.14 (d, J=8.3Hz, 1H, Ar) , 8.87 (d, J=8Hz, 1H, Ar);13C NMR(CDCl3) δ 14.66, 21.22, 50.97, 55.91, 64.48, 111.43, 112.19, 117.00, 118.46, 120.03, 124.79, 126.79, 127.96, 128.73, 128.94, 129.24, 129.66, 130.78, 135.37, 136.68, 148.56, 149.72, 168.37, 168.92. C24H20N2O4の分析の計算値:C 71.99;H 5.03;N 7.00. 実測値:C 71.81;H 5.04;N 7.00。
【0116】
(5.2. 実施例2) (1S)-フラン-2-カルボン酸{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-アミド
【化3】

【0117】
THF(5mL)中の(1S)-7-アミノ-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン(0.85g, 2.0mmol)及び2-フロイルクロリド(0.40mL, 4.1mmol)の溶液を、17時間還流加熱した。この混合物へ、メタノール(4mL)を添加した。この溶媒を真空で除去し、固形物を得、これをクロマトグラフィー(シリカゲル, EtOAc/ヘキサン)により精製し、(1S)-フラン-2-カルボン酸{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニルエチル]-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-アミドを固形物として得た(380mg, 収率37%):mp 184-186℃;1H NMR(CDCl3) δ 1.45 (t, J=7Hz, 3H, CH3), 2.86 (s, 3H, CH3), 3.76-3.80 (m, 1H, CHH), 3.83 (s, 3H, CH3), 4.10 (q, J=7Hz, 2H, CH2), 4.56 (dd, J=10, 14Hz, 1H, CHH), 5.90 (dd, J=5, 10Hz, 1H, NCH), 6.57-6.58 (m, 1H, Ar), 6.81-6.84 (m, 1H, Ar), 7.10-7.13 (m, 2H, Ar), 7.27-7.28 (m, 1H, Ar), 7.47-7.50 (m, 1H, Ar), 7.63-7.69 (m, 2H,Ar), 8.84 (d, J=9Hz, 1H, Ar), 10.39 (s, 1H, NH);13C NMR(CDCl3) δ 14.70, 41.65, 48.74, 54.68, 55.95, 60.37, 64.55, 111.51, 112.51, 112.75, 115.76, 116.47, 118.42, 120.42, 125.03, 129.34, 131.26, 136.15, 137.25, 145.40, 147.05, 148.63, 149.75, 156.49, 167.51, 169.39. C25H24N2O8Sの分析の計算値:C 58.59;H 4.72;N 5.47. 実測値:C 58.34;H 4.86;N 5.38。
【0118】
(5.3. 実施例3) (1S)-N-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-2-メトキシ-アセトアミド
【化4】

【0119】
THF(6mL)中の(1S)-7-アミノ-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン(0.5g, 1.2mmol)及び2-メトキシアセチルクロリド(0.3mL, 3.2mmol)の溶液を、17時間還流加熱した。この混合物へ、メタノール(5mL)を添加した。溶媒を真空で除去し、固形物を得、これを分取HPLCにより精製し、(1S)-N-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-2-メトキシ-アセトアミドを乳白色固形物として得た(180mg, 収率32%):mp 151-153℃;1H NMR(CDCl3) δ 1.47 (t, J=7Hz, 3H, CH3), 2.84 (s, 3H, CH3), 3.56 (s, 3H, CH3), 3.77 (dd, J=5, 14Hz, 1H, CHH), 3.85 (s, 3H, CH3), 4.08 (s, 2H, CH2), 4.12 (q, J=7Hz, 2H, CH2), 4.53 (dd, J=10, 15Hz, 1H, CHH), 5.87 (dd, J=5, 10Hz, 1H, NCH), 6.81-6.82 (m, 1H, Ar), 7.10-7.13 (m, 2H, Ar), 7.51 (d, J=7Hz, 1H, Ar), 7.67 (t, J=8Hz, 1H, Ar), 8.81 (d, J=8Hz, 1H, Ar), 10.42 (s, 1H, NH);13C NMR(CDCl3) δ 14.69, 41.59, 48. 80, 54.81, 55.96, 59.74, 64.55, 72.18, 111.49, 112.53, 116.06, 118.59, 120.49, 125.09, 129.39, 131.33, 136.02, 136.59, 148.62, 149.77, 167.57, 168.89, 169.16. C23H26N2O8Sの分析の計算値:C 56.32;H 5.34;N 5.71. 実測値:C 56.23;H 5.30;N 5.56。
【0120】
(5.4. 実施例4) (1S)-7-(シクロプロピルメチル-アミノ)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-2,3 ジヒドロ-イソインドール-1-オン
【化5】

【0121】
1,2-ジクロロエタン(20mL)の中の7-アミノ-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン(1.8g, 4.5mmol)、シクロプロパンカルボキシアルデヒド(0.47mL, 6.3mmol)、及び酢酸(1.6mL, 28mmol)の溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム (1.4g, 6.7mmol)を室温で添加した。1.5時間後、この混合物を、塩化メチレン(50mL)及び水(20mL)で抽出した。有機相を、炭酸水素ナトリウム(飽和, 25mL)及びブライン(25mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を除去し、黄色油状物を得、これを分取HPLCにより精製し、(1S)-7-(シクロプロピルメチル-アミノ)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニルエチル]-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オンを、白色固形物として得た(1.6g, 収率79%):mp 147-149℃;1H NMR(CDCl3) δ 0.25-0.31 (m, 2H, CH2), 0.55-0.62 (m, 2H, CH2), 1.09-1.20 (m, 1H, CH), 1.45 (t, J=7Hz, 3H, CH3), 2.93 (s, 3H, CH3), 3.03-3.08 (m, 2H, CH2), 3.67 (dd, J=5, 15Hz, 1H, CHH) , 3.85 (s, 3H, CH3), 4.08 (q, J=7Hz, 2H, CH2), 4.18 (d, J=17Hz, 1H, CHH), 4.29 (dd, J=10, 15Hz, 1H, CHH), 4.34 (d, J=17Hz, 1H, CHH), 5.62 (dd, J=5, 10Hz, 1H, NCH), 6.47-6.55 (m, 2H, Ar), 6.69 (t, J=5Hz, 1H, NH), 6.83 (d, J=8Hz, 1H, Ar), 6.91-6.95 (m, 2H, Ar), 7.21-7.30 (m, 1H, Ar);13C NMR(CDCl3) δ 3.57, 10.63, 14.71, 41.42, 47.52, 48.09, 52.04, 55.98, 56.39, 64.60, 108.35, 109.21, 111.48, 112.32, 113.77, 119.37, 130.45, 133.64, 142.78, 147.50, 148.79, 149.54, 171.16. C24H30N2O5Sの分析の計算値:C 62.86;H 6.59;N 6.11. 実測値:C 62.77;H 6.62;N 6.13。
【0122】
(5.5. 実施例5) (1S)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-7-イソブチルアミノ-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン
【化6】

【0123】
1,2-ジクロロエタン(10mL)中の(1S)-7-アミノ-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニル-エチル-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン(0.5g, 1.2mmol)、2-メチルプロピオンアルデヒド(0.13mL, 1.4mmol)、及び酢酸(0.44mL, 7.65mmol)の溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.52g, 2.5mmol)を室温で添加した。1.5時間後、この混合物を、塩化メチレン(50mL)及び水(20mL)で抽出した。有機相を、炭酸水素ナトリウム(飽和, 25mL)及びブライン(25mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を除去し、黄色油状物を得、これを分取HPLCにより精製し、(1S)-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-7-イソブチルアミノ-2,3-ジヒドロイソインドール-1-オンを、白色固形物として得た(0.27g, 収率47%):mp 122-124℃;1H NMR(CDCl3) δ 0.99 (d, J=7Hz, 6H, 2CH3), 1.43 (t, J=7Hz, 3H, CH3), 1.89-1.99 (m, 1H, CH), 2.91(s, 3H, CH3), 3.00 (t, J=6Hz, 2H, CH2), 3.66 (dd, J=5, 15Hz, 1H, CHH), 3.84 (s, 3H, CH3), 4.07 (q, J=7Hz, 2H, CH2), 4.09-4.35 (m, 3H, CH2, CHH), 5.60 (dd, J=5, 10Hz, 1H, NCH), 6.47-6.53 (m, 2H, Ar), 6.72 (t, J=6Hz, 1H, NH), 6.81-6.97 (m, 3H, Ar), 7.26 (t, J=8Hz, 1H, Ar);13C NMR(CDCl3) δ 15.44, 20.42, 28.07, 41.40, 48.16, 50.42, 52.14, 55.97, 56.42, 64.56, 108.30, 108.98, 111.47, 112.31, 113.77, 119.38, 130.08, 133.63, 142.80, 147.79, 148.79, 149.52, 171.28. C24H32N2O5S+0.32H2Oの分析の計算値:C 61.81;H 7.05;N 6.01;H2O 1.24. 実測値:C 61.86;H 7.02;N 6.00;H2O 1.25。
【0124】
(5.6. 実施例6) (3R)-3-[7-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-3-(3-エトキシ-4 メトキシフェニル)-N,N-ジメチル-プロピオンアミド
【化7】

【0125】
1,2-ジクロロエタン(10mL)中の(3R)-3-(7-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-N,N-ジメチルプロピオンアミド(0.5g, 1.3mmol)及びトリメチルアセトアルデヒド(0.26mL, 2.3mmol)の溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.53g, 2.5mmol)を室温で添加した。1日後、この混合物を、塩化メチレン(50mL)及び水(20mL)で抽出した。有機相を、炭酸水素ナトリウム(飽和, 25mL)及びブライン(25mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を除去し、黄色油状物を得、これを分取HPLCにより精製し、(3R)-3-[7-(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-N,N-ジメチル-プロピオンアミドを白色固形物として得た(0.59g, 収率99%):mp 111-113℃;1H NMR(CDCl3) δ 1.01 (s, 9H, 3CH3), 1.43 (t, J=7Hz, 3H, CH3), 2.89 (s, 3H, CH3), 2.98 (d, J=6Hz, 2H, CH2), 3.07 (dd, J=6, 15Hz, 1H, CHH), 3.11 (s, 3H, CH3), 3.45 (dd, J=9, 15Hz, 1H, CHH), 3.84 (s, 3H, CH3), 4.08 (q, J=7Hz, 2H, CH2), 4.12 (d, J=16Hz, 1H, CHH), 4.33 (d, J=16Hz, 1H, CHH) , 5.59 (dd, J=7, 9Hz, 1H, NCH), 6.47-6.51 (m, 2H, Ar), 6.79-7.01 (m, 4H, NH, Ar), 7.22 (t, J=8Hz, 1H, Ar) ;13C NMR(CDCl3) δ 14.75, 27.63, 32.27, 35.52, 36.67, 37.54, 48.56, 53.10, 54.49, 55.95, 64.42, 107.82, 108.77, 111.25, 112.66, 114.58, 119.22, 132.35, 132.96, 143.09, 148.16, 148.41, 148.81, 169.97, 170.79. C27H37N3O4の分析の計算値:C 69.35;H 7.98;N 8.99. 実測値:C 69.70;H7.95;N8.74。
【0126】
(5.7 実施例7) 3-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-3-(4-イソブチルアミノ-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-プロピオニトリル
【化8】

【0127】
1,2-ジクロロエタン(30mL)中のジメチル-3-アミノフタル酸エステル(0.75g, 3.6mmol)、3-メチルブチルアルデヒド(0.36mL, 4.0mmol)、酢酸(1.3mL, 23mmol)の混合物に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.5g, 7.2mmol)を室温で添加した。30分後、この混合物を、塩化メチレン(30mL)及び水(30mL)で抽出した。有機相を、炭酸水素ナトリウム(飽和, 30mL)で洗浄した。溶媒を真空で除去し、黄色油状物を得た。メタノール(5mL)中のこの油状物へ、水酸化ナトリウム(10N, 1.5mL)を添加し、室温で一晩維持した。この混合物に、HCl(12N, 1.3mL)を添加した。溶媒を真空で除去し、固形物を得た。この固形物を、ピリジン(10mL)に溶解し、3-アミノ-3-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-プロピオニトリル(1.0g, 3.6mmol)をこの溶液に添加した。この溶液を、2日間還流加熱した。溶媒を真空で除去し、油状物を得た。この油状物を、酢酸エチル(100mL)及び水(100mL)で抽出した。有機相を、水(50mL)、HCl(1N, 2x50mL)、水(50mL)、炭酸水素ナトリウム(飽和, 2x50mL)、及びブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。濾過及び真空での溶媒除去は、油状物を得た。この油状物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル, 1:3 EtOAc:ヘキサン)で精製し、3-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-3-(4-イソブチルアミノ-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-プロピオニトリルを黄色固形物(700mg, 収率46%)として得た:mp, 12-123℃;1H NMR(CDCl3) δ 1.01 (d, J=7Hz, 6H, 2CH3), 1.45 (t, J=7Hz, 3H, CH3), 1.88-1.99 (m, 1H, CH), 3.07 (t, J=6Hz, 2H, CH2), 3.27 (dd, J=7, 17Hz, 1H, CHH), 3.76 (dd, J=10, 17Hz, 1H, CHH), 3.84 (s, 3H, CH3), 4.09 (q, J=7Hz, 2H, CH2), 5.55 (dd, J=7, 10Hz, 1H, NCH), 6.37 (t, J=6Hz, 1H, Ar), 6.81-6.86 (m, 2H, Ar), 7.01-7.06 (m, 3H, Ar), 7.44 (t, J=8Hz, 1H, Ar);13C NMR(CDCl3) δ 14.69, 20.26, 21.29, 28.27, 50.31, 50. 63, 55.95, 64.49, 109.63, 111.10, 111.42, 112.22, 116.58, 117.09, 119. 96, 129.55, 132.33, 135.93, 147.14, 148.53, 149.66, 168.18. C24H27N3O4:の分析の計算値:C 68.39;H 6.46;N 9.97. 実測値:C 68.32;H 6.39;N 9.95。
【0128】
(5.8 実施例8) N-{2-[シアノ(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル}アセトアミド
【化9】

【0129】
氷酢酸(60mL)中の2-アミノ-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)エタンニトリル酢酸塩(4.1g, 14.6mmol)及び3-アセトアミド無水フタル酸(3.0g, 14.6mmol)の混合物を、17時間還流加熱した。この混合物を、真空で濃縮し、油状物を得た。この油状物を、EtOAcに溶解し、水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を除去し、残渣をクロマトグラフィー(SiO2, ヘキサン:EtOAc 6:4)で精製し、N-{2-[シアノ(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル}アセトアミド4.9g(83%)を白色固形物として得た;mp 118-120℃;1H NMR(CDCl3) δ 9.43 (s, 1H), 8.76 (d, J=8.4Hz, 1H), 7.67 (t, J=7.7Hz, 1H), 7.51 (d, J=7.2Hz, 1H), 7.05-6.82 (m, 3H), 5.60-5.54 (dd, J=6.63 and 10.0Hz, 1H), 4.10 (q, J=6.8Hz, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.81-3.74 (m, 1H), 3.29-3.20 (dd, J=6.2及び16.8Hz, 1H), 2.27 (s, 3H), 1. 46 (t, J=7Hz, 3H);13C NMR(CDCl3) δ 169:56, 169.12, 167.19, 149.92, 148.64, 137.73, 136.30, 130.87, 128.70, 125.11, 119.92, 118.29, 116.76, 114.94, 112.14, 111.98, 64.56, 55.94, 51.08, 24.92, 21.04, 14.68. C22H21N3O5 の分析の計算値:C 64.86;H 5.20;N 10.31. 実測値:C 65.01;H 5.10;N 10.19。
【0130】
(5.9 実施例9) N-{2-[シアノ(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)メチル]1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル}(ベンジルアミノ)カルボキサミド
【化10】

【0131】
(5.9.1) 2-(4-ニトロ-1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)エタンニトリル
氷酢酸(60mL)中の2-アミノ-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)エタンニトリル酢酸塩(8.0g, 28.5mmol)、酢酸ナトリウム(2.6g, 31mmol)及び3-ニトロ無水フタル酸(5.5g, 28.5mmol)の混合物を、5時間還流加熱した。この混合物を、真空で濃縮し、油状物を得た。この油状物を、CH2Cl2に溶解し、水及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を除去し、残渣をクロマトグラフィー(SiO2, ヘキサン: EtOAc 6:4)で精製し、2-(4-ニトロ-1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)エタンニトリル9.5g(84%)を得た;mp 155-157℃;1H NMR(DMSO-d6) δ 8.31 (d, J=7.8Hz, 1H), 8.20 (d, =7.2Hz, 1H), 8.09 (t, J=7.8Hz, 1H), 7.06-6.91 (m, 3H), 5.59 (t, J=8.0Hz, 1H), 4.04-3.96 (q, J=7Hz, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.66 (d, J=8Hz, 2H), 1.31 (t, J=7Hz, 3H);13C NMR(DMSO-d6) δ 165.46, 162.69, 149.07, 147.78, 144.45, 136.63, 132.81, 128.81, 128.52, 127.24, 122.39, 119.77, 118.08, 112.46, 111.68, 63.80, 55.48, 50.36, 20.30, 14.60. C20H17N3O6の分析の計算値:C 60.75;H 4.34;N 10.63実測値:C 60.95;H 4.37;N 10.50。
【0132】
(5.9.2) 2-(4-アミノ-1,3-ジオキシイソインドリン-2-イル)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)エタンニトリル
メタノール(150mL)中の2-(ニトロ-1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)エタンニトリル(3.9g, 7.8mmol)及び10% Pd/C(0.6g)の混合物を、50psiで3時間水素化した。この混合物を、セライトを通して濾過し、セライトを塩化メチレンで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をクロマトグラフィー(SiO2, CH2Cl2:CH3OH 95:5)で精製し、2-(4-アミノ-1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)エタンニトリル3.3g(91%)を得た;1H NMR(DMSO-d6) δ 7.50-7.43 (dd, J=7.3及び8.3Hz, 1H), 7.03-6.91 (m, 5H), 6.55 (s, 2H), 5.55-5.48 (dd, J=6.6及び9.9Hz, 1H), 3.99 (q, J=7.0Hz, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.76-3.48 (m, 2H), 1.31 (t, J=7Hz, 3H);13C NMR(DMSO-d6) δ 168.81, 167.59, 148.88 146.82, 135.55, 131.56, 129.70, 121.86, 121.80, 119.27, 118.26, 112.10, 111.82, 111.06, 63.82, 55.48, 49.46, 20.54, 14.61。
【0133】
(5.9.3) N-{2-[シアノ(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル}(ベンジルアミノ)カルボキサミド
アセトニトリル(25mL)中の2-4-アミノ-1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)エタンニトリル(1.0g, 2.7mmol)及びイソシアン酸ベンジル(0.6g, 4.1mmol)の溶液を、7日間還流加熱した。この混合物を、真空で濃縮し、残渣を、クロマトグラフィー(SiO2, CH2Cl2:EtOAc 95:5)で精製し、N-{2-[シアノ(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル}(ベンジルアミノ)カルボキサミド0.95g(70%)を得た;mp 98-100℃;1H NMR(CDCl3) δ 8.68-8.40 (m, 2H), 7.58 (t, J=7.4Hz, lH0, 7.38-7.26 (m, 6H), 6.99-6.96 (m, 2H), 6.80-6.77 (m, 1H), 5.59-5.49 (m, 2H) , 4.47 (d, J=5.7Hz, 2H), 4.07 (q, J=7Hz, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.84-3.65 (m, 1H), 3.29-3.19 (dd, J=6.6及び17Hz, 1H), 1.43 (t, J=7.1Hz, 3H);13C NMR(CDCl3) δ 169.81, 167.43, 153.94, 149.86, 148.57, 139.37, 138.10, 136.09, 130.84, 128.81, 128.71, 127.65, 127.60, 124.38, 119.90, 116.94, 116.74, 113.65, 112.21, 111.44, 64.58, 55.89, 50.87, 44.40, 21.07, 14.66. C28H26N4O5の分析の計算値:C 67.46;H 5.26;N,11.24. 実測値:C 67.31;H 5.13;N 1103。
【0134】
(5.10 実施例10) N-{2-[シアノ(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル}アセトアミド
【化11】

【0135】
氷酢酸(40mL)中の2-アミノ-2-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)エタンニトリル酢酸塩(3.5g, 11.0mmol)及び3-アセトアミド無水フタル酸(2.3g, 11.0mmol)の混合物を、17時間還流加熱した。この混合物を、真空で濃縮し、油状物を得た。油状物を、EtOAcに溶解し、水、ブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒を除去し、残渣をクロマトグラフィー(SiO2, CH2Cl2: EtOAc 98:2)により精製し、N-{2-[シアノ(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル}アセトアミド3.1g(62%)を白色固形物として得た;mp 124-126℃;1H NMR(CDCl3) δ 9.44 (s, 1H), 8.76 (d, J=8.4Hz, 1H), 7.67 (t, J=7.6Hz, 1H), 7.52 (d, 1=7.2Hz, 1H), 7.03-6.99 (m, 2H), 6.84 (d, J=8.0Hz, 1H), 5.60-5.53 (dd, J=6.2及び10.4Hz, 1H), 4.79-4.74 (m, 1H), 3.86-3.75 (m, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.29-3.20 (dd, J=6.4及び17Hz, 1H), 2.72 (s, 3H0, 1.97-1.56 (m, 8H);13C NMR(CDCl3) δ 169.58, 169.11, 167.18, 150.61, 147.98, 137.72, 136.28, 130.89, 128.66, 125.09, 119.80, 118.29, 116.78, 114.19, 111.90, 80.68, 56.02, 51.10, 32.73, 24.92, 24.03, 21.07. C25H25N3O5の分析の計算値:C 67.10;H 5.63;N 9.39. 実測値:C 66.89;H 5.42;N 9.26。
【0136】
(5.11 実施例11) アミノ-N-{2-[シアノ(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-1,3-ジオキシイソインドリン-5-イル}アミド
【化12】

【0137】
アセトニトリル(20mL)中の2-(5-アミノ-1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)エタンニトリル(1.0g, 2.7mmol)及びイソシアン酸クロロスルホニル(0.6g, 4.1mmol)の溶液を、室温で17時間攪拌した。この混合物を濃縮し、残渣を水(10mL)と共に攪拌した。得られた混合物を、酢酸エチル(3x30mL)で抽出した。酢酸エチル溶液を、水及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を除去し、残渣をクロマトグラフィー(SiO2, CH2Cl2:CH3OH 95:5)で精製し、アミノ-N-{2-[シアノ(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル}アミド0.25g(22%)を得た;mp 163-165℃;1H NMR(CDCl3) δ 8.05 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.61-7.49 (m, 2H), 7.03-6.99 (m, 2H), 6.82 (d, J=8Hz, 1H), 5.60-5.53 (dd, J=6.1及び10.3Hz, 1H), 5.30 (s, 2H), 4.07 (q, J=7Hz, 2H), 3.88-3.77 (m, 1H), 3.81 (s, 3H) , 3.26-3.17 (dd, J=6.2及び17Hz, 1H), 1.41 (t, J=7.0Hz, 3H);13C NMR(CDCl3) δ 167.77, 167.48, 155.72, 149.68, 148.44, 145.34, 132.95, 129.08, 124.76, 124.34, 123.11, 120,13,117.62, 113.23, 112.31, 111.53, 64.69, 55.91, 50.93, 21.21, 14.66. C21H20N4O5の分析の計算値:C 61.76;H 4.94;N 13.72. 実測値:C 62.01;H 5.21;N 13.07。
【0138】
(5.12実施例12) アミノ-N-{2-[シアノ(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル}アミド
【化13】

【0139】
アセトニトリル(20mL)中の2-(4-アミノ-1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-2-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)エタンニトリル(0.5g, 1.4mmol)及びイソシアン酸クロロスルホニル(0.3g, 2.1mmol)の溶液を、室温で17時間攪拌した。この混合物を濃縮し、残渣を水と共に攪拌した。得られた混合物を、CH2Cl2で抽出した。CH2Cl2溶液を、水及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を除去し、残渣をクロマトグラフィー(SiO2, CH2Cl2: EtOAc 7:3)で精製し、アミノ-N-{2-[シアノ(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル}アミド0.3g(57%)を得た;mp 179-181.5℃;1H NMR(DMSO-d6) δ 8.81 (s, 1H) , 8.59 (d, J=8.6Hz, 1H), 7.72 (t, J=8Hz, 1H), 7.43 (d, J=7.1Hz, 1H), 7.03-6.91 (m, 4H), 5.57 (t, J=7.4Hz, 1H), 4.01 (q, J=7Hz, 2H), 3.73 (s, 3H), 3.67-3.54 (m, 2H), 1.31 (t, J=7.0Hz, 3H);13C NMR(DMSO-d6) δ 168.46, 167.06, 155.10, 148.95, 147.83, 139.21, 135.85, 130.92, 129.15, 124.12, 119.33, 118.18, 115.88, 113,42, 112.18, 111.77, 63.83, 55.48, 49.66, 20.47, 14.62. C21H20N4O5+0.35H2Oの分析の計算値:C 60.82;H 5.03;N 13.53. 実測値:C 60.75;H 4.93;N 13.44。
【0140】
(5.13 実施例13) N-{2-[1-(3-シクロプロピルメトキシ-4-メトキシフェニル)2-メタンスルホニル-エチル]-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-アセトアミド
【0141】
【化14】

【0142】
酢酸(10mL)の中の1-(3-シクロプロピルメトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチルアミン(1.0g, 3.3mmol)溶液に、3-アセトアミド-無水フタル酸(1.37g, 6.7mmol)及び酢酸ナトリウム(0.54g, 6.7mmol)を添加した。この混合物を、一晩還流温度で加熱した。溶媒を真空で除去した。得られた油状物を、酢酸エチル(50mL)及び水(30mL)で抽出した。有機相を、水(30mLx2)及びブライン(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を真空で除去し、得られた油状物を、シリカゲルカラムで精製し、N-{2-[1-(3-シクロプロピルメトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-アセトアミドを白色固形物として得た(340mg, 21%):mp 102-104℃;1H NMR(CDCl3) δ 0.35-0.37 (m, 2H, c-CH2), 0.62-0.67 (m, 2H, c-CH2), 0.88-0.93(m, 2H, c-CH2), 1.25-1.32 (m, 1H, c-CH), 2.25 (s, 3H, CH3), 2.87(s, 3H, CH3), 3.75(dd, J=4,15Hz, 1H, CHH), 3.83-3.85(m, 5H, OCH2+OCH3), 4.53 (dd, J=10, 15Hz, 1H, CH2), 5.85 (dd, J=4, 10Hz, 1H, NCH), 6.84 (d, J=8Hz, 1H, Ar), 7.07-7.10 (m, 2H, Ar), 7.45 (d, J=5Hz, 1H, Ar), 7.62 (t, J=8Hz, 1H, Ar), 8.72 (d, J=8Hz, 1H, Ar), 9.45 (s, 1H, NHCO);13C NMR(CDCl3) δ 1.6, 3.2, 3.3, 24.7, 41.4, 48.3, 54.2, 55.8, 73.9, 111.5, 113.1, 115.0, 118.0, 120.3, 124.7, 129.1, 130.9, 135.9, 137.2, 148.6, 149.8, 167.2, 169.0, 169.3. C24H26N2O7Sの分析の計算値:C 59.25;H 5.39;N 5.76. 実測値:C 59.00;H 5.36;N 5.55。
【0143】
(5.14 実施例14) シクロプロパンカルボン酸{2-[1-(3-シクロプロピルメトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-アミド
【化15】

【0144】
DMF(18mL)中の1-(3-シクロプロピルメトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチルアミン(1.0g, 3.3mmol)の溶液に、2-ブロモメチル-6-(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-安息香酸メチルエステル(1.0g, 3.3mmol)及びトリエチルアミン(1.3mL, 9.8mmol)を添加した。この混合物を、90℃で一晩加熱した。溶媒を真空で除去した。得られた油状物を、酢酸エチル(50mL)及び水(30mL)で抽出した。有機相を、水(30mLx4)及びブライン(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を真空で除去し、得られた油状物を、シリカゲルカラムで精製し、シクロプロパンカルボン酸{2-[1-(3-シクロプロピルメトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-アミドを白色固形物として得た(50mg, 5%):mp 224-226℃;1H NMR(CDCl3) δ 0.35-0.39(m, 2H, c-CH2), 0.60-0.63 (m, 2H, c-CH2), 0.88-0,93 (m, 2H, c-CH2), 1.08-1.12 (m, 2H, c-CH2), 1.25-132 (m, 1H c-CH), 1.63-1.69 (m, 1H, c-CH), 2.95 (s, 3H, CH3), 3.69 (dd, J=5, 15Hz, 1H, CHH), 3.82 (d, J=4Hz, 2H, c-CH), 3.86 (s, 3H, CH3), 4.19 (dd, J=10, 17Hz, 1H, CHH), 4.20 (d, J=17Hz, 1H, CHHN), 4.43 (d, J=17Hz, 1H, CHHN), 5.72 (dd, J=5, 10Hz, 1H, NCH), 6.84-7.02 (m, 4H, Ar), 7.45 (t, J=8Hz, 1H, Ar), 8.43 (d, J=8Hz, 1H, Ar), 10.46 (s, 1H, NHCO);13C NMR(CDCl3) δ 3.3, 3.4, 8.3, 10.2, 16.2, 41.5, 47.9, 51.7, 55.9, 56.0, 74.3, 77.2, 111.8, 113.0, 116.7, 117.1, 117.9, 119.6, 129.4, 133.6, 138.2, 141.3, 149.1, 150.0, 170.1, 172.6. C26H30N2O6Sの分析の計算値:C 62.63;H 6.06;N 5.62. 実測値:C 62.41;H 5.95;N 5.43.
【0145】
(5.15 実施例15) (3R)-3(7-(3,3-ジメチル-ウレイド)-1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル}-3-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-N,N-ジメチル-プロピオンアミド
【化16】

【0146】
THF(5mL)中の(3R)-3-(7-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-3-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-N,N-ジメチル-プロピオンアミド(1.1g, 2.8mmol)及びジメチルカルバミルクロリド(0.5mL, 5.4mmol)の溶液を、2日間還流加熱した。この溶媒を真空で除去し、固形物を得、これを分取HPLCで精製し、(3R)-3[7-(3,3-ジメチル-ウレイド)-1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル]-3-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-N,N-ジメチル-プロピオンアミドを白色固形物として得た(450mg, 収率34%):mp 105-107℃;1H NMR(CDCl3) δ 1.44 (t, J=7Hz, 3H, CH3), 2.90 (s, 3H, CH3) , 3.05 (dd, J=6, 16Hz, 1H, CHH), 3.09 (s, 9H, 3CH3), 3,46 (dd, J=9, 15Hz, 1H, CHH), 3.85 (s, 3H, CH3), 4.07 (q, J=7Hz, 2H, CH2), 4.22 (d, J=17Hz, lH, NCHH), 4.41 (d, J=17Hz, 1H, NCHH), 5.63 (dd, J=6, 9Hz, 1H, NCH), 6.91-6.96 (m, 4H, Ar), 7.39 (t, J=8Hz, 1H, Ar), 8.30 (d, J=8Hz, lH, Ar), 9.99 (s, 1H, NH);13C NMR(CDCl3) δ 14.76, 35.57, 36.31, 36.38, 37.45, 48.70, 53.35, 55.97, 64.53, 111.46, 112.63, 115.07, 116.27, 117.57, 119.16, 131.90, 133.02, 139.61, 141.54, 148.55, 149.08, 155,49, 149.69, 170.15. C25H32N4O5+1.2H2Oの分析の計算値:C 61.26;H 7.07;N 11. 43;H2O 4.41. 実測値:C 60.89;H 6.95;N 11.10;H2O 4.04.
【0147】
(5.16 実施例16) (1S)-3-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-1,1-ジメチル-尿素
【化17】

【0148】
(1S)-7-アミノ-2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン(0.5g, 1.2mmol)及びジメチルカルバミルクロリド(0.6mL, 6.5mmol)の混合物を、2時間還流加熱した。この溶媒を真空で除去した。残渣を、塩化メチレン(50mL)及び炭酸水素ナトリウム(飽和, 50mL)で抽出した。有機相を、ブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を真空で除去し、残渣を分取HPLCで精製し、(1S)-3-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-1,1-ジメチル-尿素を白色固形物として得た(280mg, 収率48%):mp 170-172℃;1H NMR(CDCl3) δ 1.44 (t, J=7Hz, 3H, CH3), 2.91 (s, 3H, CH3), 3.11 (s, 6H, 2CH3), 3.70 (dd, J=5, 15Hz, 1H, CHH), 3.86 (s, 3H, CH3), 4.08 (q, J=7Hz, 2H, CH2), 4.16-4.25 (m, 2H, CHH, NCHH), 4.41 (d, J=17Hz, 1H, NCHH), 5.69 (dd, J=5, 10Hz, 1H, NCH), 6.83-6.95 (m, 4H, Ar), 7.43 (t,J=8Hz, 1H, Ar), 8.33 (d, J=8Hz, 1H, Ar), 9.85 (s, 1H, NH);13C NMR(CDCl3) δ 14.71, 3.32, 41.50, 48.06, 51.89, 55.99, 56.16, 64.65, 131.62, 112.30, 115.09, 116.63, 116.77, 119.34, 129.51, 133.68, 139.67, 141.19, 148.93, 149.80, 155.31, 170.64. C23H29N3O6S+1H2Oの分析の計算値:C 55.97;H 6.33;N 8.51;H2O 3.65. 実測値:C 55.57;H 6.02;N 8.44;H2O, 2.97。
【0149】
(5.17 実施例17) 50mg固形錠剤
各々、50mgの(1S)-N-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-2,2-ジメチルプロピオンアミドを含有する錠剤を、以下の方式で調製することができる:
【表2】

【0150】
固形成分は最初に、強制的に0.6mmメッシュ幅の篩を通した。次に活性成分、乳糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びスターチの半量を、混合した。残りの半量のスターチを、水40mL中に懸濁し、この懸濁液を、水100mL中のポリエチレングリコールの沸騰溶液に添加した。得られたペーストを、先の粉末化された物質(pulverulent substance)に添加し、この混合物を、必要ならば水を添加し造粒した。顆粒を、35℃で一晩乾燥し、強制的に1.2mmメッシュ幅の篩に通し、圧縮し、直径約6mmの錠剤を形成し、これは両側凹面であった。
【0151】
(5.18 実施例18) 100mg固形錠剤
各々、100mgの(1S)-N-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-2,2-ジメチルプロピオンアミドを含有する錠剤を、以下の方式で調製することができる:
【表3】

【0152】
全ての固形成分は最初に、強制的に0.6mmメッシュ幅の篩を通した。次に活性成分、乳糖、ステアリン酸マグネシウム及びスターチの半量を、混合した。残りの半量のスターチを、水40mL中に懸濁し、この懸濁液を、沸騰水100mLに添加した。得られたペーストを、先の粉末化された物質に添加し、この混合物を、必要ならば水を添加し造粒した。顆粒を、35℃で一晩乾燥し、強制的に1.2mmメッシュ幅の篩に通し、圧縮し、直径約6mmの錠剤を形成し、これは両側凹面であった。
【0153】
(5.19 実施例19) 75mgチュアブル錠
各々、75mgの(1S)-N-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-2,2-ジメチルプロピオンアミドを含有するチュアブル錠を、以下の方式で調製することができる:
【表4】

【0154】
全ての固形成分は最初に、強制的に0.25mmメッシュ幅の篩を通した。マンニトール及び乳糖を混合し、ゼラチン溶液を添加しながら造粒し、強制的に2mmメッシュ幅の篩に通し、50℃で乾燥し、再度強制的に1.7mmメッシュ幅の篩に通し、(1S)-N-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-2,2-ジメチル-プロピオンアミド、グリシン及びサッカリンを慎重に混合し、マンニトール、乳糖を造粒し、ステアリン酸及びタルクを添加し、全部を完全に混合し、圧縮し、直径約10mmの錠剤を形成し、これは両側凹面であり、上面に分割用溝を有した。
【0155】
(5.20 実施例20) 10mg 錠剤
各々、10mgの(1S)-N-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-2,2-ジメチルプロピオンアミドを含有する錠剤を、以下の方式で調製することができる:
【表5】

【0156】
固形成分は最初に、強制的に0.6mmメッシュ幅の篩を通した。次に活性アミド成分、乳糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びスターチの半量を、完全に混合した。残りの半量のスターチを、水65mL中に懸濁し、この懸濁液を、水260mL中のポリエチレングリコールの沸騰溶液に添加した。得られたペーストを、粉末化された物質に添加し、全部を混合し、必要ならば水を添加し造粒した。顆粒を、35℃で一晩乾燥し、強制的に1.2mmメッシュ幅の篩に通し、圧縮し、直径約10mmの錠剤を形成し、これは両側凹面であり、上面に分割用溝を有した。
【0157】
(5.21 実施例21) 100mg ゼラチンカプセル剤
各々、100mgの(1S)-N-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-2,2-ジメチルプロピオンアミドを含有するゼラチン乾燥-充填型カプセル剤を、以下の方式で調製することができる:
【表6】

【0158】
ラウリル硫酸ナトリウムを、(1S)-N-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-2,2-ジメチル-プロピオンアミドに、0.2mmメッシュ幅の篩にかけながら添加し、10分間でこれらふたつの成分を完全に混合させた。その後微結晶セルロースを、0.9mmメッシュ幅の篩を通して添加し、全部を再度10分間密に混合した。最後にステアリン酸マグネシウムを、0.8mm幅の篩をかけて添加し、更に3分間混合後、この混合物を、各々140mgの割合で、サイズ0(細長い)ゼラチン乾燥-充填型カプセルに導入した。
【0159】
(5.22 実施例22) 注射液
0.2%注射用又は点滴用液剤を、例えば以下の方式で調製した:
【表7】

【0160】
(1S)-N-{2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシ-フェニル)-2-メタンスルホニル-エチル]-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}-2,2-ジメチル-プロピオンアミドを、水1000mLに溶解し、マイクロフィルターを通して濾過した。緩衝液を添加し、水を含む全体を2500mLとした。単位剤形を調製するために、各々1.0又は2.5mL部分を、ガラスアンプルに導入した(各々、アミド2.0又は5.0mgを含有)。
【0161】
2003年10月14日に出願された米国特許同時継続出願第10/685,942号の全体は、本願明細書に参照として組入れられている。米国特許出願第10/685,942号は、1999年11月12日に出願された米国特許仮出願第60/165,158号の優先権を請求している、2000年6月8日に出願され現在廃棄されている米国特許出願第09/590,344号の一部継続出願である、2000年11月8日に出願され現在米国特許第6,667,316号である米国特許出願第09/708,199号の継続出願であり、これらは全てそれらの全体が本願明細書に参照として組入れられている。
【0162】
本願明細書に列記された全ての刊行物及び特許出願は、各々個別の刊行物及び特許出願が具体的かつ個別に本願明細書に参照によって組入れられていることを示すように、本願明細書に参照によって組入れられている。前記発明は、理解を明確化する目的で例証及び実施例により一部詳細に説明されているが、当業者には、本発明の技術を鑑み、添付された「特許請求の範囲」の精神又は範囲から逸脱しない限りは、それらにある種の変更及び修飾を行うことができることは容易に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩、もしくは溶媒和物:
【化1】


【請求項2】
下記化合物、又はそれらの医薬として許容し得る立体異性体:
【化2】


【請求項3】
下記化合物、又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ:
【化3】


【請求項4】
請求項1、2又は3記載の化合物を含有する、医薬組成物。
【請求項5】
更に医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含有する、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
請求項1、2又は3記載の化合物を含有する、剤形。
【請求項7】
経口又は非経口投与に適した、請求項6記載の剤形。
【請求項8】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を患者へ投与することを含む、患者においてPDE4を阻害する方法。
【請求項9】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を患者へ投与することを含む、患者においてTNF-αの生成を調節する方法。
【請求項10】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の望ましくない血管新生を治療、予防又は管理する方法。
【請求項11】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の癌を治療、予防又は管理する方法。
【請求項12】
前記癌が、固形腫瘍又は血液感染性腫瘍である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記癌が、皮膚;リンパ節;乳房;子宮頸部;子宮;胃腸管;肺;卵巣;前立腺;結腸;直腸;口腔;脳;頭頸部;咽喉;精巣;腎臓;膵臓;骨;脾臓;肝臓;膀胱;喉頭;又は、鼻腔の癌である、請求項11記載の方法。
【請求項14】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の疾患又は障害を治療、予防又は管理する方法であり、ここで疾患又は障害が、炎症疾患、自己免疫疾患、関節炎、関節リウマチ、炎症性腸疾患、パーキンソン病、クローン病、アフタ性潰瘍、悪液質、移植片対宿主疾患、喘息、成人呼吸窮迫症候群、肺の炎症、鬱病、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、乾癬又は後天性免疫不全症候群である、前記方法。
【請求項15】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の喘息を治療、予防又は管理する方法。
【請求項16】
化合物が吸入器により投与される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の多発性硬化症を治療、予防又は管理する方法。
【請求項18】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の心臓疾患を治療、予防又は管理する方法。
【請求項19】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の慢性閉塞性肺疾患を治療、予防又は管理する方法。
【請求項20】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の炎症性腸疾患を治療、予防又は管理する方法。
【請求項21】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者のアトピー性皮膚炎を治療、予防又は管理する方法。
【請求項22】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者のクローン病を治療、予防又は管理する方法。
【請求項23】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の関節リウマチを治療、予防又は管理する方法。
【請求項24】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の複合性局所疼痛症候群を治療、予防又は管理する方法。
【請求項25】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の骨髄増殖性疾患を治療、予防又は管理する方法。
【請求項26】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の骨髄異形成症候群を治療、予防又は管理する方法。
【請求項27】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の中枢神経障害を治療、予防又は管理する方法。
【請求項28】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者の黄斑変性を治療、予防又は管理する方法。
【請求項29】
請求項1、2又は3記載の化合物の有効量を、そのような治療、予防又は管理が必要な患者へ投与することを含む、患者のアスベスト関連疾患又は障害を治療、予防又は管理する方法。
【請求項30】
2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メチルスルホニルエチル]-4,5-ジニトロイソインドリン-1,3-ジオンの塩酸塩。

【公表番号】特表2008−508299(P2008−508299A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523777(P2007−523777)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026680
【国際公開番号】WO2006/025991
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(591120033)セルジーン・コーポレーション (84)
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
【Fターム(参考)】