説明

イソオキサゾール環を有するスルホンアミド誘導体

一般式(I−A):
【化1】


[式中、Rはヒドロキシ等;Rは置換されていてもよい低級アルキル等;Rは水素原子等;Rは置換されていてもよいアリレン等;
は式:
【化2】


で表わされる基;
は置換されていてもよいアリール等]で示される化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物、およびそれらを含有するメタロプロテアーゼ阻害剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソオキサゾール環を有するスルホンアミド誘導体およびそれらを含有するメタロプロテアーゼ阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞外マトリックスは、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン等から構成され、組織支持機能、細胞の増殖、分化、接着等の役割を持つ。細胞外マトリックスの分解には、活性中心に金属イオンを含むプロテアーゼであるメタロプロテアーゼ、特にマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が関与している。MMPにはMMP−1(I型コラゲナーゼ)からMMP−23まで多くのファミリーが報告され、本来の生理条件下では成長、組織改革等に作用している。しかし、組織破壊や繊維化を伴う各種病態(変形性関節炎、関節リウマチ、角膜潰瘍、歯周病、腫瘍の転移又は浸潤、ウイルス感染症(HIV感染症))では病態の進行と前記酵素の発現(活性)上昇が相関していることが報告されている。
MMP阻害作用を有するスルホンアミド誘導体が、特許文献1および非特許文献1等に記載されている。
オキサゾール環、チアゾール環、またはオキサジアゾール環を有するスルホンアミド誘導体が、特許文献2〜7に記載されている。
【特許文献1】国際公開第97/27174パンフレット
【特許文献2】国際公開第99/04780パンフレット
【特許文献3】国際公開第01/83461パンフレット
【特許文献4】国際公開第02/28844パンフレット
【特許文献5】国際公開第01/83463パンフレット
【特許文献6】国際公開第第01/83464パンフレット
【特許文献7】国際公開第第00/63194パンフレット
【非特許文献1】田村嘉則ら、ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J.Med.Chem.)1998年、第41巻、第4号、p.640−649
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
MMPの活性を阻害し得るならば、その活性に起因または関連する前記病態の改善、あるいは進行の防止に大きく寄与すると考えられ、MMP阻害剤の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは以上の点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、ある種の新規なイソオキサゾール環を有するスルホンアミド誘導体が、強いMMP阻害活性を示すことを見出し、以下の発明を完成した。
【0005】
本発明は、1)一般式(I):

(式中、W基は式:

(式中、RはNHOH、ヒドロキシ、または低級アルキルオキシ;
およびR2’はそれぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル;
は水素原子、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールアルキル;
は−CH−、−NH−、−O−、または−S−;
破線(…)は結合の存在または不存在を表わす)で表わされる基;
は置換されていてもよいアリレンまたは置換されていてもよいヘテロアリレン;
は式:

で表わされる基;
は置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、または置換されていてもよい非芳香族複素環基)で示される化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物、に関する。
【0006】
さらに詳しくは、以下の2)〜20)に関する。
2)Wが

(式中、R、R、およびRは1)と同意義)で表わされる基である1)記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
3)Rが式:


はそれぞれ独立して、ハロゲン、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルキルオキシ、低級アルケニルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、カルボキシ、低級アルキルオキシカルボニル、低級アルキルスルホニル、カルバモイル、アシル、アシルオキシ、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいアミノカルボニル;mは0〜3の整数;nは0〜4の整数;pは0〜5の整数;qは0〜6の整数;rは0〜7の整数;sは0〜11の整数)で表わされる基である1)または2)記載の化合物の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
ここで、上記で示されるRにおける環状置換基は、置換可能なすべての位置で置換基Rで置換され得る。また、上記環状置換基が縮合環である場合、置換基Rは置換しうるすべての位置で置換し得る。
【0007】
4)Rがヒドロキシである1)〜3)のいずれかに記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
5)RおよびR’がそれぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、低級アルキルチオ、グアニジノ、アミノ、もしくはシクロアルキルで置換されていてもよい低級アルキル、ヒドロキシで置換されていてもよいアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、もしくはニトロで置換されていてもよいアラルキル、ヒドロキシで置換されていてもよいヘテロアリール、ヒドロキシで置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、または水素原子である1)〜4)のいずれかに記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【0008】
6)RおよびR’がそれぞれ独立して、水素原子、メチル、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルバモイルメチル、カルバモイルエチル、メルカプトメチル、2−メチルチオエチル、シクロヘキシルメチル、3−グアジノプロピル、4−アミノブチル、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−フルオロベンジル、4−クロロベンジル、4−ブロモベンジル、4−ニトロベンジル、フェニルエチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、ビフェニルメチル、インドリル、チエニル、インドール−3−イルメチル、(5−ヒドロキシ−インドール−3−イル)メチル、チオフェン−2−イルメチル、イミダゾリルメチル、ベンゾオキサゾール−2−イルメチル、ベンゾチアゾール−2−イルメチル、またはベンズイミダゾール−2−イルメチルである5)記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
7)Rが水素原子である1)〜6)のいずれかに記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
8)Rが1,4−フェニレンまたは2,5−チオフェンジイルである1)〜7)のいずれかに記載の記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
9)Rが式:

(式中、R、m、p、およびrは3)と同意義)
で表わされる基である1)〜8)のいずれかに記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【0009】
10)一般式(II−A):

(式中、Rは水素原子、メチル、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、2−メチルチオエチル、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、または、インドール−3−イルメチル;
Xは−CH=CH−または−S−;
は式:

で表わされる基;
Zは−CH=CH−または−S−;
10は水素原子、ハロゲン、低級アルキル、低級アルキルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、アシル、ニトロ、シアノ、または置換されていてもよいアミノ)で示される化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
11)一般式(II−B):


(式中、Rは水素原子、メチル、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、2−メチルチオエチル、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、または、インドール−3−イルメチル;
Xは−CH=CH−または−S−;
は式:

で表わされる基;
20およびR21はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、低級アルキル、低級アルキルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、アシル、ニトロ、シアノ、もしくは置換されていてもよいアミノまたはR20およびR21が隣り合った炭素に結合する場合、R20およびR21が一緒になって、−CH=CH−CH=CH−、−O−CH−O−、−O−CH−CH−O−、−CH−CH−O−、もしくは−O−CH−CH−で表わされれる基を形成してもよい)で示される化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【0010】
12)一般式(II−C):

(式中、Rは水素原子、メチル、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、2−メチルチオエチル、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、または、インドール−3−イルメチル;
Xは−CH=CH−または−S−;
は式:

で表わされる基;
22およびR23はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、低級アルキル、低級アルキルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、アシル、ニトロ、シアノ、または置換されていてもよいアミノ)で示される化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
13)一般式(II−D):

(式中、Rは水素原子、メチル、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、2−メチルチオエチル、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、または、インドール−3−イルメチル;
Xは−CH=CH−または−S−;
は式:

で表わされる基;
24は、水素原子、ハロゲン、低級アルキル、低級アルキルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、アシル、ニトロ、シアノ、または置換されていてもよいアミノ)で示される化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【0011】
14)一般式(II−E):

(式中、Rは水素原子、メチル、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、2−メチルチオエチル、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、または、インドール−3−イルメチル;
は式:

で表わされる基;
Xは−CH=CH−または−S−;
25は、水素原子、ハロゲン、低級アルキル、低級アルキルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、アシル、ニトロ、シアノ、または置換されていてもよいアミノ)で示される化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
15)Rか、イソプロピル、s−ブチル、またはイソブチルである10)〜14)のいずれかに記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【0012】
16)1)〜15)のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する医薬組成物。
17)1)〜15)のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有するメタロプロテアーゼ阻害剤。
18)1)〜15)のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有するマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤。
19)メタロプロテアーゼに起因または関連する疾患を治療するための医薬を製造するための1)〜15)のいずれかに記載の化合物の使用。
20)1〜15)のいずれかに記載の化合物の治療上の効果を示す量を人を含む哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物のメタロプロテアーゼに起因または関連する疾患を治療する方法。
【0013】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「低級アルキル」なる用語は、炭素原子数1〜8の直鎖または分枝鎖の1価の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、neo−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等が挙げられる。好ましくは、C1〜C6アルキルが挙げられる。さらに好ましくは、C1〜C3アルキルが挙げられる。
本明細書中、「シクロアルキル」とは、炭素原子数が3〜8個であるシクロアルキルを包含する。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。好ましくはC3〜C6シクロアルキルが挙げられる。
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「低級アルケニル」とは、炭素原子数が2〜8個であり、1個もしくは2個以上の二重結合を有する、直鎖または分枝鎖の1価の炭化水素基を包含する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、クロトニル、イソペンテニル、種々のブテニル異性体等が挙げられる。好ましくは、C2〜C6アルケニルが挙げられる。さらに好ましくは、C2〜C4アルケニルが挙げられる。
本明細書中、「低級アルキニル」とは、炭素原子数が2〜8個であり、1個もしくは2個以上の三重結合を有する、直鎖または分枝鎖の1価の炭化水素基を包含し、二重結合を有していてもよい。例えば、エチニル、2−プロピニル、3−ブチニル、4−ペンチニル、5−ヘキシニル、6−ヘプチニル、7−オクチニル等が挙げられる。好ましくは、C2〜C6アルキニルが挙げられる。さらに好ましくは、C2〜C4アルキニルが挙げられる。
【0014】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「アリール」とは、単環状、縮合環状芳香族炭化水素、もしくは2個ないし3個の芳香間が連続して結合している芳香族炭化水素を包含する。例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリル,4−ビフェニル等が挙げられる。
およびR2’における「アリール」としてはフェニルが好ましい。
における「アリール」としてはフェニルが好ましい。
における「アリール」としてはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルが好ましい。
本明細書中、「アラルキル」とは、前記「低級アルキル」に前記「アリール」が1またはそれ以上置換したもので、これらは可能な全ての位置で置換しうる。例えば、ベンジル、フェニルエチル(例えば、2−フェニルエチル等)、フェニルプロピル(例えば、3−フェニルプロピル等)、ナフチルメチル(例えば、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル等)、アントリルメチル(例えば、9−アントリルメチル等)、ビフェニルメチル(例えば、4−ビフェニルメチル等)等が挙げられる。好ましくは、ベンジル、フェニルエチルが挙げられる。
およびR2’における「アラルキル」としてはベンジル、フェニルエチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、4−ビフェニルメチルが好ましい。
における「アラルキル」としてはフェニルC1−C3アルキルが好ましい。特に、ベンジルが好ましい。
【0015】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「ヘテロアリール」とは、任意に選ばれる、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を環内に1個以上含む5〜6員の芳香環を包含し、これはシクロアルキル、アリール、非芳香族複素環、もしくは他のヘテロアリールと縮合していてもよく、これらは可能な全ての位置で縮合しうる。例えば、ピロリル(例えば、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、フリル(例えば、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例えば、2−チエニル、3−チエニル)、イミダゾリル(例えば、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、ピラゾリル(例えば、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル)、イソチアゾリル(例えば、3−イソチアゾリル)、イソオキサゾリル(例えば、3−イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例えば、2−オキサゾリル)、チアゾリル(例えば、2−チアゾリル)、ピリジル(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピラジニル(例えば、2−ピラジニル)、ピリミジニル(例えば、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル)、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、テトラゾリル(例えば、1H−テトラゾリル)、オキサジアゾリル(例えば、1,3,4−オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例えば、1,3,4−チアジアゾリル)、インドリジニル(例えば、2−インドリジニル、6−インドリジニル)、イソインドリル(例えば、2−イソインドリル)、インドリル(例えば、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル)、インダゾリル(例えば、3−インダゾリル)、プリニル(例えば、8−プリニル)、キノリジニル(例えば、2−キノリジニル)、イソキノリル(例えば、3−イソキノリル)、キノリル(例えば、2−キノリル、5−キノリル)、フタラジニル(例えば、1−フタラジニル)、ナフチリジニル(例えば、2−ナフチリジニル)、キノキサニル(例えば、2−キノキサニル)、キナゾリニル(例えば、2−キナゾリニル)、シンノリニル(例えば、3−シンノリニル)、プテリジニル(例えば、2−プテリジニル)、カルバゾリル(例えば、2−カルバゾリル、3−カルバゾリル)、フェナントリジニル(例えば、2−フェナントリジニル、3−フェナントリジニル)、アクリジニル(例えば、1−アクリニジル、2−アクリニジル)、ジベンゾフラニル(例えば、1−ジベンゾフラニル、2−ジベンゾフラニル)、ベンゾイミダゾリル(例えば、2−ベンゾイミダゾリル)、ベンゾイソキサゾリル(例えば、3−ベンゾイソキサゾリル)、ベンゾオキサゾリル(例えば、2−ベンゾオキサゾリル)、ベンゾオキサジアゾリル(例えば、4−ベンゾオキサジアゾリル)、ベンゾイソチアゾリル(例えば、3−ベンゾイソチアゾリル)、ベンゾチアゾリル(例えば、2−ベンゾチアゾリル)、ベンゾフリル(例えば、3−ベンゾフリル)、ベンゾチエニル(例えば、2−ベンゾチエニル)等が挙げられる。
およびR2’における「ヘテロアリール」としては、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル等が好ましい。
における「ヘテロアリール」としては、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル等が好ましい。
における「ヘテロアリール」としては、キノリル(例えば、2−キノリル)、イソキノリル(例えば、1−イソキノリル、3−イソキノリル)、ピリジル(例えば、3−ピリジル)、ベンゾフラニル(例えば、2−ベンゾフラニル)、ベンゾチエニル(例えば、2−ベンゾチエニル)、ジベンゾフラニル、チエニル(例えば、2−チエニル)、フリル(例えば、2−フリル)等が好ましい。
【0016】
本明細書中、「ヘテロアリールアルキル」とは、前記「低級アルキル」の任意の位置に前記「ヘテロアリール」が1または2以上置換したもので、これらは可能な全ての位置で置換しうる。例えば、オキサゾリルメチル(例えば、2−オキサゾリルメチル、4−オキサゾリルメチル)、チアゾリルメチル(例えば、2−チアゾリルメチル、4−チアゾリルメチル)、オキサゾリルエチル(例えば、5−オキサゾリル−2−エチル)、チアゾリルエチル(例えば、5−チアゾリル−2−エチル)、ベンゾオキサゾリルメチル(例えば、ベンゾオキサゾール−2−イルメチル)、ベンゾチアゾリルメチル(例えば、ベンゾチアゾール−2−イルメチル)、インドリルメチル(例えば、インドール−3−イルメチル)、イミダゾリルメチル(例えば、4−イミダゾリルメチル)、インダゾリルメチル(例えば、1−インダゾリルメチル)、ベンゾトリアゾリルメチル(例えば、1−ベンゾトリアゾリルメチル)、ベンゾキノリルメチル(例えば、2−ベンゾキノリルメチル)、ベンゾイミダゾリルメチル(例えば、ベンゾイミダゾール−2−メチル)、ピリジルメチル(例えば、4−ピリジルメチル)、フリルメチル(例えば、フラン−2−イルメチル)、チエニルメチル(例えば、チオフェン−2−イルメチル)等が挙げられる。
およびR2’における「ヘテロアリールアルキル」としては、インドリルメチル(例えば、インドール−3−イルメチル)、イミダゾリルメチル(例えば、イミダゾール−5−イルメチル)、ベンゾオキサゾリルメチル(例えば、ベンゾオキサゾール−2−イルメチル)、ベンゾチアゾリルメチル(例えば、ベンゾチアゾール−2−イルメチル)、ベンズイミダゾリルメチル(例えば、ベンゾイミダゾール−2−メチル)、チエニルメチル(例えば、チオフェン−2−イルメチル)、またはチアゾリルメチル(例えば、2−チアゾリルメチル、4−チアゾリルメチル)等が挙げられる。
における「ヘテロアリールアルキル」としては、インドリルメチル(例えば、インドール−3−イルメチル)、イミダゾリルメチル(例えば、イミダゾール−5−イルメチル)、チエニルメチル(例えば、チオフェン−2−イルメチル)、またはチアゾリルメチル(例えば、2−チアゾリルメチル、4−チアゾリルメチル)等が挙げられる。
【0017】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「非芳香族複素環」なる用語は、任意に選ばれる、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を環内に1個以上含む非芳香族の5〜7員環またはそれらが2個以上縮合した環を包含する。例えば、ピロリジニル(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル)、ピロリニル(例えば、3−ピロリニル)、イミダゾリジニル(例えば、2−イミダゾリジニル)、イミダゾリニル(例えば、イミダゾリニル)、ピラゾリジニル(例えば、1−ピラゾリジニル、2−ピラゾリジニル)、ピラゾリニル(例えば、ピラゾリニル)、ピペリジル(例えば、ピペリジノ、2−ピペリジル)、ピペラジニル(例えば、1−ピペラジニル)、インドリニル(例えば、1−インドリニル)、イソインドリニル(例えば、イソインドリニル)、モルホリニル(例えば、モルホリノ、3−モルホリニル)、4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、1,2,3,4−テトラヒドロ−[1,8]ナフチリジン、1,3−ベンゾジオキソラニル、1−ベンゾオキソラニル、1,4−ベンゾジオキサニル等が挙げられる。
における「非芳香族複素環」としては、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピロリニル、モルホリニル、1,3−ベンゾジオキソラニル、1−ベンゾオキソラニル、1,4−ベンゾジオキサニル等が好ましい。
【0018】
本明細書中、「アリレン」とは、前記「アリール」から誘導される2価基を意味する。例えば、フェニレン、ナフチレン等が挙げられる。さらに詳しくは、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等が挙げられる。好ましくは1,4−フェニレンが挙げられる。
本明細書中、「ヘテロアリレン」とは、前記「ヘテロアリール」から誘導される2価基を意味する。例えば、チオフェンジイル、フランジイル、ピリジンジイル等が挙げられる。好ましくは、2,5−チオフェンジイル、2,5−フランジイル等が挙げられる。
【0019】
本明細書中、「ハロゲン」とはフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を意味する。好ましくは、フッ素、塩素、および臭素が挙げられる。
本明細書中、「低級アルキルオキシ」としては、メチルオキシ、エチルオキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ等が挙げられる。好ましくは、メチルオキシ、エチルオキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、t−ブチルオキシが挙げられる。C1〜C3アルキルオキシが好ましい。
本明細書中、「低級アルケニルオキシ」としては、ビニルオキシ、アリルオキシ、プロペニルオキシ、3−ブテニルオキシ、2−ブテニルオキシ(クロトニルオキシ、イソクロトニルオキシ)、1−ブテニルオキシ、イソペンテニルオキシ等が挙げられる。C2〜C3アルケニルオキシが好ましい。
本明細書中、「低級アルキルチオ」としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、s−ブチルチオ、イソブチルチオ、t−ブチルチオ等が挙げられる。C1〜C3アルキルチオが好ましい。
【0020】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「ハロ低級アルキル」なる用語は、前記ハロゲンによって1〜8個所、好ましくは1〜5個所置換された前記「低級アルキル」を包含する。例えば、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、ジクロロエチル、トリクロロエチル等が挙げられる。好ましくは、トリフルオロメチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロ低級アルキルオキシ」としては、トリフルオロメチルオキシ等が挙げられる。
本明細書中、「ハロ低級アルキルチオ」としては、トリフルオロメチルチオ等が挙げられる。
本明細書中、「ヒドロキシ低級アルキル」なる用語は、ヒドロキシル基によって置換された前記「低級アルキル」を包含する。例えば、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキプロピル、2−ヒドロキプロピル、3−ヒドロキシプルピル等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
本明細書中、「低級アルキルオキシカルボニル」としては、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、n−プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル等が挙げられる。
本明細書中、「低級アルキルスルホニル」としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル等が挙げられる。好ましくはメチルスルホニルが挙げられる。
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「アシル」なる用語は、アルキル部分が前記「低級アルキル」であるアルキルカルボニルまたはアリール部分が前記「アリール」であるアリールカルボニルを包含する。例えば、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル等が挙げられる。「低級アルキル」および「アリール」は後述のそれぞれの置換基によって置換されていてもよい。
本明細書中、「アシルオキシ」としては、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
本明細書中、「アリールオキシ」としては、フェニルオキシ、1−ナフトキシ、2−ナフトキシが挙げられる。
本明細書中、「アラルキルオキシ」としては、ベンジルオキシ、フェニルエチルオキシ、フェニルプロピルオキシ等が挙げられる。
【0021】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「置換されていてもよいアミノ」とは、アミノまたは前記「低級アルキル」、前記「アラルキル」、前記「ヘテロアリールアルキル」、もしくは前記「アシル」で1または2個所置換されているアミノを包含する。好ましくは、アミノまたは、C1〜C6アルキル、フェニルC1〜C3アルキル、ピリジルC1〜C3アルキル、C1〜C6アルキルカルボニル、もしくはアリールカルボニルで1または2個所置換されていてもよいアミノが挙げられる。例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ、ベンジルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。好ましくはアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセチルアミノが挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよいアミノカルボニル」としては、アミノカルボニルまたは、C1〜C6アルキルで1または2個所置換されていてもよいアミノカルボニルが好ましい。アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、エチルメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル等が挙げられる。好ましくは、アミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニルが挙げられる。
【0022】
本明細書中、「置換されていてもよい低級アルキル」における置換基としては、シクロアルキル、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、メルカプト、低級アルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、低級アルキルオキシカルボニル、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいアミノカルボニル、アシル、アシルオキシ、置換されていてもよい非芳香族複素環基、アリールオキシ、アラルキルオキシ、低級アルキルスルホニル、グアニジノ、アゾ基、置換されていてもよいウレイド、カルバモイル等が挙げられる。これらは、全ての可能な位置で1個以上置換しうる。
およびR2’における「置換されていてもよい低級アルキル」の置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、低級アルキルチオ、シクロアルキルが好ましい。
における「置換されていてもよい低級アルキル」の置換基としては、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、置換されていてもよい非芳香族複素環基が好ましい。
【0023】
本明細書中、「置換されていてもよいアリレン」、「置換されていてもよいヘテロアリレン」、「置換されていてもよいアリール」、「置換されていてもよいヘテロアリール」、「置換されていてもよい非芳香族複素環基」、「置換されていてもよいアラルキル」、「置換されていてもよいヘテロアリールアルキル」、および「置換されていてもよいウレイド」における置換基としては、置換されていてもよい低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、メルカプト、低級アルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、低級アルキルオキシカルボニル、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいアミノカルボニル、アシル、アシルオキシ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよい非芳香族複素環、置換されていてもよいアラルキル、低級アルキルスルホニル、グアニジノ、アゾ基、または置換されていてもよいウレイド、カルバモイル、低級アルケニルオキシ等が挙げられる。これらは、全ての可能な位置で1個以上置換しうる。
における「置換されていてもよいアリレン」および「置換されていてもよいヘテロアリレン」の置換基としては、ハロゲン、ニトロ、シアノ、低級アルキルオキシ等が挙げられる。非置換の「アリレン」および「ヘテロアリレン」が好ましい。
【0024】
およびR2’における「置換されていてもよいアリール」の置換基としては、ヒドロキシが好ましい。
における「置換されていてもよいアリール」の置換基としては、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、ハロゲン、またはハロ低級アルキルが好ましい。
における「置換されていてもよいアリール」の置換基としては、ハロゲン、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルキルオキシ、低級アルケニルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、カルボキシ、低級アルキルオキシカルボニル、低級アルキルスルホニル、カルバモイル、アシル、アシルオキシ、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいアミノカルボニルが挙げられる。ハロゲン、低級アルキル、低級アルキルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、アシル、ニトロ、シアノ、または置換されていてもよいアミノが好ましい。
【0025】
およびR2’における「置換されていてもよいヘテロアリール」の置換基としては、ヒドロキシまたはハロゲンが好ましい。
における「置換されていてもよいヘテロアリール」の置換基としては、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、ハロゲン、またはハロ低級アルキルが好ましい。
における「置換されていてもよいヘテロアリール」の置換基としては、ハロゲン、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルキルオキシ、低級アルケニルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、カルボキシ、低級アルキルオキシカルボニル、低級アルキルスルホニル、カルバモイル、アシル、アシルオキシ、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいアミノカルボニルが挙げられる。ハロゲン、低級アルキル、低級アルキルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、アシル、ニトロ、シアノ、または置換されていてもよいアミノが好ましい。
【0026】
およびR2’における「置換されていてもよいアラルキル」の置換基としては、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、低級アルキルオキシ、またはハロ低級アルキルが好ましい。
における「置換されていてもよいアラルキル」の置換基としては、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、ハロゲン、ハロ低級アルキル、またはニトロが好ましい。
およびR2’における「置換されていてもよいヘテロアリールアルキル」の置換基としては、ハロゲンまたはヒドロキシが好ましい。
における「置換されていてもよいヘテロアリールアルキル」の置換基としては、ヒドロキシ、低級アルキルオキシ、ハロゲン、またはハロ低級アルキルが好ましい。
における「置換されていてもよい非芳香族複素環基」の置換基としては、ハロゲン、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルキルオキシ、低級アルケニルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、カルボキシ、低級アルキルオキシカルボニル、低級アルキルスルホニル、カルバモイル、アシル、アシルオキシ、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいアミノカルボニルが挙げられる。ハロゲン、低級アルキル、低級アルキルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、アシル、ニトロ、シアノ、または置換されていてもよいアミノが好ましい。
本発明化合物は複数のMMP(例えば、MMP−2、MMP−8、MMP−9、MMP−12、MMP−13)に対して非常に優れた阻害活性を有する。また、タンパク結合率が比較的低く、経口吸収性がよいばかりでなく、毒性も低く医薬品として優れている。
【0027】
本発明に係るイソオキサゾール環を有するスルホンアミド誘導体は、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害作用、特に複数のMMPに対して強い阻害作用を有し、MMPを起因とする疾患の治療または予防剤として有効に機能し得ることを見出した。また、タンパク結合率が比較的低く、経口吸収性がよいばかりでなく、毒性も低く医薬品として優れていることを見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明化合物であるイソオキサゾール誘導体は、次に示すA法またはB法に従って合成することができる。また、一般式(I)におけるWが、環状構造を有する場合は、WO00/46189、WO00/58304、WO00/58280に記載の方法によっても合成することができる。
(A法)

(R、R、R、およびRは前記と同意義、R11はカルボキシル基の保護基、R12はシリル基を有する保護基、Xはハロゲン)
【0029】
第1工程
ハロゲン化物(III)に三重結合を導入し、化合物(V)を得る工程である。ハロゲン化物(III)とシリルアセチレン化合物(IV)を溶媒に溶かした溶液に、−10〜80℃、好ましくは0〜50℃でパラジウム触媒と銅触媒を加え、よく脱気してアルゴンガス置換する。次いでアミンを加え、0〜100℃、好ましくは10〜80℃で、3〜72時間、好ましくは8〜24時間攪拌した。反応液を冷却したのち酸性条件下で抽出を行なった後、通常の後処理をおこない、乾燥後、減圧濃縮した。残渣に塩基と溶媒を加え−10〜80℃、好ましくは0〜50℃で3〜72時間、好ましくは8〜24時間攪拌した。溶媒を留去後、通常の後処理を行ない、化合物(V)を得ることができる。
シリルアセチレン化合物としてはトリメチルシリルアセチレン等が好ましい。
カップリング反応での溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が好ましい。
パラジウム触媒としてはジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、酢酸パラジウム等が好ましい。
銅触媒としては、ヨウ化銅等が好ましい。
アミンとしては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が好ましい。
脱保護反応における塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が好ましい。
脱保護反応における溶媒としては、メタノール、エタノール等が好ましい。
【0030】
第2工程
この工程はイソオキサゾール環を構築する工程である。アルゴン雰囲気下、アルドキシム(VI)を溶媒に溶かし、ハロゲン化剤を加え、10〜150℃、好ましくは30〜100℃で、0.1〜6時間、好ましくは3〜5時間攪拌し、−20〜30℃、好ましくは−10〜10℃で、化合物(V)とアミンを溶媒に溶かした溶液を加え、−10〜80℃、好ましくは10〜50℃で、6〜72時間、好ましくは12〜24時間攪拌し、化合物(VII)が得られる。
溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
ハロゲン化剤としては、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド等が挙げられる。
アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。
【0031】
第3工程
化合物(VII)のカルボキシの保護基を脱保護する反応である。WO97/27174に記載のA法第1工程と同様の方法で合成することができる。
(B法)
【0032】

(R、R、R、R、R11およびXは前記と同意義)
【0033】
第1工程
この工程は化合物(X)のアミノ基をスルホニル化することにより化合物(XI)を得る工程である。WO97/27174に記載のA法第1工程と同様の方法で合成することができる。
【0034】
第2工程
この工程は化合物(XI)の二重結合をオゾン酸化することによりアルデヒド(XII)を得る反応である。通常行われるオゾン酸化の条件で行なうことができる。例えば、化合物(XI)を溶媒に溶かし、−100〜−30℃、好ましくは−90〜−50℃に冷却し、オゾンガスを通じながら0.1〜6時間、好ましくは0.2〜3時間攪拌する。同温度で還元剤を加え0.1〜6時間、好ましくは0.2〜3時間攪拌し、さらに−10〜50℃、好ましくは0〜40℃で0.1〜6時間、好ましくは0.2〜3時間攪拌する。反応液を減圧濃縮して得られた化合物(XII)は、精製することなく次の反応に用いる。
溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、メタノール、塩化メチレン−メタノールの混合溶媒、等が好ましい。
還元剤としては、メチルスルフィド、トリフェニルホスフィン等が好ましい。
【0035】
第3工程
上記工程により得られたアルデヒド(XII)をアルドキシム(XIII)に誘導する反応である。化合物(XII)とヒドロキシルアミン誘導体を溶媒に溶かし、塩基を加えて、−10〜80℃、好ましくは0〜50℃で3〜72時間、好ましくは8〜48時間攪拌して、化合物(XIII)を得る。
溶媒としては、テトラヒドロフラン、水、テトラヒドロフラン−水の混合溶媒等が好ましい。
ヒドロキシルアミン誘導体としては、ヒドロキシルアミン塩酸塩、ヒドロキシルアミ硫酸塩等が挙げられる。
塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0036】
第4工程
この工程はアルドキシム(XIII)からイソオキサゾール環を構築する工程である。アルドキシム(XIII)とハロゲン化剤を溶媒に溶かした溶液を、10〜150℃、好ましくは30〜100℃で、0.1〜6時間、好ましくは0.2〜3時間攪拌する。反応液の温度を−20〜30℃、好ましくは−10〜10℃とし、化合物(XIV)とアミンを溶媒に溶かした溶液を加え、同温で1〜60分、好ましくは、3〜30分間、さらに−10〜80℃、好ましくは10〜50℃で、6〜72時間、好ましくは12〜48時間攪拌し攪拌し、化合物(XV)を得ることができる。
溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
ハロゲン化剤としては、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド等が挙げられる。
アミンとしては、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0037】
第5工程
化合物(XV)のカルボキシの保護基を脱保護する反応である。WO97/27174に記載のA法第1工程と同様の方法で合成することができる。
【0038】
慢性閉塞性肺疾患、腎炎、癌、心不全、大動脈瘤、変形性関節症、アジュバント関節炎、眼内血管新生、糖尿病性網膜症についての本発明化合物の治療効果は、以下に示す方法によって効果を確認することができる。
1)慢性閉塞性肺疾患
Sprague−Dawley雄性ラット(実験開始時体重390−430g)に、市販のフィルター付き煙草を喫煙曝露システムを用いて7−8週間にわたり週5日間、1日30本にて全身曝露する。被験化合物は、0.5%メチルセルロースに懸濁し、30mg/kgにて1日2回経口投与する。媒体群は2ml/kgの0.5%メチルセルロースを経口投与する。最終の煙草煙曝露から16−24時間後に40mg/kgのペントバルビタールナトリウム腹腔内投与により麻酔する。筋弛緩剤の臭化パンクロニウム静脈内投与(0.3mg/ラット)にて自発呼吸停止後すぐに従圧式人工呼吸器を用いて人工呼吸下に置き、動肺コンプライアンスを評価する。放血致死後、気道とガラス製注射筒をチューブでつなぎ、経肺圧が30cmHOになるまで空気を注入した後、経肺圧が0cmHOになるまで空気を抜き、さらに経肺圧が−20cmHOになるまで引く。この空気を抜いた際の経肺圧と肺容量の変化を観察し、圧容量曲線として記録する。この圧容量曲線の傾きを静肺コンプライアンスとして評価する。経肺圧が25cmHOを示す全肺気量位から経肺圧0cmHOを示す機能的残気量位までの肺容量の変化を最大吸気量として評価する。
データは平均±標準誤差で示す。統計的検定はStudentのt検定法の片側検定により行い、P<0.05のとき有意差ありと判定する。
【0039】
2)腎炎
5週齢のSlc−Wistar系雄性ラットを室温25℃、湿度40〜60%、明暗サイクル12時間の条件下で固形飼料(CA−1,日本クレア製)と水道水を自由に摂取させ、1週間の予備飼育を行う。その後、ラットをステンレス製代謝ケージに個別に収容し、7週齢(体重150〜180g)で実験に使用する。E−30モノクローナル抗体(日本腎臓学会誌36巻,1994年,p−106)を100μg/0.4ml/ラットとなるように生理的食塩水で希釈し、ラット尾静脈より投与する。被験化合物を5%アラビアゴム溶液に懸濁し、E−30投与1.5時間前に30mg経口投与し、以後1日に1回30mgを連続投与する。被験化合物投与後直ちにラットをステンレス製代謝ケージに個別に収容し、24時間尿を採取する。採取した尿は、尿量測定後、室温で3000rpm、10分間遠心分離し、上清を尿中蛋白排泄量の測定に用いる。尿中蛋白はピロガロールレッド法(マイクロTP−テストワコー,和光純薬製)を用いて測定する。実験開始5日後あるいは2日後の尿中蛋白排泄量を薬剤無処置群に対して比較し、阻害率を算定する。
実験最終日(5日後)に血液を採取し、血中尿素窒素(BUN)濃度を測定した。血中尿素窒素濃度については、尿素窒素B−テストワコー(和光純薬製)を用いて測定し、薬物非処置群との比較により血中尿素窒素上昇抑制率を算出する。
【0040】
3)癌
Lewis肺癌細胞(4x105個)をBDF1マウスの尾静脈内に移植した後、被験化合物をビークル(0.5%メチルセルロース水溶液)に懸濁した状態で経口投与する。
被験化合物は、癌移植前後に計5回(−4h,1h,24h,48h,72h)投与する。投与量は20および200mg/kgとする。癌移植後14日目に剖検し、肺に形成されたコロニー数を指標に有効性を判定する。
【0041】
4)心不全
a)冠動脈永久閉塞
Wistar系雄性ラット(12週齢)をペントバルビタール(30mg/kg)麻酔下に人工呼吸を施し開胸する。左冠動脈前下行枝を5−0ナイロン糸により結紮した後、速やかに閉胸する。麻酔覚醒後、飼育ケージに戻し通常飼育を行う。冠動脈結紮7日後、第1誘導心電図を記録し、Q波の下降が認められた(心筋梗塞を発症した)個体のみを用いる。結紮後8日目より21日目まで被験化合物(30mg/kg/day p.o suspended in 1.5%アラビアゴム)の投与を行う。翌日、以下の試験b)および試験c)の手法を用いて左心室内圧の測定および左心室圧−容量曲線(コンプライアンス)の記録を行う。
b)左心室内圧(心機能)の測定
ハロセン麻酔下で右頚動脈から右心室内へカテーテルを挿入し、圧トランスデューサーを介して左心室内圧(LVEDP)および収縮速度(dP/dt)を記録する。
c)左心室圧−容量曲線の記録
ハロセン麻酔下で、右頚動脈より5MKCl(1ml/rat)を投与し、心臓を拡張期で停止させ速やかに摘出する。右心室を切開除去した後、大動脈から左心室へ生理食塩水を満たしたカテーテルを挿入(6mm)し、房室溝を結紮する。カテーテルよりヘパリン生理食塩水を灌流し、心室内の血液を完全に除去する。初期圧を−5mmHgにした後、LV圧が30mmHgになるまで生理食塩水を0.68または0.20ml/min(0.34ml/min=20.4ml/h)の速度で注入し、同時に圧変化を記録する(Sonoki et al.J.J.P 74,171(1991)参照)。得られた左心室容量および試験b)で得られた左心室圧からコンプライアンス(心室拡張:リモデリング)を算出する。
【0042】
5)大動脈瘤
大動脈瘤の治療剤としての効果を確認する方法としては、以下に示す2つの方法が挙げられる。
A)エラスターゼ誘発ラット腹部大動脈瘤モデルを用いたアッセイ
体重380〜430gのSprague−Dawley系統雄性ラットを用いる。腹部および左大腿部を麻酔下に切開し、腎臓下腹部大動脈を長さ約1cmの範囲に渡って結合組織および大静脈を剥離することによって露出させる。上端をクレンメで挟み血流を止め、分岐細動脈はマイクロクリップ(Sugita Standard Aneurysm Clip for Temporary Occlusion;Mizuho Ikakogyo Co.Ltd.,No.0794052)で止める。左大腿動脈からPE50ポリエチレンチューブ(Clay Adams)を挿入し大動脈当該部位中央に先端を位置したのち縫合糸で血管外側から結索しチューブを固定する。PE50の他端を注射器に接続し、エラスターゼ溶液(Pancreatic Elastase Type I;Sigma Co.を0.01Mリン酸緩衝液pH8.0で40倍希釈)を2時間(1.0ml/hour)注入する。送液にはシリンジポンプ(テルモ、ME−STC525)を用いる。注入終了後全ての器具を取り除き、大腿動脈および表皮切開部を縫合する。以上のモデル作製法は、Anidjar S.ら(Circulation 1990;82:973)の方法を一部改変したものである。本処理の当日あるいは数日後から7日後の解剖日までMMP阻害剤を連日投与する。大動脈瘤形成(拡張)に対するMMP阻害剤の抑制作用の評価は、大動脈当該部位の直径拡張率および病理組織検査によって行う。大動脈直径の計測は、エラスターゼ注入直前、注入終了直後および解剖時点(麻酔下で)の合計3回行い、デジタルキャリパー(Mitutoyo Co.,CD−S15C、誤差±0.02mm)で外径を測定する。注入終了直後から解剖時点までの直径拡張率を対照群と阻害剤投与群とで比較する。病理組織切片にはエラスチカ−マッソン染色を施し、エラスチン繊維の断裂状態を対照群と投薬群とで比較する。エラスチン繊維断裂は、組織中エラスチンあるいはデスモシン含量をアミノ酸分析計等で定量することによっても測定する。
【0043】
B)ウサギ腹部大動脈瘤モデルを用いたアッセイ
0.5%コレステロール含有飼料を1〜2週間与え血中コレステロール値が上昇した状態の雄性NZWウサギ(体重2.5kg前後)を用いる。麻酔下に腹部を切開し、腎臓下腹部大動脈を長さ約2cmの範囲に渡って結合組織および大静脈を剥離することによって露出させる。0.05M Sodium Thioglycollate(Sigma)と0.15M CaClを含んだ0.1M Tris−HCl−buffer(pH7.5)を絵筆で15分間大動脈当該部位に塗布した後切開部を縫合する。以上のモデル作製法は、Freestone T.ら(Arterioscler Thromb Vasc Biol.1997;17:10−17)の方法を一部改変したものである。本処理の当日ないしは数日後から2ないし3週間後の解剖日までMMP阻害剤を連日投与する。大動脈瘤形成(拡張)に対するMMP阻害剤の抑制作用の評価は、大動脈当該部位の直径拡張率および病理組織検査によって行う。大動脈直径の計測は、Tris−HCl−buffer塗布直前、塗布終了直後および解剖時点(麻酔下で)の合計3回行い、デジタルキャリパー(Mitutoyo Co.,CD−S15C、誤差±0.02mm)で外径を測定する。塗布終了直後から解剖時点までの直径拡張率を対照群と阻害剤投与群とで比較する。病理組織検査については上記のラットを用いたアッセイと同様に行う。
【0044】
6)変形性関節症
12週齢の雌性Hartley系モルモット(日本チャールズリバー)を用いて、Meacockらの方法(J.Exp.Path.71:279−293,1990)に従い右側膝関節半月板および内側側副靭帯切除を行い、モルモット変形性膝関節症モデルを作製する。手術翌日から溶媒0.5%メチルセルロース溶液、あるいは30mg/kgの化合物を1日1回、10日間連日経口投与する。
投与最終日の翌日、右側大腿骨遠位部および脛骨近位部を採取する。関節軟骨表面をindia ink(呉竹社製)で染色した後、軟骨表面をデジタルカメラ(ニコン社製)で撮影する。脛骨内側部全体面積及び染色面積を画像解析ソフト(Win Roof,MITANI CORPORATION製)により計測する。
(傷害領域(%)=染色面積/全体面積×100)
また同様にして、12週齢の雌性NZW系ウサギ(北山ラベス)または12週齢の雌性SD系ラット(日本クレア)を用いて6週間連日経口投与することによっても、本発明化合物が変形性関節症の治療に有効であることが分かる。
【0045】
7)アジュバント関節炎
7週齢の雌性Lewisラット(日本チャールズリバー社製)を用いて、Fletcherらの方法(J.Pharmacol.Exp.Ther.284(2):714−721)に従い牛酪死菌を右後肢足蹠へ投与しラットアジュバント関節炎モデルを作製する。投与翌日から溶媒である0.5%メチルセルロース溶液、あるいは30mg/kgの被験化合物を1日1回経口投与する。投与21日後、後肢腫脹の程度を体積記録計(塩野義社製)を用いて測定した後、脾臓および胸腺を採取し重量を測定する。また、両後肢のX線撮影(OHMIC社製)を行う。X線像の判定は関節破壊の程度により0(正常)から3(骨・軟骨完全破壊)までのスコアで盲検法により行う。
【0046】
8)眼内血管新生
7日齢のC57BL/6J系マウスを75%酸素条件下で5日間飼育する。その後通常空気下で5日間飼育後、マウスの眼球を摘出し、10%ホルマリン溶液中で浸積固定する。固定した眼球は、パラフィン包埋し、約100μm間隔で厚さ6μmの断続組織切片を作成する。視神経乳頭を含まずレンズを有する組織切片をPAS染色し、網膜から硝子体へ突出する細胞の核数を新生血管の指標として計測する。被験化合物は腹腔内、皮下あるいは経口投与し、薬効評価する。
【0047】
9)糖尿病性網膜症
20〜27週齢のII型糖尿病モデル動物であるGKラット(Shionogi Aburahi Laboratories,Shiga,Japan;Goto Y,Suzuki K,Ono T,Sasaki M,Toyota T.Advances in Experimental Medicine and Biology 246,1988,29−31)をハロタン麻酔し、ミドリンP(登録商標:参天製薬、一般名:トロピカミド・塩酸フェニレフリン)を点眼し瞳孔を散大させた後、視神経乳頭部を中心に緑色光(L4887,Hamamatsu Photonics K.K.)10,000ルクスを3分間照射する。続いて、光増感物質であるローズベンガル20mg/kgを静脈内注入して生じる光化学反応で網膜血管の傷害を惹起する。血管傷害惹起20分後より被験化合物を経口投与(30mg/kg/day po)する。血管傷害惹起後に生じる眼底の経時的変化を観察するため、血管傷害惹起直後,1,3および5日後に眼底像を眼底カメラ(PROIII,KOWA)で撮影する。
【0048】
本明細書中、「溶媒和物」とは、例えば有機溶媒との溶媒和物、水和物等を包含する。水和物を形成する時は、任意の数の水分子と配位していてもよい。
「本発明化合物」という場合には、製薬上許容される塩、またはその溶媒和物も包含される。例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)、アンモニウム、有機塩基およびアミノ酸との塩、または無機酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸等)、および有機酸(酢酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)との塩が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
また、本発明化合物は特定の異性体に限定するものではなく、全ての可能な異性体(例えば、光学活性体)やラセミ体を含むものである。
【0049】
本発明化合物は後述する試験例の記載の通り、優れたMMP阻害活性を示す。
具体的には、慢性閉塞性肺疾患、変形性関節症、関節リウマチ、アジュバント関節炎、角膜潰瘍、歯周炎、ウイルス感染症(例えば、HIV感染症)の進行、閉塞性動脈硬化症、動脈硬化性動脈瘤、大動脈瘤、粥状動脈硬化症、再狭窄、敗血症、敗血症ショック、冠状血栓症、異常血管新生、眼内血管新生、強膜炎、多発性硬化症、肝硬変、開放角緑内障、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症)、増殖性網膜症、血管新生緑内障、翼状皮膚、角膜炎、水泡性表皮剥離、乾癬、糖尿病、腎炎、神経性疾患、炎症、骨粗鬆症、骨吸収、歯肉炎、腫瘍増殖、腫瘍血管新生、眼腫瘍、血管線維腫、血管腫、熱病、出血、凝固、悪液質、食欲不振、急性感染症、ショック、自己免疫症、マラリア、クローン病、髄膜炎、心不全、喘息性気道炎、動脈硬化症、癌および胃腸潰瘍の治療剤として使用することができる。
【0050】
本発明化合物を、上記の疾患の治療を目的としてヒトに投与する場合は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤等として経口的に、または注射剤、坐剤、経皮吸収剤、吸入剤等として非経口的に投与することができる。また、本化合物の有効量にその剤型に適した賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤等の医薬用添加剤を必要に応じて混合し、医薬製剤とすることができる。注射剤の場合には、適当な担体と共に滅菌処理を行って製剤とする。
投与量は疾患の状態、投与ルート、患者の年齢、または体重によっても異なるが、成人に経口で投与する場合、通常0.1〜100mg/kg/日であり、好ましくは1〜20mg/kg/日である。
以下に実施例および試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
実施例中、以下の略号を使用する。
Me:メチル
Et:エチル
n−Pr:n−プルピル
i−Pr:イソプロピル
n−Bu:n−ブチル
s−Bu:s−ブチル
i−Bu:イソブチル
Ph:フェニル
Bn:ベンジル
4−OH−Bn:4−ヒドロキシベンジル
[実施例1]
【0052】

【0053】
第1工程
D−バリンメチルエステル塩酸塩(1)(30g,179mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(300mL)懸濁液に、N−メチルモルホリン(49.1mL,448mmol)、次いで4−ブロモベンゼンスルホニルクロライド(2)(43.4g,170mmol)を氷冷、撹拌下に加えた。室温にて16時間撹拌した後、反応液を水に注ぎ込み酢酸エチルにて抽出した。有機層を1mol/L−塩酸、5%−NaHCO溶液、水にて順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。濾過した後有機層を減圧濃縮し、得られた結晶性残渣を酢酸エチル/n−ヘキサンより再結晶して化合物(3)を39.6g得た。(収率4−ブロモベンゼンスルホニルクロライドより66.5%)
H NMR(CDCl,δ ppm):0.87(d,J=6.9Hz,3H),0.95(d,J=6.9Hz,3H),2.21(m,1H),3.48(s,3H),3.74(dd,J=10.2,5.1Hz,1H),5.19(br,1H),7.63(d,J=9.0Hz,2H),7.69(d,J=9.0Hz,2H)
【0054】
第2工程
化合物(3)(6.59g,12.2mmol)とトリメチルシリルアセチレン(4)(1.44g,14.6mmol)のジメチルホルムアミド(45mL)溶液に、室温でジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム(214mg,0.30mmol)とヨウ化銅(116mg,0.61mmol)を加え、よく脱気してアルゴンガス置換する。次いでトリエチルアミン(5.0ml,36.6mmol)を加え、50℃で16時間攪拌した。反応液を室温まで冷却したのち氷−2mol/L塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣に炭酸カリウム(139mg、1.01mmol)とメタノール(55ml)を加え室温にて16時間攪拌した。メタノールを留去後、残渣に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4にて溶出する部分を集めた。続いて酢酸エチル/n−ヘキサンにて再結晶を行い、化合物(5)2.72gを得た。収率76%)融点134−136℃;
IR(KBr,ν max cm−1)3329,2971,1718,1709,1347,1330
H NMR(CDCl,δ ppm):0.87(d,J=6.9Hz,3H),0.96(d,J=6.9Hz,3H),2.04(m,1H),3.26(s,1H),3.47(s,3H),3.75(dd,J=10.2、5.1Hz,1H),5.14(d,J=9.6Hz,1H),7.59(d,J=8.4Hz,2H),7.79(d,J=8.1Hz,2H)
[α]+8.0±1.0°(c=0.503,DMSO,22℃)
元素分析(C1316S)として
計算値:C;56.93,H;5.80,N;4.74,S;10.86
実験値:C;56.83,H;5.68,N;4.81,S;10.66
【0055】
第3工程
アルゴン雰囲気下4−メチルベンズアルドキシム(6)(452mg,3.33mmol)のジメチルホルムアミド(4mL)溶液にN−クロロスクシンイミド(450mg,3.33mmol)を加え60℃で1時間攪拌した。氷冷にし、化合物(5)(493mg,1.67mmol)とトリエチルアミン(708μl,5.00mmol)のジメチルホルムアミド(2mL)溶液を加え室温で16時間攪拌した。反応液を氷−2mol/L塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水,飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣から酢酸エチル/ヘキサンにて再結晶を行い、融点221−224℃の目的物(7)(618mg,収率86%)を得た。
IR(KBr,ν max cm−1)3283,3113,2968,1713,1615,1445,1431,1387,1293,1268,1140,835,819
H NMR(CDCl,δ ppm):0.89(d,J=6.9Hz,3H),0.98(d,J=6.9Hz,3H),2.08(m,1H),2.43(s,3H),3.80(dd,J=10.2,4.8Hz,1H),5.16(d,J=10.2Hz,1H),6.94(s,1H),7.30(d,J=8.4Hz,2H),7.76(d,J=8.1Hz,2H),7.95(s,4H)
[α]−3.9±0.9°(c=0.507,DMSO,22℃)
HR−FABMS m/z C2225S[M+H]として
計算値:429.1484
実験値:429.1486
【0056】
第4工程
化合物(7)(330mg,0.832mmol)のジメチルスルホキシド(6ml)溶液に,室温で1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(2ml)を加え,16時間攪拌した。析出したナトリウム塩を濾過し,氷−2mol/L塩酸に注ぎ,酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し,無水硫酸ナトリウムにて乾燥後,減圧濃縮した.残渣をアセトン/ヘキサンで結晶化することにより,融点241−243℃の目的物(A−11)(185mg,収率58%)を得た。
IR(KBr,ν max cm−1)3299,2967,1743,1708,1465,1346,1328,1166,1143,1130,1091,1051,836,754,609
H NMR(DMSO−d,δ ppm):0.81−0.86(m,6H),1.98(m,1H),2.39(s,3H),3.59(m,1H),7.37(d,J=8.1Hz,2H),7.77(s,1H),7.83(d,J=8.1Hz,2H),7.95(d,J=8.4Hz,2H),8.08(d,J=8.4Hz,2H),8.23(d,J=9.3Hz,1H),12.61(br s,1H)
[α]−9.5±1.0°(c=0.503,DMSO,24℃)
元素分析(C2122S・0.8HO)として
計算値:C;58.87,H;5.56,N;6.62,S;7.41
実験値:C;58.81,H;5.55,N;6.53,S;7.48
実施例1、前記A法を参考にして、以下に示す化合物(A−1)〜化合物(A−117)、化合物(B−1)〜化合物(B−20)を合成した。その構造式および物性値をそれぞれ表1〜表13および表14〜表16に示した。*は不斉炭素を表わす。
【0057】



【0058】


【0059】


【0060】


【0061】


【0062】


【0063】


【0064】


【0065】


【0066】


【0067】


【0068】


【0069】


【0070】

【0071】


【0072】


【0073】


[実施例2]
【0074】

【0075】
第1工程
D−アラニンメチルエステル塩酸塩(8)(4.13g,29.6mmol)とp−スチレンスルホニルクロリド(9)(5.0g,24.7mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、氷冷下N−メチルモルホリン(6.78mL,61.7mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応液を氷−2mol/L塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、ヘキサン/酢酸エチル=3/2にて溶出する部分を集め、酢酸エチル/ヘキサンにて結晶化することにより、融点55−57℃の目的物(10)(5.49g,収率82.6%)を得た。
IR(KBr,ν max cm−1)3281,1738,1430,1348,1334,1211,1165,1145,1092
H NMR(CDCl,δ ppm):1.39(d,J=7.2Hz,3H),3.54(s,3H),4.00(m,1H),5.23(d,J=8.7Hz,1H),5.43(d,J=11.1Hz,1H),5.88(d,J=17.7Hz,1H),6.74(dd,J=11.1,17.7Hz,1H),7.48−7.54(m,2H),7.76−7.82(m,2H)
[α]+30.7±1.4°(c=0.511,DMSO,22℃)
元素分析(C1215NOS)として
計算値:C;53.52,H;5.61,N;5.20,S;11.91
実験値:C;53.27,H;5.41,N;5.23,S;12.00
【0076】
第2工程
化合物(10)(5.43g,20.2mmol)の塩化メチレン(80mL)溶液を−78℃に冷却し、オゾンガスを通じながら50分間攪拌した。同温でメチルスルフィド(7.4mL,100.8mmol)を加え30分間攪拌し、さらに室温で1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた化合物(11)は、精製することなく次の反応に用いた。
H NMR(CDCl,δ ppm):1.42(d,J=7.2Hz,3H),3.56(s,3H),4.07(m,1H),5.42(d,J=8.4Hz,1H),8.02(s,4H),10.10(s,1H)
【0077】
第3工程
上記未精製の化合物(11)とヒドロキシルアミン塩酸塩(1.68g,24.2mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)と水(50mL)の混合溶液に、炭酸水素ナトリウム(2.54g,30.2mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、ヘキサン/酢酸エチル=1/1→2/3にて溶出する部分を集め、酢酸エチル/ヘキサンにて結晶化することにより、融点98−100℃の目的物(12)(3.04g,2工程通しての収率52.7%)を得た。
IR(KBr,ν max cm−1)3518,3384,3300,1754,1738,1722,1444,1347,1273,1217,1166,1144,1092
H NMR(DMSO−d,δ ppm):1.17(d,J=7.2Hz,3H),3.42(s,3H),3.90(m,1H),7.77(s,4H),8.23(s,1H),8.38(br s,1H),11.62(br s,1H)
[α]+26.7±1.3°(c=0.514,DMSO,21℃)
元素分析(C1114S)として
計算値:C;46.15,H;4.93,N;9.78,S;11.20
実験値:C;46.13,H;4.74,N;9.69,S;10.99
【0078】
第4工程
化合物(12)(501mg,1.75mmol)とN−クロロこはく酸イミド(257mg,1.93mmol)のジメチルホルムアミド(3mL)溶液を、60℃で30分間攪拌した。反応液を0℃に冷却し、4−エチニルトルエン(13)(305mg,2.63mmol)とN−メチルモルホリン(0.29mL,2.63mmol)のジメチルホルムアミド(2mL)溶液を加え、同温で10分間、さらに室温で一晩攪拌した。反応液を氷−2mol/L塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、クロロホルム/酢酸エチル=6/1にて溶出する部分を集め、アセトン/ヘキサンにて結晶化することにより、融点187−189℃の目的物(14)(467mg,収率66.6%)を得た。
IR(KBr,ν max cm−1)3285,1740,1721,1450,1434,1340,1285,1170,1137,1097
H NMR(CDCl,δ ppm):1.42(d,J=7.5Hz,3H),2.43(s,3H),3.56(s,3H),4.05(m,1H),5.30(d,J=8.4Hz,1H),6.82(s,1H),7.31(d,J=8.1Hz,2H),7.71−7.76(m,2H),7.93−8.04(m,4H)
[α]+19.0±1.2°(c=0.512,DMSO,21℃)
元素分析(C2020S)として
計算値:C;59.99,H;5.03,N;7.00,S;8.01
実験値:C;59.90,H;4.95,N;6.99,S;7.71
【0079】
第5工程
化合物(14)(410mg,1.02mmol)のジメチルスルホキシド(9.2mL)溶液に、室温で1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(3.06mL)を加え、室温で一晩攪拌した。析出したナトリウム塩を濾取し酢酸エチルで洗浄した後、氷−2mol/L塩酸に注ぎ,酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をアセトン/ヘキサンから結晶化することにより、融点218−221℃の目的物(C−1,377mg,収率95.6%)を得た。
IR(KBr,ν max cm−1)3391,1749,1450,1434,1328,1168,1112,1093
H NMR(DMSO−d,δ ppm):1.19(d,J=7.2Hz,3H),2.39(s,3H),3.85(m,1H),7.40(d,J=7.8Hz,2H),7.65(s,1H),7.82(d,J=7.8Hz,2H),7.95(d,J=8.4Hz,2H),8.10(d,J=8.4Hz,2H),8.32(d,J=8.7Hz,1H),12.70(br s,1H)
[α]+3.0±0.9°(c=0.502,DMSO,22℃)
元素分析(C1918S)として
計算値:C;59.06,H;4.70,N;7.25,S;8.30
実験値:C;58.85,H;4.82,N;7.17,S;8.34
実施例2、前記B法の方法を参考にして、以下に示す化合物(C−1)〜化合物(C−124)を合成した。その構造式および物性値をそれぞれ表7〜表35に示した。*は不斉炭素を表わす。
【0080】



【0081】

【0082】


【0083】


【0084】


【0085】


【0086】


【0087】


【0088】

【0089】


【0090】


【0091】


【0092】


【0093】


【0094】


【0095】


【0096】


【0097】


【0098】

【0099】
試験例1 MMPの単離と精製
MMP−2はCalbiochem−Novabiochem International,Inc.より購入した。
MMP−8は市販のHuman Bone Marrow cDNAを用いて、PCRによってCatalytic domain(99Phe〜262Gly)を増幅した。これをHisタグ、エンテロキナーゼ切断部位を導入した大腸菌発現ベクターpTrc99Aにクローニングし、IPTG(Isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)によって誘導発現を行ない、不溶性画分に発現した(Thau F.Ho,M.Walid Qoronfleh,Robert C.Wahl,Trica A.Pulvino,Karen J.Vavra,Joe Falvo,Tracey M.Banks,Patricia G.Brake and Richard B.Ciccarelli:Gene expression,purification and characterization of recombinant human neutrophil collagenase.Gene 146,(1994)297−301,本資料を若干改変し調製した)。不溶性画分からのMMP−8の単離は、常法により変性剤(6M尿素)に溶解した後、メタルキレートクロマトグラフィーにより単離した。次いで、透析により変性剤(6M尿素)を除去すると同時に酵素のリフォールディングを行い、活性型MMP−8を得た。
【0100】
MMP−9はY.Okada et al.(Yasunori Okada,Yukio Gonoji,Katsumi Naka,Katsuro Tomita,Isao Nakanishi,Kazushi Iwata,Kyoko Yamashita,and Taro Hayakawa.Matrix metalloproteinase 9(92−kDa gelatinase/type IV collagenase)from HT1080 human fibrosarcoma cells.Purification and activation of the precursor and enzymic properties J.Biol.Chem 1992,267,21712−21719)及びその他の方法[1)Yasunori Okada,Tatsuhisa Morodomi,Jan J.Enghild,ko Suzuki,Atsushi Yasui,Isao Nakanishi Guy salvesen and Hideaki Nagase Matrix metalloproteinase 2 from human rhumatoid synovial fibroblasts.Purification and activation of the precursor and enzymic properties.Eur.J.biochem.1990,194,721−730,2)Robin V.Ward,Rosalind M.Hembry,John J.Reynolds and Gillian Murphy The purification of tissue inhibitor of metalloproteinase−2 from its 72kDa progelatinase complex.Biochem.J 1991,278,179−187]を組み合わせて単離、精製した。即ち、Human fibrosarcoma ATCC HT1080を10%Fatal calf serum(FCS)を含むDulbecco’s ModifiedMedium(DMEM)で37℃、48hrs(5%)培養しConfluentにする。Confluent CellはFCSを除いたDMEMで更に培養を行なう(2nd)。この培養時、MMP−9を得る為にはDMEM中に50ng/mlのPhorbol−12−myristate−13−acetate(TPA)を加える。TPA処理培養液を遠心し(3000rpm、15min)、上清を限外濾過(UP−20、Toyo)で約450mlに濃縮した。この濃縮物をGelatin−Sepharose、Concanavalin A−Sepharose次に、MMP−9画分を透析、限外濾過(UP−20、Toyo)で濃縮し、Sephacryl S−200、Green A matrixに吸着溶出しTIMPとの分離を行なう。次いで、ProcollagenaseをTPCK−Trypsin(Final conc.3μg/50μ React.Mix)で活性化した。
【0101】
MMP−12はHuman Placenta Total RNAからRT−PCRによりCatalytic domain(100Phe〜263Gly)を増幅した。これをHisタグ、エンテロキナーゼ切断部位を導入した大腸菌発現ベクターpTrc99AHEにクローニングし、IPTG(Isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)によって誘導発現を行ない、不溶性画分に発現した。不溶性画分からMMP−12の単離は、常法により変性剤(6M尿素)に溶解した後、メタルキレートクロマトグラフィー(Ni Chelateing Sepharose)により単離した。次いで、透析により変性剤(6M尿素)を除去すると同時に酵素のリフォールディングを行い、活性型MMP−12を得た。
MMP−13はIL−1、TNF刺激したヒト軟骨由来癌細胞SW1353からmRNAを調製した。RT−PCRによりCatalytic domain(104Tyr〜267Gly)を増幅した。これをHisタグ、エンテロキナーゼ切断部位を導入した大腸菌発現ベクターpTrc99AHEにクローニングし、IPTG(Isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)によって誘導発現を行ない、不溶性画分に発現した。不溶性画分からMMP−13の単離は、常法により変性剤(6M尿素)に溶解した後、メタルキレートクロマトグラフィー(Ni Chelateing Sepharose)により単離した。次いで、透析により変性剤(6M尿素)を除去すると同時に酵素のリフォールディングを行い、活性型MMP−13を得た。
【0102】
試験例2 各種MMPの酵素阻害活性の測定方法
MMPの酵素活性測定法は、C.Graham Knight,Frances Willenbrock and Gillian Murphy:A novel coumarin−labelled peptide for sensitive continuous assays of the matrix metalloproteinases:FEBS LETT.,296,(1992),263−266の方法に準じた。基質:MOCAc−Pro−Leu−Gly−Leu−APr(DNP)−Ala−Arg−NHはPeptide Institute、Inc.Osaka、Japanを用いた。阻害剤のアッセイは1つの化合物(阻害剤)について次の4つのアッセイを行う。
(A)基質(合成基質)、酵素(MMPs)、阻害剤
(B)基質(合成基質)、阻害剤
(C)基質(合成基質)、酵素(MMPs)
(D)基質(合成基質)
それぞれについて蛍光強度を測定し、次式により阻害(%)を求めた。
阻害(%)={1−(A−B)/(C−D)}X100
IC50は阻害(%)が50%になる濃度を示す。
上記の方法により測定したMMP−2の阻害活性値を表36に、MMP−8の阻害活性値を37に、MMP−9の阻害活性値を表38に、MMP−12の阻害活性値を表39に、MMP−13の阻害活性値を表40にそれぞれ示した。
【0103】

【0104】


【0105】


【0106】


【0107】


製剤例
【0108】
製剤例1
以下の成分を含有する顆粒剤を製造する。
成分 活性成分 10mg
乳糖 700mg
コーンスターチ 274mg
HPC−L 16mg
1000mg
活性成分と乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチを120メッシュのふるいに通す。これらをV型混合機にて混合する。混合末にHPC−L(低粘度ヒドロキシプロピルセルロース)水溶液を添加し、練合、造粒(押し出し造粒 孔径0.5〜1mm)したのち、乾燥する。得られた乾燥顆粒を振動ふるい(12/60メッシュ)で櫛過し顆粒剤を得る。
【0109】
製剤例2
以下の成分を含有するカプセル充填用散剤を製造する。
成分 活性成分 10mg
乳糖 79mg
コーンスターチ 10mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
100mg
活性成分、乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチは120メッシュのふるいに通す。これらとステアリン酸マグネシウムをV型混合機にて混合する。10倍散100mgを5号硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0110】
製剤例3
以下の成分を含有するカプセル充填用顆粒剤を製造する。
成分 活性成分 15mg
乳糖 90mg
コーンスターチ 42mg
HPC−L 3mg
150mg
活性成分、乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチを120メッシュのふるいに通す。これらを混合し、混合末にHPC−L溶液を添加して練合、造粒、乾燥する。得られた乾燥顆粒を整粒後、その150mgを4号硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0111】
製剤例4
硬質ゼラチンカプセルは次の成分を用いて製造する:
用量
(mg/カプセル)
活性成分 250
デンプン(乾燥) 200
ステアリン酸マグネシウム 10
合計 460
【0112】
製剤例5
活性成分80mgを含むカプセル剤は次のように製造する:
活性成分 80mg
デンプン 59mg
微結晶性セルロース 59mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
合計 200mg
活性成分、デンプン、セルロース、およびステアリン酸マグネシウムを混合し、No.45メッシュU.S.のふるいに通して硬質ゼラチンカプセルに200mgずつ充填する。
【0113】
製剤例6
以下の成分を含有する錠剤を製造する。
成分 活性成分 10mg
乳糖 90mg
微結晶セルロース 30mg
CMC−Na 15mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
150mg
活性成分、乳糖、微結晶セルロース、CMC−Na(カルボキシメチルセルロース ナトリウム塩)を60メッシュのふるいに通し、混合する。混合末にステアリン酸マグネシウム混合し、製錠用混合末を得る。本混合末を直打し、150mgの錠剤を得る。
【0114】
製剤例7
錠剤は下記の成分を用いて製造する:
用量
(mg/錠剤)
活性成分 250
セルロース(微結晶) 400
二酸化ケイ素(ヒューム) 10
ステアリン酸
合計 665
成分を混合し、圧縮して各重量665mgの錠剤にする。
【0115】
製剤例8
活性成分60mgを含む錠剤は次のように製造する:
活性成分 60 mg
デンプン 45 mg
微結晶性セルロース 35 mg
ポリビニルピロリドン(水中10%溶液) 4 mg
ナトリウムカルボキシメチルデンプン 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
滑石 1 mg
合計 150 mg
活性成分、デンプン、およびセルロースはNo.45メッシュU.S.のふるいにかけて、十分に混合する。ポリビニルピロリドンを含む水溶液を得られた粉末と混合し、ついで混合物をNo.14メッシュU.S.ふるいに通す。このようにして得た顆粒を50℃で乾燥してNo.18メッシュU.S.ふるいに通す。あらかじめNo.60メッシュU.S.ふるいに通したナトリウムカルボキシメチルデンプン、ステアリン酸マグネシウム、および滑石をこの顆粒に加え、混合した後、打錠機で圧縮して各重量150mgの錠剤を得る。
【0116】
製剤例9
以下の成分を含有するエアロゾル溶液を製造する:
重量
活性成分 0.25
エタノール 25.75
プロペラント22(クロロジフルオロメタン) 74.00
合計 100.00
活性成分とエタノールを混合し、この混合物をプロペラント22の一部に加え、−30℃に冷却し、充填装置に移す。ついで必要量をステンレススチール容器へ供給し、残りのプロペラントで希釈する。バブルユニットを容器に取り付ける。
【0117】
製剤例10
活性成分225mgを含む坐剤は次のように製造する:
活性成分 225mg
飽和脂肪酸グリセリド 2000mg
合計 2225mg
活性成分をNo.60メッシュU.S.のふるいに通し、あらかじめ必要最小限に加熱して融解させた飽和脂肪酸グリセリドに懸濁する。ついでこの混合物を、みかけ2gの型に入れて冷却する。
【0118】
製剤例11
活性成分50mgを含む懸濁剤は次のように製造する:
活性成分 50mg
ナトリウムカルボキシメチルセルロース 50mg
シロップ 1.25ml
安息香酸溶液 0.10ml
香料 q.v.
色素 q.v.
精製水を加え合計 5ml
活性成分をNo.45メッシュU.S.のふるいにかけ、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびシロップと混合して滑らかなペーストにする。安息香酸溶液、香料および色素を水の一部で希釈して加え、攪拌する。ついで水を十分量加えて必要な体積にする。
【0119】
製剤例12
静脈用製剤は次のように製造する:
活性成分 100mg
生理食塩水 1000ml
上記成分の溶液は通常、1分間に1mlの速度で患者に静脈内投与される。
【0120】
製剤例13
凍結乾燥製剤(1バイアル)は次のように製造する:
活性成分 127mg
クエン酸ナトリウム2水和物 36mg
マンニトール 180mg
上記成分を活性成分の濃度が10mg/gである注射液となるように水に溶解する。最初の凍結ステップを−40℃で3時間、熱処理ステップを−10℃で10時間、再凍結ステップを−40℃で3時間行う。その後、初回の乾燥ステップを0℃、10Paで60時間、2回目の乾燥ステップを60℃、4Paで5時間行う。このようにして凍結乾燥製剤を得ることができる。
【0121】
製剤例14
点眼剤(10ml中)は次のように製造する:
活性成分 1mg
濃グリセリン 250mg
ポリソルベート80 200mg
リン酸二水素ナトリウム二水和物 適量
1mol/L 水酸化ナトリウム 適量
1mol/L 塩酸 適量
滅菌精製水を加え合計 10ml
活性成分と添加物量を適宜変更することにより活性成分の濃度が、0.0001%、0.001%、0.005%、0.05%、0.1%、0.5%、1.0%、3.0%、5.0%(w/v)である点眼剤も調製できる。
[実施例15]
【0122】
以下の成分を含有する経鼻剤を製造する。
活性成分 2 mg
カルボキシビニールポリマー 5 mg
L−アルギニン 10 mg
塩化ナトリウム 0.6mg
精製水 82.4mg
100 mg
活性成分をカルボキシビニールポリマーに溶融後、L−アルギニン、塩化ナトリウムを添加した。pH調製を行い、さらに精製水を添加することにより粘度調整して、薬液を得る。
【0123】
製剤例16
以下の成分を含有する経皮製剤を製造する。
活性成分 10mg
ミリスチン酸イソプロピル 990mg
1000mg
活性成分をミリスチン酸イソプロピルに分散後、アクリル系粘着剤(例えばニカゾール)に混合し、貼付用支持体に添付することにより、経皮製剤を得る。
【0124】
製剤例17
以下の成分を含有する軟膏剤を製造する。
活性成分 10mg
流動パラフィン 75mg
白色ワセリン 925mg
1000mg
活性成分と流動パラフィンを分散させ、白色ワセリンと練合し軟膏剤を得る。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明に係るイソオキサゾール環を有するスルホンアミド誘導体は、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害作用、特に複数のMMPに対して強い阻害作用を有し、MMPを起因とする疾患の治療または予防剤として有効に機能し得ることを見出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):

(式中、W基は式:

(式中、RはNHOH、ヒドロキシ、または低級アルキルオキシ;
およびR2’はそれぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールアルキル;
は水素原子、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールアルキル;
は−CH−、−NH−、−O−、または−S−;
破線(…)は結合の存在または不存在を表わす)で表わされる基;
は置換されていてもよいアリレンまたは置換されていてもよいヘテロアリレン;
は式:


で表わされる基;
は置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、または置換されていてもよい非芳香族複素環基)で示される化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項2】
Wが

(式中、R、R、およびRは請求の範囲第1項と同意義)で表わされる基である請求の範囲第1項記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項3】
が式:


(Rはそれぞれ独立して、ハロゲン、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルキルオキシ、低級アルケニルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、カルボキシ、低級アルキルオキシカルボニル、低級アルキルスルホニル、カルバモイル、アシル、アシルオキシ、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいアミノカルボニル;mは0〜3の整数;nは0〜4の整数;pは0〜5の整数;qは0〜6の整数;rは0〜7の整数;sは0〜11の整数)で表わされる基である請求の範囲第1項または第2項記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項4】
がヒドロキシである請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項5】
がハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、低級アルキルチオ、グアニジノ、アミノ、もしくはシクロアルキルで置換されていてもよい低級アルキル、ヒドロキシで置換されていてもよいアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、もしくはニトロで置換されていてもよいアラルキル、ヒドロキシで置換されていてもよいヘテロアリール、ヒドロキシで置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、または水素原子である請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項6】
が水素原子、メチル、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルバモイルメチル、カルバモイルエチル、メルカプトメチル、2−メチルチオエチル、シクロヘキシルメチル、3−グアジノプロピル、4−アミノブチル、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−フルオロベンジル、4−クロロベンジル、4−ブロモベンジル、4−ニトロベンジル、フェニルエチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、ビフェニルメチル、インドリル、チエニル、インドール−3−イルメチル、(5−ヒドロキシ−インドール−3−イル)メチル、チオフェン−2−イルメチル、イミダゾリルメチル、ベンゾオキサゾール−2−イルメチル、ベンゾチアゾール−2−イルメチル、またはベンズイミダゾール−2−イルメチルである請求の範囲第5項記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項7】
が水素原子である請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項8】
が1,4−フェニレンまたは2,5−チオフェンジイルである請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載の記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項9】
が式:

(式中、R、m、p、r、およびsは請求の範囲第3項と同意義)
で表わされる基である請求の範囲第1項〜第8項のいずれかに記載の化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項10】
一般式(II−A):

(式中、Rは水素原子、メチル、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、2−メチルチオエチル、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、または、インドール−3−イルメチル;
Xは−CH=CH−または−S−;
は式:

で表わされる基;
Zは−CH=CH−または−S−;
10は水素原子、ハロゲン、低級アルキル、低級アルキルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、アシル、ニトロ、シアノ、または置換されていてもよいアミノ)で示される化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項11】
一般式(II−B):

(式中、Rは水素原子、メチル、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、2−メチルチオエチル、フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、または、インドール−3−イルメチル;
Xは−CH=CH−または−S−;
は式:

で表わされる基;
20およびR21はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、低級アルキル、低級アルキルオキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルキルオキシ、ハロ低級アルキルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ低級アルキル、アシル、ニトロ、シアノ、もしくは置換されていてもよいアミノまたはR20およびR21が隣り合った炭素に結合する場合、R20およびR21が一緒になって、−CH=CH−CH=CH−、−O−CH−O−、−O−CH−CH−O−、−CH−CH−O−、もしくは−O−CH−CH−で表わされれる基を形成してもよい)で示される化合物、その光学活性体、もしくはそれらの製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項12】
請求の範囲第1項〜第11項のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項13】
請求の範囲第1項〜第11項のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有するメタロプロテアーゼ阻害剤。
【請求項14】
請求の範囲第1項〜第11項のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有するマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤。
【請求項15】
メタロプロテアーゼに起因または関連する疾患を治療するための医薬を製造するための請求の範囲第1項〜第11項のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項16】
請求の範囲第1項〜第11項のいずれかに記載の化合物の治療上の効果を示す量を人を含む哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物のメタロプロテアーゼに起因または関連する疾患を治療する方法。

【国際公開番号】WO2005/012268
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【発行日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512497(P2005−512497)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010697
【国際出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【Fターム(参考)】