イメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサ
【課題】 センサチップを所定のピッチで配列しても仮想画素が生じない高密度対応のイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサを提供する。
【解決手段】 対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に配置され、半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置した受光素子10aと、直線的に配置された受光素子10aと一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の一組の対辺一端部又は両端部に設けられ、直線的に配置された受光素子10aと傾斜角度があると共に直線的に配置された受光素子10aの外側に光を受光する補間素子10bとを備えるようにした。
【解決手段】 対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に配置され、半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置した受光素子10aと、直線的に配置された受光素子10aと一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の一組の対辺一端部又は両端部に設けられ、直線的に配置された受光素子10aと傾斜角度があると共に直線的に配置された受光素子10aの外側に光を受光する補間素子10bとを備えるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファクシミリ、複写機、スキャナ等の原稿読取部に使用されるマルチチップ搭載型のイメージセンサに使用するイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数個のセンサチップを直線状に並べて1次元走査型のイメージセンサを構成するマルチチップ搭載型の密着型イメージセンサが普及している。マルチチップ型のセンサチップを適用する場合には、製造上の観点から原理的にセンサチップ間の間隙を必要とする。一方密着型イメージセンサの高密度化に伴い、センサチップ間の間隙による仮想画素の扱いが問題になる。
【0003】
例えば、特開平11−331492号公報図3(特許文献1参照)には、基板9上に受光部面10aの高いICチップ10と、受光部面11aの低いICチップ11とを交互に配列し、ICチップ10の端面は切欠部としての傾斜面10cを形成し逆台形状とした、マルチチップ型のイメージセンサが開示されている。
【0004】
特開平7−52451号公報図9(特許文献2参照)には、LED素子33が台形形状をしており、正逆交互に横一列に配列することでLED素子の充填密度を高くしたLEDアレイが開示されている。
【0005】
特開平6−218985号公報図4(特許文献3参照)には、回転ブレードの剛性を高め、回転ブレードを傾斜させながらダイシングを行い、光学素子チップ1の表面側の縁3aを突出させ、裏面側の縁3bを退避させるようにした読み取り装置が開示されている。
【0006】
また他の欠落画素の対策手段として、例えば特開平2−87869(特許文献4参照)では、ICイメージセンサチップ3を千鳥型に配列して隣接するICイメージセンサチップ3の受光画素部の連続性が保てるようにしたマルチチップ型イメージセンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−331492号公報(第3図)
【特許文献2】特開平7−52451号公報(第9図)
【特許文献3】特開平6−218985号公報(第4図)
【特許文献4】特開平2−87869号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、受光部面10aの高いICチップ10と、受光部面11aの低いICチップ11とを交互に配列するため、2種類のICチップを使用せざるを得ないという課題があった。
【0009】
特許文献2に記載のものは、台形形状のLED素子33とすることでLED素子33の充填密度を高くできるものの隣接するLED素子33間の隙間に関しては記載が無い。
【0010】
特許文献3に記載のものは、ダイボンダなどによる自動実装時においては、実装精度に起因するチップ同士の衝突(接触)を考慮するためチップ間をあらかじめ隔離して実装する必要がある。また精度良く実装できても下部に位置する銀ペースト8などの接着剤の上に機械実装するため、実装後の位置変化があるという課題があった。
【0011】
特許文献4に記載のものは、イメージセンサチップ3を千鳥配列させているために、画素の副走査方向位置が隣接するイメージセンサチップ3毎に異なるため、イメージセンサチップ3毎に多数の画素が異なる違和感のある画像となり、画像品質の悪化を招くという課題があった。
【0012】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたものであり、センサチップを所定のピッチで配列しても仮想画素が生じない高密度対応のイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明のイメージセンサ用ICは、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に配置され、前記半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置した受光素子と、直線的に配置された前記受光素子と前記一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の前記一組の対辺一端部又は両端部に設けられ、直線的に配置された前記受光素子と傾斜角度があると共に直線的に配置された前記受光素子の外側に光を受光する補間素子とを備えたものである。
【0014】
請求項2に係る発明のイメージセンサ用ICは、前記受光素子及び前記補間素子を駆動する駆動回路が、直線的に配置された前記受光素子を境にして前記半導体基板の両側に振り分けられている請求項1に記載のものである。
【0015】
請求項3に係る発明のイメージセンサ用ICは、前記半導体基板を等ピッチで並べ、前記受光素子及び前記補間素子を直線状に延在させた請求項1に記載のものである。
【0016】
請求項4に係る発明のイメージセンサ用ICは、個々の前記受光素子及び個々の前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なる複数のフィルタが塗布又は蒸着されている請求項1に記載のものである。
【0017】
請求項5に係る発明のイメージセンサ用ICは、前記受光素子及び前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なるフィルタが塗布又は蒸着されており、前記受光素子及び前記補間素子は異なる光学波長毎に搬送方向又は逆搬送方向に隔離される請求項1に記載のものである。
【0018】
請求項6に係る発明の密着型イメージセンサは、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に配置され、前記半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置した受光素子、直線的に配置された前記受光素子と前記一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の前記一組の対辺一端部又は両端部に設けられ、直線的に配置された前記受光素子と傾斜角度があると共に直線的に配置された前記受光素子の外側に光を受光する補間素子を有するイメージセンサ用ICと、このイメージセンサ用ICの前記受光素子に沿って配置され、搬送方向に搬送される被照射体で反射した光を収束し、前記イメージセンサ用ICに光を受光させるレンズ体と、前記イメージセンサ用ICを載置するセンサ基板とを備えたものである。
【0019】
請求項7に係る発明の密着型イメージセンサは、前記受光素子及び前記補間素子を駆動する駆動回路が、直線的に配置された前記受光素子を境にして前記半導体基板の両側に振り分けられている請求項6に記載のものである。
【0020】
請求項8に係る発明の密着型イメージセンサは、前記半導体基板を等ピッチで並べ、前記受光素子及び前記補間素子を直線状に延在させた請求項6に記載のものである。
【0021】
請求項9に係る発明の密着型イメージセンサは、個々の前記受光素子及び個々の前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なる複数のフィルタが塗布又は蒸着されている請求項6に記載のものである。
【0022】
請求項10に係る発明の密着型イメージセンサは、前記受光素子及び前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なるフィルタが塗布又は蒸着されており、前記受光素子及び前記補間素子は異なる光学波長毎に搬送方向又は逆搬送方向に直線状に平行して配置される請求項6に記載のものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明に係るイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサによれば、センサICを所定のピッチで配列しても仮想画素が生じない高密度対応のイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1による密着型イメージセンサの組み立て展開図である。
【図2】この発明の形態1によるイメージセンサ用ICとレンズ体との位置関係を説明する図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの光電変換部を含む駆動回路を説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの端子位置を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。
【図9】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する別実施例の図である。
【図10】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの光電変換部を含む駆動回路を説明する別実施例の図である。
【図11】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの端子位置を説明する別実施例の図である。
【図12】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの別実施例による内部回路図である。
【図13】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの別実施例による平面図である。
【図14】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの別実施例による平面図である。
【図15】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。
【図16】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。
【図17】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。
【図18】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの画像データの並べ替えを説明する図であり、図18(a)はシフトレジスタのセル番地、図18(b)は並べ換え順序、図18(c)は補間画素の入れ替え、図18(d)は選択信号による補間画素の選択を説明する図である。
【図19】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの別実施例による平面図である。
【図20】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの別実施例による平面図である。
【図21】この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。
【図22】この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。
【図23】この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する図である。
【図24】この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの別実施例による部分拡大平面図である。
【図25】この発明の実施の形態1〜3によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。
【図26】この発明の実施の形態1〜3によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。
【図27】この発明の実施の形態1〜3によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。
【図28】台形形状のセンサICの並びを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、この発明の実施の形態1による密着型イメージセンサの組み立て展開図である。図1において、1は光源であり、例えばLEDチップや汎用のモール型LEDなどの発光体である。2は光源1を搭載した基板、3は基板2に貼り付けられ、光源1に電源を供給するフレキシブル基板である。
【0026】
4は原稿や紙幣などであり、相対的に搬送される被照射体、5はガラス材やアクリル樹脂などの透明部材によって構成された導光体、5aは導光体5に接触して設けた光散乱層(光反射層)、6は内部に空洞部を有するホルダであり、この空洞内の一端側に光源1が配置され、他端側は導光体5の端部を嵌め合わせて固定する。7は光源1及び導光体5などを収納又は保持する筐体である。
【0027】
8はガラス材やアクリルなどの透明部材で構成され、密着型イメージセンサ(CIS)の内部を保護する透過体、8aは透過体8上の主走査方向(読み取り幅方向)の読み取り位置を示し、物理的な構成要素ではない。9はロッドレンズアレイなどを用いたレンズ体であり、被照射体4からの散乱光を入射し、その散乱光を収束し結像させるものである。10はセンサ用ICとも呼び、レンズ体9の光軸上に配置し、レンズ体9で収束された光を受光するセンサICである。センサIC10は、半導体基板の表面に形成された受光部(光電変換部)を含み、受光部を駆動するシフトレジスタ、ラッチ回路及びスイッチなどからなる駆動回路からなる。11はセンサIC10を載置し、センサIC10の受光部で受光した光電変換出力を信号処理するセンサ基板であり、外部コネクタや電子部品、信号処理回路などを搭載している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0028】
次に動作について説明する。図1において、ホルダ6内に配置された光源1から照射された光は導光体5の端部入射領域を照射する。導光体5には、光を散乱反射させる光散乱層5aが白色のシルク印刷などで主走査方向に形成され、均一な光を出射する。
【0029】
導光体5から出射した光は透過体8上の読み取り位置8aにある被照射体4を照射し、被照射体4からの反射光(散乱反射光)は透過体8を透過して、レンズ体9で収束され、半導体基板で構成されたセンサIC10の受光部(受光面)で結像される。センサ基板11には、センサIC10の受光面の反対側に設けられ、センサIC10や光源1を駆動する電源回路、信号処理回路であるASIC12(Application Specific Integrated Circuit)などの電子部品が搭載されている。
【0030】
センサIC10はセンサ基板11に複数個並べて搭載され、スタート信号(SI)とクロック信号(CLK)とを受けて駆動する。センサIC10上の受光面で光電変換された各画素の信号出力は、シフトレジスタからのシフト信号でスイッチ群を順次開閉し、出力信号として外部に画像信号を送出する。また、被照射体4に対する各ライン毎の出力をクロック信号(CLK)に同期した読み出し信号に基づいて順次、又は同時にアナログ信号として信号処理回路12に送出する。
【0031】
図2は、この発明の形態1によるイメージセンサ用ICとレンズ体9との位置関係を説明する図である。10aはセンサIC10の受光部(受光面)であり、受光素子(光電変換部)と呼ぶ。センサIC10は、平面形状が四角形である。すなわち、平面が矩形、平行四辺形又は菱形形状をしている。受光素子10aは、センサIC10に直線的に配置され、センサIC10の少なくとも1組の対辺(端面)に対して傾斜して設置される。
【0032】
正確には、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に受光素子10aが配置される。受光素子10aは、半導体基板の対向する一方の辺の所定位置(読み取り位置)から他方の辺の所定位置(読み取り位置)まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置する。
【0033】
また、受光素子10aはレンズ体9に沿って読み取り幅に亘って配置される。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0034】
図3は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。図3において、10bはセンサIC10端部に設けた補間素子(補間画素)である。ところで、図3では、互いに隣接するセンサIC10の隙間(D)が0.01mm〜0.05mm、受光素子10aの画素密度が約600DPIである場合、42μmの同一ピッチで直線状に受光素子10aを配列すると仮想画素(ICの隙間領域に位置し、物理的に形成できない受光素子)が発生する。したがって、直線状に配列された受光素子10aに直交する方向のセンサIC10の端部位置に補間画素10bを形成する。そして補間画素10bは仮想画素を補間するための画素として用いる。
【0035】
正確には、補間画素10bは、直線的に配置された受光素子10aと一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の一組の対辺一端部又は両端部に設けられる。また、補間画素10bは、直線的に配置された受光素子10と傾斜角度があると共に直線的に配置された受光素子10aの外側に設置される。すなわち、補間画素10bは、受光素子10aの並びと対辺との成す傾斜角度が90度以上ある半導体基板端部の形成可能領域の受光素子10aの並びの外側に配置される。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0036】
図4は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。センサIC10は、一定のピッチで配列され、受光素子10aはセンサIC10の一方のコーナー端部から対向する他方のコーナー端部に配置される。センサIC10は、同一サイズの半導体基板であり、半導体ウェファから切り出して直接、センサ基板11にダイボンディングされる。
【0037】
センサIC10のコーナー端部には、仮想画素を補うように補間画素10bが形成されている。図4では、補間画素10bは、センサIC10の主走査方向(読み取り幅方向)の読み出し順序の所定位置である開始画素10a1から始まり最終画素10amで終わる最終画素10am側のさらに端部に設けられている。しかし、逆に補間画素10bは、センサIC10の読み出し順序の所定位置である開始画素10a1側のさらに端部に設けても良い。また、隣接して配置されるセンサIC10間の最も短い距離で隣接する受光素子10a同士の中心位置に補間画素10bを設けることが好ましい。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0038】
なお、並べてセンサ基板11にセンサIC10を載置して密着型イメージセンサとして使用する場合には、主走査方向に直線的にセンサIC10をn個並べるので総画素数は補間素子10bを含めてm×n+nとなる。
【0039】
図5は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する図である。図5において、13はクロック信号(CLK)にスタート信号(SI)を同期させ、センサIC10の受光素子10aに蓄積された光電変換信号を順次、読み出し方向にアナログ信号(Sout)を出力させるセンサIC制御部、14はアナログ信号をデジタル変換するA/D変換部、15はデジタル変換されたアナログ信号を信号処理する出力データ制御部(データ制御部)であり、各色補正回路、各色データ並べ替え回路、及びCPUなどを含み、CPUから補間画素10bのデータを一時保存するラインメモリ16に指示を与える。センサIC制御部13、A/D変換部14及びデータ制御部15及びラインメモリ16は、ASIC12に一体化回路として構成されている。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0040】
次に回路動作について説明する。読み取られた補間画素10bの画像データは、同期間中に読み取られるその他の受光素子10aの画像データとは主走査方向と直交する方向(副走査方向、原稿搬送方向)に対して設置位置が異なるためデータ補正が必要になる。したがって、A/D変換部14で出力されたデジタル画像データのうち、同時に出力された補間画素10bは、データ制御部15のCPUで一旦、ラインメモリ16にデータ保存し、後から読み出す。
【0041】
その後、原稿4が搬送されて、保存された補間画素10bと同じ副走査位置のライン上の受光素子10aの出力に相当する位置で、データ制御部15は、ラインメモリ16に一時保存していた補間画素10bの画像データをラインメモリ16から読み出す。すなわち、データ制御部15は、数ライン前に読み取られた補間画素10bと当該ライン(現行ライン)で読み取られた補間画素10bとのデータの入れ替えを行ってから最終画像データ(SIG)としてからASIC12から出力する。
【0042】
例えば、補間画素10bが原稿搬送方向にその他の受光画素10aと84μm離間されている場合には、原稿4の搬送速度が280mm/sec、密着型イメージセンサの1区間読み取り速度が0.15ms/ラインのとき、補間画素10bのデータは2ライン後に補正されたデータに変換され、その後出力される。このようにして、現ラインにおける1ライン分の画像データを補正し、補間画素10bとライン上のその他の受光素子10aとの副走査方向における位置ずれに対して、ずれが無い最終画像データ(SIG)を出力する。
【0043】
図6は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの光電変換部を含む駆動回路を説明する図である。10cは多数の受光素子10aを順次スイッチングして蓄積電荷を共通線に送出するアナログスイッチを含むラッチ(LATCH)回路領域、10dはラッチ回路領域10cに順次スタート信号(SI)をシフトさせ、アナログスイッチを順次開閉させるシフトレジスタ(SHIFT・REGISTER)回路領域である。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0044】
図7は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの端子位置を説明する図である。SIはスタート信号入力端子、CLKはクロック信号入力端子、CNTはカラー・モノクロ切替用入力端子、OEは解像度切替用入力端子、VrefはGND電位又は基準レベルモニタ出力端子、SOは隣接するセンサIC10に継続してスタート信号(SI)を出力するスタート信号出力端子、SoutはRGBなど光学波長の異なる読み取り出力をそれぞれ出力する画像出力端子であり、カラー・モノクロ切替用入力端子(CNT)が論理Lの場合には、モノクロ信号としていずれか又は全部の出力端子から画像信号を送出する。VDD及びGNDは電源端子を示す。各入出力端子はラッチ回路領域10c及びシフトレジスタ回路領域10dを除くセンサIC10の端部に配置され、各パッドはワイヤボンディング接続してセンサ基板11の所定のパターン位置で接続される。
【0045】
入力端子のうち、スタート信号入力端子(SI)を除き、その他の入力端子は、各センサIC10の対応するその他の入力端子とそれぞれ共通接続される。出力端子のうち、スタート信号出力端子(SO)を除き、その他の出力端子は、各センサ1C10の対応するその他の出力端子とそれぞれ共通接続される。
【0046】
図8は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。クロック信号(CLK)に同期して、入力されたスタート信号(SI)は、D・FF(D・フリップフロップ)回路で構成されたシフトレジスタ回路10d内をシフトし、前ラインで蓄積されたフォトダイオード(P)などで構成された受光素子10aの電荷をラッチ回路10cに接続されたアナログスイッチ(AS)を順次開閉する。そして、画像出力は共通線に接続された光電変換電流又は電圧を画像出力端子(Sout)から順次アナログ信号として取り出される。この回路は、補間画素10bを1個を付加するのでm+1ビットのシフトレジスタ回路10d、ラッチ回路10c及び対応するアナログスイッチ群を1系統保持している。
【0047】
図8では、カラー・モノクロ切替用端子(CNT)は、論理Lとし、モノクロ読み取りの場合を示している。したがって、アナログ信号出力は、Sout(G)から出力を取り出すので、その他のSout(R)、SOut(B)の信号は不要である。同時に出力される場合は、Sout(G)のみを選択して信号処理回路12で信号処理される。したがって、図8では、信号を取り出す回路は、モノクロ読み取りを説明するため、回路は1系統としているが、Sout(G)を含む3系統の駆動回路がセンサIC10に内臓されている。
【0048】
なお、図8では、センサIC10単体の駆動について説明しているが、初段のセンサIC10のスタート信号入力端子(SI)に入力されたスタートパルスはシフトレジスタ回路10d内をシフトし、センサIC10のスタート信号出力端子(SO)から次段のセンサIC10のSI端子に順次入力される。したがって、Sout(G)は、主走査方向に直線的にセンサIC10をn個並べるので総画素数は補間素子10bを含めてm×n+nとなり、この総画素数に対して1ラインの順次出力を得るが、センサIC10単体をそれぞれ独立して駆動する、すなわち分割駆動させることにより、1ラインの読み取り速度はn倍となる。
【0049】
図9は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する別実施例の図である。図9において、13はクロック信号(CLK)にスタート信号(SI)を同期させ、センサIC10の受光素子10aに蓄積された光電変換信号を順次、読み出し方向にアナログ信号(Sout1、2)を出力させるセンサIC制御部、14はアナログ信号(Sout1、2)をデジタル変換するA/D変換部、15はデジタル変換されたアナログ信号を信号処理する出力データ制御部であり、各色補正回路、各色データ並べ替え回路、及びCPUなどを含み、CPUから補間画素10bのデータを一時保存するラインメモリ16に指示を与える。センサIC制御部13、A/D変換部14及び出力データ制御部15及びラインメモリ16は、ASIC12に一体化回路として構成されている。図中、図5と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0050】
次に回路動作について説明する。読み取られた補間画素10bの画像データは、同期間中に読み取られるその他の受光素子10aの画像データとは主走査方向と直交する方向(副走査方向、原稿搬送方向)に対して設置位置が異なるため補正が必要になる。したがって、A/D変換部14で出力されたデジタル画像データのうち、同時に出力された補間画素10bは、データ制御部15のCPUで一旦、ラインメモリ16にデータ保存し、後から読み出す。
【0051】
その後、原稿4が搬送されて、保存された補間画素10bと同じ副走査位置のライン上の受光素子10aの出力に相当する位置で、データ制御部15は、ラインメモリ16に一時保存していた補間画素10bの画像データをラインメモリ16から読み出す。すなわち、データ制御部15は、数ライン前に読み取られた補間画素10bと当該ライン(現行ライン)で読み取られた補間画素10bとのデータの入れ替えを行ってから最終画像データ(SIG)としてからASIC12から出力する。
【0052】
図5に示すものは、受光素子10aのラインを介して一方の方向のみに集中してセンサIC10の駆動回路を配置したが、図9では、センサIC10の受光素子10aのラインを跨いで(境にして)両側にセンサIC10の駆動回路を配置する。すなわち、センサIC10のmビットの受光素子10aを奇数画素と偶数画素とに振り分けている。
【0053】
図10は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの光電変換部を含む駆動回路を説明する別実施例の図である。10cは多数の受光素子10aを順次スイッチングして蓄積電荷を共通線に送出するアナログスイッチを含むラッチ(LATCH)回路領域、10dはラッチ回路領域10cに順次スタート信号(SI)をシフトさせ、アナログスイッチを順次開閉させるシフトレジスタ(SHIFT・REGISTER)回路領域である。
【0054】
図11は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの端子位置を説明する別実施例の図である。SIはスタート信号入力端子、CLKはクロック信号入力端子、CNTはカラー・モノクロ切替用入力端子、OEは解像度切替用入力端子、VrefはGND電位又は基準レベルモニタ出力端子、SOは隣接するセンサIC10に継続してスタート信号(SI)を出力するスタート信号出力端子、Sout1、2は、RGBなど光学波長の異なる読み取り出力をそれぞれ出力する画像出力端子であり、カラー・モノクロ切替用入力端子(CNT)が論理Lの場合には、モノクロ信号としていずれか又は全部の出力端子から画像信号を送出する。VDD及びGNDは電源入力端子を示す。各入出力端子はラッチ回路領域10c及びシフトレジスタ回路領域10dを除くセンサIC10の端部に配置され、各接続パッドはワイヤボンディング接続してセンサ基板11の所定のパターン位置で接続される。
【0055】
入力端子のうち、スタート信号入力端子(SI)を除き、その他の入力端子は、各センサIC10の対応するその他の入力端子とそれぞれ共通接続される。出力端子のうち、スタート信号出力端子(SO)を除き、その他の出力端子は、各センサ1C10の対応するその他の出力端子とそれぞれ共通接続される。
【0056】
図12は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの別実施例による内部回路図である。クロック信号(CLK)に同期して、入力されたスタート信号(SI)は、D・FF(D・フリップフロップ)回路で構成されたシフトレジスタ回路10d内をシフトし、前ラインで蓄積されたフォトダイオード(P)などで構成された受光素子10aの電荷をラッチ回路10cに接続されたアナログスイッチ(AS)を順次開閉する。そして、画像出力は共通線に接続された光電変換電流又は電圧を画像出力端子(Sout1、2)から順次アナログ信号として取り出される。この回路は、補間画素10bを1個を付加するのでm/2+1ビットのシフトレジスタ回路10d、ラッチ回路10c及びアナログスイッチ群を2系統保持している。
【0057】
図12では、カラー・モノクロ切替用端子(CNT)は、論理Lとし、モノクロ読み取りの場合を示している。したがって、アナログ信号出力は、Sout1(G)及びSout2(G)から出力を取り出すので、その他のSout1、2(R)、Sout1、2(B)の信号は不要である。同時に出力される場合は、Sout1、2(G)のみを選択して信号処理回路12で信号処理される。したがって、図12では、信号を取り出す回路は、モノクロ読み取りを説明するため、RGB回路は1系統としているが、駆動回路はSout1、2(G)を含む3系統の駆動回路をセンサIC10に内臓している。
【0058】
奇数画素と偶数画素とに振り分けた画像データは、データ制御部15のシフトレジスタなどから交互に出力される並べ替え回路を用いてデータ位置変換を行う。
【0059】
なお、図12では、受光素子10aの奇数番側に補間素子10bを設け、受光素子10aの偶数番側は補間素子10bに対応するダミービット(補間画素に接続されないビット)とし、スタート信号(SI)のシフトパルスを共通化したが、スタート信号(SI)及びクロック信号(CLK)を奇数番側と偶数番側とで独立させて駆動させる場合には、ダミービットは不要である。
【0060】
アナログ画像データを、奇数画素と偶数画素とに振り分けることで、シフトレジスタ回路10dやラッチ回路10cは、センサIC10の両側に配置され、画素密度が高くてもセンサIC10内の駆動回路としての配置が容易になる。
【0061】
実施の形態1では、四角形の受光素子10a及び補間素子10bは4辺ともセンサIC10のエッジ(一方の対辺)に対して角度を持たせて配置したが、受光素子10a、補間素子10bはいずれかの辺が図13に示すようにセンサIC10のエッジに沿って略平行に配置しても良く、この場合は、センサIC10のエッジと受光素子10a、補間素子10bとの離間距離を確保できるので、ダイシング時のセンサチップの欠けによる不都合に対処することができる。
【0062】
また、図14に示すように搬送方向(副走査方向)の受光面積とエッジとの距離とを考慮して受光素子10a、補間素子10bは平面が6角形状やその他の多角形状で構成しても良い。
【0063】
以上から、この発明の実施の形態1によれば、センサIC10を所定のピッチで配列しても仮想画素が生じない高密度対応のイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果がある。
【0064】
実施の形態2.
実施の形態1では、補間素子10bは読み出し方向端部(終端部)に設けたが、実施の形態2では、読み出し方向開始端部にも設け、隣接するセンサIC10同士の端部において、直線的に配置された受光素子10aの隙間の搬送方向両側に補間素子10bを設ける場合について説明する。
【0065】
図15は、この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。図15において、10b1はセンサIC10の読み出し方向終端部に設けた補間素子(補間画素)、10b2はセンサIC10の読み出し方向開始端部に設けた補間素子(補間画素)である。図15において、その他の位置関係については、実施の形態1で説明したものと同一であるので説明を省略する。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0066】
図16は、この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。センサIC10は、一定のピッチで配列され、受光素子10aはセンサIC10の一方のコーナー端部から対向する他方のコーナー端部に配置される。センサIC10は、同一サイズの半導体基板であり、半導体ウェファから切り出して直接、センサ基板11にダイボンディングされる。
【0067】
センサIC10のコーナー端部には、仮想画素を補うように補間画素10b1、10b2が形成されている。図16では、補間画素10b1はセンサIC10の主走査方向(読み取り幅方向)の所定位置である開始画素10a1から始まり最終画素10amで終わる最終画素10am側の端部に設けられている。補間画素10b2はセンサIC10の主走査方向(読み取り幅方向)の所定位置である開始画素10a1から始まり最終画素10amで終わる開始画素10a1の端部に設けている。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0068】
したがって、センサ基板11にセンサIC10を載置して密着型イメージセンサとして使用する場合には、主走査方向に直線的にセンサIC10をn個並べるので総画素数は、副走査方向に対向した一方側の補間素子10bを含めてm×n+nとなる。
【0069】
図17は、この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。クロック信号(CLK)に同期して、入力されたスタート信号(SI)は、D・FF(D・フリップフロップ)回路で構成されたシフトレジスタ回路10d内をシフトし、前ラインで蓄積されたフォトダイオード(P)などで構成された受光素子10aの電荷をラッチ回路10cに接続されたアナログスイッチ(AS)を順次開閉する。そして、画像出力は共通線に接続された光電変換電流又は電圧を画像出力端子(Sout1、2)から順次アナログ信号として取り出される。この回路は、センサIC10の受光素子10aを介して一方の側の端部と他方の側の端部に補間画素10b1、10b2をそれぞれ付加するのでm/2+1ビットのシフトレジスタ回路10d、ラッチ回路10c及びアナログスイッチ群を2系統保持している。
【0070】
図17では、カラー・モノクロ切替用端子(CNT)は、論理Lとし、モノクロ読み取りの場合を示している。したがって、アナログ信号出力は、Sout1(G)及びSout2(G)から出力を取り出すので、その他のSout1、2(R)、Sout1、2(B)の信号は不要である。同時に出力される場合は、Sout1、2(G)のみを選択して信号処理回路12で信号処理される。したがって、図17では、信号を取り出す回路は、モノクロ読み取りを説明するため、RGB回路は1系統としているが、駆動回路はSout1、2(G)を含む3系統の駆動回路をセンサIC10に内臓している。
【0071】
アナログ画像データを、奇数画素と偶数画素とに振り分けることで、シフトレジスタ10dやラッチ回路10cは、センサIC10の両側に配置され、画素密度が高くても配置が容易となる。奇数画素と偶数画素とに振り分けた画像データは、データ制御部15に同時に入力され、奇数偶数データを交互に出力する並べ替え回路を介してデータ位置変換を行ってからラインメモリ16に収納される。同時に補間画素10b1、10b2のデータ入れ替えを行う。
【0072】
なお、図17では、受光素子10aの奇数番側に補間素子10b1を設け、受光素子10aの偶数番側に補間素子10b2を設けているので選択信号でいずれか一方のデータは削除される。すなわち、受光素子10aの奇数番側最終画素のさらに外側に補間画素10b1を設け、受光素子10aの偶数番側開始画素のさらに外側に補間画素10b2を設けているので、この場合には、2個の補間画素10b1、10b2に対してあらかじめラインメモリ16に収納する補間画素10b1、10b2のデータを原稿4に対して正逆の搬送方向信号(選択信号)で選択切替する。
【0073】
図18は、この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの画像データの並べ替えを説明する図であり、図18(a)はシフトレジスタ10dのセル番地、図18(b)は並べ換え順序、図18(c)は補間画素の入れ替え、図18(d)は選択信号による補間画素の選択を、それぞれ示している。
【0074】
図18では、奇数画素(a1〜a287)の144個の画素と1個の補間画素(b1)、及び偶数画素(a2〜a288)の144個の画素と1個の補間画素(b2)をアナログ・デジタル変換部(A/D変換部)14でデジタル変換した後、セルb2、a1、a2、a3、・・・a284、a285、a286、a287、a288、b1の順に290画素データを並び替え、その後、セルb1、b2の数ライン前のデータと置き換えて、その後、選択信号でいずれか一方のセルデータを削除し、仮想画素の補間としてのデータ補間を行い、289ビットの画像データを送出する。
【0075】
したがって、センサ基板11にセンサIC10を載置して密着型イメージセンサとして使用する場合には、主走査方向に直線的にセンサIC10をn個並べるので総画素数は補間素子10bを含めて289×n個となる。
【0076】
なお、実施の形態2では、補間画素10bは、受光素子10aと同一形状としたが、図19に示すように補間画素10bと受光素子10aのサイズを異なるようにようにしても良く、図20に示すように受光素子10aは千鳥配置し、千鳥配置した受光素子10aを補うように補間画素10bを適宜設置しても良い。
【0077】
以上から、この発明の実施の形態2によれば、受光素子10aや補間素子10bなどを駆動する駆動回路を直線状に配列した受光素子10aを境にして半導体基板の両側に振り分けたので、センサIC10を所定のピッチで配列しても仮想画素が生じない高密度対応のイメージセンサIC及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果があると共に補間素子10bは受光素子10aの両側にあるので、原稿4の搬送方向に正逆の変化があっても仮想画素に対する補間を容易に行うことができる。
【0078】
実施の形態3.
実施の形態1〜2では、CNT信号は”L”とし、主としてモノクロの読み取りについて説明したが、実施の形態3では、カラー読み取りを行う場合について説明する。
【0079】
図21は、この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。図21において、100は受光面を有するセンサIC、100agは受光面に光学波長が約525nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する緑色フィルタを塗布又は蒸着した受光素子、100abは受光面に光学波長が約475nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する青色フィルタを塗布又は蒸着した受光素子、100arは受光面に光学波長が約640nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する赤色フィルタを塗布又は蒸着した受光素子である。いずれもセンサIC100の受光部に相当する。
【0080】
100bgは受光面に光学波長が約525nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する緑色フィルタを塗布又は蒸着した補間素子、100bbは受光面に光学波長が約475nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する青色フィルタを塗布又は蒸着した補間素子、100brは受光面に光学波長が約640nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する赤色フィルタを塗布又は蒸着した補間素子である。いずれもセンサIC100の受光部に相当する。
【0081】
センサIC100は、平面が矩形、平行四辺形又は菱形形状をしており、受光素子100ag、100ab、100arは、センサIC100に直線状に配置されるが、センサIC100の端面に対して傾斜して設置される。補間素子100bg、100bb、100brはセンサIC100端部に設けられる。
図21では、互いに隣接するセンサIC100の隙間(D)が0.01mm〜0.05mm、受光素子100ag、100ab、100arのそれぞれの画素密度が約600DPIである場合について説明する。42μmの同一ピッチで直線状に受光素子100ag、100ab、100arを配列すると仮想画素(ICの隙間領域に位置し、物理的に形成できない受光素子)が発生する。したがって、直線状に配列された受光素子100ag、100ab、100arに直交するセンサIC100の端部位置に補間素子100bg、100bb、100brを形成することにより、仮想画素に対する補間画素としている。
【0082】
センサIC100は、一定のピッチで配列され、受光素子100ag、100ab、100arはセンサIC100の一方のコーナー端部から対向する他方のコーナー端部まで配置される。センサIC100は、同一サイズの半導体基板であり、半導体ウェファから切り出して直接、センサ基板11にダイボンディングされる。その他の構成については実施の形態1に準ずるので説明を省略する。
【0083】
図22は、この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。
クロック信号(CLK)に同期して、入力されたスタート信号(SI)は、D・FF(D・フリップフロップ)回路で構成されたシフトレジスタ回路100d内をシフトし、前ラインで蓄積されたフォトダイオード(P)などで構成された受光素子100ag、100ab、100arの電荷をラッチ回路100cに接続されたアナログスイッチ(AS)を順次開閉する。そして、画像出力は共通線に接続された光電変換電流又は電圧を3系統の画像出力端子(Sout)から順次アナログ信号として取り出される。この回路は、補間画素を1個を付加するのでm+1ビットのシフトレジスタ100d、ラッチ回路100c及びアナログスイッチ群を保持している。
【0084】
図22では、カラー・モノクロ切替用端子(CNT)は、論理Hとし、カラー画像読み取りの場合を示している。したがって、アナログ信号出力は、Sout(G)、Sout(B)及びSOut(R)のそれぞれから出力を取り出す。したがって、センサIC100には、RGB信号をそれぞれ取り出す3系統の駆動回路があり、共通して入力されるクロック信号(CLK)、スタート信号(SI)により、3系統は同期して同時に出力される。図中、図21と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0085】
なお、図22では、センサIC100単体の駆動について説明しているが、初段のセンサIC100のスタート信号入力端子(SI)に入力されたスタートパルスはシフトレジスタ回路100d内をシフトし、センサIC100のスタート信号出力端子(SO)から次段のセンサIC100のSI端子に順次入力される。
【0086】
したがって、Sout(R)、Sout(G)、Sout(B)は、主走査方向に直線的にセンサIC100をn個並べるので総画素数は補間素子100bg、100bb、100brを含めて単色あたりm×n+nとなり、この総画素数に対して1ラインの順次出力を得るが、センサIC10単体をそれぞれ独立して駆動する、すなわち、分割駆動させることにより、1ラインの読み取り速度はn倍となる。
【0087】
図23は、この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する図である。なお、構成は実施の形態1で説明したものと同一である。図23では、センサIC100から出力されるSout(R)(G)(B)は3系統あることを表示し、それぞれの系統で偶数モードと偶数数モードとの2系統があることを表示している。図中、図21と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0088】
次に回路動作について説明する。読み取られた補間画素100bg、100bb、100brの3系統の画像データは、同期間中に読み取られるその他の受光素子100ag、100ab、100arの3系統の画像データとは主走査方向と直交する方向(副走査方向、原稿搬送方向)に対して設置位置が異なるため補正が必要になる。したがって、A/D変換部14で出力されたデジタル画像データのうち、同時に出力された補間画素100bg、100bb、100brは、データ制御部15のCPUの指示で一旦、ラインメモリ16にデータを保存し、後から読み出す。
【0089】
その後、原稿4が搬送されて、保存された補間画素100bg、100bb、100brと同じ副走査位置のライン上の受光素子100ag、100ab、100arの出力に相当する読み取り位置で、データ制御部15はラインメモリ16に一時保存していた補間画素100bg、100bb、100brの画像データをラインメモリ16から読み出す。すなわち、データ制御部15は、数ライン前に読み取られた補間画素100bg、100bb、100brと当該ライン(現行ライン)で読み取られた補間画素100bg、100bb、100brとのデータの入れ替えを行ってから最終画像データ(SIG)としてからASIC12から出力する。
【0090】
例えば、補間画素補間画素100bg、100bb、100brが図21に示す原稿搬送方向にその他の受光画素10aと距離(L)が84μm離間されている場合には、原稿4の搬送速度が280mm/sec、密着型イメージセンサの1区間読み取り速度が0.15ms/ラインのとき、補間画素10bのデータは2ライン後に補正されたデータに変換され、出力される。このようにして、現ラインにおける1ライン分の画像データを補正し、補間画素100bg、100bb、100brとライン上のその他の受光素子100ag、100ab、100arとの副走査方向における位置ずれに対して、ずれが無い最終画像データ(SIG)を出力する。
【0091】
次に図21では、センサIC100の1個の受光部画素(セル)内に光学波長の異なる3個のフィルタを設けたが、それぞれの受光部画素にフィルタ毎を1個だけ設けた場合について説明する。図24は、この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの別実施例による部分拡大平面図である。図中、図21と同一符号は、同一又は相当部分を示す。図24では、受光素子100ag、100ab、100arは光学波長毎(各色毎)に搬送方向側に分かれてそれぞれが主走査方向側に直線的に平行して配置される。補間素子100bg、100bb、100brは光学波長毎(各色毎)に受光素子100ag、100ab、100arと一定の距離(Lg、Lb、Lr)離間して搬送方向側に隔離して配置される。すなわち、受光素子100ag、100ab、100ar及び補間素子100bg、100bb、100brは異なる光学波長毎に搬送方向又は逆搬送方向に隔離される。
【0092】
以上から、この発明の実施の形態3によれば、センサIC100を所定のピッチで配列しても仮想画素が生じない高密度対応のイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果があると共にカラー画像の読み取りに対しても対応することができる。
【0093】
実施の形態1〜3では、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に受光素子を配置し、受光素子は、半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置するようにしたが、図25に示すように一方の辺の所定位置から始まる受光素子を一方の辺の中心付近に配置し、受光素子の終端となる所定位置を他方の辺のコーナー付近に配置し、センサICを並べて受光素子が直線状になるようにしても良い。
【0094】
実施の形態1〜3では、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に受光素子を配置し、受光素子は、半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置するようにしたが、図26に示すように一方の辺の所定位置から始まる受光素子を一方の辺のコーナー付近に配置し、受光素子の終端となる所定位置を他方の辺のコーナー付近に配置し、センサICを並べて受光素子が直線状になるようにしても良い。
【0095】
実施の形態1〜3では、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に受光素子を配置し、受光素子は、半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置するようにしたが、図27に示すように一方の対辺の所定位置から始まる受光素子を一方の辺の中心付近に配置し、受光素子の終端となる所定位置を他方の辺の中心付近に配置し、センサICを並べて受光素子が直線状になるようにしても良い。すなわち、少なくとも一方の一組の対辺が受光素子と傾斜していても良い。
【0096】
なお、図27に示す平行四辺形形状のセンサICを分割し、台形形状のセンサICにしたものでは、同一のセンサICを用いた場合には、センサIC毎にデータを交互に並べ替える必要があり、補間素子の配置方法が複雑になると共に直線的に配置した受光素子に対して両側にセンサICの駆動回路を配置することが困難となり、高解像度に対応するセンサICに対する適用が困難である。
【0097】
次にウェハから切り出した半導体基板上にパターン形成したセンサIC10、100の製造方法について説明する。半導体基板は厚みが0.15mmのシリコンウェハを裏面研磨し、約0.1〜0.13mmの厚みとしたものを使用する。
【0098】
まず、半導体基板の表面に光を受光するフォトダイオード(P)パターンと、フォトダイオード(P)パターンに蓄積した電荷を取り出すスイッチング回路を形成するアナログスイッチ(AS)と、アナログスイッチを順次開閉させるシフトレジスタ回路10dパターンと、シフトレジスタ回路10dパターンで形成されたシフトレジスタ回路10d、100dの出力信号を一時保持するラッチ回路10c、100cパターン、それらパターンを保護する保護膜パターンなどを含み、半導体基板に形成するパターンを露光マスクと露光装置を用いてパターン形成する(パターン形成工程)。
【0099】
次に、半導体基板表面に形成されたセンサIC10、100の特性試験後、ウェハに形成された多数のセンサIC10、100をパターン形成工程時にあらかじめ隣接するセンサIC10、100同士の隙間に設けたスクライブラインに沿ってダイサーでカッティングする。ダイサーの刃幅は30μm〜35μmとするのでスクライブ幅は35μm〜45μmとなる。矩形形状のスクライブラインに対しては、直交するXY方向にフルカットする。平行四辺形形状のスクライブラインでは、一方の対辺側はフルカットし、他方の対辺側はハーフカットする。菱形形状のスクライブラインでは、両方の対辺側ともハーフカットする。(ダイシング工程)。
【0100】
次に、センサIC10、100が離散しないように半導体ウェハ裏面全面にはUVテープがあらかじめ貼り付けてあるのでUV露光を行い、ウェハとUVテープとの接着力を低下させる。(UV露光工程)。
【0101】
次に、ダイシング工程でハーフカットされたウェハを用いたセンサIC10,100については、ハーフカットライン方向に対してエキスパンドする。
【0102】
次に、切り出したセンサIC10、100を特性試験の結果に基づいて光量ランク毎にチップトレイなどに収納し、その後、ダイボンディングする。次にセンサIC10、100の各端子(パッド)とセンサ基板11の所定パターンとを電気接続する。光量ランクが比較的一定している場合には切り出したセンサIC10、100を直接、ダイボンダでセンサ基板11に載置しても良い。
【0103】
なお、レーザ照射でシリコンの電子を剥ぎ取るようなフェムト秒レーザーでは、スクライブラインに発生する熱による変性がほとんど無い状態でシリコン単結晶がアモルファス化するのでダメージなくダイシングすることができるのでダイシング工程におけるフルカット、ハーフカットの区別を行わなくても良い。
【0104】
また、イメージセンサ用ICの場合、センサIC10、100の表面層にのみパターンを形成するので、表面側からスクライブすることで裏面側に向かって傾斜や軽度の端部チップの欠けがあっても使用可能である。
【0105】
以上、実施の形態1〜3による製造方法を含むイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサは、はそれぞれの形態及びそれぞれの実施例を互いに組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0106】
1・・光源 2・・基板 3・・フレキシブル基板
4・・原稿(被照射体) 5・・導光体 5a・・光散乱層 6・・ホルダ
7・・筐体 8・・透過体 8a・・読み取り位置
9・・レンズ体(ロッドレンズアレイ)
10・・センサIC
10a・・受光素子(受光部)
10a1・・センサICの所定位置にある受光素子の開始画素
10am・・センサICの所定位置にある受光素子の最終画素
10b・・補間素子(補間画素)
10b1・・読み出し方向終端部に設けた補間素子
10b2・・読み出し方向開始端部に設けた補間素子
10c・・ラッチ回路(ラッチ回路領域)
10d・・シフトレジスタ回路(シフトレジスタ回路領域)
11・・センサ基板 12・・信号処理回路(ASIC)
13・・センサIC制御部 14・・A/D変換部
15・・出力データ制御部 16・・ラインメモリ
100・・センサIC 100a・・受光素子
100ag・・緑色フィルタを付加した受光素子
100ab・・青色フィルタを付加した受光素子
100ar・・赤色フィルタを付加した受光素子
100bg・・緑色フィルタを付加した補間素子
100bb・・青色フィルタを付加した補間素子
100br・・赤色フィルタを付加した補間素子
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファクシミリ、複写機、スキャナ等の原稿読取部に使用されるマルチチップ搭載型のイメージセンサに使用するイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数個のセンサチップを直線状に並べて1次元走査型のイメージセンサを構成するマルチチップ搭載型の密着型イメージセンサが普及している。マルチチップ型のセンサチップを適用する場合には、製造上の観点から原理的にセンサチップ間の間隙を必要とする。一方密着型イメージセンサの高密度化に伴い、センサチップ間の間隙による仮想画素の扱いが問題になる。
【0003】
例えば、特開平11−331492号公報図3(特許文献1参照)には、基板9上に受光部面10aの高いICチップ10と、受光部面11aの低いICチップ11とを交互に配列し、ICチップ10の端面は切欠部としての傾斜面10cを形成し逆台形状とした、マルチチップ型のイメージセンサが開示されている。
【0004】
特開平7−52451号公報図9(特許文献2参照)には、LED素子33が台形形状をしており、正逆交互に横一列に配列することでLED素子の充填密度を高くしたLEDアレイが開示されている。
【0005】
特開平6−218985号公報図4(特許文献3参照)には、回転ブレードの剛性を高め、回転ブレードを傾斜させながらダイシングを行い、光学素子チップ1の表面側の縁3aを突出させ、裏面側の縁3bを退避させるようにした読み取り装置が開示されている。
【0006】
また他の欠落画素の対策手段として、例えば特開平2−87869(特許文献4参照)では、ICイメージセンサチップ3を千鳥型に配列して隣接するICイメージセンサチップ3の受光画素部の連続性が保てるようにしたマルチチップ型イメージセンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−331492号公報(第3図)
【特許文献2】特開平7−52451号公報(第9図)
【特許文献3】特開平6−218985号公報(第4図)
【特許文献4】特開平2−87869号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、受光部面10aの高いICチップ10と、受光部面11aの低いICチップ11とを交互に配列するため、2種類のICチップを使用せざるを得ないという課題があった。
【0009】
特許文献2に記載のものは、台形形状のLED素子33とすることでLED素子33の充填密度を高くできるものの隣接するLED素子33間の隙間に関しては記載が無い。
【0010】
特許文献3に記載のものは、ダイボンダなどによる自動実装時においては、実装精度に起因するチップ同士の衝突(接触)を考慮するためチップ間をあらかじめ隔離して実装する必要がある。また精度良く実装できても下部に位置する銀ペースト8などの接着剤の上に機械実装するため、実装後の位置変化があるという課題があった。
【0011】
特許文献4に記載のものは、イメージセンサチップ3を千鳥配列させているために、画素の副走査方向位置が隣接するイメージセンサチップ3毎に異なるため、イメージセンサチップ3毎に多数の画素が異なる違和感のある画像となり、画像品質の悪化を招くという課題があった。
【0012】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたものであり、センサチップを所定のピッチで配列しても仮想画素が生じない高密度対応のイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明のイメージセンサ用ICは、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に配置され、前記半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置した受光素子と、直線的に配置された前記受光素子と前記一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の前記一組の対辺一端部又は両端部に設けられ、直線的に配置された前記受光素子と傾斜角度があると共に直線的に配置された前記受光素子の外側に光を受光する補間素子とを備えたものである。
【0014】
請求項2に係る発明のイメージセンサ用ICは、前記受光素子及び前記補間素子を駆動する駆動回路が、直線的に配置された前記受光素子を境にして前記半導体基板の両側に振り分けられている請求項1に記載のものである。
【0015】
請求項3に係る発明のイメージセンサ用ICは、前記半導体基板を等ピッチで並べ、前記受光素子及び前記補間素子を直線状に延在させた請求項1に記載のものである。
【0016】
請求項4に係る発明のイメージセンサ用ICは、個々の前記受光素子及び個々の前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なる複数のフィルタが塗布又は蒸着されている請求項1に記載のものである。
【0017】
請求項5に係る発明のイメージセンサ用ICは、前記受光素子及び前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なるフィルタが塗布又は蒸着されており、前記受光素子及び前記補間素子は異なる光学波長毎に搬送方向又は逆搬送方向に隔離される請求項1に記載のものである。
【0018】
請求項6に係る発明の密着型イメージセンサは、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に配置され、前記半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置した受光素子、直線的に配置された前記受光素子と前記一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の前記一組の対辺一端部又は両端部に設けられ、直線的に配置された前記受光素子と傾斜角度があると共に直線的に配置された前記受光素子の外側に光を受光する補間素子を有するイメージセンサ用ICと、このイメージセンサ用ICの前記受光素子に沿って配置され、搬送方向に搬送される被照射体で反射した光を収束し、前記イメージセンサ用ICに光を受光させるレンズ体と、前記イメージセンサ用ICを載置するセンサ基板とを備えたものである。
【0019】
請求項7に係る発明の密着型イメージセンサは、前記受光素子及び前記補間素子を駆動する駆動回路が、直線的に配置された前記受光素子を境にして前記半導体基板の両側に振り分けられている請求項6に記載のものである。
【0020】
請求項8に係る発明の密着型イメージセンサは、前記半導体基板を等ピッチで並べ、前記受光素子及び前記補間素子を直線状に延在させた請求項6に記載のものである。
【0021】
請求項9に係る発明の密着型イメージセンサは、個々の前記受光素子及び個々の前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なる複数のフィルタが塗布又は蒸着されている請求項6に記載のものである。
【0022】
請求項10に係る発明の密着型イメージセンサは、前記受光素子及び前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なるフィルタが塗布又は蒸着されており、前記受光素子及び前記補間素子は異なる光学波長毎に搬送方向又は逆搬送方向に直線状に平行して配置される請求項6に記載のものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明に係るイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサによれば、センサICを所定のピッチで配列しても仮想画素が生じない高密度対応のイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1による密着型イメージセンサの組み立て展開図である。
【図2】この発明の形態1によるイメージセンサ用ICとレンズ体との位置関係を説明する図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの光電変換部を含む駆動回路を説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの端子位置を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。
【図9】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する別実施例の図である。
【図10】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの光電変換部を含む駆動回路を説明する別実施例の図である。
【図11】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの端子位置を説明する別実施例の図である。
【図12】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの別実施例による内部回路図である。
【図13】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの別実施例による平面図である。
【図14】この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの別実施例による平面図である。
【図15】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。
【図16】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。
【図17】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。
【図18】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの画像データの並べ替えを説明する図であり、図18(a)はシフトレジスタのセル番地、図18(b)は並べ換え順序、図18(c)は補間画素の入れ替え、図18(d)は選択信号による補間画素の選択を説明する図である。
【図19】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの別実施例による平面図である。
【図20】この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの別実施例による平面図である。
【図21】この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。
【図22】この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。
【図23】この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する図である。
【図24】この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの別実施例による部分拡大平面図である。
【図25】この発明の実施の形態1〜3によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。
【図26】この発明の実施の形態1〜3によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。
【図27】この発明の実施の形態1〜3によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。
【図28】台形形状のセンサICの並びを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、この発明の実施の形態1による密着型イメージセンサの組み立て展開図である。図1において、1は光源であり、例えばLEDチップや汎用のモール型LEDなどの発光体である。2は光源1を搭載した基板、3は基板2に貼り付けられ、光源1に電源を供給するフレキシブル基板である。
【0026】
4は原稿や紙幣などであり、相対的に搬送される被照射体、5はガラス材やアクリル樹脂などの透明部材によって構成された導光体、5aは導光体5に接触して設けた光散乱層(光反射層)、6は内部に空洞部を有するホルダであり、この空洞内の一端側に光源1が配置され、他端側は導光体5の端部を嵌め合わせて固定する。7は光源1及び導光体5などを収納又は保持する筐体である。
【0027】
8はガラス材やアクリルなどの透明部材で構成され、密着型イメージセンサ(CIS)の内部を保護する透過体、8aは透過体8上の主走査方向(読み取り幅方向)の読み取り位置を示し、物理的な構成要素ではない。9はロッドレンズアレイなどを用いたレンズ体であり、被照射体4からの散乱光を入射し、その散乱光を収束し結像させるものである。10はセンサ用ICとも呼び、レンズ体9の光軸上に配置し、レンズ体9で収束された光を受光するセンサICである。センサIC10は、半導体基板の表面に形成された受光部(光電変換部)を含み、受光部を駆動するシフトレジスタ、ラッチ回路及びスイッチなどからなる駆動回路からなる。11はセンサIC10を載置し、センサIC10の受光部で受光した光電変換出力を信号処理するセンサ基板であり、外部コネクタや電子部品、信号処理回路などを搭載している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0028】
次に動作について説明する。図1において、ホルダ6内に配置された光源1から照射された光は導光体5の端部入射領域を照射する。導光体5には、光を散乱反射させる光散乱層5aが白色のシルク印刷などで主走査方向に形成され、均一な光を出射する。
【0029】
導光体5から出射した光は透過体8上の読み取り位置8aにある被照射体4を照射し、被照射体4からの反射光(散乱反射光)は透過体8を透過して、レンズ体9で収束され、半導体基板で構成されたセンサIC10の受光部(受光面)で結像される。センサ基板11には、センサIC10の受光面の反対側に設けられ、センサIC10や光源1を駆動する電源回路、信号処理回路であるASIC12(Application Specific Integrated Circuit)などの電子部品が搭載されている。
【0030】
センサIC10はセンサ基板11に複数個並べて搭載され、スタート信号(SI)とクロック信号(CLK)とを受けて駆動する。センサIC10上の受光面で光電変換された各画素の信号出力は、シフトレジスタからのシフト信号でスイッチ群を順次開閉し、出力信号として外部に画像信号を送出する。また、被照射体4に対する各ライン毎の出力をクロック信号(CLK)に同期した読み出し信号に基づいて順次、又は同時にアナログ信号として信号処理回路12に送出する。
【0031】
図2は、この発明の形態1によるイメージセンサ用ICとレンズ体9との位置関係を説明する図である。10aはセンサIC10の受光部(受光面)であり、受光素子(光電変換部)と呼ぶ。センサIC10は、平面形状が四角形である。すなわち、平面が矩形、平行四辺形又は菱形形状をしている。受光素子10aは、センサIC10に直線的に配置され、センサIC10の少なくとも1組の対辺(端面)に対して傾斜して設置される。
【0032】
正確には、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に受光素子10aが配置される。受光素子10aは、半導体基板の対向する一方の辺の所定位置(読み取り位置)から他方の辺の所定位置(読み取り位置)まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置する。
【0033】
また、受光素子10aはレンズ体9に沿って読み取り幅に亘って配置される。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0034】
図3は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。図3において、10bはセンサIC10端部に設けた補間素子(補間画素)である。ところで、図3では、互いに隣接するセンサIC10の隙間(D)が0.01mm〜0.05mm、受光素子10aの画素密度が約600DPIである場合、42μmの同一ピッチで直線状に受光素子10aを配列すると仮想画素(ICの隙間領域に位置し、物理的に形成できない受光素子)が発生する。したがって、直線状に配列された受光素子10aに直交する方向のセンサIC10の端部位置に補間画素10bを形成する。そして補間画素10bは仮想画素を補間するための画素として用いる。
【0035】
正確には、補間画素10bは、直線的に配置された受光素子10aと一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の一組の対辺一端部又は両端部に設けられる。また、補間画素10bは、直線的に配置された受光素子10と傾斜角度があると共に直線的に配置された受光素子10aの外側に設置される。すなわち、補間画素10bは、受光素子10aの並びと対辺との成す傾斜角度が90度以上ある半導体基板端部の形成可能領域の受光素子10aの並びの外側に配置される。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0036】
図4は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。センサIC10は、一定のピッチで配列され、受光素子10aはセンサIC10の一方のコーナー端部から対向する他方のコーナー端部に配置される。センサIC10は、同一サイズの半導体基板であり、半導体ウェファから切り出して直接、センサ基板11にダイボンディングされる。
【0037】
センサIC10のコーナー端部には、仮想画素を補うように補間画素10bが形成されている。図4では、補間画素10bは、センサIC10の主走査方向(読み取り幅方向)の読み出し順序の所定位置である開始画素10a1から始まり最終画素10amで終わる最終画素10am側のさらに端部に設けられている。しかし、逆に補間画素10bは、センサIC10の読み出し順序の所定位置である開始画素10a1側のさらに端部に設けても良い。また、隣接して配置されるセンサIC10間の最も短い距離で隣接する受光素子10a同士の中心位置に補間画素10bを設けることが好ましい。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0038】
なお、並べてセンサ基板11にセンサIC10を載置して密着型イメージセンサとして使用する場合には、主走査方向に直線的にセンサIC10をn個並べるので総画素数は補間素子10bを含めてm×n+nとなる。
【0039】
図5は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する図である。図5において、13はクロック信号(CLK)にスタート信号(SI)を同期させ、センサIC10の受光素子10aに蓄積された光電変換信号を順次、読み出し方向にアナログ信号(Sout)を出力させるセンサIC制御部、14はアナログ信号をデジタル変換するA/D変換部、15はデジタル変換されたアナログ信号を信号処理する出力データ制御部(データ制御部)であり、各色補正回路、各色データ並べ替え回路、及びCPUなどを含み、CPUから補間画素10bのデータを一時保存するラインメモリ16に指示を与える。センサIC制御部13、A/D変換部14及びデータ制御部15及びラインメモリ16は、ASIC12に一体化回路として構成されている。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0040】
次に回路動作について説明する。読み取られた補間画素10bの画像データは、同期間中に読み取られるその他の受光素子10aの画像データとは主走査方向と直交する方向(副走査方向、原稿搬送方向)に対して設置位置が異なるためデータ補正が必要になる。したがって、A/D変換部14で出力されたデジタル画像データのうち、同時に出力された補間画素10bは、データ制御部15のCPUで一旦、ラインメモリ16にデータ保存し、後から読み出す。
【0041】
その後、原稿4が搬送されて、保存された補間画素10bと同じ副走査位置のライン上の受光素子10aの出力に相当する位置で、データ制御部15は、ラインメモリ16に一時保存していた補間画素10bの画像データをラインメモリ16から読み出す。すなわち、データ制御部15は、数ライン前に読み取られた補間画素10bと当該ライン(現行ライン)で読み取られた補間画素10bとのデータの入れ替えを行ってから最終画像データ(SIG)としてからASIC12から出力する。
【0042】
例えば、補間画素10bが原稿搬送方向にその他の受光画素10aと84μm離間されている場合には、原稿4の搬送速度が280mm/sec、密着型イメージセンサの1区間読み取り速度が0.15ms/ラインのとき、補間画素10bのデータは2ライン後に補正されたデータに変換され、その後出力される。このようにして、現ラインにおける1ライン分の画像データを補正し、補間画素10bとライン上のその他の受光素子10aとの副走査方向における位置ずれに対して、ずれが無い最終画像データ(SIG)を出力する。
【0043】
図6は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの光電変換部を含む駆動回路を説明する図である。10cは多数の受光素子10aを順次スイッチングして蓄積電荷を共通線に送出するアナログスイッチを含むラッチ(LATCH)回路領域、10dはラッチ回路領域10cに順次スタート信号(SI)をシフトさせ、アナログスイッチを順次開閉させるシフトレジスタ(SHIFT・REGISTER)回路領域である。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0044】
図7は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの端子位置を説明する図である。SIはスタート信号入力端子、CLKはクロック信号入力端子、CNTはカラー・モノクロ切替用入力端子、OEは解像度切替用入力端子、VrefはGND電位又は基準レベルモニタ出力端子、SOは隣接するセンサIC10に継続してスタート信号(SI)を出力するスタート信号出力端子、SoutはRGBなど光学波長の異なる読み取り出力をそれぞれ出力する画像出力端子であり、カラー・モノクロ切替用入力端子(CNT)が論理Lの場合には、モノクロ信号としていずれか又は全部の出力端子から画像信号を送出する。VDD及びGNDは電源端子を示す。各入出力端子はラッチ回路領域10c及びシフトレジスタ回路領域10dを除くセンサIC10の端部に配置され、各パッドはワイヤボンディング接続してセンサ基板11の所定のパターン位置で接続される。
【0045】
入力端子のうち、スタート信号入力端子(SI)を除き、その他の入力端子は、各センサIC10の対応するその他の入力端子とそれぞれ共通接続される。出力端子のうち、スタート信号出力端子(SO)を除き、その他の出力端子は、各センサ1C10の対応するその他の出力端子とそれぞれ共通接続される。
【0046】
図8は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。クロック信号(CLK)に同期して、入力されたスタート信号(SI)は、D・FF(D・フリップフロップ)回路で構成されたシフトレジスタ回路10d内をシフトし、前ラインで蓄積されたフォトダイオード(P)などで構成された受光素子10aの電荷をラッチ回路10cに接続されたアナログスイッチ(AS)を順次開閉する。そして、画像出力は共通線に接続された光電変換電流又は電圧を画像出力端子(Sout)から順次アナログ信号として取り出される。この回路は、補間画素10bを1個を付加するのでm+1ビットのシフトレジスタ回路10d、ラッチ回路10c及び対応するアナログスイッチ群を1系統保持している。
【0047】
図8では、カラー・モノクロ切替用端子(CNT)は、論理Lとし、モノクロ読み取りの場合を示している。したがって、アナログ信号出力は、Sout(G)から出力を取り出すので、その他のSout(R)、SOut(B)の信号は不要である。同時に出力される場合は、Sout(G)のみを選択して信号処理回路12で信号処理される。したがって、図8では、信号を取り出す回路は、モノクロ読み取りを説明するため、回路は1系統としているが、Sout(G)を含む3系統の駆動回路がセンサIC10に内臓されている。
【0048】
なお、図8では、センサIC10単体の駆動について説明しているが、初段のセンサIC10のスタート信号入力端子(SI)に入力されたスタートパルスはシフトレジスタ回路10d内をシフトし、センサIC10のスタート信号出力端子(SO)から次段のセンサIC10のSI端子に順次入力される。したがって、Sout(G)は、主走査方向に直線的にセンサIC10をn個並べるので総画素数は補間素子10bを含めてm×n+nとなり、この総画素数に対して1ラインの順次出力を得るが、センサIC10単体をそれぞれ独立して駆動する、すなわち分割駆動させることにより、1ラインの読み取り速度はn倍となる。
【0049】
図9は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する別実施例の図である。図9において、13はクロック信号(CLK)にスタート信号(SI)を同期させ、センサIC10の受光素子10aに蓄積された光電変換信号を順次、読み出し方向にアナログ信号(Sout1、2)を出力させるセンサIC制御部、14はアナログ信号(Sout1、2)をデジタル変換するA/D変換部、15はデジタル変換されたアナログ信号を信号処理する出力データ制御部であり、各色補正回路、各色データ並べ替え回路、及びCPUなどを含み、CPUから補間画素10bのデータを一時保存するラインメモリ16に指示を与える。センサIC制御部13、A/D変換部14及び出力データ制御部15及びラインメモリ16は、ASIC12に一体化回路として構成されている。図中、図5と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0050】
次に回路動作について説明する。読み取られた補間画素10bの画像データは、同期間中に読み取られるその他の受光素子10aの画像データとは主走査方向と直交する方向(副走査方向、原稿搬送方向)に対して設置位置が異なるため補正が必要になる。したがって、A/D変換部14で出力されたデジタル画像データのうち、同時に出力された補間画素10bは、データ制御部15のCPUで一旦、ラインメモリ16にデータ保存し、後から読み出す。
【0051】
その後、原稿4が搬送されて、保存された補間画素10bと同じ副走査位置のライン上の受光素子10aの出力に相当する位置で、データ制御部15は、ラインメモリ16に一時保存していた補間画素10bの画像データをラインメモリ16から読み出す。すなわち、データ制御部15は、数ライン前に読み取られた補間画素10bと当該ライン(現行ライン)で読み取られた補間画素10bとのデータの入れ替えを行ってから最終画像データ(SIG)としてからASIC12から出力する。
【0052】
図5に示すものは、受光素子10aのラインを介して一方の方向のみに集中してセンサIC10の駆動回路を配置したが、図9では、センサIC10の受光素子10aのラインを跨いで(境にして)両側にセンサIC10の駆動回路を配置する。すなわち、センサIC10のmビットの受光素子10aを奇数画素と偶数画素とに振り分けている。
【0053】
図10は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの光電変換部を含む駆動回路を説明する別実施例の図である。10cは多数の受光素子10aを順次スイッチングして蓄積電荷を共通線に送出するアナログスイッチを含むラッチ(LATCH)回路領域、10dはラッチ回路領域10cに順次スタート信号(SI)をシフトさせ、アナログスイッチを順次開閉させるシフトレジスタ(SHIFT・REGISTER)回路領域である。
【0054】
図11は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの端子位置を説明する別実施例の図である。SIはスタート信号入力端子、CLKはクロック信号入力端子、CNTはカラー・モノクロ切替用入力端子、OEは解像度切替用入力端子、VrefはGND電位又は基準レベルモニタ出力端子、SOは隣接するセンサIC10に継続してスタート信号(SI)を出力するスタート信号出力端子、Sout1、2は、RGBなど光学波長の異なる読み取り出力をそれぞれ出力する画像出力端子であり、カラー・モノクロ切替用入力端子(CNT)が論理Lの場合には、モノクロ信号としていずれか又は全部の出力端子から画像信号を送出する。VDD及びGNDは電源入力端子を示す。各入出力端子はラッチ回路領域10c及びシフトレジスタ回路領域10dを除くセンサIC10の端部に配置され、各接続パッドはワイヤボンディング接続してセンサ基板11の所定のパターン位置で接続される。
【0055】
入力端子のうち、スタート信号入力端子(SI)を除き、その他の入力端子は、各センサIC10の対応するその他の入力端子とそれぞれ共通接続される。出力端子のうち、スタート信号出力端子(SO)を除き、その他の出力端子は、各センサ1C10の対応するその他の出力端子とそれぞれ共通接続される。
【0056】
図12は、この発明の実施の形態1によるイメージセンサ用ICの別実施例による内部回路図である。クロック信号(CLK)に同期して、入力されたスタート信号(SI)は、D・FF(D・フリップフロップ)回路で構成されたシフトレジスタ回路10d内をシフトし、前ラインで蓄積されたフォトダイオード(P)などで構成された受光素子10aの電荷をラッチ回路10cに接続されたアナログスイッチ(AS)を順次開閉する。そして、画像出力は共通線に接続された光電変換電流又は電圧を画像出力端子(Sout1、2)から順次アナログ信号として取り出される。この回路は、補間画素10bを1個を付加するのでm/2+1ビットのシフトレジスタ回路10d、ラッチ回路10c及びアナログスイッチ群を2系統保持している。
【0057】
図12では、カラー・モノクロ切替用端子(CNT)は、論理Lとし、モノクロ読み取りの場合を示している。したがって、アナログ信号出力は、Sout1(G)及びSout2(G)から出力を取り出すので、その他のSout1、2(R)、Sout1、2(B)の信号は不要である。同時に出力される場合は、Sout1、2(G)のみを選択して信号処理回路12で信号処理される。したがって、図12では、信号を取り出す回路は、モノクロ読み取りを説明するため、RGB回路は1系統としているが、駆動回路はSout1、2(G)を含む3系統の駆動回路をセンサIC10に内臓している。
【0058】
奇数画素と偶数画素とに振り分けた画像データは、データ制御部15のシフトレジスタなどから交互に出力される並べ替え回路を用いてデータ位置変換を行う。
【0059】
なお、図12では、受光素子10aの奇数番側に補間素子10bを設け、受光素子10aの偶数番側は補間素子10bに対応するダミービット(補間画素に接続されないビット)とし、スタート信号(SI)のシフトパルスを共通化したが、スタート信号(SI)及びクロック信号(CLK)を奇数番側と偶数番側とで独立させて駆動させる場合には、ダミービットは不要である。
【0060】
アナログ画像データを、奇数画素と偶数画素とに振り分けることで、シフトレジスタ回路10dやラッチ回路10cは、センサIC10の両側に配置され、画素密度が高くてもセンサIC10内の駆動回路としての配置が容易になる。
【0061】
実施の形態1では、四角形の受光素子10a及び補間素子10bは4辺ともセンサIC10のエッジ(一方の対辺)に対して角度を持たせて配置したが、受光素子10a、補間素子10bはいずれかの辺が図13に示すようにセンサIC10のエッジに沿って略平行に配置しても良く、この場合は、センサIC10のエッジと受光素子10a、補間素子10bとの離間距離を確保できるので、ダイシング時のセンサチップの欠けによる不都合に対処することができる。
【0062】
また、図14に示すように搬送方向(副走査方向)の受光面積とエッジとの距離とを考慮して受光素子10a、補間素子10bは平面が6角形状やその他の多角形状で構成しても良い。
【0063】
以上から、この発明の実施の形態1によれば、センサIC10を所定のピッチで配列しても仮想画素が生じない高密度対応のイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果がある。
【0064】
実施の形態2.
実施の形態1では、補間素子10bは読み出し方向端部(終端部)に設けたが、実施の形態2では、読み出し方向開始端部にも設け、隣接するセンサIC10同士の端部において、直線的に配置された受光素子10aの隙間の搬送方向両側に補間素子10bを設ける場合について説明する。
【0065】
図15は、この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。図15において、10b1はセンサIC10の読み出し方向終端部に設けた補間素子(補間画素)、10b2はセンサIC10の読み出し方向開始端部に設けた補間素子(補間画素)である。図15において、その他の位置関係については、実施の形態1で説明したものと同一であるので説明を省略する。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0066】
図16は、この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICのセンサICの並びを説明する図である。センサIC10は、一定のピッチで配列され、受光素子10aはセンサIC10の一方のコーナー端部から対向する他方のコーナー端部に配置される。センサIC10は、同一サイズの半導体基板であり、半導体ウェファから切り出して直接、センサ基板11にダイボンディングされる。
【0067】
センサIC10のコーナー端部には、仮想画素を補うように補間画素10b1、10b2が形成されている。図16では、補間画素10b1はセンサIC10の主走査方向(読み取り幅方向)の所定位置である開始画素10a1から始まり最終画素10amで終わる最終画素10am側の端部に設けられている。補間画素10b2はセンサIC10の主走査方向(読み取り幅方向)の所定位置である開始画素10a1から始まり最終画素10amで終わる開始画素10a1の端部に設けている。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0068】
したがって、センサ基板11にセンサIC10を載置して密着型イメージセンサとして使用する場合には、主走査方向に直線的にセンサIC10をn個並べるので総画素数は、副走査方向に対向した一方側の補間素子10bを含めてm×n+nとなる。
【0069】
図17は、この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。クロック信号(CLK)に同期して、入力されたスタート信号(SI)は、D・FF(D・フリップフロップ)回路で構成されたシフトレジスタ回路10d内をシフトし、前ラインで蓄積されたフォトダイオード(P)などで構成された受光素子10aの電荷をラッチ回路10cに接続されたアナログスイッチ(AS)を順次開閉する。そして、画像出力は共通線に接続された光電変換電流又は電圧を画像出力端子(Sout1、2)から順次アナログ信号として取り出される。この回路は、センサIC10の受光素子10aを介して一方の側の端部と他方の側の端部に補間画素10b1、10b2をそれぞれ付加するのでm/2+1ビットのシフトレジスタ回路10d、ラッチ回路10c及びアナログスイッチ群を2系統保持している。
【0070】
図17では、カラー・モノクロ切替用端子(CNT)は、論理Lとし、モノクロ読み取りの場合を示している。したがって、アナログ信号出力は、Sout1(G)及びSout2(G)から出力を取り出すので、その他のSout1、2(R)、Sout1、2(B)の信号は不要である。同時に出力される場合は、Sout1、2(G)のみを選択して信号処理回路12で信号処理される。したがって、図17では、信号を取り出す回路は、モノクロ読み取りを説明するため、RGB回路は1系統としているが、駆動回路はSout1、2(G)を含む3系統の駆動回路をセンサIC10に内臓している。
【0071】
アナログ画像データを、奇数画素と偶数画素とに振り分けることで、シフトレジスタ10dやラッチ回路10cは、センサIC10の両側に配置され、画素密度が高くても配置が容易となる。奇数画素と偶数画素とに振り分けた画像データは、データ制御部15に同時に入力され、奇数偶数データを交互に出力する並べ替え回路を介してデータ位置変換を行ってからラインメモリ16に収納される。同時に補間画素10b1、10b2のデータ入れ替えを行う。
【0072】
なお、図17では、受光素子10aの奇数番側に補間素子10b1を設け、受光素子10aの偶数番側に補間素子10b2を設けているので選択信号でいずれか一方のデータは削除される。すなわち、受光素子10aの奇数番側最終画素のさらに外側に補間画素10b1を設け、受光素子10aの偶数番側開始画素のさらに外側に補間画素10b2を設けているので、この場合には、2個の補間画素10b1、10b2に対してあらかじめラインメモリ16に収納する補間画素10b1、10b2のデータを原稿4に対して正逆の搬送方向信号(選択信号)で選択切替する。
【0073】
図18は、この発明の実施の形態2によるイメージセンサ用ICの画像データの並べ替えを説明する図であり、図18(a)はシフトレジスタ10dのセル番地、図18(b)は並べ換え順序、図18(c)は補間画素の入れ替え、図18(d)は選択信号による補間画素の選択を、それぞれ示している。
【0074】
図18では、奇数画素(a1〜a287)の144個の画素と1個の補間画素(b1)、及び偶数画素(a2〜a288)の144個の画素と1個の補間画素(b2)をアナログ・デジタル変換部(A/D変換部)14でデジタル変換した後、セルb2、a1、a2、a3、・・・a284、a285、a286、a287、a288、b1の順に290画素データを並び替え、その後、セルb1、b2の数ライン前のデータと置き換えて、その後、選択信号でいずれか一方のセルデータを削除し、仮想画素の補間としてのデータ補間を行い、289ビットの画像データを送出する。
【0075】
したがって、センサ基板11にセンサIC10を載置して密着型イメージセンサとして使用する場合には、主走査方向に直線的にセンサIC10をn個並べるので総画素数は補間素子10bを含めて289×n個となる。
【0076】
なお、実施の形態2では、補間画素10bは、受光素子10aと同一形状としたが、図19に示すように補間画素10bと受光素子10aのサイズを異なるようにようにしても良く、図20に示すように受光素子10aは千鳥配置し、千鳥配置した受光素子10aを補うように補間画素10bを適宜設置しても良い。
【0077】
以上から、この発明の実施の形態2によれば、受光素子10aや補間素子10bなどを駆動する駆動回路を直線状に配列した受光素子10aを境にして半導体基板の両側に振り分けたので、センサIC10を所定のピッチで配列しても仮想画素が生じない高密度対応のイメージセンサIC及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果があると共に補間素子10bは受光素子10aの両側にあるので、原稿4の搬送方向に正逆の変化があっても仮想画素に対する補間を容易に行うことができる。
【0078】
実施の形態3.
実施の形態1〜2では、CNT信号は”L”とし、主としてモノクロの読み取りについて説明したが、実施の形態3では、カラー読み取りを行う場合について説明する。
【0079】
図21は、この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの部分拡大平面図である。図21において、100は受光面を有するセンサIC、100agは受光面に光学波長が約525nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する緑色フィルタを塗布又は蒸着した受光素子、100abは受光面に光学波長が約475nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する青色フィルタを塗布又は蒸着した受光素子、100arは受光面に光学波長が約640nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する赤色フィルタを塗布又は蒸着した受光素子である。いずれもセンサIC100の受光部に相当する。
【0080】
100bgは受光面に光学波長が約525nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する緑色フィルタを塗布又は蒸着した補間素子、100bbは受光面に光学波長が約475nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する青色フィルタを塗布又は蒸着した補間素子、100brは受光面に光学波長が約640nmの光を吸収又は反射させ、光を透過又は遮光させることにより選択的に光を受光する赤色フィルタを塗布又は蒸着した補間素子である。いずれもセンサIC100の受光部に相当する。
【0081】
センサIC100は、平面が矩形、平行四辺形又は菱形形状をしており、受光素子100ag、100ab、100arは、センサIC100に直線状に配置されるが、センサIC100の端面に対して傾斜して設置される。補間素子100bg、100bb、100brはセンサIC100端部に設けられる。
図21では、互いに隣接するセンサIC100の隙間(D)が0.01mm〜0.05mm、受光素子100ag、100ab、100arのそれぞれの画素密度が約600DPIである場合について説明する。42μmの同一ピッチで直線状に受光素子100ag、100ab、100arを配列すると仮想画素(ICの隙間領域に位置し、物理的に形成できない受光素子)が発生する。したがって、直線状に配列された受光素子100ag、100ab、100arに直交するセンサIC100の端部位置に補間素子100bg、100bb、100brを形成することにより、仮想画素に対する補間画素としている。
【0082】
センサIC100は、一定のピッチで配列され、受光素子100ag、100ab、100arはセンサIC100の一方のコーナー端部から対向する他方のコーナー端部まで配置される。センサIC100は、同一サイズの半導体基板であり、半導体ウェファから切り出して直接、センサ基板11にダイボンディングされる。その他の構成については実施の形態1に準ずるので説明を省略する。
【0083】
図22は、この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの内部回路図である。
クロック信号(CLK)に同期して、入力されたスタート信号(SI)は、D・FF(D・フリップフロップ)回路で構成されたシフトレジスタ回路100d内をシフトし、前ラインで蓄積されたフォトダイオード(P)などで構成された受光素子100ag、100ab、100arの電荷をラッチ回路100cに接続されたアナログスイッチ(AS)を順次開閉する。そして、画像出力は共通線に接続された光電変換電流又は電圧を3系統の画像出力端子(Sout)から順次アナログ信号として取り出される。この回路は、補間画素を1個を付加するのでm+1ビットのシフトレジスタ100d、ラッチ回路100c及びアナログスイッチ群を保持している。
【0084】
図22では、カラー・モノクロ切替用端子(CNT)は、論理Hとし、カラー画像読み取りの場合を示している。したがって、アナログ信号出力は、Sout(G)、Sout(B)及びSOut(R)のそれぞれから出力を取り出す。したがって、センサIC100には、RGB信号をそれぞれ取り出す3系統の駆動回路があり、共通して入力されるクロック信号(CLK)、スタート信号(SI)により、3系統は同期して同時に出力される。図中、図21と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0085】
なお、図22では、センサIC100単体の駆動について説明しているが、初段のセンサIC100のスタート信号入力端子(SI)に入力されたスタートパルスはシフトレジスタ回路100d内をシフトし、センサIC100のスタート信号出力端子(SO)から次段のセンサIC100のSI端子に順次入力される。
【0086】
したがって、Sout(R)、Sout(G)、Sout(B)は、主走査方向に直線的にセンサIC100をn個並べるので総画素数は補間素子100bg、100bb、100brを含めて単色あたりm×n+nとなり、この総画素数に対して1ラインの順次出力を得るが、センサIC10単体をそれぞれ独立して駆動する、すなわち、分割駆動させることにより、1ラインの読み取り速度はn倍となる。
【0087】
図23は、この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICを搭載した密着型イメージセンサの駆動回路を説明する図である。なお、構成は実施の形態1で説明したものと同一である。図23では、センサIC100から出力されるSout(R)(G)(B)は3系統あることを表示し、それぞれの系統で偶数モードと偶数数モードとの2系統があることを表示している。図中、図21と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0088】
次に回路動作について説明する。読み取られた補間画素100bg、100bb、100brの3系統の画像データは、同期間中に読み取られるその他の受光素子100ag、100ab、100arの3系統の画像データとは主走査方向と直交する方向(副走査方向、原稿搬送方向)に対して設置位置が異なるため補正が必要になる。したがって、A/D変換部14で出力されたデジタル画像データのうち、同時に出力された補間画素100bg、100bb、100brは、データ制御部15のCPUの指示で一旦、ラインメモリ16にデータを保存し、後から読み出す。
【0089】
その後、原稿4が搬送されて、保存された補間画素100bg、100bb、100brと同じ副走査位置のライン上の受光素子100ag、100ab、100arの出力に相当する読み取り位置で、データ制御部15はラインメモリ16に一時保存していた補間画素100bg、100bb、100brの画像データをラインメモリ16から読み出す。すなわち、データ制御部15は、数ライン前に読み取られた補間画素100bg、100bb、100brと当該ライン(現行ライン)で読み取られた補間画素100bg、100bb、100brとのデータの入れ替えを行ってから最終画像データ(SIG)としてからASIC12から出力する。
【0090】
例えば、補間画素補間画素100bg、100bb、100brが図21に示す原稿搬送方向にその他の受光画素10aと距離(L)が84μm離間されている場合には、原稿4の搬送速度が280mm/sec、密着型イメージセンサの1区間読み取り速度が0.15ms/ラインのとき、補間画素10bのデータは2ライン後に補正されたデータに変換され、出力される。このようにして、現ラインにおける1ライン分の画像データを補正し、補間画素100bg、100bb、100brとライン上のその他の受光素子100ag、100ab、100arとの副走査方向における位置ずれに対して、ずれが無い最終画像データ(SIG)を出力する。
【0091】
次に図21では、センサIC100の1個の受光部画素(セル)内に光学波長の異なる3個のフィルタを設けたが、それぞれの受光部画素にフィルタ毎を1個だけ設けた場合について説明する。図24は、この発明の実施の形態3によるイメージセンサ用ICの別実施例による部分拡大平面図である。図中、図21と同一符号は、同一又は相当部分を示す。図24では、受光素子100ag、100ab、100arは光学波長毎(各色毎)に搬送方向側に分かれてそれぞれが主走査方向側に直線的に平行して配置される。補間素子100bg、100bb、100brは光学波長毎(各色毎)に受光素子100ag、100ab、100arと一定の距離(Lg、Lb、Lr)離間して搬送方向側に隔離して配置される。すなわち、受光素子100ag、100ab、100ar及び補間素子100bg、100bb、100brは異なる光学波長毎に搬送方向又は逆搬送方向に隔離される。
【0092】
以上から、この発明の実施の形態3によれば、センサIC100を所定のピッチで配列しても仮想画素が生じない高密度対応のイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果があると共にカラー画像の読み取りに対しても対応することができる。
【0093】
実施の形態1〜3では、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に受光素子を配置し、受光素子は、半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置するようにしたが、図25に示すように一方の辺の所定位置から始まる受光素子を一方の辺の中心付近に配置し、受光素子の終端となる所定位置を他方の辺のコーナー付近に配置し、センサICを並べて受光素子が直線状になるようにしても良い。
【0094】
実施の形態1〜3では、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に受光素子を配置し、受光素子は、半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置するようにしたが、図26に示すように一方の辺の所定位置から始まる受光素子を一方の辺のコーナー付近に配置し、受光素子の終端となる所定位置を他方の辺のコーナー付近に配置し、センサICを並べて受光素子が直線状になるようにしても良い。
【0095】
実施の形態1〜3では、対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に受光素子を配置し、受光素子は、半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置するようにしたが、図27に示すように一方の対辺の所定位置から始まる受光素子を一方の辺の中心付近に配置し、受光素子の終端となる所定位置を他方の辺の中心付近に配置し、センサICを並べて受光素子が直線状になるようにしても良い。すなわち、少なくとも一方の一組の対辺が受光素子と傾斜していても良い。
【0096】
なお、図27に示す平行四辺形形状のセンサICを分割し、台形形状のセンサICにしたものでは、同一のセンサICを用いた場合には、センサIC毎にデータを交互に並べ替える必要があり、補間素子の配置方法が複雑になると共に直線的に配置した受光素子に対して両側にセンサICの駆動回路を配置することが困難となり、高解像度に対応するセンサICに対する適用が困難である。
【0097】
次にウェハから切り出した半導体基板上にパターン形成したセンサIC10、100の製造方法について説明する。半導体基板は厚みが0.15mmのシリコンウェハを裏面研磨し、約0.1〜0.13mmの厚みとしたものを使用する。
【0098】
まず、半導体基板の表面に光を受光するフォトダイオード(P)パターンと、フォトダイオード(P)パターンに蓄積した電荷を取り出すスイッチング回路を形成するアナログスイッチ(AS)と、アナログスイッチを順次開閉させるシフトレジスタ回路10dパターンと、シフトレジスタ回路10dパターンで形成されたシフトレジスタ回路10d、100dの出力信号を一時保持するラッチ回路10c、100cパターン、それらパターンを保護する保護膜パターンなどを含み、半導体基板に形成するパターンを露光マスクと露光装置を用いてパターン形成する(パターン形成工程)。
【0099】
次に、半導体基板表面に形成されたセンサIC10、100の特性試験後、ウェハに形成された多数のセンサIC10、100をパターン形成工程時にあらかじめ隣接するセンサIC10、100同士の隙間に設けたスクライブラインに沿ってダイサーでカッティングする。ダイサーの刃幅は30μm〜35μmとするのでスクライブ幅は35μm〜45μmとなる。矩形形状のスクライブラインに対しては、直交するXY方向にフルカットする。平行四辺形形状のスクライブラインでは、一方の対辺側はフルカットし、他方の対辺側はハーフカットする。菱形形状のスクライブラインでは、両方の対辺側ともハーフカットする。(ダイシング工程)。
【0100】
次に、センサIC10、100が離散しないように半導体ウェハ裏面全面にはUVテープがあらかじめ貼り付けてあるのでUV露光を行い、ウェハとUVテープとの接着力を低下させる。(UV露光工程)。
【0101】
次に、ダイシング工程でハーフカットされたウェハを用いたセンサIC10,100については、ハーフカットライン方向に対してエキスパンドする。
【0102】
次に、切り出したセンサIC10、100を特性試験の結果に基づいて光量ランク毎にチップトレイなどに収納し、その後、ダイボンディングする。次にセンサIC10、100の各端子(パッド)とセンサ基板11の所定パターンとを電気接続する。光量ランクが比較的一定している場合には切り出したセンサIC10、100を直接、ダイボンダでセンサ基板11に載置しても良い。
【0103】
なお、レーザ照射でシリコンの電子を剥ぎ取るようなフェムト秒レーザーでは、スクライブラインに発生する熱による変性がほとんど無い状態でシリコン単結晶がアモルファス化するのでダメージなくダイシングすることができるのでダイシング工程におけるフルカット、ハーフカットの区別を行わなくても良い。
【0104】
また、イメージセンサ用ICの場合、センサIC10、100の表面層にのみパターンを形成するので、表面側からスクライブすることで裏面側に向かって傾斜や軽度の端部チップの欠けがあっても使用可能である。
【0105】
以上、実施の形態1〜3による製造方法を含むイメージセンサ用IC及びそれを用いた密着型イメージセンサは、はそれぞれの形態及びそれぞれの実施例を互いに組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0106】
1・・光源 2・・基板 3・・フレキシブル基板
4・・原稿(被照射体) 5・・導光体 5a・・光散乱層 6・・ホルダ
7・・筐体 8・・透過体 8a・・読み取り位置
9・・レンズ体(ロッドレンズアレイ)
10・・センサIC
10a・・受光素子(受光部)
10a1・・センサICの所定位置にある受光素子の開始画素
10am・・センサICの所定位置にある受光素子の最終画素
10b・・補間素子(補間画素)
10b1・・読み出し方向終端部に設けた補間素子
10b2・・読み出し方向開始端部に設けた補間素子
10c・・ラッチ回路(ラッチ回路領域)
10d・・シフトレジスタ回路(シフトレジスタ回路領域)
11・・センサ基板 12・・信号処理回路(ASIC)
13・・センサIC制御部 14・・A/D変換部
15・・出力データ制御部 16・・ラインメモリ
100・・センサIC 100a・・受光素子
100ag・・緑色フィルタを付加した受光素子
100ab・・青色フィルタを付加した受光素子
100ar・・赤色フィルタを付加した受光素子
100bg・・緑色フィルタを付加した補間素子
100bb・・青色フィルタを付加した補間素子
100br・・赤色フィルタを付加した補間素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に配置され、前記半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置した受光素子と、直線的に配置された前記受光素子と前記一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の前記一組の対辺一端部又は両端部に設けられ、直線的に配置された前記受光素子と傾斜角度があると共に直線的に配置された前記受光素子の外側に光を受光する補間素子とを備えたイメージセンサ用IC。
【請求項2】
前記受光素子及び前記補間素子を駆動する駆動回路が、直線的に配置された前記受光素子を境にして前記半導体基板の両側に振り分けられている請求項1に記載のイメージセンサ用IC。
【請求項3】
前記半導体基板を等ピッチで並べ、前記受光素子及び前記補間素子を直線状に延在させた請求項1に記載のイメージセンサ用IC。
【請求項4】
個々の前記受光素子及び個々の前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なる複数のフィルタが塗布又は蒸着されている請求項1に記載のイメージセンサ用IC。
【請求項5】
前記受光素子及び前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なるフィルタが塗布又は蒸着されており、前記受光素子及び前記補間素子は異なる光学波長毎に搬送方向又は逆搬送方向に隔離される請求項1に記載のイメージセンサ用IC。
【請求項6】
対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に配置され、前記半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置した受光素子、直線的に配置された前記受光素子と前記一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の前記一組の対辺一端部又は両端部に設けられ、直線的に配置された前記受光素子と傾斜角度があると共に直線的に配置された前記受光素子の外側に光を受光する補間素子を有するイメージセンサ用ICと、このイメージセンサ用ICの前記受光素子に沿って配置され、搬送方向に搬送される被照射体で反射した光を収束し、前記イメージセンサ用ICに光を受光させるレンズ体と、前記イメージセンサ用ICを載置するセンサ基板とを備えた密着型イメージセンサ。
【請求項7】
前記受光素子及び前記補間素子を駆動する駆動回路が、直線的に配置された前記受光素子を境にして前記半導体基板の両側に振り分けられている請求項6に記載の密着型イメージセンサ。
【請求項8】
前記半導体基板を等ピッチで並べ、前記受光素子及び前記補間素子を直線状に延在させた請求項6に記載の密着型イメージセンサ。
【請求項9】
個々の前記受光素子及び個々の前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なる複数のフィルタが塗布又は蒸着されている請求項6に記載の密着型イメージセンサ。
【請求項10】
前記受光素子及び前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なるフィルタが塗布又は蒸着されており、前記受光素子及び前記補間素子は異なる光学波長毎に搬送方向又は逆搬送方向に直線状に平行して配置される請求項6に記載の密着型イメージセンサ。
【請求項1】
対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に配置され、前記半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置した受光素子と、直線的に配置された前記受光素子と前記一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の前記一組の対辺一端部又は両端部に設けられ、直線的に配置された前記受光素子と傾斜角度があると共に直線的に配置された前記受光素子の外側に光を受光する補間素子とを備えたイメージセンサ用IC。
【請求項2】
前記受光素子及び前記補間素子を駆動する駆動回路が、直線的に配置された前記受光素子を境にして前記半導体基板の両側に振り分けられている請求項1に記載のイメージセンサ用IC。
【請求項3】
前記半導体基板を等ピッチで並べ、前記受光素子及び前記補間素子を直線状に延在させた請求項1に記載のイメージセンサ用IC。
【請求項4】
個々の前記受光素子及び個々の前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なる複数のフィルタが塗布又は蒸着されている請求項1に記載のイメージセンサ用IC。
【請求項5】
前記受光素子及び前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なるフィルタが塗布又は蒸着されており、前記受光素子及び前記補間素子は異なる光学波長毎に搬送方向又は逆搬送方向に隔離される請求項1に記載のイメージセンサ用IC。
【請求項6】
対辺が平行な四角形の半導体基板の表面に互いに隣接して直線的に配置され、前記半導体基板の対向する一方の辺の所定位置から他方の辺の所定位置まで少なくとも一組の対辺に対して傾斜させて設置した受光素子、直線的に配置された前記受光素子と前記一組の対辺とで成す角度が広角となる領域側の前記一組の対辺一端部又は両端部に設けられ、直線的に配置された前記受光素子と傾斜角度があると共に直線的に配置された前記受光素子の外側に光を受光する補間素子を有するイメージセンサ用ICと、このイメージセンサ用ICの前記受光素子に沿って配置され、搬送方向に搬送される被照射体で反射した光を収束し、前記イメージセンサ用ICに光を受光させるレンズ体と、前記イメージセンサ用ICを載置するセンサ基板とを備えた密着型イメージセンサ。
【請求項7】
前記受光素子及び前記補間素子を駆動する駆動回路が、直線的に配置された前記受光素子を境にして前記半導体基板の両側に振り分けられている請求項6に記載の密着型イメージセンサ。
【請求項8】
前記半導体基板を等ピッチで並べ、前記受光素子及び前記補間素子を直線状に延在させた請求項6に記載の密着型イメージセンサ。
【請求項9】
個々の前記受光素子及び個々の前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なる複数のフィルタが塗布又は蒸着されている請求項6に記載の密着型イメージセンサ。
【請求項10】
前記受光素子及び前記補間素子の受光面には、光を透過又は遮光する光学波長の異なるフィルタが塗布又は蒸着されており、前記受光素子及び前記補間素子は異なる光学波長毎に搬送方向又は逆搬送方向に直線状に平行して配置される請求項6に記載の密着型イメージセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2011−176567(P2011−176567A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38644(P2010−38644)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【特許番号】特許第4697494号(P4697494)
【特許公報発行日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【特許番号】特許第4697494号(P4697494)
【特許公報発行日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]