インクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法プ実装用配線基板
【課題】ヘッドチップと配線基板との位置決めが容易で位置精度が高いインクジェットヘッドの提供。
【解決手段】圧電素子からなる駆動壁11とチャネル12とが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネル12の出口と入口とが配置され、前記チャネル12内面に形成された駆動電極と電気的に接続する接続電極が後面に形成されてなるヘッドチップ1と、前記ヘッドチップ1の後面に接合され、前記接続電極と電気的に接続される配線電極33が配列されてなる配線基板3とを有するインクジェットヘッドにおいて、前記配線基板3の表面に、該配線基板3に接合された前記ヘッドチップ1の側壁面1Aの少なくとも一部に当接するように、樹脂の突起36a、36b、36cが形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【解決手段】圧電素子からなる駆動壁11とチャネル12とが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネル12の出口と入口とが配置され、前記チャネル12内面に形成された駆動電極と電気的に接続する接続電極が後面に形成されてなるヘッドチップ1と、前記ヘッドチップ1の後面に接合され、前記接続電極と電気的に接続される配線電極33が配列されてなる配線基板3とを有するインクジェットヘッドにおいて、前記配線基板3の表面に、該配線基板3に接合された前記ヘッドチップ1の側壁面1Aの少なくとも一部に当接するように、樹脂の突起36a、36b、36cが形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電基板にチャネルを研削して、該チャネルを区画する駆動壁に駆動電極を形成し、該駆動電極に電圧を印加することにより該駆動壁をくの字状にせん断変形させてチャネル内のインクをノズルから吐出させるようにしたせん断モード型のインクジェットヘッドが知られている。その中でも、インクを吐出させるためのアクチュエータを、圧電素子からなる駆動壁と圧力室であるチャネルとが交互に多数並設されると共にチャネル入口、出口及びノズルが直線状に配置されたハーモニカタイプのヘッドチップにより構成することで、1枚のウェハーからの取り数が多く、極めて生産性が高く、また、チャネルが入口から出口にかけてストレートとなるため、泡抜けが良く、駆動電圧が低く、発熱が少なく、高速応答性に優れる等の多くの利点を有しているインクジェットヘッドが知られている。
【0003】
このようなハーモニカタイプのヘッドチップは、駆動電極に駆動電圧を印加するための配線を接続することが難しく、通常、各駆動電極と電気的に接続する接続電極をヘッドチップの外面まで引き出し、ヘッドチップの外面において配線を接続することが行われている。
【0004】
このため、本出願人は、基板表面にヘッドチップの接続電極と電気的に接続させるための配線電極が配列され、ヘッドチップの後面よりもチャネル列方向と直交する方向に張り出す程度の大きさを有する配線基板を用意し、この配線基板をヘッドチップの後面に対して接着剤を用いて接合することにより、ヘッドチップから張り出した端部を利用してFPC等との接続を容易に行えるようにした技術を提案している(特許文献1)。
【0005】
このようなハーモニカタイプのヘッドチップを配線基板に接合する際は、ヘッドチップの接続電極と配線基板の配線電極とを正確に位置合わせする必要がある。
【0006】
従来、電子部品同士の位置合わせ技術として、位置決めマークを頼りに、顕微鏡やCCD等の観察系を用いて行う方法(特許文献2)や、接合部品の相互に凹凸を設けて互いに嵌合させて行う方法(特許文献3)が知られている。
【特許文献1】特開2006−82396号公報
【特許文献2】特開2003−305851号公報
【特許文献3】特開平11−204913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2に記載の方法では、位置決めのために複数の点を観察する必要があり、位置決め作業に時間がかかり、また、ハンドリング時において、せっかく調整した位置がずれてしまう等の問題がある。
【0008】
また、特許文献3に記載の方法では、嵌合させるために複雑な形状の凹凸を形成する必要がある上に、インクジェットヘッドのような微細な配線パターンが要求される技術分野では、電気的なショートが懸念され困難である。
【0009】
そこで、本発明は、ヘッドチップと配線基板との位置精度が高く確保されたインクジェットヘッドを提供することを課題とする。
【0010】
また、本発明は、ヘッドチップと配線基板との位置決めを容易且つ確実に行うことのできるインクジェットヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の各構成によって解決される。
1.
圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネルの内面に形成された駆動電極と電気的に接続する接続電極が後面に形成されてなるヘッドチップと、前記ヘッドチップの後面に接合され、前記接続電極と電気的に接続される配線電極が配列されてなる配線基板とを有するインクジェットヘッドにおいて、
前記配線基板の表面に、該配線基板に接合された前記ヘッドチップの側壁面の少なくとも一部に当接するように、樹脂の突起が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
2.
前記樹脂の突起は、前記ヘッドチップの側壁面のうちの隣接する2面に対して少なくとも3個配置されていることを特徴とする前記1記載のインクジェットヘッド。
3.
前記樹脂は、感光性樹脂であることを特徴とする前記1又は2記載のインクジェットヘッド。
4.
前記感光性樹脂は、UV硬化樹脂であることを特徴とする前記3記載のインクジェットヘッド。
5.
前記感光性樹脂は、ドライフィルムであることを特徴とする前記3記載のインクジェットヘッド。
6.
前記配線基板の材質は、パイレックス(登録商標)ガラスまたはテンパックスガラスであることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
7.
前記ヘッドチップは、前記側壁面の一部に形成されたダミーチャネルの凹部を有し、該ダミーチャネルの凹部に当接するように、前記樹脂の突起が形成されていることを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
8.
圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネルの内面に形成された駆動電極と電気的に接続する接続電極が後面に形成されてなるヘッドチップと、前記ヘッドチップの後面に接着剤を用いて接合され、前記接続電極と電気的に接続される配線電極が配列されてなる配線基板とを有するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記配線基板の表面に樹脂の突起を形成し、前記ヘッドチップの側壁面の少なくとも一部を前記樹脂の突起に向けて押し付けて該ヘッドチップを前記樹脂の突起に突き当てることにより、前記ヘッドチップを前記配線基板の表面に対して所定位置に位置決めすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
9.
前記樹脂の突起を、感光性樹脂のパターニングにより形成することを特徴とする前記8記載のインクジェットヘッドの製造方法。
10.
前記感光性樹脂はUV硬化樹脂であり、前記樹脂の突起を、UV硬化樹脂の塗布液をインクジェット塗布によって塗布することにより形成することを特徴とする前記9記載のインクジェットヘッドの製造方法。
11.
前記感光性樹脂はドライフィルムであり、前記樹脂の突起を、前記ドライフィルムを前記配線基板に貼り付けた後、露光、現像することにより形成することを特徴とする前記9記載のインクジェットヘッドの製造方法。
12.
前記樹脂の突起を、パイレックス(登録商標)ガラスまたはテンパックスガラスからなる前記配線基板に突起形成用のパターンを形成しておき、該突起形成用のパターンの形成面にドライフィルムを貼り付けた後、該ドライフィルムを貼り付けた面の反対側から、該突起形成用のパターンをマスクとして露光、現像することにより形成することを特徴とする前記11記載のインクジェットヘッドの製造方法。
13.
前記突起形成用のパターンは、ダミー電極であり、前記配線電極と前記ダミー電極とを、マスクを用いて金属被膜を選択的に形成することによって、同時に形成することを特徴とする前記12記載のインクジェットヘッドの製造方法。
14.
前記ヘッドチップは、前記側壁面の一部に形成されたダミーチャネルの凹部を有し、該ダミーチャネルの凹部を前記樹脂の突起に向けて押し付けて該ヘッドチップを前記樹脂の突起に突き当てることにより、前記ヘッドチップを前記配線基板の表面に対して所定位置に位置決めするものであり、
前記チャネルとなる溝と前記ダミーチャネルとなる溝とを同時に形成することを特徴とする前記8〜13のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ヘッドチップと配線基板との位置精度が高く確保されたインクジェットヘッドを提供することができる。
【0013】
また、本発明によれば、ヘッドチップと配線基板との位置決めを容易且つ確実に行うことのできるインクジェットヘッドの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1はインクジェットヘッドの分解斜視図、図2はヘッドチップの後面を示す背面図、図11はヘッドチップの製造方法を説明する図である。
【0016】
図1において、1はヘッドチップ、2はヘッドチップ1の前面に接合されるノズルプレート、3はヘッドチップ1の後面に接合される配線基板である。
【0017】
なお、本明細書においては、ハーモニカタイプで言うところの、ヘッドチップ1のノズル側に当たるインクが吐出される側の面を「前面」といい、その反対側の面を「後面」という。また、ヘッドチップにおいて並設されるチャネルを挟んで図2の図示上下に位置する外側面及び図示左右に位置する外側面を「側壁面」という。
【0018】
ヘッドチップ1は、圧電素子からなる駆動壁11とチャネル12とが交互に並設されている。チャネル12の形状は、両側壁が互いに平行に形成されている。ヘッドチップ1の前面及び後面にそれぞれ各チャネル12の出口と入口とが配置されると共に、各チャネル12は入口から出口に亘る長さ方向で大きさと形状がほぼ変わらないストレートタイプである。
【0019】
このヘッドチップ1において、各チャネル12は2列となるチャネル列を有している。各チャネル列はそれぞれ8個のチャネル12からなるが、ヘッドチップ1中のチャネル列を構成するチャネル12の数は何ら限定されない。
【0020】
図11を用いて、このヘッドチップ1の製造方法について説明すると、まず、1枚の基板120上に、2枚の圧電素子基板11a、11bをそれぞれエポキシ系接着剤を用いて接合する。各圧電素子基板11a、11bに用いられる圧電素子材料としては、電圧を加えることにより変形を生じる公知の圧電素子材料を用いることができるが、特にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が好ましい。2枚の圧電素子基板11a、11bは互いに分極方向(矢印Pで示す)を反対方向に向けて積層し、基板120に接着剤を用いて接着する。
【0021】
次いで、図11(a)に示すように、その2枚の圧電素子基板11a、11bに亘って、ダイシングブレードKを用いてチャネルとなる複数の平行な溝12’を研削する。これにより、基板120上に高さ方向で分極方向が反対となる圧電素子からなる駆動壁11を並設する。各溝12’は圧電素子基板11a、11bの一方の端から他方の端に亘ってほぼ同じ一定の深さで研削することで、長さ方向で大きさと形状がほぼ変わらないストレート状のチャネル12となる。2枚の圧電素子基板11a、11bは分極方向が反対に向いているので、この圧電素子基板11a、11bによって形成される駆動壁11全体が効率良く、大きな変形量でせん断変形するため、チャネル12内のインクに高い圧力を付与することができ、低電圧で駆動でき、また、インクの着弾ずれを抑えて画質の向上を図ることができる。
【0022】
また、後述する図10の実施形態に用いるヘッドチップには、チャネル12となる溝12’を研削する際に、ダミーチャネル12Dとなる溝12D’を研削する。その2枚の圧電素子基板11a、11bに亘って、1つの共通のダイシングブレードKを用いてチャネル12となる複数の平行な溝12’とダミーチャネル12Dとなる溝12D’を同時に研削する。このように、1つの共通のダイシングブレードで同時にチャネルとダミーチャネルの溝形成を行うことにより、溝の加工位置精度を高めることが出来る。ひいては、後述するダミーチャネルの溝12D’を切断して形成された位置決め用のダミーチャネルの凹部12Dの位置精度を高めることができる。
【0023】
ここで、本明細書において、チャネルとなる溝とダミーチャネルとなる溝を同時に形成するということは、間に他の工程を介さずに各溝を形成することを意味する。
【0024】
また、図示しないが、基板120を用いる代わりに圧電素子基板11bを厚手のものとし、薄手の圧電素子基板11a側から厚手の圧電素子基板11bの中途部にまで至る複数の平行な溝を研削することにより、高さ方向で分極方向が反対となる駆動壁11の形成と同時に基板120の部分が圧電素子基板11bによって一体に形成されるようにしてもよい。
【0025】
次いで、このようにして形成した各チャネル12の内面に駆動電極13を形成する。駆動電極13を形成する金属は、Ni、Co、Cu、Al等があり、電気抵抗の面からはAlやCuを用いることが好ましい。また、腐食や強度、コストの面からNiも好ましく用いられる。また、CuあるいはNi等の下地金属の上に更にAuを積層した積層構造としてもよい。
【0026】
駆動電極13の形成は、蒸着法、スパッタリング法、めっき法、CVD(化学気相反応法)等の真空装置を用いた方法等によって金属被膜を形成する方法が挙げられるが、めっき法によるものが好ましく、特に無電解めっきにより形成することが好ましい。無電解めっきによれば、均一且つピンホールフリーの金属被膜を形成することができる。めっき膜の厚みは0.5〜5μmの範囲が好ましい。
【0027】
駆動電極13はチャネル12毎に独立させる必要があるため、駆動壁11の上面には金属被膜が形成されないようにすることが好ましい。このため、例えば各駆動壁11の上面に予めドライフィルムを貼着したり、レジストを形成しておき、金属被膜を形成した後に除去することで、各駆動壁11の側面及び各チャネル12の底面に選択的に駆動電極153を形成するとよい。
【0028】
このようにして駆動電極13を形成した後、駆動壁11の上面に基板110をエポキシ系接着剤を用いて接合する。基板110及び120には、駆動壁11を構成する圧電材料と同一の基板材料を脱分極して用いると、駆動時の熱の影響による熱膨張係数の差に起因する反りや変形を少なくすることができる。
【0029】
次に、このようにして形成されたチャネル基板を2つ用いて、各基板110同士を重ね合わせ、接着剤を用いて接合し、チャネル12が2列となるヘッド基板100を形成する。
【0030】
次に、図11(b)に示すように、これら基板110、圧電素子基板11a、11b及び基板120を接合してなるヘッド基板100を、チャンネル12に平行なカットライン107に沿って、ダイシングブレードKにより切断する。続いて、ヘッド基板100を90°回転させ、チャネル12の長さ方向と直交する方向に沿う複数のカットライン106、106・・・に沿ってダイシングブレードKにより切断することにより、チャネル12が2列となるハーモニカタイプの複数のヘッドチップ1、1・・・を一度に製造する。カットライン106、106・・・は、それによって作製されるヘッドチップ1、1・・・のチャネル12の駆動長さ(L長)を決定するものであり、この駆動長に応じて適宜決定される。
【0031】
なお、後述する図10の実施形態に用いるヘッドチップ1では、カットライン107をダミーチャネルの溝12D’に対応する位置に設け、切断によりダミーチャネル12Dのチャネル内面を露出させて、図10に示すダミーチャネルの凹部12Dを形成する。
【0032】
次いで、このようにして作成された各ヘッドチップ1の後面に、駆動電極13のうちのチャネル12の底面に形成された部分(チャネル13内に臨む基板120の表面)から基板120の後端面にかけて接続電極14を引き出し形成する。
【0033】
この接続電極14は、ヘッドチップ1の切断面の一面(後面)に、駆動電極13のうちのチャネル12の底面に形成された部分を少なくとも含み、基板120の端面にかけて開設された開口部を有する感光性ドライフィルムを貼着し、Al等の電極形成用の金属を蒸着して、開口部内に金属被膜を生成することによって形成することができる。また、Alの金属被膜の上に更にAuを蒸着する等の方法によって積層構造としてもよい。更に、接続電極14の形成は、蒸着に代えてスパッタリングによって行うようにしてもよい。なお、開口部は、感光性ドライフィルムの現像工程・水洗工程での作業性を考え、チャネル12の全面において開口していることが望ましい。全面において開口していることにより、チャネル12内の現像液、洗浄水の除去が容易となる。
【0034】
この後、感光性ドライフィルムを除去すると、図2に示すように、ヘッドチップ1の一面(後面)に、各チャネル12から駆動電極13と電気的に接続する接続電極14がチャネル12毎に独立して引き出される。この接続電極14はヘッドチップ1の後面部分のみを使用すればよいため、複数回の角部を経由する場合に比べて断線による危険性は少なくて済む。
【0035】
ノズルプレート2は、ヘッドチップ1の各チャネル12の出口に対応する位置にそれぞれノズル21が開設されており、接続電極14が形成されたヘッドチップ1の前面にエポキシ系接着剤を用いて接合される。従って、各チャネル12の入口、出口及びノズル21が直線状に配置される。
【0036】
以上が、ヘッドチップ1の製造方法の説明である。
【0037】
次に、図1に戻って、配線基板3は、ヘッドチップ1の各駆動電極13に図示しない駆動回路からの駆動電圧を印加する配線を接続するための板状の部材である。この配線基板3に用いられる基板には、非分極のPZTやAlN−BN、AlN等のセラミックス材料からなる基板、低熱膨張のプラスチックやガラスからなる基板、ヘッドチップ1に使用されている圧電素子の基板材料と同一の基板材料を脱分極した基板等を用いることができる。好ましくは、熱膨張率の差に起因するヘッドチップ1の歪み等の発生を抑えるため、未分極のPZTを基準にして±3ppm以内の熱膨張係数の差を持つ材料を選定することである。また、配線基板3側からの位置合わせの確認を容易にするため、透明であることが好ましい。これらの観点から、配線基板3の材質は、パイレックス(登録商標)ガラスまたはテンパックスガラスであることが特に好ましい。
【0038】
配線基板3を構成する基板は1枚板状のものに限らず、薄板状の基板材料を複数枚積層して所望の厚みとなるように形成してもよい。
【0039】
この配線基板3は、ヘッドチップ1の後面よりも大きな面積を有しており、ヘッドチップ1のチャネル12の並び方向(チャネル列方向)と直交する方向(図中のB方向)に延び、ヘッドチップ1からそれぞれ大きく張り出しており、各張り出し端が図示しないFPC等を接続するための配線接続部31、31となっている。また、配線基板3は、ヘッドチップ1のチャネル12の並び方向(図中のA方向)にもそれぞれ大きく張り出している。
【0040】
配線基板3のほぼ中央部には開口部32が貫通形成されている。この開口部32は、ヘッドチップ1の後面に臨む全チャネル12の入口側を露呈させることができる程度の大きさに形成されている。
【0041】
開口部32の形成方法としては、基板材料に応じて、ダイシングソーで加工する方法、超音波加工機で加工する方法、焼結前のセラミックスを型成形し、焼成する方法、サンドブラストにより形成する方法等が採用できる。
【0042】
配線基板3のヘッドチップ1との接合面側となる表面に、ヘッドチップ1の後面に形成された各接続電極14と同数及び同ピッチで配線電極33が形成され、開口部32の周縁から各配線接続部31、31に延び、配線基板3の外縁まで至っている。この配線電極33は、FPC等が接合される際、FPC等に形成されている各配線と電気的に接続し、駆動回路からの駆動電圧を接続電極14を介してチャネル12内の駆動電極13に印加するための電極として機能する。
【0043】
配線電極33の形成は、配線基板3の表面にスピンコート法によりポジレジストをコーティングし、その後、このポジレジストをストライプ状のマスクを用いて露光し、現像することにより、ストライプ状のポジレジストの間に接続電極14と同数及び同ピッチで配線基板3の表面を露呈させ、その表面に、蒸着法やスパッタリング法等によって電極形成用の金属によって金属被膜を形成することにより行うことができる。電極形成用の金属としては、接続電極14と同一のものを使用することができる。
【0044】
なお、配線基板3の表面には、配線電極33の他に、ヘッドチップ1を位置決めするための位置決め用金属薄膜パターン34が、各配線電極33と平行に形成されている。この位置決め用金属薄膜パターン34は、ヘッドチップ1との接合時にはヘッドチップ1の後面とは接合せず、ヘッドチップ1のチャネル列方向に沿うA方向の位置決めを行う際に使用される。
【0045】
図1中、配線基板3の表面において破線で示す領域は、ヘッドチップ1の接合領域35であり、配線基板3の表面には、このヘッドチップ1の接合領域35の外周縁(側壁面)に接するように、複数の樹脂の突起36が形成されている。
【0046】
図1では3個の樹脂の突起36a、36b、36cが形成されている例を示している。この3個の樹脂の突起36a、36b、36cは、配線基板3に接合されるヘッドチップ1の側壁面のうちの隣接する2面1A、1Bに対応する接合領域35の各周縁35a、35bの2辺に接するように配置されている。すなわち、ここでは、一方の配線電極33が配列されている側の周縁35aに接する2個の樹脂の突起36a、36bと、位置決め用金属薄膜パターン34が形成されている側の周縁35bに接する樹脂の突起36cとを有している。少なくとも3個の樹脂の突起36a、36b、36cがこのように配置されていれば、配線基板3の表面におけるヘッドチップ1の2次元の位置(A方向とB方向の位置)を確実に決めることができる。
【0047】
配線電極33が配列されている側に設けられている2つの樹脂の突起36a、36bは、配線電極33上に形成されている。また、位置決め用金属薄膜パターン34が形成されている側に設けられている1つの樹脂の突起36cは、その位置決め用金属薄膜パターン34の上に形成されている。
【0048】
これら配線電極33及び位置決め用金属薄膜パターン34の上に形成される各樹脂の突起36の断面形状は特に問わず、台形状、四角形状、半球状等とすることができる。本明細書では半球状とした樹脂の突起36を図示している。
【0049】
このような樹脂の突起36は、UV硬化樹脂を用いて形成することが好ましい。配線電極33又は位置決め用金属薄膜パターン34上に所定厚さ(例えば30〜70μm厚)のUV硬化樹脂の塗布液を印刷等によって設け、その直後、UV(紫外線)光を照射ことによって瞬時に硬化させることにより、液滴が濡れ広がることなく正確な位置精度で、半球状の樹脂の突起36を形成することができる。
【0050】
UV硬化樹脂の塗布液の印刷は、インクジェット塗布することによって行うことも好ましく、より正確な位置精度で樹脂の突起を形成することができる。UV硬化樹脂の塗布液は、例えば、なくともカチオン重合性化合物及びカチオン重合開始剤を含有するカチオン重合性組成物を用いることができる。カチオン重合性組成物は、紫外線の照射により重合反応を開始させて硬化させることができる。
【0051】
図3は、図1中の(iii)−(iii)線に沿う断面図であり、同図に示すように、このような樹脂の突起36の配線電極33表面からの突出高さh及び幅は、ヘッドチップ1を突き当てる際の突き当たり具合を勘案して適宜決められる。
【0052】
このような配線基板3の表面にヘッドチップ1を接合する際、予め接合領域35に異方性導電接着剤を塗布した後、図4(a)に示すように、配線基板3の表面にヘッドチップ1の後面を載置し、まず、配線電極33上に形成されている2個の樹脂の突起36a、36bに向けて、ヘッドチップ1の側壁面1Aを配線基板3の表面に対して平行に移動させて押し付け、ヘッドチップ1を樹脂の突起36a、36bに突き当てる。
【0053】
次いで、図4(b)に示すように、この配線電極33上の2個の樹脂の突起36a、36bに突き当てた状態のヘッドチップ1の側壁面1Bを、位置決め用金属薄膜パターン34上に形成されている樹脂の突起36cに向けて、配線基板3の表面に対して平行に移動させて押し付け、ヘッドチップ1を残りの1個の樹脂の突起36cに突き当てる。これによって、図5に示すように、ヘッドチップ1は配線基板3の表面に対する2次元の位置が所定位置に位置決めされて接合される。従って、完成されたインクジェットヘッドは、複数の樹脂の突起36によってヘッドチップ1の側壁面が位置決めされているため、配線基板3に対するヘッドチップ1の位置精度が高く確保される。
【0054】
このように、配線基板3の表面に対するヘッドチップ1の位置決めは、配線基板3の表面に形成された樹脂の突起36へのヘッドチップ1の突き当てによって行うので、従来のように顕微鏡観察によって行う場合のように、位置決めのために複数の点を観察する必要はなく、また、位置決めのためのXYθの調整が不要となり、位置決め作業が簡単且つ確実に短時間で行えるようになる。また、位置決めされたヘッドチップ1は、複数の樹脂の突起36によって周囲が支えられるようになるため、ハンドリング時において位置ずれを起こす心配も少ない。
【0055】
また、樹脂の突起36を絶縁性の樹脂によって形成した場合には、接合時の位置ズレによる電極同士のショートに対する許容値を低下させることがない。
【0056】
以上の態様では、樹脂の突起36は3個を例示したが、3個以上であってもよい。また、樹脂の突起36は、一方に配列されている配線電極33側だけでなく、他方に配列されている配線電極33側にも同様に形成するようにしてもよい。
【0057】
更に、樹脂の突起36は配線電極33上にそれぞれ形成するようにしてもよい。このとき、一方に配列されている配線電極33のみではなく、図6に示すように、全ての配線電極33上に形成することも好ましい。このように樹脂の突起36を全ての配線電極33上に形成した場合は、ヘッドチップ1の各接続電極14と配線電極33との間に塗布された接着剤の外部への流れ出しに対して、この樹脂の突起36が抵抗となって遮る壁として働くため、3つの突起36を設ける場合に比べて、ヘッドチップ1と配線基板3とをより確実に接合することができる。
【0058】
この場合、樹脂の突起36が半球状であると、図6に示すようにヘッドチップ1を配線電極33上にそれぞれ配列されている突起列の間に載置する際、樹脂の突起36の表面を案内面として、ヘッドチップ1を樹脂の突起36の基部の接合領域35に円滑に案内することができる。
【0059】
また、樹脂の突起36を導電性の樹脂によって形成した場合には、図7に示すように、突起36の基部表面にヘッドチップ1の後面に形成された接続電極14の端面14aが突き当たるようになるため、この接続電極14と配線電極33との電気的接続の確実性が増す効果も得られる。
【0060】
図8は、配線基板3の更に他の態様を示している。この態様では、配線電極33側の突起36は、配線電極33の上ではなく、隣接する配線電極33の間に配置されている。この態様は、配線電極33の配列ピッチが大きく、隣接する配線電極33間のスペースが十分に広い場合に特に有効である。ここでは、各配線電極33の間に配置されているが、位置決め用金属薄膜パターン34上に形成されている樹脂の突起36を含めて少なくとも3個形成されていればよい。
【0061】
図8のように樹脂の突起36を各配線電極33の間に配置する場合は、ヘッドチップ1と配線基板3との間に塗布された接着剤が、各樹脂の突起36が隣接する配線基板33間の隙間から外部に流れ出そうとする際の堰として機能するため、3つの樹脂の突起36を設ける場合に比べて、ヘッドチップ1と配線基板3とをより確実に接合することができ、ヘッドチップ1と配線基板3との間の接着剤による封止を確実にすることができて、インク漏れの発生のおそれもなくなる。
【0062】
また、樹脂の突起36を半球状とすれば、上述の場合と同様、樹脂の突起36の表面を案内面として、ヘッドチップ1を樹脂の突起36の基部の接合領域35に円滑に案内することができる。
【0063】
このように樹脂の突起36を隣接する配線電極33の間に配置する場合、樹脂の突起36の高さ及び幅は、配線電極33の配列ピッチとヘッドチップ1を突き当てる際の突き当たり具合を勘案して適宜決められる。また、接合時の位置ズレによる、隣接する配線電極33同士のショートを防止するため、樹脂の突起36は絶縁性の樹脂であることが好ましい。また、樹脂の突起36が絶縁性の樹脂である場合、ヘッドチップ1と配線基板3との間に塗布された接着剤が、各樹脂の突起36が隣接する配線基板33間の隙間から外部に流れ出そうとする際の堰として機能をより高めるため、駆動電極33間にそれぞれ電極に接触するように形成することも好ましい。
【0064】
図9は、インクジェットヘッドの他の態様を示している。この態様の配線基板3では、1個の凹形状の樹脂の突起36dが、同様な凹形状の位置決め用金属薄膜パターン37の上に形成されている。配線基板3の表面に、配線電極33が形成され、位置決め用金属薄膜パターン34の代わりに、接合領域35の外周縁に沿うように位置決め用金属薄膜パターン37を形成し、この位置決め用金属薄膜パターン37の上に樹脂の突起36dを形成している。
【0065】
このような位置決め用金属薄膜パターン37の形成は、マスクを用いて金属被膜を選択的に形成することによって、配線基板3に配線電極33を形成するのと同一工程で行うことが好ましい。
【0066】
例えば、開口部32が形成された配線基板3の表面に、配線電極33及び位置決め用金属薄膜パターン37の配列パターンと同一パターンの開口を有するマスクを設ける。マスクには、電極形成時に通常使用されるマスクを用いることができ、例えばメタルマスク等が挙げられる。
【0067】
配線基板3の表面にこのマスクを設けた後、その表面から例えばNi、Al、Au等の電極形成用金属を、例えば蒸着法やスパッタリング法等によって適用し、マスクのない開口内のみに選択的に金属被膜を形成する。その後、マスクを除去することで、配線基板3の表面に、金属被膜の厚みに相当する同一高さ(厚み)の凸状の配線電極33と位置決め用金属薄膜パターン37とを同時に形成することができる。しかも、この工程は、通常の配線電極33の形成工程そのままであるため、単にマスクに形成する開口の配列パターンを位置決め用金属薄膜パターン37に合わせて若干追加変更するだけで済み、工数の増加もなく位置決め用金属薄膜パターン37を高い位置精度で簡単に形成することができる。
【0068】
マスクを用いて位置決め用金属薄膜パターン37を配線電極33と同一工程で形成するには、この他、通常の電極形成に使用されるマスクを用いることもできる。例えば、配線基板3の表面にドライフィルムを貼着又はレジストを塗布し、それをガラスマスクを用いて露光、現像することにより、ネガ方式又はポジ方式によりパターニングし、蒸着法やスパッタリング法等によって選択的に金属被膜を形成した後、ドライフィルム又はレジストを除去することにより、配線電極33と位置決め用金属薄膜パターン37とを同時に形成する方法でもよい。
【0069】
また、配線基板3の表面全面に金属被膜を形成した後、ドライフィルムを貼着又はレジストを塗布し、露光、現像してエッチング液に浸漬することによってパターニングし、配線電極33と位置決め用金属薄膜パターン37とを同時に形成する方法でもよい。
【0070】
更に、予め配線電極33と位置決め用金属薄膜パターン37の形成パターンを有する微小なメッシュ状のスクリーンマスクを用い、導電ペーストをスクリーンマスク上から適用してメッシュ状の穴を通して導電ペーストをスクリーン印刷し、加熱又は焼成して硬化させることによって配線電極33と位置決め用金属薄膜パターン37とを同時に形成する方法でもよい。
【0071】
樹脂の突起36dは、感光性樹脂のパターニングにより形成することが好ましい。高い位置精度で樹脂の突起36dを形成できる。また配線基板3としてパイレックス(登録商標)ガラス基板またはテンパックスガラス基板を用いて、樹脂の突起36dを位置決め用金属薄膜パターン37をマスクとしたセルフアライメント法により形成することも好ましい。例えば、配線基板3に配線電極33と突起形成用のパターンとしての位置決め用金属薄膜パターン37とを同時に形成しておき、ポジ型のドライフィルムを配線基板の位置決め用金属薄膜パターン37の上から少なくとも配線電極33の部分を除く領域に貼り付けた後、ドライフィルムを貼り付けた面の反対側から、位置決め用金属薄膜パターン37をセルフマスクとして露光したのち、現像すればよい。
【0072】
ポジ型のドライフィルムを使用して、ドライフィルムを貼り付けた面の反対側から位置決め用金属薄膜パターン37をセルフマスクとして紫外線を照射して現像すると、位置決め用金属薄膜パターン37以外の露光部のドライフィルムが溶解して、位置決め用金属薄膜パターン37の上に樹脂の突起36dが形成される。露光用のガラスマスクが不要になり、高い位置精度で、かつ、低コストで樹脂の突起36dを形成できる。
【0073】
また、ネガ型のドライフィルムを使用してもよい。図9において突起36dの形状を反転させた(突起36dが形成されている領域を除いてその周辺)領域に位置決め用金属薄膜パターンを設け、位置決め用金属薄膜パターンより狭い領域にネガ型のドライフィルムを貼り付け、貼り付けた面の反対側から位置決め用金属薄膜パターンをセルフマスクとして紫外線を照射して現像すると、位置決め用金属薄膜パターンが形成された領域以外の突起36dの形状に対応した露光部のドライフィルムが硬化して残り、配線基板3の上に樹脂の突起36dが形成される。同様に露光用のガラスマスクが不要になり、高い位置精度で、かつ、低コストで樹脂の突起36dを形成できる。
【0074】
また、ドライフィルムの代わりにレジストを塗布しても良いが、開口部32への塗布液の流れ出し等を考慮してドライフィルムが好ましい。
【0075】
最小数である1個の凹形状の樹脂の突起36dは、配線基板3に接合されるヘッドチップ1の側壁面のうちの対向する2つの1A面と1つの1B面に対応する接合領域35の各周縁35a、35bの3辺に接するように配置されている。1個の樹脂の突起36dがこのように配置されていれば、樹脂の突起36dの凹部とヘッドチップ1の側壁面が当接して嵌合するので、配線基板3の表面におけるヘッドチップ1の2次元の位置(A方向とB方向の位置)を確実に決めることができる。
【0076】
位置決め用金属薄膜パターン37および樹脂の突起36dは、ヘッドチップ1の一端の側壁面に対応する位置に形成されているが、ヘッドチップ1の他端の側壁面に対応する位置に形成されていることも好ましい。位置精度をより高めることができる。
【0077】
図10は、インクジェットヘッドの更に他の態様を示している。この態様の配線基板3では、2個の樹脂の突起36eが形成されている。この樹脂の突起36eは前述の樹脂の突起36dと同様な方法で形成できる。また、ヘッドチップ1は、側壁面の一部に形成され、樹脂の突起36eに当接して勘合する2つのダミーチャネルの凹部12Dを有している。このようなヘッドチップ1は、前述のように、チャネル12となる溝12’とダミーチャネル12Dとなる溝12D’とを同時に形成したのち、ダミーチャネルとなる溝12D’の部分で切断し、ダミーチャネル12Dのチャネル内面を露出させることにより形成する。
【0078】
樹脂の突起36eは、配線基板3に接合されるヘッドチップ1の側壁面の一部に形成されたダミーチャネルの凹部12Dに接するように配置されている。樹脂の突起36eがこのように配置されていれば、樹脂の突起36eの凸部とヘッドチップ1のダミーチャネルの凹部12Dが当接して嵌合するので、配線基板3の表面におけるヘッドチップ1の2次元の位置(A方向とB方向の位置)を確実に決めることができる。
【0079】
このように、チャネルと同時に形成されたダミーチャネルを、位置あわせの基準として用いることにより、外形加工精度に依存する外形加工面を位置あわせの基準として用いる場合に比較して、より高精度で位置決めができる。
【0080】
樹脂の突起36eは、ヘッドチップ1の一端の側壁面に対応する位置に形成されているが、ヘッドチップ1の他端の側壁面に対応する位置に形成されていることも好ましい。位置精度をより高めることができる。ダミーチャネルの凹部12Dについても同様にヘッドチップ1の両端の側壁面に対応する位置に設ければよい。
【0081】
なお、以上説明したヘッドチップ1は、チャネル列が2列の場合であるが、チャネル列は1列のみであってもよく、また、3列以上の複数列であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】インクジェットヘッドの分解斜視図
【図2】ヘッドチップの後面を示す背面図
【図3】図1中の(iii)−(iii)線に沿う断面図
【図4】配線基板にヘッドチップを位置決めする方法を示す図
【図5】配線基板にヘッドチップが位置決めされた状態を示すインクジェットヘッドの斜視図
【図6】配線基板の他の例を示す平面図
【図7】突起にヘッドチップを突き当てた状態を示す部分拡大図
【図8】配線基板の他の例を示す平面図
【図9】インクジェットヘッドの他の例を示す分解斜視図
【図10】インクジェットヘッドの他の例を示す分解斜視図
【図11】ヘッドチップの製造方法を説明する図
【符号の説明】
【0083】
1 ヘッドチップ
1A、1B 側壁面
11 駆動壁
12 チャネル
13 駆動電極
14 接続電極
2 ノズルプレート
21 ノズル
3 配線基板
31 配線接続部
32 開口部
33 配線電極
34、37 位置決め用金属薄膜パターン
35 接合領域
35a、35b 周縁
36 突起
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電基板にチャネルを研削して、該チャネルを区画する駆動壁に駆動電極を形成し、該駆動電極に電圧を印加することにより該駆動壁をくの字状にせん断変形させてチャネル内のインクをノズルから吐出させるようにしたせん断モード型のインクジェットヘッドが知られている。その中でも、インクを吐出させるためのアクチュエータを、圧電素子からなる駆動壁と圧力室であるチャネルとが交互に多数並設されると共にチャネル入口、出口及びノズルが直線状に配置されたハーモニカタイプのヘッドチップにより構成することで、1枚のウェハーからの取り数が多く、極めて生産性が高く、また、チャネルが入口から出口にかけてストレートとなるため、泡抜けが良く、駆動電圧が低く、発熱が少なく、高速応答性に優れる等の多くの利点を有しているインクジェットヘッドが知られている。
【0003】
このようなハーモニカタイプのヘッドチップは、駆動電極に駆動電圧を印加するための配線を接続することが難しく、通常、各駆動電極と電気的に接続する接続電極をヘッドチップの外面まで引き出し、ヘッドチップの外面において配線を接続することが行われている。
【0004】
このため、本出願人は、基板表面にヘッドチップの接続電極と電気的に接続させるための配線電極が配列され、ヘッドチップの後面よりもチャネル列方向と直交する方向に張り出す程度の大きさを有する配線基板を用意し、この配線基板をヘッドチップの後面に対して接着剤を用いて接合することにより、ヘッドチップから張り出した端部を利用してFPC等との接続を容易に行えるようにした技術を提案している(特許文献1)。
【0005】
このようなハーモニカタイプのヘッドチップを配線基板に接合する際は、ヘッドチップの接続電極と配線基板の配線電極とを正確に位置合わせする必要がある。
【0006】
従来、電子部品同士の位置合わせ技術として、位置決めマークを頼りに、顕微鏡やCCD等の観察系を用いて行う方法(特許文献2)や、接合部品の相互に凹凸を設けて互いに嵌合させて行う方法(特許文献3)が知られている。
【特許文献1】特開2006−82396号公報
【特許文献2】特開2003−305851号公報
【特許文献3】特開平11−204913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2に記載の方法では、位置決めのために複数の点を観察する必要があり、位置決め作業に時間がかかり、また、ハンドリング時において、せっかく調整した位置がずれてしまう等の問題がある。
【0008】
また、特許文献3に記載の方法では、嵌合させるために複雑な形状の凹凸を形成する必要がある上に、インクジェットヘッドのような微細な配線パターンが要求される技術分野では、電気的なショートが懸念され困難である。
【0009】
そこで、本発明は、ヘッドチップと配線基板との位置精度が高く確保されたインクジェットヘッドを提供することを課題とする。
【0010】
また、本発明は、ヘッドチップと配線基板との位置決めを容易且つ確実に行うことのできるインクジェットヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の各構成によって解決される。
1.
圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネルの内面に形成された駆動電極と電気的に接続する接続電極が後面に形成されてなるヘッドチップと、前記ヘッドチップの後面に接合され、前記接続電極と電気的に接続される配線電極が配列されてなる配線基板とを有するインクジェットヘッドにおいて、
前記配線基板の表面に、該配線基板に接合された前記ヘッドチップの側壁面の少なくとも一部に当接するように、樹脂の突起が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
2.
前記樹脂の突起は、前記ヘッドチップの側壁面のうちの隣接する2面に対して少なくとも3個配置されていることを特徴とする前記1記載のインクジェットヘッド。
3.
前記樹脂は、感光性樹脂であることを特徴とする前記1又は2記載のインクジェットヘッド。
4.
前記感光性樹脂は、UV硬化樹脂であることを特徴とする前記3記載のインクジェットヘッド。
5.
前記感光性樹脂は、ドライフィルムであることを特徴とする前記3記載のインクジェットヘッド。
6.
前記配線基板の材質は、パイレックス(登録商標)ガラスまたはテンパックスガラスであることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
7.
前記ヘッドチップは、前記側壁面の一部に形成されたダミーチャネルの凹部を有し、該ダミーチャネルの凹部に当接するように、前記樹脂の突起が形成されていることを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
8.
圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネルの内面に形成された駆動電極と電気的に接続する接続電極が後面に形成されてなるヘッドチップと、前記ヘッドチップの後面に接着剤を用いて接合され、前記接続電極と電気的に接続される配線電極が配列されてなる配線基板とを有するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記配線基板の表面に樹脂の突起を形成し、前記ヘッドチップの側壁面の少なくとも一部を前記樹脂の突起に向けて押し付けて該ヘッドチップを前記樹脂の突起に突き当てることにより、前記ヘッドチップを前記配線基板の表面に対して所定位置に位置決めすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
9.
前記樹脂の突起を、感光性樹脂のパターニングにより形成することを特徴とする前記8記載のインクジェットヘッドの製造方法。
10.
前記感光性樹脂はUV硬化樹脂であり、前記樹脂の突起を、UV硬化樹脂の塗布液をインクジェット塗布によって塗布することにより形成することを特徴とする前記9記載のインクジェットヘッドの製造方法。
11.
前記感光性樹脂はドライフィルムであり、前記樹脂の突起を、前記ドライフィルムを前記配線基板に貼り付けた後、露光、現像することにより形成することを特徴とする前記9記載のインクジェットヘッドの製造方法。
12.
前記樹脂の突起を、パイレックス(登録商標)ガラスまたはテンパックスガラスからなる前記配線基板に突起形成用のパターンを形成しておき、該突起形成用のパターンの形成面にドライフィルムを貼り付けた後、該ドライフィルムを貼り付けた面の反対側から、該突起形成用のパターンをマスクとして露光、現像することにより形成することを特徴とする前記11記載のインクジェットヘッドの製造方法。
13.
前記突起形成用のパターンは、ダミー電極であり、前記配線電極と前記ダミー電極とを、マスクを用いて金属被膜を選択的に形成することによって、同時に形成することを特徴とする前記12記載のインクジェットヘッドの製造方法。
14.
前記ヘッドチップは、前記側壁面の一部に形成されたダミーチャネルの凹部を有し、該ダミーチャネルの凹部を前記樹脂の突起に向けて押し付けて該ヘッドチップを前記樹脂の突起に突き当てることにより、前記ヘッドチップを前記配線基板の表面に対して所定位置に位置決めするものであり、
前記チャネルとなる溝と前記ダミーチャネルとなる溝とを同時に形成することを特徴とする前記8〜13のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ヘッドチップと配線基板との位置精度が高く確保されたインクジェットヘッドを提供することができる。
【0013】
また、本発明によれば、ヘッドチップと配線基板との位置決めを容易且つ確実に行うことのできるインクジェットヘッドの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1はインクジェットヘッドの分解斜視図、図2はヘッドチップの後面を示す背面図、図11はヘッドチップの製造方法を説明する図である。
【0016】
図1において、1はヘッドチップ、2はヘッドチップ1の前面に接合されるノズルプレート、3はヘッドチップ1の後面に接合される配線基板である。
【0017】
なお、本明細書においては、ハーモニカタイプで言うところの、ヘッドチップ1のノズル側に当たるインクが吐出される側の面を「前面」といい、その反対側の面を「後面」という。また、ヘッドチップにおいて並設されるチャネルを挟んで図2の図示上下に位置する外側面及び図示左右に位置する外側面を「側壁面」という。
【0018】
ヘッドチップ1は、圧電素子からなる駆動壁11とチャネル12とが交互に並設されている。チャネル12の形状は、両側壁が互いに平行に形成されている。ヘッドチップ1の前面及び後面にそれぞれ各チャネル12の出口と入口とが配置されると共に、各チャネル12は入口から出口に亘る長さ方向で大きさと形状がほぼ変わらないストレートタイプである。
【0019】
このヘッドチップ1において、各チャネル12は2列となるチャネル列を有している。各チャネル列はそれぞれ8個のチャネル12からなるが、ヘッドチップ1中のチャネル列を構成するチャネル12の数は何ら限定されない。
【0020】
図11を用いて、このヘッドチップ1の製造方法について説明すると、まず、1枚の基板120上に、2枚の圧電素子基板11a、11bをそれぞれエポキシ系接着剤を用いて接合する。各圧電素子基板11a、11bに用いられる圧電素子材料としては、電圧を加えることにより変形を生じる公知の圧電素子材料を用いることができるが、特にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が好ましい。2枚の圧電素子基板11a、11bは互いに分極方向(矢印Pで示す)を反対方向に向けて積層し、基板120に接着剤を用いて接着する。
【0021】
次いで、図11(a)に示すように、その2枚の圧電素子基板11a、11bに亘って、ダイシングブレードKを用いてチャネルとなる複数の平行な溝12’を研削する。これにより、基板120上に高さ方向で分極方向が反対となる圧電素子からなる駆動壁11を並設する。各溝12’は圧電素子基板11a、11bの一方の端から他方の端に亘ってほぼ同じ一定の深さで研削することで、長さ方向で大きさと形状がほぼ変わらないストレート状のチャネル12となる。2枚の圧電素子基板11a、11bは分極方向が反対に向いているので、この圧電素子基板11a、11bによって形成される駆動壁11全体が効率良く、大きな変形量でせん断変形するため、チャネル12内のインクに高い圧力を付与することができ、低電圧で駆動でき、また、インクの着弾ずれを抑えて画質の向上を図ることができる。
【0022】
また、後述する図10の実施形態に用いるヘッドチップには、チャネル12となる溝12’を研削する際に、ダミーチャネル12Dとなる溝12D’を研削する。その2枚の圧電素子基板11a、11bに亘って、1つの共通のダイシングブレードKを用いてチャネル12となる複数の平行な溝12’とダミーチャネル12Dとなる溝12D’を同時に研削する。このように、1つの共通のダイシングブレードで同時にチャネルとダミーチャネルの溝形成を行うことにより、溝の加工位置精度を高めることが出来る。ひいては、後述するダミーチャネルの溝12D’を切断して形成された位置決め用のダミーチャネルの凹部12Dの位置精度を高めることができる。
【0023】
ここで、本明細書において、チャネルとなる溝とダミーチャネルとなる溝を同時に形成するということは、間に他の工程を介さずに各溝を形成することを意味する。
【0024】
また、図示しないが、基板120を用いる代わりに圧電素子基板11bを厚手のものとし、薄手の圧電素子基板11a側から厚手の圧電素子基板11bの中途部にまで至る複数の平行な溝を研削することにより、高さ方向で分極方向が反対となる駆動壁11の形成と同時に基板120の部分が圧電素子基板11bによって一体に形成されるようにしてもよい。
【0025】
次いで、このようにして形成した各チャネル12の内面に駆動電極13を形成する。駆動電極13を形成する金属は、Ni、Co、Cu、Al等があり、電気抵抗の面からはAlやCuを用いることが好ましい。また、腐食や強度、コストの面からNiも好ましく用いられる。また、CuあるいはNi等の下地金属の上に更にAuを積層した積層構造としてもよい。
【0026】
駆動電極13の形成は、蒸着法、スパッタリング法、めっき法、CVD(化学気相反応法)等の真空装置を用いた方法等によって金属被膜を形成する方法が挙げられるが、めっき法によるものが好ましく、特に無電解めっきにより形成することが好ましい。無電解めっきによれば、均一且つピンホールフリーの金属被膜を形成することができる。めっき膜の厚みは0.5〜5μmの範囲が好ましい。
【0027】
駆動電極13はチャネル12毎に独立させる必要があるため、駆動壁11の上面には金属被膜が形成されないようにすることが好ましい。このため、例えば各駆動壁11の上面に予めドライフィルムを貼着したり、レジストを形成しておき、金属被膜を形成した後に除去することで、各駆動壁11の側面及び各チャネル12の底面に選択的に駆動電極153を形成するとよい。
【0028】
このようにして駆動電極13を形成した後、駆動壁11の上面に基板110をエポキシ系接着剤を用いて接合する。基板110及び120には、駆動壁11を構成する圧電材料と同一の基板材料を脱分極して用いると、駆動時の熱の影響による熱膨張係数の差に起因する反りや変形を少なくすることができる。
【0029】
次に、このようにして形成されたチャネル基板を2つ用いて、各基板110同士を重ね合わせ、接着剤を用いて接合し、チャネル12が2列となるヘッド基板100を形成する。
【0030】
次に、図11(b)に示すように、これら基板110、圧電素子基板11a、11b及び基板120を接合してなるヘッド基板100を、チャンネル12に平行なカットライン107に沿って、ダイシングブレードKにより切断する。続いて、ヘッド基板100を90°回転させ、チャネル12の長さ方向と直交する方向に沿う複数のカットライン106、106・・・に沿ってダイシングブレードKにより切断することにより、チャネル12が2列となるハーモニカタイプの複数のヘッドチップ1、1・・・を一度に製造する。カットライン106、106・・・は、それによって作製されるヘッドチップ1、1・・・のチャネル12の駆動長さ(L長)を決定するものであり、この駆動長に応じて適宜決定される。
【0031】
なお、後述する図10の実施形態に用いるヘッドチップ1では、カットライン107をダミーチャネルの溝12D’に対応する位置に設け、切断によりダミーチャネル12Dのチャネル内面を露出させて、図10に示すダミーチャネルの凹部12Dを形成する。
【0032】
次いで、このようにして作成された各ヘッドチップ1の後面に、駆動電極13のうちのチャネル12の底面に形成された部分(チャネル13内に臨む基板120の表面)から基板120の後端面にかけて接続電極14を引き出し形成する。
【0033】
この接続電極14は、ヘッドチップ1の切断面の一面(後面)に、駆動電極13のうちのチャネル12の底面に形成された部分を少なくとも含み、基板120の端面にかけて開設された開口部を有する感光性ドライフィルムを貼着し、Al等の電極形成用の金属を蒸着して、開口部内に金属被膜を生成することによって形成することができる。また、Alの金属被膜の上に更にAuを蒸着する等の方法によって積層構造としてもよい。更に、接続電極14の形成は、蒸着に代えてスパッタリングによって行うようにしてもよい。なお、開口部は、感光性ドライフィルムの現像工程・水洗工程での作業性を考え、チャネル12の全面において開口していることが望ましい。全面において開口していることにより、チャネル12内の現像液、洗浄水の除去が容易となる。
【0034】
この後、感光性ドライフィルムを除去すると、図2に示すように、ヘッドチップ1の一面(後面)に、各チャネル12から駆動電極13と電気的に接続する接続電極14がチャネル12毎に独立して引き出される。この接続電極14はヘッドチップ1の後面部分のみを使用すればよいため、複数回の角部を経由する場合に比べて断線による危険性は少なくて済む。
【0035】
ノズルプレート2は、ヘッドチップ1の各チャネル12の出口に対応する位置にそれぞれノズル21が開設されており、接続電極14が形成されたヘッドチップ1の前面にエポキシ系接着剤を用いて接合される。従って、各チャネル12の入口、出口及びノズル21が直線状に配置される。
【0036】
以上が、ヘッドチップ1の製造方法の説明である。
【0037】
次に、図1に戻って、配線基板3は、ヘッドチップ1の各駆動電極13に図示しない駆動回路からの駆動電圧を印加する配線を接続するための板状の部材である。この配線基板3に用いられる基板には、非分極のPZTやAlN−BN、AlN等のセラミックス材料からなる基板、低熱膨張のプラスチックやガラスからなる基板、ヘッドチップ1に使用されている圧電素子の基板材料と同一の基板材料を脱分極した基板等を用いることができる。好ましくは、熱膨張率の差に起因するヘッドチップ1の歪み等の発生を抑えるため、未分極のPZTを基準にして±3ppm以内の熱膨張係数の差を持つ材料を選定することである。また、配線基板3側からの位置合わせの確認を容易にするため、透明であることが好ましい。これらの観点から、配線基板3の材質は、パイレックス(登録商標)ガラスまたはテンパックスガラスであることが特に好ましい。
【0038】
配線基板3を構成する基板は1枚板状のものに限らず、薄板状の基板材料を複数枚積層して所望の厚みとなるように形成してもよい。
【0039】
この配線基板3は、ヘッドチップ1の後面よりも大きな面積を有しており、ヘッドチップ1のチャネル12の並び方向(チャネル列方向)と直交する方向(図中のB方向)に延び、ヘッドチップ1からそれぞれ大きく張り出しており、各張り出し端が図示しないFPC等を接続するための配線接続部31、31となっている。また、配線基板3は、ヘッドチップ1のチャネル12の並び方向(図中のA方向)にもそれぞれ大きく張り出している。
【0040】
配線基板3のほぼ中央部には開口部32が貫通形成されている。この開口部32は、ヘッドチップ1の後面に臨む全チャネル12の入口側を露呈させることができる程度の大きさに形成されている。
【0041】
開口部32の形成方法としては、基板材料に応じて、ダイシングソーで加工する方法、超音波加工機で加工する方法、焼結前のセラミックスを型成形し、焼成する方法、サンドブラストにより形成する方法等が採用できる。
【0042】
配線基板3のヘッドチップ1との接合面側となる表面に、ヘッドチップ1の後面に形成された各接続電極14と同数及び同ピッチで配線電極33が形成され、開口部32の周縁から各配線接続部31、31に延び、配線基板3の外縁まで至っている。この配線電極33は、FPC等が接合される際、FPC等に形成されている各配線と電気的に接続し、駆動回路からの駆動電圧を接続電極14を介してチャネル12内の駆動電極13に印加するための電極として機能する。
【0043】
配線電極33の形成は、配線基板3の表面にスピンコート法によりポジレジストをコーティングし、その後、このポジレジストをストライプ状のマスクを用いて露光し、現像することにより、ストライプ状のポジレジストの間に接続電極14と同数及び同ピッチで配線基板3の表面を露呈させ、その表面に、蒸着法やスパッタリング法等によって電極形成用の金属によって金属被膜を形成することにより行うことができる。電極形成用の金属としては、接続電極14と同一のものを使用することができる。
【0044】
なお、配線基板3の表面には、配線電極33の他に、ヘッドチップ1を位置決めするための位置決め用金属薄膜パターン34が、各配線電極33と平行に形成されている。この位置決め用金属薄膜パターン34は、ヘッドチップ1との接合時にはヘッドチップ1の後面とは接合せず、ヘッドチップ1のチャネル列方向に沿うA方向の位置決めを行う際に使用される。
【0045】
図1中、配線基板3の表面において破線で示す領域は、ヘッドチップ1の接合領域35であり、配線基板3の表面には、このヘッドチップ1の接合領域35の外周縁(側壁面)に接するように、複数の樹脂の突起36が形成されている。
【0046】
図1では3個の樹脂の突起36a、36b、36cが形成されている例を示している。この3個の樹脂の突起36a、36b、36cは、配線基板3に接合されるヘッドチップ1の側壁面のうちの隣接する2面1A、1Bに対応する接合領域35の各周縁35a、35bの2辺に接するように配置されている。すなわち、ここでは、一方の配線電極33が配列されている側の周縁35aに接する2個の樹脂の突起36a、36bと、位置決め用金属薄膜パターン34が形成されている側の周縁35bに接する樹脂の突起36cとを有している。少なくとも3個の樹脂の突起36a、36b、36cがこのように配置されていれば、配線基板3の表面におけるヘッドチップ1の2次元の位置(A方向とB方向の位置)を確実に決めることができる。
【0047】
配線電極33が配列されている側に設けられている2つの樹脂の突起36a、36bは、配線電極33上に形成されている。また、位置決め用金属薄膜パターン34が形成されている側に設けられている1つの樹脂の突起36cは、その位置決め用金属薄膜パターン34の上に形成されている。
【0048】
これら配線電極33及び位置決め用金属薄膜パターン34の上に形成される各樹脂の突起36の断面形状は特に問わず、台形状、四角形状、半球状等とすることができる。本明細書では半球状とした樹脂の突起36を図示している。
【0049】
このような樹脂の突起36は、UV硬化樹脂を用いて形成することが好ましい。配線電極33又は位置決め用金属薄膜パターン34上に所定厚さ(例えば30〜70μm厚)のUV硬化樹脂の塗布液を印刷等によって設け、その直後、UV(紫外線)光を照射ことによって瞬時に硬化させることにより、液滴が濡れ広がることなく正確な位置精度で、半球状の樹脂の突起36を形成することができる。
【0050】
UV硬化樹脂の塗布液の印刷は、インクジェット塗布することによって行うことも好ましく、より正確な位置精度で樹脂の突起を形成することができる。UV硬化樹脂の塗布液は、例えば、なくともカチオン重合性化合物及びカチオン重合開始剤を含有するカチオン重合性組成物を用いることができる。カチオン重合性組成物は、紫外線の照射により重合反応を開始させて硬化させることができる。
【0051】
図3は、図1中の(iii)−(iii)線に沿う断面図であり、同図に示すように、このような樹脂の突起36の配線電極33表面からの突出高さh及び幅は、ヘッドチップ1を突き当てる際の突き当たり具合を勘案して適宜決められる。
【0052】
このような配線基板3の表面にヘッドチップ1を接合する際、予め接合領域35に異方性導電接着剤を塗布した後、図4(a)に示すように、配線基板3の表面にヘッドチップ1の後面を載置し、まず、配線電極33上に形成されている2個の樹脂の突起36a、36bに向けて、ヘッドチップ1の側壁面1Aを配線基板3の表面に対して平行に移動させて押し付け、ヘッドチップ1を樹脂の突起36a、36bに突き当てる。
【0053】
次いで、図4(b)に示すように、この配線電極33上の2個の樹脂の突起36a、36bに突き当てた状態のヘッドチップ1の側壁面1Bを、位置決め用金属薄膜パターン34上に形成されている樹脂の突起36cに向けて、配線基板3の表面に対して平行に移動させて押し付け、ヘッドチップ1を残りの1個の樹脂の突起36cに突き当てる。これによって、図5に示すように、ヘッドチップ1は配線基板3の表面に対する2次元の位置が所定位置に位置決めされて接合される。従って、完成されたインクジェットヘッドは、複数の樹脂の突起36によってヘッドチップ1の側壁面が位置決めされているため、配線基板3に対するヘッドチップ1の位置精度が高く確保される。
【0054】
このように、配線基板3の表面に対するヘッドチップ1の位置決めは、配線基板3の表面に形成された樹脂の突起36へのヘッドチップ1の突き当てによって行うので、従来のように顕微鏡観察によって行う場合のように、位置決めのために複数の点を観察する必要はなく、また、位置決めのためのXYθの調整が不要となり、位置決め作業が簡単且つ確実に短時間で行えるようになる。また、位置決めされたヘッドチップ1は、複数の樹脂の突起36によって周囲が支えられるようになるため、ハンドリング時において位置ずれを起こす心配も少ない。
【0055】
また、樹脂の突起36を絶縁性の樹脂によって形成した場合には、接合時の位置ズレによる電極同士のショートに対する許容値を低下させることがない。
【0056】
以上の態様では、樹脂の突起36は3個を例示したが、3個以上であってもよい。また、樹脂の突起36は、一方に配列されている配線電極33側だけでなく、他方に配列されている配線電極33側にも同様に形成するようにしてもよい。
【0057】
更に、樹脂の突起36は配線電極33上にそれぞれ形成するようにしてもよい。このとき、一方に配列されている配線電極33のみではなく、図6に示すように、全ての配線電極33上に形成することも好ましい。このように樹脂の突起36を全ての配線電極33上に形成した場合は、ヘッドチップ1の各接続電極14と配線電極33との間に塗布された接着剤の外部への流れ出しに対して、この樹脂の突起36が抵抗となって遮る壁として働くため、3つの突起36を設ける場合に比べて、ヘッドチップ1と配線基板3とをより確実に接合することができる。
【0058】
この場合、樹脂の突起36が半球状であると、図6に示すようにヘッドチップ1を配線電極33上にそれぞれ配列されている突起列の間に載置する際、樹脂の突起36の表面を案内面として、ヘッドチップ1を樹脂の突起36の基部の接合領域35に円滑に案内することができる。
【0059】
また、樹脂の突起36を導電性の樹脂によって形成した場合には、図7に示すように、突起36の基部表面にヘッドチップ1の後面に形成された接続電極14の端面14aが突き当たるようになるため、この接続電極14と配線電極33との電気的接続の確実性が増す効果も得られる。
【0060】
図8は、配線基板3の更に他の態様を示している。この態様では、配線電極33側の突起36は、配線電極33の上ではなく、隣接する配線電極33の間に配置されている。この態様は、配線電極33の配列ピッチが大きく、隣接する配線電極33間のスペースが十分に広い場合に特に有効である。ここでは、各配線電極33の間に配置されているが、位置決め用金属薄膜パターン34上に形成されている樹脂の突起36を含めて少なくとも3個形成されていればよい。
【0061】
図8のように樹脂の突起36を各配線電極33の間に配置する場合は、ヘッドチップ1と配線基板3との間に塗布された接着剤が、各樹脂の突起36が隣接する配線基板33間の隙間から外部に流れ出そうとする際の堰として機能するため、3つの樹脂の突起36を設ける場合に比べて、ヘッドチップ1と配線基板3とをより確実に接合することができ、ヘッドチップ1と配線基板3との間の接着剤による封止を確実にすることができて、インク漏れの発生のおそれもなくなる。
【0062】
また、樹脂の突起36を半球状とすれば、上述の場合と同様、樹脂の突起36の表面を案内面として、ヘッドチップ1を樹脂の突起36の基部の接合領域35に円滑に案内することができる。
【0063】
このように樹脂の突起36を隣接する配線電極33の間に配置する場合、樹脂の突起36の高さ及び幅は、配線電極33の配列ピッチとヘッドチップ1を突き当てる際の突き当たり具合を勘案して適宜決められる。また、接合時の位置ズレによる、隣接する配線電極33同士のショートを防止するため、樹脂の突起36は絶縁性の樹脂であることが好ましい。また、樹脂の突起36が絶縁性の樹脂である場合、ヘッドチップ1と配線基板3との間に塗布された接着剤が、各樹脂の突起36が隣接する配線基板33間の隙間から外部に流れ出そうとする際の堰として機能をより高めるため、駆動電極33間にそれぞれ電極に接触するように形成することも好ましい。
【0064】
図9は、インクジェットヘッドの他の態様を示している。この態様の配線基板3では、1個の凹形状の樹脂の突起36dが、同様な凹形状の位置決め用金属薄膜パターン37の上に形成されている。配線基板3の表面に、配線電極33が形成され、位置決め用金属薄膜パターン34の代わりに、接合領域35の外周縁に沿うように位置決め用金属薄膜パターン37を形成し、この位置決め用金属薄膜パターン37の上に樹脂の突起36dを形成している。
【0065】
このような位置決め用金属薄膜パターン37の形成は、マスクを用いて金属被膜を選択的に形成することによって、配線基板3に配線電極33を形成するのと同一工程で行うことが好ましい。
【0066】
例えば、開口部32が形成された配線基板3の表面に、配線電極33及び位置決め用金属薄膜パターン37の配列パターンと同一パターンの開口を有するマスクを設ける。マスクには、電極形成時に通常使用されるマスクを用いることができ、例えばメタルマスク等が挙げられる。
【0067】
配線基板3の表面にこのマスクを設けた後、その表面から例えばNi、Al、Au等の電極形成用金属を、例えば蒸着法やスパッタリング法等によって適用し、マスクのない開口内のみに選択的に金属被膜を形成する。その後、マスクを除去することで、配線基板3の表面に、金属被膜の厚みに相当する同一高さ(厚み)の凸状の配線電極33と位置決め用金属薄膜パターン37とを同時に形成することができる。しかも、この工程は、通常の配線電極33の形成工程そのままであるため、単にマスクに形成する開口の配列パターンを位置決め用金属薄膜パターン37に合わせて若干追加変更するだけで済み、工数の増加もなく位置決め用金属薄膜パターン37を高い位置精度で簡単に形成することができる。
【0068】
マスクを用いて位置決め用金属薄膜パターン37を配線電極33と同一工程で形成するには、この他、通常の電極形成に使用されるマスクを用いることもできる。例えば、配線基板3の表面にドライフィルムを貼着又はレジストを塗布し、それをガラスマスクを用いて露光、現像することにより、ネガ方式又はポジ方式によりパターニングし、蒸着法やスパッタリング法等によって選択的に金属被膜を形成した後、ドライフィルム又はレジストを除去することにより、配線電極33と位置決め用金属薄膜パターン37とを同時に形成する方法でもよい。
【0069】
また、配線基板3の表面全面に金属被膜を形成した後、ドライフィルムを貼着又はレジストを塗布し、露光、現像してエッチング液に浸漬することによってパターニングし、配線電極33と位置決め用金属薄膜パターン37とを同時に形成する方法でもよい。
【0070】
更に、予め配線電極33と位置決め用金属薄膜パターン37の形成パターンを有する微小なメッシュ状のスクリーンマスクを用い、導電ペーストをスクリーンマスク上から適用してメッシュ状の穴を通して導電ペーストをスクリーン印刷し、加熱又は焼成して硬化させることによって配線電極33と位置決め用金属薄膜パターン37とを同時に形成する方法でもよい。
【0071】
樹脂の突起36dは、感光性樹脂のパターニングにより形成することが好ましい。高い位置精度で樹脂の突起36dを形成できる。また配線基板3としてパイレックス(登録商標)ガラス基板またはテンパックスガラス基板を用いて、樹脂の突起36dを位置決め用金属薄膜パターン37をマスクとしたセルフアライメント法により形成することも好ましい。例えば、配線基板3に配線電極33と突起形成用のパターンとしての位置決め用金属薄膜パターン37とを同時に形成しておき、ポジ型のドライフィルムを配線基板の位置決め用金属薄膜パターン37の上から少なくとも配線電極33の部分を除く領域に貼り付けた後、ドライフィルムを貼り付けた面の反対側から、位置決め用金属薄膜パターン37をセルフマスクとして露光したのち、現像すればよい。
【0072】
ポジ型のドライフィルムを使用して、ドライフィルムを貼り付けた面の反対側から位置決め用金属薄膜パターン37をセルフマスクとして紫外線を照射して現像すると、位置決め用金属薄膜パターン37以外の露光部のドライフィルムが溶解して、位置決め用金属薄膜パターン37の上に樹脂の突起36dが形成される。露光用のガラスマスクが不要になり、高い位置精度で、かつ、低コストで樹脂の突起36dを形成できる。
【0073】
また、ネガ型のドライフィルムを使用してもよい。図9において突起36dの形状を反転させた(突起36dが形成されている領域を除いてその周辺)領域に位置決め用金属薄膜パターンを設け、位置決め用金属薄膜パターンより狭い領域にネガ型のドライフィルムを貼り付け、貼り付けた面の反対側から位置決め用金属薄膜パターンをセルフマスクとして紫外線を照射して現像すると、位置決め用金属薄膜パターンが形成された領域以外の突起36dの形状に対応した露光部のドライフィルムが硬化して残り、配線基板3の上に樹脂の突起36dが形成される。同様に露光用のガラスマスクが不要になり、高い位置精度で、かつ、低コストで樹脂の突起36dを形成できる。
【0074】
また、ドライフィルムの代わりにレジストを塗布しても良いが、開口部32への塗布液の流れ出し等を考慮してドライフィルムが好ましい。
【0075】
最小数である1個の凹形状の樹脂の突起36dは、配線基板3に接合されるヘッドチップ1の側壁面のうちの対向する2つの1A面と1つの1B面に対応する接合領域35の各周縁35a、35bの3辺に接するように配置されている。1個の樹脂の突起36dがこのように配置されていれば、樹脂の突起36dの凹部とヘッドチップ1の側壁面が当接して嵌合するので、配線基板3の表面におけるヘッドチップ1の2次元の位置(A方向とB方向の位置)を確実に決めることができる。
【0076】
位置決め用金属薄膜パターン37および樹脂の突起36dは、ヘッドチップ1の一端の側壁面に対応する位置に形成されているが、ヘッドチップ1の他端の側壁面に対応する位置に形成されていることも好ましい。位置精度をより高めることができる。
【0077】
図10は、インクジェットヘッドの更に他の態様を示している。この態様の配線基板3では、2個の樹脂の突起36eが形成されている。この樹脂の突起36eは前述の樹脂の突起36dと同様な方法で形成できる。また、ヘッドチップ1は、側壁面の一部に形成され、樹脂の突起36eに当接して勘合する2つのダミーチャネルの凹部12Dを有している。このようなヘッドチップ1は、前述のように、チャネル12となる溝12’とダミーチャネル12Dとなる溝12D’とを同時に形成したのち、ダミーチャネルとなる溝12D’の部分で切断し、ダミーチャネル12Dのチャネル内面を露出させることにより形成する。
【0078】
樹脂の突起36eは、配線基板3に接合されるヘッドチップ1の側壁面の一部に形成されたダミーチャネルの凹部12Dに接するように配置されている。樹脂の突起36eがこのように配置されていれば、樹脂の突起36eの凸部とヘッドチップ1のダミーチャネルの凹部12Dが当接して嵌合するので、配線基板3の表面におけるヘッドチップ1の2次元の位置(A方向とB方向の位置)を確実に決めることができる。
【0079】
このように、チャネルと同時に形成されたダミーチャネルを、位置あわせの基準として用いることにより、外形加工精度に依存する外形加工面を位置あわせの基準として用いる場合に比較して、より高精度で位置決めができる。
【0080】
樹脂の突起36eは、ヘッドチップ1の一端の側壁面に対応する位置に形成されているが、ヘッドチップ1の他端の側壁面に対応する位置に形成されていることも好ましい。位置精度をより高めることができる。ダミーチャネルの凹部12Dについても同様にヘッドチップ1の両端の側壁面に対応する位置に設ければよい。
【0081】
なお、以上説明したヘッドチップ1は、チャネル列が2列の場合であるが、チャネル列は1列のみであってもよく、また、3列以上の複数列であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】インクジェットヘッドの分解斜視図
【図2】ヘッドチップの後面を示す背面図
【図3】図1中の(iii)−(iii)線に沿う断面図
【図4】配線基板にヘッドチップを位置決めする方法を示す図
【図5】配線基板にヘッドチップが位置決めされた状態を示すインクジェットヘッドの斜視図
【図6】配線基板の他の例を示す平面図
【図7】突起にヘッドチップを突き当てた状態を示す部分拡大図
【図8】配線基板の他の例を示す平面図
【図9】インクジェットヘッドの他の例を示す分解斜視図
【図10】インクジェットヘッドの他の例を示す分解斜視図
【図11】ヘッドチップの製造方法を説明する図
【符号の説明】
【0083】
1 ヘッドチップ
1A、1B 側壁面
11 駆動壁
12 チャネル
13 駆動電極
14 接続電極
2 ノズルプレート
21 ノズル
3 配線基板
31 配線接続部
32 開口部
33 配線電極
34、37 位置決め用金属薄膜パターン
35 接合領域
35a、35b 周縁
36 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネルの内面に形成された駆動電極と電気的に接続する接続電極が後面に形成されてなるヘッドチップと、前記ヘッドチップの後面に接合され、前記接続電極と電気的に接続される配線電極が配列されてなる配線基板とを有するインクジェットヘッドにおいて、
前記配線基板の表面に、該配線基板に接合された前記ヘッドチップの側壁面の少なくとも一部に当接するように、樹脂の突起が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記樹脂の突起は、前記ヘッドチップの側壁面のうちの隣接する2面に対して少なくとも3個配置されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記樹脂は、感光性樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記感光性樹脂は、UV硬化樹脂であることを特徴とする請求項3記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記感光性樹脂は、ドライフィルムであることを特徴とする請求項3記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記配線基板の材質は、パイレックス(登録商標)ガラスまたはテンパックスガラスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記ヘッドチップは、前記側壁面の一部に形成されたダミーチャネルの凹部を有し、該ダミーチャネルの凹部に当接するように、前記樹脂の突起が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネルの内面に形成された駆動電極と電気的に接続する接続電極が後面に形成されてなるヘッドチップと、前記ヘッドチップの後面に接着剤を用いて接合され、前記接続電極と電気的に接続される配線電極が配列されてなる配線基板とを有するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記配線基板の表面に樹脂の突起を形成し、前記ヘッドチップの側壁面の少なくとも一部を前記樹脂の突起に向けて押し付けて該ヘッドチップを前記樹脂の突起に突き当てることにより、前記ヘッドチップを前記配線基板の表面に対して所定位置に位置決めすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記樹脂の突起を、感光性樹脂のパターニングにより形成することを特徴とする請求項8記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記感光性樹脂はUV硬化樹脂であり、前記樹脂の突起を、UV硬化樹脂の塗布液をインクジェット塗布によって塗布することにより形成することを特徴とする請求項9記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項11】
前記感光性樹脂はドライフィルムであり、前記樹脂の突起を、前記ドライフィルムを前記配線基板に貼り付けた後、露光、現像することにより形成することを特徴とする請求項9記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記樹脂の突起を、パイレックス(登録商標)ガラスまたはテンパックスガラスからなる前記配線基板に突起形成用のパターンを形成しておき、該突起形成用のパターンの形成面にドライフィルムを貼り付けた後、該ドライフィルムを貼り付けた面の反対側から、該突起形成用のパターンをマスクとして露光、現像することにより形成することを特徴とする請求項11記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記突起形成用のパターンは、ダミー電極であり、前記配線電極と前記ダミー電極とを、マスクを用いて金属被膜を選択的に形成することによって、同時に形成することを特徴とする請求項12記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記ヘッドチップは、前記側壁面の一部に形成されたダミーチャネルの凹部を有し、該ダミーチャネルの凹部を前記樹脂の突起に向けて押し付けて該ヘッドチップを前記樹脂の突起に突き当てることにより、前記ヘッドチップを前記配線基板の表面に対して所定位置に位置決めするものであり、
前記チャネルとなる溝と前記ダミーチャネルとなる溝とを同時に形成することを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項1】
圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネルの内面に形成された駆動電極と電気的に接続する接続電極が後面に形成されてなるヘッドチップと、前記ヘッドチップの後面に接合され、前記接続電極と電気的に接続される配線電極が配列されてなる配線基板とを有するインクジェットヘッドにおいて、
前記配線基板の表面に、該配線基板に接合された前記ヘッドチップの側壁面の少なくとも一部に当接するように、樹脂の突起が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記樹脂の突起は、前記ヘッドチップの側壁面のうちの隣接する2面に対して少なくとも3個配置されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記樹脂は、感光性樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記感光性樹脂は、UV硬化樹脂であることを特徴とする請求項3記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記感光性樹脂は、ドライフィルムであることを特徴とする請求項3記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記配線基板の材質は、パイレックス(登録商標)ガラスまたはテンパックスガラスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記ヘッドチップは、前記側壁面の一部に形成されたダミーチャネルの凹部を有し、該ダミーチャネルの凹部に当接するように、前記樹脂の突起が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されると共に前面及び後面にそれぞれチャネルの出口と入口とが配置され、前記チャネルの内面に形成された駆動電極と電気的に接続する接続電極が後面に形成されてなるヘッドチップと、前記ヘッドチップの後面に接着剤を用いて接合され、前記接続電極と電気的に接続される配線電極が配列されてなる配線基板とを有するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記配線基板の表面に樹脂の突起を形成し、前記ヘッドチップの側壁面の少なくとも一部を前記樹脂の突起に向けて押し付けて該ヘッドチップを前記樹脂の突起に突き当てることにより、前記ヘッドチップを前記配線基板の表面に対して所定位置に位置決めすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記樹脂の突起を、感光性樹脂のパターニングにより形成することを特徴とする請求項8記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記感光性樹脂はUV硬化樹脂であり、前記樹脂の突起を、UV硬化樹脂の塗布液をインクジェット塗布によって塗布することにより形成することを特徴とする請求項9記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項11】
前記感光性樹脂はドライフィルムであり、前記樹脂の突起を、前記ドライフィルムを前記配線基板に貼り付けた後、露光、現像することにより形成することを特徴とする請求項9記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記樹脂の突起を、パイレックス(登録商標)ガラスまたはテンパックスガラスからなる前記配線基板に突起形成用のパターンを形成しておき、該突起形成用のパターンの形成面にドライフィルムを貼り付けた後、該ドライフィルムを貼り付けた面の反対側から、該突起形成用のパターンをマスクとして露光、現像することにより形成することを特徴とする請求項11記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記突起形成用のパターンは、ダミー電極であり、前記配線電極と前記ダミー電極とを、マスクを用いて金属被膜を選択的に形成することによって、同時に形成することを特徴とする請求項12記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記ヘッドチップは、前記側壁面の一部に形成されたダミーチャネルの凹部を有し、該ダミーチャネルの凹部を前記樹脂の突起に向けて押し付けて該ヘッドチップを前記樹脂の突起に突き当てることにより、前記ヘッドチップを前記配線基板の表面に対して所定位置に位置決めするものであり、
前記チャネルとなる溝と前記ダミーチャネルとなる溝とを同時に形成することを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−162110(P2008−162110A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353772(P2006−353772)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
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