説明

インクジェット印刷装置

【課題】ノズル穴での液滴の吐出異常を簡単かつ迅速に検出することのできるインクジェット印刷装置を提供する。
【解決手段】インクジェットヘッド4 のノズル穴5 にてメニスカスコントロールによるメニスカスの微振動を行う機構を備えたインクジェットヘッドと、前記メニスカスの微振動を観察する光源とカメラ9 を備えた吐出観察装置とを設けたインクジェット印刷装置であって、前記吐出観察装置がメニスカスの微振動を観察して、ノズル穴での液滴の吐出異常を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット印刷装置に関するものであり、特にノズル穴での液滴の吐出異常を簡単かつ迅速に検出することのできるインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイに替わる自発光型ディスプレイとして有機物を用いた発光素子の開発が加速している。このような発光素子の形成は、機能材料のパターン化により行われ、一般的には、フォトリソグラフィー法により行われている。有機物を用いた有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELと記す)素子としては、低分子を蒸着法で成膜する方法が報告されている。また有機EL素子において、カラー化の手段としては、マスク越しに異なる材料を所望の画素上に蒸着し形成する方法が行われている。しかしながら、このような真空成膜による方法、フォトリソグラフィー法による方法は、大面積にわたって素子を形成するには工程数も多く、生産コストが高いといった欠点がある。
【0003】
そのため、近年では上述のような有機EL素子に代表される機能性素子の形成のため、機能性材料膜の形成およびパターン化にあたり真空成膜法、フォトリソグラフィー法によらずに、インクジェット液滴を付与する手段(特許文献1、2参照)を用いたインクジェット法で形成することが提案されている。
インクジェット法による素子の形成は、蒸着法などに比べ設備構成がシンプルで安価な製造が可能である。またインクジェット法はパターニングを直接にするため蒸着法におけるマスクが不要で大型化が容易である。例えば、表示電子デバイスにおいては、大画面への市場要求が高まり、インクジェット法での塗布による電子デバイス製造への期待は高まっている。
【0004】
以下、有機ELディスプレイを例に塗布による製造について説明する。
有機ELディスプレイは基板、陽極、発光層、陰極、隔壁からなる。また、陰極の上層には封止膜やカラーフィルターなどが適宜配置される。有機ELディスプレイの場合、発光層としてRGBの3色に対応した3種類がある。インクジェット法での塗布において各画素部に塗布するインクとは、発光層材料を溶媒に溶かした溶液のことを言う。
【0005】
有機ELの発光層の原料としては、ポリフルオレン系、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系、アルコキシベンゼン、アルキルベンゼンなどの高分子材料が挙げられ、溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、アセトン、アニソール、テトラリン、ジメチルテトラリン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ナフタレン、ジメチルナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、等の単独または混合溶媒が挙げられる。
また、隔壁を形成しているので、塗布されたインクは所望の画素領域に留まり、混色することなく高品位なディスプレイを実現できる。このとき、隔壁はフッ素を含む樹脂が使用され撥インク性を有していることが好ましい場合がある。このように構成された有機EL素子は、陰極からの電子と陽極からの正孔が発光層内で結合し発光することで、ディスプレイとしての機能を果たす。
【0006】
有機発光層はRGBともピクセル状にパターニングしてある。それぞれのピクセル(「画素」とも言う)を発光させることでテレビ等の表示装置として機能することができる。このピクセルが形成されている領域を表示領域という。有機発光層はRGBそれぞれのピクセル(「画素」とも言う)を発光させることでテレビ等の表示装置として機能することができる。
【0007】
従来の有機ELディスプレイの製造方法は、まず、フォトリソグラフィー法を用いて基板上に陽極を作成する。次に、フォトリソグラフィー法を用いて隔壁を作成する。その後、インクジェット法により正孔注入/輸送材料、ならびにRGBの3色に対応した発光材料のインクを塗布する。塗布したインクを塗布工程及び次の工程で乾燥し、発光層のパターンを形成する。更にその後、発光層の上にスパッタリング法などで陰極を形成する。
【0008】
図1は、インクジェット法によりインクを塗布するインクジェット印刷装置の構成を示したものである。
インクはインクタンクからインク用ポンプによってインク配送配管を通ってインクジェットヘッド(4)に送り込まれる。インクジェットヘッド(4)はインク配管が接続されるインク導入口、導入されたインクを各ノズル穴に分配するマニホールド部、ノズル穴、圧電素子、振動板、インク室からなる。インクはマニホールド部から複数のインク室に供給される。図1ではインクジェットヘッド(4)のノズル穴(5) が表されている。
【0009】
それぞれのインク室には圧電素子と振動板が設置されている。圧電素子に制御部の信号により電圧が印加されると、圧電素子が収縮し振動板が変形する。その結果、インク室内の圧力が高くなり、ノズル穴(5) よりインク(6) の液滴が吐出される。インクジェットヘッド(4)には複数のノズル穴(5) が開いており、複数のピクセルに同時にインクを吐出し塗布する。
【0010】
基板(2)とインクジェットヘッド(4)のノズル穴(5) の距離は、ノズル昇降機構により200μm〜1000μmのギャップに調整され、ノズル穴(5) から吐出されたインク(6)は搬送ステージ(1)の動きによって、搬送された基板(2)に塗布される。ステージの位置を検出し、吐出のタイミングを制御することでピクセルにインクの塗布を行う。
【0011】
このようなインクジェット印刷装置において、液滴の吐出は、ノズル穴の周辺のインクの乾燥状態や、インクの濡れ残り状態に対して非常に敏感であり、製造装置周辺の僅かな環境変化で、液滴の不吐出や飛行曲がりが生ずる場合が多い。特に、有機EL用のインクは乾燥しやすいため、このような傾向が顕著である。液滴の不吐出が生じると、有機ELパネルとしてはドット抜け不良となる。
【0012】
また、液滴の飛行曲がりが生じると、液滴の着弾位置が目標の着弾位置(正規の着弾位置)と異なり、有機ELパネルとしては、ドットずれ不良や混色不良となる。このため、製品の品質を確保するべく、ドット抜けやドットずれが生じた場合には、これを検出してインクジェットヘッド(4)にクリーニングを施し、またノズル吸引等に回復処理を施す必要がある。
【0013】
従来、ドットずれやドット抜けを検出する方法として、特許文献1にあるように、被検査物上に並べて形成された複数のドットを撮像し、その電子画像を画像処理することにより隣接するドットの間隔を測定し、該測定値を正規値と比較することによりドットの位置ずれを検出する方法が提案されている。
【0014】
また、他の検出方法として、入射した光を導いて通過させ、通過する光を着弾した液滴との界面から放射する光導層を有する検査基板に対し、光を照射する投光部と、投光部により照射され光導層を通過した光を受光する受光部とを備えた装置を使用し、受光部により受光した光の強度変化に基づいて、検査基板に対する液滴の着弾異常の発生を判断する方法が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−014216号公報
【特許文献2】特開2007−175614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1においては、画像認識装置が必要で検査装置が高価であり、検査コストが高くなり、ひいては製品コストが高くなるという問題があった。また、画像認識装置を基板に対して走査する必要があり、検査に時間がかかるという問題があった。
【0017】
また、特許文献2においては専用の検査用基板を使用するため、その分検査コストが高くなり、ひいては製品コストが高くなるという問題があった。また、光学系と信号処理系が複雑でその分でも検査コストが高くなるという問題があった。更に、専用の検査基板を使用するため、検査基板から製品基板に切り替える間にノズルの状態が変化し、検査ではOKと判定されたものの製品ではNGとなり、歩留まりが低くなるという問題があった。特に、有機EL用のインクは乾燥しやすいためこのような問題が顕著である。
【0018】
本発明は前記従来技術の問題に鑑みなされたもので、インクジェット印刷装置のノズル穴での液滴の吐出異常を簡単かつ迅速に検出することのできるインクジェット印刷装置を提供することを課題とするものである。
これにより、有機ELの製造コストを低減することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に記載の発明は、インクジェットヘッドのノズル穴にてメニスカスコントロールによるメニスカスの微振動を行う機構を備えたインクジェットヘッドと、前記メニスカスの微振動を観察する光源とカメラを備えた吐出観察装置とを設けたインクジェット印刷装置であって、
前記吐出観察装置がメニスカスの微振動を観察して、ノズル穴での液滴の吐出異常を検出することを特徴とするインクジェット印刷装置である。
【0020】
請求項2に記載の発明は、前記吐出観察装置はノズル穴の片側に光源、他側にカメラを備え、該カメラは上下及び左右に移動し、全てのノズル穴を視野に入れることが可能であること特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷装置である。
【0021】
請求項3に記載の発明は、前記光源及びカメラは、光源及びストロボコープカメラを備えたストロボスタンドであること特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置である。
【0022】
請求項4に記載の発明は、前記光源をメニスカスの微振動に同期させてメニスカスの微振動を静止画像とし、異常なメニスカスの微振動を観察すること特徴とする請求項1、2、又は3記載のインクジェット印刷装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、インクジェットヘッドのノズル穴にてメニスカスコントロールによるメニスカスの微振動を行う機構を備えたインクジェットヘッドと、メニスカスの微振動を観察する光源とカメラを備えた吐出観察装置とを設けたインクジェット印刷装置であって、吐出観察装置がメニスカスの微振動を観察して、ノズル穴での液滴の吐出異常を検出するので、インクジェットのノズル詰まり、液滴の乱れを、液滴を被検査体に吐出させずに検出することができ、簡単かつ省スペースで安定した高品質なインクの塗布を可能とするインクジェット印刷装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】インクジェット印刷装置の構成を示す概略図である。
【図2】ノズル穴での層毎のPULL-PUSH-PULL振動動作の概略図である。
【図3】本発明におけるインクジェット印刷装置の吐出観察装置を示す概略図である。
【図4】メニスカスコントロールによる微振動が実行されないメニスカス状態を示す概略図である。
【図5】メニスカスコントロールによるメニスカスの振動がヘッド面に対し垂直では無く左右に傾斜を持っているメニスカスの状態を示す概略図である。
【図6】メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動の変動周期が異なる状態を示す概略図である。
【図7】メニスカスコントロールによるミストの飛散を示す概略図である。
【図8】メニスカスコントロールによるメニスカス微振動の画像による、吐出異常の検出方法を示す概略図である。
【図9】メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動のサイズ異常を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明者らは、インクジェット法を用いて有機ELを製造する際に、前記インクジェットヘッドのノズル穴より吐出される液滴を観察することが可能な吐出観察装置を用い、全てのインクジェットヘッドのノズル穴にてメニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が実行されているか否かを観察した。メニスカスコントロールとは、インクがノズル穴から吐出しない程度にインクのメニスカスを前もって振動させる操作であり、プリカーサ・チクリングとも呼ばれる。
【0026】
吐出観察装置にて観察した結果、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が実行されているノズル穴では、インクジェットヘッドのノズル穴でのメニスカスが微振動しており、メニスカスが定期的に振動している状態が観察され、一方、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が実行されていないノズル穴では、インクジェットヘッドのノズル穴でのメニスカスの微振動が観察されないことを見出した。
【0027】
また、上記メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が実行されているノズル穴においても、メニスカスが不定期的、あるいは、メニスカスの微振動に留まらず、液が吐出される、ミストが飛散する、あるいは、メニスカスの振動がヘッド面に対し垂直では無く左右に傾斜を持つ、あるいは、メニスカスコントロールによるメニスカスの周期変動が異なる等、メニスカスコントロールによる、正常とは異なる異常なメニスカスの微振動が発生することがある。その場合には、吐出観察装置にて上記正常なメニスカスの微振動とは異なる、異常なメニスカスの微振動が観察されることを見出した。
【0028】
上記のような、インクジェットヘッドのノズル穴にてメニスカスの微振動が観察されないノズル穴あるいは、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動は実行されているノズル穴でもメニスカスが不定期的、あるいは、メニスカスの微振動に留まらず、液が吐出される、ミストが飛散する、あるいは、メニスカスの振動がヘッド面に対し垂直では無く左右に傾斜を持つ、あるいは、メニスカスコントロールによるメニスカスの周期変動が異なる等の正常状態とは異なるメニスカスの微振動をするノズル穴では、乾燥によるノズル詰まり及び/又はメニスカスの崩壊、及び/又はエアーによるメニスカスの崩壊が発生しており、このようなノズル穴は不吐出、液滴の乱れを発生する可能性が極めて高い。
【0029】
この場合のメニスカスの微振動とは、ピエゾの動きを表し、ノズル穴内のインク面、つまりメニスカスの動きを制御する際に行っているPULL(7)-PUSH(8)-PULL(7)を繰り返す振
動であり、メニスカスコントロール振動中には、図2に示すように、ノズル穴の層毎に上記PULL(7)-PUSH(8)-PULL(7)の振動動作が規則的に行われている。
【0030】
図3は、本実施の形態のインクジェット印刷装置の吐出観察装置を示す概略図である。前記吐出観察装置にはカメラ(9)が装備されており、カメラ(9)は、上下・左右に移動することにより、インクジェットヘッドのノズル穴を全て観察することが可能である。
【0031】
さらに詳しくは、ノズル穴の片側に光源、他側にストロボコープカメラとを設置し、例えば、光源とカメラを備えたストロボスタンドを設置し、前記光源を特定の周波数で振動するメニスカスに同期させると、カメラには、停止したように見えるメニスカスが重なった映像が撮られる。例えば、メニスカスの振動周波数が1kHzであり、カメラのシャッタスピードが1/30秒とすれば、カメラには、約30回のメニスカスの振動の重なった一つの映像が得られる。
【0032】
そこで、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が静止画像として観察できるよう、サンプリング周波数を設定することで、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動を静止画像としてモニタリングすることが可能となる。この静止画としてモニタリングされた画像によりメニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が、全インクジェットヘッドのノズル穴で一定な時間の間隔で同時に実行されているか否か、また、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が正常に発生しているかを検査する。
【0033】
ノズル穴に吐出異常が無い場合には、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が全ノズル穴で観察され、且つ、上記メニスカスの微振動が周期的に実施され、メニスカスのサイズにバラツキが無く、ミストの飛散が無く、さらには、メニスカスの振動がヘッド面に対し垂直であり、メニスカスに暴れが見られない。つまり、図2のように、全ノズルからメニスカスの静止画像が、一定間隔、一定の形状、一定のサイズにモニタリングされる。
【0034】
図4は、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が実行されないメニスカス状態を示す概略図である。
図4のように、静止画としてモニタリングされた画像にメニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が実行されないノズル穴(10)があった場合、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が実行されないノズル穴の内部にはエアーが入り込みメニスカスが破壊されている、あるいは、ノズル穴内部もしくは、表面に乾燥異物、液溜まり等が付着しており、ノズル詰まりが発生している可能性が高い。
【0035】
この状態で基板上に塗布を行うとドット抜けが発生する。これを解消する為に、上記メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動が実行されない穴(10)が吐出観察装置にて確認された場合には、インクジェットヘッドよりインクを押し出して、ノズル穴内部もしくは表面のエアーもしくは、乾燥異物、もしくは液溜まりを同時に押し出し、インクジェットヘッドのクリーニングを施することが望ましい。
【0036】
図5は、メニスカスコントロールによるメニスカスの振動がヘッド面に対し垂直では無く左右に傾斜を持っているメニスカスの状態を示す概略図、図6は、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動の変動周期が異なる状態を示す概略図である。図5のように静止画としてモニタリングされた画像にメニスカスの振動がヘッド面に対し垂直では無く左右に傾斜を持つ(12)、あるいは図6のように、メニスカスコントロールによるメニスカスの周期変動が異なる(18)ことが吐出観察装置にて確認された場合にはドット抜け、ドットズレ、混色不良が発生する可能性が極めて高いため、上記同様にインクジェットヘッドにクリーニングを施することが好ましい。
【0037】
図7は、メニスカスコントロールによるミストの飛散を示す概略図である。図7のように、静止画としてモニタリングされた画像に、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動と同時にミスト(11)の飛散が確認された場合には、駆動波形、駆動電圧、インク温度等が適性で無い可能性が高く、この状態で基板上に塗布を行うと、混色不良が発生する。これを解消する為に、ミスト(11)が吐出観察装置で確認された場合には、まず、インクジェットヘッドにクリーニングを施し、これによるミスト(11)の改善が見られない場合には駆動波形、駆動電圧、インク温度等を見直すことが好ましい。
【0038】
図8は、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動の画像による、液滴の吐出異常の検出方法を示す概略図であり、図9は、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振動のサイズ異常を示す概略図である。
図8のように静止画としてモニタリングされた画像にメニスカスがヘッド面から外に向かい最大サイズになった際のメニスカスの半円のトップ(13)からヘッド面とメニスカスの両接点部(14)までの距離(15)及び、ヘッド面とメニスカスの両接点部(14)とメニスカス半円トップ (13)の角度(16)が計算され、計算値が予め設定した範囲以内に入っているか否かにより、図9ようなメニスカスコントロールによるメニスカスの微振動のサイズ異常による吐出の異常検出も可能である。
【0039】
この、メニスカスコントロールによるメニスカスの微振の観察をストロボカメラにより静止画としてモニタリングすることによって、正規位置に着弾しないノズルの存在を検出するので、安価に短時間でノズル異常を検出できる。
【0040】
さらに、基板上への塗布を行わないので、専用の検査基板を用いる必要がなく、安価に、また検査直後に塗布できるので歩留まりも向上できる。このように本発明によるとインクジェット印刷装置のノズル穴での液滴の吐出異常を簡単かつ迅速に検出することができる。
【符号の説明】
【0041】
1・・基板搬送ステージ
2・・基板
3・・隔壁
4・・インクジェットヘッド
5・・ノズル穴
6・・インク
7・・メニスカス(PUSH状態)
8・・メニスカス(PULL状態)
9・・カメラ
10・・メニスカスの微振動が実行されていないノズル
11・・ミスト
12・・ヘッド面に対し傾斜した状態のメニスカス
13・・メニスカス半円のトップ部
14・・ヘッド面とメニスカスの接点部
15・・メニスカス半円トップ部からヘッド面とメニスカスの接点部までの距離
16・・ヘッド面とメニスカスの両接点部とメニスカス半円トップ部の角度
17・・メニスカス微振動のサイズ異常
18・・メニスカスの周期変動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドのノズル穴にてメニスカスコントロールによるメニスカスの微振動を行う機構を備えたインクジェットヘッドと、前記メニスカスの微振動を観察する光源とカメラを備えた吐出観察装置とを設けたインクジェット印刷装置であって、
前記吐出観察装置がメニスカスの微振動を観察して、ノズル穴での液滴の吐出異常を検出することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
前記吐出観察装置はノズル穴の片側に光源、他側にカメラを備え、該カメラは上下及び左右に移動し、全てのノズル穴を視野に入れることが可能であること特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷装置。
【請求項3】
前記光源及びカメラは、光源及びストロボコープカメラを備えたストロボスタンドであること特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置。
【請求項4】
前記光源をメニスカスの微振動に同期させてメニスカスの微振動を静止画像とし、異常なメニスカスの微振動を観察すること特徴とする請求項1、2、又は3記載のインクジェット印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−206686(P2011−206686A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77130(P2010−77130)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】