説明

インクジェット印字ヘッド用低損失電極接続

【課題】優れたインクジェット印字ヘッドを提供する。
【解決手段】平面の熱アクチュエータ(12)、CMOS電極に直接付着した接触部(28)、及び抵抗損をそれほど増加させずに、接触部(28)を非常に小型化した構造にできるように、垂直又は傾斜表面によって引き起こされるホットスポットを防止する吊り下げられた加熱器要素(29)を有するインクジェット印字ヘッド。抵抗損が低いと、吊り下げた加熱器要素(29)の効率的な動作が維持され、小さい接触部のサイズは、印字ヘッド上にノズルを接近させてパッキングするために都合がよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット印字装置の分野に関し、微小電子機械システム(MEMS)技術で製造した印字ヘッドを使用するインクジェット印字システムを開示する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本発明に関連する様々な方法、システム及び装置が、本発明の出願人又は譲渡人によって出願された以下の米国特許/特許出願において開示されている。
【表1】


【表2】


これらの出願及び特許の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
本発明は、泡形成液中に気体又は蒸気の泡を形成することによってインク滴を排出することを含む。この原理は、特許文献1に概略されている。印刷された像の各ピクセルは、1つ又は複数のインクノズルから排出されたインク滴から得られる。近年、インクジェット印字は、主にその安価で汎用性のある性質のせいで益々普及している。インクジェット印字の多くの異なる態様及び技術が、以上の相互参照文書で詳細に説明されている。
【0004】
加熱器要素をインクに完全に浸漬すると、印字ヘッドの効率が劇的に改良される。下にあるウェハ基板に散逸する熱がはるかに減少し、したがってインクを排出する泡の生成に、より多くの入力エネルギが使用されるようになる。
【0005】
加熱器を浸漬するには、インク室の床から隔置する必要があり、したがって加熱器の材料は通常、その後に剥離エッチングによって除去される犠牲材料(SAC)の層に付着する。加熱器要素のいずれかの端部にある接触部を、何らかのタイプの永久足場構造によってSAC層の高さまで上昇させる。接触部は、CMOSドライブ回路の最上金属層上の電極区域と加熱器要素の間に電気的接続を確立するために、垂直又は傾斜部分が必要である。しかし、垂直又は傾斜表面に付着した加熱器材料は、水平表面にある場合より薄い。薄くなった区間の望ましくない抵抗損を回避するために、熱アクチュエータの接触部分は比較的大きくする必要がある。比較的大きい接触部がウェハ表面の有意の区域を占有し、ノズルのパッキング密度を制限する。
【特許文献1】米国特許第3,747,120号(Stemme)
【発明の開示】
【0006】
したがって、本発明は、
ウェハ基板上に形成され、それぞれがノズル開口及び熱アクチュエータを有するアレイ状のインク室を備え、熱アクチュエータは、室内に吊り下げられるような、2つの接触部の間に延在する加熱器要素を有し、さらに、
駆動信号を生成するためにウェハ基板上にリソグラフィで付着し、各アクチュエータの接触部に電極を提供する駆動回路を備え、
熱アクチュエータが一体の平面構造であるように、接触部と加熱器要素が同一平面上にある、
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0007】
CMOS電極に直接付着した接触部及び吊り下げた加熱器要素を有する平面熱アクチュエータは、垂直又は傾斜表面によって引き起こされるホットスポットを回避し、したがって抵抗損の許容可能な増加がない状態で、接触部をはるかに小さい構造にすることができる。低い抵抗損は、吊り下げられた加熱器要素の効率的な動作を維持し、小さい接触部サイズは、印字ヘッドにノズルを接近させてパッキングするのに都合がよい。
【0008】
加熱器要素は、加熱器材料の細長い細片であることが好ましい。さらなる好ましい形態では、電極は、駆動回路の最上金属層の露出区域である。特に好ましい形態では、印字ヘッドはさらに、駆動回路にエッチングされ、電極間に延在するトレンチを備える。
【0009】
第1の態様では、本発明は、
ウェハ基板上に形成され、それぞれがノズル開口及び熱アクチュエータを有するアレイ状のインク室を備え、熱アクチュエータは、室内に吊り下げられるような、2つの接触部の間に延在する加熱器要素を有し、さらに、
駆動信号を生成するためにウェハ基板上にリソグラフィで付着し、各アクチュエータの接触部に電極を提供する駆動回路を備え、
熱アクチュエータが一体の平面構造であるように、接触部と加熱器要素が同一平面上にある、
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0010】
CMOS電極に直接付着した接触部及び吊り下げた加熱器要素を有する平面熱アクチュエータは、垂直又は傾斜表面によって引き起こされるホットスポットを回避し、したがって抵抗損の許容可能な増加がない状態で、接触部をはるかに小さい構造にすることができる。低い抵抗損は、吊り下げられた加熱器要素の効率的な動作を維持し、小さい接触部サイズは、印字ヘッドにノズルを接近させてパッキングするのに都合がよい。
【0011】
任意選択で、加熱器要素は加熱器材料の細長い細片である。
【0012】
任意選択で、電極は、駆動回路の最上金属層の露出区域である。
【0013】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチは、電極間に延在する。
【0014】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通して同時にインクを排出する。
【0015】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0016】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0017】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0018】
任意選択で、楕円形ノズルの長軸が位置合わせされる。
【0019】
任意選択で、駆動回路は、熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0020】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0021】
任意選択で、アレイ状のインク室は、ノズル板とその下のウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、各室の側壁の1つは、室にインクを再充填できるようにする開口を有し、さらに、
ノズル板とその下のウェハとの間にあるインク導管によって画定され、インク導管は、複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0022】
任意選択で、インクジェット印字ヘッドはさらに、ウェハ基板内に画定された複数のインク入口を備え、
インク導管はそれぞれ、インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する。
【0023】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0024】
任意選択で、インクジェット印字ヘッドはさらに、各インク入口を通って延在する少なくとも1つのプライミング形体を備え、したがって、
インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、インクを入口から、及び部分的に流路を通ってインク室に向かって引っ張る。
【0025】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0026】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0027】
任意選択で、インクジェット印字ヘッドはさらに、各インク室の開口にフィルタ構造を備え、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0028】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0029】
任意選択で、ノズル板は、静止摩擦(「スティクション」として知られる)の共同作用を減少させる構成がある外面を有する。
【0030】
第2の態様では、本発明は、
アレイ状のインク室と、
各インク室にそれぞれ形成された複数のノズルと、
各インク室それぞれの中にあるアクチュエータと、
選択的にアクチュエータに駆動信号を提供する駆動回路と、を備え、使用中に、
アクチュエータが室の全ノズルを通してインクを同時に排出する、
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0031】
室に複数のノズルを与えることによって、各ノズルの排出する滴は、体積が小さくなり、異なる状態で誤配向される。異なる方向に誤配向された幾つかの小さい滴は、相対的に大きい1つの誤配向された滴ほど、印字の品質にとって有害ではない。
【0032】
任意選択で、アクチュエータは熱アクチュエータであり、それぞれが2つの接触部間に延在する加熱器要素を有し、接触部は、駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続を形成し、熱アクチュエータは一体の平面構造である。
【0033】
任意選択で、加熱器要素は、加熱器材料の細長い細片から形成され、電極は、駆動回路の最上金属層の露出区域であり、インク室は、加熱器要素が室内の接触部から吊り下げられるように構成される。
【0034】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチは、電極間に延在する。
【0035】
任意選択で、トレンチの幅は加熱器要素のそれの少なくとも2倍である。
【0036】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0037】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0038】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0039】
任意選択で、楕円形ノズルの主軸が位置合わせされる。
【0040】
任意選択で、駆動回路は、熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0041】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0042】
任意選択で、アレイ状のインク室は、ノズル板とその下のウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、各室の側壁の1つは、室にインクを再充填できるようにする開口を有し、さらに、
ノズル板とその下のウェハとの間にあるインク導管によって画定され、インク導管は、複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0043】
さらなる態様では、さらに、ウェハ基板内に画定された複数のインク入口を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、
インク導管はそれぞれ、インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する。
【0044】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0045】
さらなる態様では、さらに、各インク入口を通って延在する少なくとも1つのプライミング形体を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、したがって、
インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、インクを入口から、及び部分的に流路を通ってインク室に向かって引っ張る。
【0046】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0047】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0048】
さらなる態様では、さらに、各インク室の開口にフィルタ構造を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0049】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0050】
任意選択で、ノズル板は、静止摩擦(「スティクション」として知られる)の共同作用を減少させる構成がある外面を有する。
【0051】
第3の態様では、本発明は、
アレイ状のインク室と、
各室にそれぞれ形成されたノズルと、
ノズルを通りインクを排出するための各インク室の中にあるアクチュエータとを備え、
少なくとも2つの隣接する室が、室間の流体クロストークを減少させるように構成されたインク透過性バリアによって分離され、したがって、
隣接する室の少なくとも一方が、インク透過性バリアを通って隣接する室の他方から流れるインクで再充填される
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0052】
インクをアレイの各インク室に分配するための導管は、ウェハ区域の有意の割合を占有することがある。これは、印字ヘッド上のノズル密度の限定要因になり得る。幾つかのインク室を、各室を流体クロストークから十分に解放した状態で、他のインク室へのインク流路の一部にすることによって、インク供給導管へと失われるウェハ区域の量が減少する。
【0053】
ノズル密度を上げるために、細長いアクチュエータを使用することも有利である。アクチュエータが薄くなると、インク室を薄くし、したがって印字ヘッドのユニットセル全体を少なくとも1次元で小型化することができる。したがって、隣接するノズルを密集させることができ、ノズルのパッキング密度が上昇する。しかし、細長いアクチュエータの場合、形成される泡が同様に細長くなる。細長い泡が、中心に配置された円形のノズル開口を強制的に通過すると、水力学的損失が生じる。水力学的損失を減少させるために、2つ以上のノズル開口を、細長いアクチュエータの上で室の長さに沿って配置することができる。これは、インクのインクジェット化に伴う水力学的損失を減少させるが、各ノズルを通るインク排出プロセス中にある程度の流体クロストークがある。流体クロストークを減少させるためにノズル間にインク透過性バリアを配置することにより、室は2つの別個の室になる。
【0054】
任意選択で、アクチュエータは熱アクチュエータであり、それぞれが2つの接触部間に延在する加熱器要素を有し、接触部は、駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続を形成し、熱アクチュエータは一体の平面構造であり、アクチュエータはそれぞれ、アレイの少なくとも2つの隣接するインク室を通って延在し、アクチュエータは、隣接するインク室から個々のノズルを通してインクを同時に排出するように構成される。
【0055】
任意選択で、加熱器要素は、加熱器材料の細長い細片から形成され、電極は、駆動回路の最上金属層の露出区域であり、インク室は、加熱器要素が室内の接触部から吊り下げられるように構成される。
【0056】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチは、電極間に延在する。
【0057】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通してインクを同時に排出する。
【0058】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0059】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0060】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0061】
任意選択で、楕円形ノズルの主軸が位置合わせされる。
【0062】
任意選択で、駆動回路は、熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0063】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0064】
任意選択で、アレイ状のインク室は、ノズル板とその下のウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、各室の側壁の1つは、室にインクを再充填できるようにする開口を有し、さらに、
ノズル板とその下のウェハとの間にあるインク導管によって画定され、インク導管は、複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0065】
さらなる態様では、さらに、ウェハ基板内に画定された複数のインク入口を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、
インク導管はそれぞれ、インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する。
【0066】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0067】
さらなる態様では、さらに、各インク入口を通って延在する少なくとも1つのプライミング形体を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、したがって、
インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、インクを入口から、及び部分的に流路を通ってインク室に向かって引っ張る。
【0068】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0069】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0070】
さらなる態様では、さらに、各インク室の開口にフィルタ構造を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0071】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0072】
任意選択で、ノズル板は、静止摩擦(「スティクション」として知られる)の共同作用を減少させる構成がある外面を有する。
【0073】
第4の態様では、本発明は、
アレイ状のインク室を備え、各室が複数のアクチュエータ及びノズルを有し、アクチュエータはそれぞれ、ノズルの少なくとも1つと対応し、さらに、
選択的にアクチュエータに駆動信号を提供する駆動回路を備え、
1つの駆動信号が、1つのインク室内の複数のアクチュエータを同時に起動して、複数のノズルからインクを排出する
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0074】
複数のアクチュエータを1つの室に入れ、各アクチュエータに対応する1つ又は複数のノズルを設けることによって、各ノズルの排出する滴は、体積が小さくなり、異なる状態で誤配向される。異なる方向に誤配向された幾つかの小さい滴は、目に見えるアーチファクトを生成する可能性を低下させる。室内の1つのアクチュエータを使用して、全ノズルからインクを排出することができるが、アクチュエータがノズルと位置合わせされていない場合、インクの水力学的損失がある。幾つかのアクチュエータを設けると、アクチュエータを全ノズルと位置合わせし、水力学的損失を最小限に抑え、それによって印字ヘッドの全体的効率を改良することができる。
【0075】
任意選択で、アクチュエータは熱アクチュエータであり、それぞれが2つの接触部間に延在する加熱器要素を有し、接触部は、駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続を形成し、熱アクチュエータは一体の平面構造である。
【0076】
任意選択で、加熱器要素は、加熱器材料の細長い細片から形成され、電極は、駆動回路の最上金属層の露出区域であり、インク室は、加熱器要素が室内の接触部から吊り下げられるように構成される。
【0077】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチは、電極間に延在する。
【0078】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通してインクを同時に排出する。
【0079】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0080】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0081】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0082】
任意選択で、楕円形ノズルの主軸が位置合わせされる。
【0083】
任意選択で、駆動回路は、熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0084】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0085】
任意選択で、アレイ状のインク室は、ノズル板とその下のウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、各室の側壁の1つは、室にインクを再充填できるようにする開口を有し、さらに、
ノズル板とその下のウェハとの間にあるインク導管によって画定され、インク導管は、複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0086】
さらなる態様では、さらに、ウェハ基板内に画定された複数のインク入口を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、
インク導管はそれぞれ、インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する。
【0087】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0088】
さらなる態様では、さらに、各インク入口を通って延在する少なくとも1つのプライミング形体を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、したがって、
インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、インクを入口から、及び部分的に流路を通ってインク室に向かって引っ張る。
【0089】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0090】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0091】
さらなる態様では、さらに、各インク室の開口にフィルタ構造を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0092】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0093】
任意選択で、ノズル板は、静止摩擦(「スティクション」として知られる)の共同作用を減少させる構成がある外面を有する。
【0094】
第5の態様では、本発明は、
アレイ状のインク室を備え、各室がノズル、及びノズルを通してインクを排出するアクチュエータを有し、さらに、
選択的にアレイのアクチュエータに駆動信号を提供する駆動回路を備え、
使用中に、
各駆動信号が、複数のアクチュエータを同時に起動する
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0095】
同じドライバ回路内に(直列又は並列で)別個のアクチュエータがあるように、1つの相対的に大きい室を2つ以上のそれより小さい室と置換することによって、各ノズルの排出する滴は、体積が小さくなり、異なる状態で誤配向される。異なる方向に誤配向された幾つかの小さい滴は、目に見えるアーチファクトを生成する可能性を低下させる。
【0096】
任意選択で、アクチュエータは熱アクチュエータであり、同時に起動する複数のアクチュエータは、同じ駆動回路の部分であり、それぞれが2つの接触部間に延在する加熱器要素を有し、接触部は、駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続を形成する。
【0097】
任意選択で、同時に起動する複数のアクチュエータは、直列に接続される。
【0098】
任意選択で、熱アクチュエータはそれぞれ、一体の平面構造、及びインク室内に吊り下げられた加熱器要素を有する。
【0099】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通してインクを同時に排出する。
【0100】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0101】
任意選択で、加熱器要素は位置合わせされた細長い細片であり、各室のノズルは、加熱器要素のそれに平行な線に配置構成される。
【0102】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0103】
任意選択で、楕円形ノズルの主軸が位置合わせされる。
【0104】
任意選択で、駆動回路はそれぞれ電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0105】
任意選択で、FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0106】
任意選択で、アレイ状のインク室は、ノズル板とその下のウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、各室の側壁の1つは、室にインクを再充填できるようにする開口を有し、さらに、
ノズル板とその下のウェハとの間にあるインク導管によって画定され、インク導管は、複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0107】
さらなる態様では、さらに、ウェハ基板内に画定された複数のインク入口を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、
インク導管はそれぞれ、インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する。
【0108】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0109】
さらなる態様では、さらに、各インク入口を通って延在する少なくとも1つのプライミング形体を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、したがって、
インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、インクを入口から、及び部分的に流路を通ってインク室に向かって引っ張る。
【0110】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0111】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0112】
さらなる態様では、さらに、各インク室の開口にフィルタ構造を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0113】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0114】
任意選択で、ノズル板は、静止摩擦(「スティクション」として知られる)の共同作用を減少させる構成がある外面を有する。
【0115】
第6の態様では、本発明は、
アレイ状のノズル、及びノズルを通してインクを排出する対応するアクチュエータを備え、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあるように列状に配置構成され、
各列に沿ったノズルのピッチは、1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超える
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0116】
従来、ノズルの列は、各列のアクチュエータが反対方向に延在する状態で、対になって配置構成される。列は相互に対して互い違いになり、したがって印刷解像度(1インチ当たりのドット数)は、各列に沿ったノズルのピッチ(1インチ当たりのノズル数)の2倍である。ユニットの全体的な幅が減少するように、ユニットセル(反復する室、ノズル及びアクチュエータユニット)の構成要素を構成することによって、印刷解像度(d.p.i.)を犠牲にせずに、同数のノズルを2つの互い違いの対向する列ではなく、1列に配置構成することができる。1列の駆動回路はCMOSの製造、及び印刷データを受信するための印刷エンジン制御装置への接続を単純化する。或いは、本発明で使用されるユニットセル構成は、相互に対して互い違いになった対向する列になるように配置構成し、印刷解像度を効果的に2倍に、好ましい実施形態の場合は3200d.p.i.にすることができる。
【0117】
任意選択で、ノズルのピッチは、1インチ(2.54cm)当たりノズル1600個である。
【0118】
任意選択で、ノズルは楕円形であり、列の各ノズルの短軸が位置合わせされる。
【0119】
任意選択で、アクチュエータは熱アクチュエータであり、それぞれが2つの接触部間に延在する加熱器要素を有し、接触部は、駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続を形成し、熱アクチュエータは一体の平面構造である。
【0120】
任意選択で、加熱器要素は加熱器材料の細長い細片から形成され、電極は駆動回路の最上金属層の露出区域であり、インク室は、加熱器要素が室内の接触部から吊り下げられるように構成される。
【0121】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチが、電極間に延在する。
【0122】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通してインクを同時に排出する。
【0123】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0124】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0125】
任意選択で、駆動回路は熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0126】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0127】
任意選択で、アレイ状のインク室は、ノズル板とその下のウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、各室の側壁の1つは、室にインクを再充填できるようにする開口を有し、さらに、
ノズル板とその下のウェハとの間にあるインク導管によって画定され、インク導管は、複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0128】
さらなる態様では、さらに、ウェハ基板内に画定された複数のインク入口を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、
インク導管はそれぞれ、インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する。
【0129】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0130】
さらなる態様では、さらに、各インク入口を通って延在する少なくとも1つのプライミング形体を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、したがって、
インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、インクを入口から、及び部分的に流路を通ってインク室に向かって引っ張る。
【0131】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0132】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0133】
さらなる態様では、さらに、各インク室の開口にフィルタ構造を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0134】
任意選択で、ノズル板は、静止摩擦(「スティクション」として知られる)の共同作用を減少させる構成がある外面を有する。
【0135】
任意選択で、ノズル板は、非使用時に印字ヘッドと係合するノズルキャッパとともに使用するように構成された外面を有し、キャッパが外面から係合解除すると、キャッパと外面との間の残留インクは、キャッパと外面との間のメニスカスのせいで外面を移動し、
外面は、メニスカスによって外面に沿って押される残留インクの少なくとも一部を保持する樋構造を有する。
【0136】
第7の態様では、本発明は、
アレイ状のノズルを画定するノズル板と、
ノズルを通してインクを排出するために、アレイの各ノズルに対応するアクチュエータと、を備え、
ノズル板が、静止摩擦の共同作用を減少させる構成がある外面を有する
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0137】
静止摩擦の共同作用を減少させることにより、紙の埃又は他の汚染物質がノズル板のノズルに詰まる可能性が低下する。知られるようになった通りの静止摩擦、つまり「スティクション」は、埃の粒子をノズル板に「付着」させ、それによってノズルを詰まらせることができる。ノズル板の外側に隆起した構成のパターンを形成することによって、埃の粒子は各構成の外端部にしか接触することができない。これは、粒子とノズル板との摩擦を減少させ、したがって板と接触する粒子が付着する可能性が低下し、付着した場合は、印字ヘッドの保守クリーニングサイクルで除去される可能性が高くなる。
【0138】
任意選択で、構成は、ノズル板の板に垂直に延在する等しい長さの円柱状突起である。
【0139】
任意選択で、アクチュエータは熱アクチュエータであり、それぞれが2つの接触部間に延在する加熱器要素を有し、接触部は、駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続を形成し、熱アクチュエータは一体の平面構造である。
【0140】
任意選択で、加熱器要素は加熱器材料の細長い細片から形成され、電極は駆動回路の最上金属層の露出区域であり、インク室は、加熱器要素が室内の接触部から吊り下げられるように構成される。
【0141】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチが、電極間に延在する。
【0142】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通してインクを同時に排出する。
【0143】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0144】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0145】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0146】
任意選択で、楕円形ノズルの長軸は位置合わせされる。
【0147】
任意選択で、駆動回路は熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0148】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0149】
任意選択で、アレイ状のインク室は、ノズル板とその下のウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、各室の側壁の1つは、室にインクを再充填できるようにする開口を有し、さらに、
ノズル板とその下のウェハとの間にあるインク導管によって画定され、インク導管は、複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0150】
さらなる態様では、さらに、ウェハ基板内に画定された複数のインク入口を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、
インク導管はそれぞれ、インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する。
【0151】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0152】
さらなる態様では、さらに、各インク入口を通って延在する少なくとも1つのプライミング形体を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、したがって、
インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、インクを入口から、及び部分的に流路を通ってインク室に向かって引っ張る。
【0153】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0154】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0155】
さらなる態様では、さらに、各インク室の開口にフィルタ構造を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0156】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0157】
第8の態様では、本発明は、
それぞれがノズル、及びノズルを通してインクを排出するアクチュエータを有するアレイ状のインク室と、
インク室と流体連絡する複数のインク入口と、
インク入口それぞれを通って延在する少なくとも1つのプライミング形体と、を備え、したがって、
インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、インクを入口から、及び部分的に流路を通ってインク室に向かって引っ張る
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0158】
プライミング形体を入口の面に導入することによって、インクのメニスカスの表面張力を再配向して、インクを入口に押し戻すのではなく、インクを意図された流路に沿って引くことができる。
【0159】
任意選択で、アレイ状のインク室は、ノズル板とウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、インク入口はウェハ基板にある開口であり、プライミング形体は、少なくとも部分的にインク入口の周囲にあり、ノズル板に向かって延在する円柱である。
【0160】
さらなる態様では、アクチュエータに駆動信号を選択的に提供する駆動回路を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、アクチュエータは熱アクチュエータであり、それぞれが2つの接触部間に延在する加熱器要素を有し、接触部は、駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続を形成し、熱アクチュエータは一体の平面構造である。
【0161】
任意選択で、加熱器要素は加熱器材料の細長い細片から形成され、電極は駆動回路の最上金属層の露出区域であり、インク室は、加熱器要素が室内の接触部から吊り下げられるように構成される。
【0162】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチが、電極間に延在する。
【0163】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通してインクを同時に排出する。
【0164】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0165】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0166】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0167】
任意選択で、楕円形ノズルの長軸は位置合わせされる。
【0168】
任意選択で、駆動回路は熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0169】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0170】
任意選択で、各室の側壁の1つは、室にインクを再充填できるようにする開口を有し、
ノズル板とその下のウェハとの間にあるインク導管は、複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0171】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する。
【0172】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0173】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0174】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0175】
さらなる態様では、さらに、各インク室の開口にフィルタ構造を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0176】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0177】
任意選択で、ノズル板は、静止摩擦(「スティクション」として知られる)の共同作用を減少させる構成がある外面を有する。
【0178】
第9の態様では、本発明は、
それぞれがノズル、ノズルを通してインクを排出するアクチュエータ、及びインクが室を再充填できるようにする側壁開口を有するアレイ状の細長いインク室を備え、
開口がインク室の長辺の一方にある
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0179】
側部入口を有するようにインク室を構成すると、インクの再充填時間が短縮される。入口が広くなり、したがって再充填流量が大きくなる。
【0180】
任意選択で、アレイ状のインク室は、ノズル板とウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、アクチュエータは熱アクチュエータであり、それぞれが2つの接触部間に延在する細長い加熱器要素を有する。
【0181】
さらなる態様では、本発明はさらに熱アクチュエータに駆動信号を選択的に提供する駆動回路を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、したがって接触部は、駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続部を形成し、熱アクチュエータは一体の平面構造である。
【0182】
任意選択で、加熱器要素は加熱器材料の細長い細片から形成され、電極は駆動回路の最上金属層の露出区域であり、インク室は、加熱器要素が室内の接触部から吊り下げられるように構成される。
【0183】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチが、電極間に延在する。
【0184】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通してインクを同時に排出する。
【0185】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0186】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0187】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0188】
任意選択で、楕円形ノズルの長軸は位置合わせされる。
【0189】
任意選択で、駆動回路は熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0190】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0191】
さらなる態様では、本発明は、さらにノズル板とその下のウェハとの間にインク導管を備えるインクジェット印字ヘッドを提供し、インク導管は複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0192】
さらなる態様では、本発明は、さらにウェハ基板で画定された複数のインク入口を備えるインクジェット印字ヘッドを提供し、
インク導管はそれぞれ、インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する。
【0193】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0194】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0195】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0196】
さらなる態様では、本発明は、さらに各インク室の開口にフィルタ構造を備えるインクジェット印字ヘッドを提供し、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0197】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0198】
任意選択で、ノズル板は、静止摩擦(「スティクション」として知られる)の共同作用を減少させる構成がある外面を有する。
【0199】
第10の態様では、本発明は、
それぞれがノズル、ノズルを通してインクを排出するアクチュエータ、インクが室を再充填できるようにする入口開口、及び入口開口にあるフィルタ構造を有するアレイ状のインク室を備え、
フィルタ構造が、開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0200】
インクが室に入る時にこれをフィルタ濾過すると、汚染物質及び泡を除去するが、室へのインクの流れを遅らせてしまう。本発明は、流路に列状の障害を有するフィルタ構造を使用する。列は相互に対して片寄り、乱流を導入する。これは、ノズルの再充填速度に最小限の影響しか与えないが、気泡又は他の汚染物質は障害によって保持される可能性が高い。
【0201】
任意選択で、フィルタ構造は2列の障害を有する。
【0202】
任意選択で、アレイ状のインク室は、ノズル板とウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、障害は、ウェハ基板とノズル板の間に延在する円柱である。
【0203】
任意選択で、アクチュエータは熱アクチュエータであり、それぞれが2つの接触部間に延在する細長い加熱器要素を有する。
【0204】
さらなる態様では、本発明は、さらに熱アクチュエータに駆動信号を選択的に提供する駆動回路を備えるインクジェット印字ヘッドを提供し、したがって接触部は、駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続部を形成し、熱アクチュエータは一体の平面構造である。
【0205】
任意選択で、加熱器要素は加熱器材料の細長い細片から形成され、電極は駆動回路の最上金属層の露出区域であり、インク室は、加熱器要素が室内の接触部から吊り下げられるように構成される。
【0206】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチが、電極間に延在する。
【0207】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通してインクを同時に排出する。
【0208】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0209】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0210】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0211】
任意選択で、楕円形ノズルの長軸は位置合わせされる。
【0212】
任意選択で、駆動回路は熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0213】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0214】
さらなる態様では、本発明は、さらにノズル板とその下のウェハとの間にインク導管を備えるインクジェット印字ヘッドを提供し、インク導管は複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0215】
さらなる態様では、本発明は、さらにウェハ基板で画定された複数のインク入口を備えるインクジェット印字ヘッドを提供し、
インク導管はそれぞれ、インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する。
【0216】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0217】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0218】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0219】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0220】
第11の態様では、本発明は、非使用時に印字ヘッドと係合するノズルキャッパとともに使用するインクジェット印字ヘッドを提供し、インクジェット印字ヘッドは、
アレイ状のノズルを画定し、キャッパと係合する外面を有するノズル板を備え、したがって、
キャッパが外面から係合解除すると、キャッパと外面との間の残留インクは、キャッパと外面との間のメニスカスのせいで外面を移動し、
外面は、メニスカスによって外面に沿って押される残留インクの少なくとも一部を保持する樋構造を有する。
【0221】
キャッパがノズル板から剥ぎ取られる方向を横切って延びる樋構造は、メニスカス中のインクの一部を除去し、保持する。樋は、メニスカス中のインクの全部を収集するわけではないが、異なる色のインクでのノズル汚染のレベルを大幅に低下させる。
【0222】
任意選択で、樋構成は、異なる色のインクを排出するノズル間でノズル板の外面にエッチングされ、縁部が直角の波形である。
【0223】
さらなる態様では、さらに、アクチュエータに駆動信号を選択的に提供する駆動回路を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、アクチュエータは熱アクチュエータであり、それぞれが2つの接触部間に延在する加熱器要素を有し、接触部は駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続部を形成し、熱アクチュエータは一体の平面構造である。
【0224】
任意選択で、加熱器要素は、加熱器材料の細長い細片から形成され、電極は、駆動回路の最上金属層の露出区域であり、インク室は、加熱器要素が室内の接触部から吊り下げられるように構成される。
【0225】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチは、電極間に延在する。
【0226】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通してインクを同時に排出する。
【0227】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0228】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0229】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0230】
任意選択で、楕円形ノズルの長軸は位置合わせされる。
【0231】
任意選択で、駆動回路は熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0232】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0233】
任意選択で、アレイ状のインク室は、ノズル板とその下のウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、各室の側壁の1つは、室にインクを再充填できるようにする開口を有し、さらに、
ノズル板とその下のウェハとの間にあるインク導管によって画定され、インク導管は、複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0234】
さらなる態様では、さらに、ウェハ基板で画定された複数のインク入口を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、
インク導管はそれぞれ、インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する。
【0235】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0236】
さらなる態様では、さらに、各インク入口を通って延在する少なくとも1つのプライミング形体を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、したがって、
インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、インクを入口から、及び部分的に流路を通ってインク室に向かって引っ張る。
【0237】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0238】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0239】
さらなる態様では、さらに、各インク室の開口にフィルタ構造を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0240】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0241】
第12の態様では、本発明は、
アレイ状のノズル、及びノズルを通してインクを排出する対応のアクチュエータと、
複数のインク入口はノズルと流体連絡し、それぞれがインク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0242】
泡をインク入口で捕捉し、これを小さい通気口へと配向することによって、インクを漏らさずにインクの流れからこれを効果的に除去する。トラップは、入口プライミング形体のように二重にしてもよい(以下で検討)。
【0243】
さらなる態様では、本発明は、それぞれがノズルの少なくとも1つ及びアクチュエータの少なくとも1つを有するアレイ状のインク室をさらに備えるインクジェット印字ヘッドを提供し、室は、ノズル板とその下にあるウェハ基板の間に延在する側壁によって画定され、各室の側壁の1つは、室にインクを再充填できるようにする開口を有し、
インク入口開口はそれぞれ、複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0244】
さらなる態様では、さらにウェハ基板とノズル板との間に複数のインク導管を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、インク入口開口はそれぞれ、インク導管の1つを介して複数のインク室の開口と流体連絡する。
【0245】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口開口の少なくとも2つと流体連絡する。
【0246】
さらなる態様では、さらに、アクチュエータに駆動信号を選択的に提供する駆動回路を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、アクチュエータは熱アクチュエータであり、それぞれが2つの接触部間に延在する加熱器要素を有し、接触部は駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続部を形成し、熱アクチュエータは一体の平面構造である。
【0247】
任意選択で、加熱器要素は、加熱器材料の細長い細片から形成され、電極は、駆動回路の最上金属層の露出区域であり、インク室は、加熱器要素が室内の接触部から吊り下げられるように構成される。
【0248】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチは、電極間に延在する。
【0249】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通してインクを同時に排出する。
【0250】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0251】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0252】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0253】
任意選択で、楕円形ノズルの長軸は位置合わせされる。
【0254】
任意選択で、駆動回路は熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0255】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0256】
任意選択で、インク導管はそれぞれ、インク入口の2つと流体連絡する。
【0257】
さらなる態様では、さらに、各インク入口を通って延在する少なくとも1つのプライミング形体を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、したがって、
インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、インクを入口から、及び部分的に流路を通ってインク室に向かって引っ張る。
【0258】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0259】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0260】
さらなる態様では、さらに、各インク室の開口にフィルタ構造を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0261】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0262】
第13の態様では、本発明は、
ノズル板とその下にあるウェハ基板の間に延在する側壁によって画定されたアレイ状のインク室を備え、各室が複数のノズルのノズル板内にノズル、及びノズルを通してインクを排出するアクチュエータを有し、各室の側壁の1つが、インクを室に再充填できるようにする開口を有し、さらに、
ノズル板とその下にあるウェハとの間にあり、複数のインク室の開口と流体連絡するインク導管と、
前記基板内に画定された複数のインク入口と、を備え、
インク導管が、インク室に供給するインクを受け取るために、複数のインク入口と流体連絡する
インクジェット印字ヘッドを提供する。
【0263】
幾つかのノズルに供給し、それ自体が幾つかのインク入口から供給されるインク導管を導入すると、入口の詰まりによってノズルのインクが欠乏する可能性が低下する。1つの入口が詰まると、インク導管がウェハの他の入口からより多くのインクが引き出される。
【0264】
さらなる態様では、さらに、アクチュエータに駆動信号を選択的に提供する駆動回路を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、アクチュエータは熱アクチュエータであり、それぞれが2つの接触部間に延在する加熱器要素を有し、接触部は駆動回路によって提供された個々の電極との電気接続部を形成し、熱アクチュエータは一体の平面構造である。
【0265】
任意選択で、加熱器要素は、加熱器材料の細長い細片から形成され、電極は、駆動回路の最上金属層の露出区域であり、インク室は、加熱器要素が室内の接触部から吊り下げられるように構成される。
【0266】
任意選択で、駆動回路にエッチングされたトレンチは、電極間に延在する。
【0267】
任意選択で、インク室はそれぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
アクチュエータは室の全ノズルを通してインクを同時に排出する。
【0268】
任意選択で、インク室はそれぞれ2つのノズルを有する。
【0269】
任意選択で、各室のノズルは、加熱器要素の長さに平行な線に配置され、ノズルの中心軸は加熱器要素に沿って規則的に隔置される。
【0270】
任意選択で、ノズルは楕円形である。
【0271】
任意選択で、楕円形ノズルの長軸は位置合わせされる。
【0272】
任意選択で、駆動回路は熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である。
【0273】
任意選択で、駆動FETの駆動電圧は2.5ボルトである。
【0274】
さらなる態様では、さらに、各インク入口を通って延在する少なくとも1つのプライミング形体を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、したがって、
インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、インクを入口から、及び部分的に流路を通ってインク室に向かって引っ張る。
【0275】
任意選択で、インク入口はそれぞれ、インク透過性トラップ、及び自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力が漏れを防止するようなサイズにされた通気口を有し、使用中は、
インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、そこで大気へと排出する。
【0276】
任意選択で、インク室は、側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、インクで室を再充填できるようにする開口が、長い側壁の1つにある。
【0277】
さらなる態様では、さらに、各インク室の開口にフィルタ構造を備えるインクジェット印字ヘッドが提供され、フィルタ構造は開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の障害は、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように隔置される。
【0278】
任意選択で、ノズルは、ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿ったノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される。
【0279】
任意選択で、ノズル板は、静止摩擦(「スティクション」として知られる)の共同作用を減少させる構成がある外面を有する。
【0280】
本発明による印字ヘッドは、複数のノズル、さらに各ノズルに対応する室及び1つ又は複数の加熱器要素を備える。印字ヘッドの最小反復ユニットは、1つ又は複数の室にインクを供給するインク供給入口を有する。ノズルアレイ全体は、これらの個々のユニットを繰り返すことによって形成される。このような個々のユニットを、本明細書では「ユニットセル」と呼ぶ。
【0281】
また、「インク」という用語は、排出可能な液体を意味するように使用され、着色した染料を含む従来通りのインクに制限されない。非着色インクの例は定着剤、赤外線吸収剤インク、機能付与した化学物質、接着剤、生物学的流体、薬剤、水及び他の溶剤などを含む。インク又は排出可能な液体はまた、必ずしも厳密に液体である必要はなく、固体粒子の浮遊物を含んでよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0282】
次に、添付図面を参照しながら、例示によってのみ本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0283】
以下の説明では、対応する参照番号は対応する部品に関係する。便宜上、各参照番号で示される形体が以下に列挙されている。
【0284】
MNN MPNシリアル部品リスト
1.ノズルユニットセル
2.シリコンウェハ
3.CMOS金属層内の最上アルミ金属層
4.不活性化層
5.化学蒸着酸化層
6.最上アルミ金属層3内のインク入口開口
7.最上部アルミ金属層3のピット開口
8.ピット
9.電極
10.SACIフォトレジスト層
11.加熱器材料(TiAlN)
12.熱アクチュエータ
13.フォトレジスト層
14.フォトレジスト層を通してエッチングされたインク入口開口
15.インク入口通路
16.SAC2フォトレジスト層
17.室の側壁開口
18.前部流路プライミング形体
19.インク入口におけるバリア構成
20.室の天井層
21.天井
22.側壁
23.インク導管
24.ノズル室
25.楕円形ノズル縁部
25(a)内リップ
25(b)外リップ
26.ノズル開口
27.インク供給流路
28.接触部
29.加熱器要素
30.泡ケージ
32.泡保持構造
34.インク透過性構造
36.抽気孔
38.インク室
40.2列フィルタ
42.紙の埃
44.インク樋
46.SACIとトレンチ側壁の間のギャップ
48.トレンチ側壁
50.トレンチ縁部周囲のSACIの隆起リップ
52.加熱器材料の薄くなった傾斜区間
54.直列接続した加熱器要素間の低温スポット
56.ノズル板
58.円柱状突起
60.側壁のインク開口
62.インク再充填開口
MEMS製造プロセス
MEMS製造プロセスは、CMOS処理の終了後にシリコンウェハ上にノズル構造を構築する。図2は、CMOS処理の終了後、MEMS処理前のノズルユニットセル100の切り取り斜視図である。
【0285】
ウェハのCMOS処理中に、金属層が層間誘電(ILD)層の間を満たす状態で、4つの金属層をシリコンウェハ2に付着させる。4つの金属層はM1、M2、M3及びM4層と呼ばれ、CMOS処理中にウェハ上に順番に蓄積する。これらのCMOS層は、印字ヘッドを動作させる駆動回路及び論理を全て提供する。
【0286】
完成した印字ヘッド内で、各加熱器要素アクチュエータは、最も外側のM4層内に画定された1対の電極を介してCMOSに接続される。したがって、M4 CMOS層は、その後にウェハをMEMS処理するための基礎となる。M4層は、各印字ヘッド集積回路の縦方向の縁部に沿ったボンディングパッドも画定する。これらのボンディングパッド(図示せず)により、ボンディングパッドから延在するワイヤボンドを介してCMOSをマイクロプロセッサに接続することができる。
【0287】
図1及び図2は、自身上に付着した不活性化層4を有するアルミのM4層3を示す。(これらの図では、M4層のMEMS形体のみが図示され、M4層の主要なCMOS形体は、ノズルのユニットセルの外側に配置される。)M4層3は1ミクロンの厚さを有し、CVD酸化物5の2ミクロンの層上に付着する。図1及び図2に示すように、M4層3は、インク入口開口6及びピット開口7を有する。これらの開口は、MEMSプロセスでその後に形成されるインク入口及びピットの位置を画定する。
【0288】
ユニットセル1のMEMS処理が開始する前に、各印字ヘッド集積回路の縦方向の縁部に沿ったボンディングパッドが、不活性化層4を通したエッチングによって画定される。このエッチングは、ボンディングパッド位置でM4層3を露出させる。ノズルのユニットセル1は、このステップのためにフォトレジストで完全にマスキングされ、したがってエッチングの影響を受けない。
【0289】
図3から図5を参照すると、MEMS処理の第1段階は、不活性化層4及びCVD酸化物層5を通してピット8をエッチングする。このエッチングは、図3に示した暗い色調のピットマスクによって露出したフォトレジスト(図示せず)の層を使用して画定される。ピット8は、M4層3の頂部から測定して2ミクロンの深さを有する。ピット8をエッチングするのと同時に、不活性化層4を通してM4層3を部分的に露出させることにより、ピットのいずれかの側で電極9を画定する。完成したノズル内で、加熱器要素は電極9間でピット8をまたいで吊り下げられる。
【0290】
次のステップ(図6から図8)では、ピット8をフォトレジスト10の第1犠牲層(「SAC1」)で再充填する。高速フォトレジストの2ミクロンの層は、最初にウェハ上に引き延ばされ、次に図6に示した暗い色調のマスクを使用して露出される。SAC1フォトレジスト10は、ピット8のいずれかの側に電極9をまたいで加熱器材料をその後に付着させるための足場を形成する。その結果、SAC1フォトレジスト10は、電極9の上面と面一である平坦な上面を有することが重要である。それと同時に、SAC1フォトレジストは、ピットをまたいで延在し、電極9を短絡する導電性加熱器材料の「ストリンガ」を回避するために、ピット8を完全に再充填しなければならない。
【0291】
通常、トレンチをフォトレジストで再充填する場合は、フォトレジストがトレンチの壁に接して再充填し、したがってその後の付着ステップで「ストリンガ」を回避することが保証されるために、トレンチの周囲の外側にフォトレジストを露出させる必要がある。しかし、この技術の結果、トレンチの周囲にフォトレジストの隆起した(又はスパイク状の)縁部が生じてしまう。これは、その後の付着ステップで、材料が隆起した縁部に不均一に付着するので望ましくない。つまり、トレンチを再充填するフォトレジストの縁部の垂直又は傾斜した表面が、水平の平面より付着材料が少なくなる。この結果が、材料の付着が薄い領域の「抵抗ホットスポット」である。
【0292】
図7に示すように、このプロセスは、図6に示すマスクを使用してピット8の周囲壁の内側(例えば0.5ミクロン以内)にSAC1フォトレジスト10を意図的に露出させる。これは、SAC1フォトレジスト10の平面の上面を確保し、ピット8の周縁の周囲でフォトレジストにスパイク状領域が生じるのを回避する。
【0293】
SAC1フォトレジスト10の露出後に、フォトレジストを加熱によってリフローさせる。フォトレジストのリフローによって、これはピット8の壁まで流れ、それを正確に再充填する。図9及び図10は、リフロー後のSAC1フォトレジスト10を示す。フォトレジストは平面の上面を有し、電極9を形成するM4層3の上面と面一で合う。リフロー後に、SAC1フォトレジスト10を紫外線硬化及び/又はハードベークし、加熱器材料のその後の付着ステップ中のリフローを回避する。
【0294】
図11及び図12は、0.5ミクロンの加熱器材料11をSAC1フォトレジスト10上に付着させた後のユニットセルを示す。上述したリフロープロセスのせいで、加熱器材料11は、電極9及びSAC1フォトレジスト10上に均一かつ平面の層になって付着する。加熱器材料は、TiAl、TiN、TiAlN、TiAlSiNなどの任意の適切な導電性材料で構成することができる。典型的な加熱器材料の付着プロセスは、TiAlの100Åのシード層、TiAlNの2500Åの層、TiAlの100Åのさらなるシード層、最後にTiAlNの2500Åのさらなる層を順番に付着させることを含んでよい。
【0295】
図13から図15を参照すると、次のステップで、加熱器材料11の層がエッチングされ、熱アクチュエータ12を画定する。各アクチュエータ12は、SAC1フォトレジスト10のいずれかの側にある個々の電極9への電気接続を確立する接触部28を有する。加熱器要素29は、対応する接触部28の間に引き延ばされる。
【0296】
このエッチングは、図13に示した暗い色調のマスクを使用して露出したフォトレジスト(図示せず)の層によって画定される。図15に示すように、加熱器要素12は電極9の対の間にある線系ビームスパニングである。しかし、加熱器要素12は、参照によって内容が本明細書に組み込まれる出願人の米国特許第6,755,509号に記載されているような他の構成を代替的に採用することができる。例えば、中心空隙を有する加熱器要素29の構成は、インク排出中に気泡が崩壊した場合に、加熱器材料にかかるキャビテーションの力の有害な効果を最小限に抑えるために有利であり得る。「泡の通気」及び自動不活性化材料の使用など、他の形態のキャビテーション保護を採用してもよい。これらのキャビテーション管理技術は、米国特許出願(出願人の文書MTC001US)で詳細に検討されている。
【0297】
ステップの次のシーケンスでは、不活性化層4、酸化物層5及びシリコンウェハ2を通して、ノズルのインク入口がエッチングされる。CMOS処理中に、各金属層は、このインク入口のエッチングの準備でインク入口開口(例えば図1のM4層3の開口6参照)がエッチングされている。これらの金属層は、挿入したILD層とともに、インク入口の密封リングを形成し、インクがCMOS層に染みこむのを防止する。
【0298】
図16から図18を参照すると、フォトレジスト13の比較的厚い層がウェハ上に引き延ばされ、図16に示す暗い色調のマスクを使用して露光される。必要なフォトレジスト13の厚さは、インク入口のエッチングに使用される深反応性イオンエッチング(DRIE)の選択性に依存する。インク入口開口14がフォトレジスト13内に画定された状態で、ウェハはその後のエッチングステップの準備が整う。
【0299】
第1エッチングステップ(図19及び図20)では、下のシリコンウェハを通して誘電層(不活性化層4及び酸化物層5)がエッチングされる。任意の標準的な酸化物エッチング(例えばO/Cプラズマ)を使用してよい。
【0300】
第2エッチングステップ(図21及び図22)では、同じフォトレジストマスク13を使用して、シリコンウェハ2を通して25ミクロンの深さまでインク入口15をエッチングする。このエッチングには、ボッシュエッチング(米国特許第6,501,893号及び第6,284,148号参照)などの任意の標準的異方性DRIEを使用してよい。インク入口15のエッチング後、プラズマ灰化でフォトレジスト層13を除去する。
【0301】
次のステップでは、インク入口15にフォトレジストで栓をし、SAC1フォトレジスト10及び不活性化層4の頂部にフォトレジストの第2犠牲層(「SAC2」)16を構築する。SAC2フォトレジスト16は、各ノズル室の天井及び側壁を形成する天井材料をその後に蓄積するための足場として働く。図23から図25を参照すると、約6ミクロンの高速フォトレジスト層をウェハ上に引き延ばし、図23に示した暗い色調のマスクを使用して露光する。
【0302】
図23及び図25に示すように、マスクは、室の側壁及びインク導管の側壁の位置に対応して、SAC2フォトレジスト16に側壁開口17を露出させる。また、開口18及び19は、それぞれ栓をした入口15及びノズル室の入口に隣接して露光される。これらの開口18及び19は、その後の天井付着ステップにて天井材料で再充填され、本発明のノズル設計で独特の利点を提供する。特に、天井材料で再充填された開口18は、インクを入口15から各ノズル室に引き込むことを補助するプライミング形体として作用する。これについては、以下でさらに詳細に説明する。天井材料で再充填された開口19は、フィルタ構造及び流体クロストークのバリアとして作用する。これらは、気泡がノズル室に入るのを防止するのに役立ち、熱アクチュエータ12によって発生した圧力パルスを拡散する。
【0303】
図26及び図27を参照すると、次の段階は、PECVDによって3ミクロンの天井材料20をSAC2フォトレジスト16に付着させる。天井材料20は、SAC2フォトレジスト16の開口17、18及び19を再充填し、天井21及び側壁22を有するノズル室24を形成する。インクを各ノズル室に供給するインク導管23も、天井材料20の付着中に形成される。また、プライミング形体及びフィルタ構造(図26及び図27では図示せず)があれば、それも同時に形成される。それぞれが個々のノズル室24に対応する天井21は、隣接するノズル室にまたがって列状に引き延ばされ、連続的なノズル板を形成する。天井材料20は、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化酸化膜、窒化アルミなどの任意の適切な材料で構成してよい。
【0304】
図28から図30を参照すると、次の段階は、2ミクロンの天井材料20をエッチングで除去することによって、天井21の楕円形ノズル縁部25を画定する。このエッチングは、図28に示した暗い色調の縁部マスクによって露光したフォトレジスト(図示せず)の層を使用して画定される。楕円形縁部25は、個々の熱アクチュエータ12上に配置された2つの同軸縁部リップ25a及び25bを備える。
【0305】
図31から図33を参照すると、次の段階は、縁部25によって制限された残りの天井材料20を通して全てエッチングすることによって、天井21内に楕円形ノズル開口26を画定する。このエッチングは、図31に示した暗い色調の天井マスクによって露光したフォトレジスト(図示せず)の層を使用して画定される。楕円形ノズル開口26は、図33に示すように熱アクチュエータ12上に配置される。
【0306】
ここでMEMSノズル形体が十分に形成された状態で、次の段階は、Oプラズマ灰化(図34から図35)によってSAC1及びSAC2フォトレジスト層10及び16を除去する。灰化の後、熱アクチュエータ12はピット8上で1つの平面になって吊り下げられる。接触部28と加熱器要素29を同一面に付着させることにより、電極9と効率的に電気接続される。
【0307】
図36及び図37は、SAC1及びSAC2フォトレジスト層10及び16の灰化後のシリコンウェハ2の全厚さ(150ミクロン)を示す。
【0308】
図38から図40を参照すると、ウェハの前側MEMS処理が終了したら、標準的な異方性DRIEを使用して、ウェハの裏側からインク供給流路27をエッチングし、インク入口15と合わせる。この裏側エッチングは、図38で示した暗い色調のマスクによって露光されたフォトレジスト層(図示せず)を使用して画定される。インク供給流路27は、ウェハの裏側とインク入口15の間を流体接続する。
【0309】
最後に、図41及び図42を参照すると、裏側エッチングによってウェハを135ミクロンに薄くする。図43は、完成した印字ヘッド集積回路の切り取り斜視図で、隣接する3列のノズルを示す。ノズルの各列は、その長さに沿って延在し、各列の複数のインク入口15にインクを供給する個々のインク供給流路27を有する。インク入口は、各列のインク導管23にインクを供給し、各ノズル室は、その列の共通のインク導管からインクを受け取る。
【0310】
[特定の実施形態の特徴及び利点]
以下では、適切な小見出しで本発明の実施形態の特定の独特の特徴、及びこれらの特徴の利点について検討する。特徴は、内容が特に特定の図面を排除し、特に言及された図面に関連しない限り、本発明に関連する全ての図面に関連して考察される。
【0311】
低損失電極
図41及び図42に示すように、加熱器要素29は室内に吊り下げられる。これは、室のプライミング時に加熱器要素がインクに浸漬されることを保証する。加熱器要素をインクに完全に浸漬すると、印字ヘッドの効率が劇的に改善する。下にあるウェハ基板に散逸する熱が非常に少なくなり、したがってインクを排出する泡を発生させるために使用される入力エネルギが増加する。
【0312】
加熱器要素を吊り下げるために、接触部を使用して、要素を上昇した位置で支持する。基本的に、加熱器要素のいずれかの端部にある接触部は、CMOSドライブ上の個々の電極を上昇した位置で要素に接続するために、垂直又は傾斜した区間を有することができる。しかし、垂直又は傾斜表面に付着した加熱器材料は、水平表面上にある材料より薄い。薄くなった区間による望ましくない抵抗損を回避するために、熱アクチュエータの接触部分は比較的大きくする必要がある。大型化した接触部がウェハ表面の有意の区域を占有し、ノズルパッキング密度を制限する。
【0313】
加熱器を浸漬するために、本発明は、電極9間にピット又はトレンチ8をエッチングし、室の床のレベルを低下させる。以上で検討したように、犠牲フォトレジスト(SAC)層10(図9参照)は、トレンチ内に付着して、加熱器要素の足場を提供する。しかし、SAC10をトレンチ8に付着させ、単純にそれを加熱器材料の層で覆うと、(図7に関連して前述したように)SAC10とトレンチ8の側壁48の間のギャップ46にストリンガを形成することができる。ギャップが形成されるのは、マスクをトレンチ8の側部に正確に一致させることが困難だからである。通常、マスキングしたフォトレジストを露光すると、ピットの側部とSACの間にギャップ46が形成される。加熱器材料層を付着させる場合は、これらのギャップに再充填して、(知られているような)「ストリンガ」を形成する。ストリンガは、(加熱器要素を形成する)金属エッチング及び(最終的にSACを除去する)解放エッチングの後にトレンチ8内に残る。ストリンガは加熱器を短絡することがあり、したがって泡を生成することができない。
【0314】
次に図52及び図53を参照すると、ストリンガを防止する「伝統的な」技術が図示されている。SACを露光するUVマスクをトレンチ8よりわずかに大きくすることにより、SAC10が側壁48上に付着し、したがってギャップが形成されない。残念ながら、これはトレンチの頂部の周囲に隆起したリップ50を生成する。加熱器材料層11を付着させる場合(図53参照)、これはリップ50の垂直又は傾斜表面52上の方が薄くなる。金属エッチング及び解放エッチングの後、これらの薄いリップ構成52が残り、「ホットスポット」を引き起こす。というのは、局所的に薄くなると、抵抗が増加するからである。これらのホットスポットは、加熱器の動作に影響し、通常は加熱器の寿命を短縮する。
【0315】
以上で検討したように、本出願人は、SAC10のリフローがギャップ46を閉じ、したがって電極9間の足場が完全に平坦であることを発見した。これによって、熱アクチュエータ12の全体を平面にすることができる。熱アクチュエータの平面構造は、接触部がCMOS電極9及び吊り下げられた加熱器要素29に直接付着した状態で、垂直又は傾斜表面によって引き起こされるホットスポットを防止し、したがって接触部は、抵抗損をそれほど大きくせずに、はるかに小さい構造にすることができる。低い抵抗損は、吊り下げられた加熱器要素の効率的な動作を維持し、小さい接触部のサイズは、ノズルを印字ヘッド上に接近させてパッキングするために都合がよい。
【0316】
各室の複数のノズル
図49を参照すると、図示のユニットセルは2つの別個のインク室38を有し、各室は、接触部28の個々の対の間に延在する加熱器要素29を有する。インク透過性構造34がインク再充填開口内に配置され、したがってインクが室に入ることができるが、起動すると、構造34は、逆流又は流体クロストークが許容可能なレベルまで減少することに対する十分な水力学的抵抗を提供する。
【0317】
インクは、ウェハの裏側からインク入口15を通して供給される。プライミング形体18が入口開口内に延在し、したがってインクのメニスカスは開口の周縁にピン留めされず、インクの流れを停止しない。入口15からのインクは、ユニットセルの両方の室38に供給する横方向のインク導管23を再充填する。
【0318】
室毎に1つのノズルではなく、各室38が2つのノズル25を有する。加熱器要素29が起動する(泡を形成する)と、2滴のインクが、各ノズル25から1滴ずつ排出される。インクの個々の各滴は、室が1つのノズルしか有していない場合に排出される1つの滴より体積が小さい。1つの室から複数の滴を同時に排出すると、印字品質が改善される。
【0319】
ノズル毎に、排出される滴がある程度、誤配向される。誤配向の程度に応じて、これは印字品質にとって有害なことがある。室に複数のノズルを与えることにより、各ノズルが比較的小さい体積で、異なる誤配向を有する滴を排出する。異なる方向に誤配向された幾つかの小さい滴は、誤配向された1つの比較的大きい滴ほど印字品質にとって有害ではない。本出願人は、目が小さい各滴の誤配向を平均し、全体的誤配向が非常に低下した状態で、1つの滴からのドットを効果的に「見る」ことを発見した。
【0320】
多ノズル室は、ノズル1つの室よりも効果的に滴を排出することもできる。加熱器要素29は、吊り下げられた細長いTiAlNのビームであり、これが形成する泡は同様に細長くなる。細長い泡によって生成された圧力パルスは、中心に配置したノズルを通してインクを排出させる。しかし、圧力パルスからのエネルギの一部は、泡の幾何学的形状とノズルのそれとの間の不一致に伴う水力学的損失で散逸する。
【0321】
加熱器要素29の長さに沿って幾つかのノズル25を隔置すると、泡の形状と、排出されるインクが通るノズル構成との間の幾何学的不一致が減少する。これは、インク排出に対する水力学的抵抗を減少させ、それによって印字ヘッドの効率を改善する。
【0322】
隣接するインク室を介して再充填されるインク室
図46を参照すると、2つの対向するユニットセルが図示されている。この実施形態では、ユニットセルは4つのインク室38を有する。室は、側壁22及びインク透過性構造34によって画定される。各室は自身の加熱器要素29を有する。加熱器要素29は、直列に接続された対の状態で配置構成される。各対の間には、抵抗が低下及び/又はヒートシンク作用が増大した「低温スポット」54がある。これは、泡が低温スポット54で凝集しないことを保証し、したがって低温スポットが加熱器要素の各対の外側接触部28間の共通接触部になる。
【0323】
インク透過性構造34によって滴の排出後にインクで室38を再充填することができるが、各加熱器要素29からの圧力パルスを邪魔して、隣接する室間の流体クロストークを減少させることができる。この実施形態は、以上で検討した図49に示したものと平行な多くを有することが認識される。しかし、この実施形態は、図49の比較的長い室を2つの別個の室に効果的に分割する。これは加熱器要素29によって形成された泡の幾何学的形状を、ノズル25の形状と位置合わせし、滴の排出中の水力学的損失を減少させる。これは、ノズルの密度を低下させないで達成されるが、製造プロセスに多少の複雑さを加える。
【0324】
インクをアレイの各インク室に分配する導管(インク入口15及び供給導管23)は、ウェハ区域の有意の割合を占有することがある。これは、印字ヘッド上のノズル密度の制限要因になり得る。各室を流体クロストークから十分に解放しながら、幾つかのインク室を他のインク室へのインク流路の一部にすることによって、インク供給導管への失われるウェハ区域の量が減少する。
【0325】
複数のアクチュエータ及び個々のノズルがあるインク室
図54を参照すると、図示のユニットセルは2つの室38を有し、各室は2つの加熱器要素29及び2つのノズル25を有する。室毎に複数のノズルを使用することによって、滴の誤配向を効果的に減少させることについては、図49に示した実施形態に関して以上で検討した。1つの細長い室を、それぞれ自身のアクチュエータがある別個の室に分割することの追加の利点について、図46に示した実施形態に関して説明する。この実施形態は、各室の複数のノズル及び複数のアクチュエータを使用して、驚くほど複雑でない設計で、図46の実施形態の利点の多くを達成する。単純化した設計で、ユニットセルの全体的寸法が縮小し、それによってノズル密度を上げることができる。図示の実施形態では、ユニットセルの占有面積は長さ64μm、幅16μmである。
【0326】
インク透過性構造34は、図46の実施形態のような3つの隔置された円柱ではなく、各室38のインク再充填開口にある1つの円柱である。1つの円柱は、再充填流に対する抵抗は低下するが、起動圧力パルスによる突然の逆流に対しては抵抗が上がる断面輪郭を有する。各室の加熱器要素は両方とも、接触部28及び低温スポット形体54とともに同時に付着させることができる。両方の室38に、共通のインク入口15及び供給導管23からインクを供給する。これらの形体によって、占有面積を縮小することもでき、これについては以下でさらに詳細に検討する。プライミング形体18は、室の側壁22及び壁のインク導管23のうち一方と一体に作成されている。これらの形体は2つの目的を有する性質で、製造を単純化し、設計をコンパクトにするのに役立つ。
【0327】
駆動回路毎の複数の室及び複数のノズル
図54では、アクチュエータが直列に接続され、したがって同じ駆動信号で一緒に始動し、CMOS駆動回路を単純化する。図46のユニットセルでは、隣接するノズルのアクチュエータが同じ駆動回路内で直列に接続される。言うまでもなく、隣接する室内のアクチュエータも並列で接続することができる。対照的に、各室のアクチュエータが別個の回路になる場合、CMOS駆動回路はさらに複雑になり、ユニットセルの占有面積の寸法が増大する。複数の比較的小さい滴で置き換えることによって滴の誤配向に対応する印字ヘッドの設計では、幾つかのアクチュエータ及びその個々のノズルを組み合わせて共通の駆動回路内に入れると、印字ヘッドのIC製造とノズルの密度の両方に関して、効率的に実現される。
【0328】
高密度熱インクジェット印字ヘッド
ユニットセルの幅を減少させると、印字ヘッドは、以前はノズル密度を低下させる必要があったノズルパターンを有することができる。言うまでもなく、ノズル密度の低下は、印字ヘッドのサイズ及び/又は印字品質に対応する影響を及ぼす。
【0329】
伝統的に、ノズルの列は対に配置構成され、各列のアクチュエータが反対方向に延在している。列は、相互に対して互い違いになり、したがって印字解像度(1インチ当たりのドット数)は各列に沿ったノズルピッチ(1インチ毎のノズル数)の2倍である。ユニットの全幅が減少するように、ユニットセルの構成要素を構成することによって、印字解像度(d.p.i.)を犠牲にせずに、同じ数のノズルを対向する互い違いの2列ではなく1列に配置構成することができる。添付図面で図示した実施形態は、各直線列で1インチ(2.54cm)当たり1000を超えるノズルのノズルピッチを達成する。このノズルピッチで、印字ヘッドの印字解像度は、2つの対向する互い違いの列を考察した場合の写真(1600dpi)より良好であり、印字ヘッドの動作寿命が満足的なものであることを保証するノズルの冗長性、死んだノズルの補償などのために十分な容量がある。以上で検討したように、図54に示す実施形態は、16μmの幅である占有面積を有し、したがって1列に沿ったノズルピッチは1インチ(2.54cm)当たり約1600個のノズルである。したがって、2つの片寄った互い違いの列は、約3200d.p.i.の解像度を生成する。
【0330】
ユニットセルを狭くしたことに伴う特定の利点を認識して、本出願人は、印字ヘッド内の構造の関連する寸法を減少させる幾つかの形体の識別及び組合せに焦点を絞っている。例えば、楕円形ノズル、室からのインク入口のシフト、幾何学的論理の小型化、及び駆動FET(電界効果トランジスタ)の短縮は、図示の実施形態の幾つかを導き出すために本出願人が開発した特徴である。これに寄与する各特徴は、トランジスタの長さを短縮するために広く使用されている従来通りの5Vから2.5VにFET駆動電圧を低下させるなど、本技術分野の従来の知恵から逸脱することを必要とした。
【0331】
スティクションが減少した印字ヘッド表面
知られるようになった通りの静止摩擦、つまり「スティクション」は、埃の粒子をノズル板に「付着」させ、それによってノズルを詰まらせることができる。図50は、ノズル板56の一部を示す。明快さを期して、ノズル開口26及びノズル縁部25も図示されている。ノズル板の外面には、板の表面から短い距離だけ延在する円柱状突起58でパターンを形成する。ノズル板には、短い間隔の隆起、波形又はバンプなど、他の表面構成でパターンを形成することもできる。しかし、図示のパターンの円柱状突起にとって適切な紫外線マスクを生成することは容易であり、円柱を外面にエッチングすることは単純なことである。
【0332】
静止摩擦の共同作用を減少させることにより、紙の埃又は他の汚染物質がノズル板のノズルに詰まる可能性が低下する。ノズル板の外側に隆起した構成でパターンを形成すると、埃の粒子が接触する表面積が制限される。粒子が各構成の外端部にしか接触できない場合、粒子とノズル板との摩擦は最小になり、したがって付着する可能性は非常に低くなる。粒子が実際に付着すると、印字ヘッドの保守サイクルで除去される可能性が高くなる。
【0333】
入口のプライミング形体
図47を参照すると、相互に対して反対方向に延在する2つのユニットセルが図示されている。インク入口通路15が、横方向のインク導管23を介して4つの室38にインクを供給する。インク入口15などのミクロン規模の導管を通ってインクジェット印刷ヘッドの個々のMEMSノズルにインクを分配することは、マクロ規模の流れでは生じない要因によって複雑化する。メニスカスが形成され、開口の幾何学的形状に応じて、これが自身を開口のリップに非常に強力に「ピン留め」することがある。これは、捕捉した気泡は通気するがインクは保持する抽気孔などの印字ヘッドには有用であるが、一部の室へのインク流を停止する場合は、問題になることもある。これは、最初にインクで印字ヘッドにプライミングする場合に生じる可能性が最も高い。インクのメニスカスがインク入口開口にピン留めされた場合、その入口によって供給される室がプライミングされないままになる。
【0334】
これに対して保護するために、入口開口15の面を通って延在するように2つのプライミング形体18を形成する。プライミング形体18は、ノズル板(図示せず)の内部から入口15の周囲に延在する円柱である。各円柱18の一部は周の内側にあり、したがってインクを入口から引き出すように、インク入口におけるインクメニスカスの表面張力が、プライミング形体18に形成される。これは、メニスカスを周のその区間から「ピンを引き抜き」、インク室に向かう流れができるようにする。
【0335】
プライミング形体18は、開口の面を横切って延在する表面を呈する限り、多くの形態をとることができる。さらに、プライミング形体は、図54に示すような他のノズル形体の一体部品でよい。
【0336】
インク室の側部入口
図48を参照すると、幾つかの隣接するユニットセルが図示されている。この実施形態では、細長い加熱器要素29がインク分配導管23に平行に延在する。したがって、細長いインク室38は同様に、インク導管23と位置合わせされる。側壁開口60が室38をインク導管23に接続する。側部入口を有するようにインク室を構成すると、インク再充填時間が短縮される。入口が広くなり、したがって再充填流量が多くなる。側壁開口60は、流体クロストークを許容可能なレベルに維持するためにインク透過性構造34を有する。
【0337】
インク室の入口フィルタ
再び図47を参照すると、各室38へのインク再充填開口は、気泡又は他の汚染物質を捕捉するフィルタ構造40を有する。インク中の気泡及び固体汚染物質は、MEMSノズル構造にとって有害である。固体汚染物質は、明らかにノズル開口を詰まらせ、気泡は圧縮性が高いので、インク室内に捕捉されると、アクチュエータからの圧力パルスを吸収することがある。これは、影響を受けたノズルからのインクの排出を効果的に無能にする。開口を通る流れの方向を横切って延在する列状の障害の形態でフィルタ構造40を設け、流れの方向に対して隣接する列の障害と見当合わせされないように各列を隔置することによって、インクの再充填流量を過度に遅らせずに、汚染物質が室38に入る可能性が低下する。列は相互に対して片寄り、導入された乱流がノズル再充填率に及ぼす影響は最小限であるが、気泡又は他の汚染物質は比較的蛇行性の流路を辿り、障害40によって保持される可能性が高くなる。
【0338】
図示の実施形態は、ウェハ基板とノズル板の間に延在する円柱の形態の2列の障害40を使用する。
【0339】
多色インクジェット印字ヘッドの中間色表面バリア
次に図51を参照すると、上述した図46で示したようなユニットセルのノズル56の外面が図示されている。ノズル開口26は加熱器要素(図示せず)の真上に配置され、一連の縁部が直角のインク樋44がインク導管23の上のノズル板56内に形成される(図46参照)。
【0340】
インクジェットプリンタは、使用していない場合に印字ヘッドにキャップをする保守ステーションを有することが多い。ノズル板から余分なインクを除去するために、ノズル板の外面から剥ぎ取るように、キャッパを係合解除することができる。これは、キャッパ表面とノズル板の外面との間でメニスカスの形成を促進する。メニスカスの表面張力が表面と接触する角度に関する接触角の履歴(さらなる詳細については、参照により本明細書に組み込まれた本出願人の共願USSN(文書FND007US)参照)を使用して、ノズル板の外側を濡らすインクの大半を収集し、キャッパとノズル板の間のメニスカスによって引っ張ることができる。キャッパがノズル板から十分に係合解除するポイントに、インクを大きいビードとして都合よく付着させる。残念ながら、ノズル板に多少のインクが残る。印字ヘッドが多色印字ヘッドの場合、所与のノズル開口内又は開口の周囲に残った残留インクは、ノズルによって排出されるインクとは色が異なることがある。というのは、メニスカスがノズル板の表面全体にわたってインクを引っ張るからである。1つのノズルのインクを別のノズルからのインクで汚染すると、プリントに目に見えるアーチファクトを生じることがある。
【0341】
キャッパがノズル板から剥ぎ取られる方向を横切って延びる樋構成44は、メニスカス中のインクの一部を除去し、保持する。樋はメニスカスのインクを全部は収集しないが、異なる色のインクによるノズルの汚染レベルを大幅に低下させる。
【0342】
泡トラップ
インクに同伴する気泡は、印字ヘッドの動作にとって非常に有害である。空気又は一般的に気体は、圧縮性が高く、アクチュエータからの圧力パルスを吸収することができる。捕捉された泡が、アクチュエータに応答して単純に圧縮すると、ノズルからインクが排出されない。捕捉された泡は、インクの強制流で印字ヘッドからパージすることができるが、パージされたインクは吸い取る必要があり、強制流は新鮮な泡も導入することができる。
【0343】
図46に示す実施形態は、インク入口15に泡トラップを有する。トラップは、泡保持構造32、及び天井層に形成された通気口36によって形成される。泡保持構造は、入口15の周囲に隔置された一連の円柱32である。以上で検討したように、インクプライミング形体18は2つの目的を有し、泡保持構造の一部を都合よく形成する。使用時には、インク透過性トラップが気泡を通気口へと配向し、ここで大気へと通気する。泡をインク入口で捕捉し、小さい通気口へと配向することにより、インクを漏らさずにインク流から効果的に除去される。
【0344】
インク入口の複数の流路
ウェハの一方側から他方へと延在する導管を介してノズルにインクを供給すると、複雑なインク分配システムの代わりに、より多くの(インク排出側の)ウェハ区域がノズルを有することができる。しかし、ウェハを通って深くエッチングされたミクロン規模の穴は、汚染物質又は気泡で詰まりやすい。このせいで、影響を受けた入口から供給されるノズルが涸渇する。
【0345】
図48で最もよく図示されているように、本発明による印字ヘッドは、ノズル板とその下にあるウェハの間のインク導管23を介して各室38に供給する少なくとも2つのインク入口15を有する。
【0346】
幾つかの室38に供給し、それ自体が幾つかのインク入口15から供給されるインク導管23を導入すると、入口の詰まりによってノズルのインクが涸渇する可能性が低下する。1つの入口15が詰まると、インク導管はウェハの他の導管から引っ張るインクを多くする。
【0347】
以上では本発明を特定の実施形態に関して説明しているが、本発明は多くの他の形態で実現できることが当業者には理解される。
【図面の簡単な説明】
【0348】
【図1】本発明による印字ヘッド上のMEMSノズルアレイの部分的に製造したユニットセルを示す図であり、ユニットセルは図3のA−Aに沿った断面である。
【図2】図1の部分的に製造したユニットセルの斜視図である。
【図3】加熱器要素のトレンチのエッチングに伴うマークを示す図である。
【図4】トレンチのエッチング後のユニットセルの断面図である。
【図5】図4に示したユニットセルの斜視図である。
【図6】図7に示した犠牲フォトレジストの付着に伴うマスクを示す図である。
【図7】犠牲フォトレジストのトレンチを付着した後のユニットセルを、犠牲材料の縁部とトレンチの側壁との間のギャップを部分的に拡大して示す図である。
【図8】図7に示したユニットセルの斜視図である。
【図9】トレンチの側壁に沿ってギャップを閉じるために犠牲フォトレジストがリフローした後のユニットセルを示す図である。
【図10】図9に示したユニットセルの斜視図である。
【図11】加熱器材料層の付着を示す断面図である。
【図12】図11に示したユニットセルの斜視図である。
【図13】図14に示した加熱器材料の金属エッチングに伴うマスクを示す図である。
【図14】加熱器アクチュエータを成形する金属エッチングを示す断面図である。
【図15】図14に示したユニットセルの斜視図である。
【図16】図17に示すエッチングに伴うマスクを示す図である。
【図17】フォトレジスト層の付着と、その後のCMOS駆動層の頂部にある不活性化層へのインク入口のエッチングを示す図である。
【図18】図17に示したユニットセルの斜視図である。
【図19】不活性化層及びCMOS層を通して下にあるシリコンウェハまでの酸化エッチングを示す図である。
【図20】図19に示したユニットセルの斜視図である。
【図21】インク入口のシリコンウェハへの深い異方性エッチングを示す図である。
【図22】図21に示したユニットセルの斜視図である。
【図23】図24に示すフォトレジストエッチングに伴うマスクを示す図である。
【図24】室の天井及び側壁の開口を形成するフォトレジストエッチングを示す図である。
【図25】図24に示したユニットセルの斜視図である。
【図26】側壁及びリスク材料の付着を示す図である。
【図27】図26に示したユニットセルの斜視図である。
【図28】図29に示すノズル縁部エッチングに伴うマスクを示す図である。
【図29】ノズル開口の縁部を形成する天井層のエッチングを示す図である。
【図30】図29に示したユニットセルの斜視図である。
【図31】図32に示すノズル開口エッチングに伴うマスクを示す図である。
【図32】楕円形ノズル開口を形成する天井材料のエッチングを示す図である。
【図33】図32に示したユニットセルの斜視図である。
【図34】第1及び第2犠牲層の酸素プラズマリリースエッチングを示す図である。
【図35】図34に示したユニットセルの斜視図である。
【図36】リリースエッチング後のユニットセル、さらにウェハの対向する側部を示す図である。
【図37】図36に示したユニットセルの斜視図である。
【図38】図39に示す逆エッチングに伴うマスクを示す図である。
【図39】インク供給流路のウェハへの逆エッチングを示す図である。
【図40】図39に示したユニットセルの斜視図である。
【図41】裏面エッチングによってウェハを薄くすることを示す図である。
【図42】図41に示したユニットセルの斜視図である。
【図43】本発明による印刷ヘッド上にあるアレイ状のノズルの部分斜視図である。
【図44】ユニットセルの平面図を示す図である。
【図45】図44に示したユニットセルの斜視図である。
【図46】天井層は除去されているが、特定の天井層形体が輪郭線のみで図示されている2つのユニットセルの略平面図である。
【図47】天井層は除去されているが、ノズル開口が輪郭線のみで図示されている2つのユニットセルの略平面図である。
【図48】室の側壁にインク入口開口があるユニットセルの部分略平面図である。
【図49】天井層は除去されているが、ノズル開口が輪郭線のみで図示されているユニットセルの略平面図である。
【図50】スティクションを減少させる構成、及び紙の埃の粒子があるノズル板の部分平面図である。
【図51】残留インク樋があるノズル板の部分平面図である。
【図52】ストリンガを回避するために使用される先行技術によるSACIフォトレジストの付着を示す部分断面図である。
【図53】図52で付着したSACIフォトレジスト足場への加熱器材料の層の付着を示す部分断面図である。
【図54】各室内に複数のノズル及びアクチュエータがあるユニットセルの部分略平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ基板上に形成されたアレイ状のインク室であって、該インク室のそれぞれが、ノズル開口と、前記インク室内に吊り下げられる、2つの接触部間に延在する加熱器要素を有する熱アクチュエータとを有する、当該アレイ状のインク室と、
駆動信号を生成するために前記ウェハ基板上にリソグラフィで付着し、各アクチュエータの前記接触部に電極を提供する駆動回路と、
を備え、
前記熱アクチュエータが一体の平面構造であるように、前記接触部と前記加熱器要素とが同一平面上にある、
インクジェット印字ヘッド。
【請求項2】
前記加熱器要素が加熱器材料の細長い細片である、請求項1に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項3】
前記電極が、前記駆動回路の最上金属層の露出区域である、請求項2に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項4】
前記駆動回路にエッチングされたトレンチが、前記電極間に延在する、請求項3に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項5】
前記インク室が、それぞれ複数のノズルを有し、使用中に、
前記アクチュエータが、前記インク室の前記ノズル全部を通して同時にインクを排出する、請求項1に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項6】
前記インク室がそれぞれ2つのノズルを有する、請求項5に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項7】
各インク室の前記ノズルが、前記加熱器要素の長さに平行な線に配置され、前記ノズルの中心軸が前記加熱器要素に沿って規則的に隔置される、請求項5に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項8】
前記ノズルが楕円形である、請求項1に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項9】
楕円形の前記ノズルの長軸が位置合わせされる、請求項8に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項10】
前記駆動回路が、前記熱アクチュエータ毎に駆動電界効果トランジスタ(FET)を有し、前記駆動FETの駆動電圧は5ボルト未満である、請求項1に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項11】
前記駆動FETの駆動電圧が2.5ボルトである、請求項10に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項12】
前記アレイ状のインク室が、ノズル板とその下の前記ウェハ基板との間に延在する側壁によって画定され、各インク室の前記側壁の1つが、前記インク室にインクを再充填できるようにする開口を有し、さらに、
前記ノズル板とその下のウェハとの間にあるインク導管によって画定され、前記インク導管が、複数の前記インク室の前記開口と流体連絡する、請求項1に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項13】
前記インクジェット印字ヘッドは、さらに、前記ウェハ基板内に画定された複数のインク入口を備え、
前記インク導管がそれぞれ、前記インク室に供給するインクを受け取るために、インク入口の少なくとも1つと流体連絡する、請求項12に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項14】
前記インク導管がそれぞれ、前記インク入口の2つと流体連絡する、請求項13に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項15】
前記インクジェット印字ヘッドは、さらに、前記インク入口それぞれを通って延在する少なくとも1つのプライミング形体を備え、
前記インク入口におけるインクのメニスカスの表面張力が作用して、前記インクを前記入口から、及び部分的に前記流路を通って前記インク室に向かって引っ張る、請求項13に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項16】
前記インク入口がそれぞれ、
インク透過性トラップと、
自身の全体にわたってインクのメニスカスの表面張力がインクの漏れを防止するようなサイズにされた通気口と
を有し、使用中は、
前記インク透過性トラップが気泡を前記通気口へと配向し、そこで大気へと排出する、請求項13に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項17】
前記インク室は、前記側壁の2つが他に対して長いような細長い形状を有し、前記インクで前記インク室を再充填できるようにする前記開口が、前記長い側壁の1つにある、請求項13に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項18】
前記インクジェット印字ヘッドは、さらに、各インク室の前記開口にフィルタ構造を備え、
前記フィルタ構造が前記開口を通る前記流れの方向を横切って延在する列状の障害を有し、各列の前記障害が、前記流れの方向に対して隣接する列の前記障害と見当合わせされないように隔置される、請求項13に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項19】
前記ノズルは、前記ノズルの中心が同一線上にあり、各列に沿った前記ノズルのピッチが1インチ(2.54cm)当たりノズル1000個を超えるように、列状に配置構成される、請求項1に記載のインクジェット印字ヘッド。
【請求項20】
前記ノズル板が、静止摩擦(「スティクション」として知られる)の共同作用を減少させる構成がある外面を有する、請求項12に記載のインクジェット印字ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【公表番号】特表2009−511293(P2009−511293A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534808(P2008−534808)
【出願日】平成17年10月10日(2005.10.10)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001561
【国際公開番号】WO2007/041744
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】