説明

インサート金具の埋設方法と、それに用いる吸盤

【課題】
型枠を繰り返して使用する際の利便性に優れ、しかも施工時のコストダウンも実現するインサート金具の埋設方法と、それに用いる吸盤の提供すること。
【解決手段】
吸着面12とその背面から棒状に突出する軸部13とを有する吸盤11と、円柱状の胴部22の端面にネジ穴24が形成されたインサート金具21と、を用いて、吸盤11の軸部13をインサート金具21に圧入することで、インサート金具21を吸盤11で保持できる構成とする。そして、組み上げられた型枠Pの内面に吸盤11を密着させ、且つインサート金具21を吸盤11で保持させた後、型枠Pの内部にコンクリートCを流し込み、凝固後、型枠Pおよび吸盤11を撤去する。このような方法によって、型枠Pに釘類を打ち込む必要がなく、型枠Pを破損させることがなく、また釘や両面粘着テープの取り外しといった作業も不要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種コンクリート構造物に配管などを取り付けるために用いられるインサート金具の埋設方法と、それに用いる吸盤に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨・鉄筋コンクリート構造の建築物は、天井や壁面がコンクリートで構成されているが、これらの面に配管や配線などを取り付けるため、内部にインサート金具を埋め込むことがある。またボックスカルバートなどのコンクリート製品についても、吊り具などを取り付けるため、インサート金具を埋め込むことがある。インサート金具は、円柱状で一端面にフランジが形成され、他端面に雌ネジが形成された物で、各種コンクリート構造物を成形する際、インサート金具の雌ネジが型枠の内面に接するように配置する。その後、型枠の内部に生コンクリートを流し込み、凝固が終わった段階で型枠を撤去すると、インサート金具がコンクリート中に埋め込まれて、雌ネジの形成された端面だけが外部に露見する。インサート金具は、フランジを含む大半がコンクリート中に埋め込まれるため、大きな引張荷重を受け止めることができ、空調機器などの大型設備の据え付けにも使用できる。
【0003】
インサート金具を型枠の内面に配置する際は、双方の間に何らかの保持具を介在させており、その具体例を図11に示す。図11(A)の保持具は、円錐状の裾部と円柱状の軸部を組み合わせた形状で、その中心に釘が差し込まれている。この釘を型枠に打ち込んで裾部の底面を型枠に密着させて、さらにインサート金具のネジ穴に軸部を差し込むと、インサート金具が型枠に固定される。なお軸部は、ネジ穴よりもわずかに直径が大きく、しかも弾性変形が比較的容易な樹脂類を素材としており、軸部をネジ穴に圧入することで、インサート金具が強固に保持され、生コンクリートの流動圧にも耐えることができる。
【0004】
次に図11(B)の保持具は、型枠に密着する平面状の円盤部と、この中心から突出する軸部と、で構成され、円盤部に形成された丸孔に釘を打ち込んで、保持具を型枠に固定することができる。なお軸部については、図11(A)と同じである。また図11(C)の保持具は、型枠に密着する平面状の円盤部と、この中心から突出する軸部と、で構成され、円盤部の下面を両面粘着テープで型枠に貼り付けることで、保持具を型枠に固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−185125号公報
【特許文献2】特開2008−075395号公報
【特許文献3】特開2008−111277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
型枠はコンパネとも呼ばれ、ネジ釘類を支障なく打ち込みできる厚さ10mm程度の木板が広く使用されている。従来、型枠は一度だけの使用で廃棄されることもあったが、貴重な森林資源を有効に活用する観点から、繰り返して使用されることも多くなっている。しかし図11(A)や図11(B)のように、保持具を釘で固定すると、型枠を再利用した際、かつて釘が貫通していた孔からコンクリートが流れ出る恐れがあり、また孔径が小さい場合でも、コンクリートの表面に微小な突起が発生して表面の仕上がりが悪くなる。さらに型枠を再利用する際は、人力で釘を引き抜く必要があり、労務費や作業時間が増大する。そのほか図11(C)のように、両面粘着テープを使用する場合、異物の付着で粘着力が低下して、生コンクリートの流動圧によってインサート金具が脱落する恐れがある。さらに型枠を撤去した後、粘着テープを型枠に残しておくと、異物が貼り付いて次の作業に支障を来す恐れがある。そのため型枠を撤去した後、人手によって粘着テープを引きはがす必要があり、やはり労務費や作業時間が増大する。
【0007】
インサート金具については、前記のような特許文献が公開されている。文献1は、型枠とインサート本体との間に吸着具を介在させており、吸着具に磁石を組み込んで型枠に吸着させている。磁石を用いるため型枠には何らの変化も与えず、しかも着脱作業も極めて単純であるが、木製の型枠を使用することはできない。文献2は、型枠に打ち付ける釘を釘保持部で支えており、釘の打ち込み作業を安定して実施できるほか、型枠を撤去する際、型枠に釘が残ることがなく、型枠の再利用も容易である。しかし型枠に釘を打ち込むため、型枠の破損は避けられない。文献3は、釘と一体になったネジ軸状本体をインサートの雌ネジに螺合できる構造で、ネジを介して釘がインサートと一体化されるため、型枠を撤去する際、必然的に型枠から釘が引き抜かれてインサートの方に残留する。そのため型枠の再利用は容易だが、型枠に釘を打ち込むため、やはり型枠の破損は避けられない。
【0008】
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、型枠を繰り返して使用する際の利便性に優れ、しかも施工時のコストダウンも実現するインサート金具の埋設方法と、それに用いる吸盤の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、吸着面と該吸着面の背面から棒状に突出する軸部とを有する吸盤と、円柱状の胴部の端面にネジ穴が形成されたインサート金具と、を用い、前記吸盤は、前記インサート金具を着脱自在に保持可能であり、組み上げられた型枠の内面に吸盤の吸着面を密着させ、且つインサート金具を吸盤で保持させた後、型枠の内部にコンクリートを流し込み、該コンクリートが凝固した後、型枠および吸盤を撤去することを特徴とするインサート金具の埋設方法である。
【0010】
本発明で使用するインサート金具は、従来から使用されている汎用品であり、円柱状の胴部の一端面にフランジが形成され、その反対面の中心には、軸線方向に延びるネジ穴が形成されている。対する吸盤も従来の物と同じ外観であり、軟質樹脂を素材とした円錐状で、吸着面を滑らかな板に押し付けて、吸着面と板との間の空気を除去することで、吸盤が板に吸着する。本発明では、型枠の内面に吸盤を吸着させた上、この吸盤でインサート金具を保持させて、インサート金具を所定の位置に埋設できることを特徴としている。
【0011】
吸盤は、安定した吸着力を得るため所定の面積を確保する必要があり、また吸着面の背面の中心には、インサート金具を着脱自在に保持するため、棒状に突出した軸部を備えている。なおインサート金具を保持する際は、流し込まれる生コンクリートによる流動圧に耐え抜き、しかもコンクリートの凝固後は、インサート金具から容易に離脱できることが要求される。
【0012】
実際の施工の際は、まず現地で型枠を組み上げて、型枠の内面に吸盤を密着させて固定した後、吸盤の軸部をインサート金具に差し込み、インサート金具を吸盤で保持させ、次に型枠の内部に生コンクリートを流し込む。吸盤は、この際の流動圧に耐え抜き、インサート金具の位置や姿勢を保持しており、生コンクリートが吸盤およびインサート金具の周囲に入り込む。そしてコンクリートが凝固した後、型枠を撤去するが、その際、吸盤は型枠と一体でインサート金具から離脱する。したがってコンクリートの表面には、吸盤の形状に倣った円錐状の凹部が形成され、その中心にインサート金具のネジ穴が露見する。
【0013】
型枠を撤去した後も吸盤は型枠に吸着し続けるが、吸盤の外縁部を人為的に引きはがして吸着面に空気を送り込むと、容易に型枠から離脱する。吸盤を引きはがした後、型枠には吸盤の痕跡がほとんど残らず、支障なく再利用ができる。また吸盤についても、吸着面に付着した木くずなどを洗い流すことで再利用ができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、インサート金具を保持する方法を特定するもので、軸部はネジ穴に圧入可能であり、当該圧入によってインサート金具を吸盤で保持することを特徴とする。本発明は、吸盤の吸着面の背面から延びる軸部を、インサート金具の端面に形成されたネジ穴に差し込んで、軸部の弾性変形による反力を利用して、インサート金具を吸盤で保持するものである。したがって軸部は、対になるインサート金具のネジ穴よりもわずかに断面が大きい。なお軸部とネジ穴については、インサート金具を確実に保持でき、しかも所定の荷重を作用させると支障なく引き抜けるよう、それぞれの断面形状を決める必要がある。
【0015】
請求項3記載の発明も、インサート金具を保持する方法を特定するもので、胴部の外周面には筒状のソケットが嵌入されており、該ソケットの中孔に軸部を圧入することで、インサート金具を吸盤で保持することを特徴とする。本発明は、インサート金具に樹脂製のソケットを取り付けている場合を想定しており、このソケットの中心を貫通している中孔に吸盤の軸部を圧入して、インサート金具を吸盤で保持するものである。
【0016】
ソケットは、埋設されたインサート金具の用途や大きさなどを識別するために用いられ、インサート金具の胴部の外周面を取り囲むように差し込まれる樹脂製の筒状のもので、赤や黄や緑などに着色され、嵌入によってインサート金具と一体化され、インサート金具と共にコンクリート中に埋め込まれる。埋め込まれたソケットは、その端面や内周面を視認可能で、赤のソケットは電気配線用、黄のソケットには水道配管用といったルールを事前に決めておけば、それぞれの施工業者が円滑に作業を遂行できる。
【0017】
ソケットは、インサート金具の胴部よりも長尺であり、ソケットをインサート金具に取り付けた状態では、ネジ穴の形成された端面よりもソケットが突出する構成になる。したがってソケット先端の中孔に吸盤の軸部を圧入すると、軸部の弾性変形によってソケットが保持され、ソケットに嵌入されているインサート金具も保持されることになる。
【0018】
請求項4記載の発明も、インサート金具を保持する方法を特定するもので、軸部の端面および外周面を覆うアダプタを備え、且つ前記胴部の外周面には筒状のソケットが嵌入されており、該ソケットの中孔に前記アダプタを圧入することで、インサート金具を吸盤で保持することを特徴とする。本発明は、請求項3記載の発明を発展させたもので、インサート金具にソケットを嵌入している点は同じだが、吸盤の軸部を直接ソケットの中孔に圧入するのではなく、軸部にアダプタを取り付けて、このアダプタをソケットの中孔に圧入している点が相違する。アダプタは、軸部の端面および外周面を覆う有底の筒状で、樹脂を素材としており、ネジなどを用いて吸盤と一体化する。
【0019】
本発明では、アダプタを介してソケットを保持するため、アダプタを交換することで、一個の吸盤で様々な内径のソケットを保持できるようになり、汎用性が一段と向上する。なおアダプタは、ソケットに応じて交換することを前提としており、吸盤と完全に一体化することはできず、ネジなどを用いて交換可能な構造とする。また型枠を撤去する際、アダプタがソケット側に残留しないよう、所定の強度を有する必要がある。
【0020】
請求項5記載の発明は、一連の作業の信頼性を向上することを目的とするもので、前記吸着面よりも外径が大きい傘状で且つ中心に筒状の頸部を有する保護具を用い、前記頸部の中に前記軸部または前記胴部を嵌め込んで、前記保護具を吸盤の背面に組み込み、型枠の内面に吸盤の吸着面を密着させる際、保護具の外縁を型枠の内面に接触させることを特徴とする。
【0021】
本発明は、型枠の内面に吸盤を密着させた際、吸着面と型枠との間に生コンクリートが流れ込むことを防止するため、保護具を用いたことを特徴としている。保護具は、吸盤よりも一回り大きい傘のような形状で、その内側に吸盤の吸着面を収容することができる。したがって吸盤を型枠に吸着させた際、吸盤の背面を覆い隠すように保護具を組み込むと、吸着面の全体が保護具で覆われ、しかも保護具の外縁が型枠に接触する。その結果、保護具の内側に生コンクリートが流れ込むことを防止でき、型枠と吸盤との密着性を維持できるほか、コンクリートが凝固した後、吸盤の取り外しも円滑に実施できる。
【0022】
保護具の中心には、吸盤の軸部またはインサート金具の胴部などを通過できるよう、円筒状の頸部を形成してある。頸部の内径は、軸部の外径または胴部の外径と一致させて嵌め込みができるようになっており、保護具はインサート金具で保持され、しかも頸部の中に生コンクリートが流れ込むこともない。なお保護具は、吸盤と同様、弾性変形が自在な合成樹脂を材料とする。
【0023】
コンクリートが凝固した後、吸盤はコンクリートから引き離されるが、保護具はそのまま放置され、コンクリートの表面に露出する。したがって請求項3記載の発明と同様、インサート金具の用途や大きさなどに応じて、保護具の色彩を変えておき、赤の保護具は電気配線用、黄の保護具は水道配管用といったルールを事前に決めておけば、それぞれの施工業者が円滑に作業を遂行できる。
【0024】
請求項6記載の発明も、一連の作業の信頼性を向上することを目的とするもので、前記吸着面よりも外径が大きい傘状で且つ中心に筒状の頸部を有する保護具を用い、前記吸盤には、軸部の近傍に環状部を設けて、前記頸部の中に該環状部を嵌め込んで、前記保護具を吸盤の背面に組み込み、型枠の内面に吸盤の吸着面を密着させる際、保護具の外縁を型枠の内面に接触させることを特徴とする。
【0025】
本発明は、先の請求項5記載の発明と同様、吸盤の吸着面を収容可能な保護具を用いて、保護具の内側にコンクリートが流れ込むことを防止するものである。ただし本発明では、吸盤の中心部(軸部の近傍)に、円筒状または円柱状の環状部を設けており、これが保護具の頸部の中に嵌め込まれる。なお環状部の具体的な形状例としては、軸部を取り囲むような筒状の形態や、軸部の根元付近の直径を増大させた形態などが挙げられる。また環状部は、吸盤と一体で形成する場合のほか、別途に製造したものを接着やネジなどで吸盤と一体化する場合もある。
【0026】
このように、吸盤に環状部を設けた上、これを保護具の頸部の中に嵌め込むことで、インサート金具の形状に応じて多種類の保護具を用意する必要がなく、コストダウンに貢献する。
【0027】
請求項7記載の発明は、前記方法を実施する際に用いる吸盤に関するもので、インサート金具を保持するための軸部を備え、該軸部に対向する吸着面にはゲル体を付着させてあり、且つ吸着面の外縁から軸方向に突出して前記ゲル体を取り囲み型枠に接触するスカートが形成されていることを特徴とする。ゲル体は、流動性の高い樹脂であり、ウレタンゲルなどが一般に使用されており、これを吸着面に付着させることで吸盤の吸着力を向上でき、型枠など微細な凹凸がある面でも安定した吸着力を発揮できる。
【0028】
ゲル体は接着などで吸着面に付着されるが、構造上、ゲル体の直径は吸盤よりも小さくなる。そのため施工の際、ゲル体の外周に生コンクリートが流れ込み、吸盤の外縁がコンクリートで塞がれて、型枠を外す際の支障になる恐れがある。そこで本発明のように、吸着面の外縁にスカートを設けて、その先端部分を型枠に接触させて内部を密閉することで、生コンクリートの流入を防止できる。なお軸線方向とは、吸盤の半径方向に対して直交する方向だが、必ずしもスカートを軸線方向に対して平行に突出させる必要はなく、ある程度の交角を有していても構わない。
【0029】
請求項8記載の発明も、前記方法を実施する際に用いる吸盤に関するもので、インサート金具を保持するための軸部を備え、該軸部を取り囲むように突出してインサート金具の胴部に接触するリップを備えていることを特徴とする。請求項2記載の発明のように、吸盤の軸部をインサート金具のネジ穴に圧入する場合、流し込まれた生コンクリートが軸部を取り囲み、ネジ穴の前方を部分的に塞いで、後にボルトを差し込む際の支障になることがある。そこで本発明のように、軸部を取り囲む環状のリップを吸盤に設けて、これを胴部の外周面に接触させることで、内部を密閉してコンクリートの流入を防止でき、型枠を撤去した後、インサート金具の端面全体をコンクリート表面に露見させることができる。なお吸盤が型枠に吸着した状態において、リップの先端が中心に向けて傾くような形状として、リップの接触圧力を向上させることが好ましい。
【0030】
請求項9記載の発明も、前記方法を実施する際に用いる吸盤に関するもので、吸着面よりも外径が大きい傘状で且つ中心に筒状の頸部を有する保護具を組み込み可能で、インサート金具のネジ穴に差し込まれる軸部と、該軸部を取り囲み且つ前記頸部の中に嵌め込まれる環状部と、を備え、該環状部の外周面には、前記頸部の移動を規制する凸条が円周方向に形成してあることを特徴とする。この吸盤は、請求項5および請求項6記載の発明で開示している保護具を組み込むことを想定している。
【0031】
環状部は、保護具の頸部の中に嵌め込まれる筒状の部位であり、軸部と同心で形成され、吸盤が型枠に吸着している際、保護具を保持する。保護具は、コンクリートが凝固するまでの間、その外縁が型枠に接触している必要があり、保護具が型枠から離れる方向に移動してはならない。そこで環状部には、円周方向に延びる凸条を形成してあり、頸部の端面がこれに接触することで、保護具の移動を規制する。なお環状部および凸条は、吸盤と一体で形成する場合のほか、別途に製造して接着やネジなどで吸盤と一体化する場合もある。
【0032】
コンクリートが凝固した後、型枠と吸盤を取り外すが、保護具はコンクリートの表面にそのまま放置される。したがって吸盤を取り外す際、凸条が頸部の中を通過する。この点を考慮して、凸条の突出高さは抑制する必要がある。
【発明の効果】
【0033】
請求項1記載の発明のように、吸盤を介してインサート金具を型枠に取り付けることで、型枠に釘類を打ち込む必要がなく、型枠を破損させることがない。したがって型枠を繰り返して使用でき、環境面などに優れている。また型枠を撤去する際、吸盤は型枠に吸着し続けるため、その後、吸盤の外縁を型枠から引きはがすだけで容易に吸盤を回収でき、従来のように釘や両面粘着テープの取り外しといった作業が不要で、労務費や作業時間を抑制できる。なお回収された吸盤は、水洗いするだけで再利用可能で、この点でも費用面で優れている。
【0034】
請求項2記載の発明のように、軸部をネジ穴に差し込むことで、極めて単純な方法でインサート金具を吸盤で保持でき、特殊な部品等が不要で費用を抑制できる。また請求項3記載の発明のように、ソケットの中孔に軸部を圧入することで、ソケットが嵌入されたインサート金具においても、請求項1記載の発明による方法を実現できる。さらに請求項4記載の発明のように、軸部を覆うアダプタを用いて、このアダプタをソケットに圧入することで、一個の吸盤でアダプタだけを交換することで、様々な内径のソケットを保持できるため、汎用性が著しく向上するほか、吸盤の形状を均一化でき、費用面でも優れている。
【0035】
請求項5や請求項6記載の発明のように、吸盤の背面を覆い隠す傘状の保護具を用いることで、保護具の内側に生コンクリートが流れ込むことを防止でき、型枠と吸盤との密着性を維持できるほか、コンクリートが凝固した後、吸盤の取り外しも円滑に実施できる。しかも請求項6記載の発明のように、吸盤に環状部を設けて、これを保護具の頸部の中に嵌め込むことで、インサート金具の形状に応じて多種類の保護具を用意する必要がなく、コストダウンに貢献する。
【0036】
請求項7記載の発明のように、インサート金具を保持する吸盤において、吸着面にゲル体を付着させることで吸着力が向上する。さらに吸着面の外縁にスカートを設けて、これを型枠に接触させることで、生コンクリートがゲル体の外周に流れ込むことを防止でき、型枠を撤去する際、吸盤がコンクリート側に残留することがなく、作業の確実性を維持できる。また請求項8記載の発明のように、吸盤の軸部を取り囲むように突出してインサート金具の胴部に接触するリップを設けることで、生コンクリートがリップの内側に流れ込むことを防止でき、ネジ穴がコンクリートで塞がれることがない。
【0037】
請求項9記載の発明のように、保護具が組み込まれる吸盤について、保護具の頸部の中に嵌め込まれる環状部を設けた上、環状部に凸条を形成することで、保護具の移動を規制できる。そのためコンクリートが凝固するまでの間、保護具の外縁が確実に型枠に接触して、一連の作業の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1(A)(B)(C)】本発明によるインサート金具の埋設方法の概要を示しており、(A)は構成要素を描いた斜視図で、(B)は構成要素を組み合わせた状態の断面図で、(C)は最終段階の断面図である。
【図2(A)(B)(C)(D)(E)】本発明によるインサート金具の埋設方法を時系列で示す断面図であり、(A)から(E)の順に工程が進んでいく。
【図3(A)(B)(C)】樹脂製のソケットが取り付けられたインサート金具の埋設方法の概要を示しており、(A)は構成要素を描いた斜視図で、(B)は構成要素を組み合わせた状態の斜視図で、(C)はインサート金具を型枠に密着させた状態の断面図である。
【図4(A)(B)】本発明に用いる吸盤の形状例を示しており、(A)は軸部が六角形になったもので、(B)は雌ネジにそのまま軸部を差し込んだ形態である。
【図5(A)(B)】吸盤の軸部にアダプタを取り付けた形態を示しており、(A)は構成要素を描いた斜視図で、(B)は構成要素を組み合わせた状態の断面図である。
【図6(A)(B)】吸盤の吸着面にゲル体を付着させた形態を示しており、(A)は吸盤単体の斜視図で、(B)は吸盤を型枠に密着させた状態の断面図である。
【図7(A)(B)】吸盤にリップを設けた形態を示しており、(A)は構成要素を描いた斜視図で、(B)は構成要素を組み合わせた状態の断面図である。
【図8(A)(B)(C)】吸盤の背面を覆い隠す保護具を組み込んだ形態を示しており、(A)は構成要素を描いた斜視図で、(B)は構成要素を組み合わせた状態の断面図で、(C)は最終段階の断面図である。
【図9(A)(B)(C)(D)】吸盤の背面を覆い隠す保護具を組み込んだ形態を示しており、(A)は構成要素を描いた斜視図で、(B)は構成要素を組み合わせた状態の斜視図で、(C)は構成要素を組み合わせた状態の断面図で、(D)は最終段階の断面図である。
【図10(A)(B)(C)(D)】キャップを組み込んだ吸盤を示しており、(A)は構成要素を描いた斜視図で、(B)は構成要素を組み合わせた状態の斜視図で、(C)はこの吸盤を型枠に吸着させた状態の断面図で、(D)は最終段階の断面図である。
【図11(A)(B)(C)】従来から使用されているインサート金具の保持方法の具体例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明によるインサート金具21の埋設方法の概要を示しており、図1(A)は構成要素を描いたもので、図1(B)は構成要素を組み合わせた状態の断面で、図1(C)は最終段階の断面である。吸盤11は軟質樹脂を一体成形したもので、下方に円形の吸着面12を備えており、吸着面12の背面の中心には、図の上方に突出する軸部13が形成されている。またインサート金具21は、円柱状の胴部22の上端面にフランジ23が形成されており、対する下端面の中心には、軸線方向に延びるネジ穴24が形成されている。なおネジ穴24の奥には雌ネジ25が形成されており、ボルト類を螺合できる。そして軸部13の外径は、ネジ穴24の内径よりもわずかに大きくなっており、ネジ穴24に軸部13を圧入すると、軸部13の弾性変形による反力でインサート金具21が吸盤11に保持される。
【0040】
図1(B)のように、ネジ穴24に軸部13を圧入した際は、軸部13の先端が雌ネジ25の端部に達しており、しかも胴部22の下端は、軸部13の根元の末広がりになっている位置に達しており、インサート金具21は摩擦によって強固に保持される。また吸盤11は、吸着面12が型枠Pに密着しており、インサート金具21は様々な荷重に対抗して、その位置と姿勢を維持する。そしてコンクリートCの打設が完了した最終段階では、図1(C)のように、インサート金具21がコンクリートCの中に埋め込まれており、ネジ穴24がコンクリートCの表面に露見する。
【0041】
図2は、本発明によるインサート金具21の埋設方法を時系列で示しており、図2(A)から図2(E)の順に工程が進んでいく。図2(A)のように、当初はインサート金具21と吸盤11が分離している。次に、インサート金具21を吸盤11で保持させるため、ネジ穴24に軸部13を圧入していくと、やがて図2(B)のように、軸部13の先端がネジ穴24の奥の雌ネジ25の端部に達する。この段階では、軸部13の弾性変形による反力が十分に発生しており、インサート金具21は吸盤11と一体化される。
【0042】
次に、吸盤11の吸着面12を型枠Pの内面に押し付けると、図2(C)のように、吸盤11が型枠Pに密着して、インサート金具21が所定の位置で保持される。その後、型枠Pの内部に生コンクリートCを流し込むと、図2(D)のように、吸盤11およびインサート金具21の外周がコンクリートCで覆われる。そしてコンクリートCが凝固した段階で、図2(E)のように、型枠Pを撤去すると、コンクリートCの表面には、吸盤11の痕跡である円錐状の凹部が形成され、その奥にインサート金具21のネジ穴24が露見しており、以降、ボルト40などを螺合できるようになる。なおインサート金具21のフランジ23がコンクリートCで覆われるため、ボルト40による引張荷重を確実に受け止めることができる。また吸盤11は、型枠Pと一体になっているが、吸盤11の外縁を型枠Pから引きはがすと、吸着面12に空気が入り込み、容易に離脱させることができる。
【0043】
図3は、樹脂製のソケット31が取り付けられたインサート金具21の埋設方法の概要を示しており、図3(A)は構成要素を描いたもので、図3(B)は構成要素を組み合わせた状態で、図3(C)はインサート金具21を型枠Pに密着させた状態の断面である。ソケット31は樹脂製であり、全体が赤や黄などに着色されており、インサート金具21の大きさや用途などに応じて色彩を変えて、作業性の向上を図っている。ソケット31は、一端にツバ32が形成された円筒状で、中心に中孔33が貫通しており、中孔33の途中には内径が変わる段部34が形成され、この段部34の上方には、局地的に断面径を絞り込んだ凸部35を設けている。なお段部34よりも上の内径は、インサート金具21の胴部22の外径と等しく、インサート金具21を差し込み可能で、しかも凸部35が胴部22を押圧することで、ソケット31がインサート金具21と一体化する。
【0044】
図3(B)は、ソケット31をインサート金具21と一体化した状態で、ソケット31下面の中孔33に吸盤11の軸部13を圧入すると、ソケット31を介してインサート金具21が吸盤11に保持される。当然ながら軸部13の外径は、中孔33の内径よりもわずかに大きい。なお図3(C)のように、軸部13によって中孔33が塞がれており、内部にコンクリートCが流れ込むことはなく、コンクリートCの凝固後も、ネジ穴24のほか中孔33は外部から容易に視認できる。
【0045】
図4は、本発明に用いる吸盤11の形状例を示しており、図4(A)は軸部13が六角形になったもので、図4(B)はインサート金具21の雌ネジ25にそのまま軸部13を差し込んでいる。インサート金具21のネジ穴24の入り口付近は、必ずしも円断面と限らず、正方形断面や、図4(A)のような六角形断面ということもある。このようなネジ穴24に円断面の軸部13を圧入すると、軸部13とネジ穴24との接触が不安定になり、インサート金具21を確実に保持できない恐れがあり、また軸部13とネジ穴24に隙間が生じて、内部にコンクリートCが流れ込む恐れもある。そこで図4(A)のように、ネジ穴24が六角断面であれば、軸部13も六角断面として、信頼性を確保することが望ましい。
【0046】
また図4(B)のように、ネジ穴24の入り口部分から雌ネジ25が形成されているインサート金具21も存在している。この場合、軸部13の外径を雌ネジ25の内径よりもわずかに大きくすることで、支障なくインサート金具21を保持できる。なお軸部13は樹脂製であるため、その抜き差しによって雌ネジ25が破損することはない。
【0047】
図5は、吸盤11の軸部13にアダプタ37を取り付けた形態を示しており、図5(A)は構成要素を描いたもので、図5(B)は構成要素を組み合わせた状態の断面である。アダプタ37は、軸部13の端面および外周面を取り囲むフタ付の筒状であり、その中心に差し込まれるネジ38によって吸盤11と一体化する。またインサート金具21は、図3と同様にソケット31が取り付けられており、この中にアダプタ37を圧入することで、ソケット31が吸盤11で保持される。なおアダプタ37の内径は軸部13の外径と等しく、ネジ38で取り付けた後は、吸盤11とアダプタ37が不動状態で一体化される。
【0048】
アダプタ37は、ネジ38で吸盤11に取り付けているため容易に交換可能で、図のように、中孔33の内径が異なるソケット31’を用いる場合、外径の異なるアダプタ37’に交換すればよい。このようにソケット31の差異をアダプタ37で吸収することで、汎用性が格段に向上して、一種類の吸盤11で大半のインサート金具21の埋設ができるようになる。なおアダプタ37はソケット31に圧入されるため、素材としては金属ではなく樹脂を用いる。
【0049】
図6は、吸盤11の吸着面12にゲル体17を付着させた形態を示しており、図6(A)は吸盤11単体を描いたもので、図6(B)はこれを型枠Pに密着させた状態の断面である。型枠Pとの密着性を向上するため、吸着面12にゲル体17を付着させた場合、構成上、ゲル体17は吸盤11よりも直径が小さくなり、コンクリートCが吸着面12の外縁からゲル体17の方に流れ込む恐れがある。そこで図6(B)のように、吸着面12の外縁を取り囲むスカート18を形成して、この先端を型枠Pに接触させると、スカート18の内側にコンクリートCが流れ込むことがなく、吸盤11を支障なく取り外すことができる。
【0050】
図7は、吸盤11にリップ16を設けた形態を示しており、図7(A)は構成要素を描いたもので、図7(B)は構成要素を組み合わせた状態の断面である。リップ16は、吸盤11の背面から環状に突出するもので、軸部13と同心で、しかも対になるインサート金具21の胴部22の直径とほぼ一致している。したがってネジ穴24に軸部13を圧入した際、リップ16が胴部22の外周に接触するため、リップ16の内部にコンクリートCが流れ込むことがなく、ネジ穴24が塞がれることを防止する。なお図7(B)のように、吸盤11を型枠Pに密着させた際、吸盤11の変形に伴ってリップ16が内側に倒れるような形状にすることが好ましい。
【0051】
図8は、吸盤11の背面を覆い隠す保護具42を組み込んだ形態を示しており、図8(A)は構成要素を描いたもので、図8(B)は構成要素を組み合わせた状態の断面で、図8(C)は最終段階の断面である。保護具42は、吸盤11を一回り大きくした傘状で、全体が軟質樹脂で構成され、自在に弾性変形が可能で、中心に円筒状の頸部43が形成されている。なお頸部43の内径は、胴部22の外径と等しい。そして各構成要素を組み合わせると図8(B)のように、吸盤11は型枠Pに吸着しており、その背面を覆い隠すように保護具42が組み込まれている。保護具42の外縁は型枠Pに接触しており、これより内側にコンクリートCが流れ込むことはない。また保護具42の頸部43には、インサート金具21の胴部22が嵌め込まれており、ここでもコンクリートCの流れ込みを防いでいる。
【0052】
コンクリートCが凝固した後は、図8(C)のように、型枠Pと吸盤11を取り外す。ただし保護具42はそのままコンクリートCの表面に放置され、容易に視認可能である。そのためインサート金具21の用途や大きさなどに応じて、保護具42の色彩を変えることで、配管や配線など、後の作業を円滑に遂行できる。なお吸盤11の吸着面12には、吸着力を向上するため、ゲル体17を付着させている。
【0053】
図9も、保護具42を組み込んだ形態を示しており、図9(A)は構成要素を描いたもので、図9(B)は構成要素を組み合わせたもので、図9(C)は構成要素を組み合わせた状態の断面で、図9(D)は最終段階の断面である。この形態でも図8と同様、吸盤11の背面を保護具42で覆い隠している。ただし吸盤11の中心部分には、軸部13を取り囲む環状部47を形成してあり、この外周面に保護具42の頸部43が嵌め込まれる。また環状部47と軸部13との境界には差込溝48が形成され、この中にインサート金具21の胴部22が嵌め込まれる。
【0054】
環状部47の外周面上部には、半径方向に突出する凸条49が環状に形成されている。凸条49は図9(B)のように、頸部43が環状部47から離脱することを防いでいる。したがって吸盤11を型枠Pに吸着させた際、図9(C)のように、保護具42の外縁を型枠Pに押し付けることができる。そしてコンクリートCが凝固した後は、図9(D)のように、保護具42を残したまま吸盤11を取り外すが、この際、凸条49は押し潰されるように弾性変形して、頸部43の中を通過する。したがって凸条49の突出高さは、適切な範囲に抑制する必要がある。
【0055】
図10は、キャップ45を組み込んだ吸盤11を示しており、図10(A)は構成要素を描いたもので、図10(B)は構成要素を組み合わせたもので、図10(C)はこの吸盤11を型枠Pに吸着させた状態の断面で、図10(D)は最終段階の断面である。この図の形態は、図9の吸盤11と同じ機能を有するが、軸部13にキャップ45を被せて、双方をネジ38で一体化した構造である。キャップ45は、中心に位置する内筒体46と、これを取り囲む環状部47で構成され、内筒体46と環状部47の境界に差込溝48が形成され、さらに環状部47の外周面上部には、半径方向に突出する凸条49が環状に形成されている。なお内筒体46は、軸部13に向けてネジ38を差し込めるよう、内部の断面径が一部絞り込まれている。
【0056】
図10(B)のように、キャップ45を吸盤11と一体化すると、図9に示す吸盤11とほぼ同一の形状になり、保護具42を組み込んだ際、凸条49によってその移動を規制できる。図10の形態は、キャップ45だけを取り替えることで、様々なインサート金具21を保持できるため、吸盤11の種類を削減可能で製造コストを抑制しやすい。
【符号の説明】
【0057】
11 吸盤
12 吸着面
13 軸部
16 リップ
17 ゲル体
18 スカート
21 インサート金具
22 胴部
23 フランジ
24 ネジ穴
25 雌ネジ
31 ソケット
32 ツバ
33 中孔
34 段部
35 凸部
37 アダプタ
38 ネジ
40 ボルト
42 保護具
43 頸部
45 キャップ
46 内筒体
47 環状部
48 差込溝
49 凸条
C コンクリート
P 型枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着面(12)と該吸着面(12)の背面から棒状に突出する軸部(13)とを有する吸盤(11)と、円柱状の胴部(22)の端面にネジ穴(24)が形成されたインサート金具(21)と、を用い、
前記吸盤(11)は、前記インサート金具(21)を着脱自在に保持可能であり、
組み上げられた型枠(P)の内面に吸盤(11)の吸着面(12)を密着させ、且つインサート金具(21)を吸盤(11)で保持させた後、
型枠(P)の内部にコンクリート(C)を流し込み、該コンクリート(C)が凝固した後、型枠(P)および吸盤(11)を撤去することを特徴とするインサート金具の埋設方法。
【請求項2】
前記軸部(13)はネジ穴(24)に圧入可能であり、当該圧入によってインサート金具(21)を吸盤(11)で保持することを特徴とする請求項1記載のインサート金具の埋設方法。
【請求項3】
前記胴部(22)の外周面には筒状のソケット(31)が嵌入されており、該ソケット(31)の中孔(33)に前記軸部(13)を圧入することで、インサート金具(21)を吸盤(11)で保持することを特徴とする請求項1記載のインサート金具の埋設方法。
【請求項4】
前記軸部(13)の端面および外周面を覆うアダプタ(37)を備え、且つ前記胴部(22)の外周面には筒状のソケット(31)が嵌入されており、該ソケット(31)の中孔(33)に前記アダプタ(37)を圧入することで、インサート金具(21)を吸盤(11)で保持することを特徴とする請求項1記載のインサート金具の埋設方法。
【請求項5】
前記吸着面(12)よりも外径が大きい傘状で且つ中心に筒状の頸部(43)を有する保護具(42)を用い、
前記頸部(43)の中に前記軸部(13)または前記胴部(22)を嵌め込んで、前記保護具(42)を吸盤(11)の背面に組み込み、
型枠(P)の内面に吸盤(11)の吸着面(12)を密着させる際、保護具(42)の外縁を型枠(P)の内面に接触させることを特徴とする請求項1または2記載のインサート金具の埋設方法。
【請求項6】
前記吸着面(12)よりも外径が大きい傘状で且つ中心に筒状の頸部(43)を有する保護具(42)を用い、
前記吸盤(11)には、軸部(13)の近傍に環状部(47)を設けて、
前記頸部(43)の中に該環状部(47)を嵌め込んで、前記保護具(42)を吸盤(11)の背面に組み込み、
型枠(P)の内面に吸盤(11)の吸着面(12)を密着させる際、保護具(42)の外縁を型枠(P)の内面に接触させることを特徴とする請求項1または2記載のインサート金具の埋設方法。
【請求項7】
インサート金具(21)を保持するための軸部(13)を備え、該軸部(13)に対向する吸着面(12)にはゲル体(17)を付着させてあり、且つ吸着面(12)の外縁から軸方向に突出して前記ゲル体(17)を取り囲み型枠(P)に接触するスカート(18)が形成されていることを特徴とする吸盤。
【請求項8】
インサート金具(21)を保持するための軸部(13)を備え、該軸部(13)を取り囲むように突出してインサート金具(21)の胴部(22)に接触するリップ(16)を備えていることを特徴とする吸盤。
【請求項9】
吸着面(12)よりも外径が大きい傘状で且つ中心に筒状の頸部(43)を有する保護具(42)を組み込み可能で、インサート金具(21)のネジ穴(24)に差し込まれる軸部(13)と、該軸部(13)を取り囲み且つ前記頸部(43)の中に嵌め込まれる環状部(47)と、を備え、
該環状部(47)の外周面には、前記頸部(43)の移動を規制する凸条(49)が円周方向に形成してあることを特徴とする吸盤。

【図1(A)(B)(C)】
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【図2(A)(B)(C)(D)(E)】
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【図3(A)(B)(C)】
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【図4(A)(B)】
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【図5(A)(B)】
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【図6(A)(B)】
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【図7(A)(B)】
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【図8(A)(B)(C)】
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【図9(A)(B)(C)(D)】
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【図10(A)(B)(C)(D)】
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【図11(A)(B)(C)】
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【公開番号】特開2010−261295(P2010−261295A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279790(P2009−279790)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(507227278)リープ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】