説明

インスリン抵抗性を治療するための薬剤併用による使用方法

本発明は、(a)肝臓副交感神経緊張度の調節剤と、(b)少なくとも一つの糖尿病薬と、(c)製薬的に許容可能な担体とからなる製薬組成物を提供する。インスリン抵抗性、2型糖尿病、耐糖能異常及びその他の関連する疾患の治療及び予防の少なくとも一方に上記製薬組成物を使用する方法。本発明はまた、製薬組成物と、その使用方法に関する指示書と、からなるキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインスリン抵抗性を治療するための薬剤併用療法に関し、より詳細には、肝臓交感神経及び副交感神経作用を調節する併用療法に関する。
【背景技術】
【0002】
食事に伴って、肝臓の副交感神経は、肝臓からのホルモン、HISSの放出を刺激するインスリンの能力を調整する許容シグナルを肝臓に提供する。HISSは骨格筋におけるグルコースの取り込み及びグリコーゲンとしての貯蔵を選択的に刺激し、かつインスリンの直接の影響であるとこれまでに考えられてきた全身の糖処理の半分以上を担っている。肝臓の交感神経は副交感神経のシグナルを阻止し、それによりHISSの放出を阻止し、インスリンの糖処理の効果を50%低減する。この状態は、HISS依存インスリン抵抗性(HDIR)と称されている。
【0003】
HISSの作用は、空腹状態とそれに続く再摂食時におけるインスリンに対する反応を決定することにより臨床的に診断される。摂食状態及び空腹状態において決定されるインスリン注射の糖処理の効果における差は、インスリン作用のHISS依存要素を表す。空腹状態において生成される糖処理はHISSとは無関係であるのに対して、食事の後のインスリンの約2倍の効果は、インスリン作用のHISS依存性及びHISS非依存性の要素の両方によるものであり、二つの状態の間の差はインスリン作用のHISS依存要素として定義されている。
【0004】
HISS依存性及びHISS非依存性インスリン作用は、高速インスリン感受性試験(RIST)を使用することにより最も容易に定量化され、同試験はインスリンのボーラス投与に反応する一過性の正常血糖クランプである。通常、インスリン注射は、血液から貯蔵部位へのグルコースの除去を刺激し、その結果血中グルコースレベルの低下が起こる。RIST法は、血中グルコースレベルを一定に維持するための変動可能なグルコース注入速度を使用する。血糖の基準を維持するために投与されるべき必要なグルコースの量はインスリン感受性指数であり、RIST指数として参照される。この方法により生成されるRIST指数は、HISS依存要素及びHISS非依存要素から構成されており、同HISS非依存成分は対照の空腹状態における試験と、肝臓の外科的脱神経、肝ムスカリン性受容体の遮断、肝臓の一酸化窒素生成の遮断、又は肝臓のシクロオキシゲネーゼの遮断を含む種々の手段のうちの任意のものによりHISSの放出を遮断した後に引き続き試験を繰り返すことと、により容易に区別される。これらの処置の任意のものによりHISSの作用を排除することにより、摂食状態において、約55%もRIST指数が低下した。即ち、これまでは種々の組織におけるインスリンの直接の作用に起因しているとされていた糖処理効果は、これまでには認識されていなかった肝臓インスリン感受性プロセスによりかなりの程度実際には媒介されている。この領域は近年再検討されてきている(ラウト(Lautt)、1999年;ラウト、2003年)。HISS放出の遮断はHDIRを生ずる。仮にHDIRが空腹に反応して生理学的に生成されるものであるのならば、これらの介入はインスリンの作用にさらなる減少を発生させることはない。
【0005】
HDIRは空腹に対する正常かつ必要不可欠な反応である。空腹状態であってもインスリンの放出が起こり、多くの成長制御機能を実施する。インスリンは一日を通して規則的に放出されるが、インスリン放出の約50%のみが食物の摂取によって規制される(ベイヤー(Beyer)ら、1990年)。空腹状態において、インスリンが、血中から骨格筋グリコーゲン貯蔵へのグルコースの大量の移動を引き起こすことは不都合である。インスリンの注射に反応した糖処理作用は24時間の絶食によって徐々に減少して意味をなさなくなる。インスリンへの反応におけるこの低減は、インスリン作用のHISS独立要素(ポスト−アトロピン又はポスト−肝臓脱神経)が摂食及び24時間絶食したラットにおいて類似するという観察結果に示されるように、HISS依存性要素における生理学的に調整された低減を示す。
【0006】
食事をした直後の状態では、広い生理学的な範囲(5−100mu/kg)の範囲にわたってインスリンのボーラス投与の全糖処理効果の約55%がHISSによるものである。18時間の絶食により、Sprague−Dawley系ラットはHISS依存性インスリン作用を示し、それは全インスリン作用の26%のみである(ラウト(Lautt)ら、2001年)。ネコにおける18時間の絶食の後に見られるHISS作用によるインスリン作用の占める割合は35%であり(シ(Xie)及びラウト、1995年)、イヌでは25%である(ムーア(Moore)ら、2002年)。ウサギにおけるHISS作用は、摂食が記載されていないときでさえもインスリン作用の約44%を占める(ポルスザッツ(Porszasz)ら、2002年)。絶食はネズミにおいてはインスリン作用を45%低減した(レーター(Latour)及びチャン(Chan)、2002年)。ヒトにおいては、摂食状態におけるインスリン作用の62%がHISS作用によるものであるという予備的な結果が示されている。このHDIRの生理的な調整は空腹に対する適切な反応であり、よってHDIRは有用な生理学的状態である。
【0007】
HDIRは空腹状態における有用な生理学的状態ではあるが、摂食状態におけるHISSの放出及び得られるHDIRの障害は、2型糖尿病及び多くのインスリン抵抗性のその他の症状に見られる主要な代謝障害の原因であることが示唆されている。このモデルによると、食後の栄養物の消化により通常、食事から吸収されたグルコースの約80%が身体の大きな骨格筋量に貯蔵されることになる。HISSは肝臓から放出されるが、それは骨格筋内のグリコーゲン貯蔵へのグルコースの取り込みを選択的に刺激する。HISSの作用が欠乏するとインスリンの糖処理効果に非常に好ましくない結果を与え、食後の高血糖状態を生ずることになる。更なるインスリンがグルコースの上昇に伴って放出され、2型糖尿病における食後の高インスリン血症の原因となる。インスリンは脂肪組織及び肝臓の制限された貯蔵部内へのグルコースの取り込みを刺激する。肝臓におけるグリコーゲンの貯蔵が飽和すると、残りのグルコースは脂質に変換され、よって2型糖尿病における食後高脂血症の原因となる。フリーラジカルの生成を含む高血糖症の生化学的な影響は、内皮細胞機能不全、アテローム斑の沈着、失明、腎不全、神経損傷、卒中及び後肢切断を含む糖尿病に一般的である主要な非代謝病変の原因となることが示唆されてきた(ブラウンリー(Brownlee)、2001年)。HDIRは慢性肝疾患、胎児性アルコール暴露を受けた成人、肥満、ショ糖食ラット、高血圧、妊娠及び外傷において起こることが示されてきた。
【0008】
本発明の発明者らは、HDIRが2型糖尿病、耐糖能異常、空腹時血糖障害、高インスリン血症、高脂血症、肥満、食後高血糖及びその他のインスリン抵抗性の状態の主要な原因であることを提唱する。これらの疾患に罹患している患者に対して、現在利用可能な唯一承認されている治療形態はインスリン及びある種の経口投与剤のみである。経口薬は5つの主要なクラスに分類される:即ち、スルホニル尿素、ビグアニド類、α−グルコシダーゼ阻害剤、メグリチナイド剤及びチアゾリジンジオン剤である。
【0009】
これらの薬剤は、食事制限と規則正しい運動とともに組み合わせた場合最も良好な結果が達成できるのみである。しかしながら、それを実施したとしても、全ての患者に対して治療が成功するというわけではない。血中のグルコースレベルは低下するが、多くの患者は通常の範囲内となるレベルまで減少することはなく、理由は解明されていないが、経口投与では自然に作用が停止してしまうことが知られている。加えて、10年以上にわたって2型糖尿病に罹患している患者における成功率は極めて低い。経口投与は治療の最初の三年間は通常成功するが、この時点において、2型糖尿病に罹患した患者の50%が更なる治療法を必要とする。9年後、75%の患者がその糖尿病を制御下に留めるために併用治療が必要となる(ターナ(Turner)ら、JAMA281:2005−2012頁、1999年)。
【0010】
二つの糖尿病用の薬剤からなる併用療法は、幾らかの場合、単一の治療法が効果のないことが証明された場合に処方される。しかしながら、経口治療剤の組み合わせは制限されており、幾つかの組み合わせのみが同時に与えられる。スルホニル尿素及びメグリチニド剤は共に投与され得るが、高血糖を引き起こす。ビグアニド剤とチアゾリジンジオン剤はインスリン分泌剤と共に摂取することができず、一般的に処方されるα−グルコシダーゼ阻害剤であるアカルボースはその他の抗糖尿病薬とともに併用することができない。これらの併用による最も共通する結果は、低血糖と体重の増加である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、糖尿病及びその他のインスリン抵抗性の状態を治療するためのより効果的かつ安全な併用療法の必要性が存在する。また、食後高血糖、即ち、HDIRに関連する特殊なメカニズムを扱う治療の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第一の態様において、本発明は、(a)肝臓副交感神経緊張度の調節剤と、(b)少なくとも一つの糖尿病薬と、(c)製薬的に許容可能な担体と、からなる製薬組成物を提供する。
【0013】
本発明に従う製薬組成物の一実施形態において、肝臓副交感神経緊張度の調節剤はNO供与体である。
本発明に従う製薬組成物の更なる実施形態において、肝臓副交感神経緊張度の調節剤は、コリン作動薬であり、少なくとも一つの糖尿病薬はグルタチオン増加化合物である。
【0014】
本発明のまた更なる実施形態、即ち本発明に従う製薬組成物において、肝臓副交感神経緊張度の調節剤はベタネコールであり、少なくとも一つの糖尿病薬はN−アセチルシステイン又はα−リポ酸である。
【0015】
第二の態様において、本発明は、(a)アセチルコリンエステラーゼ拮抗薬と、(b)グルタチオン増加化合物と、(c)製薬的に許容可能な担体と、からなる製薬組成物を提供する。
【0016】
第三の態様において、本発明は、(a)フォスフォジエステラーゼ拮抗薬と、(b)グルタチオン増加化合物と、(c)製薬的に許容可能な担体と、からなる製薬組成物を提供する。
【0017】
第四の態様において、本発明は、2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、末梢動脈疾患、慢性腎不全、末梢動脈疾患及び急性腎不全からなる群より選択される疾病を治療又は予防するために本発明に従う製薬組成物を使用する方法を提供する。
【0018】
第五の態様において、本発明は、2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、末梢動脈疾患、慢性腎不全、急性腎不全及び末梢動脈疾患からなる群より選択される疾病を治療又は予防するための方法であって、本発明に従う製薬組成物の治療上有効な量を投与する工程を含む方法を提供する。
【0019】
第六の態様において、本発明は、2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、慢性腎不全、急性腎不全及び末梢動脈疾患からなる群より選択される疾病を治療又は予防するための方法であって、肝臓副交感神経緊張度の調節剤の治療上有効な量と少なくとも一つの糖尿病薬の治療上有効な量とを投与する工程を含む方法を提供する。
【0020】
第七の態様において、本発明は、2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、末梢動脈疾患、慢性腎不全、急性腎不全及び末梢動脈疾患からなる群より選択される疾病を治療又は予防するための方法であって、アセチルコリンエステラーゼ拮抗薬の治療上有効な量とグルタチオン増加化合物の治療上有効な量とを投与する工程を含む方法を提供する。
【0021】
第八の態様において、本発明は、2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、慢性腎不全、急性腎不全及び末梢動脈疾患からなる群より選択される疾病を治療又は予防するための方法であって、フォスフォジエステラーゼ拮抗薬の治療上有効な量をグルタチオン増加化合物とともに投与する工程を含む方法を提供する。
【0022】
第九の態様において、本発明は、本願請求項1乃至30のいずれか一項に記載の製薬組成物と、2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、慢性腎不全、末梢動脈疾患及び急性腎不全からなる群より選択される疾病の症状を改善するために同製薬組成物を投与するための用法に関する指示書と、から組み合わせられたキットを提供する。
【0023】
本発明の一実施形態において、肝臓副交感神経緊張度の調節剤は、ベタネコール、アセチルコリン、ドネペジル、タクリン、エドロホニウム、デメカリウム、ピリドスチグミン、ザナペジル、フォスフォリン、メトリフォネート、ネオスチグミン、フェンセリン及びガラタミン、コリン作動薬、メタコリン、BIBN99、DIBD、SCH−57790、SCH−217443、SCH−72788、アレコリン、アレコリン類似体、キサノメリン、アルバメリン(alvameline)、ミラメリン、RU47213、サブコメリン、PD−151832、CDD−0034−C、CDD−0102、スピロピペリジン、スピロキヌクリジン、ムスカリン、シス−ジオキソラン、RS86、AF−30、オクビメリン(ocvimeline)、AF150(S)、AF267B、SDZ210−086、YM−796、アセチルコリンの強固な(rigid)類似体、アクリジン(accldine)、タサクリジン(tasaclidine)、オキソトレモリン、オキソトレモリン類似体、ピロカルピン、ピロカルピン類似体、チオピロカルピン、そのニトロシレート誘導体から選択されるコリン作動薬である。
【0024】
本発明の一実施形態において、肝臓副交感神経緊張度の調節剤は、有機硝酸塩、有機亜硝酸塩、金属−NO錯体、N−ニトロソアミン、N−ヒドロキシニトロソアミン、ニトロソチオール、C−ニトロ化合物、ジアゼチンジオキサイド、フロキサン、ベンゾフロキサン、オキサトリアゾール−6−イミン、シドノイミン(Sydonoimine)、オキシミン、ヒドロキシルアミン、N−ヒドロキシグアニジン、ヒドロキシウレア、それらのニトロシレート誘導体、それらの製薬的な塩、及びそれらの混合物、からなる群より選択されるNO供与体である。
【0025】
本発明の一実施形態において、少なくとも一つの糖尿病薬は、グルタチオン増加化合物、抗酸化剤、インスリン若しくはインスリン類似体、α−アドレナリン受容体拮抗薬、β−アドレナリン受容体拮抗薬、非選択的なアドレナリン受容体拮抗薬、スルホニル尿素、ビグアニド剤、安息香酸誘導体、α−グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、フォスフォジエステラーゼ阻害剤、コリンエステラーゼ拮抗薬、GLP−1類似体及びそれらの製薬的な塩、からなる群より選択される。
【0026】
本発明の一実施形態において、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、フェンセリン、ドネペジル、ガラタミン、リバスチグメ(rivastigme)、タクリン、フィソスチグミン、ネオスチグミン、エドロホニウム、ピリドスチグミン、デメカリウム、フォスフォリン、メトリフォネート、ザナペジル、アンベノニウム及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される。
【0027】
本発明の一実施形態において、フォスフォジエステラーゼ阻害剤は、アナグレライド、タダラフィル、ジピリダモール、ダイフィリン、バルデナフィル、シロスタゾール、ミルリノン、テオフィリン、シルデナフィル、カフェイン及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は特定のモデル又は作用機構に制限されるものではなく、食事の摂取に対する副交感神経の反応が肝臓においてムスカリン性受容体を活性化するアセチルコリンの放出を生ずるものと思われる。この活性化により、グアニルシクラーゼ活性を刺激する一酸化窒素の産生を増大し、HISSの放出を刺激するように作用する環状グアノシン一リン酸のレベルを増大する。食事の摂取により肝臓のグルタチオンレベルも上昇する。この系の任意の要素を遮断すると、食事の摂取に対する副交感神経の反応が低減又は中止される。従って、インスリン抵抗性及び関連した疾患は、副交感神経の活性異常のみならず、交感神経の活性異常をも来たすことになる。従って、本発明は、肝臓交感神経機能及び肝臓副交感神経機能の両方を修正する製薬組成物であって、インスリン抵抗性及び関連した障害及び疾病を治療する製薬組成物及びその使用方法を提供する。
【0029】
幾らかの場合において、食事の摂取に反応する副交感神経の機能は、アセチルコリン産生又は放出が低減することにより、障害を受ける。その他の場合において、副交感神経の機能は、一酸化窒素の産生が減少することにより、障害を受ける。本発明の発明者らは、コリン作動薬の使用方法(例えば、米国特許第5561165号明細書を参照)、インスリン抵抗性及び糖尿病を治療するための一酸化窒素供与体の使用方法(例えば、国際出願公開第WO00/19992号パンフレットを参照)をこれまでに開示している。
【0030】
本発明の発明者らは、図7のフローチャートに示されるように、肝臓の機構を介して作用する薬剤の投与が、インスリン抵抗性、糖尿病及びHDIRに対する既存の治療と相乗作用を示すことを発見した。従って、以下に加える。例えば、コリン作動薬と一つ以上の糖尿病薬との併用投与、一酸化窒素供与体と一つ以上の糖尿病薬との併用投与、又は糖尿病薬と両者(コリン作動薬及び一酸化窒素供与体)との併用投与からなる併用療法は、二つ以上の経口糖尿病薬からなるこれまでの併用療法と比較した場合、更に一層効果的である。本発明の発明者らはまた、コリン作動薬又は一酸化窒素供与体と、糖尿病薬と、からなる併用療法が、これまでの併用療法より副作用が顕著に低減されていることを発見した。本発明の発明者らは、コリン作動薬又は一酸化窒素供与体と、糖尿病薬と、からなる併用療法が、低血糖症、浮腫、体重増加及び肝障害の深刻な発生に殆ど関係していないことを発見した。更に、本発明の発明者らは、血糖を制御するために、これまでの併用療法と比較して、糖尿病薬の用量を少なくできることを発見した。
【0031】
特に、本発明の発明者らは、コリン作動薬とグルタチオン増加剤とを併用投与することにより、インスリン感受性が相乗的に改善されることを発見した。グルタチオン(GSH)は、解毒及びフリーラジカルの抑制を含む種々の生命維持に必要な細胞プロセスに関与する遍在的なトリペプチドである。グルタチオン自身(又はそのエステル)、α−リポ酸及びシステイン前駆体及びGSH生合成の速度制限剤、N−アセチルシステイン、又はオキサチアゾリジン−4−カルボン酸を含むグルタチオンを増大可能な多くの作用物質が存在する。本発明の発明者らは、ベタネコールのようなコリン作動薬と、N−アセチルシステイン、又はα−リポ酸、又はオキサチアゾリジン−4−カルボン酸のいずれかとの組み合わせにて治療した場合、コリン作動薬又はグルタチオン増加剤の一方のみで治療した場合と比較して、インスリンの感受性が相乗的に改善されることを発見した。加えて、併用療法は、ベタネコール、N−アセチルシステイン、又はα−リポ酸のみで治療した場合に通常関係するような消化器官系の副作用(即ち、吐き気、胃のむかつき、嘔吐)が低減されていた。
【0032】
本発明の発明者らは、コリン作動薬であるベタネコールを、N−アセチルシステインのようなグルタチオン増加剤と組み合わせて投与することによる副交感神経の経路の活性化が肥満及び糖尿病の幾つかの二次性合併症、特に炎症の治療に特に有用であることを発見した(スー(Hsu)ら、2004年)。全身性炎症は病的肥満及び糖尿病と非常に関係が深く、これらの疾病の関連した病状の多くの原因となっている。実際に、例えば食後に起こり得るような高血糖症の一過性の病状の発現でさえも肝臓の酸化的ストレス、TNF−a及びIL−1のような炎症性サイトカインの放出を引き起こす(リング(Ling)ら、2004年及びスーら、2004年)。本発明の発明者らはN−アセチルシステインとベタネコールとの組み合わせが、これらの合併症を治療するのに効果的であり、肝臓のGSHを上昇し、かつ患者においてHISS感受性を改善することを見出した。
【0033】
本発明の発明者らは、インスリン感受性の制御において副交感神経の反応とGSHの状態との間の重要な関係を最初に確認した。
本発明は、(a)肝臓副交感神経緊張度の調節剤と、(b)少なくとも一つの糖尿病薬と、(c)製薬的に許容可能な担体と、からなる製薬組成物を提供する。本明細書に使用されているように、「肝臓副交感神経緊張度(tone)の調節剤(modulator)」は、肝臓の副交感神経の機能に望ましい影響を与える任意の化合物である。肝臓副交感神経緊張度の調節剤は肝臓の副交感神経の経路(図7を参照)に関与する要素のうちの任意のものを調節する。調節剤は通常二つのクラスに分類される:即ち、(1)コリン性受容体を調節する化合物、例えば、コリン作動薬及びアセチルコリンエステラーゼ拮抗薬、及び(2)コリン性受容体の下流側にあるシグナル伝達成分を調節する化合物、例えば、NOS刺激薬、NO供与体及びフォスフォジエステラーゼ拮抗薬。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、新規な製薬組成物は、(a)一酸化窒素供与体と、(b)少なくとも一つの糖尿病薬と、(c)製薬的に許容される担体、とからなる。
本明細書にて使用されるように、任意の製薬化合物又は製薬組成物は「製薬として許容可能なもの」とみなされており、即ち、(a)患者に投与する用量及び方法において、実際的に毒性はなく、かつ処置による治療上の効果とは不釣合いな慢性毒性を生じないもの、及び(b)患者に投与する用量及び方法が同患者のインスリン抵抗性を低減するもの、である。
【0035】
本明細書にて使用されているように、「肝臓副交感神経緊張度の調節剤」は、コリン作動薬、NO供与体、NOS刺激薬、ベタネコール、アセチルコリン、ドネペジル、タクリン、エドロホニウム、デメカリウム、ピリドスチグミン、ザナペジル、フォスフォリン、メトリフォネート、ネオスチグミン、フェンセリン及びガラタミン、コリン作動薬、メタコリン、BIBN99、DIBD、SCH−57790、SCH−217443、SCH−72788、アレコリン、アレコリン類似体、キサノメリン、アルバメリン、ミラメリン、RU47213、サブコメリン、PD−151832、CDD−0034−C、CDD−0102、スピロピペリジン、スピロキヌクリジン、ムスカリン、シス−ジオキソラン、RS86、AF−30、オクビメリン、AF150(S)、AF267B、SDZ210−086、YM−796、アセチルコリンの強固な類似体、アクリジン、タサクリジン、オキソトレモリン、オキソトレモリン類似体、ピロカルピン、ピロカルピン類似体、チオピロカルピン、及びそのニトロシレート誘導体、有機硝酸塩、有機亜硝酸塩、金属−NO錯体、N−ニトロソアミン、N−ヒドロキシニトロソアミン、ニトロソチオール、C−ニトロ化合物、ジアゼチンジオキサイド、フロキサン、ベンゾフロキサン、オキサトリアゾール−6−イミン、シドノイミン、オキシミン、ヒドロキシルアミン、N−ヒドロキシグアニジン、ヒドロキシウレア、それらのニトロシレート誘導体、それらの製薬的な塩、及びそれらの混合物からなる群より選択される化合物を意味する。
【0036】
任意の適切な一酸化窒素供与体又はその製薬的に許容される塩は、本発明を実施するために使用され得る。適切な一酸化窒素供与体の例は、有機硝酸塩、有機亜硝酸塩、金属−NO錯体、N−ニトロソアミン、N−ヒドロキシニトロソアミン、ニトロソチオール、C−ニトロ化合物、ジアゼチンジオキサイド、フロキサン、ベンゾフロキサン、オキサトリアゾール−6−イミン、シドノイミン、オキシミン、ヒドロキシルアミン、N−ヒドロキシグアニジン、ヒドロキシウレアが含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0037】
本明細書において使用されるように、「糖尿病薬」なる用語は、インスリン抵抗性及び糖尿病を治療又は予防する上に有用であるものとして当業者に周知の任意の組成物を参照する。本発明を実施するために使用され得る糖尿病薬の例としては、(a)ビタミンE、ビタミンC、イソフラボン、亜鉛、セレン、エブセレン、カロテノイドのような抗酸化剤、(b)標準インスリン、レンテインスリン、セミレンテインスリン、ウルトラレンテインスリン、NHP若しくはヒューマログのようなインスリン若しくはインスリン類似体、(c)プラゾシン、ドキサゾシン、フェノキシベンザミン、テラゾシン、フェントラミン、ラウォルシン(rauwolscine)、ヨヒンビン(yohimine)、トラゾリン、タムスロシン及びテラゾシンのようなα−アドレナリン受容体拮抗薬、(d)アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、メトプロロール、ナドロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパノロール、チモロール、塩酸ドブタミン、アルプレノロール、ブノロール、ブプラノロール、カラゾロール、エパノロール、モロプロロール(moloprolol)、オクスプレノロール、パマトロール、タリノロール、チプレノロール、トラモロール及びトリプロロールのようなβ−アドレナリン受容体拮抗薬、(e)カルベジロール及びラベトロールのような非選択的なアドレナリン受容体拮抗薬、(f)トラザミド、トルブタミド、クロロプロパミド、アセトヘキサミドのような第一世代のスルホニル尿素、(g)グリブリド、グリピジド及びグリメピリドのような第二世代のスルホニル尿素、(h)メトホルミンのようなビグアニド剤、(i)レプラグリニド(replaglinide)のような安息香酸誘導体、(j)アカルボース及びミグリトールのようなα−グルコシダーゼ阻害剤、(k)ロシグリタゾン、ピオグリタゾン及びトログリタゾンのようなチアゾリジンジオン、(l)アナグレライド、タダラフィル、ジピリダモール、ダイフィリン、バルデナフィル、シロスタゾール、ミルリノン、テオフィリン及びカフェインのようなフォスフォジエステラーゼ阻害剤、(m)ドネペジル、タクリン、エドロホニウム、デメカリウム、ピリドスチグミン、ザナペジル、フォスフォリン、メトリフォネート、ネオスチグミン及びガラタミンのようなコリンエステラーゼ拮抗薬、(n)N−アセチルシステイン、システインエステル、L−2−オキソチアゾリジン−4−カルボキソレート(OTC)、ガンマグルタミルシステイン及びそのエチルエステル、グルタチオン(glytathtione)エチルエステル、グルタチオンイソプロピルエステル、リポ酸、システイン、メチオニン及びS−アデノシルメチオニンのようなグルタチオン増加化合物、(o)エキセナチド(exanitide)、DAC:GLP−1(CJC−1131)、リラグルチド、ZP10、BIM51077、LY315902及びLY307161(SR)のようなGLP及びグルカゴン様ペプチド類似体、が挙げられるがそれらに限定されるものではない。
【0038】
本発明の一実施形態において、製薬組成物は、一酸化窒素供与体としての3−モルフォリノシンドノニミン(SIN−1)と、糖尿病薬としてのスルホニル尿素とを含む。本発明の好ましい実施形態において、スルホニル尿素はグリピジドである。
【0039】
本発明の別の実施形態において、製薬組成物は、一酸化窒素供与体としての3−モルフォリノシンドノニミン(SIN−1)と、糖尿病薬としてのα−グルコシダーゼ阻害剤とを含む。本発明の好ましい実施形態において、α−グルコシダーゼ阻害剤はアカルボースである。
【0040】
本発明の更なる実施形態において、製薬組成物は、一酸化窒素供与体としての3−モルフォリノシンドノニミン(SIN−1)と、糖尿病薬としてのビグアニド剤とを含む。本発明の好ましい実施形態において、ビグアニド剤はメトホルミンである。
【0041】
本発明のまた更なる実施形態において、製薬組成物は、一酸化窒素供与体としての3−モルフォリノシンドノニミン(SIN−1)と、糖尿病薬としてのチアゾリジンジオンとを含む。本発明の好ましい実施形態において、チアゾリジンジオンはピオグリタゾンである。
【0042】
製薬組成物は、一酸化窒素供与体としての3−モルフォリノシンドノニミン(SIN−1)と、糖尿病薬としてのビグアニド剤とを含む。本発明の好ましい実施形態において、ビグアニド剤はメトホルミンである。
【0043】
本発明のまた更なる実施形態において、製薬組成物は、一酸化窒素供与体としての3−モルフォリノシンドノニミン(SIN−1)と、糖尿病薬としての安息香酸誘導体とを含む。本発明の好ましい実施形態において、安息香酸誘導体はレプラグリニドである。
【0044】
本発明のまた更なる実施形態において、製薬組成物は、一酸化窒素供与体としての3−モルフォリノシンドノニミン(SIN−1)と、糖尿病薬としてのグルタチオン補充薬とを含む。本発明の好ましい実施形態において、グルタチオン補充薬は、N−アセチルシステインである。
【0045】
本発明の別の実施形態において、製薬組成物は、(a)コリン作動薬と、(b)少なくとも一つの糖尿病薬と、(c)製薬的に許容可能な担体と、からなる。
本発明を実施するにあたり任意の適切なコリン作動薬が使用され得る。適切なコリン作動薬の例としては、アセチルコリン、メタコリン、ベタネコール、BIBN99(図1)、DIBD(図1)、SCH−57790(図1)、SCH−217443(図1)、SCH−72788(図1)、アレコリン(図2)、アレコリン類似体(図2)、キサノメリン(図2)、アルバメリン(図2)、ミラメリン(図2)、RU47213(図2)、サブコメリン(図2)、PD−151832(図2)、CDD−0034−C(図2)、CDD−0102(図2)、スピロピペリジン(図3)、スピロキヌクリジン(図3)、ムスカリン(図3)、シス−ジオキソラン(図3)、RS86(図3)、AF−30(図3)、オクビメリン(図3)、AF150(S)(図3)、AF267B(図3)、SDZ210−086(図3)、YM−796(図3)、アセチルコリンの強固な類似体(図4)、アクリジン(図4)、タサクリジン(図4)、オキソトレモリン(図5)、オキソトレモリン類似体(図5)、ピロカルピン(図5)、ピロカルピン類似体(図5)又はチオピロカルピン(図5)が挙げられるが、それらに限定されるものではない。これらの化合物の任意のもののニトロシレート形(nitrosylated form)もまた使用可能である。
【0046】
コリン作動薬はムスカリン性受容体作動薬が好ましく、コリン作動薬はアセチルコリンがより好ましく、コリン作動薬はベタネコールが最も好ましい。
コリン作動薬とともに使用される糖尿病薬は上記した糖尿病薬の任意のものであり得る。
【0047】
本発明の一実施形態において、製薬組成物はコリン作動薬としてのベタネコールと、糖尿病薬としてのグルタチオン増加化合物と、を含む。好ましい実施形態において、製薬組成物はベタネコールと、糖尿病薬としてのN−アセチルシステインと、を含む。別の好ましい実施形態において、製薬組成物はベタネコールと、糖尿病薬としてのα−リポ酸と、を含む。
【0048】
本発明の別の実施形態において、製薬組成物はコリン作動薬としてのベタネコールと、糖尿病薬としてのスルホニル尿素と、を含む。本発明の好ましい実施形態において、スルホニル尿素はグリピジドである。
【0049】
本発明の別の実施形態において、製薬組成物はコリン作動薬としてのベタネコールと、糖尿病薬としてのα−グルコシダーゼ阻害剤と、を含む。本発明の好ましい実施形態において、α−グルコシダーゼ阻害剤はアカルボースである。
【0050】
本発明の更なるの実施形態において、製薬組成物はコリン作動薬としてのベタネコールと、糖尿病薬としてのビグアニド剤と、を含む。本発明の好ましい実施形態において、ビグアニド剤はメトホルミンである。
【0051】
本発明のまた更なる実施形態において、製薬組成物はコリン作動薬としてのベタネコールと、糖尿病薬としてのチアゾリジンジオンと、を含む。本発明の好ましい実施形態において、チアゾリジンジオンはピオグリタゾンである。
【0052】
本発明のまた更なる実施形態において、製薬組成物はコリン作動薬としてのベタネコールと、糖尿病薬としての安息香酸誘導体と、を含む。本発明の好ましい実施形態において、安息香酸誘導体はレプラグリニドである。
【0053】
本発明の別の実施形態において、製薬組成物はコリン作動薬としてのベタネコールと、糖尿病薬としてのGLP−1類似体と、を含む。本発明の好ましい実施形態において、GLP−1はエキセナチドである。
【0054】
本発明の別の実施形態において、製薬組成物はコリン作動薬としてのベタネコールと、糖尿病薬としてのα−アドレナリン受容体拮抗薬と、を含む。本発明の好ましい実施形態において、α−アドレナリン受容体拮抗薬はプラゾシンである。
【0055】
本発明の別の実施形態において、製薬組成物はコリン作動薬としてのベタネコールと、糖尿病薬としてのβ−アドレナリン受容体拮抗薬と、を含む。本発明の好ましい実施形態において、β−アドレナリン受容体拮抗薬はアテノロールである。
【0056】
本発明の別の実施形態において、製薬組成物はコリン作動薬としてのベタネコールと、糖尿病薬としての非選択的なアドレナリン受容体拮抗薬と、を含む。本発明の好ましい実施形態において、非選択的なアドレナリン受容体拮抗薬はカルベジロールである。
【0057】
本発明のまた更なる実施形態において、製薬組成物はコリン作動薬と、一酸化窒素供与体と、グリピジド、アカルボース、メトホルミン、ピオグリタゾン又はレプラグリニドのような糖尿病薬と、を含む。
【0058】
第二の態様において、本発明は、(a)アセチルコリンエステラーゼ拮抗薬と、(b)グルタチオン増加化合物と、(c)製薬的に許容可能な担体と、からなる製薬組成物を提供する。製薬組成物を調製するために使用され得るアセチルコリンエステラーゼ拮抗薬の例としては、フェンセリン、ドネペジル、ガラタミン、リバスチグメ、タクリン、フィソスチグミン、ネオスチグミン、エドロホニウム、ピリドスチグミン、デメカリウム、フォスフォリン、メトリフォネート、ザナペジル、アンベノニウム及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されるものではない。グルタチオン増加化合物は上述の化合物の任意のものであり得る。好ましい実施形態において、グルタチオン増加化合物はN−アセチルシステインである。
【0059】
第三の態様において、本発明は、(a)フォスフォジエステラーゼ拮抗薬と、(b)グルタチオン増加化合物と、(c)製薬的に許容可能な担体と、からなる製薬組成物を提供する。製薬組成物を調製するために使用され得るフォスフォジエステラーゼ拮抗薬の例としては、アナグレライド、タダラフィル、ジピリダモール、ダイフィリン、バルデナフィル、シロスタゾール、ミルリノン、テオフィリン、シリデナフィル、カフェイン及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されるものではない。グルタチオン増加化合物は上述の化合物の任意のものであり得る。好ましい実施形態において、グルタチオン増加化合物はN−アセチルシステインである。
【0060】
本発明の製薬組成物は、それ自身周知の様式、例えば、従来からの、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥工程により製造され得る。
【0061】
従って、本発明に従って使用される製薬組成物は、活性化合物の製剤化の工程を容易にする製薬的に使用可能な賦形剤及び補助剤からなる生理学的に許容される一つ以上の担体を用いて従来の方法により製剤化され得る。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
【0062】
本発明の組成物の投与は、経口投与、局所投与(経皮投与、口腔投与、舌下投与を含む)、経鼻投与、吸入及び非経口投与(腹腔内、皮下、静脈内、皮内又は筋肉内注射を含む)を含む種々の適切な経路により行われ、経口投与又は非経口投与が一般的には好ましい。好ましい投与方法及び用量は、例えば、受容者の状態及び年齢によって変更され得る。
【0063】
本発明の薬剤は、注射のために、水性溶液中、好ましくは、ハンクス溶液、リンガー溶液、又は生理食塩水のような生理学的に適合可能な緩衝液中にて製剤化され得る。
経口投与用に、化合物は、活性化合物と当業者に周知の製薬的に許容される担体とを混合することにより容易に製剤化され得る。そのような担体は、治療される患者が経口摂取するために、本発明の化合物を、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等として製剤化することを可能にする。経口にて使用するための製剤は固体賦形剤により得られ、選択的に得られた混合物が粉砕され、所望であれば、錠剤又は糖衣錠のコアを得るために適切な補助剤を加えた後に、顆粒混合物に加工される。特に適切な賦形剤は糖のような増量剤であり、同糖は、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドンを含む、乳糖、ショ糖、マニトール、ソルビトール又はセルロース製剤である。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムのようなその塩等の崩壊剤が加えられる。
【0064】
吸入又はエアロゾルによる投与のために、製剤の技術分野において周知の技術に従って組成物が製造され得る。組成物は、ベンジルアルコール若しくはその他適切な保存剤、生物学的利用率を高める吸収促進剤、フルオロカーボン又は当業者に周知のその他の安定化剤若しくは分散剤を用いて、生理食塩水中における溶液として製造され得る。本発明の組成物は、適切な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素及びその他の適切なガスを使用して、圧縮されたパック又は噴霧器からエアロゾル噴霧用製剤にて簡便に送達される。圧縮されたエアロゾルの場合、用量は、計測された量を送達するためのバルブを提供することにより、決定され得る。吸入器にて使用するための、例えばゼラチンのようなカプセル及びカートリッジは、化合物の粉末混合物と乳糖又はデンプンのような適切な粉末ベースとを含むように製剤化され得る。
【0065】
経皮送達系は受動的な経皮送達系であり得るか、皮膚の浸透促進物質の使用を含むか、又は皮膚の透過性を増大するとともにイオン導入、エレクトロポレーション又は超音波の使用のような非化学的な様式である浸透促進装置の使用を含み得る。
【0066】
本発明の製薬組成物はまた、更なる治療上の効果を提供するか、製薬組成物の治療効果に影響を与えるように作用するか、或いは製薬組成物を投与することにより引き起こされる副作用を回避するように作用する、種々のその他の成分を含み得る。同等の状況にて使用される製薬的に許容される成分又は添加物の例は、抗酸化剤、フリーラジカル除去剤、ペプチド、成長因子、抗生物質、静菌剤、免疫抑制剤、抗凝血剤、緩衝剤、抗炎症剤、解熱剤、徐放性結合剤、麻酔薬、ステロイド、ビタミン及びミネラルを含む。
【0067】
本発明に従う製薬組成物は、インスリン抵抗性及び糖尿病を治療又は予防するために使用され得る。製薬組成物は、インスリン抵抗性に関連したその他の疾患、例えば、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、慢性腎不全、急性腎不全及び末梢動脈疾患のような疾患を治療又は予防するために使用され得る。
【0068】
本発明の製薬組成物の任意のものの正確な用量は、本明細書の開示を考慮して、当業者には明らかである種々の要因に依存するであろう。特に、これらの要因は、投与されるべき化合物の性質、製剤、使用される投与経路、患者の性別、年齢、及び体重、並びに治療されるべき症状の重篤度が含まれる。用量及び毒性を決定するための方法は、当業者には周知であり、通常は、動物試験から始まり、動物において深刻な毒性が観察されなかった場合にはヒトにおける試験が実施される。用量の妥当性は、1998年にラウトらにより設定されたようなRISTプロトコルを使用してインスリン抵抗性を監視することにより評価することができる。供給された用量が正常又は耐え得るレベルまでインスリン抵抗性を低下させなかった場合、少なくとも3日の治療の後に、用量を増大する。患者は、薬物の、特に肝臓及び心臓血管系に対する有害な反応及び毒性の兆候に関して監視されるべきである。
【0069】
一酸化窒素供与体を含む製薬組成物に対して、一酸化窒素供与体の一日の用量は、使用される特定の一酸化窒素供与体に依存して、0.01mg/kg乃至100mg/kgである。一酸化窒素供与体がSIN−1である場合、一日の用量は、0.01mg/kg乃至40mg/kgであり、好ましくは0.15mg/kgである。糖尿病薬の一日の用量は、使用される特定の糖尿病薬に依存するであろう。薬物がグリピジドである場合、一日の用量は、0.1mg/kg乃至10mg/kgであり、より好ましくは1mg/kg乃至5mg/kgである。糖尿病薬がアカルボースである場合、一日の用量は、1mg/kg乃至100mg/kgであり、好ましくは10mg/kg乃至40mg/kgである。糖尿病薬がメトホルミンである場合、一日の用量は、10mg/kg乃至1000mg/kgであり、好ましくは50mg/kg乃至200mg/kgである。糖尿病薬がピオグリタゾンである場合、一日の用量は、0.1mg/kg乃至10mg/kgであり、好ましくは0.5mg/kg乃至5mg/kgである。糖尿病薬がレパグリニドである場合、一日の用量は、0.1mg/kg乃至10mg/kgであり、好ましくは0.5mg/kg乃至5mg/kgである。
【0070】
コリン作動薬を含む製薬組成物に対して、コリン作動薬の一日の用量は、使用される特定のコリン作動薬に依存するであろう。コリン作動薬がベタネコールである場合、一回量は、0.01mg乃至100mgであり、好ましくは0.1mg乃至10mgである。コリン作動薬がベタネコールである場合、一回量は、0.01mg乃至100mgであり、好ましくは0.1mg乃至10mgである。糖尿病薬の量は上記した量に類似する。糖尿病薬がN−アセチルシステインである場合、一回量は、100mg乃至5gであり、好ましくは500mg乃至1gである。製薬組成物は、食後のような血中グルコース濃度が高い場合に、その際にグルコースの取り込みを可能にするために、その値が最高となるように投与される。併用薬剤は、コリン作動薬及び/又は一酸化窒素供与体と、糖尿病薬とを含む一つの丸薬に製剤化され得る。代替的に、適切な用量の糖尿病薬及び/又はコリン作動薬と、一酸化窒素供与体とを含む複数の丸薬を含むキットが使用され得る。同キットは、例えば、パッケージに印刷されるか、同パッケージと共に含まれる指示書を含む「ブリスターパック(blister pack)」のようなものであるが、それに限定されるものではない。
【0071】
本発明の製薬組成物は、患者の肝臓に標的化され、それにより全身性の有害な作用が排除される。製薬組成物は、肝臓へ優先的に送達するために胆汁塩又はアルブミンと組み合わせられ得る。代替的に、製薬組成物は、肝臓に優先的に標的化されるリポソームにカプセル化される。本発明の製薬組成物は、活性型にて投与されるか、或いは肝臓中の酵素により活性型となるように代謝される前駆体として投与される。製薬組成物が肝臓に標的化される場合、用量は低減される。
【0072】
本発明は例示的な実施形態を参照して記載されてきたが、本発明はこれらの詳細な実施形態に制限されるものではなく、種々の変更及び修正が本明細書において当業者によりなされることは理解されるべきである。そのような変更及び修正は、添付された特許請求の範囲に包含されるべきこと意図されている。
【実施例1】
【0073】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するベタネコールとN−アセチルシステインの効果
動物群
220.0g以上の開始体重を有する雄のSprague−Dawley系ラット(カナダ国ケベック州セントコンスタントに所在のチャールズリバー社)に35%のショ糖溶液に2週間さらしたものとさらしていないものに、通常のラットの食餌と通常の水道水とを給餌した。6群の動物は以下の処置を施した:(1)対照食、生理食塩水の処置(n=6)、(2)対照食、ベタネコール(0.5μg/kg ipv)及びN−アセチル−L−システイン(200mg/kg)での処置(n=8)、(3)対照食、ベタネコール(0.5μg/kg ipv)(n=5)、(4)対照食、N−アセチル−L−システイン(200mg/kg)(n=4)、(5)ショ糖食、生理食塩水の処置(n=4)、(6)ショ糖食、ベタネコール(0.5μg/kg ipv)及びN−アセチル−L−システイン(200mg/kg)での処置(n=5)、(7)ショ糖食、ベタネコール(0.5μg/kg ipv)(n=6)、及び(8)ショ糖食、N−アセチル−L−システイン(200mg/kg)(n=3)。
【0074】
方法
全ての動物は24時間絶食させた。動物は標準RIST外科調製を用いて調製した。ペントバルビタールナトリウム(65mg/kg;オンタリオ州、MTCファーマシューティカルズ(Pharmaceuticals)社のSomnotol)の腹腔内注射にて麻酔した。実験中は、必要に応じて0.65mg(0.01ml)のボーラス注射で補いながら、頸部静脈にカニューレにより供給されたペントバルビタールナトリウム(50μl/分にて与えられた0.5mg/mlの生理食塩水)の連続注入にて麻酔状態が維持された。温度の制御された外科用テーブル(イギリス国ケントに所在のハーバードアパレータス(Harvard Apparatus)社)にラットを置いて、直腸の体温を監視して37乃至37.5℃に保持した。気管チューブにより自発呼吸は可能であった。
【0075】
平均動脈圧(MAP)、血中グルコースレベルを監視して、薬物を送達するために、これまでに記載したように、動脈−静脈シャントを確立した(ラウト WWら、Can J Physiol Pharmacol.、76(12):1080−6頁、1998年)。要約すると、一方が右側の大腿動脈に挿入され他方が右側の大体静脈に挿入された二つのカテーテル(ポリエチレンチューブPE60)が、シリコンチューブを用いて連結されたTチューブからなる三方血管回路の二つの開口部に連結された。同回路の3番目の開口部はシャント圧を記録するために圧力トランスデューサに接続され、回路の静脈側に向かうシリコンチューブをクランプにて閉じると、全身動脈血圧を示す。グルコースを測定するために、シャントの動脈側から血液試料をサンプリングした。シャント内に血液が流れることにより、血中グルコース濃度をリアルタイムにて測定することが可能となり、それは以下に述べるような正常血糖クランプ法においては必要不可欠である。薬物を送達するために、ループの静脈側に注入ラインが挿入された。頸部静脈に連結される別の注入ラインがグルコース注入のために設定された。血管ループ内での凝血を防ぐために動物にヘパリン投与を実施した(100IU/kg)。
【0076】
標準RIST外科調製に加えて、門脈内穿刺(21g×19.05mm(3/4インチ))及びIG穿刺(22ゲージ、25.4mm(1インチ)のivカテーテルが胃内に挿入され、その場所に固定された)を用いて開腹を実施した。
【0077】
対照RISTは既に述べたように実施した(ラウト WWら、Can J Physiol Pharmacol.、76(12):1080−6頁、1998年)。要約すると、外科的処置完了後、動物を30分の安定化期間においた。次に5分間隔にて採取されたサンプルによりベースラインのグルコースレベルを決定し、3回の連続した安定な結果が得られるまで続けた。これら3回のデータ地点の平均をRISTにおけるベースラインとみなした。RISTを実施するために、ヒトインスリン(0.5mlの生理食塩水に50mU/kg)を0.1ml/分の速度で5分間大腿静脈に注入した。インスリンを注入して1分後、最初の試験用グルコースサンプルを決定し、可変グルコース注入(10%)を開始した。血液サンプルは2分毎に採取され、グルコース注入速度は、正常血糖を維持するためにその結果に応じて調整された。RIST指数は、更なるグルコース注入を必要としなくなった場合に終了するという試験期間(おおよそ30分)にわたり、正常血糖を維持するために注入されたグルコースの量(mg/kg)である。RISTの終了時には、動物は試験前の血糖レベルにある。
【0078】
試験する群に応じて、ベタネコール或いはそれと当量の生理食塩水をipv(0.5mlボーラス、0.05ml/分の速度+カテーテルデッドスペース量に対して0.03ml)投与した。試験する群に応じて、N−アセチルシステイン或いはそれと当量の生理食塩水をiv(1.0mlボーラス、0.1ml/分の速度)投与した。薬物投与の開始から、60分間動物を休ませた。動物に、胃内注入により混合液体食(10ml/kg)を投与した(1.0ml/分、カテーテルのデッドスペースの容量のために0.1mlの試験食を加えた)。血中グルコースサンプルを、最低90分間、5分ごとに採取し、試験食に対する血糖反応をグラフ化した。安定した血糖が達成されると、第二のRISTを実施した。肝臓サンプルは、グルタチオンを決定するために採取した。
【0079】
結果
図1及び表5に示されるように、ベタネコール及びN−アセチルシステインで処理されたラットは、対照ラットと比較してRISTにおいて最も大きな増強作用を示した。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにベタネコール又はN−アセチルシステインのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示した。
【0080】
【表1】

【実施例2】
【0081】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するベタネコールとグリピジドの効果
実験は、N−アセチルシステインをグリピジドに代えて実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにベタネコール又はグリピジドのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例3】
【0082】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するベタネコールとアカルボースの効果
実験は、N−アセチルシステインをアカルボースに代えて実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにベタネコール又はアカルボースのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例4】
【0083】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するベタネコールとメトホルミンの効果
実験は、N−アセチルシステインをメトホルミンに代えて実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにベタネコール又はメトホルミンのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例5】
【0084】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するベタネコールとピオグリタゾンの効果
実験は、N−アセチルシステインをピオグリタゾンに代えて実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにベタネコール又はピオグリタゾンのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例6】
【0085】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するベタネコールとレパグリニドの効果
実験は、N−アセチルシステインをレパグリニドに代えて実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにベタネコール又はレパグリニドのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例7】
【0086】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するネオスチグミンとN−アセチルシステインの効果
実験は、ベタネコールをネオスチグミンに代えて実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにネオスチグミン又はN−アセチルシステインのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例8】
【0087】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1とグリピジドの効果
実験は、ベタネコールをSIN−1に代えて、N−アセチルシステインをグリピジドに代えて、実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにSIN−1又はグリピジドのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例9】
【0088】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1とアカルボースの効果
実験は、ベタネコールをSIN−1に代えて、N−アセチルシステインをアカルボースに代えて、実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにSIN−1又はアカルボースのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例10】
【0089】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1とメトホルミンの効果
実験は、ベタネコールをSIN−1に代えて、N−アセチルシステインをメトホルミンに代えて、実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにSIN−1又はメトホルミンのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例11】
【0090】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1とピオグリタゾンの効果
実験は、ベタネコールをSIN−1に代えて、N−アセチルシステインをピオグリタゾンに代えて、実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにSIN−1又はピオグリタゾンのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例12】
【0091】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1とレパグリニドの効果
実験は、ベタネコールをSIN−1に代えて、N−アセチルシステインをレパグリニドに代えて、実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにSIN−1又はレパグリニドのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例13】
【0092】
高ショ糖食により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するザプリナストとN−アセチルシステインの効果
実験は、ベタネコールをザプリナストに代えて実施例1に従って実施される。併用療法は、ショ糖食ラットのインスリン感受性を回復するためにザプリナスト又はN−アセチルシステインのいずれか単独投与の場合よりも大きな効果を示す。
【実施例14】
【0093】
肝臓の脱神経により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1とベタネコールの効果
動物を実施例1に従って準備した。対照RISTを行った。反応は通常の範囲内である。次に、肝臓動脈に沿って肝臓に到達する肝神経の外科的な脱神経後にRISTを実施し、指数はインスリン抵抗性を示す。インスリン投与の10分前から開始して、2.5mg/kg/分の速度にて門脈注入によりベタネコールを投与し、試験期間全体にわたって続けた。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転(reversal)を示す。
【0094】
第二の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0095】
第三の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。最初に上記に記載したようにベタネコールを投与した。試験期間終了の5分前に、2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。得られたRIST指数はベタネコール及びSIN−1の各々が単独で与えられた場合よりもインスリン抵抗性のより大きな逆転を示す。
【実施例15】
【0096】
肝臓の脱神経により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1、ベタネコール及び5mg/kgのグリピジドの効果
動物を実施例1に従って準備した。対照RISTを行った。反応は通常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施した。インスリン投与の10分前から開始して、2.5mg/kg/分の速度にて門脈注入によりベタネコールを投与し、試験期間全体にわたって続けた。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0097】
第二の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0098】
第三の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。最初に上記に記載したようにベタネコールを投与した。試験期間終了の5分前に、2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。試験期間終了の30秒前に、5mg/kgのグリピジドのボーラス注入を与えた。RISTが実施され、結果はベタネコール及びSIN−1の各々が単独で与えられた場合よりもより大きなインスリン抵抗性であった。
【実施例16】
【0099】
肝臓の脱神経により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1、ベタネコール及び2.5mg/kgのグリピジドの効果
動物を実施例1に従って準備した。対照RISTを行った。反応は通常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施した。インスリン投与の10分前から開始して、2.5mg/kg/分の速度にて門脈注入によりベタネコールを投与し、試験期間全体にわたり続けた。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0100】
第二の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0101】
第三の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。最初に上記に記載したようにベタネコールを投与した。試験期間終了の5分前に、2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。試験期間終了の30秒前に、2.5mg/kgのグリピジドのボーラス注入を与えた。RISTが実施され、結果はベタネコール及びSIN−1の各々が単独で与えられた場合よりもより大きなインスリン抵抗性であった。
【実施例17】
【0102】
肝臓の脱神経により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1、ベタネコール及び2.5mg/kgのグリピジドの効果
動物を実施例1に従って準備した。対照RISTを行った。反応は通常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施した。インスリン投与の10分前から開始して、2.5mg/kg/分の速度にて門脈注入によりベタネコールを投与し、試験期間全体にわたり続けた。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0103】
第二の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0104】
第三の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。最初に上記に記載したようにベタネコールを投与した。試験期間終了の5分前に、2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。試験期間終了の30秒前に、1.25mg/kgのグリピジドのボーラス注入を与えた。RISTが実施され、結果はベタネコール及びSIN−1の各々が単独で与えられた場合よりもより大きなインスリン抵抗性であった。
【実施例18】
【0105】
肝臓の脱神経により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1、ベタネコール及びアカルボースの効果
動物を実施例1に従って準備した。対照RISTを行った。反応は通常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施した。インスリン投与の10分前から開始して、2.5mg/kg/分の速度にて門脈注入によりベタネコールを投与し、試験期間全体にわたり続けた。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0106】
第二の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0107】
第三の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。最初に上記に記載したようにベタネコールを投与した。試験期間終了の5分前に、2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。試験期間終了の30秒前に、40mg/kg、20mg/kg又は10mg/kgのアカルボースのボーラス注入を与えた。RISTが実施され、結果はベタネコール及びSIN−1の各々が単独で与えられた場合よりもより大きなインスリン抵抗性であった。低い用量のアカルボースは、高い用量のものと同程度に効果的であった。
【実施例19】
【0108】
肝臓の脱神経により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1、ベタネコール及びメトホルミンの効果
動物を実施例1に従って準備した。対照RISTを行った。反応は通常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施した。インスリン投与の10分前から開始して、2.5mg/kg/分の速度にて門脈注入によりベタネコールを投与し、試験期間全体にわたり続けた。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0109】
第二の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0110】
第三の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。最初に上記に記載したようにベタネコールを投与した。試験期間終了の5分前に、2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。試験期間終了の30秒前に、200mg/kg、100mg/kg又は50mg/kgのメトホルミンのボーラス注入を与えた。RISTが実施され、結果はベタネコール及びSIN−1の各々が単独で与えられた場合よりもより大きなインスリン抵抗性であった。低い用量のメトホルミンは、高い用量のものと同程度に効果的であった。
【実施例20】
【0111】
肝臓の脱神経により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1、ベタネコール及びピオグリタゾンの効果
動物を実施例1に従って準備した。対照RISTを行った。反応は通常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施した。インスリン投与の10分前から開始して、2.5mg/kg/分の速度にて門脈注入によりベタネコールを投与し、試験期間全体にわたり続けた。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0112】
第二の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0113】
第三の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。最初に上記に記載したようにベタネコールを投与した。試験期間終了の5分前に、2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。試験期間終了の30秒前に、3mg/kg、1.5mg/kg及び0.75mg/kgのピオグリタゾンのボーラス注入を与えた。RISTが実施され、結果はベタネコール及びSIN−1の各々が単独で与えられた場合よりもより大きなインスリン抵抗性であった。低い用量のピオグリタゾンは、高い用量のものと同程度に効果的であった。
【実施例21】
【0114】
肝臓の脱神経により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するSIN−1、ベタネコール及びレパグリニドの効果
動物を実施例1に従って準備した。対照RISTを行った。反応は通常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施した。インスリン投与の10分前から開始して、2.5mg/kg/分の速度にて門脈注入によりベタネコールを投与し、試験期間全体にわたり続けた。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0115】
第二の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0116】
第三の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。最初に上記に記載したようにベタネコールを投与した。試験期間終了の5分前に、2分間、10.0mg/kg/分の速度にて門脈注入によりSIN−1を投与した。試験期間終了の30秒前に、3mg/kg、1.5mg/kg及び0.75mg/kgのレパグリニドのボーラス注入を与えた。RISTが実施され、結果はベタネコール及びSIN−1の各々が単独で与えられた場合よりもより大きなインスリン抵抗性であった。低い用量のレパグリニドは、高い用量のものと同程度に効果的であった。
【実施例22】
【0117】
肝臓の脱神経により発生したインスリン抵抗性を患うラットのインスリン感受性に対するベタネコール、NAC及びレパグリニドの効果
動物を実施例1に従って準備した。対照RISTを行った。反応は通常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施した。インスリン投与の10分前から開始して、2.5mg/kg/分の速度にて門脈注入によりベタネコールを投与し、試験期間全体にわたり続けた。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0118】
第二の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。2分間、0.1mL/分の速度にて門脈注入によりNAC(200mg/mL)を投与した。得られたRIST指数はインスリン抵抗性の逆転を示す。
【0119】
第三の動物について、対照RISTを実施した。反応は正常の範囲内である。次に、外科的な脱神経後にRISTを実施して、RIST指数は重度のインスリン抵抗性を示す。最初に上記に記載したようにベタネコールを投与した。試験期間終了の5分前に、2分間、0.1mL/分の速度にて門脈注入によりNACを投与した。試験期間終了の30秒前に、3mg/kg、1.5mg/kg及び0.75mg/kgのレパグリニドのボーラス注入を与えた。RISTが実施され、結果はベタネコール及びNACの各々が単独で与えられた場合よりもより大きなインスリン抵抗性であった。低い用量のレパグリニドは、高い用量のものと同程度に効果的であった。
【実施例23】
【0120】
薬品未投与の前糖尿病の男性におけるベタネコールとN−アセチルシステインの高血糖制御
目的
食後高血糖の制御におけるベタネコールとn−アセチル−システイン(NAC)の併用療法の効果を決定すること。
【0121】
試験設計の要約
試験は非盲検試験である。被験者は40乃至60歳の前糖尿病症状の男性である。試験は、少なくとも20人の男性について行い、少なくとも12週間にわたる治療期間にて実施した。患者は、好ましくは、3回の主たる食事の1時間前に二つの化合物を摂取する。試験された結果は、HbA1cレベルが、0.9%より大きい又は7.5%未満の低減、空腹時グルコースの110mg/dL未満までの減少であり、高血糖/高インスリン血症の食後の制御を改善し、脂質のプロファイル(遊離脂肪酸、TGs及びHDL/LDL、コレステロール)を改善し、血圧の低下、体重の減少及び肝機能における影響を示した。
【0122】
試験対象患者基準
被験者は、40乃至60歳の男性被験者であり、インフォームドコンセントを与えることが可能であり、軽度から中程度の2型糖尿病を伴っている(8%より大きなHBA1cレベル、110mg/dLより大きい空腹時グルコースレベルを有する)が、それ以外は良好な正常な健康状態であり、その他の重篤な疾病を伴っておらず、血圧は160/90であり、標的となる臓器に損傷が認められなかった。
【0123】
終末器官の損傷は、増殖性網膜症、2より大きい血清クレアチニン濃度、虚血性心疾患、うっ血性心不全、末梢血管疾患及び末梢神経傷害を含む。
除外基準
除外基準としては以下のものが含まれる:吸収不良又は慢性下痢のような重度の消化異常、肝疾患、肺疾患、虚血性心疾患、心不全、卒中、末梢血管疾患、高血圧(160/90を超えるBP)及び貧血(30未満のヘマトクリット値)を含む(それに限定されるものではないが)重度の臓器機能不全、その他の重度の又は慢性の疾病、重度の又は慢性の疾病の病歴、腎臓傷害(腎不全、2を超える血清クレアチニン)、眼傷害(増殖性網膜症)、糖尿病性神経障害、冠状動脈疾患又は末梢血管疾患のような糖尿病に起因する任意の重症合併症、喫煙、アルコール又は薬物乱用、インスリン治療、HIV又は肝炎(B型又はC型)スクリーニング試験(被検者はこれらの試験の結果を通知されるであろう)での陽性。
【0124】
降圧薬の投薬を受けている患者は、たとえ血圧が良好に制御されていたとしても除外される。その理由は、降圧薬は試験食の摂取時に血中グルコースに影響を与え、交絡変数を導入することになるからである。
【0125】
試験設計
12週間の試験中に患者は4度診療所を訪れる。最初の訪問時(試験開始前)に、採血により患者のベースラインレベルを測定した。実施された試験は:空腹時グルコース、TGs、AST、ALT、総ビリルビン、アルカリフォスファターゼ、HDL、LDL、総コレステロール、遊離脂肪酸、空腹時インスリン、C−ペプチド及びHbA1c。次に、患者は、モデル食(10gのタンパク質、4gの脂質及び41の炭水化物を含む237ml)としてバニラ味の標準的な缶を用いて食物耐性試験を実施する。血液サンプルは留置カテーテルにより採取され、分析に送られた。スケジュールは以下のとおりである。
【0126】
【表2】

患者は薬を受け取って、自宅へ持ち帰る。薬(ベタネコール及びN−アセチルシステイン)は、朝食、昼食及び夕食の一時間前に摂取する。
【0127】
開始の日から4週間後に2回目の訪問をする。医師は患者の血圧、体重及びグルコースをチェックする。患者の生活にその他任意の大きな変化があったか否かを調べるために患者に簡単な質問事項に回答してもらう。残った薬は医師に返し、その数を数え、次の4週間分の新たな薬を与える。
【0128】
8週間後に3回目の訪問をする。安全な訪問時に、医師は患者の血圧、体重及びグルコースを再びチェックする。患者の生活にその他任意の大きな変化があったか否かを調べるために患者に簡単な質問事項に回答してもらう。残った薬は医師に返し、その数を数え、次の4週間分の新たな薬を与える。
【0129】
12週目に当たる4回目の訪問時に、最初の訪問時の手順全体を繰り返す。患者から血液を採取する前に、同患者は併用療法を実施し、液体試験食を飲む。患者は再び質問事項に回答する。
【0130】
結果
併用療法は、食事の前に摂取された場合、評価項目の少なくとも一つに肯定的な影響を与える。
【0131】
参考文献
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Xie H及びLautt WW(1995年)、Induction of Insulin resistance by cholinergic blockade with atropine in the cat.、J auton pharmacol、15、361−369頁。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】種々のコリン作動薬の化学構造を示す。
【図2】種々のアレコリン類似体コリン作動薬の化学構造を示す。
【図3】コリン作用を有する種々のスピロピペリジン及びスピロキヌクリジンの化学構造を示す。
【図4】コリン作用を有するアセチルコリンの種々の強固な類似体の化学構造を示す。
【図5】種々のオキソトレモリン及びピロカルピンコリン作動薬の化学構造を示す。
【図6】対照食ラット及びショ糖食ラットにおける食餌に誘導されたインスリン感受性に対するベタネコールとN−アセチルシステインの併用療法の効果を比較するグラフである。
【図7】肝臓における副交感神経シグナルの機構的経路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)肝臓副交感神経緊張度の調節剤と、(b)少なくとも一つの糖尿病薬と、(c)製薬的に許容可能な担体と、からなる製薬組成物。
【請求項2】
前記肝臓副交感神経緊張度の調節剤はコリン作動薬である、請求項1に記載の製薬組成物。
【請求項3】
前記肝臓副交感神経緊張度の調節剤はNO供与体及びNOS刺激薬からなる群より選択される、請求項1に記載の製薬組成物。
【請求項4】
前記肝臓副交感神経緊張度の調節剤はコリン作動薬であり、かつベタネコール、アセチルコリン、ドネペジル、タクリン、エドロホニウム、デメカリウム、ピリドスチグミン、ザナペジル、フォスフォリン、メトリフォネート、ネオスチグミン、フェンセリン及びガラタミン、コリン作動薬、メタコリン、BIBN99、DIBD、SCH−57790、SCH−217443、SCH−72788、アレコリン、アレコリン類似体、キサノメリン、アルバメリン、ミラメリン、RU47213、サブコメリン、PD−151832、CDD−0034−C、CDD−0102、スピロピペリジン、スピロキヌクリジン、ムスカリン、シス−ジオキソラン、RS86、AF−30、オクビメリン、AF150(S)、AF267B、SDZ210−086、YM−796、アセチルコリンの強固な類似体、アクリジン、タサクリジン、オキソトレモリン、オキソトレモリン類似体、ピロカルピン、ピロカルピン類似体、チオピロカルピン、そのニトロシレート誘導体、からなる群より選択される、請求項2に記載の製薬組成物。
【請求項5】
前記肝臓副交感神経緊張度の調節剤はNO供与体であり、かつ有機硝酸塩、有機亜硝酸塩、金属−NO錯体、N−ニトロソアミン、N−ヒドロキシニトロソアミン、ニトロソチオール、C−ニトロ化合物、ジアゼチンジオキサイド、フロキサン、ベンゾフロキサン、オキサトリアゾール−6−イミン、シドノイミン、オキシミン、ヒドロキシルアミン、N−ヒドロキシグアニジン、ヒドロキシウレア、それらのニトロシレート誘導体、それらの製薬的な塩、及びそれらの混合物、からなる群より選択される請求項3に記載の製薬組成物。
【請求項6】
前記少なくとも一つの糖尿病薬は、グルタチオン増加化合物、抗酸化剤、インスリン若しくはインスリン類似体、α−アドレナリン受容体拮抗薬、β−アドレナリン受容体拮抗薬、非選択的なアドレナリン受容体拮抗薬、スルホニル尿素、ビグアニド剤、安息香酸誘導体、α−グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、フォスフォジエステラーゼ阻害剤、コリンエステラーゼ拮抗薬、GLP−1類似体及びそれらの製薬的な塩、からなる群より選択される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製薬組成物。
【請求項7】
前記グルタチオン増加化合物は、N−アセチルシステイン、システインエステル、L−2−オキソチアゾリジン−4−カルボキソレート(OTC)、ガンマグルタミルシステイン及びそのエチルエステル、グルタチオンエチルエステル、グルタチオンイソプロピルエステル、α−リポ酸、オキサチアゾリジン−4−カルボン酸、システイン、メチオニン及びS−アデノシルメチオニンからなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項8】
前記抗酸化剤は、ビタミンE、ビタミンC、イソフラボン、亜鉛、セレン、エブセレン及びカロテノイドからなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項9】
前記インスリン若しくはインスリン類似体は、標準インスリン、レンテインスリン、セミレンテインスリン、ウルトラレンテインスリン、NHP及びヒューマログからなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項10】
前記GLP−1類似体は、エキセナチド、DAC:GLP−1(CJC−1131)、リラグルチド、ZP10、BIM51077、LY315902及びLY307161(SR)からなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項11】
前記α−アドレナリン受容体拮抗薬は、プラゾシン、ドキサゾシン、フェノキシベンザミン、テラゾシン、フェントラミン、ラウォルシン、ヨヒミン、トラゾリン、タムスロシン、カルベジロール及びテラゾシン、からなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項12】
前記β−アドレナリン受容体拮抗薬は、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、メトプロロール、ナドロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパノロール、チモロール、塩酸ドブタミン、アルプレノロール、ブノロール、ブプラノロール、カラゾロール、エパノロール、モロプロロール、オクスプレノロール、パマトロール、タリノロール、チプレノロール、トラモロール及びトリプロロールからなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項13】
前記非選択的なアドレナリン受容体拮抗薬は、カルベジロール及びラベトロールからなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項14】
前記スルホニル尿素は、トラザミド、トルブタミド、クロロプロパミド、アセトヘキサミド、グリブリド、グリピジド及びグリメピリドからなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項15】
前記ビグアニド剤はメトホルミンである、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項16】
前記安息香酸誘導体はレプラグリニドである、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項17】
前記α−グルコシダーゼ阻害剤はアカルボース及びミグリトールからなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項18】
前記チアゾリジンジオンは、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン及びトログリタゾンからなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項19】
前記フォスフォジエステラーゼ阻害剤は、アナグレライド、タダラフィル、ジピリダモール、ダイフィリン、バルデナフィル、シロスタゾール、ミルリノン、テオフィリン及びカフェインからなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項20】
前記コリンエステラーゼ拮抗薬は、ドネペジル、タクリン、エドロホニウム、デメカリウム、ピリドスチグミン、ザナペジル、フォスフォリン、メトリフォネート、ネオスチグミン、フェンセリン及びガラタミンからなる群より選択される、請求項6に記載の製薬組成物。
【請求項21】
前記コリン作動薬はベタネコールであり、かつ前記糖尿病薬はN−アセチルシステインである、請求項2に記載の製薬組成物。
【請求項22】
前記コリン作動薬はベタネコールであり、かつ前記糖尿病薬はα−リポ酸である、請求項2に記載の製薬組成物。
【請求項23】
(a)アセチルコリンエステラーゼ拮抗薬と、(b)グルタチオン増加化合物と、(c)製薬的に許容可能な担体と、からなる製薬組成物。
【請求項24】
前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、フェンセリン、ドネペジル、ガラタミン、リバスチグメ、タクリン、フィソスチグミン、ネオスチグミン、エドロホニウム、ピリドスチグミン、デメカリウム、フォスフォリン、メトリフォネート、ザナペジル、アンベノニウム及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項23に記載の製薬組成物。
【請求項25】
前記グルタチオン増加化合物はN−アセチルシステインである、請求項23又は24に記載の製薬組成物。
【請求項26】
(a)フォスフォジエステラーゼ拮抗薬と、(b)グルタチオン増加化合物と、(c)製薬的に許容可能な担体と、からなる製薬組成物。
【請求項27】
前記フォスフォジエステラーゼ拮抗薬は、アナグレライド、タダラフィル、ジピリダモール、ダイフィリン、バルデナフィル、シロスタゾール、ミルリノン、テオフィリン、シルデナフィル、カフェイン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項26に記載の製薬組成物。
【請求項28】
前記グルタチオン増加化合物はN−アセチルシステインである、請求項25又は26に記載の製薬組成物。
【請求項29】
前記グルタチオン増加化合物はα−リポ酸である、請求項25又は26に記載の製薬組成物。
【請求項30】
請求項1乃至29のいずれか一項に記載の製薬組成物は、製薬的に許容される肝臓標的物質を更に含む、製薬組成物。
【請求項31】
前記肝臓標的物質は、アルブミン、リポソーム及び胆汁塩からなる群より選択される、請求項30に記載の製薬組成物。
【請求項32】
2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、末梢動脈疾患、慢性腎不全及び急性腎不全からなる群より選択される疾病を治療又は予防するために請求項1乃至31のいずれか一項に従う製薬組成物を使用する方法。
【請求項33】
2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、末梢動脈疾患、慢性腎不全及び急性腎不全からなる群より選択される疾病を治療又は阻止するための方法であって、請求項1乃至31のいずれか一項に記載の製薬組成物の治療上有効な量を投与する工程を含む、方法。
【請求項34】
2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、末梢動脈疾患、慢性腎不全及び急性腎不全からなる群より選択される疾病を治療又は予防するための方法であって、肝臓副交感神経緊張度調節剤の治療上有効な量と少なくとも一つの糖尿病薬の治療上有効な量とを投与する工程を含む方法。
【請求項35】
前記肝臓副交感神経緊張度の調節剤はコリン作動薬であり、かつ前記糖尿病薬はグルタチオン増加化合物である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記コリン作動薬はベタネコールであり、かつ前記グルタチオン増加化合物はN−アセチルシステインである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記コリン作動薬はベタネコールであり、かつ前記グルタチオン増加化合物はα−リポ酸である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、末梢動脈疾患、慢性腎不全及び急性腎不全からなる群より選択される疾病を治療又は阻止するための方法であって、治療上有効な量のアセチルコリンエステラーゼ拮抗薬と治療上有効な量のグルタチオン増加化合物とを投与する工程を含む、方法。
【請求項39】
2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、末梢動脈疾患、慢性腎不全及び急性腎不全からなる群より選択される疾病を治療又は阻止するための方法であって、治療上有効な量のフォスフォジエステラーゼ拮抗薬をグルタチオン増加化合物とともに投与する工程を含む、方法。
【請求項40】
前記グルタチオン増加化合物はN−アセチルシステインである、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
請求項1乃至31のいずれか一項に記載の製薬組成物と、2型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高脂血症、高インスリン血症、糖代謝異常、肥満、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、X症候群、高血圧、心臓疾患、心循環器疾患、卒中、内皮細胞機能不全、うっ血性心不全、狭心症、慢性腎不全及び急性腎不全からなる群より選択される疾病の症状を改善するために同製薬組成物を投与するための用法に関する指示書と、から組み合わせられたキット。
【請求項42】
前記糖尿病薬は、抗酸化剤、インスリン若しくはインスリン類似体、α−アドレナリン受容体拮抗薬、β−アドレナリン受容体拮抗薬、非選択的なアドレナリン受容体拮抗薬、スルホニル尿素、ビグアニド剤、チアゾリジンジオン、フォスフォジエステラーゼ阻害剤、コリンエステラーゼ拮抗薬、GLP−1類似体、グルタチオン増加化合物及びそれらの製薬的な塩、からなる群より選択され、前記キットは前記糖尿病薬に対するコンパートメントと前記肝臓副交感神経緊張度の調節剤に対する第二のコンパートメントとを提供し、かつ前記指示書は前記糖尿病に対する用法と、前記肝臓副交感神経緊張度の調節剤に対する第二の用法とを提供し、前記用法は前記第二の用法とは異なる、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
前記指示書は、前記製薬組成物を食事とともに投与する指示を含む、請求項41又は42に記載のキット。
【請求項44】
前記指示書は、食事の約30分前に組成物を投与する指示を含む、請求項41又は42に記載のキット。
【請求項45】
前記肝臓副交感神経緊張度の調節剤はベタネコールであり、かつ前記糖尿病薬はN−アセチルシステインである、請求項41乃至44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項46】
前記肝臓副交感神経緊張度の調節剤はベタネコールであり、かつ前記糖尿病薬はα−リポ酸である、請求項41乃至44のいずれか一項に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−538015(P2007−538015A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516916(P2007−516916)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000775
【国際公開番号】WO2005/112949
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(504284054)ディアメディカ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】DIAMEDICA INC.
【Fターム(参考)】