説明

インテグラーゼ阻害剤の調製のためのプロセスおよび中間体

本発明は、有用なインテグラーゼ阻害特性を有する4−オキソキノロン化合物を調製するために使用することができる合成プロセスおよび合成中間体を提供する。1つの実施形態においては、本発明は、式10(明細書に記載)の化合物またはその化合物の薬学的に許容可能な塩を調製するための方法を提供し、そこでは、式4(明細書に記載)の化合物またはその化合物の塩が調製されて、式10の化合物に変換され、その際、式4の化合物が、式15(明細書に記載)の化合物またはその化合物の塩から、臭素原子をカルボキシル基で置き換えるステップ、およびそのヒドロキシル基を水素原子で置き換えるステップにより調製されることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の優先権)
本出願は、米国特許法§119(e)の下、2007年9月11日に出願された米国仮特許出願第60/971,395号からの優先権を主張し、この仮出願の内容は、本明細書中でその全体を援用する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
特許文献1は、HIVインテグラーゼ阻害剤として有用な幾つかの4−オキソキノロン化合物を開示している。それらの化合物は抗HIV薬として有用であると報じられている。
【0003】
特許文献2は、これらの4−オキソキノロン化合物のうちの1つである6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−[(S)−1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル]−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノロン−3−カルボン酸の幾つかの特定の結晶性形状を開示している。それらの特定の結晶性形状は、その化合物の他の物理的形状に比べて、優れた物理的および化学的安定性を有していると報じられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/046115号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/113508号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(発明の要旨)
現在、国際特許出願公開公報WO第2004/046115号および国際特許出願公開公報WO第2005/113508号で報じられている4−オキソキノロン化合物を調製するための改善された方法に対するニーズが存在する。具体的には、もっと簡単もしくはもっと安価に実行することができ、高められた収量をもたらす、または有毒な試薬もしくは高価な試薬の使用を排除する、新たな合成方法に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、国際特許出願公開公報WO第2004/046115号および国際特許出願公開公報WO第2005/113508号で報じられている4−オキソキノロン化合物を調製するのに役立つ新規な合成プロセスおよび合成中間体を提供する。
【0007】
従って、1つの実施形態においては、本発明は、式10
【0008】
【化1】

の化合物またはその化合物の薬学的に許容可能な塩を調製するための方法を提供し、そこでは、式4
【0009】
【化2】

の化合物またはその化合物の塩が調製されて、式10の化合物に変換され、その際、式4の化合物が、式15
【0010】
【化3】

の化合物またはその化合物の塩から、臭素原子をカルボキシル基で置き換えるステップ、およびそのヒドロキシル基を水素原子で置き換えるステップにより調製されることを特徴としている。
【0011】
別の実施形態においては、本発明は、式15:
【0012】
【化4】

の化合物またはその化合物の塩を提供する。
【0013】
別の実施形態においては、本発明は、式15:
【0014】
【化5】

の化合物またはその化合物の塩を調製するための方法を提供し、その方法は、式14:
【0015】
【化6】

の対応する化合物を式15の化合物またはその化合物の塩に変換するステップを含む。
【0016】
別の実施形態においては、本発明は、式15a:
【0017】
【化7】

の化合物を提供し、その化合物は、4−オキソキノン化合物を調製するための中間体として有用である。
【0018】
別の実施形態においては、本発明は、式16:
【0019】
【化8】

の化合物を提供し、その化合物は、4−オキソキノン化合物を調製するための中間体として有用である。
【0020】
また、本発明は、4−オキソキノン化合物を調製するのに有用な、本明細書で開示されている他の合成プロセスおよび合成中間体も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(詳細な説明)
別な具合に記述されていない限り、以下の定義が用いられる:ハロはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。アルキルは直鎖状および分枝鎖状の両方の基を表すが、プロピルなどの個々のラジカルへの言及は、直鎖ラジカルおよび具体的に言及されているイソプロピルなどの分枝鎖異性体のみを包含する。
【0022】
当業者であれば、キラル中心を有する化合物は光学活性体およびラセミ体の形態で存在することが可能であり、また、そのような形態で単離することも可能であることが認識されよう。ある化合物は多形を呈することもあり得る。本発明はここで記述されている化合物のあらゆるラセミ体、光学活性体、多形体、互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの形態の混合物を調製するためのプロセスを包含していることを理解すべきであり、光学的に活性な形態を調製する仕方は当技術分野において広く知られている(例えば、ラセミ体の分割による方法、再結晶化法、光学的に活性な開始材料から合成する方法、キラル合成による方法、またはキラル固定相を用いてクロマトグラフィーにより分離する方法など)。
【0023】
ラジカル、置換基および範囲に対して以下でリストアップされている特定の意義および好適な意義は、例証を目的としたものにすぎない;それらの意義は、ラジカルおよび置換基に対する他の定められた意義または定められた範囲内における他の意義を除外するものではない。
【0024】
具体的に言うと、C−Cアルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、3−ペンチルまたはヘキシルであり得る。
【0025】
に対する特定の意義はメチルである。
【0026】
に対する特定の意義はメチルである。
【0027】
に対する特定の意義は1−イミダゾリルである。
【0028】
Rに対する特定の意義はエチルである。
【0029】
1つの実施形態においては、式4の化合物またはその化合物の塩は、式15の化合物またはその化合物の塩をメタル化(metalate)し、二酸化炭素で処理して、式3:
【0030】
【化9】

の化合物またはその化合物の塩をもたらし、その後、得られた式3の化合物を式4の化合物に変換することにより調製される。
【0031】
式15の化合物またはその化合物の塩は、例えば、式15a
【0032】
【化10】

の塩であってよい。
【0033】
別の実施形態においては、式15の化合物が式16
【0034】
【化11】

の化合物に変換され、その後、式4の化合物をもたらすべく、上で得られた式16の化合物がメタル化され、二酸化炭素で処理される。
【0035】
臭素原子をカルボキシル基で置き換える上述のステップはカルボキシル化ステップであることが認識されよう。このステップは、都合良くは、メタル化、例えば塩化イソプロピルマグネシウムまたは塩化イソプロピルマグネシウム塩化リチウム錯体での処理、それに続く二酸化炭素での処理により果たすことができる。
【0036】
また、ヒドロキシル基を水素原子で置き換える上述のステップは脱ヒドロキシル化ステップであることも認識されよう。このステップは、都合良くはトリフルオロ酢酸の存在下において、トリエチルシランなどのトリアルキルシランで処理することにより果たすことができる。
【0037】
本発明の別の実施形態においては、式15の化合物またはその化合物の塩が、式3:
【0038】
【化12】

の化合物またはその化合物の塩に変換される。例えば、式15の化合物またはその化合物の塩は、式3の化合物またはその化合物の塩をもたらすべく、式15の化合物またはその化合物の塩を(例えば塩化イソプロピルマグネシウムで処理することにより)メタル化し、二酸化炭素で処理することにより、式3の化合物またはその化合物の塩に変換することができる。
【0039】
本発明の別の実施形態においては、式3の化合物またはその化合物の塩が、式4:
【0040】
【化13】

の化合物またはその化合物の塩に変換される。
【0041】
本発明の別の実施形態においては、式4の化合物が、式5’:
【0042】
【化14】

の化合物またはその化合物の塩に変換され、ここで、式中のRは脱離基(例えばハロまたは1−イミダゾリルなど)である。化合物4のカルボン酸官能基は、適切な試薬で処理することにより、例えば適切な溶媒(例えばトルエンまたはテトラヒドロフラン)中における塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化シアヌルまたは1,1’−カルボニルジイミダゾールなどで処理することにより、活性種、例えば酸塩化物またはアシルイミダゾリド(化合物5’)などに変換することができる。式5’の化合物を後に式6の化合物に変換できることを条件として、あらゆる適切な脱離基Rをその分子に組み入れることができる。上述の反応は、都合良くは、テトラヒドロフラン中における約1当量の1,1’−カルボニルジイミダゾールを用いて実施することができる。1つの実施形態においては、式5’の化合物は、式5a
【0043】
【化15】

の化合物である。式4の化合物を1,1’−カルボニルジイミダゾールで処理することにより式5aの化合物に変換することもできる。
【0044】
本発明の別の実施形態においては、式5’の化合物またはその化合物の塩を、式6:
【0045】
【化16】

の化合物またはその化合物の塩に変換することができ、ここで、式中のRはC−Cアルキルである。1つの実施形態においては、式5’の化合物は、対応するモノアルキルマロナート塩で処理することにより、式6の化合物に変換される。モノアルキルマロナート塩の1つの例はマロン酸モノエチルエステルカリウム塩である。例えば、式5’の化合物を、適切な溶媒中において、約1〜5当量のモノアルキルマロナート塩および約1〜5当量のマグネシウム塩と化合させることができる。都合良くは、式5’の化合物を約1.7当量のマロン酸モノエチルエステルカリウム塩および約1.5当量の塩化マグネシウムと化合させることができる。適切な塩基、例えばトリエチルアミンまたはイミダゾールなどをその反応に加えることができる。上述の反応は、都合良くは、ある高められた温度(例えば約100±50℃)において、何らかの適切な技術により(例えばHPLCにより)反応の完了をモニタリングしながら実行することができる。反応が終了した後、あらゆる適切な技術を用いて(例えばクロマトグラフィーまたは結晶化により)化合物6を単離することができる。
【0046】
本発明の別の実施形態においては、式6の化合物またはその化合物の塩を、式7:
【0047】
【化17】

の対応する化合物に変換することができ、ここで、式中のRおよびRはそれぞれ独立してC−Cアルキルであり;RはC−Cアルキルである。化合物6は、ジメチルホルムアミドジアルキルアセタール(例えば、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール)またはトリアルキルオルトホルマートなどのホルマート基供与体で処理することにより、化合物7などの活性化されたアルキリデン類似体に変換することができる。その反応は高められた温度(例えば、約100±50℃)で実行することができる。また、この反応は、酸触媒、例えばアルカン酸、安息香酸、スルホン酸または鉱酸など加えることにより加速することが可能である。都合良くは、約500ppmから1%までの酢酸を使用することができる。この反応の進行状況が何らかの適切な技術により(例えば、HPLCにより)モニタリングされてよい。化合物7を単離してもよいし、または、以下で記述されているように、式8の化合物を調製するために化合物7を直接的に使用することもできる。
【0048】
本発明の別の実施形態においては、式7の化合物を、式8:
【0049】
【化18】

の対応する化合物に変換することができ、ここで、式中のRはC−Cアルキルである。化合物7は、化合物8をもたらすべく、(S)−2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール(S−バリノール、約1.1当量)と化合させることができる。この反応の進行状況が何らかの適切な技術により(例えば、HPLCにより)モニタリングされてよい。式8の化合物を単離してもよいし、または、以下で記述されているように、式9の化合物を調製するために式8の化合物を直接的に使用することもできる。
【0050】
別の実施形態においては、本発明は、式9:
【0051】
【化19】

の化合物[式中、RはC−Cアルキルである]を調製するための方法を提供し、その方法は、式8:
【0052】
【化20】

の対応する化合物を環化するステップを含む。化合物8は、シリル化試薬(例えば、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドまたはヘキサメチルジシラザン)で処理することにより、化合物9をもたらすべく環化することができる。その反応は、極性非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンまたはアセトニトリル)中において実施することができる。この反応を加速するために、塩(例えば、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウムまたは塩化マグネシウムなど)を加えることができる。典型的には、約0.5当量の塩化カリウムなどの塩が加えられる。もし都合のよい反応時間を得ることが必要な場合には、その反応を高められた温度(例えば、約100±20℃の温度)で実行することもできる。この反応の進行状況をあらゆる適切な技術により(例えば、HPLCにより)モニタリングすることができる。精密に検査する際には、シリル化試薬と化合物8のアルコール部分との反応により生じるシリルエーテルを加水分解するために酸を使用することができる。典型的な酸は、鉱酸、スルホン酸またはアルカン酸を含む。使用され得る1つの特定の酸は塩酸水溶液である。加水分解が終了した後、化合物9をあらゆる適切な方法により(例えばクロマトグラフィーにより、または結晶化により)単離することができる。上述の変換ステップにおいて、シリル化試薬はアルコールを一時的に保護し、その後、取り除かれる。これは、別々の保護ステップおよび脱保護ステップの必要性を排除し、これにより、その変換ステップの効率を高めることができる。
【0053】
本発明の別の実施形態においては、式9の化合物が、式10:
【0054】
【化21】

の化合物に変換される。化合物9は適切な塩基(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウム)で処理することにより化合物10に変換することができる。例えば、約1.3当量の水酸化カリウムを都合よく使用することができる。この反応は、例えばテトラヒドロフラン、メタノール、エタノールもしくはイソプロパノール、またはそれらの混合物などのあらゆる適切な溶媒中において実施されてよい。また、その溶媒は水も含むことができる。都合良くは、イソプロパノールと水との混合物を使用することができる。この反応の進行状況が何らかの適切な技術により(例えば、HPLCにより)モニタリングされてよい。最初に形成されたカルボキシラート塩は、酸(例えば塩酸または酢酸)で処理することにより中和することができる。例えば、約1.5当量の酢酸を都合よく使用することができる。中和後、あらゆる適切な技術を用いて(例えばクロマトグラフィーまたは結晶化により)化合物10を単離することができる。
【0055】
本発明の別の実施形態においては、式10の化合物は、式10の化合物を含む溶液に種結晶を加えることにより結晶化させることができる。国際特許出願公開公報WO第2005/113508号は、幾つかの特定の結晶性形状の6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−[(S)−1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル]−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノロン−3−カルボン酸を開示している。国際特許出願公開公報WO第2005/113508号の内容全体(特に、その出願公開公報の12−62ページを参照のこと)が参照により本明細書に組み入れられる。この出願公開公報においては、それらの特定の結晶性形状が、結晶形IIおよび結晶形IIIとして同定されている。結晶形IIは、X線粉末回折計で測定したときに、6.56、13.20、19.86、20.84、21.22および25.22の回折角2θ(°)に特性回折ピークを有するX線粉末回折パターンを有している。結晶形IIIは、X線粉末回折計で測定したときに、8.54、14.02、15.68、17.06、17.24、24.16および25.74の回折角2θ(°)に特性回折ピークを有するX線粉末回折パターンを有している。また、国際特許出願公開公報WO第2005/113508号は、約162.1℃の推定結晶化開始温度を有する結晶性形状の6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−[(S)−1−ヒドロキシメチル−2メチルプロピル]−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノロン−3−カルボン酸を調製する方法、更には、約70%を下回らない結晶純度を有する種結晶を調製する方法も開示している。従って、6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−[(S)−1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル]−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノロン−3−カルボン酸の種結晶は、場合によっては、国際特許出願公開公報WO第2005/113508号に記載されているようにして調製することもできる。有利には、以下のスキームIに描かれているプロセスは、付加的な精製ステップを伴うことなく(例えば、結晶形IIなどの他の多形体の事前形成を伴うことなく、または何らかの他の形態の事前精製を伴うことなく)、直接的に結晶化して結晶形IIIを与えることができる、化合物10の粗製混合物をもたらす(以下の実施例6参照)。
【0056】
ここで特定されている化合物が安定した酸性塩または塩基性塩を形成するのに充分な程度に塩基性または酸性である場合には、本発明は、そのような化合物の塩も提供する。そのような塩は、例えばそのような化合物を精製するための中間体として有用であり得る。有用な塩の例は、酸を用いて形成される有機酸付加塩、例えばトシラート、メタンスルホナート、アセタート、シトラート、マロナート、タルタラート、スクシナート、ベンゾアート、アスコルバート、α−ケトグルタラートおよびα−グリセロホスファートなどを含む。適切な無機塩も形成されてよく、そのような無機塩は、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩および炭酸塩を含む。
【0057】
それらの塩は、当技術分野において周知の標準的な手順を用いて得られてよく、例えばアミンなどの充分に塩基性の化合物を、アニオンを与える適切な酸と反応させることにより得ることができる。例えば、カルボン酸のアルカリ金属(例えばナトリウム、カリウムもしくはリチウム)塩またはアルカリ土類金属(例えばカルシウムもしくはマグネシウム)塩も生成することができる。
【0058】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例により例証する。
【0059】
式10のインテグラーゼ阻害剤は、以下のスキーム1に描かれているようにして調製することができる。
【0060】
スキーム1
【0061】
【化22】

【実施例】
【0062】
実施例1:化合物3の調製
【0063】
【化23】

化合物14(10g)を28mLのTHFおよび9mLのビスジメチルアミノエチルエーテルと化合させた後、0℃に冷却した。塩化イソプロピルマグネシウム(THF中における22.9mLの2.07M溶液)を加え、得られた混合物を夜通し室温に温めた。変換の様相を改善すべく、付加的な塩化イソプロピルマグネシウム(5mL)を加えた後、3−クロロ−2−フルオロベンズアルデヒド(4.4mL)を加えた。環境温度で2時間撹拌した後、塩化イソプロピルマグネシウム塩化リチウム錯体の38.6gの14重量%THF溶液を加えた。環境温度で夜通し撹拌した後、その反応混合物中にCOガスをバブリングした。変換が完了したときに、その反応を2M塩酸でpH<3にクエンチした。生じた相を分離し、有機相を酢酸エチルで抽出した。それらを合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗った。得られた有機相を濃縮し、生じた生成物をMTBEの付加により沈殿させた。そのスラリーをろ過し、得られた生成物を空気乾燥させることにより、化合物3がもたらされた:
【0064】
【化24】

実施例2:化合物4の調製
氷浴中において予め冷却されていたトリフルオロ酢酸(33.13g)にトリエチルシラン(6.83g)を加えた。温度を15℃以下に維持しながら、その混合物に化合物3(10g)を加えた。2時間撹拌した後、MTBEを加えてその生成物を沈殿させた。生じたスラリーをろ過し、得られた生成物を付加的なMTBEで洗った。乾燥させた後、9.12gの化合物4が単離された:
【0065】
【化25】

代替的に、化合物4を以下のようにして調製することもできる。
【0066】
氷浴中において予め冷却されていたトリフルオロ酢酸(49.02g)にトリエチルシラン(7.50g)を加えた。温度を15℃以下に維持しながら、その混合物に化合物3(14.65g)を加えた。1時間撹拌した後、147mLのメタノール中における17.63gの酢酸ナトリウムの溶液を加えた。得られた混合物を加熱して3時間還流させた後、0℃に冷却した。生じたスラリーをろ過し、得られた生成物を付加的なメタノールで洗った。乾燥させた後、12.3gの化合物4(収率、89.7%)が単離された:
【0067】
【化26】

実施例3:化合物5aの調製
イミダゾール(0.42g)および1,1’−カルボニルジイミダゾール(5.49g)を環境温度において30mLのTHF中でスラリー化した。化合物4(10g)を一度に加え、生じた混合物を、HPLCにより反応が完了するまで、環境温度で撹拌した。結果として生じたスラリーをろ過し、得られた固体をMTBEで洗った。その固体を乾燥させることにより、化合物5aがもたらされた:
【0068】
【化27】

実施例4:化合物6aの調製
イミダゾール(0.42g)および1,1’−カルボニルジイミダゾール(5.49g)を環境温度において30mLのTHF中でスラリー化した。化合物5a(10g)を一度に加え、生じた混合物を環境温度で4時間撹拌して化合物5aのスラリーを形成した。別のフラスコ内において、8.91gのマロン酸モノエチルエステルカリウム塩を40mLのTHF中でスラリー化した。塩化マグネシウム(4.40g)を加え、結果として生じたスラリーを55℃に90分間温めた。化合物5aのスラリーを塩化マグネシウム/マロン酸モノエチルエステルカリウム塩混合物へ移し、55℃で夜通し撹拌した。その後、得られた混合物を室温に冷却し、80mLの28重量%HPO水溶液を1滴ずつ加えることによりクエンチした。生じた相を分離し、有機相をNaHSO、KHCOおよびNaCl水溶液で連続的に洗った。その有機相を濃縮してオイル状にした後、エタノールを用いて共蒸発させた。結果として生じた固体を30mLのエタノールおよび6mLの水に溶解した。冷却することにより、化合物6aが結晶化された。得られた固体をろ過により単離し、その生成物をエタノール水溶液で洗った。乾燥後、化合物6aが得られた:
【0069】
【化28】

代替的に、化合物6aを以下のようにして調製することもできる。
【0070】
カルボニルジイミダゾール(10.99g)を環境温度において60mLのTHF中でスラリー化した。化合物4(20g)を一度に加え、生じた混合物を環境温度で30分間撹拌して化合物5のスラリーを形成した。別のフラスコ内において、15.72gのマロン酸モノエチルエステルカリウム塩を100mLのTHF中でスラリー化した。塩化マグネシウム(6.45g)を加え、結果として生じたスラリーを55℃に5時間温めた。化合物5のスラリーを塩化マグネシウム/マロン酸モノエチルエステルカリウム塩混合物へ移し、55℃で夜通し撹拌した。その後、得られた混合物を室温に冷却し、120mLの28重量%HPO水溶液上でクエンチした。生じた相を分離し、有機相をKHCOおよびNaCl水溶液で連続的に洗った。その有機相を濃縮してオイル状にした後、エタノールを用いて共蒸発させた。結果として生じた固体を100mLのエタノールおよび12mLの水に溶解した。冷却することにより、化合物6aが結晶化された。得られた固体をろ過により単離し、その生成物をエタノール水溶液で洗った。乾燥後、21.74gの化合物6a(収率、89%)が得られた:
【0071】
【化29】

実施例5:化合物9aの調製
化合物6a(20g)を6.6gのジメチルホルムアミドジメチルアセタール、66gのトルエンおよび0.08gの氷酢酸と共に撹拌した。生じた混合物を90℃に4時間温めた。その後、得られた混合物を環境温度に冷却し、5.8gの(S)−2−アミノ−3−メチル−1−ブタノールを加えた。得られた混合物を環境温度で1時間撹拌した後、濃縮して濃厚なオイルにした。ジメチルホルムアミド(36g)、塩化カリウム(1.8g)およびビス(トリメチルシリル)アセトアミド(29.6g)を加え、得られた混合物を90℃に1時間温めた。その混合物を室温に冷却し、200gのジクロロメタンで希釈した。希塩酸(44g、約1N)を加え、得られた混合物を環境温度で20分間撹拌した。生成された相を分離し、有機相を水、重炭酸ナトリウム水溶液および水で連続的に洗った。溶媒をアセトニトリルに換え、体積を160mLに調整した。その混合物を透明になるまで加熱し、僅かに冷却し、種を入れ、冷却して化合物9aを結晶化させた。得られた生成物をろ過により単離し、付加的な冷たいアセトニトリルで洗った。真空乾燥することにより、化合物9aがもたらされた:
【0072】
【化30】

代替的に、化合物9aを以下のようにして調製することもできる。
【0073】
化合物6a(50g)を17.5gのジメチルホルムアミドジメチルアセタール、90gのDMFおよび0.2gの氷酢酸と共に撹拌した。生じた混合物を65℃に3時間温めた。その後、得られた混合物を環境温度に冷却し、14.5gの(S)−2−アミノ−3−メチル−1−ブタノールおよび25gのトルエンを加えた。得られた混合物を環境温度で夜通し撹拌した後、蒸留により濃縮した。塩化カリウム(4.5g)およびビス(トリメチルシリル)アセトアミド(80.2g)を加え、得られた混合物を90℃に2時間温めた。その混合物を室温に冷却し、250gのジクロロメタンで希釈した。希塩酸(110g、〜1N)を加え、得られた混合物を環境温度で30分間撹拌した。生成された相を分離し、有機相を水、重炭酸ナトリウム水溶液および水で連続的に洗った。蒸留により溶媒をアセトニトリルに換えた。その混合物を透明になるまで加熱し、僅かに冷却し、種を入れ、冷却して化合物9aを結晶化させた。得られた生成物をろ過により単離し、付加的な冷たいアセトニトリルで洗った。真空乾燥することにより、48.7g(収率、81%)の化合物9aがもたらされた:
【0074】
【化31】

実施例6:化合物10の調製
化合物9a(6.02g)を36mLのイソプロパノールおよび24mLの水中においてスラリー化した。水酸化カリウム水溶液(2.04gの45重量%溶液)を加え、その混合物を40℃に温めた。3時間後、1.13gの氷酢酸を加え、得られた混合物に10mgの化合物10を用いて種入れした。その混合物を氷浴中において2時間冷却し、生じた固体をろ過により単離した。そのケーキをイソプロパノール水溶液で洗い、乾燥させることにより、化合物10がもたらされた:
【0075】
【化32】

代替的に、化合物10は、以下の例証的実施例7−9で説明されているようにして、化合物4から調製することもできる。
【0076】
実施例7:式6aの化合物の調製
【0077】
【化33】

カルボニルジイミダゾールおよびイミダゾールを無水テトラヒドロフランと化合させる。化合物4をこの混合物に加えて化合物5を形成し、その反応をHPLCでモニタリングする。別の反応器内において、マロン酸モノエチルエステルカリウム塩をテトラヒドロフランと化合させ、その後、温度を30℃以下に維持しながら、無水塩化マグネシウムを加える。結果として生じたスラリーを50℃に温め、少なくとも2時間保持した後、化合物5の混合物を加える。その反応をHPLCでモニタリングする。化合物5の形成が完了した後、その混合物を18〜25℃に冷却し、リン酸水溶液に加えてクエンチする。有機相を重硫酸ナトリウム水溶液、ブライン、重炭酸カリウムおよびブライン溶液で洗った後、ろ過して質を磨く(polish filterd)。溶媒を無水エタノールに換える。水を加え、得られた混合物を温めて固体を溶解し、約40℃に冷却し、化合物6aを用いて種入れし、0〜5℃に冷却する。生じた生成物をろ過し、冷たいエタノール水溶液で洗い、40℃以下において乾燥させることにより、化合物6aがもたらされる。
【0078】
【表1】

手順:
1.0.55kgのCDIおよび0.042kgのイミダゾールを反応器1に充填する。
【0079】
2.2.67kgのTHFを反応器1に充填し、撹拌してスラリーを形成する。
【0080】
3.1.00kgの化合物4を、COオフガスの発生を穏やかにするために小分けして反応器1に充填する。この付加は吸熱性である。
【0081】
4.0.89kgのKEMを反応器2に充填する。
【0082】
5.4.45kgのTHFを反応器2に充填し、撹拌してスラリーを形成する。
【0083】
6.0.44kgのMgClを反応器2に充填する(発熱を穏やかにするために小分けして加えることができる)。
【0084】
7.反応器2の内容物を50℃に温め、その温度で少なくとも2時間撹拌する。
【0085】
8.反応器1の内容物を反応器2へ移す。非常に急速に移された場合には、混合物が一時的に濃厚になる。
【0086】
9.反応器2の内容物を50℃で少なくとも12時間撹拌する。
【0087】
10.得られたスラリーを環境温度に冷却する。
【0088】
11.その反応混合物を7.0kgの28重量%HPO水溶液(4.7kgのHO中に溶解された2.3kgの85重量%HPO)へ移すことにより、反応をクエンチする。この付加は発熱性である。水性層の最終的なpHは1−2になるはずである。
【0089】
12.有機相(上側の相)を1.2kgの20重量%NaHSO水溶液(0.96kgのHO中に溶解された0.24kgのNaHSO)で洗う。水性層の最終的なpHは1−2になるはずである。
【0090】
13.有機相(上側の相)を1.2kgの20重量%NaCl水溶液(0.96kgのHO中に溶解された0.24kgのNaCl)で洗う。
【0091】
14.有機相(上側の相)を5.0kgの10重量%KHCO水溶液(4.5kgのHO中に溶解された0.50kgのKHCO)で洗う。水性層の最終的なpHは8−10になるはずである。
【0092】
15.有機相(上側の相)を1.2kgの20重量%NaCl水溶液(0.96kgのHO中に溶解された0.24kgのNaCl)で洗う。水性層の最終的なpHは7−9になるはずである。
【0093】
16.有機相を濃縮し、溶媒をEtOHに換える。
【0094】
17.濃度を〜3.5L/kgインプットに調整する。
【0095】
18.0.6体積の水を充填する。
【0096】
19.70−80℃に温めて透明な溶液を形成する。
【0097】
20.40℃に冷却し、0.1重量%の化合物6を用いて種入れする。
【0098】
21.ゆっくりと5℃まで冷却する。
【0099】
22.少なくとも2時間保持する。
【0100】
23.ろ過し、生じたケーキを2回に小分けした1.35kgずつの量の50:50のEtOH:HO(1.5kgのHOと混ぜ合わされた1.2kgのEtOH)で洗う。
【0101】
24.得られたケーキを50℃未満で乾燥させる。
【0102】
実施例8.式9aの化合物の調製
【0103】
【化34】

化合物6aをトルエン、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールおよび氷酢酸と化合させた後、100℃に温める。その反応をHPLCでモニタリングする。化合物7aの形成が完了したら、得られた混合物を18〜25℃に冷却し、その後、(S)−(+)−バリノールを加える。この反応をHPLCでモニタリングする。化合物8aの形成が完了した後、得られた混合物を濃縮する。生じた残分をジメチルホルムアミド、塩化カリウムおよびN,O−ビストリメチルシリルアセトアミドと化合させ、100℃に温める。その反応をHPLCでモニタリングする。完了したら、得られた混合物を冷却し、ジクロロメタンを加える。塩酸水溶液を加えて化合物9aを脱シリル化する。この反応をTLCでモニタリングする。完了したら、有機相を水、重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗う。溶媒をアセトニトリルに換え、生じた混合物を温める。得られた混合物に種入れし、冷却して化合物9aを結晶化する。得られた生成物をろ過し、冷たいアセトニトリルで洗い、40℃以下で乾燥させることにより、化合物9aがもたらされる。
【0104】
【表2】

1.反応器1に1.00kgの化合物6aを充填する。
【0105】
2.0.33kgのN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(1.1当量)、0.001kgの氷酢酸および3.3kgのトルエンを反応器1に充填する。
【0106】
3.得られた混合物を〜100℃に温める(この操作中に幾分かのMeOHが蒸留する可能性があることに注意が必要である)。
【0107】
4.1時間後には、HPLCにより、反応が完了しているはずである(〜2%の化合物6aが見掛け上残存する)
【0108】
5.反応器1内の混合物を18−25℃に冷却する。
【0109】
6.1.0kgのトルエン中に溶解された0.29kgの(S)−(+)−バリノール(1.1当量)を反応器1に充填し、環境温度で撹拌し続ける。
【0110】
7.1時間後には、HPLCにより、反応が完了しているはずである(<1%の化合物6a)。
【0111】
8.反応器1の内容物を〜2L/kgに濃縮する。
【0112】
9.1.8kgのDMF、0.09kgの塩化カリウム(0.5当量)および1.13kgのN,O−ビストリメチルシリルアセトアミド(2.2当量)を反応器1に充填する。
【0113】
10.反応器1内の混合物を〜100℃に温める。
【0114】
11.反応は〜1時間で完了しているはずである(〜5%の化合物8aが残存する)。
【0115】
12.反応器1の内容物を18−25℃に冷却する。
【0116】
13.10kgのDCMを反応器1に充填する。
【0117】
14.混合物の温度を<35℃に維持しながら、2.0kgの1NのHCl水溶液を〜15分にわたって反応器1に充填する。
【0118】
15.得られた混合物を少なくとも10分間撹拌して、化合物8aを脱シリル化する。この脱シリル化の進行状況をTLCによりモニタリングする
【0119】
16.生じた相を分離する。
【0120】
17.有機相を4.0kgの水で洗う。
【0121】
18.有機相を4.0kgの5%重炭酸ナトリウム水溶液で洗う。
【0122】
19.有機相を4.0kgの水で洗う。
【0123】
20.有機相を、蒸留により、〜1.5L/kgの化合物6aにまで濃縮する。
【0124】
21.スラリーが形成されるまで、蒸留により、溶媒をACNに換える。最終的な量を〜8L/kgの化合物6aに調整する。
【0125】
22.得られた混合物を加熱して還流させ、固体を再溶解する。
【0126】
23.その溶液を75℃に冷却し、化合物9aの種を充填する。
【0127】
24.生じた混合物を少なくとも2時間にわたって0℃に冷却し、その温度で少なくとも1時間保持する。
【0128】
25.ろ過により化合物9aを単離し、得られた湿性ケーキを1.6kgの冷たいACNで洗う。
【0129】
26.その湿性ケーキを真空下において<40℃で乾燥させる。
【0130】
注釈:
1.残存する化合物6aのHPLCによるANは、ベースラインのアーチファクトにより誇大化されている。歩調を合わせたHPLC(HPLC in step)は、化合物8aに対して相対的に僅か2%の化合物6aを示している。実験により、試薬をもっと多く加え、且つ、反応時間を延ばしても、典型的には、観測される化合物6aのレベルがそれ以上には下がらないことが実証された。
【0131】
2.TLC法:
溶出溶媒:100%の酢酸エチル、
シリル化された化合物9aのRf:0.85、化合物9aのRf:0.50。
【0132】
実施例9.式10の化合物の調製
【0133】
【化35】

化合物9aをイソプロピルアルコール水溶液と化合させ、30〜40℃に温める。水酸化カリウム水溶液を加え、その反応をHPLCでモニタリングする。完了後、氷酢酸を加え、得られた混合物を60〜70℃に温める。その溶液を熱いままろ過し、55〜65℃に冷ます。得られた溶液に種入れをし(国際特許出願公開公報WO第2005/113508号参照)、0℃に冷却する。生じた生成物をろ過により単離し、冷たいイソプロピルアルコール水溶液で洗い、50℃以下で乾燥させることにより、化合物10がもたらされる。
【0134】
【表3】

1.1.00kgの化合物9aを反応器1に充填する。
【0135】
2.4.7kgのイソプロピルアルコールおよび4.0kgの水を反応器1に充填する。
【0136】
3.0.34kgの45%KOH水溶液を反応器1に充填する。
【0137】
4.反応器1内の混合物を30−40℃に温める。
【0138】
5.加水分解が完了したときに、0.19kgの氷酢酸を加える。
【0139】
6.得られた混合物を60−70℃に温め、その溶液をろ過して質を磨き、反応器2へ移す。
【0140】
7.反応器2内の混合物を55−65℃に冷ます。
【0141】
8.0.28体積の6:4のイソプロピルアルコール:水中におけるスラリーとしての化合物10を用いて種入れする(国際特許出願公開公報WO第2005/113508号参照)。
【0142】
9.得られた混合物を少なくとも2時間にわたって18−25℃に冷却し、撹拌してスラリーを形成する。
【0143】
10.その混合物を0℃に冷却し、少なくとも2時間撹拌する。
【0144】
11.ろ過により化合物10を単離し、得られたケーキを3×1Sの冷たいイソプロピルアルコール:水(6:4)溶液で洗う。
【0145】
12.その単離された固体を真空下において<50℃で乾燥させる。
【0146】
実施例10:化合物15の調製
【0147】
【化36】

ビスジメチルアミノエチルエーテル(2.84g)を42mLのTHFに溶解し、氷浴中で冷却した。塩化イソプロピルマグネシウム(THF中における8.9mLの2M溶液)続いて化合物14(5mLのTHF中に5gを溶解)を逐次的にゆっくりと加えた。得られた混合物を環境温度に温め、夜通し撹拌した。次に、2.1mLの3−クロロ−2−フルオロベンズアルデヒドを加えた。〜1時間撹拌した後、その混合物を2NのHClでpH〜7にクエンチした。得られた生成物を酢酸エチル中に抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒をヘプタンに換えて生成物を沈殿させ、ヘプタン:MTBE(4:1)の混合物を加えてスラリーを形成した。ろ過後、その固体をトルエン中においてスラリー化し、ろ過し、真空乾燥することにより、化合物15がもたらされた:
【0148】
【化37】

実施例11:化合物15aの調製
【0149】
【化38】

化合物14(5g)、塩化イソプロピルマグネシウム(THF中における8.9mLの2M溶液)およびTHF(56mL)を環境温度で化合させ、その後、〜5時間、50℃に温めた。環境温度に冷却して夜通し撹拌した後、2.1mLの3−クロロ−2−フルオロベンズアルデヒドを滴下させながら加えてスラリーを形成した。夜通し撹拌した後、固体をろ過により単離し、MTBEで洗うことにより、化合物15aがもたらされた。
【0150】
実施例12:化合物16の調製
【0151】
【化39】

氷浴中において予め冷却されていたトリフルオロ酢酸(2.3mL)にトリエチルシラン(1.2mL)を加えた。温度を5℃以下に保ちながら、その混合物に化合物15(1.466g)を加えた。〜2時間撹拌した後、氷を加えて反応をクエンチした。得られた生成物をDCMで抽出し、有機相をNaHCO水溶液で洗った。その有機相をNaSO上で乾燥させ、濃縮乾固した。その生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、1.341gの化合物16がもたらされた:
【0152】
【化40】

式16の化合物は、実施例1で説明されているのと類似の方法に従って、カルボキシル化して式4の化合物をもたらすことができる。
【0153】
実施例13:式3の化合物の代替的な調製
化合物14を無水テトラヒドロフラン:ジオキサン(5:0.9)と化合させ、均一溶液が達成されるまで、その混合物を窒素雰囲気下において撹拌する。得られた溶液を−3℃に冷却し、テトラヒドロフラン中における1.3当量のi−PrMgCl・LiClを加える。HPLC分析法による判定でモノ−グリニャールの形成が完了するまで、その反応混合物を0℃で撹拌する。次に、テトラヒドロフラン中における1.1当量の3−クロロ−2−フルオロベンズアルデヒドの溶液を加える。HPLCにより化合物15aの形成が完了するまで、この混合物を0℃で撹拌する。次に、テトラヒドロフラン中における付加的なi−PrMgCl・LiCl溶液(2.5当量)を加え、その反応混合物を約20℃に温める。この第2グリニャール中間体への変換が完了した後、反応混合物を3℃に冷却する。その反応混合物に無水CO(g)を約5℃で充填する。反応混合物を約20℃に調整する。HPLCによりカルボキシル化反応が完了した後、その反応混合物を約10℃に冷却し、水を充填して反応をクエンチし、続いて、濃塩酸を加えることによりpHを3以上にならないように調整する。その後、その反応混合物を約20℃に温める。生じた相を分離する。有機相をイソプロピルアルコールおよび水の混合物に溶媒交換し、結果として生じたスラリーを約0℃に冷却する。その生成物をろ過により単離し、イソプロピルアルコールおよび水の混合物で洗い、約40℃で乾燥させることにより、化合物3がもたらされる。
【0154】
実施例14:式4の化合物の代替的な調製
トリフルオロ酢酸(10当量)を反応器に充填し、0℃に冷却する。温度を<15℃に維持しながらトリエチルシラン(1.5当量)を加え、得られた混合物を充分に撹拌する。温度を<15℃に維持しながら、その充分に撹拌された混合物に化合物3を小分けして加える。HPLCにより反応が完了したと判定されたときに、温度を45℃以上にならないように維持しながら、メタノール中における5当量の酢酸ナトリウム(13体積)の溶液を加えることにより化合物4を沈殿させる。得られたスラリーを温めて還流させ、2〜3時間撹拌する。そのスラリーを約0℃に冷却した後、その温度で2〜3時間撹拌する。得られた生成物をろ過により単離し、メタノールで洗い、約40℃で乾燥させることにより、化合物4がもたらされる。
【0155】
実施例15:式9aの化合物の代替的な調製
化合物6aをジメチルホルムアミド(1.9体積)、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(1.1当量)および氷酢酸(0.026当量)と化合させ、その後、約65℃に温める。その反応をHPLCでモニタリングする。反応が完了したら、その混合物を約22℃に冷却し、その後、(S)−2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール(1.1当量)およびトルエン(1.2体積)を加える。その反応をHPLCでモニタリングする。反応が完了したら、その混合物を濃縮する。得られた残渣を塩化カリウム(0.5当量)およびN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(2.5当量)と化合させ、約100℃に温める。その反応をHPLCでモニタリングする。反応が完了したら、その混合物を冷却し、ジクロロメタン(6体積)を加える。塩酸水溶液を加えて生成物を脱シリル化する。この反応をTLCによりモニタリングする。反応が完了したら、有機相を水、重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗う。溶媒をアセトニトリルに換え、得られた混合物を温めて溶液を形成する。その混合物に種入れし、冷却して化合物9aを結晶化させる。その生成物をろ過し、冷たいアセトニトリルで洗い、40℃以下で乾燥させることにより、化合物9aがもたらされる。
【0156】
すべての出版物、特許および特許文書が、恰も参照により個別的に組み入れられるかのようにして、参照により本明細書に組み入れられる。本発明が様々な特定の且つ好適な実施形態および技術を参照しながら説明されてきた。しかし、本発明の精神および範囲内に留まりながら、多くの変形および変更を成し得ることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式10
【化41】

の化合物または該化合物の塩を調製するための方法であって、式4
【化42】

の化合物または該化合物の塩が調製されて式10の化合物に変換される方法において、該式4の化合物が、式15
【化43】

の化合物または該化合物の塩から、臭素原子をカルボキシル基で置き換えるステップ、およびヒドロキシル基を水素原子で置き換えるステップにより調製されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記式4の化合物または該化合物の塩が、前記式15の化合物または該化合物の塩をメタル化するステップ、二酸化炭素で処理して式3:
【化44】

の化合物または該化合物の塩をもたらすステップ、および該式3の化合物を変換して該式4の化合物をもたらすステップにより調製される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記式15の化合物または該化合物の塩が式15a
【化45】

の塩である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記式15の化合物が式16
【化46】

の化合物に変換され、その後、該式16の化合物が、メタル化され、且つ、二酸化炭素で処理されて、式4の化合物を与える、請求項1記載の方法。
【請求項5】
式15:
【化47】

の化合物または該化合物の塩および式16
【化48】

の化合物から選択される化合物。
【請求項6】
式15a
【化49】

の塩である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
式15:
【化50】

の化合物または該化合物の塩を調製するための方法であって、式14:
【化51】

の対応する化合物を該式15の化合物または該化合物の塩に変換するステップを含む、調製方法。
【請求項8】
前記式15の化合物または該化合物の塩をもたらすべく、前記式14の化合物をメタル化し、3−クロロ−2−フルオロベンズアルデヒドで処理することにより、該式14の化合物が該式15の化合物または該化合物の塩に変換される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
更に、前記式15の化合物または該化合物の塩を式3:
【化52】

の化合物または該化合物の塩に変換するステップを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記式3の化合物をもたらすべく前記式15の化合物をメタル化し、且つ、二酸化炭素で処理することにより、該式15の化合物が該式3の化合物に変換される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
更に、前記式3の化合物または該化合物の塩を式4:
【化53】

の化合物または該化合物の塩に変換するステップを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
更に、前記式4の化合物または該化合物の塩を式5’:
【化54】

[式中、Rは脱離基である]の化合物または該化合物の塩に変換するステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
がハロまたは1−イミダゾリルである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記式5’の化合物が式5a:
【化55】

の化合物である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記式4の化合物が1,1’−カルボニルジイミダゾールで処理することにより前記式5aの化合物に変換される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
更に、前記式5’の化合物または該化合物の塩を式6:
【化56】

[式中、RはC−Cアルキルである]の化合物または該化合物の塩に変換するステップを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記式5’の化合物が対応するモノアルキルマロナート塩で処理することにより前記式6の化合物に変換される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
Rがエチルである、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記式5’の化合物がマロン酸モノエチルエステルカリウム塩で処理することにより前記式6の化合物に変換される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
更に、前記式6の化合物または該化合物の塩を式7:
【化57】

[式中、RおよびRはそれぞれ独立してC−Cアルキルである]の化合物に変換するステップを含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記式6の化合物がN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールで処理することにより前記式7の化合物に変換される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
上記N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールでの処理が約100±50℃の温度において酢酸の存在下で実施される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
更に、前記式7の化合物を式8:
【化58】

の化合物に変換するステップを含む、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記式7の化合物が(S)−2−アミノ−3−メチル−1−ブタノールで処理することにより前記式8の化合物に変換される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
更に、前記式8の化合物を式9:
【化59】

の化合物に変換するステップを含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記式8の化合物が塩化カリウムおよびN,O−ビストリメチルシリルアセトアミドで処理することにより前記式9の化合物に変換される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
更に、前記式9の化合物を式10:
【化60】

の化合物に変換するステップを含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記式9の化合物が塩基で処理することにより前記式10の化合物に変換される、請求項27記載の方法。

【公表番号】特表2010−539101(P2010−539101A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524261(P2010−524261)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/076002
【国際公開番号】WO2009/036161
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(500029420)ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】