説明

インドール及びベンゾフラン2−カルボキサミド誘導体

式(I)又は式(II)(式中、m、n、p、Ar、R、R、R、R及びRは、本明細書において定義されたとおりである)で示される化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩。本発明はまた、アルツハイマー病の処置における又は向知性薬としてのこれらの化合物の調製方法、これらの化合物を含む組成物、及びこれらの化合物の使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換インドール及び置換ベンゾフラン化合物、及び関連組成物、治療剤としての使用方法、ならびにその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脳内の主要な調節性神経伝達物質としての5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)の作用は、5−HT1、5−HT2、5−HT3、5−HT4、5−HT5、5−HT6、及び5−HT7と称される多数の受容体ファミリーによって媒介される。脳内の高レベルの5−HT6受容体mRNAに基づいて、5−HT6受容体が、中枢神経系障害の病理及び処置において役割を果たしうると言われている。特に、5−HT2選択的リガンド及び5−HT6選択的リガンドは、パーキンソン病、ハンチントン病、不安、うつ病、躁うつ病、精神病、てんかん、強迫性障害、気分障害、片頭痛、アルツハイマー病(認知記憶の増強)、睡眠障害、摂食障害、例えば拒食症、過食症及び肥満、不安発作、静座不能、注意欠陥多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、コカイン、エタノール、ニコチン及びベンゾジアゼピン等の薬物乱用からの退薬、統合失調症、ならびにまた、水頭症等の脊髄外傷及び/又は頭部損傷に関連した障害等のある種のCNS障害の処置において有用である可能性があることが確認されている。そのような化合物は、機能性腸障害等のある種の胃腸(GI)障害の処置において使用されることも期待されている。例えば、B.L. Rothら、J. Pharmacol. Exp. Ther., 1994, 268, pages 1403-14120, D. R. Sibleyら、Mol. Pharmacol., 1993, 43, 320-327, A.J. Sleightら、Neurotransmission, 1995, 11, 1-5、及びA. J. Sleightら、Serotonin ID Research Alert, 1997, 2(3), 115-8を参照のこと。
【0003】
5−HT6及び5−HT2Aのモデュレーターのいくつかが開示されているが、5−HT6受容体、5−HT2A受容体、又はその両方の調節に有用な化合物が、引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式I又は式II:
【0005】
【化1】


[式中、
mは、0〜3であり;
nは、1又は2であり;
pは、1又は2であり;
Xは:
−O−;
−S−;又は
−NR−であり;
pが2の場合、Yは、N又はCHであり、pが1の場合、Yは、CHであり;
Arは:
場合により置換されているアリール;又は
場合により置換されているヘテロアリールであり;
は:
水素;又は
1−6アルキルであり;
各Rは、独立して:
ハロ;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
1−6アルコキシ;
ヒドロキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
シアノ;
ニトロ;
アミノ;
−(CH−S(O)−R
−(CH−C(=O)−NR
−(CH−SO−NR
−(CH−N(R)−C(=O)−R;又は
−(CH−C(=O)−R
(ここで、qは、0又は1であり;rは、0〜2であり;R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり;そしてRは、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はヒドロキシである)であり;
及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり;
は:
ニトリル;
−C(O)−NR
−C(O)−R;又は
−SO−R
(ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり;そしてRは、C1−6アルキルである)であり;
は:
水素;
ハロ;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;又は
シアノであり;
は:
水素;
1−6アルキル;又は
ヘテロ−C1−6アルキルである]で示される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0006】
本発明はさらに、前記化合物を含む組成物、前記化合物を調製するための方法及び使用するための方法を提供する。
【0007】
本発明は、置換インドール及び置換ベンゾフラン化合物、関連組成物、治療剤としての使用方法、及びその調製方法を提供する。
【0008】
この開示において引用された全ての刊行物は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0009】
定義
特記のない限り、明細書及び特許請求の範囲を含む本出願において使用される以下の用語は、下記の定義を有する。明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明白に示される場合を除いて、複数の対象物を含むことに注意しなければならない。
【0010】
「アシル」は、残基−C(O)−アルキル(ここで、アルキルは下記で定義されている)を意味する。
【0011】
「アゴニスト」は、別の化合物又は受容体部位の活性を増強する化合物を指す。
【0012】
「アルキル」は、1〜12個の炭素原子を有する、炭素原子及び水素原子のみからなる、一価の直鎖又は分岐飽和炭化水素部分を意味する。「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子のアルキル基(即ち、「C1−C6アルキル」)を指す。アルキル基の例には、非限定的に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、オクチル、ドデシル等が挙げられる。
【0013】
「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子の直鎖飽和二価炭化水素基又は3〜6個の炭素原子の分岐飽和二価炭化水素基、例えば、メチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレン等を意味する。
【0014】
「アルケニレン」は、2〜6個の炭素原子の直鎖不飽和二価炭化水素基又は3〜6個の炭素原子の分岐飽和二価炭化水素基、例えば、エテニレン(−CH=CH−)、2,2−ジメチルエテニレン、プロペニレン、2−メチルプロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン等を意味する。
【0015】
「アルコキシ」は、式−OR(ここで、Rは、本明細書において定義されるアルキル部分である)の部分を意味する。アルコキシ部分の例には、非限定的に、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等が含まれる。
【0016】
「アミノ」は、残基−NHを意味する。
【0017】
「アンタゴニスト」は、別の化合物又は受容体部位の作用を減少又は阻止する化合物を指す。
【0018】
「アリール」は、単環式、二環式、又は三環式の芳香環からなる一価環式芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、本明細書において定義されるように、場合により置換されていることができる。アリール部分の例には、非限定的に、フェニル、ナフチル、ナフタレニル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル等(部分的に水素化されたそれらの誘導体も含む)が挙げられる。好ましいアリールはフェニル及びナフチルであり、より好ましくはフェニルであり、それらの各々が、本明細書に記載のように場合により置換されている。
【0019】
「アリーレン」は、二価のアリール基(ここで、アリールは、本明細書において定義のとおりである)を意味する。「アリーレン」には、例えば、オルト−、メタ−及びパラ−フェニレン(それぞれ、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン及び1,4−フェニレン)が含まれ、これらは、本明細書において定義のとおり、場合により置換されていてもよい。
【0020】
互換可能に使用されうる「アリールアルキル」及び「アラルキル」は、基−R(ここで、Rは、本明細書において定義のとおりのアルキレン基であり、Rbは、本明細書において定義のとおりのアリール基である)を意味し;例えば、ベンジル、フェニルエチル、3−(3−クロロフェニル)−2−メチルペンチル等が、アリールアルキルの例である。
【0021】
「シクロアルキル」は、単環式又は二環式の環からなる飽和炭素環式部分を意味する。シクロアルキルは、特に示されない限り、各々の置換基が独立にヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、又はジアルキルアミノである、1個以上の置換基で場合により置換されていることができる。シクロアルキル部分の例には、非限定的に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等(部分的に不飽和のそれらの誘導体、例えばシクロヘキセニル、シクロペンテニル等も含む)が挙げられる。
【0022】
「シクロアルキルアルキル」は、式−R’−R”(ここで、R’は、本明細書において定義のとおりのアルキレンであり、R”は、本明細書において定義のとおりのシクロアルキルである)の部分を意味する。
【0023】
「ヘテロアルキル」は、1、2又は3個の水素原子が、−OR、−NRiiiii、及びS(O)iv(ここで、zは、0〜2の整数である)からなる群より独立して選択される置換基により置き換えられている、本明細書において定義のとおりであるアルキル基を意味し、ここで、ヘテロアルキル基の結合点は、炭素原子を介することが了解されており、ここで、Rは、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;Rii及びRiiiは、互いに独立して、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり;そして、zが0である場合、Rivは、水素、アルキル、シクロアルキル、又はシクロアルキルアルキルであり、かつzが1又は2である場合、Rivは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、又はジアルキルアミノである。代表的な例には、非限定的に、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピル等が含まれる。
【0024】
「ヘテロアリール」は、N、O、又はSより選択される1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、少なくとも一つの芳香環を有する、環原子が5〜12個の単環式又は二環式の一価基を意味し、ここで、ヘテロアリール基の結合点は芳香環にあることが了解されている。ヘテロアリール環は、本明細書において定義のとおり、場合により置換されていてもよい。ヘテロアリール部分の例には、非限定的に、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、ベンゾチエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジル、ピリジニル、ピリダジル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニル等(部分的に水素化されたそれらの誘導体も含む)が挙げられる。
【0025】
「ヘテロアリーレン」は、二価のヘテロアリール基(ここで、ヘテロアリールは、本明細書において定義のとおりである)を意味する。「ヘテロアリーレン」は、本明細書において定義のとおり、場合により置換されていてもよい。「ヘテロアリーレン」には、例えば、インドリレン、ピリミジニレン等が挙げられる。
【0026】
互換可能に使用されうる「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、置換基フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。
【0027】
「ハロアルキル」は、1個以上の水素が、同一又は異なるハロゲンで置き換えられた、本明細書において定義のとおりであるアルキルを意味する。ハロアルキルの例には、−CHCl、−CHCF、−CHCCl、ペルフルオロアルキル(例えば、−CF)等が挙げられる。
【0028】
「ヘテロシクロアミノ」は、少なくとも1個の環原子がN、NH、又はN−アルキルであり、かつ残りの環原子がアルキレン基を形成する飽和環を意味する。
【0029】
「ヘテロシクリル」は、1、2、3又は4個のヘテロ原子(窒素、酸素、又は硫黄より選択される)が組み込まれている、1〜3個の環からなる一価飽和部分を意味する。ヘテロシクリル環は、本明細書において定義のとおりであるように、場合により置換されていてもよい。ヘテロシクリル部分の例には、非限定的に、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キヌクリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリリジニル、ベンゾチアゾリジニル、ベンゾアゾリリジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル等(部分的に不飽和のそれらの誘導体も含む)が挙げられる。
【0030】
「場合により置換されている」は、「アリール」、「アリーレン」、「フェニル」、「フェニレン」、「ヘテロアリール」、ヘテロアリーレン、又は「ヘテロシクリル」と関連して使用される場合、アリール、アリーレン、フェニル、フェニレン、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、又はヘテロシクリル[これらは、場合により、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、−COR(ここで、Rは、水素、アルキル、フェニル又はフェニルアルキルである)、−(CRvi−COORvii(ここで、yは、0〜5の整数であり、R及びRviは、独立して、水素又はアルキルであり、Rviiは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル、又はフェニルアルキルである)、又は−(CRvi−CONRviiiix(ここで、yは、0〜5の整数であり、R及びRviは、独立して、水素又はアルキルであり、Rviii及びRixは、互いに独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル、又はフェニルアルキルである)より選択される1〜4個の置換基、好ましくは1又は2個の置換基で、独立して置換されている]を意味する。さらなる任意の置換基は、−(CH−S(O)−R、−(CH−C(=O)−NR、−(CH−SO−NR、−(CH−N(R)−C(=O)−R、又は−(CH−C(=O)−R(ここで、qは、0又は1であり;rは、0〜2であり;R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり、そしてRは、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はヒドロキシルである)である。好ましい任意の置換基は、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、ヘテロ−C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、−(CH−S(O)−R、−(CH−C(=O)−NR、−(CH−SO−NR、−(CH−N(R)−C(=O)−R、又は−(CH−C(=O)−R(ここで、qは、0又は1であり、rは、0〜2であり;R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり、そしてRは、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はヒドロキシである)である。
【0031】
「脱離基」は、有機合成化学において、従来からそれと関連づけられている意味を持つ基、すなわち、置換反応条件下で置き換え可能な原子又は基を意味する。脱離基の例には、非限定的に、ハロゲン、アルカンスルホニルオキシ又はアリーレンスルホニルオキシ(例えば、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ)、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシ、及びチエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、場合により置換されているベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシ等が挙げられる。
【0032】
「モデュレーター」は、標的と相互作用する分子を意味する。相互作用には、非限定的に、本明細書において定義のとおりであるアゴニスト、アンタゴニスト等が挙げられる。
【0033】
「任意の」又は「場合により」は、その後に記述された事象又は状況が起きるかもしれないが、起きる必要はないこと、ならびにこの記述に、その事象又は状況が起こる場合及びそれが起こらない場合が含まれることを意味する。
【0034】
「病状」は、任意の疾患、状態、症状、又は徴候を意味する。
【0035】
「不活性有機溶媒」又は「不活性溶媒」は、溶媒が、それに関連して記述された反応条件の下で不活性であることを意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレンもしくはジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジン等が挙げられる。特記のない限り、本発明の反応において使用される溶媒は、不活性溶媒である。
【0036】
「薬学的に許容しうる」は、一般に安全で、非毒性であり、生物学的にも他の面でも有害でない、医薬組成物の調製において有用なものを意味し、獣医学的及びヒトにおける薬学的使用に許容されるものを含む。
【0037】
化合物の「薬学的に許容しうる塩」は、本明細書において定義のとおりである、薬学的に許容され、かつ親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。そのような塩には、以下のものが挙げられる:
無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等を用いて形成されるか;又は有機酸、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸等を用いて形成される酸付加塩;あるいは
親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンにより置き換えられるか;又は有機もしくは無機塩基と配位して形成される塩。許容される有機塩基には、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミン等が含まれる。許容される無機塩基には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及び水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0038】
好ましい薬学的に許容しうる塩は、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、及びマグネシウムから形成される塩である。
【0039】
薬学的に許容しうる塩に対する全ての言及には、同じ酸付加塩の、本明細書において定義のとおりである溶媒付加形態(溶媒和物)又は結晶形態(多形)が含まれることが理解されるべきである。
【0040】
「保護基(Protective group)」又は「保護基(protecting group)」は、合成化学において従来からそれと関連づけられている意味において、多官能化合物における一つの反応部位を選択的にブロックして、もう一つの保護されていない反応部位において化学反応が選択的に実施されうるようにする基を意味する。本発明のある種の方法は、反応物中に存在する反応性の窒素及び/又は酸素原子をブロックする保護基に依存する。例えば、用語「アミノ保護基」及び「窒素保護基」は、本明細書において交換可能に使用され、合成手順中の望ましくない反応から窒素原子を保護することを目的とする有機基を指す。窒素保護基の例としては、非限定的に、トリフルオロアセチル、アセトアミド、ベンジル(Bn)、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)等が挙げられる。当業者は、除去の容易性及び後続の反応に耐える能力で基を選択する方法を知っているであろう。
【0041】
「溶媒和物」は、化学量論的又は非化学量論的いずれかの量の溶媒を含有する溶媒付加形態を意味する。一部の化合物は、結晶固体状態に一定モル比の溶媒分子を捕捉する傾向をもつことから、溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、一つ以上の水分子と、内部でその水がHOとしてその分子状態を保つ物質の一つとの組み合わせにより形成され、そのような組み合わせは1つ以上の水和物を形成することができる。
【0042】
「対象」は、哺乳動物及び非哺乳動物を意味する。哺乳動物は、非限定的に、ヒト;チンパンジーと他の類人猿及びサル類等の非ヒト霊長類;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、及びブタ等の農用動物;ウサギ、イヌ、及びネコ等の家庭用動物;ラット、マウス、及びモルモット等のげっ歯類を含む実験動物等を含む、哺乳類のあらゆる構成員を意味する。非哺乳動物の例には、非限定的に、トリ等が含まれる。「対象」という用語は、特定の年齢又は性別を示さない。
【0043】
「治療有効量」は、病状を処置するために対象に投与する場合、病状のこのような処置を行うのに十分である化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、処置される病状、重篤度又は処置される疾患、対象の年齢及び相対的な健康状態、投与の経路及び形態、担当の医師又は獣医の判断、ならびに他の要因に応じて変化する。
【0044】
変化するものを言及する場合、用語「上記と同義のもの」及び「本明細書において定義のとおりであるもの」は、その変化するものの広義な定義、ならびに、存在するならば、好ましい、より好ましい、及び最も好ましい定義が参照により組み入れられる。
【0045】
病状を「処置すること」又は病状の「処置」には、以下のものが含まれる:
(i)病状の予防、すなわち病状に曝されるおそれがあるか、もしくはその病状の素因がありうるが、まだ病状の症状を経験又は示していない対象において、病状の臨床症状が発生しないようにすること、
(ii)病状の阻害、すなわち病状又はその臨床症状の発生を抑止すること、あるいは
(iii)病状の緩和、すなわち病状又はその臨床症状を一時的又は永続的に後退させること。
【0046】
「処理する」、「接触させる」、及び「反応させる」という用語は、化学反応を参照する場合、2つ以上の試薬を、適切な条件下で加えるか又は混合して、示された及び/又は所望の生成物を製造することを意味する。示された及び/又は所望の生成物を生成する反応が、最初に加えられた2つの試薬を組み合わせたことの直接の結果である必要はないこと、すなわち混合物中に生成された1つ以上の中間体が存在してもよく、最終的にそれが示された及び/又は所望の生成物の形成につながることが理解されるべきである。
【0047】
命名法
一般に、本出願において使用される命名法は、IUPACの体系的命名法を生み出すBeilstein InstituteコンピュータシステムであるAUTONOM(商標)v.4.0に基づく。本明細書において示される化学構造は、ISIS(登録商標)version 2.2を用いて作成した。本明細書における構造中の炭素、酸素、窒素又は硫黄原子上に現れる任意の空の結合価(open valency)は、水素原子の存在を示す。
【0048】
本発明の化合物
本発明は、式又はII
【0049】
【化2】


[式中、
mは、0〜3であり;
nは、1又は2であり;
pは、1又は2であり;
Xは:
−O−;
−S−;又は
−NR−であり;
pが2の場合、Yは、N又はCHであり、pが1の場合、Yは、CHであり;
Arは:
場合により置換されているアリール;又は
場合により置換されているヘテロアリールであり;
は:
水素;又は
1−6アルキルであり;
各Rは、独立して:
ハロ;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
1−6アルコキシ;
ヒドロキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
シアノ;
ニトロ;
アミノ;
−(CH−S(O)−R
−(CH−C(=O)−NR
−(CH−SO−NR
−(CH−N(R)−C(=O)−R、又は
−(CH−C(=O)−R
(ここで、qは、0又は1であり;rは、0〜2であり;R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり;そしてRは、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はヒドロキシである)であり;
及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり;
は:
ニトリル;
−C(O)−NR
−C(O)−R;又は
−SO−R
(ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり、そしてRは、C1−6アルキルである)であり;
は:
水素;
ハロ;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;又は
シアノであり;
は:
水素;
1−6アルキル;又は
ヘテロ−C1−6アルキルである]で示される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0050】
式I又は式IIの特定の実施態様において、nは、1である。
【0051】
式I又は式IIの特定の実施態様において、pは、1である。
【0052】
式I又は式IIの特定の実施態様において、pは、2である。
【0053】
式I又は式IIの特定の実施態様において、R及びRは、水素である。
【0054】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−NRである。
【0055】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Rは、−C(O)−Rである。
【0056】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Rは、−SO−Rである。
【0057】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Arは、場合により置換されているアリールである。
【0058】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Arは、場合により置換されているフェニル又はナフチルである。
【0059】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Arは、場合により置換されているフェニルである。
【0060】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Arは、場合により置換されているヘテロアリールである。
【0061】
式Iの特定の実施態様において、Arは、場合により、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロ−C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、−C(O)−NR;−C(O)−R;又は−SO−R(ここで、R、R及びRは、水素又はC1−6アルキルである)のいずれかで、1回又は2回置換されているフェニル又はナフチルである。
【0062】
式Iの特定の実施態様において、Arは、場合により、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロ−C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、−C(O)−NR;−C(O)−R;又は−SO−R(ここで、R、R及びRは、水素又はC1−6アルキルである)のいずれかで、1回又は2回置換されているフェニルである。
【0063】
式Iの特定の実施態様において、Arは、場合により、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ又はシアノのいずれかで、1回又は2回置換されているフェニルである。
【0064】
式Iの特定の実施態様において、Arは、場合により、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロ−C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、−C(O)−NR;−C(O)−R;又は−SO−R(ここで、R、R及びRは、水素又はC1−6アルキルである)のいずれかで、1回又は2回、置換されているヘテロアリールである。
【0065】
式Iの特定の実施態様において、Arは、場合により、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ又はシアノのいずれかで、1回又は2回、置換されているヘテロアリールである。
【0066】
式IIの特定の実施態様において、Arは、場合により、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロ−C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、−C(O)−NR;−C(O)−R;又は−SO−R(ここで、R、R及びRは、水素又はC1−6アルキルである)のいずれかで、1回又は2回、置換されているフェニル又はナフチルである。
【0067】
式IIの特定の実施態様において、Arは、場合により、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロ−C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、−C(O)−NR;−C(O)−R;又は−SO−R(ここで、R、R及びRは、水素又はC1−6アルキルである)のいずれかで、1回又は2回、置換されているフェニルである。
【0068】
式IIの特定の実施態様において、Arは、場合により、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ又はシアノのいずれかで、1回又は2回、置換されているフェニルである。
【0069】
式IIの特定の実施態様において、Arは、場合により、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロ−C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、−C(O)−NR;−C(O)−R;又は−SO−R(ここで、R、R及びRは、水素又はC1−6アルキルである)のいずれかで、1回又は2回、置換されているヘテロアリールである。
【0070】
式IIの特定の実施態様において、Arは、場合により、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ又はシアノのいずれかで、1回又は2回、置換されているヘテロアリールである。
【0071】
式I又は式IIの特定の実施態様において、mは、0又は1である。
【0072】
式I又は式IIの特定の実施態様において、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチルである。
【0073】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Rは、水素又はハロ、好ましくは水素又はフルオロ、より好ましくは水素である。
【0074】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Rは、水素又はメチルである。
【0075】
式I又は式IIの特定の実施態様において、YはNである。
【0076】
式I又は式IIの特定の実施態様において、YはCHである。
【0077】
式I又は式IIの特定の実施態様において、pは、2であり、Yは、Nである。
【0078】
式I又は式IIの特定の実施態様において、pは、2であり、Yは、CHである。
【0079】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Rは、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ又はシアノである。
【0080】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Rは、ハロ又はC1−6アルキルである。
【0081】
式I又は式IIの特定の実施態様において、Arは、場合により、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ又はシアノのいずれかで、1回又は2回置換されているフェニルである。
【0082】
式IIの特定の実施態様において、Xは、−O−である。
【0083】
式IIの特定の実施態様において、Xは、−NRである。
【0084】
式IIの特定の実施態様において、Xは、−S−である。
【0085】
式IIの特定の実施態様において、Xは、−NH−である。
【0086】
本発明の特定の実施態様において、主題の化合物は、式I又は式II:
[式中、
mは、0〜3、好ましくは0又は1であり;
nは、1又は2、好ましくは1であり;
pは、1又は2であり;
Xは:
−O−;又は
−NR−であり;
pが2の場合、Yは、N又はCHであり、pが1の場合、Yは、CHであり;
Arは、場合により、本明細書において上記した1個以上の置換基によりそれぞれ置換されているフェニル又はナフチル、好ましくはフェニルであり;
は、水素、又はC1−6アルキルであり;
は、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、又はアミノ;好ましくはハロ又はC1−6アルキルであり;
及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキル、好ましくは水素であり;
は:
ニトリル
−C(O)−NR
−C(O)−R;又は
−SO−R
(ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり、そしてRは、C1−6アルキルである)であり、
は、水素、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、又はシアノより選択され;好ましくは水素又はハロであり;
は、水素又はC1−6アルキル、好ましくは水素である]の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩である。
【0087】
この実施態様において、Arの任意の置換基は、上記に概説したとおりである。好ましい任意の置換基は、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロ−C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、−C(O)−NR;−C(O)−R;又は−SO−R(ここで、R、R及びRは、水素又はC1−6アルキルである)より選択される、1個又は2個の置換基である。より好ましい任意の置換基は、1個又は2個のハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ又はシアノより独立して選択される。最も好ましいのは、1個又は2個の任意のハロ置換基である。
【0088】
本発明の特定の実施態様において、主題の化合物は、式III又はIV:
【0089】
【化3】


[式中、
sは、0〜4;好ましくは0、1又は2;より好ましくは0又は1であり;
各Rは、独立して:
ハロ;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
シアノ;
ニトロ;
アミノ;
−(CH−S(O)−R
−(CH−C(=O)−NR
−(CH−SO−NR
−(CH−N(R)−C(=O)−R、又は
−(CH−C(=O)−Rであり;
m、q、r、X、Y、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、本明細書において定義のとおりである]で示される化合物である。
【0090】
式III又はIVの特定の実施態様において、mは、0又は1である。
【0091】
式III又はIVの特定の実施態様において、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチルである。
【0092】
式III又はIVの特定の実施態様において、Rは、水素又はメチルである。
【0093】
式III又はIVの特定の実施態様において、Yは、Nである。
【0094】
式III又はIVの特定の実施態様において、Yは、CHである。
【0095】
式III又はIVの特定の実施態様において、Rは、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ又はシアノである。
【0096】
式III又はIVの特定の実施態様において、Rは、ハロ又はC1−6アルキルである。
【0097】
式III又はIVの特定の実施態様において、sは、0、1又は2である。
【0098】
式III又はIVの特定の実施態様において、sは、0又は1である。
【0099】
式III又はIVの特定の実施態様において、Rは、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ又はシアノである。
【0100】
式III又はIVの特定の実施態様において、Rは、ハロである。
【0101】
式IVの特定の実施態様において、Xは、−O−である。
【0102】
式IVの特定の実施態様において、Xは、−NRである。
【0103】
式IVの特定の実施態様において、Xは、−S−である。
【0104】
式IVの特定の実施態様において、Xは、−NH−である。
【0105】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びRのいずれかが、アルキル又はアルキル部分である、本発明の実施態様において、そのようなアルキルは、好ましくは、低級アルキル、すなわち、C−Cアルキル、より好ましくはC−Cアルキルである。
【0106】
本発明の範囲には、存在しうる様々な異性体のみならず、形成されうる異性体の様々な混合物も包含されることを理解すべきである。さらに、本発明の範囲には、式Iの化合物の溶媒和物及び塩も包含される。
【0107】
上記のそれぞれの実施態様は、記載した他のいずれかの特定の又は一般的な実施態様と組み合わせうることをさらに理解すべきである。
【0108】
本発明による代表的な化合物を、各化合物に関連する融点又は質量スペクトル M+H、及び実験例(下記)と共に表1に示す。
【0109】
【表1】













【0110】
本発明の他の態様は、式(I)の少なくとも一つの化合物の治療有効量及び薬学的に許容しうる担体を含む組成物を提供する。
【0111】
本発明のさらなる別の態様は、式(I)の化合物の治療有効量を対象に投与することを含む、対象における中枢神経系(CNS)の病状を処置するための方法を提供する。病状には、例えば、精神病、統合失調症、躁うつ病、神経障害、記憶障害、注意欠陥障害、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、又はハンチントン病が含まれうる。
【0112】
本発明のさらなる他の態様は、式(I)の化合物の治療有効量を対象に投与することを含む、対象における胃腸管の障害を処置するための方法を提供する。
【0113】
本発明の他の態様は、式(I)の化合物を製造するための方法を提供する。
【0114】
合成
本発明の化合物は、以下に示し、記載した例示的な合成反応スキームに示される多様な方法により作ることができる。
【0115】
これらの化合物の調製に使用される出発材料及び試薬は、一般に、Aldrich Chemical Co.などの販売業者から入手可能であるか、又はFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15; Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5 and Supplementals; 及びOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40などの参照文献に示された手順に従い、当業者に公知の方法により調製される。以下の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法を例示するに過ぎず、これらの合成反応スキームに対する様々な改変を行うことができ、また本出願に含まれる開示を参照した当業者に示唆されるであろう。
【0116】
合成反応スキームの出発物質及び中間体は、所望であれば、従来技術、例えば、非限定的に、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを使用して、単離及び精製することができる。そのような物質は、物理定数及びスペクトルデータを含む従来の手段を使用して特徴付けることができる。
【0117】
特記のない限り、本明細書に記載された反応は、好ましくは、約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約125℃、最も好ましくかつ好都合には室温(又は周囲温度)程度、例えば約20℃の反応温度範囲にて、大気圧で、不活性雰囲気下で実施される。
【0118】
下記スキームAは、本発明の化合物(ここで、PGは、保護基であり、Rは、低級アルキルであり、Xは、脱離基であり、そしてm、s、R、R、R、R、R及びRは、本明細書において定義されたとおりである)を調製するために使用可能な1つの合成手順を例示する。多数の合成経路を対象化合物の調製に使用することが可能で、スキームAの手順は、単に例示的なものである。スキームAの手順の特定の例が、以下の実験の項に提供されている。
【0119】
【化4】

【0120】
スキームAの工程1において、ブロモベンズアルデヒド化合物を、塩基条件下で、アジドエステルと反応させて、インドール2−カルボキシラートエステルを得る。次に工程2において、化合物をアルカリ金属水素化物の存在下、ベンジル化合物で処理して、1−ベンジルインドール化合物を得る。工程3で、化合物を、適切な触媒の存在下で、保護されたピペラジン(他の環状アミンも使用してよい)と反応させることにより、ブッフバルト(Buchwald)反応を実施して、ピペラジニルインドールを得る。工程4で、化合物のエステル部分を、塩基条件下で加水分解して、インドール−2−カルボキシラート化合物を得る。工程5で、インドール−2−カルボキシラート化合物を、塩化チオニル、塩化オキサリルのオキシ塩化リンなどの塩素剤と反応させて、インドール−2−カルボン酸クロリド化合物を得る。工程6で、酸クロリド化合物を、アミンと反応させて、インドール−2−カルボキサミド化合物を得る。次に、化合物を、工程7において脱保護して、本発明による式Iの化合物である、化合物を得る。
【0121】
スキームBに関して、本発明の化合物を調製するために利用しうる別の手順が示されている(ここで、m、s、X、PG、R及びRは、本明細書において定義されたとおりである)。スキーム3の手順により、式(I)の化合物(ここで、Xは、窒素ではなく炭素である)を得る。
【0122】
【化5】

【0123】
スキームCの工程1において、ブロモフェノールは、ヨード化を経て、ブロモ−ヨード−フェノールを形成する。次に工程2で、フェノール化合物をハロゲン化シンナモイルと反応させて、フェノキシエステル化合物を得る。工程3で、化合物は、環化を経て、ベンゾフラン化合物を得る。工程4で、化合物を、オキシ塩化リンの存在下で、ジメチルホルムアミドと反応させて、ベンゾフラン−2−カルボキシアルデヒドを得る。工程5で、アルデヒド化合物を、アンモニア水溶液と反応させることにより、シアノ−ベンゾフラン化合物に変換する。工程6で、化合物を、ピペラジン化合物と反応させることによりブッフバルト反応を実施して、ピペラジニルベンゾフランを得る。工程7で、化合物のニトリル基は、酸化を経て、ベンゾフランカルボキサミド化合物を得る。次に工程8で、化合物を脱保護して、本発明による式IIの化合物である、化合物を得る。
【0124】
スキームA及びスキームBの手順において、多数の改変が可能であり、当業者に示唆されることになるであろう。式I及び式IIの化合物を製造するための特定の詳細を、下記の実施例の項に記載する。
【0125】
有用性
本発明の化合物は、5−HT受容体、5−HT2A受容体、又はその両方を含む5−HT受容体に対する選択的親和性を有しており、従って、特定のCNS障害、例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、不安、うつ病、躁うつ病、精神病、てんかん、強迫性障害、気分障害、片頭痛、アルツハイマー病(認知記憶の増強)、睡眠障害、拒食症、過食症、及び肥満などの摂食障害、不安発作、静座不能、注意欠陥多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、コカイン、エタノール、ニコチン、及びベンゾジアゼピンなどの薬物乱用からの退薬、統合失調症、ならびにまた、水頭症などの脊髄外傷及び/又は頭部損傷に関連した障害の処置において有用であることが期待される。そのような化合物は、機能性腸障害及び過敏性腸症候群などの特定のGI(胃腸)障害の処置において使用することも期待される。
【0126】
試験
本発明の化合物の薬理学を、当該分野で認められている手順により決定した。放射性リガンド結合、FLIPR及び機能性アッセイにおける5−HT6受容体及び5−HT2A受容体での試験化合物の親和性を決定するためのインビトロ技術を以下に記載する。
【0127】
投与及び医薬組成物
本発明は、本発明の少なくとも1つの化合物、又は個々の異性体、異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物、又はその薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を、少なくとも1つの薬学的に許容しうる担体、場合により他の治療的及び/又は予防的成分と共に含む医薬組成物を包含する。
【0128】
一般に、本発明の化合物は、類似した有用性をもたらす薬剤の許容される任意の投与方法により、治療有効量で投与される。適切な用量範囲は、処置される疾患の重篤度、対象の年齢及び相対的な健康状態、使用される化合物の効力、投与経路及び形態、投与の対象となる適応症、ならびに関与する医師の好み及び経験などの多数の要因に依って、典型的には1日あたり1〜500mg、好ましくは1日あたり1〜100mg、最も好ましくは1日あたり1〜30mgである。そのような疾患を処置する当業者は、必要以上に実験を行うことなく、かつ個人的な知識及び本出願の開示に依拠して、所与の疾患に対する本発明の化合物の治療有効量を確定することが可能となる。
【0129】
一般に、本発明の化合物は、経口(口腔及び舌下を含む)、直腸、鼻腔、局所、肺、膣、もしくは非経口(筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下、及び静脈内を含む)投与に適したものを含む医薬製剤として、又は吸入もしくは通気による投与に適した形態で投与される。好ましい投与の方法は、一般に、苦痛の程度に従って調整することができる、好都合な1日用量レジメンを使用する経口である。
【0130】
一つ又は複数の本発明の化合物は、一つ又は複数の従来の佐剤、担体又は希釈剤と共に、医薬組成物及び単位投薬の形態にしうる。医薬組成物及び単位投薬形態は、追加の活性化合物もしくは主薬とともに又はなしで、従来の成分を従来の割合で含むことができ、単位投薬形態は、採用される意図する1日の使用投薬量の範囲に相応する任意の適切な有効量の活性成分を含有しうる。医薬組成物は、錠剤又は充填済みカプセル剤、半固形剤、散剤、持続性放出製剤などの固体として、又は液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、もしくは経口用充填済みカプセルなどの液体として;あるいは直腸もしくは膣投与のための坐剤の形態、又は非経口使用のための滅菌注射液の形態で採用することができる。したがって、1錠あたり約1mg、又はより広く約0.01〜約100mgの活性成分を含有する製剤が、適切で代表的な単位投薬形態である。
【0131】
本発明の化合物は、多様な経口投与投薬形態で製剤化しうる。医薬組成物及び投薬形態は、一つ又は複数の本発明の化合物又はその薬学的に許容しうる塩を活性成分として含みうる。薬学的に許容しうる担体は、固体又は液体のいずれかであってよい。固形製剤には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、風味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル材料としても機能しうる1種以上の物質であってよい。散剤において、担体は、一般に、微粉化した活性成分との混合物である微粉化した固体である。錠剤において、活性成分は、一般に、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状及びサイズに圧縮される。散剤及び錠剤は、好ましくは、約1〜約70パーセントの活性化合物を含有する。適切な担体には、非限定的に、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、カカオ脂などが含まれる。「製剤(preparation)」という用語には、活性成分が、担体の存在又は不在下でその活性成分を伴う担体に取り囲まれているカプセルを提供する、活性化合物と、担体としての封入剤との製剤を含むことを意図する。同様に、カシェ剤及びトローチ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、及びトローチは、経口投与に適した固体の形態であってよい。
【0132】
経口投与に適した他の形態には、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を含む液状製剤、又は使用直前に液状製剤に変換することを意図した固形製剤が含まれる。乳剤は、溶液中、例えばプロピレングリコール水溶液中で調製してもよく、あるいは例えばレシチン、ソルビタンモノオレアート、又はアラビアゴムなどの乳化剤を含有してもよい。水性液剤は、活性成分を水に溶解し、適切な着色剤、風味剤、安定剤、及び増粘剤を添加することにより調製することができる。水性懸濁剤は、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他の周知の懸濁剤などの粘性材料と共に、微粉化した活性成分を水に分散させることにより調製することができる。固形製剤には、液剤、懸濁剤、及び乳剤が含まれ、活性成分に加え、着色剤、風味剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有してもよい。
【0133】
本発明の化合物は、(例えば、注射、例としては、ボーラス注射又は連続注入による)非経口投与用に製剤化してもよく、防腐剤を添加した、アンプル、充填済注射器、小量注入容器又は多用量容器に単位用量形態で存在しうる。組成物は、油性又は水性のビヒクル中の懸濁剤、液剤、又は乳剤、例えば、水性ポリエチレングリコール液剤のような形態をとりうる。油性又は非水性の担体、希釈剤、溶媒、又はビヒクルの例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、及び注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が含まれ、保存剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤などの配合剤を含有していてもよい。代替的には、活性成分は、滅菌固体の無菌分離によるか、又は適切なビヒクル、例えば滅菌した、発熱物質を含まない水を用いて、使用前の構成用溶液から凍結乾燥することにより得られる粉末形態であってもよい。
【0134】
本発明の化合物は、軟膏、クリームもしくはローションとして、又は経皮パッチとして、表皮への局所投与用に製剤化しうる。軟膏及びクリームは、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤が添加された水性又は油性の基剤と共に製剤化されうる。ローションは、水性又は油性の基剤と共に製剤化することができ、一般に、1種以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、又は着色剤をも含有する。口内への局所投与に適した製剤には、風味付けした基剤、通常、ショ糖及びアカシア又はトラガカント中に活性薬剤を含むトローチ;ゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアカシアなどの不活性基剤中に活性成分を含むパステル剤;ならびに適切な液体担体中に活性成分を含む洗口液が包含される。
【0135】
本発明の化合物は、坐剤としての投与用に製剤化しうる。脂肪酸グリセリドの混合物又はココアバターなどの低融点ロウを最初に溶融し、活性成分を、例えば攪拌により均質に分散する。次に、溶融した均質な混合物を、好都合な大きさの鋳型に注入し、冷却させ、凝固させる。
【0136】
本発明の化合物は、膣投与用に製剤化しうる。活性成分に加えて、そのような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレーが適切であることは、当該技術で公知である。
【0137】
本発明の化合物は、経鼻投与用に製剤化しうる。液剤又は懸濁剤を、従来の手段、例えば、滴瓶、ピペット又はスプレーにより、鼻腔に直接適用する。その製剤は、単一用量形態又は多用量形態で提供しうる。後者の滴瓶又はピペットの場合、これは、患者が、適切な所定の容量の液剤又は懸濁剤を投与することにより達成しうる。スプレーの場合、これは、例えば、計量噴霧スプレーポンプにより達成しうる。
【0138】
本発明の化合物は、鼻腔内投与を含む、特に気道へのエアロゾル投与用に製剤化しうる。化合物は、一般に、例えば、5ミクロン以下のオーダーの小さな粒径を有する。そのような粒子サイズは、当技術分野において公知の手段、例えば微粒子化により得られる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、もしくはジクロロテトラフルオロエタン、又は二酸化炭素、あるいは他の適切なガスなどの適切な噴射剤を含む加圧パック中で提供される。エアロゾルは、好都合には、レシチンなどの界面活性剤を含有しうる。薬物の用量は、計量弁により制御しうる。代替的には、活性成分は、乾燥粉末の形態、例えば、乳糖、デンプン、デンプン誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリジン(PVP)などの適切な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形態で提供しうる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、例えばゼラチンのカプセル又はカートリッジ、又はブリスターパックのような単位用量形態で存在してよく、これから粉末を吸入器により投与してもよい。
【0139】
所望であれば、製剤は、活性成分の徐放投与又は制御放出投与に適合するように、腸溶剤皮を用いて調製しうる。例えば本発明の化合物は、経皮又は皮下薬剤送達装置に製剤化しうる。これらの送達系は、化合物の徐放が必要であり、治療計画に対する患者の承諾が重要である場合に有利である。経皮送達系における化合物はしばしば、皮膚接着性の固体支持体に結合される。対象化合物はまた、浸透促進剤、例えばアゾン(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることができる。徐放送達系は、手術又は注入により皮下層に皮下的に挿入される。皮下インプラントは、化合物を、脂溶性膜、例えばシリコンゴム、又は、生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸中に封入する。
【0140】
医薬製剤は、好ましくは、単位投薬形態である。そのような形態において、製剤は、適切な量の活性成分を含有する単位用量へと分割されている。単位投薬形態は、パッケージ製剤であることができ、そのパッケージは、パケット錠剤、カプセル剤及びバイアル又はアンプル中の粉末などの製剤の個々の分量を含有する。また、単位投薬形態は、カプセル、錠剤、カシェ、もしくはトローチ自体であることができるか、又はこれらのいずれかが適切な数のパッケージ形態であることができる。
【0141】
他の適切な医薬担体及びそれらの製剤化は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。本発明の化合物を含有する代表的な医薬製剤を、以下の実施例に記載する。
【実施例】
【0142】
実施例
下記の調製例及び実施例は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施できるために示されている。これらは、本発明の範囲を制限すると考えられるべきではなく、本発明の例示及び代表例としてのみ考えられるべきである。下記の略語は、実施例中、使用されることができる。
【0143】
略語
BINAP 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル
BOC カルボン酸tert−ブチルエステル
dba ジベンジリデンアセトン
DCM ジクロロメタン/塩化メチレン
DME ジメチルエーテル
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
tBuOH tert−ブタノール
gc ガスクロマトグラフィー
HMPA ヘキサメチルホスホルアミド
hplc 高速液体クロマトグラフィー
mCPBA m−クロロ過安息香酸
MeCN アセトニトリル
NMP N−メチルピロリジノン
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸/トリフルオロアセタート
THF テトラヒドロフラン
TIPS トリイソプロピルシラニル
LDA リチウムジイソプロピルアミン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0144】
実施例1
1−ベンジル−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
この実施例で記載された合成手順を、スキームCに示された方法に従って実施した。
【0145】
【化6】

【0146】
工程1 1−ベンジル−4−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸ベンジルエステル
CHCN(250ml)中の4−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸(3.78g、15.76mmol)の溶液に、CsCO(12.8g、39.3mmol)及び臭化ベンジル(4.7ml、39.5mmol)を加えた。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を水/酢酸エチルの混合物に注いだ。有機層を水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機層を減圧下で濃縮し、得られた褐色の残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、1−ベンジル−4−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸ベンジルエステルを黄色の固体(5.143g、77%)として得た。MS:(M+H) 422。
【0147】
工程2 1−ベンジル−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸ベンジルエステル
ジオキサン5ml中の1−ベンジル−4−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸ベンジルエステル(235mg、0.56mmol)及び1−メチル−ピペラジン(80μl、0.72mmol)の溶液を、Pd(dba)(10mg、0.01mmol)、BINAP(18mg、0.03mmol)、CsCO(547mg、1.68mmol)の混合物に加えた。撹拌しながら、溶液を100℃で一晩加熱し、室温に放冷した。反応混合物をセライトを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた褐色の残留物を分取TLC(0.7% NHOHを含有しているCHCl中の7% MeOH)により精製して、1−ベンジル−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸ベンジルエステル174mgを黄色の固体(71%)として得た。MS:(M+H)440.3。
【0148】
工程3 1−ベンジル−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸
EtOH(50ml)中の1−ベンジル−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸ベンジルエステル(847mg、1.93mmol)の溶液に、2M NaOH溶液10mlを加えた。一晩還流した後、反応混合物を室温に冷まし、6M HCl溶液をゆっくり加えてpHを0に調整した。反応混合物を水/酢酸エチルの混合物に注いだ。有機画分を水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機画分を減圧下で濃縮して、4−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−1−(2−クロロ−ベンジル)−1H−インドール−2−カルボン酸(451mg、50%)を得た。MS:(M+H) 350。
【0149】
工程4 1−ベンジル−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
CHCl中の4−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−1−(2−クロロ−ベンジル)−1H−インドール−2−カルボン酸(336mg、0.96mmol)の溶液に、2M シュウ酸クロリド(1ml、2mmol)及びDMF 2滴を加えた。ガスの発生を観察した。室温で30分間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去した。得られた固体を乾燥THFに溶解した。アンモニアガスを10分間泡立て入れ、その間に反応混合物が濁った。水/酢酸エチルの混合物を反応物に加えた。有機画分を水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させ、有機画分を減圧下で濃縮し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、1−ベンジル−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミドを黄色の固体(167mg、51%)として得た。MS:349(M+H)。アミド化合物をエタノール4mlに溶解し、エタノール塩酸溶液(2M、3ml)を加えた。反応混合物を100℃に20分間加熱し、次に室温に冷まして、その結果、塩酸塩が沈殿した。
【0150】
下記化合物を同様の方法で調製した:
1−(2−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:353(M+H)
1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:353(M+H)
1−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:353(M+H)
1−(3−クロロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:369(M+H)
1−ベンジル−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:335(M+H)
1−ベンジル−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸ジメチルアミド塩酸塩;
1−ベンジル−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸メチルアミド塩酸塩、MS:349(M+H)
1−ベンジル−4−(3−メチルアミノ−ピロリジン−1−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:349(M+H)
(1−ベンジル−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−イル)−ピペラジン−1−イル−メタノン TFA塩、MS:404(M+H);及び
1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸メチルアミド TFA塩、MS:367(M+H)
【0151】
実施例2
1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
この実施例で記載された合成手順を、スキームDに示された方法に従って実施した。
【0152】
【化7】

【0153】
工程1 4−ブロモ−1−(3−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
実施例1の工程3及び4で記載されたように、4−ブロモ−1−(3−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−2−カルボン酸ベンジルエステルを、エタノール性NaOHで加水分解し、続いてシュウ酸クロリドで、次にアンモニアで処理して、4−ブロモ−1−(3−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミドを調製した。MS:348(M+H)
【0154】
工程2 4−[2−カルバモイル−1−(3−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−4−イル]−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0155】
ジオキサン(10ml)中の4−ブロモ−1−(3−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミド(490mg、1.41mmol)の溶液に、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(ii)(103mg、0.14mmol)、KCO(585mg、4.23mmol)、及び4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸tert−ブチルエステル(523mg、1.69mmol)を加えた。80℃で一晩加熱した後、反応溶液をセライトを通して濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4−[2−カルバモイル−1−(3−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−4−イル]−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色の固体(156mg、25%)として得た。MS:(M+H) 394.2、350.2。
【0156】
工程3 4−[2−カルバモイル−1−(3−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−4−イル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
EtOH(20ml)中の4−[2−カルバモイル−1−(3−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−4−イル]−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(156mg、0.35mmol)を、触媒量の5% Pd担持炭を含有しているParr容器に加えた。容器を50psi(3.45bar)の圧力でHを用いてパージした。一晩振とうした後、反応混合物をセライトを通して濾過し、濃縮した。褐色の残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4−[2−カルバモイル−1−(3−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−4−イル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色の固体(76mg、48%)として得た。
【0157】
工程4 1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
4−[2−カルバモイル−1−(3−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−4−イル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(76mg)を、エタノール4mlに溶解した。この溶液に2M エタノール性塩酸溶液(1ml)を加えた。反応混合物を100℃で20分間加熱し、その時点で結晶質固体が形成した。溶液を室温に放冷し、1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩40mgを黄色の粉末として回収した。MS:352(M+H)
【0158】
下記化合物を、同様の方法で調製した:
1−ベンジル−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:334(M+H)
1−ベンジル−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸ジメチルアミド塩酸塩、MS:334(M+H)
1−(2−フルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:352(M+H)
1−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:352(M+H)
1−(2−クロロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:368(M+H)
1−(3−クロロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:368(M+H)
1−(4−クロロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:368(M+H)
1−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:370(M+H)
1−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:370(M+H);及び
1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩、MS:370(M+H)
【0159】
工程5 1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
CHCl(5ml)中の1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド(50mg、0.14mmol)の溶液に、ホルムアルデヒド(20μl、0.24mmol、HO溶液中37%)及びNaBH(OAc)(74mg、0.35mmol)を加えた。室温で4時間撹拌した後、反応混合物を、重炭酸ナトリウムの飽和溶液に、続いてCHCl/HOの混合物に加えた。有機画分を分離し、水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させ、有機画分を減圧下で濃縮して、1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミドを褐色の油状物として得た。この油状物をエタノール4mlに溶解し、2M エタノール性塩酸溶液(1ml)を加えた。反応混合物を100℃で20分間加熱し、次に室温に冷まし、1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミド塩酸塩14mgを回収した。MS:366(M+H)
【0160】
実施例3
1−ベンジル−6−フルオロ−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
この実施例で記載された合成手順を、スキームEに示された方法に従って実施した。
【0161】
【化8】


工程1 4−ブロモ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
乾燥メタノール(5ml)及びNaOMe(0.9ml、3.93mmol、MeOH中の25重量%)を、撹拌機、低温温度計及び窒素管路が装備された三つ首フラスコに加えた。得られた溶液をドライアイス/CHCN浴中で−40℃に冷却した。乾燥MeOH(5ml)中の2−ブロモ−4−フルオロ−ベンズアルデヒド(195mg、0.96mmol)及びアジド酢酸メチル(450mg、3.9mmol)の溶液を滴下した。混合物を−40℃で30分間撹拌した後、室温に温めた。さらに3時間撹拌した後、反応溶媒を減圧下で除去した。残留物をキシレン(15ml)に加え、有機相をHO、ブラインで洗浄し、続いてMgSOで乾燥させた。得られた溶液をフラスコのキシレン(30ml)に滴下し、溶液を一晩加熱還流した。室温に冷ました後、反応混合物をHOで洗浄し、キシレンを減圧下で除去して、4−ブロモ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルを白色の固体(178mg、68%)として得た。MS:272.1(M−H)
【0162】
工程2 1−ベンジル−4−ブロモ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
無水ジメチルホルムアミド5ml中の4−ブロモ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル(178mg、0.65mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液52mg、1.3mmol)を0℃で少量ずつ加えた。溶液を磁気撹拌機で0℃にて20分間撹拌した。臭化ベンジル(0.17ml、1.43mmol)を一度に加え、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。溶液を室温に温めるにまかせ、反応混合物を水と酢酸エチルに分配した。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機画分を水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機画分を減圧下で濃縮し、得られた褐色の残留物を分取TLC(10% 酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、1−ベンジル−4−ブロモ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル80mgを黄色の固体(34%)として得た。1H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ: 3.89 (s, 3H), 5.78 (s, 2H), 7.17 (m, 8H)。
【0163】
工程3 1−ベンジル−4−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
1−メチル−ピペラジンを1−Boc−ピペラジンと代える以外は、実施例1の工程2の手順を使用して、1−ベンジル−4−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルを調製した。MS:468.3(M+H)
【0164】
工程4 1−ベンジル−4−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸
実施例1の工程3で記載されたように、エタノール性NaOHを使用して、1−ベンジル−4−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルを加水分解して、1−ベンジル−4−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸とした。MS:454.3(M+H)
【0165】
工程5 1−ベンジル−6−フルオロ−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
実施例1の工程4の手順を使用して、1−ベンジル−4−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸アミドを、1−ベンジル−4−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸から調製した。実施例2の工程4に記載されているように、1−ベンジル−4−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸アミドを、エタノール性HClで処理して、1−ベンジル−6−フルオロ−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミドを塩酸塩として得た。MS:353(M+H)
【0166】
実施例4
1−ベンジル−6−フルオロ−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
この実施例で記載された合成手順を、スキームFに示された方法に従って実施した。
【0167】
【化9】

【0168】
工程1 4−フルオロ−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド
三つ首フラスコ中のTHF(20ml)中の3−フルオロフェノール(1ml、11mmol)の溶液に、エチルマグネシウムブロミド(5.5ml、5.5mmol、THF中の1M)を加えた。室温で2時間撹拌した後、ベンゼンを反応混合物に加え、THFを蒸留により80℃で除去した。さらなるベンゼン(50ml)を反応物に加え、続いてNEt(2.3ml、16.5mmol)及びパラホルムアルデヒド(1g、33.3mmol)を加えた。3時間加熱還流した後、反応混合物を室温に放冷し、10% HCl 250mlに注いだ。EtOAcを加え、有機層を分離し、HOで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4−フルオロ−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒドを白色の固体(560mg、36%)として得た。1H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ: 6.71 (m, 2H), 7.56 (dd, 1H, J= 6.3Hz, 8.6Hz), 9.84 (s, 1H), 11.36 (s, 1H)。
【0169】
工程2 2−ベンジルオキシ−4−フルオロ−ベンズアルデヒド
DMF(10ml)中の4−フルオロ−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド(560mg、4mmol)の溶液に、塩化ベンジル(0.5ml、4.33mmol)及びKCO(860mg、6.22mmol)を加えた。1時間加熱還流した後、反応混合物を室温に放冷し、EtOAc/HOの混合物に注いだ。有機層を分離し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥させた。得られた油状物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2−ベンジルオキシ−4−フルオロ−ベンズアルデヒドを淡色の油状物(628mg、68%)として得た。1H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ: 5.17 (s, 2H), 6.74 (m, 2H), 7.36 (m, 5H), 7.88 (m, 1H), 10.51 (s, 1H)。
【0170】
工程3 4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
実施例3の工程1の手順を使用して、4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルを、2−ベンジルオキシ−4−フルオロ−ベンズアルデヒドから調製した。1H NMR (DMSO, 300 MHz)δ: 3.85 (s, 3H), 5.26 (s, 2H), 6.62 (dd, 1H, J= 2Hz, 12Hz), 6.76 (m, 1H), 7.13 (m, 1H), 7.42 (m, 5H)。
【0171】
工程4 1−ベンジル−4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステル
実施例3の工程2の手順を使用して、1−ベンジル−4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルを、4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルから調製した。MS:390.2(M+H)
【0172】
工程5 1−ベンジル−4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸
実施例1の工程3の手順に従って、1−ベンジル−4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸を、1−ベンジル−4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸メチルエステルから調製した。MS:376.1(M+H)
【0173】
工程6 1−ベンジル−4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
実施例1の工程4の手順を使用して、1−ベンジル−4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸を、1−ベンジル−4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸アミドに変換した。1H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ: 5.17 (s, 2H), 5.78 (s, 2H), 6.41 (dd, 1H, J= 1.90Hz, 11.46Hz), 6.64 (m, 1H), 7.28 (m, 6H)。
【0174】
工程7 1−ベンジル−6−フルオロ−4−ヒドロキシ−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
EtOH(20ml)中の1−ベンジル−4−ベンジルオキシ−6−フルオロ−1H−インドール−2−カルボン酸アミド(570mg、1.52mmol)を、触媒量の5% Pd担持炭を含有しているParr容器に加えた。容器を3.45Barの気圧でHを用いてパージした。一晩振とうした後、反応混合物をセライトを通して濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、1−ベンジル−6−フルオロ−4−ヒドロキシ−1H−インドール−2−カルボン酸アミドを黄色の固体(312mg、72%)として得た。MS:285.2(M+H)
【0175】
工程8 トリフルオロ−メタンスルホン酸 1−ベンジル−2−カルバモイル−6−フルオロ−1H−インドール−4−イルエステル
CHCl(10ml)中の1−ベンジル−6−フルオロ−4−ヒドロキシ−1H−インドール−2−カルボン酸アミド(312mg、1.10mmol)の溶液に、ピリジン(0.1ml、1.24mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.2ml、1.18mmol)を加えた。室温で30分間撹拌した後、反応混合物をEtOAc/HOの混合物に注いだ。有機画分を分離し、水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機画分を減圧下で濃縮し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、トリフルオロ−メタンスルホン酸 1−ベンジル−2−カルバモイル−6−フルオロ−1H−インドール−4−イルエステルを黄色の固体(200mg、44%)として得た。MS:(M+H) 415.2。
【0176】
工程9 4−(1−ベンジル−2−カルバモイル−6−フルオロ−1H−インドール−4−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
実施例2の工程2の手順を使用して、4−(1−ベンジル−2−カルバモイル−6−フルオロ−1H−インドール−4−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、トリフルオロ−メタンスルホン酸 1−ベンジル−2−カルバモイル−6−フルオロ−1H−インドール−4−イルエステル及び4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸tert−ブチルエステルから調製した。
【0177】
工程10 1−ベンジル−6−フルオロ−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
実施例2の工程3及び4の手順を使用して、4−(1−ベンジル−2−カルバモイル−6−フルオロ−1H−インドール−4−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを水素化し、続いてトリフルオロ酢酸を用いて脱保護して、1−ベンジル−6−フルオロ−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミドをトリフルオロ酢酸塩として調製した。MS:(M+H) 352。
【0178】
実施例5
3−ベンジル−7−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
この実施例で記載された合成手順を、スキームGに示された方法に従って実施した。
【0179】
【化10】

【0180】
工程1 3−ベンゾイル−7−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル
1,2−ジクロロエタン(60ml)中の7−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル(2.04g、7.6mmol)の溶液に、AlCl(2.0g、15.0mmol)及び安息香酸無水物(3.45g、15.2mmol)を加えた。90℃で2時間加熱した後、反応混合物をEtOAc/HOの混合物に注いだ。有機画分を分離し、水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機画分を減圧下で濃縮し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、3−ベンゾイル−7−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルを黄色の固体(約100%)として得た。MS:(M+H) 374.1。
【0181】
工程2 ベンジル−7−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル
1,2−ジクロロエタン(80ml)中の3−ベンゾイル−7−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル(2.4g、6.45mmol)の溶液に、NaBHCN(3.24g、51.6mmol)及びZnI(6.18g、19.4mmol)を加えた。室温で30分間撹拌した後、反応混合物をEtOAc/HOの混合物に注いだ。有機層を分離し、水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機画分を減圧下で濃縮し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、3−ベンジル−7−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルを黄色の固体(696mg、30%)として得た。1H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ: 1.39 (t, 3H, J= 7.13Hz), 4.43 (q, 2H, J=7.13Hz), 4.49 (s,2H), 6.98 (t, 1H, J= 7.8Hz), 7.22 (m, 5H), 7.46 (d, 1H, J= 7.60Hz), 7.54 (d, 1H, J= 8.10Hz)。
【0182】
工程3 3−ベンジル−7−(1−tert−ブトキシカルボニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル
実施例2の工程2の手順を使用して、3−ベンジル−7−(1−tert−ブトキシカルボニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルを、3−ベンジル−7−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル及び4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸tert−ブチルエステルから調製した。
【0183】
工程4 3−ベンジル−7−(1−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル
実施例2の工程3の手順を使用して、3−ベンジル−7−(1−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルを、3−ベンジル−7−(1−tert−ブトキシカルボニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステルの水素化により調製した。
【0184】
工程5 3−ベンジル−7−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
実施例1の工程4及び実施例2の工程4の手順に従って、3−ベンジル−7−(1−tert−ブトキシカルボニル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸エチルエステル及びトリフルオロ酢酸から、3−ベンジル−7−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミドをTFA塩として調製した。MS:(M+H) 334。
【0185】
実施例6
3−ベンジル−2−メタンスルホニル−7−ピペラジン−1−イル−1H−インドール
この実施例で記載された合成手順を、スキームHに示された方法に従って実施した。
【0186】
【化11】

【0187】
工程1 2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(1H−インドール−7−イル)−ピペラジン−1−イル]−エタノン
CHCl(20ml)中の7−ピペラジン−1−イル−1H−インドール(384mg、1.9mmol)の溶液に、TFA無水物(0.26ml、1.9mmol)及びNEt(0.53ml、3.8mmol)を加えた。室温で30分間撹拌した後、反応物をEtOAc/HOの混合物に注いだ。有機層を分離し、水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させ、有機画分を減圧下で濃縮し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(1H−インドール−7−イル)−ピペラジン−1−イル]−エタノンを白色の固体(462mg、82%)として得た。MS:(M+H) 298.2。
【0188】
工程2 1−[4−(3−ベンゾイル−1H−インドール−7−イル)−ピペラジン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノン
CHClCHCl(20ml)中の2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(1H−インドール−7−イル)−ピペラジン−1−イル]−エタノン(462mg、1.55mmol)の溶液に、安息香酸無水物(703mg、3.1mmol)及びAlCl(414mg、3.1mmol)を加えた。90℃で30分間撹拌した後、反応混合物を室温に放冷し、EtOAc/HOの混合物に注いだ。有機層を分離し、水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機画分を減圧下で濃縮し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、1−[4−(3−ベンゾイル−1H−インドール−7−イル)−ピペラジン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノンを黄色の固体(475mg、76%)として得た。MS:(M+H) 402.2。
【0189】
工程3 3−ベンジル−7−ピペラジン−1−イル−1H−インドール
イソプロパノール(30ml)中の1−[4−(3−ベンゾイル−1H−インドール−7−イル)−ピペラジン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノン(638mg、1.59mmol)の溶液に、NaBH(0.12g、3.17mmol)を加えた。還流下3日間加熱した後、反応混合物を室温に放冷し、EtOAc/HOの混合物に注いだ。有機層を分離し、水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機画分を減圧下で濃縮して、粗3−ベンジル−7−ピペラジン−1−イル−1H−インドールを油状物(586mg)として得、それをさらに精製しないで使用した。
【0190】
工程4 3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
THF(30ml)中の粗3−ベンジル−7−ピペラジン−1−イル−1H−インドール(586mg)の溶液に、(BOC)O(700mg)及びDMAP(2mg)を加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物をEtOAc/HOの混合物に注いだ。有機層を分離し、水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機画分を減圧下で濃縮し、得られた褐色の残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色の固体(400mg、51%)として得た。MS:(M+H) 492.2。
【0191】
工程5 3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−2−メチルスルファニル−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
THF(5ml)中の3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(186mg、0.38mmol)の溶液を、−78℃に冷却し、sec−BuLi(1.4ml、シクロヘキサン中1.4M)を加えた。−78℃で20分間撹拌した後、ジメチルスルフィド1mlを加え、反応物を30分間室温に温めるにまかせた。HOをゆっくり加え、続いてEtOACを加えた。有機層を分離し、水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させ、有機画分を減圧下で濃縮して、粗3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−2−メチルスルファニル−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを油状物(277mg)として得、それをさらに精製しないで使用した。
【0192】
工程6 3−ベンジル−2−メタンスルホニル−7−ピペラジン−1−イル−1H−インドール
CHCl(10ml)中の3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−2−メチルスルファニル−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(277mg)の溶液に、MCPBA(296mg)を0℃で加えた。反応物を一晩室温に温めるにまかせた。PPh 150mgを加えた後、反応物をさらに30分間撹拌し、次にEtOAc/HOの混合物に注いだ。有機層を分離し、水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機画分を減圧下で濃縮し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−2−メタンスルホニル−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色の固体として得た。MS:(M+H) 570.4。次に3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−2−メタンスルホニル−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、ジクロロメタンに溶解し、トリフルオロ酢酸で処理して、3−ベンジル−2−メタンスルホニル−7−ピペラジン−1−イル−1H−インドールをTFA塩として得た。MS:(M+H) 370。
【0193】
実施例7
3−ベンジル−7−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
この実施例で記載された合成手順を、スキームIに示された方法に従って実施した。
【0194】
【化12】

【0195】
工程1 3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−インドール−1,2−ジカルボン酸2−ベンジルエステル 1−tert−ブチルエステル
THF(10ml)中の3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(200mg、0.41mmol)の溶液を、−78℃に冷却し、t−BuLi(1ml、ペンタン中1.7M)を加えた。−78℃で20分間撹拌した後、クロロギ酸ベンジル0.15mlを加え、反応物を30分間室温に温めるにまかせた。水をゆっくり加え、続いてEtOAcを加えた。有機層を分離し、水及びブラインで洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機画分を減圧下で濃縮し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−インドール−1,2−ジカルボン酸2−ベンジルエステル 1−tert−ブチルエステルを黄色の固体(100mg、39%)として得た。MS:(M+H) 626.4。
【0196】
工程2 3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−インドール−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル
EtOH(20ml)中の3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−インドール−1,2−ジカルボン酸2−ベンジルエステル 1−tert−ブチルエステル(100mg、0.16mmol)を、触媒量の5% Pd担持炭を含有しているParr容器に加えた。容器を2.76barの水素でパージした。1時間振とうした後、反応混合物をセライトを通して濾過し、減圧下で濃縮して、3−ベンジル−7−(4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−インドール−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(72mg、84%)を得た。MS:(M+H) 536.4。
【0197】
工程3 3−ベンジル−7−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
実施例1の工程4の手順を使用し、続いてトリフルオロ酢酸で処理して、3−ベンジル−7−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミドを調製して、TFA塩を得た。MS:(M+H) 335。
【0198】
実施例8
3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミド
この実施例で記載された合成手順を、スキームJに示された方法に従って実施した。
【0199】
【化13】

【0200】
工程1 2−ブロモ−4−メチル−6−ヨードフェノール
2−ブロモ−4−メチルフェノール(10.11gm、54.05mmol)を、濃水酸化アンモニウム(50ml)及びメタノール(20ml)と混合した。ヨウ化カリウム(17.94g、108mmol)、ヨウ素(13.72g、54.05mmol)及び水(60ml)を混合して、暗褐色の溶液を得、それをフェノール溶液に少量ずつ加えた。沈殿生成物のせいで混合物の粘性が強すぎて撹拌できないので、さらなるメタノール(200ml)を少量ずつ加えた。すべてのヨウ素溶液を加えてしまったとき、褐色の色が退色するまで混合物を60℃に加熱した。混合物を冷却し、濾過し、固体を水で3回すすいだ。固体をジクロロメタンに溶解し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ストリップして、2−ブロモ−4−メチル−6−ヨードフェノールを油状物として得、それを放置して結晶化した。濾液及び水洗液を濃縮し、酢酸エチルで2回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、ストリップして、さらなる2−ブロモ−4−メチル−6−ヨードフェノールを合計で16.24g(収率96%)を得た。
【0201】
工程2 1−ブロモ−3−ヨード−5−メチル−2−(3−フェニルアリルオキシ)−ベンゼン
2−ブロモ−4−メチル−6−ヨードフェノール(7.82gm、25mmol)及びシンナミルブロミド(4.93g、25mmol)を、DMF(20ml)に加えた。ジイソプロピルエチルアミン(5.3ml、30.4mmol)を加え、混合物を60℃に15分間加熱し、次に室温で16時間撹拌した。DMFを減圧下で除去し、残留物が酸性になるまで1M HClを加えた。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、1−ブロモ−3−ヨード−5−メチル−2−(3−フェニルアリルオキシ)−ベンゼン(10.86g、収率100%)を得た。
【0202】
工程3 3−ベンジル−7−ブロモ−5−メチル−ベンゾフラン
1−ブロモ−3−ヨード−5−メチル−2−(3−フェニルアリルオキシ)−ベンゼン(10.86g、25mmol)、塩化テトラブチルアンモニウム(7.65gm、27.5mmol)、炭酸ナトリウム(6.62g、62.46mmol)、ギ酸ナトリウム(1.7g、25mmol)及びビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム(II)(0.467g、1.8mmol)を、DMF 50mlに加えた。混合物を脱ガスし、窒素下、80℃で105分間加熱し、次に室温に冷ました。水を加え、混合物をヘキサン/酢酸エチル(1:1)の混合物で抽出した。溶液をシリカゲル20gmの上で乾燥させ、該シリカゲルをガラスフリット漏斗中でシリカゲル100gmの上に重ね、ヘキサン類の400mlの4つの部分で溶離した。ヘキサン類を減圧下で除去して、3−ベンジル−7−ブロモ−5−メチル−ベンゾフラン(3.97g、収率52%)を得た。MS:(M+H) 302。
【0203】
工程4 3−ベンジル−7−ブロモ−5−メチル−ベンゾフラン−2−カルバルデヒド
3−ベンジル−7−ブロモ−5−メチル−ベンゾフラン(3.93g、13.05mmol)を、DMF 10mlと混合した。オキシ塩化リン(1.8ml、19.3mmol)を加え、反応混合物を50℃に16時間加熱した。さらなるオキシ塩化リン(3.6ml、38.6mmol)を加え、反応混合物を90℃に1時間加熱し、次に100℃に5時間加熱した。混合物を室温に冷まし、氷に注ぎ、混合物がpH=3に達するまで水酸化ナトリウム水溶液を加えた。混合物を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、シリカゲル20gmに吸収させた。該シリカゲルをガラスフリット漏斗中でシリカゲル100gmの上に重ね、ヘキサン類の400mlの5つの部分で溶離し(回収した出発物質0.33gを得た)、且つ10/90 酢酸エチル/ヘキサンの400mlの2つの部分で溶離して、3−ベンジル−7−ブロモ−5−メチル−ベンゾフラン−2−カルバルデヒド(2.61g、収率61%)を得た。MS:(M+H) 330。
【0204】
工程5 3−ベンジル−7−ブロモ−5−メチル−ベンゾフラン−2−カルボニトリル
3−ベンジル−7−ブロモ−5−メチル−ベンゾフラン−2−カルバルデヒド(2.61gm、7.93mmol)を、THF(10ml)と濃水酸化アンモニウム(80ml)の混合物に加えた。ヨウ素(2.2g、8.67mmol)を加え、灰色のスラリーを一晩撹拌した。さらなるTHF(20ml)、水酸化アンモニウム(20ml)及びヨウ素(0.2g、0.8mmol)を加え、混合物を30分間撹拌した。10% チオ硫酸ナトリウム水溶液(20ml)及びブライン(20ml)を加えることにより、反応混合物をクエンチした。混合物をジエチルエーテルで抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、3−ベンジル−7−ブロモ−5−メチル−ベンゾフラン−2−カルボニトリル(2.5g、収率97%)を得た。(M+H) 327。
【0205】
工程6 4−(3−ベンジル−2−シアノ−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
オーブンで乾燥させたフラスコ中に、BINAP(ラセミ体、0.17g、0.913mmol)、炭酸セシウム(0.35g、1.07mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.0207g、0.0226mmol)、1−BOC−ピペラジン(0.17g、0.913mmol)及びDMF 5mlを加えた。フラスコを排気し、窒素を充填した。DMF 5ml中の3−ベンジル−7−ブロモ−5−メチル−ベンゾフラン−2−カルボニトリル(0.29g、0.90mmol)をシリンジを介して加え、混合物を80℃に一晩加熱し、次に100℃にさらに24時間加熱した。混合物をロータリエバポレーターで濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:9 酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、4−(3−ベンジル−2−シアノ−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.174g、収率45%)を黄色の固体として得た。
【0206】
工程7 4−(3−ベンジル−2−カルバモイル−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−(3−ベンジル−2−シアノ−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.302gm、0.7mmol)、ペルオキソホウ酸ナトリウム四水和物(0.43gm、2.8mmol)、エタノール(8ml)及び水(8ml)をバイアル中で合わせ、マイクロ波反応器中で130℃に10分間加熱した。反応混合物を室温に冷まし、ブライン及び水で希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、カラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタンの勾配)により精製して、4−(3−ベンジル−2−カルバモイル−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.25gm、収率80%)を得た。
【0207】
工程8 3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミド
実施例2の工程4の手順に従って、4−(3−ベンジル−2−カルバモイル−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、エタノール性HClを使用して脱保護して、3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミドを塩酸塩として得た。(M+H) 350。
【0208】
実施例9
3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸メチルアミド及び3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸ジメチルアミド
この実施例で記載された合成手順を、スキームKに示された方法に従って実施した。
【0209】
【化14】

【0210】
工程1 4−(3−ベンジル−5−メチル−2−メチルカルバモイル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸メチルエステル及び4−(3−ベンジル−2−ジメチルカルバモイル−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル
4−(3−ベンジル−2−カルバモイル−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.25gm、0.556mmol)を、DMF 5mlに溶解し、水素化ナトリウム(油中60%、0.033gm、0.83mmol)を加え、その結果、沈殿物が形成した。ヨウ化メチル(0.052ml、0.83mmol)を加え、固体を溶解して、清澄な溶液を得た。1時間後、混合物を減圧下で濃縮し、残留物を分取薄層クロマトグラフィー(3/97 メタノール/ジクロロメタン)により精製した。一つのバンドを再び精製(40/60、テトラヒドロフラン/ヘキサン)して、4−(3−ベンジル−5−メチル−2−メチルカルバモイル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得た。2つ目のバンドをアセトニトリルから再結晶化して、4−(3−ベンジル−2−ジメチルカルバモイル−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得た。
【0211】
工程2 3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸メチルアミド及び3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸ジメチルアミド
実施例2の工程4の手順に従って、4−(3−ベンジル−5−メチル−2−メチルカルバモイル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸メチルエステル及び4−(3−ベンジル−2−ジメチルカルバモイル−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸イソプロピルエステルを、各々別にエタノールのHClで処理して、それぞれ3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸メチルアミド((M+H) 364)及び3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸ジメチルアミド((M+H) 378)を得た。
【0212】
実施例10
3−ベンジル−5−メチル−7−ピペリジン−4−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミド
この実施例で記載された合成手順を、スキームLに示された方法に従って実施した。
【0213】
【化15】

【0214】
工程1 4−(3−ベンジル−2−シアノ−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
フラスコに3−ベンジル−7−ブロモ−5−メチル−ベンゾフラン−2−カルボニトリル(0.13gm、0.40mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.161gm、0.52mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(0.020gm、0.0245mmol)及び炭酸カリウム(0.124gm、0.9mmol)を加えた。ジメチルホルムアミドをシリンジを介して加え、混合物を排気し、窒素を充填し、次に80℃で16時間加熱した。混合物を減圧下で濃縮し、水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗4−(3−ベンジル−2−シアノ−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを残留物として得、それをさらに特徴付けしないで次の工程に直接使用した。
【0215】
工程2 4−(3−ベンジル−2−シアノ−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
工程1から得た粗4−(3−ベンジル−2−シアノ−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、エタノールに溶解し、10% パラジウム担持炭を加えた。混合物を水素(2.76Bar)下で40時間振とうした。触媒を濾取した後、混合物を減圧下で濃縮し、分取薄層クロマトグラフィー(1/9 酢酸エチル/ヘキサン)を使用して精製し、4−(3−ベンジル−2−シアノ−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得た。
【0216】
工程3 3−ベンジル−5−メチル−7−ピペリジン−4−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミド
実施例8の工程7及び8の手順に従って、4−(3−ベンジル−2−シアノ−5−メチル−ベンゾフラン−7−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを3−ベンジル−5−メチル−7−ピペリジン−4−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミドに変換した。(M+H) 349。
【0217】
実施例11
1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−2−メタンスルホニル−ベンゾフラン−7−イル]−ピペラジン
この実施例で記載された合成手順を、スキームMに示された方法に従って実施した。
【0218】
【化16】

【0219】
工程1
7−ブロモ−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン(0.97gm、3.0mmol、実施例8の工程1及び2の手順に従って、2−ブロモ−4−フルオロ−フェノール及び3−フルオロ−シンナムアルデヒドから調製した)を、ジクロロメタン(30ml)に溶解し、−15℃に冷却した。ジクロロメタン(2ml)中のクロロスルホン酸(0.26ml、3.9mmol)を少量ずつ加え、反応混合物を10分間撹拌し、次に室温に温め、16時間撹拌した。得られたスラリーに、ピリジン(0.33ml、4.08mmol)及び五塩化リン(0.812gm、3.9mmol)を加え、反応混合物を24時間撹拌した。水を加え、反応混合物を30分間撹拌した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、シリカゲル上で乾燥させ、ガラスフリット漏斗中のシリカゲルパッドの上に重ねた。シリカゲルを酢酸エチル/ヘキサン(1/9)で溶離して、7−ブロモ−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン−2−スルホニルクロリドを得た。
【0220】
工程2 7−ブロモ−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−2−メタンスルホニル−ベンゾフラン
7−ブロモ−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン−2−スルホニルクロリド(0.63gm、1.5mmol)を、THF(5ml)に溶解し、水(12ml)中の亜硫酸ナトリウム(0.504gm、4mmol)と重炭酸ナトリウム(0.336gm、4mmol)の混合物に滴下した。混合物を3時間還流し、室温に冷まして、ヨウ化メチル(0.75ml、12mmol)を加えた。混合物を50℃に2時間加熱し、次に室温に冷まし、16時間撹拌した。混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで2回抽出した。溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、分取薄層クロマトグラフィー(1/4、酢酸エチル/ヘキサン類)により精製して、7−ブロモ−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−2−メタンスルホニル−ベンゾフラン(0.35gm、収率58%)を得た。(M+H) 402。
【0221】
工程3 1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−2−メタンスルホニル−ベンゾフラン−7−イル]−ピペラジン
実施例8の工程6及び8の手順に従って、7−ブロモ−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−2−メタンスルホニル−ベンゾフランから、1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−2−メタンスルホニル−ベンゾフラン−7−イル]−ピペラジンを調製した。(M+H) 407。
【0222】
実施例12
1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン
この実施例で記載された合成手順を、スキームNに示された方法に従って実施した。
【0223】
【化17】

【0224】
工程1 1−[7−ブロモ−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン
7−ブロモ−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン(1.29gm、4mmol)、アセチルクロリド(0.57ml、8mmol)及びジクロロメタン(16ml)を、オーブンで乾燥させたフラスコに加え、氷浴中で冷却した。塩化アルミニウム(1.067gm、8mmol)を加え、5分間後、赤みを帯びた褐色の混合物を室温に温めるにまかせて、一晩撹拌した。混合物を塩酸(0.1M)で希釈し、ジクロロメタンで3回抽出した。抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサンの勾配)により精製して、1−[7−ブロモ−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン(1.2gm,収率82%)を得た。
【0225】
工程2 1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン
実施例8の工程6及び8の手順に従って、1−[7−ブロモ−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン−2−イル]−エタノンを、1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−イル]−エタノンに変換した。(M+H) 407。
【0226】
実施例13
1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−ピロリジン−3−イル−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン
この実施例で記載された合成手順を、スキームOに示された方法に従って実施した。
【0227】
【化18】

【0228】
工程1 1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−(1−トリイソプロピルシラニル−1H−ピロール−3−イル)−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン
フラスコに、7−ブロモ−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン(0.365gm、1.0mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(0.010gm、0.012mmol)、リン酸カリウム(0.425gm、2.0mmol)、1−(トリイソプロピルシリル)ピロール−3−ボロン酸(0.365gm、1.37mmol)、DME(12ml)及び水(2ml)を加えた。混合物を排気し、超音波処理をしながら窒素を充填した。混合物をマイクロ波反応器で70℃にて15分間加熱し、次に100℃で15分間、次に130℃で15分間加熱した。混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、ブラインで希釈して、酢酸エチルで抽出した。有機相をシリカゲルのパッドに吸収させ、それを酢酸エチル/ヘキサン(250ml、1/9)ですすぎ、溶離して、1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−(1−トリプロピルシラニル−1H−ピロール−3−イル)−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン(0.38gm、収率75%)を得た。
【0229】
工程2 1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−(1H−ピロール−3−イル)−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン
1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−(1−トリイソプロピルシラニル−1H−ピロール−3−イル)−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン(0.38gm、0.748mmol)及びフッ化テトラブチルアンモニウム水和物(0.28gm、0.89mmol)を、テトラヒドロフラン(10ml)に加え、室温で4時間撹拌した。溶液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して、1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−(1H−ピロール−3−イル)−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン(0.205gm、収率79%)を得た。
【0230】
工程3 3−[2−アセチル−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン−7−イル]−ピロール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−(1H−ピロール−3−イル)−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン(0.205gm、0.58mmol)、ジ−t−ブチルジカルボナート(0.153gm、0.70mmol)及びDMAP(0.0232gm、0.18mmol)を、アセトニトリルに溶解し、室温で16時間撹拌した。アセトニトリルを減圧下で除去し、リン酸二水素カリウム溶液(0.2M)を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、3−[2−アセチル−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン−7−イル]−ピロール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.26gm、収率100%)を得た。
【0231】
工程4 3−[2−アセチル−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン−7−イル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
3−[2−アセチル−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン−7−イル]−ピロール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.114gm、0.253mmol)及び白金(5% 担持炭、0.035gm)を、エチルアルコール(45ml)に加え、55℃で2時間水素(バルーン)下に置いた。さらなる白金(5%担持炭、0.065gm)を加え、水素下、60℃で3時間加熱した。混合物を濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサンの勾配)により精製して、3−[2−アセチル−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン−7−イル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.096gm、収率83%)を得た。
【0232】
工程5 1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−ピロリジン−3−イル−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン
実施例2の工程4に関して記載されている手順を使用して、3−[2−アセチル−5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−ベンゾフラン−7−イル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、エタノール性HClで処理することにより、1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−ピロリジン−3−イル−ベンゾフラン−2−イル]−エタノンを調製した。(M+H) 356。
【0233】
実施例14
3−フルオロ−1−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
この実施例で記載された合成手順を、スキームPに示された方法に従って実施した。
【0234】
【化19】

【0235】
工程1 4−[2−カルバモイル−3−フルオロ−1−(4−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−4−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−[2−カルバモイル−1−(4−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−4−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.0155gm、0.034mmol)を、ジクロロメタンに溶解し、1−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフラート(85%、0.012gm、0.035mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を2つの分取薄層クロマトグラフィープレートに移し、1/1 酢酸エチル/ヘキサンで溶離し、次に2つの分析薄層クロマトグラフィープレート(1/1 酢酸エチル/ヘキサン)でさらに精製し、次にさらに2つの分析プレート(35/65 酢酸エチル/ヘキサン)でさらに精製して、4−[2−カルバモイル−3−フルオロ−1−(4−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−4−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.009gm、収率56%)を得た。
【0236】
工程2 3−フルオロ−1−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド
実施例2の工程4に関して記載されている手順に従って、3−フルオロ−1−(4−フルオロ−ベンジル)−1H−インドール−4−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、エタノール性HClで脱保護して、3−フルオロ−1−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミドを得た。(M+H) 371。
【0237】
実施例15
処方
種々の経路で送達される医薬製剤が下記の表で示されるように配合される。表中で使用される「活性成分」又は「活性化合物」は、1つ以上の式Iの化合物を意味する。
【0238】
【表2】

【0239】
成分を混合し、それぞれ約100mgを含有するカプセルに調剤する。1カプセルが1日用量のほぼ全てとなる。
【0240】
【表3】

【0241】
成分を合わせ、メタノールのような溶媒を使用して粒状にする。次に配合物を乾燥させ、適切な錠剤成形機を用いて錠剤(活性化合物約20mg含有)を形成する。
【0242】
【表4】

【0243】
成分を混合して、経口投与用の懸濁剤を形成する。
【0244】
【表5】

【0245】
活性成分を注射用の水の一部に溶解する。次に塩化ナトリウムの十分な量を撹拌しながら加えて、溶液を等張にする。注射用の水の残りで溶液の重量にして、0.2μ膜フィルタを通して濾過し、滅菌条件下で包装する。
【0246】
【表6】

【0247】
成分を一緒に溶融し、蒸気浴で混合し、全重量2.5gを含有する型に注ぐ。
【0248】
【表7】

【0249】
水以外の全ての成分を合わせ、撹拌しながら約60℃に加熱する。次に、十分な量の水を激しく撹拌しながら約60℃で加え、成分を乳化し、次に、約100gにするのに十分な量の水を加える。
【0250】
鼻腔スプレー用処方
活性化合物を約0.025〜0.5%含有するいくつかの水性懸濁液を、鼻腔スプレー用処方として調製する。処方物は、場合により例えば、微晶質セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストロースなどの不活性成分を含有する。塩酸を加えてpHを調整してよい。鼻腔スプレー用処方は、鼻腔スプレー計量ポンプを介して、典型的には1回の作動で配合物を約50〜100マイクロリットル送達してもよい。典型的な投与スケジュールは、4〜12時間毎に2〜4回噴霧である。
【0251】
実施例16
放射性リガンド結合研究
この実施例は、式Iの化合物のインビトロ放射性リガンド結合研究を説明する。本発明の化合物のインビトロでの結合活性を次のように決定した。組換えヒト5−HT受容体を安定して発現しているHEK293細胞に由来する細胞膜における[H]LSDの結合について競合させることにより、5−HTリガンド親和性の二重測定を行った。組換えヒト5−HT2A受容体を安定して発現しているCHO−K1細胞に由来する細胞膜における[H]ケタンセリン(3−(2−(4−(4−フルオロベンゾイル)ピペリジノール)エチル)−2,4(1H,3H)−キナゾリンジオン)の結合について競合させることにより、5−HT2Aリガンド親和性の二重測定を行った。膜は、Monsmaら、Molecular Pharmacology, Vol. 43 pp. 320-327 (1993)により記載された方法によりHEK293細胞系から調製し、また、Bonhausら、Br. J Pharmacol. Jun; 115(4): 622-8 (1995)により記載されたように、CHO−K1細胞系から調製した。
【0252】
5−HT受容体での親和性を推定するために、すべての測定は、250マイクロリットルの反応容量で、50mM トリス−HCl、10mM MgSO、0.5mM EDTA、1mMアスコルビン酸を含有するpH7.4、37℃のアッセイ緩衝液で行った。5−HT2A受容体での親和性を推定するために、すべての測定は、250マイクロリットルの反応容量で、50mM トリス−HCl、5mMアスコルビン酸、4mM CaClを含有するpH7.4、32℃のアッセイ緩衝液で行った。
【0253】
H]LSD又は[H]ケタンセリン(5nM)、競合リガンド、及び膜を含有するアッセイ管を、振とう水浴中、37℃で75分間(5−HTについて)、又は32℃で60分間(5−HT2Aについて)インキュベートし、Packard 96ウェル細胞採取機を使用して、Packard GF-Bプレート(0.3%PEIで予備浸漬)で濾過し、氷冷50mM トリス−HClで3回洗浄した。結合[H]LSD又は[H]ケタンセリンを、Packard TopCountを使用して、1分間あたりの放射能カウントとして測定した。
【0254】
結合部位からの[H]LSD又は[H]ケタンセリンの置換を、濃度−結合データを4−パラメータロジスティック方程式に当てはめることにより定量化した:
【0255】
【数1】

【0256】
式中、Hillはヒル勾配であり、[リガンド]は競合放射性リガンドの濃度であり、IC50は放射性リガンドの特異的結合の最大値の半分を生じる放射性リガンドの濃度である。特異的結合ウィンドウは、Bmaxと基底値パラメータとの差である。
【0257】
本実施例の手順を使用して、式Iの化合物を試験し、5−HT6及び/又は5−HT2Aアンタゴニストであることが見出された。例えば、1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸メチルアミドは、5−HT6受容体に対して約9.90のpKiを示し、3−(3−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミドは、5−HT2A受容体に対して約8.91のpKiを示した。
【0258】
さらなるデータを、下表に示す。
【0259】
【表8】

【0260】
実施例17
認知力の向上
本発明の化合物の認識力向上特性は、動物の認識モデル:物体認識タスクモデルにおいて存在し得る。4か月齢の雄 Wistarラット(Charles River, The Netherlands)を使用した。化合物を毎日調製し、生理食塩水に溶解し、3用量で試験した。投与は、常に、T1の60分前に腹腔内(注入容量1ml/kg)に行った。化合物の注入の30分後に臭化水素酸スコポラミンを注入した。2つの等しい試験群は24匹のラットからなり、2回の実験により試験した。用量の試験順序は、無作為に決定した。実験は、二重盲検法を用いて行った。全てのラットを各投与条件で1回処置した。物体認識試験は、Ennaceur, A., Delacour, J., 1988, A new one-trial test for neurobiological studies of memory in rats. 1: Behavioral data. Behav. Brain Res. 31, 47-59により記載されたように行った。
【0261】
本発明を、その特定の実施態様に関して記載したが、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更をなしうること及び等価物が代用しうることが、当業者により理解されるべきである。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、方法、1つ以上の加工工程を、本発明の目的とする精神及び範囲に適合させるために、多くの修正を行いうる。そのような修正は、全て、添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I又は式II:
【化20】


[式中、
mは0〜3であり;
nは1又は2であり;
pは1又は2であり;
Xは:
−O−;
−S−;又は
−NR−であり;
pが2の場合、Yは、N又はCHであり、pが1の場合、Yは、CHであり;
Arは:
場合により置換されているアリール;又は
場合により置換されているヘテロアリールであり;
は:
水素;又は
1−6アルキルであり;
各Rは、独立して:
ハロ;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
1−6アルコキシ;
ヒドロキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
シアノ;
ニトロ;
アミノ;
−(CH−S(O)−R
−(CH−C(=O)−NR
−(CH−SO−NR
−(CH−N(R)−C(=O)−R、又は
−(CH−C(=O)−R
(ここで、qは、0又は1であり;rは、0〜2であり;R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり;そしてRは、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はヒドロキシである)であり;
及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり;
は:
ニトリル;
−C(O)−NR
−C(O)−R;又は
−SO−R
(ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり、そしてRはC1−6アルキルである)であり;
は:
水素;
ハロ;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;又は
シアノであり;
は:
水素;
1−6アルキル;又は
ヘテロ−C1−6アルキルである]で示される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
nが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
pが1である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
及びRが、水素である、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
が−C(O)−NRである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
Arが、場合により置換されているアリールである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
Arが、場合により置換されているフェニルである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
mが、0又は1である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
及びRが、それぞれ独立して、水素又はメチルである、請求項5記載の化合物。
【請求項10】
が水素である、請求項7記載の化合物。
【請求項11】
Xが−O−である、請求項7記載の化合物。
【請求項12】
Xが−NH−である、請求項7記載の化合物。
【請求項13】
が、水素又はメチルである、請求項7記載の化合物。
【請求項14】
mが、0又は1であり;
nが、1又は2であり;
pが、1又は2であり;
Xが、−O−又は−NR−であり;
pが2の場合、Yが、N又はCHであり、pが1の場合、Yが、CHであり;
Arが、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノ−アルキルアミノ、ジ−アルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、−COR(ここで、Rは、水素、アルキル、フェニル又はフェニルアルキルである)、−(CRvi−COORvii(ここで、yは、0〜5の整数であり、R及びRviは、独立して、水素又はアルキルであり、Rviiは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル、又はフェニルアルキルである)、又は−(CRvi−CONRviiiix(ここで、yは、0〜5の整数であり、R及びRviは、独立して、水素又はアルキルであり、Rviii及びRixは、互いに独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル、又はフェニルアルキルである)、−(CH−S(O)−R、−(CH−C(=O)−NR、−(CH−SO−NR、−(CH−N(R)−C(=O)−R、又は−(CH−C(=O)−R(ここで、qは、0又は1であり;rは、0〜2であり;R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり、Rは、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はヒドロキシルである)より選択される1〜4個の置換基でそれぞれ場合により置換されている、フェニル又はナフチルであり;
が、水素、又はC1−6アルキルであり;
が、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、又はアミノであり;
及びRが、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり;
が:
ニトリル
−C(O)−NR
−C(O)−R;又は
−SO−R(ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり、そしてRはC1−6アルキルである)であり、
が、水素、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、又はシアノより選択され;
が水素又はC1−6アルキルである、
請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物、あるいはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項15】
nが1であり;
Arが、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ、ヘテロ−C1−6アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、−(CH−S(O)−R、−(CH−C(=O)−NR、−(CH−SO−NR、−(CH−N(R)−C(=O)−R、又は−(CH−C(=O)−R(ここで、qは、0又は1であり、rは、0〜2であり;R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−6アルキルであり、そしてRは、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はヒドロキシである)より選択される1又は2個の置換基で場合により置換されているフェニルであり;
が、水素又はハロである、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
化合物が、式III又はIV:
【化21】


[式中、
sは、0〜4であり;
各Rは、独立して:
ハロ;
1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
シアノ;
ニトロ;
アミノ;
−(CH−S(O)−R
−(CH−C(=O)−NR
−(CH−SO−NR
−(CH−N(R)−C(=O)−R、又は
−(CH−C(=O)−R
m、q、r、X、Y、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、請求項1において記載されたとおりである]で示される化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
sが、0、1又は2である、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
が、水素又はメチルである、請求項16又は17記載の化合物。
【請求項19】
mが、0又は1であり、Rが、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ又はシアノである、請求項16〜18のいずれか一項記載の化合物。
【請求項20】
sが、0、1又は2であり、Rが、ハロ、C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシ又はシアノである、請求項1〜19のいずれか一項記載の化合物。
【請求項21】
及びRが、それぞれ独立して、水素又はメチルである、請求項16〜20のいずれか一項記載の化合物。
【請求項22】
Xが−O−である、請求項1〜21のいずれか一項記載の化合物。
【請求項23】
Xが−NH−である、請求項16〜22のいずれか一項記載の化合物。
【請求項24】
化合物が、以下:
1−ベンジル−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸ジメチルアミド、
1−ベンジル−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−ベンジル−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−ベンジル−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸メチルアミド、
1−ベンジル−4−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−ベンジル−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−ベンジル−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸ジメチルアミド、
1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(2−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(2−フルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(2−クロロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(3−クロロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(3−クロロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(2−クロロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(4−クロロ−ベンジル)−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−ベンジル−6−フルオロ−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−ベンジル−6−フルオロ−4−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
3−フルオロ−1−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸メチルアミド、
3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミド、
3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸メチルアミド、
3−ベンジル−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸ジメチルアミド、
3−ベンジル−5−メチル−7−ピペリジン−4−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミド、
3−(3−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミド、
5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミド、
1−(3−フルオロ−ベンジル)−4−ピロリジン−3−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
3−ベンジル−7−ピペリジン−4−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
3−ベンジル−7−ピペラジン−1−イル−1H−インドール−2−カルボン酸アミド、
1−ベンジル−2−メタンスルホニル−6−メチル−4−ピペラジン−1−イル−1H−インドール,
1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−2−メタンスルホニル−ベンゾフラン−7−イル]−ピペラジン、
3−(3−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−カルボニトリル、
1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−ピペラジン−1−イル−ベンゾフラン−2−イル]−エタノン、又は
1−[5−フルオロ−3−(3−フルオロ−ベンジル)−7−ピロリジン−3−イル−ベンゾフラン−2−イル]−エタノンより選択される、請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物の少なくとも一つを、薬学的に許容しうる担体と混合して含む医薬組成物。
【請求項26】
医薬として使用するための、請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項27】
医薬の製造のための、請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項28】
医薬が、アルツハイマー病の予防又は治療のため、あるいは向知性薬としての使用のためである、請求項27記載の使用。
【請求項29】
本明細書記載の発明。

【公表番号】特表2010−509259(P2010−509259A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535671(P2009−535671)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061661
【国際公開番号】WO2008/055808
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】