説明

インバータ装置およびインバータ装置の制御方法

【課題】低コストな構成でデッドタイム補正を行うことが可能なインバータ装置およびインバータ装置の制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】母線電流検出回路4は、母線電流を検出し、制御部5は、母線電流検出回路4で検出された母線電流に基づいて、インバータ部1のSWパターンを推定し、推定されたSWパターンに基づいて、電圧指令を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置およびインバータ装置の制御方法に関し、詳細には、電圧指令に応じてインバータ部をスイッチングして交流電動機を駆動し、かつ、前記スイッチング部の上下アームの短絡を防止するためのデッドタイム補正を行うインバータ装置およびインバータ装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置により交流モータを駆動する場合、インバータ部を駆動するPWM信号のデッドタイムによる印加電圧歪や交流モータのインピーダンスおよび慣性モーメントなどが複雑に絡み合って電流波形が周期的に振動するいわゆる乱調現象が発生する場合がある。これは特に交流モータが大型となり、また低負荷、低周波数域において頻繁に発生する現象である。
【0003】
この乱調の発生により交流モータそのものに振動が生じ、振動の度合によっては運転を継続するのが困難となる場合が生じる。このような乱調現象を抑制する方法として、乱調発生の要因の一つであるインバータ部を駆動するPWM信号のデッドタイムによる出力電圧誤差を補正する方法がある。かかるデットタイム補正を行う技術として、例えば、特許文献1のインバータ装置が公知である。
【0004】
図6は、特許文献1のインバータ装置の構成を示す図である。図6に示すインバータ装置は、電圧指令発生回路101からの指令を受けて、該指令に基づいて出力電圧を発生させ、交流電動機109を駆動する。インバータ装置は、出力電圧を発生するパワースイッチング回路107と、パワースイッチング回路107の上下アームの短絡を防止するためにデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路105と、出力電圧を検出する電圧検出回路108と、電圧検出回路108からの検出信号に基づき上記指令を補正する減算器102と、電圧制御器103とを備えている。
【0005】
図7は、上記電圧検出回路108の構成を示す図である。電圧検出回路108は、図7に示すように、フォトカプラ201、アナログスイッチ202、およびフィルタ回路203を有している。電圧検出回路108では、パワースイッチング回路107からの出力電圧(PWM電圧)が入力されると、その立ち上がり及び立ち下がりをフォトカプラ201が検出する。フォトカプラ201を用いることにより、高電圧のインバータ装置側電源と電圧検出回路側電源とを電気的に絶縁することができる。フォトカプラ201による検出信号はタイミング信号としてアナログスイッチ202に入力されアナログスイッチ202を駆動する。これによりアナログスイッチ202からは正負の基準電圧で正規化されたPWM電圧検出信号が得られる。このPWM電圧検出信号はフィルタ回路203に入力され復調されて電圧検出信号として減算器102へ出力される。
【0006】
図6に戻り、電圧指令発生回路101から出力された正弦波電圧指令は減算器102に入力される。減算器102は、正弦波電圧指令から電圧検出回路108の検出信号を減算した偏差信号を出力する。この偏差信号は電圧制御器103に入力され増幅演算される。増幅された偏差信号はPWM変調回路103でパルス幅変調される。デッドタイム生成回路105は、パワースイッチング回路107の上下アームの短絡を防ぐようにパルス幅変調された偏差信号にデッドタイムを設ける。デッドタイムが設けられた偏差信号は、ベース駆動回路106に入力され、ベース駆動回路106はパワースイッチング回路107を駆動する。これによりパワースイッチング回路107は駆動電圧(出力電圧)を交流電動機109および電圧検出回路108に供給する。電圧検出回路108で検出された電圧検出信号は減算器102へ出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平05−137348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1では、電圧検出回路を使用してデッドタイム補正を行う構成であるので、高価な電圧検出回路を搭載する必要があるため、コストと基板面積が増大するという問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低コストな構成でデッドタイム補正を行うことが可能なインバータ装置およびインバータ装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電圧指令手段により発生する電圧指令信号に応じてインバータ部をスイッチングして電動機を駆動するインバータ装置であって、母線電流を検出する母線電流検出手段と、前記母線電流検出手段で検出された母線電流に基づいて、前記インバータ部のスイッチ切替タイミングを推定する推定手段と、前記推定手段で推定されたスイッチ切替タイミングに基づいて、前記インバータ部の上下アームの短絡を防止するための前記電圧指令信号を補正する電圧制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記母線電流検出手段は、母線電流を所定時間間隔でサンプリングし、前記推定手段は、あるサンプリング点(n+1)でサンプリングされた電流値と、その1つ前のサンプリング点(n)でサンプリングされた電流値との差分の絶対値を算出し、前記差分の絶対値の大きい方から数点を前記スイッチ切替タイミングとすることが望ましい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電圧指令手段により発生する電圧指令信号に応じてインバータ部をスイッチングして電動機を駆動するインバータ装置の制御方法であって、母線電流検出手段が母線電流を検出する工程と、推定手段が、前記母線電流検出手段で検出された母線電流に基づいて、前記インバータ部のスイッチ切替タイミングを推定する工程と、電圧制御手段が、前記推定手段で推定されたスイッチ切替タイミングに基づいて、前記インバータ部の上下アームの短絡を防止するための前記電圧指令信号を補正する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電圧指令手段により発生する電圧指令信号に応じてインバータ部をスイッチングして電動機を駆動するインバータ装置であって、母線電流を検出する母線電流検出手段と、前記母線電流検出手段で検出された母線電流に基づいて、前記インバータ部のスイッチ切替タイミングを推定する推定手段と、前記推定手段で推定されたスイッチ切替タイミングに基づいて、前記インバータ部の上下アームの短絡を防止するための前記電圧指令信号を補正する電圧制御手段と、を備えているので、低コストな構成でデッドタイム補正を行うことが可能なインバータ装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施の形態に係わるインバータ装置のブロック構成図である。
【図2】図2は、母線電流に基づいてSW切替タイミング(ポイント)を算出する処理を説明するための図である。
【図3】図3は、デッドタイム区間での印加電圧を説明するための図である。
【図4】図4は、補正電圧を算出する処理を説明するための図である。
【図5−1】図5−1は、インバータ装置のタイミングチャートの一例を示す図である。
【図5−2】図5−2は、インバータ装置のタイミングチャートの一例を示す図である。
【図6】図6は、従来のインバータ装置を示す図である。
【図7】図7は、図6の電圧検出回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、この発明にかかるインバータ装置およびインバータ装置の制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
図1は実施の形態に係わるインバータ装置のブロック構成図である。本実施の形態に係るインバータ装置は、インバータ装置に一般的に搭載されている母線電流検出回路により検出した母線電流に基づいて、モータへの印加電圧を推定し、推定した印加電圧を用いて、低コストな構成でデッドタイム補正を実現している。
【0017】
図1において、インバータ装置は、モータ2を駆動するインバータ部1と、モータ2と、直流電源3と、母線電流を検出する母線電流検出回路4と、電圧指令に応じてインバータ部1をスイッチングするためのPWMパターンを生成する制御部5と、PWMパターンに応じて、インバータ部1をスイッチングするベース駆動回路6を備えている。
【0018】
インバータ部1は、複数のスイッチング素子より構成され可変周波数・可変電圧の交流電圧を出力する。インバータ部1の出力で駆動されるモータ2として誘導電動機や同期電動機などが用いられる。
【0019】
直流電源3は、インバータ部1に直流電力を供給するものであり、交流電源31から供給される交流電力を、ダイオードブリッジ32にて全波整流して得られる脈流電圧を電解コンデンサ33にて平滑することにより直流電力を供給する。母線電流検出回路(母線電流検出手段)4は、モータ2の母線電流を検出して、制御部5に出力する。
【0020】
制御部(推定手段、電圧制御手段)5は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器、D/A変換器、およびポート等を備えたマイクロコンピュータで構成することができる。制御部5は、SWパターン検出部51と、補正電圧算出部52と、電圧指令発生部53と、電圧制御部54と、PWM変調部55と、デッドタイム生成部56とを備えている。制御部5の各部の機能は、CPUがROMに格納されたプログラムを実行することにより実現可能である。
【0021】
SWパターン検出部51は、母線電流検出回路4で検出された母線電流を所定のサンプリング周期で検出して、サンプリングした電流値に基づいて、SW切替タイミングを検出して、補正電圧算出部52に出力する。
【0022】
補正電圧算出部52は、SWパターン検出部51から入力されるSW切替タイミングで推定されるSWパターンとPWM変調部55から入力されるPWMパターンに基づいて、補正電圧を算出する。
【0023】
電圧指令発生部53は、電圧指令を電圧制御部54に出力する。電圧制御部54は、電圧指令発生部53から入力される電圧指令と補正電圧算出部52で生成された補正電圧とに基づいて、出力電圧を算出して、PWM変調回路55に出力する。PWM変調回路55は、電圧制御部54から入力される出力電圧に基づいて、PWMパターンを算出して、補正電圧算出部52およびデッドタイム生成部56に出力する。デッドタイム生成部56は、PWM変調部55から入力されるPWMパターンに、インバータ部1の上下アームの短絡を防ぐためのデッドタイムを設けた補正PWMパターンを出力する。ベース駆動回路6は、PWM変調部55から入力される補正PWMパターンに基づいて、インバータ部1をスイッチングする。
【0024】
図2は、上記SWパターン検出部51が、母線電流検出回路4で検出した母線電流に基づいてSW切替タイミング(ポイント)を算出する処理を説明するための図である。図2において、(a)は母線電流の一例、(b)は母線電流のサンプリング点、(c)はSW切り替えポイントを示している。
【0025】
SWパターン検出部51は、母線電流を所定時間間隔でサンプリングする。SWパターン検出部51は、サンプリングした電流値を記憶し、あるサンプリング点(n+1)でサンプリングされた電流値と、そのサンプリング点のひとつ前のサンプリング点(n)でサンプリングされた電流値との差分の絶対値を算出する。具体的には、図2(b)のaとbの差分の絶対値を、図2(c)のAとし、図2(b)のbとcとの差分の絶対値を図2(c)のBとする処理を、1キャリア周期中にサンプリングする電流値の全て(a〜t)について行う。SWパターン検出部51で算出した電流値の差分の絶対値のうち、1キャリア周期中で大きい方から上位4点(図2(c)の例では、G(|h−g|)、H(|i−h|)、L(|m−l|、N=|o−n|))をSW切替ポイントとして、補正電圧算出部52に出力する。これは、SW切替が行われると、そのタイミングの前後で電流値が大きく変化することに基づくものである。
【0026】
図3は、デッドタイム区間での印加電圧を説明するための図である。図3に示すように、デッドタイム区間での印加電圧は、その時に流れる電流の向きで決定される。モータ2から出る電流(負電流)によりP側電圧(DC電圧)が定まり、モータ2に入る電流(正電流)によりN側電圧(GND)が定まる。このように、母線電流はSWパターンに応じた電流が流れ、電流変化点はSWパターンの変化点となるため、電流変化点を検出することで、SW切替タイミングを検出することができる。
【0027】
図4は、図1の補正電圧算出部52がPWMパターンおよびSW切替ポイントに基づいて、補正電圧を算出する処理を説明するための図である。図4において、UPはインバータ部1のU相上アームのスイッチ素子に入力されるPWM出力、UNは、インバータ部1のU相下アームのスイッチ素子に入力されるPWM出力を示すものであり、VP、VN、WP、WNは、これと同様に、それぞれ、V相の上下アームのそれぞれのスイッチ素子に入力されるPWM出力、W相の上下アームのそれぞれのスイッチ素子に入力されるPWM出力を示すものである。同図において、補正電圧算出部52は、SWパターン検出部51から入力された4つのSW切替ポイントからSW切替タイミングを推定し、PWMパターンとの差分(デッドタイムによる電圧不足分)を各相毎に算出する(図4中、斜線部分が差分を示している)。なお、本実施例におけるモータ制御は2相変調方式であり、1キャリア周期内では、2相のON/OFFが変化し、他の1相は固定であるので、4つのSW切替ポイントで2相のSW切替タイミングを推定することができる。また、SW切替ポイントからSW切替タイミングを推定する具体的な方法については、本実施例では、PWMのキャリアが三角波であるため、4つのSW切替タイミングをキャリア周期の中心に対して対称となるようにとってゆき、内側の2点同士と外側の2点同士をそれぞれ結んで対応する各相のSW切替タイミングとする。
【0028】
さらに、補正電圧算出部52は、推定したSW切替タイミングとPWM変調部55から入力されるPWMパターンとの差分をΔt(図4において、Δt=2a)として、この差分Δtを下式(1)に代入して、補正電圧を算出する。
【0029】
補正電圧=DC電圧×(Δt/キャリア周期)・・・(1)
【0030】
なお、推定したSW切替タイミングを、どのPWM出力に対応付けて差分を取るかについては、SW切替タイミングの幅とPWM出力の幅をそれぞれ大きい順に順位付けし、それぞれの対応する順位の信号で差分をとっている。図4を用いて説明すると、一番幅の広いPWM出力であるUPと、一番幅の広いSW切替タイミングで差分を取り、次に幅の広いPWM出力であるVPと、次に幅の広いSW切替タイミングで差分を取ることになるので、一番幅の広いSW切替タイミングをU相のスイッチ切替タイミングとし、次に幅の広いSW切替タイミングをV相のSW切替タイミングとして、差分を取ることになる。
【0031】
上記図1の構成のインバータ装置の動作を、図5−1および図5−2のタイミングチャートを参照して説明する。図5−1および図5−2は、上記図1の構成のインバータ装置のタイミングチャートの一例を示す図である。同図において、(a)は電圧指令、(b)は補正電圧、(c)は出力電圧、(d)はPWM出力、(e)は補正PWM出力、(f)は母線電流、(g)は電流差分、(h)はSW切替タイミングを示している。図5−1および図5−2間で、縦軸の一点鎖線は同一の時刻を示している。
【0032】
図1において、電圧指令発生部53から出力された電圧指令(図5−1(a)参照)は、電圧制御部54に入力される。電圧制御部54では、この電圧指令と補正電圧算出部52から入力される一つ前のサンプリング周期で検出されたSW切替タイミング(図5−2(h)参照)に基づいて、出力電圧(図5−1(c)参照)を生成する。生成された出力電圧は、PWM変調部55に入力される。PWM変調部55では、出力電圧がPWM変調されてPWMパターン(図5−1(d)参照)が生成され、PWMパターンは、デッドタイム生成部56および補正電圧算出部52に入力される。
【0033】
デッドタイム生成部56では、PWMパターンにインバータ部1の上下アームの短絡を防ぐためのデッドタイムTdが付加され、デッドタイムTdが付加された補正PWMパターン(図5−2(e))は、ベース駆動回路6に入力され、ベース駆動回路6はインバータ部1を駆動する。これによりインバータ部1は駆動電力をモータ2に供給する。
【0034】
一方、母線電流検出回路4で検出された母線電流の電流値はSWパターン検出部51に入力され、所定時間間隔でサンプリングされる(図5−2(f)参照)。さらに、SWパターン検出部51では、ここでサンプリングされた電流値を用いて、あるサンプリング点(n+1)でサンプリングされた電流値と、その一つ前のサンプリング点(n)でサンプリングされた電流値との差分の絶対値が算出される(図5−2(g)参照)。
【0035】
そして、算出された差分の絶対値のうち、1キャリア周期内で上位4点をSW切替タイミング(図5−2(h)参照)として補正電圧算出部52に出力される。補正電圧算出部52では、前述のとおり、PWM変調部55から入力されるPWMパターンとSWパターン検出部51で推定されるSW切替タイミングとの差分に基づいて、補正電圧(図5−1(b)参照)が算出されて、電圧制御部54に出力される。
【0036】
なお、SW切替タイミングの検出から補正電圧を算出し、電圧指令に反映されるまでにはタイムラグが存在し、図5−1および図5−2に示すように、「キャリア周期N」でのSW切替タイミングに基づいて補正された補正電圧は、「キャリア周期N+1」の途中から反映され(図5−1(c)参照)、この補正電圧は、「キャリア周期N+1」で検出されたSW切替タイミング(図5−1(h)参照)に基づいて算出される補正電圧が反映されるまで出力され続ける。
【0037】
また、所定のキャリア周期で出力された出力電圧がPWM変調部55でPWM変調されPWMパターン(図5−1(d)参照)に反映されるまで1キャリア周期分の時間を必要とし、例えば、「キャリア周期N+1」で出力された出力電圧(図5−1(c)参照)が反映されるのは、「キャリア周期N+2」のPWMパターンとなる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、母線電流検出回路4は、母線電流を検出し、制御部5は、母線電流検出回路4で検出された母線電流に基づいて、インバータ部1のSWパターンを推定し、推定されたSWパターンに基づいて、電圧指令を補正することとしたので、低コストおよび実装面積を増大させることなく、PWMパターンに付加されるデットタイムに拘わらず、電圧指令どおりの電圧をモータに印加するデッドタイム補正を行うことが可能となる。
【0039】
また、制御部5は、サンプリング母線電流検出回路4で検出される母線電流を所定時間間隔でサンプリングし、あるサンプリング点(n+1)でサンプリングされた電流値と、その一つ前のサンプリング点(n)でサンプリングされた電流値との差分の絶対値を算出し、差分の絶対値のうちの上位数点をSW切替タイミングとし、当該SW切替タイミングに基づいてデッドタイム補正を行うこととしたので、簡単な方法で高精度にデッドタイム補正を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかるインバータ装置およびインバータ装置の制御方法は、各種装置に広く利用可能であり、特に、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、クリーナー、換気扇、およびこれらの駆動装置等に有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 インバータ部
2 モータ
3 直流電源
4 母線電流検出回路
5 制御部
6 ベース駆動回路
51 SWパターン検出部
52 補正電圧算出部
53 電圧指令発生部
54 電圧制御部
55 PWM変調部
56 デッドタイム生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧指令手段により発生する電圧指令信号に応じてインバータ部をスイッチングして電動機を駆動するインバータ装置であって、
母線電流を検出する母線電流検出手段と、
前記母線電流検出手段で検出された母線電流に基づいて、前記インバータ部のスイッチ切替タイミングを推定する推定手段と、
前記推定手段で推定されたスイッチ切替タイミングに基づいて、前記インバータ部の上下アームの短絡を防止するための前記電圧指令信号を補正する電圧制御手段と、
を備えたことを特徴とするインバータ装置。
【請求項2】
前記母線電流検出手段は、母線電流を所定時間間隔でサンプリングし、
前記推定手段は、あるサンプリング点(n+1)でサンプリングされた電流値と、1つ前のサンプリング点(n)でサンプリングされた電流値との差分の絶対値を算出し、前記差分の絶対値の大きい方から数点を前記スイッチ切替タイミングとすることを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置。
【請求項3】
電圧指令手段により発生する電圧指令信号に応じてインバータ部をスイッチングして電動機を駆動するインバータ装置の制御方法であって、
母線電流検出手段が母線電流を検出する工程と、
推定手段が、前記母線電流検出手段で検出された母線電流に基づいて、前記インバータ部のスイッチ切替タイミングを推定する工程と、
電圧制御手段が、前記推定手段で推定されたスイッチ切替タイミングに基づいて、前記インバータ部の上下アームの短絡を防止するための前記電圧指令信号を補正する工程と、
を含むことを特徴とするインバータ装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−67000(P2011−67000A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214929(P2009−214929)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】