説明

インフレーター及びその製造方法

【課題】簡便なシール構造の充填装置を使用して、容易に製造することができるインフレーター及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のインフレーター1は、エアバッグの膨張用に供給する加圧ガスG0を内部に充填させて構成される筒状のハウジング3を備える。ハウジング3が、本体部4と、本体部4の周壁5から部分的に筒状に延ばして形成される本体部4への加圧ガス充填用の充填筒部10と、を備える。充填筒部10が、加圧ガス充填後に縮径されるようにかしめられ、抵抗溶接により内周面側を溶融固化されて閉塞される閉塞部13を、備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグの膨張用に供給する加圧ガスを内部に充填させて構成される筒状のハウジングを備える構成のインフレーター及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジング(ボトルともいう)の内部に加圧ガスを充填させて構成されるタイプのインフレーターでは、ハウジングに、内部へ加圧ガスを充填させるための充填用開口が形成され、この充填用開口は、ハウジングと別体とされる閉塞体によって閉塞されている構成であった(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
このようなインフレーターでは、加圧ガス充填用の充填装置を使用して、加圧ガスの充填後に、抵抗溶接により、閉塞体を充填用開口の周縁に溶着させて、充填用開口を閉塞していた。そして、このようにハウジングに加圧ガスを充填させ、かつ、ハウジングの充填用開口周縁に閉塞体を溶接する際、特許文献2に記載の充填装置では、閉塞体と充填用開口の内周面との間に加圧ガス充填用の隙間を設けて、閉塞体を、充填用開口に挿入させるように、充填用開口の周縁に配置し、その上方に抵抗溶接用の電極を配置させ、さらに、電極の周囲を、円筒状のカバー体で覆う構成としていた。
【0004】
そして、ハウジングへの加圧ガスの充填時には、まず、充填用開口の周縁に、メタルタッチで、カバー体を当てる。次いで、加圧ガスを供給する加圧ガス源から供給される加圧ガスをカバー体内に流入させ、流入した加圧ガスを、閉塞体と充填用開口の内周面との隙間を経て、ハウジング内に充填する。そして、加圧ガスのハウジング内への充填完了後、カバー体を充填用開口の周縁に押し当てて気密性を確保した状態で、閉塞体を押し可能に電極を下降させ、閉塞体を充填用開口の周縁に押圧しつつ、通電し、閉塞体を充填用開口の周縁に抵抗溶接していた。その後、カバー体や電極を周囲から外せば、加圧ガスを充填したインフレーターを得ることができる。
【特許文献1】特表2006−502030公報
【特許文献2】特開2000−227199公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のインフレーターでは、ハウジングの充填用開口から加圧ガスを充填し、その充填用開口自体を、抵抗溶接を利用して、閉塞体により閉塞する構造であった。そのため、加圧ガスの充填装置として、加圧ガス源からの加圧ガスの供給前から充填後における閉塞体の抵抗溶接完了時までの、加圧ガス源から充填用開口の周縁をシールするカバー体のガス供給ルートのシール構造と、抵抗溶接時に移動するように使用される電極側のシール構造と、の二種類のシール構造を設ける必要があった。また、加圧ガスは、35〜70MPaの高圧でハウジング内に充填されることから、充填装置が、シール構造を含めて複雑となり、インフレーターの製造コストを高める要因となっていた。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、簡便なシール構造の充填装置を使用して、容易に製造することができるインフレーター及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインフレーターは、エアバッグの膨張用に供給する加圧ガスを内部に充填させて構成される筒状のハウジングを備える構成のインフレーターであって、
ハウジングが、本体部と、本体部の周壁から部分的に筒状に延ばして形成される本体部への加圧ガス充填用の充填筒部と、を備える構成とされ、
充填筒部が、加圧ガス充填後に縮径されるようにかしめられ、抵抗溶接により内周面側を溶融固化されて閉塞される閉塞部を、備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明のインフレーター及びその製造方法では、まず、ハウジングを構成する金属パイプ素材の開口端側を、縮径させるように、塑性変形加工して、充填筒部を形成し、この充填筒部に、加圧ガス充填用の充填装置から延びる加圧ガス供給ノズルを連結させて、本体部内に加圧ガスを充填した後、加圧ガス供給ノズルと充填筒部との連結を維持した状態で、充填筒部に、外周側から抵抗溶接用の電極を圧接させて、縮径させるようにかしめつつ、通電すれば、充填筒部の内周面側を溶融固化させて、閉塞部を形成することができ、充填筒部を閉塞させて、インフレーターを製造することができる。
【0009】
すなわち、本発明のインフレーター及びその製造方法では、ハウジング内に加圧ガスを充填する充填装置の加圧ガス供給ノズルを、加圧ガス充填時に、充填筒部に対して押圧させるようにして、充填筒部に連結させればよいことから、従来の充填装置で必要とされていたカバー体を、そのシール構造を含めて不要にできて、充填装置を簡便に構成することができる。
【0010】
また、本発明のインフレーター及びその製造方法では、加圧ガスの充填完了後に、加圧ガス供給ノズルから離れた充填筒部の外周面側に、抵抗溶接用の電極を配置させて圧接しつつ通電させれば、閉塞部を形成できることから、充填筒部と加圧ガス供給ノズルとのシール性を安定して確保した状態で、閉塞部を形成することができ、加圧ガスの漏れを極力抑えて、ハウジングに加圧ガスを充填してインフレーターを製造することができる。
【0011】
したがって、本発明のインフレーター及びその製造方法では、簡便なシール構造の充填装置を使用して、容易に製造することができる。
【0012】
また、本発明のインフレーターでは、ハウジングから延びる充填筒部自体を溶着させてハウジングをシールしていることから、従来必要とされていた閉塞体が不要であり、部品点数を低減することもできる。
【0013】
さらに、本発明のインフレーターの製造方法において、充填筒部の先端における内周面を、端縁側を拡径させるようなテーパ状として構成すれば、製造時において、充填筒部の先端に加圧ガス供給ノズルを挿入させつつ連結させることができ、その際のシール性を良好にすることができて、好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のインフレーター1は、車両に搭載されるエアバッグ装置に使用されるもので、図1に示すように、外形形状を略円柱状としたシリンダタイプとされている。インフレーター1は、実施形態の場合、図1,2に示すように、エアバッグの膨張用に供給する加圧ガスG0を内部に充填させて構成される略円筒状のハウジング3と、ハウジング3の一端(後述する本体部4の先端4a)側に配置されるスクイブ16と、スクイブ16を保持する保持筒部18と、を備えている。実施形態の場合、インフレーター1は、スクイブ16が作動した際に、ハウジング3におけるスクイブ16側を覆うように配置される破裂板8を破って、後述する流出口6から、ハウジング3内に充填された加圧ガスG0を流出させるストアードガスタイプとされている。
【0015】
ハウジング3は、低炭素鋼やステンレス鋼等の耐圧性を有する金属パイプ材から構成されるもので、内部に加圧ガスG0を充填される本体部4と、本体部4内に加圧ガスG0を充填するための充填筒部10と、を、備えている。
【0016】
本体部4は、軸方向の両端側にかけて、内径寸法を狭めるように縮径して構成されるとともに、軸方向の両端側を開口させた略円筒状の周壁5から、構成されるもので、軸方向の先端4a側に、流出口6を備え、軸方向の元部4b側に、流入用開口7を備えている。本体部4の内側における流出口6の周縁には、破裂板8が固着されて、流出口6を閉塞している。流入用開口7は、充填筒部10に連通されている。本体部4内には、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、またはそれらの混合ガス等の不活性ガスからなる加圧ガスG0が、充填されている。実施形態の場合、具体的には、本体部4内に、加圧ガスG0として、ヘリウムガスとアルゴンガスとの混合ガスを、内圧を35〜70MPaの範囲で、充填させている。
【0017】
充填筒部10は、本体部4内へ加圧ガスG0を充填させるためのもので、本体部4の周壁5から部分的に筒状に延ばして形成されている。実施形態の場合、充填筒部10は、本体部4の元部4b側に形成される流入用開口7に連通されるとともに、本体部4の元部4b側から直列的に延びるように、構成されている。さらに詳細には、充填筒部10は、本体部4を構成する周壁5と一体的に構成される筒状の周壁11から、構成されている。充填筒部10(周壁11)は、図3のBに示すように、加圧ガスG0充填前には、流入用開口7と連通される円筒形の両端開口筒部22として構成されており、本体部4内への加圧ガスG0充填後に、この両端開口筒部22の周壁11を、内周面11a,11a相互に接触させるように、縮径されてかしめられることとなる。そして、充填筒部10は、かしめ後に、抵抗溶接によって、周壁11の接触している内周面11a,11a相互を溶融固化されて形成される溶融固化部12からなる閉塞部13を、備えており、この閉塞部13(溶融固化部12)によって、本体部4の流入用開口7を閉塞している構成である。また、充填筒部10の本体部4から離れた先端側は、閉塞部13から拡開するように、形成されている。
【0018】
スクイブ16は、ハウジング3における本体部4の先端4a側に配置される保持筒部18により保持されて、本体部4の先端4a側の流出口6を塞ぐように配置される破裂板8と対向する位置に接近して配置されている。具体的には、スクイブ16は、先端16aを破裂板8側に向けるように、先端16a側を保持筒部18内に挿入させ、元部16b側を保持筒部18外へ露出させるようにして、保持筒部18に保持されている。スクイブ16は、内部に少量の燃焼ガスを発生可能な薬剤を収納させた構成とされている。また、スクイブ16は、元部16b側を、作動信号入力用の図示しないリード線に結線させる構成とされ、インフレーター1をエアバッグ装置として車両に搭載させた際に、このリード線を介して、車両の制御装置に電気的に接続され、制御装置からの作動信号を受けて薬剤を燃焼させるように作動して、発生した燃焼ガスの圧力により、破裂板8を破る構成とされている。なお、スクイブとしては、これに限られるものではなく、作動時に衝撃波を発生させ、衝撃波により破裂板を破る構成のものを使用してもよい。
【0019】
保持筒部18は、ハウジング3における本体部4の先端4a側から延びる有底の筒状とされるもので、本体部4の先端4aからスクイブ16の先端16a側にかけての領域を側壁18aによって覆い、元部16b側を底壁18cから露出させるようにして、底壁18c側においてスクイブ16を保持している。また、保持筒部18の側壁18aには、スクイブ16の作動時に、図2の二点鎖線に示すように、破裂板8が破裂して形成される流出口6から流出する加圧ガスG0を、膨張用ガスGとしてインフレーター1外に吐出させる吐出口18bが、軸回り方向に沿って放射状に、多数、形成されている。
【0020】
次に、実施形態のインフレーター1の製造について、説明をする。ハウジング3を構成する金属パイプ製のハウジング用素材21の先端には、図示しないが、縮径加工して予め流出口6を形成するとともに、破裂板8と、スクイブ16を保持させた保持筒部18と、を、連結させておく。また、充填筒部10における本体部4から離れた先端10a側となるハウジング用素材21の元部端21aには、図3のAに示すように、内周面側を切り欠いて、端縁10c側を拡径させるようなテーパ面10bを、予め形成しておく。このテーパ面10bは、加圧ガス充填用の加圧ガス供給ノズル23の先細り状の先端23a側の外周面に対応して、傾斜するように、構成されている(図3のB,C参照)。そして、実施形態のインフレーター1は、ハウジング3に充填筒部10を形成する充填筒部形成工程と、ハウジング3の本体部4内に加圧ガスG0を充填する加圧ガス充填工程と、充填筒部10に閉塞部13を形成する閉塞部形成工程と、を経て、製造されることとなる。
【0021】
充填筒部形成工程では、ハウジング用素材21の元部端21a側を、縮径させるように、スウェージング加工等の塑性変形加工を施して、本体部4の元部4bに形成される流出口6と、流出口6から延びるように形成される充填筒部10としての両端開口筒部22、を、形成する(図3のA,B参照)。この充填筒部10(両端開口筒部22)は、内径寸法D1を、本体部4の内径寸法D2よりも小さくして、かつ、加圧ガス充填工程において加圧ガス充填用の加圧ガス供給ノズル23の先端23aを挿入可能な寸法に、設定されている。具体的には、実施形態の場合、充填筒部10(両端開口筒部22)の内径寸法D1は、本体部4の内径寸法D2(ハウジング用素材21の内径寸法と略一致)の1/8程度に設定されている。また、充填筒部10(両端開口筒部22)の軸方向に沿った長さ寸法L1は、後述する抵抗溶接用の電極D,Dの幅寸法より大きく設定されている(図4のA,B参照)。
【0022】
加圧ガス充填工程では、図示しない充填装置の加圧源から延びる加圧ガス充填用の加圧ガス供給ノズル23を、先端23aを先端10aに圧接させるようにして充填筒部10(両端開口筒部22)に連結させて、本体部4内に加圧ガスG0を充填する。加圧ガス供給ノズル23から供給される加圧ガスG0は、充填筒部10(両端開口筒部22)を経て、流入用開口7から本体部4内に流入されることとなる。また、加圧ガス供給ノズル23は、先端23a側にかけて先細り状とされており、実施形態の場合、この先端23aを、充填筒部10の先端10aに挿入させつつ、充填筒部10側に圧接させるようにして、加圧ガス供給ノズル23と充填筒部10(両端開口筒部22)とが気密性を確保して連結されている。そして、実施形態では、充填筒部10の先端10a側の内周面は、この加圧ガス供給ノズル23の先端23a側の外周面に対応して、傾斜するテーパ面10bとされていることから、加圧ガス供給ノズル23の先端23aを、充填筒部10の先端10aに挿入させつつ、先端23aの外周面を充填筒部10のテーパ面10bに圧接させれば、加圧ガス供給ノズル23を、シール性(気密性)を良好として、充填筒部10に連結させることができる。
【0023】
そして、加圧ガス供給ノズル23からの本体部4内への加圧ガスG0の充填が終了したならば、閉塞部形成工程において、充填筒部10(両端開口筒部22)の内周面11b,11b側を溶融固化させて、閉塞部13を形成する。閉塞部形成工程は、図3のC〜図4のBに示すように、加圧ガス供給ノズル23と充填筒部10との連結が維持された状態で、行なわれることとなる。まず、抵抗溶接用の2つの電極D,Dを、充填筒部10(両端開口筒部22)における先端10a側(加圧ガス充填ノズル23側)から離れた流入用開口7近傍となる部位の外周側において、相互に対向するように、配置させ、この電極D,Dを相互に接近させるように移動させつつ、充填筒部10(両端開口筒部22)における周壁11の本体部側部位11bを圧接し、充填筒部10を縮径させるようにかしめて、周壁の内周面11a,11aを相互に接触させるように塑性変形させる。その後、電極D,D間を通電させれば、充填筒部10の周壁11において、相互に接触している本体部側部位11bに、内周面11a,11a相互を溶融固化されて、溶融固化部12(閉塞部13)が形成されることとなり、充填筒部10が、閉塞部13によって閉塞されることとなる。この閉塞部13(溶融固化部12)は、電極D,Dに略対応した位置、すなわち、充填筒部10における周壁11の本体部側部位11bのみに形成されることとなり、加圧ガス充填ノズル23側である充填筒部10の先端10a近傍の部位には、形成されないこととなる。その後、図4のCに示すように、閉塞部13の領域から外れた充填筒部10の先端10a側の部位を切断させれば、インフレーター1を製造することができる。
【0024】
すなわち、実施形態のインフレーター1及びその製造方法では、加圧ガス充填工程において、ハウジング3内に加圧ガスG0を充填する図示しない充填装置から延びる加圧ガス供給ノズル23を、単に、充填筒部10に対して押圧させるようにして、充填筒部10に連結させれば、加圧ガス供給ノズル23と充填筒部10とのシール性を確保しつつ、加圧ガスG0を充填筒部10を経てハウジング3内に充填できることから、従来の充填装置で必要とされていたカバー体を、そのシール構造を含めて不要にできて、充填装置を簡便に構成することができる。
【0025】
また、実施形態のインフレーター1及びその製造方法では、加圧ガスG0の充填完了後に、閉塞部形成工程において、加圧ガス供給ノズル23から離れた充填筒部10における本体部側部位11bの外周面側に、抵抗溶接用の電極D,Dを配置させて圧接しつつ通電させれば、閉塞部13(溶融固化部12)を形成できることから、充填筒部10と加圧ガス供給ノズル23とのシール性を安定して確保した状態で、閉塞部13を形成することができ、加圧ガスG0の漏れを極力抑えて、ハウジング3に加圧ガスG0を充填してインフレーター1を製造することができる。
【0026】
したがって、実施形態のインフレーター1及びその製造方法では、簡便なシール構造の充填装置を使用して、容易に製造することができる。
【0027】
また、実施形態のインフレーター1では、ハウジング3から延びる充填筒部10自体を溶着させてハウジング3をシールしていることから、従来必要とされていた閉塞体が不要であり、部品点数を低減することもできる。
【0028】
さらに、実施形態のインフレーター1では、充填筒部10の先端10aにおける内周面を、端縁10c側を拡径させるようなテーパ面10bとして、構成していることから、製造時において、充填筒部10の先端10aに加圧ガス供給ノズル23を挿入させつつ連結させることができ、その際のシール性を良好にすることができて、好ましい。具体的には、実施形態の場合、加圧ガス供給ノズル23は、先端23a側にかけて先細り状とされており、充填筒部10の先端10a側の内周面は、この加圧ガス供給ノズル23の先端23a側の外周面に対応して、傾斜するテーパ面10bとされている。そのため、加圧ガス供給ノズル23の先端23aを、充填筒部10の先端10aの内部に挿入させつつ、先端23aの外周面を充填筒部10のテーパ面10bに圧接させれば、加圧ガス供給ノズル23を、シール性を良好として、充填筒部10に連結させることができる。なお、加圧ガス供給ノズルの先端と充填筒部の先端とは、ともにテーパ状としなくともよく、一方のみをテーパ面を有する構成として、他方の端縁を、このテーパ面に線当たりさせるようにして、当接させるように構成しても、連結時のシール性を良好に確保することができる。勿論、このような点を考慮しなければ、充填筒部の内周面をテーパ状としなくともよい。
【0029】
また、図5に示すように、実施形態とは逆に、充填筒部10Aとして、先端10dにおける外周面を、端縁10f側を縮径させるようなテーパ面10eとした構成のもの(先端にかけて先細り状とした構成のもの)を使用し、加圧ガス供給ノズル23Aとして、充填筒部10Aに対応して、先端23b側の内周面を端縁側にかけて拡径させるようなテーパ状としたものを使用してもよい。このような充填筒部10A及び加圧ガス供給ノズル23Aを使用する場合にも、充填筒部10Aの先端10dを、加圧ガス供給ノズル23Aの先端23bの内部に挿入させるようにして、充填筒部10Aの先端10dの外周面(テーパ面10e)を、加圧ガス供給ノズル23Aの先端23bの内周面に圧接させれば、加圧ガス供給ノズル23Aを、シール性を良好として、充填筒部10Aに連結させることができる。
【0030】
なお、実施形態のインフレーター1では、充填筒部10が、本体部4に対して直列的に形成されているが、充填筒部の配置位置はこれに限られるものではなく、例えば、本体部の中間部位から分岐させて突出させるように、充填筒部を配置させる構成としてもよい。また、実施形態では、ストアードガスタイプのインフレーター1を例に採り説明しているが、本発明を適用可能なインフレーターはストアードガスタイプのものに限定されるものではなく、本発明は内部に加圧ガスと、燃焼時にガスを発生可能なガス発生剤と、を充填させたハイブリッドタイプのインフレーターにも、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態であるインフレーターの概略縦断面図である。
【図2】実施形態のインフレーターの概略部分拡大縦断面図である。
【図3】実施形態のインフレーターの製造工程を示す概略断面図である。
【図4】実施形態のインフレーターの製造工程を示す概略断面図であり、図3の後の工程を示す図である。
【図5】実施形態のインフレーターにおいて、充填筒部と加圧ガス供給ノズルとの先端側の形状を異ならせた変形例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1…インフレーター、
3…ハウジング、
4…本体部、
10…充填筒部、
12…溶融固化部、
13…閉塞部、
16…スクイブ、
21…ハウジング用素材(金属パイプ素材)、
23…加圧ガス供給ノズル、
D…電極、
G0…加圧ガス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグの膨張用に供給する加圧ガスを内部に充填させて構成される筒状のハウジングを備える構成のインフレーターであって、
前記ハウジングが、本体部と、該本体部の周壁から部分的に筒状に延ばして形成される前記本体部への加圧ガス充填用の充填筒部と、を備える構成とされ、
前記充填筒部が、前記加圧ガス充填後に縮径されるようにかしめられ、抵抗溶接により内周面側を溶融固化されて閉塞される閉塞部を、備えていることを特徴とするインフレーター。
【請求項2】
エアバッグの膨張用に供給する加圧ガスを内部に充填させて構成される筒状のハウジングを備える構成のインフレーターの製造方法であって、
前記ハウジングが、本体部と、該本体部の周壁から部分的に筒状に延ばして形成される前記本体部への加圧ガス充填用の充填筒部と、を備えて、
前記充填筒部が、前記加圧ガス充填後に縮径されるようにかしめられ、抵抗溶接により内周面側を溶融固化されて閉塞される閉塞部を、備える構成とされ、
前記ハウジングを構成する金属パイプ素材の開口端側を、縮径させるように、塑性変形加工して、前記充填筒部を形成する充填筒部形成工程と、
前記充填筒部に、加圧ガス充填用の加圧ガス供給ノズルを連結させて、前記本体部内に前記加圧ガスを充填する加圧ガス充填工程と、
前記加圧ガス供給ノズルと前記充填筒部との連結を維持した状態で、前記充填部に、外周側から抵抗溶接用の電極を圧接させて、縮径させるようにかしめつつ、通電することにより、前記充填筒部の内周面側を溶融固化させて、前記閉塞部を形成する閉塞部形成工程と、
を具備して製造することを特徴とするインフレーターの製造方法。
【請求項3】
前記充填筒部の先端における内周面が、端縁側を拡径させるようなテーパ状として、構成されていることを特徴とする請求項2に記載のインフレーターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−940(P2010−940A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162133(P2008−162133)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】