説明

インレット複数列スタッカ

【課題】収容するインレットの大きさや間隔などに応じて複数列のスタッカ間の間隔調整及びセンサのインレット平積み高さ検知の調整を容易とするインレット複数列スタッカを提供する。
【解決手段】底板51上に、列の方向に延出される所定数のガイド軸46〜48に対応して軸方向に可動自在とされる所定数の収容部係合部材54と、個片化されたインレットを平積みするインレット収容部52と、インレット収容部52で収容されるインレットの平積み高さを検知するセンサSを備え、列の方向に延出される断面非円形のセンサ回動調整軸44が貫通されて回動と共に回動されるセンサブロック56と、センサ回動調整軸44の軸方向に対して可動自在としてセンサブロック56を支持するセンサ支持部材53とを設ける構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDラベル元シートからインレットと称される各RFIDを個片化して所定数ずつ複数のスタッカ毎に収容させておくインレット複数列スタッカに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICモジュールとアンテナを備えて非接触でデータ授受可能なRFIDメディアが安価となってICカードの他にラベルとして使用されることも一般化してきている。このようなインレットと称されるRFIDをラベルとして多数仮着したシートを製造する工程において、総て良品のインレットをスタッカに一旦収容しておくところがある。一方で、シート製造の高速化、効率化を図るためにシートに複数列でインレットを配置させることが行われ、これに応じて上記スタッカにおいても複数列で用意する必要がある。
【0003】
従来、RFIDラベルシートを製造する際に、仮着されるRFIDラベルを不良品を排除して総て良品とさせるものが、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1は、ICロールラベル(RFIDラベル)のICラベルを順次通信検査し、通信状態により不良品と判定された不良品ICラベルを所定の台紙に順次移し換え、次いで不良品ICラベルの個数分の良品ICラベルを所定の台紙に移し替え、当該所定の台紙からICロールラベルの不良品ICの欠落領域に良品ICラベルを順次移し替えて等間隔に並んだ良品ICラベルのICロールラベルとすることが開示されている。
【0004】
この特許文献1に開示されているICラベルシートは、ICラベルが1列に配置されたもので、大量生産には不向きであるために、本出願人により特願2010−209750号を出願し、その際に補充用のインレットを収容しておくスタッカを複数列として配置したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−287799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、スタッカに収容されるインレットは、常に所定数確保しておかなければならないことから、特願2010−209750号の出願では、当該スタッカ毎に個数管理としてセンサを設けた構成としているが、平積みで収容する場合には個数管理よりもカウント制御を必要としない積み重ね高さで管理した方が容易である。
【0007】
しかしながら、複数列でスタッカを配置した場合、インレットの大きさや間隔などによって各スタッカ間を移動させて調整する必要があると共に、インレット積み重ね高さを検知するセンサの検知位置をインレット平積み高さの設定に応じて調整する必要があり、特にスタッカ毎にそれぞれのセンサの位置調整を行うことはスタッカ数が増えるにしたがって煩雑となるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、収容するインレットの大きさや間隔などに応じて複数列のスタッカ間の間隔調整及びセンサのインレット平積み高さ検知の調整を容易とするインレット複数列スタッカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、基体上に形成されたインレットシートより個片化されたインレットを、複数列の収容部でそれぞれ所望数に応じた平積み高さをセンサで検知して収容するインレット複数列スタッカであって、各スタッカは、前記列の方向に延出される所定数のガイド軸に対応して軸方向に可動自在として基台上に設けられる所定数の係合部材と、前記基台上に設けられる前記個片化されたインレットを平積みするインレット収容部と、前記インレット収容部で収容されるインレットの平積み高さを検知する前記センサを備え、前記列の方向に延出されるセンサ回動調整軸が貫通され、当該センサ回動調整軸の回動と共に回動されるセンサブロックと、前記基台上に設けられ、前記センサ回動調整軸が貫通されて軸方向に対して可動自在として前記センサブロックを支持する支持部材と、を有し、前記センサ回動調整軸上に連設される各スタッカ間が個別に間隔調整され、当該センサ回動調整軸の回動で総てのセンサブロックのセンサが一度に角度調整される構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基台上に、列の方向に延出される所定数のガイド軸に対応して軸方向に可動自在とされる所定数の係合部材と、個片化されたインレットを平積みするインレット収容部と、インレット収容部で収容されるインレットの平積み高さを検知するセンサを備え、列の方向に延出されるセンサ回動調整軸が貫通されて回動と共に回動されるセンサブロックと、センサ回動調整軸の軸方向に対して可動自在としてセンサブロックを支持する支持部材とを設けることで、センサ回動調整軸上に連設される各スタッカ間を個別に間隔調整させ、当該センサ回動調整軸の回動で総てのセンサブロックのセンサを一度に角度調整させる構成とすることにより、収容するインレットの大きさや間隔などに応じて複数列のスタッカ間の間隔調整及びインレットの平積み高さ検知の調整を容易とすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るインレット複数列スタッカのインレット貼付装置での位置付け示した概念図である。
【図2】本発明に係るインレット複数列スタッカの構成図である。
【図3】図2における個別のスタッカ組み込みの説明図である。
【図4】図2におけるスタッカ及びセンサの位置調整の説明図である。
【図5】各スタッカ及びセンサの位置調整を可能とする他のセンサ回動調整軸及び軸受けの断面形状の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明に係るインレット複数列スタッカのインレット貼付装置での位置付けの概念図を示す。本発明に係るインレット複数列スタッカを、一例として、インレット貼付装置に設けられる場合として示す。図1(A)において、インレット貼付装置11は、インレットロール12から供給されるインレットシートには、例えば基体上に5列のインレットが所定間隔で形成されており、その搬送経路上に読取検査部13、インレット断裁部14が配置される。
【0013】
上記インレット断裁部14には、吸着保持機能を有する2つの回転供給部15,16が設けられ、個々のインレットを回転供給部16に設けられている供給ベルト17に供給する。供給ベルト17は、その先端には、不良品のインレット31Aを図1(B)に示すように自然落下させてストックする不良品スタッカ21が設けられる。また、供給ベルト17の幅方向に、図1(B)に示すように、個片化されたインレット31のうち、良品のインレット31のみを収容するためのものとして、例えば5列のスタッカが連設される形態の本発明に係るスタッカ部18が設けられる。このスタッカ部18については、図2及び図3で説明する。
【0014】
また、供給ベルト17上の良品のインレット31を各列に設けられた各スタッカに振り分けるキャッチャー部19が設けられ、上記各スタッカにはそれぞれインレット貼付機構20が設けられる。そして、それぞれのインレット貼付機構20の上流側から搬送されてくる接着剤が塗布された剥離紙23に対して、検出部50により貼付されるべき位置が検出されて該当位置に貼付させるものである。
【0015】
そこで、図2に、本発明に係るインレット複数列スタッカの構成図を示す。図2(A)、(B)において、スタッカ部18は、支柱41(41A,41B),42(42A,42B),43(43A,43B)間に、ガイド軸46〜48が架設されると共に、支柱41(41A,41B)間にそれぞれベアリングが設けられてセンサ回動調整軸44が架設される。センサ回動調整軸44の一旦側(支柱41A側)にはセンサ回動調整つまみ45が設けられる。そして、これらセンサ回動調整軸44及びガイド軸46〜48に係合して5列のスタッカ49A〜49Eが連設される。当該センサ回動調整軸44、ガイド軸46〜48は、連設される各スタッカの列の方向に延出されるものとなる。
【0016】
各スタッカ49A〜49Eは、図2(B)に示すように、基台である底板51の一旦側にインレット収容部52が設けられ、他端側にセンサ支持部材53が立設される。当該インレット収容部52は、2つの収容部係合部材54A,54Bが立設され、その両側に収容部壁55A,55Bが立設されることで形成される。このインレット収容部52の設けられた底板51には開口部51Aが形成されている。
【0017】
上記開口部51Aは、当該インレット収容部52に平積みされたインレットを上述のインレット貼付機構20で取り出すためのものである。上記各収容部係合部材54A,54Bにはそれぞれ上記ガイド軸47A,47B,48A,48Bを貫通される軸受け孔54A−1,54A−2,54B−1,54B−2(軸受け孔54A−1,54A−2は図に表れず)が形成される。
【0018】
一方、上記センサ支持部材53の上端は凹形状とされ、ここにセンサSを備えるセンサブロック56が支持される。当該センサSは、上記インレット収容部52に平積みされるインレット31の平積み高さを検知するためのものである。当該凹形状の両側には図2(E)に示すようにセンサ回動調整軸44を嵌装させる断面円形状の軸受け孔58A,58Bが設けられ、この軸受け孔58A,58Bに対応してセンサ回動調整軸44を貫通させるブロック軸受け孔57がセンサブロック56に貫通形成される。
【0019】
ここで、センサ回動調整軸44は、図2(C)に示すように、断面非円形であり、断面円形状の一部を欠いた平面部44Aとされる。これに応じて図2(D)に示すように、センサブロック56に形成されるブロック軸受け孔57を、当該センサ回動調整軸44と同じ断面形状として上記平面部44Aに対応する平面部57Aが形成される。すなわち、センサブロック56は、センサ回動調整軸44に対して軸方向に摺動自在であるが、当該センサ回動調整軸44の回動に対しては同じ断面形状であり、共に回動するものである。
【0020】
なお、各ガイド軸46,47A,47B,48A,48B及び対応する軸受け孔は共に断面円形状とするが、各スタッカ49A〜49Eが当該ガイド軸46,47A,47B,48A,48Bに対して軸方向(列方向)に摺動自在であれば、その断面形状は問わない。
【0021】
続いて、図3に、図2における個別のスタッカ組み込みの説明図を示す。図3において、支柱41Aより列方向に延出するセンサ回動調整軸44を、スタッカ49Aにおけるセンサ支持部材53の軸受け孔58A,58B間及び凹形状内に支持されるセンサブロック56のブロック軸受け孔57に貫通させ、支柱41Aより列方向に延出するガイド軸46をセンサ支持部材53の軸受け孔53Aに貫通させる。
【0022】
また、支柱42A,43Aより列方向に延出するガイド軸47A,47B,48A,48Bを、スタッカ49Aにおけるインレット収容部52を構成する収容部係合部材42A,43Aの軸受け孔54A−1,54A−2,54B−1,54B−2を貫通させることで、当該スタッカ49Aが組み込まれる。同様にスタッカ49B〜49Eにおいても組み込まれるものである。
【0023】
そこで、図4に、図2におけるスタッカ及びセンサの位置調整の説明図である。図4(A)において、各スタッカ49A〜49Eのそれぞれが個別に、センサ回動調整軸44及びガイド軸46〜48に対して軸方向(列方向)に可動自在であり、また、センサブロックに形成されたブロック軸受け孔57がセンサ回動調整軸と同じ非円形の断面形状であっても、各スタッカ49A〜49Eがセンサ回動調整軸44及びガイド軸46,47A,47B,48A,48Bに対して軸方向(列方向)に摺動自在であるから、各スタッカ間の間隔調整を個別に行うことができるものである。
【0024】
また、図4(B)において、各スタッカ49A〜49Eの位置調整が行われるか否かに拘わらず、センサ回動調整つまみ45を、インレット収容部52に平積みされるインレット31の平積み高さの設定に応じて回動させてセンサSの角度を調整する場合には、センサブロック56に形成されたブロック軸受け孔57がセンサ回動調整軸44と同じ非円形の断面形状であることから、スタッカ49A〜42Eのそれぞれのセンサブロック56(56A〜56E)の総てが一度に回動されることとなる。これによって、インレットの平積み高さ検知の調整をスタッカ毎に行う必要がなく、容易とすることができるものである。
【0025】
次に、図5に、各スタッカ及びセンサの位置調整を可能とする他のセンサ回動調整軸及び軸受けの断面形状の説明図を示す。図5(A)〜(C)は、センサ回動調整軸44の断面形状を示したもので、何れも断面非円形状の形態を示したものであるが、一例であって、断面非円形状であれば他の形状を排除するものではない。
【0026】
すなわち、センサ回動調整軸44の断面を、上記センサ支持部材53の先端に設けられた軸受け孔58A,58Bを外接として、図5(A)においては断面円形状の一部切り欠いた切欠部44Bを形成し、図5(B)においては断面四角形状44とし、図5(C)においては断面楕円形状としたものであり、これに対応してセンサブロック56(56A〜56E)に形成されるブロック軸受け孔57においても同じ断面形状とするものである。これによって、各スタッカ49A〜49Eは、列方向(軸方向)に対しては可動自在であり、センサブロック56(56A〜56E)に対してはセンサ回動調整つまみ45によるセンサ回動調整軸44の回動と共に回動させるものである。
【0027】
このように、各スタッカ49A〜49Bは各ガイド軸46,47A,47B,48A,48B及びセンサ回動調整軸44の軸方向上で個別に位置調整することが可能となり、センサSを備えるセンサブロック56(56A〜56E)を回動調整するときには一度に総てのスタッカ49A〜49Eに対して行うことが可能となることから、収容するインレットの大きさや間隔などに応じた複数列のスタッカ間の間隔調整及びインレット31の平積み高さ検知の調整を容易とすることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のインレット複数列スタッカは、RFIDラベル元シートから個片とされたインレットを所定数収容しておくRFID製造の産業分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0029】
11 インレット貼付装置
12 インレットロール
13 読取検査部
14 インレット断裁部
15,16 回転供給部
17 供給ベルト
18 スタッカ部
19 キャッチャー部
20 インレット貼付機構
21 不良品スタッカ
22 検出部
23 剥離紙
31 インレット
41〜43 支柱
44 センサ回動調整軸
45 センサ回動調整つまみ
46〜48 ガイド軸
49 スタッカ
51 底板
52 インレット収容部
53 センサ支持部材
54 収容部係合部材
55 収容部壁
56 センサブロック
57 ブロック軸受け孔
58 軸受け孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に形成されたインレットシートより個片化されたインレットを、複数列の収容部でそれぞれ所望数に応じた平積み高さをセンサで検知して収容するインレット複数列スタッカであって、
各スタッカは、
前記列の方向に延出される所定数のガイド軸に対応して軸方向に可動自在として基台上に設けられる所定数の係合部材と、
前記基台上に設けられる前記個片化されたインレットを平積みするインレット収容部と、
前記インレット収容部で収容されるインレットの平積み高さを検知する前記センサを備え、前記列の方向に延出されるセンサ回動調整軸が貫通され、当該センサ回動調整軸の回動と共に回動されるセンサブロックと、
前記基台上に設けられ、前記センサ回動調整軸が貫通されて軸方向に対して可動自在として前記センサブロックを支持する支持部材と、
を有し、
前記センサ回動調整軸上に連設される各スタッカ間が個別に間隔調整され、当該センサ回動調整軸の回動で総てのセンサブロックのセンサが一度に角度調整されることを特徴とするインレット複数列スタッカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−218923(P2012−218923A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89132(P2011−89132)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】