説明

ウェブの塗工方法およびその方法を使用した白板紙または情報記録材料の製造方法

【課題】高い平滑性や光沢が得られるブレードコーターを用いて、白紙品質と印刷品質といった通常ならば相反する事柄を両立させて、ウェブを塗工するための方法を提供する
【解決手段】走行するウェブ上に塗工液を塗布して塗工層を形成するブレードコーター方式のウェブの塗工方法であって、使用するドクターブレードが、ショアA硬度60〜80°の範囲の弾性材料を被覆材2として、塗工液と接する少なくとも先端部分に配置したドクターブレードであり、使用する塗工液のハイシェアー粘度が20mPa・s以下であり、且つ塗工速度が100〜1000m/minの範囲にあるウェブの塗工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレードコーターを用いたウェブの塗工方法に関するものであり、輪郭塗工が可能で、良好な白紙品質、印刷品質、印字品質等を得ることができる塗工方法である。ウェブの中でも特に白板紙や感熱記録材料、インクジェット記録材料等の情報記録材料の塗工に好適に用いられる塗工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連続して走行するウェブの塗工には、塗工したい塗工液の性状やウェブに要求される品質にあわせ、現存する様々なタイプのコーターヘッドのなかから適宜選択され用いられている。なかでもブレードコーターは、塗工量を広範囲にわたり制御できることや塗工量の幅方向プロファイルの調整が容易であること、また比較的高濃度の塗工液を塗工することができ塗工速度の高速化が可能であることなどから採用されるケースが多い。
【0003】
ブレードコーターを用いたウェブへの塗工液の塗工について説明する。ブレードコーターは、ウェブをサポートしながら走行させるためのバッキングロールと、走行するウェブ表面に塗工液を供給するための塗工液供給手段と、それにより供給された塗工液を目標の塗工量に掻き落とすためのドクターブレードにより構成されている。このような装置において塗工量の制御は、ドクターブレードにローディング角を与えることによりブレードを変形させ、あるいはブレードの押し付け量を調整することによりブレード先端部に線圧を生じさせ、その線圧を加減することで塗工液供給手段により過剰に供給された塗工液を目標とする塗工量に掻き落とす。
【0004】
ブレードコーターの方式としては、ドクターブレードの先端部に設けた角度を用いて余剰な塗工液を掻き落とすベベルブレード方式と、ブレード側面をウェブに対してベンディングさせて塗工液を掻き落とすベントブレード方式とに大別され、目標とする塗工量や塗工液の性状により両方式は適宜選択され使用されている。
【0005】
またドクターブレードの材質に関しては、一般的にSK鋼のものが多く使用されているが、ブレードの寿命を延ばすために、ブレード先端部の塗工液が接する部分にメッキ加工を施したものや、セラミックを溶射あるいは貼り付けたものも広く使用されている。さらにはセラミックのような硬い材料に替えて比較的硬度の低い材料として有機重合体をコーティングしたブレードが紹介されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2001−506181号公報
【0006】
ブレードコーターにより得られる塗工ウェブは平滑性や光沢に優れるという意味の白紙品質に優れるものであるが、反面、供給された塗工液をドクターブレードで掻き落とす際、ウェブに対して高いブレード線圧を生じさせる必要があるために、ウェブが紙の場合、特に原紙の凹凸に対して塗工層が平坦な分布となり塗工層厚みが不均一になり易い。特に原紙の凹凸が大きい白板紙では、この傾向が顕著に現れ、印刷時にインキの吸収性ムラ起因のアイムラや印刷モトリングと呼ばれる印刷欠陥を発生させ、それらは製品の商品価値を低下させる場合がある。
【0007】
これらの欠陥は、塗工層を原紙の凹凸に対して輪郭に分布させることができるエアナイフコーターやバーコーターで塗工することにより抑制することはでき、実際に白板紙の製造はこれら輪郭塗工が可能なコーターヘッドを用いられることも多い。しかし、これらのコーターヘッドはブレードコーターに比べ高い平滑性や光沢を再現することが難しく、特に平滑性や光沢といった外観の美しさを要求される白板紙の製造には、必ずしも適したものではない。
【0008】
上記に説明したように、ブレードコーターによって高い平滑性や光沢を得ることと、塗工層厚みを均一に分布させアイムラなどの印刷品質を向上させることは相反するものである。しかし、それらを両立させることは、製造される製品の商品価値を高くするために非常に重要なことであるといえる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高い平滑性や光沢が得られるブレードコーターを用いて、白紙品質と印刷品質といった通常ならば相反する事柄を両立させて、ウェブを塗工するための方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記目的を達成させるべく鋭意研究した結果、高い平滑性や光沢が得られるうえに輪郭塗工が可能で、優れた印刷品質を得ることができ、且つ筋状欠陥が発生しないウェブの塗工方法を発明するに至った。
本発明に係るウェブの塗工方法は、走行するウェブ上に塗工液を塗布して塗工層を形成するブレードコーター方式のウェブの塗工方法であって、使用するドクターブレードが、ショアA硬度60〜80°の範囲の弾性材料を被覆材として、塗工液と接する少なくとも先端部分に配置したドクターブレードであり、使用する塗工液のハイシェアー粘度が20mPa・s以下であり、且つ塗工速度が100〜1000m/minの範囲にあるウェブの塗工方法である。
前記塗工層が12g/m以下の塗工層であることが本塗工方法の輪郭塗工と平滑塗工の両方に優れるという特徴を発揮する上で好ましい。
前記塗工液が顔料を含む白板紙用塗工液であると本発明のウェブの塗工方法を使用した白板紙の製造方法が得られる。
前記塗工液が情報記録材料を構成する層の少なくとも一つの層を形成するための塗工液であると本発明のウェブの塗工方法を使用した情報記録材料の製造方法が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のブレード塗工方法により、筋状欠陥の発生を抑制できるとともに、ウェブに対してブレードコーター特有の高いブレード線圧を生じさせるため、平滑性や光沢といった白紙品質に優れる紙が得られ、またドクターブレードに貼り付けた弾性材料がウェブの凹凸に対して変形するため塗工層厚みが均一な分布となり、印刷品質や印字品質に優れる紙を得ることができ、白紙品質と印刷品質あるいは印字品質といった通常ならば相反する事柄を両立できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のウェブの塗工方法を詳細に説明する。
以上のような課題を解決する上で種々の方式のコーターについて検討を重ねた。その中で先に挙げた特表2001−506181号公報中で提案がなされているショアA硬度が10〜100°の有機重合体をドクターブレード先端部に貼り付け、それをツゥインブレードと呼ばれるコーターヘッドに装着し、紙ウェブにコーティングする技術について注目した。本発明者等の検討によれば本公報の開示のみからは塗工層厚みを均一に分布させようとして、ただ単に上記ブレードを用いるだけでは、十分な効果が得られないことがわかった。
またツゥインブレードは、対向して設置された2枚のドクターブレード間にウェブを走行させ塗工を行う方式であるが、ウェブを介して接触させた互いのブレードにズレが生じないよう装置を微調整するのが難しく、安定した操業性を得るのが非常に困難であることがわかった。
【0013】
そこで本発明者等は試行を重ねた結果次のような知見が得られたので、本発明の目的効果を発現しやすい白板紙を一例として以に下説明する。
本発明において一つ目に、良好な白紙品質は、ブレードコーターを用いることにより達成される。該塗工装置は、塗工液供給手段より過剰に供給された塗工液をドクターブレードで掻き落とす際、ウェブに対して該塗工装置特有の高いブレード線圧を生じさせるため、平滑性や光沢といった白紙品質に優れる紙を得ることができる。
【0014】
二つ目に、良好な印刷品質は、塗工液と接するドクターブレードの先端部に、弾性材料を貼り付けたものを用いることにより達成される。該ドクターブレードは、塗工液を掻き落とす際、貼り付けた弾性材料がウェブ凹凸に対して変形するため、塗工層が輪郭に形成され塗工層厚みが均一な分布となり、特にアイムラ抑制が難しい白板紙においても印刷品質に優れる紙を得ることができる。
【0015】
従って、第1の目的である白紙品質と印刷品質の両立は、高い線圧を生じさせることのできるブレードコーターを用い、且つ組み合わせるドクターブレードとして塗工液と接する先端部に弾性材料を被覆材として貼り付けたドクターブレードを用いることにより達成される。
【0016】
しかし、このドクターブレードは、いかなる塗工条件においても効果を発揮するものではなく、塗工液の性状や該ドクターブレードに貼り付けた弾性材料の硬度を工夫しなければ、第1の目的とした白紙品質と印刷品質の両立といった効果が得られ難くなるばかりでなく、該ドクターブレード特有の筋状欠陥が発生し、製造される紙の商品価値が失われてしまう危険性があることが、試行を重ねていく上でわかった。
【0017】
尚この弾性材料として使用される材料は、有機重合体が挙げられる。有効な有機重合体の例としては、ポリウレタン類、スチレンブタジエン重合体類(すなわち、ラバータイプの重合体類)およびポリオレフィン類がある。
特に好ましいタイプの重合体はポリウレタン類である。ポリウレタンの建築用石材は、普通の方法で、ポリオール類およびジイソシアネート類によって構成される。ポリウレタン系用の普通のジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびナフタレンジイソシアネートである。また、普及度の低いジイソシアネート類も利用できるが、たとえば、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネートがある。ポリウレタン類としては、たとえばエステルウレタン類、エーテルウレタン類およびヒドロキシル末端付きポリブタジエンに基づいたウレタン類が利用できる。
このような材料で構成される被覆材を、必要な形状、位置公差、たとえば、直線度、幅、長さ、厚さを満たすスチールその他の寸法安定材料の帯(バンド)状の形をした母材上に塗布、接着、モールド等の方法によって貼り付けるまたは取り付けることによって配置してドクターブレードが構成される。
【0018】
前記筋状欠陥は、一般的な筋状欠陥であるストリークとは全く異なり、その特徴は、巾数μmから数cmの塗工量が多い箇所と少ない箇所が、ウェブ全巾にわたり、塗工開始直後から連続的に発現する欠陥であり、一度発生したすべての欠陥は塗工を終了するまで発生し続けることである。ちなみに一般的なストリーク欠陥は、塗工液中、あるいはウェブ上に存在する異物がドクターブレードとウェブの間に入り込むことにより発生する。また、それらの欠陥は、巾数μm〜1mm程度と非常に細いものが多く、ウェブ流れ方向、巾方向のいずれに対してもランダムに発生し、入り込んだ異物がドクターブレードとウェブの間から抜け出ることにより消滅する。以下に該筋状欠陥の発生機構について説明する。
【0019】
本塗工方法は、原紙の凹凸に対して、塗工液供給手段より供給された塗工液を介し、ドクターブレード先端部に貼り付けた弾性材料が変形することにより作用する。つまり、塗工液は、ブレード先端部とウェブ間を高速で通過する際、ブレード線圧に対して応力を発生させるため、ドクターブレード先端部に貼り付けられた弾性材料を押し広げ、変形させようとする。よって、ドクターブレード先端部の変形度合いは、ドクターブレード先端部に貼り付けられた弾性材料の弾性と、ドクターブレードとウェブ間にある塗工液の応力とのバランスにより決定されると考えられる。
【0020】
ここで塗工液の応力は、塗工液の流れの速さと塗工液の粘度に影響されるものであり、ブレードコーターにおいて、粘度が高い、あるいは塗工速度が速いと塗工量がつきやすく、粘度が低い、あるいは塗工速度が遅いと塗工量が付き難いという一般的な事由は、粘度や塗工速度により塗工液がブレードを押し広げようとする力、つまり応力が変化していることを裏付けている。なお、高せん断速度が発現されるブレードコーターの場合、粘度の指標としては、ハイシェアー粘度を用いることが一般的である。
【0021】
しかし、元々不安定な素材である弾性材料を貼り付けたドクターブレードを用いた本塗工方法では、仮に塗工速度およびドクターブレード先端部に貼り付けた弾性材料の硬度を一定とし、塗工液のハイシェアー粘度が高く、応力の強い塗工液を用いて塗工を行った場合、「塗工液の応力>弾性材料の弾性」(ここで、塗工液の応力と弾性材料の弾性との関係を不等式で表したが、これは実際の数値がこのような関係になっていると断定したものではなく、全く異種な2つの要素のバランスを表現するために用いたものであり、この場合、バランスの崩れた領域を表現したものである)となり、元々不安定な素材である弾性材料は巾方向不均一に変形し、筋状欠陥を発生させる。つまり、ドクターブレード先端部に貼り付けられた弾性材料の弾性に対して、塗工液の応力が上回って作用する箇所と、そうでない箇所が、該ドクターブレード巾方向に対して部分的に発現し、前者の箇所については塗工量が多くなり、後者の箇所については相対的に塗工量が少なくなり、ウェブ巾方向の塗工ムラ、すなわち筋状欠陥として紙面に影響を与える。この傾向は、「塗工液の応力>弾性材料の弾性」となった場合、詳しくは、塗工液のハイシェアー粘度が高くなるほど、あるいは塗工速度が速くなるほど、またドクターブレード先端部に貼り付けた弾性材料の硬度が低くなるほど顕著に現れる。
【0022】
従って、本塗工方法において、該筋状欠陥を発生させることなく塗工を行うには、塗工液の応力の増大を抑えるため、塗工液のハイシェアー粘度は低いほうが良く、塗工速度に関しては低速のほうが良い。また、ドクターブレード先端部に貼り付けた弾性材料の硬度は、塗工液の応力に対して弾性材料が不安定に変形するのを防止するため、高いほうが良いということになる。しかし、これらの対策は、「塗工液の応力<弾性材料の弾性」という関係を保とうとするものであり、筋状欠陥の発生は抑制できるものの、第1の目的とした白紙品質と印刷品質の両立という所望の効果が得られなくなる恐れがある。
【0023】
すなわち、本発明の特徴は、第1の目的とした白紙品質と印刷品質を両立し、且つ第2の目的である筋状欠陥の発生を抑制するために、「塗工液の応力=弾性材料の弾性」(この表現は、双方のバランスが取れていることを表す)となる塗工液のハイシェアー粘度、ドクターブレード先端部に貼り付けた弾性材料の硬度、および塗工速度の関係を特定したことにあり、それを効果的に実現するための各条件を見出したことである。
【0024】
具体的には、本発明に用いられる塗工液のハイシェアー粘度としては20mPa・s以下、ドクターブレード先端部に貼り付けた弾性材料の硬度は60〜80°、塗工速度は100〜1000m/minとすることにより、「塗工液の応力=弾性材料の弾性」となり、第1および第2の目的がともに高水準で効果的に達成される。
【0025】
ここで、ハイシェアー粘度が20mPa・sを超えると、「塗工液の応力>弾性材料の弾性」となり筋状欠陥が発生するため好ましくない。この場合、ドクターブレードに貼り付けた弾性材料に高硬度のものを用いることにより筋状欠陥は抑制できるが、「塗工液の応力=弾性材料の弾性」とするには、80°を超える硬度を有する弾性材料を貼り付けたドクターブレードを用いる必要があり、このように、塗工液のハイシェアー粘度も高く、弾性材料の硬度も高い領域では、双方がウェブの凹凸に対して柔軟に変形しにくくなり、第1の目的とした白紙品質と印刷品質を効果的に両立することが困難となる。
【0026】
また、「塗工液の応力=弾性材料の弾性」とするためのもうひとつの対策として、塗工速度を低下させる方法もあるが、塗工速度を低下させることは、紙の生産性を低下させる結果となり、これも好ましい方法ではない。なお、ハイシェアー粘度の下限値は特に限定されないが、ハイシェアー粘度が低すぎると塗工量が付き難くなるため、ベベルブレードを用いた塗工の場合、10mPa・s以上が好ましく、ハイシェアー粘度がそれ以下の場合、高塗工量を得ることができるベントブレードでの塗工が好ましい。ちなみにハイシェアー粘度の調整方法は、保水剤や澱粉の添加量、顔料粒子径、塗工液濃度などによって適宜調整可能である。
【0027】
また、ドクターブレードの先端部に貼り付けた弾性材料の硬度が80°を超える場合、前述した通り、第1の目的とした白紙品質と印刷品質を効果的に両立することが困難となるため好ましくなく、逆に60°未満の場合、「塗工液の応力>弾性材料の弾性」となりやすく、すなわち、ハイシェアー粘度が10mPa・s程度と非常に低い領域においても、塗工液の応力が大きくなってしまうため筋状欠陥が発生し、また、弾性材料の強度不足による磨耗も問題となり、操業性を悪化させる可能性があるため好ましくない。
【0028】
本発明における塗工速度領域は、100〜1000m/minであり、この範囲内であれば、塗工装置が有する乾燥能力や目標とする塗工量などにより適宜変更可能である。ここで塗工速度が1000m/minを超える高速塗工領域では、「塗工液の応力>弾性材料の弾性」となりやすく筋状欠陥が発生し、また、弾性材料の磨耗に懸念があることや、低粘性の塗工液を用いることから、塗料の飛び散りによる操業性悪化の危険性があるため好ましくない。また、塗工速度が100m/min未満の場合は塗工量が付き難くなる問題が生じたり、あるいは弾性材料の弾性が塗工液の応力に対して大きくなりやすく、第1の目的とした白紙品質と印刷品質を両立することが困難となるため好ましくない。更に、ベベルブレードを用いた塗工の場合は600m/min以上が好ましく、塗工速度がそれ以下の場合は、高塗工量を得ることができるベントブレードでの塗工がより好ましい。
【0029】
また、本発明におけるドクターブレードには、ベベルブレードとベントブレードがあり、塗工する塗工液の性状や目標とする塗工量にあわせ、両者は適宜選択され使用することができる。但し、ハイシェアー粘度が比較的低く、塗工量が付き難い塗工液を用いる場合では、ベントブレードを用いることがより好ましい。
【0030】
このようなブレードの一例を図1に示した。図1は本発明に使用されるブレードの断面図である。母材1としてはスチール製の帯(バンド)が使用される。このスチール・バンドとしては、約0.2〜約2mmの範囲内にある厚さを有することが好ましい。被覆材2は塗布等により形成される。この被覆材は約0.5〜約5mmの範囲内にある厚さを有することが好ましい。
またこのようなブレードにおいては、被覆材は刃先部分を覆う。またブレードの種類によっては面取り部2aを備えているものもある。この面取り部の角度θについては通常は40度未満である。尚、この角度のことを先端部の角度と呼ぶこともある。ブレードの平面でその長手方向に対して直角に見た被覆材の幅は、約5〜25mmであることが好ましい。
特に、塗工量が小さい場合、具体的には塗工量12g/m以下の場合に上に説明した平滑性や光沢といった白紙品質に優れ、かつアイムラ抑制を十分に行って高印刷品質を保つ上で本発明の塗工方法を使用することがより好ましい。
【0031】
以上、本発明のブレード塗工方法を好ましく適用できる白板紙を例に説明した。白板紙に関しては、オンマシンで生産されることが多く、抄紙あるいは乾燥工程の制約上、塗工速度が比較的遅いことや、原紙の凹凸が大きいことなどから、本発明の効果を反映しやすいため好ましい。さらに本発明の塗工方法は上記例以外の特に各種情報用記録材料の塗工時に適用することができる。
【0032】
すなわち、エアナイフやバーコーターといった輪郭塗工が可能なコーターヘッドで製造される製品として、感熱記録材料やインクジェット用記録材料、ノーカーボン記録材料に代表される各種情報用記録材料もが挙げられる。これらの記録材料は、発色ムラやインク吸収ムラといった欠陥を抑制するために塗工層厚みを均一に分布させる必要があるため、前述した輪郭塗工が可能なコーターヘッドを採用することが多い。しかしながら、これらのコーターヘッドは、前述した通り、高い平滑性を再現することが困難であることに加え、塗工量が非常に付き易いものであるため、塗工液の固形分濃度を低く設定する必要があり、塗工速度も遅く生産性に乏しいといった欠点がある。従って、これらの製品の生産性を向上させることは、収益性の点から非常に重要なことである。
これらの感熱記録材料、インクジェット記録材料、感圧記録材料に代表される各情報用記録材料の記録層、インク受理層、また下塗り層、中間層、保護層等において一定の塗工厚を保った輪郭塗工が本質的に必要である。その上で良好な印字特性を得るために、その輪郭塗工を維持したまま平滑性を向上させることも必要なためこの本発明の塗工方法がより好ましいのである。さらには、感熱記録層や保護層のように塗工量が少ない場合すなわち、保護層の場合は0.2〜5g/m、感熱記録層の場合は1.5〜10g/mである。このように塗工量が比較的少量の場合に、そのような輪郭塗工と平滑性を両立させる上で特に好ましい塗工方法となる。
【0033】
結局、以上のような各情報用記録材料の層は塗工量が比較的小さい、すなわち塗工量12g/m以下の範囲で、各層としての記録、印字、保護等の機能を塗工面のあらゆる部分で確保しながら、印字面の平滑性を確保する必要がある。そのような塗工量等の条件の中で本発明の方法を適用することが非常に好ましいということである。
【0034】
また、上記以外にも本発明で規定する塗工速度、ハイシェアー粘度、ドクターブレード先端部に貼り付けた弾性材料の硬度であれば、一般印刷用塗工紙など各種塗工シートの製造にも適用することが可能である。
【0035】
ちなみに、本発明のブレード塗工方法により塗工シートを製造する場合、用いられる塗工液の組成としては特に限定されるものではない。一般に紙加工用に使用される顔料、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、サチンホワイト、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイトなどの鉱物質顔料やポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂などの有機顔料と、例えばカチオン性澱粉、両性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロールなどのセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、天然ゴムなどの天然あるいは半合成高分子化合物、さらにはポリビニルアルコール、イソプレン、ネオプレン、ポリブタジエンなどのポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリアルケン類、ビニルハライド、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテルなどのビニル系重合体や共重合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系などの合成ゴムラテックス、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン−無水マレイン酸系樹脂、メラミン系樹脂などの合成高分子化合物など、一般に公知の接着剤を主成分とし、必要に応じて、例えば界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、保水剤、柔軟剤、光沢付与剤、ワックス類、分散剤、流動変性剤、導電防止剤、帯電防止剤、安定化剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、防腐剤、香料などの各種助剤を適宜配合した塗工液が用いられる。
尚、以上は白板紙等の塗工液に使用される組成について説明したが、以上に挙げた組成以外に感熱記録材料、インクジェット記録材料、感圧記録材料に代表される各情報用記録材料の記録層、インク受理層、下塗り層、中間層、保護層等の塗工液において使用される各種組成についても適用可能であることはいうまでもない。
【0036】
また、塗工液の固形分濃度も特に限定されるものではないが、5〜70重量%といった広範囲の塗工液が適用可能である。かかる塗工液を本発明のブレード塗工方法により、ウェブの片面あるいは両面に塗工するものであるが、乾燥後塗工量は特に限定されないが、0.2〜30g/mといった広範囲で制御することが可能であるが、特に1回の塗工において12g/m以下の塗工量で塗工する場合に本発明の塗工方法を適用することがさらに好ましい。
【0037】
また、単層の塗工のみならず2層以上の塗工を行う多層塗工も可能である。特に多層塗工では1回の塗工時の塗工量が少ないので本発明塗工方法を適用することがより好ましい。
また、多層の塗工を行う場合はその目的に応じて本発明の塗工方法を全てに適用してもよく、また他の塗工方法を組み合わせてもよい。いずれにしても本発明の塗工方法を少なくとも1回は適用して白板紙または情報記録材料等を製造することができるわけである。
本発明の独特の効果からすると、表面側層になる層、塗工紙の場合は上塗層、情報記録材料の場合は記録層、保護層等を塗工する際に本発明の塗工方法がより好ましく使用される。
【0038】
本発明のブレード塗工方法により塗工シートを製造する場合、用いられるウェブとしては特に限定されず、例えば化学パルプ、メカニカルパルプなどのセルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリノジック繊維などの有機合成繊維、さらにはガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維などの無機質繊維を主体とし中性あるいは酸性抄紙法により抄造された紙基材、ポリプロピレンなどを使用し填料などを混和あるいは微細な気泡を含有する合成紙、表面をコロナ処理することなどにより塗被層の定着性を向上させたポリオレフィン系フィルムなどが用いられる。また、これらの基材に下塗りあるいはサイズプレスなどの前処理を施したものも使用され、その塗工方式としては例えばブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、カーテンコーター、ロッドブレードコーターあるいは本発明のブレード塗工方法などが挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例によって限定されるものでない。なお、例中の「部」及び「%」は特に断わらない限り、「質量部(固型分)」及び「質量%」を示す。
【0040】
実施例および比較例に先だって、評価方法を以下に説明する。
評価方法:
<ハイシェアー粘度>ハイシェアー粘度(mPa・s)は、ハーキュレスハイシェアー粘度計(熊谷理機工業製)を用い、ボブF、回転数8800rpm、塗料温度25℃の条件で測定した。
<光沢度>光沢度(%)は、村上式光沢度計(村上色彩技術研究所社製)を使用して測定を行った。
<平滑度>平滑度(μm)は、パーカープリントサーフ平滑度計(Messmer.buchel社製)によりパッキングディスクをソフトタイプを使用して測定を行った。また、平滑度(sec)は、王研式平滑度計(旭精工社製)を使用して測定を行った。
<塗工層厚みの均一性>塗工層厚みの均一性は、塩化アンモニウム10%溶液に試料を1時間浸漬後、170℃の乾燥機で1時間乾燥して得られたサンプルの塗膜均一性を5点法で目視評価した。5点は塗膜状態が均一であり、1点は塗膜状態が不均一であることを意味する。表中では塗膜均一性と略して表記した。
<筋状欠陥>筋状欠陥は、得られたサンプルを目視観察し、筋状欠陥の有無を評価した。
<アイムラ>アイムラは、RI印刷機によりサンプルを作製して5点法で目視評価した。5点が優れ、1点が劣ることを意味する。
<バリアー性>バリアー性は、油性マジックインキで線引きし、インキの浸透ムラを目視評価した。これは、塗工層厚みの均一性を評価したものであり、5点が優れ、1点が劣ることを意味する。これは感熱記録紙の製造において行った保護層について先出の<塗工層厚みの均一性>や<アイムラ>の評価の代わりに行ったものである。
【0041】
[白板紙の製造]
実施例1
下塗り用塗料の調製
顔料として、構造化カオリン(商品名:エクシロン、エンゲルハード社製)50%、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60、備北粉化工業社製)50%を使用し、分散剤として、顔料に対しポリアクリル酸ソーダ0.2%を添加し、コーレス分散機を用いて固形分濃度が70%の顔料スラリーを調製した。そして、顔料スラリー中の顔料100部に対して、リン酸エステル化澱粉(商品名:PN500、三和澱粉社製)5部、およびガラス転移温度が−23℃のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:X−400A、JSR社製)15部(各固形分換算)をそれぞれ添加し、さらに水を加えて固形分濃度が62%の塗料を調製した。
【0042】
上塗り用塗料の調製
顔料として、カオリン(商品名:UW−90、エンゲルハード社製)60%、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−221−GS、奥多摩工業社製)40%を使用し、分散剤として、顔料に対しポリアクリル酸ソーダ0.2%を添加し、コーレス分散機を用いて固形分濃度が68%の顔料スラリーを調製した。そして、顔料スラリー中の顔料100部に対して、リン酸エステル化澱粉(商品名:PN500、三和澱粉社製)3部、ガラス転移温度が8℃のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:L−1825、旭化成社製)20部(各固形分換算)、市販粘度調整剤(商品名:ソマレックス270K、ソマール社製)0.05部をそれぞれ添加し、さらに水を加えて固形分濃度が60%の塗料を調製した。得られた塗料のハイシェアー粘度は16mPa・sであった。
【0043】
下塗り層塗被紙の作成
5層抄き合わされてなる米坪290g/mの塗工板紙基紙の片面に、上記で得た下塗り塗被層用塗料をロッドブレードコーターにて、乾燥重量で8g/mとなるように塗被、乾燥して下塗り層塗被紙を得た。なお、得られた下塗り層塗被紙の平滑度は4.3μm、塗工層厚みの均一性は2点レベルであり、塗膜状態が不均一であった。
【0044】
ブレードコーターにて、上記下塗り層塗被紙に対し、厚み0.381mmのブレード母材に、先端部の角度が5°に仕上げられたショアA硬度70°のウレタン系樹脂を貼り付けたベント塗工用の市販ブレード(DB−STブレード/BTG社製、BTGはBouter−Technology−Groupの略。)を、上記で得た上塗り塗被層用塗料を介して接触させ、塗工速度300m/分で、乾燥後塗工量が9.0g/mになるようにして塗工し、塗工白板紙を得た。
【0045】
実施例2
市販粘度調整剤を添加せず、ハイシェアー粘度9mPa・sの塗工液を用いた以外はすべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
【0046】
実施例3
塗工速度を800m/minとした以外はすべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
【0047】
実施例4
ショアA硬度60°のウレタン系樹脂を貼り付けた市販ブレード(DB−STブレード/BTG社製)を用いた以外はすべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
【0048】
比較例1
市販粘度調整剤を0.15部添加し、ハイシェアー粘度27mPa・sの塗工液を用いた以外はすべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
【0049】
比較例2
塗工速度を1100m/minとした以外はすべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
【0050】
比較例3
ショアA硬度50°のウレタン系樹脂を貼り付けた市販ブレード(DB−STブレード/BTG社製)を用いた以外はすべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
【0051】
比較例4
ショアA硬度90°のウレタン系樹脂を貼り付けた市販ブレード(DB−STブレード/BTG社製)を用いた以外はすべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
【0052】
比較例5
通常のSK鋼でできた先端部の角度0°、厚さ0.381mmのベント塗工用の市販ブレードを用いた以外はすべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
【0053】
比較例6
ブレードコーターの代わりにエアナイフコーターを用い、塗工液固形分濃度を53%に希釈、塗工速度を150m/分とした以外はすべて実施例1と同じ条件で塗工白板紙を得た。
【0054】
[感熱紙の製造]
実施例5
下塗り層用塗液の調製
焼成カオリン(商品名:アンシレックス、吸油量80ml/100g、エンゲルハード社製)70部、軽質炭酸カルシウム10部、中空状のスチレン樹脂フィラー(平均粒子径1μm、膜厚0.3μm)の40%分散液50部、ポリアクリル酸ナトリウム(分散剤)の20%水溶液5部、スチレン−ブタジエン樹脂系ラテックス(固形分濃度50%)15部、ポリビニルアルコール(商品名:ポバール105、クラレ社製)60部及び水150部とを混合攪拌して下塗り層用塗液を得た。
【0055】
A液調製
3−ジ−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン10部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3360、日本合成化学工業社製)の10%水溶液10部及び水20部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が0.8μmとなるまで粉砕してA液を得た。
【0056】
B液調製
4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン10部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3360、日本合成化学工業社製)の10%水溶液10部及び水20部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.5μmとなるまで粉砕してB液を得た。
【0057】
C液調製
m−ターフェニル10部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL3360、日本合成化学工業社製)の10%水溶液10部及び水20部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmとなるまで粉砕してC液を得た。
【0058】
感熱発色層用塗液の調製
A液40部、B液80部、C液40部、ポリビニルアルコール(商品名:ポバール205、クラレ社製)60部及び水50部とを混合攪拌して感熱発色層用塗液を得た。
【0059】
保護層用塗液の調製
ケイ素変性ポリビニルアルコール(商品名:ポバールR−1130、クラレ社製)の10%水溶液800部、無定形シリカ(商品名:ミズカシルP−527水沢化学工業社製)20部を混合攪拌し、塗液濃度が11%となるよう水を加えて保護層用塗液を得た。得られた塗液のハイシェアー粘度は13mPa・sであった。
【0060】
感熱記録紙基材の作製
坪量90g/mの上質紙の片面に、下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液を乾燥後の塗布量が8g/m、4g/mとなるように順次塗布乾燥して下塗り層、感熱発色層を設けた感熱記録紙基材を得た。
【0061】
ブレードコーターにて、上記感熱記録紙基材に対し、厚み0.381mmのブレード母材に、先端部の角度が5°に仕上げられたショアA硬度70°のウレタン系樹脂を貼り付けたベント塗工用の市販ブレード(DB−STブレード/BTG社製)を、上記保護層用塗液を介して接触させ、塗工速度600m/分で、乾燥後塗工量が1.0g/mになるようにして塗工した後、スーパーカレンダー処理して感熱記録紙を得た。
【0062】
実施例6
保護層用塗液濃度を8%とし、ハイシェアー粘度を9mPa・sとした以外は、すべて実施例5と同じ条件で感熱記録紙を得た。
【0063】
比較例7
ブレードコーターの代わりにロッドブレードコーターを使用した以外は、すべて実施例5と同じ条件で感熱記録紙を得た。
【0064】
比較例8
ブレードコーターの代わりにバーコーターを使用し、塗工速度300m/minとした以外は、すべて実施例6と同じ条件で感熱記録紙を得た。
【0065】
【表1】

【0066】
実施例1〜4は、ドクターブレードに本発明で規定する範囲の硬度を有する弾性材料を貼り付けたものを用い、塗工液に本発明で規定する範囲のハイシェアー粘度を有するものを用い、且つ本発明で規定する塗工速度の範囲内で塗工したものである。これらの条件は、いずれも「塗工液の応力=弾性材料の弾性」となるものであり、筋状欠陥が発生せず、白紙品質および印刷品質とも満足なものが得られた。
【0067】
比較例1〜3は、いずれも「塗工液の応力>弾性材料の弾性」となる条件であるため、筋状欠陥が発生し、それに起因して塗膜均一性およびアイムラに満足できるものが得られなかった。
【0068】
比較例4は、「塗工液の応力<弾性材料の弾性」となる条件であり、筋状欠陥は発生しないものの、輪郭塗工ができなくなるため、塗膜均一性およびアイムラに関し満足なものが得られなかった。
【0069】
比較例5では塗膜均一性およびアイムラに関し満足なものが得られず、比較例6では平滑度、光沢度に関し満足なものが得られなかった。
【0070】
【表2】

【0071】
実施例5および6において、筋状欠陥の発生を抑制し、比較例7に比べバリアー性が向上し、比較例8に比べバリアー性を維持したまま平滑度および塗工速度が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】弾性材料を被覆部材として設けたドクターブレードの一例の断面図。
【符号の説明】
【0073】
1 母材
2 被覆材
t 母材厚み
θ 先端部の角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するウェブ上に塗工液を塗布して塗工層を形成するブレードコーター方式のウェブの塗工方法であって、使用するドクターブレードが、ショアA硬度60〜80°の範囲の弾性材料を被覆材として、塗工液と接する少なくとも先端部分に配置したドクターブレードであり、使用する塗工液のハイシェアー粘度が20mPa・s以下であり、且つ塗工速度が100〜1000m/minの範囲にあるウェブの塗工方法。
【請求項2】
前記塗工層が12g/m以下の塗工層である請求項1記載のウェブの塗工方法。
【請求項3】
前記塗工液が顔料を含む白板紙用塗工液である請求項1または2記載のウェブの塗工方法を使用した白板紙の製造方法。
【請求項4】
前記塗工液が情報記録材料を構成する層の少なくとも一つの層を形成するための塗工液である請求項1または2記載のウェブの塗工方法を使用した情報記録材料の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−55327(P2008−55327A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235557(P2006−235557)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】