説明

ウェル形成

本発明において、カーボンナノチューブ(CNT)の組成物がインク中に生成され、このインクは、インクジェット被覆プロセスを介して分配し得る。このCNTインクは、カソード構造体に形成されるウェルに分配される。本発明のある実施形態は、図1(a)に示されるような、ウェル構造体内にCNTを均一に被覆するためのプロセスを提供する。ウェル構造体は、穴を形成するために4つ以上の壁(または、丸穴の場合は、1つの壁)を有し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願60/502,454号(2003年9月12日出願)に対して優先権を主張する。この特許出願は、米国特許出願10/269,577号の一部継続出願である。この特許出願は、米国特許仮出願60/343,642号;同60/348,856号および同60/369,794号に対して優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、CNTインクを用いてカーボンナノチューブを被覆することに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景情報)
カソードの均一性は、電界放出ディスプレイ(FED)を商品化することにとって重用な因子である。カーボンナノチューブ(CNT)材料は、将来のFEDのためのカソード材料として高い潜在能力を有する。大規模な基材にわたってCNTを均一かつ選択的に被覆することは、FED製造プロセスにおいて大きな問題である。カーボンナノチューブを基材上で成長させる従来の技術は、触媒による活性化を用いた化学蒸着(CVD)技術を使用する。この技術は、比較的高い成長温度を必要とするために、製造コストが増大する。広い領域にわたって均一な特性を有する薄膜を達成することも、困難である。他の方法、例えば、スクリーンプリンティング法または分配(dispensing)が、ペーストまたはインクコンポジットでCNTを被覆するために開発されてきた。これらのコンポジットは、ある場合においては、伝導性または非伝導性の粒子、キャリア、またはビヒクルおよびバインダーと混合したCNTからなる。これらの技術によって作製されるパターンの大きさおよび形状は、しばしば、スポットごとに均一でなく、ピクセルまたはサブピクセルに関して均一でない実効放出領域を生じる。さらに、そのようにプリントまたは分配されたCNT複合インクまたはペーストによるエッジ放出(edge emission)によって、通例、そのCNTカソードの性能が均一でなくなる結果が生じる。
【0004】
FED用途にとって、均一な実効放出領域で、ピクセルまたはサブピクセルの各々に同量のCNTを被覆することは、個々のピクセルまたはサブピクセルから均一な放出電流を得るための重要な目的となる。他方、理想的には、CNT被覆は、特に、三極管ための、カソード製造における最終工程である。CNTカソードを調製すると、そのカソード性能を減損させ得る、さらなる実験化学的プロセスまたはエッチングプロセスは、そのCNTカソードの表面に対しては適用されるべきではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(詳細な説明)
以下の説明において、多数の具体的な詳説が、本発明の完全な理解を提供するために示される。しかし、本発明は、このような具体的な詳説なしに実施され得ることが、当業者には明らかである。他の例において、不必要な細部について本発明をあいまいにしないように、周知の回路は、ブロック図の形態で示される。
【0006】
本発明のある実施形態は、図1(a)に示されるような、ウェル構造体内にCNTを均一に被覆するためのプロセスを提供する。ウェル構造体は、穴を形成するために4つ以上の壁(または、丸穴の場合は、1つの壁)を有し得る。このウェル構造体はまた、ゲート型の三極管構造として使用され得、この中に、(図1(b)に示されるように)グリッド電極が、CNT被覆の前に、絶縁体の頂部に被覆されるか、または、(図1(c)に示されるように)金属グリッドが、CNT被覆の後にウェル内に設置される。金属グリッドは、図1(c)に示されるように、ウェル構造の内側に置かれたCNT材料からの電流を調節するために使用され得る。両方の実施形態(図1(b)および1(c))は、ウェル構造体の内側にCNT材料を必要とする。各ウェルは、個々のピクセルまたはサブピクセルに対応し得る。いくつかの場合、複数のウェル構造体が、一緒になって、ピクセルまたはサブピクセルの一部となり得る。
【0007】
ウェル構造は、低解像度の用途のための厚膜プロセス(例えば、(図2(a)および2(b)に示されるような)スクリーンプリンティング)を使用して、または、高解像度のウェル構造のための薄膜プロセスを使用して、調製され得る。カソード電極は、スクリーンプリンティングを使用してプリントされる。伝導性カソード電極がまた、基材の上にパターン付け(pattern)され得る。当該分野で利用可能な多くの技術(例えば、蒸着、スパッター、CVDなど)を使用して、基材上に被覆された伝導性金属の薄膜からのパターンをエッチングすることによって、電極線(electrode line)が規定され得る。このエッチングパターンは、いくつかのリソグラフィー技術(例えば、光リソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、エンボスなど)のうちの1つを使用して、規定される。光活性のあるペースト(例えば、DuPont製のFodelTM)を使用して、カソード電極を形成し得る。絶縁体層は、スクリーンプリンティングを使用してプリントされ得る。ウェル構造体の壁はまた、分配技術(インクジェットプリント技術を含む)を使用してプリントされ得るか、または、プラズマディスプレイ産業において代表的に使用される、サンドブラスト技術またはビーズブラスト技術により形成され得る。光活性のあるペースト(例えば、DuPont製のFodelTM)を使用して、絶縁体壁構造体を形成し得る。図2(a)および2(b)は、ウェル構造体の製造を示す。多くの材料が、基材に使用され得、これらの材料としては、絶縁材料(例えば、ガラスおよびセラミックス)、半導体材料(例えば、Si)もしくは伝導性材料(例えば、金属シートまたは金属箔、純粋な金属または金属合金のいずれか)の両方、またはこれらの材料の組み合わせが挙げられる。低コストのガラス基材が、フラットパネルディスプレイの用途に利用され得る。
【0008】
分配、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、浸漬、塗装、ブラッシング、噴霧およびスピンコートのような種々の方法が、ウェル構造体にCNTインクまたはペースト複合物を充填するために使用され得る。分配またはインクジェットプリントプロセスを使用する場合、分配ヘッドが、基材に対して移動し、そして、コンピュータプログラムを使用して、1滴以上のインクまたはペーストを分配するために適所に配置され、その後、より多くの材料を被覆するために、次のスポットに移動する(図3(a)を参照のこと)。以下の説明において、Musashi SHOT miniTMを使用したが、他のディスペンサーまたはインクジェットディスペンサーが使用され得る。配合は、使用されるディスペンサーのモデルおよび型に依存して調節される必要があり得る。一旦、流体のCNTインクがウェル構造体内に入れられると、CNTインクは、湿式プロセス(wetting process)によって、完全にウェル構造体の底部を覆い得る(図3(b)を参照のこと)。インクまたはペーストを乾燥または硬化させた後、CNTは、ピクセルの壁内に残る(図3(c)を参照のこと)。このプロセスは、使用されたCNTインク材料に依存して、熱硬化またはUV(紫外線)硬化工程を必要とし得る。結果として、CNTは、ウェル構造体の内側に含まれる。プリント技術もしくは分配技術を使用して、または、サンドブラストプロセスもしくはビーズブラストプロセスを使用して、このウェル構造体を非常に精密に作製することが可能である。ウェル構造体が精密に作製されると、まさに記載したプロセスを使用して、各ピクセルについて均一なCNT被覆を得る。ウェル構造体はまた、不均一な性能をもたらし得る、エッジ放出問題を効率的に回避する。ウェルの形状は、個々のピクセルまたはサブピクセルの形状および有効放出領域を規定し得る。
【0009】
ウェルを均一に充填するためには、均一なCNTインクまたはCNTペーストを調製すること、そして、ウェル内のインクまたはペーストの容量を制御することが、重要な要因である。CNTインクもしくはペースト、および基材もしくはウェル構造体の表面の親水性または疎水性の特徴に起因して、CNTは、図4(a)および4(b)に示されるような異なる形状のウェルに適合され得る。図5は、本明細書中に記載されるようなウェル形成プロセスにより構成された、真空シールされたCNT電界放出ディスプレイを示す。側壁スペーサー(壁面スペーサー)および内部スペーサーが、真空シールされたディスプレイが空にされた後の、アノードプレート(蛍光スクリーン)とカソードプレートとの間のギャップを保つ。良好な電界放出特性を有する、別のCNTベースのインクが、本発明のプロセスに従って開発されている。ディスペンサー、インクジェットプリンタ、スクリーンプリンタなど、およびこれらの組み合わせが、比較的精密な容量のCNTインクをウェルに充填するために使用され得る。
【0010】
CNTインクが被覆され、カソード構造体を形成した後、犠牲となる層の除去のような、CNTインクを傷付け得る、さらなる被覆後プロセスが実施されないことに注意することが重要である。このような犠牲となる層は、米国特許第6,705,910号明細書に開示されるプロセスの中心である。このようなCNTインクに対する損傷は、その電界放出能に悪影響を及ぼす。
【0011】
CNTインクを複数のピクセルの複数のウェルに充填するための適切な手段の例としては、分配、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スピンオンコーティング、ブラッシング、浸漬など、およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0012】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するために提示され、そして、本発明の範囲を過度に制限するものとは解釈されない。以下は、本発明のプロセスに従って利用され得るCNTインクのサンプル配合、および種々の配合により得られる電界放出特性を例示する。
【実施例】
【0013】
(サンプル1(CNTインク1))
1)材料の供給源:単層カーボンナノチューブ(SWNT)をCarboLex,Inc.(Lexington、Kentucky)から入手した。このSWNTは、直径1nm(ナノメートル)〜2nmの範囲であり、長さが5μm(マイクロメートル)〜20μmの範囲であった。他のベンダー製および他の方法により作製された単層、二層または多層カーボンナノチューブ(MWNT)もまた使用され得、同様の結果を伴う。
【0014】
作製された複合物の他の成分は、無機接着剤材料中に含まれていた。この無機接着剤材料を、Cotronics Corp.(Brooklyn、New York)から、Resbond 989の名称/識別名で入手した。このResbond 989は、Al粒子、水および無機接着剤の混合物である。他の粒子(例えば、SiO)を含む複合物もまた使用され得る。これらの粒子は、絶縁性でも、電導性でも、半導体性でもよい。粒径は、50μm未満であり得る。Resbond 989中のキャリアは、水であると考えられるが、他のキャリア物質が使用され得、それらはまた有機物でも無機物でもよい。バインダー(例えば、アルカリケイ酸塩またはアルカリリン酸塩)のような、この材料の他の特性を高める他の材料もまた、複合物中に少量存在し得る。
【0015】
2)Resbond 989を含むカーボンナノチューブの混合物の調製および基材への被覆
(混合物の粉砕)
1グラム量のCNT粉末(40重量%)および1.5グラム量のResbond(60重量%)を、一緒に乳鉢に入れた。この混合物を、混合物がゲルのようになる(CNTおよびAl粒子が互いに分離していないことを意味する)ように、乳棒を用いて少なくとも30分間粉砕した。CNT 対 Resbondの異なる重量比でもまた、機能し得ることに留意されたい。さらに、水または他のキャリア物質もまた、粘性を調整するために、混合物に添加されてその混合物が希釈され得る。次いで、この混合物を、基材に被覆できる状態にする。
【0016】
(混合物の基材への適用および硬化)
Musashi製のディスペンサー(モデル:SHOT miniTM)を使用して、CNTインク混合物をウェル構造体に被覆した。他のディスペンサー機械(インクジェットアプローチが挙げられる)が使用され得る。CNT材料を、互いに対して分配ヘッドおよび/または基材を動かし、予め規定された位置に材料のドットを分配することによって、各々のウェル構造体に配置する。次いで、この基材を、室温で10分間風乾させたが、水をより早く除去するために高い温度(約100℃またはそれ以上)にてオーブン内でも乾燥(硬化)させ得る。溶媒が有機物質を含む場合、その物質を取り除くためにさらに高い温度が設定され得る。例えば、エポキシを取り除くために300℃までが設定される。オーブンおよび硬化用容器は、乾燥/硬化プロセス中に空気をオーブンの外に排出し、オーブンの内部に真空を形成するために、真空ポンプを備え得る。オーブンまたは硬化用容器はまた、サンプルの周囲に硬化または乾燥をさらに促進する気体環境または気体流を提供し得る。この気体環境または気体流は、部分的にまたは完全に不活性気体(例えば、希ガスまたは窒素)由来であっても、そうでなくてもよい。紫外線または赤外線もまた、硬化プロセスを補助するために使用され得る。(米国特許出願番号第10/269,577において議論されるような)表面活性化プロセスをCNTカソードに適用して、電界放出特性を改善した。
【0017】
3)次いで、このサンプルを電界放出試験ができる状態にした。
【0018】
(サンプル2(CNTインク2))
1)0.9グラム量の単層CNT(未精製、Iljin Nanotech Corp.,Ltd.製)、5.7グラム量のエポキシ(エチルセルロース、2−(2−ブトキシエトキシ)酢酸エチル、および2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールを含む)、および0.5グラムのガラスフリットを秤量し、乳鉢内で乳棒を用いて30分間粉砕した。単層、二層または多層のCNT材料がまた使用され得、他のベンダー製のCNT材料もまた使用され得る。
2)次いで、2mL量のシンナー(Terpineol)を乳鉢に添加した。CNTインクの粘性を調節するために、他の有機物質もまた使用され得る。
3)次いで、得られた混合物を、乳鉢内で、手動で30分間粉砕した。
4)この混合物を乳鉢内で粉砕した後、直ちに、3ロールミルを使用して、得られたペーストをさらに30分間さらに混合した。このプロセスは、混合物の成分の均等な分配を提供するため、そして、得られたペースト(CNTインク2)の一貫した粘性を提供するために使用する。
5)次いで、得られたCNTインク2を、ディスペンサー(Musashi SHOT miniTM)に取付けられたシリンジに添加し、すぐに使用できる状態にした。
【0019】
(分配プロセス)
以下は、本発明のCNTインクを分配するプロセスを開示する。
1)本発明のCNTインクの被覆に供されることが所望される基材と同じ厚みを有する、参照基材を利用して、CNTインク、およびCNTインクを含むドットが、一貫して分配され得るかどうかを決定した。
2)CNTインクを含む、分配される材料のスポットの大きさは、粘性、ディスペンサーのノズルの大きさ、およびノズルと基材との間の距離(ギャップ)に依存した。ノズルの開口部が小さいほど、ノズルと基材との間のギャップの変動がより感度がよくなる。
3)ディスペンサーを、適切な位置に基材の位置を調節するように、そして、良好なアライメントを提供するように、プログラムした。
4)異なるドットパターンに対して種々のプログラムを使用して、ウェルを充填した。
5)CNTインクの分配容量は、例えば、気圧、距離、吸引戻し真空(suck−back vacuum)、分配する物質の粘性、およびノズルの開口部の大きさによって調節され得る。距離および分配する物質の粘性が、一貫して分配するための最も重要なパラメーターである。なぜならば、他のパラメーターは、より制御しやすいからである。距離の制御は、基材がどの程度平坦であるか、およびX−Y座標の水準測量に依存し、そしてまた、高さセンサにより正確に制御され得る。
【0020】
(焼成プロセス)
以下は、本発明のCNTカソードからの有機物質の除去を提供するための、本発明の焼成プロセスを開示する。ウェルが充填された後、CNTカソード内の有機物質を除去するために、焼成プロセスが必要とされる。
1)本発明のCNTインクを含む基材を、空気中で、100℃のオーブン内で10分間の焼付けに供した。
2)焼付け後、この基材を、焼成のために、別の窒素が流れるオーブン内に置いた。最初、温度は、ゆっくりと(180℃/時間の速度で)315℃まで上げ、そして、315℃で10分間維持した。
3)次いで、温度を(180℃/時間の同じ傾斜速度で)450℃まで上げ、そして、450℃で10分間焼成した。
4)この温度を、ゆっくりと(180℃/時間の同じ傾斜速度で)室温まで下げた、すなわち、基材を、室温まで冷却した。
【0021】
(サンプル3(CNTインク3))
1)0.2グラム量のCNT(Iljin Nanotech Corp.,Ltd.製、単層、未精製)を、微量天秤を用いて秤量し、ジャーに入れた。単層、二層、または多層のCNT材料もまた使用され得、そして、他のベンダー製のCNT材料もまた使用され得る。
2)次いで、0.2グラム量の酸化アルミニウムナノ粒子を、ジャーに添加した。粒子の大きさは、0.01μm〜0.02μmの範囲であった。
3)次いで、5mL量のシンナー(Terpineol)を添加した。CNTインクの粘性を調節するために、他の有機物質もまた使用され得る。
4)撹拌子を用いて、CNT、酸化アルミニウムナノ粒子およびterpineolの混合物を、3時間撹拌した。
5)撹拌後、混合物成分の均等な分配を提供するため、そして、得られた混合物(CNTインク3)の一貫した粘性を提供するために、直ちに、3ロールミルを使用して、得られたインクを30分間さらに混合した。
6)次いで、得られたCNTインク3を、ディスペンサー(Musashi SHOT miniTM)に取付けられたシリンジに添加し、すぐに使用できる状態にした。
【0022】
(焼付けプロセス)
CNTインク3のようなCNTインクを分配することによって作製されたカソードを、空気中、230℃のオーブン内で30分間焼いた。シンナーは、いかなる残存も残留物もなく、230℃において蒸発させ得る。
【0023】
(サンプル4(CNTインク4))
1)0.2グラム量のCNTを、微量天秤を用いて秤量し、ジャーに入れた。
2)次いで、0.2グラム量の酸化アルミニウムナノ粒子をジャーに添加した。粒子の大きさは、0.01〜0.02μmの範囲であった。
3)次いで、5mL量のシンナー(Terpineol)をジャーに添加した。CNTインクの粘性を調節するために、他の有機物質もまた使用され得る。
4)次いで、1mL量のKasil(登録商標)2135をジャーに添加した。Kasilを使用してインクの基材に対する接着を改善した。ケイ酸カリウムのような他の無機物質もまた使用され得る。
5)撹拌子を用いて、CNT、酸化アルミニウムナノ粒子、Kasilおよびシンナーの混合物を3時間撹拌した。
6)撹拌後、混合物の成分の均等な分配を提供するため、そして、得られた混合物(CNTインク4)の一貫した粘性を提供するために、直ちに、3ロールミルを使用して、得られたインクを30分間さらに混合した。
7)得られたCNTインク4は、スクリーンプリンティングにすぐに使用できる状態であった。
【0024】
(焼付けプロセス)
スクリーンプリンティングにより作製したCNTカソードを、空気中、100〜300℃のオーブン内で、30分間焼いた。焼付け後、ほぼ無機物質のみが、カソード内に残った。
【0025】
(電界放出の結果)
本発明の異なるCNTインクを用いて調製したカソードを、図6(a)に示されるようなダイオード構成を用いて試験した。カソードとアノードとの間のスペーサーの厚みは、約0.5mmである。アノードは、リン光体でコーティングしたITOガラスである。CNTインク2について本明細書中で記載したプロセスを使用してウェル構造体を充填することによって作製されたカソード(CNTインク2)からの電界放出画像を、図6(b)に示す。22ピクセルがサンプル内にあった。図7は、これより前に記載したように調製した、異なるCNTインクにより作製された種々のカソードからのI−V曲線を示す。
【0026】
まとめると、分配またはスクリーンプリンティング法のような(これらに限定されない)方法を用いて、複数のピクセルの複数のウェルを充填するためにCNTインクが使用される。この自己充填プロセスを用いると、個々のピクセルまたはサブピクセルにわたって均一なカソードが得られ得る。さらに、エッジ放出がまた、減少または排除され得る。
【0027】
本発明およびその利点が、詳細に記載されてきたが、種々の変化、置き換え、および変更が、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書中でなされ得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明およびその利点をより完全に理解するために、ここで、添付の図面と組合せて以下の説明に対して参照がなされる。
【図1a】図1(a)は、ウェル構造の1つの実施形態の側面図を示す。
【図1b】図1(b)は、内蔵型ゲート電極を有するウェル構造を示す。
【図1c】図1(c)は、ウェル内へのCNT被覆後に設置された金属グリッド電極を示す。
【図2a】図2(a)は、スクリーンプリンティングプロセスを使用してプリントしたカソード電極を示す。
【図2b】図2(b)は、スクリーンプリンティングプロセスを使用してプリントした絶縁体層を示す。
【図3a】図3(a)は、CNTインクをウェルに充填する工程を示す。
【図3b】図3(b)は、ウェル内にCNTインクが拡がる状態を示す。
【図3c】図3(c)は、CNTインクが乾燥する状態を示す。
【図4a】図4(a)は、ウェル構造の内側にあるCNTインクの1つの実施形態を示す。
【図4b】図4(b)は、ウェル構造の内側にあるCNTの代替的な実施形態の別の例を示す。
【図5】図5は、本発明の1つの実施形態に従って構成された、電界放出ディスプレイの一部を示す。
【図6a】図6(a)は、本発明の1つの実施形態に従って構成された、ダイオード構造体の一部を示す。
【図6b】図6(b)は、本発明の1つの実施形態を使用して製造されたカソードからの電界放出のデジタル画像を示す。
【図7】図7は、本発明の実施形態に従って製造された、CNTインクのI−V特徴を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブおよび無機接着剤を含む、組成物。
【請求項2】
カーボンナノチューブ、エポキシ、ガラスフリットおよびシンナーを含む、組成物。
【請求項3】
カーボンナノチューブ、酸化アルミニウムナノ粒子およびシンナーを含む、組成物。
【請求項4】
前記エポキシが、エチルセルロース、2−(2−ブトキシエトキシ)酢酸エチル、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
組成物を調製するプロセスであって、カーボンナノチューブ、無機接着剤および水を接触させる工程を包含する、プロセス。
【請求項6】
組成物を調製するプロセスであって、カーボンナノチューブ、エポキシ、ガラスフリットおよびシンナーを接触させる工程を包含する、プロセス。
【請求項7】
組成物を調製するプロセスであって、カーボンナノチューブ、酸化アルミニウムナノ粒子およびシンナーを接触させる工程を包含する、プロセス。
【請求項8】
組成物を調製するプロセスであって、カーボンナノチューブ、酸化アルミニウムナノ粒子、シンナーおよびKasilを接触させる工程を包含する、プロセス。
【請求項9】
前記組成物を分配する工程をさらに包含する、請求項5、6、7または8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記分配工程が、分配、スクリーンプリンティング、インクジェットプリンティング、浸漬、塗装、ブラッシング、スピンコート、噴霧およびそれらの組み合わせを含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
カーボンナノチューブ(CNT)インク様組成物をカソード構造体内に形成されるウェルに被覆させるプロセスであって、それにより、被覆後プロセスが該CNTインク様組成物の被覆の後に該カソード構造体上で行われない、プロセス。
【請求項12】
前記被覆後プロセスが、前記カソード構造体から材料層を除去する、請求項11に記載のプロセス。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6a】
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【図6(b)】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−505474(P2007−505474A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526386(P2006−526386)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/029922
【国際公開番号】WO2005/029528
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(598131351)ナノ−プロプライエタリー, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】