ウエハのアライメント方法及び装置
【課題】 その外周にオリフラやノッチなどの位置決め用カット部を有するウエハに対しても、ウエハの中心を回転台の回転中心に整合させる処理を、正確かつ短時間で行うこと。
【解決手段】 探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように、右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択し、それら3点の計測値データの値とウエハ中心との幾何学的関係に基づいて、ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正する。
【解決手段】 探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように、右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択し、それら3点の計測値データの値とウエハ中心との幾何学的関係に基づいて、ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、その外周にオリフラやノッチ等の位置決め用カット部を有するウエハに対して所定の加工処理を施すために、ウエハの中心を回転台の回転中心に整合させるためのウエハのアライメント方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、レーザマーカによるロット番号のマーキング処理などの加工処理を目的として、それに先だって、ウエハの中心を回転台の回転中心に整合させるために、ウエハのアライメント方法及び装置が従来より知られている。
【0003】
このウエハのアライメント方法及び装置は、回転台にウエハを置いて回転させ、ウエハの回転中心から外周までの半径を一定の角度毎に測定し、測定結果から、偏差の最大と最小となる角度をそれぞれ求めて基準点とし、それら2つの基準点の半径の最大値と最小値との2点から、幾何学的原理(直径=最大半径+最小半径)に基づいて、ウエハの中心を求め、こうして求められたウエハの中心とウエハの回転中心との間における誤差の方向及び量とを修正するように、回転台に対してウエハの中心を移動させるものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−152055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のウエハのアライメント方法及び装置にあっては、幾何学的原理(直径=最大半径+最小半径)に基づいてウエハの中心位置を求める原理上、それらの最大半径または最小半径がたまたまオリフラやノッチの影響を受けていると、上述の幾何学的関係が成立しなくなるため、ウエハの中心を正しく求めることができないという問題点があった。
【0005】
そこで、このように、求められた2点(最大値、最小値)がオリフラやノッチの影響を受けていた場合には、それらの最大値または最小値に相当する回転角度よりも僅かにずらした回転角度におけるデータを使用することによって、幾分でも正確な計測が行えるような代替手法が採用されているが、このような代替手法にあっても、ウエハの中心とウエハの回転中心とを完全に一致させることはなかなか難しく、その基準となる回転角度をずらしては中心位置を探査する処理を何度も繰り返せねばならず、ウエハアライメント処理時間が長大化し、その間にタイムアウトエラーで停止するといった問題点もあった。
【0006】
この発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、その外周にオリフラやノッチなどの位置決め用カット部を有するウエハであっても、ウエハの中心とウエハの回転中心とを正確かつ短時間で整合させることが可能なウエハのアライメント方法及び装置を提供することにある。
【0007】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解される筈である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の「発明が解決しようとする課題」は、以下の構成を有するウエハのアライメント方法及び装置によって解決できるものと考えられる。
【0009】
すなわち、このウエハのアライメント方法及び装置は、その外周にオリフラやノッチなどの位置決め用カット部を有するウエハに対して所定の加工処理を施すために、ウエハの中心を回転台の回転中心に整合させるためのものであって、以下に述べる第1のステップ〜第5のステップを含んで構成される。
【0010】
第1のステップは、回転台の上に加工処理の対象となるウエハが載置された状態において、回転台を回転させながら、所定の絶対回転角度におけるウエハ外周の半径方向突出量または半径方向後退量を、ウエハの全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得する。
【0011】
第2のステップは、取得された一連の計測値データに基づいて、位置決め用カット部の存在する回転角度、及び一連の計測値データの中で半径方向外方または半径方向内方のピーク値の存在する回転角度を探査する。
【0012】
第3のステップは、探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択する。
【0013】
第4のステップは、3点の計測値データの値とウエハ中心との幾何学的関係に基づいて、ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正するに必要な移動方向及び移動量を求める。
【0014】
第5のステップは、移動方向及び移動量に基づいて、回転台に対してウエハを移動させるものである。
【0015】
このような構成によれば、ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正するに必要な移動方向及び移動量の算出は、探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で求められた3点であるから、外周にオリフラやノッチなどの位置決め用カット部の存在するウエハに対しても、それらの位置決め用カット部の影響を全く受けることなく、目的とする移動方向及び移動量を求めることができるから、求められた移動方向及び移動量に基づいてウエハの中心を回転台の回転中心(ウエハの回転中心)に正確かつ短時間で整合させることが可能となる。
【0016】
一方、このウエハのアライメント方法は、加工対象となるウエハをほぼ水平姿勢で載置するための回転台と、回転台を回転させるための回転台ドライバと、回転台の中心軸を水平面内に置いて、特定方位へと、直線的に移動させるための軸ステージドライバと、回転台に載せられたウエハを保持して昇降するウエハ乗換台と、ウエハ乗換台を作動させるための乗換台ドライバと、回転台の特定方位における周辺に位置して、回転台に載せられたウエハの外周までの距離を計測可能なセンサとを含んでいる。
【0017】
加えて、このウエハのアライメント装置は、第1の制御手段〜第5の制御手段を含んでいる。
【0018】
第1の制御手段は、回転台の上に加工処理の対象となるウエハが載置された状態において、回転台を回転台ドライバを介して回転させながら、所定の方位におけるウエハ外周までの距離をセンサを介して、ウエハの全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得する。
【0019】
第2の制御手段は、取得された一連の計測値データに基づいて、位置決め用カット部の存在する回転角度、及び一連の計測値データの中で半径方向外方または半径方向内方のピーク値の存在する回転角度を探査する。
【0020】
第3の制御手段は、探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択する。
【0021】
第4の制御手段は、3点の計測値データの値とウエハ中心との幾何学的関係に基づいて、ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正するに必要な移動方向及び移動量を求める。
【0022】
第5の制御手段は、移動方向及び移動量に基づいて、乗換台ドライバを介してウエハを回転台から持ち上げた状態において、中心軸ステージドライバを介して回転台の中心軸を移動させた後、乗換台ドライバを介してウエハを回転台上に下ろさせるものである。
【0023】
このような構成によれば、先の方法と同様にして、ウエハの中心を回転台の回転中心に正確にかつ短時間で整合させることができることに加え、センサの数も1個で済むと共に、ズレの補正を画像処理で行う場合のように、カメラや画像解析ソフトも不要であるため、この種の装置を低コストに実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のウエハのアライメント方法及び装置によれば、ウエハの中心軸を回転台の回転中心に正確かつ短時間で整合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明に係るウエハのアライメント方法及び装置の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の実施形態の一例を示すものに過ぎず、本発明の及ぶ範囲は特許請求の範囲によって規定されることは言うまでもないことである。
【0026】
本発明方法が適用されたウエハ位置決め装置の構造を模式的に示す説明図が図1に、同装置の電気的構成を示すブロック図が図2に、同装置のソフトウェア構成を示すフローチャートが図3に、中心位置のX軸移動量算出処理の詳細を示すフローチャートが図4にそれぞれ示されている。
【0027】
図1に示されるように、このウエハ位置決め装置は、回転台1と、回転台1を回転するための回転台ドライバ(後述する)が組み込まれていると共に、回転中心軸を図における前後方向(X軸方向)へと往復移動させることが可能な中心軸ステージドライバ(後述する)が組み込まれた中心軸ステージ2と、回転台1の上に載せられたウエハ6の下面に接して、これを昇降させる機能を有するウエハ乗換台3と、回転台1に載せられて回転するウエハの外形変位を計測可能なセンサ4と、装置全体を統括制御するコントローラ5とを含んで構成される。
【0028】
図2に示されるように、コントローラ5は、センサ4から入力される計測データに基づいて、図3及び図4に示されるソフトウェアを実行することによって、必要な出力を生成し、これにより乗換台ドライバ(Z軸)31、回転台ドライバ(θ軸)21、及び軸ステージドライバ(X軸)22)を適宜に制御するように構成されている。
【0029】
図3に示されるように、コントローラ5では所定のソフトウェアを実行することによって、一連の処理(ステップ10〜90)を実行するように構成されている。それらの処理の内容は、次のように構成されている。
【0030】
すなわち、回転台へウエハを搬送する処理(ステップ10)においては、図示しない搬送機構を制御することによって、ウエハ6を回転台1の上にラフな位置決め精度をもって載置する。このとき、回転台1の回転中心とウエハ6の中心とが完全に一致していることは稀であり、通常、ウエハ搬送機構のハンドリング精度に依存する所定誤差範囲のズレをもって、ウエハ6は回転台1上に載置される。
【0031】
続くウエハ外周サーチ処理(ステップ20)においては、回転台1の上に加工処理の対象となるウエハ6が載置された状態において、回転台1を回転台ドライバ21を介して回転させながら、所定の方位(X軸方向)におけるウエハ外周までの距離をセンサ(一般には、光学式測長センサで構成される)4を介して、ウエハ6の全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得する。こうして取得された計測値データは、コントローラ5を構成するコンピュータのメモリ上に格納される。
【0032】
こうして計測される距離データとウエハ偏心状態との関係を示す説明図が図5〜図9にそれぞれ示されている。それらの図から明らかなように、ここで計測される距離データとは、ウエハの周辺に設定された測定基準線Zと基準方位(0°)におけるウエハ輪郭線との交点Aとの距離ZAのことである。すなわち、図5〜図9にそれぞれ示されるように、距離データ(ZA)=a、距離データ(ZB)=b、距離データ(ZC)=c、距離データ(ZD)=d、距離データ(ZE)=eとなる。
【0033】
そして、こうして求められた各距離データが、先に説明したように、コントローラ5を構成するコンピュータのメモリに格納される。再び図3に戻って、続いて、中心位置のX軸移動量算出処理(ステップ30)が実行される。ここで、中心位置のX軸移動量とは、図10に示されるように、X軸に沿った、ウエハ中心の回転中心に対する移動量のことである。
【0034】
本発明の要部である中心位置のX軸移動量算出処理(ステップ30)の詳細が、図4に示されている。同図に示されるように、処理が開始されると、まず、ステップ301においては、オリフラまたはノッチの検出処理が実行される。この処理は、オリフラまたはノッチに相当するウエハ輪郭形状パターンに基づいて、先にメモリ内に格納された一連の計測値データを検索することにより、該当するデータ列が存在するかどうかを検出するものである。
【0035】
続くステップ302では、先の処理でオリフラまたはノッチが検出されたかどうかの判定が行われ、ここで検出無しの場合には、何らかの異常が生じているものとして、所定のエラー処理への移行が行われる。これに対して、オリフラまたはノッチが検出されれば、ステップ303へと移行して、外周偏差の値に対する判定処理が実行される。ここで、『外周偏差』とは、図10に示されるように、ウエハ中心が回転中心に一致するときに、ウエハの外周が位置する点を外周中心とし、この外周中心と測定点Aとの距離を求めたものである。
【0036】
ここで、外周偏差の値が予め決められた0相当範囲内と判定されると、X軸の移動量は0にセットされた後、処理は終了する。これに対して、外周偏差の値が0相当範囲外と判定されると、本発明の要部であるところの、3つの基準点に基づくX軸移動量の算出処理が行われる。
【0037】
まず、ステップ305においては、先に取得された一連の計測値データに基づいて、オリフラやノッチなどの位置決め用カット部の存在する回転角度、及び一連の計測値データの中で半径方向外方または半径方向内方のピーク値の存在する回転角度を探査する。次に、こうして探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつオリフラやノッチといった位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように、右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択する。
【0038】
点Aで最小距離データ(ZA)が得られたときにおける各測定点(B〜E)と偏心量との関係を示す説明図が図10に示されている。
【0039】
この例においては、一連の計測値データに基づいて、位置決め用カット部の存在する回転角度及び一連の計測値データの中で、半径方向外方または半径方向内方のピーク値の存在する回転角度として点A(0°)が探査される。また、この例にあっては、探査されたピーク値の存在する回転角度(0°)を基準とし、かつオリフラやノッチなどの位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように、右回りが選択決定された上で、その右回り方向へと所定角度(45°)間隔で、3点(点B(45°)、点C(90°)、点D(135°))が選択される。なお、左回りの場合には、それらの選択される3点は、点B(315°)、点C(270°)、点D(225°)とされる。これらの選択される3点には、ピーク値が存在しないことは勿論のこと、先に検出されたオリフラやノッチの回転角度にあるデータも除かれているため、何れの点の距離データもオリフラやノッチといった位置決め用カット部の影響を受けていない。
【0040】
再び図4に戻って、続くステップ306においては、外周中心位置の値の算出処理が実行される。この外周中心位置の値の算出処理においては、ピーク角度におけるデータの値と45°におけるデータの値との大小比較が行われ、ピーク角度におけるデータの値の方が、45°におけるデータの値よりも大きい場合には、
外周中心位置の値=(135°データ−90°データ)+45°データ
=(d−c)+b
として、外周中心位置の値が求められ、逆にピーク角度におけるデータの値の方が45°におけるデータの値よりも小さい場合には、
外周中心位置の値=(90°データ−135°データ)−45°データ
=(c−d)−b
として、外周中心位置の値が求められる。
【0041】
続くステップ307では、先の処理で求められたピーク角度の値と外周中心位置の値とに基づいて、
X軸の移動量=ピーク角度の値−外周中心位置の値
として、X軸の移動量の値が求められる。
【0042】
なお、ステップ303において、外周偏差の値が、センサ入力値以上と判定された場合には、何らかのセンサ異常またはセンサ取付状態の異常などと判定して、所定のエラー処理へと移行する。
【0043】
再び図3に戻って、ステップ40においては、こうして求められた移動方向(X軸方向)及び移動量(X軸の移動量)に基づいて、乗換台ドライバ(Z軸)31を介してウエハ6を回転台1から持ち上げた状態において、中心軸ステージドライバ22を介して回転台6の中心軸をX軸方向へと移動させた後、乗換台ドライバ31を介してウエハ6を回転台1に下ろさせることによって、ウエハ中心とウエハ回転中心とが一致するように試みるのである。本来この状態において、ウエハ中心と回転台中心(回転中心)とは一致するはずであるが、予期せぬ何らかの異常があればなおも両者間には幾分のズレが残されることも想定される。
【0044】
ステップ50においては、再度、ステップ20と同様なウエハ外周サーチ処理を実行することによって、再度一連の距離データを取得し、これをコンピュータのメモリ内に格納する。すなわち、回転台1の上に加工処理の対象となるウエハ6が載置された状態において、回転台1を回転台ドライバ21を介して回転させながら、所定の方位(X軸方向)におけるウエハ外周までの距離をセンサ4を介して、ウエハ6の全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得するのである。
【0045】
続くステップ60においては、先に説明した外周偏差の値が誤差精度の範囲内であるかどうかの判定を行う。回転角度と外周データとの関係を示すグラフ(ウエハの中心が中心軸からズレた時のデータ)が図11に、回転角度と外周データとの関係を示すグラフ(ウエハの中心が中心軸と一致した時のデータ)が図12にそれぞれ示されている。
【0046】
それらのグラフから明らかなように、ウエハの中心が中心軸からズレている時には、外周データの値は大きな振幅を有する正弦波状となる。これに対して、ウエハの中心が中心軸と一致した時には、外周データの値は直線状となる。
【0047】
図3に戻って、誤差精度の範囲から外れていると判定されれば(ステップ60NO)、先に説明した一連の処理(ステップ30,40,50)を順次に実行しては、誤差精度の判定が繰り返される(ステップ60)。
【0048】
ここで、誤差精度の範囲に収まれば(ステップ60YES)、公知の手法によって、オリフラ・ノッチの詳細サーチ処理(ステップ70)、オリフラ・ノッチの位置決め処理(ステップ80)、オリフラ・ノッチの基準位置への移動処理(ステップ90)が順次に行われる。
【0049】
これにより、ウエハ中心を回転中心に一致させた状態において、さらに、オリフラまたはノッチの角度をX軸方向の角度に一致させることによって、ウエハの位置決め処理が完了する。
【0050】
こうして位置決め処理が完了した状態においては、加工装置側において決められた位置データとその位置データによって制御されるウエハ上の位置乃至角度は正確に一致するから、これに基づき所望の位置や角度に対して、所望の加工処理(例えば、レーザマーカによるロット番号のマーキング処理など)を正確に行うことができるわけである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係るウエハのアライメント方法及び装置によれば、2つのピーク値に基づいて中心位置を求めるのではなくて、何れかのピーク値に基づき決定されたオリフラやノッチに影響を受けない3つの点のデータに基づいて中心位置を求めるため、回転中心とウエハ中心との誤差を正確に求め、これに基づき必要な移動量をもって、ウエハ中心を回転中心に正確かつ短時間で整合させることができるから、本方法及び装置を適用したウエハ位置決め装置によれば、ウエハ上へのロット番号のレーザマーキングなどを正確かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ウエハ位置決め装置の構造を模式的に示す説明図である。
【図2】ウエハ位置決め装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】ウエハ位置決め装置のソフトウェア構成を示すフローチャートである。
【図4】中心位置のX軸移動量算出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】距離データ(ZA)とウエハ偏心状態との関係を示す説明図である。
【図6】距離データ(ZB)とウエハ偏心状態との関係を示す説明図である。
【図7】距離データ(ZC)とウエハ偏心状態との関係を示す説明図である。
【図8】距離データ(ZD)とウエハ偏心状態との関係を示す説明図である。
【図9】距離データ(ZE)とウエハ偏心状態との関係を示す説明図である。
【図10】点Aで最小距離データ(ZA)が得られたときにおける各測定点(B〜E)と偏心量との関係を示す説明図である。
【図11】回転角度と外周データとの関係を示すグラフ(ウエハの中心が中心軸からズレたときのデータ)である。
【図12】回転角度と外周データとの関係を示すグラフ(ウエハの中心が中心軸と一致したときのデータ)である。
【符号の説明】
【0053】
1 回転台
2 中心軸ステージ
3 ウエハ乗換台
4 センサ
5 コントローラ
6 ウエハ
21 回転台ドライバ(θ軸)
22 軸ステージドライバ(X軸)
【技術分野】
【0001】
この発明は、その外周にオリフラやノッチ等の位置決め用カット部を有するウエハに対して所定の加工処理を施すために、ウエハの中心を回転台の回転中心に整合させるためのウエハのアライメント方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、レーザマーカによるロット番号のマーキング処理などの加工処理を目的として、それに先だって、ウエハの中心を回転台の回転中心に整合させるために、ウエハのアライメント方法及び装置が従来より知られている。
【0003】
このウエハのアライメント方法及び装置は、回転台にウエハを置いて回転させ、ウエハの回転中心から外周までの半径を一定の角度毎に測定し、測定結果から、偏差の最大と最小となる角度をそれぞれ求めて基準点とし、それら2つの基準点の半径の最大値と最小値との2点から、幾何学的原理(直径=最大半径+最小半径)に基づいて、ウエハの中心を求め、こうして求められたウエハの中心とウエハの回転中心との間における誤差の方向及び量とを修正するように、回転台に対してウエハの中心を移動させるものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−152055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のウエハのアライメント方法及び装置にあっては、幾何学的原理(直径=最大半径+最小半径)に基づいてウエハの中心位置を求める原理上、それらの最大半径または最小半径がたまたまオリフラやノッチの影響を受けていると、上述の幾何学的関係が成立しなくなるため、ウエハの中心を正しく求めることができないという問題点があった。
【0005】
そこで、このように、求められた2点(最大値、最小値)がオリフラやノッチの影響を受けていた場合には、それらの最大値または最小値に相当する回転角度よりも僅かにずらした回転角度におけるデータを使用することによって、幾分でも正確な計測が行えるような代替手法が採用されているが、このような代替手法にあっても、ウエハの中心とウエハの回転中心とを完全に一致させることはなかなか難しく、その基準となる回転角度をずらしては中心位置を探査する処理を何度も繰り返せねばならず、ウエハアライメント処理時間が長大化し、その間にタイムアウトエラーで停止するといった問題点もあった。
【0006】
この発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、その外周にオリフラやノッチなどの位置決め用カット部を有するウエハであっても、ウエハの中心とウエハの回転中心とを正確かつ短時間で整合させることが可能なウエハのアライメント方法及び装置を提供することにある。
【0007】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解される筈である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の「発明が解決しようとする課題」は、以下の構成を有するウエハのアライメント方法及び装置によって解決できるものと考えられる。
【0009】
すなわち、このウエハのアライメント方法及び装置は、その外周にオリフラやノッチなどの位置決め用カット部を有するウエハに対して所定の加工処理を施すために、ウエハの中心を回転台の回転中心に整合させるためのものであって、以下に述べる第1のステップ〜第5のステップを含んで構成される。
【0010】
第1のステップは、回転台の上に加工処理の対象となるウエハが載置された状態において、回転台を回転させながら、所定の絶対回転角度におけるウエハ外周の半径方向突出量または半径方向後退量を、ウエハの全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得する。
【0011】
第2のステップは、取得された一連の計測値データに基づいて、位置決め用カット部の存在する回転角度、及び一連の計測値データの中で半径方向外方または半径方向内方のピーク値の存在する回転角度を探査する。
【0012】
第3のステップは、探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択する。
【0013】
第4のステップは、3点の計測値データの値とウエハ中心との幾何学的関係に基づいて、ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正するに必要な移動方向及び移動量を求める。
【0014】
第5のステップは、移動方向及び移動量に基づいて、回転台に対してウエハを移動させるものである。
【0015】
このような構成によれば、ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正するに必要な移動方向及び移動量の算出は、探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で求められた3点であるから、外周にオリフラやノッチなどの位置決め用カット部の存在するウエハに対しても、それらの位置決め用カット部の影響を全く受けることなく、目的とする移動方向及び移動量を求めることができるから、求められた移動方向及び移動量に基づいてウエハの中心を回転台の回転中心(ウエハの回転中心)に正確かつ短時間で整合させることが可能となる。
【0016】
一方、このウエハのアライメント方法は、加工対象となるウエハをほぼ水平姿勢で載置するための回転台と、回転台を回転させるための回転台ドライバと、回転台の中心軸を水平面内に置いて、特定方位へと、直線的に移動させるための軸ステージドライバと、回転台に載せられたウエハを保持して昇降するウエハ乗換台と、ウエハ乗換台を作動させるための乗換台ドライバと、回転台の特定方位における周辺に位置して、回転台に載せられたウエハの外周までの距離を計測可能なセンサとを含んでいる。
【0017】
加えて、このウエハのアライメント装置は、第1の制御手段〜第5の制御手段を含んでいる。
【0018】
第1の制御手段は、回転台の上に加工処理の対象となるウエハが載置された状態において、回転台を回転台ドライバを介して回転させながら、所定の方位におけるウエハ外周までの距離をセンサを介して、ウエハの全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得する。
【0019】
第2の制御手段は、取得された一連の計測値データに基づいて、位置決め用カット部の存在する回転角度、及び一連の計測値データの中で半径方向外方または半径方向内方のピーク値の存在する回転角度を探査する。
【0020】
第3の制御手段は、探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択する。
【0021】
第4の制御手段は、3点の計測値データの値とウエハ中心との幾何学的関係に基づいて、ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正するに必要な移動方向及び移動量を求める。
【0022】
第5の制御手段は、移動方向及び移動量に基づいて、乗換台ドライバを介してウエハを回転台から持ち上げた状態において、中心軸ステージドライバを介して回転台の中心軸を移動させた後、乗換台ドライバを介してウエハを回転台上に下ろさせるものである。
【0023】
このような構成によれば、先の方法と同様にして、ウエハの中心を回転台の回転中心に正確にかつ短時間で整合させることができることに加え、センサの数も1個で済むと共に、ズレの補正を画像処理で行う場合のように、カメラや画像解析ソフトも不要であるため、この種の装置を低コストに実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のウエハのアライメント方法及び装置によれば、ウエハの中心軸を回転台の回転中心に正確かつ短時間で整合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明に係るウエハのアライメント方法及び装置の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の実施形態の一例を示すものに過ぎず、本発明の及ぶ範囲は特許請求の範囲によって規定されることは言うまでもないことである。
【0026】
本発明方法が適用されたウエハ位置決め装置の構造を模式的に示す説明図が図1に、同装置の電気的構成を示すブロック図が図2に、同装置のソフトウェア構成を示すフローチャートが図3に、中心位置のX軸移動量算出処理の詳細を示すフローチャートが図4にそれぞれ示されている。
【0027】
図1に示されるように、このウエハ位置決め装置は、回転台1と、回転台1を回転するための回転台ドライバ(後述する)が組み込まれていると共に、回転中心軸を図における前後方向(X軸方向)へと往復移動させることが可能な中心軸ステージドライバ(後述する)が組み込まれた中心軸ステージ2と、回転台1の上に載せられたウエハ6の下面に接して、これを昇降させる機能を有するウエハ乗換台3と、回転台1に載せられて回転するウエハの外形変位を計測可能なセンサ4と、装置全体を統括制御するコントローラ5とを含んで構成される。
【0028】
図2に示されるように、コントローラ5は、センサ4から入力される計測データに基づいて、図3及び図4に示されるソフトウェアを実行することによって、必要な出力を生成し、これにより乗換台ドライバ(Z軸)31、回転台ドライバ(θ軸)21、及び軸ステージドライバ(X軸)22)を適宜に制御するように構成されている。
【0029】
図3に示されるように、コントローラ5では所定のソフトウェアを実行することによって、一連の処理(ステップ10〜90)を実行するように構成されている。それらの処理の内容は、次のように構成されている。
【0030】
すなわち、回転台へウエハを搬送する処理(ステップ10)においては、図示しない搬送機構を制御することによって、ウエハ6を回転台1の上にラフな位置決め精度をもって載置する。このとき、回転台1の回転中心とウエハ6の中心とが完全に一致していることは稀であり、通常、ウエハ搬送機構のハンドリング精度に依存する所定誤差範囲のズレをもって、ウエハ6は回転台1上に載置される。
【0031】
続くウエハ外周サーチ処理(ステップ20)においては、回転台1の上に加工処理の対象となるウエハ6が載置された状態において、回転台1を回転台ドライバ21を介して回転させながら、所定の方位(X軸方向)におけるウエハ外周までの距離をセンサ(一般には、光学式測長センサで構成される)4を介して、ウエハ6の全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得する。こうして取得された計測値データは、コントローラ5を構成するコンピュータのメモリ上に格納される。
【0032】
こうして計測される距離データとウエハ偏心状態との関係を示す説明図が図5〜図9にそれぞれ示されている。それらの図から明らかなように、ここで計測される距離データとは、ウエハの周辺に設定された測定基準線Zと基準方位(0°)におけるウエハ輪郭線との交点Aとの距離ZAのことである。すなわち、図5〜図9にそれぞれ示されるように、距離データ(ZA)=a、距離データ(ZB)=b、距離データ(ZC)=c、距離データ(ZD)=d、距離データ(ZE)=eとなる。
【0033】
そして、こうして求められた各距離データが、先に説明したように、コントローラ5を構成するコンピュータのメモリに格納される。再び図3に戻って、続いて、中心位置のX軸移動量算出処理(ステップ30)が実行される。ここで、中心位置のX軸移動量とは、図10に示されるように、X軸に沿った、ウエハ中心の回転中心に対する移動量のことである。
【0034】
本発明の要部である中心位置のX軸移動量算出処理(ステップ30)の詳細が、図4に示されている。同図に示されるように、処理が開始されると、まず、ステップ301においては、オリフラまたはノッチの検出処理が実行される。この処理は、オリフラまたはノッチに相当するウエハ輪郭形状パターンに基づいて、先にメモリ内に格納された一連の計測値データを検索することにより、該当するデータ列が存在するかどうかを検出するものである。
【0035】
続くステップ302では、先の処理でオリフラまたはノッチが検出されたかどうかの判定が行われ、ここで検出無しの場合には、何らかの異常が生じているものとして、所定のエラー処理への移行が行われる。これに対して、オリフラまたはノッチが検出されれば、ステップ303へと移行して、外周偏差の値に対する判定処理が実行される。ここで、『外周偏差』とは、図10に示されるように、ウエハ中心が回転中心に一致するときに、ウエハの外周が位置する点を外周中心とし、この外周中心と測定点Aとの距離を求めたものである。
【0036】
ここで、外周偏差の値が予め決められた0相当範囲内と判定されると、X軸の移動量は0にセットされた後、処理は終了する。これに対して、外周偏差の値が0相当範囲外と判定されると、本発明の要部であるところの、3つの基準点に基づくX軸移動量の算出処理が行われる。
【0037】
まず、ステップ305においては、先に取得された一連の計測値データに基づいて、オリフラやノッチなどの位置決め用カット部の存在する回転角度、及び一連の計測値データの中で半径方向外方または半径方向内方のピーク値の存在する回転角度を探査する。次に、こうして探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつオリフラやノッチといった位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように、右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択する。
【0038】
点Aで最小距離データ(ZA)が得られたときにおける各測定点(B〜E)と偏心量との関係を示す説明図が図10に示されている。
【0039】
この例においては、一連の計測値データに基づいて、位置決め用カット部の存在する回転角度及び一連の計測値データの中で、半径方向外方または半径方向内方のピーク値の存在する回転角度として点A(0°)が探査される。また、この例にあっては、探査されたピーク値の存在する回転角度(0°)を基準とし、かつオリフラやノッチなどの位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように、右回りが選択決定された上で、その右回り方向へと所定角度(45°)間隔で、3点(点B(45°)、点C(90°)、点D(135°))が選択される。なお、左回りの場合には、それらの選択される3点は、点B(315°)、点C(270°)、点D(225°)とされる。これらの選択される3点には、ピーク値が存在しないことは勿論のこと、先に検出されたオリフラやノッチの回転角度にあるデータも除かれているため、何れの点の距離データもオリフラやノッチといった位置決め用カット部の影響を受けていない。
【0040】
再び図4に戻って、続くステップ306においては、外周中心位置の値の算出処理が実行される。この外周中心位置の値の算出処理においては、ピーク角度におけるデータの値と45°におけるデータの値との大小比較が行われ、ピーク角度におけるデータの値の方が、45°におけるデータの値よりも大きい場合には、
外周中心位置の値=(135°データ−90°データ)+45°データ
=(d−c)+b
として、外周中心位置の値が求められ、逆にピーク角度におけるデータの値の方が45°におけるデータの値よりも小さい場合には、
外周中心位置の値=(90°データ−135°データ)−45°データ
=(c−d)−b
として、外周中心位置の値が求められる。
【0041】
続くステップ307では、先の処理で求められたピーク角度の値と外周中心位置の値とに基づいて、
X軸の移動量=ピーク角度の値−外周中心位置の値
として、X軸の移動量の値が求められる。
【0042】
なお、ステップ303において、外周偏差の値が、センサ入力値以上と判定された場合には、何らかのセンサ異常またはセンサ取付状態の異常などと判定して、所定のエラー処理へと移行する。
【0043】
再び図3に戻って、ステップ40においては、こうして求められた移動方向(X軸方向)及び移動量(X軸の移動量)に基づいて、乗換台ドライバ(Z軸)31を介してウエハ6を回転台1から持ち上げた状態において、中心軸ステージドライバ22を介して回転台6の中心軸をX軸方向へと移動させた後、乗換台ドライバ31を介してウエハ6を回転台1に下ろさせることによって、ウエハ中心とウエハ回転中心とが一致するように試みるのである。本来この状態において、ウエハ中心と回転台中心(回転中心)とは一致するはずであるが、予期せぬ何らかの異常があればなおも両者間には幾分のズレが残されることも想定される。
【0044】
ステップ50においては、再度、ステップ20と同様なウエハ外周サーチ処理を実行することによって、再度一連の距離データを取得し、これをコンピュータのメモリ内に格納する。すなわち、回転台1の上に加工処理の対象となるウエハ6が載置された状態において、回転台1を回転台ドライバ21を介して回転させながら、所定の方位(X軸方向)におけるウエハ外周までの距離をセンサ4を介して、ウエハ6の全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得するのである。
【0045】
続くステップ60においては、先に説明した外周偏差の値が誤差精度の範囲内であるかどうかの判定を行う。回転角度と外周データとの関係を示すグラフ(ウエハの中心が中心軸からズレた時のデータ)が図11に、回転角度と外周データとの関係を示すグラフ(ウエハの中心が中心軸と一致した時のデータ)が図12にそれぞれ示されている。
【0046】
それらのグラフから明らかなように、ウエハの中心が中心軸からズレている時には、外周データの値は大きな振幅を有する正弦波状となる。これに対して、ウエハの中心が中心軸と一致した時には、外周データの値は直線状となる。
【0047】
図3に戻って、誤差精度の範囲から外れていると判定されれば(ステップ60NO)、先に説明した一連の処理(ステップ30,40,50)を順次に実行しては、誤差精度の判定が繰り返される(ステップ60)。
【0048】
ここで、誤差精度の範囲に収まれば(ステップ60YES)、公知の手法によって、オリフラ・ノッチの詳細サーチ処理(ステップ70)、オリフラ・ノッチの位置決め処理(ステップ80)、オリフラ・ノッチの基準位置への移動処理(ステップ90)が順次に行われる。
【0049】
これにより、ウエハ中心を回転中心に一致させた状態において、さらに、オリフラまたはノッチの角度をX軸方向の角度に一致させることによって、ウエハの位置決め処理が完了する。
【0050】
こうして位置決め処理が完了した状態においては、加工装置側において決められた位置データとその位置データによって制御されるウエハ上の位置乃至角度は正確に一致するから、これに基づき所望の位置や角度に対して、所望の加工処理(例えば、レーザマーカによるロット番号のマーキング処理など)を正確に行うことができるわけである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係るウエハのアライメント方法及び装置によれば、2つのピーク値に基づいて中心位置を求めるのではなくて、何れかのピーク値に基づき決定されたオリフラやノッチに影響を受けない3つの点のデータに基づいて中心位置を求めるため、回転中心とウエハ中心との誤差を正確に求め、これに基づき必要な移動量をもって、ウエハ中心を回転中心に正確かつ短時間で整合させることができるから、本方法及び装置を適用したウエハ位置決め装置によれば、ウエハ上へのロット番号のレーザマーキングなどを正確かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ウエハ位置決め装置の構造を模式的に示す説明図である。
【図2】ウエハ位置決め装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】ウエハ位置決め装置のソフトウェア構成を示すフローチャートである。
【図4】中心位置のX軸移動量算出処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】距離データ(ZA)とウエハ偏心状態との関係を示す説明図である。
【図6】距離データ(ZB)とウエハ偏心状態との関係を示す説明図である。
【図7】距離データ(ZC)とウエハ偏心状態との関係を示す説明図である。
【図8】距離データ(ZD)とウエハ偏心状態との関係を示す説明図である。
【図9】距離データ(ZE)とウエハ偏心状態との関係を示す説明図である。
【図10】点Aで最小距離データ(ZA)が得られたときにおける各測定点(B〜E)と偏心量との関係を示す説明図である。
【図11】回転角度と外周データとの関係を示すグラフ(ウエハの中心が中心軸からズレたときのデータ)である。
【図12】回転角度と外周データとの関係を示すグラフ(ウエハの中心が中心軸と一致したときのデータ)である。
【符号の説明】
【0053】
1 回転台
2 中心軸ステージ
3 ウエハ乗換台
4 センサ
5 コントローラ
6 ウエハ
21 回転台ドライバ(θ軸)
22 軸ステージドライバ(X軸)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その外周にオリフラやノッチ等の位置決め用カット部を有するウエハに対して所定の加工処理を施すために、前記ウエハの中心を回転台の回転中心に整合させるためのウエハのアライメント方法であって、
前記回転台の上に前記加工処理の対象となるウエハが載置された状態において、前記回転台を回転させながら、所定の絶対回転角度におけるウエハ外周の半径方向突出量又は半径方向後退量を、ウエハの全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得する第1のステップと、
前記取得された一連の計測値データに基づいて、位置決め用カット部の存在する回転角度、及び一連の計測値データの中で半径方向外方又は半径方向内方のピーク値の存在する回転角度を探査する第2のステップと、
前記探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択する第3のステップと、
前記3点の計測値データの値とウエハ中心との幾何学的関係に基づいて、前記ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正するに必要な移動方向及び移動量を求める第4のステップと、
前記移動方向及び移動量に基づいて、前記回転台に対して前記ウエハを移動させる第5のステップとを包含する、ことを特徴とするウエハのアライメント方法。
【請求項2】
加工対象となるウエハを略水平姿勢で載置するための回転台と、
前記回転台を回転させるための回転台ドライバと、
前記回転台の中心軸を水平面内において、特定の方位へと、直線的に移動させるための軸ステージドライバと、
前記回転台に載せられたウエハを保持して昇降するウエハ乗換台と、
前記ウエハ乗換台を作動させるための乗換台ドライバと、
前記回転台の前記特定方位における周辺に位置して、前記回転台に載せられたウエハの外周までの距離を計測可能なセンサと、
前記回転台の上に加工処理の対象となるウエハが載置された状態において、前記回転台を前記回転台ドライバを介して回転させながら、前記所定の方位におけるウエハ外周までの距離を前記センサを介して、ウエハの全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得する第1の制御手段と、
前記取得された一連の計測値データに基づいて、位置決め用カット部の存在する回転角度、及び一連の計測値データの中で半径方向外方又は半径方向内方のピーク値の存在する回転角度を探査する第2の制御手段と、
前記探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択する第3の制御手段と、
前記3点の計測値データの値とウエハ中心との幾何学的関係に基づいて、前記ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正するに必要な移動方向及び移動量を求める第4の制御手段と、
前記移動方向及び移動量に基づいて、前記乗換台ドライバを介して前記ウエハを回転台から持ち上げた状態において、前記中心軸ステージドライバを介して前記回転台の中心軸を移動させたのち、前記乗換台ドライバを介して前記ウエハを回転台上に下ろさせる第5の制御手段とを包含する、ことを特徴とするウエハのアライメント装置。
【請求項1】
その外周にオリフラやノッチ等の位置決め用カット部を有するウエハに対して所定の加工処理を施すために、前記ウエハの中心を回転台の回転中心に整合させるためのウエハのアライメント方法であって、
前記回転台の上に前記加工処理の対象となるウエハが載置された状態において、前記回転台を回転させながら、所定の絶対回転角度におけるウエハ外周の半径方向突出量又は半径方向後退量を、ウエハの全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得する第1のステップと、
前記取得された一連の計測値データに基づいて、位置決め用カット部の存在する回転角度、及び一連の計測値データの中で半径方向外方又は半径方向内方のピーク値の存在する回転角度を探査する第2のステップと、
前記探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択する第3のステップと、
前記3点の計測値データの値とウエハ中心との幾何学的関係に基づいて、前記ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正するに必要な移動方向及び移動量を求める第4のステップと、
前記移動方向及び移動量に基づいて、前記回転台に対して前記ウエハを移動させる第5のステップとを包含する、ことを特徴とするウエハのアライメント方法。
【請求項2】
加工対象となるウエハを略水平姿勢で載置するための回転台と、
前記回転台を回転させるための回転台ドライバと、
前記回転台の中心軸を水平面内において、特定の方位へと、直線的に移動させるための軸ステージドライバと、
前記回転台に載せられたウエハを保持して昇降するウエハ乗換台と、
前記ウエハ乗換台を作動させるための乗換台ドライバと、
前記回転台の前記特定方位における周辺に位置して、前記回転台に載せられたウエハの外周までの距離を計測可能なセンサと、
前記回転台の上に加工処理の対象となるウエハが載置された状態において、前記回転台を前記回転台ドライバを介して回転させながら、前記所定の方位におけるウエハ外周までの距離を前記センサを介して、ウエハの全周に亘って所定角度間隔で計測し、一連の計測値データを取得する第1の制御手段と、
前記取得された一連の計測値データに基づいて、位置決め用カット部の存在する回転角度、及び一連の計測値データの中で半径方向外方又は半径方向内方のピーク値の存在する回転角度を探査する第2の制御手段と、
前記探査されたピーク値の存在する回転角度を基準とし、かつ位置決め用カット部の存在する回転角度を回避するように右回り又は左回りを決定した上で、決定された回り方向へと所定角度間隔で3点の計測値データを選択する第3の制御手段と、
前記3点の計測値データの値とウエハ中心との幾何学的関係に基づいて、前記ウエハの中心と回転台の回転中心との誤差を修正するに必要な移動方向及び移動量を求める第4の制御手段と、
前記移動方向及び移動量に基づいて、前記乗換台ドライバを介して前記ウエハを回転台から持ち上げた状態において、前記中心軸ステージドライバを介して前記回転台の中心軸を移動させたのち、前記乗換台ドライバを介して前記ウエハを回転台上に下ろさせる第5の制御手段とを包含する、ことを特徴とするウエハのアライメント装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−67905(P2010−67905A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234930(P2008−234930)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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