説明

ウエハの接合方法

【課題】接合後のウエハの主面が平行となり生産性を向上させるウエハの接合方法を提供する。
【解決手段】一方のウエハの一方の主面に接着剤を塗布し、一方のウエハと他方のウエハとが対向するように接着剤をウエハの主面間で挟んだ状態でウエハを重ね合わせてワークを形成し、第一のプレス板と第二のプレス板と第二のプレス板から第一のプレス板に向かう方向に所定の圧力を加えることができる加圧手段とを備えたプレス装置の、第二のプレス板側を向く第一のプレス板の面に一方のウエハの他方の主面が接触するようにワークを配置するワーク配置工程と、加圧手段により第一のプレス板と第二のプレス板とでワークに加圧するワーク加圧工程と、プレス装置の第一のプレス板からワークを取り出した後、ウエハ間に存在する接着剤を硬化させる接着剤硬化工程と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハの主面間に存在する接着剤を硬化させてウエハの主面同士を接合するウエハの接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハの接合方法には、例えば、陽極接合による接合を用いる場合、直接接合による接合を用いる場合、接着剤による接合を用いる場合がある。
特に、接着剤を用いたウエハの接合方法では、陽極接合を用いて接合する場合のようにウエハの主面間に金属膜を設けることなく接合することができ、直接接合を用いて接合する場合のように手間と時間を要することなく容易に接合することができるので、光学変換素子の製造方法に多く用いられる。
【0003】
このような光学変換素子は、入射された光を変換し出射させる特性を有しており、例えば、二つのウエハの主面同士が接着剤により接合されて構成されている。
【0004】
二つのウエハのうち、一方のウエハは、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有している水晶部材が用いられ、両主面が四角形状となっている。
また、一方のウエハは、主面がX軸及びY軸に平行でかつ厚み方向がZ軸に平行となっている旋光板となっている。
【0005】
他方のウエハは、互いに直行するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有している水晶部材が用いられ、両主面が四角形状となっており、他方のウエハの主面の大きさが一方のウエハの主面の大きさと同じとなっている。
また、他方のウエハは、主面がX軸及びY軸に平行でかつ厚み方向がZ軸に平行となっている旋光板となっている。
【0006】
接着剤は、例えば、紫外線が照射されると硬化する特性を有している。
また、接着剤は、一方のウエハの一方の主面と他方のウエハの一方の主面との間に設けられた状態で紫外線が照射された場合、接着剤が硬化し、一方のウエハの一方の主面と他方のウエハの一方の主面とを接合する役割を果たす。
【0007】
従って、このような光学部品素子は、二つのウエハの主面間に存在する接着剤が硬化することで二つのウエハの主面同士が接合されており、一方のウエハの他方の主面から入射された光が二つのウエハ内部を通過し他方のウエハの他方の主面から変換されて出射される特性を有している(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
ウエハを接着剤によって接合するウエハの接合方法は、例えば、接着剤塗布工程、ワーク形成工程、接着剤硬化工程、を備えている。
【0009】
(接着剤塗布工程)
接着剤塗布工程は、例えば、一方のウエハの一方の主面に接着剤を塗布する工程である。このとき、接着剤は、一方のウエハの一方の主面の全面に塗布される。
接着剤は、例えば、紫外線が照射されると硬化する特性を有する。
【0010】
(ワーク形成工程)
ワーク形成工程は、例えば、一方のウエハの一方の主面と他方のウエハの一方の主面とを対向させつつ、一方のウエハの一方の主面と他方のウエハの一方の主面とに塗布された接着剤を挟んだ状態で、ウエハを重ね合わせてワークを形成する工程である。
【0011】
(接着剤硬化工程)
接着剤硬化工程は、例えば、二つのウエハ間に存在する接着剤を硬化させて、一方のウエハの一方の主面と他方のウエハの一方の主面とを接合する工程である。
接着剤硬化工程では、例えば、紫外線照射装置からワークに紫外線を照射し、二つのウエハ間に存在する接着剤に紫外線が照射されて接着剤が硬化することで、二つのウエハが接合される。
【0012】
従って、前述したようなウエハの接合方法では、塗布された接着剤をウエハの主面間で挟みつつウエハを重ねてワークを形成し、そのままウエハの主面間に存在する接着剤を硬化させウエハを接合させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
特開2007−114520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来のウエハの接合方法によれば、塗布された接着剤をウエハの主面間で挟みつつウエハを重ねてワークを形成し、そのままウエハの主面間に存在する接着剤を硬化させウエハを接合させているので、接着剤の塗布ムラがある場合、二つのウエハの主面が平行となっていない状態でウエハが接合される恐れがある。
このため、従来のウエハの接合方法によれば、接合後の二つのウエハの主面が平行とならないので、一方のウエハの他方の主面を基準として他方のウエハの他方の主面までの距離の最大値と最小値との差を接合後のウエハの面精度とすると、接合後のウエハの面精度の値が大きくなる恐れがある。
従って、従来のウエハの接合方法によれば、接合後のウエハの面精度が大きくなるので、接合されたウエハを光学部品素子に用いた場合、所定の向きで光を入射させつつ所定の向きで光を出射させることが困難となり、生産性が低下する恐れがある。
【0015】
本発明では、接合後のウエハの主面が平行となり生産性を向上させるウエハの接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するため、ウエハの主面同士の間に設けられた接着剤を硬化させることでウエハの主面同士を接合するウエハの接合方法であって、一方の前記ウエハの一方の主面又は互いに対向する前記ウエハの主面にに前記接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、前記一方のウエハの一方の主面と前記他方のウエハの一方の主面とが対向するように、塗布された前記接着剤を前記ウエハの主面間で挟んだ状態で前記ウエハを重ね合わせてワークを形成するワーク形成工程と、前記ウエハの主面より主面の大きさが大きい第一のプレス板と、前記ウエハの主面より主面の大きさが大きく、かつ、前記第一のプレス板の主面と主面が対向する位置に設けられている第二のプレス板と、前記第二のプレス板から前記第一のプレス板に向かう方向に所定の圧力を加えることができる加圧手段と、を少なくとも備えたプレス装置の、前記第二のプレス板側を向く前記第一のプレス板の面に前記一方のウエハの他方の主面が接触するように前記ワークを配置するワーク配置工程と、前記プレス装置の前記加圧手段により前記第一のプレス板と前記第二のプレス板とで前記ワークに加圧するワーク加圧工程と、前記プレス装置の前記第一のプレス板から前記ワークを取り出した後、前記ウエハ間に存在する前記接着剤を硬化させる接着剤硬化工程と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このようなウエハの接合方法によれば、塗布された接着剤をウエハの主面間で挟みつつウエハを重ねてワークを形成し、ウエハの主面より主面の大きさが大きい第一のプレス板及び第二のプレス板でワークを挟み加圧した後で、ウエハの主面間に存在する接着剤を硬化させウエハを接合させているので、接着剤の塗布ムラがあっても、二つのウエハの主面が平行となっている状態でウエハを接合させることができる。
このため、このようなウエハの接合方法によれば、接合後の二つのウエハの主面が平行となり、従来のウエハの接合方法より接合後のウエハの面精度を小さくすることができる。
従って、このようなウエハの接合方法によれば、接合後のウエハの面精度を小さくすることができるので、接合されたウエハを光学部品素子に用いた場合、従来のウエハの接合方法と比較して所定の向きで光を入射させつつ所定の向きで光を出射させることが容易にでき、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るウエハの接合方法の接着剤塗布工程の状態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るウエハの接合方法のワーク形成工程の状態の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るウエハの接合方法で用いるプレス装置の概念の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るウエハの接合方法のワーク配置工程の状態の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るウエハの接合方法のワーク加圧工程の状態の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るウエハの接合方法の接着剤硬化工程の状態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、各図面において各構成要素の状態を分かりやすくするために誇張して図示している。
【0020】
本発明の実施形態に係るウエハの接合方法では、例えば、両主面が四角形状となっている二つのウエハの主面同士を接着剤により接合している。
また、本発明の実施形態に係るウエハの接合方法は、接着剤塗付工程、ワーク形成工程、ワーク配置工程、ワーク加圧工程、接着剤硬化工程、を少なくとも備えている。
【0021】
(接着剤塗布工程)
接着剤塗布工程は、図1に示すように、一方のウエハW1の主面に接着剤Jを塗布する工程である。
【0022】
一方のウエハW1は、例えば、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有している水晶部材が用いられ、両主面が四角形状となっている。
また、一方のウエハW1は、例えば、主面がX軸及びY軸に平行でかつ厚み方向がZ軸に平行となっている旋光板である。
【0023】
接着剤Jは、例えば、紫外線硬化樹脂が用いられ、紫外線が照射されると硬化する特性を有している。
また、硬化した接着剤Jは、入射された光をそのまま出射する特性を有している。
【0024】
接着剤塗布工程では、図1に示すように、一方のウエハW1の一方の主面の全面に接着剤Jが塗布される。
【0025】
(ワーク形成工程)
ワーク形成工程は、図2に示すように、前記一方のウエハW1の一方の主面と前記他方のウエハW2の一方の主面とが対向するように、塗布された前記接着剤Jを前記ウエハW1,W2の主面間で挟んだ状態で前記ウエハW1,W2を重ね合わせてワークWを形成する工程である。
【0026】
一方のウエハW1は、図2に示すように、接着剤塗布工程において一方の主面に接着剤Jが塗布されている。
【0027】
他方のウエハW2は、例えば、互いに直交するX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有している水晶部材が用いられ、両主面が四角形状となっており、他方のウエハW2の主面の大きさが一方のウエハW1の主面と同じ大きさとなっている。
また、他方のウエハW2は、例えば、主面がX軸及びY軸に平行でかつ厚み方向がZ軸に平行となっている旋光板である。
【0028】
従って、ワーク形成工程で形成されるワークWは、一方のウエハW1の一方の主面と他方のウエハW2の一方の主面とで接着剤Jを挟んだ状態となっている。このとき、一方のウエハW1の一方の主面は、他方のウエハW2の一方の主面と対向している。
【0029】
(ワーク配置工程)
ワーク配置工程は、図4に示すように、前記ウエハW1,W2の主面より主面の大きさが大きい第一のプレス板110と、前記ウエハW1,W2の主面より主面の大きさが大きく、かつ、前記第一のプレス板110の主面と主面が対向する位置に設けられている第二のプレス板120と、前記第二のプレス板120から前記第一のプレス板110に向かう方向に所定の圧力を加えることができる加圧手段130と、を少なくとも備えたプレス装置100の、前記第二のプレス板110側を向く前記第一のプレス板110の面に前記一方のウエハW1の他方の主面が接触するように前記ワークWを配置する工程である。
【0030】
プレス装置100は、図3に示すように、第一のプレス板110と第二のプレス板120と加圧手段130とを少なくとも備えている。
【0031】
第一のプレス板110は、一方の主面の大きさが接合されるウエハW1,W2の主面の大きさより大きくなっている。
【0032】
また、第一のプレス板110は、一方の主面の平面度が10μm以下となっている。
平面度が10μmより大きい場合、後述するワーク加圧工程で第一のプレス板110と第二のプレス板120とで挟まれているワークWが破損してしまう恐れがある。
このため、第一のプレス板110は、一方の主面の平面度が10μm以下となっている。
【0033】
第二のプレス板120は、一方の主面の大きさが接合されるウエハW1,W2の主面の大きさより大きくなっている。
また、第二のプレス板120は、一方の主面が第一のプレス板110の一方の主面と向かい合う位置に設けられており、一方の主面が第一のプレス板110の一方の主面と平行となっている。
【0034】
また、第二のプレス板120は、第一のプレス板110を向く面、つまり、一方の主面の平面度が10μm以下となっている。
平面度が10μmより大きい場合、後述するワーク加圧工程で第一のプレス板110と第二のプレス板120とで挟まれているワークWが破損してしまう恐れがある。
このため、第二のプレス板120は、一方の主面の平面度が10μm以下となっている。
【0035】
また、第二のプレス板120は、後述する加圧手段130によって、第二のプレス板120から第一のプレス板110に向かう向きに移動することができる機構を有している。
【0036】
加圧手段130は、例えば、第二のプレス板120に接続されており、第二のプレス板120から第一のプレス板110に向かう方向と平行な向きで第二のプレス板120を移動させる機能を有している。
従って、加圧手段130は、第二のプレス板120を第二のプレス板120から第一のプレス板110に向かう向きに移動させることで第二のプレス板120から第一のプレス板110に向かう向きの圧力を加えることができる。
【0037】
従って、プレス装置100は、図3に示すように、第一のプレス板110の一方の主面と第二のプレス板120の一方の主面とが対向するように配置されており、加圧手段130によって第二のプレス板120が第二のプレス板120から第一のプレス板110に向かう方向に平行な方向に移動する機構を有している。
また、プレス装置100は、加圧手段130により第二のプレス板120を第一のプレス板110に向かう方向へ移動させることで第二のプレス板120から第一のプレス板110に向かう向きの圧力を加えることができる機構となっている。
【0038】
従って、ワーク配置工程では、図4に示すように、前述したプレス装置100の第一のプレス板110にワークWが配置される。
このとき、一方のウエハW1の他方の主面が第二のプレス板120側を向く第一のプレス板110の主面、つまり、第一のプレス板110の一方の主面に接触しつつ、他方のウエハW1の他方の主面が第一のプレス板110側を向く第二のプレス0他120の主面、つまり、第二のプレス板120の一方の主面と向かい合う状態となっている。
【0039】
(ワーク加圧工程)
ワーク加圧工程は、図5に示すように、前記プレス装置100の前記加圧手段130により前記第一のプレス板110と前記第二のプレス板120とで前記ワークWに加圧する工程である。
【0040】
ワーク加圧工程では、加圧手段130により第二のプレス板120が第二のプレス板120から第一のプレス板110に向かう向きに移動され第二のプレス板120から第一のプレス板110に向かう向きに圧力が加えられる。
このとき、第二のプレス板120から第一のプレス板110に向かう向きには、均等に圧力が加えられている。
【0041】
また、ワーク加圧工程では、ワークWの接着剤JがウエハW1,W2を押す力より強い圧力が加えられる。また、このとき圧力は、ウエハW1,W2又は第一のプレス板110又は第二のプレス板120のいずれかが破損する圧力より弱い圧力となっている。
ここでは、圧力は、例えば、第二のプレス板120から第一のプレス板110に向かう向きに0.1MPaの圧力が加えられる。
加えられる圧力がワークWの接着剤JがウエハW1,W2を押す力より弱い場合、ウエハW1,W2間に存在しつつ硬化する前の接着剤JがウエハW1,W2を押す力が強くなってしまい、塗布ムラが生じたままとなってしまう恐れがある。
このため、ワーク加圧工程では、ワークWの接着剤JがウエハW1,W2を押す力より強い圧力であって、ウエハW1,W2又は第一のプレス板110又は第二のプレス板120のいずれかが破損する圧力より弱い圧力が加えられる。
【0042】
従って、ワーク加圧工程では、第一のプレス板110の一方の主面と第二のプレス板120の一方の主面とが対向しつつ平行となっているので、加圧手段130によって第一のプレス板110と第二のプレス板120とでワークWを挟み加圧すると、接着剤Jの塗布ムラがあっても一方のウエハW1の他方の主面と他方のウエハW2の他方の主面とが平行にすることができる。
【0043】
このため、ワーク加圧工程では、ワークWの他方のウエハW2に着目した場合、他方のウエハW2の面精度をワーク加圧工程前と比較して小さくすることができる。
ここで、他方のウエハW2の面精度とは、一方のウエハW1の他方の主面を基準としたときの他方のウエハW2の他方の主面までの距離の最大値と最小値の差を示したものである。
【0044】
(接着剤硬化工程)
接着剤硬化工程は、図6に示すように、前記プレス装置100の前記第一のプレス板110から前記ワークWを取り出した後、前記ウエハW1,W2に存在する前記接着剤Jを硬化させる工程である。
【0045】
接着剤硬化工程では、まず、加圧手段130により第二のプレス板120が第一のプレス板110から第二のプレス板120に向かう向きに移動させられワークWが取り出される。このとき、ワークWは、接着剤Jの表面張力により剥がれない状態となっている。
その後、接着剤硬化工程では、例えば、図6に示すように、紫外線照射装置140から紫外線を放射し、ワークWの接着剤Jに紫外線を照射し接着剤Jを硬化させて、一方のウエハW1と他方のウエハW2とを接合する。
【0046】
従って、接着剤硬化工程では、他方のウエハW2の面精度をワーク加圧工程前と比較して小さく、一方のウエハW1の他方の主面と他方のウエハW2の他方の主面とが平行となった状態で、接着剤Jが硬化され、一方のウエハW1と他方のウエハW2とが接合される。
【0047】
このような本発明の実施形態に係るウエハの接合方法によれば、塗布された接着剤JをウエハW1,W2の主面間で挟みつつウエハW1,W2を重ねてワークWを形成し、ウエハW1,W2の主面より主面の大きさが大きい第一のプレス110板及び第二のプレス板120でワークWを挟み加圧した後で、ウエハWの主面間に存在する接着剤Jを硬化させ
ウエハW1,W2を接合させているので、接着剤Jの塗布ムラがあっても、二つのウエハW1,W2の主面が平行となっている状態でウエハW1,W2を接合させることができる。
このため、このような本発明の実施形態に係るウエハの接合方法によれば、接合後の二つのウエハW1,W2の主面が平行となり、従来のウエハの接合方法より接合後のウエハの面精度を小さくすることができる。
従って、このような本発明の実施形態に係るウエハの接合方法によれば、接合後のウエハW1,W2の面精度を小さくさせることができるので、接合されたウエハW1,W2を光学部品素子に用いた場合、従来のウエハの接合方法と比較して所定の向きで光を入射させつつ所定の向きで光を出射させることが容易にでき、生産性を向上させることができる。
【0048】
なお、接着剤塗布工程において一方のウエハの一方の主面の全面に接着剤を塗布する場合について説明しているが、ワーク加圧工程で二つのウエハの主面間の全面に接着剤を存在させることができれば、例えば、一方のウエハの一方の主面の一部にのみ接着剤を塗布してもよい。
【0049】
また、プレス装置において加圧手段が第二のプレス板に接続され第二のプレス板を移動させる機能を有している場合について説明しているが、例えば、加圧手段が第一のプレス板に接続されていてもよい。このとき、プレス装置は、加圧手段によって第一のプレス板から第二のプレス板に向かう向きに平行に第一のプレス板が移動する機構を有しており、第二のプレス板から第一のプレス板に向かう向きに圧力を加えることができる機構となっている。
【0050】
また、接着剤が紫外線硬化樹脂を用いた場合について説明しているが、硬化した接着剤が入射された光をそのまま透過させ出射させることができれば、例えば、熱硬化樹脂を用いてもよい。このとき、接着剤硬化工程では、ワークWに熱を加えて接着剤を硬化させる。
【0051】
また、ウエハが水晶部材からなる旋光板を接合する場合について説明しているが、ウエハの主面同士を接着剤で接合していれば、例えば、波長板を接合してもよい。
【0052】
また、ウエハに水晶部材が用いられる場合について説明しているが、ウエハの主面同士を接着剤で接合していれば、例えば、ガラス部材であってもよい。
【0053】
また、接合されるウエハが両方とも水晶部材からなる場合について説明しているが、例えば、一方のウエハがガラス部材であってもよい。
【0054】
また、2枚のウエハを接合する場合について説明しているが、例えば、接合されているウエハを一つのウエハとみなして、接合されているウエハ同士をさらに接合してもよい。
【0055】
また、一方のウエハの一方の主面に接着剤が塗布される場合について説明しているが、例えば、両ウエハの対向する主面に接着剤を塗布してもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 プレス装置
110 第一のプレス板
120 第二のプレス板
130 加圧手段
140 紫外線照射装置
W ワーク
W1,W2 ウエハ
J 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハの主面同士の間に設けられた接着剤を硬化させることでウエハの主面同士を接合するウエハの接合方法であって、
一方の前記ウエハの一方の主面又は互いに対向する前記ウエハの主面に前記接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記一方のウエハの一方の主面と前記他方のウエハの一方の主面とが対向するように、塗布された前記接着剤を前記ウエハの主面間で挟んだ状態で前記ウエハを重ね合わせてワークを形成するワーク形成工程と、
前記ウエハの主面より主面の大きさが大きい第一のプレス板と、前記ウエハの主面より主面の大きさが大きく、かつ、前記第一のプレス板の主面と主面が対向する位置に設けられている第二のプレス板と、前記第二のプレス板から前記第一のプレス板に向かう方向に所定の圧力を加えることができる加圧手段と、を少なくとも備えたプレス装置の、前記第二のプレス板側を向く前記第一のプレス板の面に前記一方のウエハの他方の主面が接触するように前記ワークを配置するワーク配置工程と、
前記プレス装置の前記加圧手段により前記第一のプレス板と前記第二のプレス板とで前記ワークに加圧するワーク加圧工程と、
前記プレス装置の前記第一のプレス板から前記ワークを取り出した後、前記ウエハ間に存在する前記接着剤を硬化させる接着剤硬化工程と、
を備えていることを特徴とするウエハの接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−48141(P2013−48141A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185684(P2011−185684)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000104722)京セラクリスタルデバイス株式会社 (870)
【Fターム(参考)】