説明

ウエーハの加工方法

【課題】ウエーハを構成する基板に埋設された全ての電極を研削して露出させることなく、電極の手前の位置で裏面研削を終了することができるウエーハの加工方法を提供する。
【解決手段】基板表面のボンディングパッドと接続する電極が基板に埋設されているウエーハ2を所定の厚みに形成するウエーハの加工方法であって、表面に液状樹脂を被覆したサブストレート3と基板21の表面を液状樹脂液を介して接合する工程と、高さ位置計測手段8によりサブストレートが接合された基板の裏面におけるサブストレートからの高さ位置を計測する工程と、基板に接合されたサブストレート側を研削装置のチャックテーブルに保持する工程と、研削ホイールにより基板の裏面を研削する工程とを含み、裏面研削の前に、サブストレートからの高さ位置計測結果から求めた基板裏面の勾配に対応してチャックテーブルの保持面と研削ホイールの研削面との対面状態の調整を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に形成された複数のデバイスにそれぞれ設けられたボンディングパッドに接続する電極が埋設されたウエーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状であるシリコン(Si)基板の表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等の半導体デバイスを形成する。このようにシリコン(Si)基板の表面に複数の半導体デバイスが形成されたウエーハをストリートに沿って切断することにより半導体デバイスが形成された領域を分割して個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
デバイスの小型化、高機能化を図るため、複数のデバイスを積層し、積層されたデバイスに設けられたボンディングパッドを接続するモジュール構造が実用化されている。このモジュール構造はシリコン(Si)基板におけるボンディングパッドが設けられた箇所に孔(ビアホール)を形成し、この孔(ビアホール)にボンディングパッドと接続する銅やアルミニウム等の電極を二酸化珪素(SiO2)からなる絶縁材によって被覆して埋め込む構成である。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
上述したようにシリコン(Si)基板に埋設された銅(Cu)電極をシリコン(Si)基板の裏面に露出させるためには、シリコン(Si)基板の裏面を研削して裏面に銅(Cu)電極を露出させ、その後、シリコン(Si)に対してはエッチングレートが高く銅(Cu)に対してはエッチングレートが低い水酸化カリウム(KOH)をエッチング液としてシリコン(Si)基板の裏面をエッチングすることにより、シリコン(Si)基板を所定の厚みに形成するとともに裏面から銅(Cu)電極を10μm程度突出させる。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−249620号公報
【特許文献2】特開2003−188134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように基板の裏面を研削して裏面に電極を露出させると、電極が研削される際に金属原子が基板の内部に侵入してデバイスの品質を低下させるという問題がある。従って、基板の裏面を研削する際には、電極に至る手前の位置、例えば電極の裏面側先端から3μm程度手前の位置で研削を終了して、電極を基板の裏面に露出させないようにすることが重要である。
なお、基板の裏面を研削する際には、基板の表面に形成されたデバイスを保護するために、基板の表面にガラス板等からなるサブストレートを液状樹脂を介して接合し、この保護部材側を研削装置のチャックテーブルに保持して上面である基板の裏面を研削する。
しかるに、基板の表面にサブストレートを接合するための液状樹脂を均一な厚みで塗布することが困難であることから、サブストレートに表面が接合された基板の裏面は液状樹脂の厚みに沿ってうねりが生ずる。このため、基板に埋設された電極の裏面側先端の高さ位置が不揃いとなり、基板の裏面を研削する際に研削してしまう電極が生ずる。この結果、金属原子が基板の内部に侵入してデバイスの品質を低下させるという問題が発生する。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、ウエーハを構成する基板に埋設された全ての電極を研削して露出させることなく、電極の基板の裏面側先端から僅かに手前の位置で研削を終了することができるウエーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、基板の表面に形成された複数のデバイスにそれぞれ設けられたボンディングパッドと接続した電極が該基板に埋設されているウエーハを所定の厚みに形成するウエーハの加工方法であって、
該基板の表面を保護するためのサブストレートの表面に液状樹脂を滴下し回転させることにより該サブストレートの表面に液状樹脂を被覆する液状樹脂被覆工程と、
該基板の表面を液状樹脂が被覆された該サブストレートの表面に液状樹脂を介して接合するサブストレート接合工程と、
該サブストレートの表面が液状樹脂を介して接合された該基板の裏面における該サブストレートからの高さ位置を計測する高さ位置計測工程と、
研削装置のチャックテーブルに該基板の表面に接合された該サブストレート側を載置し、該基板の裏面を露出させて該チャックテーブル上に保持するウエーハ保持工程と、
該チャックテーブルを回転し該チャックテーブルに保持された該ウエーハの該基板の裏面に研削ホイールを回転しつつ該研削ホイールの研削面を該ウエーハの該基板の裏面に接触させて該ウエーハの該基板の裏面を研削する裏面研削工程と、を含み、
該裏面研削工程を実施する前に、該高さ位置計測工程によって計測された該サブストレートの表面が液状樹脂を介して接合された該基板の裏面における該サブストレートからの高さ位置に基づいて該基板の裏面における外周側から中心側に至る勾配を求め、該勾配に対応して該チャックテーブルの保持面と該研削ホイールの研削面との対面状態を調整する対面状態調整工程を実施する、
ことを特徴とするウエーハの加工方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、基板の表面に形成された複数のデバイスにそれぞれ設けられたボンディングパッドと接続した電極が該基板に埋設されているウエーハを所定の厚みに形成するウエーハの加工方法であって、
該基板の表面を保護するためのサブストレートの表面に液状樹脂を滴下し回転させることにより該サブストレートの表面に液状樹脂を被覆する液状樹脂被覆工程と、
該基板の表面を液状樹脂が被覆された該サブストレートの表面に液状樹脂を介して接合するサブストレート接合工程と、
該サブストレートの表面が液状樹脂を介して接合された該基板に埋設された該電極における裏面側端面の該サブストレートからの高さ位置を計測する高さ位置計測工程と、
研削装置の該チャックテーブルに該基板の表面に接合された該サブストレート側を載置し、該基板の裏面を露出させて該チャックテーブル上に保持するウエーハ保持工程と、
該チャックテーブルを回転し該チャックテーブルに保持された該ウエーハの該基板の裏面に該研削ホイールを回転しつつ該研削ホイールの研削面を該ウエーハの該基板の裏面に接触させて該ウエーハの該基板の裏面を研削する裏面研削工程と、を含み、
該裏面研削工程を実施する前に、該高さ位置計測工程によって計測された該電極における裏面側端面の該サブストレートからの高さ位置に基づいて電極の裏面側端面における外周側から中心側に至る勾配を求め、該勾配に対応して該チャックテーブルの保持面と該研削ホイールの研削面との対面状態を調整する対面状態調整工程を実施する、
ことを特徴とするウエーハの加工方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、基板の表面に形成された複数のデバイスにそれぞれ設けられたボンディングパッドと接続した電極が基板に埋設されているウエーハを所定の厚みに形成するウエーハの加工方法であって、基板の表面を保護するためのサブストレートの表面に液状樹脂を滴下し回転させることにより該サブストレートの表面に液状樹脂を被覆する液状樹脂被覆工程と、基板の表面を液状樹脂が被覆されたサブストレートの表面に液状樹脂を介して接合するサブストレート接合工程と、サブストレートの表面が液状樹脂を介して接合された基板の裏面におけるサブストレートからの高さ位置を計測する高さ位置計測工程と、研削装置のチャックテーブルに基板の表面に接合されたサブストレート側を載置し、基板の裏面を露出させてチャックテーブル上に保持するウエーハ保持工程と、チャックテーブルを回転しチャックテーブルに保持されたウエーハの基板の裏面に研削ホイールを回転しつつ研削ホイールの研削面をウエーハの基板の裏面に接触させてウエーハの基板の裏面を研削する裏面研削工程とを含み、裏面研削工程を実施する前に、高さ位置計測工程によって計測されたサブストレートの表面が液状樹脂を介して接合された基板の裏面におけるサブストレートからの高さ位置に基づいて基板の裏面における外周側から中心側に至る勾配を求め、該勾配に対応してチャックテーブルの保持面と研削ホイールの研削面との対面状態を調整する対面状態調整工程を実施するので、ウエーハを構成する基板の裏面(被研削面)が均一に研削され、ウエーハは均一な厚みに研削される。従って、ウエーハを構成する基板に埋設された電極の基板の裏面側先端から例えば3μm程度手前の位置で研削を終了することにより、全ての電極が露出されることはない。
【0011】
また、本発明によれば、高さ位置計測工程においてサブストレートの表面が液状樹脂を介して接合された基板に埋設された電極における裏面側端面のサブストレートからの高さ位置を計測し、この高さ位置に基づいて電極の裏面側端面における外周側から中心側に至る勾配を求め、この勾配に対応してチャックテーブルの保持面と研削ホイールの研削面との対面状態を調整するので、基板に埋設された電極の高さのバラツキがあり、基板の裏面との距離にバラツキがあっても、裏面研削工程において電極が研削されて露出されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明によるウエーハの加工方法によって加工される半導体ウエーハの斜視図。
【図2】図1に示す半導体ウエーハの要部を拡大して示す断面図。
【図3】本発明によるウエーハの加工方法における液状樹脂被覆工程の説明図。
【図4】本発明によるウエーハの加工方法におけるサブストレート接合工程の説明図。
【図5】本発明によるウエーハの加工方法における高さ位置計測工程および裏面研削工程を実施するための研削装置の斜視図。
【図6】図5に示す研削装置に装備されるチャックテーブル機構の斜視図。
【図7】図5に示すチャックテーブル機構を構成するチャックテーブル支持機構の平面図。
【図8】図5に示すチャックテーブル機構を構成するチャックテーブルの断面図。
【図9】図5に示す研削装置に装備される制御手段のブロック構成図。
【図10】本発明によるウエーハの加工方法における高さ位置計測工程の説明図。
【図11】図10に示す高さ位置計測工程によって計測された半導体ウエーハを構成するシリコン(Si)基板の裏面の高さ位置を示す説明図。
【図12】サブストレートの表面が液状樹脂を介して接合された半導体ウエーハの基板をチャックテーブルの保持面に保持した状態を示す断面図。
【図13】図5に示す研削装置において実施する対面状態調整工程および裏面研削工程の説明図。
【図14】本発明によるウエーハの加工方法における高さ位置計測工程の他の実施形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明によるウエーハの加工方法および研削装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1には、本発明による電極が埋設されたウエーハの加工方法によって加工される半導体ウエーハの斜視図が示されている。図1に示す半導体ウエーハ2は、厚みが例えば600μmのシリコン(Si)基板21の表面21aに格子状に形成されたストリート211によって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイス212がそれぞれ形成されている。このように形成されたデバイス212の表面には、複数のボンディングパッド213が設けられている。このように形成された半導体ウエーハ2は、図2に示すようにシリコン(Si)基板21に上記ボンディングパッド213に接続する銅(Cu)電極214が埋設されている。なお、シリコン(Si)基板21に埋設される銅(Cu)電極214は、長さが例えば200μmに形成されており、絶縁膜としての二酸化珪素(SiO2)膜215が150nm程度の厚みで被覆されている。
【0015】
以下、上述した半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21の裏面を研削して銅(Cu)電極214を露出させることなく所定の厚みに形成するウエーハの加工方法について説明する。
先ず、シリコン(Si)基板21の表面を保護するためのサブストレートの表面に液状樹脂を滴下し回転させることによりサブストレートの表面に液状樹脂を被覆する液状樹脂被覆工程を実施する、この液状樹脂被覆工程は、図3の(a)および(b)に示す液状樹脂被覆装置30を用いて実施する。図3の(a)および(b)に示す保護膜被覆装置30は、ウエーハを保持するスピンナーテーブル31と、該スピンナーテーブル31の回転中心における上方に配置された液状樹脂供給ノズル32を具備している。このように構成された保護膜被覆装置30を用いて液状樹脂被覆工程を実施するには、図3の(a)に示すようにスピンナーテーブル31上に例えば厚みが1mm程度のガラス板からなるサブストレート3の裏面3b側を載置する。そして、図示しない吸引手段を作動し、スピンナーテーブル31上にサブストレート3を吸引保持する。従って、スピンナーテーブル31上に保持されたサブストレート3は、表面3aが上側となる。このようにして、スピンナーテーブル31上にサブストレート3を保持したならば、図3の(a)に示すようにスピンナーテーブル31を矢印で示す方向に所定の回転速度(例えば300〜1000rpm)で回転しつつ、スピンナーテーブル31の上方に配置された液状樹脂供給ノズル32からサブストレート3の表面3aの中央領域に所定量の液状樹脂320を所定量滴下する。そして、スピンナーテーブル31を60秒間程度回転することにより、図3の(b)に示すようにサブストレート3の表面3aに樹脂層321が形成される。サブストレート3の表面3aに被覆する樹脂層321の厚みは、上記液状樹脂320の滴下量によって決まるが、50μm程度でよい。なお、液状樹脂320としては、炭酸エチレン、エポキシ樹脂、レジスト樹脂等を用いることができる。このようにしてサブストレート3の表面3aに被覆された樹脂層321は、厚みが均一ではなく、上述したように中央領域に滴下された液状樹脂320を遠心力によって外周部まで流動するために、図3の(c)に誇張して示すように表面321aが凹状に窪み、厚みが中心から外周に向けて徐々に厚くなっている。なお、サブストレート3の表面3aに被覆された樹脂層321は、スピンナーテーブル31の回転速度が遅く回転時間が短い場合には図3の(d)に示すように表面321aが凸状となり、中央部が厚く外周に向かって薄くなる場合もある。
【0016】
上述した液状樹脂被覆工程を実施したならば、シリコン(Si)基板21の表面を液状樹脂が被覆されたサブストレート3の表面に液状樹脂を介して接合するサブストレート接合工程を実施する。即ち、図4の(a)および(b)に示すように樹脂層321が被覆されたサブストレート3の表面にシリコン(Si)基板21の表面を樹脂層321を介して接合する。このようにしてサブストレート3の表面に樹脂層321を介して接合された厚みの薄い(図示の実施形態においては600μm)シリコン(Si)基板21は、樹脂層321が上述したように中央部が厚く外周に向かって薄くなっているので、この樹脂層321に倣って接合される。従って、サブストレート3の表面に被覆された樹脂層321が上記図3の(c)に示すように表面321aが凹状に窪み、厚みが中心から外周に向けて徐々に厚くなっている場合には、図4の(c)に示すようにシリコン(Si)基板21の上面である裏面21bは、凹状に窪み中央部が低く外周に向けて高くなる。一方、サブストレート3の表面に被覆された樹脂層321が上記図3の(d)に示すように凸状となり中央部が厚く外周に向かって薄くなる場合には、図4の(d)に示すようにシリコン(Si)基板21の上面である裏面21bは、凸状となり中央部が高く外周に向けて低くなる。
【0017】
上述したようにサブストレート3の表面にシリコン(Si)基板21の表面を樹脂層321を介して接合したならば、シリコン(Si)基板21の裏面を研削して所定の厚みに形成する裏面研削工程を実施する。この裏面研削工程は、図5に示す研削装置4を用いて実施する。 図5に示す研削装置4は、全体を番号40で示す装置ハウジングを具備している。装置ハウジング40は、細長く延在する直方体形状の主部41と、該主部41の後端部(図5において右上端)に設けられ上方に延びる直立壁42とを有している。直立壁42の前面には、上下方向に延びる一対の案内レール421、421が設けられている。この一対の案内レール421、421に研削手段としての研削ユニット5が上下方向に移動可能に装着されている。
【0018】
研削ユニット5は、移動基台51と該移動基台51に装着されたスピンドルユニット52を具備している。移動基台51は、後面両側に上下方向に延びる一対の脚部511、511が設けられており、この一対の脚部511、511に上記一対の案内レール421、421と摺動可能に係合する被案内溝512、512が形成されている。このように直立壁42に設けられた一対の案内レール421、421に摺動可能に装着された移動基台51の前面には前方に突出した支持部513が設けられている。この支持部513にスピンドルユニット52が取り付けられる。
【0019】
スピンドルユニット52は、支持部513に装着されたスピンドルハウジング521と、該スピンドルハウジング521に回転自在に配設された回転スピンドル522と、該回転スピンドル522を回転駆動するための回転駆動手段としてのサーボモータ523とを具備している。回転スピンドル522の下端部はスピンドルハウジング521の下端を越えて下方に突出せしめられており、その下端にはマウンター524が設けられている。このマウンター524の下面に研削ホイール525が装着される。研削ホイール525は、環状の基台526と該基台526の下面に環状に装着された研削砥石527とからなっており、環状の基台526がマウンター524に締結ボルト528によって取付けられる。
【0020】
図5に示す研削装置4は、上記研削ユニット5を上記一対の案内レール421、421に沿って上下方向に移動せしめる研削送り手段6を備えている。この研削送り手段6は、直立壁42の前側に配設され上下方向に延びる雄ねじロッド61を具備している。この雄ねじロッド61は、その上端部および下端部が直立壁42に取り付けられた軸受部材62および63によって回転自在に支持されている。上側の軸受部材62には雄ねじロッド61を回転駆動するための駆動源としてのパルスモータ64が配設されており、このパルスモータ64の出力軸が雄ねじロッド61に伝動連結されている。移動基台61の後面にはその幅方向中央部から後方に突出する連結部(図示していない)も形成されており、この連結部には上下方向に延びる貫通雌ねじ穴が形成されており、この雌ねじ穴に上記雄ねじロッド61が螺合せしめられている。従って、パルスモータ64が正転すると移動基台51即ち研削ユニット5が下降即ち前進せしめられ、パルスモータ64が逆転すると移動基台51即ち研削ユニット5が上昇即ち後退せしめられる。
【0021】
図5および図6を参照して説明を続けると、装置ハウジング40の主部41の後半部にはチャックテーブル機構7が配設されている。チャックテーブル機構7は、移動基台71と、該移動基台71上にチャックテーブル支持機構72によって支持されたチャックテーブル73を含んでいる。移動基台71は、主部41の後半部に前後方向(直立壁42の前面に垂直な方向)である矢印43aおよび43bで示す方向に延在する一対の案内レール43、43上に摺動自在に配設されており、後述するチャックテーブル機構移動手段76によって図5に示す被加工物搬入・搬出域44と上記スピンドルユニット52を構成する研削ホイール525の研削砥石527と対向する研削域45との間で移動せしめられる。
【0022】
チャックテーブル支持機構72は、チャックテーブル支持板721と、該チャックテーブル支持板721上に配設されチャックテーブル73を回転可能に支持する円筒部材722と、チャックテーブル支持板721を移動基台71上に支持する支持手段723とを具備している。支持手段723は、図7に示すように3つの支持部724a、724b、724cによって支持する3点支持機構からなっている。第1の支持部724aは支点部となっており、第2の支持部724bと第3の支持部724cは可動部となっている。可動部である第2の支持部724bおよび第3の支持部724cは、図7に示すように上下位置調節手段725および726によって支持されている。上下位置調節手段725および726は、例えばパルスモータと該パルスモータによって作動せしめられるスクリュー機構からなっている。従って、上下位置調節手段725および726をそれぞれ作動し第2の支持部724bおよび第3の支持部724cの高さ位置を調節することにより、チャックテーブル73の姿勢、即ち後述するチャックテーブル73の保持面と上記研削ホイール525を構成する研削砥石527の下面である研削面との対面状態を調整することができる。従って、上下位置調節手段725および726を含む支持手段723は、チャックテーブル73の保持面と研削ホイール525の研削面との対面状態を調整する対面状態調整手段として機能する。
【0023】
次に、チャックテーブル73について、図8を参照して説明する。
図8に示すチャックテーブル73は、円柱状のチャックテーブル本体731と、該チャックテーブル本体731の上面に配設された円形状の吸着保持チャック732とからなっている。チャックテーブル本体731は、ステンレス鋼等の金属材によって形成されており、上面に円形の嵌合凹部731aが形成されており、この嵌合凹部731aの底面外周部に環状の載置棚731bが設けられている。そして、嵌合凹部731aに無数の吸引孔を備えたポーラスなセラミックス等からなる多孔性部材によって形成された吸着保持チャック732が嵌合される。このようにチャックテーブル本体731の嵌合凹部731aに嵌合された吸着保持チャック732は、上面である保持面732aが図8において誇張して示すように回転中心P1を頂点として円錐形に形成されている。この円錐形に形成された保持面732aは、その半径をRとし、頂点の高さをHとすると、外周から中心に至る勾配(H/R)が図示の実施形態においては0.0002に設定されている。なお、図示の実施形態においては、吸着保持チャック732の直径が200mm(半径R:100mm)、高さHが20μmに設定されている。このように設定されたチャックテーブル73の保持面732aにおける外周から中心に至る勾配(H/R)は、後述する制御手段のランダムアクセスメモリ(RAM)に記憶される。また、チャックテーブル本体731には、嵌合凹部731aに連通する連通路731cが形成されており、この連通路731cが図示しない吸引手段に連通されている。従って、吸着保持チャック732の上面である保持面732a上に被加工物を載置し、図示しない吸引手段を作動することにより被加工物は保持面732a上に吸引保持される。このように構成されたチャックテーブル73は、図6に示す円筒部材722内に配設されたサーボモータ74によって回転せしめられる。
【0024】
図6を参照して説明を続けると、図示の研削装置4は、上記チャックテーブル機構7を一対の案内レール43に沿ってチャックテーブル73の上面である保持面と平行に矢印43aおよび43bで示す方向に移動せしめるチャックテーブル機構移動手段76を具備している。チャックテーブル機構移動手段76は、一対の案内レール43間に配設され案内レール43と平行に延びる雄ねじロッド761と、該雄ねじロッド761を回転駆動するサーボモータ762を具備している。雄ねじロッド761は、上記移動基台71に設けられたねじ穴711と螺合して、その先端部が一対の案内レール43、43を連結して取り付けられた軸受部材763によって回転自在に支持されている。サーボモータ762は、その駆動軸が雄ねじロッド761の基端と伝動連結されている。従って、サーボモータ762が正転すると移動基台71即ちチャックテーブル機構7が矢印43aで示す方向に移動し、サーボモータ762が逆転すると移動基台71即ちチャックテーブル機構7が矢印43bで示す方向に移動せしめられる。矢印43aおよび43bで示す方向に移動せしめられるチャックテーブル機構7は、図5における被加工物搬入・搬出域44と研削域45に選択的に位置付けられる。
【0025】
図5に基づいて説明を続けると、図示の実施形態における研削装置4は、装置ハウジング40の主部41における前半部上には、第1のカセット11と、第2のカセット12と、被加工物仮置き手段13と、洗浄手段14と、被加工物搬送手段15と、被加工物搬入手段16および被加工物搬出手段17が配設されている。第1のカセット11は研削加工前の被加工物を収納し、装置ハウジング40の主部41におけるカセット搬入域に載置される。なお、第1のカセット11には上述したサブストレート3の表面に樹脂層321を介してシリコン(Si)基板21の表面が接合された半導体ウエーハ2が収容される。第2のカセット12は装置ハウジング40の主部41におけるカセット搬出域に載置され、研削加工後の半導体ウエーハ2を収納する。被加工物仮置き手段13は第1のカセット11と被加工物搬入・搬出域44との間に配設され、研削加工前の半導体ウエーハ2を仮置きする。洗浄手段14は被加工物搬入・搬出域44と第2のカセット12との間に配設され、研削加工後の半導体ウエーハ2を洗浄する。被加工物搬送手段15は第1のカセット11と第2のカセット12との間に配設され、第1のカセット11内に収納された半導体ウエーハ2を被加工物仮置き手段13に搬出するとともに洗浄手段14で洗浄された半導体ウエーハ2を第2のカセット12に搬送する。
【0026】
上記被加工物搬入手段16は被加工物仮置き手段13と被加工物搬入・搬出域44との間に配設され、被加工物仮置き手段13上に載置された研削加工前の半導体ウエーハ2を被加工物搬入・搬出域44に位置付けられたチャックテーブル機構7のチャックテーブル73上に搬送する。被加工物搬出手段17は、被加工物搬入・搬出域44と洗浄手段14との間に配設され、被加工物搬入・搬出域44に位置付けられたチャックテーブル73上に載置されている研削加工後の半導体ウエーハ2を洗浄手段14に搬送する。
【0027】
なお、研削加工前の半導体ウエーハ2を所定数収容した第1のカセット11は、装置ハウジング40の主部41における所定のカセット搬入域に載置される。そして、カセット搬入域に載置された第1のカセット11に収容されていた研削加工前の半導体ウエーハ2が全て搬出されると、空のカセット11に代えて研削加工前の複数個の半導体ウエーハ2を所定数収容した新しいカセット11が手動でカセット搬入域に載置される。一方、装置ハウジング40の主部41における所定のカセット搬出域に載置された第2のカセット12に研削加工後の半導体ウエーハ2が所定数搬入されると、かかる第2のカセット12が手動で搬出され、新しい空の第2のカセット12が載置される。
【0028】
図5を参照して説明を続けると、図示の実施形態における研削装置4は、上記被加工物仮置き手段13に上に載置された研削加工前の半導体ウエーハ2の被研削面または半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21に埋設された銅(Cu)電極214の高さ位置を計測する高さ位置計測手段8を具備している。この高さ位置計測手段8は、サブストレート3の表面に樹脂層321を介して接合された半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)におけるサブストレート3の表面3aからの高さ、またはシリコン(Si)基板21に埋設された銅(Cu)電極214における裏面(被研削面)側端面の高さ位置を計測する。このような高さ位置計測装置としては、例えばレーザーテック株式会社が製造販売するTSV300-IRを用いることができる。
【0029】
図示の実施形態における研削装置4は、図9に示す制御手段9を具備している。制御手段9はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)91と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)92と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)93と、入力インターフェース94および出力インターフェース95とを備えている。このように構成された制御手段9の入力インターフェース94には、高さ位置計測手段8等から検出信号が入力される。また、出力インターフェース95からは上記回転スピンドル522を回転駆動するための電動モータ523、研削送り手段6のパルスモータ64、チャックテーブル73を支持する上下位置調節手段725および726、チャックテーブル73を回転駆動するためのサーボモータ74、チャックテーブル機構移動手段76のサーボモータ762、高さ位置計測手段8、被加工物仮置き手段13、スピンナー洗浄手段14、被加工物搬送手段15、被加工物搬入手段16、被加工物搬出手段17等に制御信号を出力する。
【0030】
図示の実施形態における研削装置4は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
上述した研削装置4によって上記サブストレート3の表面に樹脂層321を介して接合された半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)を研削するには、研削加工前のサブストレート3の表面に接合された半導体ウエーハ2が収容されたカセット11を所定のカセット載置部に載置する。なお、カセット11に収容されたサブストレート3の表面に樹脂層321を介して接合された半導体ウエーハ2は、上記図4の(c)に示すようにシリコン(Si)基板21の上面である裏面21bが凹状に窪み中央部が低く外周に向けて高くなっているものであるとして説明する。
【0031】
上述したように研削加工前のサブストレート3の表面に接合された半導体ウエーハ2が収容されたカセット11を所定のカセット載置部に載置し、研削開始スイッチ(図示せず)が投入されると、制御手段9は被加工物搬送手段15を作動してカセット11に収容されている研削前のサブストレート3の表面に接合された半導体ウエーハ2を被加工物仮置き手段13に搬送する。そして、制御手段9は被加工物仮置き手段13を作動して、搬送された研削前のサブストレート3の表面に接合された半導体ウエーハ2の中心合わせを行う。次に、制御手段9は、サブストレート3の表面に樹脂層321を介して接合された半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)におけるサブストレート3からの高さ位置を計測する高さ位置計測工程を実施する。即ち、制御手段9は高さ位置計測手段8を作動し、図10において実線で示すように検出部81をサブストレート3の表面に接合された半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21の外周縁部に位置付ける。このようにしてシリコン(Si)基板21の外周縁部に位置付けられた高さ位置計測手段8の検出部81は、シリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における外周縁部の高さ(H1)を検出し、高さ位置信号を制御手段9に送る。次に、制御手段9は検出部81を図10において2点鎖線で示すように半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21の中心に位置付ける。このようにして半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21の中心に位置付けられた検出部81は、シリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における中心の高さ(H2)を検出し、高さ位置信号を制御手段9に送る。制御手段9は、高さ位置計測手段8から送られたシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における外周縁部の高さ(H1)データと中心の高さ(H2)データをランダムアクセスメモリ(RAM)93に記憶する。そして、制御手段9は、シリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における外周縁部の高さ(H1)から中心の高さ(H2)を減算してシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における凹状の高さ差(h)を求める(h=H1−H2)。このようにしてシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における凹状の高さ差(h)を求めたならば、制御手段9はシリコン(Si)基板21の半径(R)と高さ差(h)から勾配(h/R)を求め、この勾配(h/R)をランダムアクセスメモリ(RAM)93に記憶する。なお、図11にはシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における外周縁部の高さ(H1)と中心の高さ(H2)およびシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における外周から中心に至る勾配(h/R)が示されている。図11示す実施形態においては、シリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における外周縁部のサブストレート3からの高さ(H1)が610μm、シリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における中心のサブストレート3からの高さ(H2)が607μmで、高さ差(h)が3μmとなる。従って、シリコン(Si)基板21の半径(R)を100mmとすると、勾配(h/R=0.003/100)は0.00003となる。
【0032】
上述したようにサブストレート3の表面に接合された半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における高さ位置を計測する高さ位置計測工程を実施したならば、制御手段9は被加工物搬送手段15を作動して、高さ位置計測工程が実施された半導体ウエーハ2を吸引保持し、上記搬入・搬出領域44に位置付けられたチャックテーブル73上に搬送する。このとき、半導体ウエーハ2に接合されたサブストレート3側がチャックテーブル73上に載置され、被研削面であるシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)が上側となる。このようにして、搬入・搬出領域44に位置付けられたチャックテーブル73上に載置された研削前の半導体ウエーハ2は、図示しない吸引手段が作動することによって図12に示すようにチャックテーブル73上にサブストレート3を介して吸引保持される(ウエーハ保持工程)。このようにしてチャックテーブル73上にサブストレート3を介して吸引保持された研削加工前の半導体ウエーハ2は、図示の実施形態においては円錐形状をなしている。即ち、チャックテーブル73の保持面732aの勾配(H/R)が0.0002で、サブストレート3の表面に接合された半導体ウエーハ2は、上述したように勾配(h/R)が0.00003であるため、チャックテーブル73の保持面732a上にサブストレート3を介して吸引保持された研削前の半導体ウエーハ2の上面であるシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)は、図12に示すように円錐形状をなしている。
【0033】
チャックテーブル73上に研削加工前の半導体ウエーハ2を吸引保持したならば、制御手段9はチャックテーブル機構移動手段76を作動してチャックテーブル機構7を矢印43aで示す方向に移動し、研削域45に位置付ける。次に、制御手段9はチャックテーブル73の保持面に保持された半導体ウエーハ2の被加工面であるシリコン(Si)基板21の裏面21bと研削ホイール525の研削面との対面状態を調整する対面状態調整工程を実施する。この対面状態調整工程は、上記チャックテーブル73の保持面732aの上記勾配(H/R)とシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における外周から中心に至る勾配(h/R)に基づいて、上記チャックテーブル73の保持面と研削ホイール525の研削面との対面状態を調整する対面状態調整手段として機能する上下位置調節手段725および726を含む支持手段723を作動することによって実施する。チャックテーブル73の保持面732aと研削ホイール525を構成する研削砥石527の下面である研削面とは基本的に平行になるように位置付けられているので、チャックテーブル73の保持面732aの勾配(H/R)とシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)における外周から中心に至る勾配(h/R)との差分を補正するように対面状態調整手段として機能する上下位置調節手段725および726を調整することにより、図13に示すようにシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)と研削砥石527の下面である研削面とを平行に位置付ることができる。
【0034】
上述したように対面状態調整工程を実施したならば、制御手段9は半導体ウエーハ2を保持したチャックテーブル73を図13において矢印73aで示す方向に例えば300rpm程度で回転し、上記サーボモータ523を駆動し回転スピンドル522を回転して研削ホイール525を矢印525aで示す方向に例えば6000rpmの回転速度で回転するとともに、上記研削送り手段6のパルスモータ64を正転駆動して研削ユニット5を下降即ち前進せしめる。このとき、チャックテーブル73の中心即ち半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21の中心を研削ホイール525の複数の研削砥石527が通過する位置に位置付ける。そして、研削送り手段6のパルスモータ64を正転駆動して研削ユニット5を下降即ち前進せしめ、研削ホイール525の複数の研削砥石527を半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)に所定の荷重で押圧する。この結果、半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21の裏面21b(被研削面)が均一に研削され、半導体ウエーハ2は均一な厚みに研削される(裏面研削工程)。従って、半導体ウエーハ2を構成するシリコン(Si)基板21に埋設された銅(Cu)電極214のシリコン(Si)基板21の裏面21b側先端から例えば3μm程度手前の位置で研削を終了することにより、全ての銅(Cu)電極214が露出されることはない。
【0035】
上記のようにして研削工程を実施したならば、制御手段9は研削送り手段6のパルスモータ64を逆転駆動してスピンドルユニット52を所定位置まで上昇させるとともにサーボモータ523の回転を停止して研削ホイール525の回転を停止し、更に、チャックテーブル73の回転を停止する。
【0036】
次に、制御手段9は図6に示すチャックテーブル機構移動手段76を作動してチャックテーブル73を矢印43bで示す方向に移動して被加工物搬入・搬出域44(図5参照)に位置付ける。このようにしてチャックテーブル73を被加工物搬入・搬出域44に位置付けたならば、制御手段9はチャックテーブル73による半導体ウエーハ2の吸引保持を解除し、被加工物搬出手段17を作動して研削加工が実施された半導体ウエーハ2をチャックテーブル73から搬出してスピンナー洗浄手段14に搬送する。
【0037】
上述したように被加工物搬入・搬出域44に位置付けられたチャックテーブル73上から搬出されスピンナー洗浄手段14に搬送された半導体ウエーハ2は、ここで洗浄された後に被加工物搬送手段15よって第2のカセット12の所定位置に収納される。
【0038】
次に、高さ位置計測工程の他の実施形態について説明する。この高さ位置計測工程は、図14に示すようにサブストレート3の表面が液状樹脂を介して接合されたシリコン(Si)基板21に埋設された銅(Cu)電極214における裏面側端面のサブストレート3からの高さ位置を計測する。このとき、シリコン(Si)基板21の外周縁部に埋設された銅(Cu)電極214の高さ位置と中心部に埋設された銅(Cu)電極214の高さ位置とを求め、両高さ位置に基づいて勾配を求めてもよいが、シリコン(Si)基板21の外周縁部から中心部までの間に埋設された複数の銅(Cu)電極214の高さ位置を求め、該高さ位置を結ぶ線がいずれの銅(Cu)電極214も突出しない勾配を求めてもよい。このように、シリコン(Si)基板21に埋設された銅(Cu)電極214における裏面側端面のサブストレート3からの高さ位置を計測することにより、銅(Cu)電極214の高さのバラツキがあり、シリコン(Si)基板21の裏面21bとの距離にバラツキがあっても、上記裏面研削工程において銅(Cu)電極214が研削されて露出されることはない。
【0039】
なお、上述したように裏面研削工程が実施された半導体ウエーハ2は、シリコンに対してエッチングレートが高くSiO2に対してエッチングレートが極めて低いテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)をエッチング液として用い、シリコン(Si)基板21の裏面をエッチングすることにより、SiO2で被覆された銅(Cu)電極214を裏面から例えば10μm程度突出させる。そして、シリコン(Si)基板21の裏面全面にSiO2の絶縁膜を形成した後、ポリッシングすることにより絶縁膜から銅(Cu)電極214を露出させ、露出した銅(Cu)電極214の端面にバンプが圧着される。
【符号の説明】
【0040】
2:半導体ウエーハ
21:シリコン(Si)基板
212:デバイス
213:ボンディングパッド
214:銅(Cu)電極
215:二酸化珪素(SiO2)膜
3:サブストレート
30:保護膜被覆装置
4:研削装置
5:研削ユニット
52:スピンドルユニット
522:回転スピンドル
525:研削ホイール
527:研削砥石
6:研削送り手段
7:チャックテーブル機構
72:チャックテーブル支持機構
725、726:上下位置調節手段
73:チャックテーブル
731:チャックテーブル本体
732:吸着保持チャック
732a:保持面
76:チャックテーブル機構移動手段
8:高さ位置計測手段
9:制御手段
11:第1のカセット
12:第2のカセット
13:被加工物仮置き手段
14:スピンナー洗浄手段
15:被加工物搬送手段
16:被加工物搬入手段
17:被加工物搬出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成された複数のデバイスにそれぞれ設けられたボンディングパッドと接続した電極が該基板に埋設されているウエーハを所定の厚みに形成するウエーハの加工方法であって、
該基板の表面を保護するためのサブストレートの表面に液状樹脂を滴下し回転させることにより該サブストレートの表面に液状樹脂を被覆する液状樹脂被覆工程と、
該基板の表面を液状樹脂が被覆された該サブストレートの表面に液状樹脂を介して接合するサブストレート接合工程と、
該サブストレートの表面が液状樹脂を介して接合された該基板の裏面における該サブストレートからの高さ位置を計測する高さ位置計測工程と、
研削装置のチャックテーブルに該基板の表面に接合された該サブストレート側を載置し、該基板の裏面を露出させて該チャックテーブル上に保持するウエーハ保持工程と、
該チャックテーブルを回転し該チャックテーブルに保持された該ウエーハの該基板の裏面に研削ホイールを回転しつつ該研削ホイールの研削面を該ウエーハの該基板の裏面に接触させて該ウエーハの該基板の裏面を研削する裏面研削工程と、を含み、
該裏面研削工程を実施する前に、該高さ位置計測工程によって計測された該サブストレートの表面が液状樹脂を介して接合された該基板の裏面における該サブストレートからの高さ位置に基づいて該基板の裏面における外周側から中心側に至る勾配を求め、該勾配に対応して該チャックテーブルの保持面と該研削ホイールの研削面との対面状態を調整する対面状態調整工程を実施する、
ことを特徴とするウエーハの加工方法。
【請求項2】
基板の表面に形成された複数のデバイスにそれぞれ設けられたボンディングパッドと接続した電極が該基板に埋設されているウエーハを所定の厚みに形成するウエーハの加工方法であって、
該基板の表面を保護するためのサブストレートの表面に液状樹脂を滴下し回転させることにより該サブストレートの表面に液状樹脂を被覆する液状樹脂被覆工程と、
該基板の表面を液状樹脂が被覆された該サブストレートの表面に液状樹脂を介して接合するサブストレート接合工程と、
該サブストレートの表面が液状樹脂を介して接合された該基板に埋設された該電極における裏面側端面の該サブストレートからの高さ位置を計測する高さ位置計測工程と、
研削装置の該チャックテーブルに該基板の表面に接合された該サブストレート側を載置し、該基板の裏面を露出させて該チャックテーブル上に保持するウエーハ保持工程と、
該チャックテーブルを回転し該チャックテーブルに保持された該ウエーハの該基板の裏面に該研削ホイールを回転しつつ該研削ホイールの研削面を該ウエーハの該基板の裏面に接触させて該ウエーハの該基板の裏面を研削する裏面研削工程と、を含み、
該裏面研削工程を実施する前に、該高さ位置計測工程によって計測された該電極における裏面側端面の該サブストレートからの高さ位置に基づいて電極の裏面側端面における外周側から中心側に至る勾配を求め、該勾配に対応して該チャックテーブルの保持面と該研削ホイールの研削面との対面状態を調整する対面状態調整工程を実施する、
ことを特徴とするウエーハの加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−33796(P2013−33796A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168230(P2011−168230)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】