説明

ウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置

【課題】 欠肉等の欠陥が少なく、薄くて低密度なウレタン発泡成形体を提供する。また、このようなウレタン発泡成形体を、簡便に製造することができる製造方法、およびウレタン発泡成形装置を提供する。
【解決手段】 ウレタン発泡成形体の製造方法を、対向して配置された第一基材30と第二基材31との間に、磁性体粒子Sを含む液状の発泡ウレタン樹脂原料U1を配置する原料配置工程と、第一基材30と第二基材31との間の、発泡ウレタン樹脂原料U1の周囲の少なくとも一部に形成された、発泡ウレタン樹脂原料U1の流動方向と交差する方向に磁力線Lが集中した磁力線集中領域Mにより、発泡ウレタン樹脂原料U1の流動をせき止めながら、発泡ウレタン樹脂原料U1を発泡成形する発泡成形工程と、を有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば吸音材や振動吸収材等として用いられるウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン発泡成形体は、通常、ポリオールとポリイソシアネートとを含む液体原料を、金型内で発泡成形させて製造される。発泡成形の際、金型のキャビティ内に、液体原料の発泡により生成したガスや、残存していた空気が滞留する場合がある。キャビティ内に空気等のガスが存在すると、液体原料がキャビティの隅々まで行き渡りにくい。その結果、得られるウレタン発泡成形体に、欠肉やボイド等の欠陥が生じてしまう。欠肉等の欠陥の発生を抑制するためには、例えば、キャビティに対する液体原料の投入量を増やせばよい。しかしながら、この場合は、得られるウレタン発泡成形体の密度が大きくなってしまう。このため、所望の性能(例えば、吸音性、弾性等)を得ることができない。また、少量の液体原料で薄いウレタン発泡成形体を製造する場合、液体原料の膨張端ほど発泡圧は小さい。このため、滞留するガスの影響を受けやすい。このように、キャビティ内におけるガスの滞留は、薄く低密度のシート状のウレタン発泡成形体を製造する場合に、特に問題になる。
【0003】
一方、低密度のウレタン発泡成形体を製造する方法として、スラブ法が知られている。スラブ法によると、液体原料は、開放系にて型に注入され、そのまま大気圧下で自然発泡する。得られたバルク状のウレタン発泡成形体は、所定の形状に裁断加工して用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−136914号公報
【特許文献2】特開2003−33925号公報
【特許文献3】特開平6−339935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スラブ法によると、裁断加工等の制約から、得られるウレタン発泡成形体の薄さに限界がある。また、スラブ法においては、液体原料を、開放系にて自然発泡する。このため、例えば、上面に凹凸形状を有するようなウレタン発泡成形体を製造することはできない。このように、スラブ法によると、製造できるウレタン発泡成形体の厚さや形状が、制限される。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、欠肉等の欠陥が少なく、薄くて低密度なウレタン発泡成形体を提供することを課題とする。また、このようなウレタン発泡成形体を、簡便に製造することができる製造方法、およびウレタン発泡成形装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するため、本発明のウレタン発泡成形体の製造方法は、磁性体粒子を含む液状の発泡ウレタン樹脂原料を発泡させてウレタン発泡成形体を製造するウレタン発泡成形体の製造方法であって、対向して配置された第一基材と第二基材との間に、前記発泡ウレタン樹脂原料を配置する原料配置工程と、該第一基材と該第二基材との間の、該発泡ウレタン樹脂原料の周囲の少なくとも一部に形成された、該発泡ウレタン樹脂原料の流動方向と交差する方向に磁力線が集中した磁力線集中領域により、該発泡ウレタン樹脂原料の流動をせき止めながら、該発泡ウレタン樹脂原料を発泡成形する発泡成形工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の製造方法によると、対向して配置された第一基材と第二基材との間において、発泡ウレタン樹脂原料を発泡成形する。第一基材、第二基材の形状は、特に限定されず、互いに同じでも異なっていてもよい。また、第一基材、第二基材は、各々、金型を構成する第一型、第二型であってもよい。
【0009】
発泡ウレタン樹脂原料は、液状であり、第一基材と第二基材との間に配置される。発泡ウレタン樹脂原料は、発泡により膨張し、三次元に成長しながら流動する。この際、厚さ方向の流動については、第一基材および第二基材により規制される。第一基材および第二基材により厚さ方向の流動が規制されると、発泡ウレタン樹脂原料は、第一基材および第二基材の延在方向に流動する。ここで、発泡ウレタン樹脂原料が、第一基材の表面に配置された場合、第二基材と発泡ウレタン樹脂原料とは、発泡前に接していても接していなくてもよい。この場合、例えば第二基材を介して、発泡ウレタン樹脂原料を加圧しながら発泡成形させてもよい。
【0010】
第一基材と第二基材との間における、発泡ウレタン樹脂原料の周囲の少なくとも一部には、磁力線集中領域が形成される。磁力線集中領域においては、発泡ウレタン樹脂原料の流動方向と交差する方向に、磁力線が集中している。ここで、発泡ウレタン樹脂原料は、磁性体粒子を含む。磁性体粒子は、磁束密度がより大きい領域に移動して滞留する性質を有する。このため、第一基材と第二基材との間において、発泡ウレタン樹脂原料の流動先端が、磁力線集中領域に到達すると、磁束により磁性体粒子が拘束される。これにより、発泡ウレタン樹脂原料は、それ以上流動しない。つまり、発泡ウレタン樹脂原料の流動は、磁力線集中領域によりせき止められる。したがって、例えば、発泡ウレタン樹脂原料の流動方向に、型面が配置されていない場合でも、磁力線集中領域があたかも型面の役割を果たすことにより、発泡ウレタン樹脂原料を所定の形状に成形することができる。
【0011】
このように、本発明の製造方法によると、従来の金型のように密閉された空間でなくても、ウレタン発泡成形体を製造することができる(勿論、金型の態様を採用してもよい。金型の態様については、後の(5)の構成において説明する)。開放系で発泡成形する場合、キャビティ内のガスの滞留は問題にならない。このため、欠肉やボイド等の欠陥が生じるおそれは小さい。このため、低密度のウレタン発泡成形体を製造しやすい。また、第一基材と第二基材との間隔を調整することにより、薄いシート状のウレタン発泡成形体を、簡便に製造することができる。さらに、第一基材および第二基材の少なくとも一方の対向面が、凹凸形状を有する場合には、当該凹凸がウレタン発泡成形体の表面に転写される。したがって、第一基材、第二基材の対向面を所望の形状に形成することにより、様々な表面形状を有するウレタン発泡成形体を、簡便に製造することができる。
【0012】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記磁力線集中領域は、前記第一基材および前記第二基材の少なくとも一方に配置される磁性部材を有する磁力線集中領域形成手段により形成される構成とする方がよい。
【0013】
本構成において、磁力線集中領域は、磁力線集中領域形成手段により形成される。磁力線集中領域形成手段は、磁性部材を有する。磁性部材は、磁性材料から形成されていても、磁性材料に他の材料を加えた混合材料から形成されていてもよい。また、磁性部材は、永久磁石等のように単独で磁力線集中領域を形成できるものでもよく、他の部材と共に磁力線集中領域を形成できるものでもよい。例えば、鉄等の透磁率が大きい材料から磁性部材を形成した場合、磁性部材の近傍に磁石を配置すると、磁石からの磁力線は当該磁性部材に集中する。このことを利用して、磁性部材と磁石等とにより、磁力線集中領域を形成してもよい。
【0014】
(2−1)好ましくは、上記(2)の構成において、前記発泡ウレタン樹脂原料は、前記第一基材の表面に配置され、前記磁性部材は、少なくとも該第一基材に配置される構成とする方がよい。本構成によると、発泡ウレタン樹脂原料が配置される第一基材側に、磁力線集中領域を形成しやすい。これにより、発泡初期の段階で、発泡ウレタン樹脂原料の流動を、確実にせき止めることができる。
【0015】
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記磁性部材は、前記第一基材および前記第二基材の両方に、各々が対向するように配置される構成とする方がよい。
【0016】
本構成によると、第一基材および第二基材の両側から、磁力線集中領域を形成することができる。これにより、第一基材と第二基材との間に、磁力線集中領域を確実に形成することができる。
【0017】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記第一基材および前記第二基材の少なくとも一方は、前記発泡ウレタン樹脂原料と一体成形される部品である構成とする方がよい。
【0018】
一般に、エンジンカバー等の防音カバーは、カバー本体と、カバー本体の裏面に固定されたウレタン発泡成形体(吸音材)と、を備える。このような防音カバーは、例えば、カバー本体とウレタン発泡成形体とを一体成形して、製造することができる。一体成形においては、カバー本体(芯材)を金型に配置し、キャビティに発泡ウレタン樹脂原料を注入して発泡成形する。例えば、エンジンカバーのカバー本体は、エンジンルームに表出する。このため、エンジンカバーのカバー本体には、意匠性が要求される。しかし、一体成形する場合、金型のシール性を確保するため、型締めによりカバー本体が押圧される。これにより、カバー本体に傷がつくおそれがある。また、カバー本体には、エンジン等に取り付けるための取付孔が穿設される。この場合、成形時に発泡ウレタン樹脂原料が取付孔の周囲に回り込み、バリが形成されるおそれがある。
【0019】
この点、本構成においては、発泡ウレタン樹脂原料と一体成形されるカバー本体等の部品を、第一基材および第二基材の少なくとも一方として採用する。これにより、開放系で一体成形することができ、型締めにより部品が押圧されることはない。したがって、部品に傷がつきにくい。また、磁力線集中領域を取付孔の周囲に形成すれば、取付孔への発泡ウレタン樹脂原料の回り込みを抑制することができる。これにより、取付孔の周囲におけるバリの形成を、抑制することができる。
【0020】
(5)好ましくは、上記(2)または(3)の構成において、前記第一基材は下型であり、前記第二基材は上型であり、該下型と該上型とが合体することにより金型のキャビティが形成され、該金型は、該キャビティから外部に連通するガス抜き通路を有し、前記磁性部材は、該ガス抜き通路の該キャビティ側近傍に配置される構成とする方がよい。
【0021】
本構成においては、第一基材(下型)と第二基材(上型)とから形成される金型のキャビティ内で、発泡ウレタン樹脂原料を発泡成形する。上述したように、通常の金型による発泡成形においては、金型のキャビティ内に、発泡ウレタン樹脂原料の発泡により生成したガスや、残存していた空気が滞留しやすい。そこで、キャビティ内のガスを外部に排出させるために、キャビティから外部に連通するガス抜き通路を形成する(例えば、特許文献2、3参照)。しかし、ガスの量や発泡圧等によっては、ガス抜き通路から発泡ウレタン樹脂原料が漏れ、バリが形成されるおそれがある。一方、ガス抜き通路が小さすぎると、ガスの排出が不充分になる。このように、ガス抜き通路を形成した場合、ガスの排出と金型のシール性とを両立させるのは難しい。
【0022】
この点、本構成においては、磁力線集中領域形成手段を構成する磁性部材が、ガス抜き通路のキャビティ側近傍に配置される。これにより、ガス抜き通路の入り口付近に、磁力線集中領域が形成される。このため、キャビティ内の発泡ウレタン樹脂原料は、磁力線集中領域を越えてガス抜き通路を流動することができない。つまり、発泡ウレタン樹脂原料の流動が、磁力線集中領域によりせき止められる。したがって、ガス抜き通路から、ガスのみを選択的に排出することができる。
【0023】
(5−1)前記ガス抜き通路は、該下型および該上型の合わせ面の少なくとも一方に形成される構成とする方がよい。本構成によると、少なくとも一方の合わせ面に溝を形成することにより、比較的簡単にガス抜き通路を形成することができる。また、キャビティ内のガスは、発泡ウレタン樹脂原料の膨張に伴い、キャビティの上方に滞留しやすい。したがって、本構成においては、下型と上型との合わせ面がキャビティの上端と面一である場合に、特にガスを排出しやすい。
【0024】
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記発泡成形工程は、前記発泡ウレタン樹脂原料に磁場をかけ、前記磁性体粒子を配向させる配向工程を有する構成とする方がよい。
【0025】
磁性体粒子を含む発泡ウレタン樹脂原料を、磁場をかけながら発泡成形すると、磁性粒子が磁力線に沿って配向する。ウレタン発泡成形体中の磁性体粒子が配向している場合、ウレタン発泡成形体の一端に加わった熱は、磁性体粒子を介して配向方向の他端に伝達され、速やかに放出される。したがって、ウレタン発泡成形体の熱伝導性が向上する。なお、配向工程においては、発泡ウレタン樹脂原料の流動を妨げないよう、発泡ウレタン樹脂原料の粘度等を考慮しながら、磁場の大きさや磁場をかけるタイミングを制御するとよい。
【0026】
(7)本発明のウレタン発泡成形装置は、磁性体粒子を含む液状の発泡ウレタン樹脂原料が配置される第一基材と、該第一基材と対向して配置され、該発泡ウレタン樹脂原料の流動方向を規制する第二基材と、該第一基材と該第二基材との間において、該発泡ウレタン樹脂原料の該流動方向と交差する方向に磁力線が集中した磁力線集中領域を形成可能な磁力線集中領域形成手段と、を備え、形成された該磁力線集中領域により、該発泡ウレタン樹脂原料の流動をせき止めながら、該発泡ウレタン樹脂原料を発泡成形することを特徴とする。
【0027】
本発明のウレタン発泡成形装置においては、対向して配置される第一基材と第二基材との間で、発泡ウレタン樹脂原料を発泡成形する。第一基材、第二基材の形状は、特に限定されず、互いに同じでも異なっていてもよい。また、第一基材、第二基材は、各々、金型を構成する第一型、第二型であってもよい。
【0028】
発泡ウレタン樹脂原料は、液状であり、第一基材の表面に配置される。発泡ウレタン樹脂原料は、発泡により膨張し、三次元に成長しながら流動する。この際、厚さ方向の流動については、第二基材により規制される。第二基材により厚さ方向の流動が規制されると、発泡ウレタン樹脂原料は、第一基材および第二基材の延在方向に流動する。ここで、第二基材と発泡ウレタン樹脂原料とは、発泡前に接していても接していなくてもよい。また、第二基材を介して、発泡ウレタン樹脂原料を加圧しながら発泡成形させてもよい。
【0029】
磁力線集中領域形成手段は、第一基材と第二基材との間に磁力線集中領域を形成する。磁力線集中領域においては、発泡ウレタン樹脂原料の流動方向と交差する方向に、磁力線が集中している。ここで、発泡ウレタン樹脂原料は、磁性体粒子を含む。このため、第一基材と第二基材との間において、発泡ウレタン樹脂原料の流動先端が、磁力線集中領域に到達すると、磁束により磁性体粒子が拘束される。これにより、発泡ウレタン樹脂原料は、それ以上流動しない。つまり、発泡ウレタン樹脂原料の流動は、磁力線集中領域によりせき止められる。したがって、例えば、発泡ウレタン樹脂原料の流動方向に、型面が配置されていない場合でも、磁力線集中領域があたかも型面の役割を果たすことにより、発泡ウレタン樹脂原料を所定の形状に成形することができる。
【0030】
このように、本発明のウレタン発泡成形装置によると、従来の金型のように密閉された空間でなくても、ウレタン発泡成形体を製造することができる(勿論、金型の態様を採用してもよい)。開放系で発泡成形する場合、キャビティ内のガスの滞留は問題にならない。このため、欠肉やボイド等の欠陥が生じるおそれは小さい。このため、低密度のウレタン発泡成形体を製造しやすい。また、第一基材と第二基材との間隔を調整することにより、薄いシート状のウレタン発泡成形体を、簡便に製造することができる。さらに、第一基材および第二基材の少なくとも一方の対向面が、凹凸形状を有する場合には、当該凹凸形状がウレタン発泡成形体の表面に転写される。したがって、第一基材、第二基材の対向面を所望の形状に形成することにより、様々な表面形状を有するウレタン発泡成形体を、簡便に製造することができる。
【0031】
(8)本発明のウレタン発泡成形体は、磁性体粒子を含むシート状のウレタン発泡成形体であって、該磁性体粒子は、ウレタン発泡成形体の周縁部の少なくとも一部に偏在していることを特徴とする。
【0032】
本発明のウレタン発泡成形体は、上記(1)の構成の本発明の製造方法により製造される。上述したように、本発明の製造方法によると、発泡成形工程において、発泡ウレタン樹脂原料の流動先端の少なくとも一部は、磁力線集中領域によりせき止められる。この際、発泡ウレタン樹脂原料中の磁性体粒子は、磁力線集中領域において拘束されて滞留する。したがって、得られるウレタン発泡成形体によると、磁力線集中領域で硬化した部分、つまり周縁部の少なくとも一部において、磁性体粒子の密度が大きい。換言すると、ウレタン発泡成形体の周縁部の少なくとも一部に、磁性体粒子が偏在する。磁性体粒子の偏在部位は、磁性体粒子をほとんど含まない他の部位と比較して、硬い。また、磁性体粒子の偏在部位は、磁性体粒子をほとんど含まない他の部位と比較して、熱伝導性に優れる。また、磁性体粒子の偏在部位を、磁石等で磁着することにより、搬送を容易化することができる。このように、本発明のウレタン発泡成形体については、周縁部の硬さや、熱伝導性等の特性を利用して、様々な用途に用いることができる。
【0033】
(9)好ましくは、上記(8)の構成において、前記磁性体粒子の含有量は、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の0.5体積%以上5体積%以下である構成とする方がよい。
【0034】
発泡ウレタン樹脂原料に含まれる磁性体粒子は、主に、発泡ウレタン樹脂原料の流動先端の少なくとも一部を、磁力線集中領域においてせき止める役割を果たす。この役割を果たすためには、磁性体粒子の含有量は、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の0.5体積%以上とすることが望ましい。一方、過剰な磁性体粒子は、ウレタン発泡成形体を硬くし、コスト高になる。このため、発泡ウレタン樹脂原料の流動をせき止めるという観点では、磁性体粒子の含有量は、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の5体積%以下とすることが望ましい。なお、ウレタン発泡成形体の熱伝導性を向上させる等の理由から、磁性体粒子の含有量を多くしてもよい。この場合、磁性体粒子の含有量を、30体積%以下とすることが望ましい。
【0035】
(10)好ましくは、上記(8)または(9)の構成において、密度が100kg/m以下であり、厚さが1mm以下である構成とする方がよい。
【0036】
本発明のウレタン発泡成形体によると、スラブ法では製造が難しい薄くて低密度のウレタン発泡成形体を、実現することができる。
【0037】
(11)好ましくは、上記(8)ないし(10)のいずれかの構成において、厚さ方向の表面に凸部および凹部の少なくとも一方を有する構成とする方がよい。
【0038】
本構成のウレタン発泡成形体は、表面に凸部および凹部の少なくとも一方を有する。これにより、例えば、ウレタン発泡成形体の放熱性が向上する。また、他の部材に取り付ける際の位置決めを、容易化することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、欠肉等の欠陥が少なく、薄くて低密度なウレタン発泡成形体を提供することができる。また、このようなウレタン発泡成形体の簡便な製造方法、およびウレタン発泡成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第一実施形態のウレタン発泡成形装置の斜視図である。
【図2】同装置の斜視分解図である。
【図3】(a)は、図1のIII−III断面図であり、(b)は、同装置の上面図である。
【図4】(a)は、発泡ウレタン樹脂原料が配置された状態の同装置の断面図であり、(b)は、同装置の上面図である。
【図5】図4の一点鎖線で囲まれた領域Vの拡大図である。
【図6】(a)は、発泡成形終了時の同装置の断面図であり、(b)は、同装置の上面図である。
【図7】(a)は、第二実施形態のウレタン発泡成形装置の断面図であり、(b)は、同装置の上面図である。
【図8】(a)は、第三実施形態のウレタン発泡成形装置の断面図であり、(b)は、同装置の上面図である。
【図9】(a)は、第四実施形態のウレタン発泡成形装置の断面図であり、(b)は、同装置の上面図である。
【図10】図9の一点鎖線で囲まれた領域Xの拡大図である。
【図11】(a)は、第五実施形態のウレタン発泡成形装置の断面図であり、(b)は、同装置の上面図である。
【図12】第六実施形態のウレタン発泡成形装置の斜視図である。
【図13】同装置の断面図である。
【図14】同装置を構成する金型の斜視分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置の実施形態について説明する。
【0042】
<第一実施形態>
[ウレタン発泡成形装置の構成]
まず、本実施形態のウレタン発泡成形装置の構成について説明する。図1に、ウレタン発泡成形装置の斜視図を示す。図2に、同装置の斜視分解図を示す。図3(a)に、図1のIII−III断面図を示す。図3(b)に、同装置の上面図を示す。なお、説明の便宜上、図3(b)においては、上側磁石および上板を透過して示す(以下、図4(b)、図6(b)、図7(b)、図11(b)において同じ)。図1〜図3に示すように、ウレタン発泡成形装置1は、枠体2と、成形部3と、を備えている。
【0043】
枠体2は、下板20と、上板21と、四本の支柱22と、を備えている。下板20および上板21は、いずれもアルミニウム製であり、正方形板状を呈している。四本の支柱22は、いずれもアルミニウム製であり、円柱状を呈している。四本の支柱22は、各々、下板20の四隅に固定されている。上板21は、四本の支柱22の上に載置され、下板20と対向するように配置されている。
【0044】
成形部3は、下側基材30と、上側基材31と、線材32と、下側磁石33と、上側磁石34と、を備えている。下側磁石33は、正方形板状を呈している。下側磁石33は、下板20の上面に接着されている。下側磁石33の上面はN極に、下面はS極に着磁されている。上側磁石34は、正方形板状を呈している。上側磁石34は、上板21の下面に接着されている。上側磁石34の上面はN極に、下面はS極に着磁されている。
【0045】
下側基材30は、アクリル樹脂製であり、正方形板状を呈している。下側基材30は、下側磁石33の上面に配置されている。下側基材30の大きさは、下側磁石33の大きさと同じである。下側基材30は、本発明における第一基材に含まれる。
【0046】
上側基材31は、アクリル樹脂製であり、正方形板状を呈している。上側基材31は、上側磁石34の下面に接着されている。上側基材31の大きさは、上側磁石34の大きさと同じである。上側基材31は、本発明における第二基材に含まれる。
【0047】
線材32は、鉄製であり、無端環状を呈している。線材32は、下側基材30に埋設されている。線材32の上下方向厚さは、下側基材30の厚さと同じである。線材32は、下側基材30の周縁部に沿って、矩形状に配置されている。後述するように、線材32は、下側磁石33および上側磁石34と共に、磁力線集中領域Mを形成する。線材32は、本発明における磁性部材に含まれる。また、線材32、下側磁石33および上側磁石34は、本発明における磁力線集中領域形成手段に含まれる。
【0048】
[ウレタン発泡成形体の製造方法]
次に、ウレタン発泡成形装置1を用いた、本実施形態のウレタン発泡成形体の製造方法について説明する。本実施形態のウレタン発泡成形体の製造方法は、原料配置工程と、発泡成形工程と、を有している。図4(a)に、発泡ウレタン樹脂原料が配置された状態のウレタン発泡成形装置の断面図を示す。図4(b)に、同装置の上面図を示す。図5に、図4の一点鎖線で囲まれた領域Vの拡大図を示す。図6(a)に、発泡成形終了時のウレタン発泡成形装置の断面図を示す。図6(b)に、同装置の上面図を示す。
【0049】
まず、原料配置工程について説明する。図4に示すように、発泡ウレタン樹脂原料U1を、下側基材30の上面に載置する。発泡ウレタン樹脂原料U1は、ポリオール成分、イソシアネート成分、ステンレス鋼粉末(磁性体粒子)、および発泡剤、触媒等の所定の添加剤を混合して調製されている。ステンレス鋼粉末の配合量は、製造するウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の4体積%である。
【0050】
次に、発泡成形工程について説明する。発泡ウレタン樹脂原料U1は、発泡反応の進行と共に、膨張しながら広がる。すなわち、図4中白抜き矢印で示すように、発泡ウレタン樹脂原料U1は、下側基材30と上側基材31との間を三次元(上下左右前後方向)に流動する。そして、発泡ウレタン樹脂原料U1が、上側基材31の下面に到達した後は、同心円状に広がるように左右前後方向に流動する。
【0051】
ここで、線材32の透磁率は大きい。よって、図5に拡大して示すように、下側磁石33と上側磁石34との間における、線材32の上方領域には、両磁石33、34から放射された磁力線Lが、線材32を通過しようとして集中することにより、磁力線集中領域M(図5中、一点鎖線のハッチングで示す)が形成されている。磁力線集中領域Mにおいては、発泡ウレタン樹脂原料U1の流動方向(左右前後方向)と略直交する方向(上下方向)に延びる磁力線が、集中している。したがって、発泡ウレタン樹脂原料U1の流動先端U1’が、磁力線集中領域Mに到達すると、発泡ウレタン樹脂原料U1中のステンレス鋼粒子Sが、磁束に拘束される。このため、発泡ウレタン樹脂原料U1は、それ以上流動しない。つまり、発泡ウレタン樹脂原料U1の流動が、磁力線集中領域Mによりせき止められる。この状態で、発泡ウレタン樹脂原料U1が硬化することにより、図6に示すように、ウレタン発泡成形体U2が製造される。
【0052】
[ウレタン発泡成形体]
次に、本実施形態のウレタン発泡成形体について説明する。図6(b)に示すように、ウレタン発泡成形体U2は、略正方形の薄いシート状を呈している。ウレタン発泡成形体U2の厚さは約1mmであり、密度は100kg/mである。ウレタン発泡成形体U2において、磁力線集中領域Mで硬化した周縁部(図6(b)中、点線クロスハッチングで示す)のステンレス鋼粒子Sの密度は、他の部位と比較して大きい。つまり、ウレタン発泡成形体U2の周縁部には、ステンレス鋼粒子Sが偏在している。
【0053】
[作用効果]
次に、本実施形態のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置の作用効果について説明する。本実施形態のウレタン発泡成形装置1、および製造方法によると、従来の金型のように密閉された空間でなくても、ウレタン発泡成形体U2を製造することができる。開放系で発泡成形できるため、キャビティ内のガスの滞留は問題にならない。このため、ウレタン発泡成形体U2において、欠肉やボイド等の欠陥が生じるおそれは小さい。このため、低密度のウレタン発泡成形体U2を製造しやすい。また、下側基材30と上側基材31との間隔を調整することにより、スラブ法では製造が難しい1mm以下の薄いウレタン発泡成形体U2を、簡便に製造することができる。
【0054】
本実施形態のウレタン発泡成形装置1においては、線材32、下側磁石33、および上側磁石34により、磁力線集中領域Mが形成されている。すなわち、本実施形態のウレタン発泡成形装置1によると、簡単な構成、かつ低コストで、欠肉等の欠陥が少なく、薄くて低密度なウレタン発泡成形体U2を製造することができる。また、線材32(磁性部材)は、発泡ウレタン樹脂原料U1が載置される下側基材30側に配置されている。これにより、発泡初期の段階で、発泡ウレタン樹脂原料U1の流動を、確実にせき止めることができる。
【0055】
本実施形態のウレタン発泡成形体U2においては、周縁部にステンレス鋼粒子Sが偏在している。ステンレス鋼粒子Sの偏在部位は、それ以外の部位と比較して、硬い。また、ステンレス鋼粒子Sの偏在部位は、それ以外の部位と比較して、熱伝導性に優れる。また、ステンレス鋼粒子Sの偏在部位を、磁石等で磁着することにより、搬送を容易化することができる。このように、ウレタン発泡成形体U2については、周縁部の硬さや、熱伝導性等の特性を利用して、様々な用途に用いることができる。
【0056】
<第二実施形態>
本実施形態のウレタン発泡成形装置と第一実施形態のウレタン発泡成形装置との相違点は、下側基材の上面に溝部が形成されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0057】
図7(a)に、本実施形態のウレタン発泡成形装置の断面図を示す(前出図1のIII−III断面に相当する)。図7(b)に、同装置の上面図を示す。図7(a)、(b)の各々において、図3(a)、(b)と対応する部位については、同じ符合で示す。
【0058】
図7(a)に示すように、下側基材30の上面には、四つの溝部300が形成されている。四つの溝部300は、下側基材30に埋設されている線材32の内側に、配置されている。溝部300の底面は、各々、曲面状を呈している。溝部300は、各々、前後方向に延在している。溝部300は、左右方向に互いに平行に配置されている。
【0059】
本実施形態のウレタン発泡成形体の製造方法は、第一実施形態と同じである。このため、説明を省略する。また、製造されるウレタン発泡成形体の下面には、下側基材30の上面の溝部300と型対称の凹凸形状が付与される。
【0060】
本実施形態のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態のウレタン発泡成形装置によると、下面に凹凸形状を有するウレタン発泡成形体を、簡便に製造することができる。また、本実施形態のウレタン発泡成形体においては、下面が平坦な場合と比較して、下面の表面積が大きい。したがって、本実施形態のウレタン発泡成形体は、放熱性に優れる。
【0061】
<第三実施形態>
本実施形態のウレタン発泡成形装置と第一実施形態のウレタン発泡成形装置との相違点は、磁性部材として、線材に代えてラバーマグネットが配置されている点である。また、上側磁石、下側磁石が配置されていない点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0062】
まず、本実施形態のウレタン発泡成形装置の構成について説明する。図8(a)に、本実施形態のウレタン発泡成形装置の断面図を示す(前出図1のIII−III断面に相当する)。図8(b)に、同装置の上面図を示す。図8(a)、(b)の各々において、図3(a)、(b)と対応する部位については、同じ符合で示す。また、説明の便宜上、図8(b)においては、上側基材より上方の部材を透過して示す。
【0063】
図8(a)に示すように、成形部3は、下側基材30と、上側基材31と、下側帯材35a、上側帯材35bと、を備えている。下側基材30は、下側帯材35aを介して、下板20の上面に配置されている。上側基材31は、上側帯材35bを介して、上板21の下面に接着されている。
【0064】
下側帯材35aは、四枚のラバーマグネットからなり、無端環状を呈している。ラバーマグネットは、フェライト磁石粉末とゴムとの混合材料からなる。下側帯材35aは、下側基材30の下面に接着されている。下側帯材35aは、下側基材30の下面の周縁部に沿って配置されている。下側帯材35aの延在方向には、N極とS極とが交互に配置されている。これにより、下側帯材35aの表面には、互いに隣接するN極からS極へ流入するループ状の磁場が形成されている。
【0065】
同様に、上側帯材35bは、四枚のラバーマグネットからなり、無端環状を呈している。上側帯材35bは、上側基材31の上面に接着されている。上側帯材35bは、上側基材31の上面の周縁部に沿って、下側帯材35aと対向するように配置されている。上側帯材35bの延在方向には、N極とS極とが交互に配置されている。これにより、上側帯材35bの表面には、互いに隣接するN極からS極へ流入するループ状の磁場が形成されている。
【0066】
下側帯材35aと上側帯材35bとの間、すなわち、下側基材30と上側基材31との間には、下側帯材35aおよび上側帯材35bから放射された磁力線により、磁力線集中領域が形成されている。磁力線集中領域においては、発泡ウレタン樹脂原料の流動方向(左右前後方向)と略直交する方向(上下方向)に延びる磁力線が、集中している。このように、下側帯材35aおよび上側帯材35bは、各々、磁力線集中領域を形成する。下側帯材35aおよび上側帯材35bは、本発明における磁性部材、磁力線集中領域形成手段に含まれる。
【0067】
本実施形態のウレタン発泡成形体の製造方法ついては、磁力線集中領域の形成方法が異なる点以外は、第一実施形態と同じである。また、製造されるウレタン発泡成形体についても、第一実施形態と同じである。このため、説明を省略する。
【0068】
本実施形態のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態のウレタン発泡成形装置1によると、下側帯材35aおよび上側帯材35bにより、磁力線集中領域が形成されている。このように、本実施形態のウレタン発泡成形装置1によると、簡単な構成、かつ低コストで、欠肉等の欠陥が少なく、薄くて低密度なウレタン発泡成形体を製造することができる。また、下側基材30、上側基材31の両方に、磁性部材が配置されている。これにより、下側基材30および上側基材31の両側から、磁力線集中領域を形成することができる。したがって、下側基材30と上側基材31との間に、磁力線集中領域を確実に形成することができる。
【0069】
<第四実施形態>
本実施形態のウレタン発泡成形装置と第一実施形態のウレタン発泡成形装置との相違点は、上側磁石、下側磁石の代わりに、コイル部材が配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0070】
まず、本実施形態のウレタン発泡成形装置の構成について説明する。図9(a)に、本実施形態のウレタン発泡成形装置の断面図を示す(前出図1のIII−III断面に相当する)。図9(b)に、同装置の上面図を示す。図9(a)、(b)の各々において、図3(a)、(b)と対応する部位については、同じ符合で示す。また、説明の便宜上、図9(b)においては、上板を透過して示す。
【0071】
図9(a)に示すように、成形部3は、下側基材30と、上側基材31と、線材32と、コイル部材36と、を備えている。下側基材30は、下板20の上面に配置されている。上側基材31は、上板21の下面に接着されている。
【0072】
コイル部材36は、導線が螺旋状に巻回された空芯コイルからなる。コイル部材36は、下側基材30の側面に沿って環状に配置されている。コイル部材36には、コイル部材36に電流を流すための電源(図略)が、接続されている。
【0073】
次に、磁力線集中領域の形成方法について説明する。図10に、図9の一点鎖線で囲まれた領域Xの拡大図を示す。まず、コイル部材36に電流を流す。すると、コイル部材36の外側に磁場が形成される。ここで、線材32は、コイル部材36に沿って、配置されている。このため、図10に示すように、コイル部材36から放射された磁力線Lは、線材32を通過しようとして集中する。これにより、磁力線集中領域M(図10中、一点鎖線のハッチングで示す)が形成される。磁力線集中領域Mにおいては、発泡ウレタン樹脂原料U1の流動方向(左右前後方向)と略直交する方向(上下方向)に延びる磁力線が、集中している。このように、線材32は、コイル部材36と共に、磁力線集中領域Mを形成する。線材32は、本発明における磁性部材に含まれる。また、線材32およびコイル部材36は、本発明における磁力線集中領域形成手段に含まれる。
【0074】
本実施形態のウレタン発泡成形体の製造方法ついては、磁力線集中領域の形成方法が異なる点以外は、第一実施形態と同じである。また、製造されるウレタン発泡成形体についても、第一実施形態と同じである。このため、説明を省略する。
【0075】
本実施形態のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態のウレタン発泡成形装置1によると、線材32およびコイル部材36により、磁力線集中領域Mが形成される。したがって、簡単な構成、かつ低コストで、欠肉等の欠陥が少なく、薄くて低密度なウレタン発泡成形体を製造することができる。また、本実施形態のウレタン発泡成形装置1によると、発泡ウレタン樹脂原料U1の周囲にのみ、磁場が形成される。このため、発泡ウレタン樹脂原料U1の発泡による初期の流動が、妨げられにくい。したがって、発泡成形の開始時から、比較的大きな磁束密度で、磁場集中領域を形成することができる。
【0076】
<第五実施形態>
本実施形態のウレタン発泡成形装置と第一実施形態のウレタン発泡成形装置との相違点は、主に、上側基材に代えて、発泡ウレタン樹脂原料と一体成形される部品が用いられている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0077】
まず、本実施形態のウレタン発泡成形装置の構成について説明する。図11(a)に、本実施形態のウレタン発泡成形装置の断面図を示す。図11(b)に、同装置の上面図を示す。図11(a)、(b)の各々において、図3(a)、(b)と対応する部位については、同じ符合で示す。
【0078】
図11(a)に示すように、ウレタン発泡成形装置1は、枠体2と、成形部4と、を備えている。枠体2は、下板23と、上板24と、四本の支柱22と、を備えている。下板23および上板24は、いずれもアルミニウム製であり、長方形板状を呈している。下板23および上板24の形状以外の枠体2の構成は、第一実施形態の枠体2の構成と同じである。
【0079】
成形部4は、下側基材40と、カバー本体41と、線材42と、下側磁石43と、上側磁石44と、を備えている。下側基材40、下側磁石43、および上側磁石44は、いずれも長方形板状を呈している。下側基材40、下側磁石43、上側磁石44の形状、および後述するカバー本体41以外の成形部4の構成は、第一実施形態の成形部3の構成と同じである。すなわち、線材42は、下側磁石43および上側磁石44と共に、磁力線集中領域を形成する。線材42は、本発明における磁性部材に含まれる。また、線材42、下側磁石43および上側磁石44は、本発明における磁力線集中領域形成手段に含まれる。
【0080】
カバー本体41は、樹脂製であり、長方形凸板状を呈している。カバー本体41は、下側基材40と上側磁石44との間に配置されている。カバー本体41は、上側磁石44の下方に離間して配置されている。カバー本体41の左右方向両端部は、下側基材40の上面に積層されている。カバー本体41の左右方向両端部と、下側基材40の左右方向両端部とは、ジグ(図略)により固定されている。カバー本体41は、左右方向両端部を除いて、下側基材40の上方に離間して配置されている。カバー本体41は、本発明における第二基材に含まれる。
【0081】
本実施形態のウレタン発泡成形体の製造方法ついては、第一実施形態と同じである。また、製造されるウレタン発泡成形体についても、第一実施形態と同じである。このため、説明を省略する。
【0082】
本実施形態のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態のウレタン発泡成形装置1によると、開放系で、カバー本体41の下面にウレタン発泡成形体を一体成形することができる。このため、金型を用いる場合と異なり、型締めによりカバー本体41が押圧されることはない。したがって、カバー本体41に傷がつきにくい。また、カバー本体41は、遮音層としての役割を果たす。カバー本体41に一体成形されたウレタン発泡成形体は、吸音層としての役割を果たす。よって、本実施形態のウレタン発泡成形体付きカバー本体41は、防音カバーとして好適である。
【0083】
<第六実施形態>
本実施形態のウレタン発泡成形装置と第一実施形態のウレタン発泡成形装置との相違点は、上側基材と下側基材とにより金型が構成されている点である。また、下側磁石および上側磁石に代えて電磁石部が配置されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0084】
[ウレタン発泡成形装置の構成]
まず、本実施形態のウレタン発泡成形装置の構成について説明する。図12に、ウレタン発泡成形装置の斜視図を示す。図13に、同装置の断面図を示す。図14に、同装置を構成する金型の斜視分解図を示す。図13においては、説明の便宜上、ヨーク部および芯部のハッチングを省略して示す。図12、図13に示すように、ウレタン発泡成形装置5は、架台50と、電磁石部52と、金型6と、を備えている。
【0085】
電磁石部52は、架台50の上面に載置されている。電磁石部52と架台50とは、各々にブラケット51をねじ止めすることにより、固定されている。電磁石部52は、ヨーク部53U、53Dと、コイル部54L、54Rと、ポールピース55U、55Dと、を備えている。
【0086】
ヨーク部53Uは、鉄製であり、平板状を呈している。ヨーク部53Dも同様に、鉄製であり、平板状を呈している。ヨーク部53U、53Dは、上下方向に対向して配置されている。
【0087】
コイル部54Lは、ヨーク部53U、53Dの間に介装されている。コイル部54Lは、金型6の左側に配置されている。コイル部54Lは、上下方向に二つ重ねて配置されている。コイル部54Lは、各々、芯部540Lと導線541Lとを備えている。芯部540Lは、鉄製であり、上下方向に延びる柱状を呈している。導線541Lは、芯部540Lの外周面に巻装されている。導線541Lは、電源(図略)に接続されている。
【0088】
コイル部54Rは、ヨーク部53U、53Dの間に介装されている。コイル部54Rは、金型6の右側に配置されている。コイル部54Rは、上下方向に二つ重ねて配置されている。コイル部54Rは、各々、コイル部54Lと同様の構成を備えている。すなわち、コイル部54Rは、芯部540Rと導線541Rとを備えている。導線541Rは、芯部540Rの外周面に巻装されている。導線541Rは、電源(図略)に接続されている。
【0089】
ポールピース55Uは、鉄製であり、平板状を呈している。ポールピース55Uは、ヨーク部53Uの下面中央に配置されている。ポールピース55Uは、ヨーク部53Uと金型6との間に介装されている。ポールピース55Dは、鉄製であり、平板状を呈している。ポールピース55Dは、ヨーク部53Dの上面中央に配置されている。ポールピース55Dは、ヨーク部53Dと金型6との間に介装されている。
【0090】
金型6は、コイル部54Lとコイル部54Rとの間に、配置されている。図14に示すように、金型6は、上型60Uと下型60Dとを備えている。上型60Uは、本発明における第二基材に含まれる。下型60Dは、本発明における第一基材に含まれる。上型60Uは、アルミニウム製であり、正方形板状を呈している。下型60Dは、アルミニウム製であり、直方体状を呈している。下型60Dの上面には、キャビティ用凹部610と、ガス抜き通路用凹部620と、が形成されている。キャビティ用凹部610は、上方に開口する直方体状を呈している。ガス抜き通路用凹部620は、上方に開口する矩形スリット状を呈している。ガス抜き通路用凹部620は、キャビティ用凹部610の右端上方から連なって形成されている。
【0091】
キャビティ用凹部610とガス抜き通路用凹部620との境界近傍には、線材63が配置されている。線材63は、鉄製である。線材63は、ガス抜き通路用凹部620の左端の前方、後方、下方を包囲するように、埋設されている。後述するように、線材63は、電磁石部52と共に、磁力線集中領域を形成する。線材63は、本発明における磁性部材に含まれる。また、線材63および電磁石部52は、本発明における磁力線集中領域形成手段に含まれる。
【0092】
図13に戻って、上型60Uと下型60Dとが合体することにより、直方体状のキャビティ61と、それに連なるガス抜き通路62と、が区画されている。キャビティ61は、ガス抜き通路62を介して、外部と連通している。キャビティ61には、発泡ウレタン樹脂原料が充填されている。発泡ウレタン樹脂原料は、ポリオール成分、イソシアネート成分、ステンレス鋼粉末(磁性体粒子)、および発泡剤、触媒等の所定の添加剤を混合して調製されている。ステンレス鋼粉末の配合量は、製造するウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の16体積%である。
【0093】
[ウレタン発泡成形体の製造方法]
次に、ウレタン発泡成形装置5を用いた、本実施形態のウレタン発泡成形体の製造方法について説明する。まず、導線541Lに接続された電源および導線541Rに接続された電源を、共にオンにすると、コイル部54Lの芯部540Lの上端がN極に、下端がS極に磁化される。このため、芯部540Lに、下方から上方に向かって磁力線L(図13に点線で示す)が発生する。同様に、コイル部54Rの芯部540Rの上端がN極に、下端がS極に磁化される。このため、芯部540Rに、下方から上方に向かって磁力線Lが発生する。
【0094】
コイル部54Lの芯部540L上端から放射された磁力線Lは、ヨーク部53U、ポールピース55Uを通って、金型6のキャビティ61内に流入する。その後、ポールピース55D、ヨーク部53Dを通って、芯部540L下端に流入する。同様に、コイル部54Rの芯部540R上端から放射された磁力線Lは、ヨーク部53U、ポールピース55Uを通って、金型6のキャビティ61内に流入する。その後、ポールピース55D、ヨーク部53Dを通って、芯部540R下端に流入する。
【0095】
ここで、線材63の透磁率は大きい。よって、キャビティ61内に流入した磁力線Lの一部は、線材63を通過しようとして線材63付近に集中する。これにより、キャビティ61とガス抜き通路62との境界付近に、磁力線集中領域が形成される。磁力線集中領域においては、発泡ウレタン樹脂原料の流動方向(キャビティ61からガス抜き通路62へ流出する方向)と略直交する方向(上下方向)に延びる磁力線Lが、集中している。したがって、発泡ウレタン樹脂原料の流出が、磁力線集中領域によりせき止められる。また、発泡ウレタン樹脂原料に含まれるステンレス鋼粉末(磁性体粒子)の一部は、磁力線集中領域以外の磁力線Lに沿って配向する。これにより、配向したステンレス鋼粒子を有するウレタン発泡成形体が製造される。
【0096】
[作用効果]
本実施形態のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置は、構成が共通する部分については、第一実施形態のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態のウレタン発泡成形装置5によると、ガス抜き通路62の入り口付近に、磁力線集中領域が形成されている。これにより、ガス抜き通路62の入り口付近で、発泡ウレタン樹脂原料の流出を、せき止めることができる。したがって、ガス抜き通路62から、キャビティ61内のガスのみを、選択的に排出することができる。
【0097】
また、ガス抜き通路62は、下型60Dの上面(上型60Uとの合わせ面)に形成されている。よって、ガス抜き通路の形成が容易である。また、下型60Dと上型60Uとの合わせ面は、キャビティ61の上端と面一である。したがって、本構成においては、キャビティ61の上方に滞留したガスを、確実に排出することができる。
【0098】
また、製造されたウレタン発泡成形体においては、一端から他端に向かって、ステンレス鋼粒子が配向している。このため、ウレタン発泡成形体の一端に加わった熱は、ステンレス鋼粒子を介して他端に伝達され、速やかに放出される。したがって、本実施形態のウレタン発泡成形体は、熱伝導性に優れる。
【0099】
<その他>
以上、本発明のウレタン発泡成形体、その製造方法、およびウレタン発泡成形装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0100】
例えば、第一基材(下側基材)、第二基材(上側基材)の材質、形状等は、上記実施形態に限定されない。第一基材、第二基材の材質は、非磁性材料であればよい。また、第五実施形態では、第二基材として、発泡ウレタン樹脂原料と一体成形されるカバー本体を使用した。この場合、一体成形する部品の種類については、特に限定されない。
【0101】
磁力線集中領域を形成するための磁性部材の材質は、上記実施形態に限定されない。例えば、鉄の他、透磁率が大きい材料として、ステンレス鋼等の鉄系合金、ニッケル、コバルト等の強磁性体を用いてもよい。磁性部材の形状も、線材の他、シート材等であってもよい。磁性部材の材質は、配置場所ごとに、異なっていてもよい。また、材質、形状等が異なる複数の磁性部材を、組み合わせて配置してもよい。例えば、第一実施形態の鉄製の線材と、第三実施形態のラバーマグネットを併用してもよい。
【0102】
第一〜第五実施形態では、発泡ウレタン樹脂原料の周囲を囲むように、磁性部材を配置した。しかし、磁性部材の配置形態は、形成される磁場集中領域を考慮して、適宜決定すればよい。例えば、発泡ウレタン樹脂原料の周囲の一部のみに、磁性部材を配置してもよい。また、所定の間隔で、磁性部材を点在させてもよい。また、第一〜第五実施形態では、磁性部材を矩形状に配置した。しかし、磁性部材を円形、星形等に配置してもよい。
【0103】
上記実施形態では、発泡ウレタン樹脂原料の流動方向と略直交する方向に磁力線を集中させて、磁場集中領域を形成した。しかし、磁場集中領域の磁力線は、発泡ウレタン樹脂原料の流動方向と、必ずしも直交している必要はない。磁場集中領域の磁力線の方向は、発泡ウレタン樹脂原料の流動方向と交差していればよい。また、発泡ウレタン樹脂原料の流動を妨げないように、磁場集中領域の磁束密度や、磁場集中領域を形成するタイミング等を調整することが望ましい。
【0104】
磁性部材と他の部材との組合せで、磁力線集中領域を形成する場合、他の部材としては、永久磁石や電磁石が好適である。電磁石を用いると、磁場形成のオン、オフを瞬時に切り替えることができると共に、磁場の強さの制御も容易である。例えば、第六実施形態の金型に変えて、第一〜第三および第五実施形態の成形部を配置して、ウレタン発泡成形装置を構成してもよい。なお、第六実施形態においては、金型の左右方向にコイル部を配置した。しかし、電磁石部の構成は、形成される磁場等に応じて、適宜決定すればよい。例えば、金型の上下方向にコイル部を配置してもよい。また、第一、第二、第五実施形態において、磁性部材(線材)に対応する部分にのみ、上側磁石および下側磁石を配置してもよい。
【0105】
発泡ウレタン樹脂原料は、磁性体粒子以外は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒等の既に公知の原料から調製すればよい。また、磁性体粒子は、磁化特性に優れたものであればよく、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、ステンレス鋼、マグネタイト、マグヘマイト、マンガン亜鉛フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の強磁性体、MnO、Cr、FeCl、MnAs等の反強磁性体、およびこれらを用いた合金類の粒子が好適である。なかでも、微細な粒子として入手しやすく、飽和磁化が高いという観点から、鉄、ニッケル、コバルト、およびこれらの鉄系合金(ステンレス鋼を含む)の粉末が好適である。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明のウレタン発泡成形体は、車両、電子機器、電気製品等の様々な分野における吸音材、振動吸収材として用いることができる。例えば、エンジンの騒音を低減するために車両のエンジンルームに配置されるエンジンカバーやサイドカバー、OA(Office Automation)機器や家電製品のモーター用吸音材等に好適である。
【符号の説明】
【0107】
1:ウレタン発泡成形装置
2:枠体 20、23:下板 21、24:上板 22:支柱
3:成形部 30:下側基材(第一基材) 31:上側基材(第二基材)
32:線材(磁性部材) 33:下側磁石(磁力線集中領域形成手段)
34:上側磁石(磁力線集中領域形成手段) 35a:下側帯材(磁性部材)
35b:上側帯材(磁性部材) 36:コイル部材(磁力線集中領域形成手段)
300:溝部
4:成形部 40:下側基材(第一基材) 41:カバー本体(第二基材)
42:線材(磁性部材) 43:下側磁石(磁力線集中領域形成手段)
44:上側磁石(磁力線集中領域形成手段)
5:ウレタン発泡成形装置
50:架台 51:ブラケット
52:電磁石部(磁力線集中領域形成手段) 53D、53U:ヨーク部
54L、54R:コイル部 55D、55U:ポールピース 540L、540R:芯部
541L、541R:導線
6:金型 60D:下型(第一基材) 60U:上型(第二基材) 61:キャビティ
62:ガス抜き通路 63:線材(磁性部材) 610:キャビティ用凹部
620:ガス抜き通路用凹部
L:磁力線 M:磁力線集中領域 S:ステンレス鋼粒子(磁性体粒子)
U1:発泡ウレタン樹脂原料 U1’:発泡ウレタン樹脂原料の流動先端
U2:ウレタン発泡成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体粒子を含む液状の発泡ウレタン樹脂原料を発泡させてウレタン発泡成形体を製造するウレタン発泡成形体の製造方法であって、
対向して配置された第一基材と第二基材との間に、前記発泡ウレタン樹脂原料を配置する原料配置工程と、
該第一基材と該第二基材との間の、該発泡ウレタン樹脂原料の周囲の少なくとも一部に形成された、該発泡ウレタン樹脂原料の流動方向と交差する方向に磁力線が集中した磁力線集中領域により、該発泡ウレタン樹脂原料の流動をせき止めながら、該発泡ウレタン樹脂原料を発泡成形する発泡成形工程と、
を有することを特徴とするウレタン発泡成形体の製造方法。
【請求項2】
前記磁力線集中領域は、前記第一基材および前記第二基材の少なくとも一方に配置される磁性部材を有する磁力線集中領域形成手段により形成される請求項1に記載のウレタン発泡成形体の製造方法。
【請求項3】
前記磁性部材は、前記第一基材および前記第二基材の両方に、各々が対向するように配置される請求項2に記載のウレタン発泡成形体の製造方法。
【請求項4】
前記第一基材および前記第二基材の少なくとも一方は、前記発泡ウレタン樹脂原料と一体成形される部品である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のウレタン発泡成形体の製造方法。
【請求項5】
前記第一基材は下型であり、前記第二基材は上型であり、該下型と該上型とが合体することにより金型のキャビティが形成され、
該金型は、該キャビティから外部に連通するガス抜き通路を有し、
前記磁性部材は、該ガス抜き通路の該キャビティ側近傍に配置される請求項2または請求項3に記載のウレタン発泡成形体の製造方法。
【請求項6】
前記発泡成形工程は、前記発泡ウレタン樹脂原料に磁場をかけ、前記磁性体粒子を配向させる配向工程を有する請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のウレタン発泡成形体の製造方法。
【請求項7】
磁性体粒子を含む液状の発泡ウレタン樹脂原料が配置される第一基材と、
該第一基材と対向して配置され、該発泡ウレタン樹脂原料の流動方向を規制する第二基材と、
該第一基材と該第二基材との間において、該発泡ウレタン樹脂原料の該流動方向と交差する方向に磁力線が集中した磁力線集中領域を形成可能な磁力線集中領域形成手段と、を備え、
形成された該磁力線集中領域により、該発泡ウレタン樹脂原料の流動をせき止めながら、該発泡ウレタン樹脂原料を発泡成形することを特徴とするウレタン発泡成形装置。
【請求項8】
磁性体粒子を含むシート状のウレタン発泡成形体であって、
該磁性体粒子は、ウレタン発泡成形体の周縁部の少なくとも一部に偏在していることを特徴とするウレタン発泡成形体。
【請求項9】
前記磁性体粒子の含有量は、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の0.5体積%以上5体積%以下である請求項8に記載のウレタン発泡成形体。
【請求項10】
密度が100kg/m以下であり、厚さが1mm以下である請求項8または請求項9に記載のウレタン発泡成形体。
【請求項11】
厚さ方向の表面に凸部および凹部の少なくとも一方を有する請求項8ないし請求項10のいずれかに記載のウレタン発泡成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−206341(P2012−206341A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73256(P2011−73256)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【出願人】(000219668)東海化成工業株式会社 (39)
【Fターム(参考)】