説明

エアバッグ・カバー用フィルム・プレート

本発明は、エアバッグ・カバー用のフィルム・プレートに関する。本発明の目的は、フィルム・プレートを、より平易な方法で製造し、より平易な方法で前記エアバッグに取り付けることである。本発明に基づき、深絞り加工されたフィルム・プレート(2、5、10、16、24)が構成され、当該フィルム・プレートは、補強的要素を介さずに前記エアバッグ・カバー(1、4、11、17、29)に直接取り付けられる。同エアバッグ・カバーは、前記フィルム・プレートの外形を同フィルム・プレート(2、5、10、16、24)の位置に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ・カバー用のフィルム・プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
装飾要素として塊状のプレートを有するエアバッグ・カバー以外に、フィルムによって形成されるプレートを使用するエアバッグ・カバーが公知である。このフィルム・プレートは、衝突時にエアバッグ・カバーが開裂する際、フィルム・プレートが軟質性であることにより、乗員の受傷を回避できる利点がある。
【0003】
DE10100747A1号では、柔軟性の装飾プレートを有するエアバッグ・カバーが開示されている。この装飾プレートは、エアバッグ・カバーに類似の比較的軟質性の樹脂による成形品を有し、樹脂製の基材シートと、上層フィルムとが配されている。これらは複数の段階を有する工程にてホット・プレスにより連結される。この構成の欠点は、これらプレートが複数層から成り、複数の工程にて構成されエアバッグ・カバーに取り付けられねばならない点である。
【0004】
更に、文献US7059628B2号に開示されたエアバッグ・カバーは、例えば金属製のコンパクトなプレートが、エアバッグ・カバー上にスナップイン結合により取り付けられている。このようなコンパクトなプレートは、前述のフィルム・プレートと比較してより平易に形成可能であり、より平易な方法でエアバッグ・カバー上に取り付けることも可能である。しかし、衝突の際の乗員に怪我を負わせる危険があるという欠点がある。
【特許文献1】DE10100747A1号
【特許文献2】US7059628B2号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より平易な方法にてフィルム・プレートを形成し、より平易な方法にてこのフィルム・プレートをエアバッグ・カバーに取り付けることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づき、この課題は請求項1の特徴により達成される。
【0007】
本発明によれば、フィルム・プレートはエアバッグ・カバー用として構成されている。当該フィルム・プレートは、補強要素を用いずにエアバッグ・カバー上に取り付けられ、当該エアバッグ・カバーはフィルム・プレートの位置に、フィルム・プレートのために少なくとも部分的な支持体を有する。このためフィルム・プレートの重量は、公知のフィルム・プレートに比べて削減される。コンパクトなプレートを有する構成に比べても、重いプレートの支持体が省略されるため、エアバッグ・カバーの重量は低減される。スチール製プレートまたは鋳造プレートに比べ、製造コストは最小である。フィルム・プレートの低重量のため、エアバッグ作動中のエアバッグ・カバーおよび連結領域の圧力が低下する。OOP時(乗員が正常位置に着座していない時)の乗員への圧力が低減される。
【0008】
エアバッグ・カバーはフィルム・プレートの位置においてフィルム・プレートの外形を有することが好ましい。フィルム・プレートは、例えば、熱間圧印加工または冷間圧印加工(高温または低温でのエンボス加工)されてもよい。
【0009】
フィルム・プレートは、種々の方法で、エアバッグ・カバーに取り付けられてもよい。機械的連結要素によりフィルム・プレートをエアバッグ・カバー上に取り付けることも可能である。
【0010】
第一実施例において、フィルム・プレートは、エアバッグ・カバー上にスナップイン連結により取り付け可能である。スナップイン要素は、フィルム・プレートの外側リムに少なくとも設けられている。弾性変形可能なフック要素がスナップイン要素として設けられてもよく、当該フック要素はエアバッグ・カバーを貫通して裏側に達する。好ましい実施例では、フック要素は対向方向を向く少なくとも2つの鉤部を有する。
【0011】
プレート部がスナップ要素として設けられてもよく、当該プレート部にエアバッグ・カバー上のスナップイン突起部が対応する。
【0012】
第二実施例では、フィルム・プレートは、クランプ連結によりエアバッグ・カバーに取り付け可能である。弾性変形可能な鋸歯状の要素がクランプ要素として設けられ、当該クランプ要素はエアバッグ・カバーの対応する開口部に挿入される。
【0013】
更なる実施例では、フィルム・プレートの自立性リムまたはこれらリムに設けられたプレート部がエアバッグ・カバーの対応するスロットに挿入される。
【0014】
機械的連結要素が、フィルム・プレートに一体状に設けられていることが好ましい。
【0015】
更なる実施例では、フィルム・プレートは、エアバッグ・カバーに貼着(接着)される。
【0016】
フィルム・プレートは装飾要素を有することが好ましい。この装飾要素は、種々の方法で製造可能である。フィルム・プレートは、その表面にカラー・プリントを施されていてもよい。フィルム・プレートは、装飾的フィルムから形成されてもよい。あるいは、めっき加工された装飾要素が設けられてもよい。この製造技術は、一例として述べたに過ぎない。更なる製造技術も可能である。
【0017】
更なる実施例では、フィルム・プレートは下部側に圧印加工された構造を有し、当該構造を上部側から視認することが可能である。
【0018】
本発明を図に基づいて説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1では、エアバッグ・キャップ1が斜視図として示され、当該エアバッグ・キャップにフィルム・プレート2が配置されている。エアバッグ・キャップ1は、フィルム・プレートの取り付けられる位置に、当該フィルム・プレートが隆起した外形3を有し、これにより、フィルム・プレートはエアバッグ・キャップに整合した状態で配置される。従って、本質的に不安定なフィルム・プレートのための補強材は必要である。もしフィルム・プレートのための個別の補強部がエアバッグ・キャップ上に設けられていれば、この補強材も不要である。
【0020】
図2は、第一実施例におけるフィルム・プレート5を有するエアバッグ・キャップ4の部分を示し、図3にその断面を示す。フィルム・プレート5は円周状リム6を有し、当該リムは外側に曲折し、特に図4に示されるように、同様に円周状に形成されたエアバッグ・キャップ4の円周状のスロット7に係合している。フィルム・プレート5の内側リム8も、エアバッグ・キャップ4のスロット9に係合している。フィルム・プレートは、この実施例では、貼着によってエアバッグ・キャップに取り付けられる。
【0021】
図5に示されるフィルム・プレート10の第二実施例において、鋸歯状要素12が、エアバッグ・キャップ11上にフィルム・プレートを取り付けるためのクランプ要素として設けられている。これらのクランプ要素は、図7および図8に示されるように、フィルム・プレート10の円周状外側リム13および内側リム14に、フィルム・プレートと一体状に構成されている。図8に示すように、歯型部を有するクランプ要素12は、スロット15の対向する両側面に保持されている。クランプ要素12は、スロット15より幅広であり、スロット15内に挿入される際に弾性変形する。クランプ要素12をスロット15に押し込むことにより、クランプ連結が有効となる。
【0022】
図9に示されるフィルム・プレート16の第三実施例においては、エアバッグ・キャップ17にフィルム・プレートを取り付けるべく、フック要素18が設けられている。これらフックは、フィルム・プレート16の円周状外側リム19および内側リム20に、フィルム・プレートと一体状に形成されている。フック要素18は、対向状の2つの鉤部21、22を有する(図12)。これら鉤部は、図11および図12から明らかなように、スロット23に貫入している。フィルム・プレート16の取り付け中に、フック部21、22は、エアバッグ・キャップ17に押圧されることにより弾性変形し、その結果スロット23に押し込まれる。スロットを貫通した後、フック部21、22は、外方向に形状復帰し、エアバッグ・キャップ17裏に達し、これによって、フィルム・プレート16はエアバッグ・キャップ上に取り付けられる。
【0023】
フィルム・プレート24の第四実施例が図13に示される。このフィルム・プレートはプレート部25を有し、当該プレート部は、円周状外側リム26および内側リム27にてフィルム・プレート24と一体状に形成されている。プレート部25は開口部28を有し、当該開口部に対して、弾性変形可能なスナップイン突出部31が構成されている。フィルム・プレートの取り付け中に、スナップイン突出部31は、プレート25を押し下げることにより弾性変形される。これらスナップイン突出部は、開口部28にスナップ係合し、これによって、フィルム・プレートは、エアバッグ・キャップに取り付けられる。
【0024】
図8および図12においては、フィルム・プレートの一部が、符号31,32によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】フィルム・プレートを有するエアバッグ・カバー・キャップを示す。
【図2】フィルム・プレートを有するエアバッグ・キャップの一部の平面図を示す。
【図3】フィルム・プレートの第一実施例である図2の断面を示す。
【図4】図3の拡大詳細図を示す。
【図5】第二実施例におけるフィルム・プレートの下部の斜視図を示す。
【図6】図5に係るフィルム・プレートを有するエアバッグ・キャップの部分的平面図を示す。
【図7】図6の断面を示す。
【図8】図7の拡大断面を示す。
【図9】第三実施例におけるフィルム・プレートの下部の斜視図を示す。
【図10】図9に係るフィルム・プレートを有するエアバッグ・キャップの平面図を示す。
【図11】図10の断面を示す。
【図12】図11の拡大断面を示す
【図13】第四実施例におけるフィルム・プレートの下部の斜視図を示す。
【図14】図13に係るフィルム・プレートを有するエアバッグ・キャップの平面図を示す。
【図15】拡大した図14の断面を示す。
【符号の説明】
【0026】
1 エアバッグ・キャップ
2 フィルム・プレート
3 外形
4 エアバッグ・キャップ
5 フィルム・プレート
6 リム
7 スロット
8 リム
9 スロット
10 フィルム・プレート
11 エアバッグ・キャップ
12 スナップイン要素
13 リム
14 リム
15 スロット
16 フィルム・プレート
17 エアバッグ・キャップ
18 フック要素
19 リム
20 リム
21 鉤状部
22 鉤状部
23 スロット
24 フィルム・プレート
25 プレート部
26 リム
27 リム
28 開口部
29 エアバッグ・カバー
30 スナップイン突起部
31 フィルム・プレート
32 フィルム・プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグ・カバー用のフィルム・プレートであって、
深絞り加工または圧印加工により予め形成されたフィルム・プレート(2、5、10、16、24)が設けられ、
当該フィルム・プレートは、補強要素を介さずに、機械的連結要素(12、18、25)により、前記エアバッグ・カバー(1、4、11、17、29)に直接取り付け可能に構成されており、
前記エアバッグ・カバー(1、4、11、17、29)は、前記フィルム・プレート(2、5、10、16、24)の位置に、前記フィルム・プレート(2、5、10、16、24)のための少なくとも1つの部分的支持部(3)を有することを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム・プレートであって、前記エアバッグ・カバーは、前記フィルム・プレートの外形(3)を同フィルム・プレート(2、5、10、16、24)の位置に有することを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフィルム・プレートであって、当該フィルム・プレートが、熱間圧印加工または冷間圧印加工されていることを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルム・プレートであって、前記フィルム・プレート(16、24)は、前記エアバッグ・カバー(17、29)上にスナップイン連結(18、23、28、30)によって取り付け可能であることを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルム・プレートであって、前記スナップイン要素(18、25)は、前記フィルム・プレート(16、24)の外側リム(19、26)に少なくとも設けられていることを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項6】
請求項4または5に記載のフィルム・プレートであって、弾性変形可能なフック要素(18)が、スナップイン要素として設けられ、当該フック要素は、前記エアバッグ・カバー(17)の裏側に達することを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項7】
請求項6に記載のフィルム・プレートであって、前記フック要素(18)は、対向する方向に向いた少なくとも2つの鉤部(21、22)を有することを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項8】
請求項4または5に記載のフィルム・プレートであって、プレート(25)がスナップイン要素として設けられ、当該プレートに対し、前記エアバッグ・カバー(29)上にスナップイン突起部(30)が設けられていることを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルム・プレートであって、前記フィルム・プレート(10)は、クランプ連結部(12、15)によって前記エアバッグ・カバー(11)に取り付け可能であることを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項10】
請求項9に記載のフィルム・プレートであって、弾性変形可能な鋸歯状要素(12)がクランプ要素として設けられ、当該鋸歯状要素は、前記エアバッグ・カバー(11)の対応する開口部(15)に挿入可能であることを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のフィルム・プレートであって、前記フィルム・プレート(5、10、16、24)の自立性リム(6、8、13、14、19、20、26、27)またはこれらリムに設けられた前記プレート(25)が、前記エアバッグ・カバー(4、11、17、29)の対応するスロット(7、15、28)に挿入されることを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のフィルム・プレートであって、前記機械的連結要素(12、18、25)は、前記フィルム・プレート(10、16、24)にて一体状に設けられていることを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項13】
エアバッグ・カバー用のフィルム・プレートであって、
深絞り加工または圧印加工により予め形成されたフィルム・プレート(2、5、10、16、24)が設けられ、
当該フィルム・プレートは、補強要素を介さずに、前記エアバッグ・カバー(1、4、11、17、29)に直接貼着することが可能に構成されており、
前記エアバッグ・カバー(1、4、11、17、29)は、前記フィルム・プレート(2、5、10、16、24)の位置に、前記フィルム・プレート(2、5、10、16、24)のための少なくとも部分的支持部(3)を有することを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のフィルム・プレートであって、前記フィルム・プレートは、装飾要素を有することを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項15】
請求項14に記載のフィルム・プレートであって、前記フィルム・プレートは、当該フィルム・プレート自体の表面にカラー・プリントを有することを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項16】
請求項14に記載のフィルム・プレートであって、前記フィルム・プレートは、装飾フィルムから形成されることを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項17】
請求項14に記載のフィルム・プレートであって、めっき加工により形成された装飾要素が設けられていることを特徴とするフィルム・プレート。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のフィルム・プレートであって、前記フィルム・プレートは、プレート自体の下部側に圧印加工構造を有し、当該構造を、上部側から視認可能であることを特徴とするフィルム・プレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−520112(P2010−520112A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552146(P2009−552146)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051444
【国際公開番号】WO2008/107255
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(594101503)タカタ・ペトリ アーゲー (146)
【Fターム(参考)】