説明

エアバッグ装置用ガス発生器

【課題】 高性能を維持したまま小型軽量化できる側面衝突用エアバッグ装置のガス発生器の提供。
【解決手段】 ガス排出口12を有する筒状ハウジング11内には、伝火薬30が充填されたカップ部材31とガス発生剤成形体26がある。ガス排出口12に対向するカップ部材の周面33と筒状ハウジングの内周面11cとの環状間隙(ガス排出経路)15の間隔(A)が、ガス発
生剤成形体26の最小寸法部の大きさ(A)よりも小さい。このため、ガス発生剤成形体26が前記環状間隙に入り込んで、ガス排出口12を塞ぐことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエアバッグ装置に使用できるガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載するエアバッグ装置に使用されるガス発生器は、高い性能を維持したまま、小型軽量化することが求められている。特に側面衝突用エアバッグ装置は座席の下に取り付けられるものであるため、取り付けスペースが狭く、小型化の要請が大きい。
【0003】
特許文献1、2のガス発生器は、点火器の作動時、外殻容器が破裂するタイプのものであり、ガス排出口は有していない。このタイプのガス発生器は、内圧の制御が困難であることと、飛散した外殻容器の破片によるエアバッグの損傷を防止しなければならないという問題がある。
【0004】
特許文献3は、点火器に関する発明であるが、伝火薬28が密に充填され、貫通孔が伝火薬28で閉塞されているため、点火器の作動時には、全ての伝火薬28が燃焼しないと火炎は貫通孔から放出されない。
【特許文献1】特表2004−535966号公報
【特許文献2】US2002/63421 A1
【特許文献3】DE20 2004 011 078U1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高い性能を維持したまま、小型軽量化できるエアバッグ装置用ガス発生器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、課題の解決手段として、
一端側が閉塞され、他端側に点火手段が取り付けられ、周面に複数のガス排出口を有する筒状ハウジングと、前記筒状ハウジング内の燃焼室となる残部空間内に充填されたガス発生剤成形体を有しているガス発生器であり、
前記点火手段が、前記筒状ハウジングの他端側から挿入されたイニシエータカラーに固定された電気式点火器と、前記電気式点火器の着火部と接触配置された伝火薬とを有しており、
前記燃焼室内には、前記ガス発生剤が存在していない前記ガス排出口に至るガス排出経路が設けられており、前記ガス排出経路の幅(A)が、前記ガス発生剤成形体の最小寸法部の大きさ(A)よりも小さい(A<A)ものである、エアバッグ装置用ガス発生器を提供する。
【0007】
ハウジング内の燃焼室には、所要量のガス発生剤成形体が密に充填され、電気式点火器の作動時には、まずは着火部(又は伝火薬)に近い位置にあるガス発生剤成形体が燃焼して、隣接する位置にあるガス発生剤成形体から順に着火燃焼する。そして、発生した燃焼ガスは、ガス排出口から排出される。
【0008】
このようなガス発生剤成形体の燃焼過程において、ハウジングに設けられたガス排出口がガス発生剤成形体で塞がれていると、ガス排出口を塞ぐガス発生剤成形体が着火燃焼しないと、他のガス発生剤成形体の燃焼により発生した燃焼ガスの排出がされ難くなるおそれがある。このような事態が生じると、エアバッグが設計どおりに膨張されないおそれも
ある。
【0009】
このような問題を解決する手段として、着火部から生じる火炎等又は伝火薬の燃焼により生じる火炎等をチューブで導いて、燃焼室内のガス発生剤成形体の燃焼性を高めたガス発生器もあるが、チューブの分だけ質量が増加するほか、全体が大型化するため、側面衝突用エアバッグ装置のガス発生器としては適していない。
【0010】
本発明のガス発生器では、前記燃焼室内に前記ガス発生剤が存在していない前記ガス排出口に至るガス排出経路が設けられており、前記ガス排出経路の幅(A)と、ガス発生剤成形体の最小寸法部の大きさ(A)の関係をA<Aに設定することで、前記ガス排出経路にガス発生剤成形体が嵌り込んで、ガス排出口を閉塞することが防止される。
【0011】
このため、燃焼室内におけるガス発生剤成形体の燃焼により発生した燃焼ガスは、ガス排出口から速やかに排出され、設計どおりにエアバッグを膨張させることができる。
【0012】
前記ガス排出経路は、ハウジングと燃焼室内に配置された部材により形成することができる。このような部材としては、例えば、ガス発生剤の充填量に応じて燃焼室内の容積を調整するために汎用されているリテーナを挙げることができる。
【0013】
より具体的には、カップ状の本体部(断面は限定されず、円形、楕円形、多角形等のいずれでもよく、点火手段の作動により生じる火炎等を通過させる1又は複数の穴を有している。)と開口部にフランジ部を有するリテーナを、前記開口部側が点火手段側になり、カップ状の本体側壁面がガス排出口と対向するようにハウジング内に圧入すると(ハウジングの内径とフランジ部の外径は、圧入可能なように調整されている。)、カップ状の本体部の側壁面とハウジング内壁面との間に間隙が形成され、前記間隙(環状間隙)がガス排出経路となる。この場合、リテーナが、カップ状本体部の開口部の一部にのみフランジ部が形成されているものであり、カップ状本体部の一面がハウジング内壁面に接触された状態で圧入されているときは、前記間隙は非環状になる。
【0014】
しかし、ガス排出口がハウジングの周囲に均等間隔で形成されている場合は、ガス排出経路が環状間隙であり、前記環状間隙の幅(A)が、前記ガス発生剤成形体の最小寸法部の大きさ(A)よりも小さい(A<A)ものであることが好ましい。なお、「環状」は、円である必要はなく、楕円形や多角形を形成するものでもよい。
【0015】
ガス排出経路が環状間隙であるものは、ガス発生器の構造に応じて、最適な形成手段を選択することができる。ガス排出経路となる環状間隙の形成方法としては、下記の(i)〜(iv)のいずれかの方法を挙げることができるが、これらの以外の方法で環状間隙が形成されていてもよい。
(i)前記伝火薬を、前記燃焼室に面したイニシエータカラーを含む表面に被せて配置されたカップ部材内に充填した形態にして、前記カップ部材の外周面を前記ガス排出口に対向させ、前記カップ部材の外周面と前記筒状ハウジングの内周面との間にA<Aを満たす環状間隙を形成する方法;
(ii)前記イニシエータカラー(金属製)を、一部が前記燃焼室側に突き出した突出部を有する形状として、前記金属製の突出部の外周面と前記筒状ハウジングの内周面との間にA<Aを満たす環状間隙を形成する方法;
(iii)前記イニシエータカラー(金属製)を、一部が前記燃焼室側に突き出した突出
部を有し、前記突出部の周囲が樹脂で被覆された形状として、前記突出部の樹脂被覆部の外周面と前記筒状ハウジングの内周面との間にA<Aを満たす環状間隙を形成する方法;
(iv)前記燃焼室内に、大径部と小径部を有し、更に前記大径部と前記小径部の間に環状平面を有し、前記大径部側と前記小径部側に開口部を有するリテーナを、前記大径部の外周面を前記筒状ハウジングの内周面に当接し、前記小径部の外周面を前記ガス排出口に対向させ、前記大径部側の開口部を点火手段に面するように配置することで、前記小径部外周面と前記筒状ハウジングの内周面との間にA<Aを満たす環状間隙を形成する方法。
【0016】
(iv)の方法を適用する場合、リテーナの小径部側の開口部は、ガス発生剤成形体が通過できる大きさの1又は複数の穴でもよいし、ガス発生剤成形体が通過できない大きさの1又は複数の穴でもよい。リテーナの小径部側の開口部がガス発生剤成形体が通過できる大きさの穴である場合は、リテーナ内部(点火手段側の空間)にもガス発生剤成形体が充填されることになり、リテーナの小径部側の開口部がガス発生剤成形体が通過できない大きさの穴である場合は、リテーナ内部(点火手段側の空間)にはガス発生剤成形体は充填されない。
【0017】
本発明で用いるガス発生剤成形体の形状は特に制限されるものではなく、例えば、円柱状、ディスク状、貫通孔又は非貫通孔(窪み)を有する円柱状又はディスク状のものを用いることができる。
【0018】
円柱状のガス発生剤成形体を用いるときは直径が最小寸法部となり、ディスク状のガス発生剤成形体を用いるときは厚みが最小寸法部となる。貫通孔又は非貫通孔(窪み)を有する円柱状又はディスク状のものも同じである。
【0019】
本発明のガス発生器における点火手段の一要素である電気式点火器は、公知のものを用いることができる。
本発明のガス発生器は、ハウジング内に燃焼ガスを濾過及び冷却するためのフィルタを配置してもよいが、ガス発生器自体を小型軽量化する観点から、ハウジング内にはフィルタを配置せずに、ガス排出口から排出されるハウジング外のガス流出経路にフィルタを配置することができる。
【0020】
例えば、ガス発生器は、通常、エアバッグと共にモジュールケース内に収納された状態にて車両に取り付けられるものであるため、前記モジュールケース内のガス排出経路に相当する位置にフィルタを取り付けることができる。
【0021】
ガス発生器内にフィルタを取り付けない場合は、ミストの発生量が少ないガス発生剤成形体を用いることが好ましく、ガス発生器内にフィルタを取り付ける場合は、ガス発生剤成形体は特に制限されず、前記のミストの発生量が少ないガス発生剤成形体のほか、公知のガス発生剤を用いることができる。
【0022】
ミストの発生量の少ないガス発生剤成形体としては、US2005/0082804A1の請求項8に記載のガス発生剤からなるもの、USP6,126,197の請求項11、12に記載のガス発生剤からなるものを挙げることができる。
【0023】
また、上記の公知のガス発生剤としては、特開2001−328809号公報の請求項10〜21に記載されたガス発生剤組成物からなるもの、特開2002−12493号公報の特許請求の範囲及び段落12〜42に記載されたガス発生剤組成物からなるもの、特開2002−29880号公報の特許請求の範囲及び段落17〜31に記載されたエアバッグ用ガス発生剤成型体、特開2004−155645号公報の特許請求の範囲及び段落19〜62に記載されたガス発生剤組成物からなるものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のガス発生器は、高い性能を維持したまま、小型軽量化することができる。本発明のガス発生器は、エアバッグ装置用のガス発生器全般に適用できるが、特に側面衝突用又は膝保護用として適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(1)図1に示すガス発生器
図面により、本発明のガス発生器の実施形態を説明する。図1は、本発明のガス発生器10の縦断面図である。
【0026】
鉄、ステンレス等からなる耐圧性の筒状ハウジング(幅方向の断面は、円形、楕円形、多角形等)11は、一端側が閉塞(閉塞面11a)され、他端側には点火手段が取り付けられている。周面11bには、複数のガス排出口12が、周方向に均等間隔で設けられている。なお、燃焼ガスを濾過及び冷却するためのフィルタは、筒状ハウジング11内には配置されていない。
【0027】
点火手段は、イニシエータカラー21に嵌め込まれて固定された電気式点火器22と、伝火薬30を有している。電気式点火器22の2本の導電ピン23の一端側には発熱体24が架け渡されており、伝火薬30に発熱体24が接触されている。2本の導電ピン23は、コネクタ嵌め込み部27に嵌め込まれる、リードワイヤを有するコネクタを介して電
源と接続される。
【0028】
伝火薬30は、アルミニウム製のカップ部材31内に充填されており、公知のB/KNOやガス発生剤を用いることができる。カップ部材31は、伝火薬30の燃焼により、瞬時に開裂されるものである。
【0029】
カップ部材31は、天井面32、周面33、フランジ部34からなるものであり、カップ部材31は、フランジ部34を含めた外径が筒状ハウジング11の内径とほぼ同程度か僅かに大きくなるように設定されている。カップ部材31は、フランジ部34の部分をイニシエータカラー21の表面に当接するまで圧入することで、筒状ハウジング11内に固定されている。
【0030】
筒状ハウジング11内の残部空間が燃焼室25となり、燃焼室25内には所要量のディスク状のガス発生剤成形体26が密に充填されている。
【0031】
カップ部材の周面33は、ガス排出口12に正対しており、カップ部材の周面33と筒状ハウジングの内周面11cとの間に形成された、ガス排出経路となる環状間隙15の幅(A)は、ガス発生剤成形体26の最小寸法部の大きさ(厚みA)よりも小さくなっている(A<A)。
【0032】
このため、ガス発生剤成形体26が、カップ部材の周面33と筒状ハウジングの内周面11cとの間の環状間隙15に入り込むことがなく、ガス排出口12に正対する環状間隙15にはガス発生剤成形体26は存在していない。
【0033】
次に、図1で示されるガス発生器10を自動車のエアバッグ装置に組み込んだ場合の動作を説明する。なお、ガス発生器10は、エアバッグと共にモジュールケースに収納された状態で取り付け、前記モジュールケース内のガス排出経路(例えば、ガス発生器10のガス排出口12を包囲できる位置)には、公知のフィルタを配置する。
【0034】
自動車が衝突して衝撃を受けたとき、コントロールユニットからの作動信号を受け、点火器22が作動点火して伝火薬30が着火燃焼される。伝火薬30の燃焼により生じた火炎等により、カップ部材31は瞬時に開裂して、火炎等は燃焼室25内に放出され、ガス発生剤成形体26を着火燃焼させる。
【0035】
図示するとおり、伝火薬30、ガス発生剤26及びガス排出口12の位置関係から、伝火薬30に近接した位置のガス発生剤成形体26から先に着火燃焼されるため、発生したガスは、未燃焼の他のガス発生剤成形体(閉塞面11aに近い位置にあるもの)により流路を阻害されることなく、カップ部材の周面33と筒状ハウジングの内周面11cとの間の環状間隙(ガス排出経路)15を通って、ガス排出口12から排出され、設計どおりにエアバッグを膨張させる。
【0036】
(2)図2に示すガス発生器
図面により、本発明のガス発生器の別の実施形態を説明する。図2は、本発明のガス発生器10Aの縦断面図である。図1のガス発生器10と同一番号は、同じものであることを意味する。
【0037】
ガス発生器10Aでは、点火手段を固定するイニシエータカラー21が、筒状ハウジング11と接し、コネクタ嵌め込み部27を有する基礎部21aと、基礎部21aから突き出された、基礎部21aよりも外径の小さな円柱状の突出部21bとを有している。
【0038】
突出部21bの外周面と筒状ハウジングの内周面11cとの間にガス排出経路となる環状間隙15が形成されており、突出部21bの外周面と正対する位置の筒状ハウジング11にガス排出口12が設けられている。
【0039】
環状間隙15の幅(A)は、ガス発生剤成形体26の最小寸法部の大きさ(厚みA)よりも小さくなっている(A<A)ため、図1に示すガス発生器10と同じ動作をすることができる。
【0040】
(3)図3に示すガス発生器
図面により、本発明のガス発生器の別の実施形態を説明する。図3は、本発明のガス発生器10Bの縦断面図である。図1のガス発生器10と同一番号は、同じものであることを意味する。
【0041】
ガス発生器10Bでは、点火手段を固定するイニシエータカラー21が、筒状ハウジング11と接し、コネクタ嵌め込み部27を有する基礎部21aと、基礎部21aから突き出された、基礎部21aよりも外径の小さな円柱状の突出部21bとを有している。
【0042】
突出部21bの外周面の一部と、伝火薬30が充填されたカップ部材31の周囲は、樹脂で被覆されている(樹脂被覆部35)。そして、樹脂被覆部35の外周面と筒状ハウジングの内周面11cとの間にガス排出経路となる環状間隙15が形成されており、樹脂被覆部35の外周面と正対する位置の筒状ハウジング11にガス排出口12が設けられている。環状間隙15の幅(A)は、ガス発生剤成形体26の最小寸法部の大きさ(厚みA)よりも小さくなっている(A<A)ため、図1に示すガス発生器10と同じ動作をすることができる。
【0043】
(4)図4に示すガス発生器
図面により、本発明のガス発生器の別の実施形態を説明する。図4(a)は、本発明のガス発生器10Cの縦断面図であり、図4(b)は、図4(a)のリテーナとは別形態のリテーナの断面図である。図1のガス発生器10と同一番号は、同じものであることを意味する。
【0044】
ガス発生器10Cでは、燃焼室25内に略筒状のリテーナ40が配置されている。図4(a)に示すリテーナ40Aは、大径部41と、大径部41よりも外径の小さな小径部42を有し、更に大径部41と小径部42の間に環状平面43を有しており、大径部41側に開口部45aを有し、小径部42側に開口部(1つの穴)45bを有している。
【0045】
大径部41と小径部42は、互いに平行になるように形成されており、環状平面43は、大径部41と小径部42に対して垂直になるように形成されている。大径部41の外径と筒状ハウジング11の内径は同一か、大径部41の外径が僅かに大きくなるように設定されている。
【0046】
図4(a)のリテーナ40Aは、大径部41の外周面が筒状ハウジング内周面11cに圧接され、小径部42の外周面がガス排出口12に正対されて配置されており、環状平面43が存在することにより、小径部42の外周面と筒状ハウジング内周面11cとの間にはガス排出経路となる環状間隙15が形成されている。そして、リテーナ40Aは、大径部41側の開口部45aが電気式点火器22(及び伝火薬30)に面するように配置されている。
【0047】
図4(a)のガス発生器10Cでは、図1〜図3のものと比べるとガス排出口12が閉塞面11aに近い位置に形成されているが、本実施形態のようにリテーナ40Aを用いると、ガス排出口12の位置に拘わらず、A<Aの要件を満たすことができる。
【0048】
なお、図4(a)で示すリテーナ40Aでは、開口部45bの直径は、ガス発生剤成形体26よりも充分に大きく、開口部45aの直径は開口部45bの直径よりも大きいため、ガス発生剤成形体26は、カップ部材31と接触した状態にて充填されている。
【0049】
図4(b)で示すリテーナ40Bは、リテーナ40Aとほぼ同一形状及び構造であるが、リテーナ40Aの開口部(1つの穴)45bの代わりに、複数の穴46bを有している点で異なっている。複数の穴46bは、電気式点火器22の作動により生じた火炎等を通過させる。
【0050】
図4(b)で示すリテーナ40Bでは、穴46bの直径は、ガス発生剤成形体26よりも充分に小さく、開口部46aの直径は、筒状ハウジング11の内径と近似している。このため、リテーナ40Bでカップ部材31を包囲するように配置したとき、リテーナ40Bとカップ部材31の間にはガス発生剤成形体26は充填されない。
【0051】
図4(b)で示すリテーナ40Bは、ガス発生剤成形体26の充填量を少なくしようとするとき、ガス発生剤成形体26が密に充填されるように、燃焼室25の容積が小さくなるように調整すると共に、ガス排出口12に位置に応じて、A<Aの要件を満たすようにする場合に好適である。よって、大径部41の長さ(高さ)、小径部42の長さ(高さ)、環状平面43の幅は、取り付け対象となるガス発生器の各要素の形状及び構造に応じて、適宜調整することができる。
【0052】
このようなリテーナ40A、40Bを備えたガス発生器10Cを用いた場合、環状間隙15の幅(A)は、ガス発生剤成形体26の最小寸法部の大きさ(厚みA)よりも小さくなっている(A<A)ため、図1に示すガス発生器10と同じ動作をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のガス発生器の縦断面図。
【図2】別形態のガス発生器の縦断面図。
【図3】更に別形態のガス発生器の縦断面図。
【図4】(a)は更に別形態のガス発生器の縦断面図、(b)は(a)のリテーナとは別形態のリテーナの断面図。
【符号の説明】
【0054】
10、10A、10B、10C ガス発生器
11 筒状ハウジング
12 ガス排出口
15 ガス排出経路(環状間隙)
22 電気式点火器
25 燃焼室
26 ガス発生剤成形体
30 伝火薬
31 カップ部材
40A、40B リテーナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が閉塞され、他端側に点火手段が取り付けられ、周面に複数のガス排出口を有する筒状ハウジングと、前記筒状ハウジング内の燃焼室となる残部空間内に充填されたガス発生剤成形体を有しているガス発生器であり、
前記点火手段が、前記筒状ハウジングの他端側から挿入されたイニシエータカラーに固定された電気式点火器と、前記電気式点火器の着火部と接触配置された伝火薬とを有しており、
前記燃焼室内には、前記ガス発生剤が存在していない前記ガス排出口に至るガス排出経路が設けられており、前記ガス排出経路の幅(A)が、前記ガス発生剤成形体の最小寸法部の大きさ(A)よりも小さい(A<A)ものである、エアバッグ装置用ガス発生器。
【請求項2】
前記ガス排出経路が、前記ハウジングと前記燃焼室内に配置された部材により形成されるものである、請求項1記載のエアバッグ装置用ガス発生器。
【請求項3】
前記ガス排出経路が、前記燃焼室内の前記ガス排出口に面した位置において、前記ハウジングと前記燃焼室内に配置された部材により形成された環状間隙であり、前記環状間隙の幅(A)が、前記ガス発生剤成形体の最小寸法部の大きさ(A)よりも小さい(A<A)ものである、請求項1記載のエアバッグ装置用ガス発生器を提供する。
【請求項4】
前記伝火薬が、前記燃焼室に面したイニシエータカラーを含む表面に被せて配置されたカップ部材内に充填されており、
前記カップ部材の外周面が前記ガス排出口に対向し、前記カップ部材の外周面と前記筒状ハウジングの内周面との間には、前記ガス排出経路となる環状間隙が形成されており、
前記環状間隙の幅(A)が、前記ガス発生剤成形体の最小寸法部の大きさ(A)よりも小さい(A<A)ものである、請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグ装置用ガス発生器。
【請求項5】
前記イニシエータカラーの一部が前記燃焼室側に突き出された突出部を有しており、
前記突出部の外周面が前記ガス排出口に対向し、前記突出部の外周面と前記筒状ハウジングの内周面との間には、前記ガス排出経路となる環状間隙が形成されており、
前記環状間隙の幅(A)が、前記ガス発生剤成形体の最小寸法部の大きさ(A)よりも小さい(A<A)ものである、請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグ装置用ガス発生器。
【請求項6】
前記燃焼室内に略筒状のリテーナが配置されており、
前記リテーナが、大径部と小径部を有し、更に前記大径部と前記小径部の間に環状平面を有し、前記大径部側と前記小径部側に開口部を有しているものであり、
前記大径部の外周面が前記筒状ハウジングの内周面に当接され、前記小径部の外周面が前記ガス排出口に対向され、前記小径部の外周面と前記筒状ハウジングの内周面との間には、前記ガス排出経路となる環状間隙が形成されており、前記大径部側の開口部が点火手段に面するように配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグ装置用ガス発生器。
【請求項7】
前記ガス発生剤成形体が円柱状又はディスク状のものであり、円柱状のものは直径が最小寸法部となり、ディスク状のものは厚みが最小寸法部となる、請求項1〜6のいずれかに記載の側面衝突用エアバッグ装置のガス発生器。
【請求項8】
側面衝突用又は膝保護用である、請求項1〜7のいずれかに記載のエアバッグ装置のガス発生器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−196977(P2007−196977A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62598(P2006−62598)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】