説明

エア噴出ノズルおよびそれを用いたテンターオーブン

【課題】噴流の噴き出し方向が曲がらない、樹脂フィルム幅方向の伝熱効率の均一性が良好で、テンターオーブンに用いて好適なエア噴出ノズルを提供する。
【解決手段】一方向に搬送される樹脂フィルムに、空気を吹き付けるエア噴出ノズルであって、
前記エア噴出ノズルは、前記樹脂フィルム表面と対向する面に噴出孔を複数設けてあり、
前記噴出孔の配列は、樹脂フィルム搬送方向に直交する方向の複数の噴出孔から形成される列が、樹脂フィルム搬送方向に4列以上でかつ偶数列となるn列配列であり、
前記n列の孔列は、フィルム搬送方向上流側から1列目、2列目以後3、4、・・・・・n列目とし、2列目と3列目、・・・・・、n−2列目とn−1列目の間隔が、1列目と2列目、3列目と4列目、・・・・・、n−1列目とn列目の間隔より広いことを特徴とするエア噴出ノズル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルムの加熱または冷却に用いるエア噴出ノズルおよびそれを用いたテンターオーブンに関する。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸ポリエステルフィルムなどの樹脂フィルムの製造方法としては、口金からシート状に吐出してキャストドラム上で冷却固化した未延伸フィルムを、縦延伸機で樹脂フィルムの搬送方向に延伸した後、テンターオーブン内で樹脂フィルムの幅方向に延伸する逐次二軸延伸法や、前記未延伸フィルムをテンターオーブン内で樹脂フィルムの搬送方向と樹脂フィルムの幅方向とに延伸する同時二軸延伸法などが知られている。
【0003】
これらの製造方法に用いられるテンターオーブンは、樹脂フィルム表面と対向する面に空気の噴出孔を設けたエア噴出ノズルが、樹脂フィルムの搬送方向に複数配置されている。熱交換器によって所望の温度に制御された空気は、ファンによって各エア噴出ノズルに送り込まれ、噴出孔から樹脂フィルム表面に向かって吹き付けられる。吹き付けられた空気は、テンターオーブン内の吸引口から回収され、再使用される。
【0004】
一般にテンターオーブンは、樹脂フィルムの搬送方向に予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーンや冷却ゾーンなど複数のゾーンに区分されており、少なくとも各ゾーン毎に空気の温度を設定できるように構成される。クリップによって両端を把持されて搬送される樹脂フィルムは、予熱ゾーンで延伸に適した温度まで加熱され、延伸ゾーンで少なくとも幅方向に延伸された後、熱固定ゾーンや冷却ゾーンなどで熱処理や冷却処理される。エア噴出ノズルは、所望の温度に制御された空気を樹脂フィルム表面に吹き付けることで、空気と樹脂フィルムとの熱交換を促進し、樹脂フィルムを加熱または冷却するものである。
【0005】
このようにして製造される樹脂フィルムの特性は、テンターオーブンの各ゾーンを通過する際に受ける熱履歴に影響される。したがって、幅方向に均一な特性を有する樹脂フィルムを得るためには、エア噴出ノズルから放出する空気と樹脂フィルムとの熱交換を幅方向に均一化することが重要である。そのためエア噴出ノズルには、樹脂フィルムに当たる空気の温度が幅方向に均一であることと、エア噴出ノズルの伝熱効率が幅方向に均一であることが要求される。
【0006】
樹脂フィルム表面と対向する面に、樹脂フィルム幅方向に連続した噴出孔が設けられたエア噴出ノズルは、スリットノズルと呼ばれる。従来、空気の噴出速度および温度を樹脂フィルムの幅方向に均一化することを目的としたスリットノズルとして、対向流方式のダクトを有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、スリットノズルには、噴流の進行方向が曲がりやすいという問題がある。噴流の進行方向が曲がると、設定温度の異なるゾーンが隣接する部分で異なる温度の空気が混ざり、樹脂フィルム幅方向に大きな幅方向の温度ムラを生じ、幅方向に均一な特性を有する樹脂フィルムを得るのは困難であった。樹脂フィルムを製造する上で、特に熱固定ゾーンや冷却ゾーンでの幅方向の温度差は、厚みムラを悪化させるので大きな問題であった。
【0007】
本発明者らの知見によると、上記噴流の進行方向が曲がりやすいという問題は、樹脂フィルムの幅方向に噴出孔を不連続に配置することで改善される。これは、樹脂フィルムの幅方向に噴流を細かく分割し、噴流と噴流の間にエア噴出ノズル前後の空間が導通した部分を形成すると、エア噴出ノズル前後の圧力差が緩和されるためと考えられる。このようなエア噴出ノズルとしては、樹脂フィルム表面と対向する面に円形の噴出孔が複数設けられたホールノズルがある。しかしながら、樹脂フィルムの幅方向に噴出孔を不連続に配置すると、樹脂フィルム表面の伝熱率が幅方向に不均一となるため、伝熱効率の均一性が悪化するという問題がある。
【0008】
従来のホールノズルとしては、樹脂フィルム表面の伝熱率を大きくすることを目的に、噴出孔と樹脂フィルムとの距離が噴出孔直径の4〜6倍で、噴出孔の配列を樹脂フィルム搬送方向に6列の千鳥配列としたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、これだけでは熱履歴が幅方向に不均一なので、均一な性質を有する樹脂フィルムを得るのは困難であった。樹脂フィルムを製造する上で、熱固定ゾーンや冷却ゾーンでの熱履歴の差は、厚みムラを悪化させ、かつ、製品の熱収縮率を左右するので幅方向の差は大きな問題であった。
【特許文献1】特許第1634915号公報
【特許文献2】実用新案登録第2528669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、樹脂フィルム幅方向の伝熱効率と熱履歴との均一性が良好で、テンターオーブンに用いて好適なエア噴出ノズルを提供することにある。本発明の目的の他の一つは、本発明のエア噴出ノズルを用いた樹脂フィルムの幅方向における伝熱効率と熱履歴との均一性が良好なテンターオーブンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
1)一方向に搬送される樹脂フィルムに、空気を吹き付けるエア噴出ノズルであって、
前記エア噴出ノズルは、前記樹脂フィルム表面と対向する面に噴出孔を複数設けてあり、
前記噴出孔の配列は、樹脂フィルム搬送方向に直交する方向の複数の噴出孔から形成される列が、樹脂フィルム搬送方向に4列以上でかつ偶数列となるn列配列であり、
前記n列の孔列は、フィルム搬送方向上流側から1列目、2列目以後3、4、・・・・・n列目とし、2列目と3列目、4列目と5列目、・・・・・、n−2列目とn−1列目の間隔が、1列目と2列目、3列目と4列目、・・・・・、n−1列目とn列目の間隔より広いことを特徴とするエア噴出ノズル。
【0011】
2)全ての列において、樹脂フィルム搬送方向に直交する方向の噴出孔のピッチは一定(Py)であり、
全ての列の孔を、全ての列と同一面上にあるフィルム搬送方向と直交する方向の1列(α)に投影したときの、列(α)における孔ピッチTは、下記式(1)を満足し、
前記n列の孔列は、1列目と2列目、3列目と4列目、・・・・・、n−1列目とn列目という隣り合う2列を1対として、各対における2列が千鳥配列となっていることを特徴とする前記1)に記載のエア噴出ノズル。
【0012】
T=Py/n・・・・・・式(1)
3)前記n列配列が4列配列であることを特徴とする、前記1)または2)に記載のエア噴出ノズル。
【0013】
4)前記1)〜3)のいずれかに記載のエア噴出ノズルが、延伸ゾーン、熱固定ゾーン、及び冷却ゾーンから選ばれる少なくとも1つのゾーンに配置されたことを特徴とするテンターオーブン。
【0014】
5)前記4)に記載のテンターオーブンを用いて製造された樹脂フィルム。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下に説明するとおり、噴流の噴き出し方向の安定性に優れ、樹脂フィルム表面の伝熱率を幅方向に均一にすることができるテンターオーブンに用いた場合に好適なエア噴出ノズルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明におけるエア噴出ノズルを用いた樹脂フィルムの製造工程としては、溶融製膜法もしくは溶液製膜法によってシート状に成形した一方向に搬送される樹脂フィルムを、少なくとも熱固定ゾーンにおいて、本発明におけるエア噴出ノズルを配置したテンター装置に通す製造工程が好ましい。また、本発明のエア噴出ノズルは、延伸ゾーン、熱固定ゾーン、冷却ゾーンなどの少なくとも一つのゾーンに配置されることも好ましい態様である。また、該テンター装置では、少なくとも幅方向に延伸する製造工程を含むことが好ましい。
【0017】
以下に、本発明の最良の実施形態を、溶融製膜法による二軸延伸樹脂フィルムの製造工程に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図8は逐次二軸延伸法による樹脂フィルム31の製造工程の一形態を示す概略図である。
【0019】
逐次二軸延伸法による樹脂フィルム31の製造工程は、図8に示すように、押出機91、口金92、キャストドラム93、縦延伸機94、テンターオーブン95、巻取りロール96からなり、樹脂ポリマーを押出機91で溶融して押し出し、口金92のスリット間隙からシート状に吐出し、キャストドラム93で冷却固化して得られる未延伸の樹脂フィルム31を、縦延伸機94で搬送方向に延伸して一軸延伸の樹脂フィルム31とし、該一軸延伸の樹脂フィルム31をテンターオーブン95で樹脂フィルム31幅方向に延伸して二軸延伸の樹脂フィルム31とし、該二軸延伸の樹脂フィルム31を巻取りロール96によって連続的に巻き取るものである。上記の工程中において、樹脂フィルム31表面に塗液を塗布する際は、テンターオーブン95の直前に塗布装置(図示せず)を設置しても良い。ここでは逐次二軸延伸法における例を示したが、同時二軸延伸法においては縦延伸機94を用いず、キャストドラム93で冷却固化して得られる未延伸の樹脂フィルム31を、テンターオーブン95で樹脂フィルム31の搬送方向と樹脂フィルム31の幅方向とに同時延伸して二軸延伸の樹脂フィルム31とする方法であってもよい。なお、本発明でいう搬送方向とは、図8の製造工程において、押出機91から巻取りロール96に向かう方向を示す。
【0020】
図9はテンターオーブン95の一形態を示す平面図(上面図)である。図9に示すように、テンターオーブン95は、相対して配置されたレール71、72と、レール71または72に沿って走行する複数のクリップ73と、所望の温度に制御された空気を循環するテンターオーブン95を有する。
【0021】
クリップ73は、テンターオーブン95の入口で樹脂フィルム31の両端を把持し、テンターオーブン95内を通過し、テンターオーブン95の出口で樹脂フィルム31を解放する。
【0022】
テンターオーブン95は、樹脂フィルム31搬送方向の上流側から下流側に、予熱ゾーン101、延伸ゾーン102、熱固定ゾーン103、冷却ゾーン104に区分されており、少なくとも各ゾーン毎に空気の温度が設定できるように構成されている。これら各ゾーンは、樹脂フィルム31の搬送方向に、複数の室に区分され、各室毎に空気の温度が設定できるように構成されていても良い。つまり、テンターオーブン95は、例えば予熱ゾーン101として3室有し、延伸ゾーン102として4室有し、熱固定ゾーン103として2室有し、冷却ゾーン104として1室有し、などとすることが可能であり、さらに各ゾーン内の各室の温度を独立に設定することも可能である。
【0023】
また、各ゾーンの温度範囲は、例えば、樹脂フィルム31がポリエステルフィルムの場合、空気の温度は、予熱ゾーン80〜140℃、延伸ゾーン80〜200℃、熱固定ゾーン150〜240℃、冷却ゾーン50〜200℃に設定することができる。
【0024】
レール71、72は、延伸ゾーン102内において、レール71とレール72の相対距離が徐々に広がるように配置されることで、樹脂フィルム31を幅方向に延伸することができる。また必要に応じ、熱固定ゾーン内や冷却ゾーン内に、レール71とレール72の相対距離が徐々に狭くなる区間を設けることで、樹脂フィルム31を幅方向に弛緩処理することもできる。
【0025】
なお、同時二軸延伸法による樹脂フィルム31の製造工程では、テンターオーブン95の延伸ゾーン102内で各クリップ73の間隔を徐々に広げることで、樹脂フィルム31を搬送方向にも延伸することができる。
【0026】
図5は図9中のI−I矢視図であり、図6は図5中のII−II矢視図である。図5、図6に示すように、テンターオーブン95は、樹脂フィルム31の搬送方向に複数のエア噴出ノズル1を有する。エア噴出ノズル1は、樹脂フィルム31の上側と下側とに、樹脂フィルム31の幅方向に延在するように配置される。熱交換器52によって所望の温度に制御された空気は、ファン53によって供給ダクト55を介して各エア噴出ノズル1に送り込まれ、エア噴出ノズル1の樹脂フィルム31表面と対向する面に設けられた噴出孔2から放出される。放出された空気は、テンターオーブン95内の吸引口54から回収ダクト56を介して回収されることで、テンターオーブン95内を循環する。なお図5、図6は、テンターオーブン95の熱固定ゾーンを示すものであるが、上述したように本発明のエア噴出ノズル1は、熱固定ゾーンに限らず延伸ゾーン、冷却ゾーンにも用いることができる。
【0027】
エア噴出ノズル1は、所望の温度に制御された空気を、一方向に搬送される樹脂フィルム31の表面に吹き付けることで、空気と樹脂フィルム31との熱交換を促進する働きがある。すなわち、樹脂フィルム31は、エア噴出ノズル1が吹き付ける空気の温度より樹脂フィルム31の温度が低い場合には加熱され、エア噴出ノズル1が吹き付ける空気の温度より樹脂フィルム31の温度が高い場合には冷却され、エア噴出ノズル1が吹き付ける空気の温度と樹脂フィルム31の温度が等しい場合には保温される。また、テンターオーブン95の直前で樹脂フィルム31の表面に塗液を塗布する場合には、該塗布膜はエア噴出ノズル1から吹き付ける空気との熱交換によって乾燥または硬化される。
【0028】
図1、図2は一方向に搬送される樹脂フィルムに空気を吹付ける本発明のエア噴出ノズル1の一形態を示す図であり、エア噴出ノズル1の樹脂フィルム31表面と対向する面を示す平面図である。エア噴出ノズル1は、エア噴出ノズル1が樹脂フィルム31表面と対向する面に、直径D(mm)の円形の噴出孔2を複数設けてある。なお、噴出孔2の形状は、幾何学的に円に近いほど好ましいが、必ずしも真円である必要はない。
【0029】
噴出孔2の配列は、樹脂フィルム搬送方向に直交する方向の複数の噴出孔から形成される列が、樹脂フィルム31の搬送方向に4列以上でかつ偶数列となるn列配列である。
【0030】
本発明でいう直交とは、90度から1度でも外れれば直交ではないという訳ではなく、外観上で直交に見える範囲であれば良く、許容範囲として90度±7度の範囲が好ましい。さらに90度±2度の範囲であれば、より好ましい。
【0031】
そしてn列の孔列は、1列目と2列目、3列目と4列目、・・・・・、n−1列目とn列目という隣り合う2列を1対として、各対における2列が千鳥配列であることが好ましい。
【0032】
また、全ての列において、樹脂フィルム搬送方向に直交する方向の噴出孔2のピッチは一定(Py)であることが好ましい。
【0033】
樹脂フィルム搬送方向に直交する方向の噴出孔2のピッチが一定(Py)とは、1μmでも異なれば一定では無いと言うわけではなく、ほぼ一定であればよく、許容範囲として±10%の範囲が好ましい。更に±2%の範囲が、より好ましい。
【0034】
なおここで千鳥配列は、例えば図1のように各対となった2列における搬送方向と直交する方向における噴出孔2の中心の間隔が(Py)/2であることが好ましい(図1の直線3aの噴出孔2の中心と直線3bの噴出孔2の中心の、搬送方向と直交する方向における間隔が(Py)/2であり、直線3cの噴出孔2の中心と直線3dの噴出孔2の中心の、搬送方向と直交する方向における間隔が(Py)/2であることが好ましい)。
【0035】
図1はエア噴出ノズル1の孔列数nがn=4の場合を示す。図1のPab(mm)・Pbc(mm)・Pcd(mm)は、図示しない樹脂フィルム31の幅方向に配列されている複数の噴出孔2の中心を通る直線3aと3b、直線3bと3c、直線3cと3dとの間隔である。ここで、一方向に搬送される樹脂フィルム31の搬送方向の上流側を第1列とし、搬送方向の下流側の列を第2列、第3列、第4列としたとき、第1列と第2列、第3列と第4列がそれぞれ対になっており、この対の2列は噴出孔2が搬送方向と直交する方向にPy/2ずれた千鳥配置となっている。図1のPy(mm)は、樹脂フィルム31の幅方向に配列されている噴出孔2の搬送方向と直交する方向における噴出孔2の中心の間隔である。
【0036】
噴出孔2の千鳥配列は、図1のように第1列(直線3a)の噴出孔2の中心と、第2列(直線3b)の噴出孔2の中心とが樹脂フィルム31の幅方向にPy/2ずらして配置したものである。
【0037】
本発明のエア噴出ノズル1は、n列の孔列をフィルム搬送方向上流側から1列目、2列目以後3、4、・・・・・n列目とした時、2列目と3列目、4列目と5列目、・・・・・、n−2列目とn−1列目の間隔が、1列目と2列目、3列目と4列目、・・・・・、n−1列目とn列目の間隔より広いことが特徴である。
【0038】
そのため図1の間隔Pab(mm)・Pbc(mm)・Pcd(mm)において、Pbc(mm)は、Pab(mm)およびPcd(mm)より広い。Pbc(mm)は、Pab(mm)またはPcd(mm)の1.1倍より広いことが好ましい。更にPbc(mm)は、Pab(mm)またはPcd(mm)の1.2倍より広いことが最も好ましいが、無限に広ければ良い訳ではなく、エア噴出ノズル1のフィルム搬送方向の大きさが大きくなりすぎるので、Pbc(mm)はPab(mm)またはPcd(mm)の2倍程度までが現実的な範囲である。また、間隔Pab(mm)とPcd(mm)は等しいことが好ましい。
【0039】
また本発明では、直線3aと3bとの噴出孔2の配置が千鳥配置となり、直線3cと3dとの噴出孔2の配置も千鳥配置となることが好ましいことは上述の通りであるが、図1のように第2列(直線3b)の噴出孔2の中心と第3列(直線3c)の噴出孔2の中心とがPy/4ずらして配置してあることが好ましい。
【0040】
つまり本発明のエア噴出ノズル1は、全ての列の噴出孔2を、全ての列と同一面上にあるフィルム搬送方向と直交する方向の1列(α)に投影したときの、列(α)における孔ピッチTが、下記式(1)を満足することが好ましい。
【0041】
T=Py/n・・・・・・式(1)
仮想直線3αは直線3a〜3dと同一面上にあるフィルム搬送方向と直交する方向に並行な仮想直線である。この仮想直線3αに、直線3a〜3dの全ての噴出孔2の中心位置を投影した時に、噴出孔2の樹脂フィルム31の搬送方向に直交する方向のピッチTは、T=Py/n(この場合n=4)となる。
【0042】
図2はエア噴出ノズル1の孔列数nがn=6の場合を示す。図2のPab(mm)・Pbc(mm)・Pcd(mm)・Pde(mm)・Pef(mm)は、図示しない樹脂フィルム31の幅方向に配列されている複数列の噴出孔2の中心を通る直線3aと3b、直線3bと3c、直線3cと3d、直線3dと3e、直線3eと3f、との間隔である。ここで、一方向に搬送される樹脂フィルム31の搬送方向の上流側を第1列とし、搬送方向の下流側の列を第2列、第3列、第4列、第5列、第6列、とし、第1列と第2列、第3列と第4列、第5列と第6列、がそれぞれ対になっており、この対の2列は噴出孔2が搬送方向と直交する方向にPy/2ずれた千鳥配置となっている。
【0043】
図2のPy(mm)は、樹脂フィルム31の幅方向に配列されている各列の噴出孔2の中心の間隔である。
【0044】
噴出孔2の千鳥配列は、図2のように第1列(直線3a)の噴出孔2の中心と、第2列(直線3b)の噴出孔2の中心とが樹脂フィルム31の幅方向にPy/2ずらして配置したものである。第3列(直線3c)の噴出孔2の中心と、第4列(直線3d)の噴出孔2の中心とが樹脂フィルム31の幅方向にPy/2ずらして配置したものである。同様に第5列(直線3e)の噴出孔2の中心と、第6列(直線3f)の噴出孔2の中心とが樹脂フィルム31の幅方向にPy/2ずらして配置したものである。
【0045】
間隔Pab(mm)・Pbc(mm)・Pcd(mm)・Pde(mm)・Pef(mm)において、Pbc(mm)は、Pab(mm)およびPcd(mm)より広い。Pbc(mm)は、Pab(mm)またはPcd(mm)の1.1倍より広いことが好ましい。更にPbc(mm)は、Pab(mm)またはPcd(mm)の1.2倍より広いことが最も好ましいが、無限に広ければ良い訳ではなく、Pbc(mm)はエア噴出ノズル1の大きさから、Pab(mm)またはPcd(mm)の2倍程度までが現実的な範囲である。同じように、Pde(mm)は、Pcd(mm)およびPef(mm)より広い。Pde(mm)は、Pcd(mm)またはPef(mm)の1.1倍より広いことが好ましい。更にPde(mm)は、Pcd(mm)またはPef(mm)の1.2倍より広いことが最も好ましいが、無限に広ければ良い訳ではなく、Pde(mm)はエア噴出ノズル1の大きさから、Pcd(mm)またはPef(mm)の2倍程度までが現実的な範囲である。PbcとPdeは等しくても良いが、どちらか一方が広くても良い。なおPbc(mm)は、Pef(mm)よりも大きいことが好ましい。同様に、Pde(mm)は、Pab(mm)よりも大きいことが好ましい。
【0046】
また、間隔Pab(mm)とPcd(mm)とPef(mm)は等しいことが好ましい。
【0047】
直線3aと3bとの噴出孔2の配置が千鳥配置となり、直線3cと3dとの噴出孔2の配置も千鳥配置となり、直線3eと3fとの噴出孔2の配置が千鳥配置となり、第2列(直線3b)の噴出孔2の中心と第3列(直線3c)の噴出孔2の中心とがずらして配置してあり、第4列(直線3d)の噴出孔2の中心と第5列(直線3e)の噴出孔2の中心ともずらして配置してある。
【0048】
仮想直線3αは直線3a〜3fと同一面上にあるフィルム搬送方向と直交する方向に並行な仮想直線である。この仮想直線3αに、直線3a〜3fの全ての噴出孔2の中心位置を投影した時に、噴出孔2の樹脂フィルム31の搬送方向に直交する方向のピッチTは、T=Py/n(この場合n=6)となる。
【0049】
すなわち、本発明においては、一方向に搬送される樹脂フィルム31に、空気を吹き付けるエア噴出ノズル1であって、前記エア噴出ノズル1は、前記樹脂フィルム31表面と対向する面に噴出孔2を複数設けてあり、前記噴出孔2の配列は、樹脂フィルム搬送方向に直交する方向の複数の噴出孔2から形成される列が、樹脂フィルム搬送方向に4列以上でかつ偶数列となるn列配列であり、前記n列の孔列は、フィルム搬送方向上流側から1列目、2列目以後3、4、・・・・・n列目とし、2列目と3列目、4列目と5列目、・・・・・、n−2列目とn−1列目の間隔が、1列目と2列目、3列目と4列目、・・・・・、n−1列目とn列目の間隔より広いことを特徴とするエア噴出ノズル1である。そして好ましくは、前記全ての列において、樹脂フィルム搬送方向に直交する方向の噴出孔2のピッチは一定(Py)であり、全ての列の孔を、全ての列と同一面上にあるフィルム搬送方向と直交する方向の1列(α)に投影したときの、列(α)における孔ピッチTは、下記式(1)を満足し、前記n列の孔列は、1列目と2列目、3列目と4列目、・・・・・、n−1列目とn列目という隣り合う2列を1対として、各対における2列が千鳥配列となっていることを特徴とする前記エア噴出ノズル1である。
【0050】
T=Py/n・・・・・・式(1)
この式(1)の意味するものは、この式(1)より算出されるずらし距離Tについて1μmでも外れればこの式の範囲外という訳ではなく、この式(1)より算出されるずらし距離T付近にあればよく、許容範囲としては±20%が好ましい。この式より算出されるずらし距離Tに対して±10%の範囲であればより好ましい。
【0051】
また、前記n列の孔列は、フィルム搬送方向上流側から1列目、2列目以後3、4、・・・・・・、n−1、n列目としたとき、n列の孔列とは4列以上の偶数列であれば特に限定するものではないが、無限に多くても好ましい訳ではない。装置の構造上適正な範囲が考えられる。4列、6列であればエア噴出ノズル1は最適な大きさである。8列、10列になると少し大きなエア噴出ノズル1となる。10列、12列になるとかなり大きなエア噴出ノズル1となる。エア噴出ノズル1が大型になると製作、取り扱いが困難になることはもとよりエア噴出ノズル1から出たエアが吸引口54に吸引されにくくなってしまいよどみが出来てしまうという問題が発生する。14列以上は特殊な場合のみに有効となるので、一般的には12列以下が好ましい。更に4列であれば最も好ましく、その理由は、図5に示すとおり、エア噴出ノズル1の樹脂フィルム31表面と対向する面に設けられた噴出孔2から放出された空気は、各エア噴出ノズル1の間隙を通り吸引口54から回収ダクト56を介して回収されるので、各エア噴出ノズル1は所定の間隙で複数本配置してあることが好ましく、噴出孔2から放出された空気が回収ダクト56に回収されるための間隙を確保するためには、各エア噴出ノズル1の孔列は4列であることが好ましい。
【0052】
図3、図4は従来技術のエア噴出ノズル1の一形態を示す図であり、エア噴出ノズル1の樹脂フィルム31表面と対向する面を示す平面図である。エア噴出ノズル1は、エア噴出ノズル1が樹脂フィルム31表面と対向する面に、直径D(mm)の円形の噴出孔2を複数設けてある。
【0053】
図3のPxは、図示しない樹脂フィルム31の幅方向に配列されている複数の噴出孔2の中心を通る直線3aと3b、直線3bと3c、直線3cと3dとの間隔である。つまり、4列の間隔が一定のPxである。ここで、一方向に搬送される樹脂フィルム31の搬送方向の上流側を第1列とし、搬送方向の下流側の列を第2列、第3列、第4列とする。図3のPy(mm)は、樹脂フィルム31の幅方向に配列されている各列の噴出孔2の中心の間隔である。第2列は第1列に対してPy/4ずらして配置してあり、第3列は第2列に対してPy/4ずらして配置してあり、第4列は第3列に対してPy/4ずらして配置してある。この場合、例えば直線3a上の任意の噴出孔2を選び孔2a-1とする。孔2a-1に近い直線3b上の噴出孔2を2個選び孔2b-1と孔2b-2とする。孔2a-1と孔2b-1との中心間距離を間隔ab-1とする。孔2a-1と孔2b-2との中心間距離を間隔ab-2とする。間隔ab-1と間隔ab-2とは、間隔ab-1の方が狭く、間隔ab-2の方が広くなる。このため中心間距離の狭い方の2個の噴出孔2から噴出される噴流が樹脂フィルム31の到達する前に合流してしまい、樹脂フィルム31への伝熱効率が樹脂フィルム31の幅方向で不均一になるという問題が発生する。また、必ずしも合流状態で安定する訳では無く、合流−分離を繰り返すことで噴流が否定常に揺れて、空気の流が不安定になることもある。また、直線3b上の任意の噴出孔2を孔2b-1とする。孔2b-1に近い直線3c上の噴出孔2を2個選び孔2c-1と孔2c-2とする。孔2b-1と孔2c-1との中心間距離を間隔bc-1とする。孔2b-1と孔2c-2との中心間距離を間隔bc-2とする。間隔bc-1と間隔bc-2とは、間隔bc-1の方が狭く、間隔bc-2の方が広くなる。また、直線3c上の任意の噴出孔2を孔2c-1とする。孔2c-1に近い直線3d上の噴出孔2を2個選び孔2d-1と孔2d-2とする。孔2c-1と孔2d-1との中心間距離を間隔cd-1とする。孔2c-1と孔2d-2との中心間距離を間隔cd-2とする。間隔cd-1と間隔cd-2とは、間隔cd-1の方が狭く、間隔cd-2の方が広くなる。同じ位置関係がエア噴出ノズル1全体にいえるのでエア噴出ノズル1全体が不安定なる。
【0054】
図4は図3を改良したものである。
【0055】
図4のPxは、図示しない樹脂フィルム31の幅方向に配列されている複数の噴出孔2の中心を通る直線3aと3b、直線3bと3c、直線3cと3dとの間隔である。つまり、4列の間隔が一定のPxである。ここで、一方向に搬送される樹脂フィルム31の搬送方向の上流側を第1列とし、搬送方向の下流側の列を第2列、第3列、第4列とする。図4のPy(mm)は、樹脂フィルム31の幅方向に配列されている各列の噴出孔2の中心の間隔である。第2列は第1列に対してPy/2ずらして配置してあり、第3列は第2列に対してPy/4ずらして配置してあり、第4列は第3列に対してPy/2ずらして配置してあり、第1列と第2列および第3列と第4列は千鳥配置の関係にある。この場合、例えば直線3a上の任意の噴出孔2を選び孔2a-1とする。孔2a-1に近い直線3b上の噴出孔2を2個選び孔2b-1と孔2b-2とする。孔2a-1と孔2b-1との中心間距離を間隔ab-1とする。孔2a-1と孔2b-2との中心間距離を間隔ab-2とする。間隔ab-1と間隔ab-2とは等しい。3つの噴出孔2から噴出される噴流は安定状態にある。しかし、直線3b上の任意の噴出孔2を孔2b-2とする。孔2b-2に近い直線3c上の噴出孔2を2個選び孔2c-1と孔2c-2とする。孔2b-1と孔2c-1との中心間距離を間隔bc-1とする。孔2b-1と孔2c-2との中心間距離を間隔bc-2とする。間隔bc-1と間隔bc-2とは、間隔bc-1の方が広く、間隔bc-2の方が狭くなる。このため中心間距離の狭い方の2個の噴出孔2から噴出される噴流が樹脂フィルム31の到達する前に合流してしまい、樹脂フィルム31への伝熱効率が樹脂フィルム31の幅方向で不均一になるという問題が発生する。また、必ずしも合流状態で安定する訳では無く、合流−分離を繰り返すことで噴流が否定常に揺れて、空気の流が不安定になることもある。また、直線3c上の任意の噴出孔2を孔2c-1とする。孔2c-1に近い直線3d上の噴出孔2を2個選び孔2d-1と孔2d-2とする。孔2c-1と孔2d-1との中心間距離を間隔cd-1とする。孔2c-1と孔2d-2との中心間距離を間隔cd-2とする。間隔cd-1と間隔cd-2とは等しい。図4に示すエア噴出ノズル1の場合は、図3に示すエア噴出ノズル1よりも改善されるが、エア噴出ノズル1中央部が不安定なる。
【0056】
このような従来ノズルの問題に対して、2列目と3列目、4列目と5列目・・・・・、n−2列目とn−1列目の間隔を、1列目と2列目、3列目と4列目、・・・・・、n−1列目とn列目の間隔より広くすることで、2列目、4列目、・・・・n−2列目の偶数列の噴出孔2と、3列目、5列目・・・・・n−1列目の奇数列の噴出孔2とが近くなることを防ぐことができる。これにより噴流が不安定になることを防ぐ。さらに1列目と2列目、3列目と4列目、・・・・・n−1列目とn列目を対として、それぞれの対が千鳥配置とすることにより、1列目の1個の任意の噴出孔2と、1列目の1個の任意の噴出孔2に近い2列目上の2個の噴出孔2との位置関係は、2等辺三角形となる。これにより、この3個の噴出孔2から出る噴流がお互いに支え合い安定した噴流となる。
【0057】
図10は本発明のエア噴出ノズル1において、数値解析によって求めた樹脂フィルム31表面(図示しない)の伝熱率分布33の一例である。
【0058】
解析は、市販の汎用熱流体解析ソフトウェアである「STAR−CD」(株式会社シー・ディー・アダプコ・ジャパン製)を用い、非定常計算を行った。乱流の取り扱いにはk−ε乱流モデルを用い、壁近傍の乱流境界層の取り扱いには壁法則を用いた。
【0059】
上記のソフトウェアは、流体の運動方程式であるナヴィエ・ストークス方程式を有限体積法により解析するものである。もちろん、同様の解析ができるものであればどのような熱流体解析ソフトウェアを用いてもよい。
【0060】
伝熱率分布33は、噴出孔2の中心位置で最も大きく、噴出孔2の中心位置から離れるほど小さくなっている。図10は非定常解析作業のうち初期状態から20秒経過後の伝熱率分布であるが、計算時間がさらに経過しても安定している。
【0061】
図11、図12は従来技術のエア噴出ノズル1において、数値解析によって求めた樹脂フィルム31表面(図示しない)の伝熱率分布33の一例である。図11は図3に示す従来技術のエア噴出ノズル1解析結果である。図12は図4に示す従来技術のエア噴出ノズル1解析結果である。
【0062】
伝熱率分布33は、噴出孔2の中心位置で最も大きくなっている部分もあるがそうでない部分もある。これは噴出孔2から出た2本の噴流が樹脂フィルム31に衝突する前に合流してしまったものである。常に合流している訳ではなく、合流−分離を繰り返したり、別の噴流と合流したりする。よって図11、図12はある瞬間の一例であるが、時間が経過しても安定していない。このような場合は、樹脂フィルム31への伝熱効率が幅方向で不均一になり問題である。
【0063】
図13、図14は巻き取りロール96で巻き取った樹脂フィルム31の幅方向の厚み分布を測定したものである。測定には、アンリツ株式会社製のフィルムシックネステスター「KG601A」および電子マイクロメータ「K306C」を用いた。この厚み分布の平均値をTa(単位はμm)、最小値をTn(単位はμm)、最大値をTx(単位はμm)とし、幅方向の厚みムラRt(単位は%)を、関係式Rt={(Tx−Tn)/Ta}×100(%)を用いて、求めた。
【0064】
図13は本発明のエア噴出ノズル1を用いて樹脂フィルム31を製造したときの測定結果である。
【0065】
図14は従来技術のエア噴出ノズル1を用いて樹脂フィルム31を製造したときの測定結果である。
【0066】
図7は樹脂フィルム31の製造を一時中止して、テンターオーブン95の内部全体に樹脂フィルム31を残して冷却し、図9に示すとおり、熱固定ゾーン103と冷却ゾーン104の間で測定した結果である。測定位置は図5に示すとおり熱固定ゾーン103と冷却ゾーン104の間の仕切板57の部分で、樹脂フィルム31の下側のフィルム搬送方向に流れる空気の流速を測定し、この流れを曲がり風速とした。熱固定ゾーン103と冷却ゾーン104とは設定温度が異なり、このそれぞれ温度の違う空気が仕切板57を越えてゾーン間を行き来する曲がり風速が大きくなると、樹脂フィルム31への伝熱効率が幅方向で不均一になる。伝熱効率が幅方向で不均一な状態になると、樹脂フィルム31の厚みムラや、熱収縮率等の機械的特性を悪化させる。この曲がり風速の測定は、風速計21の上端を樹脂フィルム31に接触させた。また図6に示すとおり、樹脂フィルム31の幅方向の位置は、ほぼ中央付近した。測定器はカノマックス社製ベーン式風速計(MODEL6804、ベーン径Φ65(mm)、測定範囲0.4〜40m/s、使用温度範囲−30〜100℃)を使用し、時定数を1秒に設定し測定した。すなわち30秒間の風速変動を1秒刻みで測定した。
【0067】
図15は本発明にかかるエア噴出ノズル1の概略斜視図である。エア噴出ノズル1の幅方向両端部には供給口11があり、図6に示すとおりファン53からから送り込まれた空気は供給ダクト55を介して、フランジ12により接続された噴出孔2に供給される。
【0068】
噴出孔2の直径Dは一般的にΦ5mm〜Φ35mmの範囲が望ましい。噴出孔2の直径DがΦ5mmより小さいと、エア噴出ノズル中に噴出孔2の数が多くなりすぎて、加工費用が高価になってしまう場合があり、また噴出孔2の直径DがΦ35mmより大きいと、エア噴出ノズル中の噴出孔2の数が少なくなりすぎて、温度斑になりやすい。
【0069】
また、各列における樹脂フィルム31幅方向(樹脂フィルム搬送方向に直交する方向)の噴出孔2の中心の間隔(噴出孔2のピッチ)Pyは、噴出孔2の直径Dの1.5倍から5倍の範囲が好ましい。例えば噴出孔2の直径DがΦ5mmの場合は、幅方向の噴出孔2の中心の間隔Pyは、7.5〜25mmの範囲であり、直径DがΦ35mmの場合は52.5〜175mmの範囲が好ましい。また、Pyの許容範囲として±10%の範囲が好ましい。更に±2%の範囲が、より好ましい。
【0070】
エア噴出ノズル1の表面に噴出孔2を形成する方法について特に規定は無いが、パンチング法と呼ばれる雄型と雌型による打ち抜き加工方法でも良いし、レーザー加工法と呼ばれるレーザー光と圧力空気とによる溶融吹き飛ばし加工方法であっても良い。いずれの加工方法であっても高精度で噴出孔2を形成することがきる。ドリルなどによる切削加工法ではパンチング法やレーザー加工法ほど精度を出すことは難しいと考えられる。
【0071】
噴出孔2それぞれから噴き出される空気の流量は(噴出孔2それぞれから噴き出される空気の流量を、以下風量と記載する。)、平均風量に対して±10%以内の範囲であることが望ましい。さらには平均風量に対して±5%以内が好ましい。各噴出孔2から噴き出される風量が、平均風量に対して±10%を越えると、温度斑を与えてしまうという問題がある。また、この場合の風量測定方法としては、各噴出孔2の噴出風速を測定するのが一般的である。風速を測定する方法としては(A)熱式風速計、(B)超音波式風速計、(C)翼車式風速計、(D)ピトー管式風速計などがあるが、噴出孔2から噴き出される空気の風速を測定するのはピトー管式風速計が好ましい。(A)の熱式風速計は、通電状態にあるセンサーが風で冷却された時に生じる電気抵抗の変化を測定することにより、風速を測定する方式であり、センサーがある程度大きさがあり噴出孔2より大きい事もあるので、噴出孔2から噴き出される空気の流速の測定には不向きである。(B)の超音波式風速計も、所定の距離を伝わる超音波の時間を測定し、風の影響による到着時間の遅れから風速を計る方式であり、2つのセンサーを所定の距離に離して設置する必要があるので、噴出孔2から噴き出される空気の流速の測定には不向きである。(C)の翼車式風速計は、風車の原理を応用し、翼の回転数を測定することにより風速を測定するものであるが、翼車はある程度大きさが必要であるため、翼車が噴出孔2より大きい事もあるので、噴出孔2から噴き出される空気の流速の測定には不向きである。前記平均風量とは、前記風速計を使用して複数の噴出孔2から噴き出される空気の流速を測定して平均を計算したものであり、望ましくは全ての噴出孔2を測定して平均を計算する。
【0072】
また、この風速測定について、樹脂フィルム31の製造中や、樹脂フィルム31の製造を始めるために加熱している時は測定が困難である。この場合、加熱していない常温時に測定しても良い。
【0073】
図16は噴出孔2がスリットであるエア噴出ノズル1の概略斜視図である。エア噴出ノズル1の幅方向両端部には供給口11があり、そこから供給された空気がスリット幅B(mm)のスリット間隙22より幅方向に繋がって噴出する。スリット間隙22のスリット幅Bは、一般的に3mm〜15mmの範囲が望ましい。また、このスリット幅Bの精度は、スリット間隙22がら噴出する空気の幅方向の噴き出し分布に影響するので、相応の精度が求められる。スリット幅Bの精度は±10%以下が望ましい。それ以上悪いと、スリット幅が他の部分より広いところは圧損が下がりその部分の噴き出し風量が他の部分より多くなり、スリット幅が他の部分より狭い部分は圧損が上がりその部分の噴き出し風量が他の部分より少なくなり問題となる。しかし、スリット幅Bの精度を±10%以下にするにはエア噴出ノズル1の製作上種々の工夫が必要となり容易に実現できる物ではない。
【0074】
本発明に用いる樹脂フィルム31としては特に限定されることはなく、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ乳酸フィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルムなどが挙げられる。
【0075】
また本発明のエア噴出ノズル1は、これを少なくとも熱固定ゾーンに配置したテンターオーブン95とすることで、上述したポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ乳酸フィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルムなどの製造工程において好適に用いられる。
【0076】
本発明のテンターオーブン95としては、本発明のエア噴出ノズル1が、延伸ゾーン、熱固定ゾーン、および冷却ゾーンからなる群より選ばれる少なくとも1つのゾーンに配置された場合であり、特に好ましくは予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーンおよび冷却ゾーンの全てに本発明のエア噴出ノズル1を配置したテンターオーブン95とした場合である。
【0077】
また本発明の樹脂フィルム31は、前述の本発明のテンターオーブン95を用いて製造された樹脂フィルム31をいう。本発明の樹脂フィルム31は、本発明のテンターオーブン95を用いて製造されることにより、熱収縮率、引っ張り強度及び破断伸び率が樹脂フィルム31の幅方向において中央部付近と端部付近とで同等となり、幅方向にフィルム物性の均一性に優れた樹脂フィルム31を製造することができる。
【実施例】
【0078】
次に本発明の効果を実施例により説明する。実施例では樹脂フィルム31としてポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて樹脂フィルム31を製造して比較した。また、テンターオーブン95のエア噴出ノズル1から噴き出される空気の直進性を比較するために、連続して生産される樹脂フィルム31の製造を一時中断し、曲がり速度を測定して比較した。
【0079】
実施例、比較例では、エア噴出ノズル1の噴出孔2のパターンを変更して検討をした。幅方向の厚みムラRtの許容値は3%以下とし、3%を超える場合は許容できないものとした。
【0080】
実施例
実施例では、樹脂フィルム31としてPETフィルムを用いて、幅方向の延伸が可能なテンターオーブン95により樹脂フィルム31を製造した。PET(限界粘度0.65dl/g)チップを180℃で3時間十分に真空乾燥した後、押出機91に供給し285℃で溶融後、口金92からフィルム状に押し出し静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の表面が鏡面のキャストドラム93に巻き付けて冷却固化し未延伸の樹脂フィルム31とした。この時、キャストドラム93での冷却時間(接触時間)を2.4秒とした。このようにして得られた未延伸の樹脂フィルム31を縦延伸機94で長さ方向に3.2倍に延伸した。縦延伸機の温度条件は、予熱部分では75℃で加熱し、延伸部分では95℃で加熱しながら延伸し、冷却部分では40℃で冷却した。このようにして得られた1軸延伸の樹脂フィルム31をテンターオーブン95で幅方向に延伸した後、巻き取りロール96で巻き取った。
【0081】
実施例のテンターオーブン95としては、図9に示すとおり、予熱ゾーン101・延伸ゾーン102・熱固定ゾーン103・冷却ゾーン104を有する。各ゾーンは図5の断面図に示すとおり、樹脂フィルム31の上下にエア噴出ノズル1が各6本のものを使用した。また幅方向断面は図6に示すものを使用した。
【0082】
各ゾーンの設定温度(℃)と噴出風速(m/s)入り口の幅(mm)と出口の幅(mm)については、予熱ゾーン101は設定温度104(℃)と噴出風速25(m/s)入り口の幅580(mm)と出口の幅582(mm)で、延伸ゾーン102は設定温度122(℃)と噴出風速18(m/s)入り口の幅582(mm)と出口の幅1905(mm)で、熱固定ゾーン103は設定温度222(℃)と噴出風速18(m/s)入り口の幅1905(mm)と出口の幅1890(mm)で、冷却ゾーン104は設定温度100(℃)と噴出風速12(m/s)入り口の幅1890(mm)と出口の幅1855(mm)とした。
【0083】
各ゾーンのエア噴出ノズル1の形式は、予熱ゾーン101は図16に示すとおりとし、スリット幅BはB=12(mm)とし、延伸ゾーン102、熱固定ゾーン103、冷却ゾーン104は図1に示す通りとして、噴出孔2の直径Dは13(mm)、孔列の中心間距離Pab=40(mm)・Pbc=50(mm)・Pcd=40(mm)で、各列における樹脂フィルム31幅方向の噴出孔2の中心間隔Py=44(mm)とした。このような条件で得られた樹脂フィルム31の幅方向の厚み分布を測定した結果は、図13に示すとおりで、平均値はTa=64.9(μm)、最小値はTn=64.4(μm)、最大値はTx=65.6(μm)、幅方向の厚みムラRtは、Rt={(65.6−64.4)/64.9}×100=1.85(%)であった。
【0084】
次に、樹脂フィルム31を残した状態で、製造を中止し、テンターオーブン95の内部に人が中に入って風速が測定出来る程度に冷却した(約6時間)。図9に示すとおり、熱固定ゾーン103と冷却ゾーン104の間の中央1カ所について、各ゾーンのファン53を運転した時の曲がり風速を測定した。なおこの時、各ゾーンの設定温度は25℃として、熱交換機52により加熱されることのないようにした。測定結果は、平均風速1.2m/sで変動率は19%であった。
【0085】
比較例
比較例では、基本的な条件は実施例と同じとし、エア噴出ノズル1について異なる物とした。樹脂フィルム31としてPETフィルムを用いて、幅方向の延伸が可能なテンターオーブン95により樹脂フィルム31を製造した。PET(限界粘度0.65dl/g)チップを180℃で3時間十分に真空乾燥した後、押出機91に供給し285℃で溶融後、口金92からフィルム状に押し出し静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の表面が鏡面のキャストドラム93に巻き付けて冷却固化し未延伸の樹脂フィルム31とした。この時、キャストドラム93での冷却時間(接触時間)を2.4秒とした。このようにして得られた未延伸の樹脂フィルム31を縦延伸機94で長さ方向に3.2倍に延伸した。縦延伸機の温度条件は、予熱部分では75℃で加熱し、延伸部分では95℃で加熱しながら延伸し、冷却部分では40℃で冷却した。このようにして得られた1軸延伸の樹脂フィルム31をテンターオーブン95で幅方向に延伸した後、巻き取りロール96で巻き取った。
【0086】
比較例のテンターオーブン95としては、図9に示すとおり、予熱ゾーン101・延伸ゾーン102・熱固定ゾーン・冷却ゾーンを有する。各ゾーンは図5の断面図に示すとおり、樹脂フィルム31の上下にエア噴出ノズル1が各6本のものを使用した。また幅方向断面は図6に示すものを使用した。
【0087】
各ゾーンの設定温度(℃)と噴出風速(m/s)入り口の幅(mm)と出口の幅(mm)については、予熱ゾーン101は設定温度104(℃)と噴出風速25(m/s)入り口の幅580(mm)と出口の幅582(mm)で、延伸ゾーン102は設定温度122(℃)と噴出風速18(m/s)入り口の幅582(mm)と出口の幅1905(mm)で、熱固定ゾーン103は設定温度222(℃)と噴出風速18(m/s)入り口の幅1905(mm)と出口の幅1890(mm)で、冷却ゾーン104は設定温度100(℃)と噴出風速12(m/s)入り口の幅1890(mm)と出口の幅1855(mm)とした。
【0088】
各ゾーンのエア噴出ノズル1の形式は、予熱ゾーン101は図16に示すとおりとし、スリット幅BはB=12(mm)とし、延伸ゾーン102、熱固定ゾーン103、冷却ゾーン104は図3に示すとおりとして、噴出孔2の直径Dは13(mm)、孔列の中心間距離Px=40(mm)で、各列における樹脂フィルム31幅方向の噴出孔2の中心間隔Py=44(mm)とた。
【0089】
このような条件で得られた樹脂フィルム31の幅方向の厚み分布を測定した結果は、図14に示すとおりで、平均値はTa=64.9(μm)、最小値はTn=63.5(μm)、最大値はTx=66.2(μm)で、幅方向の厚みムラRtは、Rt={(66.2−63.5)/64.9)}×100=4.16(%)であった。
【0090】
次に、樹脂フィルム31を残した状態で、製造を中止し、テンターオーブン95の内部に人が中に入って風速が測定出来る程度に冷却した(約6時間)。図9に示すとおり、熱固定ゾーン103と冷却ゾーン104の間の中央1カ所について、各ゾーンのファン53を運転した時の曲がり風速を測定した。なおこの時、各ゾーンの設定温度は25℃として、熱交換機52により加熱されることのないようにした。
【0091】
測定結果は、平均風速3.6m/sで変動率は44%であった。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明のエア噴出ノズルの一形態を示す平面図である。
【図2】本発明のエア噴出ノズルの一形態を示す平面図である。
【図3】従来技術のエア噴出ノズルの一形態を示す平面図である。
【図4】従来技術のエア噴出ノズルの一形態を示す平面図である。
【図5】図9中のI−I矢視図である。
【図6】図5中のII−II矢視図である。
【図7】曲がり風速の時間変化を示すグラフである。
【図8】逐次二軸延伸法による樹脂フィルムの製造工程の一形態を示す概略図である。
【図9】テンター装置の一形態を示す平面図である。
【図10】本発明のエア噴出ノズルの樹脂フィルム表面の伝熱率分布の性能を説明する平面図である。
【図11】従来技術のエア噴出ノズルの樹脂フィルム表面の伝熱率分布の性能を説明する平面図である。
【図12】従来技術のエア噴出ノズルの樹脂フィルム表面の伝熱率分布の性能を説明する平面図である。
【図13】本発明で製造した樹脂フィルム31の幅方向の厚み分布
【図14】従来技術で製造した樹脂フィルム31の幅方向の厚み分布
【図15】本発明のエア噴出ノズル1の概略斜視図
【図16】噴出孔がスリットであるエア噴出ノズル1の概略斜視図
【符号の説明】
【0093】
1:エア噴出ノズル
2:噴出孔
2a-1:直線3a上の噴出孔
2b-1:直線3b上の噴出孔
2b-2:直線3b上の噴出孔
2c-1:直線3c上の噴出孔
2c-2:直線3c上の噴出孔
2d-1:直線3c上の噴出孔
2d-2:直線3c上の噴出孔
3a:樹脂フィルム31幅方向に配列されている第1列の噴出孔2の中心を通る直線
3b:樹脂フィルム31幅方向に配列されている第2列の噴出孔2の中心を通る直線
3c:樹脂フィルム31幅方向に配列されている第3列の噴出孔2の中心を通る直線
3d:樹脂フィルム31幅方向に配列されている第4列の噴出孔2の中心を通る直線
3e:樹脂フィルム31幅方向に配列されている第5列の噴出孔2の中心を通る直線
3f:樹脂フィルム31幅方向に配列されている第6列の噴出孔2の中心を通る直線
11:供給口
12:フランジ
21:風速計
22:スリット間隙
31:樹脂フィルム
33:樹脂フィルム31表面の伝熱率分布
52:熱交換器
53:ファン
54:吸引口
55:供給ダクト
56:回収ダクト
57:仕切り板
61:テンターオーブン95の外側空間
62:解析空間の端部境界
71:レール
72:レール
73:クリップ
91:押出機
92:口金
93:キャストドラム
94:縦延伸機
95:テンターオーブン
96:巻取りロール
101:予熱ゾーン
102:延伸ゾーン
103:熱固定ゾーン
104:冷却ゾーン
n:孔列数
D:噴出孔2の直径
L:噴出孔2と樹脂フィルム31との距離
Px:噴出孔2の中心を通る直線の間隔
Py:各列における樹脂フィルム31幅方向の噴出孔2の中心の間隔
Ta:樹脂フィルム31の幅方向厚み分布測定結果の平均値
Tn:樹脂フィルム31の幅方向厚み分布測定結果の最小値
Tx:樹脂フィルム31の幅方向厚み分布測定結果の最大値
Rt:樹脂フィルム31の厚みムラで、Rt={(Tx−Tn)/Ta}×100(%)で計算される計算値
Pab:直線3aと直線3bとの間隔
Pbc:直線3bと直線3cとの間隔
Pcd:直線3cと直線3dとの間隔
Pde:直線3dと直線3eとの間隔
Pef:直線3eと直線3fとの間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に搬送される樹脂フィルムに、空気を吹き付けるエア噴出ノズルであって、
前記エア噴出ノズルは、前記樹脂フィルム表面と対向する面に噴出孔を複数設けてあり、
前記噴出孔の配列は、樹脂フィルム搬送方向に直交する方向の複数の噴出孔から形成される列が、樹脂フィルム搬送方向に4列以上でかつ偶数列となるn列配列であり、
前記n列の孔列は、フィルム搬送方向上流側から1列目、2列目、以後3、4、・・・・・n列目とし、2列目と3列目、4列目と5列目、・・・・・、n−2列目とn−1列目の間隔が、1列目と2列目、3列目と4列目、・・・・・、n−1列目とn列目の間隔より広いことを特徴とするエア噴出ノズル。
【請求項2】
前記全ての列において、樹脂フィルム搬送方向に直交する方向の噴出孔のピッチは一定(Py)であり、
全ての列の孔を、全ての列と同一面上にあるフィルム搬送方向と直交する方向の1列(α)に投影したときの、列(α)における孔ピッチTは、下記式(1)を満足し、
前記n列の孔列は、1列目と2列目、3列目と4列目、・・・・・、n−1列目とn列目という隣り合う2列を1対として、各対における2列が千鳥配列となっていることを特徴とする請求項1に記載のエア噴出ノズル。
T=Py/n・・・・・・式(1)
【請求項3】
前記n列配列が4列配列であることを特徴とする、請求項1または2に記載のエア噴出ノズル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のエア噴出ノズルが、延伸ゾーン、熱固定ゾーン、及び冷却ゾーンから選ばれる少なくとも1つのゾーンに配置されたことを特徴とするテンターオーブン。
【請求項5】
請求項4に記載のテンターオーブンを用いて製造された樹脂フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図15】
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【図16】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−255511(P2009−255511A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297531(P2008−297531)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】