説明

エストロゲン剤としての置換ベンゾオキサゾールおよびアナログ

【課題】 エストロゲン剤として有用な置換ベンゾオキサゾールの提供。
【解決手段】 構造式:


[式中:
、R、R2a、R、R3aおよびRならびにXは、明細書中の記載と同意義である]
を有する式(I)で示されるエストロゲン受容体モジュレーターまたはその医薬上許容される塩の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エストロゲン剤として有用な置換ベンゾオキサゾールに関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類の組織におけるエストロゲンの多面的効果は十分に裏付けられており、現在、エストロゲンが多くの臓器系に影響を及ぼすことが認識されている[MendelsohnおよびKaras, New England Journal of Medicine 340: 1801-1811 (1999), Epperson, et al., Psychosomatic Medicine 61: 676-697 (1999), Crandall, Journal of Womens Health & Gender Based Medicine 8: 1155-1166 (1999), MonkおよびBrodaty, Dementia & Geriatric Cognitive Disorders 11: 1-10 (2000), HurnおよびMacrae, Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism 20: 631-652 (2000), Calvin, Maturitas 34: 195-210 (2000), Finking, et al., Zeitschrift fur Kardiologie 89: 442-453 (2000), Brincat, Maturitas 35: 107-117 (2000), Al-Azzawi, Postgraduate Medical Journal 77: 292-304 (2001)]。エストロゲンは、いくつかの経路で組織に影響を与え、最もよく特徴付けられている作用機構は、遺伝子転写の変化を誘発するエストロゲン受容体との相互作用である。エストロゲン受容体は、リガンド活性化転写因子であり、核ホルモン受容体スーパーファミリーに属する。このファミリーの他の構成員は、プロゲステロン、アンドロゲン、グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド受容体を含む。リガンドに結合して、これらの受容体は二量化し、DNA上の特定の配列(応答配列として知られている)に直接結合することにより、または他の転写因子(例えばAP1)との相互作用し、順次特定のDNA配列に直接結合するにより、遺伝子転写を活性化することができる[Moggs and Orphanides, EMBO Reports 2: 775-781 (2001), Hall, et al., Journal of Biological Chemistry 276: 36869-36872 (2001), McDonnell, Principles Of Molecular Regulation. p351-361(2000)]。また、一群の「共調節」蛋白質は、リガンド結合受容体と相互作用することができ、さらに、その複写活性を調節することができる[McKenna, et al., Endocrine Reviews 20: 321-344 (1999)]。また、エストロゲン受容体は、リガンド依存および独非依存の両方でNFB−媒介転写を抑制することができることが示されている[Quaedackers, et al., Endocrinology 142: 1156-1166 (2001), Bhat, et al., Journal of Steroid Biochemistry & Molecular Biology 67: 233-240 (1998), Pelzer, et al., Biochemical & Biophysical Research Communications 286: 1153-7 (2001)]。
【0003】
また、エストロゲン受容体は、リン酸化により活性化することができる。このリン酸化は、EGFのような成長因子により媒介され、リガンドの不在下で遺伝子転写の変化を引き起こす[Moggs and Orphanides, EMBO Reports 2: 775-781 (2001), Hall, et al., Journal of Biological Chemistry 276: 36869-36872 (2001)]。
【0004】
エストロゲンが細胞に影響を与えることができることによりあまりうまく特徴つけられていない手段は、いわゆる膜受容体を介する。かかる受容体の存在は論争中であるが、エストロゲンが非常に急速に細胞から非ゲノム応答を導くことができることが実証されている。これら影響の変化の原因である分子は実際には単離されていないが、それが少なくともエストロゲン受容体の核形態に関連することを示す証拠がある[Levin, Journal of Applied Physiology 91: 1860-1867 (2001), Levin, Trends in Endocrinology & Metabolism 10: 374-377 (1999)]。
【0005】
2種のエストロゲン受容体が今日までに発見されている。第1のエストロゲン受容体は、約15年前にクローン化され、現在ERαと称されている[Green, et al., Nature 320: 134-9 (1986)]。エストロゲン受容体の第2の型は、比較的最近見出されており、ERβと称されている[Kuiper, et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 93: 5925-5930 (1996)]。ERβに関する初期の研究は、種々のリガンドに対するそのアフィニティーを定義することに焦点が当てられ、実際に、ERαと幾分の差異が見られた。 ERβの組織分布は、齧歯類においてよく位置付けられており、これはERαとは一致しない。マウスおよびラット子宮のような組織は優先的にERαを発現するのに対して、マウスおよびラット肺は、優先的にERβを発現する[Couse, et al., Endocrinology 138: 4613-4621 (1997), Kuiper, et al., Endocrinology 138: 863-870 (1997)]。同じ組織内でさえも、ERαおよびERβの分布は、区分することができる。例えば、マウスの卵巣において、ERβは顆粒細胞において高発現し、ERαは外皮および間質細胞に限定される[SarおよびWelsch, Endocrinology 140: 963-971 (1999), Fitzpatrick, et al., Endocrinology 140: 2581-2591 (1999)]。しかしながら、受容体が共発現する例が存在し、インビトロ研究により、ERαおよびERβは異種二量体を形成することができることが証明されている[Cowley, et al., Journal of Biological Chemistry 272: 19858-19862 (1997)]。
【0006】
多くの化合物が、17β−エストラジオールの活性を模倣するか、または遮断することが記載されている。最も有力な内因性エストロゲンである、17β−エストラジオールとほぼ同じ生物学的効果を有する化合物が、「エストロゲン受容体アゴニスト」と称されている。17β−エストラジオールと組み合わせて与えられる場合、その効果を遮断するものを、「エストロゲン受容体アンタゴニスト」と称する。実際には、エストロゲン受容体アゴニストおよびエストロゲン受容体アンタゴニスト活性の間には連続性が存在し、実際に、いくつかの化合物が、いくつかの組織においてエストロゲン受容体アゴニストとして、他の組織においてエストロゲン受容体アンタゴニストとして作用する。混合活性を有するこれらの化合物は、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERMS)と称されており、治療的に有用な薬剤(例えば、EVISTA)である[McDonnell, Journal of the Society for Gynecologic Investigation 7: S10-S15 (2000), Goldstein, et al., Human Reproduction Update 6: 212-224 (2000)]。同じ化合物が、細胞特異的効果を有することができる正確な理由は解明されていないが、受容体の立体構造の違いおよび/または共調節蛋白質の環境の違いが指摘されている。
【0007】
エストロゲン受容体は、リガンドに結合した場合に異なる立体配置を取ることが知られている。しかしながら、これらの変化の影響および微妙さは、最近解明されたばかりである。ERαおよびERβの三次元構造は、種々のリガンドとの共結晶により解明され、受容体−共調節蛋白質相互作用に必要とされる蛋白質配列を立体的に混み合わせるエストロゲン受容体アンタゴニストの存在下でのヘリックス(helix)12の再配置が明確に示されている[Pike, et al., Embo 18: 4608-4618 (1999), Shiau, et al., Cell 95: 927-937 (1998)]。加えて、ファージディスプレイ(phage display)法が、異なるリガンドの存在下でエストロゲン受容体と相互作用するペプチドを同定するのに用いられている[Paige, et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 96: 3999-4004 (1999)]。例えば、ペプチドは、完全エストロゲン受容体アゴニスト17β−エストラジオールおよびジエチルスチルベステロールに結合したERα間を区別することが同定された。異なるペプチドは、ERαおよびERβに結合したクロミフェン間を区別することが示された。これらのデータは、各々のリガンドが、潜在的に、受容体を別個の生物学的活性を有するだろう独自の予測できない立体構造で認識することを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したように、エストロゲンは、多種多彩な生物学的プロセスに影響を与える。加えて、性別の違いが記載されている場合(例えば疾患の頻度、攻撃誘発に対する応答等)、説明は男性および女性間のエストロゲンレベルの違いに関する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、構造式:
【化1】

[式中:
は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、3〜8個の炭素原子のシクロアルキル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、1〜6個の炭素原子のチオアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホキソアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホノアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、O、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員のヘテロサイクリック環、−NO、−NR、−N(R)COR、−CN、−CHFCN、−CFCN、2〜7個の炭素原子のアルキニルまたは2〜7個の炭素原子のアルケニルであり;ここに、該アルキルまたはアルケニル基は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORにより置換されていてもよく;
およびR2aは、各々独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニルまたは2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキルまたは1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;ここに、該アルキルまたはアルケニル基は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORにより置換されていてもよく;
、R3aおよびRは、各々独立して、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキルまたは1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;ここに、該アルキルまたはアルケニル基は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORにより置換されていてもよく;
、Rは、各々独立して、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリールであり;
XはO、SまたはNRであり;
は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR、−COまたは−SOである]
を有する式(I)で示されるエストロゲン化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
医薬上許容される塩は、本発明の化合物が塩基性基を含有する場合、有機酸および無機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸および類似の公知の許容される酸から形成することができる。また、塩は、本発明の化合物が酸性基を含有する場合、有機塩基および無機塩基から形成することができ、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、リチウムまたはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、1〜6個の炭素原子を含有するアルキルアンモニウム塩または各々のアルキル基に1〜6個の炭素原子を含有するジアルキルアンモニウム塩および各々のアルキル基に1〜6個の炭素原子を含有するトリアルキルアンモニウム塩であってもよい。
【0011】
アルキル、アルケニルおよびアルキニルなる用語は、分枝鎖および直鎖基の両方を含む。例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、ビニル、アリル、アセチレン、1−メチルビニル等が挙げられる。アルキルまたはアルケニル基が置換されている場合、これらは、典型的には、モノ、ジ
、トリまたはペル置換されている。ハロゲン置換基の例としては、1−ブロモビニル、1−フルオロビニル、1,2−ジフルオロビニル、2,2−ジフルオロビニル、1,2,2−トリフルオロビニル、1,2−ジブロモエタン、1,2ジフルオロエタン、1−フルオロ−2−ブロモエタン、CFCF、CFCFCF等が挙げられる。ハロゲンなる用語は、臭素、塩素、フッ素およびヨウ素を含む。アリールなる用語は、フェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチルを意味する。好ましい5〜6員のヘテロサイクリック環は、フラン、チオフェン、ピロール、イソピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ジチオール、オキサチオール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾールオキサジアゾール、フラザン、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、オキサチアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジンまたはオキサジアジンを含む。ヘテロサイクリック環がフラン、チオフェンまたはチアゾールであることが好ましい。
【0012】
本発明の化合物に関して、式(I)で示される化合物は、構造式:
【化2】

[式中:
は、2〜7個の炭素原子のアルケニルであり;ここに、該アルケニル基は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORにより置換されていてもよく;
およびR2aは、各々独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキルまたは1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;ここに、該アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORにより置換されていてもよい;
およびR3aは、各々独立して、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキルまたは1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;ここに、該アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORにより置換されていてもよく;
、Rは、各々独立して、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリールであり;
XはO、SまたはNRであり;
は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10の炭素原子のアリール、−COR、−COまたは−SOである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩であることが好ましい。
【0013】
XがOであることがより好ましく、XがOであり、Rが2〜3個の炭素原子のアルケニル(これは、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORにより置換されていてもよい)であることがさらにより好ましい。
【0014】
本発明に従って用いられる場合、本発明の範囲の化合物または物質を与えることに関する「与える」なる用語は、かかる化合物または物質を直接投与すること、または有効量の該化合物または物質を体内で形成するだろうプロドラッグ、誘導体またはアナログを投与することを意味する。
【0015】
本発明に従って用いられる場合、「ERβ選択的リガンド」なる用語は、リガンドのERβに対する結合アフィニティー(IC50により測定する、17β−エストラジオールのIC50は、ERαおよびERβ間でせいぜい3倍異なるだけである)が、ERαおよびERβに対する結合アフィニティーを測定する標準的な薬理試験法で、そのERαに対する結合アフィニティーの少なくとも約10倍より大きいことを意味する。ERβ選択的リガンドが、ERαに対する結合アフィニティーよりも少なくとも約20倍大きいERβに対する結合アフィニティーを有することが好ましい。ERβ選択的リガンドが、ERαに対する結合アフィニティーよりも少なくとも約50倍大きいERβに対する結合アフィニティーを有することがより好ましい。ERβ選択的リガンドは非子宮肥大性および非乳腺刺激性であることがさらに好ましい。
【0016】
本発明に従って用いられる場合、「非子宮肥大性」なる用語は、標準的な薬理試験において、同じ方法で最大限に有効な投与量の17β−エストラジオールまたは17α−エチニル−17β−エストラジオールに対して観察される子宮重量の増加の約50%未満の、子宮湿重量の増加を生じさせることを意味する。子宮湿重量の増加がエストラジオールに対して観察されるものの約25%未満であることが好ましく、子宮湿重量の増加がエストラジオールに対して観察されるものの約10%未満であることがより好ましい。非子宮肥大性ERβ選択的リガンドは、子宮肥大活性を欠く対照(例えば、ビヒクル)と比較して、有意に子宮湿重量を増加させないこと(p>0.05)が最も好ましい。
【0017】
本発明に従って用いられる場合、「非乳腺刺激性」なる用語は、標準的な薬理試験において、同じ方法で最大限に有効な投与量の17β−エストラジオールまたは17α−エチニル−17β−エストラジオールに対して観察されるカゼインキナーゼIImRNAの増加の約50%未満の、カゼインキナーゼIImRNAの増加を生じさせることを意味する。カゼインキナーゼIImRNAの増加がエストラジオールに対して観察されるものの約25%未満であることが好ましく、カゼインキナーゼIImRNAの増加がエストラジオールに対して観察されるものの約10%未満であることがより好ましい。非乳腺刺激性ERβ選択的リガンドは、非乳腺刺激活性を欠く対照(例えば、ビヒクル)と比較して、有意にカゼインキナーゼIImRNAを増加させないこと(p>0.05)が最も好ましい。
【0018】
また、本発明は、関節炎、炎症性腸疾患および子宮内膜症の治療または阻害におけるERβ選択的リガンドの使用を提供する。より特別には、ERβ選択的リガンドは、関節リウマチ、変形性関節症または脊椎関節炎;およびクローン病、潰瘍性大腸炎、不定型結腸炎、感染性結腸炎または潰瘍性直腸炎の治療または予防において有用である。本発明は、さらに、関節膨化または関節びらんの治療または阻害;または関節鏡下または外科的手法に伴う関節損傷の治療または阻害におけるERβ選択的リガンドの使用を提供する。ERβ選択的リガンドは非子宮肥大性および非乳腺刺激性であることが好ましい。
【0019】
本発明の化合物の調製に用いられる試薬は、市販されているか、または文献に記載の標準的な方法により調製することができる。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、本発明の化合物の製造方法であって、下記:
a)式:
【化3】

[式中、R、R、R2aおよびXは上記と同意義である]
で示される化合物を、式:
【化4】

[式中、RおよびR3aは上記と同意義であり、Yはハロゲン、−OHまたは1〜6個の炭素原子のアルコキシである]
で示される化合物と反応させること;
または
b)上記した式(II)で示される化合物を、その医薬上許容される塩に変換すること;
または
c)式(II)で示される化合物の異性体混合物を分割して、式(II)で示される化合物のエナンチオマーまたはその医薬上許容される塩を単離すること;
の1つを含む方法に関する。
【0021】
本発明の化合物は、例えば、下記合成スキーム(I〜VIII)に従って調製することができる。
【化5】

【0022】
スキームIにおいて、市販のジメトキシアニリン1を、トリエチルアミンの存在下、市販のベンゾイルクロライド2で処理してアミド3を得た。また、必要とするベンゾイルクロライド2は、市販されている安息香酸4から、塩化チオニルと還流して調製した。アミド3を、高温(200℃)でピリジン塩酸塩で処理してフェノールベンゾオキサゾール5に変換した。
【0023】
【化6】

【0024】
スキームIIにおいて、市販のニトロ−フェノール6を、酢酸中のBr/NaOAcで臭素化して、ブロモ−フェノール7を得た。7をEtOAc中のRa−Niで触媒水素化することによりアニリン8を得た。8をピリジンの存在下、ベンゾイルクロライド9(市販されているか、または対応する安息香酸および塩化チオニルから調製することができる)とカップリングさせて、アミド−エステル10を得た。10のベンゾオキサゾール11への変換は、酸性条件(p−トルエンスルホン酸)下、高温(150℃)で行った。11をジクロロメタン中で三臭化ホウ素で脱メチル化して、フェノールベンゾオキサゾール12を得た。
【0025】
【化7】

【0026】
スキームIIIにおいて、アニリン8を、p−キシレン中、高温(150℃)で、安息香酸13およびホウ酸で処理して、ベンゾオキサゾール14に変換した。14をジクロロメタン中の三臭化ホウ素で脱メチル化して、フェノールベンゾオキサゾール15を得た。
【0027】
【化8】

【0028】
スキームIVにおいて、16酢酸中の硝酸でニトロ化して17を得、これをRa−Ni存在下水素で還元してアニリン18を得た。アニリン18を、脱メチル化工程を、高温(200℃)でピリジン塩酸塩で行うこと以外はスキームIIに記載のものと同様の方法でベンゾオキサゾール19に変換した。
【0029】
【化9】

【0030】
スキームVにおいて、ベンゾオキサゾール20のヒドロキシル基を、N,N−ジメチルホルムアミド中のtert−ブチルジメチルシリルクロライド/イミダゾール/4−ジメチルアミノピリジンで、シリルエステル21(R=MeC(CHSi)として、またはジクロロメタン中の無水酢酸/4−ジメチルアミノピリジンでエステル21(R=CHCO)として保護した。ベンゾオキサゾール20および21を、種々のスズ試薬(すなわち、トリブチル(ビニル)スズ、トリブチル(アリル)スズ、トリブチル(2−フリル)スズ)、ボロン酸または塩化亜鉛で、パラジウム触媒[すなわち、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム(II)またはテトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(0)]の存在下、p−キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタンまたは1,2−ジメトキシエタン中で、ボロン酸カップリング反応である場合は塩基(すなわち、NaCO)の存在下、20〜150℃の範囲の温度でカップリングして、ベンゾオキサゾール22および23を得た。
【0031】
22(R=MeC(CHSi)のシリルエーテルを、フッ化水素酸(水中48重量%)またはフッ化テトラブチルアンモニウムで脱保護して、ベンゾオキサゾール24を得た。22(R=CHCO)を、ジオキサン中の炭酸カリウムで鹸化して、ベンゾオキサゾール24を得た。ベンゾオキサゾール23(R=CH)を、ジクロロメタンまたはピリジン塩酸塩中三臭化ホウ素で、高温(200℃)で脱メチル化して、ベンゾオキサゾール24を得た。
【0032】
【化10】

【0033】
スキームVIにおいて、ベンゾオキサゾール24を、低温(−78℃)でn−ブチルリチウムで処理し、ついで、求電子物質(すなわち、CNCOEt、Ph(CH3)NCHO、EtI等)を添加して、化合物25を得た。25を、三臭化ホウ素(R=CH)またはフッ化テトラブチルアンモニウム(R=MeC(CHSi)で脱保護して、ベンゾオキサゾール26[R=CHO、COEt、CHCH、C(CHOH]を得た。
三級アルコール25(R=C(CH)OH)を、高温(200℃)で、ピリジン塩酸塩で処理して、1−メチル−ビニルベンゾオキサゾール27を得た。27を、H/Pd−Cで還元して、イソプロピルアナログ28を得た。
【0034】
【化11】

【0035】
スキームVIIにおいて、ベンゾオキサゾール29を、メタノール中のボロヒドリドナトリウムで還元して、アルコール30を得た。30をCHCl中の三臭化ホウ素で1時間処理して、ベンゾオキサゾール31を得、長期間(18時間)処理して、臭化物32を得た。臭化物32を、N,N−ジメチルホルムアミド中のシアン化カリウムおよび18−クラウン−6エーテルで処理してアセトニトリル33に変換した。
【0036】
【化12】

【0037】
スキームVIIIにおいて、ブロモ−ベンゾオキサゾール35(R=CH)を、最初にDMF中のシアン化銅(I)で処理して、対応するアリール−ニトリルを得、これを三臭化ホウ素で処理して、ベンゾオキサゾール36を得た。また、ベンゾオキサゾール36を、第2の合成経路で調製した。ブロモ−ベンゾオキサゾール35を、パラジウム触媒[すなわち、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)]の存在下、シアン化亜鉛で処理して対応するアリール−ニトリルを得、これを、三臭化ホウ素で脱メチル化して、ベンゾオキサゾール36を得た。ベンゾオキサゾール35(R=H)を、DMF中の臭化銅(I)および新たに調製したナトリウムメトキシドで処理して、メトキシ−ベンゾオキサゾール37を得た。37を、アセトニトリル中のN−ブロモスクシニミドで臭素化して、モノブロモベンゾオキサゾール38(主生成物)およびジブロモベンゾオキサゾール39(副生成物)を得た。
【0038】
所定の試験化合物の活性特性を測定するために、標準的な薬理試験法が容易に利用できる。下記は、いくつかの代表的な試験方法を簡単に説明し、本発明の代表的な化合物のデータを含みうる。放射性リガンド結合アッセイを除く、すべてのアッセイを、化合物のエストロゲン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト活性を測定するために用いることができる。一般的には、エストロゲン受容体アゴニスト活性は、参照エストロゲン(例えば、17β−エストラジオール、17α−エチニル、17β−エストラジオール、エストロン、ジエチルスチルベステロール等)に対する化合物の活性を比較することにより測定する。エストロゲン受容体アンタゴニスト活性は、一般的に、試験化合物を参照エストロゲンと同時処理し、結果を参照エストロゲン単独で得られたものと比較することにより測定することができる。SERMに関する標準的な薬理試験法は、米国特許第4,418,068号および第5,998,402号に記載されており、これは出典明示により本明細書に組み入れる。
【0039】
ERαおよびERβに対する結合アフィニティーの評価
本発明の代表的な実施例を、慣用的な放射性リガンド結合アッセイで、ERαおよびERβの両方に対して17β−エストラジオールと競合するその能力を評価した。この試験法は、ERαまたはERβ受容体に対する相対的な結合アフィニティーを測定するための1つの方法論を提供する。用いられる方法を下記に簡単に記載する。
【0040】
結合選択性の特徴付けのための受容体抽出物の調製。リガンド結合ドメイン(都合よくは、DNA結合ドメインの下流にあるすべての配列としてここに定義する)を、テンプレートとしての全長cDNA、およびサブクローニングに適当な制限部位を含有し、発現に適当なリーディングフレームを保持するプライマーを用いるPCRにより得た。これらのテンプレートは、ヒトERαのアミノ酸M250−V595[Green, et al., Nature 320: 134-9 (1986)]およびヒトERβのアミノ酸M214−Q530[Ogawa, et al., Biochemical & Biophysical Research Communications 243: 122-6 (1998)]を含有していた。ヒトERβを、C−末端Flagタグを有するNco1−BamH1フラグメントとしてpET15b(Novagen、MadisonWI)にクローン化した。ヒトERαを、N−末端Hisタグを加えること以外は、ヒトERβのようにクローン化した。用いるすべての構築物の配列を、両方のストランドを完全に配列決定することにより確認した。
【0041】
BL21(DE3)細胞を、ヒト蛋白を発現するために用いた。典型的には、10mLの一晩培養物を用いて、100μg/mLのアンピリシンを含有するLB培地の1Lの培養物を接種した。37℃で一晩インキュベーションした後、IPTGを加えて1mMの最終濃度とし、インキュベーションを25℃で2時間続けた。細胞を遠心分離(1500xg)により収穫し、ペレットを洗浄し、100mLの50mMのトリス−Cl(pH7.4)、150mMのNaCl中に再懸濁した。細胞を12000psiのフレンチプレスに2回付して溶解させた。溶解物を4℃で30分間12,000xgでの遠心分離に付して清澄化し、−70℃で貯蔵した。
【0042】
特異的[H]−エストラジオール結合に関する抽出物の評価。1mMのEDTAを補足したダルベッコリン酸緩衝化セイライン(Gibco、1×最終濃度)を、アッセイ緩衝液として用いた。アッセイにおいて用いるための受容体の量を最適化するために、[H]−17β−エストラジオール(New England Nuclear;最終濃度=2nM)±0.6μMのジエチルスチルベストロールおよびイー・コリ溶解物の100μLの種々の希釈物を、高結合マスクマイクロタイタープレート(EG&G Wallac)の各々のウェルに加えた。最終アッセイ容量を120μLとし、DMSOの濃度を1%以下にした。室温で5〜18時間インキュベーションした後、未結合物質を吸引し、プレートを約300μLのアッセイ緩衝液で3回洗浄した。洗浄した後、135μLのシンチレーションカクテル(Optiphase Supermix、EG&G Wallac)をウェルに加え、プレートをシールし、少なくとも5分間撹拌して、シンチレーション物質を残留洗浄緩衝液と混合した。結合放射活性を、液体シンチレーション計数(EG&G Wallac Microbeta Plus)により評価した。
【0043】
最大限の特異結合を与える各々の受容体調製物の希釈物を測定した後、アッセイを、受容体調製物の種々の希釈物を用いて非標識17β−エストラジオールのIC50を評価することによりさらに最適化した。各々の受容体調製物の最終処理希釈物を、非標識17β−エストラジオールのIC50が2〜4nMであるように選択した。
【0044】
リガンド結合競合試験法。試験化合物を最初にDMSO中に可溶化し、結合アッセイのDMSOの最終濃度を1%以下にした。各々の試験化合物の8種類希釈物を、[H]−17β−エストラジオールに対する非標識競合物として用いた。典型的には、化合物の希釈物のセットは、ヒトERαおよびERβで同時に試験されるだろう。結果を、試験化合物の濃度に対して測定したDPMとしてプロットした。投与量−応答曲線フィッティングに関して、変換して重みを付けたデータの4パラメーターロジスティックモデルを適合させ、IC50を最大[H]−エストラジオール結合の50%を減少させる化合物の濃度として定義した。
本発明の代表的な実施例のERαおよびERβに対する結合アフィニティー(IC50として測定した)を表(1)に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
上記した標準的な薬理試験法で得られた結果は、本発明の化合物がエストロゲン受容体の両方のサブタイプに結合することを示している。IC50は、一般的には、ERβに対してより低く、これらの化合物が優先的にERβ選択的リガンドであることを示しているが、依然として、ERαに対しても活性であると考えられる。本発明の化合物は、少なくとも部分的に、これらの受容体アフィニティー選択特性に基づく活性の範囲を示すだろう。本発明の化合物は、ER−αよりも高いアフィニティーでER−βと結合するので、これらは、ER−βを介して調節することができる疾患の治療または阻害に有用であるだろう。加えて、各々の受容体リガンド複合体は独特のものであり、かくして、種々の共調節蛋白質とのその相互作用が独特のものであるので、本発明の化合物は、細胞の状況に応じて、異なった予測できない活性を示すだろう。例えば、いくらかの細胞型においては、化合物はエストロゲン受容体アゴニストとして作用することができるが、他の組織においては、エストロゲン受容体アンタゴニストとして作用する。かかる活性を有する化合物は、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)と称される。しかしながら、多くのエストロゲンとは異なって、多くのSERMは、子宮の湿重量の増大を引き起こさない。これらの化合物は、子宮において抗エストロゲン的であり、子宮組織においてエストロゲン受容体アゴニストの栄養作用と完全に競合することができる。しかしながら、これらの化合物は、骨、心血管および中枢神経系においてエストロゲン受容体アゴニストとして作用する。これらの化合物のこの組織選択性のために、これらは、哺乳類において、エストロゲン欠乏(骨または心血管のようなある種の組織において)またはエストロゲン過剰(子宮または乳腺において)により引き起こされるか、またはそれに不随する、病態または症状の治療または阻害に有用である。加えて、また、本発明の化合物は、一の受容体型に対するエストロゲン受容体アゴニストとして作用するが、他に対してエストロゲン受容体アンタゴニストとしても作用する。例えば、該化合物は、ERβを介する17β−エストラジオールの作用を拮抗することができるが、ERαでエストロゲン受容体アゴニスト活性を示すことが示されている[Sun, et al., Endocrinology 140: 800-804 (1999)]。かかるERSAA(エストロゲン受容体選択的アゴニストアンタゴニスト)活性は、この一連の化合物の薬理的に異なったエストロゲン活性を与える。
【0048】
メタロチオネインIImRNAの調節
ERβを介するがERαを介さないエストロゲンの作用は、Harris [Endocrinology 142: 645-652 (2001)]に記載されているように、Saos−2細胞においてメタロチオネインII mRNAレベルをアップレギュレーションすることができる。この試験法の結果を下記試験法(ERE受容体試験法)の結果と組み合わせて、本発明の化合物の選択特性を測定することができる(WO00/37681も参照)。本発明の代表的な化合物のデータを表(2)に示す。
【0049】
【表3】

【0050】
MCF−7乳癌細胞におけるERE−受容体試験法を用いる試験化合物の評価
試験化合物の貯蔵溶液(通常0.1M)をDMSO中に調製し、ついで、DMSOで10〜100倍に希釈して、1または10mMの処理溶液を調製する。DMSO貯蔵物を、4℃(0.1M)または−20℃(<0.1M)のいずれかで貯蔵する。MCF−7細胞を、成長培地[10%(v/v)熱−不活性化ウシ胎児血清、1%(v/v)のペニシリン−ストレプトマイシンおよび2mMのグルタマックス(glutaMax)−1を含有するD−MEM/F−12培地]で一週間に2回継代する。細胞を、5%のCO/95%の加湿空気インキュベーター中、37℃で、通気孔付きフラスコで維持する。処理の1日前に、該細胞を96ウェルプレートに25,000細胞/ウェルで成長培地と共にプレートし、37℃で一晩インキュベートする。
【0051】
実験培地[10%(v/v)の熱不活性チャコール処理ウシ胎児血清、1%(v/v)のペニシリン−ストレプトマイシン、2mMのグルタマックス−1、1mMのピルビン酸ナトリウムを含有する、フェノールレッド不含D−MEM/F−12培地]中で、アデノウイルス5−ERE−tk−ルシフェラーゼの1:10希釈液の50μL/ウェルで、細胞を37℃で2時間感染させる。ウェルを150μLの実験培地で1回洗浄する。最後に、これらの細胞を、150μL/ウェルのビヒクル(0.1%v/v以下のDMSO)または実験培地で1000倍以上に希釈した化合物で、37℃で24時間8ウェル/処理反復で処理する。
【0052】
試験化合物の最初のスクリーニングは、試験化合物単独(エストロゲン受容体アゴニストモード)または0.1nMの17β−エストラジオールと組み合わせて(EC80;エストロゲン受容体アンタゴニストモード)で、単回投与量1μMで行う。また、各々の96ウェルプレートは、ビヒクル対照群(0.1%v/vのDMSO)およびエストロゲン受容体アゴニスト対照群(0.1または1nMの17β−エストラジオールのいずれか)を含む。投与量−応答実験を、10−14〜10−5Mに対数増加する活性化合物のエストロゲン受容体アゴニストおよび/またはエストロゲン受容体アンタゴニストモードのいずれかで行う。これらの投与量−応答曲線から、各々EC50値IC50値がえら得る。各々の処理群の最終ウェルは、5μLの3×10−5M ICI−182,780(10−6Mの最終濃度)をエストロゲン受容体アンタゴニスト対照として含有する。
【0053】
処理した後、細胞をシェーカー上で、25μL/ウェルの1×細胞培養物溶解試薬(Promega Corporation)で15分間溶解する。細胞溶解物(20μL)を96ウェル発光計プレートに移し、ルシフェラーゼ活性を、100μL/ウェルのルシフェラーゼ基質(Promega Corporation)を用いて、MicroLumat LB 96 P発光計(EG and G Bethold)で測定する。基質を注入する前に、1秒間のバックグラウンド測定を各々のウェルに対して行う。基質を注入した後、ルシフェラーゼ活性を、1秒遅延後に10秒間測定する。データを発光計からMacintoshパーソナルコンピューターに転送し、JMPソフトウェア(SAS Institute)を用いて分析し;このプログラムは、各々のウェルのルシフェラーゼ測定からバックグラウンドの読み取りを差し引き、各々の処理の平均および標準偏差を測定する。
【0054】
ルシフェラーゼのデータを対数変換し、域外の変換された観測値に重みを付けるためにHuber M−推定器を用いる。JMPソフトウェアを用いて、変換して重みを付けたデータを一元ANOVA(Dunnet検定)について分析する。化合物処理を、エストロゲン受容体アゴニストモードのビヒクル対照の結果またはエストロゲン受容体アンタゴニストの正のエストロゲン受容体アゴニスト対照の結果(0.1nMの17β−エストラジオール)と比較する。最初の単回用量実験に関しては、化合物処理の結果が適当な対照と有意に異なっている場合(p<0.05)、該結果は17β−エストラジオール対照に対するパーセント[すなわち、((化合物−ビヒクル対照)/(17β−エストラジオール対照−ビヒクル対照))×100]として記録する。また、JMPソフトウェアを用いて、非線形の投与量−応答曲線からEC50および/またはIC50値を測定する。
【0055】
子宮肥大活性の評価
試験化合物の子宮肥大活性は、以下の標準的な薬理試験に従って測定することができる。
方法1:性的に未熟な(18日齢)Sprague-Dawley(Sprague−Dawley)ラットをTaconicから入手し、カゼインを基礎とする食餌(Purina Mills 5K96C)および水を無制限に与える。19、20および21日目に、ラットに、17α−エチニル−17β−エストラジオール(0.06μg/ラット/日)、試験化合物またはビヒクル(50%のDMSO/50%のダルベッコPBS)を皮下投与する。エストロゲン受容体アンタゴニスト活性を評価するために、化合物を17α−エチニル−17β−エストラジオール(0.06μg/ラット/日)で同時投与する。6匹のラット/群があり、これらを、最終注射後約24時間で、CO窒息および気胸により安楽死させる。子宮を取り出し、付属する脂肪を削り取り、内液を絞り出した後重量を量る。また、組織試料は、遺伝子発現(例えば、補体因子3mRNA)の分析用に急速冷凍することができる。本発明の代表的な化合物から得られた結果を表(3)に示す。
【0056】
【表4】

【0057】
方法2:性的に未熟な(18日齢)129 SvE マウスをTaconicから入手し、カゼインを基礎とする食餌(Purina Mills 5K96C)および水を無制限に与える。22、23、24および25日目に、マウスに、化合物またはビヒクル(コーン油)を皮下投与する。6匹のマウス/群があり、これらを、最終注射後約6時間で、CO窒息および気胸により安楽死させる。子宮を取り出し、付属する脂肪を削り取り、内液を絞り出した後重量を量る。本発明の代表的な化合物の結果(表(4))が得られた。
【0058】
【表5】

【0059】
骨粗鬆症および脂質調節(心臓保護)の評価
卵巣切除するか、または偽手術した雌のSprague-DawleyラットをTaconic Farmsから術後1日で入手する(体重範囲240〜275g)。これらを、12/12(明/暗)スケジュールで室内で、3または4ラット/ケージで飼育し、食餌(Purina 5K96Cラット飼料)および水を無制限に与える。すべての研究に関する処理を到着後1日で開始し、ラットに、6週間の間、週あたり7日投与する。いずれの処理も受けていない同齢である偽手術ラットの群は、各々の研究に対して、無処理のエストロゲン豊富対照群である。
【0060】
すべての試験化合物を、処理容量が0.1mL/100g体重であるように、50%のDMSO(JT Baker, Phillipsburg, NJ)/1×ダルベッコリン酸セイライン(GibcoBRL, Grand Island, NY)のビヒクル中、所定の濃度で調製する。17β−エストラジオールをコーン油(20μg/mL)に溶解し、0.1mL/ラットで皮下投与する。すべての投与量を、群の平均体重測定により3週間間隔で調節し、皮下投与する。
【0061】
処理開始の5週間後および研究終了の1週間前、各々のラットを骨ミネラル密度(BMD)に関して評価する。近位脛骨の総および小柱密度を、XCT−960M(pQCT;Stratec Medizintechnik, Pforzheim, Germany)を用いて麻酔したラットで評価する。測定を下記のように行う:走査の15分前に、各々のラットを、45mg/kgのケタミン、8.5mg/kgのキシラジンおよび1.5mg/kgのアセプロマジンの腹腔内注射で麻酔する。
【0062】
右の後肢を、直径25mmのポリカルボネートチューブに通し、アクリルフレームに、足根関節を90°および膝関節を180°で貼り付ける。ポリカルボネートチューブを、それをpQCTの開口部に垂直に保持するスライドプラットホームに固定する。大腿骨の遠位端部および脛骨の近位端部が走査範囲内にあるように、プラットホームを調節する。二次元スカウト像を、10mmの長さで、ライン解像度0.2mmで得る。スカウト像をモニターに表示した後、脛骨の近位端部の位置を確認する。pQCTスキャンを、この点から3.4mm遠位で開始する。pQCTスキャンは、1mmの幅であり、0.140mmのボクセル(三次元ピクセル)サイズを有し、薄片を通して145枚の投影画像からなる。
【0063】
pQCTスキャンが完了した後、画像をモニターで表示する。脛骨を含むが腓骨を含まない目的の領域を示す。軟組織を、反復アルゴリズムを用いて数学的に除去する。残りの骨の密度(総密度)をmg/cmで記録する。骨の外側55%を、数学的に、同心らせんにおいてはがす。残りの骨の密度(小柱密度)をmg/cmで記録する。
【0064】
BMD評価から1週間後、ラットを、CO窒息および気胸により安楽死させ、および血液を、コレステロール測定のために回収する。また、子宮を除去し、付属した脂肪を削り取り、管腔液を絞り出した後に重量を測定する。総コレステロールを、コレステロール/HPキットを用いるBoehringer−Mannheim Hitachi 911臨床分析器を用いて測定する。統計値を、一元配置分散分析を用いてダネット検定で、比較した。
【0065】
下記結果を、本発明の代表的な化合物で得た(表(5))。
【表6】

【0066】
酸化防止活性の評価
ブタの大動脈を食肉処理場から得、洗浄し、冷PBS中に移し、大動脈内皮細胞を収穫する。細胞を収穫するために、肋骨間の大動脈管を結んでとめ、大動脈の一方の末端を固定する。新鮮な、濾過滅菌した、0.2%のコラゲナーゼ(SigmaI型)を血管に入れ、ついで、血管の他の末端を固定し、閉鎖系を形成する。大動脈を37℃で15〜20分間インキュベートし、その後、コラゲナーゼ溶液を回収し、5分間2000xgで遠心分離に付す。各々のペレットを、チャコール処理FBS(5%)、NuSerum(5%)、L−グルタミン(4mM)、ペニシリン−ストレプトマイシン(1000U/ml、100μg/ml)およびゲンタマイシン(75μg/ml)を補足したフェノールレッド不含DMEM/ハムF12培地からなる7mLの内皮細胞培養培地に懸濁させ、ペトリ皿に接種し、5%のCO中37℃でインキュベートする。20分後、細胞をPBSで洗浄し、新たな培地を加え、これを再び24時間で繰り返す。細胞は約1週間後に集密になる。内皮細胞を、一週間に2度、定期的に供給し、集密した場合、トリプシン処理し、1:7の割合で接種する。12.5μg/mLのLDLの細胞媒介酸化を評価しようとする化合物(5μM)の存在下で37℃で4時間進行さる。結果を、遊離アルデヒドを分析するためのTBARS(チオバルビツール酸反応性物質)法により測定して、酸化プロセスの阻害パーセントとして表す[Yagi, Biochemical Medicine 15: 212-6 (1976)]。
【0067】
プロゲステロン受容体mRNA レギュレーション標準薬理試験法
この試験法は、本発明の化合物のエストロゲンまたは抗エストロゲン活性を評価するために用いることができる[Shughrue, et al., Endocrinology 138: 5476-5484 (1997)]。本発明の代表的な化合物のデータを表(6)に示す。
【0068】
【表7】

【0069】
ラットののぼせ試験法
のぼせにおける試験化合物の効果は、試験化合物の、モルヒネ−中毒ラットがナロキソンを用いて該薬剤の使用を急に止めた場合に起こる尾の皮膚温度の上昇を鈍らせる能力を測定する標準的な薬理試験法で評価することができる[Merchenthaler, et al., Maturitas 30: 307-16 (1998)]。また、これは、試験化合物を参照エストロゲンと同時投与することにより、エストロゲン受容体アンタゴニスト活性を検出するのに用いることができる。以下のデータを、本発明の代表的な化合物から得た(表(7))。
【0070】
【表8】

【0071】
単離ラット大動脈輪における血管運動機能の評価
スピラーグドーリーラット(240〜260グラム)を4つの群にわける:
1.正常な卵巣非切除(無処理)群
2.卵巣切除し(オベックス)ビヒクル処理した群
3.卵巣切除し、17β−エストラジオール処理(1mg/kg/日)した群
4.卵巣切除し、試験化合物で処理(種々の投与量)した動物群
【0072】
動物を処理の約3週間前に卵巣切除する。各々の動物に、1%のトゥイーン−80を含有する蒸留した脱イオン水中に懸濁させた17−β−エストラジオールサルフェート(1mg/kg/日)または試験化合物のいずれかを胃にチューブで投与する。ビヒクル処理動物は、薬剤処理群において用いたビヒクルに見合う量を投与した。
【0073】
動物を、CO吸入および放血により安楽死させる。胸部大動脈をすぐに除去し、NaCl(54.7)、KCl(5.0)、NaHCO(25.0)、MgCl2HO(2.5)、D−グルコース(11.8)およびCaCl(0.2)の組成(mM)を有する、95%/5%のCO−Oガスを通し最終pH7.4にした、37℃の生理溶液中に置く。外膜を外面から除去し、血管を2〜3mm幅のリングに切断する。リングを、浴の底に一方の端を取り付け、他方を力変換器に取り付けた10mLの組織浴につるす。1グラムの静止張力をリングに与える。リングを、1時間平衡化させ、シグナルを取得し、分析する。
【0074】
平衡後、リングを、濃度を増加した(10−8〜10−4M)フェニレフリンに曝し、張力を記録する。ついで、浴を新たな緩衝液で3回洗浄する。洗浄後、200mMのL−NAMEを組織浴に加え、30分間平衡化させる。ついで、フェニレフリン濃度応答曲線を反復する。
【0075】
心臓保護活性の評価
アポリポ蛋白質E−欠乏C57/B1J(apoEKO)マウスをTaconic Farmsから入手する。すべての動物の処理は、IACUCガイドラインの正確なコンプライアンス下で行う。卵巣切除した雌のapo E KOマウス(4〜7週齢)を、シュー・ボックスケージ中に収容し、食餌と水を自由に与える。動物を体重により群に無作為化する(群あたり、n=12〜15のマウス)。消費された食餌の量を毎週測定し、動物の体重に基づいて、投与量を調節する正確な投与プロトコルを用いて、動物に、食餌中の試験化合物またはエストロゲン(1mg/kg/日で17β−エストラジオール硫酸)を投与する。用いた食餌は、ウエスタン−スタイル飼料(57U5)であり、これはPurinaにより提供され、0.50%のコレステロール、20%のラードおよび25IU/KGビタミンEを含有する。このパラダイムを用いて12週間、動物に投与する/給食する。対照動物には、ウエスタン−スタイル食餌を食べさせ、化合物は与えない。研究期間の最後に、動物を安楽死させ、血漿試料を得る。心臓を系内で、最初にセイラインで、ついで、中性緩衝10%ホルマリン溶液で潅流する。
【0076】
血漿脂質およびリポ蛋白質を測定するために、総コレステロールおよびトリグリセリドを、それぞれBoehringer MannheimおよびWako Biochemicalsから市販されているキットで酵素法を用いて測定し、Boehringer Mannheim Hitachii 911分析器を用いて分析する。血漿リポ蛋白質の分離および定量は、FPLCサイズ分別法を用いて行った。簡単に記載すると、50〜100mLの血清を濾過し、1mMのEDTAナトリウムおよび0.15MのNaClで一定の流速で溶出する、直列に連結したSuperose12およびSuperose6カラム中に注入する。各々VLDL、LDLおよびHDLを示す曲線の面積を、Waters Millennium(登録商標)ソフトウェアを用いて積分し、各々のリポ蛋白質フラクションを、総コレステロール値と、各々のクロマトグラムピークの相対的なパーセント面積を乗じることにより、定量する。
【0077】
大動脈アテローム性動脈硬化症を定量化するために、処理する前に、大動脈を注意深く単離し、48〜72時間ホルマリン固定液中に置く。アテローム硬化病変部を、Oil Red O染色を用いて同定する。血管を簡単に脱染し、画像取得ソフトウェアとしてIMAQコンフィグレーションユーティリティ(National Instrument)と対応する、Sony 3CCDビデオカメラ系を備えたNikon SMU800マイクロスコープを用いて画像を得る。病変部を、カスタム閾値ユーティリティーソフトウェアパッケージ(Coleman Technologies)を用いて、大動脈弓に沿って正面を定量する。自動病変評価を、プログラムの閾値関数を用いて、血管で、特に腕頭動脈の近位縁から左鎖骨下動脈の遠位縁の動脈弓内に含まれる領域で行う。大動脈アテローム性動脈硬化症のデータを、正確にこの所定の管腔領域内に関与する病巣のパーセントとして示す。
【0078】
認識力増強の評価
卵巣切除したラット(n=50)を、連続した5日間の各々で10分間8−アームの放射状迷路に慣れさせる。慣れさせる前および試験前に動物には水を与えない。各々のアームの末端に置いた100μLの水のアリコートは、強化剤としての機能を果たす。放射状迷路の成功移動(win−shift)タスクの習得は、動物を1つの餌アームにアクセスさせることにより達成される。飲水後、動物はアームを抜け出し、再び中央区画に入り、前にアクセスしたアームまたは新たなアームにアクセスする。動物が新たなアームを選択した場合、正確な応答を記録する。各々の動物は、3日間で1日あたり5回試験される。最終習得試験後、動物を以下の4つの群の1つに割り当てる:
1.負の対照(Negative control):10%のDMSO/ゴマ油ビヒクル(1mL/kg、SC)を6日間1日1回注射する
2.正の対照(Positive control):2日間17β−エストラジオールベンゾエートを注射し、第2の注射(17β−エストラジオールベンゾエートをラットあたり10μg/0.1mLで)後4日間試験する。
3.エストラジオール:17β−エストラジオールを6日間1日1回注射されるだろう(20μg/kg、SC)。
4.試験化合物:6日間1日1回注射する(投与量は変化する)。
【0079】
すべての注射は、習得試験の最終日の後に開始されるだろう。群1、3および4の最終注射は、ワーキングメモリを試験する2時間前に行われる。
ワーキングメモリ試験は、15、30または60秒の遅延を利用する遅延非見本合わせタスク(DNMS)である。このタスクは、ラットを中央アリーナに置いて、前述のように1つのアームに入らせる習得タスクの変形である。ラットが第1のアームの半分まできたところで第2のアームを開き、ラットにこのアームを選択することを余儀なくさせる。この第2のアームの半分まできた時に、両方の扉を閉じ、遅延を開始する。遅延時間が終了すると、元の2つの扉両方と第3の新たなドアを同時に開く。動物が第3の新たなアームの半分まできた時に正確な応答を記録する。動物が第1または第2のアームのいずれかの半分まできた時に不正確な応答を記録する。各々の動物は、3種の遅延間隔それぞれで5回の試験を受け、対象あたり総じて15回の試験を受ける。
【0080】
胸膜炎に対する効果の評価
ラットにおける実験的に誘発した胸膜炎の兆候を減少させる能力は、Cuzzocreaの方法に従って評価することができる[Endocrinology 141: 1455-63 (2000)]。
【0081】
グルタミン酸塩誘発細胞毒性に対する保護(神経保護)の評価
本発明の神経保護活性は、グルタミン酸塩攻撃を用いるインビトロでの標準的な薬理試験法で評価することができる[Zaulyanov, et al., Cellular & Molecular Neurobiology 19: 705-18 (1999); Prokai, et al., Journal of Medicinal Chemistry 44: 110-4 (2001)]。
【0082】
乳腺終末芽試験法での評価
エストロゲンは、乳管の全管伸張および分岐、および、プロゲステロンの影響下、続く肺胞小葉終末芽の発達に必要とされる。この試験法において、本発明の選択された化合物の乳腺刺激活性を、以下の薬理試験法に従って評価した。28日齢のSprague-Dawleyラット(Taconic Farms)を卵巣切除し、9日間安静にさせた。動物を、12時間明/暗サイクル下に収容し、カゼインを基礎とするPurina Laboratory Rodent飼料5K96(Purina、Richmond、IN)を与え、水を制限なく与えた。ついで、ラットに、6日間、ビヒクル(50%のDMSO(JT Baker、Phillipsburg、NJ)/50%の1×ダルベッコリン酸緩衝化セイライン(Gibco BRL)、17β−エストラジオール(0.1mg/kg)または試験化合物(20mg/kg)を皮下投与した。最後の3日間、ラットに、プロゲステロン(30mg/kg)を皮下投与した。7日目に、ラットを安楽死させ、乳房の脂肪パッドを切り取った。この脂肪パッドを終末芽増殖のマーカーとしてのカゼインキナーゼIImRNAに関して分析した。カゼインキナーゼII mRNAを、リアルタイムRT−PCRにより分析した。簡潔に記載すると、業者の指示に従って、トリゾール(Gibco BRL)を用いてRNAを単離し、追跡し、試料をDNA−Freeキット(Ambion)を用いてDNAseIで処理し、カゼインキナーゼII mRNAレベルを、Taqman Gold法(PE Applied Biosystems)を用いてリアルタイムRT−PCRにより測定した。総量50ngのRNAを、カゼインキナーゼII特異的プライマーペア(5’プライマー、CACACGGATGGCGCATACT;3’プライマー、CTCGGGATGCACCATGAAG)およびカスタマイズプローブ(TAMRA−CGGCACTGGTTTCCCTCACATGCT−FAM)を用いて3重に分析した。カゼインキナーゼII mRNAレベルを、PE Applied Biosystemsにより提供されるプライマーおよびプローブを用いて、各々の試料反応内に含まれる18sリボソームRNAに対して規格化した。本発明の代表的な化合物に対して以下の結果を得た(表(8))。
【0083】
【表9】

【0084】
炎症性腸疾患に関するHLAラット標準薬理試験法での評価
本発明の代表的な化合物を、ヒトの炎症性腸疾患をエミュレートするHLAラット標準的な薬理試験法で評価した。以下に用いた方法および得られた結果を簡単に記載する。雄のHLA−B27ラットをTaconicから入手し、無制限に食餌(PMILab飼料5001)および水を与えた。便の特性を毎日観察し、以下の尺度で採点した:下痢=3;軟らかい便=2;正常な便=1。研究の最後に、血清を回収し、−70℃で保存した。結腸の切片を組織学的分析のために準備し、付加的な部分のミエロペルオキシダーゼ活性を分析した。
【0085】
研究Aにおいて、ラット(22〜26週齢)に、以下に示す計画の1つで7日間1日1回皮下投与した。各々の群には5匹のラットが属し、最終投与は安楽死の2時間前に投与した。
・ビヒクル(50%のDMSO/50%のダルベッコPBS)
・実施例24(50mg/kg)
【0086】
研究Aの結果を表(9)に示す。ビヒクルを投与されたラットは研究期間中下痢であった。便の性質は、実施例24で処理されたラットにおいて改善された。
【0087】
【表10】

【0088】
研究Bにおいて、ラット(8〜10週齢)に、26日間、下記のように経口投与した:
ビヒクル(2%のTween−80/0.5%のメチルセルロース)
実施例25(1〜14日は10mg/kg;ついで、15日目で20mg/kgに増量する)
実施例34(10mg/kg)
【0089】
以下の結果を得(表(10))、これは本発明の代表的化合物で処理したすべてのラットにおいて、便特性が改善されたことを示している。
【0090】
【表11】

【0091】
研究Cにおいて、ラット(8〜10週齢)に、以下に示す処方の1つを、46日間1日1回経口投与した。各々の群には4匹のラットが属し、最終投与は、安楽死の2日前に投与した。
・ビヒクル(2%のトゥイーン−80/0.5%のメチルセルロース)
・実施例21(1〜18日は10mg/kg;ついで、19日目に20mg/kgに増量する)
・実施例24(1−24日は10mg/kg;ついで、25日目に20mg/kgに増量する)
【0092】
以下の結果を得(表(11))、すべてのERβ選択的化合物の投与は便特性を改善させたことを示す:
【0093】
【表12】

【0094】
【表13】

【0095】
組織学的分析 結腸組織を10%の中性緩衝ホルマリン中に浸した。各々の結腸の標本を、評価用の4つの試料に分けた。ホルマリン固定化組織を、パラフィン包埋のためのTissue Tek真空浸潤処理装置(Miles, Inc; West Haven, Connecticut)で処理した。試料を5μmで区分化し、ついで、Boughton−Smith後に修飾された尺度を用いる盲組織学的評価のためにヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。スコアをすべてそろえた後、試料を非盲にし、データを多重平均比較でのANOVA線形モデルにより集計した。結腸組織部分を、いつくかの疾患指標で評価し、相関スコアを得た。表(12)(研究Aを含む2つの皮下投与研究の複合)に示すように、実施例24は、組織傷害のいくつかの測定値を減少させるのに効果的である。
【0096】
【表14】

【0097】
研究B(上記した)からの腸組織も組織学的に試験した。以下(表(13))に示すように、両方の化合物が、有意に総スコアを減少させた。
【0098】
【表15】

【0099】
研究B(上記した)からの腸組織も組織学的に試験した。以下(表(14))に示すように、実施例24は有意に総スコアを減少させた。すべての疾患パラメータにおいて実施例21のスコアは、統計的には有意ではないけれども、対応するビヒクル処理ラットのスコアよりも低かった。
【0100】
【表16】

【0101】
関節炎の2つのモデルの評価
アジュバント誘発関節炎のルイスラットアッセイ。60匹の雌の12週齢であるルイスラットを、標準的な設備操作法に従って飼育する。これらは、標準的な計画で無制限に食餌および水を得る。各々の動物を、研究群および動物番号を示したケージカードにより識別する。各々のラット番号を、消えないインクで尾に記録する。研究の少なくとも10〜21日前に、これらを麻酔し、標準的な無菌手術法により卵巣切除する。
【0102】
完全フロインドアジュバント(Sigma Immuno Chemicals, St. Louis, MO)を関節炎を誘発するために用い、各々1mLは、加熱殺菌し、乾燥した1mgの結核菌、0.85mLの鉱油および0.15mLのマンニドモノオレアート(mannide monooleate)ロット番号084H8800を含有する。
【0103】
以下は2つの試験法の例である。阻害試験法:30匹のラットに、0.1mLを尾の根本部分で注射する。動物を4つの群に無作為化し、各々の群には6匹のラットが属する。毎日、ビヒクル(50%のDMSO(JT Baker, Phillipsburg, NJ)/1×ダルベッコリン酸化セイライン(GibcoBRL, Grand Island, NY))または試験化合物(皮下投与)を群に与える。すべてのラットは、1日目に処理を開始する。本発明の代表的な化合物に関するデータを表(15)に示す。
【0104】
処理試験法:30匹のラットの尾の根本に、0.1mLの完全フロインドアジュバントを皮内投与する。動物を4つの群に無作為化し、各々の群には6匹のラットが属する。毎日、ビヒクル(50%のDMSO(JT Baker, Phillipsburg, NJ)/1×ダルベッコリン酸化セイライン(GibcoBRL, Grand Island, NY))または試験化合物(皮下投与)を群に与える。すべてのラットを、アジュバント注射後8日目で処理を開始する。本発明の代表的な化合物に関するデータを表(16)、(17)および(18)に示す。
【0105】
統計学的分析を、Abacus Concepts Super ANOVA(Abacus Concepts, Inc., Berkeley, CA)を用いて行った。目的のすべてのパラメータを、群の間のダンカンの新多重範囲ポストホック検定で分散分析に付した。データを、平均±標準偏差(SD)として全体にわたって示し、p<0.05である場合、違いは有意であるとみなした。
【0106】
関節炎の重症度を、以下の疾患指標:後足紅斑、後足の腫れ、関節の圧痛および運動および姿勢で毎日測定する。0〜3の整数値を用いて、紅斑(0=正常な足、1=軽度の紅斑、2=中程度の紅斑、3=重度の紅斑)および腫れ(後足に関して、0=正常な足、1=軽度の腫れ、2=中程度の腫れ、3=重度の腫れ)のレベルを定量する。この最大スコアは1日あたり12である。
【0107】
研究の終わりに、ラットをCOで安楽死させ、後肢を剖死にて取り出し、10%緩衝化ホルマリン中に固定化し、足根関節を脱灰し、パラフィン中に包埋した。組織学的切片を、ヘマトキシリンおよびエオシンまたはサフラニンO−ファストグリーン染色法で染色する。
【0108】
処理群が試験者にわからないようにスライドに符号を付ける。足根関節からの滑膜組織を、下記するように滑膜過形成、炎症細胞浸潤およびパンヌス形成に基づいて評価する[PooleおよびCoombs, International Archives of Allergy & Applied Immunology 54: 97-113 (1977)]。
【0109】
【表17】

【0110】
加えて、関節軟骨および骨を、以下に示すように、Mankinの組織学的評点方式を用いて評価する[Mankin, et al., Journal of Bone & Joint Surgery - American Volume 53: 523-37 (1971)]。
【0111】
【表18】

【0112】
【表19】

【0113】
【表20】

【0114】
【表21】

【0115】
【表22】

【0116】
関節炎のHLA−B27ラットモデルにおける評価。本発明の代表的な化合物を、ヒトの関節炎をエミュレートするHLA−B27ラット標準薬理試験法で評価した。用いた方法および得られた結果を以下に簡単に記載する。雄のHLA−B27ラットをTaconicから入手し、無制限に食餌(PMI Lab飼料5001)および水を与える。関節のスコアおよび組織学を、上記したアジュバント誘発関節炎のルイスラットモデルと同様に評価する。
【0117】
研究1:ラット(8〜10週齢)に、以下に示す処方の1つを46日間1日1回投与した。各々の群には4匹のラットが属し、最後の投与を安楽死の2時間前に行った。
・ビヒクル(2%のトゥイーン−80/0.5%のメチルセルロース)
・実施例21(1〜18日は10mg/kg;ついで、19日目で20mg/kgに増量する)
・実施例24(1〜24日は10mg/kg;ついで、25日目で20mg/kgに増量する)
【0118】
本発明の代表的な化合物に関して以下の結果を得た(表(19)および(20))。
【0119】
【表23】

【0120】
【表24】

【0121】
研究2:ラット(8〜10週齢)に、以下に示す処方の1つを26日間経口投与した。各々の群には4匹のラットが属し、最後の投与は安楽死の2時間前に行った。
・ビヒクル(2%のトゥイーン−80/0.5%のメチルセルロース)
・実施例25(1〜14日は10mg/kg;ついで、15日目で20mg/kgに増量する)
・実施例34(10mg/kg)
【0122】
本発明の代表的な化合物に関して以下の結果を得た(表(21))。
【表25】

【0123】
インビボモデルでの発癌性評価
本発明の化合物の種々の悪性疾患または過剰増殖障害を治療する能力および阻害する能力は、文献で容易に見られ、下記2つの方法を含む標準的な薬理試験法で評価することができる。
【0124】
乳癌。胸腺欠損nu/nu(ヌード)マウスを、Charles River Laboratories(Wilmington, MA)から卵巣切除して得る。腫瘍細胞注入の1日前、動物に、0.36〜1.7mg17β−エストラジオールを含有する持続放出ペレット(60または90日放出、Innovative Research of America, Sarasota, FL)またはプラセボを埋め込む。ペレットを、10−ゲージ精密トロカール(10-gauge precision trochar)を用いて、肩胛骨内の領域に皮下投与する。続いて、マウスの乳房組織に1×10のMCF−7細胞または1×10のBG−1細胞を皮下注射する。細胞を、同容量のマトリゲル、腫瘍定着を増強する基底膜マトリックス調製物と混合する。試験化合物は、腫瘍細胞埋め込みの1日後(阻害計画)、または腫瘍がある種の大きさに到達して1日後(治療計画)投与することにより評価することができる。化合物は、毎日、セイライン中の1%のトゥイーン−80のビヒクル中で、腹腔内または経口投与する。腫瘍の大きさを、3または7日毎に評価する。
結腸癌。結腸癌を治療する能力または阻害する能力は、Smirnoffの試験法[Oncology Research 11: 255-64 (1999)]で評価することができる。
【0125】
2つのインビボ試験法での神経保護の評価
スナネズミにおける一過性全虚血。試験化合物の、酸素欠乏/再潅流に関する脳損傷の予防または治療効果は、以下の試験法を用いて測定することができる。
【0126】
雌のスナネズミ(60〜80g;Charles River Laboratories, Kingston, NY)を、Wyeth−Ayerst動物飼育施設(AAALAC認証)中、12時間明、12時間暗の光周期で、水道水および低エストロゲンカゼイン飼料(Purina;Richmond, IN)を自由に与えて飼育した。環境に順応させた後(3〜5日後)、スナネズミを、イソフラレン(2〜3%のO混合物)で麻酔し、卵巣除去した(0日目)。翌朝に開始し(1日目)、スナネズミに、ビヒクル(10%のETOH/コーン油)、17β−エストラジオール(1mg/kg、sc)または実験化合物のいずれかを毎日皮下投与した。6日目に、スナネズミ(n=4〜5/群)を、イソフルレンで麻酔し、総頸動脈を首正中切開により可視化し、非外傷マイクロ動脈瘤クリップで5分間両方の動脈を同時に閉塞させた。閉塞後、クリップを除去し、脳再潅流させ、創傷クリップで切開部を閉じた。すべての動物に全虚血手術の一晩前から断食させ、この工程は、一貫した虚血性障害を促進させる。12日目に、スナネズミを致死量のCOに曝し、脳をドライアイスで凍結させ、−80℃で貯蔵した。これらの研究に用いた動物のプロトコルは、Wyeth-Ayerst Researchでのthe Radnor/Collegeville Animal Care and Use Committee(RACUC/CACUC)によりレビューされ承認されている。
【0127】
ニューロン保護の程度をニューログラニンmRNAのインサイツハイブリダイゼーション分析により評価した。簡単には、20μmの冠状クリオスタット切片を、ゼラチンコートしたスライド上に回収し、乾燥し、−80℃で貯蔵した。プロセシング時に、乾燥したスライドボックスを室温に加温し、スライドを4%のパラホルムアルデヒド中に固定化し、無水酢酸で処理し、ついで、脱脂し、クロロホルムおよびエタノールで脱水した。ついで、処理部分を置いたスライドを、200μl(6×10のDPM/スライド)の、ニューログラニン(35S−UTP−標識化NG−241;99〜340の塩基)に関するアンチセンスまたはセンス(対照)リボプローブと、50%のホルムアミドハイブリダイゼーション混合物中でハイブリダイゼーションし、カバーグラスなしで加湿スライドチャンバー中55℃で一晩インキュベーションした。翌朝に、スライドをラックに回収し、2×SSC(0.3MのNaCl、0.03Mのクエン酸ナトリウム;pH7.0)/10mMのDTT中に浸し、RNaseA(20μg/ml)で処理し、0.1×SSC中67℃で洗浄(2×30分)して、非特異的標識を除去した。脱水後、スライドを、BioMax(BMR−1;Kodak)X−線フィルムと一晩向かい合わせる。
【0128】
ニューログラニンハイブリダイゼーションシグナルのレベルを、損傷後のCA1領域のニューロン損失の程度を定量的に評価するため、および17β−エストラジオールおよび実験化合物の効果を評価するために用いた。ニューログラニンmRNAはCA1を含む海馬ニューロンにおいて高度に発現されるが、この脳領域に存在するグリア細胞および他の型の細胞には存在しないので、ニューログラニンmRNAをこの研究用に選択した。したがって、ニューログラニンmRNA存在量の測定は、生き残ったニューロンを示す。ニューログラニンハイブリダイゼーションシグナルの相対的な光学密度測定値を、コンピューター画像解析システム(C-Imaging Inc., Pittsburgh, PA)を用いてフィルムオートラジオグラムから得た。動物あたり6つの切片(別個に40μmずつ離れて)から得た結果を平均し、統計学的に評価した。数値を平均±SEMとして記録した。一元分散分析を用いて、ニューログラニンmRNAのレベルの差異について試験する。結果のセクションにおける差異なしというすべての記載はp>0.05を意味する。
【0129】
本発明の代表的な化合物で以下の結果を得た(表(22))。
【表26】

【0130】
マウスの中大脳動脈閉塞。神経保護は、Dubal[Dubal, et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 98: 1952-1957 (2001), Dubal, et al., Journal of Neuroscience 19: 6385-6393 (1999)を参照]に記載の試験方法に従って評価することができる。
【0131】
排卵阻害標準薬理試験法
この試験法は、試験化合物が排卵の時期を阻害するか、または変更させることができるかを試験するのに使用される。また、排卵された卵母細胞の数を測定するのにも用いることができる[Lundeen, et al., J Steroid Biochem Mol Biol 78: 137-143 (2001)]。以下のデータを、本発明の代表的な化合物から得た(表(23))。
【0132】
【表27】

【0133】
子宮内膜症標準薬理試験法での評価
この方法は、公開されている方法[Bruner-Tran. et al., Journal of Clinical Investigation 99: 2851-2857 (1997)]を若干修飾する。簡単に記載すると、正常なヒト子宮内膜組織(約12サイクル日)を、インビトロで一晩、10nMの17β−エストラジオールで処理し、ついで、卵巣切除した胸腺欠損ヌードマウスに埋め込む。この研究の目的のために、マウスに、エストロゲン/プラセボ埋め込みを論文に記載のようには与えない。病変は、少なくとも10日間確率させ、ついで、毎日の経口投与を開始し、少なくとも15日間続けるすべてのマウスには、投与開始時に目に見える病変があることに注目すべきである。剖死時に、病変を有するマウスの数ならびにマウスあたりの病変を測定する。
【0134】
実施例24の化合物を、この方法で10mg/kgの投与量で3回評価した。各々の試験法において、実施例24の化合物を投与されたマウスは、ビヒクルを投与されたマウスよりも、剖死時に病変が少なかった。例えば、研究1において、ビヒクル群の各4匹のマウスは少なくとも1つの病変を有し、この群において合計10の病変があった。対照的に、実施例24で治療した6匹のマウスの2匹だけに病変があり、動物あたり1の病変だけしか見られなかった。したがって、すべてのマウスが治療開始時に病変を有していたので、実施例24の化合物は、6匹のマウス中の4匹において病変を退行させた。
【0135】
標準的な薬理試験法で得られた結果に基づいて、本発明の化合物は、エストロゲン欠乏または過剰により少なくとも部分的に介在されるか、あるいはエストロゲン剤の使用により治療または阻害することができる、症状、障害または病態の治療または阻害に有用なエストロゲン受容体モジュレーターである。特に、本発明の化合物は、産生された内因性エストロゲンのレベルが一般的に大きく減少する、閉経期前後、閉経期または閉経期後の患者の治療に有用である。閉経期は、一般的に、最後の自然月経期間として定義され、血流中に循環するエストロゲンの実質的な減少を引き起こす、卵巣機能の停止により特徴付けられる。本明細書で用いられる場合、また、閉経期は、外科的、化学的に、または卵巣機能の早期減少または停止を誘発する病態により引き起こされうる、エストロゲン産生の減少状態を含む。
【0136】
また、本発明の化合物は、のぼせ、膣萎縮または外陰萎縮、萎縮性膣炎、膣の乾燥、掻痒、性交疼痛症、排尿困難、頻尿、尿失禁、尿路感染症を含む、エストロゲン欠乏の他の影響の阻害または治療に有用である。他の生殖器官での用途は、機能不全性不正子宮出血の治療または阻害を含む。また、化合物は子宮内膜症の治療または阻害において有用である。
【0137】
また、本発明の化合物は脳において活性であり、したがって、アルツハイマー病、認知機能低下、性欲減退、老人性痴呆、神経変性障害、鬱病、不安、不眠症、統合失調症および不妊症の阻害または治療に有用である。また、本発明の化合物は、糸球体硬化症、前立腺肥大、子宮平滑筋腫、乳癌、強皮症、線維腫症、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、乳房の良性疾患、腺筋症、卵巣癌、メラノーマ、前立腺癌、結腸の癌、CNS癌、例えば神経膠腫または星状芽細胞腫を含む良性または悪性異常組織成長の治療または阻害において有用である。
【0138】
本発明の化合物は心臓保護剤であり、酸化防止剤であり、コレステロール、トリグリセリド、Lp(a)およびLDLレベルを減少させるのに;高コレステロール血症、高脂質血症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、再狭窄および血管攣縮を阻害または治療するのに、免疫介在血管損傷を誘発する細胞イベントからの血管壁損傷を阻害するのに有用である。
【0139】
また、本発明の化合物は、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、病型不定型結腸炎)、関節炎(関節リウマチ、脊椎関節炎、変形性関節症)、胸膜炎、虚血/再潅流傷害(例えば、発作、移植片拒絶反応、心筋梗塞等)、喘息、巨細胞性動脈炎、前立腺炎、ブドウ膜炎、乾癬、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡および敗血症を含む、炎症または自己免疫疾患に不随する障害の治療に有用である。
【0140】
また、本発明の化合物は、白内障、ブドウ膜炎および黄斑変性症を含む眼の障害の治療または阻害、および老化、脱毛および挫創のような皮膚の症状の治療に有用である。
また、本発明の化合物は、II型糖尿病のような代謝性疾患、脂質代謝、食欲(例えば、拒食症および病的飢餓)の治療または阻害に有用である。
【0141】
また、本発明の化合物は、出血性障害、例えば遺伝性出血性毛細管拡張症、機能不全性子宮出血の治療または阻害、および出血性ショックの対策に有用である。
本発明の化合物は、無月経が有利である病態、例えば白血病、子宮内膜切除、慢性腎不全または肝臓疾患または凝固疾患または障害において有用である。
本発明の化合物は、特にプロゲスチンと組み合わせた場合、避妊剤として有用でありうる。
【0142】
特定の病態または障害を治療または阻害するために投与する場合、有効投与量は、特定の利用する化合物、投与の方法、治療する症状および重症度ならびに治療される個体に関する種々の身体的因子に応じて変化しうることは理解される。本発明の化合物の有効な投与は、約0.1mg/日〜約1,000mg/日の経口投与で投与される。好ましくは、投与量は、単回投与量、または2回またはそれ以上の投与量で、約10mg/日〜約600mg/日、より好ましくは約50mg/日〜約600mg/日であるだろう。計画される1日の投与量は、投与の経路で変化すると考えられる。
【0143】
かかる投与は、経口、移植片により、非経口(静脈内、腹腔内および皮下注射を含む)、直腸内、鼻腔内、局所的、眼(点眼剤により)、膣内および経皮的投与を含む、本発明の活性化合物を受容者の血流に導くのに有用ないずれの方法で投与することができる。
【0144】
本発明の活性化合物を含有する経口製剤は、従来から用いられている経口剤形、例えば、錠剤、カプセル、バッカル、トローチ、ロゼンジおよび経口液、懸濁液または溶液を包む。カプセルは、活性化合物と、医薬上許容されるスターチ(例えば、コーンスターチ、ポテトまたはタピオカスターチ)、糖、人工甘味料、粉末セルロース、例えば、結晶性および微結晶性セルロース、小麦粉、ゼラチン、ガム等の不活性な充填剤および/または希釈剤との混合物を含有しうる。有用な錠剤処方は、慣用的な圧搾法、湿式造粒法または乾式造粒法により製造することができ、限定するものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アラビアゴム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、複合ケイ酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、シュークロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥スターチおよび粉糖を含む、医薬上許容される希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、表面修飾剤(表面活性剤を含む)、懸濁化剤または安定剤を利用することができる。好ましい表面修飾剤は、非イオン性およびアニオン性表面修飾剤である。表面修飾剤の代表的な例としては、限定するものではないが、ポロキサマー(poloxamer)188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウムおよびトリエタノールアミンが挙げあれる。本発明の経口製剤は、標準的な遅延または徐放性の処方を利用して、活性化合物の吸収を変化させることができる。また、経口処方は、要すれば適当な溶解剤または乳化剤を含有する水またはフルーツジュース中の活性成分での投与を構成する。
【0145】
いくつかの場合、化合物を、エアロゾルの形態で直接気道に投与することが望ましい。
【0146】
また、本発明の化合物は、非経口または腹腔内投与することができる。遊離塩基または医薬上許容されるエンとしての活性化合物の溶液または懸濁液は、適当には、ヒドロキシ−プロピルセルロースのような表面活性剤と混合した水中に調製することができる。また、分散液は、油中のグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびその混合物中に調製することができる。貯蔵および使用の通常の条件下、これらの製剤は、微生物の増殖を阻害するために保存剤を含有する。
【0147】
注射での使用に適した医薬形態は、滅菌水溶液または分散液および滅菌注射可能溶液または分散液の即時製剤用の滅菌粉末を含む。すべての場合において、製剤は滅菌されていなければならず、容易に注射可能である程度に流動性でなければならない。これは、製造および貯蔵の条件下で滅菌性でなければならず、微生物、例えばバクテリアおよび菌類の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、その適当な混合物および植物油を含有する、溶媒または分散媒質であってもよい。
【0148】
本開示の目的のために、経皮投与は、上皮および粘膜組織を含む、身体の表面および身体の導管の内部表層を通過するすべての投与を含むと理解される。かかる投与は、ローション、クリーム、泡沫剤、パッチ、懸濁液、溶液および坐剤(直腸用および膣用)中の、親化合物またはその医薬上許容される塩を用いて行うことができる。
【0149】
経皮投与は、活性化合物および活性化合物に対して不活性であり、皮膚に対して非毒性であり、全身吸収用の薬剤を皮膚を介して血流中にデリバリーさせる担体を含有する経皮パッチの使用により行うことができる。担体は、クリームおよび軟膏、ペースト、ゲルおよび閉鎖性デバイスのような多くの形態に用いることができる。クリームおよび軟膏は、水中油型または油中水型のいずれかの粘稠液体または半固体エマルジョンでありうる。活性成分を含有する石油または親水性石油中に分散された吸収性粉末からなるペーストも適している。種々の閉鎖性デバイスは、活性成分を血流中に放出させるために用いることができ、例えば、担体と一緒に、または無しで活性成分を含有するリザーバーを覆う半透膜または活性成分を含有するマトリックスである。他の閉鎖性デバイスは文献において公知のものである。
【0150】
坐剤処方は、必要に応じて、坐剤の融点を変化させるワックスを添加するか、または添加しないカカオ脂およびグリセリンを含む伝統的な物質から製造することができる。水溶性坐剤基剤、例えば、種々の分子量のポリエチレングリコールを用いることができる。
【実施例】
【0151】
本発明の代表的な実施例の製造法を以下に記載する。
【0152】
実施例1
2−(5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,4−ジオール
工程a)N−(2,5−ジメトキシフェニル)−2,5−ジメトキシベンズアミド
2,5−ジメトキシ安息香酸(5.0g、27.5mmol)および塩化チオニル(15mL)の混合物を1時間還流した。揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をTHF(20mL)中に溶解し、2,5−ジメトキシアニリン(4.6g、30.2mmol)、トリエチルアミン(5mL、35.9mmol)およびTHF(40mL)の冷(0℃)溶液に加えた。混合物を30分間撹拌し、水中に注ぎ、HCl(2N)で酸性化し、EtOAcで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥した。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 2/1)により精製して、白色固体(8.1g、93%の収率、融点121〜23℃)を得た;MS m/e318(M+H)
1719NOとして分析
計算値:C、64.34;H、6.03;N、4.41
実測値:C、64.29;H、5.95;N、4.44
【0153】
工程b)2−(5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,4−ジオール
N−(2,5−ジメトキシフェニル)−2,5−ジメトキシベンズアミド(1.0g、3.1mmol)およびピリジン塩酸塩(2.0g、17.3mmol)の混合物を200℃で1時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、HCl(10mL、2N)を加えた。ついで、混合物をEtOAcで抽出し、有機抽出物をMgSOで乾燥した。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 2/1)により精製して、白色固体(0.8g、76%の収率、融点309〜311℃)を得た;MS m/e242(M−H)
13NOとして分析
計算値:C、64.20;H、3.73;N、5.76
実測値:C、63.98;H、3.71;N、5.62
【0154】
実施例2
3−(5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,2−ジオール
2,5−ジメトキシアニリンおよび2,3−ジメトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製した。生成物を黄褐色固体として得た、融点239〜241℃;MS m/e244(M+H)
13NOとして分析
計算値:C、64.20;H、3.73;N、5.76
実測値:C、63.86;H、3.90;N、5.74
【0155】
実施例3
2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
2,5−ジメトキシアニリンおよび3−フルオロ−4−メトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して白色固体として得た、融点262〜268℃;MS m/e244(M−H)
13FNOとして分析
計算値:C、63.68;H、3.29;N、5.71
実測値:C、64.01;H、3.25;N、5.63
【0156】
実施例4
2−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
2,5−ジメトキシアニリンおよび3−クロロ−4−メトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点254〜256℃;MS m/e260(M−H)
13ClNOとして分析
計算値:C、59.67;H、3.08;N、5.35
実測値:C、59.59;H、3.02;N、5.25
【0157】
実施例5
2−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
2,5−ジメトキシアニリンおよび2−クロロ−4−メトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点253〜255℃;MS m/e262(M+H)
13ClNOとして分析
計算値:C、59.67;H、3.08;N、5.35
実測値:C、59.79;H、2.87;N、5.36
【0158】
実施例6
2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール
2,4−ジメトキシアニリンおよび3−フルオロ−4−メトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点269〜271℃;MS m/e244(M−H)
1717NOとして分析
計算値:C、63.68;H、3.29;N、5.71
実測値:C、63.53;H、3.71;N、5.38
【0159】
実施例7
2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール
2,4−ジメトキシアニリンおよび3−tert−ブチル−4−メトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点220〜222℃;MS m/e284(M+H)
1717NOとして分析
計算値:C、72.07;H、6.05;N、4.94
実測値:C、72.03;H、6.43;N、4.72
【0160】
実施例8
2−(6−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,4−ジオール
2,4−ジメトキシアニリンおよび2,5−ジメトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、黄褐色固体として得た、融点278〜280℃;MS m/e244(M+H)
13NOとして分析
計算値:C、64.20;H、3.73;N、5.76
実測値:C、64.09;H、3.14;N、5.65
【0161】
実施例9
3−(6−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,2−ジオール
2,4−ジメトキシアニリンおよび2,3−ジメトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、黄褐色固体として得た、融点256〜258℃;MS m/e244(M+H)
13NOとして分析
計算値:C、64.20;H、3.73;N、5.76
実測値:C、63.91;H、3.98;N、5.72
【0162】
実施例10
4−(6−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,2−ジオール
2,4−ジメトキシアニリンおよび3,4−ジメトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点282〜284℃;MS m/e242(M−H)
13NOとして分析
計算値:C、64.20;H、3.73;N、5.76
実測値:C、63.57;H、3.68;N、5.63
【0163】
実施例11
2−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール
2,4−ジメトキシアニリンおよび3−クロロ−4−メトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、灰白色固体として得た、融点254〜256℃;MS m/e262(M+H)
13NOとして分析
計算値:C、64.20;H、3.73;N、5.76
実測値:C、63.57;H、3.68;N、5.63
【0164】
実施例12
2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
2,5−ジメトキシアニリンおよび4−メトキシベンゾイルクロライドから、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、淡黄色固体として得た、融点264〜267℃;MS m/e228(M+H)
13NOとして分析
計算値:C、68.72;H、3.99;N、6.16
実測値:C、67.87;H、4.05;N、6.23
【0165】
実施例13
4−(5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール
2,5−ジメトキシアニリンおよび2,4−ジメトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点300℃より高い;MS m/e242(M−H)
13NOとして分析
計算値:C、64.20;H、3.73;N、5.76
実測値:C、63.92;H、3.74;N、5.56
【0166】
実施例14
2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール
2,4−ジメトキシアニリンおよび4−メトキシベンゾイルクロライドから、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点300℃より高い;MS m/e226(M−H)
13NOとして分析
計算値:C、68.72;H、3.99;N、6.16
実測値:C、68.09;H、4.01;N、6.05
【0167】
実施例15
4−(6−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール
2,4−ジメトキシアニリンおよび2,4−ジメトキシ安息香酸から、実質的に実施例1に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点293〜296℃;MS m/e242(M−H)
13NOとして分析
計算値:C、64.20;H、3.73;N、5.76
実測値:C、64.43;H、3.77;N、5.74
【0168】
実施例16
6−クロロ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)N−(4−クロロ−2,5−ジメトキシフェニル)−3−フルオロ−4−メトキシベンズアミド
4−クロロ−2,5−ジメトキシアニリンおよび3−フルオロ−4−メトキシ安息香酸から、実質的に実施例1工程aに記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点197〜199℃;MS m/e340(M+H)
1615ClFNOとして分析
計算値:C、56.56;H、4.45;N、4.12
実測値:C、56.33;H、4.35;N、4.05
【0169】
工程b)N−(4−クロロ−2,5−ジヒドロキシフェニル)−3−フルオロ−4−ヒドロキシベンズアミド
三フッ化ホウ素硫化ジメチル複合体(70mL)を、N−(4−クロロ−2,5−ジメトキシフェニル)−3−フルオロ−4−メトキシベンズアミド(1.75g、5.15mmol)およびCHCl(35mL)の混合物中に加えた。20時間撹拌した後、溶媒および過剰の試薬を、フード中窒素流下で蒸発させた。残渣を、氷およびHCl(1N)中に溶解させ、EtOAcで抽出した。有機層をHCl(1N)で洗浄し、MgSOで乾燥した。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl/ヘキサン/EtOAc 5/3/2、溶出溶媒1リットルあたりAcOH10mL)により精製して、白色固体を得た(1.4g、91%の収率、融点254〜256℃);MS m/e296(M−H)
13ClFNOとして分析
計算値:C、52.46;H、3.05;N、4.71
実測値:C、51.98;H、2.98;N、4.56
【0170】
工程c)6−クロロ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
N−(4−クロロ−2,5−ジヒドロキシフェニル)−3−フルオロ−4−ヒドロキシベンズアミドおよびピリジン塩酸塩から、実質的に実施例1工程bに記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点258〜260℃;MS m/e278(M−H)
1317ClFNOとして分析
計算値:C、55.83;H、2.52;N、5.01
実測値:C、55.35;H、2.59;N、4.91
【0171】
実施例17
6−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
4−ブロモ−2,5−ジメトキシアニリンおよび3−フルオロ−4−メトキシ安息香酸から、実質的に実施例16に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た;融点224〜226℃;MS m/e322(M−H)
1317BrFNOとして分析
計算値:C、48.18;H、2.18;N、4.32
実測値:C、48.69;H、2.36;N、4.59
【0172】
実施例18
6−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
4−クロロ−2,5−ジメトキシアニリンおよび4−メトキシベンゾイルクロライドから、実質的に実施例16に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、灰白色固体として得た、融点260〜262℃;MS m/e260(M−H)
13ClNOとして分析
計算値:C、59.67;H、3.08;N、5.35
実測値:C、59.09;H、3.06;N、5.11
【0173】
実施例19
5−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール
5−クロロ−2,4−ジメトキシアニリンおよび4−メトキシベンゾイルクロライドから、実質的に実施例16に記載のものと同じ方法で標題化合物を調製して、灰白色固体として得た、融点254〜256℃;MS m/e262(M+H)
13ClNOとして分析
計算値:C、59.67;H、3.08;N、5.35
実測値:C、59.40;H、2.97;N、5.22
【0174】
実施例20
7−ブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)2−ブロモ−4−メトキシ−6−ニトロフェノール
酢酸(20mL)中の臭素(16.0g、100mmol)を、4−メトキシ−2−ニトロフェノール(16.9g、100mmol)、酢酸ナトリウム(16.4g、200mmol)および酢酸(100mL)の混合物中に加えた。混合物を室温で30分間、ついで、70℃で2時間撹拌し、濃硫酸(10mL)を含有する水(1.5l)中に注いだ。沈殿した固体を濾過し、(クロロホルム/ヘキサン)から結晶化させて、褐色固体を得た、融点116〜118℃;MS m/e246(M−H)
BrNOとして分析
計算値:C、33.90;H、2.44;N、5.65
実測値:C、34.64;H、2.16;N、5.43
【0175】
工程b)2−アミノ−6−ブロモ−4−メトキシフェノール
ラネー/Ni(2.5g)を、EtOAc(100mL)中の2−ブロモ−4−メトキシ−6−ニトロフェノール(8.8g、35.5mmol)の溶液に加えた。混合物を、Parr装置で、水素雰囲気下25psiで2.5時間振盪させた。反応混合物をセライトで濾過し、減圧下で蒸発させて、灰色固体を得た(7.4g、96%の収率;95〜97℃);MS m/e218(M+H)
BrNOとして分析
計算値:C、38.56;H、3.70;N、6.42
実測値:C、38.32;H、3.77;N、6.24
【0176】
工程c)2−ブロモ−4−メトキシ−6−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]フェニル−4−メトキシベンゾート
無水ピリジン(37.0mL、468.5mmol)を、2−アミノ−6−ブロモ−4−メトキシフェノール(20.0g、91.7mmol)、4−メトキシベンゾイルクロライド(38.9g、229.0mmol)およびCHCl(250mL)の冷(0℃)混合物(機械的に撹拌)に滴下した。ピリジンを添加する間、沈殿物が形成した。混合物を30分間撹拌し、ついで、エチルエーテル(250mL)を加えた。沈殿した固体を濾過し、エチルエーテルで洗浄した。固体を水に溶解し、20分間撹拌した。ついで、固体を濾過し、乾燥して、灰白色固体(42.5g、95%の収率、融点73〜75℃)を得た;MS m/e484(M−H)
2320BrNOとして分析
計算値:C、56.80;H、4.15;N、2.88
実測値:C、56.50;H、3.78;N、2.83
【0177】
工程d)7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール
経路a)
2−ブロモ−4−メトキシ−6−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]フェニル4−メトキシベンゾエート(42.0g、86.4mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(32.8g、172.8mmol)および無水p−キシレン(800mL)の懸濁液を、連続水分除去(Dean−Stark Trap)で1時間還流した。最初の懸濁液は還流温度で褐色溶液に変化した。混合物を室温で冷却し、NaOH(2N)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥した。蒸発させて、アセトン/酢酸エチルから再結晶して、灰白色固体を得た(23.5g、82%の収率、融点139〜141℃);MS m/e334(M+H)
1512BrNOとして分析
計算値:C、53.91;H、3.62;N、4.19
実測値:C、53.83;H、3.37;N、4.01
【0178】
経路b)
p−キシレン(9mL)中の2−アミノ−6−ブロモ−メトキシフェノール(100mg、0.46mmol)、4−メトキシ−安息香酸(77mg、0.5mmol)およびボロン酸(31mg、0.5mmol)の混合物を、Dean−Stark水分分離器を用いて24時間還流した。混合物を室温で冷却し、減圧下で濃縮させた。残った生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(30%のEtOAc/石油エーテル)により精製して、淡桃色固体として得た(99mg、65%の収率、融点136〜138℃);MS m/e334(M+H)
1512BrNOとして分析
計算値:C、53.91;H、3.62;N、4.19
実測値:C、53.78;H、3.55;N、4.01
【0179】
工程e)7−ブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
経路a)
三臭化ホウ素(1M、89.9mL、89.8mmol)を、7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール(10.0g、29.94mmol)およびCHCl(50mL)の冷(−70℃)懸濁液に滴下した。混合物を室温まで加温した。加温期間の間、懸濁液は暗溶液に変化した。混合物を室温で2日間撹拌し、ついで、冷(0℃)エチルエーテル(1000mL)中にゆっくりと注いだ。メチルアルコール(200mL)を、混合物に20分間にわたってゆっくりと加えた。ついで、混合物を、水(1.5l)中に溶解した。有機層を水で3回洗浄し、MgSOで乾燥した。蒸発させて、アセトン/エチルエーテル/ヘキサンから再結晶し、灰白色固体を得た(8.4g、92%の収率、融点298〜299℃);MS m/e306(M+H)
13BrNOとして分析
計算値:C、51.01;H、2.63;N、4.58
実測値:C、50.96;H、2.30;N、4.42
【0180】
経路b)
三臭化ホウ素(0.25mL、2.7mmol)を、7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール(130mg、0.39mmol)およびジクロロメタン(1.5mL)の冷(−78℃)混合物に滴下した。反応混合物を徐々に室温にし、1時間撹拌した。混合物を氷中に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(30%〜40%のEtOAc/石油エーテル)により精製して、生成物を淡桃色固体(102mg、86%の収率)として得た、融点295〜298℃;MS m/e304(M−H)
13BrNOとして分析
計算値:C、51.01;H、2.63;N、4.58
実測値:C、51.06;H、2.77;N、4.36
【0181】
実施例21
7−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)2−ブロモ−6−[(3−フルオロ−4−メトキシベンゾイル)アミノ]−4−メトキシフェニル3−フルオロ−4−メトキシベンゾエート
3−フルオロ−4−メトキシ安息香酸(39.0g、229mmol)、塩化チオニル(100mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)の混合物を1時間還流した。揮発性物質を減圧下で除去した。固体をベンゼン中に溶解させ、揮発性物質を減圧下で除去した(2回)。残渣を、CHCl(100mL)中に溶解させ、2−アミノ−6−ブロモ−4−メトキシフェノール(20.0g、91.7mmol)およびCHCl(150mL)の冷(0℃)溶液(機械的に撹拌)中に注いだ。無水ピリジン(37.0mL、468.5mmol)を、混合物中に滴下した。ピリジン添加の間に沈殿物が形成した。混合物を30分間撹拌し、ついで、エチルエーテル(250mL)を加えた。沈殿した固体を濾過し、エチルエーテルで洗浄した。固体を水中に溶解させ、20分間撹拌した。ついで、固体を濾過し、乾燥させて灰白色固体(46.5g、97%の収率、融点184〜186℃)を得た;MS m/e520(M−H)
2318BrFNOとして分析
計算値:C、52.89;H、3.47;N、2.68
実測値:C、52.79;H、3.23;N、2.63
【0182】
工程b)7−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−5−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール
2−ブロモ−6−[(3−フルオロ−4−メトキシベンゾイル)アミノ]−4−メトキシフェニル3−フルオロ−4−メトキシベンゾエート(46.0g、88.1mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(33.5g、177.2mmol)および無水p−キシレン(1l)の懸濁液を、連続水分除去(Dean Stark Trap)で3時間還流した。最初の懸濁液は、還流温度で褐色溶液に変化した。固体を濾過し、エチルエーテルで洗浄した。固体をエチルエーテル(200mL)中に懸濁させ、10分間撹拌し、濾過し、乾燥させて、黄褐色固体(25.1g、融点175〜177℃)を得た。エチルエーテル層を20mLに濃縮し、2.5gのさらなる生成物を得た(全体での収率90%)。MS m/e352(M+H)
1511BrFNOとして分析
計算値:C、51.16;H、3.15;N、3.98
実測値:C、51.10;H、2.92;N、3.89
【0183】
工程c)7−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
実施例20、工程eに記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点265〜267℃;MS m/e332(M−H)
13BrFNOとして分析
計算値:C、48.18;H、2.18;N、4.32
実測値:C、48.19;H、2.29;N、4.19
【0184】
実施例22
7−ブロモ−2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)2−フルオロ−4−メトキシ安息香酸
AgO(13.5g、58.4mmol)、NaOH(19.5g、487mmol)および水(200mL)の暖(55℃)混合物に、2−フルオロ−4−メトキシベンズアルデヒド(15g、97.4mmol)を加えた。混合物を1時間撹拌し、濾過し、沈殿した固体を熱水(10mL)で洗浄した。濾液を、激しく撹拌しながら、冷(0℃)HCl(5N)中にゆっくりと加えた。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて白色固体を得た(13.6g、82%の収率、融点194〜196℃);MS m/e169(M−H)
FOとして分析
計算値:C、56.48;H、4.15
実測値:C、56.12;H、4.12
【0185】
工程b)7−ブロモ−2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
2−フルオロ−4−メトキシ安息香酸から、実施例21に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点248〜250℃;MS m/e324(M+H)
13BrFNOとして分析
計算値:C、48.18;H、2.18;N、4.32
実測値:C、47.89;H、1.95;N、4.18
【0186】
実施例23
7−ブロモ−2−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)2,3−ジフルオロ−4−メトキシ安息香酸メチル
ヨウドメタン(10.7mL、172.5mmol)を、2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸(10.0g、57.5mmol)、炭酸リチウム(12.7g、172.5mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)の混合物中に加えた。混合物を40℃で12時間撹拌し、ついで、水中に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 5/1)により精製して、白色固体を得た(10.2g、88%の収率、融点66〜68℃);MS m/e203(M+H)
として分析
計算値:C、53.47;H、3.99
実測値:C、53.15;H、3.83
【0187】
工程b)2,3−ジフルオロ−4−メトキシ安息香酸
水酸化ナトリウム(2N、50mL)を、2,3−ジフルオロ−4−メトキシ安息香酸メチル(10.0g、49.5mmol)、THF(100mL)およびMeOH(100mL)の混合物中に加えた。混合物を室温で6時間撹拌し、HCl(2N)で酸性化した。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて白色固体を得た(8.9g、96%の収率、融点194〜196℃);MS m/e187(M−H)
として分析
計算値:C、51.08;H、3.21
実測値:C、50.83;H、2.92
【0188】
工程c)7−ブロモ−2−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
2,3−ジフルオロ−4−メトキシ安息香酸から、実施例21に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点258〜260℃;MS m/e342(M+H)
13BrFNOとして分析
計算値:C、45.64;H、1.77;N、4.09
実測値:C、45.33;H、1.62;N、4.02
【0189】
実施例24
2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
経路a)
工程a)7−ブロモ−5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−フルオロフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール
tert−ブチル(クロロ)ジメチルシラン(23.2g、154mmol)を、7−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(16.6g、51.4mmol)、イミダゾール(17.5g、257mmol)、N,N−ジメチルピリジン−4−アミン(1.0g、8.1mmol)およびDMF(300mL)の混合物中に滴下した。混合物を3時間撹拌し、水中に注ぎ、エチルエーテルで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 50/1)により精製して、白色固体(27.5g、97%の収率、融点98〜99℃)を得た;MS m/e552(M+H)
2535BrFNOSiとして分析
計算値:C、54.34;H、6.38;N、2.53
実測値:C、54.06;H、6.52;N、2.24
【0190】
工程b)5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−フルオロフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール
ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム(II)(0.63g、0.79mmol)を、7−ブロモ−5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−フルオロフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール(14.7g、26.6mmol)、トリブチル(ビニル)スズ(10.5g、33.25mmol)およびp−キシレン(85mL)の混合物中に加えた。反応混合物を90℃で24時間撹拌し、室温に冷却し、エチルエーテル(100mL)で希釈し、活性炭で処理した。混合物をMgSOを通して濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 50/1)により精製して、白色固体(11.8g、89%の収率、融点93〜95℃)を得た;MS m/e500(M+H)
2738FNOSiとして分析
計算値:C、64.89;H、7.66;N、2.80
実測値:C、64.59;H、7.70;N、2.73
【0191】
工程c)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
フッ化水素酸(水中の48重量%、1mL)を、5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3−フルオロフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール(1.5g、3.0mmol)、THF(6mL)およびアセトニトリル(3mL)の溶液に加えた。反応混合物を、65℃で8時間撹拌し、ついで、水中に加えた。沈殿した固体を濾過し、乾燥させた。生成物をアセトン/エチルエーテルから結晶化させて、白色固体(0.72g、81%の収率、融点249〜251℃)を得た;MS m/e272(M+H)
1510FNOとして分析
計算値:C、66.42;H、3.72;N、5.16
実測値:C、66.31;H、3.85;N、4.96
【0192】
経路b)
2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム(II)(0.87g、1.1mmol)を、7−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(7.16g、22.1mmol)、トリブチル(ビニル)スズ(10.5g、33.25mmol)およびエチレングリコールジエチルエーテル(65mL)の混合物中に加えた。反応混合物を115℃で48時間撹拌し、室温に冷却して、活性炭で処理した。混合物をMgSOを通して濾過し、濃縮した。酸性シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc/CHCl 1/1/1)により精製して、白色固体(4.35g、72%の収率、融点250〜252℃)を得た;MS m/e272(M+H)
1510FNOとして分析
計算値:C、66.42;H、3.72;N、5.16
実測値:C、66.03;H、3.68;N、5.09
【0193】
経路c)
工程a)4−[5−(アセチルオキシ)−7−ブロモ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル]−2−フルオロフェニルアセトン
無水酢酸(1.0mL、9.95mmol)を、7−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(1.24g、3.8mmol)、N,N−ジメチルピリジン−4−アミン(1.1g、9.18mmol)および1,4−ジオキサン(13mL)の冷(0℃)溶液に加えた。反応混合物を室温に加温し、20時間撹拌した。水(50mL)を加え、反応混合物をEtOAcで抽出し、MgSOで乾燥させた。蒸発させて、EtOAc/ヘキサンから結晶化して灰白色固体を得た(0.87g、56%の収率);MS m/e408(M+H)
1711BrFNOとして分析
計算値:C、50.02;H、2.72;N、3.43
実測値:C、49.58;H、2.59;N、3.37
【0194】
工程b)2−[4−(アセチルオキシ)−3−フルオロフェニル]−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イルアセテート
ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム(II)(46mg、0.06mmol)を、4−[5−(アセチルオキシ)−7−ブロモ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル]−2−フルオロフェニルアセテート(0.8g、1.98mmol)、トリブチル(ビニル)スズ(0.9g、2.8mmol)およびp−キシレン(9mL)の混合物に加えた。反応混合物を130℃で5時間撹拌し、室温に冷却し、エチルエーテル(10mL)で希釈し、活性炭で処理した。混合物をMgSOを通して濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 5/1)により精製して、白色固体(0.4g、56%の収率、融点154〜156℃)を得た;MS m/e356(M+H)
1914FNOとして分析
計算値:C、64.23;H、3.97;N、3.94
実測値:C、63.94;H、3.78;N、3.76
【0195】
工程c)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
炭酸カリウム(55mg)を、2−[4−(アセチルオキシ)−3−フルオロフェニル]−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イルアセテート(0.14g、0.39mmol)および1,4−ジオキサン(3mL)の混合物に加えた。混合物を90℃で1時間撹拌し、水に注ぎ、HCl(2N)で酸性化し、EtOAcで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥させた。蒸発させ、EtOAc/ヘキサンから結晶化させて、白色固体(0.06g、46%の収率、融点250〜252℃)を得た;MS m/e272(M+H)
1510FNOとして分析
計算値:C、66.42;H、3.72;N、5.16
実測値:C、66.32;H、3.47;N、5.18
【0196】
実施例25
2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
7−ブロモ−2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールから、実施例24、経路a)に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点274〜275℃;MS m/e272(M+H)
1510FNOとして分析
計算値:C、66.42;H、3.72;N、5.16
実測値:C、66.18;H、3.47;N、4.97
【0197】
実施例26
2−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
7−ブロモ−2−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールから、実施例24、経路b)に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製して、灰白色固体として得た、融点276〜278℃;MS m/e290(M+H)
15NOとして分析
計算値:C、62.29;H、3.14;N、4.84
実測値:C、61.90;H、3.05;N、4.52
【0198】
実施例27
2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
7−ブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールから、実施例24、経路b)に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、融点249〜250℃;MS m/e254(M+H)
1511NOとして分析
計算値:C、70.99;H、4.39;N、5.52
実測値:C、70.75;H、4.34;N、5.46
【0199】
実施例28および29
4−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1、3−ベンゾオキサゾール−5−オール(実施例28)および
4,6−ジブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(実施例29)
N−ブロモスクシニミド(0.49g、2.77mmol)を、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(0.75g、2.77mmol)およびアセトニトリル(30mL)の混合物中に加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、水中に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc/CHCl 2/1/1)により精製して、(a)を白色固体として(0.45g、融点226〜228℃);MS m/e349(M+H)
15BrNOとして分析
計算値:C、51.45;H、2.59;N、4.00
実測値:C、51.08;H、2.40;N、3.90
および(b)を白色固体として(0.18g、融点272〜274℃);MS m/e428(M+H)得た。
15BrNOとして分析
計算値:C、41.99;H、1.88;N、3.26
実測値:C、42.25;H、1.90;N、3.14
【0200】
実施例30
7−(1,2−ジブロモエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール
7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾールから、実施例24、経路c)、工程b)に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製して、白色固体として得た、MS m/e282(M+H)
1715NOとして分析
計算値:C、72.58;H、5.37;N、4.98
実測値:C、72.33;H、5.26;N、4.72
【0201】
工程b)7−(1,2−ジブロモエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
三臭化ホウ素(0.85mL、8.95mmol)を、5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール(0.31g、1.12mmol)およびCHCl(4mL)の冷(−78℃)混合物に滴下した。混合物を室温まで加温した。室温で18時間撹拌した後、混合物を、冷(0℃)エチルエーテル(20mL)にゆっくりと加えた。ついで、メチルアルコール(10mL)を混合物にゆっくりと加えた。混合物を水(3回)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 3/1)により精製して、淡黄色固体(0.27g、59%の収率、融点175〜177℃)を得た;MS m/e412(M+H)
1511BrNOとして分析
計算値:C、43.62;H、2.68;N、3.39
実測値:C、43.85;H、2.44;N、3.33
【0202】
実施例31
7−(1−ブロモビニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(0.25g、1.65mmol)を、7−(1,2−ジブロモエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(0.4g、0.96mmol)およびアセトニトリル(4mL)の溶液に加えた。反応混合物を24時間撹拌し、冷(0℃)HCl(1N、10mL)に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl/ヘキサン/イソプロピルアルコール 15/5/1)により精製して白色固体(185mg、58%の収率、融点228〜230℃)を得た;MS m/e332(M+H)
1510BrNOとして分析
計算値:C、54.24;H、3.03;N、4.22
実測値:C、54.27;H、2.94;N、4.20
【0203】
実施例32
7−(1−ブロモビニル)−2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
7−ブロモ−2−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−5−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾールから、実施例29〜30に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製して、灰白色固体として得た、融点235〜237℃;MS m/e350(M+H)
15BrFNOとして分析
計算値:C、51.45;H、2.59;N、4.00
実測値:C、51.63;H、2.38;N、3.98
【0204】
実施例33
7−(1−ブロモビニル)−2−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
7−ブロモ−2−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−5−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾールから、実施例29〜30に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製して、灰白色固体として得た、融点240〜242℃;MS m/e366(M−H)
15BrFNOとして分析
計算値:C、48.94;H、2.19;N、3.80
実測値:C、49.63;H、2.33;N、3.61
【0205】
実施例34
7−アリル−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
7−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−5−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール、アリルトリブチルスズおよびジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウムから、実施例24、経路c)、工程b)に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製し、ついで、実施例20、工程e)に従って脱メチル化した。所望の生成物を淡桃色固体として得た、融点169〜171℃;MS m/e284(M−H)
1612FNOとして分析
計算値:C、67.37;H、4.24;N、4.91
実測値:C、67.37;H、4.16;N、4.66
【0206】
実施例35
7−エチニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(52mg、0.045mmol)を、7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール(0.3g、0.9mmol)、ヨウ化銅(I)(17.1mg、0.09mmol)、エチニル(トリメチル)シラン(0.2gmg、2mmol)およびトリエチルアミン(12mL)の混合物に加えた。混合物を、110℃で4時間撹拌し、塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、EtOAc/THF(1/1)で抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 6/1)により精製して、灰白色固体を得た(0.27g、85%の収率)。生成物をCHCl(2mL)に溶解し、−78℃に冷却し、三臭化ホウ素(0.6mL)を滴下した。混合物を室温まで加温した。室温で18時間撹拌した後、混合物を冷(0℃)エチルエーテル(10mL)中にゆっくりと注いだ。ついで、メチルアルコール(3mL)を混合物にゆっくりと加えた。混合物を水(3回)で洗浄し、MgSOで乾燥した。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 3/1)により精製し、黄色固体(86mg、38%の収率、融点229〜231℃)を得た;MS m/e252(M+H)
15NOとして分析
計算値:C、71.71;H、3.61;N、5.58
実測値:C、71.39;H、3.49;N、5.32
【0207】
実施例36
2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−プロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(70mg、0.06mmol)を、7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール(0.4g、1.2mmol)、ブロモ(プロピル)亜鉛(THF中0.5M、3.6mL、1.8mmol)およびTHF(4mL)の混合物に加えた。混合物を室温で48時間撹拌し、HCl(1N)中に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 6/1)により精製して、灰白色固体(0.14g)を得た。生成物をCHCl(2mL)中に溶解し、−78℃に冷却し、三臭化ホウ素(0.35mL)を滴下した。混合物を室温まで加温した。室温で18時間撹拌した後、混合物を冷(0℃)エチルエーテル(10mL)に注いだ。ついで、メチルアルコール(3mL)を混合物にゆっくりと加えた。混合物を水(3回)で洗浄し、MgSOで乾燥した。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 4/1)により精製して、白色固体を得た(90mg、27%の収率、融点110〜112℃);MS m/e270(M+H)
1615NOとして分析
計算値:C、71.36;H、5.61;N、5.20
実測値:C、71.02;H、5.58;N、4.94
【0208】
実施例37
7−ブチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾールおよびブロモ(ブチル)亜鉛から、実施例35に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製した。所望の生成物を白色固体として得た、融点125〜127℃;MS m/e282(M−H)
1717NOとして分析
計算値:C、72.07;H、6.05;N、4.94
実測値:C、72.78;H、5.87;N、4.69
【0209】
実施例38
7−シクロペンチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾールおよびブロモ(シクロペンチル)亜鉛から、実施例35に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製した。所望の生成物を白色固体として得た、融点220〜222℃;MS m/e296(M+H)
1817NOとして分析
計算値:C、73.20;H、5.80;N、4.74
実測値:C、73.05;H、5.74;N、4.59
【0210】
実施例39
5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボン酸エチル
工程a)7−ブロモ−5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}フェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール
7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾールおよびtert−ブチル(クロロ)ジメチルシランから、実施例24、経路a)、工程a)に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製した。所望の生成物を白色固体として得た、融点90〜91℃;MS m/e534(M+H)
2536BrNOSiとして分析
計算値:C、56.16;H、6.79;N、2.62
実測値:C、55.66;H、6.86;N、2.68
【0211】
工程b)5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボン酸エチル
n−ブチルリチウム(2.5M、0.3mL、0.75mmol)を、7−ブロモ−5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−フェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール(0.4g、0.75mmol)およびTHF(4mL)の冷(0℃)溶液に滴下した。混合物を40℃まで加温し、ついで、2時間撹拌した。THF(1ML)中の[(シアノカルボニル)オキシ]エタン(84mg)を反応混合物に加え、反応混合物を0℃まで加温し、1時間撹拌した。反応物を塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出し、MgSOで乾燥した。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/CHCl/イソプロピルアルコール18/2/1)により精製して、無色油として得た(340mg)。生成物をTHF(3.5mL)中に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中1M、1.4mL)で処理した。混合物を30分間撹拌し、HCl(1N)中に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/CHCl/イソプロピルアルコール 5/2/1)により精製して、白色固体(119mg、53%の収率、融点305〜307℃)を得た;MS m/e300(M+H)
1613NOとして分析
計算値:C、64.21;H、4.38;N、4.68
実測値:C、64.04;H、4.43;N、4.40
【0212】
実施例40
2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−フェニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−7−フェニル−1,3−ベンゾオキサゾール
7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール(200mg、0.60mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(63mg、0.03mmol)をトルエン(5mL)中に溶解し、窒素雰囲気下室温で10分間撹拌した。ベンゼンボロン酸(110mg、0.90mmol)、ついで、炭酸ナトリウム水溶液(2M、1.5mL)およびエタノール(2mL)を加えた。混合物を12時間還流し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(20%〜40%のEtOAc/石油エーテル)により精製して、標題化合物を淡桃色固体として得た、融点92℃;MS m/e332(M+H)
2117NOとして分析
計算値:C、76.12;H、5.17;N、4.23
実測値:C、75.86;H、5.08;N、4.07
【0213】
工程b)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−フェニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
実施例20、工程e)(ルートa)の方法に従って標題化合物を調製し、淡色固体として得た、融点255〜258℃;MS m/e302(M−H)
1913NOx0.25HOとして分析
計算値:C、74.14;H、4.42;N、4.55
実測値:C、73.81;H、4.40;N、4.35
【0214】
実施例41
5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボニトリル
工程a)5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボニトリル
無水N,Nジメチルホルムアミド(1.5mL)中の7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール(200mg、0.60mmol)の溶液を撹拌し、乾燥窒素下、シアン化銅(I)(80mg、0.90mmol)と4時間加熱還流した。混合物を冷却し、過剰のエチレンジアミンテトラ酢酸中に注いだ。粗生成物を単離して、ニトリル(164mg、98%の収率)を黄褐色針状物として得た(30%のEtOAc/石油エーテルから);融点180〜183℃;MS m/e281(M+H)
1612x0.2HOとして分析
計算値:C、66.84;H、4.48;N、9.74
実測値:C、66.63;H、4.33;N、9.60
【0215】
工程b)5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボニトリル
実施例20、工程e)(ルートb)の方法に従って標題化合物を調製し、淡桃色固体として得た、融点297〜303℃;MS m/e253(M+H)
14x0.5HOとして分析
計算値:C、64.37;H、3.47;N、10.72
実測値:C、64.44;H、3.49;N、9.92
【0216】
実施例42
5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボキサミド
実施例40、工程bの反応からの副生成物として標題化合物を淡黄褐色固体として得た、融点325℃;MS m/e271(M+H)
1410x0.5HOとして分析
計算値:C、60.22;H、3.97;N、10.03
実測値:C、59.71;H、3.91;N、9.84
【0217】
実施例43
2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
無水N,Nジメチルホルムアミド(1.5mL)中の7−ブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(100mg、0.33mmol)および臭化銅(I)(56mg、0.39mmol)の混合物を、新たに調製したナトリウムメトキシド(メタノール中15重量%、1ml)と一緒に撹拌し、120℃に4時間加熱した。混合物を冷却し、HCl(1N、5ml)で希釈した。粗生成物を、酢酸エチルで、ついで、フラッシュクロマトグラフィー(40%〜50%のEtOAc/石油エーテル)により単離して、標題化合物を灰白色固体(50mg、60%の収率、融点225〜228℃)として得た;MS m/e258(M+H)
1411NOx0.75HOとして分析
計算値:C、62.11;H、4.65;N、5.17
実測値:C、62.53;H、4.73;N、5.02
【0218】
実施例44
7−エチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)7−エチル−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール
n−ブチルリチウム(2.5N、0.43mL、1.08mmol)を、7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール(300mg、0.90mmol)およびTHF(2mL)の冷(−78℃)混合物に滴下した。混合物を0.5時間撹拌し続けた。ヨウドエタン(0.14mL、1.8mmol)を混合物に滴下した。反応混合物を室温に加温し、2時間撹拌した。反応を塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(20%のEtOAc/石油エーテル)により精製して生成物(231mg、91%の収率)を淡褐色固体として得た:融点85℃;MS m/e284(M+H)
1717NOx0.2HOとして分析
計算値:C、70.28;H、6.17;N、4.94
実測値:C、70.12;H、5.74;N、4.82
【0219】
工程b)7−エチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
実施例20、工程e)(経路b)の方法に従って標題化合物を調製し、淡褐色固体(98%の収率)を得た、融点110〜115℃;MS m/e256(M+H)
【0220】
実施例45
7−エチル−2−(2−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)7−エチル−5−メトキシ−2−(2−エチル−4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール
2等量のn−ブチルリチウムを用いて、実施例43、工程a)の方法に従って標題化合物を調製し、粗生成物を直接次の工程に用いた。
【0221】
工程b)7−エチル−2−(2−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
7−エチル−5−メトキシ−2−(2−エチル−4−メトキシ-フェニル)−1,3−ベンゾオキサゾールから、実施例20、工程e)(経路b)の方法に従って標題化合物を調製し、灰色固体として得た(87%の収率);MS m/e284(M+H)
【0222】
実施例46
5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボアルデヒド
工程a)5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボアルデヒド
N−メチルホルムアニリドを求電子剤として用いて、実施例43、工程aの方法に従って標題化合物を、淡橙色固体(94%、融点153〜155℃)として調製した;MS m/e284(M+H)
1613NOとして分析
計算値:C、67.84;H、4.63;N、4.94
実測値:C、67.58;H、4.53;N、4.75
【0223】
工程b)5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボアルデヒド
5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボアルデヒドから、実施例20、工程e)(経路b)の方法に従って標題化合物を調製し、暗黄色固体(99%の収率、融点273〜275℃)として得た;MS m/e256(M+H)
14NOx0.25HOとして分析
計算値:C、64.74;H、3.69;N、5.39
実測値:C、64.32;H、3.59;N、5.18
【0224】
実施例47
7−(ヒドロキシメチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)5−メトキシ−7−(ヒドロキシメチル)−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール
ボロヒドリドナトリウム(66.8mg、1.76mmol)を、無水MeOH(8mL)中の5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボアルデヒド(250mg、0.88mmol)の溶液に、0℃で加えた。反応混合物を30分間撹拌し、ついで、減圧下で蒸発させた。残渣をジエチルエーテル中に溶解し、水およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過した。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(50%のEtOAc/石油エーテル)により精製して、生成物(210mg、83%)を得、直接次の反応に用いた。
【0225】
工程b)7−(ヒドロキシメチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
5−メトキシ−7−(ヒドロキシメチル)−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾールから、実施例20、工程e(経路b)の方法に従って標題化合物を調製し、淡褐色固体として得た、融点282℃(分解);MS m/e258(M+H)
1411NOx0.5HOとして分析
計算値:C、63.16;H、4.54;N、5.26
実測値:C、63.33;H、4.36;N、5.04
【0226】
実施例48
7−(ブロモメチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
5−メトキシ−7−(ヒドロキシメチル)−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾールから、三臭化ホウ素の存在下での撹拌を延長して実施例20、工程e)(経路b)の方法に従って標題化合物を調製し、淡褐色固体として得た、融点250〜260℃(分解);MS m/e321(M+H)
1410BrNOとして分析
計算値:C、52.52;H、3.15;N、4.38
実測値:C、52.26;H、3.17;N、4.07
【0227】
実施例49
[5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−イル]アセトニトリル
N,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)中の7−(ブロモメチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(122mg、0.40mmol)の溶液に、18−クラウン−6−エーテル(202mg、0.80mmol)およびシアン化カリウム(131mg、2mmol)を加えた。反応混合物を2時間撹拌し続け、ついで、水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(50%〜60%のEtOAc/石油エーテル)に付して、生成物(80mg、75%の収率)を灰色固体として得た、融点170〜180℃;MS m/e265(M−H)
1510x1.5HOとして分析
計算値:C、61.43;H、4.47;N、9.55
実測値:C、61.41;H、4.21;N、9.19
【0228】
実施例50
7−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール]
工程a)2−[5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−イル]プロパン−2−オール
7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾールから、求電子剤としてアセトンを用いて実施例43、工程aの方法に従って標題化合物を調製して、白色固体(78%の収率、融点149℃)を得た;MS m/e314(M+H)
1819NOとして分析
計算値:C、68.99;H、6.11;N、4.47
実測値:C、68.78;H、6.13;N、4.35
【0229】
工程b)7−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール]
2−[5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−イル]プロパン−2−オールから、実施例20、工程e)(経路b)の方法に従って、標題化合物を調製し、暗褐色固体として得た(90%の収率、融点180〜185℃);MS m/e286(M+H)
1615NOx0.5HOとして分析
計算値:C、65.30;H、5.48;N、4.76
実測値:C、65.03;H、5.20;N、4.72
【0230】
実施例51
2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−イソプロペニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
ピリジン塩酸塩(400mg)を190℃に加熱した。融解物に、2−[5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−イル]プロパン−2−オール(114mg、0.36mmol)を加え、反応物を2時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、水に溶解し、EtOAcで抽出した。有機層を合し、HCl(1N)、水、ついで、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(50%〜60%のEtOAc/石油エーテル)により精製し、生成物(40mg、41%の収率)を淡赤褐色固体として得た、融点225〜228℃;MS m/e268(M+H)
1613NOx0.5HOとして分析
計算値C、69.56;H、5.11;N、5.06
実測値:C、69.46;H、5.22;N、4.56
【0231】
実施例52
2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−イソプロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール]
2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−イソプロペニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(64mg、0.24mmol)を、EtOAc(5mL)および無水エタノール(5mL)中に溶解し、アルゴンの不活性雰囲気下に置いた。この混合物に、10%のPd−C(25mg)を加えた。溶液を、Parr装置で、25psiで3時間水素化した。溶液をセライトを通して濾過し、エタノールで洗浄した。濾液を濃縮して、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(50%のEtOAc/石油エーテル)により精製して、生成物(58mg、90%の収率)を、黄褐色固体として得た、融点200℃;MS m/e270(M+H)
【0232】
実施例53
7−ブロモ−2−(4−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)2−ブロモ−4−メトキシ−6−{[4−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}フェニル4−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾエート
2−アミノ−6−ブロモ−4−メトキシフェノールおよび4−メトキシ−3−トリフルオロメチルベンゾイルクロライドから、実施例20、工程c)に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製した。生成物を灰白色固体として得た、融点205〜208℃;MS m/e622(M+H)
2518BrFNOとして分析
計算値:C、48.25;H、2.92;N、2.25
実測値:C、48.47;H、2.76;N、2.16
【0233】
工程b)7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ベンゾオキサゾール
2−ブロモ−4−メトキシ−6−{[4−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)−ベンゾイル]アミノ}フェニル4−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾエートおよびp−トルエンスルホン酸一水和物から、実施例20、工程d(経路a)に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製した。生成物を、灰白色固体として得た、融点183〜185℃;MS m/e402(M+H)
1611BrFNOとして分析
計算値:C、47.79;H、2.76;N、3.48
実測値:C、47.60;H、2.50;N、3.37
【0234】
工程c)7−ブロモ−2−(4−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ベンゾオキサゾールから、実施例20、工程e(経路b)の方法に従って標題化合物を調製し、淡黄色固体として得た(50%の収率、融点200〜210℃);MS m/e372(M−H)
14BrFNOx0.5HOとして分析
計算値:C、43.89;H、2.10;N、3.65
実測値:C、43.59;H、2.04;N、3.6
【0235】
実施例54
7−(2−フリル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)7−(2−フリル)−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール
7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール(300mg、0.90mmol)およびジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム(II)(71mg、0.09mmol)をp−キシレン(3mL)中に溶解し、窒素雰囲気下、室温で10分間撹拌した。2−(トリブチルスタンニル)フラン(449mg、1.26mmol)を加え、混合物を4時間還流した。混合物を室温に冷却し、塩化アンモニウムの飽和溶液で希釈し、EtOAcで抽出した。有機抽出物を水、ついで、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(20%〜30%のEtOAc/石油エーテル)により精製して、標題化合物を白色固体(99%の収率、融点120〜121℃)として得た;MS m/e322(M+H)
1915NOとして分析
計算値:C、71.02;H、4.71;N、4.36
実測値:C、70.23;H、4.7;N、4.19
【0236】
工程b)7−(2−フリル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
実施例50の方法に従って標題化合物を調製し、淡桃色固体(64%の収率、融点283〜287℃)として得た;MS m/e294(M+H
1711NOとして分析
計算値:C、69.62;H、3.78;N、4.78
実測値:C、69.11;H、3.6;N、4.64
【0237】
実施例55
2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−(2−フリル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−7−(2−フリル)−5−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール
7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ベンゾオキサゾールから、実施例53、工程aの方法に従って標題化合物を調製し、琥珀色結晶(73%の収率、融点155℃)を得た;MS m/e340(M+H)
1914FNOとして分析
計算値:C、67.25;H、4.16;N、4.13
実測値:C、66.88;H、3.97;N、4.04
【0238】
工程b)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−(2−フリル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−7−(2−フリル)−5−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾールから、実施例50の方法に従って標題化合物を調製し、灰色固体(81%の収率、融点245〜250℃)として得た;MS m/e312(M+H)
1710FNOx0.7COとして分析
計算値:C、65.04;H、4.37;N、3.79
実測値:C、64.84;H、4.29;N、3.70
【0239】
実施例56
2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−チエン−2−イル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−7−チエン−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール
7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾールおよび2−(トリブチルスタンニル)チオフェンから、実施例53、工程aの方法に従って標題化合物を調製した。生成物を白色固体(95%の収率)として得た、融点95〜100℃;MS m/e338(M+H)。
【0240】
工程b)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−チエン−2−イル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−7−チエン−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾールから、実施例50の方法に従って標題化合物を調製し、灰色固体として得た(80%の収率、融点278〜280℃);MS m/e310(M+H)
1711NOSx0.25HOとして分析
計算値:C、65.06;H、3.69;N、4.46
実測値:C、64.93;H、3.84;N、4.21
【0241】
実施例57
2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
工程a)5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−7−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール
7−ブロモ−5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾールおよび2−(トリブチルスタンニル)チアゾールから、実施例53、工程aの方法に従って標題化合物を調製した。生成物を灰白色固体として得た(93%の収率、融点132〜136℃);MS m/e339(M+H)
1814Sとして分析
計算値:C、63.89;H、4.17;N、8.28
実測値:C、63.53;H、3.94;N、8.15
【0242】
工程b)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
5−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−7−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾールから、実施例50の方法に従って標題化合物を調製し、黄色固体として得た(55%の収率、融点245〜255℃);MS m/e311(M+H)
1610Sx1.5HOとして分析
計算値:C、56.97;H、3.88;N、8.30
実測値:C、57.24;H、3.95;N、7.50
【0243】
実施例58
2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボニトリル
7−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−5−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾールおよびシアン化亜鉛から実施例35の方法に従って標題化合物を調製した。生成物を白色固体として得た、融点308〜310℃、MS m/e269(M−H)
14FNO3x1.5HOとして分析
計算値:C、61.01;H、2.77;N、10.16
実測値:C、60.68;H、2.46;N、9.77
【0244】
実施例59および60
4−ブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(実施例59)
4,6−ジブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(実施例60)
2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールおよびN−ブロモスクシニミドから、実施例28の方法に従って標題化合物を調製した。生成物(a)を白色固体として得た、融点246〜248℃、MS m/e336(M+H)
1410BrNOx1HOとして分析
計算値:C、49.49;H、3.08;N、4.12
実測値:C、49.28;H、2.89;N、3.87
生成物(b)を白色固体として得た、融点260〜262℃、MS m/e414(M+H)
14BrNOとして分析
計算値:C、40.52;H、2.19;N、3.37
実測値:C、40.21;H、2.00;N、3.3
【0245】
実施例61
7−ブロモ−2−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
3,5−ジフルオロ−4−メトキシ安息香酸および2−アミノ−6−ブロモ−4−メトキシフェノールから実施例21に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製し、白色固体として得た、融点270〜272℃;MS m/e340(M−H)
13BrFNOとして分析
計算値:C、45.64;H、1.77;N、4.09
実測値:C、45.81;H、1.73;N、3.89
【0246】
実施例62
2−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
7−ブロモ−2−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールから、実施例24、経路bに記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製し、白色固体として得た、融点160〜262℃;MS m/e288(M−H)
15NOx0.1HOとして分析
計算値:C、61.52;H、3.23;N、4.78
実測値:C、61.53;H、3.10;N、4.72
【0247】
実施例63
7−ブロモ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
4−メトキシ−2−メチル安息香酸および2−アミノ−6−ブロモ−4−メトキシフェノールから、実施例21に記載のものと実質的に同様の方法で標題化合物を調製し、淡色固体として得た、融点120〜135℃;MS m/e320(M+H)
1410BrNOとして分析
計算値:C、52.52;H、3.15;N、4.38
実測値:C、52.24;H、2.97;N、4.15
【0248】
実施例64
2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−(1−フルオロビニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール
フッ化水素ピリジン(1.14mL)を、スルホラン(3mL)中の2−[4−(アセチルオキシ)−3−フルオロフェニル]−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イルアセテート(0.25g、0.7mmol)の冷(0℃)ピリジンに加えた。反応混合物を5分間撹拌し、ついで、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(120mg)を一度に加えた。混合物を室温で24時間撹拌し、HCl(1N)で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl/イソプロピルアルコール0.3%)により精製して、7−(2−ブロモ−1−フルオロエチル)−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールを、白色固体(0.25g、融点185〜186℃)として得た。生成物をアセトニトリル(2mL)中に溶解し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(150mg)を加えた。反応混合物を24時間撹拌し、冷(0℃)HCl(1N、10mL)溶液に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機抽出物をMgSOで乾燥させた。蒸発させて、フラッシュクロマトグラフィー(20%のEtOAc/ヘキサン)により精製して、白色固体として得た(160mg、融点213〜214℃);MS m/e290(M+H)
15BrFNO3x0.3HOとして分析
計算値:C、61.15;H、3.28;N、4.75
実測値:C、60.84;H、3.41;N、4.57

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式:
【化1】

[式中:
は、2〜7個の炭素原子のアルケニルであり;ここに、該アルケニル基は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORにより置換されていてもよく;
およびR2aは、各々独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキルまたは1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;ここに、該アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORにより置換されていてもよく;
およびR3aは、各々独立して、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキルまたは1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり;ここに、該アルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORにより置換されていてもよく;
、Rは、各々独立して、水素、1〜6個の炭素原子のアルキルまたは6〜10個の炭素原子のアリールであり;
XはO、SまたはNRであり;
は水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR、−COまたは−SOである]
を有する式(II)で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
XがOである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORにより置換されていてもよい、2〜3個の炭素原子のアルケニルである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールである、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項5】
2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールである、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項6】
2−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールである、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項7】
4−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールである、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項8】
4,6−ジブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールである、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項9】
7−(1−ブロモビニル)−2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールである、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項10】
7−(1−ブロモビニル)−2−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールである、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項11】
7−アリル−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールである、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項12】
2−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールである、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項13】
2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−(1−フルオロビニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールである、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項14】
a)2−(5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,4−ジオール;
b)3−(5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,2−ジオール;
c)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
d)2−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
e)2−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
f)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール;
g)2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール;
h)2−(6−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,4−ジオール;
i)3−(6−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,2−ジオール;
j)4−(6−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,2−ジオール;
k)2−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール;
l)4−(5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール;
m)4−(6−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール;
n)6−クロロ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
o)6−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
p)6−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
q)5−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール;
r)7−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
s)7−ブロモ−2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
t)7−ブロモ−2−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
u)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
v)7−(1,2−ジブロモエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
w)7−(1−ブロモビニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
x)7−エチニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
y)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−プロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
z)7−ブチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
aa)7−シクロペンチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
bb)5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボン酸エチル;
cc)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−フェニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
dd)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
ee)7−エチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
ff)7−エチル−2−(2−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
gg)5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボアルデヒド;
hh)7−(ヒドロキシメチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
ii)7−(ブロモメチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
jj)[5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−イル]アセトニトリル;
kk)7−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール];
ll)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−イソプロペニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
mm)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−イソプロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール];
nn)7−ブロモ−2−(4−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
oo)7−(2−フリル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
pp)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−(2−フリル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
qq)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−チエン−2−イル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
rr)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
ss)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボニトリル;
tt)4−ブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
uu)4,6−ビブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
vv)7−ブロモ−2−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール;
である化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項15】
それを必要とする哺乳類の前立腺炎または間質性膀胱炎の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項16】
それを必要とする哺乳類の炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性直腸炎または大腸炎の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項17】
それを必要とする哺乳類の前立腺肥大、子宮平滑筋腫、乳癌、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、乳房の良性疾患、腺筋症、卵巣癌、メラノーマ、前立腺癌、結腸癌、神経膠腫または星状芽細胞腫の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項18】
それを必要とする哺乳類のコレステロール、トリグリセリド、Lp(a)またはLDLレベルを低減させるか;または高コレステロール血症;高脂質血症;心血管疾患;アテローム性動脈硬化症;高血圧;末梢血管疾患;再狭窄または血管攣縮を阻害または治療するか;または免疫介在血管損傷を誘発する癌イベントからの血管壁損傷を阻害する方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項19】
それを必要とする哺乳類の認識力増強または神経防護の供与方法;または老人性痴呆、アルツハイマー病、認知機能低下、発作、不安または神経変性障害の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項20】
それを必要とする哺乳類のフリーラジカル誘発病態の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項21】
それを必要とする哺乳類の膣萎縮または外陰萎縮;萎縮性膣炎;膣の乾燥;掻痒;性交疼痛症;排尿困難;頻尿;尿失禁;尿路感染症の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項22】
それを必要とする哺乳類の血管運動症状の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項23】
それを必要とする哺乳類の受胎の阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項24】
それを必要とする哺乳類の関節炎の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項25】
関節炎が、関節リウマチ、変形性関節症または脊椎関節炎である請求項24記載の方法。
【請求項26】
それを必要とする哺乳類の関節膨化または関節びらんの治療または阻害方法;または関節鏡下または外科的手法に伴う関節損傷の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項27】
それを必要とする哺乳類の乾癬または皮膚炎の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項28】
それを必要とする哺乳類の虚血、再潅流傷害、喘息、胸膜炎、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、ブドウ膜炎、敗血症、出血性発作またはII型糖尿病の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項29】
それを必要とする哺乳類の子宮内膜症の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1〜13いずれか1項記載の化合物を与えることを含む方法。
【請求項30】
請求項1〜13いずれか1項記載の化合物および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項31】
それを必要とする哺乳類の炎症性腸疾患の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量のER−β選択的リガンドを与えることを含み、該ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合アフィニティーが、そのER−αに対する結合アフィニティーよりも少なくとも約20倍大きい方法。
【請求項32】
炎症性腸疾患がクローン病、潰瘍性大腸炎、不定型結腸炎、感染性結腸炎または潰瘍性直腸炎である請求項31記載の方法。
【請求項33】
ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合アフィニティーが、そのER−αに対する結合アフィニティーよりも少なくとも約50倍大きい請求項32記載の方法。
【請求項34】
子宮肥大活性を測定する標準的な薬理試験法において、ERβ選択的リガンドが、最大限に有効な投与量の17β−エストラジオールに対して観察される重量増加の約10%未満である子宮の湿重量を増加させ、乳腺刺激活性を測定する標準的な薬理試験法において、ERβ選択的リガンドが、最大限に有効な投与量の17β−エストラジオールに対して観察されるものの約10%未満であるカゼインキナーゼIImRNAの増加を生じさせる、請求項33記載の方法。
【請求項35】
ER−β選択的リガンドが、子宮肥大活性を欠く対照と比べて有意に(p>0.05)子宮の湿重量を増加させず、乳腺刺激活性を欠く対照と比べて有意に(p>0.05)カゼインキナーゼIImRNAを増加させない、請求項34記載の方法。
【請求項36】
それを必要とする哺乳類の関節炎の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の非子宮肥大性、非乳腺刺激性ERβ選択的リガンドを与えることを含み、該ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合アフィニティーが、そのER−αに対する結合アフィニティーよりも少なくとも約20倍大きい方法。
【請求項37】
関節炎が関節リウマチ、変形性関節症または脊椎関節炎である請求項36記載の方法。
【請求項38】
ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合アフィニティーが、そのERαに対する結合アフィニティーよりも少なくとも約50倍大きい請求項37記載の方法。
【請求項39】
子宮肥大活性を測定する標準的な薬理試験法において、ERβ選択的リガンドが、最大限に有効な投与量の17β−エストラジオールに対して観察される重量増加の約10%未満である子宮の湿重量を増加させ、乳腺刺激活性を測定する標準的な薬理試験法において、ERβ選択的リガンドが、最大限に有効な投与量の17β−エストラジオールに対して観察されるものの約10%未満であるカゼインキナーゼIImRNAの増加を生じさせる、請求項38記載の方法。
【請求項40】
ER−β選択的リガンドが、子宮肥大活性を欠く対照と比べて有意に(p>0.05)子宮の湿重量を増加させず、乳腺刺激活性を欠く対照と比べて有意に(p>0.05)カゼインキナーゼIImRNAを増加させない、請求項39記載の方法。
【請求項41】
それを必要とする哺乳類の関節膨化または関節びらんの治療または阻害方法;または関節鏡下または外科的手法に伴う関節損傷の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量の非子宮肥大性、非乳腺刺激性ERβ選択的リガンドを与えることを含み、該ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合アフィニティーが、そのER−αに対する結合アフィニティーよりも少なくとも約20倍大きい方法。
【請求項42】
ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合アフィニティーが、そのERαに対する結合アフィニティーよりも少なくとも約50倍大きい請求項41記載の方法。
【請求項43】
それを必要とする哺乳類の子宮内膜症の治療または阻害方法であって、該哺乳類に有効量のER−β選択的リガンドを与えることを含み、該ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合アフィニティーが、そのER−αに対する結合アフィニティーよりも少なくとも約20倍大きい方法。
【請求項44】
ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合アフィニティーが、そのER−αに対する結合アフィニティーよりも少なくとも約50倍大きい請求項43記載の方法。
【請求項45】
子宮肥大活性を測定する標準的な薬理試験法において、ERβ選択的リガンドが、最大限に有効な投与量の17β−エストラジオールに対して観察される重量増加の約10%未満である子宮の湿重量を増加させ、乳腺刺激活性を測定する標準的な薬理試験法において、ERβ選択的リガンドが、最大限に有効な投与量の17β−エストラジオールに対して観察されるものの約10%未満であるカゼインキナーゼIImRNAの増加を生じさせる、請求項44記載の方法。
【請求項46】
ER−β選択的リガンドが、子宮肥大活性を欠く対照と比べて有意に(p>0.05)子宮の湿重量を増加させず、乳腺刺激活性を欠く対照と比べて有意に(p>0.05)カゼインキナーゼIImRNAを増加させない、請求項45記載の方法。
【請求項47】
請求項1〜13いずれか1項に記載の化合物の製造方法であって:
a)式:
【化2】

[式中、R、R、R2aおよびXは請求項1の記載と同意義である]
で示される化合物を、式:
【化3】

[式中、RおよびR3aは請求項1の記載と同意義であり、Yはハロゲン、−OHまたは1〜6個の炭素原子のアルコキシである]
で示される化合物と反応させること;
または
b)請求項1記載の式(II)で示される化合物を、その医薬上許容される塩に変換すること;
または
c)式(II)で示される化合物の異性体混合物を分割して、式(II)で示される化合物のエナンチオマーまたはその医薬上許容される塩を単離すること;
の1つを含む方法。

【公開番号】特開2011−52010(P2011−52010A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−255175(P2010−255175)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2003−551120(P2003−551120)の分割
【原出願日】平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】