説明

エネルギをセンスする発光ダイオード・ディスプレイ

【課題】ディスプレイ自体内部にエネルギ・センサを含むディスプレイを開示する。
【解決手段】有機発光ダイオード(OLED)は発光器とエネルギ検出器との両方として動作させ得る。適切な駆動信号によって前方バイアスされた場合、OLEDは電界発光によって光を放出し、ディスプレイ上で画像の一部分を構成するのに用い得る。別の態様では、OLEDは光電効果によって入射光子又はエネルギを電気信号に変換することによってエネルギを検出し得る。ディスプレイにおけるOLEDを放出モードとセンス・モードとの両方にて動作することによって、外部ソースからのような、ディスプレイ上に照射するエネルギを、画像が表示されるのと同時に検出し得る。更に、OLEDを含むディスプレイはディスプレイ自体によって生成された光エネルギを検出し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界発光材料でできたディスプレイ、特に、電界発光によって光を放出し得、更に、光又は他のエネルギをセンスし得る、発光ダイオードでできたディスプレイ、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示するテキスト又は画像を生成するのに利用可能なディスプレイ・デバイスにはいくつかのタイプがある。現在、最も広く普及しているディスプレイのタイプは、デスクトップ・ディスプレイ及びテレビの大多数を構成する陰極線管(CRT)、及び、ラップトップ・コンピュータ、電話、及び携帯情報端末(PDA)のような、携帯デバイスのディスプレイの大多数を構成する液晶ディスプレイ(LCD)である。
【0003】
いくつかの他のタイプのディスプレイはそれほど周知ではないが、プラズマ・ディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED)、ディジタル光処理(DLP)(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(MEMS)の一形態)、画像光増幅器(ILA)、及び発光ダイオード(LED)のような、限定された量で利用可能か、なお開発中かの何れかである。これらのシステム・タイプ各々は、直接表示するディスプレイを生成し得るか、間接表示する表面上に画像を投影し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのタイプのディスプレイの多くは1つのピクセル(画素)から他の画素までの出力の均一性に問題を有する。例えば、FED及びLEDシステムにおいては、いくつかの個々の画素は他のものよりも駆動信号の所定量に対して多くの光を生成し得る。これらのディスプレイの生産中に、ディスプレイにおける各画素は、該画素を個々に発光させ、個々の画素の光強度出力を測定することによって、キャリブレーションが成される。該測定値は該ディスプレイにおける他の画素の出力と比較される。更に、その画素を表示する場合、駆動信号を増加又は低減する、すなわち、画素を駆動する表示回路のトリミング(カリブレーション)を行う、ことによって、調整が行われる。このカリブレーションは駆動信号の単一レベルについて行ってもよく、駆動信号はガンマ曲線全体にわたって、画素が、完全なオフ状態から完全なオン状態まで、異なる入力のレベルで測定されるよう、変えてもよい。
【0005】
この均一性検査及びカリブレーションは一般に、製造時に行われ、調整は通常、恒久的に行われる。したがって、個々の画素の出力特性が時間とともに変動する場合、ディスプレイの画質が劣化することがある。
【0006】
いくつかのディスプレイが有する別の問題は部屋における光の量に対する全体の正確なディスプレイの明るさを維持することである。例えば、部屋自体の照明が明るい場合は、ディスプレイは周囲光よりもよく見えるよう同様に明るくなければならない。部屋の照明が暗い場合は、明るいディスプレイは、ディスプレイを暗くしなければ、強烈で、見にくいものである。ディスプレイの一部は部屋の中の他の光に応じてその明るさレベルを自動的に調整し得る。これは周囲の部屋の光をセンスする光センサを含むことによって行い、更に、該センサの出力に基づいてディスプレイ全体の明るさを調整する。このシステムの1つの問題はセンサがディスプレイの大部分と比較して非常に明るい、又は、暗い、領域にあり、ディスプレイ全体に対して不正確な測定値をもたらし得るということがある。例えば、センサは影の中にあり得る一方、画面の大部分は明るい光の中にある。画面の種々の位置における複数のセンサを用いることによって、当該問題の解決を助力し得るが、この解決策はディスプレイの複雑度及びコストを増加する。どのセンサもディスプレイの前にあってはならず、さもなければ、センサがディスプレイを覆ってしまうことになる。したがって、ディスプレイ全体にいくつの光センサが含まれているかにかかわらず、実際にディスプレイ上自体で光を測定する該センサはなく、該センサはむしろ、ディスプレイ画面の近くの光のみを測定するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例は従来の技術におけるこれら及び他の欠点に対処するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】有機発光ダイオードを構成するのに用いられる層を示す断面図である。
【図2】図1の有機「層」を構成するのに用いられる別の層を示す断面図である。
【図3】ソリッド・ステート素子における光電効果の動作を示す図である。
【図4】本発明の実施例とともに用いられる回路を示す回路図である。
【図5】本発明の実施例とともに用いられる別の回路を示す回路図である。
【図6】本発明の実施例によって構成された情報ディスプレイを示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例によってOLEDから構成されたディスプレイにおける個々の画素を示すディスプレイの前面図である。
【図8】影によって覆われたディスプレイの一部分とともに図7に示すディスプレイの前面図である。
【図9】本発明の実施例を実施するよう用い得る構成部分を示す構成図である。
【図10】本発明の実施例によって、放出モードにおける画素及びセンス・モードにおける数画素を示す、図7に示すディスプレイの前面図である。
【図11】本発明の実施例を実施するのに用い得る構成部分を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当該説明は添付図面を参照しながら開示内容を読むことによってよく理解し得るものである。
【0010】
本発明の実施例は、可視光を交互に生成し得、ディスプレイ上に照射する光エネルギを測定し得る、有機LED(OLED)のようなLEDからできたディスプレイを含む。電圧によって前方バイアスされ、電子・正孔対が注入された場合は、OLEDはディスプレイ画像を生成するのに用い得る光子を放出する。OLEDが逆バイアスされた場合は、OLEDはフォトダイオードとして動作し、OLEDによってセンスした光エネルギの量を測定し得る。OLEDはディスプレイの外の外部ソースからOLED上に照射する光を測定し得、隣接したOLEDによって生成された光を測定し得る。切り替え回路によってOLEDを放出モードとセンス・モードとの間で交互にする。
【0011】
OLEDは、電界発光と呼ばれるプロセスである、電気エネルギを直接光エネルギに変換する原理、によって動作する。OLEDにおいて電界発光を生成するには、最初に、OLEDは外部電圧によって前方バイアスされる。次に、電子及び正孔が、電界発光を生成することができることによって選定された特別な有機材料に、注入される。電子及び正孔は有機材料において衝突し、お互いが電子・正孔対(「対」)として結合し、そうすることにおいて光子を生成し得、したがって、光を生成する。OLEDのマトリックスがディスプレイにおいてグループ化され、個々に駆動される場合、該OLEDのマトリックスはディスプレイ上での可視画像を形成するのに用い得る。
【実施例】
【0012】
図1はOLED10の例を示す。最も簡単な形態では、OLED10は電子を注入する陰極12、正孔を注入する陽極14、及び電子と正孔とを組み合わせ得る有機材料層20を含む。多くのOLED10においては、陽極14は透明又はほぼ透明であるので、有機層20によって生成された光は陽極を通じて射出し得、観察者が観ることが可能である。更に、一般に、陰極12は反射材料からできているので、陰極の方向で有機層20を射出する如何なる光子も、陰極で反射され、再び有機層を通じて反射され、OLED10の外に反射され、ディスプレイの明るさに付加される。
【0013】
有機層20は、各々が特定の機能について最適化されたいくつかの異なった層から構成され得る。図2は、ガラスのような基板16、上で形成されたOLED10の例を示し、有機材料20は3つの層から形成される。層20Aは陰極12に隣接し、最適な電子輸送層として選定される。同様に、層20Cは陽極14に隣接し、正孔を輸送することができることによって選定される。中央の層20Bは電子・正孔対から光子を生成するよう最適化される。3つの別個の層を図2に示すが、各層は同様に、異なる材料の1つ以上の層から形成し得る。したがって、有機層20は、OLED10において最良量の光子を生成するよう、如何なる数の層から形成されてもよい。混乱を避けるよう、個々の層20A、20B、20Cを区別する必要がない場合を除いて、有機材料の層は総称的に20として示すものとする。
【0014】
最良量の光子を生成する有機層20を選択するのに加え、有機層を構成する材料は特定の色の光子を生成するよう選定されなければならない。一般に、ディスプレイはごく小さい、隣接する、画素領域から成り、1つの領域が赤色信号(赤色画素)を、1つの領域が緑色信号(緑色画素)を、更に、1つの領域が青色信号(青色画素)を、生成する。これはよく、RGB(赤色、緑色、及び青色)ディスプレイと呼ばれる。典型的なディスプレイはお互いが隣接する3つの異なるOLEDを有し、各々が、赤色、緑色、青色の光子の何れか、各々、を生成する有機層20を有する。いくつかのOLEDはいくつかの有機層20のスタックから形成され、透明陰極12及び陽極14を用いるので、3つの色全てを同じ物理画素領域において生成し得る。これらのOLEDはスタックOLED(SOLED)と呼ばれ、非スタックOLEDの密度の3倍を有するので、非常に微細なレベルまで生成し得る。ラップトップ・コンピュータ用の典型的なディスプレイは赤色、緑色、及び青色の3色の各々について1024列画素及び768行画素を有する。これらのディスプレイにSOLEDを用いる効果は1024x768画素だけが用いられ、SOLEDディスプレイにおける画素の各々は同時に赤色、緑色及び青色の信号を生成することができるので、その3倍の量ではないということである。全体的に均一な画像が生成されるよう異なる色のOLEDの各々の出力を処理することは、OLEDの全てのタイプについて、困難な課題である。
【0015】
上記のように、有機層20から光子を生成するよう、OLED10は前方バイアスを受けている、すなわち、正の電圧が陽極12と陰極14との間で印加されている、必要がある。OLED10がバイアスされていない、又は、逆バイアスを受けている場合、興味深い現象が発生する、すなわち、該OLEDはフォトダイオード又は光検出器となる。
【0016】
図3はソリッド・ステート素子における光検出を示す。図3においては、OLED10の有機層20部分のみを示す。図3の有機層20は異なる別個の領域22、24、26に分割されている一方、類似しているかもしれないが、これらの領域は図2の層20A、20B及び20Cに必ずしも相当するものでない。領域22(電子領域)は電子担体が余剰にある状態を有し、領域26(正孔領域)は正孔担体が余剰にある状態を有する。電子領域22と正孔領域26との間には空間電荷欠乏領域(SCDR)24がある。SCDR24には固有の電界があり、該電界は、電子領域22に始まり、正孔領域26まで及ぶ。
【0017】
光子(光エネルギ)が有機層20のバンド・ギャップ電圧と少なくとも同じぐらい大きなエネルギ・レベルを有するSCDR24に入射すると、該光子は、電子32及び正孔36からなる電子・正孔対30を、生成し得る。電子32は負の電荷を有し、正孔36は正の電荷を有するので、両方とも直ちに反対方向にSCDR24の外に、電界の存在によって、掃出される。電子32は電子領域22に掃出され、正孔36は正孔領域26に掃出される。回路が電子領域22と正孔領域26との間に形成される場合、この掃出動作はこれらの領域間を電流(光電流)が流れることを引き起こし得る。
【0018】
図3のフォトダイオードは外部バイアスがゼロでも動作し得る。しかしながら、SDCR24は逆バイアスされている場合、幅が増加し、SCDRの幅が広いほど、SCDRに入射する光子は多くなるので、OLED10は、OLEDが逆バイアスされている場合、光に対する感度が高くなり、良好な光子検出器となる。したがって、OLED10は通常、光センス・モードにある場合、逆バイアスされる。逆バイアスを印加し、OLED10上で照射する光エネルギを測定するセンス駆動回路を図4に表し、概して40として示す。図4では、OLED10は前面端子42で印加された正の電圧によって逆バイアスされる。一実施例においては、OLED10に印加される逆バイアスは、おおよそ直流で0から10ボルトまでの間のレベルを有するdc(直流)電圧である。逆バイアスは、前面端子42に結合された、センス・バイアス回路50によって生成される。背面端子44は、例えば、OLEDセンス光によって生成される光電流を増幅するのに用いられるセンス増幅器、を含み得る、出力センス回路60に結合される。センス回路60は、出力が、OLED10に照射する光エネルギの量に基づいて、変動する強度出力端子66、を有する。
【0019】
(波形の矢印によって示された)光エネルギがOLED10に照射される場合、電流は、背面端子44から流れ、センス回路60によってセンス及び測定され、強度出力端子66で出力される。強度出力端子66での出力はOLED10に照射される光の量を示す。
【0020】
各OLED10は自らのバイアス回路50及びセンス回路60を有してもよく、又、多くのOLEDが同じバイアス及びセンス回路を共有してもよい。多重化と呼ばれる、同じバイアス50及びセンス60回路に一連のOLED10を駆動させる、ことによって、ディスプレイは、回路を共有することによって、ディスプレイに含める回路は少なくて済むので、構成するのが経済的になり得る。
【0021】
OLED10がセンスする光エネルギは、ディスプレイの内部でも外部でも、如何なるソースからの光であってよい。例えば、該光はOLED10によってセンスされる、部屋の中の、周囲光であってもよく、該光をセンスすることから生成された信号を用いて、該信号に応じて、ディスプレイ全体を明るくしたり暗くしたりしてもよい。又、センス光はOLED10から構成された画面に向けられたレーザ・ペン又はレーザ・ポインタから入射するものであってよい。更に、OLED10は他のOLEDによって放出された光をセンスし得る。ディスプレイを動作中の少なくとも短期間においてセンス・モードにすることによって、OLED10は一瞬間においてディスプレイの一部を生成し、更に、別の瞬間において光をセンスすることがある。
【0022】
OLEDから放出された光が特定のスペクトル特性を有する一方、OLEDによってセンスされた光も同様に、スペクトル特性を有する。OLEDによってセンスされるよう、SCDR24(図3)に照射する光子は有機層20を構成する材料のバンド・ギャップ電圧と、等しいか、ある場合は該電圧よりも大きな、エネルギを有しなければならない。有機層20には異なる材料が用いられるので、赤色、緑色、及び青色の信号を生成するには、これらの材料のスペクトル感度は全く同じでないことがあり、おそらく、お互いが同じでない可能性が高いものである。最良の放出及びセンス特性を実現するよう有機材料層20の選定及び動作を最適化することはセンス及び放出OLEDを用いるシステムの実施者によってうまく行われる。
【0023】
ディスプレイの外部から照射するセンス光に加えて、OLEDは更に、ディスプレイ自体の内部にある光、すなわち、他のOLEDによって生成された光、をセンスし得る。上記のように、有機層20(図1)内部で生成された光子の多くはOLED10を射出することのない一方、むしろ、有機層において自己消炎されるか、ディスプレイから外部への、観察者に向かう、方向、以外の方向でOLED10を射出する。いくつかのディスプレイにおいては、総生成光の約1/3のみが実際にユーザに向けて放出され、残りは、自己吸収されるか、隣接するOLED10の方向に放出される。
【0024】
OLED10は同時に放出モードとセンス・モードとの両方にあることは考えられないが、放出OLEDに隣接するOLED10はセンス・モードにあり得る。このようにして、OLED10は、隣接するOLEDが光を生成しているのと同時に、隣接するOLEDによって生成された光の量を能動的にセンスし得る。これらの特有の特性は以下に説明する。
【0025】
図5は、OLED10に対するひとそろいの放出及びセンス駆動回路70を構成するのに、前方駆動回路も組み入れるようセンス駆動回路40を簡単に変更する方法を示す。センス駆動回路40にある構成部分に加えて、ひとそろいの放出及びセンス駆動回路70は背面端子44に結合された前方駆動回路74を含む。更に、スイッチの対76、78が正確な時間に適切な放出又はセンス回路に対してOLEDを接続するようOLED10に結合される。前方駆動回路74はOLED10に、該OLEDに光子を放出させるよう、駆動電流を設ける。設けられる電流が大きいほど、OLED10によって放出される光子は多くなる。
【0026】
前方動作中に、すなわち、OLEDが放出モードにある場合に、スイッチ76は前方駆動回路74を背面端子44に結合し、スイッチ78は前面端子74をアース又は他の基準電圧に結合する。OLED10がこのようにして接続され、前方駆動回路74がOLEDに光子を生成させる信号を生成する場合、OLEDは光を生成し、ディスプレイの一部として構成し得る。
【0027】
上記のように、前方駆動回路74によって生成された信号は該回路が接続されたOLED10の光出力を制御する。したがって、前方駆動回路74に出力される信号は放出強度レベルである。ディスプレイを構成する画素全てについて放出強度レベルを制御することによって、観察者が視る画像を構成し得る。OLED10の異なる色各々は出力の同様な明るさレベルを生成するよう各々自らの放出強度レベルを有する。したがって、ディスプレイにおける1つの解決策はOLED10の異なる色各々に対する前方駆動回路74の異なる群を有する。すなわち、これらの実施例においては、ディスプレイにおいて赤色、緑色、及び青色各々に対して少なくとも一そろいの前方駆動回路74を含まなければならない。
【0028】
逆動作(センス・モード)中に、スイッチ76は背面端子44をセンス回路60に結合し、スイッチ78は前面端子42をセンス・バイアス回路50に結合し、図4に示すものと同様な回路を形成する。上記のように、センス・バイアス回路50は直流で約0ボルトから約10ボルトまでの間のどこかでOLED10を逆バイアスする。OLED10がこのモードで接続された場合での動作中に、OLEDは自らに照射する光エネルギをセンスする。上記のように、OLED10によってセンスされた光エネルギは外部ソースから、すなわち、ディスプレイの外部のソースから、でもよく、ディスプレイ自体の内部の別のソースから、すなわち、別のOLEDから、でもよい。
【0029】
スイッチ76、78はOLED10を非常に速く放出モードからセンス・モードに切り替えるよう非常に速く動作し得る。OLED10の物理スイッチング時間は、有機材料層20(図1)の物理パラメータに関係し、数ナノ秒に及ぶ。したがって、スイッチ76、78は毎秒数千又は数百万回も切り替え得る。同じ放出及びセンス回路70が多くのOLED10の群を駆動する場合、浮遊静電容量の問題によって放出及びセンス回路がそれほど速く切り替わることが妨げられることがある。
【0030】
OLED10のデューティ・サイクルは、OLEDの動作時間全体と比較して放出モードにある時間で、50%でなくてよい。OLED10のデューティ・サイクルは放出モードとセンス・モードとで等しくないことを妨げない。例えば、デューティ・サイクルが放出モードとセンス・モードとの間で等しい場合のように、放出モードを該時間の50%のみ動作させることによって、所望する明るさほど明るくないディスプレイを生成し得る。ディスプレイにおいてセンス・モードがどの機能に用いられるかによって、OLED10は、該時間の100%から0%の間で放出モードにあり得る一方、該時間の0%から100%の間で放出モードにあり得る。更に、ディスプレイにおけるOLED10の全てが同時に同じモードにある必要はない。例えば、20のLEDのうち平均1つが、コンピュータ・モニタ上に照射する光を読み取るセンス・モードにある一方、他の19のLEDが放出モードにあることがある。
【0031】
図5を参照して説明したように、前方駆動回路74は実際に2つ以上のOLED10を、異なる時間で動作する多くのOLEDを駆動する駆動回路を多重化することによって、駆動し得る。多重化は、実施するのがいくぶん容易で、画質に如何なる感知できる損失をもたらさない、コストを節減する、方法である。
【0032】
一連のOLED10からディスプレイ・デバイスを構成する一つの方法を図6に示す。図6においては、ディスプレイ100を示し、陰極112、陽極114、及び有機層120を含む。図6のディスプレイ100においては、陽極114はいくぶん狭く、第1方向において等間隔に配置され、ガラスのような、シースルー基板116に付着される。陰極112もいくぶん狭く、等間隔に配置されるが、陽極114の方向に対して垂直の方向に配置される。最終製品は陰極112と陽極114との間の接点毎に別個のダイオード110を有するディスプレイ100である。ディスプレイ100に20の陰極112と20の陽極114がある場合、400のダイオード110がディスプレイにあることになる。変更をあまり行わず、かつ、公知の手法を用いることによって、ディスプレイ100はパッシブ型ディスプレイ又はアクティブ型ディスプレイの何れかとして構成し得、その差異はアクティブ型ディスプレイにおいては画素毎に用いられる個々のトランジスタ及びエネルギ・データ記憶デバイスの存在にある。
【0033】
図7は本発明の実施例によって構成されたディスプレイ130の前面図を示す。ディスプレイ130は計48の、8x6のマトリックスに配置された、行をA乃至F、列を1乃至8と呼ぶ、ダイオード110を有する。実際には、当然、ディスプレイ130には更に多くのダイオード110があるものであり、該ダイオードは、ディスプレイを拡大して視ない限り、ほとんど見分けが付かないほど、近接している。
【0034】
ディスプレイ130におけるダイオード110各々は放出モードかセンス・モードかの何れかにおいて動作することができる。上記のように、放出及び駆動回路70はいくつかのダイオード110を駆動するよう多重化し得る。多重化駆動の1つの方法は単一行におけるダイオード110全てを同時に駆動し、更に、一度に1行ずつ、ディスプレイ130を構成する行の全てを順次駆動することである。例えば、ディスプレイ130上で画像を生成するよう、放出回路40は最初に、行Aにおける全てのダイオード110を駆動し得る。これらのダイオード110を駆動した後、放出回路は行Bにおける全てのダイオードをスイッチし、駆動する。これは、全ての行が駆動され、画像がディスプレイ130上に生成されるまで、行Aから行Fまで続行する。行乃至F間の切り替えはディスプレイ130における画像の観察者が行の如何なる切り替え又はストローブをも検出しないほど速く、その代わりに画像はディスプレイ上で不変の画像として出現する。
【0035】
光の放出もセンスも両方とも行い得るダイオード110を有するディスプレイ130を構成することによって、ディスプレイの出力を、ディスプレイの動作中も、監視する機能を実現し得る。ディスプレイ130の動作機能の以下の記載においては、各ダイオード110は個々に、放出状態、センス状態、又は、放出もセンスもしないオフ状態、の何れかにあるよう制御し得るものとみなす。したがって、行(または列)における全ての陰極112が接続され、列(又は行)における全ての陽極114が接続された、図6に示すように構成されたディスプレイ130の代わりに、陰極112も陽極114も両方とも別個のもので、図5に概略を示したように、全てのダイオード110の個々の制御を可能にするものとみなす。
【0036】
周囲光からの明るさのセンス
光の放出もセンスも両方行い得るダイオード110からディスプレイを構成することによって、ディスプレイにおけるダイオード各々の明るさを個々に制御し得る。そのようなモードにおいては、少なくともディスプレイ130のダイオード110のいくつかが放出状態とセンス状態との間をトグルするか、ダイオード110のいくつかがそのセンス状態にとどまる。センス状態におけるダイオード110の数はいくつかの要因によって判定され、該要因は、例えば、個々のダイオードのエネルギ・センス感度、及びディスプレイ130においてセンス・ダイオードが配置される位置など、を含む。周囲光センス・モードにおいては、ディスプレイ130上の画像の部分を形成するよう放出モードにおける期間中はオン状態になる。次に、ダイオード110はセンス状態にスイッチし、ディスプレイ130上に照射する周囲光をセンスする。センス状態においては、ダイオード110の各々は照射する光の量を数量化する。ダイオード110が放出状態に再び戻る場合、個々のダイオードの現行の明るさを制御するよう、現行又は先行センス状態における光の照射量の数量化情報を用いる。すなわち、ダイオード110が先行サイクルよりも多い光エネルギ照射をセンスするか、現行サイクルにおける他のダイオード110よりも多い光エネルギ照射をセンスするか、恒久的に記憶された値よりも多い光の量をセンスする場合、ダイオード上の照射の明るさを更に高くするようそれらの特定のダイオードに更に大きな駆動電流が供給される。逆に、ダイオード110に照射される光エネルギが該ダイオードの周囲のダイオードよりも少ないか、先行サイクルよりも光エネルギが少ないか、先行記憶値よりも測定される光が少ない場合、それらのダイオードには更に少ない電流が印加され、現行サイクルにおいてはダイオード110の明るさは更に低くなる。
【0037】
この態様を示す例として、図8に示すような、ディスプレイ130の一部分を覆う影140を想定する。完全に影140に入っているダイオード110(E8、F7−8)は、その周囲のダイオードよりも、又は、影が存在しない場合よりも、センスする光エネルギは少ない。影140に部分的に入っているダイオード(D8、E7、F6)も、完全に影140の外にあるダイオード110と完全に該影の中にある該ダイオードとの間の光エネルギ量をセンスする。削減光エネルギのデータは放出及びセンス駆動回路70にフィードバックされ、該回路は同様に、該影に部分的又は完全に入っているセルに対する放出電流出力を比例的に低減し、該セルの明るさを低くする。影140の外部のダイオードは、影が存在する前と同様なエネルギによって引き続き駆動される。その結果が、部分的に影140によってふさがれているが、ディスプレイ全体において不変の明るさを有するものとして観察者には見える、ディスプレイ130である。
【0038】
別の例(図8にはなし)はディスプレイの一部分の上にビームを照射するフラッシュライトを有するディスプレイ130である。フラッシュライト・ビームが照射するダイオード110各々が照射領域にあることを検出する場合、該ダイオードは光エネルギの存在を放出及びセンス駆動回路70に通知し、該回路はフラッシュライト・ビームを補償するようその光出力を自動的に増加する。他のダイオード110は以前と同様な明るさ出力のままである。今度もまた、影140によって部分的にふさがれたディスプレイ130の場合と同様に、観察者はディスプレイ全体において均一な明るさを観る。放出状態とセンス状態との間を十分速く切り替えることによって、ディスプレイ130はリアル・タイムで明るさ状態を自己訂正する。したがって、フラッシュライト・ビームがディスプレイ全体で掃出しながらでも、ディスプレイ130の明るさの変動は検出されない。
【0039】
このモードの実施例においては、全てのダイオード110が放出モードとセンス・モードの間をスイッチする必要はない。例えば、ディスプレイ130は、画面の異なる領域に分布するいくつかのダイオード110が常にセンス・モードにある一方、他のダイオードがセンス・モードにあることは全くないように、設定し得る。これは画面全体にフォトダイオードを配置させるが、ディスプレイ130上に表示する画像とは干渉しないということと似ている。1つ乃至全部の、ディスプレイ130における、ダイオード110を、ダイオードのデューティ・サイクルの時間の一部分において、周囲光をセンスするよう、用い得、センス・ダイオードから受信された信号は放出ダイオードの全ての放出信号を変調するよう放出及びセンス駆動回路70によって用いられる。
【0040】
上記のようなディスプレイ・モードを実施し得るシステム例を図9に示す。ディスプレイ130は異なる光、又は該ディスプレイの異なる部分の上に照射する他の検出可能なエネルギ220、の量を有する。センスされたエネルギの量はフィードバック・コントローラ210にフィードバックされ、該コントローラはメモリ又は記憶部212に記憶された先行サイクルからのデータをアクセスし、1つ以上の補償処理又はテーブル216とインタフェースする。フィードバック・コントローラ210は、もしあれば、前方駆動回路74に形成される駆動エネルギ、を調整する量を判定し、該判定の信号を駆動回路に設ける。前方駆動回路74は更に、ダイオード110を適切な電流によって駆動し、生成画像に適切な強度の量を生成する。
【0041】
更に細かく言えば、ディスプレイ130を構成する(個々には示していない)ダイオード110の少なくとも1つが該ダイオードに照射する光の量220をセンスする。センス光情報はセンス回路60によって測定され、該回路は放出及びセンス駆動回路70の一部(図4及び5)で、光エネルギ・フィードバック・コントローラ210に入力される。フィードバック・コントローラ210はダイオード・エネルギ・データ記憶部212に結合され、該記憶部は4つの部分に分割される。第1部分212Aは先行サイクルにおいてダイオード110によって受信されるエネルギ量を記憶し、いくつかのサイクルの履歴データを含み得る。第2部分212Bは現行サイクルにおいてダイオードによって受信されるエネルギ量を記憶する。部分212Cは先行サイクルにおいてダイオード110に印加された駆動電流の量の示度を記憶し、今度もまた、いくつかの先行サイクルのデータを含み得る。部分212Dは現行サイクルにおいてダイオードに供給される電流の量の示度を記憶する。
【0042】
フィードバック・コントローラ210はデータ記憶部212から必要な如何なる情報をもアクセスし、如何なる外部の影響をも補償する、ダイオード110に供給する、駆動電流、の正確な量を判定するよう如何なる必要な補償テーブル216とも相互作用する。当然、補償テーブル216はテーブルでなくてよく、フィードバック・コントローラ210によって設けられる入力に基づいた機能を実行し、かわりに該機能出力を設ける、処理であってよい。
【0043】
例えば、周囲光をセンスするよう、センス・モードにあるダイオードはセンス光の量220をフィードバック・コントローラ210に供給する。フィードバック・コントローラは、部分212Aから先行サイクルにおいてセンスされた光の量220を取り出し得るか、該センスされた光の量をディスプレイ130上の他のダイオード110と比較し得るか、さもなければ、その量を恒久的に記憶された値の群とも比較し得る。フィードバック・コントローラは更に、補償テーブル216と相互作用してダイオードを駆動する電流の新レベルを判定し、更に、該新レベルを、データ記憶部212に、部分212Dに記憶されるよう、伝達し、かつ、前方駆動回路74に、個々の画素に印加されるよう、伝達する。このようにして、ディスプレイ130における如何なる数の画素をも周囲光の量をセンスし得、該量はディスプレイにおける代表的な群又は画素各々に形成し得る。
【0044】
画素の明るさの均一性のキャリブレーション
上記態様に関する態様ではディスプレイ130におけるダイオード110を標準駆動電流から他のダイオード110の個々の明るさ応答のカリブレーションを行うことを助力するのに用い得る。上記のように、種々の要因によって、個々のOLED10が同様な量の駆動電流によって駆動されていても異なる明るさの量を生成し得る。ディスプレイ130は、光の放出もセンスも両方とも行い得るダイオード110から構成され、これらの個々の差異を、ディスプレイ130が製造される際かディスプレイ130の動作中かの何れかに、補償し得る。
【0045】
ディスプレイ130が製造される際には、均一性のキャリブレーションは個々のダイオード110の各々の出力を測定し、お互いに正規化することによって、行い得る。例えば、ディスプレイ130はダイオード110をその放出モードに設定し、隣接するダイオードをそのセンス・モードに設定するよう制御し得る。図10は検査される位置D3でのダイオード110を示す。この例では、D3でのダイオード110はその放出モードにある一方、その周囲の他のもの(A1、B2−4、C2−4、D1−2、D4−5、E2−4、及びF2−4)はそのセンス・モードに設定される。ディスプレイ130がもう1行を含む場合、F3でのダイオード110もそのセンス・モードにあることになる。当然、如何なる数のダイオード110をもセンス・モードにおいて、図8Bに示すもののみならず、用い得る。ディスプレイ130上に照射する外部光は、暗くした状態において検査を行うことによって最小化し得るか、非均一照射は均一性の検査をゆがめることがあるので、光の量が均一にディスプレイに表示されることを徹底するのに、他の手法を用いることによって最小化し得る。
【0046】
D3でのダイオード110は図5を参照して説明されたような放出信号によって駆動することによって照射され、周囲のダイオード(A1、B2−4、C2−4、D1−2、D4−5、E2−4,及びF2−4)は照射ダイオードD3によって内部で生成される光の量を示す。該結果は後の変更用に記録し得るか、ダイオード110を、リアル・タイムで、センス・モードにおけるダイオードに自らの情報を、前方駆動回路74(図5)を通じてフィードバックさせることによって、調整し得る。
【0047】
各ダイオード110の明るさ特性についてデータを記録する場合、第1ダイオードに関する性能データが記録されると、ディスプレイ130は別のダイオード110、例えば、D4、を放出モードにする。ダイオードD4付近の領域におけるダイオードはその場合、同様にセンス・モードに切り替わり、検査が繰り返される。この手順は、ディスプレイ130のダイオード110の全てが測定され、ことによると複数回、異なる状態で測定されるまで、続行する。ダイオード110の全ての明るさを確かめる別の方法は、同時に1つの行におけるダイオードの全てを照射し、隣接する行におけるダイオードをセンス・モードに設定し、照射行の上下のダイオードの行によってセンスされた光の量を読み取る。行の終わり近くのダイオード110以外は、明るさは行の中央にあるセンス画素各々について比較的均一であるはずである。
【0048】
ディスプレイ130のダイオード110が測定されると、ダイオードに対する調整を該ダイオードの出力をお互いに正規化するのに、該ダイオードの駆動電流又は印加駆動電流などを変えることによって、行い得る。別の実施例は各ダイオード110の明るさの指標を記憶し得、後に、ダイオード110がその放出モードにある場合に、先行明るさ度合いの記憶示度を照会することによって駆動電流を修正する。
【0049】
上記の2つのモードの組み合わせは、ディスプレイ130におけるダイオード110各々に正規化明るさ検査を行い、それに応じて各ダイオードを初期設定することを含み得る。後に、ダイオード110の明るさが時間とともに変わってくると、例えば、ディスプレイ130が古くなると、センス・モードにおけるダイオードは自動的に、明るさの変動を上記の手法を用いることによって補正し得る。このようにして、本発明の実施例は、製造時に行われるような初期明るさキャリブレーション、並びに/若しくは、定期的に行われるような自己キャリブレーション、及び/又は、ディスプレイ130の動作と同時にリアル・タイムで、なお、継続する明るさキャリブレーションとしてでも、行うことができる。
【0050】
図9に示すシステムは明るさキャリブレーション・モードを実施するのに用い得る。動作上、上記の、周囲光をセンスすること、と同様に機能するが、その代わりに、この場合、光はダイオード自体によって生成される。明るさ強度の以前のデータはメモリ212Aに記憶され、フィードバック・コントローラ210によってアクセスされる。フィードバック・コントローラ210は、補償テーブル216の助力によって、適切なその駆動信号を判定し、その判定結果の信号を前方駆動回路74に送信し、更にメモリ212の部分212Dに記憶されるよう当該データを送信し得る。
【0051】
画素のガンマ均一性キャリブレーション
本発明の実施例は更に、個々のダイオードの実際のガンマ応答に基づいてディスプレイ130のダイオード110のガンマ均一性を実現することができる。この態様は上記の個々のダイオード110の明るさ均一性に類似したもので、1つ以上のダイオードが検査され、他のものがその性能を示す場合、同様に実施し得る。1つの差異は、しかしながら、ダイオード110の出力の測定が完全に暗い状態から完全に明るい状態までのダイオードの出力(「ガンマ曲線」、すなわち、駆動電流の明るさ出力に対する「一般伝達関数」)について行われることである。該測定は、該曲線に沿った比較的少ない数の点において行い得るか、該曲線に沿った多くの点で行い得る。「ガンマ数」は、ディスプレイが個々のダイオード110に対するガンマ曲線を恒久的に修正するよう製造される場合、一度だけ用い得るか、後に更新するようディスプレイ130に記憶し得る。上記の明るさ検査と同様に、本発明の実施例は、製造時に行われるような初期ガンマ・キャリブレーションも、定期的に行われるような自己キャリブレーションも両方とも、又は、ディスプレイ130が動作しているのと同時にリアル・タイムで、なお、継続ガンマ・キャリブレーションとしてでも、行うことができる。
【0052】
ガンマ均一性検査はユーザがディスプレイ130の電源を入れる際に行われる自己検査の一部分であり得、それによって、以前に記憶されたガンマ数が更新されるか、ガンマ均一性検査をユーザの要求によって行い得る。
【0053】
図9に表すシステムは更に、ガンマ均一性態様を実施するのに、明るさ均一性態様を実施するのと同様に、用い得る。1つの差異は、メモリ212がダイオード110各々についてガンマ曲線に沿ったデータ・ポイントを記憶し得るというものである。別の差異は、テーブル又は機能であり、フィードバック・コントローラ212が補償テーブル216と相互作用するものである。上記のように、新しい駆動信号が判定されると、該信号はダイオード110を駆動するよう前方駆動回路74に送信され、更に、データ記憶部212に記憶される。
【0054】
外部ポインティング・デバイスのセンス
ディスプレイ130の用途の別の可能性はレーザ又は他のタイプの外部ポインティング・デバイスの位置をセンスし、更に、ことによると、ポインティング・デバイスの応答をディスプレイ上で行われる動作と統合する、のに用い得る。上記のように、ディスプレイ130は、リアル・タイムで、光エネルギがディスプレイを照射する時点をセンスし得る。更に、どの画素がエネルギをセンスするかを判定することによって、ディスプレイ130上のエネルギの位置を判定し得る。したがって、この特徴を形成することによって、ポインティング・デバイスの存在及び位置を検出し得、該存在及び位置がわかると、ディスプレイ130の出力を制御するよう画面上に照射するポインティング・デバイスの動きをも可能にし得る。
【0055】
このモードを実施し得るシステムを図11に示す。そのシステムでは、ディスプレイ130はディスプレイ上で照射するレーザ・ポインタ250又は他のエネルギ源を有する。ポインタ250が画面上で指し示している位置、及び、クリック又はダブル・クリックのような該ポインタによってとられるどのような動作もポインタ位置インタフェース252によって判定される。位置及び動作情報は画像生成器260に転送され、該画像生成器は該動作を、次にどの画像を表示するかを判定するよう、入力として利用し得る。判定が行われると、画像生成器は画像データを、画面130の(図11には個々に示していない)ダイオード110を駆動する、前方駆動回路74、に送信して表示画像を生成する。
【0056】
一実施例においては、ポインタ250の動きを単に、コンピュータのマウスの入力の代わりに用い得る。ポイント動作は、ポインティング・デバイスが、現在のディスプレイ130上での位置を、ディスプレイにおけるダイオード110のいくつか又は全てをある時間においてセンス・モードにさせることで、光エネルギをセンスすることによって、追跡することによって行われる。クリック動作は更に、ポインタからの光のパルスを検出することによってセンスし得、ことによると、(異なる色の)異なる周波数のポインタが、例えば、クリック動作と非クリック動作との区別を設け得る。ディスプレイ130のダイオード110の全てが、光を放出していない時間中にセンス・モードにあることが考えられる。例えば、ダイオード110の1つの行のみが特定の瞬間で光を放出するよう駆動される場合、その他の場合には遊休モード又はオフ状態にある他の行は、センス・モードにあり得る。
【0057】
動作上、ポインタは、「次」矢印を有するプレゼンテーションや表示されているハイパ・テキスト・マークアップ言語(HTML)ページのような、ディスプレイ130上に表示される、オブジェクトを選定し得る。HTMLページの一部分の上をクリックすることによって他のHTMLページ又は画像をデバイス130上に表示させ得る。
【0058】
更に詳細に言えば、図11に示すシステムはポインタ位置インタフェースに結合されたポインタ位置ロケータ254を含む。更に、ポインタ・インタフェースにはセンス・エネルギ・データ記憶部256が結合され、該記憶部は先行サイクルにおいてディスプレイのダイオード110によってセンスされたエネルギのデータを記憶するのに用いられる。ポインタ250が指し示す位置は、ダイオード110からセンスされたエネルギを、相互に比較するか、先行センス・サイクルにおいてダイオードによってセンスされたエネルギと比較することによって、判定し得る。ポインタ250は、特にレーザ・ポインタの場合、非常に焦点が合っていて、明るいので、画面上の厳密な位置を、センス・モードにあるダイオードによってセンスされた光エネルギの量に基づいて算定するのは、簡単なはずである。更に、ポインタ位置インタフェースは、マウスのクリックと同様に、パルスされたポインタ、すなわち、ダイオード110によってセンスされたエネルギの量を左右し得る、別の色に切り替わったポインタ、を検出することによって、算定し得る。
【0059】
ポインタ250の位置及び状態は入力の形式として画面生成器260に渡される。画面生成器は更に、次に表示する画像を判定し得、適切な画像を選定するよう画像記憶コントローラ262と相互作用し得る。画像レポジトリ268は画像記憶コントローラに結合され、表示するフレームの数を記憶する。例として、ディスプレイ130が、次のスライドを選定する正方向矢印と別のスライドを選定する逆方向矢印とを有するパワーポイントのプレゼンテーションを表示しているものとする。ポインタ250は逆方向矢印をクリックし、該クリックはポインタ位置インタフェースによってセンスされ、画像生成器260に送信される。画像生成器は最も直近に表示されたフレームに戻ることがわかっていて、フレーム・レポジトリ268からそのフレームを選定するよう画像記憶コントローラを指令する。選定されると、画像データは画像生成器に再び、送信され、該生成器はそれをフォーマット化し、適切な信号を、該信号によってダイオード110を駆動する前方駆動回路74に、送信して、所望の画像を生成する。
【0060】
上記の例は、光ポインタ250からのような外部光信号を検出するディスプレイ130を説明したが、ディスプレイは外部の影を検出するのに同様に効果的である。例えば、ディスプレイ130は、操作者の指によってできた影を検出し得、それによってタッチ・スクリーンと同様の機能を有し得る。
【0061】
電子ホワイト・ボード
本明細書及び特許請求の範囲に記載されたようなディスプレイ130は、上記のポインティング・デバイスを検出するのと同様に動作する、電子表示画面の構成部分であり得る。この動作では、光ペン、又は他のデバイス、から生成された光がディスプレイ130のダイオード110によってセンスされる。ディスプレイ130によってセンスされた入力は直ちに、入力を読み取るポインタ位置インタフェース252に送信され、その入力は画像生成器260に送信される。画像生成器は表示する画像を判定し、該画像を前方駆動回路74に送信してディスプレイ130上に該画像を表示する。例えば、観察者が光ペンを用いてディスプレイ130上にINTEL(登録商標)の文字を「書き込んだ」場合、ディスプレイは、書き込まれたのと同様の文字表示を表示し得る。関連実施例においては、ディスプレイ130は光ペンの異なった「色」を、例えば、特定の周波数又は強度を特定のペンの色に割り当て、更に、該特定のセンスされたペンを画像生成器260に先行して記憶された色と関係付けることによって、センスし得る。その場合、該関連付けられた色はディスプレイ130上の、その特定の色がディスプレイに対する入力として用いられた領域において、表示される。
【0062】
同時に、ディスプレイの1つの部分において画像を放出し、ディスプレイの別の部分での入射エネルギを検出することが可能な、又は、検出を回避するのに十分速く放出モードとセンス・モードとの間を切り替えることが可能な、ディスプレイを生成することによって、非常に大きな利用可能性が存在する。実際には、そのようなディスプレイは、入力デバイスと、出力デバイスとの両方になり、観察者に画像を出力し得るが、観察者は更に、ディスプレイと入力として相互作用し得る。上記に開示したようなディスプレイによってセンスすることのできる如何なる形態のエネルギをもディスプレイに結合されたシステムに対する入力として用い得る。OLEDは、狭帯域の光だけしか放出することはできないが、それ以上に広い帯域の光をセンスすることができる。
【0063】
OLEDから構成されたディスプレイの例を上記に表したが、本発明の実施例は他のタイプのLED、例えば、シリコン又はガリウム砒素のような無機半導体材料から作られたもの、を対象とすることを妨げない。1つのモードで光子を放出し、第2モードでエネルギをセンスすることができる如何なるダイオードをも本発明の実施例に組み入れ得る。
【0064】
光子を放出してセンスすることが可能なディスプレイの実施形態は上記の開示に鑑みて実施するのは簡単なものである。通常、実施の詳細はシステム設計者に任される。ディスプレイにおけるダイオードを駆動するのに用いられる回路は如何なる方法においても、如何なる構成部分によっても、該構成部分がディスプレイにおいて必要な機能をダイオードに実行させることが可能な限り、実施し得る。経験的に判定するのが最良であり得る最適化の1つに、放出モードとセンス・モードとの間でダイオードのデューティ・サイクルを最適化することがある。ダイオードのデューティ・サイクルの大部分を放出モードに使わせることによって、良好な表示効率をもたらし得る一方、ダイオードのデューティ・サイクルの大部分をセンス・モードに使わせることによって良好なエネルギ検出効率をもたらし得る。
【0065】
したがって、ディスプレイについての特定の実施例を、エネルギ・センス・ダイオードを含めて表したが、このような特定の記述は本発明の範囲を限定するものとして解釈されることを企図するものでなく、むしろ該範囲は本特許請求の範囲及びその同等の範囲によって判定される。
【符号の説明】
【0066】
60 センス回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ・システムであって、
画像を表示することができるディスプレイ・パネルであって、前記ディスプレイ・パネルは複数のディスプレイ素子を備え、前記ディスプレイ素子は前記ディスプレイ・パネル上に画像を形成させることができ、前記ディスプレイ・パネルは複数のセンス素子を更に備え、前記センス素子は外部光を検出することができ、前記ディスプレイ素子及び前記センス素子は列及び行に配置されるディスプレイ・パネルと、
前記ディスプレイ素子を駆動させ、前記ディスプレイ・パネル上に画像を形成させることができる駆動回路と、
前記センス素子が位置する前記列及び行に応じて、前記センス素子によって受け取られた外部光の量に基づいて情報を出力することができるセンス回路と、
前記センス素子が位置する前記列及び行に応じて、前記センス回路からの出力を記憶することができるデータ記憶装置と
を備えるディスプレイ・システム。
【請求項2】
請求項1記載のディスプレイ・システムであって、前記センス回路は、センス素子によって検出された光の輝度に関係する値を前記データ記憶装置に送出することができ、前記データ記憶装置は前記値を記憶することができるディスプレイ・システム。
【請求項3】
請求項1記載のディスプレイ・システムであって、前記ディスプレイ・パネルは、光を検出する一方で画像を形成することができるディスプレイ・システム。
【請求項4】
請求項1記載のディスプレイ・システムであって、更に、前記データ記憶装置に結合された位置ロケータを含み、センス・モードにおいてセンス素子によって検出されたデータを比較するよう構成されたコンパレータを含み、前記位置ロケータは、比較されたデータに応じて、外部ポインティング・デバイスが指し示す位置を求めるよう構成されたディスプレイ・システム。
【請求項5】
請求項1記載のディスプレイ・システムであって、前記ディスプレイ・システムは、携帯コンピューティング装置において使用されるディスプレイ・システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−128431(P2012−128431A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−285556(P2011−285556)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2003−558823(P2003−558823)の分割
【原出願日】平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願人】(593096712)インテル コーポレイション (931)
【Fターム(参考)】