説明

エポキシをベースにした塗料

乾燥した固体の重量に関し少なくとも10%w/wの酸化亜鉛を含んで成るエポキシをベースにしたプライマー組成物が記載されている。金属基質、少なくとも1種のエポキシをベースにしたプライマー層、乾燥したプライマー被膜の中に少なくとも10%w/wの酸化亜鉛を含んで成るプライマー層、および該プライマー層に接着した少なくとも一つのトップコートを含んで成る被覆された金属基質も記載されている。また、金属基質を被覆する方法も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【研究分野】
【0001】
本発明はエポキシをベースにした新規塗料、例えばプライマー(primer)、ビルド塗料(build−coat)、および中塗り塗料(intermediate coating)に関する。また本発明はエポキシ・ベースの新規塗料の使用並びに該エポキシ・ベースの新規塗料を金属基質に被覆する方法にも及んでいる。
【0002】
エポキシ塗料、例えばポリアミド、ポリアミン、またはポリアミド付加物と反応させたビスフェノールAの芳香族ジグリシジルエーテル(DGEBA)をベースにしたエポキシ塗料(該ポリアミド付加物はまたDGEBAとポリアミンまたはポリアミドとの反応生成物をベースにしている)、或いは変性されたDGEBA(例えば脂肪酸で変性されたDGEBA)をベースにしたエポキシ塗料は、典型的には保護塗装膜および船舶用の塗装膜に使用されている。このような塗料は金属基質に対し強い接着性をもち、また良好な耐腐食性並びに或る種の化学薬品に対する抵抗性をもっている。
【0003】
不幸にしてDGEBAをベースにしたエポキシ塗料は、日光に露出した際の紫外線を原因とした塗膜の劣化に対して抵抗性が低い。紫外線による塗膜の劣化のために、特に上塗りを行う前に塗膜が長時間日光に露出される場合、このような塗膜の上塗りを行う可能性が制限される。この問題に対して提案された解決法は、日光に露出する期間が長引いた後でも現実的に十分な上塗りが行えるように、或る種の脂肪酸でDGEBAを変性する方法である。
【0004】
この技術は、船舶のセクター(sector)を含む保護用の塗装の用途に使用されてきた。特にこの技術は、脂肪酸以外のもので変性したDGEBAのプライマーおよび中塗り塗料の上におけるコールタールをベースにしたエポキシ・プライマーのトップコートとして使用されてきた。このようなトップコートは、特に船舶の上側の層(即ち荷物を積載しない場合の吃水線の上方の船体の部分の層)に対して特定の用途が見出されてきた。何故なら上塗りを行う前に使用される疎水性をもった撥水性プライマーに対するトップコートが得られるからである。
【0005】
しかし、このようなコールタールをベースにしたエポキシ塗料は短時間紫外線に露出する場合には許容されるが、ブロックの段階での造船工程に見られるような非常に長期間紫外線に露出する場合には上塗り塗装の適合性を維持することができなかった。船全部を一つのセクターとしてつくり、下塗りをした後に上塗りを行う伝統的な造船法とは異なり、ブロック段階式造船法は船をセクターに分けてつくる方法である。製造後セクターには下塗りが行われるが、次のセクターを熔接し縁の処理が行われるまでは上塗り塗装は行われない。従って、ブロックの段階でつくられたセクターは、ブロック段階の後でこのセクターを熔接し上塗り塗装が行われるまでに、かなり長期間の間日光の紫外線に露出される可能性がある。下にあるコールタールをベースにしたプライマーの塗膜がこのように長期間の間紫外線に露出された後には、被覆したトップコートの乾燥状態における接着性は満足すべき程度であっても、湿った条件下においてはプライマーの塗膜からトップコートが剥離する可能性がある。
【0006】
さらに、コールタールをベースにしたエポキシ塗料は、船舶の塗装において現代的な高い光沢をもった塗膜に見られるような満足すべきレベルの光沢をもっていない。そのため、コールタールをベースにしたエポキシの代りに、脂肪族イソシアネートを使用した高度の耐久性をもつ二成分ポリウレタン塗装が行われて来た。
【0007】
また、エポキシをベースにしたプライマーの塗膜が紫外線に露出されることに伴って生じる剥離の問題のために、トップコートを塗装する前に上部にあるエポキシのプライマーに対し高価なアルカリ洗浄を行うかおよび/またはこれを機械的に研磨する必要が生じる。別法として、ブロックの段階で紫外線抵抗性をもった上部層を被覆することができる。このような紫外線抵抗性をもった層は、典型的には上記のようなポリウレタン被覆層である。ブロックの段階でこの紫外線抵抗性の層を上部のプライマー塗膜として被覆することは、湿った条件で上部のプライマーの塗膜から最後のトップコートが剥離することを防ぐことが目的である。しかし、紫外線抵抗性をもったポリウレタン層はエポキシをベースにしたプライマーに比べ耐腐食性が悪いので、上塗り塗装を行う前に単一のポリウレタンのプライマー層を金属基質に被覆することは許容されない。これはちょうど、ブロック段階において単一のエポキシ・プライマー層を被覆した後に船体を組み立てた段階で上塗り塗装を行うことが許容されないのと全く同じである。そのため少なくとも三つの層(エポキシ・プライマー、紫外線抵抗性をもったポリウレタンの中塗り塗膜層、およびトップコート)からなる効率の悪い系が使用されている。
【本発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、上記の一つまたはそれ以上の問題を解決することである。
【0009】
本発明に従えば、特許請求の範囲に記載されたようなエポキシをベースにしたプライマー組成物、塗装された金属基質、酸化亜鉛の使用、および金属基質を塗装する方法が提供される。
【0010】
疑問を避けるために述べれば、本明細書においては特記しない限り「エポキシをベースにした(エポキシ・ベースの)プライマー組成物」と言う言葉は硬化した塗膜を示すものとする。また、プライマーという言葉は、ビルド塗料または中塗り塗料を含む上塗り塗装を行う前の他の塗料を含むものであると考えるべきである。
【0011】
本発明のプライマーを使用することにより、有利なことには船体のような金属の基質は、プライマーおよびトップコートを用い、この2種の塗料を被覆する時期の間隔、即ち紫外線への露出期間とは無関係に、またこれらの塗料が水に浸漬していた期間とは無関係に塗装することができる。本発明の特に有利な点は、トップコートを塗装する前に、高価な表面の洗浄および/または機械的研磨を行うことなく、或いは耐腐食性をもったプライマーの上に紫外線保護用の塗料を余分に被覆せずに、新しい船のブロックをつくる段階においてエポキシ・ベースのプライマー組成物を被覆し、船体をつくる段階においてポリウレタンまたはエポキシのトップコートを塗装する点である。従って本発明は水に露出した際またはその後で中塗り塗料の剥離を防ぐのに特に有用である。
【0012】
適当なエポキシ樹脂の例は、パラフィン系炭化水素鎖(例えばブタンジオールから誘導されるジエポキシド)またはポリエステル鎖、例えばα,ω−ジエポキシポリプロピレングリコールの両端にエポキシド基を取り付けることによって製造し得る樹脂である。時々使用されるジエポキシ樹脂には、これだけには限定されないが、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキサンモノカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−2,4−ジオキサスピロ−[5.5]ウンデカン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)アジペート、およびレゾルシンジグリシジルエーテルが含まれる。使用される他のエポキシ樹脂は1分子当たり3個以上のエポキシド官能基を含むことができ、例えばエポキシド化された大豆油、ノボラック型のフェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、p−アミノフェノールトリグリシジルエーテル、または1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテルがある。他の種類のエポキシ樹脂にはエピハロヒドリン(例えばエピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリン)をアルカリの存在下においてポリフェノールと反応させることによって得られるエポキシポリエーテルが含まれる。適当なポリフェノールにはレゾルシン、カテコール、ヒドロキノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、即ちビスフェノールA;ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン;4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン;ビス(2−ヒドロキシナフェニル)メタン;および1,5−ヒドロキシナフタレンが含まれる。極めて普通のポリエポキシドの1種はポリフェノールのポリグリシジルエーテル、例えばビスフェノールAである。エポキシ樹脂の他の種類はビスフェノールAをベースにした水素化されたエポキシ樹脂、例えばShell社性のEponex 1510から成っている。
【0013】
エポキシ樹脂の他の種類は多価アルコールのポリグリシジルエーテルである。これらの化合物はエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1.2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−2,2−プロパンのような多価アルコールからつくることができる。適当なエポキシド化合物の詳細なリストはA.M.Paquin著のハンドブック、「Epoxidverbindungen und Harze(エポキシド化合物および樹脂)」、Springer Verlag、ドイツ、Berlin、1958年発行、第IV章、および H.LeeおよびK.Neville著、「Handbook of Epoxy Resins」、 MC Graw Hill Book Company,米国、New York、1982年再発行;並びにC.A.May著、「Epoxy Resins−Chemistry and Technology、Marcel Dekker Inc.,米国、New YorkおよびBasle、1988年発行の中に見出すことができる。典型的にはエポキシ樹脂の分子量(Mw)は300〜4000である。
【0014】
好ましくは本発明は、エポキシ樹脂がビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)であるエポキシ・ベースのプライマー組成物に関する。
【0015】
該エポキシ・ベースのプライマー組成物はビスフェノールAの芳香族ジグリシジルエーテル(DGEBA)をベースにしている。
【0016】
適当なエポキシ樹脂の硬化剤にはポリアミンおよびポリアミドが含まれる。ポリアミン化合物はエポキシ樹脂に対する硬化剤として使用できる任意のアミン化合物であることができる。適当なアミンには脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、芳香脂肪族アミン、一塩基酸または多塩基酸をベースにしたイミダゾリン基を含むポリアミノアミド、並びにこれらの付加物が含まれる。これらの化合物は当業界における一般的状況の一部であり、特にLee & Neville著、「Handbook of Epoxy Resins」、MC Graw Hill Book Company、1987年発行、6−1ないし10−19章に記載されている。
【0017】
有用なアミンには、少なくとも2個の1級アミノ基を含み、これがそれぞれ脂肪族炭素原子に結合しているという事実によって特徴付けられるポリアミンが含まれる。これはまたさらに2級または3級アミノ基を含んでいることができる。適当なポリアミンには、ポリアミノアミド(脂肪族ジアミンおよび脂肪族または芳香族のジカルボン酸からつくられる)、およびポリアミノアルキレン−ジアミンおよびポリオキシエチレン−ポリアミン、ポリオキシプロピレン−ポリアミン、並びに混合ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン−ポリアミン、またはアミン付加物、例えばアミン−エポキシ樹脂付加物が含まれる。該アミンは2〜40個の炭素原子を含んでいることができる。例えばアミンはアルキレン基の炭素数が2〜4のポリオキシアルキレン−ポリアミンおよびポリイミノアルキレン−ポリアミンであり、数平均重合度は2〜100であることができる。アミンの他の例は直鎖の、分岐したまたは環式の炭素数2〜40の脂肪族1級ジアミノアルカンであることができる。これに加えて、該アミンは少なくとも2個の1級アミノ基をもち、その各々が脂肪族炭素原子に結合している芳香脂肪族アミンであることができる。硬化組成物(即ちエポキシ樹脂と混合する前の硬化剤および添加物)はこれらのアミンを5〜80重量%の範囲、例えば10〜70重量%の量で含んでいることができる。適当なポリアミンの例には次のものが含まれる:1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、および高級同族体、並びに2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,3−ジアミノペンタン、2,2,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、および2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、並びにそれらの工業的混合物、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、ビス(4−アミノシクロヘキサン)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、3−アザペンタン−1,5−ジアミン、4−アザペンタン−1,7−ジアミン、3,6−ジアザオクタン−1,8−ジアミン、ベンジロキシプロピルアミンプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ−[5.2.1.02,6]デカン、3−メチル−3−アザペンタン−1,5−ジアミン、3,6−ジオキサオクタン−l,8−ジアミン、3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、4−アミノメチル−1,8−ジアミノオクタン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ジアミノペンタン、3−(アミノメチル)ベンジルアミン(MXDA),5−(アミノメチル)ビシクロ[[2.2.1]ヘプト−2−イル]メチルアミン(NBDA),プロピルアミノイミダゾリン(Versamid 140)、並びにジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA,これは数種のポリアミンの混合物)、 ペンタエチレンテトラミン、ジメチルジプロピレントリアミン、ジメチルアミノプロピル−アミノプロピルアミン、(DMAPAPA)、N−2(アミノエチル)ピペラジン(N−AEP)、N−(3−アミノプロピル)ピペラジン、ノルボルナンジアミン、エピリンク(epilink)MX、イソフォロンジアミン(IPD)、ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン(Laromin C260)、テトラメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、ビスアミノメチル−ジシクロペンタジエン(トリシクロデシルジアミン、TCD)、ジアミノシクロヘキサン、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)等。適当なポリオキシアルキレンポリアミンは例えばポリオキシプロピレントリアミン(Jeffamine T403)およびポリオキシプロピレンジアミン(Jeffamine D230)等のようにJeffamineの商品名で得ることができ、また適当なポリイミノアルキレンポリアミンはPolyiminの商品名で入手できる。いくつかのアミンの混合物も可能である。
【0018】
1級脂肪族モノアミンもまた硬化組成物に加えることができる。適当なモノアミンには例えば飽和アルキル基の炭素数が6〜22の分岐しない1−アミノアルカンが含まれる。この種の高級な代表的な化合物は脂肪アミンとも呼ばれている。本発明を限定しないその例にはラウリルアミン、ステアリルアミン、パルミチルアミンおよびビフェニルアミンが含まれる。しかし分岐した炭素鎖を有するモノアミン、例えば2−エチルヘキサン−1−アミンまたは3,5,5−トリメチルヘキサン−1−アミン、アミノ−2−ブタン、メトキシプロピルアミン、イソプロポキシプロピルアミンも適している。これらは個別的にまたは混合物として、特に0.1〜10%、例えば1〜5%の範囲で使用することができる。
【0019】
エポキシ樹脂の硬化剤の量は選ばれた硬化剤の種類およびエポキシ樹脂の種類に依存する。典型的には、エポキシ樹脂の分子量が高いほど硬化剤の必要量は少なくなる。当業界の専門家は、エポキシ樹脂中のエポキシ当量および硬化剤中の活性水素当量を考慮することにより必要な硬化剤の量を容易に見出だすことができる。
【0020】
適切な場合、本発明の硬化組成物または予備硬化したエポキシ組成物はこの他に不活性な希釈剤を含んで成っていることができる。適当な希釈剤の中には、炭素数が4〜20の脂肪族の直鎖の、分岐したまたは環式のエーテル、および炭素数が7〜20の混合脂肪芳香族のエーテル、例えばジベンジルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、またはメトキシベンゼン;炭素数が4〜20の脂肪族の直鎖の、分岐したまたは環式の、或いは混合脂肪芳香族のケトン、例えばブタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、またはアセトフェノン;脂肪族の直鎖の、分岐した、または環式の、或いは炭素数が4〜20の混合芳香脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、2−プロパノール、イソブタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、メトキシプロパノールまたはフルフリルアルコール;脂肪族の直鎖の、分岐した、または環式の、或いは混合芳香脂肪族エステル、例えば酢酸メトキシプロピルまたはDBE(Dupont社製の二塩基酸エステル、アジピン酸、琥珀酸およびグルタル酸のジメチルエステル混合物);脂肪族の直鎖の、分岐した、または環式の、或いは混合芳香脂肪族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、ヘプタン、および沸点が常圧で100℃より高い脂肪族または芳香族の炭化水素、並びに低粘度のクマロン−インデン樹脂またはキシレン−フォルムアルデヒド樹脂が含まれる。1個のフェニル基を有する脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、1−フェノキシプロパン−2,3−ジオール、3−フェニル−1−プロパノール、2−フェノキシ−1−エタノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、2−フェノキシ−1−プロパノール、2−フェノキシエタノール、1−フェニル−1−エタノールまたは2−フェニル−1−プロパノールが好適である。希釈剤は個別的にまたは混合物として使用でき、特に硬化組成物の1〜35重量%、例えば5〜25重量%、特に例えば10〜30重量%の範囲の量で使用することができる。
【0021】
また予備硬化したエポキシ組成物または硬化剤組成物は用途に応じ、助剤または添加物、例えば溶媒、着色剤、鉱油、充填剤、エラストマー、酸化防止剤、安定剤、泡消し剤、伸展剤、可塑剤、触媒、顔料、顔料ペースト、補強材、流動制御剤、粘稠化剤、燃焼遅延剤、他の硬化剤および他の硬化可能な化合物を含んでいることができる。
【0022】
本発明の組成物の硬化は典型的には非常に迅速に進行し、一般に−10℃〜+50℃、特に0℃〜40℃、さらに特定的には3℃〜20℃の温度で起こることができる。
【0023】
しかし、エポキシ被覆材料の硬化は、アミンまたはるアミドとエポキシ樹脂のオキシラン環との付加反応の後で起こる。従って被覆材料中に含まれるエポキシ基に対するアミン/アミド化合物中の活性水素の当量比(即ち活性水素対エポキシ基の比)は好ましくは1:0.5〜1:1.5である。
【0024】
他の成分
本発明に使用される溶媒はエポキシ樹脂および硬化剤を溶解し得る溶媒である。その例には炭化水素、例えばトルエンまたはキシレン、エーテル、例えばジエチルエーテル、塩素化炭化水素、例えばジクロロメタンまたはテトラクロロメタン、アルコール、例えばイソプロピルアルコール、ケトン、例えばメチルエチルケトン、エステル、例えば酢酸エチル等が含まれる。溶媒の量は用途に依存するが、典型的にはエポキシ樹脂および硬化剤に対し1:5〜10:1の範囲の割合である。
【0025】
特定の顔料は、一般に耐腐食性被覆材料に含まれるものである。種々の錆止め用顔料を使用することができる。伸展剤の例には一般に無機性の充填剤、例えば酸化チタンおよび炭酸カルシウムが含まれる、顔料の例には亜鉛粉末(Zn)、燐酸亜鉛、アルミニウム粉末(Al)または亜鉛華(ZnO)が含まれる。
【0026】
使用できる他の顔料には雲母状の酸化鉄(MIO)およびガラス細片がある。エポキシ樹脂に対する触媒は3級アミンであることができる。フェノールも硬化触媒として使用することができる。
【0027】
添加物の例には沈下防止(anti−sagging)剤および沈降防止剤、浮遊防止剤/溢流防止剤、発泡防止剤およびポッピング防止剤(anti−popping agent)、平滑化剤、および艶消し剤が含まれる。沈下防止剤および沈降防止剤の一例は脂肪族のビス−アミドのチキソトロピー剤である。浮遊防止剤/溢流防止剤の例は脂肪族の多価カルボン酸にシリコーンを加えたものである。発泡防止剤/ポッピング防止剤の例は特殊なビニル重合体である(このような薬剤はKusumoto Chemicals,Ltdから市販されており、それぞれDisparlon 6900−20X、Disparlon 2100およびDisparlon 1950が含まれる)。
【0028】
本発明のエポキシをベースにしたプライマー組成物は、エポキシ樹脂をベースにした通常の塗装材料と同様な方法でつくることができる。即ち、硬化剤以外のすべての成分をエポキシ樹脂と混合して塗装溶液をつくり;硬化剤組成物だけ、またはこれを溶媒等で希釈したものを硬化剤組成物として使用し;塗装溶液および硬化剤組成物を使用直前に混合する。換言すれば、本発明のエポキシ塗装材料組成物はいわゆる2−パック塗装材料としてつくられている。
【0029】
上記のように、2−パック塗装系を適用する場合、予備硬化させたエポキシ樹脂をベースにした組成物と硬化剤組成物とを塗装を行う直前に混合する。塗料の被覆は通常の被覆法、例えば刷毛塗り、ローラ塗り、または噴霧によって行うことができる。塗料の被覆は、塗装溶液と硬化剤が混合された後の使用可能時間内において行われる。使用可能時間は一般に30分〜8時間であり、溶媒型塗装材料の場合には3〜8時間である。乾燥は一般に通常の温度において行われ、乾燥時間は一般に8〜24時間である。
【0030】
本発明の耐腐食性および紫外線抵抗性をもった塗料を被覆する方法は、塗装を行う物体の上に少なくとも一つのプライマー層をつくった後にトップコートをつくる方法である。この方法の大きな特徴は、上記の本発明のエポキシ・ベースのプライマー組成物を使用してプライマー層の最も上側の表面をつくることである。
【0031】
塗装を行う物体の表面に錆止め塗装、プライマー塗装等を行うことができることに注目されたい。本発明の耐腐食性および紫外線抵抗性をもった塗装を行う方法では、上記の本発明のエポキシ・ベースのプライマー組成物を被覆することによりプライマー層の少なくとも最も上側の塗膜をつくる。このエポキシ・ベースのプライマー組成物を被覆することによってつくられる塗装フィルムの厚さは意図する用途などに従って変化するが、乾燥したフィルムに関し典型的には30〜800μm、さらに典型的には30〜400μm、最も典型的には50〜200μmである。上記のように、乾燥は一般に通常の温度で行い、乾燥時間は8〜24時間である。
【0032】
プライマーは多重層として被覆することができる。従って本発明のエポキシ組成物を複数回に亙り被覆して多重層が生じるようにすることによりプライマー層に積層構造を与えることもできる。このような場合毎回被覆する塗料の量に特別の制限はないが、一般に上記の乾燥したフィルムの厚さが1層当たり10〜500μmになるように塗装材料を被覆する。
【0033】
耐腐食性の塗料を被覆した後に典型的に使用されるトップコートは、上記の方法でつくられた最も上側のプライマー層の上に存在するトップコートとして使用することができる。例えばプライマー層として使用される塗装材料の上で従来のトップコートの材料を使用することができる。トップコートの塗装材料の特定の例には油をベースにした塗料、長鎖の油のフタル酸樹脂、シリコーン・アルキッド樹脂、フェノール樹脂、塩素化されたゴム樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、タール・エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、およびシリコーンで変性された樹脂が含まれる。生物の付着を阻止するアクリル樹脂またはビニル樹脂の「汚れ止め塗料(antifouling coating)」を機能性の塗装材料として使用することができる。このような塗装材料の中で、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、およびアクリル樹脂が特に有利である。トップコートは熔融させないこと、即ち例えば熱をかけて粉末塗装により被覆を行わないことが好適である。
【0034】
疑問を避けるために述べれば、本明細書においては「トップコート、上塗り塗装(overcoat)等」の言葉は、最も上側のエポキシをベースにしたプライマー組成物の塗膜の上に直接(即ち中塗り層を用いずに)塗装された塗膜を意味し、特記しない限り、上部のプライマー塗膜またはビルド塗膜を意味するものではない。
【0035】
トップコートの乾燥したフィルムの厚さは典型的には1層当たり30〜800μm、もっと典型的には20〜250μm、最も典型的には50〜200μmである。乾燥は一般に通常の温度において行われ、乾燥時間は8〜24時間である。プライマー層の場合と同様に、トップコートもまた多重層として被覆することができる。
【0036】
本発明は、最も上にあるプライマー層をつくった時期とトップコートを被覆する時期との間の間隔を長くすることができる。詳細な理由は明らかになっていないが、ZnOを高濃度で添加すると、上塗り塗装を行う間隔を長くした場合でも、最も上側のプライマー層と隣接したトップコートの層との界面に対する接着性が改善できることは明白である。
【0037】
本発明のエポキシ塗装材料組成物は、耐腐食性および紫外線抵抗性をもった塗装を行う際にプライマー層として使用すると、トップコートの層に対し優れた接着性を与える。特に、プライマー層をつくってからトップコートを塗装するまでの時間間隔を長くすることができるから、従来法に比べトップコートの塗装に大きな自由度が得られる。従って本発明は船のような大きな構造物に耐腐食性塗料を被覆するのに特に有用である。
【0038】
本発明の適当なエポキシ・ベースのトップコートは、上記に詳細に説明したエポキシ樹脂のプライマー組成物に、例えば着色顔料および光沢添加物のような当業界の専門家に公知の適当なトップコート添加物を加えたものをベースにすることができる。
【0039】
ポリウレタンをベースにしたトップコート
ポリウレタン樹脂をベースにした適当なトップコートは「Protective Coatings Fundamentals of Chemistry and Composition」、Hare、米国、Pittsburgh、1994年発行の16章に記載されている。この文献は引用によりその内容が本明細書に包含される。
【0040】
本発明のプライマーと組み合わせて使用できるポリウレタンのトップコートは、当業界の専門家には公知の適当なポリオールとイソシアネートとの組み合わせから誘導される典型的には2−パック方式で硬化させるタイプのポリウレタン塗装組成物である。
【0041】
ポリオール
トップコート組成物に使用するのに適したポリオールは分子中に少なくとも2個のヒドロキシル基を有する多価ヒドロキシル化合物であり、これには例えば飽和または不飽和のポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、飽和または不飽和の油変性または脂肪酸変性アルキッドポリオール、アミノアルキッドポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリレートポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、フッ素含有ポリオール、飽和または不飽和のポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン樹脂、飽和または不飽和の油変性または脂肪酸変性アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、セルロースアセテートブチレート、およびフッ素含有樹脂が含まれる。
【0042】
特に好適なポリオールは飽和または不飽和のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびアクリルポリオールである。さらに好適なポリオールはアクリレートポリオールである。アクリレートポリオールに限定を加えるわけではないが、好適なものはポリイソシアネートに対する反応性をもつ任意のアクリレートポリオールであり、その例としてはヒドロキシル基を含む不飽和単量体、酸基を含む不飽和単量体、および他の単量体から選ばれる不飽和単量体の混合物を重合させて得られる化合物が含まれる。適当なアクリレートポリオールはヒドロキシC1〜20アルキル(C0〜8alk)アクリレートである。
【0043】
アクリレートポリオールの例には、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジアクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレートが含まれる。他のアクリレートポリオールにはN−メチロール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、およびポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが含まれる。上記のように、アクリレートポリオールは典型的には適当な不飽和の共重合単量体、例えばC1〜6アルキル(C0〜8alk)アクリレート、およびその酸等価物、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、アリールアルコール、ビニルアルコールのエステル型の単量体、例えば酢酸およびプロピオン酸とビニルアルコールから得られるようなカルボン酸のエステル、不飽和炭化水素単量体、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ブタジエン、およびイソプレン、ニトリル型の単量体、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル、およびアクリルアミド型の単量体、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、およびジアセトンアクリルアミドと共重合させる。
【0044】
適当なポリエーテルポリオールおよびその製造法は例えばEncyclopaedia of Polymer Science and Technology、第6巻,273頁以降、Kirk−Othmer(第3版),第18巻、633〜645頁以降、またはUllmann(第4版),第19巻、31〜38頁に記載されている。
【0045】
イソシアネート
本発明に使用する場合、ポリオールを交叉結合させるのに使用できるポリイソシアネートは典型的な塗料のポリイソシアネートである。このポリイソシアネートは2個またはそれ以上のイソシアネート基を含む化合物である。塗料のポリイソシアネートは典型的にはビューレット、ウレタン、ウレチジノンおよび/またはイソシアネート基を含む、容易に入手できる単量体の即ち簡単なジイソシアネートのオリゴマー誘導体である。適当なイソシアネートは脂肪族、脂環式および芳香族のポリイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDD)、ビス(イソシアナートシクロヘキシル)メタン(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジイソシアナートジシクロヘキシルメタン、トリレン−2,4−ジイソシアネート、o−、m−およびp−キシリレンジイソシアネート;キャッピングされたポリイソシアネート、例えばポリCH−−、NH−−またはOH−酸性化合物でキャッピングされたポリイソシアネート;また例えばビューレット、アロファネート、ウレタンまたはイソシアネート基を含むポリイソシアネートを含んでいる。好適なイソシアネートは脂肪族イソシアネート、例えばHDIおよびIPDIである。
【0046】
添加物
適切な場合使用されるポリウレタン・トップコートの添加物は、混合物に、或いは混合する前の個々の成分に加えることができる。
【0047】
ポリウレタン・トップコートに対する適当な溶媒には、アセテート、ケトン、および非官能性の基を含む芳香族化合物、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸メトキシプロピル、トルエン、キシレン、ホワイトスピリット、酢酸エトキシプロピル、プロピオン酸エトキシエチル、酢酸メトキシブチル、ブチルグリコールアセテート、溶媒ナフサ、およびこれらの溶媒の混合物が含まれる。これらの溶媒はトップコート組成物の重量に関し最高70重量%、好ましくは最高40重量%の量で使用される。
【0048】
必要に応じ使用される他の添加物は例えば可塑剤、例えば燐酸トリクレジル、フタル酸ジエステルまたはクロロパラフィン;顔料、例えば着色顔料、光沢顔料、および伸展剤の顔料、および充填剤、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、白亜、カーボンブラック;触媒、例えばN,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルフォリン、オクタン酸亜鉛、オクタン酸チタン(II)およびジブチル錫ジラウレート;平滑化剤;粘稠化剤;安定剤、例えば置換フェノールまたは有機官能基をもったシランである。接着促進剤および光安定剤、例えば特に米国特許第4,123,418号明細書、同第4,110,304号明細書、同第3,993,655号明細書および同第4,221,701号明細書記載のような立体障害をもったアミンも使用することができる。
【0049】
典型的には、本発明のトップコートまたは上塗り塗料はポリアミドをベースにした塗料ではない。疑問を防ぐために述べれば、ポリアミドをベースにした塗料という言葉はポリアミドで硬化させたエポキシ樹脂のようなポリアミドを含んではいるが、他の樹脂をベースにした塗装材料に拡張すべきではない。
【0050】
アルキッド樹脂をベースにしたトップコート
適当なアルキッド樹脂をベースにしたトップコートは「Protective Coatings Fundamentals of Chemistry and Composition」、Hare,米国、Pittsburgh,1994年発行の第12章に記載されている。この文献の内容は引用により本明細書に包含される。
【0051】
典型的にはアルキッド樹脂は多価のアルコールと多塩基酸との任意の適当な組み合わせを含んで成り、好ましくは変性油を含有し、このような変性油は典型的には長鎖の不飽和一塩基カルボン酸である。好ましくは変性油は乾性油であり、或いはひまし油またはココナツ油のような非乾性油の場合には、アルキッド樹脂は交叉結合したフィルムをつくるための適当なフォルムアルデヒド樹脂を含んでいることが好ましい。
【0052】
一般にアルキッド樹脂においては、多価アルコール、多塩基酸、変性油、他の変性成分および添加物はアルキッド樹脂の業界の専門家には公知の任意の適当な成分から選ぶことができる。このような成分の例は次の通りである。
【0053】
多価アルコールはエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、好ましくはグリセリン、トリメチロールプロパン、またはペンタエリスリトール、或いはこれらの混合物から選ぶことができ;多塩基酸は安息香酸、アビエチン酸、フタル酸無水物、イソフタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸およびトリメリチン酸無水物、好ましくはオルトフタル酸無水物、イソフタル酸およびテレフタル酸、最も好ましくはオルトフタル酸無水物、またはこれらの混合物から選ぶことができ;変性油は桐油、亜麻仁油、トール油、脱水したひまし油、サフラワー油、魚油および大豆油から選ぶことができ;他の変性成分または変性されたアルキッドは、乾燥を改善するためのロジン(アビエチン酸)、連鎖終結剤としての他の一塩基酸(例えば安息香酸)、可撓性を与えるための長鎖脂肪族二塩基酸(例えばアジピン酸およびアゼライン酸)、色および耐水性を改善するためのマレイン酸無水物(例えば多塩基酸含量の0.5〜10%の濃度で)、高酸価の生成物を得るため或いは水性のアルキッド生成物を得るための高官能性の酸(例えばトリメリチン酸およびピロメリチン酸)、非燃焼性塗料をつくるためのクロレンド酸無水物、接着性、耐腐食性および耐水性を改善するためのフェノール樹脂、乾燥を速くし、耐水性および耐アルカリ性を賦与し、色を改善するためのビニル変性アルキッド(例えばスチレン化したアルキッド、ビニル−トルエン化したアルキッド、およびアクリル変性アルキッド)、さらに随時耐油性を改善するためにアミノフォルムアルデヒド樹脂で変性されたもの、制御されたレベルのチキソトロピー性を導入するためのポリアミド変性アルキッド(例えば後でポリアミドを付加反応させるか、ポリアミドを樹脂中で処理したもの、いずれの場合にも随時他のチキソトロピー剤、例えばモンモリロナイトを含んでいる)、および高度の耐アルカリ性、耐摩耗性、および耐薬品性、低い毒性、および速い乾燥性を賦与するためのウラルキッド(uralkyd)(例えば若干の二塩基酸を15〜30%のジイソシアネート、例えばトルエンジイソシアネートで置換することにより得られたもの)から選ぶことができる。
【0054】
上記の変性されたアルキッドに加えて、これらのアルキッドは高い、中程度の、または低い固体分含量をもっていることができる。中程度のおよび低い固体分含量のアルキッドの場合には通常の乾燥剤を使用できるが、高い固体分含量の場合にはアルミニウム、ジルコニウム、バナジンおよびネオジムをベースにした反応性生成物および複素環式アミン、例えば1,10−フェナントラリンまたは2,2−ジピリジルが有利である。高固体分のアルキッドはまた共溶媒、例えば低級アルキルアルコールおよび低分子量のケトン、或いはブロッキング剤、例えば酢酸無水物およびクロロトリメチルシランを用いると有利である。
【0055】
さらに上記のアルキッドは、中和用のアミン、例えばアンモニア、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパノール−1、モルフォリン、ジエチルアミド、ジメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを用いることにより水性にすることができる。このような水性の系は加水分解に対して安定な乾燥剤、例えば1,10−フェナントラリンまたは2,2−ジピリジルを通常の乾燥剤および共溶媒と組み合せて含んでいることができる。水性の系における適当な共溶媒には、アルコール、例えばブタノール、オクタノール、およびジアセトンアルコール、グリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノブチルエーテルおよびジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびメチルエチルケトンおよびn−メチル−2−ピロリドンのような他の化合物が含まれる。
【0056】
エポキシエステルをベースにしたトップコート
アルキッドと同様なエポキシエステルをベースにしたトップコートも使用することができる。これらは上記のアルキッドと類似しているが、多塩基酸の存在は必須ではなく、典型的にはエポキシ・ベースの樹脂を脂肪酸油または(メタ)アクリル酸と反応させてエステル結合をつくる点が異なっている。適当な油は上記のアルキッドに対するものと同じである。エポキシエステルもまた上記のアルキッドと同様な方法で変性することができる。
【0057】
アクリル樹脂をベースにしたトップコート
適当なアクリル樹脂をベースにしたトップコートは「Protective Coatings Fundamentals of Chemistry and Composition」、Hare,米国、Pittsburgh,1994年発行の第8章に記載されている。
【0058】
アクリル樹脂をベースにした適当なトップコートには、水溶性のアクリル樹脂を含む熱可塑性アクリル樹脂;および硬化工程で交叉結合させ得る熱硬化性のアクリル樹脂から誘導されるものが含まれる。
【0059】
アクリル樹脂はアクリル酸C〜Cアルキル(C〜Calk)およびそれに対応する酸、またはこれらの官能化されたアクリレートの1種またはそれ以上から選ばれるアクリル単量体からつくることができる。共重合単量体は1種またはそれ以上の異なったアクリル酸C〜Cアルキル(C〜Calk)およびそれに対応する酸、またはこれらの官能化されたアクリレートから選ぶことができるか、或いはその代わりに異なったビニル共重合単量体、例えばスチレン、α−メチルスチレン、、ビニルアルコール、ビニルトルエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、エチレン、フマル酸ブチル、マレイン酸ブチル、酢酸ビニル等から選ぶことができる。
【0060】
適当な官能化されたアクリレートには、アルキル基が官能基、例えばエポキシ、ヒドロキシアルキルまたはアミノ基で置換されたもの、例えばメタクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、またはアクリルアミドが含まれる。或いはまたビニル炭素上にハロゲンまたはヒドロキシ基のような官能基を導入することにより、アクリル基を官能化することもできる。
【0061】
さらにまた。2個またはそれ以上のビニル基をもっているという意味においてアクリル単量体を多官能化することができる。その例にはジオールジアクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレートが含まれる。
【0062】
適当なアクリレートには、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸およびメタクリル酸が含まれる。
【0063】
アクリル重合体は、特に熱硬化性の重合体をつくる場合、末端または側鎖の(アルキル)アクリル酸、アクリルアミド、メチロール、ブトキシメチルアクリルアミド、アクリレートまたはヒドロキシル基のような有利の官能基を、他の試薬、例えばエポキシド、アミン、アミノプラスト、イソシアネート、フォルムアルデヒドまたは他のヒドロキシル、ブトキシメチルアクリルアミド、アクリレートまたは酸で官能化された重合鎖と反応させることにより、後で重合させて官能化することができる。このような後重合反応およびその条件は、硬化段階の前に或いはその一部として重合体の網状構造をもつ適当な交叉結合をつくるものとして当業界の専門家には公知である。
【0064】
これらのアクリル重合体は他のアクリル重合体または相容性をもった非アクリル重合体と配合して、適切な塗装特性をもった重合体配合物をつくることができる。
【0065】
すべてのトップコートに対する顔料、溶媒、および添加物はエポキシ塗料について上記に挙げたものと同じであり、いずれの場合も当業界においては公知である。
【0066】
随時、さらに他のトップコート層を被覆して多重層のトップコートをつくることができる。
【0067】
本発明のエポキシ・ベースのプライマー塗装組成物は、トップコートに対するプライマーの剥離防止性および/または接着性が改善されている。この点に関し「改善された」とは上塗り被覆を行う間隔が増加したこと、典型的には例えば50日より長い間塗装適合性をもっていることを意味する。
【0068】
典型的には、上塗りを行う間隔、即ち本発明の最も上側のプライマー層を被覆した時からトップコートを少なくとも最初に被覆するまでの間隔は、少なくとも10日、さらに典型的には30日よりも長く、最も典型的には45日よりも長い。典型的には上塗りの間隔は10〜500日、もっと典型的には20〜400日、最も典型的には30〜300日、特に60〜300日である。
【0069】
典型的には本発明の酸化亜鉛は高い純度をもっている。本発明の酸化亜鉛は一般に「直接法(アメリカ法)」または「間接法(フランス法)」のいずれかによって製造される。「直接法」は酸化物の鉱石または硫化物の濃縮物を処理するために開発されたが、現在ではこの方法は主要原料として亜鉛加工産業から得られる残渣を主に使用している。これらの残渣を精製し処理して、炉の中で炭素と混合し亜鉛の蒸気をつくる。次いで亜鉛のガスを燃焼室に導入し、ここで酸化して酸化亜鉛にする。「間接法」においては、酸化亜鉛は亜鉛金属からつくられ、亜鉛金属を予め蒸発させ、次いで燃焼室の中で酸化する。特級(SHG)の亜鉛金属、並びに再利用した亜鉛金属を原料として用いる。第3の製造方法は炭酸亜鉛または水酸化亜鉛を沈殿させる方法を含み、次いでこの沈澱を乾燥しカ焼して水および/または二酸化炭素を除去する。
【0070】
驚くべきことには、「間接法」を使用すると「直接法」で得られるZnOを使用した場合に比べ、ZnOは一般に高いレベルの剥離防止性を示す。従って本発明において上に塗った塗膜とプライマーとの剥離を防止するには「間接法」によって得られた酸化亜鉛を使用することが好ましい。
【0071】
典型的には、本発明の酸化亜鉛の純度は99.4%w/w(乾燥時)より、好ましくは99.5%w/w(乾燥時)より、さらに好ましくは99.6%w/w(乾燥時)より高い。
【0072】
エポキシ・ベースのプライマー組成物中の酸化亜鉛の濃度は典型的には10〜70%w/w(乾燥時)、もっと典型的には15〜50%w/w(乾燥時)、最も典型的には20〜50%w/w(乾燥時)、特に25〜35%w/w(乾燥時)である。
【0073】
有利なことには、本発明のZnOを含有したプライマー塗膜はアルカリまたは研磨法により処理しない方が好適である。
【0074】
本発明の組成物は、耐剥離性および耐腐食性をもっているために種々の工業的用途を見出だすことができる。本発明の硬化組成物に対する典型的な工業的用途には、例えば鋼板、鋳鉄、アルミニウムおよび非鉄金属、例えば真鍮、青銅および銅のような多くの種類の金属基質の上に塗装膜および/または中間的な塗膜をつくる用途が含まれる。特に、本発明の組成物は工業的製品、特に造船産業において造船用のブロックを含む船体を塗装するためのペイントおよび塗料として使用することができる。後者の場合には、ブロックは船体または他の構成機素、例えばバラストのタンクであることができる。
【0075】
本発明の組成物は例えば刷毛塗り、噴霧、浸漬等によって被覆することができる。
【0076】
下記の実施例および添付図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は本発明の或る種の態様および具体化例を例示することだけが目的であり、本発明を限定する意図はない。
【実施例】
【0077】
参照組成物および組成物1〜7は一般に下記の方法でつくられた:
− エポキシ・ベースの樹脂および大部分の溶媒を高速粉砕容器に装入する。
− 次に顔料、充填剤、ZnOおよび他の添加物を該容器に装入する。
− 次に、必要な細かさの粉砕物が得られるまで、粉砕を行うための高速溶解機の刃を作動させる。
− 次いでチキソトロピー剤を活性化するために、粉砕された材料に一定の最高温度をかける。
− 或る時間の間、しばしば15〜30分間、粉砕された材料をこの高温(チキソトロピー剤の種類に依存してしばしば60〜65℃)に保つ。
− 次に残りの溶媒、添加物および樹脂を加えて塗料の仕上げを行う。
【0078】
【表1】

【0079】
特定的に述べれば、組成物1は次のようにしてつくった:
Epikote 1001X75、Dowanol PM、尿素/フォルムアルデヒド樹脂、およびアルキル−フェノールを高速粉砕容器に装入した。次にBentone SD 2、タルク、シリカ粉末、アルミニウムペースト(65%)、赤色酸化鉄、酸化亜鉛(参照例1には存在しない)およびキシレンを容器に装入した。粉砕物の必要な細かさが得られるまで粉砕用の高速溶解機の刃を作動させた。次に粉砕された材料の温度を65℃にし、Nebothix C668およびA187エポキシシランを加えた。粉砕された材料をこの温度に25分間保った。
【0080】
このようにしてこのエポキシ組成物を塗装を行うまで貯蔵した。塗装の前に、ポリアミド115、キシレン、Dowanol PMおよびイソブチルアルコールを撹拌しながらエポキシ組成物に加え、硬化させた。
【0081】
残りの他の組成物および参照例に関する詳細な説明は一般にほぼ組成物1について説明した通りであるが、各成分の量は下記に示すように変化している。
【0082】
特性:
組成物1〜3および参照例1(a)、1(b)および1(c)は固体分含量が中程度のエポキシ/ポリアミド・プライマーであり、固体分容積は50%である。
【0083】
試験したZnO濃度は次の通りである:
− 湿潤ペイント: 最高25%(w/w)。
− 乾燥ペイント: 最高36%(w/w)。
− 乾燥ペイント中のZnOが24%(3)および12%(2)のさらに他の組成物を組成物1に従ってつくった。参照例1(a)、1(b)および1(c)はそれぞれ0%、2%、および5%のZnOを含んでいる。
【0084】
結果: 3ヶ月後、二成分のポリウレタンで24%および36%のZnO含量のものでは優れた内部塗膜の接着性が得られた。12%組成物もポジティブな結果を示した。他方参照例1(a)、1(b)および1(c)の塗料は試験された幾つかのトップコートに関し許容できないほど大きな剥離を示した。
【0085】
この試験で解析したトップコートは結果の表に示されている。
【0086】
【表2】

【0087】
特性:
組成物4〜6および参照例2は固体分含量が中程度のエポキシ/ポリアミド・プライマーであり、固体分容積は50%である。
【0088】
試験したZnO濃度は次の通りである:
− 湿潤ペイント: 最高27%(w/w)。
− 乾燥ペイント: 最高37%(w/w)。乾燥ペイント中のZnOが25%(5)および12.5%(6)のさらに他の組成物を組成物4に従ってつくった。
【0089】
3ヶ月後の結果: 25%および37%の含有量のものでは優れた内部塗膜の接着性が得られた。12%の組成物もポジティブな結果を示した。解析されたトップコートは結果の表に示されている。
【0090】
【表3】

【0091】
特性:
組成物7〜10および参照例3は中程度ないし高い固体分含量のエポキシ/ポリアミド・プライマーであり、固体分容積は63%である。
【0092】
試験したZnO濃度は次の通りである:
− 湿潤ペイント: 最高33%(w/w)。
− 乾燥ペイント: 最高41%(w/w)。 さらに乾燥固体分として10%、20%および30%を含む組成物8〜10を実施例7に従ってつくった。
【0093】
結果: 3ヶ月の上塗り塗装の間隔の後、30%および41%の含量のものでは優れた結果が得られた。20%および10%の組成物もポジティブな結果を示した。解析されたトップコートは結果の表に示されている。
【0094】
【表4】

【0095】
特性:
組成物11〜13および参照例4は高い固体分含量をもったエポキシ・プライマーであり、固体分容積は80%である。
【0096】
試験したZnO濃度の範囲は次の通りである:
− 湿潤ペイント: 最高29%(w/w)。
− 乾燥ペイント: 最高33%(w/w)。さらに乾燥固体として11%および22%を含む組成物12および13を実施例11に従ってつくった。
【0097】
3ヶ月後の結果: 33%の含有量のものは優れた結果を示し、22%のものは良好な結果を示し、11%のものは参照例よりもよい結果を示す。
【0098】
解析されたトップコートは結果の表に示されている。
【0099】
【表5】

【0100】
特性:
組成物14は溶媒を含まないエポキシ・プライマーであり、容積固体分含量100%である。
【0101】
試験したZnO濃度の範囲:
− 湿潤ペイント: 最高24%(w/w)。
− 乾燥ペイント: 最高24%(w/w)。さらに8%(w/w)および16%(w/w)の組成物15および16を実施例14に従ってつくった。
【0102】
3ヶ月後の結果: 24%の含有量のものに対して優れた結果が得られた。16%のものに対してもポジティブな結果が得られた。8%のものは標準(0%)のものと同じ性能を示した。
【0103】
解析されたトップコートは結果の表に示されている。
【0104】
【表6】

【0105】
特性:
組成物17および参照例6は中程度ないし高い固体分含量のエポキシ・ビルド塗料であり、固体分容積は68%である。
【0106】
試験したZnO濃度範囲:
− 湿潤ペイント: 最高27%(w/w)。
− 乾燥ペイント: 最高32%(w/w)。また10%および21%の組成物18および19を組成物17に従ってつくった。
【0107】
3ヶ月後の結果: 21%および32%のものに対して優れた結果が得られた。10%のものに対してもポジティブな結果が得られた。
【0108】
解析されたトップコートは結果の表に示されている。
【0109】
【表7】

【0110】
中程度の固体分含量のエポキシ、固体分容積=60%。
【0111】
− 湿潤ペイント: 26%(w/w)。
− 乾燥ペイント: 33.5%(w/w)。
【0112】
5ヶ月後の結果は結果の表に示されている。
【0113】
内部塗膜の接着性を決定する方法の説明:
− 風を吹き付けてきれいにした、断面Rz30〜60μの鋼Sa2.5のパネルにエポキシ・プライマーを被覆し、
− 室温において通常の排気条件で1〜3日間塗膜を乾燥し、
− プライマーを被覆したパネルを、地面に対し60°の角度をつけて南側に向けて戸外に露出し、
− 1、3、6、9および12ヶ月の間隔を置き、パネルを内側に向け、水で洗浄して埃を除去し、表面を2時間より長く乾燥し、
− 次に刷毛塗り、空気噴霧、または空気を使用しない噴霧法によりトップコートを40〜150μmの厚さに被覆し、
− 次いでトップコートを、20℃において通常7日間十分に硬化させ、
− 次いで乾燥した条件でナイフによるX−カット剥離法(ASTM D3359)により系の接着性をチェックし、
− 次に少なくとも2週間の間水の中にパネルを浸漬して湿潤時の接着性をチェックし、
− 水から取り出した直後に、ナイフ試験法によるX−カット剥離法(ASTM D3359)を用い接着性をチェックする。
− この方法は上記ASTM法と同じであるが、接着性の評点の順序は逆に並んでいる。このことは結果の表に対し下記のような記号が適用されることを意味している。
【0114】
0=剥離なし。塗膜の間への挿入は不可能。
1=剥離の痕跡あり。塗膜の間への挿入は非常に困難。
2=最低の剥離。塗膜の間への挿入は可能。
3=部分的な剥離。塗膜の間への挿入はかなり容易。
4=著しい剥離。塗膜の間への挿入は容易。
5=完全な剥離。トップコートの塗膜は自由なフィルムのように完全に除去できる。
【0115】
結果の表1、エポキシ組成物1〜3、赤褐色
組成物1〜3(赤褐色)および参照例1(a)、1(b)および1(c)に対する結果、上塗り(o/c)の間隔3ヶ月、乾燥(d)/湿潤(w)時の接着の評点。
【0116】
【表8】

【0117】
組成物1〜3(赤褐色)および参照例1(a)、1(b)および1(c)に対する結果、上塗りの間隔6ヶ月、乾燥(d)/湿潤(w)時の接着の評点。
【0118】
【表9】

【0119】
【表10】

【0120】
略号に対する説明:
Pri/Top − プライマー/トップコート
Dur 550,1800 − Sigmadurの範囲(ポリウレタン):550, 1800
Cover 456,515,630,650 − Sigmacoverの範囲 (エポキシ): 456,515,630,650
MG − MultiguardまたはSigmashield 420
TS − Tankshield CoatingまたはSigmaguard 440
BT − Sigmaguard BTまたはSigmaguard 425
TAF − Topacryl Finish(Ik)またはSigma Vikote 56
BTD − Sigmarine BTD(Ik)またはSigmamarine 48
Self − トップコートはプライマーと同じ塗装材料である。
Cover 350 − Sigmacover 350
800 − SigmaPrime 800
【0121】
上記のポリウレタンのトップコートはすべて脂肪族ポリイソシアネートで硬化させたアクリルポリオールである。
【0122】
エポキシのトップコートはポリアミドまたは硬化させたポリアミドであり、純粋なものおよび変性されたものを含み、中程度の固体分含量をもつものおよび溶媒を含まないものがある。
【0123】
すべてのSigma−製品はSigmaKalon B.v.から入手できる。
【0124】
エポキシ組成物4〜6、プライマー、黄色/緑色
結果の表2
プライマー 黄色/緑色に対する結果、上塗り間隔3ヶ月、乾燥/湿潤接着時の評点
【0125】
【表11】

【0126】
エポキシ組成物7〜10、プライマーX−3,灰色
結果の表3
プライマーX−3 灰色に対する結果、上塗り間隔3ヶ月、乾燥/湿潤時の接着評点
【0127】
【表12】

【0128】
エポキシ組成物11〜13、プライマーX−4,緑色
結果の表4
プライマーX−4 緑色に対する結果、上塗り間隔3ヶ月、乾燥/湿潤時の接着評点
【0129】
【表13】

【0130】
エポキシ組成物14〜16、プライマーX−5,灰色
結果の表5
プライマーX−5に対する結果、上塗り間隔3ヶ月
【0131】
【表14】

【0132】
エポキシ組成物17〜19、Sigma X,エポキシのビルド塗料
結果の表6
エポキシのビルド塗料 Xに対する結果、上塗り間隔3ヶ月、乾燥/湿潤時の接着評点
【0133】
【表15】

【0134】
エポキシ組成物20、X−2、灰色
結果の表7
プライマーX−2、灰色に対する結果、上塗り間隔5ヶ月、乾燥/湿潤時の接着評点
【0135】
【表16】

【0136】
継続試験
エポキシ組成物1〜19の継続試験を18ヶ月に亙って続けたが、湿潤時の結果を下記の結果の表に示す。トップコートは上記のものと同様であるか、または表の終りに補足説明として記載されている。この結果は、酸化亜鉛を含まない参照の組成物に比べ、本発明の組成物では上塗りの間隔が延びることを明らかに示している。
【0137】
【表17】

【0138】
【表18】

【0139】
【表19】

【0140】
【表20】

【0141】
【表21】

【0142】
【表22】

【0143】
【表23】

【0144】
【表24】

【0145】
【表25】

【0146】
【表26】

【0147】
【表27】

【0148】
【表28】

【0149】
【表29】

【0150】
【表30】

【0151】
【表31】

【0152】
【表32】

【0153】
【表33】

【0154】
【表34】

【0155】
【表35】

【0156】
【表36】

【0157】
【表37】

【0158】
【表38】

【0159】
【表39】

【0160】
【表40】

【0161】
【表41】

【0162】
直接/間接型の酸化亜鉛
酸化亜鉛のタイプは重要であることが見出だされた。直接型(アメリカ法)の酸化亜鉛を間接型(フランス法)の酸化亜鉛と比較すると、間接型の方が遥かに効果的であることが観察された。製造法に比べると、比表面積はそれほど効果をもっていない。効果に関して次のような評価を行った。
【0163】
【表42】

【0164】
組成物1(乾燥フィルム中に36%のZnO)で得られた結果を下記表14に示す。この表においては、接着の評点を加え、失敗した%で表した。例えば三つのトップコートでは、最大の悪い評点は30%である。従って乾燥時および湿潤時の接着の評点の和が9の場合、下記の表に与えられた評点は30%である。従ってこの%の値が大きいほど、性能は悪い。
【0165】
【表43】

【0166】
アメリカ法による酸化亜鉛のEPMおよびXX−503R級はフランス法による種類の酸化亜鉛に比べ遥かに失敗率が大きかった。ナノメートル程度の大きさのZinvisibleはKadox 930またはRedsealに比べ特別な性能を示さない。
【0167】
本出願に関連して本明細書と同時期に或いは以前に出版され、本明細書を検討するために公的に公開されているすべての論文および文献に注目されたい。これらの文献は引用により本明細書に包含される。
【0168】
本明細書に記載されたすべての特徴(添付特許請求の範囲、要約書および添付図面を含む)、および/または本明細書に記載された任意の方法および工程のすべての段階は、このような特徴および/または段階の少なくともいくつかが相互に排他的である場合を除き、組み合わせて任意の組み合わせをつくることができる。
【0169】
本明細書に記載されたそれぞれの特徴(添付特許請求の範囲、要約書および添付図面を含む)は、特記しない限り、同一、同等または同様な目的に役立つ代替的な特徴で置き換えることができる。即ち、特記しない限り、記載された各特徴は包括的な一連の同等なまたは同様な特徴の一例に過ぎない。
【0170】
本発明は上記の具体化例の詳細な点に限定されるものではない。本発明は本明細書に記載されたそれぞれの特徴(添付特許請求の範囲、要約書および添付図面を含む)の任意の新規な一つおよび任意の新規な組み合わせに拡張され、或いは上記の方法または工程の段階の任意の新規な一つおよび任意の新規な組み合わせに拡張されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥した固体の重量に関し酸化亜鉛を少なくとも10%w/wの割合で含んで成ることを特徴とするエポキシをベースにしたプライマー組成物。
【請求項2】
金属の基質、乾燥したプライマー塗膜の中に少なくとも10%w/wの酸化亜鉛を含んで成る少なくとも一つのエポキシをベースにしたプライマー層、および該プライマー層に接着した少なくとも一つのトップコートを含んで成ることを特徴とする被覆された金属基質。
【請求項3】
該トップコートはポリウレタン、エポキシ、アルキッドまたはアクリル樹脂をベースにしたトップコートであることを特徴とする請求項2記載の被覆された金属基質。
【請求項4】
− (a)随時予めプライマーが被覆された金属基質に、乾燥した固体の重量に関し少なくとも10%w/wの酸化亜鉛を含んで成るエポキシをベースにしたプライマーの塗料を被覆し、
− (b)プライマーを乾燥させ、
− (c)ポリウレタン、エポキシ、アクリル、またはアルキッド樹脂をベースにしたトップコートを該プライマー層に直接被覆する段階を含んで成ることを特徴とする金属基質を被覆する方法。
【請求項5】
該プライマー層はプライマーが被覆されていない金属基質に直接被覆され、従ってこの際二つの塗膜だけが、即ちプライマーの塗膜とトップコートだけが金属基質に被覆されていることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
好ましくは第1のプライマーの塗膜および第2のトップコートから成り、ここで第1の塗膜は乾燥した固体の重量に関し少なくとも10%w/wの酸化亜鉛を含んで成るエポキシをベースにしたプライマー組成物であり、該トップコートは
(a)エポキシをベースにしたトップコート、
(b)ポリウレタンをベースにしたトップコート、
(c)アルキッド樹脂をベースにしたトップコート、または
(d)アクリル樹脂をベースにしたトップコートのいずれかであることを特徴とする例えば船体のような金属基質に対する二層塗装系。
【請求項7】
プライマーを乾燥させる段階の後で露出を行うために、典型的には戸外において露出を行うために、トップコートを被覆する前において10〜500日間の時間を経過させることを特徴とする請求項4または5記載の方法。
【請求項8】
乾燥した固体の重量に関し少なくとも10%w/wの酸化亜鉛を含んで成り、該酸化亜鉛は間接法によって製造されたものであることを特徴とするエポキシをベースにしたプライマー組成物。
【請求項9】
エポキシをベースにしたプライマー組成物の中におけるプライマーに対するトップコートの接着促進剤としての酸化亜鉛の使用。
【請求項10】
トップコートに対するプライマーの剥離防止性が改善されたプライマーとしての請求項1または8記載のエポキシをベースにしたプライマー組成物の使用。
【請求項11】
エポキシをベースにしたプライマー組成物の中におけるプライマーに対するトップコートの剥離防止剤としての酸化亜鉛の使用。
【請求項12】
トップコートに対するプライマーの接着性が改善されたプライマーとしての請求項1または8記載のエポキシをベースにしたプライマー組成物の使用。

【公表番号】特表2009−515019(P2009−515019A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539337(P2008−539337)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010748
【国際公開番号】WO2007/054304
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(505258612)
【氏名又は名称原語表記】PPG B.V.
【Fターム(参考)】