説明

エレクトロルミネッセンスの観察方法

【課題】半導体発光デバイスが破損されることなくエレクトロルミネッセンス(EL)を観察できるエレクトロルミネッセンスの観察方法を提供する。
【解決手段】半導体発光デバイス1の第2の電極32の一部及び基板10の一部を研磨して、半導体発光デバイス1に研磨面11を形成する。研磨面11を形成した後に、第1の電極31が接触面40aに接するように、半導体発光デバイス1aを支持体40の上に載置する。プローブ43を第2の電極32aに押し付け、プローブ43と変形した支持体40とにより半導体発光デバイス1aを挟んで、半導体発光デバイス1aを保持する。第1の電極31と第2の電極32との間の印加電流に応答するエレクトロルミネッセンスを半導体発光デバイス1aに発生させる。研磨面11を介して該エレクトロルミネッセンスを観察する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光デバイスのエレクトロルミネッセンスの観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光デバイスでは、エレクトロルミネッセンス(以下、ELともいう。)の観察によって、半導体発光デバイスの不具合箇所を発見することができる(例えば、特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−66469号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Etsuko NOMOTO, Koji NAKAHARA, Makoto SHIMAOKA, “Stress on Junction-Down-Mounted Ridge-Waveguide Laser Diodes,” Japanese Journal of Applied Physics, Japan, The Japan Society of Applied Physics, 2005, Vol.44, No.4A, pp.1756-1758
【非特許文献2】T. Sasaki, H. Mori, M. Tachikawa, T. Yamada, “Aging tests of InP-based laser diodes heteroepitaxially grown on Si substrates,” Journal of Applied Physics, American Institute of Physics, 15 December 1998, Vol.84, No.12, pp.6725-6728
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び非特許文献1では、半導体発光デバイスをエピダウン形態で搭載部材に載置して、半導体発光デバイスを半田により搭載部材に実装する。また、非特許文献2では、裏面電極に窓を形成したレーザーダイオードをエピダウン形態で実装する。
【0006】
特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2における実装では、半田が半導体発光デバイスの側面に回り込むときがある。半導体発光デバイスの側面に回り込んだ半田は、半導体発光デバイスのエピタキシャル半導体層が薄いとき、ショートを発生させる可能性がある。ショートにより、半導体発光デバイスは破損する。
【0007】
本発明は、半導体発光デバイスが破損されることなくエレクトロルミネッセンスを観察することが可能なエレクトロルミネッセンスの観察方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエレクトロルミネッセンスの観察方法は、基板と、該基板の主面の上に設けられた複数のエピタキシャル半導体層を含む積層と、該積層の上に設けられた第1の電極と、基板の裏面の上に設けられた第2の電極とを含む半導体発光デバイスを準備する工程と、第2の電極の一部及び基板の一部を研磨して、半導体発光デバイスに研磨面を形成する工程と、接触面を有する支持体を準備する工程と、研磨面を形成した後に、第1の電極が接触面に接するように、半導体発光デバイスを支持体の上に載置する工程と、プローブを第2の電極に押し付け、プローブと支持体とにより半導体発光デバイスを挟んで半導体発光デバイスを保持する工程と、第1の電極と第2の電極との間の印加電流に応答するエレクトロルミネッセンスを半導体発光デバイスに発生させて、研磨面を介して該エレクトロルミネッセンスを観察する工程とを備える。
【0009】
この方法では、半導体発光デバイスにおける第2の電極の一部及び基板の一部を研磨して、研磨面を形成する。プローブを第2の電極に押し付け、プローブと支持体とにより半導体発光デバイスを挟む。この半導体発光デバイスが半田を用いることなく保持されるので、ショートにより半導体発光デバイスが破損されることを防止できる。第1の電極と第2の電極との間に電流を印加して、半導体発光デバイスにELを発生させる。半導体発光デバイスにおける第2の電極の一部は研磨により除去されているので、研磨面を介してELを観察することができる。従って、半導体発光デバイスが破損されることなくELを観察することができる。
【0010】
本発明のエレクトロルミネッセンスの観察方法における接触面の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で2〜8μmであることが好ましい。このような接触面によれば、第1の電極と接触面との間の電気的な接続を向上できる。
【0011】
本発明のエレクトロルミネッセンスの観察方法における支持体は、導電性を有する材料からなることが好ましい。第1の電極は支持体の接触面と接しているので、支持体を介して第1の電極に電源を接続することができる。
【0012】
本発明のエレクトロルミネッセンスの観察方法における支持体は、基体と、該基体の主面の上に設けられた導電膜とを有し、基体は導電膜と別の材料からなっていてもよい。例えばゲルのような導電性を有しない材料であっても基体に用いることができるので、支持体を好適に変形させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、半導体発光デバイスが破損されることなくエレクトロルミネッセンスを観察することが可能なエレクトロルミネッセンスの観察方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、エレクトロルミネッセンスの観察方法における主要なステップを示す図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る方法を用いて半導体発光デバイスのエレクトロルミネッセンスの観察方法を説明するための図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る方法を用いて半導体発光デバイスのエレクトロルミネッセンスの観察方法を説明するための図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る方法を用いて半導体発光デバイスのエレクトロルミネッセンスの観察方法を説明するための図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る方法を用いて得たエレクトロルミネッセンスの像の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る方法を用いて半導体発光デバイスのエレクトロルミネッセンスの観察方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明によるエレクトロルミネッセンスの観察方法の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付す。
【0016】
図1〜図6を参照しながら、本実施形態に係るエレクトロルミネッセンスの観察方法を説明する。本実施形態では、半導体発光デバイスの一例としてレーザダイオード(LD)を説明するが、本実施形態の半導体発光デバイスはこれに限られない。
【0017】
図1は、エレクトロルミネッセンスの観察方法における主要なステップを示す図面である。工程S101では半導体発光デバイスを準備する。半導体発光デバイスは、例えば図2に示される構造を有する。半導体発光デバイス1は、基板10、半導体積層20、第1の電極31、及び第2の電極32を含んでいる。基板10は、例えばシリコンをドープしたn型InP基板等のIII−V族化合物半導体からなる。半導体積層20には、トレンチ溝21a、21bが設けられている。トレンチ溝21a、21bの間には半導体メサ25が設けられている。
【0018】
半導体積層20は、複数のエピタキシャル半導体層を含んでいる。エピタキシャル半導体層には、下部クラッド層22、活性層23、及び上部クラッド層24があり、基板10の上にこの順に形成されて半導体メサ25をなす。下部クラッド層22は、例えばn型InP等のIII−V族化合物半導体からなる。活性層23は、多重量子井戸構造を含み、例えばAlGaInAs等のIII−V族化合物半導体からなる。上部クラッド層24は、例えばp型InP等のIII−V族化合物半導体からなる。
【0019】
埋込層26は、基板10の上に設けられている。下部クラッド層22、活性層23、及び上部クラッド層24の側面は、埋込層26により埋め込まれている。埋込層26は、例えばInP等のIII−V族化合物半導体からなる。
【0020】
コンタクト層27は、上部クラッド層24及び埋込層26の上に設けられている。コンタクト層27は、例えばp型InGaAs等のIII−V族化合物半導体からなる。保護層28は、半導体積層20の上に設けられている。保護層28は、開口部28aを有している。保護層28は、例えば酸化シリコン等の酸化物からなる。
【0021】
第1の電極31は保護層28の上に設けられている。第1の電極は31は保護層28の開口部28aを介してコンタクト層27と接触している。基板10の裏面の上に第2の電極32が設けられている。
【0022】
図3の(a)部を参照すると、工程S102では、第2の電極32の一部と基板10の一部とを研磨して基板10に研磨面11を形成する。半導体発光デバイス1の研磨を容易にするために、半導体発光デバイス1は搭載部材にワックス等を用いて固定される。研磨治具等を用いて基板10の一部と共に第2の電極32の一部を削る。基板10の裏面10aにおける一の稜部10bから研磨が開始され、裏面10aと側面10dとを連結する斜線11aを含む面を形成するように削る。その結果、裏面10aに対して所望の角度を有する研磨面11が半導体発光デバイス1に形成される。図3の(a)部では、研磨面11が実線で描かれており、研磨して削り取られた第2の電極32及び基板10が破線で描かれている。
【0023】
研磨された半導体発光デバイス1aの基板10は研磨面11を有する。第2の電極32は、基板10の一の稜部10bの側から所定の領域が削り取られている。基板10の裏面10aの上には削り取られなかった第2の電極32aがある。活性層23は、基板10の研磨面11と第1の電極31との間にある。研磨面11は、活性層23から出射されるELが観察可能な大きさや形状をなすことができる。
【0024】
工程S103では支持体40を準備する。保持部材42は、マウント41と支持体40とを備える。保持部材42は、プローブと支持体40とで半導体発光デバイス1aを挟んで保持すると共に、半導体発光デバイス1aの第1の電極31と電源とを電気的に接続する。マウント41は支持体40及び半導体発光デバイス1aを支持する。マウント41は、支持体40よりも大きい硬度を有し、且つ支持体40の厚さよりも充分に厚いので、プローブ等を半導体発光デバイス1aに押し付けた場合でも変形しない。マウント41には、例えば石英ガラス、ステンレス鋼板(SUS板)、及び樹脂板を用いることができる。支持体40は、マウント41の主面41aの上に設けられている。支持体40は、半導体発光デバイス1aを支持して、半導体発光デバイス1aに電流を印加するための電源と第1の電極31とを電気的に接続する。
【0025】
支持体40は薄膜状の構成を有し、マウント41の主面41aの上に例えば金(K24、純度99.99質量%以上)をスパッタリングすることにより形成される。支持体40の厚さは、100nm程度であるときには充分な変形量が得られないので、例えば1μm以上50μm以下の厚さが好ましい。支持体40は、半導体発光デバイス1aの第1の電極31と接する接触面40aを有する。接触面40aの面積は、半導体発光デバイス1aの裏面10aの面積よりも大きい。
【0026】
支持体40の材料は、プローブ43を第2の電極32に押し付けたときに支持体40が変形可能な程度の硬度を有する。半導体発光デバイス1aとマウント41との間に挟まれた支持体40は、支持体40の厚さが薄くなるように変形する。支持体40の材料は、発明者らの知見によれば、ビッカース硬度において25〜150HVの範囲の硬度を有するものが好ましい。例えば、金(K24、純度99.99質量%以上、25〜70HV)、プラチナ(PT1000、純度99.99質量%以上、50〜110HV)、プラチナ(PT900、純度90質量%、60〜130HV)は、支持体40の材料として好適に用いることができる。また、金(K18、純度75質量%、150〜250HV)、プラチナ(pt850、純度85質量%、70〜200HV)を支持体40の材料として用いてもよい。
【0027】
支持体40は、例えば金、インジウム又はプラチナ等の導電性を有する金属材料からなり、半導体発光デバイス1aに電流を印加するための電源と第1の電極31とを電気的に接続する。支持体40が金(K24、純度99.99質量%以上、25〜70HV)からなり、接触面40aの表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で4μm、最大高さ(Ry)で8μm、或いは十点平均粗さ(Rz)で6μmであるとき、第1の電極31と接触面40aとの間において好適に電気的な接続を確保できる。従って、接触面40aの表面粗さは、上述した数値の二分の一以上から2倍未満が好ましい範囲である。すなわち、第1の電極31と接触面40aとの間において好適に電気的な接続を確保するためには、接触面40aにおける表面粗さが、例えば算術平均粗さ(Ra)で2〜8μm、最大高さ(Ry)で4〜16μm或いは十点平均粗さ(Rz)で3〜12μmであることが好ましい。半導体発光デバイス1aの第1電極28が形成された面の構造は、例えば3μm程度の凹凸を有する場合がある。これ故、例えば、接触表面40aの表面粗さを最大高さ(Ry)で4μm以上とすることにより半導体発光デバイス1aの第1の電極31を支持体40に安定して接触させることができる。また、例えば、接触表面40aの表面粗さを最大高さ(Ry)で16μm以下とすることにより、半導体発光デバイス1aを支持体40の上に載置したときに、半導体デバイス1aが傾くことを抑制することができる。このような表面粗さを有する接触面40aは、例えば上述した表面粗さを有するサンドペーパーなどを接触表面40aに押し付けて、上述した表面粗さを有するサンドペーパーの表面形状を接触表面40aに転写することにより形成する。接触面40aの表面粗さは、例えば表面粗さ測定器により測定する。
【0028】
図3の(b)部を参照すると、工程S104では、研磨面11を有する半導体発光デバイス1aを支持体40の上に載置する。半導体発光デバイス1aの第1の電極31が、支持体40の接触面40aと接するように載置する。
【0029】
図4の(a)部を参照すると、工程S105では、プローブ43を用いて半導体発光デバイス1aを保持する。支持体40とプローブ43とで半導体発光デバイス1aを挟む。より具体的には、プローブ43を第2の電極32aに押し付ける。支持体40は、マウント41よりも柔らかい材料からなる場合には、半導体発光デバイス1aとマウント41との間にある支持体40は支持体40の厚さが薄くなるように変形する。この変形は塑性変形である。
【0030】
図4の(b)部を参照すると、工程S106では、半導体発光デバイス1aから出射されるエレクトロルミネッセンスを観察する。プローブ43と支持体40との間に電源44を接続する。半導体発光デバイス1aは、支持体40の接触面40aの上に保持されている。電源44は、導電性を有する支持体40を介して、第1の電極31に接続される。半導体発光デバイス1aに電流を印加すると、印加電流に応答してエレクトロルミネッセンスが発生する。研磨面11を介して該エレクトロルミネッセンスを画像取得装置45により観察する。画像取得装置45として、例えばCCDカメラ、InGaAsカメラ又は顕微鏡等を用いることができる。画像取得装置45を用いてエレクトロルミネッセンスを観察することにより、エレクトロルミネッセンスの二次元画像を得る。以上の工程により、半導体発光デバイス1aのエレクトロルミネッセンスの二次元像が得られる。
【0031】
ここで、エレクトロルミネッセンスの像の例について、図5を参照して説明する。図5の(a)部を参照すると、半導体発光デバイスの発光領域を示す領域K1の全体でエレクトロルミネッセンスが観察されるので、この半導体発光デバイスには不具合箇所がないことがわかる。図5の(b)部の例では、図5の(a)部に示す半導体発光デバイスとは別の半導体発光デバイスの発光領域を示している。半導体発光デバイスの発光領域を示す領域K2の一部の領域MにおいてELが発光していない場所があるので、領域Mにおいて不具合が生じていることがわかる。
【0032】
図6を参照すると、工程S107では、半導体発光デバイス1aを支持体40から取り外す。第2の電極32aに押し付けていたプローブ43を第2の電極32aから離す。半導体発光デバイス1aを支持体40から取り外す。
【0033】
支持体40から取り外した半導体発光デバイス1aは、第1の電極31が支持体40に半田等を用いて実装されていないので第1の電極31には半田等の付着物がない。これ故、例えば支持体40から取り外した半導体発光デバイス1aの第1の電極31側から断面を形成して、その断面を観察する場合であっても、第1の電極31に付着した付着物を取り除く作業は不要である。従って、迅速かつ容易に断面観察などの故障解析を実施できる。
【0034】
本実施形態のエレクトロルミネッセンスの観察方法では、半導体発光デバイス1aが有する第2の電極32aにプローブ43を押し付ける。これにより、支持体40とプローブ43とにより半導体発光デバイス1aを挟むことができる。この半導体発光デバイス1aが半田を用いることなく保持されるので、半田によるショートで半導体発光デバイス1aが破損されることを防止できる。更に、半田により半導体発光デバイス1aを基板に固定する工程を省略することができるので、ELの像を得るための工程数を短縮することが可能となり、実装工程中に破損される可能性を低減できる。第1の電極31と第2の電極32aとの間に電流を印加して、半導体発光デバイス1aにELを発生させる。半導体発光デバイス1aにおける第2の電極32aの一部は研磨により除去されているので、基板10に形成された研磨面11を介してELを観察することにより、該ELの二次元像を得ることができる。従って、半導体発光デバイス1aが破損されることなくELの像を得ることができる。半導体発光デバイス1aは半田等を用いることなく保持されているので、該ELの二次元像を得た後プローブ43を第2の電極32aから離間させると、半導体発光デバイス1aを支持体40から容易に取り外すことができる。従って、エレクトロルミネッセンスを観察した後に、迅速かつ容易に断面観察などの故障解析を実施できる。また、基板10を裏面10a側から研磨して研磨面11を形成するので、本実施形態のエレクトロルミネッセンスの観察方法は、スループットに優れ、鮮明なELの像を得ることができる。
【0035】
また、本実施形態のエレクトロルミネッセンスの観察方法では、プローブ43を第2の電極32aに押し付ける。押し付けた結果、支持体40が変形し第1の電極31と接触面40aとの局所的な密着度が増加する。更に第1の電極31と接触面40aとが接触している領域における単位面積当たりに作用する力が増大するので第1の電極31と接触面40aとの間の電気的な接続を確保できる。本実施形態における接触面40aの表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で2〜8μmであるので、第1の電極31と接触面40aとの間の電気的な接続を好適に確保できる。また、支持体40は導電性を有する材料からなるので、支持体40を介して第1の電極31に電源44を接続することができる。
【0036】
以上、本実施形態に係るエレクトロルミネッセンスの観察方法について説明したが、本発明はこれに限定されない。上記実施形態では、支持体40が例えば金やインジウム等から構成される例を示したが、支持体40の構成はこれに限定されない。例えば、支持体40は基体と該基体の上に形成された導電膜とを備えたものであってもよい。導電膜は第1の電極31と電源44とを電気的に接続する。導電膜は本実施形態で例示した、例えば金(K24、純度99.99質量%以上)等の導電性の金属材料からなる。導電膜は基体の上にスパッタリングにより形成される。導電膜の厚さは例えば2μmである。導電膜の厚さには好ましい範囲があり、例えば10mm程度の厚さでは本発明の効果を得ることができない。また、基体は導電膜よりも変形しやすい材料からなる場合には、プローブ43を第2の電極32aに押し付けたときに基体は変形する。基体は導電膜と別の材料からなる。基体は、例えばシリコーンゲルのゲル状材料からなる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によれば、半導体発光デバイスが破損されることなくエレクトロルミネッセンスを観察することが可能なエレクトロルミネッセンスの観察方法が提供される。
【符号の説明】
【0038】
1、1a…半導体発光デバイス、10…基板、11…研磨面、20…積層部、21a、21b…トレンチ溝、22…下部クラッド層、23…活性層、24…上部クラッド層、25…半導体メサ、26…埋込層、27…コンタクト層、28…保護層、28a…開口部、31…第1の電極、32、32a…第2の電極、40…支持体、40a…接触面、41…マウント、41a…主面、42…保持部材、43…プローブ、44…電源、45…画像取得装置、K1、K2、M…領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板の主面の上に設けられた複数のエピタキシャル半導体層を含む積層と、該積層の上に設けられた第1の電極と、前記基板の裏面の上に設けられた第2の電極とを含む半導体発光デバイスを準備する工程と、
前記第2の電極の一部及び前記基板の一部を研磨して、前記半導体発光デバイスに研磨面を形成する工程と、
接触面を有する支持体を準備する工程と、
前記研磨面を形成した後に、前記第1の電極が前記接触面に接するように、前記半導体発光デバイスを前記支持体の上に載置する工程と、
プローブを前記第2の電極に押し付け、前記プローブと支持体とにより前記半導体発光デバイスを挟んで前記半導体発光デバイスを保持する工程と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の印加電流に応答するエレクトロルミネッセンスを前記半導体発光デバイスに発生させて、前記研磨面を介して該エレクトロルミネッセンスを観察する工程とを備える、エレクトロルミネッセンスの観察方法。
【請求項2】
前記接触面の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で2〜8μmである、請求項1に記載されたエレクトロルミネッセンスの観察方法。
【請求項3】
前記支持体は、導電性を有する材料からなる、請求項1又は請求項2に記載されたエレクトロルミネッセンスの観察方法。
【請求項4】
前記支持体は、基体と、該基体の主面の上に設けられた導電膜とを有し、前記基体は前記導電膜と別の材料からなる、請求項1又は請求項2に記載されたエレクトロルミネッセンスの観察方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−256646(P2012−256646A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127576(P2011−127576)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】