エンジンの制御装置
【課題】油圧アクチュエータの操作に悪影響を与えることなく、油圧アクチュエータの操作において必要とする圧油流量を確保することができ、しかも、より効率的にエンジンの駆動制御を低燃費で行えるエンジンの制御装置を提供する。
【解決手段】指令手段で指令された指令値に応じて第1目標エンジン回転数を設定し、第1目標エンジン回転数に基づいて、第1目標エンジン回転数よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数を設定する。第2目標エンジン回転数を下限値として、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数を設定する。第2設定手段は、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数の上限値として、操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類又は前記操作レバーにより操作される複数の油圧アクチュエータの組合せに応じて、第2目標エンジン回転数以上で第1目標エンジン回転数以下の第3目標エンジン回転数を設定する。
【解決手段】指令手段で指令された指令値に応じて第1目標エンジン回転数を設定し、第1目標エンジン回転数に基づいて、第1目標エンジン回転数よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数を設定する。第2目標エンジン回転数を下限値として、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数を設定する。第2設定手段は、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数の上限値として、操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類又は前記操作レバーにより操作される複数の油圧アクチュエータの組合せに応じて、第2目標エンジン回転数以上で第1目標エンジン回転数以下の第3目標エンジン回転数を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定したエンジンの目標エンジン回転数に基づいてエンジンの駆動制御を行うエンジンの制御装置に関し、特に、エンジンの燃料消費量の改善を図ったエンジンの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設機械では、ポンプ吸収トルクがエンジンの定格トルク以下の場合には、エンジン回転数とエンジン出力トルクとの関係を示すエンジン出力トルク特性ラインにおける高速制御領域でエンジン出力トルクとポンプ吸収トルクとのマッチングが行われている。例えば、燃料ダイヤルでの設定に対応して目標エンジン回転数が設定され、設定された目標エンジン回転数に対応した高速制御領域が定められる。
【0003】
あるいは、燃料ダイヤルでの設定に対応して高速制御領域が定められ、定められた高速制御領域に対応してエンジンの目標エンジン回転数が設定される。そして、定められた高速制御領域で、ポンプ吸収トルクとエンジン出力トルクとをマッチングさせる制御が行われる。
【0004】
一般的に多くの作業者は、作業量を上げるため、目標エンジン回転数をエンジンの定格回転数またはその近傍の回転数となるように設定することが多い。ところで、エンジンの燃料消費量が少ない領域、即ち、燃費の良い領域は、通常、エンジン出力トルク特性ライン上では中速回転数領域や高トルク領域に存在している。このため、無負荷ハイアイドル回転から定格回転の間で定められる高速制御領域は、燃費の面からみると効率の良い領域とはなっていない。
【0005】
従来、エンジンを燃費の良い領域で駆動させるため、作業モード毎にエンジンの目標エンジン回転数の値とエンジンの目標出力トルクの値とを予め対応付けて設定し、複数の作業モードを選択できるようにした制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この種の制御装置では、作業者が、例えば、第2の作業モードを選択した場合には、第1の作業モードに比べて、エンジンの回転数を低く設定することができ、燃費を改善することができる。
【0006】
しかしながら、上述したような作業モード切換方式を用いた場合には、作業者がモード切換手段を一々操作していかなければ、燃費の改善を行うことができない。また、第2の作業モードを選択したときのエンジン回転数を、第1の作業モードを選択したときのエンジン回転数に対して、一律に下げた回転数の値となるように設定しておいたときには、第2の作業モードが選択されると、次のような問題が起きてしまう。
【0007】
即ち、建設機械の作業装置(以下、作業機という。)における最大速度は、第1の作業モードを選択した場合に比べて低下してしまう。この結果、第1の作業モードを選択したときの作業量に比べて、第2の作業モードを選択したときの作業量は少なくなってしまう。
【0008】
このような問題を解決するため、出願人はエンジンの制御装置及びその制御方法(特許文献2)を既に出願している。このエンジン制御装置の発明によって、ポンプ容量及びエンジン出力トルクが低い状態のときには、設定した第1目標エンジン回転数よりも低い回転域側にある第2目標エンジン回転数に基づいて、エンジンの駆動制御を行い、エンジンによって駆動される可変容量型油圧ポンプのポンプ容量又は検出したエンジン出力トルクに対応して予め設定した目標エンジン回転数となるように、エンジンの駆動制御を行うことができる。
【0009】
特に、上述したエンジン制御装置の発明によって、エンジンの燃費を向上させることができ、作業機が必要とするポンプ吐出量を確保しながらも、エンジン回転数を非常に滑らかに変化させることができる。しかも、エンジン回転音が不連続に変化する違和感を防止することができる、といった効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−273919号公報
【特許文献2】国際公開第2009/104636号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2として紹介したエンジン制御装置の発明では、燃料指令ダイヤルなどで指示した第1目標エンジン回転数からエンジンの駆動制御を開始する代わりに、第1目標エンジン回転数よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数からエンジンの駆動制御を開始させている。
【0012】
第2目標エンジン回転数からのエンジンの駆動制御中にポンプ容量が所定のポンプ容量以上になったときには、第2目標エンジン回転数での駆動制御から第1目標エンジン回転数での駆動制御に移行させている。
【0013】
ところで、最大ポンプ容量に対するポンプ容量の余裕度は、どの油圧アクチュエータを操作するのか、或いは、どの油圧アクチュエータを複数同時に操作するのかによって異なっている。例えば、掘削作業をバケット単独で行わせるときには、バケットを作動する油圧アクチュエータに供給する圧油流量としてはそれ程多くを必要としない。逆に、バケット操作とアーム操作とを同時に行わせるときには、それぞれの油圧アクチュエータに供給する圧油流量の総量としてはより多くの圧油流量を必要とする。
【0014】
油圧アクチュエータに圧油流量を供給する上で、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕があるときに、目標エンジン回転数を下げずにエンジンの駆動制御を行うと、目標エンジン回転数を下げた場合に比べて燃料消費量は多くなる。油圧アクチュエータに圧油流量を供給する上で最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕がないときには、ポンプ容量としては直ぐに、第2目標エンジン回転数での駆動制御から第1目標エンジン回転数での駆動制御に移行させるときの判断条件となる所定のポンプ容量以上になってしまう。そのため、エンジンの駆動制御を開始した早い段階から、第2目標エンジン回転数での駆動制御から第1目標エンジン回転数での駆動制御に移行してしまうことになる。
【0015】
そして、油圧アクチュエータに圧油流量を供給する上で最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕がないときには、第1目標エンジン回転数に近いエンジン回転数でエンジンが動作してしまうことになり、燃費低減を図ることができなくなる。更に、ポンプ容量が僅かに変化しただけでも、目標エンジン回転数としては、第1目標エンジン回転数と第2目標エンジン回転数との間で行き来してしまうことになる。その結果、建設機械は、油圧アクチュエータの動作が不安定になったり、燃料消費量が多くなってしまう。
【0016】
本願発明は、上述した特許文献2の発明を更に改良することを目的としたものであり、操作される油圧アクチュエータの種類、操作される複数の油圧アクチュエータの組合せに応じて、目標エンジン回転数の上限値を設定することができる。そして、油圧アクチュエータの操作に悪影響を与えることなく、油圧アクチュエータの操作において必要とする圧油流量を確保することができ、しかも、より効率的にエンジンの駆動制御を低燃費で行えるエンジンの制御装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の課題は、エンジンの制御装置に係わる第1発明から第4発明により、好適に達成することができる。
即ち、本願第1発明におけるエンジンの制御装置では、エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの吐出圧油により駆動される複数の油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから吐出した圧油を制御して前記複数の油圧アクチュエータにそれぞれ給排する複数の制御弁と、前記複数の制御弁を制御する少なくとも一つの操作レバーと、前記油圧ポンプのポンプ容量を検出する検出手段と、前記エンジンに供給する燃料を制御する燃料噴射装置と、
可変に指令できる指令値の中から一つの指令値を選択して指令する指令手段と、前記指令手段で指令された指令値に応じて第1目標エンジン回転数を設定し、前記第1目標エンジン回転数に基づいて、前記第1目標エンジン回転数よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数を設定する第1設定手段と、前記第2目標エンジン回転数を下限値として、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数を設定する第2設定手段と、
前記第2設定手段から求めた目標エンジン回転数となるように前記燃料噴射装置を制御する制御手段と、を備え、
前記第2設定手段は、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数の上限値として、前記操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類又は前記操作レバーにより操作される前記複数の油圧アクチュエータの組合せに応じて、前記第2目標エンジン回転数以上で前記第1目標エンジン回転数以下の第3目標エンジン回転数を設定することを最も主要な特徴となしている。
【0018】
また、本願第2発明では、前記第3目標エンジン回転数は、前記操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類によって要求される最大要求流量又は前記操作レバーにより操作される前記複数の油圧アクチュエータの組合せによって要求される最大要求流量に応じて、設定されてなることを主要な特徴としている。
【0019】
更に、本願第3発明では、前記第3目標エンジン回転数は、前記第2目標エンジン回転数と同じ回転数に設定されてなることを主要な特徴としている。
更にまた、本願第4発明では、エンジン出力トルクを検出する検出手段を更に備え、前記第2設定手段は、前記第2目標エンジン回転数を下限値とし前記第3目標エンジン回転数を上限値としたときの、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数と、前記第2目標エンジン回転数を下限値とし前記第1目標エンジン回転数を上限値としたときの、エンジン出力トルクに対応した目標エンジン回転数と、のうちでいずれか高い目標エンジン回転数を設定することを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明におけるエンジンの制御装置では、第1目標エンジン回転数よりも低い第2目標エンジン回転数を設定しているので、エンジンを低い回転域側で回転駆動させることができる。しかも、目標エンジン回転数の上限値である第3目標エンジン回転数は、操作される油圧アクチュエータの種類・組合せに応じて設定することができる。
【0021】
即ち、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕を生じさせると予測される油圧アクチュエータが操作されたときは、第1目標エンジン回転数より低い回転数である第3目標エンジン回転数を目標エンジン回転数の上限値として用いることによって、燃費低減を図ることができる。更に、ポンプ容量が変動する領域は、目標エンジン回転数が第3目標エンジン回転数で一定となっている領域である。そのため、ポンプ容量の変動に応じてエンジン回転数に変動が生じない。
【0022】
また、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕を生じさせないと予測される油圧アクチュエータが操作されたときは、第1目標エンジン回転数を目標エンジン回転数の上限値として用いることができる。これによって、第1目標エンジン回転数でエンジンの駆動制御を行うことができるので流量不足を生じない。
【0023】
また、本願第2発明のように構成しておくことによって、常に、操作レバーで操作される油圧アクチュエータが必要とする圧油流量又は操作レバーで操作される複数の油圧アクチュエータが必要とするトータルの圧油流量を、油圧ポンプから吐出させることができる。しかも、このときには、油圧ポンプが必要とするポンプ吸収トルクを確保しておくことができるので、第1目標エンジン回転数を設定した作業者の意図に応じることができ、油圧アクチュエータの操作性に違和感がない。
【0024】
また、本願第3発明のように構成しておくことによって、特に、ポンプ容量に余裕がある場合には、エンジンを低い回転領域で回転駆動させることができるので、燃費を大幅に向上させることができる。
【0025】
更に、本願第4発明のように構成しておくことによって、エンジン出力トルクが高くなるような状況では、第1目標エンジン回転数を上限値とすることによって、エンジンの最大馬力を利用した作業を行うことができるので、より多くの仕事量を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係わる油圧回路図である。(実施例)
【図2】コントローラのブロック図である。(実施例)
【図3】操作レバーに応じて第3目標エンジン回転数を設定する説明図である。(実施例)
【図4】エンジン回転数とエンジン出力トルクとの関係を示した図である。(説明例)
【図5】エンジン出力トルク特性ラインである。(実施例)
【図6】エンジン出力トルクを増加させるときのエンジン出力トルク特性ラインである。(実施例)
【図7】ポンプ容量と目標エンジン回転数との関係を示した図である。(実施例)
【図8】本発明に係わる制御フロー図である。(実施例)
【図9】第1目標エンジン回転数から第3目標エンジン回転数の関係を示した図である。(実施例)
【図10】エンジン出力トルクと目標エンジン回転数との関係を示した図である。(実施例)
【図11】第1目標エンジン回転数と第2目標エンジン回転数の関係を示した図である。(実施例)
【図12】エンジン回転数とエンジン出力トルクとの関係を示した図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本発明のエンジンの制御装置は、油圧ショベル、ブルドーザ、ホイールローダなどの建設機械に搭載されるエンジンを制御する制御装置として好適に適用することができるものである。
【0028】
また、本発明のエンジンの制御装置としては、以下で説明する形状、構成以外にも本発明の課題を解決することができる形状、構成であれば、それらの形状、構成を採用することができるものである。このため、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例】
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係わるエンジンの制御装置における油圧回路図である。エンジン2はディーゼルエンジンであり、そのエンジン出力トルクの制御は、エンジン2のシリンダ内に噴射する燃料の量を調整することによって行われる。この燃料の調整は、従来から公知の燃料噴射装置3によって行うことができる。
【0030】
エンジン2の出力軸5には可変容量型油圧ポンプ6(以下、油圧ポンプ6という。)が連結されており、出力軸5が回転することにより油圧ポンプ6が駆動される。油圧ポンプ6の斜板6aの傾転角は、ポンプ制御装置8によって制御され、斜板6aの傾転角が変化することで油圧ポンプ6のポンプ容量D(cc/rev)が変化する。
【0031】
ポンプ制御装置8は、斜板6aの傾転角を制御するサーボシリンダ12と、ポンプ圧と油圧アクチュエータ10の負荷圧との差圧に応じて制御されるLS弁(ロードセンシング弁)17と、から構成されている。サーボシリンダ12は、斜板6aに作用するサーボピストン14を備えており、油圧ポンプ6から吐出された油圧が、油路27a、27bを介して供給されている。LS弁17は、油路27aの油圧(ポンプ吐出圧)とパイロット油路28の油圧(油圧アクチュエータ10の負荷圧)との差圧に応じて作動し、サーボピストン14を制御する構成となっている。
【0032】
サーボピストン14の制御によって、油圧ポンプ6における斜板6aの傾転角が制御される。また、操作レバー11aの操作量に応じて操作レバー装置11から出力されるパイロット圧によって制御弁9が制御されることで、油圧アクチュエータ10に供給する流量が制御されることになる。このポンプ制御装置8は、公知のロードセンシング制御装置によって構成することができる。
【0033】
油圧ポンプ6から吐出された圧油は、吐出油路25を通って制御弁9に供給される。制御弁9は、5ポート3位置に切換えることのできる切換弁として構成されており、制御弁9から出力する圧油を油路26a、26bに対して選択的に供給することで、油圧アクチュエータ10を作動させることができる。
【0034】
尚、油圧アクチュエータとしては、例示した油圧シリンダ型の油圧アクチュエータに限定されて解釈されるものではなく、油圧モータでもよく、また、ロータリー型の油圧アクチュエータとして構成することもできる。また、制御弁9と油圧アクチュエータ10との組を2組だけ例示しているが、制御弁9と油圧アクチュエータ10との組は、3組以上で構成うこともできる。また、一つの制御弁で複数の油圧アクチュエータを操作するように構成することもできる。
【0035】
また、操作レバー装置11として、操作レバー11aを作業者からみて前後及び左右の2つの操作方向に操作できるよう構成し、それぞれの操作方向によって、異なる制御弁を切り換えられるように構成することができる。
【0036】
操作レバー装置11で操作される油圧アクチュエータ、即ち、例えば建設機械として油圧ショベルを例に挙げて油圧アクチュエータを説明すれば、ブーム用油圧シリンダ、アーム用油圧シリンダ、バケット用油圧シリンダ、左走行用油圧モータ、右走行用油圧モータ及び旋回モータ等が、油圧アクチュエータとして用いられることになる。図1ではこれらの各油圧アクチュエータのうちで、例えば、アーム用油圧シリンダとブーム用油圧シリンダを代表させて示していることになる。
【0037】
操作レバー11aを中立位置から操作したとき、操作レバー11aの操作方向及び操作量に応じて、操作レバー装置11からはパイロット圧が出力される。出力されたパイロット圧は、制御弁9の左右のパイロットポートのいずれかに加えられることになる。これにより、制御弁9は、中立位置である(II)位置から左右の(I)位置又は(III)位置に切換えられる。
【0038】
制御弁9が(II)位置から(I)位置に切換えられると、油圧ポンプ6からの吐出圧油を、油路26bから油圧アクチュエータ10のボトム側に供給することができ、油圧アクチュエータ10のピストンを伸長させることができる。このとき、油圧アクチュエータ10のヘッド側における圧油は、油路26aから制御弁9を通ってタンク22に排出されることになる。
【0039】
同様に、制御弁9が(III)位置に切換えられると、油圧ポンプ6からの吐出圧油は、油路26aから油圧アクチュエータ10のヘッド側に供給することができ、油圧アクチュエータ10のピストンを縮小させることができる。このとき、油圧アクチュエータ10のボトム側における圧油は、油路26bから制御弁9を通ってタンク22に排出されることになる。
ここで、油圧アクチュエータ10のヘッド側とは、油圧シリンダのロッド側の油室をいう。また、油圧アクチュエータ10のボトム側とは、油圧シリンダのロッドの反対側の油室をいう。
【0040】
吐出油路25の途中からは、油路27cが分岐しており、油路27cにはアンロード弁15が配設されている。アンロード弁15はタンク22に接続しており、油路27cを遮断する位置と連通する位置とに切換えることができる。油路27cにおける油圧は、アンロード弁15を連通位置に切換える押圧力として作用する。
【0041】
また、油圧アクチュエータ10の負荷圧が作用するパイロット油路28のパイロット圧及びバネの押圧力は、アンロード弁15を遮断位置に切換える押圧力として作用する。そして、アンロード弁15は、パイロット油路28のパイロット圧及びバネの押圧力と、油路27cにおける油圧との差圧によって制御されることになる。
【0042】
コントローラ7は、例えば、プログラムメモリやワークメモリとして使用される記憶装置と、プログラムを実行するCPUと、を有するコンピュータにより実現することができる。そして、コントローラ7の記憶装置には、図8に示すTable1〜Table4、図7に示す対応関係、及び図8のような対応関係等が記憶されている。
【0043】
次に、コントローラ7の制御について、図2のブロック図を用いて説明する。図2において、コントローラ7内の高速制御領域選択演算部32には、燃料ダイヤル4の指令値37が入力されるとともに、ポンプトルク演算部31で演算した油圧ポンプ6が必要とするポンプトルクの指令値、油圧ポンプ6の斜板角に対応するポンプ容量、及び操作される油圧アクチュエータの種類・組合せ判別部34からの判別結果が入力される。
【0044】
ポンプトルク演算部31には、ポンプ圧力センサ38で検出した油圧ポンプ6から吐出したポンプ圧力(ポンプ吐出圧)と、油圧ポンプ6の斜板角を指令する斜板角指令値演算部30で演算した油圧ポンプ6の斜板角とが入力される。ポンプトルク演算部31では、入力した油圧ポンプ6の斜板角と油圧ポンプ6のポンプ圧力とから、油圧ポンプ6が必要とするポンプトルクの指令値(エンジン出力トルクの指令値)を演算する。
【0045】
即ち、一般に、油圧ポンプ6のポンプ吐出圧P(ポンプ圧力P)と吐出容量D(ポンプ容量D)とエンジン出力トルクTとの関係は、T=P・D/200πとして表すことができる。
この関係式から、斜板角指令演算部30では、エンジン2によって駆動されている油圧ポンプ6の回転数をエンジン回転数として検出し、油圧ポンプ6からの吐出圧であるポンプ圧力をポンプ圧力センサ38によって検出することで、エンジン出力トルク(ポンプトルク)を演算することができる。
【0046】
ポンプトルク演算部31において演算する油圧ポンプ6が必要とするポンプトルクの指令値(エンジン出力トルクの指令値)は、ポンプ圧力の検出値と斜板角指令演算部30で演算した指令値とを用いて演算する代わりに、ポンプ圧力センサ38の検出値(ポンプ圧力P)と斜板角センサ39の検出値(ポンプ容量D)とを用いて演算することもできる。
ポンプ圧力の検出値と斜板角センサ39の検出値とを用いてポンプトルク演算部31で演算する方法は、図2においては点線矢印を用いて示している。
【0047】
斜板角指令演算部30での演算は、ポンプ圧力センサ38で検出したポンプ圧力Pと、エンジン回転センサ20からの検出値とを用いて演算することができる。斜板角指令演算部30での演算結果は、ポンプトルク演算部31に入力されることになる。即ち、ポンプ圧力Pと油圧ポンプ6の回転数とから、そのときの油圧ポンプ6のポンプ容量Dを演算することができ、ポンプ容量Dに対応したポンプ斜板角を演算することができる。
【0048】
操作される油圧アクチュエータの種類・組合せ判別部34では、図3に示すように複数の操作レバー装置11が操作されると、操作レバー装置11から出力されたパイロット圧を圧力センサ40で検出した信号が入力され、作業者によってどの操作レバー装置11の操作レバー11aが操作されたのかを判別することができる。即ち、操作レバー11aが単独で操作されている場合には、操作されている操作レバー11aの種類を、また、複数の操作レバー11aが操作されている場合には、どの組合せで操作レバー11aがそれぞれ操作されているのかを、判別することができる。
【0049】
高速制御領域選択演算部32では、エンジン2の駆動制御を行わせる高速制御領域指令値33をエンジン2に指令させる。
尚、ポンプ圧力センサ38は、図1の吐出油路25におけるポンプ圧力を検出できるよう構成している。また、斜板角センサ39は、油圧ポンプ6の斜板角を検出するセンサとして構成している。
【0050】
ポンプトルク演算部31では、図4に示したようなエンジン出力トルクTとエンジン回転数Nとの関係図等を用いて、ポンプトルク演算部31に入力された値を用いてエンジン出力トルク(ポンプトルク)を演算することができる。
【0051】
図4で示すように、その時点における目標エンジン回転数Nn、即ち、目標エンジン回転数Nnに対応して燃料ダイヤル4の指令値37によって設定された高速制御領域Fn上において、エンジン回転センサ20で検出したその時点でのエンジン回転数Nrとの交点から、その時点におけるエンジンの推定トルクTgを求めることができる。
尚、ポンプトルク演算部31では、図示せぬエンジン出力トルク指令値とエンジン回転センサ20で検出したエンジン回転数とから、その時点におけるエンジン出力トルクを演算することもできる。
【0052】
ポンプトルク演算部31では、斜板角センサ39で検出したポンプ容量と、ポンプ圧力センサ38で検出したポンプ吐出圧とから、油圧ポンプ6の出力トルクを演算し、同演算した出力トルクを、その時点でのエンジン出力トルクとして求めることもできる。尚、ポンプトルク演算部31、ポンプ圧力センサ38、斜板角指令値演算部30、エンジン回転数センサ20、及び斜板角センサ39は、これらの組合せによって、油圧ポンプのポンプ容量を検出する検出手段と、エンジン出力トルクを検出する検出手段としての機能を備えることになる。
【0053】
ここで、作業者が指令手段としての燃料ダイヤル4を操作して、可変に指令できる指令値の中から一つの指令値を選択すると、選択した指令値に対応した第1目標エンジン回転数を設定することができる。このようにして設定した第1目標エンジン回転数に応じて、ポンプ吸収トルクとエンジン出力トルクとをマッチングさせる高速制御領域を設定することができる。
【0054】
即ち、図5で示すように、燃料ダイヤル4の操作に応じて第1目標エンジン回転数である目標エンジン回転数Nb(N´b)が設定されると、第1目標エンジン回転数Nb(N´b)に応じた高速制御領域Fbが選択されることになる。このとき、エンジンの目標エンジン回転数は、回転数Nb(N´b)となる。
【0055】
尚、目標エンジン回転数N´bは、目標エンジン回転数を回転数Nbに制御するときにおける、無負荷時のエンジンの摩擦トルクと油圧系のロストルクとの合計値とエンジン出力トルクとがマッチングする点として定まることになる。そして、実際のエンジン制御においては、目標エンジン回転数N´bとマッチング点Kbとを結んだ線を、高速制御領域Fbとして設定することになる。
【0056】
以下では、目標エンジン回転数N´bが目標エンジン回転数Nbよりも高い回転数側にある例を用いて説明を行うが、目標エンジン回転数N´bと目標エンジン回転数Nbとを一致させることも、目標エンジン回転数N´bを目標エンジン回転数Nbよりも低い回転数側に持ってくるように構成することもできる。また、以下の説明において、例えば目標エンジン回転数Nc(N´c)のように、ダッシュ付きの回転数N´cを記載するが、ダッシュ付きの回転数N´cは、上述した説明のとおりである。
【0057】
また、作業者が燃料ダイヤル4を操作して、最初に選択した第1目標エンジン回転数Nbより低い新たな第1目標エンジン回転数Ncを設定すると、高速制御領域としては低い回転域側における高速制御領域Fcが設定されることになる。
【0058】
このように、燃料ダイヤル4が設定されることにより、燃料ダイヤル4で選択できる第1目標エンジン回転数に対応して、一つの高速制御領域を設定することができる。即ち、燃料ダイヤル4を選択することによって、例えば、図5で示すように最大馬力点K1を通る高速制御領域Faと、同高速制御領域Faから低い回転域側における複数の高速制御領域Fb、Fc、・・・の中から任意の高速制御領域、あるいは、これらの高速制御領域の中間にある任意の高速制御領域を設定することができる。
【0059】
図6のエンジン出力トルク特性ラインにおいて最大トルク線Rで規定される領域が、エンジン2が出し得る性能を示している。エンジン2の出力(馬力)が最大になるところは、最大トルク線R上の最大馬力点K1である。Mはエンジン2の等燃費曲線を示しており、等燃費曲線の中心側が燃費最小領域となっている。最大トルク線R上のK4は、エンジン2のトルクが最大である最大トルク点を示している。
【0060】
以下では、燃料ダイヤル4の指令値37に対応してエンジンの最大目標エンジン回転数である第1目標エンジン回転数N1が設定され、第1目標エンジン回転数N1に対応して、最大馬力点K1を通る高速制御領域F1が設定された場合を例に挙げて説明する。
【0061】
尚、図1で示した燃料ダイヤル4の指令値37に対応して、エンジン回転数として定格回転数となる第1目標エンジン回転数N1(図5では、定格回転数をNhとして表示しているが、図6では第1目標エンジン回転数N1は定格回転数でもある。)、第1目標エンジン回転数N1に対応した最大馬力点K1を通る高速制御領域F1が、設定された場合についての説明を以下で行うが、本発明は最大馬力点K1を通る高速制御領域F1が設定された場合に限定されるものではない。例えば、設定された第1目標エンジン回転数に対応した高速制御領域として、図5における複数の高速制御領域Fb、Fc、・・・の中から、あるいは、複数の高速制御領域Fb、Fc、・・・の中間における任意の高速制御領域を設定した場合であったとしても、設定した各高速制御領域に対して本発明を好適に適用することができる。
【0062】
図6は、エンジン出力トルクが増大していくときの様子を示している。本願発明では、作業者が燃料ダイヤル4での指令値に対応して設定した第1目標エンジン回転数N1に応じて、高速制御領域F1を設定することができる。そして、第1目標エンジン回転数N1よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数N2を設定し、第2目標エンジン回転数N2に応じた高速制御領域F2に基づいて、エンジンの駆動制御を開始させている。
【0063】
尚、図2で示した高速制御領域選択演算部32は、燃料ダイヤル4の指令値37で設定した第1目標エンジン回転数N1から第2目標エンジン回転数N2を設定する第1設定手段としての機能を備えている。
【0064】
そして、高速制御領域F2に基づいたエンジンの駆動制御を行っているときに、油圧ポンプ6のポンプ容量が、予め設定した所定の第1ポンプ容量D1(図7参照、図6では、第1ポンプ容量D1の位置を第1設定位置Bとして示している。)以上となったときは、高速制御領域F2と高速制御領域F3との間において、ポンプ容量Dnに対応した目標エンジン回転数Nnを常に求めていくようなエンジンの駆動制御を行う構成となっている。
【0065】
高速制御領域F3は、第3目標エンジン回転数N3に応じた高速制御領域として設定することができる。第3目標エンジン回転数N3は、目標エンジン回転数の上限値として、第1目標エンジン回転数N1以下で第2目標エンジン回転数N2以上に設定することができる。第3目標エンジン回転数N3は、操作レバー11aによって操作される油圧アクチュエータの種類、操作レバー11aによって操作される複数の油圧アクチュエータの組合せによって、設定することができる。
また、第3目標エンジン回転数の上限値としては、操作レバー11aで操作される油圧アクチュエータが必要とする最大要求流量に応じて、設定しておくこともできる。
【0066】
以下では、第1目標エンジン回転数N1を設定したときに、第1目標エンジン回転数N1よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数N2をどのようにして設定するのか、及び目標エンジン回転数の上限値である第3目標エンジン回転数N3をどのようにして設定するのかについて、説明する。
【0067】
操作される油圧アクチュエータの種類又は操作される複数の油圧アクチュエータの組合せに対応させて、目標エンジン回転数の上限値として第3目標エンジン回転数N3を設定するとき、例えば、本願発明の制御フローを示す図8のTable2のように設定しておくことができる。
【0068】
図8のTable2にも示しているように、例えば、操作レバー11aによって走行操作だけの単独操作が行われる場合には、第3目標エンジン回転数N3を1900rpmとして設定しておくことができる。走行操作とバケット掘削操作との複合操作を行う場合には、第3目標エンジン回転数N3を2500rpmとして設定しておくことができる。
【0069】
また、Table2には記載していないが、バケット掘削の単独操作を行う場合には、第3目標エンジン回転数N3を1700rpmとして設定しておくこともできる。そして、その他の場合には、第3目標エンジン回転数N3を2500rpmとして設定しておくことができる。
尚、図8のTable2で示した数値、上述した数値は、例示であって建設機械の種類、大きさ等に応じて適宜第3目標エンジン回転数N3を設定しておくことができる。
【0070】
このように、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕を生じさせると予測される油圧アクチュエータが操作された場合には、ポンプ容量に対する目標エンジン回転数の上限値を低く設定する。即ち、第3目標エンジン回転数N3が第1目標エンジン回転数N1より小さくなるように構成しておくことができる。
【0071】
更に、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕を生じさせないと予測される油圧アクチュエータが操作された場合には、第3目標エンジン回転数N3を第1目標エンジン回転数に設定することで、油圧アクチュエータに供給するポンプ流量を確保することができる。
【0072】
ここで、第1目標エンジン回転数N1における最大ポンプ流量Q1は、第1目標エンジン回転数N1と最大ポンプ容量Dmaxの積 Q1=N1・Dmax で表すことができる。従って、操作される油圧アクチュエータの種類・組合せによって、最大要求流量がQa(Qa<Qmax)であるとすれば、目標エンジン回転数Nは第1目標エンジン回転数N1より小さい第3目標エンジン回転数 N3=Qa/Dmax までエンジン回転数を低くすることができる。そこで、本実施例では、図7(図8ではTable3)のように目標エンジン回転数Nの上限値は第3目標エンジン回転数N3に制限されている。その結果、油圧ポンプ6のポンプ容量Dが第3ポンプ容量D3以上となったときは、目標エンジン回転数Nは第3目標エンジン回転数N3で一定となっている。
【0073】
これにより、第3目標エンジン回転数によるエンジンの駆動制御中にエンジンの回転数が変動するのを防止できるとともに、燃費低減効果を大きくすることができる。
【0074】
更に、第3目標エンジン回転数を第2目標エンジン回転数と同じ回転数にしておくこともできる。このときには、エンジンを低い回転側で駆動させることができるので、燃費低減効果を大きく向上させることができる。
図9を用いて更に説明を続けると、図9において、太線から延びる一点鎖線で示した状態は、第3目標エンジン回転数N3を設けていなかった場合を示している。本願発明のように、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕を生じさせると予測される油圧アクチュエータが操作された場合に、目標エンジン回転数Nの上限値として第3目標エンジン回転数N3を設けた場合を、実線の太線によって示している。
【0075】
図9に示すように、太線から延びる一点鎖線で示す状態では、第1目標エンジン回転数N1として2100rpmが設定されており、第2目標エンジン回転数N2として1800rpmが設定された状態を示している。太線から延びる一点鎖線で示している状態では、第3目標エンジン回転数を用いていない制御構成となっている。
【0076】
太線から延びる一点鎖線で示す状態を説明すると、ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の90%(D1)となるまでは、1800rpmの第2目標エンジン回転数N2でエンジンの駆動制御が行われる。ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の90%(D1)以上となると、目標エンジン回転数Nを上昇させながらポンプ容量Dも増大させていく。そして、ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の95%(D2)以上となると、エンジンの駆動制御は、2100rpmとした第1目標エンジン回転数N1に基づいて制御が行われる。
【0077】
太線の実線で示す状態では、第1目標エンジン回転数N1として2100rpmが設定され、第2目標エンジン回転数N2として1800rpmが設定され、第3目標エンジン回転数N3として1900rpmが設定された状態を示している。そして、ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の90%(D1)となるまでは、1800rpmの第2目標エンジン回転数N2でエンジンの駆動制御が行われる。ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の90%(D1)以上となると、目標エンジン回転数Nを上昇させながらポンプ容量Dも増大させていく。そして、ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の約92%(D3)以上となると、エンジンの駆動制御は、1900rpmとした第3目標エンジン回転数N3に基づいて制御が行われる。
【0078】
即ち、第1目標エンジン回転数N1であって油圧ポンプ6が最大ポンプ容量D2であるときのポンプ流量が、操作される油圧アクチュエータに必要な流量を供給する上で余裕がある場合には、第1目標エンジン回転数N1よりも低い回転数である第3目標エンジン回転数N3を目標エンジン回転数の上限値として設定する。
【0079】
最大ポンプ容量に対してポンプ容量Dに余裕を生じさせると予測される油圧アクチュエータが操作された場合には、太線の実線で示すような制御を行わせることができる。即ち、目標エンジン回転数Nは、ポンプ容量Dが最大ポンプ容量のときに油圧アクチュエータに必要なポンプ流量を確保できる範囲内において、更に低い回転数にすることができる。その結果、油圧アクチュエータの操作に悪影響を与えることなく、燃費低減化効果を大きくすることができる。
【0080】
また、太線の実線で示す状態では、第3目標エンジン回転数N3として、例えば、1900rpmを設定しておけば、油圧アクチュエータの操作に支障を生じさせることがないので、太線の実線から延びた一点鎖線で示すように、第1目標エンジン回転数N1まで、エンジンの回転数を上昇させなくてすむ。
【0081】
第1目標エンジン回転数N1までエンジン回転数を上昇できるようにして、太線の実線から延びた一点鎖線に沿ったエンジンの駆動制御が行われた場合には、太線の実線から延びた一点鎖線上において丸く実線で囲った領域においてもエンジン回転数の制御が行われる。そして、丸く実線で囲った領域においてポンプ容量Dに変動が生じると、ポンプ容量の変動に応じてエンジン回転数も変動してしまうことになる。
【0082】
これに対して、本願発明では、第3目標エンジン回転数N3における太線の実線上において丸く点線で囲った状態でのエンジンの駆動制御を行うことができるので、ポンプ容量Dが変動しても、第3目標エンジン回転数N3は変動しないので、エンジン回転数が変動してしまうのを防止しておくことができる。
【0083】
次に、図6を用いて、第2目標エンジン回転数N2における高速制御領域F2に沿って行われるエンジンの駆動制御及び上述した第1ポンプ容量、第3目標エンジン回転数での駆動制御について説明する。
エンジン2の駆動制御として、油圧ポンプ6のポンプ容量Dが予め設定した第1ポンプ容量D1(図7参照、図6では第1設定位置であるB点)になるまでは、高速制御領域F2に沿った制御が行われる。
【0084】
そして、油圧ポンプ6のポンプ容量Dが、第1ポンプ容量D1以上となったときには、図7に示すように、予め設定してあるポンプ容量Dと目標エンジン回転数Nとの対応関係に基づいて、エンジン2の目標エンジン回転数Nが求められることになる。
【0085】
そして、図7に示すように、エンジン2によって駆動されている油圧ポンプ6のポンプ容量Dが、予め設定した第3ポンプ容量D3(図6では第3設定位置であるC点)以上となったときには、図6に示すように、第3目標エンジン回転数N3における高速制御領域F3に沿ったエンジン2の駆動制御が行われることになる。
【0086】
次に、図8で示した制御フローについて説明を行う。
図8のステップS1において、コントローラ7は燃料ダイヤル4の指令値37を読み取る。コントローラ7が燃料ダイヤル4の指令値37を読み取ると、ステップS2に移る。
ステップS2では、コントローラ7は読み取った燃料ダイヤル4の指令値37に応じて、第1目標エンジン回転数N1を設定し、設定した第1目標エンジン回転数N1に基づいて高速制御領域F1を設定する。
【0087】
尚、読み取った燃料ダイヤル4の指令値37に応じて、エンジン2の第1目標エンジン回転数N1を最初に設定する旨の説明を行っているが、最初に高速制御領域F1を設定して、設定した高速制御領域F1に対応して第1目標エンジン回転数N1を設定することもできる。あるいは、読み取った燃料ダイヤル4の指令値37に応じて、第1目標エンジン回転数N1と高速制御領域F1とを同時に設定することもできる。
【0088】
図6で示すように、第1目標エンジン回転数N1及び高速制御領域F1が設定されると、ステップS3に移る。
ステップS3では、図2で示すコントローラ7の高速制御領域選択演算部32を用いて、第1目標エンジン回転数N1、高速制御領域F1に対応して予め設定してある低い回転域側にある第2目標エンジン回転数N2、目標エンジン回転数N2に対応した高速制御領域F2を決定する。
高速制御領域F2としては、例えば、油圧ショベルの操作レバー11a(図1参照)を操作したときに、高速制御領域F1で制御した場合に比べても、ロードセンシング制御によって操作速度が、殆ど低下することのない高速制御領域として予め設定しておくことができる。
【0089】
即ち、図8のTable1を拡大した図11に示しているように、第1目標エンジン回転数N1と第2目標エンジン回転数N2との対応関係から、第2目標エンジン回転数N2及び高速制御領域F2を設定することができる。尚、Table1で示している回転数の数値は、例示であって建設機械等に応じて適宜設定することができるものである。
【0090】
このようにして、Table1を用いて、燃料ダイヤル4で設定できる各高速制御領域F1に対応して、同高速制御領域F1よりも低い回転域側にある高速制御領域F2を、予めそれぞれの高速制御領域F1に対応した高速制御領域として設定しておくことができる。
高速制御領域F2がコントローラ7によって決定されると、ステップS4に移る。
【0091】
ステップS4では、操作レバー11aの操作情報を読み取って、ステップS5に移る。ステップS5では、ステップS4において読み取った操作レバー11aの操作情報に基づいて、Table2で示す操作レバー11aの操作情報(操作される油圧アクチュエータの種類・組合せ)と第3目標エンジン回転数N3との対応表に基づいて、第3目標エンジン回転数N3を設定する。例えば、複数の操作レバー11aが操作されているときには、複数の操作レバー11aで操作される油圧アクチュエータが要求する最大要求流量の総計を、油圧ポンプ6の最大ポンプ容量によって供給できるようにした第3目標エンジン回転数N3を設定する。
【0092】
具体的に説明すると、操作レバー11aによる操作で走行制御が単独で行われているときには、Table2に基づいて第3目標エンジン回転数N3として最大1900rpmを選択することができる。複数の操作レバー11aによる操作で走行制御とバケット制御とが行われているときには、Table2に基づいて第3目標エンジン回転数N3として2500rpmを選択することができる。
【0093】
ステップS6では、ステップS5においてTable2を用いて設定した第3目標エンジン回転数N3に対応させて、Table3の目標エンジン回転数Nの上限値設定を行う。例えば、操作レバー11aによる操作で走行制御が単独で行われているときには、Table2に基づいて第3目標エンジン回転数N3として1900rpmを選択することができる。そして、Table3の目標エンジン回転数Nの上限値として1900rpmを設定することになる。
【0094】
複数の操作レバー11aによる操作で走行制御とバケット制御とが行われているときには、Table2において、2500rpmの第3目標エンジン回転数N3を選択することができる。そして、Table3の目標エンジン回転数Nの上限値として2500rpmを設定することになる。
【0095】
コントローラ7は、第2目標エンジン回転数N2が設定されると、図6の細かい点線で示すように、ポンプ吸収トルクとエンジン出力トルクとのマッチングが高速制御領域F2上で行われるように燃料噴射装置3の制御を開始する。
【0096】
次に、ステップS8からの制御又はステップS11からの制御が行われる。検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nでエンジン2の駆動制御が行われるときには、ステップS8からステップS10の制御が行われる。検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nでエンジン2の駆動制御が行われるときには、ステップS11からステップS14の制御が行われる。
【0097】
最初に、ステップS8からステップS10における、検出したポンプ容量に対応した目標エンジン回転数を求める制御ステップについて説明する。
ステップS8では、斜板角センサ39で検出した油圧ポンプ6のポンプ容量Dを読み取る。ステップS8において、ポンプ容量Dを読み取るとステップS9に移動する。ポンプ容量Dの求め方としては、上述したようにポンプ吐出圧Pと吐出容量D(ポンプ容量D)とエンジン出力トルクT(エンジン出力トルクT)との関係等から求めることもできる。
【0098】
ステップS9における、検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nを求める制御の概略は次の通りである。即ち、Table3の拡大図である図7で示すように、エンジンの駆動制御が第2目標エンジン回転数N2に基づいて制御されているときには、油圧ポンプ6のポンプ容量Dが所定の第1ポンプ容量D1になるまでは、第2目標エンジン回転数N2に基づいた制御が行われる。
【0099】
検出した油圧ポンプ6のポンプ容量Dが、第1ポンプ容量D1以上となったときには、図7で示すような予め設定したポンプ容量Dと目標エンジン回転数Nとの対応関係に基づいて、検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nが求められることになる。そして、油圧ポンプ6のポンプ容量Dnが検出されたときには、エンジン2の駆動制御としては、求めた目標エンジン回転数Nnとなるように制御されることになる。
【0100】
その後、ポンプ容量Dnの状態からポンプ容量Dn+1の状態に変化したことが検出されれば、図7からポンプ容量Dn+1に対応した目標エンジン回転数Nn+1が新たに求められる。そして、新たに求められた目標エンジン回転数Nn+1となるようにエンジン2に対する駆動制御が行われる。
【0101】
このように、目標エンジン回転数Nnが、第3目標エンジン回転数N3と第2目標エンジン回転数N2との間にあるときには、検出したポンプ容量Dnに対応した目標エンジン回転数Nnを常に求めていくことになり、求めた目標エンジン回転数Nnでエンジン2の駆動を常に制御することになる。尚、この制御において、高速制御領域選択演算部32は、第2目標エンジン回転数を下限値として、検出手段で検出されるポンプ容量に対応した目標エンジン回転数を設定する第2設定手段としての機能を備えている。
【0102】
更に、この制御において、高速制御領域選択演算部32は、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数の上限値として、前記操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類又は前記操作レバーにより操作される前記複数の油圧アクチュエータの組合せに応じて、前記第2目標エンジン回転数以上で前記第1目標エンジン回転数以下の第3目標エンジン回転数を設定する第2設定手段としての機能を備えている。
【0103】
そして、検出したポンプ容量Dが第3ポンプ容量D3となったときには、第3目標エンジン回転数N3における高速制御領域F3に沿って、エンジン2の駆動制御が行われることになる。そして、高速制御領域F3に沿ったエンジン2の駆動制御が行われているときには、油圧ポンプ6のポンプ容量Dが第3ポンプ容量D3より小さくなるまでは、高速制御領域F3に沿ったエンジン2の駆動制御が行われ続けることになる。そして、図6で示すように最大トルク線Rにまで達した場合には、最大トルク線Rに沿ったエンジン制御が行われることになる。
【0104】
図8に戻って、制御ステップS9についての説明を続ける。ステップS9において、Table3で示す予め設定したポンプ容量Dと目標エンジン回転数Nとの対応関係に基づいて、検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nが求められると、ステップS10に移る。
【0105】
ステップS10では、油圧ポンプ6のポンプ容量の変化率、ポンプ吐出圧力の変化率、あるいはエンジン出力トルクTの変化率に応じて、目標エンジン回転数Nの値を修正する。即ち、これらの変化率、即ち、増加する度合いが高いときには、目標エンジン回転数Nを高め側に修正させることもできる。しかし、目標エンジン回転数Nを高め側に修正させたとしても、第3目標エンジン回転数N3を超えさせない。
尚、ステップS10として、目標エンジン回転数Nの値を修正する制御ステップを記載しているが、ステップS10の制御を飛ばすように構成しておくこともできる。
【0106】
次に、ステップS11からステップS14における、検出したエンジン出力トルクに対応した目標エンジン回転数を求める制御ステップについて説明する。
ステップS11において、斜板角センサ39からの検出信号とポンプ圧力センサ38からの検出信号を読み取ると、ステップS12に移動する。
ステップS12では、ステップS11において読み取ったポンプ容量及びポンプ圧力の検出信号に基づいて、エンジン出力トルクTを算出する。エンジン出力トルクTが算出されるとステップS13に移動する。
【0107】
ステップS13における、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nを求める制御の概略は次の通りである。即ち、図8のTable4の拡大図である図10で示すように、エンジンの駆動制御が、第2目標エンジン回転数N2に基づいて制御されているときには、検出されたエンジン出力トルクTが、所定の第1エンジン出力トルクT1になるまでは、第2目標エンジン回転数N2に基づいた制御が行われる。
【0108】
検出されたエンジン出力トルクTが、第1エンジン出力トルクT1以上となったときには、図10で示すような予め設定したエンジン出力トルクTと目標エンジン回転数Nとの対応関係に基づいて、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nが求められることになる。そしてこのときには、エンジン2の駆動制御としては、求めた目標エンジン回転数Nとなるように制御されることになる。
【0109】
例えば、現時点における検出したエンジン出力トルクTが、エンジン出力トルクTnであるときには、目標エンジン回転数Nとしては目標エンジン回転数Nnが求められる。そして、エンジン出力トルクTが、エンジン出力トルクTnの状態からエンジン出力トルクTn+1の状態に変化したことが検出されれば、図10からエンジン出力トルクTn+1に対応した目標エンジン回転数Nn+1が新たに求められる。そして、新たに求められた目標エンジン回転数Nn+1となるようにエンジン2に対する駆動制御が行われる。
【0110】
尚、エンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nの上限値は、第1目標エンジン回転数N1より小さい第3目標エンジン回転数N3に設定しないことが好ましい。エンジン出力トルクTが上昇した場合には、第3目標エンジン回転数N3よりも高い回転数である第1目標エンジン回転数N1を上限値に設定した方が、ポンプ容量を小さくしても、より多くのポンプ流量を確保することができる。
【0111】
従って、第1目標エンジン回転数N1を上限値に設定した方がポンプ容量を小さくすることができるので、同じエンジン出力トルクTであってもより大きなポンプ圧まで仕事ができる。言い換えると、図12に示す最大馬力点(K1)を通過するようにエンジンを制御する方が、作業者はより多くの作業量を確保できる。即ち、エンジン出力トルクTが高くなるような状況では、第1目標エンジン回転数N1を目標エンジン回転数Nの上限値とすることによって、最大馬力点(K1)を通過したエンジンの駆動制御を行い、より多くの仕事量を確保できる。
【0112】
図8に戻って、制御ステップS13についての説明を続ける。ステップS13において、予め設定したエンジン出力トルクTと目標エンジン回転数Nとの対応関係に基づいて、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nが求められると、ステップS14に移る。
【0113】
ステップS14では、油圧ポンプ6のポンプ容量の変化率、ポンプ吐出圧力の変化率、あるいはエンジン出力トルクTの変化率に応じて、目標エンジン回転数Nの値を修正する。即ち、これらの変化率、即ち、増加する度合いが高いときには、目標エンジン回転数Nを高回転数側の目標エンジン回転数に修正させることもできる。
尚、ステップS14として、目標エンジン回転数Nの値を修正する制御ステップを記載しているが、ステップS11の制御を飛ばすように構成しておくこともできる。
【0114】
検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nと、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nとのうちで、回転数の高い方の目標エンジン回転数を使う場合には、ステップS8〜ステップS10の制御とステップS11〜ステップS14の制御とが両方行われる。この場合には、ステップS10及びステップS14に引き続いてステップS15の制御が行われる。
【0115】
検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nによって、エンジン2の駆動制御を行う場合や、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nによって、エンジン2の駆動制御を行う場合には、ステップS15の制御を飛ばしてステップS16に移動する。
【0116】
ステップS15では、検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nと、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nとのうちで、回転数の高い方の目標エンジン回転数が選択される。高い方の目標エンジン回転数が選択されると、ステップS16に移動する。
【0117】
ステップS16では、高速制御領域選択演算部32は、目標エンジン回転数Nを用いてエンジンの駆動制御を行わせるため、図2で示す高速制御領域選択演算部32から出力される。尚、この制御において、高速制御領域選択演算部32は、第2設定手段から求めた目標エンジン回転数となるように燃料噴射装置を制御する制御手段としての機能を備えている。
ステップS16での制御が行われるとステップS1での制御に戻って制御が繰り返し行われることになる。
【0118】
このように本発明では、低い回転域側の第2目標エンジン回転数N2に基づいて、エンジンの回転を制御することができ、しかも、操作される油圧アクチュエータの種類又は操作される複数の油圧アクチュエータの組合せによって、目標エンジン回転数の上限値として第3目標エンジン回転数N3によるエンジンの駆動制御を行わせることができる。このように、ポンプ容量の余裕度を考慮した状態でエンジンの駆動制御を行わせることができ、燃費効率を高め、作業機を操作する上で必要とする作業速度を充分に得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、建設機械のエンジンに対するエンジン制御に対して、本発明の技術思想を適用することができる。
【符号の説明】
【0120】
2・・・エンジン、3・・・燃料噴射装置、4・・・燃料ダイヤル(指令手段)、6・・・可変容量型油圧ポンプ、7・・・コントローラ、8・・・ポンプ制御装置、9・・・制御弁、10・・・油圧アクチュエータ、11・・・操作レバー装置、11a・・・操作レバー、12・・・サーボシリンダ、17・・・LS弁、32・・・高速制御領域選択演算部、34・・・操作される油圧アクチュエータの種類・組合せ判別部、40・・・圧力センサ、F1〜F3,Fa〜Fc・・・高速制御領域、B・・・第1設定位置、C・・・第3設定位置、Nh・・・定格回転数、K1・・・最大馬力点、K4・・・最大トルク点、R・・・最大トルク線、M・・・等燃費曲線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定したエンジンの目標エンジン回転数に基づいてエンジンの駆動制御を行うエンジンの制御装置に関し、特に、エンジンの燃料消費量の改善を図ったエンジンの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設機械では、ポンプ吸収トルクがエンジンの定格トルク以下の場合には、エンジン回転数とエンジン出力トルクとの関係を示すエンジン出力トルク特性ラインにおける高速制御領域でエンジン出力トルクとポンプ吸収トルクとのマッチングが行われている。例えば、燃料ダイヤルでの設定に対応して目標エンジン回転数が設定され、設定された目標エンジン回転数に対応した高速制御領域が定められる。
【0003】
あるいは、燃料ダイヤルでの設定に対応して高速制御領域が定められ、定められた高速制御領域に対応してエンジンの目標エンジン回転数が設定される。そして、定められた高速制御領域で、ポンプ吸収トルクとエンジン出力トルクとをマッチングさせる制御が行われる。
【0004】
一般的に多くの作業者は、作業量を上げるため、目標エンジン回転数をエンジンの定格回転数またはその近傍の回転数となるように設定することが多い。ところで、エンジンの燃料消費量が少ない領域、即ち、燃費の良い領域は、通常、エンジン出力トルク特性ライン上では中速回転数領域や高トルク領域に存在している。このため、無負荷ハイアイドル回転から定格回転の間で定められる高速制御領域は、燃費の面からみると効率の良い領域とはなっていない。
【0005】
従来、エンジンを燃費の良い領域で駆動させるため、作業モード毎にエンジンの目標エンジン回転数の値とエンジンの目標出力トルクの値とを予め対応付けて設定し、複数の作業モードを選択できるようにした制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この種の制御装置では、作業者が、例えば、第2の作業モードを選択した場合には、第1の作業モードに比べて、エンジンの回転数を低く設定することができ、燃費を改善することができる。
【0006】
しかしながら、上述したような作業モード切換方式を用いた場合には、作業者がモード切換手段を一々操作していかなければ、燃費の改善を行うことができない。また、第2の作業モードを選択したときのエンジン回転数を、第1の作業モードを選択したときのエンジン回転数に対して、一律に下げた回転数の値となるように設定しておいたときには、第2の作業モードが選択されると、次のような問題が起きてしまう。
【0007】
即ち、建設機械の作業装置(以下、作業機という。)における最大速度は、第1の作業モードを選択した場合に比べて低下してしまう。この結果、第1の作業モードを選択したときの作業量に比べて、第2の作業モードを選択したときの作業量は少なくなってしまう。
【0008】
このような問題を解決するため、出願人はエンジンの制御装置及びその制御方法(特許文献2)を既に出願している。このエンジン制御装置の発明によって、ポンプ容量及びエンジン出力トルクが低い状態のときには、設定した第1目標エンジン回転数よりも低い回転域側にある第2目標エンジン回転数に基づいて、エンジンの駆動制御を行い、エンジンによって駆動される可変容量型油圧ポンプのポンプ容量又は検出したエンジン出力トルクに対応して予め設定した目標エンジン回転数となるように、エンジンの駆動制御を行うことができる。
【0009】
特に、上述したエンジン制御装置の発明によって、エンジンの燃費を向上させることができ、作業機が必要とするポンプ吐出量を確保しながらも、エンジン回転数を非常に滑らかに変化させることができる。しかも、エンジン回転音が不連続に変化する違和感を防止することができる、といった効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−273919号公報
【特許文献2】国際公開第2009/104636号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2として紹介したエンジン制御装置の発明では、燃料指令ダイヤルなどで指示した第1目標エンジン回転数からエンジンの駆動制御を開始する代わりに、第1目標エンジン回転数よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数からエンジンの駆動制御を開始させている。
【0012】
第2目標エンジン回転数からのエンジンの駆動制御中にポンプ容量が所定のポンプ容量以上になったときには、第2目標エンジン回転数での駆動制御から第1目標エンジン回転数での駆動制御に移行させている。
【0013】
ところで、最大ポンプ容量に対するポンプ容量の余裕度は、どの油圧アクチュエータを操作するのか、或いは、どの油圧アクチュエータを複数同時に操作するのかによって異なっている。例えば、掘削作業をバケット単独で行わせるときには、バケットを作動する油圧アクチュエータに供給する圧油流量としてはそれ程多くを必要としない。逆に、バケット操作とアーム操作とを同時に行わせるときには、それぞれの油圧アクチュエータに供給する圧油流量の総量としてはより多くの圧油流量を必要とする。
【0014】
油圧アクチュエータに圧油流量を供給する上で、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕があるときに、目標エンジン回転数を下げずにエンジンの駆動制御を行うと、目標エンジン回転数を下げた場合に比べて燃料消費量は多くなる。油圧アクチュエータに圧油流量を供給する上で最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕がないときには、ポンプ容量としては直ぐに、第2目標エンジン回転数での駆動制御から第1目標エンジン回転数での駆動制御に移行させるときの判断条件となる所定のポンプ容量以上になってしまう。そのため、エンジンの駆動制御を開始した早い段階から、第2目標エンジン回転数での駆動制御から第1目標エンジン回転数での駆動制御に移行してしまうことになる。
【0015】
そして、油圧アクチュエータに圧油流量を供給する上で最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕がないときには、第1目標エンジン回転数に近いエンジン回転数でエンジンが動作してしまうことになり、燃費低減を図ることができなくなる。更に、ポンプ容量が僅かに変化しただけでも、目標エンジン回転数としては、第1目標エンジン回転数と第2目標エンジン回転数との間で行き来してしまうことになる。その結果、建設機械は、油圧アクチュエータの動作が不安定になったり、燃料消費量が多くなってしまう。
【0016】
本願発明は、上述した特許文献2の発明を更に改良することを目的としたものであり、操作される油圧アクチュエータの種類、操作される複数の油圧アクチュエータの組合せに応じて、目標エンジン回転数の上限値を設定することができる。そして、油圧アクチュエータの操作に悪影響を与えることなく、油圧アクチュエータの操作において必要とする圧油流量を確保することができ、しかも、より効率的にエンジンの駆動制御を低燃費で行えるエンジンの制御装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の課題は、エンジンの制御装置に係わる第1発明から第4発明により、好適に達成することができる。
即ち、本願第1発明におけるエンジンの制御装置では、エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの吐出圧油により駆動される複数の油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから吐出した圧油を制御して前記複数の油圧アクチュエータにそれぞれ給排する複数の制御弁と、前記複数の制御弁を制御する少なくとも一つの操作レバーと、前記油圧ポンプのポンプ容量を検出する検出手段と、前記エンジンに供給する燃料を制御する燃料噴射装置と、
可変に指令できる指令値の中から一つの指令値を選択して指令する指令手段と、前記指令手段で指令された指令値に応じて第1目標エンジン回転数を設定し、前記第1目標エンジン回転数に基づいて、前記第1目標エンジン回転数よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数を設定する第1設定手段と、前記第2目標エンジン回転数を下限値として、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数を設定する第2設定手段と、
前記第2設定手段から求めた目標エンジン回転数となるように前記燃料噴射装置を制御する制御手段と、を備え、
前記第2設定手段は、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数の上限値として、前記操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類又は前記操作レバーにより操作される前記複数の油圧アクチュエータの組合せに応じて、前記第2目標エンジン回転数以上で前記第1目標エンジン回転数以下の第3目標エンジン回転数を設定することを最も主要な特徴となしている。
【0018】
また、本願第2発明では、前記第3目標エンジン回転数は、前記操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類によって要求される最大要求流量又は前記操作レバーにより操作される前記複数の油圧アクチュエータの組合せによって要求される最大要求流量に応じて、設定されてなることを主要な特徴としている。
【0019】
更に、本願第3発明では、前記第3目標エンジン回転数は、前記第2目標エンジン回転数と同じ回転数に設定されてなることを主要な特徴としている。
更にまた、本願第4発明では、エンジン出力トルクを検出する検出手段を更に備え、前記第2設定手段は、前記第2目標エンジン回転数を下限値とし前記第3目標エンジン回転数を上限値としたときの、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数と、前記第2目標エンジン回転数を下限値とし前記第1目標エンジン回転数を上限値としたときの、エンジン出力トルクに対応した目標エンジン回転数と、のうちでいずれか高い目標エンジン回転数を設定することを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明におけるエンジンの制御装置では、第1目標エンジン回転数よりも低い第2目標エンジン回転数を設定しているので、エンジンを低い回転域側で回転駆動させることができる。しかも、目標エンジン回転数の上限値である第3目標エンジン回転数は、操作される油圧アクチュエータの種類・組合せに応じて設定することができる。
【0021】
即ち、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕を生じさせると予測される油圧アクチュエータが操作されたときは、第1目標エンジン回転数より低い回転数である第3目標エンジン回転数を目標エンジン回転数の上限値として用いることによって、燃費低減を図ることができる。更に、ポンプ容量が変動する領域は、目標エンジン回転数が第3目標エンジン回転数で一定となっている領域である。そのため、ポンプ容量の変動に応じてエンジン回転数に変動が生じない。
【0022】
また、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕を生じさせないと予測される油圧アクチュエータが操作されたときは、第1目標エンジン回転数を目標エンジン回転数の上限値として用いることができる。これによって、第1目標エンジン回転数でエンジンの駆動制御を行うことができるので流量不足を生じない。
【0023】
また、本願第2発明のように構成しておくことによって、常に、操作レバーで操作される油圧アクチュエータが必要とする圧油流量又は操作レバーで操作される複数の油圧アクチュエータが必要とするトータルの圧油流量を、油圧ポンプから吐出させることができる。しかも、このときには、油圧ポンプが必要とするポンプ吸収トルクを確保しておくことができるので、第1目標エンジン回転数を設定した作業者の意図に応じることができ、油圧アクチュエータの操作性に違和感がない。
【0024】
また、本願第3発明のように構成しておくことによって、特に、ポンプ容量に余裕がある場合には、エンジンを低い回転領域で回転駆動させることができるので、燃費を大幅に向上させることができる。
【0025】
更に、本願第4発明のように構成しておくことによって、エンジン出力トルクが高くなるような状況では、第1目標エンジン回転数を上限値とすることによって、エンジンの最大馬力を利用した作業を行うことができるので、より多くの仕事量を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係わる油圧回路図である。(実施例)
【図2】コントローラのブロック図である。(実施例)
【図3】操作レバーに応じて第3目標エンジン回転数を設定する説明図である。(実施例)
【図4】エンジン回転数とエンジン出力トルクとの関係を示した図である。(説明例)
【図5】エンジン出力トルク特性ラインである。(実施例)
【図6】エンジン出力トルクを増加させるときのエンジン出力トルク特性ラインである。(実施例)
【図7】ポンプ容量と目標エンジン回転数との関係を示した図である。(実施例)
【図8】本発明に係わる制御フロー図である。(実施例)
【図9】第1目標エンジン回転数から第3目標エンジン回転数の関係を示した図である。(実施例)
【図10】エンジン出力トルクと目標エンジン回転数との関係を示した図である。(実施例)
【図11】第1目標エンジン回転数と第2目標エンジン回転数の関係を示した図である。(実施例)
【図12】エンジン回転数とエンジン出力トルクとの関係を示した図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本発明のエンジンの制御装置は、油圧ショベル、ブルドーザ、ホイールローダなどの建設機械に搭載されるエンジンを制御する制御装置として好適に適用することができるものである。
【0028】
また、本発明のエンジンの制御装置としては、以下で説明する形状、構成以外にも本発明の課題を解決することができる形状、構成であれば、それらの形状、構成を採用することができるものである。このため、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例】
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係わるエンジンの制御装置における油圧回路図である。エンジン2はディーゼルエンジンであり、そのエンジン出力トルクの制御は、エンジン2のシリンダ内に噴射する燃料の量を調整することによって行われる。この燃料の調整は、従来から公知の燃料噴射装置3によって行うことができる。
【0030】
エンジン2の出力軸5には可変容量型油圧ポンプ6(以下、油圧ポンプ6という。)が連結されており、出力軸5が回転することにより油圧ポンプ6が駆動される。油圧ポンプ6の斜板6aの傾転角は、ポンプ制御装置8によって制御され、斜板6aの傾転角が変化することで油圧ポンプ6のポンプ容量D(cc/rev)が変化する。
【0031】
ポンプ制御装置8は、斜板6aの傾転角を制御するサーボシリンダ12と、ポンプ圧と油圧アクチュエータ10の負荷圧との差圧に応じて制御されるLS弁(ロードセンシング弁)17と、から構成されている。サーボシリンダ12は、斜板6aに作用するサーボピストン14を備えており、油圧ポンプ6から吐出された油圧が、油路27a、27bを介して供給されている。LS弁17は、油路27aの油圧(ポンプ吐出圧)とパイロット油路28の油圧(油圧アクチュエータ10の負荷圧)との差圧に応じて作動し、サーボピストン14を制御する構成となっている。
【0032】
サーボピストン14の制御によって、油圧ポンプ6における斜板6aの傾転角が制御される。また、操作レバー11aの操作量に応じて操作レバー装置11から出力されるパイロット圧によって制御弁9が制御されることで、油圧アクチュエータ10に供給する流量が制御されることになる。このポンプ制御装置8は、公知のロードセンシング制御装置によって構成することができる。
【0033】
油圧ポンプ6から吐出された圧油は、吐出油路25を通って制御弁9に供給される。制御弁9は、5ポート3位置に切換えることのできる切換弁として構成されており、制御弁9から出力する圧油を油路26a、26bに対して選択的に供給することで、油圧アクチュエータ10を作動させることができる。
【0034】
尚、油圧アクチュエータとしては、例示した油圧シリンダ型の油圧アクチュエータに限定されて解釈されるものではなく、油圧モータでもよく、また、ロータリー型の油圧アクチュエータとして構成することもできる。また、制御弁9と油圧アクチュエータ10との組を2組だけ例示しているが、制御弁9と油圧アクチュエータ10との組は、3組以上で構成うこともできる。また、一つの制御弁で複数の油圧アクチュエータを操作するように構成することもできる。
【0035】
また、操作レバー装置11として、操作レバー11aを作業者からみて前後及び左右の2つの操作方向に操作できるよう構成し、それぞれの操作方向によって、異なる制御弁を切り換えられるように構成することができる。
【0036】
操作レバー装置11で操作される油圧アクチュエータ、即ち、例えば建設機械として油圧ショベルを例に挙げて油圧アクチュエータを説明すれば、ブーム用油圧シリンダ、アーム用油圧シリンダ、バケット用油圧シリンダ、左走行用油圧モータ、右走行用油圧モータ及び旋回モータ等が、油圧アクチュエータとして用いられることになる。図1ではこれらの各油圧アクチュエータのうちで、例えば、アーム用油圧シリンダとブーム用油圧シリンダを代表させて示していることになる。
【0037】
操作レバー11aを中立位置から操作したとき、操作レバー11aの操作方向及び操作量に応じて、操作レバー装置11からはパイロット圧が出力される。出力されたパイロット圧は、制御弁9の左右のパイロットポートのいずれかに加えられることになる。これにより、制御弁9は、中立位置である(II)位置から左右の(I)位置又は(III)位置に切換えられる。
【0038】
制御弁9が(II)位置から(I)位置に切換えられると、油圧ポンプ6からの吐出圧油を、油路26bから油圧アクチュエータ10のボトム側に供給することができ、油圧アクチュエータ10のピストンを伸長させることができる。このとき、油圧アクチュエータ10のヘッド側における圧油は、油路26aから制御弁9を通ってタンク22に排出されることになる。
【0039】
同様に、制御弁9が(III)位置に切換えられると、油圧ポンプ6からの吐出圧油は、油路26aから油圧アクチュエータ10のヘッド側に供給することができ、油圧アクチュエータ10のピストンを縮小させることができる。このとき、油圧アクチュエータ10のボトム側における圧油は、油路26bから制御弁9を通ってタンク22に排出されることになる。
ここで、油圧アクチュエータ10のヘッド側とは、油圧シリンダのロッド側の油室をいう。また、油圧アクチュエータ10のボトム側とは、油圧シリンダのロッドの反対側の油室をいう。
【0040】
吐出油路25の途中からは、油路27cが分岐しており、油路27cにはアンロード弁15が配設されている。アンロード弁15はタンク22に接続しており、油路27cを遮断する位置と連通する位置とに切換えることができる。油路27cにおける油圧は、アンロード弁15を連通位置に切換える押圧力として作用する。
【0041】
また、油圧アクチュエータ10の負荷圧が作用するパイロット油路28のパイロット圧及びバネの押圧力は、アンロード弁15を遮断位置に切換える押圧力として作用する。そして、アンロード弁15は、パイロット油路28のパイロット圧及びバネの押圧力と、油路27cにおける油圧との差圧によって制御されることになる。
【0042】
コントローラ7は、例えば、プログラムメモリやワークメモリとして使用される記憶装置と、プログラムを実行するCPUと、を有するコンピュータにより実現することができる。そして、コントローラ7の記憶装置には、図8に示すTable1〜Table4、図7に示す対応関係、及び図8のような対応関係等が記憶されている。
【0043】
次に、コントローラ7の制御について、図2のブロック図を用いて説明する。図2において、コントローラ7内の高速制御領域選択演算部32には、燃料ダイヤル4の指令値37が入力されるとともに、ポンプトルク演算部31で演算した油圧ポンプ6が必要とするポンプトルクの指令値、油圧ポンプ6の斜板角に対応するポンプ容量、及び操作される油圧アクチュエータの種類・組合せ判別部34からの判別結果が入力される。
【0044】
ポンプトルク演算部31には、ポンプ圧力センサ38で検出した油圧ポンプ6から吐出したポンプ圧力(ポンプ吐出圧)と、油圧ポンプ6の斜板角を指令する斜板角指令値演算部30で演算した油圧ポンプ6の斜板角とが入力される。ポンプトルク演算部31では、入力した油圧ポンプ6の斜板角と油圧ポンプ6のポンプ圧力とから、油圧ポンプ6が必要とするポンプトルクの指令値(エンジン出力トルクの指令値)を演算する。
【0045】
即ち、一般に、油圧ポンプ6のポンプ吐出圧P(ポンプ圧力P)と吐出容量D(ポンプ容量D)とエンジン出力トルクTとの関係は、T=P・D/200πとして表すことができる。
この関係式から、斜板角指令演算部30では、エンジン2によって駆動されている油圧ポンプ6の回転数をエンジン回転数として検出し、油圧ポンプ6からの吐出圧であるポンプ圧力をポンプ圧力センサ38によって検出することで、エンジン出力トルク(ポンプトルク)を演算することができる。
【0046】
ポンプトルク演算部31において演算する油圧ポンプ6が必要とするポンプトルクの指令値(エンジン出力トルクの指令値)は、ポンプ圧力の検出値と斜板角指令演算部30で演算した指令値とを用いて演算する代わりに、ポンプ圧力センサ38の検出値(ポンプ圧力P)と斜板角センサ39の検出値(ポンプ容量D)とを用いて演算することもできる。
ポンプ圧力の検出値と斜板角センサ39の検出値とを用いてポンプトルク演算部31で演算する方法は、図2においては点線矢印を用いて示している。
【0047】
斜板角指令演算部30での演算は、ポンプ圧力センサ38で検出したポンプ圧力Pと、エンジン回転センサ20からの検出値とを用いて演算することができる。斜板角指令演算部30での演算結果は、ポンプトルク演算部31に入力されることになる。即ち、ポンプ圧力Pと油圧ポンプ6の回転数とから、そのときの油圧ポンプ6のポンプ容量Dを演算することができ、ポンプ容量Dに対応したポンプ斜板角を演算することができる。
【0048】
操作される油圧アクチュエータの種類・組合せ判別部34では、図3に示すように複数の操作レバー装置11が操作されると、操作レバー装置11から出力されたパイロット圧を圧力センサ40で検出した信号が入力され、作業者によってどの操作レバー装置11の操作レバー11aが操作されたのかを判別することができる。即ち、操作レバー11aが単独で操作されている場合には、操作されている操作レバー11aの種類を、また、複数の操作レバー11aが操作されている場合には、どの組合せで操作レバー11aがそれぞれ操作されているのかを、判別することができる。
【0049】
高速制御領域選択演算部32では、エンジン2の駆動制御を行わせる高速制御領域指令値33をエンジン2に指令させる。
尚、ポンプ圧力センサ38は、図1の吐出油路25におけるポンプ圧力を検出できるよう構成している。また、斜板角センサ39は、油圧ポンプ6の斜板角を検出するセンサとして構成している。
【0050】
ポンプトルク演算部31では、図4に示したようなエンジン出力トルクTとエンジン回転数Nとの関係図等を用いて、ポンプトルク演算部31に入力された値を用いてエンジン出力トルク(ポンプトルク)を演算することができる。
【0051】
図4で示すように、その時点における目標エンジン回転数Nn、即ち、目標エンジン回転数Nnに対応して燃料ダイヤル4の指令値37によって設定された高速制御領域Fn上において、エンジン回転センサ20で検出したその時点でのエンジン回転数Nrとの交点から、その時点におけるエンジンの推定トルクTgを求めることができる。
尚、ポンプトルク演算部31では、図示せぬエンジン出力トルク指令値とエンジン回転センサ20で検出したエンジン回転数とから、その時点におけるエンジン出力トルクを演算することもできる。
【0052】
ポンプトルク演算部31では、斜板角センサ39で検出したポンプ容量と、ポンプ圧力センサ38で検出したポンプ吐出圧とから、油圧ポンプ6の出力トルクを演算し、同演算した出力トルクを、その時点でのエンジン出力トルクとして求めることもできる。尚、ポンプトルク演算部31、ポンプ圧力センサ38、斜板角指令値演算部30、エンジン回転数センサ20、及び斜板角センサ39は、これらの組合せによって、油圧ポンプのポンプ容量を検出する検出手段と、エンジン出力トルクを検出する検出手段としての機能を備えることになる。
【0053】
ここで、作業者が指令手段としての燃料ダイヤル4を操作して、可変に指令できる指令値の中から一つの指令値を選択すると、選択した指令値に対応した第1目標エンジン回転数を設定することができる。このようにして設定した第1目標エンジン回転数に応じて、ポンプ吸収トルクとエンジン出力トルクとをマッチングさせる高速制御領域を設定することができる。
【0054】
即ち、図5で示すように、燃料ダイヤル4の操作に応じて第1目標エンジン回転数である目標エンジン回転数Nb(N´b)が設定されると、第1目標エンジン回転数Nb(N´b)に応じた高速制御領域Fbが選択されることになる。このとき、エンジンの目標エンジン回転数は、回転数Nb(N´b)となる。
【0055】
尚、目標エンジン回転数N´bは、目標エンジン回転数を回転数Nbに制御するときにおける、無負荷時のエンジンの摩擦トルクと油圧系のロストルクとの合計値とエンジン出力トルクとがマッチングする点として定まることになる。そして、実際のエンジン制御においては、目標エンジン回転数N´bとマッチング点Kbとを結んだ線を、高速制御領域Fbとして設定することになる。
【0056】
以下では、目標エンジン回転数N´bが目標エンジン回転数Nbよりも高い回転数側にある例を用いて説明を行うが、目標エンジン回転数N´bと目標エンジン回転数Nbとを一致させることも、目標エンジン回転数N´bを目標エンジン回転数Nbよりも低い回転数側に持ってくるように構成することもできる。また、以下の説明において、例えば目標エンジン回転数Nc(N´c)のように、ダッシュ付きの回転数N´cを記載するが、ダッシュ付きの回転数N´cは、上述した説明のとおりである。
【0057】
また、作業者が燃料ダイヤル4を操作して、最初に選択した第1目標エンジン回転数Nbより低い新たな第1目標エンジン回転数Ncを設定すると、高速制御領域としては低い回転域側における高速制御領域Fcが設定されることになる。
【0058】
このように、燃料ダイヤル4が設定されることにより、燃料ダイヤル4で選択できる第1目標エンジン回転数に対応して、一つの高速制御領域を設定することができる。即ち、燃料ダイヤル4を選択することによって、例えば、図5で示すように最大馬力点K1を通る高速制御領域Faと、同高速制御領域Faから低い回転域側における複数の高速制御領域Fb、Fc、・・・の中から任意の高速制御領域、あるいは、これらの高速制御領域の中間にある任意の高速制御領域を設定することができる。
【0059】
図6のエンジン出力トルク特性ラインにおいて最大トルク線Rで規定される領域が、エンジン2が出し得る性能を示している。エンジン2の出力(馬力)が最大になるところは、最大トルク線R上の最大馬力点K1である。Mはエンジン2の等燃費曲線を示しており、等燃費曲線の中心側が燃費最小領域となっている。最大トルク線R上のK4は、エンジン2のトルクが最大である最大トルク点を示している。
【0060】
以下では、燃料ダイヤル4の指令値37に対応してエンジンの最大目標エンジン回転数である第1目標エンジン回転数N1が設定され、第1目標エンジン回転数N1に対応して、最大馬力点K1を通る高速制御領域F1が設定された場合を例に挙げて説明する。
【0061】
尚、図1で示した燃料ダイヤル4の指令値37に対応して、エンジン回転数として定格回転数となる第1目標エンジン回転数N1(図5では、定格回転数をNhとして表示しているが、図6では第1目標エンジン回転数N1は定格回転数でもある。)、第1目標エンジン回転数N1に対応した最大馬力点K1を通る高速制御領域F1が、設定された場合についての説明を以下で行うが、本発明は最大馬力点K1を通る高速制御領域F1が設定された場合に限定されるものではない。例えば、設定された第1目標エンジン回転数に対応した高速制御領域として、図5における複数の高速制御領域Fb、Fc、・・・の中から、あるいは、複数の高速制御領域Fb、Fc、・・・の中間における任意の高速制御領域を設定した場合であったとしても、設定した各高速制御領域に対して本発明を好適に適用することができる。
【0062】
図6は、エンジン出力トルクが増大していくときの様子を示している。本願発明では、作業者が燃料ダイヤル4での指令値に対応して設定した第1目標エンジン回転数N1に応じて、高速制御領域F1を設定することができる。そして、第1目標エンジン回転数N1よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数N2を設定し、第2目標エンジン回転数N2に応じた高速制御領域F2に基づいて、エンジンの駆動制御を開始させている。
【0063】
尚、図2で示した高速制御領域選択演算部32は、燃料ダイヤル4の指令値37で設定した第1目標エンジン回転数N1から第2目標エンジン回転数N2を設定する第1設定手段としての機能を備えている。
【0064】
そして、高速制御領域F2に基づいたエンジンの駆動制御を行っているときに、油圧ポンプ6のポンプ容量が、予め設定した所定の第1ポンプ容量D1(図7参照、図6では、第1ポンプ容量D1の位置を第1設定位置Bとして示している。)以上となったときは、高速制御領域F2と高速制御領域F3との間において、ポンプ容量Dnに対応した目標エンジン回転数Nnを常に求めていくようなエンジンの駆動制御を行う構成となっている。
【0065】
高速制御領域F3は、第3目標エンジン回転数N3に応じた高速制御領域として設定することができる。第3目標エンジン回転数N3は、目標エンジン回転数の上限値として、第1目標エンジン回転数N1以下で第2目標エンジン回転数N2以上に設定することができる。第3目標エンジン回転数N3は、操作レバー11aによって操作される油圧アクチュエータの種類、操作レバー11aによって操作される複数の油圧アクチュエータの組合せによって、設定することができる。
また、第3目標エンジン回転数の上限値としては、操作レバー11aで操作される油圧アクチュエータが必要とする最大要求流量に応じて、設定しておくこともできる。
【0066】
以下では、第1目標エンジン回転数N1を設定したときに、第1目標エンジン回転数N1よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数N2をどのようにして設定するのか、及び目標エンジン回転数の上限値である第3目標エンジン回転数N3をどのようにして設定するのかについて、説明する。
【0067】
操作される油圧アクチュエータの種類又は操作される複数の油圧アクチュエータの組合せに対応させて、目標エンジン回転数の上限値として第3目標エンジン回転数N3を設定するとき、例えば、本願発明の制御フローを示す図8のTable2のように設定しておくことができる。
【0068】
図8のTable2にも示しているように、例えば、操作レバー11aによって走行操作だけの単独操作が行われる場合には、第3目標エンジン回転数N3を1900rpmとして設定しておくことができる。走行操作とバケット掘削操作との複合操作を行う場合には、第3目標エンジン回転数N3を2500rpmとして設定しておくことができる。
【0069】
また、Table2には記載していないが、バケット掘削の単独操作を行う場合には、第3目標エンジン回転数N3を1700rpmとして設定しておくこともできる。そして、その他の場合には、第3目標エンジン回転数N3を2500rpmとして設定しておくことができる。
尚、図8のTable2で示した数値、上述した数値は、例示であって建設機械の種類、大きさ等に応じて適宜第3目標エンジン回転数N3を設定しておくことができる。
【0070】
このように、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕を生じさせると予測される油圧アクチュエータが操作された場合には、ポンプ容量に対する目標エンジン回転数の上限値を低く設定する。即ち、第3目標エンジン回転数N3が第1目標エンジン回転数N1より小さくなるように構成しておくことができる。
【0071】
更に、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕を生じさせないと予測される油圧アクチュエータが操作された場合には、第3目標エンジン回転数N3を第1目標エンジン回転数に設定することで、油圧アクチュエータに供給するポンプ流量を確保することができる。
【0072】
ここで、第1目標エンジン回転数N1における最大ポンプ流量Q1は、第1目標エンジン回転数N1と最大ポンプ容量Dmaxの積 Q1=N1・Dmax で表すことができる。従って、操作される油圧アクチュエータの種類・組合せによって、最大要求流量がQa(Qa<Qmax)であるとすれば、目標エンジン回転数Nは第1目標エンジン回転数N1より小さい第3目標エンジン回転数 N3=Qa/Dmax までエンジン回転数を低くすることができる。そこで、本実施例では、図7(図8ではTable3)のように目標エンジン回転数Nの上限値は第3目標エンジン回転数N3に制限されている。その結果、油圧ポンプ6のポンプ容量Dが第3ポンプ容量D3以上となったときは、目標エンジン回転数Nは第3目標エンジン回転数N3で一定となっている。
【0073】
これにより、第3目標エンジン回転数によるエンジンの駆動制御中にエンジンの回転数が変動するのを防止できるとともに、燃費低減効果を大きくすることができる。
【0074】
更に、第3目標エンジン回転数を第2目標エンジン回転数と同じ回転数にしておくこともできる。このときには、エンジンを低い回転側で駆動させることができるので、燃費低減効果を大きく向上させることができる。
図9を用いて更に説明を続けると、図9において、太線から延びる一点鎖線で示した状態は、第3目標エンジン回転数N3を設けていなかった場合を示している。本願発明のように、最大ポンプ容量に対してポンプ容量に余裕を生じさせると予測される油圧アクチュエータが操作された場合に、目標エンジン回転数Nの上限値として第3目標エンジン回転数N3を設けた場合を、実線の太線によって示している。
【0075】
図9に示すように、太線から延びる一点鎖線で示す状態では、第1目標エンジン回転数N1として2100rpmが設定されており、第2目標エンジン回転数N2として1800rpmが設定された状態を示している。太線から延びる一点鎖線で示している状態では、第3目標エンジン回転数を用いていない制御構成となっている。
【0076】
太線から延びる一点鎖線で示す状態を説明すると、ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の90%(D1)となるまでは、1800rpmの第2目標エンジン回転数N2でエンジンの駆動制御が行われる。ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の90%(D1)以上となると、目標エンジン回転数Nを上昇させながらポンプ容量Dも増大させていく。そして、ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の95%(D2)以上となると、エンジンの駆動制御は、2100rpmとした第1目標エンジン回転数N1に基づいて制御が行われる。
【0077】
太線の実線で示す状態では、第1目標エンジン回転数N1として2100rpmが設定され、第2目標エンジン回転数N2として1800rpmが設定され、第3目標エンジン回転数N3として1900rpmが設定された状態を示している。そして、ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の90%(D1)となるまでは、1800rpmの第2目標エンジン回転数N2でエンジンの駆動制御が行われる。ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の90%(D1)以上となると、目標エンジン回転数Nを上昇させながらポンプ容量Dも増大させていく。そして、ポンプ容量Dが最大ポンプ容量の約92%(D3)以上となると、エンジンの駆動制御は、1900rpmとした第3目標エンジン回転数N3に基づいて制御が行われる。
【0078】
即ち、第1目標エンジン回転数N1であって油圧ポンプ6が最大ポンプ容量D2であるときのポンプ流量が、操作される油圧アクチュエータに必要な流量を供給する上で余裕がある場合には、第1目標エンジン回転数N1よりも低い回転数である第3目標エンジン回転数N3を目標エンジン回転数の上限値として設定する。
【0079】
最大ポンプ容量に対してポンプ容量Dに余裕を生じさせると予測される油圧アクチュエータが操作された場合には、太線の実線で示すような制御を行わせることができる。即ち、目標エンジン回転数Nは、ポンプ容量Dが最大ポンプ容量のときに油圧アクチュエータに必要なポンプ流量を確保できる範囲内において、更に低い回転数にすることができる。その結果、油圧アクチュエータの操作に悪影響を与えることなく、燃費低減化効果を大きくすることができる。
【0080】
また、太線の実線で示す状態では、第3目標エンジン回転数N3として、例えば、1900rpmを設定しておけば、油圧アクチュエータの操作に支障を生じさせることがないので、太線の実線から延びた一点鎖線で示すように、第1目標エンジン回転数N1まで、エンジンの回転数を上昇させなくてすむ。
【0081】
第1目標エンジン回転数N1までエンジン回転数を上昇できるようにして、太線の実線から延びた一点鎖線に沿ったエンジンの駆動制御が行われた場合には、太線の実線から延びた一点鎖線上において丸く実線で囲った領域においてもエンジン回転数の制御が行われる。そして、丸く実線で囲った領域においてポンプ容量Dに変動が生じると、ポンプ容量の変動に応じてエンジン回転数も変動してしまうことになる。
【0082】
これに対して、本願発明では、第3目標エンジン回転数N3における太線の実線上において丸く点線で囲った状態でのエンジンの駆動制御を行うことができるので、ポンプ容量Dが変動しても、第3目標エンジン回転数N3は変動しないので、エンジン回転数が変動してしまうのを防止しておくことができる。
【0083】
次に、図6を用いて、第2目標エンジン回転数N2における高速制御領域F2に沿って行われるエンジンの駆動制御及び上述した第1ポンプ容量、第3目標エンジン回転数での駆動制御について説明する。
エンジン2の駆動制御として、油圧ポンプ6のポンプ容量Dが予め設定した第1ポンプ容量D1(図7参照、図6では第1設定位置であるB点)になるまでは、高速制御領域F2に沿った制御が行われる。
【0084】
そして、油圧ポンプ6のポンプ容量Dが、第1ポンプ容量D1以上となったときには、図7に示すように、予め設定してあるポンプ容量Dと目標エンジン回転数Nとの対応関係に基づいて、エンジン2の目標エンジン回転数Nが求められることになる。
【0085】
そして、図7に示すように、エンジン2によって駆動されている油圧ポンプ6のポンプ容量Dが、予め設定した第3ポンプ容量D3(図6では第3設定位置であるC点)以上となったときには、図6に示すように、第3目標エンジン回転数N3における高速制御領域F3に沿ったエンジン2の駆動制御が行われることになる。
【0086】
次に、図8で示した制御フローについて説明を行う。
図8のステップS1において、コントローラ7は燃料ダイヤル4の指令値37を読み取る。コントローラ7が燃料ダイヤル4の指令値37を読み取ると、ステップS2に移る。
ステップS2では、コントローラ7は読み取った燃料ダイヤル4の指令値37に応じて、第1目標エンジン回転数N1を設定し、設定した第1目標エンジン回転数N1に基づいて高速制御領域F1を設定する。
【0087】
尚、読み取った燃料ダイヤル4の指令値37に応じて、エンジン2の第1目標エンジン回転数N1を最初に設定する旨の説明を行っているが、最初に高速制御領域F1を設定して、設定した高速制御領域F1に対応して第1目標エンジン回転数N1を設定することもできる。あるいは、読み取った燃料ダイヤル4の指令値37に応じて、第1目標エンジン回転数N1と高速制御領域F1とを同時に設定することもできる。
【0088】
図6で示すように、第1目標エンジン回転数N1及び高速制御領域F1が設定されると、ステップS3に移る。
ステップS3では、図2で示すコントローラ7の高速制御領域選択演算部32を用いて、第1目標エンジン回転数N1、高速制御領域F1に対応して予め設定してある低い回転域側にある第2目標エンジン回転数N2、目標エンジン回転数N2に対応した高速制御領域F2を決定する。
高速制御領域F2としては、例えば、油圧ショベルの操作レバー11a(図1参照)を操作したときに、高速制御領域F1で制御した場合に比べても、ロードセンシング制御によって操作速度が、殆ど低下することのない高速制御領域として予め設定しておくことができる。
【0089】
即ち、図8のTable1を拡大した図11に示しているように、第1目標エンジン回転数N1と第2目標エンジン回転数N2との対応関係から、第2目標エンジン回転数N2及び高速制御領域F2を設定することができる。尚、Table1で示している回転数の数値は、例示であって建設機械等に応じて適宜設定することができるものである。
【0090】
このようにして、Table1を用いて、燃料ダイヤル4で設定できる各高速制御領域F1に対応して、同高速制御領域F1よりも低い回転域側にある高速制御領域F2を、予めそれぞれの高速制御領域F1に対応した高速制御領域として設定しておくことができる。
高速制御領域F2がコントローラ7によって決定されると、ステップS4に移る。
【0091】
ステップS4では、操作レバー11aの操作情報を読み取って、ステップS5に移る。ステップS5では、ステップS4において読み取った操作レバー11aの操作情報に基づいて、Table2で示す操作レバー11aの操作情報(操作される油圧アクチュエータの種類・組合せ)と第3目標エンジン回転数N3との対応表に基づいて、第3目標エンジン回転数N3を設定する。例えば、複数の操作レバー11aが操作されているときには、複数の操作レバー11aで操作される油圧アクチュエータが要求する最大要求流量の総計を、油圧ポンプ6の最大ポンプ容量によって供給できるようにした第3目標エンジン回転数N3を設定する。
【0092】
具体的に説明すると、操作レバー11aによる操作で走行制御が単独で行われているときには、Table2に基づいて第3目標エンジン回転数N3として最大1900rpmを選択することができる。複数の操作レバー11aによる操作で走行制御とバケット制御とが行われているときには、Table2に基づいて第3目標エンジン回転数N3として2500rpmを選択することができる。
【0093】
ステップS6では、ステップS5においてTable2を用いて設定した第3目標エンジン回転数N3に対応させて、Table3の目標エンジン回転数Nの上限値設定を行う。例えば、操作レバー11aによる操作で走行制御が単独で行われているときには、Table2に基づいて第3目標エンジン回転数N3として1900rpmを選択することができる。そして、Table3の目標エンジン回転数Nの上限値として1900rpmを設定することになる。
【0094】
複数の操作レバー11aによる操作で走行制御とバケット制御とが行われているときには、Table2において、2500rpmの第3目標エンジン回転数N3を選択することができる。そして、Table3の目標エンジン回転数Nの上限値として2500rpmを設定することになる。
【0095】
コントローラ7は、第2目標エンジン回転数N2が設定されると、図6の細かい点線で示すように、ポンプ吸収トルクとエンジン出力トルクとのマッチングが高速制御領域F2上で行われるように燃料噴射装置3の制御を開始する。
【0096】
次に、ステップS8からの制御又はステップS11からの制御が行われる。検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nでエンジン2の駆動制御が行われるときには、ステップS8からステップS10の制御が行われる。検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nでエンジン2の駆動制御が行われるときには、ステップS11からステップS14の制御が行われる。
【0097】
最初に、ステップS8からステップS10における、検出したポンプ容量に対応した目標エンジン回転数を求める制御ステップについて説明する。
ステップS8では、斜板角センサ39で検出した油圧ポンプ6のポンプ容量Dを読み取る。ステップS8において、ポンプ容量Dを読み取るとステップS9に移動する。ポンプ容量Dの求め方としては、上述したようにポンプ吐出圧Pと吐出容量D(ポンプ容量D)とエンジン出力トルクT(エンジン出力トルクT)との関係等から求めることもできる。
【0098】
ステップS9における、検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nを求める制御の概略は次の通りである。即ち、Table3の拡大図である図7で示すように、エンジンの駆動制御が第2目標エンジン回転数N2に基づいて制御されているときには、油圧ポンプ6のポンプ容量Dが所定の第1ポンプ容量D1になるまでは、第2目標エンジン回転数N2に基づいた制御が行われる。
【0099】
検出した油圧ポンプ6のポンプ容量Dが、第1ポンプ容量D1以上となったときには、図7で示すような予め設定したポンプ容量Dと目標エンジン回転数Nとの対応関係に基づいて、検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nが求められることになる。そして、油圧ポンプ6のポンプ容量Dnが検出されたときには、エンジン2の駆動制御としては、求めた目標エンジン回転数Nnとなるように制御されることになる。
【0100】
その後、ポンプ容量Dnの状態からポンプ容量Dn+1の状態に変化したことが検出されれば、図7からポンプ容量Dn+1に対応した目標エンジン回転数Nn+1が新たに求められる。そして、新たに求められた目標エンジン回転数Nn+1となるようにエンジン2に対する駆動制御が行われる。
【0101】
このように、目標エンジン回転数Nnが、第3目標エンジン回転数N3と第2目標エンジン回転数N2との間にあるときには、検出したポンプ容量Dnに対応した目標エンジン回転数Nnを常に求めていくことになり、求めた目標エンジン回転数Nnでエンジン2の駆動を常に制御することになる。尚、この制御において、高速制御領域選択演算部32は、第2目標エンジン回転数を下限値として、検出手段で検出されるポンプ容量に対応した目標エンジン回転数を設定する第2設定手段としての機能を備えている。
【0102】
更に、この制御において、高速制御領域選択演算部32は、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数の上限値として、前記操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類又は前記操作レバーにより操作される前記複数の油圧アクチュエータの組合せに応じて、前記第2目標エンジン回転数以上で前記第1目標エンジン回転数以下の第3目標エンジン回転数を設定する第2設定手段としての機能を備えている。
【0103】
そして、検出したポンプ容量Dが第3ポンプ容量D3となったときには、第3目標エンジン回転数N3における高速制御領域F3に沿って、エンジン2の駆動制御が行われることになる。そして、高速制御領域F3に沿ったエンジン2の駆動制御が行われているときには、油圧ポンプ6のポンプ容量Dが第3ポンプ容量D3より小さくなるまでは、高速制御領域F3に沿ったエンジン2の駆動制御が行われ続けることになる。そして、図6で示すように最大トルク線Rにまで達した場合には、最大トルク線Rに沿ったエンジン制御が行われることになる。
【0104】
図8に戻って、制御ステップS9についての説明を続ける。ステップS9において、Table3で示す予め設定したポンプ容量Dと目標エンジン回転数Nとの対応関係に基づいて、検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nが求められると、ステップS10に移る。
【0105】
ステップS10では、油圧ポンプ6のポンプ容量の変化率、ポンプ吐出圧力の変化率、あるいはエンジン出力トルクTの変化率に応じて、目標エンジン回転数Nの値を修正する。即ち、これらの変化率、即ち、増加する度合いが高いときには、目標エンジン回転数Nを高め側に修正させることもできる。しかし、目標エンジン回転数Nを高め側に修正させたとしても、第3目標エンジン回転数N3を超えさせない。
尚、ステップS10として、目標エンジン回転数Nの値を修正する制御ステップを記載しているが、ステップS10の制御を飛ばすように構成しておくこともできる。
【0106】
次に、ステップS11からステップS14における、検出したエンジン出力トルクに対応した目標エンジン回転数を求める制御ステップについて説明する。
ステップS11において、斜板角センサ39からの検出信号とポンプ圧力センサ38からの検出信号を読み取ると、ステップS12に移動する。
ステップS12では、ステップS11において読み取ったポンプ容量及びポンプ圧力の検出信号に基づいて、エンジン出力トルクTを算出する。エンジン出力トルクTが算出されるとステップS13に移動する。
【0107】
ステップS13における、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nを求める制御の概略は次の通りである。即ち、図8のTable4の拡大図である図10で示すように、エンジンの駆動制御が、第2目標エンジン回転数N2に基づいて制御されているときには、検出されたエンジン出力トルクTが、所定の第1エンジン出力トルクT1になるまでは、第2目標エンジン回転数N2に基づいた制御が行われる。
【0108】
検出されたエンジン出力トルクTが、第1エンジン出力トルクT1以上となったときには、図10で示すような予め設定したエンジン出力トルクTと目標エンジン回転数Nとの対応関係に基づいて、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nが求められることになる。そしてこのときには、エンジン2の駆動制御としては、求めた目標エンジン回転数Nとなるように制御されることになる。
【0109】
例えば、現時点における検出したエンジン出力トルクTが、エンジン出力トルクTnであるときには、目標エンジン回転数Nとしては目標エンジン回転数Nnが求められる。そして、エンジン出力トルクTが、エンジン出力トルクTnの状態からエンジン出力トルクTn+1の状態に変化したことが検出されれば、図10からエンジン出力トルクTn+1に対応した目標エンジン回転数Nn+1が新たに求められる。そして、新たに求められた目標エンジン回転数Nn+1となるようにエンジン2に対する駆動制御が行われる。
【0110】
尚、エンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nの上限値は、第1目標エンジン回転数N1より小さい第3目標エンジン回転数N3に設定しないことが好ましい。エンジン出力トルクTが上昇した場合には、第3目標エンジン回転数N3よりも高い回転数である第1目標エンジン回転数N1を上限値に設定した方が、ポンプ容量を小さくしても、より多くのポンプ流量を確保することができる。
【0111】
従って、第1目標エンジン回転数N1を上限値に設定した方がポンプ容量を小さくすることができるので、同じエンジン出力トルクTであってもより大きなポンプ圧まで仕事ができる。言い換えると、図12に示す最大馬力点(K1)を通過するようにエンジンを制御する方が、作業者はより多くの作業量を確保できる。即ち、エンジン出力トルクTが高くなるような状況では、第1目標エンジン回転数N1を目標エンジン回転数Nの上限値とすることによって、最大馬力点(K1)を通過したエンジンの駆動制御を行い、より多くの仕事量を確保できる。
【0112】
図8に戻って、制御ステップS13についての説明を続ける。ステップS13において、予め設定したエンジン出力トルクTと目標エンジン回転数Nとの対応関係に基づいて、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nが求められると、ステップS14に移る。
【0113】
ステップS14では、油圧ポンプ6のポンプ容量の変化率、ポンプ吐出圧力の変化率、あるいはエンジン出力トルクTの変化率に応じて、目標エンジン回転数Nの値を修正する。即ち、これらの変化率、即ち、増加する度合いが高いときには、目標エンジン回転数Nを高回転数側の目標エンジン回転数に修正させることもできる。
尚、ステップS14として、目標エンジン回転数Nの値を修正する制御ステップを記載しているが、ステップS11の制御を飛ばすように構成しておくこともできる。
【0114】
検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nと、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nとのうちで、回転数の高い方の目標エンジン回転数を使う場合には、ステップS8〜ステップS10の制御とステップS11〜ステップS14の制御とが両方行われる。この場合には、ステップS10及びステップS14に引き続いてステップS15の制御が行われる。
【0115】
検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nによって、エンジン2の駆動制御を行う場合や、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nによって、エンジン2の駆動制御を行う場合には、ステップS15の制御を飛ばしてステップS16に移動する。
【0116】
ステップS15では、検出したポンプ容量Dに対応した目標エンジン回転数Nと、検出したエンジン出力トルクTに対応した目標エンジン回転数Nとのうちで、回転数の高い方の目標エンジン回転数が選択される。高い方の目標エンジン回転数が選択されると、ステップS16に移動する。
【0117】
ステップS16では、高速制御領域選択演算部32は、目標エンジン回転数Nを用いてエンジンの駆動制御を行わせるため、図2で示す高速制御領域選択演算部32から出力される。尚、この制御において、高速制御領域選択演算部32は、第2設定手段から求めた目標エンジン回転数となるように燃料噴射装置を制御する制御手段としての機能を備えている。
ステップS16での制御が行われるとステップS1での制御に戻って制御が繰り返し行われることになる。
【0118】
このように本発明では、低い回転域側の第2目標エンジン回転数N2に基づいて、エンジンの回転を制御することができ、しかも、操作される油圧アクチュエータの種類又は操作される複数の油圧アクチュエータの組合せによって、目標エンジン回転数の上限値として第3目標エンジン回転数N3によるエンジンの駆動制御を行わせることができる。このように、ポンプ容量の余裕度を考慮した状態でエンジンの駆動制御を行わせることができ、燃費効率を高め、作業機を操作する上で必要とする作業速度を充分に得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、建設機械のエンジンに対するエンジン制御に対して、本発明の技術思想を適用することができる。
【符号の説明】
【0120】
2・・・エンジン、3・・・燃料噴射装置、4・・・燃料ダイヤル(指令手段)、6・・・可変容量型油圧ポンプ、7・・・コントローラ、8・・・ポンプ制御装置、9・・・制御弁、10・・・油圧アクチュエータ、11・・・操作レバー装置、11a・・・操作レバー、12・・・サーボシリンダ、17・・・LS弁、32・・・高速制御領域選択演算部、34・・・操作される油圧アクチュエータの種類・組合せ判別部、40・・・圧力センサ、F1〜F3,Fa〜Fc・・・高速制御領域、B・・・第1設定位置、C・・・第3設定位置、Nh・・・定格回転数、K1・・・最大馬力点、K4・・・最大トルク点、R・・・最大トルク線、M・・・等燃費曲線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、
前記油圧ポンプからの吐出圧油により駆動される複数の油圧アクチュエータと、
前記油圧ポンプから吐出した圧油を制御して前記複数の油圧アクチュエータにそれぞれ給排する複数の制御弁と、
前記複数の制御弁を制御する少なくとも一つの操作レバーと、
前記油圧ポンプのポンプ容量を検出する検出手段と、
前記エンジンに供給する燃料を制御する燃料噴射装置と、
可変に指令できる指令値の中から一つの指令値を選択して指令する指令手段と、
前記指令手段で指令された指令値に応じて第1目標エンジン回転数を設定し、前記第1目標エンジン回転数に基づいて、前記第1目標エンジン回転数よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数を設定する第1設定手段と、
前記第2目標エンジン回転数を下限値として、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数を設定する第2設定手段と、
前記第2設定手段から求めた目標エンジン回転数となるように前記燃料噴射装置を制御する制御手段と、
を備え、
前記第2設定手段は、ポンプ容量に対応した前記目標エンジン回転数の上限値として、前記操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類又は前記操作レバーにより操作される前記複数の油圧アクチュエータの組合せに応じて、前記第2目標エンジン回転数以上で前記第1目標エンジン回転数以下の第3目標エンジン回転数を設定することを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項2】
前記第3目標エンジン回転数は、前記操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類によって要求される最大要求流量又は前記操作レバーにより操作される前記複数の油圧アクチュエータの組合せによって要求される最大要求流量に応じて、設定されてなることを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
【請求項3】
前記第3目標エンジン回転数は、前記第2目標エンジン回転数と同じ回転数に設定されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のエンジンの制御装置。
【請求項4】
エンジン出力トルクを検出する検出手段を更に備え、
前記第2設定手段は、
前記第2目標エンジン回転数を下限値とし前記第3目標エンジン回転数を上限値としたときの、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数と、
前記第2目標エンジン回転数を下限値とし前記第1目標エンジン回転数を上限値としたときの、エンジン出力トルクに対応した目標エンジン回転数と、
のうちでいずれか高い目標エンジン回転数を設定することを特徴とする請求項1乃至3記載のエンジンの制御装置。
【請求項1】
エンジンによって駆動される可変容量型の油圧ポンプと、
前記油圧ポンプからの吐出圧油により駆動される複数の油圧アクチュエータと、
前記油圧ポンプから吐出した圧油を制御して前記複数の油圧アクチュエータにそれぞれ給排する複数の制御弁と、
前記複数の制御弁を制御する少なくとも一つの操作レバーと、
前記油圧ポンプのポンプ容量を検出する検出手段と、
前記エンジンに供給する燃料を制御する燃料噴射装置と、
可変に指令できる指令値の中から一つの指令値を選択して指令する指令手段と、
前記指令手段で指令された指令値に応じて第1目標エンジン回転数を設定し、前記第1目標エンジン回転数に基づいて、前記第1目標エンジン回転数よりも低い回転数である第2目標エンジン回転数を設定する第1設定手段と、
前記第2目標エンジン回転数を下限値として、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数を設定する第2設定手段と、
前記第2設定手段から求めた目標エンジン回転数となるように前記燃料噴射装置を制御する制御手段と、
を備え、
前記第2設定手段は、ポンプ容量に対応した前記目標エンジン回転数の上限値として、前記操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類又は前記操作レバーにより操作される前記複数の油圧アクチュエータの組合せに応じて、前記第2目標エンジン回転数以上で前記第1目標エンジン回転数以下の第3目標エンジン回転数を設定することを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項2】
前記第3目標エンジン回転数は、前記操作レバーにより操作される前記油圧アクチュエータの種類によって要求される最大要求流量又は前記操作レバーにより操作される前記複数の油圧アクチュエータの組合せによって要求される最大要求流量に応じて、設定されてなることを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
【請求項3】
前記第3目標エンジン回転数は、前記第2目標エンジン回転数と同じ回転数に設定されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のエンジンの制御装置。
【請求項4】
エンジン出力トルクを検出する検出手段を更に備え、
前記第2設定手段は、
前記第2目標エンジン回転数を下限値とし前記第3目標エンジン回転数を上限値としたときの、ポンプ容量に対応した目標エンジン回転数と、
前記第2目標エンジン回転数を下限値とし前記第1目標エンジン回転数を上限値としたときの、エンジン出力トルクに対応した目標エンジン回転数と、
のうちでいずれか高い目標エンジン回転数を設定することを特徴とする請求項1乃至3記載のエンジンの制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−157931(P2011−157931A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22351(P2010−22351)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
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