説明

エンジンの過給装置

【課題】電動過給機の停止時における実過給圧の落ち込みに起因するエンジントルクの低下を有効に防止することができ、円滑ないしはリニアな加速感を生じさせることができるエンジンの過給装置を提供する。
【解決手段】エンジンEにおいては、加速時には、排気ターボ過給機19の動作遅れに起因する過給遅れを防止するために、電動過給機21が駆動される。電動過給機21は、実過給圧が目標過給圧に達したときに停止させられる。電動過給機21が停止したときに、エンジン回転数が境界回転数未満であれば、排気弁6の閉弁時期を進角させることにより実過給圧の落ち込みに起因するエンジントルクの低下が防止される。他方、エンジン回転数が境界回転数以上であれば、吸気弁1の閉弁時期を遅角させることにより実過給圧の落ち込みに起因するエンジントルクの低下が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ターボ過給機と電動過給機とを備えたエンジンの過給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排気通路内の比較的高圧の排気ガスのエネルギを利用してエンジンを過給する排気ターボ過給機は従来知られているが、かかる排気ターボ過給機はエンジンの軸動力を消費しないので、燃費性能を損なうことなくエンジン出力を高めることができるといった利点がある。そして、排気ターボ過給機は、一般に、排気通路に介設され排気ガスの圧力ないしは流れにより回転駆動されるタービンと、吸気通路に介設されタービンにより回転駆動されて吸気圧力を高めるコンプレッサとを備えている。
【0003】
ところで一方、排気ターボ過給機では、アクセルペダルが踏み込まれてエンジンが加速を開始したときに、アクセルペダルの踏み込み動作に対するタービン及びコンプレッサの動作の応答遅れにより過給遅れ(ターボラグ)が生じ、一時的に吸入空気が不足するといった問題がある。そこで、排気ターボ過給機に加えて、モータによって駆動される電動過給機を吸気通路に設け、加速時には電動過給機を駆動して過給を助勢し、過給遅れを防止又は抑制するようにしたエンジンの過給システムが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−105034号公報(段落[0031]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように排気ターボ過給機と電動過給機とを設け、加速時に電動過給機を駆動して過給遅れを防止又は抑制するようにしたエンジンでは、加速時に実際の過給圧(以下「実過給圧」という。)が目標過給圧ないしは要求過給圧に達したときに電動過給機が停止される。ここで、加速時における実過給圧は、排気ターボ過給機による過給圧と電動過給機による過給圧の和であるので、電動過給機が停止したときには、実過給圧が一時的に落ち込む。このため、この実過給圧の落ち込みにより空気量の不足が生じてエンジントルクが一時的に低下してトルクショックが発生し、円滑ないしはリニアな加速感を生じさせることができないといった問題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、排気ターボ過給機と電動過給機とを設けて加速時に電動過給機を駆動して過給遅れを防止又は抑制するようにした場合に、電動過給機の停止時における実過給圧の一時的な落ち込みに起因するエンジントルクの低下を有効に防止することができ、円滑ないしはリニアな加速感を生じさせることができるエンジンの過給装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るエンジンの過給装置は、排気ターボ過給機と、吸気通路に配設された電動過給機と、加速時に電動過給機を作動させる電動過給機制御手段とを備えている。このエンジンの過給装置は、さらに吸気弁(動弁の一種)と排気弁(動弁の一種)のうちの少なくとも一方の動弁の開閉時期を制御することができる動弁制御手段を備えている。ここで、電動過給機制御手段は、加速時に電動過給機を作動させた後、過給圧が予め設定された目標過給圧ないしは要求過給圧に達したときに電動過給機の作動を停止させる。また、動弁制御手段は、電動過給機の作動が停止されるときに、開閉時期を制御することができる動弁のうちの少なくとも一方の動弁(両動弁の開閉時期が制御可能である場合はそのうちの少なくとも一方の動弁、一方の動弁のみの開閉時期が制御可能である場合はその動弁のみ)の動作タイミングを、エンジントルクが向上する方向に補正する。
【0007】
本発明に係るエンジンの過給装置において、動弁制御手段が吸気弁及び排気弁の両方の動弁の開閉時期を制御することができるようになっている場合は、該動弁制御手段は動作タイミングを補正すべき動弁を、エンジン回転数に応じて切り換えるように構成されているのが好ましい。具体的には、動弁制御手段は、エンジン低回転時には、排気弁の閉弁時期を進角側に補正するように構成されているのが好ましい。また、エンジン高回転時には、吸気弁の閉弁時期を遅角側に補正するように構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るエンジンの過給装置によれば、加速時には電動過給機が作動するので、電動過給機の過給により排気ターボ過給機の応答遅れに起因する過給遅れ(ターボラグ)を防止又は抑制することができる。さらに、電動過給機の作動が停止するときに、吸気弁と排気弁のうちの少なくとも一方の動弁の動作タイミングが、エンジントルクが向上する方向に補正されるので、電動過給機の停止による実過給圧の一時的な落ち込みに起因するエンジントルクの低下ないしトルクショックを有効に防止することができ、円滑ないしはリニアな加速感を生じさせることができる。
【0009】
なお、実過給圧が目標過給圧に達したときに、電動過給機の作動停止時期を遅らせて実過給圧の落ち込みを防止するといった対応も考えられる。しかしながら、このようにすると、実過給圧が目標過給圧に達した後、エンジントルクがドライバーの意図したものよりも過大となり、ドライバーに違和感が生じるおそれがあり、また電動過給機の信頼性が低下するおそれがある。
【0010】
本発明に係るエンジンの過給装置において、動弁制御手段が動作タイミングを補正すべき動弁をエンジン回転数に応じて切り換えることができるようになっている場合は、電動過給機の停止時におけるエンジントルクの低下を、エンジンの回転数に応じて適切に防止又は抑制することができる。例えば、エンジン低回転時に排気弁の閉弁時期を進角側に補正する場合は、低回転時は1行程あたりの速度が遅いので、排気弁の閉弁時期の進角により燃焼エネルギが高められ、エンジントルクの低下が有効に防止又は抑制される。また、エンジン高回転時に吸気弁の閉弁時期を遅角側に補正する場合は、高回転時は燃焼室に流入する空気の慣性が大きいので、吸気弁の閉弁時期の遅角により燃焼室への空気の流入量が増加し、エンジントルクの低下が有効に防止又は抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(本発明を実施するための最良の形態)を具体的に説明する。なお、この実施の形態は、レシプロ式のディーゼルエンジンについてのものであるが、本発明の適用範囲はレシプロ式のディーゼルエンジンに限定されるものではなく、ロータリ式又はレシプロ式の火花点火エンジン(ガソリンエンジン、水素エンジン等)にも適用することができるのはもちろんである。
【0012】
図1は、本発明に係る直噴式のディーゼルエンジンE(以下、略して「エンジンE」という。)のシステム構成を示している。なお、エンジンEは多気筒(例えば、4気筒、6気筒…)エンジンであるが、図1では1つの気筒のみを示し、他の気筒の図示は省略している。図1に示すように、エンジンEにおいては、吸気弁1が開かれたときに、吸気ポート2から燃焼室3内に燃料燃焼用の空気が吸入される(以下、この空気を「吸入空気」という。)。この燃焼室3内の吸入空気は、ピストン4によって圧縮され、高温・高圧状態となる。そして、圧縮行程上死点付近で、燃料噴射弁5から燃焼室3内に燃料(軽油等)が噴射され、この燃料は自己着火して燃焼する。燃焼により生じたガスすなわち排気ガスは、排気弁6が開かれたときに排気ポート7に排出される。なお、図示していないが、燃料は、燃料タンクからコモンレールを介して高圧で燃料噴射弁5に供給される。
【0013】
これらの一連の動作が繰り返され、ピストン4はシリンダ8内でシリンダ軸方向に往復運動を繰り返す。このピストン4の往復運動は、コネクチングロッド9、クランクアーム(図示せず)、クランクピン(図示せず)等を備えたリンク機構により、クランクシャフト10の回転運動(トルク)に変換される。クランクシャフト10の回転運動は、エンジン出力として取り出され、図示していないが、エンジンEを搭載している車両を駆動するとともに、オルタネータやエアコンなどの補機を駆動する。エンジンEは、始動時には、エンジンスタータ11によって駆動(クランキング)される。なお、図示していないが、クランクシャフト10の駆動力は、変速機、ファイナルギヤ等を介して駆動輪に伝達される。
【0014】
エンジンEにおいて、吸気弁1は、吸気弁開閉カム機構12によって所定のタイミングで開閉される。そして、吸気弁開閉カム機構12に対して、電磁式の吸気弁カム制御装置13(VVT:可変バルブタイミング制御装置)が設けられている。この吸気弁カム制御装置13は、コントロールユニットCからの制御信号に従って、吸気弁開閉カム機構12を介して、吸気弁1の開閉タイミングを進角させ又は遅角させることができる。なお、電磁式の吸気弁カム制御装置13は、油圧式の吸気弁カム制御装置に比べて、開閉タイミングをリニア(直線的)に変化させることができる。
【0015】
他方、排気弁6は、排気弁開閉カム機構14によって所定のタイミングで開閉される。そして、排気弁開閉カム機構14に対して、電磁式の排気弁カム制御装置15(VVT)が設けられている。この排気弁カム制御装置15は、コントロールユニットCからの制御信号に従って、排気弁開閉カム機構14を介して、排気弁6の開閉タイミングを進角させ又は遅角させることができる。なお、排気弁カム制御装置15も電磁式であるので、吸気弁カム制御装置13と同様に、開閉タイミングをリニア(直線的)に変化させることができる。
【0016】
エンジンEの各気筒の燃焼室3に吸入空気を供給する吸気系(吸気システム)には、全気筒に共通な単一の共通吸気通路16が設けられている。共通吸気通路16の先端(上流端)は大気に開放され、その先端部近傍には、吸入空気の流れ方向にみて上流側から順に、吸入空気中のダスト等を除去するエアクリーナ(図示せず)とエアフローセンサ17(図4参照)とが設けられている。
【0017】
さらに、共通吸気通路16には、吸入空気の流れ方向にみて上流側から順に、コントロールユニットCによって弁開度(すなわち、共通吸気通路16の流路断面積)が制御される電磁式の吸気制御弁18と、排気ターボ過給機19のコンプレッサ19aと、空冷式のインタークーラ20とが設けられている。ここで、コンプレッサ19a(排気ターボ過給機19)は、吸入空気を加圧・圧縮してエンジンEを過給する。また、インタークーラ20は、加圧・圧縮により温度が上昇した吸入空気を冷却する。
【0018】
共通吸気通路16は、インタークーラ20の下流側で第1分岐吸気通路16aと第2分岐吸気通路16bとに分岐し、分岐部よりやや下流で両分岐吸気通路16a、16bは集合して再び単一の共通吸気通路16となっている。そして、第1分岐吸気通路16aには、電気モータ(図示せず)によって回転駆動される電動過給機21が設けられている。他方、第2分岐吸気通路16bには、該第2分岐吸気通路16bを開閉する逆止弁22が設けられている。ここで、逆止弁22は、電動過給機21が駆動されているときには第2分岐吸気通路16bを閉じ、電動過給機21が停止されているときには第2分岐通路16bを開く。なお、電動過給機21の具体的な構造及び機能は、図2を参照しつつ、後で説明する。
【0019】
第1分岐吸気通路16aと第2分岐吸気通路16bとの集合部より下流側において、共通吸気通路16の下流端は、吸入空気の脈動を減衰させてその流れを安定させるサージタンク23に接続されている。サージタンク23には、各気筒の燃焼室3に個別に吸入空気を供給する複数の独立吸気通路24が接続され、これらの独立吸気通路24の下流端は、それぞれ対応する気筒の吸気ポート2に接続されている。なお、サージタンク23には、吸入空気の圧力を検出する吸気圧センサ25が設けられている。
【0020】
また、エンジンEには、各燃焼室3から排出された排気ガスを大気中に排出する排気系(排気システム)が設けられ、この排気系には、各気筒に共通な単一の共通排気通路26が設けられている。ただし、排気ガスの流れ方向にみて、上流端近傍部(排気マニホールド)では、排気系は気筒毎に分岐して、対応する気筒の排気ポート7に接続されている。そして、共通排気通路26には、排気ガスによって駆動される排気ターボ過給機19のタービン19bが設けられている。
【0021】
排気ターボ過給機19は、多数の可動ベーン27によりタービン19bへの排気ガスの通路断面積を変化させることができる可変容量機構を備えた可変容量式過給機(VGT)である。これらの可動ベーン27の角度ないし向きは、可動ベーンアクチュエータ28によって制御される。そして、コントロールユニットCは、可動ベーンアクチュエータ28と可動ベーン27とを介して、排気ガスの通路断面積を変化させ、タービン19b(排気ターボ過給機19)の過給圧を制御する。なお、排気ターボ過給機19の可変容量機構の具体的な構造及び機能は、図3を参照しつつ、後で説明する。
【0022】
さらに、共通排気通路26には、排気の流れ方向にみてタービン19bより下流側に、酸化触媒を含み排気ガスを浄化する排気ガス浄化触媒30(DOC)と、煤(パティキュレート)を捕集するパティキュレートフィルタ31(DPF)とが設けられている。排気ガス浄化触媒30及びパティキュレートフィルタ31は、耐熱性を有する1つのケーシング32内に収容されている。パティキュレートフィルタ31に捕集された煤は、適宜に、例えばパティキュレートフィルタ31の前後の差圧が設定値を超えたときに、排気ガス浄化触媒31が高温化する運転状態にして、例えば膨張行程で燃料噴射を行って燃焼させることにより除去される。
【0023】
排気ガスの流れ方向にみて、パティキュレートフィルタ31のやや上流側とやや下流側とには、それぞれ、第1温度センサ33と第2温度センサ34とが設けられている。さらに、共通排気通路26には、パティキュレートフィルタ31ないしは第2温度センサ34より下流側に、該共通排気通路26を開閉する排気開閉弁35が設けられている。なお、排気開閉弁35の弁開度(すなわち、共通排気通路26の通路断面積)は、コントロールユニットCによって制御される。
【0024】
また、エンジンEには、燃料の燃焼に起因するNOxの発生量を低減することを主な目的として、共通排気通路26のタービン上流の比較的高圧の排気ガスの一部を、EGRガスとして吸気系に還流させる高圧EGR装置36が設けられている。この高圧EGR装置36には、EGRガス流路となる高圧EGR通路37が設けられている。ここで、EGRガスの流れ方向にみて高圧EGR通路37の上流端は、排気ガスの流れ方向にみてタービン19bより上流側の部位で共通排気通路26に接続されている。他方、EGRガスの流れ方向にみて高圧EGR通路37の下流端はサージタンク23に接続されている。そして、高圧EGR通路37には、EGRガスの流れ方向にみて上流側から順に、高温(例えば、600〜800℃)のEGRガスを冷却する水冷式の高圧EGRクーラ38と、EGRガスの供給量を制御する高圧EGR制御弁39とが設けられている。
【0025】
さらに、エンジンEには、燃料の燃焼に起因するNOxの発生量を低減することを主な目的として、共通排気通路26のパティキュレートフィルタ下流(タービン下流)の比較的低圧の排気ガスの一部を、EGRガスとして吸気系に還流させる低圧EGR装置41が設けられている。この低圧EGR装置41には、EGRガスの流路となる低圧EGR通路42が設けられている。ここで、EGRガスの流れ方向にみて低圧EGR通路42の上流端は、パティキュレートフィルタ31と排気開閉弁35との間の部位で共通排気通路26に接続されている。他方、EGRガスの流れ方向にみて低圧EGR通路42の下流端は、吸気制御弁18とコンプレッサ19aとの間の部位で共通吸気通路16に接続されている。そして、低圧EGR通路42には、EGRガスの流れ方向にみて上流側から順に、EGRガスを冷却する空冷式の低圧EGRクーラ43と、EGRガスの供給量を制御する低圧EGR制御弁44とが設けられている。
【0026】
次に、図2を参照しつつ、電動過給機21の具体的な構造及び機能を説明する。図2に示すように、電動過給機21は、吸入口46から矢印A1で示す方向に吸入した吸入空気を加圧して、吐出口47から矢印A2で示す方向に吐出する回転式のコンプレッサ部48と、コンプレッサ部48と一体形成され該コンプレッサ部48を回転駆動する電動式のモータ部49とを備えている。そして、図示していないが、モータ部49内には電圧制御部が設けられている。この電圧制御部は、バッテリ(図示せず)からモータ部49に供給される電力を昇圧する。すなわち、バッテリ電圧はほぼ12Vであるが、モータ部49を12Vで駆動するのは非効率的であるので、この電動過給機21では、12Vのバッテリ電圧を電圧制御部で24Vに昇圧することにより電流値を増幅させて効率を高めるようにしている。
【0027】
そして、モータ部49には、該モータ部49及び電圧制御部を冷却水で冷却するための冷却水ジャケット50が設けられている。すなわち、電動過給機21は水冷式である。このように、電圧制御部を内蔵しているモータ部49を冷却水によって冷却するようにしているので、モータ部49ないしは電圧制御部を効果的に冷却することができ、その耐久性ないしは信頼性を高めることができる。なお、電動過給機21は、冷却フィンにより放熱する空冷式の電動過給機であってもよい。
【0028】
以下、図3を参照しつつ、可変容量式過給機(VGT)である排気ターボ過給機19の可変容量機構の具体的な構造及び機能を説明する。図3は、排気ターボ過給機19のタービン19bの断面図である。図3に示すように、タービン19bは、タービン室52を有し、このタービン室52内には、矢印Dで示す方向に排気ガスが流入する。タービン室52内において、排気ガスが流入する側、すなわち排気入口側には、タービン翼53を取り囲むように複数の可動ベーン27が配置されている。これらの可動ベーン27は、それぞれ、軸55回りに回動可能であり、これらの可動ベーン27はその回動により角度ないし向きが変化するようになっている。
【0029】
ここで、図3中に実線で示すように、可動ベーン27を、互いに近接するように、すなわち可動ベーン27がタービン翼53の円周方向により近い向きで延びるようにすれば、各可動ベーン27間に形成されるノズル54の開度(以下「ベーンノズル開度」という。)が小さくなる。とくに、エンジン回転数が低いときにベーンノズル開度を小さくすると、排気ガスの流速が高くなり、さらに排気ガスの流れがタービン19bの接線方向(円周方向)に向くので、過給効率が高くなる。ただし、この場合、エンジンEの排圧(排気ガスの圧力)は上昇する。
【0030】
また、図3中に仮想線(二点鎖線)で示すように、可動ベーン27を、互いに離反するように、すなわち可動ベーン27がタービン翼53の半径方向により近い向きで延びるようにすれば、ベーンノズル開度が大きくなる。とくに、エンジン回転数が高いときに開度を大きくすると、排気ガスの流量をより大きくすることができるので、過給効率を高くなる。コントロールユニットCは、これらの可動ベーン27の角度ないし向きすなわちベーンノズル開度を、可動ベーンアクチュエータ28を介して、全閉から全開まで制御するようになっている。
【0031】
以下、エンジンEの制御システムを説明する。
図4に示すように、エンジンEには、その運転状態に関する各種情報を収集するために種々のセンサが設けられている。すなわち、前記のエアフローセンサ17、吸気圧センサ25、第1温度センサ33及び第2温度センサ34のほかに、さらに、クランクシャフト10の回転数(エンジン回転数)を検出するエンジン回転数センサ56、クランク角を検出するクランク角センサ57、エンジンEの冷却水温度(エンジン水温)を検出するエンジン水温センサ58、アクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ59及び吸入空気の温度を検出する吸気温センサ60が設けられている。これらの各センサの検出信号は、エンジンE等の制御情報としてコントロールユニットCに入力される。
【0032】
コントロールユニットCは、課題を解決するための手段の欄に記載された「電動過給機制御手段」及び「動弁制御手段」を含むエンジンEないしはその付属機器の総合的な制御手段である。詳しくは図示していないが、コントロールユニットCは、制御信号の入出力を行う入出力部(インターフェース)、デー夕や制御情報等を記憶する記憶部(ROM、RAM等)、各種演算処理を行う中央処理装置(CPU)、タイマ、カウンタ等を備えたコンピュータである。
【0033】
そして、コントロールユニットCは、前記各センサによって検出された各種データに基づいて、燃料噴射弁5、吸気弁カム制御装置13、排気弁カム制御装置15、吸気制御弁18、電動過給機21、逆止弁22、可動ベーンアクチュエータ28、排気開閉弁35、高圧EGR制御弁39、低圧EGR制御弁44等を制御ないしは駆動することにより、燃料噴射制御、EGR制御、過給圧制御、パティキュレートフィルタ31の再生制御等の普通のエンジン制御を行うとともに、本発明に係る、加速時における電動過給機21と排気弁カム制御装置13と排気弁カム制御装置15の組み合わせ制御(以下「加速時組み合わせ制御」という。)を行うようになっている。しかしながら、普通のエンジン制御については、その制御手法は当業者にはよく知られており、またこのような普通のエンジン制御は本発明の要旨とするところでもないので、その説明を省略する。
【0034】
以下、図5に示すフローチャートに従って、コントロールユニットCによって実行される、本発明に係る加速時組み合わせ制御の制御手順を具体的に説明する。図5に示すように、この加速時組み合わせ制御においては、制御が開始されると(スタート)、まずステップS1で、各センサ17、25、33、34、56〜60によって検出された物性値ないしは検出値に対応する各種信号が読み込まれる。
【0035】
次に、ステップS2で、アクセル開度ないしはその増加速度に基づいて、エンジンE(ないしは車両)が加速状態にあるか否かが判定される。一般に、アクセルペダルが踏み込まれてエンジンEが加速を開始したときには、アクセルペダルの踏み込み動作に対して、排気ターボ過給機19のタービン19b及びコンプレッサ19aの動作遅れに起因する過給遅れ(ターボラグ)が生じる。このため、吸入空気の圧力の上昇(過給)の遅れにより吸入空気が不足し、エンジンEを迅速に加速することができなくなる。そこで、このエンジンEでは、エンジンEが加速状態であるときは、電動過給機21を駆動して吸入空気の圧力の上昇(過給)を助勢し、過給遅れの発生を防止ないしは抑制するようにしている。
【0036】
ステップS2でエンジンEが加速状態であると判定された場合は(YES)、ステップS3で、電動過給機21が所定の作動回転数(例えば、50000〜70000rpm)で作動させられる一方、逆止弁22が閉弁される。この場合、吸入空気は電動過給機21によって迅速に加圧され、過給遅れの発生が防止ないしは抑制される。この後、ステップS4が実行される。
【0037】
他方、ステップS2でエンジンEが加速状態でないと判定された場合は(NO)、もはや電動過給機21を駆動する必要はないので、ステップS13で電動過給機21が停止させられるとともに、逆止弁22が開弁される。この場合、吸入空気は、電動過給機21をバイパスし、第2分岐吸気通路16bを経由して流れる。この後、ステップS1に復帰する(リターン)。
【0038】
ステップS3で電動過給機21が作動させられた場合、ステップS4で、実過給圧(吸気圧力)、すなわち排気ターボ過給機19の過給圧と電動過給機21の過給圧の和ないしは合計値が、予め設定された目標過給圧以上であるか否かが判定される。目標過給圧は、エンジン回転数センサ56によって検出されたエンジン回転数、アクセル開度センサ59によって検出されたアクセル開度、該アクセル開度の変化率等に基づいて算出される要求空気量に応じて設定される。なお、要求空気量(要求トルク)の算出は、一般に用いられているモデルベース制御によって行うことができる。
【0039】
ステップS4で実過給圧が目標過給圧以上であると判定された場合は(YES)、もはや電動過給機21による過給は必要でないので、ステップS5で電動過給機21が停止させられるとともに、逆止弁22が開弁される。この場合、吸入空気は電動過給機21をバイパスして、第2分岐吸気通路16bを経由して流れる。この後、ステップS6が実行される。他方、ステップS4で実過給圧が目標過給圧未満であると判定された場合は(NO)、ステップS1に復帰し(リターン)、エンジンEが加速状態である限り、電動過給機21による過給が続行される。
【0040】
ステップS5で電動過給機21が停止された後、ステップS6で、エンジン回転数が予め設定された境界回転数α未満であるか否かが判定される。この境界回転数αは、これ未満のエンジン回転数では、排気弁6の閉弁時期の進角によるエンジントルクの向上効果が有効となり、これ以上のエンジン回転数では吸気弁1の閉弁時期の遅角によるエンジントルクの向上効果が有効となる境界値、例えば2000rpmに設定される。ステップS6で、エンジン回転数が境界回転数α未満であると判定された場合は(YES)、ステップS7〜S9で、排気弁6の閉弁時期(閉弁タイミング)が進角側に補正される。他方、ステップS6でエンジン回転数が境界回転数α以上であると判定された場合は(NO)、ステップS10〜S12で吸気弁1の閉弁時期(閉弁タイミング)が遅角側に補正される。
【0041】
図6は、エンジンEないしは該エンジンEを搭載した車両の加速時における過給圧の時間に対する変化特性と、電動過給機21の停止後における排気弁6及び吸気弁1の閉弁時期の補正態様とを示している。図6中において、グラフG1は排気ターボ過給機19による過給圧を示し、グラフG2は電動過給機21による過給圧を示し、グラフG3は実過給圧を示し、グラフG4は目標過給圧ないしは要求過給圧を示している。また、グラフG5は排気弁6の進角補正量を示し、グラフG6は吸気弁1の遅角補正量を示している。なお、図6に示す具体例においては、時刻tで電動過給機21が停止されるとともに排気弁6又は吸気弁1の閉弁時期の補正が開始され、時刻tで閉弁時期の補正が終了し、時刻tで排気弁6又は吸気弁1の閉弁時期の通常状態への復帰が開始され、時刻tで閉弁時期の復帰が終了している。
【0042】
図6に示すように、加速時に電動過給機21が駆動され、実過給圧が目標過給圧に達すと電動過給機21が停止される。しかし、この後電動過給機21の過給圧の低下に伴って一時的に実過給圧に落ち込みRが生じ、その分だけ吸入空気量が不足する。したがって、このままでは、エンジントルクが一時的に低下してトルクショックが発生し、円滑ないしはリニア(直線的)な加速感を生じさせることができない。
【0043】
そこで、このエンジンEでは、実過給圧の落ち込みRを補いないしは吸収するために、図6中のグラフG5又はグラフG6で示すように、排気弁6の閉弁時期を進角させ(排気弁早閉じ)、又は吸気弁1の閉弁時期を遅角させることにより(吸気弁遅閉じ)、エンジンEの気筒内エネルギを制御し、エンジントルクを高めて電動過給機21の停止後に一時的にトルクダウンが生じるのを防止するようにしている。つまり、エンジンEでは、電動過給機21の制御と、吸気弁カム制御装置13及び排気弁カム制御装置15(可変バルブタイミング制御装置)の制御とを組み合わせることにより、加速時におけるトルクショックの発生を防止し、円滑ないしはリニアな加速感を生じさせるようにしている。
【0044】
図7は、エンジンEが通常の運転状態にある場合(グラフP1)と、排気弁6の閉弁時期を進角させた場合(グラフP2)と、吸気弁1を遅角させた場合(グラフP3)とにおける、エンジンEの気筒内圧力(燃焼圧)のクランク角に対する変化特性をしている。図7において、各グラフP1〜P3によって囲まれた面積、すなわち気筒内圧力のクランク角ないしは時間についての積分値(以下「筒内圧積分値」という。)はエンジントルクに対応する。
【0045】
図7から明らかなとおり、排気弁6の閉弁時期を進角させた場合(グラフP2)は、通常の運転状態にある場合(グラフP1)に比べて、筒内圧積分値が大きくなっている。この場合、吸入空気量が増加し、ひいてはエンジントルクが高められることになる。これは、排気弁6の閉弁時期を進角させると、排気エネルギを燃焼室3内(気筒内)に留めることができ、燃焼エネルギの仕事を維持させることができるからである。このため、トルクダウンを補い又は吸収することができる。この効果は、エンジン回転数が比較的低いときに顕著となる。これは、低回転域では、1サイクルあたりの燃焼が比較的遅いので、ストローク分のトルクを得ることができるからである。
【0046】
また、吸気弁1の閉弁時期を遅角させた場合(グラフP3)も、通常の運転状態にある場合(グラフP1)に比べて、筒内圧積分値が大きくなっている。この場合も、吸入空気量が増加し、ひいてはエンジントルクが高められることになる。これは、吸気弁1の閉弁時期を遅角させると、一時的にコンプレッションTOPを増加させることができるからである。このため、過給圧低下による空気押し込みを補助し、トルクダウンを補い又は吸収することができる。この効果は、エンジン回転数が比較的高いときに顕著となる。これは、高回転域では、1サイクルあたりの燃焼が早いため、瞬時の圧力上昇により、出力を得ることができるからである。
【0047】
図6から明らかなとおり、排気弁6の閉弁時期の進角及び吸気弁1の閉弁時期の遅角は、瞬時にステップ状に行われるのではなく、電動過給機21の停止後における電動過給機21の過給圧の低下の態様に応じて徐々に行われる。このエンジンEでは、閉弁時期をリニアに変化させることができる電磁式の吸気弁カム制御装置13及び排気弁カム制御装置15(可変バルブタイミング制御装置)を用いているので、電動過給機21の過給圧の低下の態様に応じて閉弁時期をこのように自在に変化させることができる。また、エンジントルクの急変を回避するため、排気弁6の閉弁時期の復帰及び吸気弁1の閉弁時期の復帰も、瞬時にステップ状に行われるのではなく徐々に行われる。
【0048】
以下、ステップS6でエンジン回転数が境界回転数α未満であると判定され、排気弁6の閉弁時期が進角側に補正される場合の具体的な制御手順を説明する。この場合、まずステップS7で排気弁6の閉弁時期が徐々に進角させられる。この排気弁6の閉弁時期の進角は、タイマを用いて予め設定された時間で最終的な進角補正量となるように行われる。このように、この排気弁6の閉弁時期を徐々に進角させるのは、進角量を電動過給機21の停止に伴う電動過給機21の過給圧の低下に追従させるとともに、エンジントルクの急変を防止するためである。
【0049】
次に、ステップS8で、予め設定された期間が経過したか否かが判定される。ここで、予め設定された期間が経過していると判定された場合は(YES)、ステップS9で排気弁6の閉弁時期が通常の閉弁時期に徐々に復帰させられる(遅角させられる)。この排気弁6の閉弁時期の遅角は、タイマを用いて予め設定された時間で通常の閉弁時期に復帰するように行われる。このように、この排気弁6の閉弁時期を徐々に復帰(遅角)させるのは、エンジントルクの急変を防止するためである。この後、ステップS1に復帰する(リターン)。他方、ステップS8で、予め設定された期間が経過していないと判定された場合は(NO)、ステップS9をスキップし、ステップS1に復帰する(リターン)。この場合、エンジントルクを高めるための排気弁6の閉弁時期の上記進角補正量が維持される。
【0050】
以下、ステップS6でエンジン回転数が境界回転数α以上であると判定され、吸気弁1の閉弁時期が遅角側に補正される場合の具体的な制御手順を説明する。この場合、まずステップS10で吸気弁1の閉弁時期が徐々に遅角される。この吸気弁1の閉弁時期の遅角は、タイマを用いて予め設定された時間で最終的な遅角補正量となるように行われる。このように、この吸気弁1の閉弁時期を徐々に遅角させるのは、遅角量を電動過給機21の停止に伴う電動過給機21の過給圧の低下に追従させるとともに、エンジントルクの急変を防止するためである。
【0051】
次に、ステップS11で、予め設定された期間が経過したか否かが判定される。ここで、予め設定された期間が経過していると判定された場合は(YES)、ステップS12で吸気弁1の閉弁時期が通常の閉弁時期に徐々に復帰させられる(進角させられる)。この吸気弁1の閉弁時期の進角は、タイマを用いて予め設定された時間で通常の閉弁時期に復帰するように行われる。このように、この吸気弁1の閉弁時期を徐々に復帰(進角)させるのは、エンジントルクの急変を防止するためである。この後、ステップS1に復帰する(リターン)。他方、ステップS11で、予め設定された期間が経過していないと判定された場合は(NO)、ステップS12をスキップし、ステップS1に復帰する(リターン)。この場合、吸気弁1の閉弁時期の上記進角補正量が維持される。
【0052】
前記のとおり、この実施の形態に係るエンジンEでは、加速時における電動過給機21の停止に伴う実過給圧の一時的な落ち込みに起因するエンジントルクの低下を、吸気弁1又は排気弁6の閉弁時期を変えることにより補うようにしている。しかしながら、前記のとおり、排気ターボ過給機19は、可動ベーンアクチュエータ28を介して、可動ベーン27の角度ないしは向きすなわちベーンノズル開度を変えることにより過給特性を変えることができる。そこで、コントロールユニットCによって可動ベーン27の角度ないしは向きすなわちベーンノズル開度を変えることにより、排気ターボ過給機19の過給圧を高めてエンジントルクの低下を補うようにしてもよい。
【0053】
また、この実施の形態ではエンジンEはディーゼルエンジンであるが、エンジンEとしてガソリンエンジン等の火花点火式エンジンを用いる場合は、コントロールユニットCによってスロットル弁の開度を変えることによりエンジントルクの低下を補うようにしてもよい。
【0054】
以上、本発明の実施の形態に係るエンジンEによれば、加速時には電動過給機21が作動するので、排気ターボ過給機19の応答遅れに起因する過給遅れを防止又は抑制することができる。さらに、電動過給機21の作動が停止するときに、吸気弁1又は排気弁6の閉弁時期が、エンジントルクが向上する方向に補正されるので、電動過給機21の停止による実過給圧の一時的な落ち込みに起因するエンジントルクの低下を有効に防止することができ、円滑ないしはリニアな加速感を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る過給装置を備えたディーゼルエンジンのシステム構成を示す模式図である。
【図2】図1に示すエンジンの電動過給機の側面図である。
【図3】図1に示すエンジンの排気ターボ過給機のタービンの側面断面図である。
【図4】図1に示すエンジンの制御システムの構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示すエンジンの加速時組み合わせ制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】加速時における過給圧の時間に対する変化特性、及び、その際の排気弁及び吸気弁の閉弁時期の補正量の時間に対する変化特性を示すグラフである。
【図7】気筒内圧力(燃焼圧)のクランク角に対する変化特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
E ディーゼルエンジン(エンジン)、C コントロールユニット、1 吸気弁、2 吸気ポート、3 燃焼室、4 ピストン、5 燃料噴射弁、6 排気弁、7 排気ポート、8 シリンダ(気筒)、9 コネクチングロッド、10 クランクシャフト、11 エンジンスタータ、12 吸気弁開閉カム機構、13 吸気弁カム制御装置、14 排気弁開閉カム機構、15 排気弁カム制御装置、16 共通吸気通路、16a 第1分岐吸気通路、16b 第2分岐吸気通路、17 エアフローセンサ、18 吸気制御弁、19 排気ターボ過給機、19a コンプレッサ、19b タービン、20 インタークーラ、21 電動過給機、22 逆止弁、23 サージタンク、24 独立吸気通路、25 吸気圧センサ、26 共通排気通路、27 可動ベーン、28 可動ベーンアクチュエータ、30 排気ガス浄化触媒、31 パティキュレートフィルタ、32 ケーシング、33 第1温度センサ、34 第2温度センサ、35 排気開閉弁、36 高圧EGR装置、37 高圧EGR通路、38 高圧EGRクーラ、39 高圧EGR制御弁、41 低圧EGR装置、42 低圧EGR通路、43 低圧EGRクーラ、44 低圧EGR制御弁、46 吸入口、47 吐出口、48 コンプレッサ部、49 モータ部、50 冷却水ジャケット、52 タービン室、53 タービン翼、54 ノズル、55 可動ベーンの軸、56 エンジン回転数センサ、57 クランク角センサ、58 エンジン水温センサ、59 アクセル開度センサ、60 吸気温センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ターボ過給機と、
吸気通路に配設された電動過給機と、
加速時に電動過給機を作動させる電動過給機制御手段とを備えているエンジンの過給装置であって、
吸気弁と排気弁のうちの少なくとも一方の動弁の開閉時期を制御することができる動弁制御手段を備えていて、
上記電動過給機制御手段は、加速時に電動過給機を作動させた後、過給圧が予め設定された目標過給圧に達したときに上記電動過給機の作動を停止させるように構成され、
上記動弁制御手段は、上記電動過給機の作動が停止されるときに、開閉時期を制御することができる動弁のうちの少なくとも一方の動弁の動作タイミングを、エンジントルクが向上する方向に補正するように構成されていることを特徴とするエンジンの過給装置。
【請求項2】
上記動弁制御手段は、吸気弁及び排気弁の両方の動弁の開閉時期を制御することができるようになっていて、動作タイミングを補正すべき動弁をエンジン回転数に応じて切り換えるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの過給装置。
【請求項3】
上記動弁制御手段は、エンジン低回転時に排気弁の閉弁時期を進角側に補正するように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載のエンジンの過給装置。
【請求項4】
上記動弁制御手段は、エンジン高回転時に吸気弁の閉弁時期を遅角側に補正するように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載のエンジンの過給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−221848(P2009−221848A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63850(P2008−63850)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】