説明

エンジン燃料制御システム

燃料制御システムを提供する。燃料制御システムは、内燃機関への燃料の流れを制御するための配合比でパイプライン燃料を廃燃料と配合するための一対の制御弁に連結された電子制御システムを含む。燃料制御システムは、燃料混合物のエネルギ含有量を推定して配合比をエネルギ含有量が平衡するように変更することが可能である。燃料制御システムは、配合比を変更してエンジン作動パラメータを所定の許容範囲内となるように補うことが可能である。燃料制御システムは、配合比を変更して出力パワーまたは排気中の排出物の作動パラメータを所定の許容範囲内となるように補うのが典型的である。さらに、燃料制御システムは、配合比により所望されるパワー出力を生成することが不可能なときは、配合比からの変更(調整)または所望されるパワー出力からの変更(調整)を優先することが可能である。また、燃料制御システムは、エンジン回転数/負荷の制御、失火(ミスファイヤ)、点火タイミング、およびノック検出機能を装備することも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に内燃機関に関し、より詳細にはエンジン制御に関し、さらに詳細には内燃機関のための燃料および点火制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガスに関する排出指令およびコスト節約の機会により、処理プラント(例えば、下水処理場またはゴミ埋立地)の運営主体は、そのプラントにおける処理によって生成されるメタンリッチ廃燃料を利用する発電設備またはコジェネレーション設備の設置を促されている。
【0003】
典型的には、これらの設備によって産出される熱および電力はプラント内で利用されて処理を支援する。しかし、生成される燃料の組成と量は、長い時間にわたって信頼できるほど安定してはいない。よって、廃燃料から利用可能な正味のエネルギが、プラントの操業を十分に賄うためには足りない場合、運営主体は、必要とされる追加の電力を購入するか、または発電設備もしくはコジェネレーション設備の運転をパイプライン燃料(パイプラインにより供給される燃料)に切り替えるか、選択しなければならない。
【0004】
今日では、2種類の異なる燃料に適応可能な、すなわち、専ら一の燃料または他の燃料で運転されるエンジン制御システムは存在する(例えば、EP0727574B1を参照)。残念ながら、これは、パイプライン燃料を廃燃料と配合することにより廃燃料を直接補うようにパイプライン燃料を利用できるシステムになってはいない。
【0005】
さらに、米国特許第6,805,107号では、一定品質の燃料に加え、変動品質の燃料をエンジンに供給することが教示されている。しかし、一定品質の燃料は、2つの個別に設けられた吐出口のうち、一定の流れが一方の吐出口から基底流量として提供され、調整可能な流れが第2の吐出口から提供されるように供給される。一定品質の燃料の一定の流れが提供されることにより、’107号特許のシステムでは、変動品質の燃料がシステムにパワーを与えるために十分な品質である場合であっても、ユーザはシステムを全面的に変動品質の燃料で運転することはできない。
【0006】
他の試みられてきた解決策では、エンジン制御システム外の配合設備を用いて、パイプライン燃料を廃燃料と配合することにより一定の燃料品質を提供するように努められている。この種のシステムに関する報告によれば、高い購入コストを考慮すると、性能および信頼性は非常に不本意なものであった。
【0007】
本発明は、現在の技術水準を凌ぐ改良された方法および装置に関する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、独立して個々に、または他の態様との組み合わせにより特許性を有すると有効に主張し得るいくつかの態様を有し、かかる態様は、以下の態様および実施の形態を含むがそれらに限定されない。
【0009】
本発明の実施の形態は、エンジン制御に統合され、エンジンパワー、排気中の排出物、およびエンジンの安全のためのマージンを維持しながら無制限に配合された2つのガス(すなわち、廃燃料およびパイプライン燃料)を制御および供給することが可能な燃料配合機能を提供するとともに、ハードウェアまたはコストを過度に追加することのない燃料制御システムを提供する。さらに、本発明の実施の形態は、エンジンからのフィードバック情報を用いて燃料混合物を調整または補うように変更する(補償する/平衡させる)ことで、これらの上記特性を実現する。
【0010】
一の実施の形態では、本発明は、高信頼性燃料の供給源および低信頼性燃料の供給源からエンジンへの燃料の供給を動的に制御する方法であって、エンジンに給送される燃料混合物の高信頼性燃料対低信頼性燃料の所望される外部配合比を定めるステップと;燃料混合物の高信頼性燃料対低信頼性燃料の実際の配合比で、エンジンに燃料を給送するステップとを備える方法を提供する。エンジンに燃料を給送するステップは、高信頼性燃料の供給源からエンジンへの燃料の流れを制御するステップと;低信頼性燃料の供給源からエンジンへの燃料の流れを制御するステップとを有する。
【0011】
一の実施の形態では、本発明は、高信頼性燃料の供給源および低信頼性燃料の供給源からエンジンへの燃料の供給を動的に制御する方法を提供する。本発明による方法は、エンジンの作動特性を監視するステップと;エンジンの監視対象の作動特性に応答して、高信頼性燃料の供給源からエンジンへの燃料の流れを全流と無流との間で制御するステップと;エンジンの監視対象の作動特性に応答して、低信頼性燃料の供給源からエンジンへの燃料の流れを全流と無流との間で制御するステップとを備える。
【0012】
さらなる実施の形態では、本発明は、変動組成燃料の供給源および一定組成燃料の供給源からエンジンに燃料を選択的に供給するための動的なエンジン制御システムを提供する。本発明による動的なエンジン制御システムは、第1および第2の燃料制御弁と;制御システムとを備える。制御システムは第1および第2の燃料制御弁に作動可能に連結される。制御システムは、少なくとも1つのエンジン性能パラメータを検知する少なくとも1つのエンジン性能センサを含む。制御システムは、検知されたエンジン性能パラメータに基づいて第1および第2の燃料制御弁を通過する流れを調整するように構成される。
【0013】
本発明の他の態様、目的及び利点は、添付図面を併せ見れば、以下の詳細な説明によりさらに明らかになるであろう。
【0014】
本明細書に組み入れられ、本明細書の一部分を形成する添付図面は、本発明の複数の態様を例示し、記述とともに、本発明の原理の説明に資する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の好適な実施の形態を実現する装置の簡略図である。
【0016】
【図2A】図2Aは、図1に示す装置の燃料制御システムを制御するための制御ロジックを説明するフローチャートである。
【図2B】図2Bは、図1に示す装置の燃料制御システムを制御するための制御ロジックを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、ある好ましい実施の形態と関連付けて説明されるが、それら実施の形態に限定する意図はない。反対に、意図するところは、全ての代替物、変形、および均等物を、特許請求の範囲に定義されているように本発明の精神と範囲の内に含まれるものとして、カバーすることである。
【0018】
ローカル(特定の地域の)・プラントで生成された廃燃料もしくは代替燃料、または第三者から取得した燃料から動力(パワー)を得ることができる、本発明の実施の形態によるパワーシステム100を図1に概略的に示す。廃燃料は、本明細書では「無料燃料」、「代替燃料」、「変動組成燃料」、または「低信頼性燃料」(高信頼性燃料よりも品質において信頼性の低い燃料)ともいい、典型的にはメタンなどのバイオ由来燃料である。第三者が提供する供給源から取得される燃料は、「高信頼性燃料」、「安定燃料」、「固定組成燃料」、「固定品質燃料」、または「パイプライン燃料」ともいい、石油または天然ガスなどの化石燃料が典型的である。しかし、パイプライン燃料は、高い品質基準に合わせて処理されたバイオ処理燃料であってもよい。パワーシステム100は、一般に、内燃機関102と、電子制御システム104と、一対の燃料制御弁106,108と、典型的には発電機110であるシステム負荷とを含む。しかし、パワーシステム100を用いて、発電機でなく他の負荷または機械へ直接にパワー(動力)を供給してもよい。
【0019】
電子制御システム104および制御弁106,108は、2つの別々の供給源からエンジン102への燃料の流れを独立して制御するために用いることができる燃料−エンジン制御システムである燃料制御システムを形成する。燃料制御システムの少なくとも一の実施の形態の主たる特徴の1つは、廃燃料を利用しながら排出物または出力パワーを制御するように燃料を配合するための手段を提供することである。
【0020】
図示のように、燃料制御システムは、内燃機関102への廃燃料(矢印112として図示)およびパイプライン燃料(矢印114として図示)の流れを制御する。廃燃料または廃燃料の供給特性および内燃機関102の作動(運転)パラメータまたは特性に依存して、燃料制御システムは、完全に廃燃料であっても、完全にパイプライン燃料であっても、または廃燃料とパイプライン燃料との配合物もしくは混合物であってもよい燃料の流れをエンジン102に供給することができる。パイプライン燃料は第三者である供給者から購入するのが典型的であるので、可能な場合は、完全にではないにしてもできる限り廃燃料112でエンジン102を運転するのが好ましい。
【0021】
弁106は廃燃料112の供給側に結合され、内燃機関102への廃燃料の流れの体積(体積流量)を制御するように電子コントローラ104により作動制御される。同様に、弁108は、パイプライン燃料114の供給側に結合され、内燃機関102へのパイプライン燃料の流れの体積(体積流量)を制御するように電子コントローラ104により作動制御される。弁106,108は、コロラド州フォートコリンズ市に本社があるWoodward Governor Company(ウッドワード・ガバナー・カンパニー)から現在入手可能なTecJet(テクジェット)またはRaptor(ラプター)(以下、TecJet(テクジェット)と称する)弁などの電子的に制御されるインテリジェント弁であるのが好ましい。異なる燃料の供給源、すなわち、パイプライン燃料または廃燃料には、異なるTecJet(テクジェット)弁を用いてもよい。さらに、下水処理プラントと比べた場合に、埋立地のような異なる場所からの異なる種類の廃燃料についても、個々の燃料の種類に合わせて特別に構成したスマート弁としての異なるTecJet(テクジェット)弁を要求してもよい。
【0022】
これらの弁は、速やかな流れの制御/調整のためにCAN通信リンクを経由して電子制御システム104と双方向に通信できる。また、双方向通信リンクを用いることにより、弁106,108内のデジタル・アクチュエータからの自己診断情報を、電子コントローラ104に送信することもできる。本明細書で用いるCAN通信は、CAN J 1939であるのが典型的であるが、CAN Open外部通信などの他のCAN通信リンクであってもよい。
【0023】
廃燃料112およびパイプライン燃料114はそれぞれ、弁106,108を通過した後、配合装置116で配合される。配合装置は、燃料が内燃機関102に向かう際に弁106,108からの燃料の流れを合流させるマニホルド他の構造であってもよい。配合装置は、2つの燃料の流れの改善された配合を可能とするベンチュリ構造を含んでもよい。しかし、配合装置は、弁106,108を出る燃料パイプを単に連結するものであってもよい。図示の実施の形態において、廃燃料の流れ112とパイプライン燃料の流れ114とを配合する場合、配合は空気との混合(吸気)の前に行われる。しかし、代替の実施の形態では、廃燃料112とパイプライン燃料114との混合の前に、それぞれの流れに個別の燃料−空気混合チャンバを設けるものとしてもよい。この代替の構成によれば、それぞれの混合器を個々の燃料の特性に応じてサイズを定め、構成することができ、またそれぞれの燃料の空気との混合(吸気)が他方の空気との混合(吸気)に影響を与えない。
【0024】
さらに、すべての実施の形態で必要というわけではないが、図示の実施の形態は、エンジン(パワー)出力の増大を支援するターボ117と、コンプレッサ118と、インタークーラ119とを含む。付加的に(オプションとして)、最適化されたエンジン効率およびサージ保護のため、タービン・バイパスまたはコンプレッサ・バイパスのスロットリング作動(制御)を介してターボチャージャのブースト(過給圧力)を制御することも可能である。
【0025】
電子制御システム104は、発電機システム100の様々な作動(運転)パラメータ(「作動(運転)特性」とも称する)を検知するための複数のセンサ120〜128との間で作動可能に通信する。センサ120〜128は、吸気マニホルド絶対混合圧力、吸気マニホルド混合温度、エンジン回転数、排気中の排出物、粒子トラップ圧力、エンジン冷却液温度、エンジン負荷、およびエンジンノックを監視するセンサを含んでもよい。また、電子制御システム104は、廃燃料112およびパイプライン燃料114に関するパラメータ、例えば燃料圧力、燃料温度、燃料品質(CH%、CO%、またはBTU値に基づいて算出してもよい)、燃料の種類、または流量を監視するセンサと作動可能に通信してもよい。
【0026】
また、燃料制御システムは、いずれのエンジン負荷およびエンジン回転数の条件においても、空気の流れに対する関連においてエンジン102への燃料の流れを制御することができる。そのため、図示の実施の形態の電子制御システム104は、ミクスチャ(混合器)・スロットル130(すなわち、チョーク形成部)へ作動可能に連結されている。ミクスチャ(混合器)・スロットル130は、エンジン102に入る空気−燃料混合気の量を調整することができる。
【0027】
点火機能は、電子制御システム104により提供される。電子制御システム104は、マイクロプロセッサにより制御される点火ユニット132を含む。マイクロプロセッサ制御の点火ユニット132は、コンデンサ放電コイル134に結合された、IC−920またはIC−922点火モジュールの形態のコンデンサ放電点火式の(容量放電点火式の)システムコントローラであることが好ましい。マイクロプロセッサ制御の点火ユニット132は、CAN通信リンクを経由して電子制御システム104の電子コントローラ136に対するスレーブとして機能する。IC−920またはIC−922点火モジュールを用いるのが好ましいが、他のOEM製の点火システム、またはエンジンとともに供給される(純正の)点火システムを用いることもできる。また一方で、他の種類の点火システムを使用する場合には、コンデンサ放電点火式(容量放電点火式)ではない他の種類のコイルを用いることができる。
【0028】
ノックの検出と軽減は、電子制御システム104の一部を形成するノック検出モジュール142と通信する振動検知式ノックセンサ140により得られることができる。ノック検出モジュール142も、Woodward Governor Company(ウッドワード・ガバナー・カンパニー)から現時点で入手可能なFireFly Detonation Detection Control(ファイヤーフライ/デトネーション検出制御)の形態であるのが好ましい。繰り返しになるが、デトネーション検出モジュール142は、CAN通信リンクを経由して通信を行い、ノック検出モジュールは、専用のCANリンクを経由して電子コントローラ136に対するスレーブとして機能する。
【0029】
燃料制御システムは、命令されたグローバル点火(スパーク)タイミングがメタン価に基づくエンジンの要求と共存するように、燃料品質に依存するタイミング設定点を用いる。
【0030】
ノック検出モジュール142からのノック保護のための点火遅延命令が受信され、それらに基づいて作用する。ノックを抑えるための点火遅延は、メイン電子コントローラ136により監視/制御され、かかるコントローラは、最大のタイミング遅延でもノックが完全に解消されない場合は、エンジンパワーを低下させるように働く。
【0031】
燃料制御システムは、排気中の排出物に加え、エンジンの回転数または出力を制御できる。また、燃料制御システムは、エンジン回転数に基づいて点火(スパーク)タイミングを制御するか、または失火(ミスファイヤ)レベルに基づいて点火(スパーク)エネルギを制御することができる。グローバル点火(スパーク)タイミングの較正は燃料の仕様毎に行う。
【0032】
燃料制御システムは、自然吸気式またはターボ過給式の、マルチバンク型、直列型、およびV型のパワー(動力)出力エンジンのいずれにも適用できる。燃料制御システムはPCを介して容易に設定可能であり、例えば、木ガス、ランドフィル燃料、LPGに至る幅広い範囲の燃料組成をカバーすることができる。
【0033】
このシステムは、単一種類の燃料(すなわちパイプライン燃料もしくは廃燃料)を使用する単一燃料モード、または配合燃料モードで運転することができる。単一燃料モードでの運転時は、特定のエンジンに対して十分なBTU含有量およびアンチノック特性を有するいずれの燃料組成も実現可能である。また、配合モードでの運転時は、完全な変動組成の廃燃料と完全な固定組成のパイプライン燃料との間のいずれの配合も実現可能である。単一燃料モードまたは配合モードのいずれであっても、通常のエンジン作動(運転)中の廃燃料の品質の典型的な変化は、燃料制御システムにより補うように変更される(補償される/平衡とされる)。廃燃料は、名目上、既知のエンドポイント(端点)の間のメタンと不活性燃料との二成分の混合物であるという基準を満たすのが望ましい。さらに、配合モードでは、パイプライン燃料の品質(BTU含有量、ウォッベ指数および/または組成)が一貫しているほど、燃料制御システムは、燃料配合アルゴリズムに基づいて効果的に作動することが可能である。パイプライン燃料の(品質の)一貫性を高めていけば、電子制御システム104は、必要なときにエンジン102に供給される燃料混合物のエネルギ含有量をより正確に推定できるようになる。
【0034】
燃料制御システムの燃料配合作動により、エンジンの回転数/負荷の制御、排気中の排出物、ノック、および失火(ミスファイヤ)マージンを維持しながら、2つの個別の供給源からの燃料の流れを独立して制御することが可能となり、2つの燃料の配合比には、2つの燃料のそれぞれの供給圧力および特性がエンジン・アプリケーションによる較正の限度内である限り、何らの制約もない。これらのパラメータが較正の限度外となった場合、燃料配合システムは、要求されるパワーを維持するとともにノックおよび失火(ミスファイヤ)に対する保護を継続するために、必要に応じて、配合比(すなわち、廃燃料対パイプライン燃料比)を自動的に調整することができる。燃料制御システムは、吸気マニホルド圧力、排気中の排出物、出力パワー、およびエンジン温度などの内燃機関102からの作動(運転)特性フィードバック情報を収集して配合比を動的に調整することができる。エンジン102の燃料配合作動中の配合燃料品質の正常な(通常の)変化は、典型的には出力パワー(kW)・フィードバックに基づいて燃料制御システムによって補うように変更される(補償される/平衡とされる)。
【0035】
内燃機関102の作動(運転)特性の他、燃料制御システムは、廃燃料供給側112の特性に基づいて配合比を制御することができる。燃料圧力または燃料の特性が正常範囲から大きく逸脱した場合、燃料制御システムは配合比をさらに変化させる。必要であれば、燃料制御システムはエンジンパワーを抑制するか、さもなければエンジンを停止させることができる。加えて、燃料制御システムは、付随する警報の作動および診断情報を提供することができる。
【0036】
電子制御システム104は、液化石油ガス(LPG)および天然ガスからランドフィルガスおよび他の低BTU燃料に至る幅広い範囲の燃料組成をカバーするようにプログラム設定してもよい。
【0037】
燃料制御システムは、図示のように、複数の別々のモジュールを組み合わせて形成したり、あるいは、単一の電子制御装置として形成したりすることができる。さらに、先に説明した機能もサード・パーティの(他の)制御システムの一部とし、燃料システム104がCAN通信によりこのサード・パーティの(他の)システムと通信するように設けることもできる。
【0038】
パワーシステム100の主たる構造上の特徴を先に説明したところで、パワーシステム、特に燃料制御システムの作動および特徴について説明する。
【0039】
図2Aおよび図2Bは、所望のパワー出力または(外的に決定された)所与の(外部の)パワー出力、所望の混合比または(外的に決定された)所与の(外部の)配合比、最大出力パワー、最小出力パワー、最小廃燃料利用率(または最大パイプライン燃料利用率)などのユーザ指定(仕様)による様々な数量に基づく、燃料制御システムのポテンシャル・コントロール・ロジックを概略において説明するフローチャートである。これらは、オペレータが外的に(外部で)決定してもよい様々なパラメータのほんのいくつかを示すものである。
【0040】
理想的な状況での燃料制御システムは、パイプライン燃料をまったく追加せずに、配合比が100%の廃燃料で運転する。しかし、ノック、排気温度、排気中の排出物、パワー出力、吸気マニホルド圧力などのエンジンの作動(運転)パラメータが所定の許容範囲外に変動するか、または廃燃料の供給がエンジンを運転するために不十分であるときは、燃料制御システムは、この所望の配合比または(外的に決定された)所与の(外部の)配合比から変化させる(調整する)ことで、実際の燃料混合物にパイプライン燃料を含ませて実際の配合比を形成する。
【0041】
燃料制御システムの通常の作動は、廃燃料を生成するプラントから受信した入力ロジックおよび情報に応じて廃燃料112とパイプライン燃料114との両方またはいずれかからの燃料を消費するステップの一方で、エンドユーザが入力した外部からの命令としての(すなわち、所望の(外部の))パワー目標に従うステップにより構成される。この入力ロジックは、燃料制御システムに、最小パワー出力で作動させる(すなわち、この制御システムに、最小パワー出力を上回るパワー出力を維持させる)か、または最小廃燃料使用率で作動させる(すなわち、この制御システムに最小廃燃料使用率を上回る廃燃料使用率を維持させる)か、のいずれかであるのが典型的である。
【0042】
実際の燃料配合は、作動条件に起因し、必要に応じて、受信した入力ロジックから外れてもよい。(外的に決定された)所与の(外部の)配合比は、全部がパイプライン燃料であって廃燃料無しから、パイプライン燃料無しであって全部が廃燃料までの間の全ての燃料混合物を含む範囲の比例値である。これは、各燃料に専用の弁106,108を用いることにより実現できる。それぞれの弁106,108は、特定の燃料BTUおよび利用可能な燃料圧力に合わせてサイズが決められ、プログラム設定されている。
【0043】
燃料制御システム、特に電子コントローラ136は、それぞれの弁106,108に要求される瞬間的な質量流量を判定し、これら質量流量についての、それぞれの弁106,108に対する命令を与える。次いで、それぞれの弁106,108は、命令された質量流量の燃料を供給するように作動する。
【0044】
実施の形態によっては、燃料制御システム、特に電子制御システム104の電子コントローラ136は、エンジン102に送られる燃料混合物の実際のエネルギ含有量を推定する。このエネルギ含有量は、100%パイプライン燃料と100%廃燃料との間の補間に基づいており、点火タイミングの調整および/または負荷の軽減に用いられる。この情報は、ルックアップ・テーブルに格納される。電子コントローラ104の点火コントローラからの実際の点火タイミングは、電子コントローラ104内の総合効率ルックアップ・テーブルへの入力として用いられる。また、この推定されたエネルギ含有量を用いて、エンジン102に供給される燃料の実際の配合比を補うように変更する(補償する/平衡させる)(エネルギ含有量を平衡させるように変更する)ことができる。
【0045】
燃料制御システムは、プラントから受信した入力ロジックに基づく最終的な内部の配合比もしくは実際の配合比、またはプログラム設定された所望の(外部の)配合比(すなわち配合比設定点)、例えば100%廃燃料の所望の(外部の)配合比などを連続的に判定する。通常の条件下では、(外的に決定された)所与の(外部の)配合比または所望の配合比は、実際の配合比または内部の配合比と同じである。しかし、目標である外部の配合比を実現することが望ましくないまたは不可能にする条件が生じる可能性がある。このような状況は、目標である外部の配合比が、廃燃料が100%または比較的高い割合であるときに生じやすく、以下の結果となる可能性がある:
・所望のBTU値の廃燃料を供給するには供給圧力が不十分である場合(この場合、廃燃料弁106が「流量不足(不到達)」警報を生成する)。
・廃燃料の監視対象とされた処理圧力が、外部から命令された最低閾値以下である場合(この特徴により、プラントは、燃料配合作用により廃燃料を枯渇させてしまう、および/またはプラントの廃燃料生成工程に悪影響を与えてしまうことを防止できる)。
・高い排気温度(廃燃料の劣悪な(好ましくない)燃焼特性に起因する)が燃料制御システムにより検出された場合(この特徴については付加的(オプション)である)。
【0046】
これらの状況下では、エンジンおよび処理の臨界パラメータを通常範囲内に維持しながら、実際の配合比または内部配合比における廃燃料112の割合を、プラントから受信した入力ロジックにより許容される制約内で、プラントの入力ロジックに応じた作動を可能にする値に減少させる。配合の制約、外的条件、および臨界パラメータが共存不可能であれば、停止させ、警報を生成してもよい。
【0047】
燃料制御システムがエンドユーザに与える望ましい特徴は、所望のパワー出力目標を満たす廃燃料が利用可能である限りにおいて、最小量のパイプライン燃料を用いるか、またはパイプライン燃料をまったく用いない(全てが廃燃料である)ように制御を構成できる能力である。例えば、ユーザが廃燃料のみを使いたい場合、エンドユーザは、まず、外部配合比または所望の配合比を100%廃燃料に設定する。加えて、ユーザは、100%廃燃料では所望のパワーを供給するには不十分な場合に備え、最大許容パイプライン燃料使用率(例えば、配合比の入力値を90%廃燃料に設定することにより10%とする)を指定できる。
【0048】
次のステップでは、燃料制御システムが上位の(好ましい)目標(パワー)レベルと下位の(最小許容)パワーレベルとの間でパワーを調整可能とする、所望のパワー出力についての窓(範囲)を設定する。この構成では、燃料制御システムは、廃燃料の品質および利用可能性が許す限り、100%廃燃料を使用して目標とされる上位(パワー)レベルにパワーを維持する。廃燃料112は現場でバイオ生成されるのが典型的であるため、燃料の品質または組成は、パイプライン燃料よりはるかに大きく変動し、廃燃料を用いて産出し得るパワー出力を変動させる可能性がある。さらに、廃燃料の生成量は時々変動し得るので、プラントが十分な廃燃料を提供できなかったり、エンドユーザが廃燃料生成処理を混乱させるほど多量な燃料の使用を望まなかったりするかもしれない。従って、燃料制御システムは、廃燃料生成処理を保護するようにパワー出力を調整してもよい。
【0049】
これらの理由の一のために目標とされる上位パワーを満たせないとき、燃料制御システムは、負荷を自動的に軽減することにより、配合比を100%に維持しながら廃燃料の流れを減少させる。このような状況では、パワー出力よりも配合比が優先されている。しかし、このモードでは、(前述のように)パワー出力よりも配合比が優先されていたにもかかわらず、燃料制御システムは、ユーザにより指定された最小許容レベルを下回るようにはパワーを低下させない。その代わり、必要に応じて、パイプライン燃料を廃燃料に追加して、パワーを、ユーザが指定する最小(許容)レベルに維持する。
【0050】
このモードでは(すなわち、ユーザが入力した(上位の)目標パワーと(下位の)最小許容パワーとの設定の間に差がある場合であって)、(一方の)目標パワーと(他方の)100%(または目標とする)配合比とを同時に維持できないときはいつでも、ユーザが指定した下限(最小許容パワー)までパワーを低下させることが、配合比を低下させることよりも優先されておこなわれる。(また、)通常は、ユーザに好まれる設定は廃燃料100%であるにもかかわらず、このモードは、廃燃料100%を下回る所望の(任意の)配合比でも利用できるように設けられている。換言すれば、配合比の維持が、所望の最大パワーの維持よりも優先されて、パワー出力を低下させる変更(調整)が最初に(第一に)行われるように設けられている。
【0051】
このため、このモードは、ユーザが(下位の)最小許容パワー出力または実際のパワー出力を(上位とされるべき)所望のパワー以上に設定する場合にはいつでも無効化され、このモードを無効化することができる。また、上位および下位の負荷の入力を同じ値に設定または設定しようとプログラムを調整することが所望された場合には、典型的には、2つの値を同一の信号に連結するように設けることにより、このモードを恒久的に無効化するように設けることもできる。
【0052】
また、「パワー優先」を別個に入力するように設けることもできる。この目的は、最小パワーと最大許容パイプライン燃料使用率(すなわち、所定の最小廃燃料使用量)とを同時に満たすことができない場合に、ユーザが好みを示せるようにすることである。ユーザがパワー優先=真(あるいは、廃燃料優先=偽)を選択するときは、指示された最大許容レベルを上回るパイプライン燃料を追加することによりパワーを維持し、この状態の発生を示す警報を起動する。パワー優先=偽(あるいは、廃燃料優先=真)のときは、最大許容パイプライン燃料限度を遵守し、最小許容パワーの入力値を下回るようにパワーを低下させ、この状態の発生を示す警報を生成する。あるいは、警報を伴って停止処理を開始してもよい。
【0053】
本発明の燃料制御システムの構造および作動上の特徴をより一般的に説明したところで、これらの特徴を含む燃料制御システムにより実装される1組の制御ロジックを示す図2Aおよび図2Bに示すフローチャートを、より詳細に説明する。
【0054】
最初のブロック200で燃料制御システムを起動する。始動したら、燃料制御システムは、決定ブロック202に進み、例えば、固定配合比が真に等しいことを判定することにより、固定配合比モードが選択されているかを判定する。固定配合比が真であると判定された場合、次に、決定ブロック204に示すように、目標配合比が100%パイプライン燃料未満であるか否かを判定する。配合比が100%パイプライン燃料未満でないように制御システムがプログラム設定されていれば、燃料制御システムは、処理ブロック206に示すように、100%パイプライン燃料で運転する。このモードでは、前述のように特定した電子制御システム104は、弁106を閉じて廃燃料112(の供給源)からのいずれの燃料の流れも阻止し、弁108を開いてパイプライン燃料114を制御する。
【0055】
決定ブロック204に戻って、目標配合比が100%パイプライン燃料未満であれば、燃料制御システムは、決定ブロック208に示すように、エンジン102の実際または内部のパワー出力が外部の所望のパワー出力未満であるかを判定する。エンジンの実際のパワー出力が所望のパワー出力未満であれば、燃料制御システムは、決定ブロック210に示すように、ミクスチャ(混合器)スロットルが75%を超えるかどうかを判定する。ミクスチャ(混合器)スロットルが75%を超えないのであれば、燃料制御システムは、処理ブロック212に示すように、スロットルを開いてパワーを増大させる。スロットルを増大させた(開いた)後、決定ブロック208に戻ることによりこのスロットル解析処理を繰り返し、エンジン102のパワー出力が所望のパワー出力未満であるかを判定する。75%は、単に例示目的で用いられていることに留意すべきである。この限度値は、エンジン性能および燃料の仕様に応じてより高いまたはより低い値にユーザが調整してもよい。
【0056】
決定ブロック210に戻って、ミクスチャ(混合器)スロットルが75%を超えると、燃料制御システムは、決定ブロック214に示すように、エンジン102の実際のパワー出力が事前に定義された所望の最小パワー出力未満であるかを判定する。エンジン102の実際のパワー出力が事前に定義された所望の最小パワー出力未満であれば、燃料制御システムは、処理ブロック216に示すように、停止要求を送り、所望の最小パワー出力が満たされていないことを示す警報をオンにする(起動する)。あるいは、エンジン102の実際のパワー出力が所望の最小パワー出力未満でなければ(すなわち、実際のパワー出力が所望の最小パワー出力以上であれば)、燃料制御システムは、処理ブロック218に示すように、目標配合比および調整されたパワーで運転する。この調整されたパワーは、所望のパワー出力未満であるが、所定の所望の最小パワー出力を上回る。
【0057】
決定ブロック208に戻って、エンジン102の実際のパワー出力が所望のパワー出力未満でなければ(すなわち、エンジンが所望のパワーレベル以上で作動していれば)、燃料制御システムは、決定ブロック220に示すように、廃燃料112とパイプライン燃料114との間の所望の目標配合比に達しているかを判定する。所望の配合比に達していれば(フローチャートにおいては、廃燃料112の所望の流れが不到達か否かの判定において、偽に等しいと示す)、燃料制御システムは、処理ブロック222に示すように、所望の目標配合比および所望のパワー出力で運転する。これは、燃料制御システムが、決定ブロック202において当初に判定されたように固定配合比モードで運転する、主たるモード下にあるときの望ましい運転状態である。この所望の目標配合比は、100%廃燃料112であるのが好ましい。
【0058】
あるいは、燃料制御システムが所望の配合比が到達されていないと判定すれば、(決定ブロック220において、廃燃料の流れが不到達であるか否かの判定において、真に等しいと示す)、燃料制御プログラムは、決定ブロック224に示すように、事前に定義された所望の最小パワー出力が事前に定義された所望のパワー出力未満であるかを判定する。この決定ステップは、ユーザが前述のように所定の所望のパワー範囲の使用を優先しているかを判定するために用いられる。所望の最小パワー出力が所望のパワー出力未満であれば、ユーザが所望のパワー出力を下回る所定の許容パワー範囲を承認していることを示し、燃料制御システムは、処理ブロック226に示すように、所望の配合比に達するか、またはエンジン102の実際のパワー出力が所望の最小パワー出力に等しくなるかのいずれかまで、必要に応じてパワーを低下させる。これら2つの条件の一方が満たされたら、燃料制御システムは、決定ブロック228に示すように、実際のパワー出力が所望の最小パワー以上であるか、および所望の最小廃燃料量が実際の配合比において使用されているか(すなわち、目標配合比が満たされているか)を判定する。これらの条件が到達されていれば、燃料制御システムは、処理ブロック218に示すように、所望の目標配合比および所定の最小パワー以上の調整されたパワーで運転する。
【0059】
あるいは、決定ブロック228において条件が満たされていないか、または決定ブロック224における判定でエンジン102の所望の最小パワー出力が所望のパワー出力以上に高いパワーに設定されていれば、燃料制御システムは、ユーザが燃料制御プログラムをパワー優先モード(決定ブロック230において、パワー優先が真に等しいと示す)または配合比優先モード(パワー優先が偽に等しい)のいずれで作動するように設定したかを判定する。パワー優先が真でなければ(すなわち、ユーザが燃料制御システムを配合比優先モードに設定していれば)、燃料制御システムは、処理ブロック232に示すように、所望の配合比に達するまでエンジン102の実際のパワー出力を低下させ、所望のパワーが満たされていないことをオペレータに示す警報を起動する。
【0060】
あるいは、パワー優先が真に設定されていれば(すなわち、ユーザが、エンジンの出力パワーを維持するという第1の試行が所望の配合比の維持よりも重要であると判定していれば)、燃料制御システムは、処理ブロック234に示すように、エンジン102の実際の出力パワーを所望のパワー出力以上に維持するようにパイプライン燃料を追加し、燃料制御システムは、所望のパワーおよび調整された配合比でエンジン102の運転を継続する。
【0061】
しかしながら、決定ブロック202で判定されたようにプログラムを実行させるモード(固定配合比モード)であると当初に判定されたときのように目標配合比が満たされていないので、燃料制御システムは、処理ブロック236に示すように、所望の目標配合比が満たされていないことをユーザに示す警報をオンにする(起動する)。
【0062】
決定ブロック202に戻って、ユーザが燃料制御システムをパワー出力(優先)モードで運転するようにプログラム設定していれば(決定ブロック202において、固定配合比が偽に等しいことにより示す)、燃料制御システムは、決定ブロック238に示すように、エンジン102が外部または所望のパワー出力未満の実際のパワー出力を提供しているかを判定する。
【0063】
エンジンの実際のパワー出力が所望のパワー出力未満であれば、燃料制御システムは、決定ブロック240に示すように、ミクスチャ(混合器)スロットルが75%を超えるかどうかを判定する。ミクスチャ(混合器)スロットルが75%を超えないのであれば、燃料制御システムは、処理ブロック242に示すように、スロットルを開いてパワーを増大させる。スロットルを増大させた(開いた)後、決定ブロック238に戻ることによりこのスロットル解析処理を繰り返し、エンジン102のパワー出力が所望のパワー出力未満であるかを判定する。
【0064】
決定ブロック240に戻って、ミクスチャ(混合器)スロットルが75%を超えると、燃料制御システムは、決定ブロック244に示すように、エンジン102の実際のパワー出力が事前に定義された所望の最小パワー出力未満であるかを判定する。エンジン102の実際のパワー出力が事前に定義された所望の最小パワー出力未満であれば、燃料制御システムは、処理ブロック216に示すように、停止要求を送り、所望の最小パワー出力が満たされていないことを示す警報をオンにする(起動する)。
【0065】
あるいは、エンジン102の実際のパワー出力が所望の最小パワー出力未満でなければ(すなわち、実際のパワー出力が所望の最小パワー出力以上であれば)、燃料制御システムは、処理ブロック254に示すように、100%無料燃料および調整されたパワーで運転する。この調整されたパワーは、所望のパワー出力未満であるが、所定の所望の最小パワー出力を上回る。さらに、パワー優先モードにおける、決定ブロック202において決定される当初の配合比は典型的には100%廃燃料に設定され、実際の配合比を調整するためのステップを有しないため、配合比は100%廃燃料となる。
【0066】
決定ブロック238に戻って、エンジン102の実際のパワー出力が所望のパワー出力未満でなければ(すなわち、エンジンが所望のパワーレベル以上で作動していれば)、燃料制御システムは、決定ブロック246に示すように、廃燃料112とパイプライン燃料114との間の所望の目標配合比に達しているかを判定する。
【0067】
燃料制御システムが固定配合比モードで作動する構成とは異なり、燃料制御システムがパワー(優先)出力モードで作動するときは、決定ブロック238において所望のパワー出力が満たされ、決定ブロック246において所望の廃燃料の流れに達していると判定されれば、燃料制御システムは、処理ブロック247に示すように、100%廃燃料および所望のパワー出力で運転する。この100%廃燃料での運転は、燃料制御システムが、決定ブロック202で判定される、パワー出力(優先)モードにおいて、100%廃燃料で当初の運転をおこなうように初期的にプログラム設定されているために生じる。
【0068】
あるいは、決定ブロック246において所望の配合比である100%に達していなければ、燃料制御システムは、決定ブロック248に示すように、ユーザが所望の最小パワー出力を所望のパワー未満に設定したかを判定する。最小パワーが所望のパワー未満に設定され、所定のパワー出力範囲が入力されていれば、燃料制御システムは、処理ブロック250に示すように、所望の配合比に達するか、またはエンジン102の実際のパワー出力が事前に定義された最小パワー出力に等しくなるかのいずれかまで、必要に応じてパワーを低下させる。この状態が生じたら、燃料制御システムは、処理ブロック252に示すように、実際のパワー出力が所望の最小パワー出力以上であるか、および所望の配合比が満たされているかを判定する。これらの要求が満たされていれば、燃料制御システムは、処理ブロック254に示すように、100%廃燃料および調整されたパワーで運転するように作動する。
【0069】
あるいは、決定ブロック252においてこれらの要件が満たされていないか、または決定ブロック248において最小パワーが所望のパワー以上に設定されていれば、燃料制御プログラムは、決定ブロック256に示すように、ユーザが所望の配合比の維持よりもパワー出力の維持を優先しているかを判定する。ユーザがパワー出力よりも配合比を優先していれば(すなわち、パワー優先が偽に等しいか、またはパワー優先が真に等しくなければ)、燃料制御プログラムは、処理ブロック258に示すように、所望の配合比が満たされるまでパワー出力を低下させ、所望のパワーが満たされていないことを示す警報をオンにする(起動する)。
【0070】
あるいは、決定ブロック256においてユーザが配合比の維持よりもパワー出力の維持を優先していれば、燃料制御システムは、処理ブロック260に示すように、必要に応じてパイプライン燃料を追加してパワーを維持する。次いで、燃料制御システムは、決定ブロック262に示すように、実際の配合比が最大許容量を超えるパイプライン燃料を含むかを判定する。実際の配合比におけるパイプライン燃料の量が最大許容パイプライン燃料量以下であれば、燃料制御システムは、処理ブロック264に示すように、所望のパワー出力および調整された配合比で運転する。あるいは、パワー出力を維持するために配合比おいて必要とされるパイプライン燃料の量が最大許容パイプライン燃料量より多ければ、燃料制御システムは、処理ブロック266に示すように、パイプライン燃料の量が超過されていることを示す警報をオンにする(起動する)。しかし、パワー出力が優先されているため、配合比が許容範囲外であるという事実により、燃料制御システムがエンジン102を停止させることはない。
【0071】
本明細書中で引用する公報、特許出願および特許を含むすべての文献は、各文献を個々に、具体的に示し、引用して組み込むかのように、また、その全体を本明細書に記載するかのように、引用して組み込まれる。
【0072】
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限らない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本発明の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
【0073】
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。従って本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。
【符号の説明】
【0074】
100 パワーシステム(発電機システム)
102 内燃機関
104 電子制御システム(電子コントローラ)
106 燃料制御弁(廃燃料弁)(TecJet/Raptor)
108 燃料制御弁(パイプライン燃料弁)(TecJet/Raptor)
110 発電機
112 廃燃料の流れ(矢印)
114 パイプライン燃料の流れ(矢印)
116 配合装置
117 ターボ過給機
118 コンプレッサ
119 インタークーラ
120〜128 センサ
130 ミクスチャ(混合器)・スロットル
132 点火ユニット(マイクロプロセッサ制御)(IC−920/922)
134 コンデンサ放電コイル
136 電子コントローラ
140 振動検知式ノックセンサ
142 ノック(デトネーション)検出モジュール(FireFly)
200 スタートブロック(燃料制御システム起動)
202 決定ブロック(固定配合比優先モード選択か否かの判定)
204 決定ブロック(目標配合比が100%パイプライン燃料未満か否かの判定)
206 処理ブロック(100%パイプライン燃料で運転する)
208 決定ブロック(実際のパワー出力が所望のパワー出力未満か否かの判定)
210 決定ブロック(混合器スロットルが75%を超えるか否かの判定)
212 処理ブロック(混合器スロットルを開いてパワーを増大する)
214 決定ブロック(実際のパワー出力が所望の最小パワー出力未満かの判定)
216 処理ブロック(停止要求を送り、最小パワー出力未満の警報を起動する)
218 処理ブロック(目標配合比および調整されたパワーで運転する)
220 決定ブロック(所望の目標配合比に達しているかの判定)
222 処理ブロック(所望の配合比および所望のパワー出力で運転する)
224 決定ブロック(最小パワー出力が所望のパワー出力未満か否かの判定)
226 処理ブロック(所望の配合比または最小パワー出力まで、パワーを低下)
228 決定ブロック(最小パワー出力および目標配合比が満たされているか判定)
230 決定ブロック(パワー優先モード選択か否かの判定)
232 処理ブロック(目標配合比までパワーを低下し、パワー未達警報を起動)
234 処理ブロック(パワー出力維持のためにパイプライン燃料を追加)
236 処理ブロック(所望の出力および調整配合比で運転、配合比未達警報起動)
238 決定ブロック(実際のパワー出力が所望のパワー出力未満か否か判定)
240 決定ブロック(混合器スロットルが75%を超えるか否かの判定)
242 処理ブロック(混合器スロットルを開いてパワーを増大する)
244 決定ブロック(実際のパワー出力が最小パワー出力未満か否かの判定)
246 決定ブロック(所望の目標燃料配合比に達しているか否かの判定)
247 処理ブロック(100%廃燃料および所望のパワー出力で運転する)
248 決定ブロック(最小パワー出力が所望のパワー出力未満か否かの判定)
250 処理ブロック(所望の混合比または最小パワー出力まで、パワーを低下)
252 処理ブロック(実際のパワーが最小パワー以上か、目標配合比か判定)
254 処理ブロック(100%廃燃料および調整されたパワーで運転する)
256 決定ブロック(パワー出力優先モード選択か否かの判断)
258 処理ブロック(目標配合比までパワーを低下し、パワー未達警報を起動)
260 処理ブロック(パワー出力維持のためにパイプライン燃料を追加)
262 決定ブロック(パイプライン燃料の配合比が最大許容量を超えるか判断)
264 処理ブロック(所望のパワー出力および調整された配合比で運転する)
266 処理ブロック(パイプライン燃料量の超過警報を起動する)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高信頼性燃料の供給源および低信頼性燃料の供給源からエンジンへの燃料の供給を動的に制御する方法であって:
前記エンジンに給送される燃料混合物の高信頼性燃料対低信頼性燃料の所望される外部配合比を定めるステップと;
燃料混合物の高信頼性燃料対低信頼性燃料の実際の配合比で、前記エンジンに燃料を給送するステップとを備え;
前記エンジンに燃料を給送するステップは:
前記高信頼性燃料の供給源から前記エンジンへの燃料の流れを制御するステップと;
前記低信頼性燃料の供給源から前記エンジンへの燃料の流れを制御するステップとを含む;
方法。
【請求項2】
前記外部配合比および前記実際の配合比は、当初において同一に設けられ;
前記エンジンの作動パラメータを検知するステップと;
前記エンジンの前記検知された作動パラメータが所定の許容範囲内であるときは、前記実際の配合比を前記外部配合比として維持するステップと;
前記エンジンの前記検知された作動パラメータが所定の許容範囲外であるときは、前記実際の配合比を前記外部配合比から前記作動パラメータが前記所定の許容範囲内となるように補うように変更するステップとをさらに備える;
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エンジンの前記作動パラメータは前記エンジンのパワー出力であり、前記実際の配合比を補うように変更するステップは、前記エンジンの前記パワー出力が最小許容パワー出力を下回るときに前記実際の配合比における高信頼性燃料の量を増加させるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記燃料混合物のエネルギ含有量を推定するステップをさらに備え、前記推定されたエネルギ含有量に基づいて前記実際の配合比を前記エネルギ含有量が平衡するように変更するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エンジンの作動パラメータを検知するステップをさらに備え、前記エンジンの前記検知された作動パラメータに基づいて前記燃料混合物の前記推定されたエネルギ含有量を変更して前記作動パラメータが所定の許容範囲内となるように補うステップをさらに備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
所望される外部のエンジンパワー出力を定めるステップと;
実際のエンジンパワー出力を監視するステップと;
前記実際のエンジンパワー出力が実際の配合比よりも優先されるときは、前記実際の配合比をまず変更することで前記実際のエンジンパワー出力を前記外部のエンジンパワー出力に向けて調整し、前記実際の配合比が前記実際のエンジンパワー出力よりも優先されるときは、前記実際のエンジンパワー出力をまず変更することで前記実際の配合比を前記外部配合比に向けて調整するように、前記実際のエンジンパワー出力および前記実際の配合比を優先付けるステップとをさらに備える;
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
高信頼性燃料の最大の配合比を定めるステップと、前記監視対象の実際のエンジンパワー出力が所定の最小許容パワー出力を下回るときに前記実際の配合比を前記所定の最小許容パワー出力を維持するように変更するステップとをさらに備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記作動パラメータは、前記エンジンの排気中の排出物である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
高信頼性燃料の供給源および低信頼性燃料の供給源からエンジンへの燃料の供給を動的に制御する方法であって:
前記エンジンの作動特性を監視するステップと;
前記エンジンの前記監視対象の作動特性に応答して、前記高信頼性燃料の供給源から前記エンジンへの燃料の流れを全流と無流との間で制御するステップと;
前記エンジンの前記監視対象の作動特性に応答して、前記低信頼性燃料の供給源から前記エンジンへの燃料の流れを全流と無流との間で制御するステップとを備える;
方法。
【請求項10】
前記高信頼性燃料の供給源からの前記燃料の流れを前記低信頼性燃料の供給源からの前記燃料の流れと配合するステップをさらに備え、燃料配合比を有する燃料混合物を形成し、前記高信頼性および低信頼性燃料の供給源からの前記燃料の流れを制御するステップは、前記燃料配合比がユーザにより所望される配合比となるように、前記高信頼性および低信頼性燃料の供給源からの前記燃料の流れを制御するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記低信頼性燃料の供給源の供給特性を監視するステップと;
前記低信頼性燃料の供給源の前記監視対象の供給特性に応答して、前記高信頼性燃料の供給源からの前記燃料の流れを制御するステップとをさらに備える;
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記エンジンの前記監視対象の作動特性に基づいて前記配合比を調整するように、前記高信頼性燃料の供給源からの前記燃料の流れを制御するとともに前記低信頼性燃料の供給源からの前記燃料の流れを制御するステップをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記エンジンの作動特性を監視するステップは、エンジンノック、エンジン失火、排気中の排出物、エンジン出力回転数、マニホルド圧力、マニホルド温度、およびエンジン出力パワーで構成される群から選ばれる少なくとも1つの前記作動特性を監視するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記エンジンの作動特性を監視するステップは、パワー出力を監視するステップを含み;
前記燃料混合物のエネルギ含有量を推定するステップと;
前記監視対象のパワー出力に基づいて前記燃料配合比における変化を補うように変更するステップとをさらに含む;
請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記高信頼性燃料の供給源からの前記燃料の流れを前記低信頼性燃料の供給源からの前記燃料の流れと配合するステップを備え、高信頼性燃料対低信頼性燃料の燃料配合比を有する燃料混合物を形成し、前記燃料配合比は、完全な高信頼性燃料と完全な低信頼性燃料との間で可変である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
変動組成燃料の供給源および固定組成燃料の供給源からエンジンに燃料を選択的に供給するための動的なエンジン制御システムであって:
第1および第2の燃料制御弁と;
前記第1および第2の燃料制御弁に作動可能に連結された制御システムとを備え;
前記制御システムは、少なくとも1つのエンジン性能パラメータを検知する少なくとも1つのエンジン性能センサを含み、前記検知されたエンジン性能パラメータに基づいて前記第1および第2の燃料制御弁を通過する流れを調整するように構成された;
エンジン制御システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのエンジン性能パラメータは、エンジンパワー出力であり、前記制御システムは、前記制御システムが前記第1および第2の燃料制御弁からの燃料の混合物の配合比を調整することで、前記検知されたエンジンパワー出力を所望される範囲内に維持するパワー出力モードで作動するように構成された、請求項16に記載のエンジン制御システム。
【請求項18】
前記制御システムは、前記固定組成燃料の前記変動組成燃料に対する比が最大限度を超えるときに警報を起動するように構成された、請求項17に記載のエンジン制御システム。
【請求項19】
前記制御システムは、前記第1および第2の燃料制御弁からの前記燃料の流れの間の所望される配合比が維持されるとともに、前記維持のためにエンジンパワー出力が調整される、配合比優先モードで作動するように構成された、請求項16に記載のエンジン制御システム。
【請求項20】
前記制御システムは、最小エンジンパワー出力をさらに含むように構成され、前記制御システムは、前記エンジンの前記パワー出力が前記最小エンジンパワー出力を上回り続けるように、前記第1および第2の燃料制御弁を通過する前記流れを制御するように構成された、請求項19に記載のエンジン制御システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2011−521150(P2011−521150A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509512(P2011−509512)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/039244
【国際公開番号】WO2009/139975
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(503400008)ウッドワード,インコーポレーテッド (29)
【氏名又は名称原語表記】Woodward,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 E. Drake Road, P.O. Box 1519, Fort Collins, Colorado 80525, United States of America
【Fターム(参考)】