説明

オキシステロール化合物及びヘッジホッグ経路

本発明は、例えば、合成オキシステロールに関する。その化合物を必要とする対象を治療する方法を含むそれらの化合物の使用方法、並びに本発明の方法を実施するための医薬組成物及びキットについても記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、いずれも参照により全体を本明細書に組み込む、2006年2月27日出願の米国仮出願第60/776990号、2005年5月22日出願の同第60/802737号及び2006年5月31日出願の同第60/809736号の出願日の利益を請求するものである。
【0002】
本発明の態様は、NIH/NIA助成金番号IP60−AG10415及びNIH/NIAUS助成金番号R01−AR050426によって提供された合衆国政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
オキシステロールは、循環系並びにヒト及び動物の組織に存在するコレステロールの酸化誘導体の大きなファミリーを形成する。現在までにヒト血漿中で同定されているオキシステロールには、7α−ヒドロキシコレステロール、24S−ヒドロキシコレステロール並びに4α−及び4β−ヒドロキシコレステロールが含まれ、5〜500ng/mlの範囲の濃度で存在している。これらのオキシステロールは、循環系における半減期が0.5〜60時間と様々で、そのレベルは、加齢、薬剤による介入及び疾患の過程によって変化し得る。オキシステロールは、自動酸化によって脂質過酸化の二次的な副産物として、又はほとんどが酵素チトクロームP450ファミリーの構成要素である特定のモノオキシゲナーゼの作用によって形成され得る。これらの酵素の例は、7α−ヒドロキシコレステロールを形成するコレステロール7α−ヒドロキシラーゼ(CYP7A1)、25−ヒドロキシコレステロールを形成するコレステロール25−ヒドロキシラーゼ、24S−ヒドロキシコレステロールを形成するコレステロール24S−ヒドロキシラーゼ(CYP46)などである。さらに、オキシステロールは、食事から摂取することができる。チトクロームP450酵素はまた、オキシステロールのさらなる酸化及び最終的に系から除去されることになる活性型若しくは不活性型代謝物への代謝に関与する。ある種のオキシステロールは、コレステロール代謝に潜在的な効果を有しているので、そのプロセスへの関与は近年広く研究されている。さらに、アテローム性動脈硬化病変にオキシステロールが存在しているために、この障害の病理におけるそれらの潜在的役割の研究が促されてきた。特定のオキシステロールの役割は、細胞分化、炎症、アポトーシス及びステロイド産生を含む様々な生理学的プロセスに関与してきた。さらに、生きている生命体にはコレステロールが豊富にあり、我々の環境には酸化促進的特性があり、それらの産生には数多くの酵素的及び非酵素的経路があるので、オキシステロールが生物システムにおいて他のまだ同定されていない役割を担っていることがわかっても驚くことではないだろう。
【0004】
最近、細胞分化においてオキシステロールが役割を担っている可能性がいくつかの報告によって示されている。特定のオキシステロールは、インビトロにおいてヒト表皮細胞の分化を誘導するが、単球の分化はオキシステロール7−ケトコレステロールによって誘導され得る。我々は以前の報告で、特定のオキシステロールは多能性間葉細胞の骨芽細胞への分化を誘導するが、脂肪細胞への分化は阻害することを示した。オキシステロールによる表皮細胞の分化は、核内ホルモン受容体、肝臓X受容体β(LXRβ)によって媒介される。オーファン核内受容体として最初に同定されたLXRα及びLXRβは、オキシステロールの受容体として作用する。しかし、オキシステロールの効果の多くは、LXR依存性機構によって媒介される。特異的LXRリガンドによるLXRの活性化は、間葉細胞の骨形成分化を刺激するのではなく、阻害するので、これらには間葉細胞への効果が含まれる。さらに、LXR欠損マウスから得られたMSCは、骨形成オキシステロール並びにその野生型に応答することができた。マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)などのシグナル伝達分子の活性化を調節できる他のオキシステロール結合タンパク質が報告されている。
【0005】
ヘッジホッグ分子は、組織パターン形成、有糸分裂誘発、形態形成、細胞分化及び胚発生を含む様々なプロセスにおいて重要な役割を果たすことが示されてきた。胚発生における役割に加えて、ヘッジホッグシグナル伝達は、組織/器官の完全性及び機能の生後発達及び維持に極めて重大な役割を果たす。遺伝子操作マウスを使用した研究によって、ヘッジホッグシグナル伝達はインビトロ及びインビボにおける骨格形成期間並びに骨芽細胞の発達において重要であることが示された。ヘッジホッグシグナル伝達はまた、骨形成誘発の役割を果たすことに加えて、多能性間葉細胞、C3H−10T 1/2に適用すると脂肪生成を阻害する。
【0006】
ヘッジホッグシグナル伝達は、原形質膜タンパク質、キナーゼ、ホスファターゼ並びにヘッジホッグ分子の混合及び分配を促進する因子を含むシグナル伝達分子の非常に複雑なネットワークに関与する。生産/シグナル伝達細胞のサブセットからのヘッジホッグ分子の産生には、その合成、自己プロセシング及び脂質修飾が関与する。脂質の機能性に不可欠であると思われるヘッジホッグの脂質修飾には、コレステロール分子の自己切断ヘッジホッグ分子のC末端ドメインへの付加及びそのN末端ドメインのパルミトイル化が関与する。他の付属因子の働きによって、ヘッジホッグ分子はシグナル伝達細胞の原形質膜に輸送され、細胞外環境に放出され、応答細胞まで輸送される。
【0007】
ヘッジホッグ分子がないと、応答細胞の原形質膜上に存在するPathed(Ptch)が、別の原形質膜関連シグナル変換分子、Smoothened(Smo)の活性化を阻害することによって、ヘッジホッグシグナル伝達を沈黙状態に維持する。ヘッジホッグが存在すると、PtchによるSmoの阻害が緩和され、Smoはヘッジホッグ調節遺伝子の転写を調節するためのシグナルを変換する。この転写調節には、部分的には、Gli及びその75kd転写抑制因子から155kd転写活性化因子への変換を調節する付属分子の複合体の構成要素が非常に入り組んだ相互作用を行った後、細胞質から核内へ進入するCi/Gli転写因子が関与する。この極めて複雑なシグナル伝達ネットワークの詳細は、徹底的に検討されている。(Cohen (2003) Am J Med Gen 123A, 5-28; Mullor et al. (2002) Trends Cell Bio 12, 562-569)。
【非特許文献1】Cohen (2003) Am J Med Gen 123A, 5-28
【非特許文献2】Mullor et al. (2002) Trends Cell Bio 12, 562-569
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、例えば、新規合成オキシステロールに関する。オキシステロールは、骨形態形成若しくは骨増殖の刺激、及び/又は脂肪細胞形態形成若しくは脂肪細胞増殖の阻害を含む様々な活性のいずれかを示すことができ、したがって、それらの生理学的現象によって媒介される症状若しくはそれらの生理学的現象の異常発現を示す症状を治療するために使用することができる。本発明者等は、ある種のオキシステロールがヘッジホッグ(Hh、hedgehog)シグナル伝達経路を刺激することによって作用することを本明細書で報告する。したがって、天然に生じる分子並びに合成分子を含むオキシステロールは、インビトロ又はインビボ(対象中において)この経路を増強することができ、Hh経路の要素によって媒介される症状を治療するために使用することができる。
【0009】
本発明のオキシステロール及びそれらを使用するための方法、例えば、適切な対象を治療するための方法の利点には、化合物の製造が安価で、投与(例えば、局所的若しくは全身的)が容易であることができ、高い効果と効力を示すことが含まれる。骨形態形成タンパク質(BMP、Bone morphogenic protein)は、骨治癒を促進するために使用することができるが、非常に大量のタンパク質を必要とする。本発明のオキシステロールは、ある種のBMPと相乗的に作用し、それらを本発明のオキシステロールと同時投与するとき、必要とされるタンパク質の用量は少ない。これは、本発明のオキシステロールの別の利点である。ある実施形態では、本発明の化合物の投与によって、例えば、美容上敏感な領域に瘢痕化をもたらし得る手術の回避を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一態様は、式Iによって表されるオキシステロール(例えば、単離されたオキシステロール)である。
【0011】
【化1】

【0012】
式Iでは、Jは水素(H、hydrogen)又はヒドロキシル(OH、hydroxyl)であることができ、Lは水素(H)又はヒドロキシル(OH)であることができ、Rは炭素1〜6個の直鎖若しくは分枝鎖のアルカン、炭素2〜6個の直鎖若しくは分枝鎖のアルケン、又はメチルで置換されていてもよいフェニルであることができる。例えば、J及びLの少なくとも1つはヒドロキシル(OH)であることができ、且つ/又はJ及びLの少なくとも1つは水素(H)であることができる。例えば、Rは3−メチルブチル以外であることができる。例えば、JがOHであるとき、Rは3−メチル−2−ブテニル以外であることができ、LがOHであるとき、Rはn−プロピル以外であることができる。
【0013】
本発明の一実施形態では、Jはヒドロキシル(OH)であり、Lは水素(H)である。Rは炭素5〜6個のアルカン、例えば、3−メチルブチル以外の炭素5〜6個のアルカンであることができる。例えば、Rは4−メチルペンチル(Oxy12)であることができる。Rは炭素5〜6個のアルケン、例えば、3−メチルブテニル以外の炭素5〜6個のアルケンであることができる。例えば、Rは3−メチル−3−ブテニル(Oxy13)であることができる。Rはメチルで置換されていてもよいフェニルであることができる。例えば、Rは3−メチルフェニル(Oxy11)であることができる。
【0014】
別の実施形態では、Jは水素(H)であり、Lはヒドロキシル(OH)である。Rは、炭素1〜6個のアルカンであることができる。例えば、Rは、メチル(Oxy4)、エチル(Oxy3)、n−ブチル(Oxy9)又は4−メチルペンチル(Oxy7)であることができる。
【0015】
別の実施形態では、Jはヒドロキシル(OH)であり、Kはヒドロキシル(OH)である。Rは、炭素数1〜6個のアルカンであることができる。例えば、Rは3−メチルブチル(Oxy15及びOxy16)であることができる。
【0016】
別の実施形態では、化合物は式Iを有し、JはH又はOHであり、LはH又はOHである。J及びLの少なくとも1つはHであり、J及びLの少なくとも1つはOHである。R1は、炭素1〜6個のアルカン、炭素2〜6個のアルケン、及びメチルで置換されていてもよいフェニルからなる群から選択される。R1は、3−メチルブチルではない。JがOHであるとき、R1は3−メチル−2−ブテニルではない。LがOHであるとき、R1はn−プロピルではない。
【0017】
一実施形態は、式Iを有する化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。JはH又はOHであり、LはH又はOHである。J及びLの少なくとも1つはOHである。R1は、炭素1〜6個のアルカン、炭素2〜6個のアルケン、及びメチルで置換されていてもよいフェニルからなる群から選択される。J及びLの1つがHであるとき、R1は3−メチルブチルではない。別の実施形態では、この医薬組成物はさらに少なくとも1個の追加のオキシステロールを含む。
【0018】
一実施形態では、医薬組成物は、Oxy3、Oxy4、Oxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14及びOxy15の少なくとも2つを含む。この医薬組成物は、20(S)−ヒドロキシコレステロール、22(S)−ヒドロキシコレステロール、又は22(R)−ヒドロキシコレステロールの少なくとも1つ又は任意のその他のオキシステロールをさらに含めることができる。一実施形態では、この医薬組成物はOxy16を含む。
【0019】
本発明の別の態様は、本発明のオキシステロール、及び様々な細胞内オキシステロール結合分子(例えば、タンパク質、受容体など)のいずれかを含む複合体(インビトロ又はインビボ)であり、その例は当業者には明らかであろう。
【0020】
本明細書で使用したように、単数形「1つの(a)」「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上別段明らかな指示がない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「1つの(an)」オキシステロール」は、同一又は異なっていてよい複数のオキシステロール、例えば、2、3、4、5つ又はそれ以上のオキシステロールを含む。
【0021】
本発明の別の態様は、本発明のオキシステロール(上記で論じた他の薬剤を組み合わせてもよい)と、例えば、副甲状腺ホルモン、フッ化ナトリウム、インスリン様増殖因子I(ILGF−1、insulin-like growth factor I)、インスリン様増殖因子II(ILGF−II、insulin-like growth factor II)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−β、transforming growth facter beta)、チトクロームP450阻害剤、ホスホリパーゼ活性化剤、アラキドン酸、COX酵素活性化剤、骨形成プロスタノイド、ERK活性化剤、BMP2、4、7及び14からなる群から選択される少なくとも1つの追加の作用物質とを含む組み合わせ又は医薬組成物である。
【0022】
本発明の別の態様は、本明細書で論じた方法のいずれかを実施するためのキットであり、そのキットは、個々に、若しくは互いに組み合わせた、又は天然に生じるオキシステロール及び/若しくはBMP若しくは本明細書で示したその他の作用物質と組み合わせた本発明の1つ又は複数のオキシステロールを含み、1つ又は複数の容器に包装されていてもよい、本明細書で記載した方法のいずれかを実施するためのキットである。このキットが対象を治療するためのものであるとき、(複数の)オキシステロールは薬学的に許容される組成物の形態であってよい。
【0023】
本発明の別の態様は、細胞又は組織におけるヘッジホッグ(Hh)経路媒介応答を調節するための方法であり、その方法は、細胞又は組織と有効量のオキシステロール又は本発明の医薬組成物を接触させるステップを含む。細胞又は組織は、インビトロ又は対象内(インビボ)にあってよい。後者の場合、対象は、例えば、骨形態形成、骨増殖若しくは増毛の刺激、又は脂肪細胞形態形成若しくは脂肪細胞増殖の阻害によって利益を得るものでよい。
【0024】
本明細書で使用した「対象」には、本発明のオキシステロールで治療することができる状態の症状を示す任意の動物が含まれる。適切な対象(患者)には、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ又はモルモット)、牧畜、家畜又はペット(例えば、ネコ又はイヌ)が含まれる。非ヒト霊長類、及び好ましくはヒト患者が含まれる。典型的な対象には、本発明のオキシステロールによって調節(例えば、骨形態形成若しくは骨増殖の刺激、及び/又は脂肪細胞形態形成若しくは脂肪細胞増殖の阻害)することができる1つ又は複数の生理学的活性の異常量(「正常」又は「健康」な対象よりも低量若しくは多量)を示す動物が含まれる。非病原性症状、例えば、脱毛症を示す対象も含まれる。本明細書で使用する、オキシステロールが応答を「調節する」能力には、オキシステロールがない場合に惹起される応答と比較して応答のレベルを増加させるか、又は減少させる能力が含まれる。異常な活性は、ヘッジホッグ活性などの活性化を含む様々な機構のいずれかによって調節することができる。異常活性は、病的状態を生じ得る。
【0025】
本明細書において、「有効量」には、検出可能な効果をもたらすことができる量が含まれる。本明細書において、「治療有効量」には、検出可能な治療効果(例えば、症状の軽減)をもたらすことができる量が含まれる。
【0026】
本発明の別の態様は、オキシステロール又はヘッジホッグ経路によって媒介されることが知られている状態に罹患した対象を治療するための方法であり、その方法は、オキシステロール若しくは本発明の医薬組成物の有効量を対象に投与するステップを含む。いくつかのこのような症状を本明細書の他の箇所で論じる。
【0027】
本発明の別の態様は、哺乳動物間葉幹細胞の骨芽細胞分化を誘導するための方法であり、その方法は、本発明のオキシステロール又は医薬組成物の有効量と細胞を接触させるステップを含む。その方法はさらに、哺乳動物間葉細胞を、副甲状腺ホルモン、フッ化ナトリウム、インスリン様増殖因子I(ILGF−1)、インスリン様増殖因子II(ILGF−II)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−β)、チトクロームP450阻害剤、ホスホリパーゼ活性化剤、アラキドン酸、COX酵素活性化剤、骨形成プロスタノイド、ERK活性化剤からなる群から選択される少なくとも1つの第2の薬剤で処理するステップを含むことができる。
【0028】
本発明のオキシステロール又は医薬組成物を使用する本発明の他の態様には、(1)哺乳類細胞(例えば、間葉幹細胞、骨細胞前駆細胞若しくは頭蓋冠器官培養の細胞)を刺激して未処理細胞の生物学的マーカーのレベルよりも高いレベルの骨芽細胞分化の生物学的マーカーを発現させる(例えば、アルカリホスファターゼ活性、カルシウム取り込み、石灰化若しくはオステオカルシンmRNAの発現の少なくとも1つを増大させる)方法、(2)対象(患者)を治療して骨芽細胞への骨髄間質細胞の分化を増加させる方法、(3)対象(患者)を治療して骨形成を誘導する(骨量を増加させる)方法、又は(4)骨粗鬆症の臨床症状を示す患者を治療する方法が含まれる。対象を治療する方法は、本発明のオキシステロール又は医薬組成物を治療有効用量で、効果的な剤形で、選択された間隔で投与して、所望の応答の惹起を効果的に実施する(例えば、それぞれ骨量を増加させ、骨組織中に存在する骨芽細胞の数を増加させ、骨粗鬆症の症状を軽減する)ステップを含めることができる。
【0029】
本発明の別の態様は、対象を治療して骨形成を誘導する方法であり、その方法は、哺乳動物間葉幹細胞を収集するステップと、哺乳動物間葉細胞を本発明のオキシステロール又は医薬組成物で処理するステップであって、オキシステロールが間葉幹細胞を誘導して骨芽細胞分化の少なくとも1つの細胞マーカーを発現させるステップと、分化した細胞を対象に投与するステップとを含む。
【0030】
本発明の別の態様は、動物(例えば、ヒト)の体内で使用するための移植片であり、その移植片は表面を有する基質を含み、移植片の少なくとも表面は、周囲の骨組織中に骨形成を誘導するために十分な量で、本発明のオキシステロール又は医薬組成物を含む。その基質は、例えば、ピン、ねじ、プレート、又は人工関節の形状に形成することができる。
【0031】
本発明の別の態様は、哺乳動物間葉幹細胞の脂肪細胞分化を阻害するための方法であり、その方法は、本発明のオキシステロール又は医薬組成物の有効量を間葉系細胞を接触させるステップを含む。細胞は、インビトロ又は対象内(インビボ)内にあってよい。
【0032】
本発明の別の態様は、創傷治癒、血管形成、骨形態形成若しくは骨増殖の増加(例えば、骨の治癒を必要とする、又は骨粗鬆症に罹患した対象)、体重減少、増毛、軟骨産生の促進を必要とする対象、又は神経障害に罹患した対象を治療するための方法である。
【0033】
本発明の別の態様は、ヘッジホッグ経路媒介活性の調節因子を同定するための方法であり、本明細書で論じたヘッジホッグ関連インビトロアッセイの1つにおける活性(例えば、Gli1プロモーターの刺激によるGli−1遺伝子の発現の誘導、多量体形成Gli−1応答エレメントによって促進されるレポーター構築物の活性化、Patched発現の誘導、シクロパミンによる推定オキシステロール誘導効果の阻害など)を調節する能力について候補オキシステロールをスクリーニングするステップを含む。
【0034】
本発明の別の態様は、細胞又は組織(インビトロ又は対象内)におけるヘッジホッグ(Hh)経路媒介応答を調節するための方法であり、その改良は、細胞又は組織と本発明のオキシステロールを接触させるステップを含む。本発明の別の態様は、(例えば、骨芽細胞への骨髄間質細胞の分化を増加させ、又は骨形成を誘導するため)本明細書で記載した適応症の1つについて対象を治療するための方法であり、その改良は、細胞若しくは組織と本発明のオキシステロールを接触させるステップを含む。
【0035】
本発明の一態様は、前記の式Iによって表される本発明のオキシステロール(例えば、単離されたオキシステロール)である。Oxy1からOxy4及びOxy6からOxy16として表されたオキシステロールの例を図9に示す。例えば、Oxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14及びOxy15として表された化合物は、少なくとも測定可能な量のヘッジホッグ媒介経路及び/又は骨形態形成又は骨増殖(又はそれらのマーカー)を刺激することができ、且つ/又は少なくとも測定可能な量の脂肪細胞形態形成又は脂肪細胞増殖(又はそれらのマーカー)を阻害することができる。Oxy3及びOxy4は、その他のオキシステロールと組み合わせて活性の促進因子として作用することができる。例えば、Oxy3と20(S)−ヒドロキシコレステロールの組み合わせ、並びにOxy4と20(S)−ヒドロキシコレステロールの組み合わせは、M2細胞において石灰化を測定するために使用したアッセイでは、20(S)−ヒドロキシコレステロールのみを適用したときの取り込みよりも、45Caの取り込みを高めることが発見された。Oxy7は、最小限度活性を増強することが発見された。
【0036】
その他のオキシステロール(例えば、Oxy1、Oxy2及びOxy16)は、前述の活性の1種を調節しないことが示されている。しかし、前述のオキシステロールと構造的特徴を共有しているこれらの分子は、そのような化合物の競合阻害剤として作用し、場合によっては、前記活性(例えば、骨形態形成又は骨増殖など)の1種のアンタゴニストとして作用することが予測される。
【0037】
本発明のいくつかの態様(例えば、Hh経路の構成要素を刺激するためにオキシステロールを使用する方法)では、天然に生じるオキシステロール(例えば、22(S)−ヒドロキシコレステロール(本明細書では時々「22S」と呼ぶ)、22(R)−ヒドロキシコレステロール(本明細書では時々「22R」と呼ぶ)、20(S)−ヒドロキシコレステロール(20−アルファヒドロキシコレステロールとしても知られる、本明細書では時々「20S」と呼ぶ)、5−コレステン−3ベータ、20アルファ−ジオール3−アセテート、24−ヒドロキシコレステロール、24(S)、25−エポキシコレステロール、プレグナノロン、26−ヒドロキシコレステロール、4ベータ−ヒドロキシコレステロールも使用することができる。
【0038】
「単離された」とは、元の環境(例えば、天然に生じる場合は天然の環境)から取り出されたこと、及び/又は天然では関連する少なくとも1種のその他の成分から分離することを意味する。例えば、天然の生体宿主に存在する天然に生じるオキシステロールは単離されていないが、天然の系に共存する物質のいくつか又は全てから分離された同オキシステロールは単離される。このようなオキシステロールは、組成物(例えば、医薬組成物)の一部であることができ、このような組成物はその天然の環境の一部ではなく、まだ単離されている。また、別のオキシステロールの合成中における中間生成物は、反応経路のその他の成分から精製又は分離されておらず、単離されていない。
【0039】
20(S)−ヒドロキシコレステロール及び22(S)−ヒドロキシコレステロールにおけるヒドロキシル基は、約12〜14Å離れていることがわかった。したがって、骨誘導性オキシステロールの効果を媒介する推定受容体は、2個のヒドロキシル基が約12〜14Å離れているジオールを必要とし得る。この点において、合成オキシステロール及びステロイド17位の官能基が修飾されたそれらの誘導体を合成し、合成するための反応スキームを計画した。ステロイド17位の官能基の修飾に関して、変種には、例えば、以下のものがある:ステロイド20位、ステロイド22位、又はその両方のヒドロキシル基の配置、官能基内の唯一の炭素−炭素結合(アルカン)、2重結合(アルケン)、3重結合(アルキン)又は芳香族基(例えば、フェニル、メチルフェニル)の含有及び立体化学構造の変化。20S−ヒドロキシコレステロールの誘導体であり、22S−ヒドロキシコレステロール又は22R−ヒドロキシコレステロールがなくても活性のある合成オキシステロールを生成することが望ましい。例えば、このような合成オキシステロールは、測定可能な量のヘッジホッグ媒介経路及び/又は骨形態形成又は骨増殖(又はそれらのマーカー)を誘導すること、及び/又は少なくとも測定可能な量の脂肪細胞形態形成又は脂肪細胞増殖(又はそれらのマーカー)を阻害することにおいて活性を有することができる。
【0040】
本発明のオキシステロールの互いの、及び/又は天然に生じるオキシステロールを含むその他のオキシステロールとの組み合わせはまた、本発明の方法で使用することができる。使用できる天然に生じるオキシステロールは、22(S)−ヒドロキシコレステロール、22(R)−ヒドロキシコレステロール、20(S)−ヒドロキシコレステロール(20−アルファヒドロキシコレステロールとしても知られている)、5−コレステン−3ベータ、20アルファ−ジオール3−アセテート、24−ヒドロキシコレステロール、24(S)、25−エポキシコレステロール、26−ヒドロキシコレステロール、及び/又は4ベータ−ヒドロキシコレステロールである。
【0041】
本発明のオキシステロールの製造方法は従来通りである。以下の実施例VIIIは、例示的合成方法及び書誌的列挙を示す。
【0042】
本明細書で記載したオキシステロールは、細胞又は組織、インビトロ又はインビボ(対象内)における様々な応答又は活性を調節するために使用することができる。「調節する(modulate)」とは、応答の程度を増加させること、又は減少させることを意味する。
【0043】
本明細書の実施例は、本発明のオキシステロールによって示される多くの活性のいくつかを例示する。本発明者等及び共同研究者は既に、天然に生じるオキシステロール(例えば、22(S)−ヒドロキシコレステロール(時々、本明細書では「22S」と呼ぶ)、22(R)−ヒドロキシコレステロール(時々、本明細書では「22R」と呼ぶ)、20(S)−ヒドロキシコレステロール(20−アルファヒドロキシコレステロールとしても知られる、時々本明細書では「20S」と呼ぶ)、5−コレステン−3ベータ、20アルファ−ジオール3−アセテート、24−ヒドロキシコレステロール、24(S)、25−エポキシコレステロール、プレグナノロン、26−ヒドロキシコレステロール及び4ベータ−ヒドロキシコレステロールが、個々に、又は組み合わせて、骨形成及び抗脂肪生成特性を示すことを示した。例えば、いずれも本明細書に全体を参照により組み込む、本出願の権利者が所有する公開されたPCT国際出願である国際公開第2004/19884号パンフレット、第2005/020928号パンフレット、第2005/020928号パンフレット及び第2006/12902号パンフレットを参照のこと。Dwyer et al. (Jan. 2, 2007), J. Biol. Chem, 出版前電子出版; Parhami et al. (2002) J. Bone Miner. Res. 17, 1997-2003; Kha et al. (2004) J Bone Miner Res. 19 830-840; Shouhed et al. (2005) J Cell Biochem. 95, 1276-1283; Richardson et al. (2006) (J Cell Biochem,印刷中); 及び Aghaloo et al. (2006) J Orthop Res, 印刷中)も参照のこと。本出願では、本発明者等は、本発明の新規オキシステロールが類似の活性並びに他の活性を示すことを報告する。このような活性は、このような活性の様々なマーカーによって示された。
【0044】
実施例IIは、ある種のオキシステロールが、骨を形成する骨芽細胞の前駆細胞である骨髄間質細胞の培養中に、骨芽細胞の形成を誘導する能力を示す。細胞の骨形成分化を評価するために、骨形成分化の1種又は複数のマーカーを未処理細胞及び試験オキシステロールで処理した細胞で測定した。これらのマーカーには、アルカリホスファターゼ(ALP)活性、オステオカルシンmRNA発現及び骨髄間質細胞培養中の無機質形成が含まれる。オキシステロール単独又は組み合わせによる1種又は複数のマーカーの活性化は、骨形成特性の指標となる。さらに、これらの分子が脂肪細胞形成を阻害する能力は、多能性骨髄間質細胞を使用した従来のインビトロ脂肪細胞分化アッセイで示された。
【0045】
実施例III〜VIは、オキシステロールのその他の特性を示す。実施例VIは、天然に生じるオキシステロールがマウスの増毛を促進できることを示す。
【0046】
実施例VIIは、オキシステロールが前駆細胞の骨形成分化を誘導し、脂肪生成分化を阻害する分子機構を究明し、オキシステロールが、ヘッジホッグ分子に応答してシグナル伝達を媒介するGli転写因子を活性化することを示す。天然に生じるオキシステロールに加えて、少なくとも本発明の合成オキシステロールOxy9、11、12、13及び14は、ヘッジホッグ経路に影響を及ぼすことが示された(M2−10B4骨髄間質細胞におけるGliレポーター活性の刺激によって示される)。図10参照。
【0047】
オキシステロールは、対象におけるいくつかの徴候を治療するために使用できる。例えば、ヘッジホッグシグナル伝達経路(時々、本明細書では「ヘッジホッグ」又は「ヘッジホッグ経路」と呼ぶ)は、いくつかの病理学的症状に関与していることが報告されており、ヘッジホッグシグナル伝達経路の成分のアゴニスト又はアンタゴニストは、このような症状の潜在的治療薬として役立つことが示唆されている。特に、本発明のオキシステロールは、このようなヘッジホッグが媒介する症状の治療に使用することができる。さらに、ある種のオキシステロールは、コレステロール代謝に対する強力な効果を含む様々な効果を惹起し、動脈硬化病変に存在し、例えば、細胞分化、炎症、アポトーシス、脂肪生成及び脂肪細胞分化、骨形態形成及び分化(骨形成若しくは骨形成分化)、神経保護、軟骨細胞増殖及び分化並びにステロイド産生を含む様々な生理学的プロセスにおいて役割を果たすことが報告されている。本発明の特定のオキシステロールは、このような活性の調節、このような活性が病理学的役割を担う症状の治療に使用できる。
【0048】
様々な症状が、本発明の化合物によって治療することができる。これらの症状のいくつかは、ヘッジホッグシグナル伝達経路の異常発現によって媒介されることが報告されおり、その他は本明細書の他のところで記載したその他の機構によって媒介されることが報告されている。いくつかの症状では、これらの機構は重複している。いかなる特定の機構にも結びつけられないが、本発明のオキシステロールによって治療できる症状の中には、例えば、(1)骨形態形成及び/又は増殖の増強によって効果が得られる症状。これらの症状には、例えば、(例えば、骨折の)骨治癒、骨粗鬆症、代謝性骨疾患又は慢性腎疾患及び末期腎臓病に関連した関連疾患が含まれる。本明細書の他のところで記載したように、本発明の化合物はある種の骨形態形成タンパク質(BMP類、例えば、BMP2、4、7若しくは14)と相乗効果を示す。単独又は添加したBMPと組み合わせた本発明の化合物の投与は、例えば、BMPの活性を増強すること、例えば、骨増殖を促進し、腎臓の構造及び機能を維持し、骨格の石灰化を促進し、血管石灰化を防御することなどが望ましいとき使用することができる。(2)例えば、肥満を含む、脂肪生成又は細胞の脂肪生成分化を阻害することによって効果が得られる症状、(3)例えば、(例えば、局所製剤を使用して)基底細胞癌、又は(例えば、全身用製剤を使用して)髄芽腫、小細胞肺癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、結腸直腸癌、前立腺癌及び乳癌を含むその他の固形癌を含む、増殖及び/又は転移を阻害できる癌、(4)例えば、脳卒中を含む神経障害、神経保護を必要とするか、梗塞の大きさの減少を含む損傷した神経の修復を必要とする症状、(5)、例えば、卵胞増殖、毛の太さ、質又は量を刺激することによって毛の増殖を開始及び/又は維持することが望ましい脱毛症(毛の増殖の不足、例えば、オス型脱毛症)、(6)(例えば、局所送達を使用した)心血管系障害、並びに(7)骨関節炎、加齢などに関連した軟骨の損失など軟骨増殖及び/又は分化を増強することによって効果が得られる障害があることが示唆される。
【0049】
本発明の化合物による治療は、中枢神経系及び末梢神経系の両方におけるニューロン及びその他の神経細胞の生存を高めるために使用できる。「本発明の化合物」又は「ヘッジホッグアゴニスト」という用語は時々本明細書では、本発明の合成オキシステロールを意味するために使用される。任意の特定の機構によって結びつけることは望まないが、ヘッジホッグタンパク質が神経系発達中において、及びおそらく成人の状態において神経分化を調節する能力は、ある種のヘッジホッグタンパク質が、維持、機能的性能、及び正常細胞の加齢、化学的若しくは機械的に障害を生じた細胞における修復及び再生のプロセス、並びにある種の病理学的症状において分化の不足から生じる変性及び早期死亡の防御に関して、成人のニューロンを容易に制御することが合理的に期待できることを示している。このような解釈において、本発明は具体的に、(i)感染/炎症及び腫瘍誘導性傷害と一緒に、外傷性障害、化学的傷害、脈管傷害及び欠陥(脳卒中から生じた虚血など)を含む神経系に対する急性、亜急性、若しくは慢性の傷害、(ii)アルツハイマー病を含む神経系の加齢、(iii)パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症など、及び脊髄小脳変性症を含む神経系の慢性神経変性疾患、並びに(iv)多発硬化症を含む神経系の、又は神経系に影響を及ぼす慢性免疫学的疾患から生じる神経学的症状の治療(重症度の予防及び/又は減少)に本発明の方法を適用することを企図する。多くの神経障害は、神経要素の別個の集団の変性と関連があり、ヘッジホッグアゴニストとしてオキシステロール分子を含む治療計画で治療することができる。例えば、アルツハイマー病はいくつかの神経伝達系、新皮質に進入するもの及び皮質に存在するもの両方の欠陥と関連がある。例えば、アルツハイマー病の患者の基底核では、同年齢の対照と比較してニューロンの顕著な損失(75%)が認められた。アルツハイマー病は最も一般的な認知症の形態であるが、いくつかの他の障害が認知症を引き起こし得る。これらのいくつかは、中枢神経系の様々な部分、特に大脳皮質のニューロン死を特徴とする変性疾患である。しかし、認知症のいくつかの形態は、視床又は大脳皮質の下にある白質の変性が関与している。ここで、認識機能障害は、遠心路及び求心路の変性によって皮質領域が隔離されることによって生じる。ハンチントン病には、線条体内及び皮質のコリン作動性ニューロン及びGABA作動性ニューロンの変性が関与する。ピック病は、前頭葉及び前側頭葉の新皮質における重篤なニューロン変性であり、時々、線条体のニューロン死を伴う。このような変性症状に罹患した患者の治療には、例えば、ニューロンの損失を生じる分化及びアポトーシス現象を制御するため(例えば、既存のニューロンの生存を高めるため)、並びに罹患した領域の前駆細胞による分化及び再増殖を促進するために、ヘッジホッグ刺激物質(例えば、本発明の特定のオキシステロール)の効果の適用を含めることができる。いくつかの実施形態では、この化合物は変性領域の内部又は近位に定位的にもたらされる。変性誘導性認知症に加えて、本発明の医薬調製物は、振戦及び不随意運動の徴候を有する神経変性疾患の治療に都合良く適用できる。例えば、パーキンソン病では、主に皮質化構造が冒されており、黒質線条体経路、縫線核、青斑核、及び迷走神経の運動核の変性が特徴である。バリズムは一般的に、急性血管障害によって生じることが多い視床下部核の損傷が関連している。最終的に末梢神経系の体細胞分裂に影響を及ぼし、神経筋障害として出現する神経原生障害及び筋障害も含まれる。例には、筋萎縮性側索硬化症、ギランバレー症候群及び慢性末梢神経障害などの慢性萎縮症並びに進行性球麻痺又は脊髄性筋萎縮症として出現し得るその他の疾患が含まれる。本発明の方法は、筋緊張低下又は運動失調を生じる小脳の障害、例えば、病変と同側の四肢に障害が生じる小脳の病変の治療に適している。例えば、ヘッジホッグ刺激物質(例えば、本発明のオキシステロールを含む)の調製物を使用して、アルコール依存性の患者に一般的であるような前葉(虫部及び脚部)が関与する小脳皮質変性の限られた形態を治療することができる。
【0050】
例示的実施形態では、本発明の方法を使用して筋萎縮性側索硬化症を治療する。ALSは、上部及び下部運動ニューロンを含む障害の複合に与えられた名称である。患者は、進行性脊髄性筋萎縮症、進行性球麻痺、原発性側索硬化症又はこれらの症状の組み合わせを示す可能性がある。主な病理学的異常は、脊髄の下部運動ニューロン及び大脳皮質の上部運動ニューロンの選択的且つ進行性の変性が特徴である。ヘッジホッグアゴニスト(例えば、本発明のオキシステロール)の治療適用を単独で、又はCNTF、BDNF又はNGFなどのその他の神経栄養因子と組み合わせて使用して、ALS患者の運動ニューロン変性を防御及び/又は逆行させることができる。
【0051】
本発明の化合物はまた、平滑筋及び内分泌組織(例えば、腺組織)の神経支配に影響を及ぼす障害を含む、末梢神経系の自律神経障害の治療に使用することができる。例えば、本発明の方法を使用して、心臓の横紋筋を支配する神経の変性症状から出現し得る頻脈又は心房性不整脈を治療することができる。
【0052】
さらに、頭部及び(肢芽を含む)躯幹の感覚及び運動ニューロンにおけるヘッジホッグタンパク質の発現は、軸索ニューロンの樹状プロセスの発達及び維持におけるヘッジホッグタンパク質の役割を示唆している。したがって、ヘッジホッグタンパク質の潜在的役割には、軸索投射の誘導及び神経支配細胞の軸索プロセスへの分化及び/又は維持を促進する能力が含まれる。したがって、特定の機構に結びつけることは望まないが、本発明の薬剤を含む組成物は、神経節ニューロン、交感神経性ニューロン及び感覚ニューロン並びに運動ニューロンのいくつかの種類の生存及び再投射を支持、或いは拮抗するため使用することができることが示される。特に、このような治療組成物は、例えば、様々なニューロンを病変誘導死から救出するために設計された治療において、並びにこのような障害の後のこれらのニューロンの再投射の誘導において有用であり得る。このような疾患には、限定はしないが、CNS外傷、梗塞、感染(例えば、水痘帯状疱疹によるウイルス感染)、代謝性疾患、栄養障害、毒性薬剤(例えば、シスプラチン治療)が含まれる。さらに、ヘッジホッグ薬剤に拮抗する薬剤は、感覚ニューロンの選択的切除、例えば、慢性疼痛症候群の治療において有用であり得る。
【0053】
適切であれば、本発明の薬剤は、中枢及び末梢神経損傷の修復のための神経補綴において、単独又はヘッジホッグポリペプチドの存在下で使用することができる。特に、挫滅又は切断した軸索を人工器官を使用して挿管する場合、本発明の薬剤は、ヘッジホッグポリペプチドの存在下での樹状突起の増殖及び再生の速度を増加させるために、人工器官に添加することができる。したがって、切断された軸索突起は、例えば、ヘッジホッグポリペプチド及び/又は本発明の化合物を含有する半固形製剤を含有するか、又は本発明のヘッジホッグポリペプチド及び/又は化合物で内壁に沿って誘導体化した人工神経誘導によって、切断された神経末端に向かって方向付けることができる。
【0054】
別の実施形態では、本発明の方法は、中枢神経系で生じ得るような新生物性若しくは過形成性の形質転換の治療に使用することができる。例えば、神経細胞の分化を誘導するある種のオキシステロールは、このような形質転換した細胞に分裂終了又はアポトーシスのいずれか引き起こすために利用することができる。本発明の薬剤による治療は、いくつかの神経腫瘍の新生物形質転換に関与すると考えられている自己分泌ループ、例えば、TGF−β若しくはPDGFの自己刺激ループの破壊を促進することができる。したがって、本発明のヘッジホッグアゴニストは、例えば、悪性神経膠腫、髄芽腫、神経外胚葉性腫瘍及び上衣細胞腫の治療に使用することができる。
【0055】
本発明のさらに他の態様は、ヘッジホッグタンパク質が、前述の神経分化に加えて、その他の脊椎動物器官形成経路に関与する形態形成シグナルであり、その他の内胚葉のパターン形成並びに中胚葉及び内胚葉両方の分化プロセスにおいて明白な役割を有するという所見の適用に関する。ヘッジホッグタンパク質は、適切な四肢成長及び中胚葉におけるBMP−2及び外胚葉におけるFGF−4を含むシグナル伝達分子の発現開始によるパターン形成において役割を担うことが報告されている。したがって、特定の機構に結びつけることは望まないが、本発明のヘッジホッグ刺激分子を含む組成物はまた、非神経組織の生成及び維持に関与する細胞培養及び治療法の両方のために使用することができることを企図する。
【0056】
一実施形態では、本発明は、ヘッジホッグタンパク質が消化管、肝臓、肺及び原腸から生じるその他の器官の形成に関与する幹細胞の発達の制御に関与するらしいという所見を使用する。ヘッジホッグタンパク質は、消化管形態形成に重要な内胚葉から外胚葉への誘導シグナルとして役立つことが報告されている。したがって、例えば、ヘッジホッグアゴニスト(例えば、本発明の化合物又は化合物類)は、正常な肝臓の複数の代謝機能を有する人工肝臓の開発及び維持に使用することができる。例示的実施形態では、この化合物は、細胞外マトリクスを定着させるために使用できるか、又は移植可能な体外人工肝臓を形成するために生体適合重合体に被包することができる、肝細胞培養物を形成するための消化管幹細胞の分化を誘導するために使用できる。
【0057】
別の実施形態では、本発明のヘッジホッグアゴニストの医薬組成物は、腹腔内移植、血管新生及び移植した肝臓組織のインビボにおける分化及び維持を促進するために、このような人工肝臓並びに胚性肝臓構造の移植と併用して利用することができる。
【0058】
さらに別の実施形態では、本発明の薬剤は、物理的、化学的又は病理学的侵襲の後にこのような器官を制御するために治療上使用することができる。例えば、ヘッジホッグアゴニストを含む治療用組成物は、部分肝切除後の肝臓修復で使用することができる。同様に、ヘッジホッグアゴニストを含む治療用組成物は、肺気腫の治療において肺組織の再生を促進するために使用することができる。
【0059】
本発明のさらに別の実施形態では、ヘッジホッグアゴニストを含む組成物は、例えば、骨格形成幹細胞からなどの骨格組織のインビトロ産生において、並びに骨格組織欠損症のインビボ治療において使用することができる。本発明は特に、骨格形成活性、例えば、軟骨形成及び/又は骨形成を誘導する能力を維持するヘッジホッグアゴニストの使用を企図する。「骨格組織欠損」とは、欠損がどのように生じているか、例えば、外科的処置、腫瘍の切除、潰瘍形成、移植、骨折又はその他の外傷性症状若しくは変性症状の結果であるかどうかに関わりなく、骨又は結合組織の修復を所望する任意の部位における骨又はその他の骨格結合組織の欠損を意味する。
【0060】
例えば、本発明は、結合組織に軟骨機能を回復させるために効果的な治療方法及び組成物を使用できるようにする。このような方法は、例えば、関節炎を引き起こすような変形性摩耗、並びに組織に対する外傷、例えば、半月板組織損傷の置換、半月板切除術、靱帯損傷による関節の負荷、関節の悪性腫瘍、骨折又は遺伝性疾患によって生じる可能性があるその他の機構的障害の結果である軟骨組織の欠損若しくは病変の修復に有用である。本発明の修復方法はまた、軟骨基質の再構築、例えば、形成若しくは再建手術、並びに歯周外科手術のために有用である。本発明の方法はまた、例えば、半月板、靱帯若しくは軟骨の外科的修復後の従来の修復手法を改善するために適用することができる。さらに、外傷後十分に早期に適用するならば、変性疾患の発症又は増悪は防御することができる。
【0061】
本発明の一実施形態では、本発明の方法には、組織に組み込まれている軟骨細胞の分化及び/又は増殖を刺激することによって、結合組織の軟骨修復応答を起こさせるために、罹患した結合組織を治療上十分な量のヘッジホッグアゴニストで治療することが含まれる。ヘッジホッグアゴニストでの治療によって軟骨細胞を誘導すると、その後、治療細胞による新たな軟骨基質の合成が生じ得る。関節軟骨、関節間の軟骨(半月板)、肋軟骨(真肋及び胸骨を結合する)、靱帯及び腱などの結合組織は、本発明の方法を使用した再建及び/又は修復治療における治療に特に適している。本明細書で使用したように、修復治療には、組織の障害が明らかに現れている段階まで進行した変性状態の治療並びに変性が最も早期の段階である、若しくは起こりそうな組織の予防的治療が含まれる。本発明の方法はさらに、新たな軟骨の定常的な産生を維持することによって石灰化が線維組織に拡散することを防ぐために使用することができる。
【0062】
例示的実施形態では、本発明の方法は、可動関節、例えば、膝、足首、肘、腰、手首、手指若しくはつま先の指関節、又は顎関節の軟骨を治療するために使用することができる。この治療は、関節の半月板、関節の関節軟骨、又はその両方を対象とすることができる。さらに例示するために、本発明の方法は、外傷性障害(例えば、スポーツ障害若しくは過剰な摩耗)又は骨関節炎の結果であり得る膝の変性障害を治療するために使用することができる。ヘッジホッグアゴニストの、例えば、関節鏡下針による関節への注射は、罹患した軟骨の治療に使用できる。場合によっては、注射薬剤は、薬剤と治療した組織の接触をより延長し、規則的にするために、ハイドロゲル又は前述のその他の徐放媒体の形態であることができる。
【0063】
本発明はさらに、軟骨移植及び人工器官治療の分野における本発明の方法の使用を企図する。現在のところ、自己若しくは同種軟骨の移植による新たな軟骨の増殖はほとんど成功していない。例えば、軟骨及び線維軟骨の特性は、異なる組織の間、例えば、関節、半月板軟骨、靱帯及び腱の間、同一の靱帯又は腱の2つの末端の間、並びに組織の表在部と深部の間では異なるので、問題が生じる。これらの組織の区間配置は、機械的特性の段階的変化を反映する可能性があり、組織を移植したときにこのような条件下では分化せず、適切に応答する能力が欠落するという不具合が生じる。例えば、半月板軟骨を使用して前十字靱帯を修復するとき、組織は純粋な線維組織への異形成を受ける。軟骨形成を促進することによって、本発明の方法を使用して、移植した細胞を新たな環境により適合させ、組織のより早期の発達段階の肥大軟骨細胞に効果的に類似させて、特にこの問題を解決することができる。したがって、本発明の方法によって提供されるような移植組織における軟骨形成の作用及び活発に再構築している組織への機械的な力を協同させて、備えるべき新たな機能により適するように改善された移植片を製作することができる。
【0064】
同様に、本発明の方法は、人工軟骨器官の作製及びその移植の両方を促進するために適用することができる。改善された治療の必要性は、コラーゲン−グリコサミノグリカン鋳型、単離された軟骨細胞及び天然若しくは合成されたポリマーに結合した軟骨細胞をベースにした新たな軟骨を製作することを目的とした研究の原動力となった。例えば、軟骨細胞は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、アガロースゲルなどのポリマー又はポリマー主鎖の無害なモノマーへの加水分解に応じて時間とともに分解するその他のポリマーから形成された生分解性、生体適合性の多孔性骨格上で培養して増殖させることができる。基質は、生着が行われるまで、十分な栄養及びガス交換が細胞に可能なように設計されている。細胞は、移植する細胞のために適切な細胞量及び密度が生じるまで、インビトロで培養することができる。基質の1利点は、最終生成物が患者自身の耳若しくは鼻(例として)に密接に類似しているように、個々の所望する形状にそれらを成型、成形することができること、又は、関節におけるような、移植時の操作が可能な可撓性基質を使用できることである。
【0065】
本方法の一実施形態では、移植片内で軟骨基質産生をさらに刺激するように分化した軟骨細胞を培養中に誘導し且つ/又は維持するために、培養プロセス中に移植片をヘッジホッグアゴニストと接触させる。このような方法で、培養細胞に、軟骨形成細胞に特徴的な表現型(すなわち、肥大性)を維持させ、したがって、基質の集合及び軟骨組織の産生を継続させることができる。
【0066】
別の実施形態では、移植する器官は、移植した基質を活発に再構築させるため、企図する機能により適するようにするため、ヘッジホッグアゴニストで処理する。組織移植に関して前述したように、人工的移植は、基質が移植される実際の機械的環境に相当する状況では行えないという同様の欠陥を備えている。本発明の方法によって基質中の軟骨細胞を活性化することによって、置換を企図する組織と類似した特性を移植片が獲得することができる。
【0067】
さらに別の実施形態では、本発明の方法を使用して人工器官の接着を高めることができる。例えば、本発明の方法を歯周補綴の移植で使用することができ、結合組織周辺の治療は、補綴周囲の歯周靱帯の形成を刺激し、人工器官に隣接した線維組織の形成を阻害する。
【0068】
さらに他の実施形態では、本発明の方法は、このような骨格組織が欠損した動物の部位における骨の生成(骨形成)のために使用することができる。インディアンヘッジホッグは、最終的に骨芽細胞によって置換される肥大性軟骨細胞に特に関連している。例えば、本発明のヘッジホッグ剤の投与は、例えば、骨粗鬆症及びその他の骨減少性障害を予防及び/又は逆行させるため、並びに骨増殖及び成熟を調節するために、対象の骨量減少を治療する方法の一部として使用することができる。歯周インプラントも企図する。例えば、ヘッジホッグアゴニストを含む調製物は、例えば、少なくとも、骨化の「モデル」を形成するために軟骨組織前駆体の形成を促進する限り、軟骨内骨化を誘導するために使用することができる。ヘッジホッグアゴニストの治療組成物は、必要であれば、その他の骨誘導性因子、例えば、骨成長因子(例えば、TGF−β因子、例えば、骨形態形成因子BMP−2、BMP−4、BMP−7又はBMP14並びにアクチビン)を補給することができ、骨吸収の阻害剤、例えば、エストロゲン、ビスホスホネート、フッ化ナトリウム、カルシトニン又はタモキシフェン又は関連化合物と組み合わせて含めるか、又は投与することもできる。しかし、ヘッジホッグタンパク質はおそらくBMPの上流にあり、したがって、ヘッジホッグポリペプチド及び/又はヘッジホッグアゴニストによる治療がその他の因子と共にBMPの内部発現の開始に有利であることは理解されるだろう。
【0069】
本発明のさらに別の実施形態では、ヘッジホッグアンタゴニストとして作用する本発明の分子は、精子形成の阻害に使用することができる。したがって、ヘッジホッグタンパク質が精巣生殖細胞の分化及び/又は増殖及び維持に関与するという所見において、ヘッジホッグアンタゴニストは、天然に生じるヘッジホッグタンパク質の作用を遮断するために使用することができる。好ましい実施形態では、ヘッジホッグアンタゴニストは、精巣内のヘッジホッグ受容体に競合的に結合することによって、精子形成に関するヘッジホッグタンパク質の生物学的活性を阻害する。同様に、ヘッジホッグアゴニスト及びアンタゴニストは、正常な卵巣機能の調節に有用である可能性がある。
【0070】
本明細書で記載したオキシステロールは、治療的療法で使用するために、様々な組成物、例えば、医薬組成物に製剤化することができる。医薬組成物は、キットとして組み立てることができる。一般的に、本発明の医薬組成物は、有効量のオキシステロール又は本発明の組み合わせを含む。本明細書で使用した「有効量」とは、個体において、合理的な時間枠の中で、少なくとも検出可能な治療応答を生じるために十分な量である。例えば、ヘッジホッグ媒介症状などの徴候を、少なくとも検出可能な程度まで軽減することができる。
【0071】
この組成物は、担体、例えば、薬学的に許容される担体を含むことができる。「薬学的に許容される」とは、生物学的に、又はその他の場合でも所望しない物質ではないことを意味し、すなわち、この物質は、所望しない生物学的効果を引き起こすことなく、又は含まれている医薬組成物のその他の成分のいずれかと有害な方法で相互作用することなく、対象に投与することができる。担体は当然、当業者には周知なように、活性成分の分解を最小限に抑え、対象における有害な副作用を最小限に抑えるように選択される。薬学的に許容される担体及び医薬組成物のその他の成分の考察については、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Company, 1990を参照のこと。
【0072】
本発明の医薬組成物又はキットは、本明細書の他のところで言及したように、本発明のオキシステロールに加えて、その他の医薬品を含有することができる。その他の薬剤は、患者の治療中の任意の適切な時点で、同時に、又は順次投与することができる。
【0073】
当業者は、特定の製剤が、部分的に、使用した特定の薬剤及び選択した投与経路に左右されることを理解するだろう。したがって、本発明の組成物には多種多様な適切な製剤がある。
【0074】
経口投与に適した製剤は、液体溶液、例えば、水、生理食塩水、若しくは果汁などの希釈剤に溶解した有効量の薬剤、固形物、顆粒若しくは凍結乾燥細胞のような予め決定された量の活性成分をそれぞれ含有するカプセル、サシェ若しくは錠剤、水性液体による溶液若しくは懸濁液、及び水中油エマルジョン若しくは油中水エマルジョンからなることができる。錠剤の形態は、乳糖、マンニトール、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、微結晶性セルロース、アカシアガム、ゼラチン、コロイド状二酸化珪素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びその他の賦形剤、着色料、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、矯臭剤及び薬理学的に適合した担体の1種又は複数を含むことができる。経口送達に適した製剤はまた、合成及び天然の高分子微粒子、又は本発明の薬剤を胃腸間内での分解から保護するためのその他の手段に組み入れることができる。
【0075】
非経口投与(例えば、静脈内)に適した製剤には、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤及び企図する受容者の血液と等張な製剤にする溶質を含有することができる水性及び非水性、等張滅菌注射溶液、並びに懸濁剤、溶解剤、増粘剤、安定化剤及び保存剤を含むことができる水性及び非水性滅菌懸濁液が含まれる。この製剤は、アンプル及びバイアルなどの単位用量若しくは多用量密封容器に存在させることができ、滅菌液体担体、例えば、注射用水を使用直前に添加することのみを必要とする凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存することができる。即時調合注射溶液及び懸濁液は、以前に記載した種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製することができる。
【0076】
本発明のオキシステロールは、単独で、又はその他の治療薬と組み合わせて、吸入によって投与するためのエアロゾル製剤に形成することができる。これらのエアロゾル製剤は、加圧した許容される噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などに入れることができる。
【0077】
本発明のオキシステロールは、単独で、又はその他の治療薬と組み合わせて、経皮塗布及び吸収に適した製剤に形成することができる(Wallace et al., 1993上記)。経皮エレクトロポレーション又はイオン導入はまた、薬剤及び/又は本発明の医薬組成物の皮膚からの全身送達を促進及び/又は制御するために使用することができる(例えば、Theiss et al. (1991), Meth. Find. Exp. Clin. Pharmacol. 13. 353-359参照)。
【0078】
局所投与に適した製剤には、香料、通常、スクロース及びアカシアゴム若しくはトラガカント中に活性成分を含むトローチ剤、不活性基剤、例えば、ゼラチン及びグリセリン、若しくはスクロース及びアカシアゴム中に活性成分を含む香錠、適切な液体担体に活性成分を含む口腔洗浄剤、又はクリーム、エマルジョン、懸濁液、溶液、ジェル、クリーム、ペースト剤、泡剤、潤沢剤、スプレー、座剤などが含まれる。
【0079】
当業者であれば、手近な特定の適用に基づいて適切な又は適当な製剤を選択し、適合させ又は開発することができることを理解するだろう。
【0080】
本発明のオキシステロールの製剤は、単位投与形態、例えば、錠剤若しくはカプセルであることができる。本明細書で使用した「単位投薬形態」という用語は、動物(例えば、ヒト)対象のための単位製剤として適した物理的に分離した単位を意味し、それぞれの単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体又は媒体に関連して所望する効果を生じるために十分な量に計算された、予め決定された量の本発明の薬剤を単独で、若しくはその他の医薬品と組み合わせて含有する。
【0081】
当業者は、個々の患者において薬剤の所望する有効量若しくは有効濃度を実現するために、使用した組成物の正確な製剤の適切な用量、投与計画及び投与方法を容易に決定することができる。当業者はまた、適切な患者の試料(例えば、血液及び/又は組織)の直接的若しくは間接的分析によって、本発明の化合物の「効果的な濃度」の適切な指標を容易に決定し、使用することができる。
【0082】
動物、特にヒトに投与する本発明のオキシステロール若しくはそれらの組成物の用量は、本発明の場合、合理的な時間枠の中で個体に少なくとも治療応答を生じさせるために十分であるべきである。この用量の正確な量は、対象毎に変化し、対象の種、年齢、体重及び全身状態、治療する任意の障害の重症度若しくは機構、使用する特定の薬剤若しくは媒体、投与様式などに左右される。インビボで所望する濃度を実現するために使用する用量は、使用した特定のオキシステロールの効力、宿主における薬剤に関連した薬力学、感染した個体の疾患状態の重症度、並びに、全身投与の場合は、個体の体重及び年齢によって決定される。用量の大きさはまた、使用した特定の薬剤、又はそれらの組成物に関連し得る有害な副作用の出現によって決定されよう。可能であればいつでも、有害な副作用を最小限に維持することが一般的に望ましい。
【0083】
例えば、用量は、約5ng(ナノグラム)から約1000mg(ミリグラム)、又は約100ngから約600mg、又は約1mgから約500mg、又は約20mgから約400mgの範囲で投与することができる。例えば、用量は、体重に対する用量の比が約0.0001mg/kg〜約1500mg/kg、又は約1mg/kg〜約1000mg/kg、又は約5mg/kg〜約150mg/kg、又は約20mg/kg〜約100mg/kgを実現するように選択することができる。例えば、用量単位は、本発明の化合物が約1ng〜約5000mg、又は約5ng〜約1000mg、又は約100ng〜約600mg、又は約1mg〜約500mg、又は約20mg〜約400mg、又は約40mg〜約200mgの範囲でよい。用量は、所望する治療効果を惹起するために必要であれば、1日に1回、1日に2回、1日に4回、又は1日に4回を上回って投与することができる。例えば、用量投与計画は、本発明の化合物の血清濃度の範囲、約0.01〜約1000nM、又は約0.1〜約750nM、又は約1〜約500nM、又は約20〜約500nM、又は約100〜約500nM、又は約200〜約400nMを実現するために選択することができる。例えば、用量投与計画は、本発明の化合物の最大用量の半分の平均血清濃度の範囲、約1μg/L(1リットル当たりのマイクログラム)〜約2000μg/L、又は約2μg/L〜約1000μg/L、又は約5μg/L〜約500μg/L、又は約10μg/L〜約400μg/L、又は約20μg/L〜約200μg/L、又は約40μg/L〜約100μg/Lを実現するために選択することができる。
【0084】
オキシステロール又は本発明で有用なその他の薬剤の治療上有効な用量は、前述したように骨のホメオスタシス、骨形成又は骨修復などを改善する薬剤の能力によって測定したとき、患者に正の臨床効果をもたらす量である。各薬剤の治療有効量は、所望する臨床効果を実現し、負の副作用を最小限に抑えるために調節することができる。薬剤の投薬量は、投与経路、疾患の重症度、患者の年齢及び体重、患者が受けているその他の薬物療法並びに個々の計画及び特定の患者に適切な用量レベルを決定するときに医師が通常考慮するその他の因子に応じて、個々の患者について選択することができる。
【0085】
一例として、本発明は、患者の基準レベルを上回る高レベルの内在性循環オキシステロールを含むことができる。正常な成人では、質量分析によって測定すると、年齢及びオキシステロールの種類に応じて、レベルは約10〜400ng/mlである。薬理学の当業者であれば、用量を選択し、それをモニターして、循環レベルが基準レベルを上回って増大したかどうか判定することができるだろう。
【0086】
併用治療を行う場合、その他の薬剤は、オキシステロールと同時に投与するか、所望するならば交互に投与することができる。2種類(以上)の薬物も、組成物中に一緒にすることができる。それぞれの用量は、どちらかを単独で使用したときよりも、組み合わせて投与したときに少なくすることができる。
【0087】
本発明は、例えば、骨のホメオスタシスの維持、骨形成の促進、骨修復の促進などを行うために、独立して作用する、又は少なくとも第一のオキシステロールと相乗的に作用する他の薬剤による治療を含めることができる。他の薬剤は、例えば、オキシステロールが骨芽細胞分化を高める機構的経路を刺激する薬剤であってよい。このような適切な薬剤には、本発明者等によってオキシステロールと相乗的に作用することが示された骨形態形成タンパク質(例えば、BMP2、4、7及び/又は14)がある。
【0088】
したがって、本発明には、骨芽細胞分化又は骨形成を誘導するために、本発明の少なくとも1種のオキシステロールと少なくとも1種のBMPの組み合わせの使用を含めることができる。骨のホメオスタシスを維持し、骨形成を高め、且つ/又は骨修復を高めるためのこの薬剤の組み合わせは、少なくとも、各薬剤の投薬量を相乗作用の結果として減少させることができるので望ましいことがあり得る。一例では、BMP2は、骨折治癒研究において局部的に使用するために用いることができる。使用した投薬量は、送達様式に応じて変化する。例えば、10〜100マイクログラムのBMP2でコーティングしたビーズは、マウスの骨折研究で使用された。サルの研究では、BMP7は500〜2000マイクログラムの範囲の投薬量で使用された。イヌでの研究では、BMP2は200〜2000マイクログラムの間で使用された。BMP2を骨折部位に埋め込んだスポンジ中で送達する研究では、使用した投薬量は1.5mg/mlであった。固定を実現する脊椎固定では、BMP2の大容量10mgを使用した。ヒトにおける脛骨癒合不全骨折のヒト研究では、BMP7を数mgの投薬量で使用した。
【0089】
本発明で単独で、又はオキシステロールと組み合わせて使用できる他の種類の薬剤には、限定はしないが、チトクロームP450阻害剤、例えば、SKF525Aが含まれる。本発明で有用なその他の種類の薬剤には、ホスホリパーゼ活性化剤又はアラキドン酸が含まれる。本発明で有用なその他の種類の薬剤には、COX酵素活性化剤又はプロスタグランジン若しくは骨形成プロスタノイドが含まれる。本発明で有用なその他の種類の薬剤には、ERK活性化剤が含まれる。
【0090】
本発明は、オキシステロールと骨形成、修復又はホメオスタシスに影響を及ぼすその他の治療薬の併用治療を含むことができる。例えば、ビスホスホネート、ホルモン療法の治療薬、例えば、エストロゲン受容体調節因子、カルシトニン、及びビタミンD1カルシウム補給剤、PTH(例えば、Forteo又はテリパラチド、Eli Lilly社製)、フッ化ナトリウム及び骨に正の効果を及ぼす増殖因子、例えば、インスリン様増殖因子I及びII及びトランスフォーミング成長因子ベータと組み合わせたオキシステロールである。当業者であれば、標準的治療用量パラメータを使用して、治療薬それぞれの許容される投薬量を決定することができよう。
【0091】
本発明には、骨のホメオスタシスを維持し、骨形成を高め、且つ/又は骨修復を高めるために、分化した骨芽細胞による全身送達又は局部的治療の方法を含めることができる。この治療は、前述したように、単独で、又はその他の薬剤の患者への投薬と組み合わせて施すことができる。この方法の一実施形態では、哺乳動物の間葉幹細胞を、患者又は細胞提供者から収集することができる。次に、細胞を少なくとも1種の薬剤で処理して、細胞の骨芽細胞分化を誘導することができる。次に、この細胞を、患者の全身に、又は骨のホメオスタシス、骨形成若しくは骨修復が所望される選択された部位に再度投与することができる。さらに、患者は、骨のホメオスタシス、骨形成又は骨修復を実施する少なくとも1つの第2の薬剤と共に局所的に、又は全身的に治療することができる。
【0092】
本発明のこの態様では、アルカリホスファターゼ活性、カルシウム取り込み、石灰化若しくはオステオカルシンmRNA発現、又は骨芽細胞分化のその他の指標の増加のいずれか1つによって測定したとき、骨芽細胞分化を刺激するために、骨髄間質細胞(MSC、marrow stromal cell)を薬剤で処理することができる。本発明の一実施形態では、MSC細胞は患者から収集し、本発明の少なくとも1種のオキシステロールで処理し、骨芽細胞を患者に投与する。
【0093】
本発明には、骨芽細胞に分化したMSCの患者への全身投与を含めることができる。
【0094】
本発明には、患者の体内の選択された位置への骨芽細胞に分化したMSCの配置を含めることができる。本発明の一実施形態では、細胞は骨のホメオスタシス、形成及び/又は修復が所望される位置へ注射することができる。
【0095】
本発明の一適用では、薬剤及び方法は、限定はしないが、骨粗鬆症などの骨関連疾患の治療又は進行の減速に適用することができる。
【0096】
本発明の適用では、薬剤及び方法は、限定はしないが、手術若しくは骨折部位、歯周病、歯周再生、歯のインプラント再建のための歯槽堤増大術、癒合不全の治療、膝/腰/関節修復若しくは置換手術の部位への細胞又は薬剤の適用に応用することができる。
【0097】
一実施形態では、本発明には、表面を備えた基質を含むヒトの体内で使用するための移植片であって、移植片の少なくとも表面が本発明の少なくとも1種のオキシステロールを周囲の骨組織に骨形成を誘導するのに十分な量で含むか、又は、骨形成を誘導するか、若しくは骨修復を高めるために、骨芽細胞分化、若しくは哺乳動物骨芽細胞若しくはそれらの組み合わせが可能な哺乳動物細胞を含むことができる移植片を含めることができる。例えば、移植片には、限定はしないが、骨の除去、骨折又はその他の骨傷害の部位の形成又は修復を刺激することによって、骨折を固定し、骨形成を高め、又は人工移植を安定化するために使用する骨と隣接して、又は接触して配置することができるピン、ねじ、板又は人工関節を含めることができる。本発明はまた、骨形成又は骨修復が所望される骨の除去、骨折又は他の骨傷害の部位で骨と隣接した、又は接触した少なくとも1種の薬剤又は分化した細胞の適用を含むことができる。
【0098】
本発明の別の実施形態は、インビトロ又はインビボにおいて、本明細書で開示した方法のいずれかのために有用なキットである。このようなキットは、本明細書で考察したオキシステロール又は医薬組成物の1種又は複数を含むことができる。場合によって、このキットは、方法を実施するための指示書を含む。本発明のキットの任意選択の要素には、適切な緩衝液、薬学的に許容される担体など、容器、又は包装材料が含まれる。キットの試薬は、例えば、凍結乾燥した形態又は安定化した液体としてその試薬が安定する容器に入れることができる。この試薬はまた、1回使用形態で、例えば、1回投与形態であることができる。当業者は、本発明の方法のいずれかを実施するために適切なキットの成分を認識するだろう。
【0099】
前記及び以下の実施例において、温度は全て未修整の摂氏で記載しており、別段示さない限り、部分及びパーセントは全て重量による。
[実施例]
【実施例1】
【0100】
材料及び方法
以下に記載したアッセイの多くは従来通りである。アッセイの実施の方針は、例えば、本出願の権利者が所有する公開されたPCT国際出願である国際公開第2004/019884号パンフレット、第2005/020928号パンフレット、第2005/020928号パンフレット及び第2006/12902号パンフレットに見出すことができる。Dwyer et al. (Jan. 2, 2007), J. Biol. Chem, 出版前電子出願; Parhami et a1. (2002) J. Bone Miner. Res. 17; 1997-2003; Kha et al. (2004) JBone Miner Res. 19, 830-840; Shouhed et al. (2005) J Cell Biochem 95, 1276-1283; Richardson et al. (2006) (J Cell Biochem、印刷中);及びAghaloo et al. (2006) J Orthop Res、印刷中)も参照のこと。
【実施例2】
【0101】
インビトロにおける合成オキシステロールの骨形成及び抗脂肪生成活性
骨形成活性を試験するために、合成オキシステロール(例えば、20Sの類似体)の骨芽細胞分化の誘導因子として作用する能力について、刺激性オキシステロール、22S/22Rの非存在下で、20Sをこれらの刺激性オキシステロールと組み合わせて投与するときと比較して試験する。20Sがある種のプロセス、例えば、骨形態形成を誘導するように作用し、22S及び22Rが20Sの活性を刺激できる(すなわち、22S及び22Rが刺激性オキシステロールである)ことを既に報告した。20Sの誘導体である合成オキシステロール(例えば、Oxy13)は、20Sを模倣しており、誘導因子として作用し、一方22Sの合成誘導体(例えば、Oxy3)は刺激性オキシステロールとして作用する。
【0102】
使用した細胞は、骨芽細胞及び脂肪細胞になる能力を既に特徴づけた多能性M2細胞(M2−10B4)である。(例えば、Kha et al. (2004) J Bone Miner Res 19. 830-840参照)。これらの細胞は、骨髄から得られ、インビトロで維持し、何回も継代することが容易である。M2細胞において発見されたことは、C57BLK/6マウスから単離され、Kha et al(2004)、上記で記載された方法によって培養された初代骨髄間質細胞において確かめられる。アッセイした骨形成分化のマーカーの中には、アルカリホスファターゼ活性、オステオカルシンmRNA発現及び骨髄間質細胞培養における無機質形成が含まれる。
【0103】
M2−10B4骨髄間質細胞におけるアルカリホスファターゼ活性に対する合成オキシステロール、oxy−1からoxy−15の効果を試験した。細胞をオキシステロールで4日間処理し、その後細胞を収集し、アルカリホスファターゼ活性を比色アッセイによって分析した。代表的な実験の結果は、対照未処理細胞と比較したアルカリホスファターゼ活性の誘導倍率として示す。測定可能な誘導を生じたオキシステロールのみ示す。
【0104】
オキシステロール 対照未処理細胞に対する誘導倍率
Oxy7 (5μM) 9
Oxy7 (10μM) 23
Oxy9 (5μM) 2
Oxy9 (10μM) 4
Oxy11 (2.5μM) 6
Oxy12 (5μM) 22
Oxy12 (10μM) 80
Oxy13 (2.5μM) 200
Oxy13 (5μM) 334
Oxy14 (2.5μM) 42
Oxy14 (5μM) 100
Oxy15 (5μM) 55
Oxy15 (10μM) 80
【0105】
M2−10B4骨髄間質細胞における石灰化に対するオキシステロールの効果を試験した。細胞をオキシステロールで14日間処理し、その後培養中に形成した無機質の量を放射活性45Ca取り込みアッセイを使用して定量した。代表的な実験の結果は、対照未処理細胞と比較したcpm/mgタンパク質の誘導倍率として示す。測定可能なカルシウム取り込みを生じたオキシステロールのみ示す。
【0106】
オキシステロール 45Ca取り込み(対照未処理細胞に対する誘導倍率)
20S (7.5μM) 4
Oxy3 (5μM)+ 20S (7.5μM) 8
Oxy4 (5μM)+ 20S (7.5μM) 7
Oxy7 (5μM)+ 20S (7.5μM) 5
Oxy12 (5μM) 2
Oxy12 (10μM) 4
Oxy12 (15μM) 7
Oxy13 (5μM) 5
Oxy13 (10μM) 34
Oxy13 (15μM) 38
Oxy14 (10μM) 4
【0107】
骨芽細胞分化のマーカーとして役立つその他の従来のインビトロアッセイも本発明のオキシ化合物で試験した。これらのアッセイには、例えば、カルシウム取り込み又はオステオカルシンmRNAの発現の(基準値又は対照と比較した)増加の検出が含まれる。
【0108】
様々な合成オキシステロール(oxy−1〜16)の脂肪生成分化に対する効果を試験した。結果を図1に示す。M2−10B4骨髄間質細胞を対照媒体又はPPARガンマ活性化剤、トログリタゾン(Tro、troglitazone、10μM)で、示された様々なオキシステロール(5μM)の存在下又は非存在下で、処理した。処理10日後、細胞をオイルレッドOで染色して脂肪細胞を検出し、陽性に染色された細胞の数を光学顕微鏡を使用して計数した。代表的実験のデータを、3回の測定値の平均(ウェル当たり5視野の平均、実験条件当たり3ウェル)±SDとして記録する。
【実施例3】
【0109】
オキシステロールが骨芽細胞分化を刺激する作用の機構
ある種の骨形成オキシステロールがRunx2DNA結合活性を誘導すること、それらはBMP2、BMP7及びBMP14/GDF−5を含むBMPと相乗的に作用できること、並びにそれらがMSCの骨形成分化に対する酸化的ストレスの副作用を阻害することを以前に示した。これらのアッセイ及びその他のアッセイの実施方法の指針については、例えば、国際公開第2004/019884号パンフレット、国際公開第2005/020928号パンフレット、国際公開第2005/020928号パンフレット及び国際公開第2006/12902号パンフレットを参照のこと。
【0110】
本発明の新規オキシステロールを同方法によって試験する。骨形成を示されたオキシステロールは、既に試験したオキシステロールと同様の機構によって機能を果たすと予測される。
【実施例4】
【0111】
オキシステロールのインビボ骨形成効果
ある種の天然に生じる骨形成オキシステロールをラットの危険な大きさの頭蓋冠欠損に移植すると骨の治癒を高めることを以前に示した。これらのアッセイ及びその他のアッセイを実施する方法の指針については、例えば、本出願の権利者が所有する公開されたPCT国際出願である国際公開第2004/019884号パンフレット、国際公開第2005/020928号パンフレット、第2005/020928号パンフレット及び国際公開第2006/12902号パンフレットを参照のこと。
【0112】
本発明の合成オキシステロールは、ラットの頭蓋冠骨形成モデル並びに2種類の他のインビボモデルで試験する。合成オキシステロールは、個別に、又は組み合わせて、刺激性オキシステロール22S/22Rの非存在下で、20Sをこれらの刺激性オキシステロールと組み合わせるときと比較して試験する。第1の他のモデルは、メスマウスの卵巣を除去し、迅速な骨量減少を生じた、広く使用されているFDA承認卵巣切除モデルである。骨量減少の阻害は、試験オキシステロール(推定タンパク質同化オキシステロール)の全身投与後に評価し、その評価は、ミクロCT分析及び組織化学的研究によって実施する。第2のモデルは、広く使用される長骨の重大な欠損モデルで、ラットの大腿骨又は脛骨に外科的に欠損を形成し、その後試験オキシステロール(推定骨誘導薬)を移植し、試験した動物対治療した動物における骨の治癒における骨形成の速度及び質を放射線的及び組織化学的に評価する。インビトロで骨形成効果を惹起する合成オキシステロールはまた、これらのインビボモデルにおいて骨治癒を刺激することが予測される。
【0113】
M2細胞又は一次骨髄間質細胞を、親化合物、20Sの実験に基づいて、0.5〜15μMの用量の個々の20S類似体で処理する。骨芽細胞分化の広範囲の早期及び後期マーカーの発現を調べることによって、オキシステロール類似体に応答したMSCの骨芽細胞分化の試験に系統的に取り組む。並行培養を行って、骨形成分化の早期マーカー:アルカリホスファターゼ活性、Runx2DNA結合活性、及びコラーゲンImRNA発現、並びに骨形成分化の後期マーカー:骨シアロタンパク質及び定量的RT−PCRによるオステオカルシンmRNA発現を試験する。石灰化の誘導はまた、Kha et al(2004)(上記)に記載されたように、45Ca取り込みアッセイ及びホンコッサ染色を使用して試験する。早期マーカーは、オキシステロールで3日間処理した後試験し、後期マーカーは8日後に試験し、石灰化は試験オキシステロールで14日間処理した後に試験する。これらの時点は、M2細胞における骨誘導薬による骨形成分化マーカーの調節経験に基づいている。
【0114】
ラット大腿骨骨膜モデルにおけるoxy13の効果
天然に生じるオキシステロールはインビボにおいて骨形成効果を示し、本発明のある種の合成オキシステロールは、インビボにおける骨増殖のマーカーである特性をインビトロで示すという前記の示唆は、Yoshia et al.,PNAS, 99:4580(2002)に記載されているラットの大腿骨骨膜モデルを使用して確かめられた。
【0115】
オスSDラットをOxy13(又は対照媒体)で2週間処理した。Oxy13は、Alzetポンプによって、3回の投与又は毎日の注射で、骨膜まで輸送された。治療計画は、治療2週間、群当たりn=6、媒体及び3種類のOxy13用量を継続的に毎日2回注射、並びに治療4週間、媒体及び2種類のOxy13用量、n=6/群であった。骨の内部成長の終点の評価法は、微小血管造影、組織形態測定、及び無作為盲検視覚的採点法であった。
【0116】
殺処分時点の血漿試料のバイオマーカー及び免疫組織化学を含むその他の終点を評価した。本発明のその他のオキシステロールも試験する。表1は、ラットの大腿骨骨膜モデルにおける採点基準を示す。
【0117】
【表1】

【0118】
表2は、2週間ポンプで投与した実験による骨形成点数を示す。
【0119】
【表2】

【0120】
図7は、ラット大腿骨骨膜モデルにおいて、Oxy13で2週間処理した(ポンプ投与)ラットの骨形成の点数を図式的に示した図である。
【0121】
表3は、4週間ポンプで投与した実験による骨形成点数(放射線写真点数)を示す。
【0122】
【表3】

【0123】
図8は、ラット大腿骨骨膜モデルにおいて、Oxy13で4週間処理した(ポンプ投与)ラットの骨形成点数を図式的に示した図である。
【実施例5】
【0124】
オキシステロールのインビボにおける脂肪生成阻害効果
誘導因子オキシステロール、20S及び刺激性オキシステロール22S及び22Rの両方がM2細胞の脂肪生成分化を阻害することを以前に報告した。特定の機構に結びつけることは望まないが、これは、これらのオキシステロールが脂肪生成分化を阻害する機構は、骨形成分化を誘導する機構とは異なっており、したがって、骨誘導性試験において不活性な類似体であっても中には脂肪生成を阻害するものがあることを示唆しているものと思われる。M2細胞は、M2骨髄間質細胞を含む様々な多能性細胞で脂肪生成を誘導するPPARγアゴニスト、トログリタゾン(Tro)10μMで処理する。合成類似体は、M2細胞を個々のオキシステロールの非存在下又は存在下においてTroで処理することによって試験する。Troで処理されたM2細胞において完全に形成された脂肪細胞が産生されている処理8日後、オイルレッドO染色を実施して、中性脂肪の蓄積によって赤く染色する脂肪細胞を検出する。脂肪細胞の数は、従来の方法によって、位相差顕微鏡で視野を計数することによって定量する。インビトロで脂肪生成阻害効果を示すオキシステロールはまた、インビボで脂肪生成を阻害することが予測される。
【実施例6】
【0125】
マウスにおける増毛に対するオキシステロールの効果
この研究によって、ビタミンE溶液として送達された20(S)−ヒドロキシコレステロール+22(S)−ヒドロキシコレステロールのそれぞれのオキシステロール(1:1)の組み合わせ50μg、100μg及び150μgを、C57BL/6マウスの背中の2cm×2cmの剪毛した部位に1回局所投与すると、18日間の観察期間中に増毛を促進することが示された。
【0126】
本発明の合成オキシステロールを同モデルで試験する。ヘッジホッグ経路又はそれらのマーカーを刺激するオキシステロールはまた、このモデルにおいて増毛を刺激することが予測される。
【実施例7】
【0127】
オキシステロール22S+22Sの骨誘導性効果の媒介におけるヘッジホッグ経路の役割
多能性間葉細胞は、骨芽細胞及び脂肪細胞を含む様々な種類の細胞の前駆体集団を形成する。ヒト及び動物において、加齢は、骨芽細胞分化を抑えて脂肪細胞分化に有利に働き、骨形成の減少及び骨粗鬆症を含む骨減少性障害を引き起こす。この実施例において、多能性間葉細胞を骨芽細胞系列に方向付けすることが既に示された特定の天然に生じるオキシステロールが、ヘッジホッグシグナル伝達経路を活性化することによって骨誘導性効果を発揮することを報告する。これは、1)Hh標的遺伝子Gli−1及びPatchedのオキシステロール誘導性発現、2)多量体形成Gli応答性エレメントによって促進されるルシフェラーゼレポーターのオキシステロール誘導性活性化、3)ヘッジホッグ経路阻害剤、シクロパミンによるオキシステロール効果の阻害、及び4)Smoothened-/-マウス胚線維芽細胞のオキシステロールに対する無応答性によって示された。基準Gli活性が高いPatched-/-細胞を使用して、オキシステロールが、これらの細胞においてGli活性を阻害するのに必要なシクロパミンのIC50濃度を劇的には変化させないことを発見した。さらに、結合研究によって、オキシステロールは、Smoothenedへの直接結合について、蛍光標識シクロパミン、BODIPY−シクロパミンと競合しないことが示された。これらの所見は、オキシステロールが7回膜貫通経路成分Smoothenedを間接的に活性化することによってヘッジホッグ経路活性化を刺激することを示している。したがって、骨誘導性オキシステロールは多能性間葉細胞におけるヘッジホッグ経路の新たな活性化剤である。
【0128】
材料及び方法
細胞培養及び試薬−M2−10B4細胞、C3H10T1/2細胞、Smo−/−マウス胚線維芽細胞(MEF、mouse embryonic fibroblast)及びPtch−/−MEFは、従来の方法によって維持した。処理は、5%牛胎児血清、アスコルビン酸50μg/ml及びβ−グリセロホスフェート3mMを含有する分化培地中で実施した。オキシステロール及びフォルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA、Phorbol 12-Myristate 13-Acetate)は、Sigma-Aldrich, Co. 社製(St. Louis, MO)を入手し、シクロパミン及びKAAD−シクロパミンは、EMD Biosciences, Inc. 社製(La Jolla, CA)を入手し、組換えマウスShhアミノ末端ペプチド及びShh中和抗体は、R&D Systems, Inc. 社製(Minneapolis, MN)を入手し、ロトレリン及びH−89は、Calbiochem社製(La Jolla, CA)を入手し、ウェスタンブロット用の抗体は全てCell Signaling Technology社製(Danvers, MA)を入手した。プラスミドpACMV-tetO及びHEK293S-TetR細胞は、P.J.Reeves and H.G.Khorana(University of Essex, Colchester, UK)から恵与された。抗Mycポリクローナル抗体は、Santa Cruz Biotechnology社製を、高感度化学ルミネセンス検出キットはAmersham Pharmacia社製を入手した。BODIPY−シクロパミンは、TRC社製(North York, Ontario, Canada)を入手し、テトラサイクリンはSigma社製を購入し、酪酸ナトリウムはJ. T. Baker社製(Mallinchrodt Baker, Phillipsburg, NJ)を入手した。ブラストサイジン及びジェネテシンはInvitrogen社製(Carlsbad, CA)を入手した。
【0129】
マイクロアレイ−試料は全て加工され、スキャニングされ、アフィメトリックスHG−U133Aアレイで品質を調べた。遺伝子発現測定値を分析するために、全てのアフィメトリックスデータは、モデルベース発現及びdChipのペアマッチ−ミスマッチ法(Li et al. (2003) in The Analysis of Gene Expression Data: Materials and Software (Parmigiani et al. eds), pp. 120-141, Springer, New York)を使用して正規化した。この後、発現変化が少なくとも2倍、発現の最小差が100、2群の間の両側t検定のp値<0.1を示すプローブの組み合わせをさらに分析するために選択した。全実験と全対照を比較し、特に8時間後及び48時間後にも実験と対照を比較した。次に、このように作製したリストをEASE分析(Hosack et al. (2003) Genome Biol. 4, R70)して、遺伝子オントロジー用語を豊富にするために試験した。EASE分析は、8時間後の比較ではステロイド代謝のための用語が豊富であること、及び48時間後の比較では形態形成及び発生用語が豊富であることを示した。
【0130】
定量的リアルタイムPCR(Q−RT−PCR)
Q−RT−PCRは、フェノール/クロロホルム法を使用してM2細胞から単離した逆転写RNAを用いて実施した。PCR反応は、iQ SYBR Green Supermix及びiCyclerRT−PCR検出系(BIO-RAD Laboratories社製, Hercules, CA)を使用して実施した。Gli−1、Gli−2、Gli−3、Shh及びIhhのプライマー配列は、Dr. Fanxin Long (WashingtonUniversity, St. Louis, MO)から恵与された。Ptch及びSmoプライマー配列は、要求に応じて利用可能である。Q−RT−PCRデータは、シクロフィリン発現に対して正規化し、相対的発現レベルは2ΔΔC法を使用して計算した(Livak et al. (2001) Methods 25, 402-408)。
【0131】
一過性形質転換−細胞を24ウェルプレートに入れ、翌日Gli依存性ホタルルシフェラーゼ及びウミシイタケルシフェラーゼベクターを形質移入し、指示があれば、Smo又はPtch発現ベクターを形質移入した。ウェル当たりの総DNAは、500ngを上回らず、FuGENE6形質移入試薬(Roche社製、Indianapolis, IN)は、3:1(試薬:DNA)の比で使用した。細胞は、2重ルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega社製、Madison, WI)を使用して、製造元の指示に従って、ルシフェラーゼ活性を評価する48時間前に処理した。実験は3回実施し、エラーバーは1標準偏差を示す。
【0132】
電気泳動度シフトアッセイ(EMSA)−OSE2オリゴヌクレオチドの配列は(5'-AGCTGCAATCACCAACCACAGCA-3')(配列番号1)であった。オリゴヌクレオチドは、煮沸冷却によってその相補的配列とアニーリングさせた。プローブは、ポリヌクレオチドキナーゼを使用してγ32P−ATPで末端を標識し、カラムで精製した。核抽出物は、Dignam変法(Osborn et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86, 2336-2340)を使用して調製した。核抽出物(10μg)は、結合緩衝液(10mM Tris pH7.5、NaCl100mM、DTT1mM、EDTA1mM、4%グリセロール)、ポリ(dIdC)1μg及び標識プローブ0.2ngと20分間室温でインキュベートして、複合体を冷却した6%アクリルアミド1XTBEゲル上で分離した。その後、ゲルを乾燥させ、フィルムに曝露した。
【0133】
アルカリホスファターゼ活性、ノザンブロッティング及び石灰化アッセイ。全細胞抽出物の比色分析によるアルカリホスファターゼ活性アッセイ並びにOCN及び18SrRNAについてのノザンブロッティングは、従来の方法で実施した。遺伝子発現はStorm840ホスフォイメージャー及びImageQuantソフトウェア(Amersham社製。Piscataway, NJ)を使用して定量した。
【0134】
テトラサイクリン調節Smo発現プラスミド、pACMV-tetO-Smo-Mycの構築
Smo−Myc遺伝子は、プラスミドpGE-Smo-Myc(Taipale et al. (2002) Nature 418, 892-897)からプライマー5'-AAAATGAATTCAACAACTCCGCCCCATTGAC-3'(配列番号2)及び5'-CCCGCGCGGCCGCCGACTACGACCTAATTCCTGC-3'(配列番号3)を使用して増幅した。生じたPCR産物をHind IIIで消化して、Smo−Myc遺伝子を単離して、DNAポリメラーゼIクレノウ断片を使用して末端を修復し、次いでNot Iで消化した。Smo−Myc遺伝子は、前述のように(Reeves et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Scl. USA99, 13413-13418 28)アガロースゲル電気泳動で精製して、プラスミドpACMV-tetOに挿入し、ベクターpACMV-tetO-Smo-Mycを得た。
【0135】
テトラサイクリン誘導性Smo遺伝子発現のための安定なHEK293S細胞系の構築
HEK293S−TetR細胞を維持し、前述のようにpACMV-tetO-Smo-Mycで安定的に形質移入した(Reeves et al. (2002)上記)。個々のジェネテシン耐性コロニーを拡大し、SDS−PAGEによって可溶化した細胞抽出物を分析した後、抗Mycポリクローナル抗体で免疫検出することによって、Smo−Myc発現をスクリーニングした。テトラサイクリン誘導性Smoothend発現を示す1細胞系を選択し、その後の実験全てに使用するために拡大した。
【0136】
BODIPYシクロパミン結合アッセイ−誘導性Smoothened遺伝子を含有する安定なHEK293S細胞系は、6ウェルプレートを使用してジェネテシン(2mg/ml)を含有する培地中でコンフルエンスになるまで増殖させた。次に、増殖培地を、テトラサイクリン(1μg/ml)及び酪酸ナトリウム(5mM)を含有する新鮮な培地と置換した。2日後、以前に記載したように、BODIPYシクロパミンを使用して蛍光結合アッセイを実施した(Chen et al. (2002) Genes Dev. 16, 2743-2748)。
【0137】
ウェスタンブロッティング−処置後、細胞を溶解緩衝液で溶解し、タンパク質濃度をBio-Radタンパク質アッセイ(Hercules, CA)を使用して測定し、SDS−PAGEを実施して、未処理及びリン酸化されたタンパク質を探索した。
【0138】
統計学的分析−コンピュータ支援統計学的分析は、StatView4.5プログラムを使用して実施した。p値は全て、ANOVA及びフィッシャーの保護最小有意差(PLSD、projected least significant difference)有意性試験を使用して計算した。p<0.05の値は、有意と見なした。
【0139】
結果
骨形成オキシステロールによるヘッジホッグ経路活性化−オキシステロールの骨誘導性効果に関与する分子機構を解明するために、多能性マウス骨髄間質細胞系M2−10B4(M2)におけるmRNA発現を比較し、次いで対照媒体又はオキシステロールの組み合わせ、20(S)−及び22(S)−ヒドロキシコレステロール(SS)の最適用量(5μM、1:1)で8及び48時間処理して、アフィメトリックスマウス430A遺伝子チップを使用してマイクロアレイをベースにした遺伝子発現分析を実施した。媒体処理対照に対して、オキシステロール処理はHh標的遺伝子Gliの発現を誘導した(GLI−Kruppelファミリー構成要素GLI、NM_010296)(8時間で3.3倍の誘導、p=0.0008、48時間で14倍の誘導、p=0.0002)及びPtch(patched相同体、NM_008957)(48時間で38倍の誘導、p=0.0001、8時間では明らかな誘導はなかった)。Q−RT−PCR分析によってこれらの発見が確認され、8、24及び48時間後のGli−1発現、並びに24及び48時間後のPtch発現において着実な増加が示された(図2a及び2b)。これらの時点では、Gli−2又はGli−3遺伝子発現に有意な変化は認められなかった(データは示さず)。細胞は、マウスShhアミノ末端シグナル伝達ドメイン(ShhN)の組換え型と類似の応答を示した(図2a及び2b)。
【0140】
オキシステロールによるHh経路活性化をさらに調べるために、多量体形成Gli−応答エレメント(5'-GAACACCCA-3')(配列番号4)によって促進されるルシフェラーゼレポーターを用いたレポーターアッセイを使用した。Gli−lucで形質移入し、SSで処理したM2細胞は、対照媒体処理細胞の5倍のルシフェラーゼ活性を示した(図2c)。同様の結果がShhN(200ng/ml)による細胞処理で示され、オキシステロール又はShhNによる誘導は、Hh経路阻害剤、シクロパミンで前処理することによって阻害された。Gliレポーター活性の誘導は、7−α−ヒドロキシコレステロール及び7−ケトコレステロールを含む非骨誘導性オキシステロールでは認められず(図2d)、したがって、オキシステロール誘導性骨形成におけるHh経路活性の役割がさらに支持された。
【0141】
Hh経路活性化における肝臓X受容体の役割−20S及び22Rを含む特定のオキシステロールは、核内ホルモン受容体肝臓X受容体(LXR)の公知のアゴニストであり、LXRはM2細胞で発現されるので、LXRの活性化がHhシグナル伝達の増加を誘導できるかどうかを調べた。Gli−lucレポーターアッセイは、合成LXRアゴニスト、TO-901317(TO)1又は5μMで処理した細胞において活性化を示さなかった(図2d)。これは、同濃度のTOではM2細胞におけるLXRの活性化は誘導されないが、実際には骨芽細胞分化を阻害するという以前の発見と一致している。骨誘導性オキシステロール、例えば、20SによるLXRのこのような潜在的に有害な活性化は、骨減少性障害に治療的に使用する場合、その濃度を制限する戦略を開発することが重要であることを強調する。LXRアゴニストではなく、20Sの骨誘導性効果を高めると考えられる22Sと共に20Sを使用したオキシステロールの併用治療は、このような戦略の1つである。
【0142】
Hh経路活性化は、オキシステロール誘導性骨芽細胞分化を媒介する−オキシステロール誘導性骨芽細胞分化におけるHhシグナル伝達の機能的役割を決定するために、M2細胞における骨芽細胞分化のオキシステロール誘導性マーカーに対するシクロパミンの効果を評価した。SS処理によって生じるALP活性の実質的誘導は、シクロパミンによって用量に応じた様式で著しく阻害されることを発見した(図3a)。同様に、EMSA分析によって、シクロパミンがオキシステロール処理細胞においてRunx2DNA結合活性の刺激を完全に阻害することが示された(図3b)。さらに、OCN、Runx2標的遺伝子のオキシステロール誘導性発現及びM2細胞の培養中の石灰化の増加は、シクロパミンによって阻害された(図3c、d)。全体的に見て、これらの発見は、Hhシグナル伝達経路がオキシステロールの骨誘導性効果に必須であることを示している。
【0143】
オキシステロール誘導性Hh経路活性化の機構−オキシステロールがHh経路活性化を引き起こす機構を解明するために、まず、オキシステロールがM2細胞による内在性Hh分子の発現を誘導するかどうかを調べた。Q−RT−PCR分析によって、M2細胞を48時間までオキシステロール(5μMSS)で処理すると、媒体処理対照細胞に存在する低レベルのIhhmRNAには変化は生じず、M2細胞中のShhmRNAは、オキシステロール処理があってもなくても検出されないことが示された(データは示さず)。さらに、Shh中和抗体は、M2細胞においてオキシステロール誘導性ALP活性を阻害せず、一方、外来から添加したShhNによって誘導されるALP活性を完全に阻害した(図)。これらの結果は、オキシステロールは内在性Hh発現レベルには影響を及ぼさず、したがって、おそらく、Smo及び/又はPtchなどのHhシグナル伝達ネットワークのその他の構成要素を調節することによって、異なる機構を介してHh経路活性化を引き起こすに違いにないことを示唆している。
【0144】
この可能性を調べるために、Smo−/−及びPtch−/−欠損マウスのマウス胚線維芽細胞を使用した。マウス胚変異体のMEFは、オキシステロール誘導性Hh経路活性化の機構をさらに特徴づけるために適切なモデル系であることを示すために、野生型C3H10T1/2MEFに対する骨形成ステロールの効果をまず試験した。多能性骨髄間質細胞と同様に、ALP活性(図5a)及びRunx2DNA結合活性の誘導によって評価すると、C3H10T1/2細胞がオキシステロールに応じて骨芽細胞分化を受けることを発見した。オキシステロールによる処理はまた、C3H10T1/2細胞においてGli−luc活性を誘導し、この活性は、シクロパミン前処理によって阻害された(図5b)。野生型MEFとは対照的に、Smo−/−MEFは、Gli−luc活性が非常に低く、オキシステロール又はShhNを含有する調製培地(ShhN−CM)による処理に無反応であった(図5c)。SS及びShhN−CMに対する反応性は、Smo発現ベクターを形質移入することによって回復し、基準レポーター活性は変化しなかった(図5c)。Smo−/−MEFはまた、オキシステロールに応じて骨芽細胞分化を起こすことが十分にできないが(図5d)、骨形態形成タンパク質7(BMP−7)による処理はSmo−/−MEFにおいてALP活性を誘導し、したがって、Hh経路活性の必要性は無視することができ、これらの細胞には骨芽細胞系列に沿って分化する能力が備わっていることが確かめられた(図5d)。構成的Smo活性によって基準Hh経路活性が高いPtch−/−MEFを使用した研究では、オキシステロールもShhN−CMもさらに経路活性化を誘導しないことが示された(図5e)。PtchをPtch−/−細胞に再導入すると、Smo調節が再確立され、基準Hh経路活性が減少し、経路活性化におけるオキシステロール及びShh−CMに対する感受性が回復した(図5e)。これらの結果は、Hh経路活性のオキシステロールによる誘導にはSmoが必要であること、Ptchの欠如によってSmoが完全に活性化されると、オキシステロールによるさらなる活性化は生じないことを示している。
【0145】
次に、経路アゴニストSmoアゴニスト(SAG)及びプルモルファミンについて既に示したように、オキシステロールが直接結合しSmoを活性化することによってHh経路活性を刺激できる可能性を調べた。Ptch−/−MEFにおけるGli−lucレポーター活性は、直接結合しSmoを阻害することによって作用するSmoアンタゴニスト、シクロパミンで処理することによって、用量に応じた様式で抑制され得る(図5f)。オキシステロールがSmoに結合し活性化することによって作用するならば、経路阻害に必要なシクロパミンの有効濃度の変化が予測されよう。例えば、シクロパミン作用のIC50は、Hh経路活性化濃度のSmoアゴニストSAG及びプルモルファミンで処理すると数桁の規模で変化する。しかし、オキシステロールはPtch−/−MEFにおいてGli−luc活性を阻害するために必要なシクロパミンの濃度を劇的に変化させることはないことが示され(図5f)、オキシステロール作用はシクロパミンの作用に直接的には拮抗しないことが示唆された。さらに、オキシステロールがシクロパミンの蛍光誘導体、BIDYPY−シクロパミン(B−cyc、BIDYPY-cyclopamine)のSmo発現細胞との結合について競合できるかどうかを試験した。誘導性Smo発現構築物で安定的に形質移入されたHEK293S細胞においてSmo発現を誘導した後、細胞を、B−cycの存在下で、オキシステロール又は強力なシクロパミン誘導体KAADシクロパミンと共に処理し、蛍光標識細胞分取(FACS)分析を行った。B−cycのSmoを過剰発現するHEK293S細胞への結合は、SSによって影響を受けず、一方、KADD−シクロパミンはB−Cyc結合を劇的に減少させることが発見された(図5g)。
【0146】
タンパク質キナーゼC及びタンパク質キナーゼAのオキシステロール誘導性Hh経路活性化における役割−細胞のオキシステロール誘導性骨芽細胞分化は、タンパク質キナーゼC(PKC)−及びタンパク質キナーゼA(PKA)−依存性機構を介して媒介されることを既に報告した。骨芽細胞分化の様々なマーカーの調節におけるこれらのシグナル伝達経路の役割は、特異的であり、重複しているものと考えられる。オキシステロール誘導性Hh経路活性化の媒介におけるPKC及びPKAの可能性のある役割の解明を開始するために、Hh経路活性化のマーカーに対するPKC及びPKA阻害剤の効果を調べた。M2細胞をPKCδ選択的阻害剤、ロトレリンで前処理すると、オキシステロールによって誘導される骨芽細胞分化を阻害し、用量依存的にオキシステロール誘導性Gli−1及びPtchmRNA発現を阻害することが既に発見された(図6a、b)。同様に、オキシステロール誘導性Gli−1及びPtch発現は、PKC貯蔵がPMA1μMで一晩処理した後で激減する細胞において阻害された(図6c、d)。次に、PKC基質、リン酸化MARCKS(pMARCKS、phosphorylated MARCKS)のレベルをウェスタンブロッティングによって評価することによって、オキシステロールがPKC活性化を誘導するかどうかを調べた。SS5μMで10分、30分、2時間、8時間、24時間又は48時間処理したM2細胞の全細胞溶解物は、対照未処理細胞と比較してpMARCKSレベルの増加を示さず(データは示さず)、一方、PMAで30分処理すると明らかにMARCKSリン酸化が誘導された。
【0147】
オキシステロール誘導性Hh経路活性化におけるPKAの可能性のある役割を調べるために、全部ではないがいくつかの骨芽細胞分化マーカーの誘導を阻害することが既にわかっているPKA阻害剤、H−89のオキシステロール誘導性Gli−1及びPtchmRNA発現に対する効果をQ−RT−PCRによって評価した。結果から、H−89(5〜15μM)でM2細胞を前処理すると、処理24時間後にはオキシステロール誘導性Gli−1又はPtch発現を阻害しなかったことが示された(データは示さず)。さらに、M2細胞をPKA経路活性化剤、フォルスコリン(10μM)と一緒にSS(5μM)で24時間処理すると、オキシステロール誘導性Gli−1及びPtch発現が完全に阻害された(データは示さず)。最後に、オキシステロール処理細胞の全細胞溶解物のウェスタンブロッティングは、pMARCKSレベルの試験について前述した同時点の対照未処理細胞と比較して、リン酸化PKA(pPKA)又はリン酸化CREB(pCREB)レベルの誘導がそれほど著しくないことを示した(データは示さず)。対照的に、フォルスコリン(10μM)で30分処理すると、pCREBレベルが著しく誘導された。
【0148】
そのオキシステロールの骨誘導性効果がヘッジホッグシグナル伝達によっても媒介されることを確かめるために、前述したような実験を本発明の個々のオキシステロールで実施した。実施例10は、少なくともOxy8、10、11、12、13及び14がM2−10B4骨髄間質細胞においてGlilレポーターを刺激することを示している。
【0149】
さらに、Gli1(ヘッジホッグ経路シグナル伝達現象の主要な媒介物)の発現は、siRNA遺伝子サイレンシング方法を使用することによって、M2細胞において阻害される。Gli1発現が我々の細胞で阻害されることを一旦確かめたので、Runx2発現及びDNA結合活性、オステオカルシンmRNA発現、アルカリホスファターゼ活性化及び石灰化を含む骨形成細胞応答を誘導する合成オキシステロールの能力を評価することによって、合成オキシステロールのそれらの細胞に対する効果を調べる。これらのアッセイによって、ヘッジホッグシグナル伝達が本発明の合成オキシステロールの効果を媒介することが確かめられることが予測される。
【実施例8】
【0150】
オキシステロールの合成
オキシステロールの合成に関係するいくつかの情報源は以下の通りである。Drew, J. et al., J. Org. Chem., 52 (1987) 4047-4052; Honda, T. et al., J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, (1996) 2291-2296; Gen, A. V. D. et al. J. Am. Chem. Soc.,95 (1973) 2656-2663; Mazzocchi, P. H. et al. S. J. Org. Chem., 48 (1983) 2981-2989; Byon C. et al., J Org Chem, 41 (1976) 3716-3722; Rao, A.S., Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press, Eds. Trost BM, Fleming I., 7 (chapter 3.1) (1991) 376-380.
【0151】
A.Oxy11及びOxy12の合成方法
1.Oxy11の合成経路
イミダゾール(ImH、imidazole)を無水ジメチルホルムアミド(DMF、dimethylformamide)に溶かしたプレグネノロン(化合物3、スキーム1参照)の溶液に添加することができる。次に、tert−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートをこの溶液に添加することができる。スキーム2に示したように、反応生成物を精製して化合物4、1−((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17S)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−3−[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ]−10,13−ジメチル−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)エタノンを得ることができる。
【0152】
次に、グリニャール試薬3−メチルベンジルマグネシウムブロミドをジメチルエーテル及びテトラヒドロフラン(THF、tetrahydrofuran)の混合物中で4と反応させることができる。シリルエーテルは、テトラブチルアンモニウムフルオリドを添加することによって除去され、スキーム1に示したように化合物5a(Oxy11)を生じることができる。
【0153】
2.Oxy12の合成経路
次に、グリニャール試薬イソヘプチルマグネシウムブロミドをジメチルエーテル及びTHFの混合物中で4と反応させることができる。シリルエーテルは、テトラブチルアンモニウムフルオリドを添加することによって除去されて、スキーム1に示したように化合物5c(Oxy12)を生じることができる。
【0154】
【化2】

【0155】
B.Oxy12及びOxy13の合成方法
I.Oxy12の他の合成経路
1−((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17S)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−3−[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ]−10,13−ジメチル−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)エタノン、1
無水ジメチルホルムアミド(DMF、180mL)に溶かしたプレグネノロン(5.0g、15.8mmol)の撹拌溶液に、イミダゾール(2.7g、39.7mmol)を添加した。この反応を20分間撹拌し、その後tert−ブチルジメチルシリルクロリド(3.6g、23.9mmol)をゆっくり添加した。周囲温度で12時間撹拌した後、この反応混合物を氷に注いだ。沈殿物を収集し、ジエチルエーテルに溶解した。有機相を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空中で留去して、化合物1(6.7g、15.6mmol、98%)を白色粉末として得て、さらに精製することなく使用した。分光分析のデータは、文献で報告されたものと一致した(Drew e1 al. (1987) J. Org. Chem. 52, 4047-4052)。
【0156】
(3S,8S,9S,10R,13S,14S,17S)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−3−[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ]−17−((S)−2−ヒドロキシ−7−メチルオクタン−2−イル)−10,13−ジメチル−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン、2
無水テトラヒドロフラン(THF、9.5mL)に溶かしたサマリウム金属(758mg、5.0mmol)及び3Åモレキュラシーブ(0.5g)の撹拌懸濁液に、周囲温度でTHF(9.5mL)に溶かした1,2−ジヨードエタン(1.3g、4.6mmol)の溶液を添加した。反応物を30分間撹拌後、ヘキサメチルホスホルアミド(HPMA、3.0mL、17.2mmol)をこの反応混合物に添加し、さらに20分間撹拌を続けた。次に、THF(6.0mL)に溶かしたケトン1(500.0mg、1.16mmol)の溶液を添加し、その後THF(2.0mL)に溶かした1−ブロモ−5−メチルヘキサン(208.0mg、1,16mmol)を添加した。反応物は、開始物質が完全に消費されるまで、さらに1時間撹拌した。この後、反応混合物を飽和NaHCOでゆっくり処理し、セライトで濾過し、過剰量のジエチルエーテルで3回すすいだ。濾液を水で処理して、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル抽出物を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空中で留去して、残渣を得て、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。ヘキサン−ジエチルエーテル(4:1、v/v)で溶出して、化合物2(350.0mg、0.6mmol、57%)を白色粉末として得た(Honda ei al. (1996) J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 2291-2296)。
【0157】
【化3】


H NMR(500MHz,CDCl)δ 0.05(s,6H)、0.86(s,3H)、0.86(d,J=6.6Hz,6H)、0.89(s,9H)、1.00(s,3H)、1.02〜1.17(m,8H)、1.26(s,3H)、1.29〜1.81(m,18H)、1.95〜1.99(m,1H)、2.07〜2.10(m,1H)、2.14〜2.18(m,1H)、2.24〜2.26(m,1H)、3.46〜3.50(m,1H)、5.31(app t,J=5.2Hz,1H)。13C NMR(125MHz,CDCl)δ −4.7、13.5、18.1、19.3、20.8、22.2、22.4、22.5、23.7、24.4、25.8、26.3、27.8、27.9、31.2、31.7、32.0、36.5、37.3、38.9、40.0、42.5、42.7、43.9、50.0、56.8、57.4、72.4、75.0、120.9、141.4。
【0158】
(3S,8S,9S,10R,13S,14S,17S)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−17−((S)−2−ヒドロキシ−7−メチルオクタン−2−イル)−10,13−ジメチル−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オール、Oxy12
無水THFに溶かした化合物2(300.0mg、0.57mmol)の溶液に、THF(2.5mL、2.5mmol)に溶かしたテトラブチルアンモニウムフルオリドの1.0M溶液を添加し、この溶液を周囲温度で撹拌した。12時間後、反応物を水で処理して、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を収集して、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、油状物を得た。この油状物のフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/ジエチルエーテル1:3)によって、化合物Oxy12(210.0mg、0.50mmol、88%)を白色粉末として得た。
【0159】
【化4】


H NMR(500MHz,CDCl)δ 0.86(s,3H)、0.86(d,J=6.6Hz,6H)、1.01(s,3H)、1.02〜1.25(m,11H)、1.26(s,3H)、1.42〜1.76(m,14H)、1.82〜1.85(m,2H)、1.95〜1.99(m,1H)、2.07〜2.11(m,1H)、2.23〜2.30(m,2H)、3.49〜3.55(m,1H)、5.35(app t,J=5.2Hz,1H)。13C NMR(125MHz,CDCl)δ 13.5、19.3、20.8、22.2、22.5、23.7、24.4、26.3、27.8、27.9、31.2、31.5、31.7、36.4、37.1、38.9、39.0、40.0、42.2、42.5、44.0、56.8、57.5、71.7、75.1、121.5、140.7。
【0160】
2.Oxy13の合成経路
エチル4−メチルペント−4−エノエート、7
2−メチル−2−プロペン−1−オール(12.9g、0.18mmol)、トリエチルオルトアセテート(230.0mL、1.3mol)及びプロピオン酸(0.9mL、0.12mol)の溶液を170℃まで加熱した(外部)。生成したエタノールを除去するために、反応装置に収集フラスコを装備したVigreaux Claisenアダプターを取り付けた。反応混合物を一晩還流した。反応フラスコ中の温度が上昇し始めるまで、過剰量のオルト酢酸トリエチルを130mmHgでゆっくり蒸留した。反応物を冷却後、残存する液体を10%1塩基リン酸カリウム300mLで処理し、残存する反応物を周囲温度で90分間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(3×10mL)で抽出した。一緒にした有機相をNaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、黄色油状物を得た。この油状物のフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/ジエチルエーテル4:1)によって、化合物7(17.0g、0.12mmol、67%)を無色油状物として得た。(Gen et al. (1973) J. Am. Chem. Soc. 95, 2656-2663)。
【0161】
【化5】


H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.25(t,J=7.2Hz,3H)、1.74(s,3H)、2.33(t,J=7.9Hz,2H)、2.45(t,J=8.0Hz,2H)、4.13(q,J=7.1Hz,2H)、4.68(s,1H)、4.74(s,1H)。
【0162】
4−メチルペント−4−エン−1−オール、8
アルゴン下で20分間パージした火炎乾燥フラスコにLiAlH、次いで無水THF150mLを添加した。この反応混合物を0℃まで冷却し、THF(20mL)に溶かした化合物7の溶液をゆっくり添加した。得られた溶液を室温まで暖め、開始物質が完全に消費されたことがTLCによって示されるまで、3時間撹拌した。この混合物を氷冷した1M NaOH300mLにゆっくり添加することによって反応を停止した。次に、混合物をさらに1時間撹拌し、セライトで濾過した。大量のジエチルエーテルを洗浄に使用した。濾液を水で処理して、ジエチルエーテルで2回抽出した。一緒にした有機相をNaSOで乾燥し、真空中で留去して、残渣を得て、20mmHg(bp65〜68℃)で蒸留することによって精製し、化合物8を黄色油状物として得た(9.5g、0.095mol、79%)(Mazzocchi et al.(1983) J. Org. Chem. 48.2981-2989)。
【0163】
【化6】


H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.47(br,1H)、1.69〜1.74(m,5H)、2.1(t,J=7.5Hz,2H)、3.66(t,J=6.5Hz,2H)、4.71(d,J=0.8Hz,1H)、4.73(d,J=0.8Hz,1H)、4.73(d,J=0.4Hz,1H);13C NMR(125MHz,CDCl)、δ 22.22、30.41、33.98、62.64、110.08、145.40。
【0164】
5−ブロモ−2−メチル−1−ペンテン、9
0℃まで冷却したピリジン(150mL)に溶かした化合物8(8.8g、0.088mol)の溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(35.0g、0.18mol)を少量ずつ添加した。反応混合物を20分間撹拌した後、反応混合物を3時間かけて室温まで暖めた。溶液を1M HClで酸性化して、ジエチルエーテルで3回抽出した。エーテル抽出物を1M HCL、飽和NaHCO及び食塩水で洗浄した。一緒にした有機相をNaSOで乾燥し、真空中で留去して、粗トシル酸塩を得て、さらに精製することなく使用した。
【0165】
このトシル酸塩(23.8g、0.094mol)をアセトン(150mL)に溶解し、LiBr(17.0g、0.20mol)を周囲温度でゆっくり添加した。反応物を75℃で3時間還流した。溶液を氷水に注ぎ、ジエチルエーテル(3×200mL)で抽出した。一緒にした有機相をNaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、黄色油状物を得た。この油状物のフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/ジエチルエーテル9:1)によって、化合物9(7.0g、0.043mmol、49%)を無色油状物として得た。
【0166】
【化7】


H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.73(s,3H)、1.97〜2.02(m,2H)、2.16(t,J=7.2Hz,2H)、3.41(t,J=6.7Hz,2H)、4.72(d,J=1.0Hz,1H)、4.76(d,J=0.5Hz,1H);13C NMR(125MHz,CDCl)δ 22.18、30.47、33.17、35.92、110.88、143.82。
【0167】
(3S,8S,9S,10R,13S,14S,17S)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−3−[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリルオキシ]−17−((S)−ヒドロキシ−6−メチルヘプト−6−エン−2−イル)−10,13−ジメチル−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン、10
2ヨウ化サマリウムの存在下での保護されたプレグネノロン1(500.0mg、1.16mmol)と5−ブロモ−2−メチル−1−ペンテン9(199.0mg、1.22mmol)との結合反応は、2の調製について記載した条件と類似の条件下で実施し、20S−ヒドロキシステロイド10(419.0mg、0.82mmol、71%)を白色粉末として得た。
【0168】
【化8】


H NMR(500MHz,CDCl)δ 0.05(s,6H)、0.86(s,3H)、0.89(s,9H)、1.00(s,3H)、1.13〜1.22(m,5H)、1.28(s,3H)、1.32〜1.55(m,11H)、1.71(s,3H)、1.72〜1.79(m,5H)、1.97〜2.0(m,6H)、3.47〜3.48(m,1H)、4.67(s,1H)、4.70(s,1H)、5.31(app t,J=5.3Hz,1H)。13C NMR(125MHz,CDCl)δ −4.7、13.5、18.1、19.3、20.8、22.1、22.2、22.3、23.7、25.8、26.3、31.2、31.7、32.0、36.5、37.3、38.2、40.0、42.6、42.7、43.4、50.0、56.8、57.7、72.5、75.0、109.8、120.9、141.5、145.7。
【0169】
(3S,8S,9S,10R,13S,14S,17S)−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−17−((S)−2−ヒドロキシ−6−メチルヘプト−6−エン−2−イル)−10,13−ジメチル−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オール、Oxy13
シリルエーテル10の脱保護は、化合物Oxy12の調製で使用した条件と類似の条件下で実施し、化合物Oxy13(300.0mg、0.75mmol、91%)を白色粉末として得た。
【0170】
【化9】


H NMR(500MHz,CDCl)δ 0.86(s,3H)、1.00(s,3H)、1.12〜1.20(m,5H)、1.28(s,3H)、1.32〜1.65(m,14H)、1.73(s,3H)、1.83〜2.0(m,5H)、2.07〜2.09(m,1H)、2.23〜2.28(m,2H)、2.48(br,1H)、3.52〜3.54(m,1H)、4.67(s,1H)、4.70(s,1H)、5.35(app t,J=2.0Hz,1H)。13C NMR(125MHz,CDCl)δ 13.5、19.3、20.8、22.1、22.2、22.3、23.7、26.3、31.2、31.5、31.7、36.4、37.1、38.2、40.0、42.2、42.6、43.4、49.9、56.8、57.7、71.6、75.0、109.8、121.5、140.7、145.7。
【0171】
C.Oxy15及びOxy16の合成方法
プレグネノロンシリルエーテル(化合物4、スキーム1及び2参照)は、テトラヒドロフラン(THF)に溶かした4−メチルペンチニルリチウムと反応させることができ、次に得られたアルコールをリンドラー触媒を使用して還元し、シス及びトランスアルケンの混合物を得て、分離した。シス異性体は、t−ブチルヒドロペルオキシド及びバナジルアセトアセテートを使用してエポキシ化し、2種類のエポキシドの混合物(スキーム2で示した最初のものが主要である)を得た。ヒドロキシエポキシドの水素化物還元は、個々にジオールをもたらした。2種類のジオールのシリルエーテルを最終的に除去して、トリオール、Oxy15及びOxy16を得た。
【0172】
【化10】

【0173】
前記の説明から、当業者は、本発明の本質的特性を容易に理解することができ、その精神及び範囲を逸脱することなく、様々な用途及び条件に適応させ、完全な範囲まで本発明を利用するため、本発明の変化及び調節を行うことができる。前記の好ましい特定の実施形態は、例示のためだけのものであって、いかなる方法によっても本発明の範囲を制限しない。2006年2月27日出願の米国特許仮出願第60/776990号、2005年5月22日出願の第60/802737号及び2006年5月31日出願の第60/809736号を含めた前記及び図面で引用した出願、特許及び出版物全ての開示全体は、全て本明細書に全体を参照により組み込む。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】様々な合成オキシステロールの脂肪生成分化に対する効果を示した図である。
【図2a】骨形成オキシステロールがヘッジホッグ(Hh)経路を活性化することを示した図である。対照媒体(C)、20(S)−ヒドロキシコレステロール及び22(S)−ヒドロキシコレステロールの1:1の比の組み合わせ5μM(SS)又はソニックヘッジホッグ(Shh)200ng/mlで処理したM2細胞のmRNAの定量的リアルタイムPCR(Q−RT−PCR)を、Hh標的遺伝子Gli−1(a)及びPatched(Ptch)(b)の誘導について分析した。代表的実験のデータを、4回の測定値の平均±s.d.として記録した(全ての時点でのGli−1及びPtchについてのC対SS及びShh、p<0.005)。(c)M2細胞におけるGli−依存性ルシフェラーゼレポーター(Gli−Luc)活性によって測定されたHh経路の活性化。細胞を、シクロパミン(Cyc)4μM又はジメチルスルホキシド(DMSO)媒体で2時間前処理した後、対照媒体(C)、SS 5μM又はShh 200ng/mlで48時間処理した(C対SS及びShh Gli−Luc並びにCycの存在下対非存在下それぞれのSS及びShh、p<0.002)。(d)それぞれ5μMで使用した、非骨誘導性オキシステロール、7−α−ヒドロキシコレステロール(7−アルファ−HC)及び7−ケト−ヒドロキシコレステロール(7−ケト−HC)並びに肝臓X受容体(LXR)アゴニストTO−901317(TO)は、骨誘導性オキシステロールSS 5μM及びShh 200ng/mlと並行して、Gli−lucレポーター活性の誘導について評価した。
【図2b】骨形成オキシステロールがヘッジホッグ(Hh)経路を活性化することを示した図である。対照媒体(C)、20(S)−ヒドロキシコレステロール及び22(S)−ヒドロキシコレステロールの1:1の比の組み合わせ5μM(SS)又はソニックヘッジホッグ(Shh)200ng/mlで処理したM2細胞のmRNAの定量的リアルタイムPCR(Q−RT−PCR)を、Hh標的遺伝子Gli−1(a)及びPatched(Ptch)(b)の誘導について分析した。代表的実験のデータを、4回の測定値の平均±s.d.として記録した(全ての時点でのGli−1及びPtchについてのC対SS及びShh、p<0.005)。(c)M2細胞におけるGli−依存性ルシフェラーゼレポーター(Gli−Luc)活性によって測定されたHh経路の活性化。細胞を、シクロパミン(Cyc)4μM又はジメチルスルホキシド(DMSO)媒体で2時間前処理した後、対照媒体(C)、SS 5μM又はShh 200ng/mlで48時間処理した(C対SS及びShh Gli−Luc並びにCycの存在下対非存在下それぞれのSS及びShh、p<0.002)。(d)それぞれ5μMで使用した、非骨誘導性オキシステロール、7−α−ヒドロキシコレステロール(7−アルファ−HC)及び7−ケト−ヒドロキシコレステロール(7−ケト−HC)並びに肝臓X受容体(LXR)アゴニストTO−901317(TO)は、骨誘導性オキシステロールSS 5μM及びShh 200ng/mlと並行して、Gli−lucレポーター活性の誘導について評価した。
【図2c】骨形成オキシステロールがヘッジホッグ(Hh)経路を活性化することを示した図である。対照媒体(C)、20(S)−ヒドロキシコレステロール及び22(S)−ヒドロキシコレステロールの1:1の比の組み合わせ5μM(SS)又はソニックヘッジホッグ(Shh)200ng/mlで処理したM2細胞のmRNAの定量的リアルタイムPCR(Q−RT−PCR)を、Hh標的遺伝子Gli−1(a)及びPatched(Ptch)(b)の誘導について分析した。代表的実験のデータを、4回の測定値の平均±s.d.として記録した(全ての時点でのGli−1及びPtchについてのC対SS及びShh、p<0.005)。(c)M2細胞におけるGli−依存性ルシフェラーゼレポーター(Gli−Luc)活性によって測定されたHh経路の活性化。細胞を、シクロパミン(Cyc)4μM又はジメチルスルホキシド(DMSO)媒体で2時間前処理した後、対照媒体(C)、SS 5μM又はShh 200ng/mlで48時間処理した(C対SS及びShh Gli−Luc並びにCycの存在下対非存在下それぞれのSS及びShh、p<0.002)。(d)それぞれ5μMで使用した、非骨誘導性オキシステロール、7−α−ヒドロキシコレステロール(7−アルファ−HC)及び7−ケト−ヒドロキシコレステロール(7−ケト−HC)並びに肝臓X受容体(LXR)アゴニストTO−901317(TO)は、骨誘導性オキシステロールSS 5μM及びShh 200ng/mlと並行して、Gli−lucレポーター活性の誘導について評価した。
【図2d】骨形成オキシステロールがヘッジホッグ(Hh)経路を活性化することを示した図である。対照媒体(C)、20(S)−ヒドロキシコレステロール及び22(S)−ヒドロキシコレステロールの1:1の比の組み合わせ5μM(SS)又はソニックヘッジホッグ(Shh)200ng/mlで処理したM2細胞のmRNAの定量的リアルタイムPCR(Q−RT−PCR)を、Hh標的遺伝子Gli−1(a)及びPatched(Ptch)(b)の誘導について分析した。代表的実験のデータを、4回の測定値の平均±s.d.として記録した(全ての時点でのGli−1及びPtchについてのC対SS及びShh、p<0.005)。(c)M2細胞におけるGli−依存性ルシフェラーゼレポーター(Gli−Luc)活性によって測定されたHh経路の活性化。細胞を、シクロパミン(Cyc)4μM又はジメチルスルホキシド(DMSO)媒体で2時間前処理した後、対照媒体(C)、SS 5μM又はShh 200ng/mlで48時間処理した(C対SS及びShh Gli−Luc並びにCycの存在下対非存在下それぞれのSS及びShh、p<0.002)。(d)それぞれ5μMで使用した、非骨誘導性オキシステロール、7−α−ヒドロキシコレステロール(7−アルファ−HC)及び7−ケト−ヒドロキシコレステロール(7−ケト−HC)並びに肝臓X受容体(LXR)アゴニストTO−901317(TO)は、骨誘導性オキシステロールSS 5μM及びShh 200ng/mlと並行して、Gli−lucレポーター活性の誘導について評価した。
【図3a】ヘッジホッグ経路阻害剤、シクロパミンが、オキシステロール誘導性骨芽細胞分化を阻害することを示した図である。(a)様々な用量のシクロパミン(Cyc)又はDMSO媒体で2時間前処理した後、オキシステロールの組み合わせ、SSで3日間処理したM2細胞におけるアルカリホスファターゼ活性のアッセイ。代表的実験の結果を、4回の測定値の平均±s.d.として記録し、タンパク質濃度について正規化した(全ての濃度でのC対SS及びSS対SS+Cys、p<0.001)。(b)対照媒体又はSS 5μMで4日間処理し、その後Cyc 4μM又はDMSO媒体で2時間前処理したM2細胞におけるRunx2DNA結合活性のEMSA分析。移動したバンド(矢印)は既に、スーパーシフト分析及び競合研究によってRunx2として特徴づけられた。(c)ノザンブロットによるオステオカルシン(OCN)mRNAの分析。M2細胞は、Cyc 4μMで2時間前処理した後、対照媒体(C)又はSS 5μMで8日間処理した。ブロットは、ホスフォイメージングによって定量し、OCN発現は、18S rRNAレベルに対して正規化した。(d)45Ca取り込みアッセイを使用して、Cyc 4μM又はDMSO媒体で2時間前処理し、その後SS 5μMで14日間処理したM2細胞における石灰化を測定した。代表的実験のデータを、4回の測定値の平均±s.d.として記録し、タンパク質濃度について正規化した(0.5μM以上でのC対SS及びSS対SS+Cys、p<0.001)。
【図3b】ヘッジホッグ経路阻害剤、シクロパミンが、オキシステロール誘導性骨芽細胞分化を阻害することを示した図である。(a)様々な用量のシクロパミン(Cyc)又はDMSO媒体で2時間前処理した後、オキシステロールの組み合わせ、SSで3日間処理したM2細胞におけるアルカリホスファターゼ活性のアッセイ。代表的実験の結果を、4回の測定値の平均±s.d.として記録し、タンパク質濃度について正規化した(全ての濃度でのC対SS及びSS対SS+Cys、p<0.001)。(b)対照媒体又はSS 5μMで4日間処理し、その後Cyc 4μM又はDMSO媒体で2時間前処理したM2細胞におけるRunx2DNA結合活性のEMSA分析。移動したバンド(矢印)は既に、スーパーシフト分析及び競合研究によってRunx2として特徴づけられた。(c)ノザンブロットによるオステオカルシン(OCN)mRNAの分析。M2細胞は、Cyc 4μMで2時間前処理した後、対照媒体(C)又はSS 5μMで8日間処理した。ブロットは、ホスフォイメージングによって定量し、OCN発現は、18S rRNAレベルに対して正規化した。(d)45Ca取り込みアッセイを使用して、Cyc 4μM又はDMSO媒体で2時間前処理し、その後SS 5μMで14日間処理したM2細胞における石灰化を測定した。代表的実験のデータを、4回の測定値の平均±s.d.として記録し、タンパク質濃度について正規化した(0.5μM以上でのC対SS及びSS対SS+Cys、p<0.001)。
【図3c】ヘッジホッグ経路阻害剤、シクロパミンが、オキシステロール誘導性骨芽細胞分化を阻害することを示した図である。(a)様々な用量のシクロパミン(Cyc)又はDMSO媒体で2時間前処理した後、オキシステロールの組み合わせ、SSで3日間処理したM2細胞におけるアルカリホスファターゼ活性のアッセイ。代表的実験の結果を、4回の測定値の平均±s.d.として記録し、タンパク質濃度について正規化した(全ての濃度でのC対SS及びSS対SS+Cys、p<0.001)。(b)対照媒体又はSS 5μMで4日間処理し、その後Cyc 4μM又はDMSO媒体で2時間前処理したM2細胞におけるRunx2DNA結合活性のEMSA分析。移動したバンド(矢印)は既に、スーパーシフト分析及び競合研究によってRunx2として特徴づけられた。(c)ノザンブロットによるオステオカルシン(OCN)mRNAの分析。M2細胞は、Cyc 4μMで2時間前処理した後、対照媒体(C)又はSS 5μMで8日間処理した。ブロットは、ホスフォイメージングによって定量し、OCN発現は、18S rRNAレベルに対して正規化した。(d)45Ca取り込みアッセイを使用して、Cyc 4μM又はDMSO媒体で2時間前処理し、その後SS 5μMで14日間処理したM2細胞における石灰化を測定した。代表的実験のデータを、4回の測定値の平均±s.d.として記録し、タンパク質濃度について正規化した(0.5μM以上でのC対SS及びSS対SS+Cys、p<0.001)。
【図3d】ヘッジホッグ経路阻害剤、シクロパミンが、オキシステロール誘導性骨芽細胞分化を阻害することを示した図である。(a)様々な用量のシクロパミン(Cyc)又はDMSO媒体で2時間前処理した後、オキシステロールの組み合わせ、SSで3日間処理したM2細胞におけるアルカリホスファターゼ活性のアッセイ。代表的実験の結果を、4回の測定値の平均±s.d.として記録し、タンパク質濃度について正規化した(全ての濃度でのC対SS及びSS対SS+Cys、p<0.001)。(b)対照媒体又はSS 5μMで4日間処理し、その後Cyc 4μM又はDMSO媒体で2時間前処理したM2細胞におけるRunx2DNA結合活性のEMSA分析。移動したバンド(矢印)は既に、スーパーシフト分析及び競合研究によってRunx2として特徴づけられた。(c)ノザンブロットによるオステオカルシン(OCN)mRNAの分析。M2細胞は、Cyc 4μMで2時間前処理した後、対照媒体(C)又はSS 5μMで8日間処理した。ブロットは、ホスフォイメージングによって定量し、OCN発現は、18S rRNAレベルに対して正規化した。(d)45Ca取り込みアッセイを使用して、Cyc 4μM又はDMSO媒体で2時間前処理し、その後SS 5μMで14日間処理したM2細胞における石灰化を測定した。代表的実験のデータを、4回の測定値の平均±s.d.として記録し、タンパク質濃度について正規化した(0.5μM以上でのC対SS及びSS対SS+Cys、p<0.001)。
【図4】Shh中和抗体のオキシステロール及びShh誘導性ALP活性に対する効果を示した図である。M2細胞は、Shh中和抗体(Ab)5若しくは10μg/mlの非存在下又は存在下で、対照媒体(C)、SS 5μM又はShh 200ng/mlで処理した。細胞を3日間培養し、抽出物のアルカリホスファターゼ活性を分析した。代表的実験のデータを、4回の測定値の平均±s.d.として記録し、タンパク質濃度について正規化した(C対SS及びSSh、p<0.005、両方の濃度でのShh対Shh+Ab、p<0.001、両方の濃度でのSS対SS+Ab、p=0.8)。
【図5a】マウス胚線維芽細胞におけるヘッジホッグ経路活性化を示した図である。(a)C3H10T1/2細胞を、シクロパミン(Cyc)で予備処理して、及び予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した。試料は、2日後のアルカリホスファターゼ活性について分析した(対照対SS及びSS対SS+Cyc、p<0.001)。(b)Gli−lucレポーターアッセイによって測定したC3H10T1/2細胞におけるオキシステロール誘導性Hh経路活性化。細胞は、Cyc 4μMで予備処理して、又は予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した(対照対SS及びSS対SS+Cyc Gli−luc、P<0.001)。(c)Smo−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をSmoothened(Smo)発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について評価した(対照対ShhN−CM及びSmo発現ベクターの存在下でのSS、p<0.001)。(d)様々な濃度のSS又は骨形態形成タンパク質7(BMP−7)50ng/mlで2日間処理したSmo−/−マウス胚線維芽細胞(MEF)のアルカリホスファターゼアッセイ(対照対BMP−7、p<0.001)。(e)Ptch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をPtch発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について分析した(対照対SS及びPtch発現ベクターの存在下でのShh−CM、p<0.001)。(f)オキシステロール存在下又は非存在下でのPtch−/−MEFにおけるCyc滴定アッセイ。処理48時間後の最大Hh経路活性化のパーセントによって示されたように、SS 5μM非存在下又は存在下でのPtch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼ発現を阻害するためには、同濃度のシクロパミンが必要である。代表的実験のデータを、3回の試料の平均±s.d.として記録した。(g)KAAD−シクロパミン 200nMは、BODIPY−シクロパミンがSmo発現HEK293S細胞に結合するのを遮断するが、20S若しくは22S 5μMは、単独でも、又は組み合わせても、BODIPY−シクロパミンの結合を抑えることはできない。Smo発現の非存在下での細胞性BODIPY−シクロパミンレベルによって明示された非特異的結合は、波線によって示す。
【図5b】マウス胚線維芽細胞におけるヘッジホッグ経路活性化を示した図である。(a)C3H10T1/2細胞を、シクロパミン(Cyc)で予備処理して、及び予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した。試料は、2日後のアルカリホスファターゼ活性について分析した(対照対SS及びSS対SS+Cyc、p<0.001)。(b)Gli−lucレポーターアッセイによって測定したC3H10T1/2細胞におけるオキシステロール誘導性Hh経路活性化。細胞は、Cyc 4μMで予備処理して、又は予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した(対照対SS及びSS対SS+Cyc Gli−luc、P<0.001)。(c)Smo−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をSmoothened(Smo)発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について評価した(対照対ShhN−CM及びSmo発現ベクターの存在下でのSS、p<0.001)。(d)様々な濃度のSS又は骨形態形成タンパク質7(BMP−7)50ng/mlで2日間処理したSmo−/−マウス胚線維芽細胞(MEF)のアルカリホスファターゼアッセイ(対照対BMP−7、p<0.001)。(e)Ptch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をPtch発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について分析した(対照対SS及びPtch発現ベクターの存在下でのShh−CM、p<0.001)。(f)オキシステロール存在下又は非存在下でのPtch−/−MEFにおけるCyc滴定アッセイ。処理48時間後の最大Hh経路活性化のパーセントによって示されたように、SS 5μM非存在下又は存在下でのPtch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼ発現を阻害するためには、同濃度のシクロパミンが必要である。代表的実験のデータを、3回の試料の平均±s.d.として記録した。(g)KAAD−シクロパミン 200nMは、BODIPY−シクロパミンがSmo発現HEK293S細胞に結合するのを遮断するが、20S若しくは22S 5μMは、単独でも、又は組み合わせても、BODIPY−シクロパミンの結合を抑えることはできない。Smo発現の非存在下での細胞性BODIPY−シクロパミンレベルによって明示された非特異的結合は、波線によって示す。
【図5c】マウス胚線維芽細胞におけるヘッジホッグ経路活性化を示した図である。(a)C3H10T1/2細胞を、シクロパミン(Cyc)で予備処理して、及び予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した。試料は、2日後のアルカリホスファターゼ活性について分析した(対照対SS及びSS対SS+Cyc、p<0.001)。(b)Gli−lucレポーターアッセイによって測定したC3H10T1/2細胞におけるオキシステロール誘導性Hh経路活性化。細胞は、Cyc 4μMで予備処理して、又は予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した(対照対SS及びSS対SS+Cyc Gli−luc、P<0.001)。(c)Smo−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をSmoothened(Smo)発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について評価した(対照対ShhN−CM及びSmo発現ベクターの存在下でのSS、p<0.001)。(d)様々な濃度のSS又は骨形態形成タンパク質7(BMP−7)50ng/mlで2日間処理したSmo−/−マウス胚線維芽細胞(MEF)のアルカリホスファターゼアッセイ(対照対BMP−7、p<0.001)。(e)Ptch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をPtch発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について分析した(対照対SS及びPtch発現ベクターの存在下でのShh−CM、p<0.001)。(f)オキシステロール存在下又は非存在下でのPtch−/−MEFにおけるCyc滴定アッセイ。処理48時間後の最大Hh経路活性化のパーセントによって示されたように、SS 5μM非存在下又は存在下でのPtch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼ発現を阻害するためには、同濃度のシクロパミンが必要である。代表的実験のデータを、3回の試料の平均±s.d.として記録した。(g)KAAD−シクロパミン 200nMは、BODIPY−シクロパミンがSmo発現HEK293S細胞に結合するのを遮断するが、20S若しくは22S 5μMは、単独でも、又は組み合わせても、BODIPY−シクロパミンの結合を抑えることはできない。Smo発現の非存在下での細胞性BODIPY−シクロパミンレベルによって明示された非特異的結合は、波線によって示す。
【図5d】マウス胚線維芽細胞におけるヘッジホッグ経路活性化を示した図である。(a)C3H10T1/2細胞を、シクロパミン(Cyc)で予備処理して、及び予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した。試料は、2日後のアルカリホスファターゼ活性について分析した(対照対SS及びSS対SS+Cyc、p<0.001)。(b)Gli−lucレポーターアッセイによって測定したC3H10T1/2細胞におけるオキシステロール誘導性Hh経路活性化。細胞は、Cyc 4μMで予備処理して、又は予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した(対照対SS及びSS対SS+Cyc Gli−luc、P<0.001)。(c)Smo−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をSmoothened(Smo)発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について評価した(対照対ShhN−CM及びSmo発現ベクターの存在下でのSS、p<0.001)。(d)様々な濃度のSS又は骨形態形成タンパク質7(BMP−7)50ng/mlで2日間処理したSmo−/−マウス胚線維芽細胞(MEF)のアルカリホスファターゼアッセイ(対照対BMP−7、p<0.001)。(e)Ptch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をPtch発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について分析した(対照対SS及びPtch発現ベクターの存在下でのShh−CM、p<0.001)。(f)オキシステロール存在下又は非存在下でのPtch−/−MEFにおけるCyc滴定アッセイ。処理48時間後の最大Hh経路活性化のパーセントによって示されたように、SS 5μM非存在下又は存在下でのPtch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼ発現を阻害するためには、同濃度のシクロパミンが必要である。代表的実験のデータを、3回の試料の平均±s.d.として記録した。(g)KAAD−シクロパミン 200nMは、BODIPY−シクロパミンがSmo発現HEK293S細胞に結合するのを遮断するが、20S若しくは22S 5μMは、単独でも、又は組み合わせても、BODIPY−シクロパミンの結合を抑えることはできない。Smo発現の非存在下での細胞性BODIPY−シクロパミンレベルによって明示された非特異的結合は、波線によって示す。
【図5e】マウス胚線維芽細胞におけるヘッジホッグ経路活性化を示した図である。(a)C3H10T1/2細胞を、シクロパミン(Cyc)で予備処理して、及び予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した。試料は、2日後のアルカリホスファターゼ活性について分析した(対照対SS及びSS対SS+Cyc、p<0.001)。(b)Gli−lucレポーターアッセイによって測定したC3H10T1/2細胞におけるオキシステロール誘導性Hh経路活性化。細胞は、Cyc 4μMで予備処理して、又は予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した(対照対SS及びSS対SS+Cyc Gli−luc、P<0.001)。(c)Smo−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をSmoothened(Smo)発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について評価した(対照対ShhN−CM及びSmo発現ベクターの存在下でのSS、p<0.001)。(d)様々な濃度のSS又は骨形態形成タンパク質7(BMP−7)50ng/mlで2日間処理したSmo−/−マウス胚線維芽細胞(MEF)のアルカリホスファターゼアッセイ(対照対BMP−7、p<0.001)。(e)Ptch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をPtch発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について分析した(対照対SS及びPtch発現ベクターの存在下でのShh−CM、p<0.001)。(f)オキシステロール存在下又は非存在下でのPtch−/−MEFにおけるCyc滴定アッセイ。処理48時間後の最大Hh経路活性化のパーセントによって示されたように、SS 5μM非存在下又は存在下でのPtch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼ発現を阻害するためには、同濃度のシクロパミンが必要である。代表的実験のデータを、3回の試料の平均±s.d.として記録した。(g)KAAD−シクロパミン 200nMは、BODIPY−シクロパミンがSmo発現HEK293S細胞に結合するのを遮断するが、20S若しくは22S 5μMは、単独でも、又は組み合わせても、BODIPY−シクロパミンの結合を抑えることはできない。Smo発現の非存在下での細胞性BODIPY−シクロパミンレベルによって明示された非特異的結合は、波線によって示す。
【図5f】マウス胚線維芽細胞におけるヘッジホッグ経路活性化を示した図である。(a)C3H10T1/2細胞を、シクロパミン(Cyc)で予備処理して、及び予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した。試料は、2日後のアルカリホスファターゼ活性について分析した(対照対SS及びSS対SS+Cyc、p<0.001)。(b)Gli−lucレポーターアッセイによって測定したC3H10T1/2細胞におけるオキシステロール誘導性Hh経路活性化。細胞は、Cyc 4μMで予備処理して、又は予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した(対照対SS及びSS対SS+Cyc Gli−luc、P<0.001)。(c)Smo−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をSmoothened(Smo)発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について評価した(対照対ShhN−CM及びSmo発現ベクターの存在下でのSS、p<0.001)。(d)様々な濃度のSS又は骨形態形成タンパク質7(BMP−7)50ng/mlで2日間処理したSmo−/−マウス胚線維芽細胞(MEF)のアルカリホスファターゼアッセイ(対照対BMP−7、p<0.001)。(e)Ptch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をPtch発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について分析した(対照対SS及びPtch発現ベクターの存在下でのShh−CM、p<0.001)。(f)オキシステロール存在下又は非存在下でのPtch−/−MEFにおけるCyc滴定アッセイ。処理48時間後の最大Hh経路活性化のパーセントによって示されたように、SS 5μM非存在下又は存在下でのPtch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼ発現を阻害するためには、同濃度のシクロパミンが必要である。代表的実験のデータを、3回の試料の平均±s.d.として記録した。(g)KAAD−シクロパミン 200nMは、BODIPY−シクロパミンがSmo発現HEK293S細胞に結合するのを遮断するが、20S若しくは22S 5μMは、単独でも、又は組み合わせても、BODIPY−シクロパミンの結合を抑えることはできない。Smo発現の非存在下での細胞性BODIPY−シクロパミンレベルによって明示された非特異的結合は、波線によって示す。
【図5g】マウス胚線維芽細胞におけるヘッジホッグ経路活性化を示した図である。(a)C3H10T1/2細胞を、シクロパミン(Cyc)で予備処理して、及び予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した。試料は、2日後のアルカリホスファターゼ活性について分析した(対照対SS及びSS対SS+Cyc、p<0.001)。(b)Gli−lucレポーターアッセイによって測定したC3H10T1/2細胞におけるオキシステロール誘導性Hh経路活性化。細胞は、Cyc 4μMで予備処理して、又は予備処理しないで、対照媒体又はSS 5μMで処理した(対照対SS及びSS対SS+Cyc Gli−luc、P<0.001)。(c)Smo−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をSmoothened(Smo)発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について評価した(対照対ShhN−CM及びSmo発現ベクターの存在下でのSS、p<0.001)。(d)様々な濃度のSS又は骨形態形成タンパク質7(BMP−7)50ng/mlで2日間処理したSmo−/−マウス胚線維芽細胞(MEF)のアルカリホスファターゼアッセイ(対照対BMP−7、p<0.001)。(e)Ptch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ。細胞をPtch発現ベクター存在下で、又は非存在下で形質移入して、対照媒体、SS 5μM又はShhN過剰発現細胞の調製培地(ShhN−CM)に対する応答性について分析した(対照対SS及びPtch発現ベクターの存在下でのShh−CM、p<0.001)。(f)オキシステロール存在下又は非存在下でのPtch−/−MEFにおけるCyc滴定アッセイ。処理48時間後の最大Hh経路活性化のパーセントによって示されたように、SS 5μM非存在下又は存在下でのPtch−/−MEFにおけるGli依存性ルシフェラーゼ発現を阻害するためには、同濃度のシクロパミンが必要である。代表的実験のデータを、3回の試料の平均±s.d.として記録した。(g)KAAD−シクロパミン 200nMは、BODIPY−シクロパミンがSmo発現HEK293S細胞に結合するのを遮断するが、20S若しくは22S 5μMは、単独でも、又は組み合わせても、BODIPY−シクロパミンの結合を抑えることはできない。Smo発現の非存在下での細胞性BODIPY−シクロパミンレベルによって明示された非特異的結合は、波線によって示す。
【図6a】ヘッジホッグ標的遺伝子のオキシステロール誘導性発現に対するタンパク質キナーゼC阻害の効果を示した図である。(a、b)M2細胞は、対照媒体又は指示した濃度(μM)のロトレリン(Rot)で2時間予備処理した。次に、オキシステロールと組み合わせたSS又は対照媒体(C)を添加し、24時間処理した後、RNAを単離して、Gli−1(a)及びPtch(b)発現についてQ−RT−PCRによって分析した。代表的実験のデータを、3回の測定値の平均±s.d.として記録した(p<0.01であるSS対SS+Rot1Gli1の発現以外、Gli−1及びPtch両方の発現についてC対SS及び全Rot濃度でのSS対SS+Rot、p<0.001)。Rotは試験した濃度全てにおいて単独では遺伝子発現に有意な影響を及ぼさなかった(データは示さず)。(c、d)M2細胞は、PMA 1μM又は対照媒体で一晩予備処理し、次いでSS又は対照媒体(C)を添加した。処理24時間後、Gli−1(c)及びPtch(d)mRNA発現をQ−RT−PCRによって分析した。代表的実験のデータを、3回の測定値の平均±s.d.として記録した(Gli−1及びPtch両方の発現について、C対SS及びSS対PMA+SS、p<0.001)。
【図6b】ヘッジホッグ標的遺伝子のオキシステロール誘導性発現に対するタンパク質キナーゼC阻害の効果を示した図である。(a、b)M2細胞は、対照媒体又は指示した濃度(μM)のロトレリン(Rot)で2時間予備処理した。次に、オキシステロールと組み合わせたSS又は対照媒体(C)を添加し、24時間処理した後、RNAを単離して、Gli−1(a)及びPtch(b)発現についてQ−RT−PCRによって分析した。代表的実験のデータを、3回の測定値の平均±s.d.として記録した(p<0.01であるSS対SS+Rot1Gli1の発現以外、Gli−1及びPtch両方の発現についてC対SS及び全Rot濃度でのSS対SS+Rot、p<0.001)。Rotは試験した濃度全てにおいて単独では遺伝子発現に有意な影響を及ぼさなかった(データは示さず)。(c、d)M2細胞は、PMA 1μM又は対照媒体で一晩予備処理し、次いでSS又は対照媒体(C)を添加した。処理24時間後、Gli−1(c)及びPtch(d)mRNA発現をQ−RT−PCRによって分析した。代表的実験のデータを、3回の測定値の平均±s.d.として記録した(Gli−1及びPtch両方の発現について、C対SS及びSS対PMA+SS、p<0.001)。
【図6c】ヘッジホッグ標的遺伝子のオキシステロール誘導性発現に対するタンパク質キナーゼC阻害の効果を示した図である。(a、b)M2細胞は、対照媒体又は指示した濃度(μM)のロトレリン(Rot)で2時間予備処理した。次に、オキシステロールと組み合わせたSS又は対照媒体(C)を添加し、24時間処理した後、RNAを単離して、Gli−1(a)及びPtch(b)発現についてQ−RT−PCRによって分析した。代表的実験のデータを、3回の測定値の平均±s.d.として記録した(p<0.01であるSS対SS+Rot1Gli1の発現以外、Gli−1及びPtch両方の発現についてC対SS及び全Rot濃度でのSS対SS+Rot、p<0.001)。Rotは試験した濃度全てにおいて単独では遺伝子発現に有意な影響を及ぼさなかった(データは示さず)。(c、d)M2細胞は、PMA 1μM又は対照媒体で一晩予備処理し、次いでSS又は対照媒体(C)を添加した。処理24時間後、Gli−1(c)及びPtch(d)mRNA発現をQ−RT−PCRによって分析した。代表的実験のデータを、3回の測定値の平均±s.d.として記録した(Gli−1及びPtch両方の発現について、C対SS及びSS対PMA+SS、p<0.001)。
【図6d】ヘッジホッグ標的遺伝子のオキシステロール誘導性発現に対するタンパク質キナーゼC阻害の効果を示した図である。(a、b)M2細胞は、対照媒体又は指示した濃度(μM)のロトレリン(Rot)で2時間予備処理した。次に、オキシステロールと組み合わせたSS又は対照媒体(C)を添加し、24時間処理した後、RNAを単離して、Gli−1(a)及びPtch(b)発現についてQ−RT−PCRによって分析した。代表的実験のデータを、3回の測定値の平均±s.d.として記録した(p<0.01であるSS対SS+Rot1Gli1の発現以外、Gli−1及びPtch両方の発現についてC対SS及び全Rot濃度でのSS対SS+Rot、p<0.001)。Rotは試験した濃度全てにおいて単独では遺伝子発現に有意な影響を及ぼさなかった(データは示さず)。(c、d)M2細胞は、PMA 1μM又は対照媒体で一晩予備処理し、次いでSS又は対照媒体(C)を添加した。処理24時間後、Gli−1(c)及びPtch(d)mRNA発現をQ−RT−PCRによって分析した。代表的実験のデータを、3回の測定値の平均±s.d.として記録した(Gli−1及びPtch両方の発現について、C対SS及びSS対PMA+SS、p<0.001)。
【図7】ラット大腿骨骨膜モデルにおいて、Oxy13で2週間処理(ポンプ投与)したラットの骨形成点数を図式的に示した図である。
【図8】ラット大腿骨骨膜モデルにおいて、Oxy13で4週間処理(ポンプ投与)したラットの骨形成点数を図式的に示した図である。
【図9a】本発明によるいくつかのオキシステロールの構造を表した図である。
【図9b】本発明によるいくつかのオキシステロールの構造を表した図である。
【図10a】M2−10B4(M2)骨髄間質細胞におけるGliレポーター活性に対するOXY1〜OXY11の効果を示した図である。
【図10b】M2−10B4(M2)骨髄間質細胞におけるGliレポーター活性に対するOXY1〜OXY11の効果を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iを有する化合物であって、
【化1】

式中、JはH又はOHであり、
LはH又はOHであり、
J及びLの少なくとも1つはHであり、
J及びLの少なくとも1つはOHであり、
R1は炭素1〜6個のアルカン、炭素2〜6個のアルケン及びメチルで置換されていてもよいフェニルからなる群から選択され、
但し、R1は3−メチルブチルではなく、
JがOHであるとき、R1は3−メチル−2−ブテニルではなく、
LがOHであるとき、R1はn−プロピルではない化合物。
【請求項2】
JがOHであり、LがHであり、
R1が、炭素5〜6個のアルカン、炭素5〜6個のアルケン、及びメチルで置換されていてもよいフェニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
JがOHであり、LがHであり、
R1が3−メチル−3−ブテニルである、Oxy13である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
JがOHであり、LがHであり、
R1が4−メチルペンチルである、Oxy12である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
JがOHであり、LがHであり、
R1が3−メチルフェニルである、Oxy11である請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
JがHであり、LがOHであり、
R1が炭素1〜6個のアルカンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
JがHであり、LがOHであり、
R1がメチルである、Oxy4である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
JがHであり、LがOHであり、
R1がエチルである、Oxy3である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
JがHであり、LがOHであり、
R1が4−メチルペンチルである、Oxy7である請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
JがHであり、LがOHであり、
R1がn−ブチルである、Oxy9である請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式Iの化合物
【化2】

(式中、JはH又はOHであり、
LはH又はOHであり、
J及びLの少なくとも1つはOHであり、
R1は炭素1〜6個のアルカン、炭素2〜6個のアルケン、及びメチルによって置換されていてもよいフェニルからなる群から選択され、
但し、J及びLの1つがHであるとき、R1は3−メチルブチルではない)
と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項12】
JがOHであり、LがHである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
R1が、炭素5〜6個のアルカン、炭素5〜6個のアルケン、及びメチルで置換されていてもよいフェニルからなる群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
式中R1が3−メチル−2−ブテニルではない、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
JがOHであり、LがHであり、
R1が3−メチルフェニルである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
JがOHであり、LがHであり、
R1が4−メチルペンチルである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項17】
JがOHであり、LがHであり、
R1が3−メチル−3−ブテニルである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項18】
JがOHであり、LがHであり、
R1が3−メチル−2−ブテニルである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項19】
JがHであり、LがOHである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項20】
R1が炭素1〜6個のアルカンである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
JがHであり、LがOHであり、
R1がメチルである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項22】
JがHであり、LがOHであり、
R1がエチルである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項23】
JがHであり、LがOHであり、
R1がn−ブチルである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項24】
JがHであり、LがOHであり、
R1が4−メチルペンチルである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項25】
JがOHであり、LがOHである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項26】
R1が炭素1〜6個のアルカンである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
JがOHであり、LがOHであり、
R1が3−メチルブチルである、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項28】
Oxy3、Oxy4、Oxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14及びOxy15の少なくとも2つを含む医薬組成物。
【請求項29】
20(S)−ヒドロキシコレステロール、22(S)−ヒドロキシコレステロール、又は22(R)−ヒドロキシコレステロールの少なくとも1つをさらに含む、請求項11又は請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
副甲状腺ホルモン、フッ化ナトリウム、インスリン様増殖因子I(ILGF−1)、インスリン様増殖因子II(ILGF−II)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−β)、チトクロームP450阻害剤、ホスホリパーゼ活性化剤、アラキドン酸、COX酵素活性化剤、骨形成プロスタノイド、ERK活性化剤、BMP2、4、7及び14からなる群から選択される少なくとも1つの追加の作用物質をさらに含む、請求項11、28又は29のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項31】
Oxy3、Oxy4、Oxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15のオキシステロール、及びオキシステロール結合タンパク質又は受容体を含む複合体。
【請求項32】
インビトロにある、請求項31に記載の複合体。
【請求項33】
対象内にある、請求項31に記載の複合体。
【請求項34】
容器内にあってもよい、請求項11に記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項35】
細胞又は組織におけるヘッジホッグ(Hh)経路媒介応答を調節する方法であって、細胞又は組織と有効量のOxy12、Oxy13又はOxy14を接触させるステップを含む方法。
【請求項36】
細胞又は組織がインビトロにある、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
細胞又は組織が対象内にある、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
経路媒介応答が、骨形態形成、骨増殖若しくは毛髪増殖の刺激、又は脂肪細胞形態形成若しくは脂肪細胞増殖の阻害である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
骨折若しくは骨粗鬆症の対象又は骨の炎症、肥満、癌、神経障害、脱毛症、心血管障害、若しくは骨関節炎に罹患した対象を治療する方法であって、Oxy3、Oxy4、Oxy7、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15を含む医薬組成物の有効量を対象に投与するステップを含む方法。
【請求項40】
哺乳動物間葉幹細胞の骨芽細胞分化を誘導する方法であって、Oxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15を含む医薬組成物の有効量と細胞を接触させるステップを含む方法。
【請求項41】
哺乳動物間葉細胞を、副甲状腺ホルモン、フッ化ナトリウム、インスリン様増殖因子I(ILGF−1)、インスリン様増殖因子II(ILGF−II)及びトランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−β)からなる群から選択される少なくとも1つの第2の薬剤で処理するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
哺乳動物間葉細胞を、チトクロームP450阻害剤、ホスホリパーゼ活性化剤、アラキドン酸、COX酵素活性化剤、骨形成プロスタノイド及びERK活性化剤からなる群から選択される少なくとも1つの第2の薬剤で処理するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
未処理細胞の生物学的マーカーのレベルよりも高いレベルの骨芽細胞分化の生物学的マーカーを発現させるために哺乳動物細胞を刺激する方法であって、哺乳動物細胞をOxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15を含む医薬組成物の有効量に曝露することを含む方法。
【請求項44】
生物学的マーカーが、アルカリホスファターゼ活性、カルシウム取り込み、石灰化及び/又はオステオカルシンmRNAの発現である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
哺乳動物細胞が、間葉幹細胞、骨芽前駆細胞及び頭蓋冠器官培養中の細胞からなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
骨芽細胞への骨髄間質細胞の分化を増大させるために対象を治療する方法であって、Oxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15を含む医薬組成物を治療有効量で、効果的な剤形で、選択された間隔で投与して、骨組織に存在する骨芽細胞の数を増加させるステップを含む方法。
【請求項47】
骨形成を誘導するために患者を治療する方法であって、Oxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15を含む医薬組成物を治療有効量で、効果的な剤形で、選択された間隔で投与して、骨重量を増加させるステップを含む方法。
【請求項48】
骨粗鬆症の臨床症状を示す患者を治療する方法であって、Oxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15を含む医薬組成物を治療有効量で、効果的な剤形で、選択された間隔で投与して、骨粗鬆症の徴候を軽減するステップを含む方法。
【請求項49】
骨形成を誘導するために対象を治療する方法であって、
哺乳動物間葉幹細胞を収集するステップと、
哺乳動物間葉幹細胞をOxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15の少なくとも1つで処理するステップであって、少なくとも1つのオキシステロールが間葉幹細胞を誘導して骨芽細胞分化の少なくとも1つの細胞マーカーを発現させるステップと、
分化した細胞を対象に投与するステップと
を含む方法。
【請求項50】
表面を有する基質を含む、ヒト体内で使用するための移植片であって、前記移植片の少なくとも表面が、周囲の骨組織において骨形成を誘導するのに十分な量の、Oxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15の少なくとも1つを含む医薬組成物を含む移植片。
【請求項51】
基質が、ピン、ねじ、プレート又は人工関節の形状に形成される、請求項50に記載の移植片。
【請求項52】
哺乳動物間葉幹細胞の脂肪細胞分化を阻害する方法であって、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15を含む医薬組成物の有効量と間葉幹細胞を接触させるステップを含む方法。
【請求項53】
細胞がインビトロにある、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
細胞が対象内にある、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
創傷治癒、血管新生、骨形態形成若しくは骨増殖の増加、体重減少、増毛、軟骨産生の促進を必要とする対象、又は神経障害に罹患した対象を治療する方法であって、Oxy7、Oxy9、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15の配合物を含む医薬組成物の有効量を対象に投与するステップを含む方法。
【請求項56】
増毛の必要な対象を治療する方法であって、Oxy3、Oxy4、Oxy7、Oxy8、Oxy9、Oxy10、Oxy11、Oxy12、Oxy13、Oxy14又はOxy15の配合物を含む医薬組成物の有効量を対象に投与するステップを含む方法。
【請求項57】
インビトロアッセイでヘッジホッグ経路媒介活性の調節因子を同定する方法であって、Gli1プロモーターの活性を刺激する能力について候補となるオキシステロールをスクリーニングするステップを含む方法。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図2d】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図3d】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate

【図5d】
image rotate

【図5e】
image rotate

【図5f】
image rotate

【図5g】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図6d】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate


【公表番号】特表2009−528291(P2009−528291A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556477(P2008−556477)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/005073
【国際公開番号】WO2007/098281
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(508255090)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (9)
【Fターム(参考)】