説明

オキシムスルホン酸化合物、及びそれを用いた感光性組成物

【課題】保存安定性に優れた酸発生剤としてのオキシムスルホン酸エステル、及び該酸発生剤を用い、保存安定性に極めて優れる感光性組成物の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表されることを特徴とするオキシムスルホン酸化合物及びそれを用いた感光性組成物である。


ただし、上記一般式(1)中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素芳香族基のいずれかを表し、Arは、置換基を有してもよい芳香族環又は複素芳香族環を表し、Xは、O、及びSのいずれかを表す。また、Aは、5及び6員環のいずれかの態様が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存安定性に優れる新規なオキシムスルホン酸化合物、及びこのオキシムスルホン酸化合物を酸発生剤として用いることで、保存安定性に極めて優れ、高感度な感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オキシムスルホン酸化合物は光を吸収し、酸を発生することが知られている(特許文献1〜4、及び非特許文献1参照)。
【0003】
また、近年では、半導体素子や液晶素子などの製造において、化学増幅型感光性組成物が使用されるようになってきた。
この化学増幅型感光性組成物(以下、化学増幅型レジスト(組成物)と称することがある。)は、高圧水銀灯、半導体レーザ等の照射光により生成した酸の触媒作用を利用したレジストであって、高い感度と解像性を有し、照射光による酸を発生する化合物すなわち酸発生剤の使用量が少なくてよいという利点がある。
この化学増幅型レジストには、ポジ型とネガ型の2つのタイプがあり、これらは一般に、酸発生剤と、発生する酸の作用によりアルカリ水溶液に対する溶解性が変化する被膜形成成分とを基本成分としている。
前記酸発生剤としてオキシムスルホン酸エステルを用いる化学増幅型レジスト組成物としては、特定のノボラック樹脂を用いる組成物が開示されている(特許文献5参照)。
また、特定のオキシムスルホン酸エステルと、アルカリ可溶性樹脂とを用いる組成物も開示されている(特許文献3、特許文献6、特許文献7、及び特許文献8参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1〜8、及び非特許文献1に開示された技術では、低分子量成分の除去が必要であったり、高価な酸発生剤の利用、及び分解しやすい化合物の利用等の問題がある。
近年、基板作製コスト抑制の観点から感光組成物の更なる高感度化(単位作製時間の短縮)、安価素材の利用、及び組成物の貯蔵安定性の確保(保管コストの低減)が重要な課題となってきている。
【0005】
したがって、保存安定性に優れた酸発生剤、及び該酸発生剤を用い、優れた感度を呈する感光性組成物も、未だ十分満足し得るものが提供されていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開平9−222725号公報
【特許文献2】特表2002−523398号公報
【特許文献3】特表2005−504013号公報
【特許文献4】特開平6−67433号公報
【特許文献5】特開2005−308977号公報
【特許文献6】特開平9−211846号公報
【特許文献7】特開平9−230588号公報
【特許文献8】特開平10−90901号公報
【非特許文献1】Eur.Polym.J.Vol.21,No.9,781−786,1985
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、保存安定性に優れた酸発生剤としてのオキシムスルホン酸エステル、及び該酸発生剤を用い、優れた感度を呈する感光性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(1)で表されることを特徴とするオキシムスルホン酸化合物である。
【化4】

ただし、上記一般式(1)中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素芳香族基のいずれかを表し、Arは、置換基を有してもよい芳香族環又は複素芳香族環を表し、Xは、O、及びSのいずれかを表す。また、Aは、5及び6員環のいずれかを表す。
<2> 下記一般式(2)、又は一般式(3)で表される前記<1>に記載のオキシムスルホン酸化合物である。
【化5】

【化6】

ただし、上記一般式(2)、及び一般式(3)中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素芳香族基のいずれかを表し、Rは、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基を表し、nは、0〜6の整数を表す。Xは、O、及びSのいずれかを表す。Aは、5及び6員環のいずれかを表す。
<3> 前記<1>から<2>のいずれかに記載のオキシムスルホン酸化合物と、酸の作用により分解する基を有し、分解後、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大する樹脂(A)とを少なくとも含むことを特徴とする感光性組成物である。
<4> 樹脂(A)が、フェノール性水酸基を有し、その少なくとも一部が酸の作用により分解する基である前記<3>に記載の感光性組成物である。
<5> 樹脂(A)が、ヒドロキシスチレンをモノマーとして有する樹脂、及びノボラック樹脂の少なくともいずれかである前記<4>に記載の感光性樹脂組成物である。
<6> 酸の作用により分解する基が、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、及びシリル基の少なくともいずれかである前記<4>から<5>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物である。
<7> 365nm、及び405nmの少なくともいずれかの波長に感度を有する前記<3>から<6>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<8> 前記<3>から<7>のいずれかに記載の感光性組成物を用いて、基材の表面に感光層を形成する感光層形成工程と、該感光層を露光する露光工程と、該露光工程により露光されたレジスト層を現像する現像工程とを有することを特徴とするパターン形成方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、保存安定性に優れた酸発生剤としてのオキシムスルホン酸エステル、及び該酸発生剤を用い、優れた感度を呈する感光性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(オキシムスルホン酸化合物)
本発明のオキシムスルホン酸化合物は、下記一般式(1)で表される。
【化7】

ただし、上記一般式(1)中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素芳香族基のいずれかを表し、Arは、置換基を有してもよい芳香族環又は複素芳香族環を表し、Xは、O、及びSのいずれかを表す。また、Aは、5及び6員環のいずれかを表す。
【0011】
また、本発明のオキシムスルホン酸化合物は、下記一般式(2)、又は一般式(3)で表されるものがより好ましい。
【化8】

【0012】
【化9】

ただし、上記一般式(2)、及び一般式(3)中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素芳香族基のいずれかを表し、Rは、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基を表し、nは、0〜6の整数を表す。Xは、O、及びSのいずれかを表す。Aは、5及び6員環のいずれかを表す。
【0013】
前記一般式(1)〜(3)中、Rで示されるアルキル基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜30のアルキル基を表す。
そのような置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0014】
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基、フェノキシエチル基、メチルチオエチル基、フェニルチオエチル基、エトキシカルボニルエチル基、フェノキシカルボニルエチル基、ジメチルアミノカルボニルエチル基が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基が好ましい。
【0015】
また、前記一般式(1)〜(3)中、Rで示されるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基を表す。
そのような置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0016】
前記アリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−フェニルチオフェニル基、p−エトキシカルボニルフェニル基、p−フェノキシカルボニルフェニル基、p−ジメチルアミノカルボニルフェニル基が挙げられ、これらの中でも、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
【0017】
前記一般式(2)〜(3)中、Rで示される複素芳香族基としては、ベンゼン環に縮環していてもよく、そのような複素芳香族基としては、チオフェン環、ピロール環、チアゾール環、イミダゾール環、フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、及びベンゾイミダゾール環が挙げられる。
【0018】
前記一般式(2)〜(3)中、Rで示されるアルキルオキシ基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜30のアルキル基を表す。
そのような置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0019】
前記アルキルオキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシエチルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、エトキシエチルオキシ基、メチルチオエチルオキシ基、フェニルチオエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、フェノキシカルボニルエチルオキシ基、ジメチルアミノカルボニルエチルオキシ基が挙げられ、これらの中でも、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシエチルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、及びエトキシエチルオキシ基が好ましい。
【0020】
前記一般式(2)〜(3)中、Rで示されるアミノスルホニル基としては、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、メチルフェニルアミノスルホニル基、アミノスルホニル基が挙げられる。
【0021】
前記一般式(2)〜(3)中、Rで示されるアルコキシスルホニル基としては、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロピルオキシスルホニル基、ブチルオキシスルホニル基が挙げられる。
【0022】
前記一般式(1)で表されるオキシムスルホン酸化合物の具体例としては、下記例示化合物1〜13で表される化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
なお、下記例示化合物1〜13で表される化合物において、「Ph」は、フェニル基を表し、「Me」はメチル基を示す。
【0023】
【化10】

【0024】
なお、本発明のオキシムスルホン酸化合物は、H−NMRスペクトル、UV−vis吸収スペクトルを測定して同定することができる。
【0025】
<オキシムスルホン酸化合物の製造方法>
本発明のオキシムスルホン酸化合物の製造方法としては、対応するオキシム化合物とスルホニルハライド、又はスルホン酸無水物を用いて、塩基(例えば、トリエチルアミン、ピリジン)存在下で、THF、DMF、アセトニトリル等の不活性溶媒中か、ピリジンのような塩基性溶媒中で反応させることにより容易に合成できる。前記反応温度としては、−10〜60℃が好ましい。
また、前記スルホニルハライドとして、アルキルスルホニルハライド、アリールスルホニルハライドを用いることにより、対応する種々のオキシムスルホネート化合物が合成可能である。
【0026】
前記オキシム化合物の合成方法としては、標準的な化学の教科書(例えばJ.March,Advanced Organic Chemistry,4th Edition,Wiley Interscience,1992)、又は専門的なモノグラフ、例えば、S.R.Sandler&W.Karo,Organic functional group preparations,Vol.3,Academic Pressに記載された、様々な方法によって合成することができる。
【0027】
前記オキシム化合物の特に好ましい合成方法としては、例えば、アルデヒド、又はケトンと、ヒドロキシルアミン、又はその塩とを、エタノール若しくはエタノール水のような極性溶媒中で反応させる方法が挙げられる。この場合、酢酸ナトリウム又はピリジンのような塩基を加えて、反応混合物のpHを制御する。反応速度がpH依存性であり、塩基は、開始時に、又は反応の間連続的に加え得ることは周知である。
また、ピリジンのような塩基性溶媒を、塩基、溶媒、及び助溶剤の少なくともいずれかとして用いることもできる。
更に、前記反応温度は、一般的に、混合物の還流温度、即ち、約60〜120℃が好ましい。
【0028】
前記オキシム化合物の他の異なる好ましい合成方法としては、亜硝酸又は亜硝酸アルキルによる「活性」メチレン基のニトロソ化による方法が挙げられる。例えば、Organic Syntheses coll.Vol.VI(J.Wiley&Sons,New York,1988),pp.199 and 840に記載されたような、アルカリ性条件と、例えば、Organic Synthesis coll.Vol.V,pp.32 and 373,coll.Vol.III,pp.191 and 513,coll.Vol.II,pp.202,204 and 363に記載されたような、酸性条件との双方が、本発明における出発材料として用いられるオキシム化合物の合成に好適である。
前記亜硝酸は、通常、亜硝酸ナトリウムから生成される。
前記亜硝酸アルキルとしては、例えば、亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸ブチル、及び亜硝酸イソアミルが挙げられる。
【0029】
<オキシムスルホン酸化合物の保存安定性>
本実施形態における酸発生剤としての、オキシムスルホン酸化合物の保存安定性としては、例えば、シュウ酸バッファー水溶液(和光純薬工業(株)製)/テトラヒドロフラン=1/1(体積比)溶液10mlに、得られた酸発生剤10mgを溶解させ、50℃,2日後の酸発生剤の残存率をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により定量する方法が挙げられる。
本実施形態における酸発生剤としての、オキシムスルホン酸化合物の残存率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
【0030】
(感光性組成物)
本発明の感光性組成物は、前記酸発生剤、及び酸の作用によって溶解度が変化する樹脂成分(A)を少なくとも含み、更に必要に応じて、増感剤、酸架橋剤、所望により混和性のある添加物、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤、及び適宜選択されたその他の成分を含む。
本発明の感光性組成物としては、波長365nm、又は405nmにおける感度が、10〜100mJ/cmであることが必要であり、10〜50mJ/cmが好ましい。
なお、前記酸発生剤は、上記一般式(1)で表されるオキシムスルホン酸化合物を単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせてもよい。
また、前記酸発生剤は、前記樹脂成分(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部の割合で含まれることが好ましく、1〜20質量部の割合で含まれることがより好ましい。前記樹脂成分(A)100質量部に対する、前記酸発生剤の含有量が0.1質量部未満では、像形成が不十分となり、30質量部を超えると、均一なレジスト被膜が形成されにくい上、現像性も低下し、良好なレジストパターンが得られにくい。
【0031】
<樹脂成分(A)>
前記樹脂成分(A)としては、酸の作用によって溶解度が変化する樹脂であれば、特に制限されることはなく、例えば、酸の作用によりアルカリ性水溶液に対する溶解度が増大する性質を有し、少なくとも一部が酸解離性溶解抑制基によって保護されたフェノール性水酸基を有する樹脂が挙げられる。以下、樹脂成分(A)を、フェノール性水酸基含有樹脂(A)と称することがある。
【0032】
前記樹脂成分(A)としては、例えば、ノボラック樹脂、及び少なくともモノマー成分として重合条件に耐え、且つ脱保護可能な水酸基を保護したヒドロキシスチレンを用いた単重合体、及び共重合体を用い、後述の酸解離性溶解抑制基で水酸基の一部または全部を保護することにより得られる。
これらの他に、ターシャリーブチルエステル基等の3級エステル基を有する(メタ)アクリレートをモノマー成分として有する共重合体も用いることができる。
前記樹脂成分(A)において、酸解離性溶解抑制基を導入する前の樹脂成分(重合体)とは、例えば、4−アセトキシスチレン、及び3−アセトキシスチレンの少なくともいずれかを単独、もしくは他のモノマー成分共存下でラジカル重合、もしくはアニオン重合により重合させた単重合体、もしくは共重合体のアセチル基を脱保護させることにより得られる、ヒドロキシスチレンをモノマー成分として有する樹脂か、フェノール性水酸基を持つ芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られるノボラック樹脂が好ましい。
この際使用される前記フェノール類としては、例えば、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等のクレゾール類、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール等のキシレノール類;m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−エチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,5−トリエチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール等のアルキルフェノール類;p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−エトキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−プロポキシフェノール等のアルコキシフェノール類;o−イソプロペニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2−メチル−4−イソプロペニルフェノール、2−エチル−4−イソプロペニルフェノール等のイソプロペニルフェノール類;フェニルフェノール等のアリールフェノール類;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール等のポリヒドロキシフェノール類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
また、前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、トリメチルアセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、フルフラール、フリルアクロレイン、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、ケイ皮酸アルデヒド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのアルデヒド類の中では、入手のしやすさからホルムアルデヒドが好ましいが、特に耐熱性を向上させるためにはヒドロキシベンズアルデヒド類とホルムアルデヒドを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0034】
[酸解離性溶解抑制基]
前記酸解離性溶解抑制基は、酸触媒反応により分解してアルカリ可溶性に変化する基である。
前記酸解離性溶解抑制基としては、発生する酸により解離するものであればよく、例えば、1−エトキシメチル基、1−エトキシエチル基、1−プロポキシメチル基、1−プロポキシエチル基、1−n−ブトキシメチル基、1−iso−ブトキシメチル基、1−tert−ブトキシメチル基、フェノキシエトキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェネチルオキシエチル基、シクロヘキシルエチルオキシエチル基等のアルコキシアルキル基;t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニルエチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;テトラヒドロフラニル基;テトラヒドロピラニル基;直鎖状又は分岐鎖状アセタール基;環状アセタール基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基等のトリアルキルシリル基が挙げられる。
これらの基は、特許第3813721、特許第3258314、特許第3616331に記載の方法により、前記樹脂成分(重合体)に導入することができる。
【0035】
本実施形態におけるアルカリ可溶性ノボラック樹脂の、酸解離性溶解抑制基で保護される前のポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)の範囲は、2,000〜50,000が好ましく、4,000〜30,000がより好ましい。該Mwが上記範囲より小さいと、塗布性が悪くなるおそれがあり、上記範囲を超えると、解像性が劣化する。
【0036】
ここで、ポジ型の感光性組成物においては、フェノール性水酸基含有樹脂(A)、及び酸発生剤としてのオキシムスルホン酸化合物を含むことにより、露光した部分で酸が発生し、これが樹脂成分の保護基を解離するため、その部分がアルカリ可溶性になり、現像の際に露光部分だけが選択的に除去されてポジ型のパターンが得られる。
前記ポジ型レジストの場合、化学的に増幅されたポジ型レジストを用いることができる。そのような系は、例えば、E.Reichmanis,F.M.Houlihan,O.Nalamasu,T.X.Neenan,Chem.Mater.1991,3,394に記載されている。
【0037】
一方、ネガ型の感光性組成物の場合は、フェノール性水酸基含有樹脂(A)、及び酸発生剤としてのオキシムスルホン酸化合物に、更に酸により架橋する架橋剤を含む。このような組成により、露光した部分で発生した酸によって、その部分が架橋してアルカリ不溶性になり、現像の際に未露光部分だけが選択的に除去されてネガ型のパターンが得られる。
この酸架橋性物質については、特に制限はなく、従来、化学増幅型のネガ型レジストにおいて架橋剤として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。
【0038】
<架橋剤>
前記架橋剤としては、酸により架橋するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシル基、又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
これらはメラミン、尿素、グアナミン、グリコールウリル、スクシニルアミド、エチレン尿素を沸騰水中でホルマリンと反応させてメチロール化、あるいはこれに更に低級アルコールを反応させてアルコキシル化することにより容易に得られる。
実用上はニカラックMx−750、ニカラックMw−30、ニカラックMx−290(いずれも三和ケミカル社製)として入手することができる。
【0039】
そのほか、1,3,5−トリス(メトキシメトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメトキシ)ベンゼンなどのアルコキシル基を有するベンゼン化合物、2,6−ジヒドロキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノールなどのヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するフェノール化合物なども用いることができる。
これらの架橋剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記架橋剤は、フェノール性水酸基含有樹脂(A)100質量部に対して3〜70質量部の割合で含まれることが好ましく、10〜50質量部の割合で含まれることがより好ましい。フェノール性水酸基含有樹脂(A)100質量部に対する、前記架橋剤の含有量が3質量部未満では、感度が不十分となり、70質量部を超えると、均一なレジスト被膜が形成されにくい上、現像性も低下し、良好なレジストパターンが得られにくくなる。
【0040】
<増感剤>
前記増感剤としては、350〜420nmに極大吸収を有し、中性であれば制限はないが、例えば、チオキサントン誘導体が好適に挙げられる。具体的には、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンが、特に好適に挙げられる。
ここで、中性の増感剤とは、当該増感剤を水、又は、水と混和性の溶剤の溶液に溶解した際に中性(pH=6.4〜7.4)を示すものを表し、基本的に分子中にアミノ基などの塩基性基やカルボン酸基、スルホン酸基などの酸性基を含有しないもの、及びそれらが存在しても、それぞれ分子内の酸性基や塩基性基との結合により、又は他の酸性分子や塩基性分子との結合により中和しているものから選ばれる。
【0041】
前記増感剤の含有量としては、前記感光性組成物固形分の総量100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下が特に好ましい。前記含有量が5質量部を超えると、現像時に現像不良を起こすことがある。
具体的な増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン、及びその誘導体、チオキサントン、及びその誘導体、アントラキノン、及びその誘導体、クマリンやフェノチアジン、及びその誘導体、3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ローダニン、カンファーキノン、エオシン、ローダミン、エリスロシン、キサンテン、チオキサンテン、アクリジン(例えば、9−フェニルアクリジン)、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、シアニン、及びメロシアニン染料、が挙げられる。
【0042】
前記チオキサントンとしては、例えば、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ−〔2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル〕チオキサントン、1,3−ジメチル−2−ヒドロキシ−9H−チオキサンテン−9−オン 2−エチルヘキシルエーテル、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、N−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−カルボン酸ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド、が挙げられる。
【0043】
前記ベンゾフェノンとしては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(メチルエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(p−イソプロピルフェノキシ)ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(トルエン−4−スルホニル)プロパン−1−オン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタナミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−〔2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチルベンゼンメタナミニウムクロリド、が挙げられる。
【0044】
前記クマリンとしては、例えば、クマリン1、クマリン2、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン102、クマリン106、クマリン138、クマリン152、クマリン153、クマリン307、クマリン314、クマリン314T、クマリン334、クマリン337、クマリン500、3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3’−カルボニル−ビス〔5,7−ジ(プロポキシ)クマリン〕、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、5,7−ジエトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、3−ベンゾイルベンゾ〔f〕クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ジメチルアミノ−3−フェニルクマリン、7−ジエチルアミノ−3−フェニルクマリン、特開平9−179,299号及び第9−325,209号公報に開示されたクマリン誘導体、例えば7−〔{4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−S−トリアジン−2−イル}アミノ〕−3−フェニルクマリン、が挙げられる。
【0045】
前記3−(アロイルメチレン)チアゾリンとしては、3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−ベンゾチアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン、が挙げられる。
【0046】
前記ローダニンとしては、4−ジメチルアミノベンザルローダニン、4−ジエチルアミノベンザルローダニン、3−エチル−5−(3−オクチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)ローダニン、特開平8−305019号公報に開示された、式〔1〕、〔2〕、〔7〕で表されるローダニン誘導体、が挙げられる。
【0047】
前記化合物の他にも、アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンジル、2−アセチルナフタレン、2−ナフトアルデヒド、ダンシル酸誘導体、9,10−アントラキノン、アントラセン、ピレン、アミノピレン、ペリレン、フェナトレン、フェントレンキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、クルクミン、キサントン、チオミヒラーケトン、α−(4−ジメチルアミノベンジリデン)ケトン、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデンシクロペンタノン、2−(4−ジメチルアミノベンジリデン)インダン−1−オン、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−インダン−5−イルプロペノン、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド、フェノチアジン、メチルフェノチアジン、アミン、N−フェニルグリシン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、4−ジメチルアミノアセトフェノン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾアート、ポリ(プロピレングリコール)−4−(ジメチルアミノ)ベンゾアート、特許第2632069号に記載のチオバルビツール化合物などを用いることができる。
【0048】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、溶剤、クエンチャー、界面活性剤、密着促進剤、などが挙げられる。
【0049】
[溶剤]
前記溶剤は、本発明の前記感光性組成物の粘度調整のために適宜使用することができる。前記溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタンなどのケトン類:エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート(PGMEA):ジオキサンのような環式エーテル類:及び乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0050】
[クエンチャー]
前記クエンチャーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチルアミン、トリエタノールアミンなどの第二級又は第三級アミンなどが挙げられる。
【0051】
[界面活性剤]
前記界面活性剤は、本発明の前記感光性組成物の塗布性、消泡性、及びレベリング性などを向上させる目的で添加される。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の各種活性剤が挙げられる。具体的には、例えば、BM−1000、BM−1100(BMケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(旭硝子(株)製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(東レシリコーン(株)製)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤、などを使用することができる。
前記界面活性剤の含有量としては、フェノール性水酸基含有樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以下が好ましい。
【0052】
[密着促進剤]
前記密着促進剤(以下、接着助剤と称することがある)は、本発明の前記感光性組成物の基板との接着性を向上させるために添加される。
前記密着促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、官能性シランカップリング剤が好適に挙げられる。ここで、官能性シランカップリング剤とは、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤を意味し、具体的には、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、などが挙げられる。
前記密着促進剤の含有量としては、フェノール性水酸基含有樹脂(A)100質量部に対して、20質量部以下が好ましい。
【0053】
本発明の感光性組成物のポジ型フォトレジストとしての使用方法に関し、説明する。
該使用方法としては、従来のフォトレジスト技術のレジストパターン形成方法を用いることができるが、好適に行うには、まず、シリコンウエーハのような支持体上に、該レジスト組成物の溶液をスピンナーなどで塗布し、乾燥して感光層を形成させ、これに縮小投影露光装置などにより、高圧水銀灯等の光源を所望のマスクパターンを介して照射するか、もしくは半導体レーザにより直接露光した後、加熱する。
次いで、これを現像液、例えば1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理する。この形成方法でマスクパターンに忠実な画像を得ることができる。
【0054】
<塗布工程>
前記感光性組成物溶液を塗布する際は、所望の膜厚(感光層の厚み)を得るために、溶液粘度、及び塗布速度等を適宜変更することが好ましい。前記膜厚の範囲は、0.1〜100μmが好ましい。
前記感光性組成物の用途としては、電子工学分野におけるフォトレジスト、印刷版(例えば、オフセット版やスクリーン印刷等)における版、及び集積回路の製造におけるマイクロレジスト等が挙げられる。
例えば、前記感光性組成物を、電子工学分野、特に薄層トランジスタの製造におけるフォトレジストとして適用する場合の厚みとしては、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、0.5〜3μmが更に好ましい。
【0055】
<露光工程>
前記露光工程は、前記感光性積層体における前記感光層に対し、パターン露光を行う工程である。前記感光性積層体における前記感光層としては、本発明の前記感光性組成物により形成されてなる感光層、及び前記感光性フィルムから転写されてなる感光層が挙げられる。
【0056】
前記露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、デジタル露光、アナログ露光等が挙げられるが、これらの中でもデジタル露光が好ましい。
【0057】
前記アナログ露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、所定のパターンを有するネガマスクを介して、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプなどで露光を行なう方法が挙げられる。
【0058】
前記デジタル露光の手段として、画像データに基づいて光を変調しながら相対走査して露光することで2次元画像の形成を行なうマスクレスのパターン露光方式(デジタル露光)を利用することができる。
その際の光源としては、アルゴンイオンレーザーや、半導体レーザーが用いられることが好ましい。
デジタル露光を用いる場合の露光波長は、190〜450nmに極大を持つレーザーを用いることが好ましく、340〜450nmに極大を持つ光を用いることがより好ましく、レーザーコストの観点から、365±5nm、及び405±5nmのいずれかに極大を持つレーザーを用いることが更に好ましい。
【0059】
<露光後加熱工程>
前記露光後加熱工程は、パターン露光後のレジスト膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーべ一ク、PEB)を施す工程である。
本工程を施すことにより、露光により発生した酸を効率よく反応(脱保護)に利用できる。
前記PEBの方法としては、ホットプレートと基板との間に隙間を持たせるプロキシミティベーク、隙間を持たせないダイレクトベークが挙げられ、基板の反りを生じさせることをなく、PEBによる拡散効果を得るために、プロキシミティベークを行った後、ダイレクトベークを行う方法が好ましい。
なお、加熱温度は90〜150℃が好ましく、100〜140℃が特に好ましい。
【0060】
<現像工程>
前記現像工程は、前記露光工程により露光した領域を除去することにより現像し、レジストパターンを形成する工程である。
前記現像工程としては、露光後の画像部を攪拌された現像液中に浸漬させるか、現像液を画像部に噴霧する方法が用いられる。その際、現像液を攪拌したり、画像部をブラッシングすることにより、現像を促進することができる。
前記現像液としては、レジスト技術において慣例の水性アルカリ現像液を用いることができる。
そのような水性アルカリ現像液の例としては、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウム、相当する炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩、メタ珪酸塩、アンモニア、アミン類:エチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む現像液が挙げられる。
現像液の濃度は、10質量%までの水溶液が用いられることが好ましいが、現像工程の時間、及び温度管理の容易性から、5質量%までの水溶液を用いることがより好ましい。
【実施例】
【0061】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
<酸発生剤の作製>
2−ナフトール(1Kg)、クロロベンゼン(3L)の懸濁溶液に塩化アルミニウム(1.02Kg)を添加する。次いで、クロロアセチルクロライド(0.86Kg)を添加する。混合液を40℃に加熱し、1時間反応させた。反応液を4NHCl水溶液(3L)に注ぎ、次いで酢酸エチル(3L)を添加し、抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、炭酸カリウム(1.92Kg)、水3Lを加え、40℃で30分撹拌した。有機層を分離、濃縮後、メタノール(3L)、酢酸(1Kg)、ヒドロキシルアミン・水和物(1kg)を加え、加熱還流した。反応の終了後、水(3L)を加え、析出した結晶を濾取することにより、ナフトフラノンオキシムを1.07Kgを得た。
得られたオキシム化合物(1kg)、トリエチルアミン(0.6kg)、アセトン(3L)の溶液にメタンスルホニルクロライド(0.6Kg)添加した。反応の終了を確認後、水(2L)を加え、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を、メタノール(2L)で洗浄することにより、下記に示す例示化合物1(オキシムスルホン酸化合物)を1.2Kg得た。
なお、下記に示す例示化合物1のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、δ3.3(s,3H),5.4(s,2H),7.2(d,1H),7.5(t,1H),7.7(t,1H),7.9(d,1H),8.0(d,1H),8.4(d,1H)であった。
【0063】
【化11】

【0064】
<安定性評価>
リン酸バッファー水溶液(和光純薬工業(株)製)/テトラヒドロフラン=1/1(体積比)溶液10mlに、得られた酸発生剤(例示化合物1)10mgを溶解させ、60℃,5日後の酸発生剤の残存率をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により定量した。結果を表1に示す。
【0065】
(実施例2)
実施例1におけるメタンスルホニルクロライドの代わりに、n−プロパンスルホニルクロライドを用いた以外は、実施例1と同様にして下記に示す例示化合物2を合成した。
なお、下記に示す例示化合物2のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、δ0.9(t,3H),2.0(m,2H),3.5(t,2H),5.4(s,2H),7.2(d,1H),7.5(t,1H),7.7(t,1H),7.9(d,1H),8.0(d,1H),8.4(d,1H)であった。
【0066】
【化12】

【0067】
<安定性評価>
実施例1の安定性評価における例示化合物1を、本実施例で得られた例示化合物2に代えた以外は、実施例1と同様にして、酸発生剤の残存率を定量した。結果を表1に示す。
【0068】
(実施例3)
実施例1におけるメタンスルホニルクロライドの代わりに、ベンゼンスルホニルクロライドを用いた以外は、実施例1と同様にして下記に示す例示化合物4を合成した。
なお、下記に示す例示化合物4のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、δ5.4(s,2H),7.2(d,1H),7.4−7.9(m,8H)、8.0(d,1H),8.4(d,1H)であった。
【0069】
【化13】

【0070】
<安定性評価>
実施例1の安定性評価における例示化合物1を、本実施例で得られた例示化合物4に代えた以外は、実施例1と同様にして、酸発生剤の残存率を定量した。結果を表1に示す。
【0071】
(実施例4)
実施例1における2−ナフトールの代わりに、2−メルカプトナフタレンを用いると共に、実施例1におけるメタンスルホニルクロライドの代わりに、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を用いた以外は、実施例1と同様にして下記に示す例示化合物7を合成した。
なお、下記に示す例示化合物7のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、δ4.7(s,2H),7.4(d,1H),7.5(t,1H),7.7(t,1H),7.9(d,1H)、7.95(d、1H),9.2(d、1H)であった。
【0072】
【化14】

【0073】
<安定性評価>
実施例1の安定性評価における例示化合物1を、本実施例で得られた例示化合物7に代えた以外は、実施例1と同様にして、酸発生剤の残存率を定量した。結果を表1に示す。
【0074】
(実施例5)
実施例1における2−ナフトールの代わりに、1−ナフトールを用いた以外は、実施例1と同様にして下記に示す例示化合物11を合成した。
なお、下記に示す例示化合物11のH−NMRスペクトル(300MHz、CDCl)は、δ3.3(s,3H),5.4(s,2H),7.4−7.6(m、3H),7.7(d、1H),7.8(d、1H),8.1(d、1H)であった。
【0075】
【化15】

【0076】
<安定性評価>
実施例1の安定性評価における例示化合物1を、本実施例で得られた例示化合物11に代えた以外は、実施例1と同様にして、酸発生剤の残存率を定量した。結果を表1に示す。
【0077】
(比較例1)
酸発生剤として、下記に示すCGI725(チバスペシャルティケミカルズ社製)の安定性評価を、実施例1と同様にして行い、酸発生剤の残存率を定量した。結果を表1に示す。
【0078】
【化16】

【0079】
(比較例2)
酸発生剤として、下記に示すIRGACURE PAG103 (CGI 1397:チバスペシャルティケミカルズ社製)の安定性評価を、実施例1と同様にして行い、酸発生剤の残存率を定量した。結果を表1に示す。
【0080】
【化17】

【0081】
(比較例3)
酸発生剤として、下記に示すEur.Polym.J.Vol.21,No9,1985,781−786に記載の下記に示すオキシムスルホン酸化合物(U−1)の安定性評価を、実施例1と同様にして行い、酸発生剤の残存率を定量した。結果を表1に示す。
【0082】
【化18】

【0083】
【表1】

【0084】
表1に示すように、前記一般式(1)で表されるオキシムスルホン酸化合物からなる実施例6〜12の酸発生剤では、経時後の残存率(保存安定性)が極めて優れていることが確認された。
【0085】
(実施例6)
1,160mm×980mmガラス基板の前面にマグネトロンDCスパッタリングにてアルミニウム(Al)膜を成膜した。該アルミニウム(Al)膜上に、下記の組成のポジ型感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて450rpmで30秒間塗布し、120℃のオーブン中で2分間乾燥することにより、厚さ1.4μmのポジ型感光性組成物層(フォトレジスト膜)を作製した。
【0086】
[ポジ型感光性樹脂組成物(溶液)の組成]
・樹脂1(ポリp−(1−エトキシエトキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、1−エトキシエトキシ基変性率:40モル%、質量平均分子量(Mw):約9,500、分散度(Mw/Mn):約1.9 ポリスチレン換算)・・・・・・・150質量部
・上記に示す例示化合物1(酸発生剤)・・・・・・・・・・・・・・・2.25質量部
・界面活性剤(ポリエチレングリコールジステアレート)・・・・・・・0.12質量部
・含窒素塩基性化合物(トリエタノールアミン)・・・・・・・・・・0.135質量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)・・・1,088質量部
【0087】
<感度評価>
次に、基材上のポジ型感光性組成物層に対し、L(ライン)/S(スペース)=1/1の5μmレジストパターン対応マスクをして、縮小投影露光装置NSR−2005i10D(ニコン社製)によりi線(365nm)を選択的に照射した後、100℃で120秒加熱した。
その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間現像処理を行い、30秒間水洗後乾燥した。
このようにして得られたレジストパターンを顕微鏡で観察し、L(ライン)/S(スペース)=5μm/5μmのレジストパターンを忠実に再現できる露光量[mJ/cm]を感度とした。その結果を表2に示す。
【0088】
(実施例7)
<樹脂2の調製>
クレゾールノボラック樹脂(明和化成製:質量平均分子量(Mw):約7,500、分散度(Mw/Mn):4.1 ポリスチレン換算)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分30質量%)50gにピリジニウムパラトルエンスルホン酸30mgを添加した。
次いで、ビニルエチルエーテル1.9gを室温で加え、同温度で4時間攪拌した。この溶液に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを所定量加え、固形分濃度12質量%の溶液を調製した。
【0089】
下記組成の感光性組成物を作製し、実施例6と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、露光は、h線(405nm)を選択的に照射した。
【0090】
[感光性組成物組成]
・樹脂2(クレゾールノボラック、エトキシエチル基変性率20モル%、質量平均分子量(Mw):約7,200、分散度(Mw/Mn): 3.03 ポリスチレン換算)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分 12質量%)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,238質量部
・上記に示す例示化合物1(酸発生剤)・・・・・・・・・・・・・・・2.25質量部
・1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン(増感剤1)・・・・・・0.50質量部
・界面活性剤(ポリエチレングリコールジステアレート)・・・・・・・0.12質量部
・含窒素塩基性化合物(トリエタノールアミン)・・・・・・・・・・0.135質量部
【0091】
(実施例8)
<樹脂3の調製>
クレゾールノボラック樹脂(明和化成製:質量平均分子量(Mw):約4,200、分散度(Mw/Mn):3.3 ポリスチレン換算)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分30質量%)50gにフェノキシエタノール1.7g、ピリジニウムパラトルエンスルホン酸30mgを添加した。次いでt−ブチルビニルエーテル1.3gを室温で加え、同温度で4時間攪拌した。この溶液に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、所定量加え固形分濃度12質量%の溶液を調製した。
【0092】
下記組成の感光性組成物を作製し、実施例6と同様の評価を行った。なお、露光は、h線(405nm)を選択的に照射した。
【0093】
[感光性組成物組成]
・樹脂3(クレゾールノボラック、フェノキシエトキシエチル基変性率10モル%、質量平均分子量(Mw):約7,100、分散度(Mw/Mn):3.3 ポリスチレン換算)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分 12質量%)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,238質量部
・上記に示す例示化合物1(酸発生剤)・・・・・・・・・・・・・・・2.25質量部
・下記に示す増感剤2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.25質量部
・界面活性剤(ポリエチレングリコールジステアレート)・・・・・・・0.12質量部
・含窒素塩基性化合物(トリエタノールアミン)・・・・・・・・・・0.135質量部
【0094】
【化19】

【0095】
(実施例9)
実施例6における酸発生剤として、例示化合物1の代わりに酸発生剤として例示化合物2を用い、実施例6における増感剤としてN−ブチル−2−クロロアクリドンを用いた以外は、実施例6と同様にして感光性組成物を作製し、実施例6と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0096】
(実施例10)
実施例6における酸発生剤として、例示化合物1の代わりに例示化合物4を用いた以外は、実施例6と同様にして感光性組成物を作製し、実施例6と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0097】
(実施例11)
実施例6における酸発生剤として、例示化合物1の代わりに例示化合物7を用いた以外は、実施例6と同様にして感光性組成物を作製し、実施例6と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0098】
(実施例12)
実施例6における酸発生剤として、例示化合物1の代わりに例示化合物11を用いた以外は、実施例6と同様にして感光性組成物を作製し、実施例6と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0099】
(比較例4)
実施例6における酸発生剤として、比較例1のCGI725(チバスペシャルティケミカルズ社製)を用いた以外は、実施例6と同様にして感光性組成物を作製し、実施例6と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0100】
(比較例5)
実施例6における酸発生剤として、比較例2のIRGACURE PAG103 (CGI 1397:チバスペシャルティケミカルズ社製)を用いた以外は、実施例6と同様にして感光性組成物を作製し、実施例6と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0101】
(比較例6)
実施例6における酸発生剤として、比較例3のEur.Polym.J.Vol.21,No9,1985,781−786に記載の上記に示すオキシムスルホン酸化合物(U−1)を用いた以外は実施例6と同様にして感光性組成物を作製し、実施例6と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0102】
【表2】

【0103】
表2に示すように、前記一般式(1)で表されるオキシムスルホン酸化合物を含有する実施例6〜12の感光性組成物では、露光感度が極めて優れることが確認された。
これに対して、前記一般式(1)で表されるオキシムスルホン酸化合物を含まない比較例4〜6の感光性組成物では、露光感度に高い向上が図れないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明のオキシムスルホン酸化合物は、保存安定性に優れ、高感度であることにより、印刷インク、透明仕上げ材料、粉末コーティング材料、建築物のマーキングや道路マーキング、写真複製手法、ホログラフ記録の材料、画像記録手法、有機溶媒又は水性アルカリで現像できる印刷原版の製造、スクリーン印刷マスクの製造のための光硬化性コーティング材料、歯科充填用組成物、接着剤、感圧接着剤、積層用樹脂、液体及びフィルム状のエッチングレジスト、はんだレジスト、電気めっきレジスト、永久レジスト、プリント回路板や電子回路用の光構成性誘電体などに添加して用いることができる。
また、様々な表示用途用材料、プラズマ表示パネルや電気発光表示装置の製造工程での構造の形成材料、カラーフィルタ、光学スイッチ、光学格子(干渉格子)、光回路製造用材料、大量硬化(透明成形用型でのUV硬化)又はステレオリトグラフィ手法による三次元的物品の製造用材料、スチレン系ポリエステルなどの複合材料、その他の厚層組成物の製造用材料、電子部品及び集積回路のコーティング又は密封用のレジスト、光ファイバー形成用材料、光学レンズ製造用コーティング材料、などに用いることができる。
更に、医用機器、補助具、インプラントの製造、サーモトロピック特性を有するゲルの製造に用いることができる。
【0105】
また、本発明の感光性組成物は、保存安定性に極めて優れ、高感度を呈するので、印刷インク、透明仕上げ材料、粉末コーティング材料、建築物のマーキングや道路マーキング、写真複製手法、ホログラフ記録の材料、画像記録手法、有機溶媒又は水性アルカリで現像できる印刷原版の製造、スクリーン印刷マスクの製造のための日光硬化性コーティング材料、歯科充填用組成物、接着剤、感圧接着剤、積層用樹脂、液体及びフィルム状のエッチングレジスト、はんだレジスト、電気めっきレジスト、永久レジスト、プリント回路板や電子回路用の光構成性誘電体などに用いることができる。
また、様々な表示用途用材料、プラズマ表示パネルや電気発光表示装置の製造工程での構造の形成材料、カラーフィルタ、光学スイッチ、光学格子(干渉格子)、光回路製造用材料、大量硬化(透明成形用型でのUV硬化)又はステレオリトグラフィ手法による三次元的物品の製造用材料、スチレン系ポリエステルなどの複合材料、その他の厚層組成物の製造用材料、電子部品及び集積回路のコーティング又は密封用のレジスト、光ファイバー形成用材料、光学レンズ製造用コーティング材料、などに用いることができる。
更に、医用機器、補助具、インプラントの製造、サーモトロピック特性を有するゲルの製造に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されることを特徴とするオキシムスルホン酸化合物。
【化1】

ただし、上記一般式(1)中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素芳香族基のいずれかを表し、Arは、置換基を有してもよい芳香族環又は複素芳香族環を表し、Xは、O、及びSのいずれかを表す。また、Aは、5及び6員環のいずれかを表す。
【請求項2】
下記一般式(2)、又は一般式(3)で表される請求項1に記載のオキシムスルホン酸化合物。
【化2】

【化3】

ただし、上記一般式(2)、及び一般式(3)中、Rは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、複素芳香族基のいずれかを表し、Rは、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基を表し、nは、0〜6の整数を表す。Xは、O、及びSのいずれかを表す。Aは、5及び6員環のいずれかを表す。
【請求項3】
請求項1から2のいずれかに記載のオキシムスルホン酸化合物と、酸の作用により分解する基を有し、分解後、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大する樹脂(A)とを少なくとも含むことを特徴とする感光性組成物。
【請求項4】
樹脂(A)が、フェノール性水酸基を有し、その少なくとも一部が酸の作用により分解する基である請求項3に記載の感光性組成物。
【請求項5】
樹脂(A)が、ヒドロキシスチレンをモノマーとして有する樹脂、及びノボラック樹脂の少なくともいずれかである請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
酸の作用により分解する基が、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、及びシリル基の少なくともいずれかである請求項4から5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
365nm、及び405nmの少なくともいずれかの波長に感度を有する請求項3から6のいずれかに記載の感光性組成物。

【公開番号】特開2008−247780(P2008−247780A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89738(P2007−89738)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】