説明

オプションユニット

【課題】 主装置と物理的に結合し、主装置から供給される電源を用いて、上記主装置の機能を拡張するオプションユニット。主装置側でのコストアップを生じさせずに、オプション側で静電気対策を十分に実行することができるオプションユニットを提供することを目的とするものである。

【解決手段】 オプションユニットが主装置と物理的に結合し、この主装置から供給される電源を用いて、上記主装置の機能を拡張するオプションユニットにおいて、主装置とオプションユニットとの間における接続制御権をオプション側に委ねるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の機能拡張を合体方式で行ない、電源を必要とするオプションユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主装置(たとえば、プリンタ)と電気的な接続を必要とする合体式のオプションユニットは、電気的に結合させるための電気的インタフェースコネクタが構造上露出している(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このために、人の手Hがコネクタに容易に触れることができる状態にあり、コネクタのコンタクト部に使用されている材料も金属をメッキした導通性の高いものが用いられている。
【0004】
図6は、従来のオプションユニット20pにおいて、その印加経路を示すブロック図である。
【0005】
従来のオプションユニット20pにおいて、人の手Hに帯電した静電気が、主装置側とのI/Fを介して、従来のオプションユニット20pの内部に設けられているIC22にストレートに印加する。
【0006】
また、完全ではないが、輸送時や保管時の静電対策としてオプション側のI/Fコネクタ24に、静電気防止用のキャップを設けることが一般的である。
【0007】
図7は、従来例において、コネクタ24にキャップを実際に設ける様子を示す外観図である。
【0008】
つまり、従来例のオプションユニット20pにおいて、主装置用I/Fコネクタ702に、静電気防止用のキャップ703が設けられる。このように、静電気防止用のキャップ703を設けることによって、静電気対策を実施している。
【特許文献1】特開2000―351252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来技術では、人の手Hがコネクタ24のコンタクト25に容易に触れる可能性があるので、人に帯電した静電気によって、誤動作や破壊が生じるという問題がある。
【0010】
また、現代社会では、静電気は、冬場だけでなく夏でも、非常に多く存在する。つまり、オフィスや家庭等において、エアコンディショナで空気が乾燥し、湿度が低い住環境によって静電気が発生し易い。また、ハイテクによる化学繊維が利用され、衣服が静電気を帯び易いので、どこでも静電気が非常に多く存在する。
【0011】
そして、この静電気は、電気製品にとっては、誤動作・破壊等の予期せぬ障害を及ぼす大敵であるので、メーカ側ではコストをかけてでも、静電気対策を十分に施すようにしている。
【0012】
しかし、主装置の出荷数量程にはオプションユニットの出荷数量が少ないので、そのオプションユニットには、本体側のコストアップになる静電気対策を施し難いので、静電気対策が必ずしも十分に施されているとはいえないという問題がある。
【0013】
つまり、上記従来例では、主装置側でのコストアップを生じさせずに、オプション側で静電気対策を十分に実行することができないという問題がある。
【0014】
本発明は、主装置から供給される電源を用いて、上記主装置の機能を拡張するオプションユニットにおいて、主装置側でのコストアップを抑制し、オプション側で静電気対策を十分に実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、オプションユニットが主装置と物理的に結合し、この主装置から供給される電源を用いて、上記主装置の機能を拡張するオプションユニットにおいて、主装置とオプションユニットとの間における接続制御権をオプション側に委ねるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、主装置側でのコストアップを抑制し、オプション側で静電気対策を十分に実行することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明を実施するための最良の形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1であるオプションユニット20と、主装置10とが分離されている状態を示す図である。
【0019】
主装置10は、たとえば、シリアルタイプのプリンタであり、オプションユニット20は、たとえば、給紙ユニットである。
【0020】
主装置10は、主装置側ボード11と、ASIC12と、制御ライン13と、主装置側制御端子14と、主装置側I/Fコネクタ15と、電源出力端子16とを有する。
【0021】
主装置10は、オプションユニット20と合体する本体である。主装置側ボード11は、主装置10内に設けられ、電気回路を実装している基板である。ASIC12は、主装置側ボード11に実装されているLSIである。
【0022】
制御ライン13は、ASIC12からオプションユニット20へ向かう制御ラインである。主装置側制御端子14は、オプション側制御端子25と嵌合する。主装置側I/Fコネクタ15は、オプションユニット20に設けられているコネクタ24と嵌合するコネクタである。主装置側電源出力端子16は、オプションユニット20へ電源を供給する。
【0023】
オプションユニット20は、オプション側ボード21と、IC22と、制御ライン23と、コネクタ24と、制御端子25と、接続/切断器26と、電源入力端子27とを有する。
【0024】
オプション側ボード21は、オプションユニット20内に設けられ、電気回路が実装されている。
【0025】
IC22は、オプション側ボード21に設けられているICである。
【0026】
制御ライン23は、IC22と主装置10との間でデータをやりとりするラインである。I/Fコネクタ24は、制御端子25と電源入力端子27とを有する。
【0027】
制御端子25は、主装置10からの制御ライン13と、オプションユニット20の制御ライン23とを接続する。
【0028】
接続/切断器26は、制御ライン23と制御端子25との間に設けられ、主装置10からの電源供給を得たときにのみ、制御端子14、25を介して、制御ライン23と主装置10とを接続する。
【0029】
オプション側電源入力端子27は、接続/切断器26を動作させるための電源の供給を受ける。
【0030】
主装置10は、オプションユニット20と合体することによって、機能拡張し、不必要なときは、オプションユニット20を分離し、オプションユニット20は、電源を持たずに、主装置10から電源供給を受ける。
【0031】
主装置10とオプションユニット20とが互いに分離している状態では、オプションユニット20は、主装置10から電源供給を受けていない。したがって、主装置10からの制御信号を受け取る制御端子25と、IC22の制御ライン23とは、接続/切断器26によって、物理的に切断状態である。
【0032】
しかし、主装置10は、オプションユニット20の装脱着にかかわらず、オプションユニット20に供給するための電源を、電源端子16まで常時供給している。
【0033】
図2は、実施例1において、オプションユニット20が主装置10に装着されている状態を示す図である。
【0034】
電源30は、主装置10から供給された電源であり、接続/切断器26は、電源30によって、切断状態から接続状態に移行する。
【0035】
主装置10の制御信号ライン13と、オプションユニット20の制御信号ライン23とを接続する場合、主装置側制御端子14と、オプションユニット20側制御端子25とを、物理的に接続する。しかし、この接続だけでは、主装置10の制御信号ライン13とオプションユニット20の制御信号ライン23とは、電気的には完全に接続されない。
【0036】
次に、接続/切断器26が機能する。
【0037】
接続/切断器26の電源は、主装置10とオプションユニット20とが結合し、主装置側から供給されることによって、接続/切断器26は、接続状態になる。この状態になって初めて、主装置10の制御信号ライン13とオプションユニット20の制御信号ライン23との物理的な接続が、電気的に接続される。
【0038】
図3は、実施例1において、オプションユニット20を保管するときや、主装置10に装着する前等、オプションユニット20が単独で存在している状態を示す図である。
【0039】
人の手Hに静電気32が帯び、静電気32は、人の手Hに帯びていた静電気32が、制御端子25から、オプションユニット20内へ進入した静電気である。
【0040】
従来では、静電気32が、オプション内の制御ライン23を、そのまま経由し、IC22へ直接印加される。また、静電気32は、冬場や夏でも、エアコンディショナで乾燥したオフィスや家庭では、湿度が低く、人の衣服も静電気を帯びるものが少なくない環境では、非常に多く存在し、電気製品にとって、誤動作・破壊等の予期しない危険性がある大敵である。
【0041】
しかし、実施例1のような構成により、オプションユニット20の内部の制御ライン23へ、静電気32が進入することを防止することができる。つまり、人の手Hに帯びた静電気32は、制御端子25等の金属製コンタクトに放電するが、接続/切断器26により静電気の進入路を断ち切ることができる。したがって、オプションユニット20の内部の制御ライン23への静電気の進入を阻止することができ、オプション側ボード21のIC22を静電気32から守ることができる。
【実施例2】
【0042】
実施例1は、静電気が印加された後における対策であるが、実施例2は、静電気が印加されることを阻止する実施例であり、静電気自体が印加される部分を露出させない実施例である。
【0043】
図4は、本発明の実施例2であるオプションユニット50が、主装置40から分離されている状態を示す図である。
【0044】
主装置40は、主装置側ボード41と、主装置側I/Fコネクタ42と、主装置側制御ライン43、主装置側電源出力端子44と、電源供給ライン45とを有する。
【0045】
電源供給ライン45は、主装置側電源出力端子44へ電源を供給させる電源供給ラインである。主装置側制御ライン43は、主装置側I/Fコネクタ42と主装置側ボード41とを接続し、主装置40から供給される電源は、常時、電源入力端子57を介して入力される。オプションユニット50と結合する過程で、最初に結合し、オプションユニット50へ電源供給する。
【0046】
オプションユニット50は、オプション側ボード51と、コネクタカバー52と、浮上式コネクタ53と、ソレノイド54と、ピン55と、駆動ライン56と、オプションユニット側電源入力端子57と、電源ライン58とを有する。
【0047】
コネクタカバー52は、下からコネクタが浮上すると、自動的に開く構造を有するカバーである。浮上式コネクタ53は、オプションユニット50内に設けられている。ソレノイド54は、電気式浮上装置の例であり、主装置40からの電源の供給によって、コネクタ53を浮上させる。
【0048】
ピン55は、コネクタ43を浮上させるためのピンであり、ソレノイド54内に設けられている。駆動ライン56は、ソレノイド54を駆動させるための電源を供給する電源ラインである。電源ライン58は、オプションユニット側電源入力端子57からオプション側ボード51へ電源を供給する電源ラインである。
【0049】
図5は、実施例2において、主装置40とオプションユニット50とが実際に嵌合している状態を示す図である。
【0050】
オプションユニット50は、この電源を受け、コネクタカバー52の下に収納されている浮上式コネクタ53を浮上させるためのソレノイド54(電気式浮上装置)を動かしている。そして、コネクタカバー52を機械的にオープンさせながら、所定の位置まで浮上させることによって、図5に示すように、主装置側のコネクタ42とコネクタ53とが嵌合する。
【0051】
ソレノイド54は、オプション側ボード51からの駆動信号によって、浮上動作を実行する電気式浮上装置の例である。浮上式コネクタ53は、ソレノイド54(電気式浮上装置)によって浮上するコネクタである。
【0052】
ピン55は、浮上式コネクタ53を押し上げるピンである。コネクタ53は主装置40とオプションユニット50とが分離されている状態では収納されている。主装置40とオプションユニット50との合体による電源供給によって、浮上式コネクタ53が動作し、主装置側のコネクタ42と結合する。
【0053】
上記のように、オプションユニット50が単体で存在する場合、浮上式コネクタ53は、コネクタカバー52によって、人の手Hに触れることができない場所に格納されているので、静電気が飛ぶ可能性がない。オプションユニット50が、主装置40と合体する場合でも、電源入力端子57が接触するポジションになるまでは、コネクタカバー52が閉じているので、人の手Hが触れることがなく、静電気がオプションユニット50へ進入することを阻止できる。
【0054】
つまり、上記実施例によれば、主装置側に設けるべきオプションユニット接続制御回路を、オプション側に移すことができる。つまり、オプションユニットに関するコストアップ分を生産台数の多い主装置側から生産台数の少ないオプションユニットに委譲することができる。このために、オプション対応する場合における主装置のコストアップが軽減され、低コストで拡張度の高いシステムを構築することができる主装置を実現することができる。
【0055】
また、上記実施例によれば、人体に帯電した静電気が、主装置との電気的I/Fに触れて起こる静電気破壊のトラブル対策を、電気回路が搭載されているが電源を持たないオプションユニットから、回避することができる。
【0056】
さらに、上記実施例2によれば、主装置との電気的I/Fを司るコネクタが、脱着時には収納され、装着時にはせり上がるオプションユニットにおいて、本体側にシャッタ等の防塵処理を施すことが容易である。
【0057】
そして、上記実施例によれば、主装置からの電源によって、オプション内部の接続/切断器26を操作するので、これらをコントロールする制御線を別途設ける必要がない。
【0058】
また、主装置とオプションユニットとの結合時に、電気I/Fを接続する際、主装置から通電してから所定時間が経過した後に、回線を接続する。このために、電気的コンタクトの物理的位置関係で接続される順番が微妙に異なることで生じる不具合を防ぐことができる。
【0059】
つまり、上記実施例は、主装置とオプションユニットとの間における接続制御権を、オプション側に委ねるので、主装置側でのオプションユニットに関する専用センサ、電源制御、信号接続・切断回路等のコストアップ要因を排除することができる。オプションユニット自身が主装置との結合をトリガーにして、主装置との電気的接続を行わせる手段と、オプション単体で存在するときに露出したコネクタと内部回路とを、物理的に切断する手段とを設けている。このために、たとえ静電気が印加されても、オプション内部の電気回路を保護することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、プリンタのオプション給紙カセット、ノートパソコンのドッキングステーション等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例1であるオプションユニット20と、主装置10とが分離されている状態を示す図である。
【図2】実施例1において、オプションユニット20が主装置10に装着されている状態を示す図である。
【図3】実施例1において、オプションユニット20を保管するときや、主装置10に装着する前等、オプションユニット20が単独で存在している状態を示す図である。
【図4】本発明の実施例2であるオプションユニット50が、主装置40から分離されている状態を示す図である。
【図5】実施例2において、主装置40とオプションユニット50とが実際に嵌合している状態を示す図である。
【図6】従来のオプションユニット20pにおいて、その印加経路を示すブロック図である。
【図7】従来例において、コネクタ24にキャップを実際に設ける様子を示す外観図である。
【符号の説明】
【0062】
10…主装置、
11…主装置側ボード、
12…ASIC、
13…制御ライン、
14…制御端子、
15…コネクタ、
16…電源出力端子、
20…オプションユニット、
21…オプションユニット側ボード、
22…IC、
23…制御ライン、
24…コネクタ、
25…制御端子、
26…接続/切断器、
27…電源入力端子、
40…主装置、
41…主装置側ボード、
42…主電源側I/Fコネクタ、
43…主装置側制御ライン、
44…主装置側電源出力端子、
50…オプションユニット、
51…オプションユニット側ボード、
52…コネクタカバー、
53…浮上式コネクタ、
54…ソレノイド、
55…ピン、
56…駆動ライン、
57…電源入力端子、
58…電源ライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主装置と物理的に結合し、上記主装置から供給される電源を用いて、上記主装置の機能を拡張するオプションユニットにおいて、
上記主装置から供給される電源の通電・非通電を検出する検出手段と;
上記主装置から供給される電源の通電・非通電に応じて、上記主装置との電気的な接続または切断を実行する接続または切断実行手段と;
を有することを特徴とするオプションユニット。
【請求項2】
主装置と物理的に結合し、上記主装置から供給される電源を用いて、上記主装置の機能を拡張するオプションユニットにおいて、
上記主装置からの電源供給を検出する電源供給検出手段と;
上記主装置から電源が供給されるときに、上記オプションユニットと上記主装置とを電気的に接続し、電源不通状態では、上記オプションユニットと上記主装置とを切断する制御手段と;
を有することを特徴とするオプションユニット。
【請求項3】
主装置と物理的に結合し、上記主装置から供給される電源を用いて、上記主装置の機能を拡張するオプションユニットにおいて、
上記主装置からの電源供給を検出する電源供給検出手段と;
上記主装置から電源が供給されると、所定時間が経過した後に、上記オプションユニットと上記主装置とを電気的に接続し、電源不通状態に移行すると、上記所定時間が経過する前に、上記オプションユニットと上記主装置とを切断する制御手段と;
を有することを特徴とするオプションユニット。
【請求項4】
主装置と物理的に結合し、上記主装置から供給される電源を用いて、上記主装置の機能を拡張するオプションユニットにおいて、
上記主装置と上記オプションユニットとの結合を検出する結合検出手段と;
上記主装置と上記オプションユニットとが非結合状態では、上記主装置との電気的接続コネクタを収納し、上記主装置と上記オプションユニットとが結合している状態では、上記主装置から供給される電源によって、上記電気的接続コネクタを浮上させ、上記主装置と上記オプションユニットとを接続する制御手段と;
を有することを特徴とするオプションユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−76095(P2007−76095A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265111(P2005−265111)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】