説明

オリフィス式タイムシェアリング流量計

【課題】ポンプの吐出流量と時間の積から積算流量を計測するシステムの高精度化を図る。
【解決手段】高圧ポンプPの吐出配管に、渦流と縮流圧力損失の発生しない形状の管オリフィス6を設ける。前記管オリフィス6が流体の脈動を抑えて圧力を一定とし、安定した瞬時流量を作り、電子回路で流量時間を1/100秒以下のタイムシェアリングのタイマーで計測し、時間×瞬時流量の積から積算流量を計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用・食品・化学製品等の充填システムに使用される充填機及び計測システムに関し、詳しくは、流量計測に優れ、計測の為の擦動部が無く、メンテナンス性に優れ、回転容積式流量計等から発生する微粒子が全く発生しないようにしたものである。さらに、洗浄とその後の殺菌性に優れ、医薬品や食品の製造で必要な121から150℃のスチーム滅菌処理が可能で、耐熱性にも優れた計測と充填に関するものである。医療用のダイアフラムバルブのダイアフラム運動から発する僅かなプラスチックの微粒子の発生を防止できる機能がある。
【背景技術】
【0002】
各種の医療薬液を充填するときには、液を大型攪拌タンクで調整後に充填用の加圧タンクに入れて充填圧力を一定にさせて、医薬液を無菌高圧空気または定量ポンプで充填側に送り込む。そして、充填ヘッダーと言われる分岐部で充填軽量部に送液して多連の容積式又は質量流量計で計測し、予め計測したパルスカウンター設定値流量に一致した時に電磁弁に信号を送り、自動弁の塞止でもって充填完了とし、繰り返し作業をしている。
(図1)は、従来型の医薬品質量流量式充填機で、そのフローシートを示す。本図での1は、充填液の加圧タンク、2は質量流量計、3はディスクフイルター、4は遮断用オートバルブ、5は絞り用オートバルブ、6はCIP/SIP洗浄のカプラーを示す。
【0003】
食品では、溶液の調整後にバランスタンクと言われる充填圧力を一定にして、遠心ポンプ(セントリフューガルポンプ)または高粘度ポンプで充填機側に送り込み、容量式充填機または質量流量計で計測し、予め計測したパルスカウンター設定値流量に一致した時に電磁弁に信号を送り、自動弁の塞止を図っている。或いは、旧来のピストン容量式充填を行う事もある。(図2)は、従来の食品容積充填機例のフローシートを示す。本図の1は、液バランスタンク、2はセントリフューガルポンプ又はロータリーポンプ、3は容量式流量計又は電磁流量計、4は遮断用オートバルブ、5は絞り用オートバルブを示す。
【0004】
(図1)の2の充填機の質量式計器は(図3)に示す。計量原理は、コリオリ力F=2mωVを用いた質量流量計である。両端を固定したフローチューブを電磁オシレータによって、固有振動数で共振させて、質量流量に比例して発生するチューブのねじれを、左右の電磁ピックオフで検出し、その出力をトランスミッタにより取り出すことで質量を計量する。(図3)の1はトランスミッタ、2は電磁ピックオフ、3は電磁オシレ−タ、4はフローチューブである。
(図2)の容量式充填機の計器事例を(図4)に示す。計量原理は、(図4)A,B,Cに示す通り、入り口から流体を流すとオーバル歯車(オーバル社商品名)の回転子の歯面に圧力がかかり回転子は軸に対して圧力がかかる。これにより回転数を容積流量とする。実際には、全体装置の製造能力を上げるためには多連となり、部品点数も多く、プラントの値段も高価となり、経済性に適合しないと共に、複雑な多量の自動部品による思わぬ事故が発生するという懸念がある。
【0005】
従来の方法では、配管系列が複雑な為に、充填完了後に高価な製品が複雑な配管中の残液の回収が出来ず、多品種少量生産では配管ロス多く、充填機が使用できにくい問題も発生する。
【0006】
前記「0002」から「0004」では、充填部が複雑に成るばかりでなく、機構上充填ノズル部の上部に流量計測部とバルブ部が複雑に配置されるので落下異物混入等の懸念もあり、本技術の改善が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、医療用ソフトバッグの充填機や高速のプラボトル充填機に用いられる。
医療用のソフトバッグの一般輸液製品は、主として100から1000mlの容量がある。充填製品は、医薬品液の調整作業要領の関係から同じ製品を一定量生産し、容器種品目を当日に変える事が多い。
本発明では、遠心ポンプ(セントリフューガルポンプ)で送水された医薬液を最終段階のファイナルフィルターを通して濾過し、ヘッダーに送りこむ。その後に4ヘッドに分岐されるが、充填塞止弁前に取り付けているオリフィスによってホンプの脈動停止と多連ヘッダ−での他のバルブが塞止した時のキャビテーションに寄る圧力変動も解消できる。(図5)に本発明のフローシートを記載する。また(図6)には、オリフィス前後の圧力変動とポンプ脈動の動向を示す。即ち、本装置により、液の持つ脈動と外乱がなくなり、オリフィスによって一定流量が保障できる。充填量は、瞬時流量と正確な充填時間の積であり、これにより正確な定量充填が可能となる。
ここで(図5)の本発明フローシートの1は、液バランスタンク、2はセントリフューガルポンプ、3は圧力計、4は充填ヘッダー、5はオートバルブ・ブロック線図、6はデジタル印字部、7は演算比例部、8は設定部、9はA/D変換部、10は増幅部、11は自動零規制装置部、12は流体圧力計信号を示す。
(図6)は、本発明のオリフィス前後の圧力変動とホンプ脈動とポンプ脈動動向を示し、(図6)図の1は配管とオリフィスの関係を表す。2はオリフィス後に発生する剥離渦、3はオリフィスによる圧力分布を示す。4はオリフィス前の液脈動とオリフィス後の液脈動を示す。

【0008】
横断面一様のまっすぐな円管内に流体が流れる場合の式は、「数式の一式」の様になる
但し h :管の長さLについて生じる損失水頭
d :管の内径,
v :管の平均流速,
λ:流体摩擦係数
上記の流速vは、「数式の二式」に変換できる。
即ち、液の流速は管の長さL一定と管の内径d一定と更には、流体摩擦係数λが一定であれば、一定の流速を得る。
【0009】
一方、ベルヌーイの式からオリフィスの上流にある管の横断面の圧力、流速をP,V,オリフィスからの噴流の縮流部におけるそれをPo,Voとすれば(図6)において、「数式三式」が与えられ、オリフィスの有効孔と数量によって収縮率が変わる。
【非特許文献1】水力学第2版産業図書・植松時雄 薄型円形管オリフィスの流量係数Cdの値はJISB8302から(図7)オリフィスの流量係数が得られる。
【非特許文献2】JISB8302
【0010】
即ち、本発明は、流体粘度が低く温度一定であり、更には配管圧損一定等点滴液などで適合する。オリフィス口径を細くすると極端に圧力が上昇するように思えるが薄型のオリフィスでは「数式の二式」から圧損の距離も短く大きな損失はない。
(図15)は、オリフィスタイムシェアリング流量計バルブと焼結フィルター付きノズル図である。本図でのオリフィスの圧損を最小にするには、1のオリフィスの縮流距離を極力短くし、オリフィス後に発生する剥がし渦流による圧損を少なくする為にオリフィス以後を2のテーパー構造にすると良い。(図15)での3はダイアフラム自動バルブ、4はノズル先端の25〜45ミクロンの焼結フィルターである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、本原理を確証する為に先ずその原理と実験実証を重ねた。オリフィス流量計は古くからあり、オリフィス前後の微差圧をマノメーターで測定することで流量とするものでダム等の大型の配管での流量計測等で使用されている。本発明はこれと全く異なるもので、オリフィス前後での圧力脈動がなくなることに着目した。但し、配管内径とオリフィスサイズによって(図7)の様に流量変動をする。つまり、高圧液はオリフィス前で最大の圧力となる。オリフィス直後の圧力は減じるが層流の流れの回復とともに回復する(図6の3)同様に脈動のある高圧液は、その脈動もオリフィス前には最大となり、オリフィス以後では、圧力が急激に落ち脈動も急激に減衰する。即ち、オリフィス後は液の圧力のバラツキが殆ど消滅し、(図6の4)の様に瞬時流量が平準化する。此処でのCd値はJISB8302のオリフィス後の値である。
【0012】
ダイアフラム弁によるオリフィス式タイムシェアリング流量計充填機用の流量と従来の質量流量計を使用した充填方法の(図8)での試験を実施した。本試験は次の条件で測定した。
a 圧力変動は、試験実施中1と2のゲージ(G1)で測定し
全閉状態で0.195〜0.205MPa、
充填状態で 0.09〜0.2MPaとした。
b 図9での条件V、VI、VIIのオリフィスは2ケは(図8)の6、7の第一と第二ジョイント部にに装着した。
条件VIII、IXのオリフィスは(図8)の6部に装着した。
c (図8)の4、5の自動塞止弁の駆動部は、スプリング入りの逆作動型の常時閉型を用いた。(図8)での1は第一オリフィス後の圧力計、2は第二オリフィス後の圧力計、3は質量流量計、4は閉止弁、5は定量前絞り弁、6は第一段目のオリフィス装着個所,7は第二段目のオリフィス装着個所を示す。
【0013】
250mlの充填量で10回測定し、各条件で充填量バラツキを測定した(図10)
条件、IIは流量計を使用したフィードバック制御とした。
条件II、IVは2連弁または塞止弁のみでの時間制御とした。
充填量実験条件は、質量流量計を組み込みその後に遮断自動弁と精度を上げるための定量前の絞り弁を組み込んだ2段遮断弁を取り付けた場合と流量計をしないでタイマーだけで定量充填した場合と同2段バルブを使用した場合とオリフィスを使用した場合のデータである。条件V以降は、オリフィスを取り付け、自動塞止弁のみでの時間制御とした。
【0014】
充填量確認条件と試験結果は下記に示す
各条件での充填時間の測定の結果は(図9)の条件の下で (図10)の通りとなった。4φmmのオリフィスで250mlを1.91秒で充填ができた。その精度も高精度の流量計を使用した時よりも良かった。オリフィス前後の配管内径は10φmmでありM=F0/FでM=0.4である。即ち、(図7)のJISB8302からオリフィス後のCdは0.661と計算される。
(図11)の実験では、ポンプ圧力変化による充填量の確認では、圧力を上げると同じ時間内で流量がリニアリティ−に増えていく事が分かり、本オリフィス式タイムシェアリング流量計の再現性があり、実用できる事が証明できた。条件IXの一次圧力を変え充填量を測定した。
ダイアフラムバルブは逆作動型駆動部使用。閉止弁のみの時間制御をする。オリフィスΦ4×1ケとした。
・ タイムシェアリング時間1.55秒に設定の事前確認試験をした。
・ 配管内径10φmmのオリフィス4φmmで1.55秒設定のポンプ圧力0.20MPaと0.225MPaでの2種の充填量とそのバラツキデ−タを測定した。その結果を(図12)に記す。0.20MPaでの平均充填量249.7gの10回でのR値は1.7gで0.68%・バラツキ±0.34% 0.225MPaでは、平均充填量263gの10回でのR値は1.6gで0.60%バラツキ±0.30%となる。この充填量バラツキは、計器のみの精度でなく、自動賽止弁も含めた制御精度を含めたものであるので、瞬時流量が高い割には、従来にない高精度が測定できた。
【0015】
その結果、実験の評価として
a 高精度コリオリ流量計でのフィードバック制御の2段弁を使用すると0.78%の精度、流量計+閉止弁のみでも4.4%の精度を維持できた。但し、前記オリフィス式タイムシェアリング流量計よりも悪いデーターとなった。
b 流量計、オリフィスを使用せず、ポンプ脈動を抱えた液体の2段弁を使用した自動賽止弁のみの1/100秒のタイマー制御では、Rで9.9%のバラツキとなり、精度維持が困難である。
c オリフィスを装着すると、自動賽止弁のみの時間制御でRにおいて1%以下の精度を維持できる。オリフィスの径により充填時間は変化するが、一次圧0.2MPaでオリフィスΦ4mmあれば、250mlを1.6秒以内で充填できる。ただし、時間制御の場合、1/10秒単位では、設定値を250mlに合わせる事が困難である。1/100秒単位であれば容易に合わせることができる。オリフィスは、2段取り付けて更なるポンプ脈動防止をする方法を実験したが、(図10)のデータの通り、2ケの場合と1ケの場合での差はなかった。充填時間は1ケの場合は、1.91−1.54=0.37秒(24%)短縮できる。これは10/4φmmの1段オリフィスでポンプ脈動が十分取れ、充填精度には殆ど影響がない事を示している。
d ソフトバッグ充填機では、1ヘッダーに2〜4個の充填ノズルを設置する。今回の測定はポンプの脈動として0.01MPaの中での測定と、5%(約12ml)変動する一次圧を求めるに留めた。その結果は(図11)の通り0.20〜0.225MPaの一次圧変動範囲であれば許容範囲である5%を確保できることが分かった。しかし、実際には、実機の能力に合わせてのオリフィス選定が必須。
e ダイアフラム弁のエアーアクチェターの駆動部の作動は、正作動(常時開、高圧エアーで遮断、駆動部内のスプリングで開となる)でも逆作動(常時閉、スプリングで遮断、高圧エアーで開となる)でも設定時間に差はあるが、その精度に差は無く、フェイルセーフの考えより、逆作動が良い。
f 本実験では、質量流量計はオーバル製のULTRA型公称10mm型 自動弁は日本ダイヤバルブ株式会社の逆作動型空気圧操作式ダイヤフラム弁 DN8型の製品コード BHO1413NC−TX/CE―8 ISSCのバルブ内径10mmを使用した。オリフィス径はΦ3、Φ4、Φ5とし、実機に合わせて選定した。
(図12)の実験は、オリフィス4φmmを使用し、ポンプ圧力0.22と0.225MPaでの時間1.55秒での繰り返し充填変化データである。
いずれも充填量平均249.7mlでバラツキR1.7mlの0.68%であり、また充填量263mlでバラツキR1.6mlの0.6%と良好なデータであった。
【0016】
以上の一連の実験の結果、高精度の質量流量計を使用した場合よりも『オリフィス式タイムシェアリング流量計』の方が精度のよい事を見出した。
これは、高精度の質量流量計を使用しても、ポンプの脈動がある限りポンプ回転の脈動が吸収できない事が分かった。例えば、2極のセントリヒューガルポンプの3枚羽根では、60ヘルツでは3600回/分の脈動があり,60回/秒の高低圧力の脈動がある。即ち、瞬時流量は常に変っており、高精度の流量計測信号を受けても弁の遮断瞬時スピードは上記サイクル以下であるので、流量の変動がある限り、遮断バルブは1/60秒以下で遮断スピードを得れないので高充填精度は得られない。さらに、少なくとも多連の4ヘッドの充填機では、液は分岐の為にヘッダーを使う。NO1〜4番の充填ヘッドがある場合は、充填開始時はNO1〜4番の充填弁が同時に開く。次に例えばNO1が先に満了信号を受けて急激に塞止した時に流体はアリエビー(Allievi)の理論で水撃が発生し、ヘッダー内の圧力の変動が瞬時に発生し、他のNOの流量に少なからず影響を与えることとなる。従って、期待した多連の充填精度は得られない問題がある。本対応の為にエアーベッセル装置(図13)は定圧調整バルブと言われ、小容量の半割タンクの中心にゴムダイアフラムで仕切られ、上面には一定の空気圧を入れる。ダイアフラムの下面には、液の入口と出口が別々にあり、ポンプ脈動のある液圧を空気圧クッションで脈動を止めるもの。1はエアーベッセル形状、3はエアーベッセル機能で液圧がダイアフラム空圧より高い時、2は同液圧がダイアフラム空気圧より低い時の図面を示す。4はゴムダイアフラムを示す。 圧力高低の吸収は本方式でクッションを図るが、水撃の瞬時圧力上昇は、パルス状のスピードであり、ゴムダイアフラムを使用したエアーベッセルは対応不可能。更には設備が高価で大変複雑となり,ダイアフラムのメンテナンスや洗浄・滅菌のも問題を残す。本装置ではエアーベッセル装置は不要となる。
【0017】
本装置では、上記(図6)の1・3・4で示した様に水撃が発生した場合でもオリフィスによってその圧力変動が吸収でき、他の充填バルブに影響を殆ど与えない。従って、多連ヘッダーと質量流量計間に従来入れていた縮流用の手動操作のダイアフラムバルブも不要となり、充填装置が非常にシンプルとなる。
【0018】
医療用のオリフィス後の充填塞止自動バルブは、一般的にバルブによる摺動部から発生するOリングの屑や金属粉のゴミの発生を抑える為にフッ素系樹脂シートのダイアフラムバルブを使用する。但し、ダイアフラムバルブを使用したとしても、ダイアフラムの収縮動きによって発生する僅かな微粒子とバルブシート材のフッ素系樹脂や合成ゴムの収縮による寿命破壊と欠落による塵の発生を止めることは出来ない。
【0019】
ここでは、本問題を一挙に解決する為に、充填ノズル先端に充填時の微粒子が絶対に医薬品の中に混入しないように、25〜40μmの焼結型のフィルターを組み込んだ (図15)事例をしめす。之によって、医療用特に注射剤では、充填ノズル口での無微粒子が保障でき、製品段階での微粒子異物検査人員を削減可能である。
【0020】
(図14)には事例として、充填後の微粒子防止・液垂れ防止のフィルター兼用によるCAPD充填の事例を記す。
この充填前の25〜40μmの焼結型のミクロンフィルターを取りつけて、オリフィス式タイムシェアリング流量計と兼務する事で注射剤製品の異物混入のリスクマネジメントから解消されとともに、高精度充填ができ、焼結型の為に製造完了後は、充填バルブとノズル・フィルターの洗浄・殺菌を分解せずに定置洗浄と高温殺菌が出来る多大な利益がでる。併せて、充填後の充填芯の表面張力で、液垂れの心配から解消できる。(図14)の1は焼結フィルターありの充填中、2は焼結フィルターありの充填完了信号で充填ノズルが上昇しても表面張力で液垂れがない状態、3は、焼結フィルター無しでノズル下は液垂れを発生しやすい状態を表す。4は遮断バルブ、5は焼結フィルター、6はCAPDの充填ノズルポートを表す、7はCAPDバッグ、8は液垂れを表す。
【0021】
計測部は、各々の配管の距離と内径が微妙に異なるので若干の流速が異なる。
従って、流体の流れる時間を1/100秒以下の単位で測定し各々の充填バルブの充填時間のパルスカウンターを設定し、マイクロコンピュ−タで流速×時間の積を充填量と設定する。(図5)にその電子ブロック線図を記す。
本装置の生命線は、計測時に所定の範囲の圧力が出ている事が条件である。
従って、計測時の液圧が所定の圧力が出ているかどうかの簡単な監視システムを組み込む事が必要である。
【0022】
食品用の低粘度品では輸液と同じシステムが使用できる。但し、中・高粘度品の充填機では、本方式を使用する場合は若干方法が異なる。
一般的には、中・高粘度品の定量充填では大きなタンク液調整の後にタンク圧力の影響を防止する為に小容量のバランスタンクを充填機前に組み込み、その後にポンプで圧送してピストン充填機で計量し、充填時にピストン内の容積を充填する。又はバランスタンクの代わりに加圧タンクを組み入れて加圧力で送水し、ピストン充填機で計量する方法が一般的である。
ピストン充填機は、ピストンの擦動部や回転バルブなどがありメンテナンスに多大の費用がかかる。ここでもオリフィス式タイムシェアリング流量計が使用できる。
【0023】
本装置は、容量の少ない充填機のみでなく、大量のタンクに送液する計測装置にも応用できる。原理は繰り返し充填機と同じである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によって、今まで考えられないような画期的な成果が出た。
1・設備が非常にシンプルとなり、ローコストオートメーションの成果として従来の充填設備費用大幅な低減が可能で同等以上の精度が維持でき経済的効果が高い。
2・容量式又は質量式流量計を使用すると必ずや計量器の故障がついて回り、使用前の計器のキャリブレーションやバリデーションの手間が発生する。その費用は多大となる。
3・回転式容量流量計では、擦動部があり、金属や高分子の微粒子が発生する。質量流量計では、振動体を内臓しているので取り付けを強固にし、更に形状から発生するCIP時の排水の為に取り付け方向等が限定される。本装置ではこのような問題点は解消できる。
4・充填品の粘度・大幅な温度が変わる場合は、容積・質量流量計と同じ、予めの計測が必要であるが、オリフィス式タイムシェアリング流量計では上記の容積式等に比べてトレサビリティー項目が少ないので簡単である。又本計算値はマイコンに予め登録したマトリックスダイヤグラムで計算できるので設定変更は簡単な押しボタンで変更できる。
5・配管距離が短いので、洗浄時間が短く製造時間が延長できる。叉医薬品では121〜150℃の滅菌が要求されるが、従来の計測部一体の流量計では135℃の蒸気を通すと流量計を通じて電子部品に熱伝導で影響を与え分離型が求められる。その為に機種が限定され高価なものとなったが、本装置では現場での電子部品を使用しないので本問題から解消できる。
6・本発明によれば、従来の輸液用の多連式のソフトバッグでは、ファイナルフィルターの後にポンプの脈動を取るために加圧タンクやエアーベッセルを組み込まねばならなかった。又ヘッダー以後に液ハンマ−防止の為に各配管毎に手動式のダイアフラムバルブを取付けていた。更に主計測の為に高価な質量流量計と同コンバーターとカウンターが必要であり、また、制御精度を上げる為に塞止自動バルブを大バルブ小バルブの2段階としていた。また、充填後のダイアフラムから発生する微粒子・ノズルからの液垂れが心配であった。本装置では、このような複雑で高価な装置から開放されるばかりでなく、論理だった計測システムの中で最も経済的に充填・軽量ができる方法で、軽量するシステムの多大の貢献ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の医療用充填機にあっては、ソフトバッグ充填に用いられる充填機械と高速のロータリー充填機では実施の形態が異なり詳細に説明する。
【0026】
本発明でいう、オリフィス式タイムシェアリング流量計とは、実用上は(図13)の様に製作取り付けされる。基本的にはバルブと一体構造でソフトバッグ充填機のバルブ取り付けとなる。オリフィスは、実用上から配管内径の0.1〜0.7である。この値以下であれば圧損が大きくなり、またこの値以上であれば配管脈動を防ぐ事は出来ない。
・オリフィスの縮流部の距離は、圧損を少なくする為に極力短い方が良い。
・寧ろ鋭角の方が良い。剥離渦流圧損を少なくする場合は流速と粘度にもよるが、オリフィスに対して45度以上の角度を取った方が効果がある。
オリフィスとバルブの位置は離しても良い。また、必ずしもダイアフラムバルブでなくとも良い。但し、サニタリーのL型バルブ等ではバルブステム等からの発塵や液漏れ等の医療用としての安全性には懸念が残る。
また、フィルターとバルブは必ずしも一体型の必要は無い。別置き取付けでも液の事情によってはなくとも良い。
この方式では、従来必要な加圧タンクや圧力クッション器や質量流量計・質量流量計用の変換装置等のコンバーター等が不要である。
【0027】
プラボトルの輸液用の充填機では、20,000BPH (本/時間)のときロータリー式の18ヘッド/基の充填ヘッド数となる。プラボトルラインでは、容器を容積とするエアーフリディクス方式が取られる事もあり、本方式は満注充填方式であり、ガラス瓶と異なり容量は極めて不安定である。オリフィス式タイムシェアリング流量計方式では、(図16)のように充填ヘッダーにロータリージョイントを取り付けて分岐後にオリフィス式タイムシェアリング流量計を18ヘッド分取り付ければよく経済的で各々のヘッド毎の精度良い充填量が確保できる。本方式は充填時間が極めて短く、少ヘッド数で高能力生産が可能である。
加圧タンクは、基本的に不要でセントリフュ−ガルポンプからいきなり連結されてもなんら差し支えない。(図16)の1は、送液タンク、2はロータリージョイントとヘッダー部、3はオリフィス式タイムシェアリング流量計、4はプラボトルである。空容器は、5のスターホイルから入り液が充填され、6のスターホイルから排出される。
【0028】

【数1】


【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来型の技術医薬品質量流量計式充填機のフローシート
【図2】従来型の食品容積式又は質量流量計充填機のフローシート
【図3】質量流量計(オーバル技術資料)
【図4】容量式充填機の原理(オーバル流量計ホームページ)
【図5】本発明のフローシート
【図6】オリフィス前後の圧力変動とポンプ脈動の動向
【図7】薄型円形管オリフィスの流量係数Cdの値
【図8】実験装置
【図9】充填量実験条件
【図10】流量計を使用した場合とオリフィスタイムシェアリング式充填試験結果
【図11】オリフィスタイムシェアリング式充填方式でのポンプ圧力を変えた場合の充填量変化
【図12】オリフィス4φmm使用し、1.55秒でのポンプ圧力0.22と0.225MPaの充填量バラツキデーター
【図13】エアーベッセル調節バルブ装置
【図14】充填後の微粒子防止・液垂れ防止のフィルターによる充填 芯表面張力付きバルブ
【図15】オリフィス式タイムシェアリング流量バルブと焼結型フィルター 付き充填ノズル
【図16】オリフィス式タイムシェアリングプラボトルロータリー充填機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも圧力のかかった管内の高圧ポンプで脈動のある流体を管オリフィスによって流体の脈動を抑えて、安定した瞬時流速を作り、電子回路で流量時間を1/100秒以下のタイムシェアリング(時間分割)のタイマ−で計測し、時間×瞬時流速の積で精度よく計測をするシステム。
【請求項2】
充填遮断バルブ前に高圧ポンプで脈動のある流体を管オリフィスを一体型で取り付けて、流体の脈動を抑え安定した流速を作り、電子回路で流量時間を1/100秒以下のタイムシェアリング(時間分割)をして、タイマ−によって計測し時間×流速の積を流量容量トレ−サビリティ値とし、計測完了の信号をうけて自動遮断をし、繰り返し充填をするシステム。
【請求項3】
高圧ポンプで脈動のある流体を管オリフィスと一体型で取り付け流体の脈動を抑えて、安定した流速を作る時にオリフィス前後での剥がし渦流発生と縮流部等による圧力損失を押さえ、極力圧力損失の発生しない請求項1、2のオリフィス形状流量制御装置。
【請求項4】
オリフィス計測では、ベルヌーイの法則で流体摩擦係数によって流速が変わるので、品目によって、流体粘度等の流体摩擦係数が大幅に変わる場合は、オリフィスのとり変えが必要である。また、使用後に洗浄が必要であるが、自動洗浄と自動殺菌ができ、もしくは、定期的分解洗浄と取替えのできる請求項3のオリフィス付きダイアフラム自動バルブ構造
【請求項5】
多連の充填機では、一つのポンプ圧力液をヘッダーで分岐して充填するが、ヘッダー以後の各配管の圧力損失が僅か異なる。従って、初期段階で高精度の多連の充填機のヘッドNO毎の瞬時流量を測定して、充填時間をマイコンで登録し、所定の充填がされた根拠を示す充填と液圧と充填時間の請求項3のデータバリデーションを含む監視システム
【請求項6】
オリフィス計測充填バルブの後の充填ノズル部に、25〜45μの焼結型の金属フィルターを組み込む事によって充填時の最終異物保障をするフィルタ−システムと充填後の液垂れ防止を兼務した請求項4の充填システム





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−69107(P2009−69107A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240762(P2007−240762)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(506090118)インタメディック株式会社 (3)
【出願人】(390014948)日本ダイヤバルブ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】