カセットベースの透析医療用流体治療システム、装置および方法
本発明は、改善されたカセットベースの医療用流体治療システム、装置および方法を提供する。一つの実施態様では、様々な蠕動ポンプの管材を提供する。本発明はまた、カセットおよび膜材料、構成および製造の改善を提供する。本発明の様々な態様は、頭部高さ感知および補償方法および装置;混合方法および装置;pH測定方法および装置;空気検出および除去方法および装置;能動的プライミング装置および方法;並びに容積測定精度改善装置および方法を包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、2004年3月19日に出願された米国仮特許出願第60/554,803号および2005年3月16日に出願された代理人整理番号112713−1204の米国仮特許出願の「CASSETTE−BASED DIALYSIS MEDICAL FLUID THERAPY SYSTEMS,APPARATUSES AND METHODS」に対する優先権および利益を主張する。
【0002】
(発明の背景)
一般に、本発明は、ポンプカセットを使用する医療用流体供給システムに関する。特に、本発明は、カセットベースの透析医療用流体療法のためのシステム、方法および装置を提供し、蠕動ポンプおよびダイヤフラムポンプを使用する場合を含むが、コレラだけに限らない。
【背景技術】
【0003】
様々な原因によって、人の腎臓系は機能しなくなる。腎不全は、いくつかの生理学的障害を生じる。水分、ミネラル、および日常の代謝負荷の排出物の平衡状態はもはや不可能になり、窒素代謝の毒性最終生成物(尿素、クレアチニン、尿酸など)が血液および組織中に蓄積する可能性がある。
【0004】
腎不全および腎機能低下は、透析で治療されてきた。透析は、さもなければ正常に機能している腎臓によって除去されていた筈の老廃物、毒素および過剰な水分を身体から除去する。この療法は救命手段であるため、腎機能に代わる透析処置は多くの人にとって重大である。
【0005】
血液透析および腹膜透析は、腎臓機能の損失を治療するために一般に使用される2つのタイプの透析処置である。血液透析処置は、患者の血液を利用して、老廃物、毒素および過剰な水分を患者から除去する。患者は、血液透析機械に接続され、患者の血液は機械から楊送される。カテーテルは、血液が血液透析機械を出入りすることができるように、患者の静脈および動脈内に挿入される。血液は、機械の透析装置を通過し、透析装置は、老廃物、毒素および過剰な水分を血液から除去する。洗浄された血液は、患者に戻される。多量、たとえば約120リットルの透析液は、1回の血液透析処置時に、血液を透析するために消費される。血液透析処置は数時間持続し、一般に、治療センターにおいて週に3回または4回実施される。
【0006】
腹膜透析は、透析溶液つまり「透析液」を使用し、透析液は、カテーテルを介して患者の腹膜内に注入される。透析液は、腹腔の腹膜に接触する。老廃物、毒素および過剰な水分は、拡散および浸透作用によって患者の血流から腹膜を通過し、透析液内に流入する。つまり膜を横断して浸透圧格差が生じる。消費済み透析液は、患者から排出されて、老廃物、毒素および過剰な水分が患者から除去される。このサイクルが繰り返される。
【0007】
様々なタイプの腹膜透析処置があり、たとえば持続的外来腹膜透析(「CAPD」)、自動腹膜透析(「APD」)、潮流APDおよび連続流腹膜透析(「CFPD」)が挙げられる。CAPDは、手動透析処置である。患者は、埋め込みカテーテルを排出管に手動で接続し、消費済み透析液を腹腔から排出することできる。次に、患者は、カテーテルを新鮮な透析液のバッグに接続し、カテーテルを通して新鮮な透析液を患者に注入する。患者は、カテーテルを新鮮な透析液のバッグから取り外し、透析液を腹腔内に滞留させて、老廃物、毒素および過剰な水分を移動させることができる。滞留時間後、患者は、手動透析手順をたとえば1日に4回繰り返し、各々の治療は約1時間持続する。手動腹膜透析は、患者の多量の時間および努力を必要としており、改善の余地が十分にある。
【0008】
自動腹膜透析(「APD」)は、透析処置が排出、充填および滞留サイクルを含むという点でCAPDに類似している。しかし、APDマシンは、一般的に患者の睡眠中に自動的にこれらのサイクルを実行する。APDマシンは、手動で治療サイクルを実行する必要性、および必需品を日中運搬する必要性から患者を開放する。APDマシンは、埋め込まれたカテーテル、新鮮な透析液の源またはバッグ、および流体排出管に連通する。APDマシンは、新鮮な透析液を透析液源からカテーテルを通して患者の腹腔内に楊送し、透析液が腹腔内に滞留し、老廃物、毒素および過剰な水分が移動することを可能にする。この源は、複数の殺菌透析液溶液のバッグで良い。
【0009】
APDマシンは、消費済み透析液を腹腔からカテーテルを通して排出管に楊送する。手動プロセスと同様、何回かの排出、充填および滞留サイクルがAPD時に行われる。「最終充填」は、CAPDおよびAPDの終わりに行われ、次の治療まで患者の腹腔内に残存する。
【0010】
CAPDおよびAPDは共に、消費済み透析液を排出管に送り出すバッチタイプのシステムである。潮流システムは、修正されたバッチシステムである。潮流の場合、全部の流体を患者から比較的長時間にわたって除去するのではなく、流体の一部を除去し、比較的短い時間増分後に置換される。
【0011】
連続流つまりCFPDシステムは、消費済み透析液を廃棄するのではなく洗浄して再生する。このシステムは、ループを通して流体を患者の体内および体外に楊送する。透析液は、1つのカテーテル内腔を通って腹腔内に流入し、別のカテーテル内腔から流出する。患者から出る流体は、尿素除去コラムを介して老廃物を透析液から除去する再構成デバイスを通過し、尿素除去コラムは、尿素をアンモニアに酵素的に変換する。次に、アンモニアは、透析液を腹腔内に導入する前に、吸着作用によって透析液から除去される。追加のセンサは、アンモニアの除去を監視するために使用される。CFPDシステムは、一般に、バッチシステムより複雑である。
【0012】
血液透析、APD(潮流を含む)およびCFPDシステムは、ポンプカセットを使用することができる。ポンプカセットは、一般に、機械的に移動して透析液をそれぞれカセットから押し出し、カセット内に引き込む可撓性膜を備える。公知のシステムによっては、カセットの一方の側に可撓性シーティングを備え、他のシステムによっては、カセットの両側シーティングを備える。正圧および/または負圧を試用して、ポンプカセットを作動させることができる。
【0013】
ポンプカセットに関する1つの問題は、漏れである。可撓性膜にピンホールまたは亀裂が生じた場合、流体および/または空気は膜の一方の側から他方の側に移動する可能性がある。流体がカセット内部からマシンの内部機構に移動すると、マシンを損傷する可能性がある。空気がマシンから、または不良な流体接続部、たとえば不適切な供給バッグの接続部からカセット内に移動すると、カセットによって画定される流体通路の減菌状態を損なう可能性がある。透析液がカセットからマシンにいつ漏れたかを判断する検出システムがある。しかし、カセット内に漏れる空気を検出することは、比較的困難である。したがって、カセットの可撓性部分をカセットの剛性部分に適切にシールし、管類をカセットに適切に接続して漏れを防止することが重要である。
【0014】
カセットベースの流体療法システムの1つの重要な特徴は、カセットおよび管類に使用される材料である。この材料は減菌の過酷さに耐え、患者にとって安全であり、治療全体を通して良好な流動特性を示さなければならない。さらに、この材料は、患者が与える過酷さ、たとえば捩れ、治療マシンのポンプと患者の位置との間の高度におけるヘッドの高さの差による正圧および負圧の変化に耐えなければならない。
【0015】
ダイアフラムタイプのポンプを使用する流体システムのために、適切な材料が開発された。しかし、蠕動ポンプに使用される標準的な材料(たとえば、シリコーン)を改善する必要性が存在する。以下に示すとおり、蠕動ポンプは、材料にポンプヘッド応力を与えるが、この応力は、ダイヤフラムポンプに機械的または空気圧的に加わる応力とは異なり、場合によっては比較的局所的である。蠕動材料の必要性は、蠕動ポンプヘッドに接触する管類部分に関して特に存在する。この場合、改善された管材は、精度、弾力性および可撓性に関連する要素間に適切な平衡状態を示す必要がある。
【0016】
上記で暗に述べたとおり、カセットベースの流体ポンプシステムの1つの問題点は患者の頭部の高さである。一方、流体は治療を促進し、治療流体、たとえば透析液を適切に混合するために、できるだけ迅速に患者に充填し、患者から除去することが望ましい。他方では、患者側圧力は、安全な限度内に維持しなければならない。正圧および負圧の限度内の流体を楊送することは重要だが、安全性限界から不必要に離れた圧力で患者との間で楊送することによって、効率性を犠牲にすることは望ましくない。
【0017】
ポンプ側圧力は、患者側圧力が効率的かつ安全に制御されるように制御する必要がある。このような制御は、治療マシンに対する患者の相対的高度を考慮に入れなければならない。患者がマシンより下に存在する場合、この高度差は、患者に充填する場合はポンプを補助するが、患者から排出する場合はポンプに不利に作用する。患者が、高度的にマシンより高い位置に存在する場合、この差は、患者から排出する場合はマシンを補助するが、患者に充填する場合はポンプを妨げる。患者の頭部の高さによって生じる圧力を補償するため、ある試みが行われてきた。これらの試みの少なくともいくつかは、正確な結果を繰り返し生成しない複雑なアルゴリズムを伴った。したがって、および医療用流体ポンプシステムにおける頭部の高さによって生じる患者の圧力を検出して補償するための単純で再現可能、かつ正確な方法および装置を開発する必要性が存在する。
【0018】
カセットベースのポンプシステムに関するもう1つの問題は、使用時点で2つ以上の解決方法を混合する場合に生じる。現在のある習慣では、2種類の供給溶液の自動化混合は、少量の第1溶液および同量の別の溶液を1つの混合貯留槽内に交互に楊送することによって行われる。2種類の溶液は、混合貯留槽内で混合される。多量の2種類の溶液を貯留槽内に楊送した後、混合溶液は、第2作業として貯留槽から患者に楊送される。したがって、溶液は2回楊送され、1回は成分供給から混合貯留槽に、再び混合貯留槽から患者に楊送される。
【0019】
最終溶液のバッチ加熱を採用しているシステムの場合、溶液は、いずれの場合も加熱バッグに楊送して加熱してから、注入しなければならないため、混合貯留槽は、理論上加熱貯留槽である。しかし、加熱を使用するシステムの場合、混合のためのみに別個のポンプが必要である点が不利である。したがって、追加のポンプを必要とせずに、2種類以上の異なる流体を混合するインライン混合方法および装置に対する必要性が存在する。
【0020】
腹膜透析システムおよびカセットベースのAPDシステムのさらに他の一般的な問題は、流体システムのプライミングである。プライミングAPDシステムの目的は、患者の移送セットに接続する患者コネクタが位置する患者ラインの最端部に流体を押し進め、その際、透析液がコネクタを通過してシステムから溢出することはない。
【0021】
透析マシンは、重力を使用してプライミングを行う。公知の重力プライミングシステムには、多くの欠点がある。第1に、プライミングシステムによっては、特にサイズが決められたバッグのために設計される。その他のサイズのバッグを使用すると、プライミングシステムは適切に動作しない。第2に、多くのシステムでは、プライミングの始めに、使い捨て式カートリッジまたはカセットに近い近位端付近の患者ライン内に、空気と流体との混合物が存在する。場合によっては、透析液は、透析液の導入および/または完全性テストによって、カセット内に集合する。このような透析液の集合は、透析液と入って来るプライミング溶液との間に空気の隙間を生じる可能性がある。この空気の隙間は、重力プライミングを妨げ、場合によっては抑制する可能性がある。したがって、多くの処理プライミングガイドは、ラインが適切にプライミングしているように思われない場合、患者ラインのある部分をタッピングする工程を含む。タッピングは、流体ライン内に捕捉された気泡を除去することを意味する。プライミングに比較的頻繁に生じる第3の問題は、患者が、当該ラインをプライミングする前に、患者ライン上のクランプを取り外すのを忘れることである。患者ラインがクランプされていると、ラインを適切にプライミングすることができない。
【0022】
透析システムのさらにもう1つの問題は、容積測定流体の精度である。血液透析の場合、必要量の限外濾過液を患者から除去して、患者が、治療の終わりに、「乾燥体重」として周知されている状態を達成することが重要である。血液透析およびPD(CAPD、APD、CFPD、潮流システムなどと総称される)の場合、透析液は、所定量の不純物を患者から除去するのに十分な量を透析装置(血液透析)または腹膜(PD)に供給されることが重要である。また、PDの場合、透析液は患者に供給されるため、患者の腹膜に供給される流体の量も、腹膜から除去することが重要である。
【0023】
本明細書に記載するとおり、本発明は、上記の必要性および問題に対処する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0024】
(発明の要旨)
一実施態様における本発明は、医療用流体治療システム、方法および装置を提供する。本発明は、カセットベースの蠕動ポンプシステムに関する。しかし、本発明の様々な特徴は、ダイアフラムシステムなど、他のタイプのポンプシステムに適用することができる。このシステム、方法および装置は、様々な医療用流体療法、たとえば腹膜透析(APD、CAPD、CFPDおよび潮流理学療法を含む)、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、並びに何らかのタイプの持続的腎代替療法、鬱血性心不全療法、およびその他に適用することができる。特に、本発明は、部分的には、(i)蠕動システム用の改善された管類、(ii)改善された蠕動ポンプ、(iii)頭部の高さによる圧力を測定および補償するための改善された装置および方法、(iv)複数の異なる別個の成分溶液をインライン混和するための改善された装置および方法(混和は、1種類または複数種類の溶液の混合を含む)、(v)カセットベースのシステムのための改善されたバルブ調節、および(vii)改善された精度アルゴリズムを提供する。
【0025】
一態様では、本発明は、カセットベースの蠕動ポンプ用途のための改善された管類を提供する。一実施態様における管類は、蠕動ポンプの一部および/または使い捨て式ポンプカセットの一部である。管類は、高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、エチレンブロックコポリマー、メタロセン触媒による超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの何らかの組合せから成る群から選択される1つまたは複数の材料から製造される。これらの管類は、蠕動ポンプに望ましい多くの特徴および特性を示す。たとえば、管類は、蠕動ポンプのヘッドローラによって圧縮された後に、管類を回復させることが可能な圧縮永久歪を有する。管類は適切に可撓性であり、蠕動ポンプのギヤローラまたはポンプヘッドによって完全に圧縮される。管類は、適切に一貫した直径および壁厚を有し、その長さを適切に保持する。管類は、ローラヘッドの接触時に優れた引裂抵抗および耐衝撃性も示す。
【0026】
管類は、複数の異なる方法で、たとえば押し出し、成形、押し出し成形、溶剤結合、摩擦嵌合、無線周波シール、ヒートシールおよびレーザ溶接によって、対応するポンプカセットに結合するように構成される。管類は、優れた生体適合性、低毒性および抽出物を示す。管類は、50%〜85%のショアA硬度を示し、73℃×22時間で30%〜65%の圧縮永久歪を有し、110〜480in−lb/inの範囲の引裂抵抗を有する。管類は、良好に経年変化し、蠕動ポンプのポンプヘッドまたはローラに係合して、適切に動作するのに適する摩擦係数を有する。
【0027】
上記の有利な性質および特性は、高度に正確で、管類の破砕が最小限であり、粒状物質(「PE」)が少ない管材を形成する。低度のPEおよび正確な流量のほかに、本発明のポンプ管類は、多くのユーザ環境に対する広範な製品、摩擦および適用要件をも達成し、満たす。
【0028】
管類の性能は、流動粘稠度および反復性疲労要件に適合し、一定のポンプ入力が与えられる長期にわたって少ない変化率を示す。管類は、たとえば1.8〜9.2などの大きい範囲のpH値で良好に機能する。管類は、4℃〜40℃の温度範囲でも良好に機能する。管類は、頭部高さによる極端な圧力、たとえば患者と医療用流体ポンプとの間の±0.5mの頭部高さの差による圧力で使用することも可能であり、たとえば+.5m〜−.5mの頭部高さによる圧力が根本的に変化した後でも比較的正確である。したがって、管類は、事前に混合した透析液または医療用流体、管類内で混和される複数の成分溶液、たとえば高酸性および高アルカリ性pH値を有する溶液に使用するのに良く適する。
【0029】
本発明のもう1つの態様は、患者の頭部高さを測定および補償する方法および装置を含む。この方法は、腹膜透析器具などの医療用流体楊送装置に接続された患者の相対的な頭部高さを測定する。しかし、この方法は、患者の頭部高さの測定に明示的に限定されるわけではなく、器具に接続された溶液バッグまたは排出管バッグによって生じる頭部高さによる相対圧力を測定するために使用することもできる。
【0030】
対応する頭部高さ装置は、患者、供給バッグまたは排出管バッグによって生じる頭部高さによる圧力をマシンで(流体ポンプにおいて、または流体ポンプ付近で)直接測定するセンサを備える。この測定結果は、頭部高さを補償するために、医療用流体システムの制御装置またはマイクロプロセッサに供給される。センサに、またはセンサ付近に位置するポンプの動作圧力は、(i)患者側の流体圧力が、確実に患者の安全性限界内であるように減少されるか、または(ii)患者内に流入するか、または患者から流出する流体の流量を最大限にするように増加される。患者の安全性は、重要な問題点である。しかし、効率性および治療上の理由から、患者側圧力をできるだけ設定限界付近に調節し、この限界を越えないようにすることも望ましい。
【0031】
頭部高さ装置では、カセットはチャンバを備え、少なくともその一方の側には、可撓性のダイアフラムまたは膜を備える。流体は、そのチャンバ内に楊送される。圧力センサは、流体から膜の対向側に取り付けられる。真空は、膜の外側(非流体側)に引かれ、その結果、膜は、圧力センサの感知部分に接してシールされるかまたは保持される。別法によると、カセットは、膜とセンサとの間にごく少量の空気を装填され、その結果、カセットを装填した時に、これらの間にわずかな真空が形成される。圧力センサは、位置的にカセットに対して固定され、その結果、相対的であるか絶対的であるかに関わらず、チャンバ内の流体の圧力を検出する。
【0032】
頭部高さの方法では、一実施態様における圧力は、流体を患者に楊送し、ポンプを停止して、静圧ラインを形成した後に測定する。制御装置またはプロセッサは、必要な場合、単純なアルゴリズムを使用して、マシンに対する患者の高度を判断して表示させる。操作上のポンプ側圧力は、何れの場合も、(i)頭部高さによる測定圧力を補償し、(ii)流体が患者に供給される圧力を調節するために上下に移動される。
【0033】
本発明の第3態様は、混合溶液を患者に供給する直前に、2種類の溶液を混合するためのインライン装置および方法を含む。この装置および方法は、流体供給ポンプとは別に流体供給ポンプに追加して、混合ポンプの必要性をなくし、それでもなお溶液のインライン混合を提供する。この装置および方法は、様々なタイプの流体ポンプ、たとえば蠕動ポンプおよびダイヤフラムポンプで動作可能である(蠕動ポンプに関連して、以下で説明する)。蠕動ポンプの場合、別個のチャンバが設けられ、チャンバに対するY接続部を通して、異なる流体の個々の入口間に共通の流路が形成される。Y接続部の入口は、第1源からの流体が流路およびチャンバに入ることを選択的に可能にし、次に、交互に第2源からの流体が流路およびチャンバに入ることを可能にするバルブに連通することができる。このサイクルは、複数回繰り返すことができる。
【0034】
一実施態様では、蠕動ポンプの精度を改善するため、ポンプのモータは駆動プレートに直接結合される。次に、駆動プレートは、(i)蠕動ポンプ頭部のローラ、または(ii)ローラを収容するハウジングのいずれかに機械的に接続する。この構成では、ポンプモータは、ポンプ頭部のローラを正駆動し、その結果、透析液は対応する管を通る。
【0035】
上記のサイクルを繰り返すと、チャンバの直前の流路には、バルブの各々の順序付けの後に、新しい流体が充填される。しかし、一実施態様では、チャンバの一部のみに、新たに投入された流体が充填される。この方法では、2種類以上の流体がチャンバ内で混合し、チャンバは、このような混合を促進するためのバッフルまたはその他の障害物を備えることができる。
【0036】
チャンバの前の流路は、たとえばチャンバの2分の1に構成される。さらに、チャンバおよび/または流路の容積は、既知のポンプ増分、たとえば蠕動ポンプの駆動シャフトの完全な回転から達成されるか、またはダイヤフラムポンプの全行程から達成される容積などに関連する。これらの相関関係を使用すると、ダイヤフラムポンプのポンプ行程の3分の1、ポンプ行程の2分の1、全ポンプ行程もしくは複数の全ポンプ行程、または蠕動ポンプの駆動シャフトの3分の1回転、2分の1回転、全回転または複数回転に合わせて順序付けられる。バルブは、正確な量の流体をチャンバ内、およびポンプ直前の流路内に引き込むように、ポンプの動作に関連して順序付けられる。時間の経過とともに、このようなバルブおよびポンプの順序付けによって流体の正確な混合物が生じ、混合物は混合状態で患者に供給される。
【0037】
本発明の第4態様は、カセットの多くの改善を含み、たとえばシールリブの改善、これらのシールリブによって画定される流路の改善、可撓性膜をカセットにシールするための方法および材料の改善、つまり密封超音波シールを含む。
【0038】
本発明の第5態様は、インラインpH感知のための方法および装置を含む。このシステムは、導電性取付具および電源を使用して、供給流体の流路の一部を横断して電位を配置する。結果として得られ、測定された流路を通る電流は、流体のpHの指標である。
【0039】
本発明の第6の態様は、システムから空気を検出して除去するための改善された装置および方法を含む。空気センサは、供給流体の流れが患者または排出管に送られるバルブ構成のある位置から上流に配置される。空気が検出されると、供給流は排出管に迂回される。
【0040】
本発明の第7態様は、改善されたカセットベースの空気トラップを含む。空気トラップは、患者ラインに至る出口バルブも備える別個の領域のカセット内に配置される。カセットは、空気トラップを患者の出口バルブ上に配置して垂直に実装する。この構成は、空気が使い捨て式カセット内に集合することを可能にし、透析液が患者の出口バルブを通って患者に移動することを可能にする。
【0041】
本発明の第8態様は、患者ラインをプライミングするための装置および方法を含む。センサは、患者ラインをプライミング前に保持するホルダー内に配置される。センサは、(i)患者ラインがホルダー内に存在する場合;(ii)その場合、空気は、流体プライミングレベルにある;(iii)その場合、流体は流体プライミングレベルにある。
【0042】
本発明の第9態様は、容積移送式ポンプシステム、たとえばダイアフラムまたは蠕動システムなどの容積測定精度を決定するための改善されたアルゴリズムを含む。このアルゴリズムは、流量に影響するが、従来は無視されていた変数を考慮に入れる。
【0043】
本発明のその他の態様は、本明細書に示して説明する。
【0044】
上記の態様を考慮すると、本発明の一実施態様は、管類の断面を横断して移動して、管類を圧縮し、管類を通して流体を移動させる部材を有する蠕動ポンプを備え、この場合、管類は約50〜約85のショアA硬度、および約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗を有する。
【0045】
管類は、(i)約9.0のpHを有する流体の場合、少なくとも約12時間にわたって楊送した後、少なくとも約90%の流量精度;(ii)約2.0のpHを有する流体の場合、少なくとも約12時間にわたって楊送した後、少なくとも約90%の流量精度;および(iii)少なくとも約±0.5mの頭部高さから楊送される流体の場合、少なくとも約90%の流量精度を示すことが可能である。
【0046】
一実施態様では、管類は、(i)約50〜約85の範囲のショアA硬度;(ii)約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗;(iii)実質的に均一な直径;(iv)実質的に一定の壁厚;(v)約40℃の温度範囲で正確;(vi)73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、および(vii)使い捨て式カセット用としての販売適性から成る群から選択された少なくとも1つの特性を有する。
【0047】
本発明の第2実施態様は、管類の断面を横断して移動する部材を有すると共に、管類が圧縮および膨張して、流体が管類を通って移動することを可能にする蠕動ポンプを備え、管類は、約2.0〜約9.0のpHを有する流体の場合、少なくとも90%の流量精度を示し、流体は、少なくとも約±0.5mの頭部高さから管類を通して少なくとも12時間にわたって楊送される。管類は、使い捨て式カセットに導入するか、またはシールすることができる。
【0048】
本発明の第3実施態様は、少なくとも1つの流路および少なくとも1つのバルブチャンバを画定する使い捨て式カセットを有する蠕動使い捨て式透析装置を含み、流路はカセットが提供する多数のポートとレベルし、管類はこれらのポートとレベルし、管類は蠕動ポンプで動作するループを形成し、管類は、約50〜約85の範囲のショアA硬度、および約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗を有する。管類および使い捨て式カセットは、酸化エチレン洗浄処理および放射線から成る群から選択されたプロセスによって減菌することができる。管類は、成形、押し出し成形、溶剤結合、摩擦嵌合、無線周波シール、ヒートシール、レーザ溶接およびこれらの任意の組合せから成る群から選択されたプロセスによってポートに嵌合することができる。
【0049】
本明細書に記載する何れの蠕動ポンプも、蠕動ポンプ頭部を正駆動するモータを備えることができる。
【0050】
本発明の第4実施態様は、本発明の第4実施態様は、少なくとも1つの流路および少なくとも1つのチャンバを画定する少なくとも1つの使い捨て式カセットを有する使い捨て式透析装置を含み、流路は、カセットによって提供される1対のポートと連通し、管類は該ポートと連通して、蠕動ポンプで動作するループを形成し、管類は、約2.0〜約9.0のpHを有する流体の場合、約12時間にわたって少なくとも約90%の流量精度を示し、管類を通って楊送される流体は、少なくとも約±0.5mの頭部高さから楊送される。管類は、成形、押し出し成形、溶剤結合、摩擦嵌合、無線周波シール、ヒートシール、レーザ溶接、およびこれらの組合せから成る群から選択されたプロセスを介してポートに嵌合することができる。
【0051】
本発明の第5実施態様は、使い捨て式カセットを有する流体ポンプで動作可能な医療用流体装置を含み、カセットは本体と可撓性膜とを備え、本体および膜は、密閉チャンバをカセット内に画定し、チャンバは流体入口および流体出口を有し、圧力センサは、チャンバを貫流する流体の圧力変動を感知するように、チャンバを画定する膜の一部分に動作可能に結合され、電子制御装置は、患者の頭部高さによる圧力を指示する信号を圧力センサから受信し、該信号を使用して、ポンプを作動させる圧力を決定する。所望の圧力は、流量の最大化、および確立された少なくとも1つの圧力限度内での動作のうち、少なくとも一方の関数である。電子制御デバイスは、圧力信号、およびポンプと患者との間の少なくとも1つの流量制限により予測される圧力低下に対応する要素に基づいて、動作圧力を決定するように動作可能である。圧力センサおよび電子制御デバイスは、使い捨て式カセットに結合するユニット内に収容することができ、機械的または空気圧的に差動可能なポンプの駆動機構を収容する。ポンプは、カセットが蠕動ポンプの駆動機構に動作可能に結合される管を含む蠕動ポンプで良い。チャンバは、ポンプの楊送チャンバで良い。
【0052】
一実施態様では、頭部高さによる圧力が正である場合、電子制御デバイスは、動作ポンプ側正圧を所望の患者側正圧より高く設定して、所望の正圧で患者に充填し、動作ポンプ側負圧を所望の患者側負圧より低く設定して、所望の負圧で患者から排出するように動作可能である。もう1つの実施態様では、高さ圧力による圧力が負である場合、電子制御デバイスは、動作ポンプ側正圧を所望の患者側正圧より低く設定して、患者に充填し、動作ポンプ側負圧を所望の患者側負圧より低く設定して、所望の負圧で患者から排出するように動作可能である。
【0053】
本発明の第6実施態様は、ポンプを駆動する駆動機構と、圧力センサと、患者の頭部高さによる圧力を指示する信号を圧力センサから受信し、該信号を使用して、駆動機構を作動させる動作レベルを決定するように動作可能な電子制御デバイスとを有する医療用流体装置を含む。動作レベルは、流量の最大化、および確立された少なくとも1つの圧力限度内での動作のうち、少なくとも一方の関数である。ポンプは蠕動ポンプで良く、駆動機構は、流体搬送管に対して回転する頭部を備え、動作レベルは、頭部が該管に対して回転するレベルである。
【0054】
本発明の第7実施態様は、楊送増分ごとにある流体量Vを楊送する流体ポンプで動作可能な医療用流体装置であって、混合チャンバと、異なる第1および第2流体を保持する第1および第2流体供給源と、第1端部がチャンバの入口に連通する流路と、量Vの予め決められた部分である量Pを有する流路と、流路の第2端部に配置され、第1および第2流体の流量を制御する第1および第2バルブとを有し、バルブが、(i)第1流体の量Pが流路に楊送され、第1流体の量V−Pが第2楊送増分で混合チャンバに楊送され、(ii)第2流体の量Pが流路に楊送され、第2流体の量V−Pが、第2楊送増分で混合チャンバに楊送されるように交互に配置された医療用流体装置を含む。
【0055】
混合チャンバは、流体ポンプの楊送チャンバでも良い。該ポンプは(i)ダイヤフラムポンプおよび蠕動ポンプから成る群から選択されるタイプであり、(ii)蠕動ポンプ、チャンバおよび流路がポンプ上流に位置し、および(iii)蠕動ポンプ、チャンバおよび流路がポンプ下流に位置する。
【0056】
量Pは、量Vの少なくとも実質的に2分の1であるか、または量Vに等しくて良い。バルブは、1対1比以外で第1および第2流体の混合物を生成するように制御することができる。第1増分は、完全なポンプサイクルの第1の割合を構成することができ、第2増分は、ポンプサイクルの第2の割合を構成することができ、第1および第2の割合は、第1および第2流体の望ましい全体的な比率を形成するように選択される。ポンプが蠕動ポンプである場合、ポンプ増分は、(i)少なくとも1つのローラが流体管を圧迫する時の駆動シャフトまたはローラの回転の一部分;(ii)駆動シャフトの完全な1回転;および(iii)駆動シャフトまたはローラの複数回転で良い。
【0057】
本発明の第8実施態様は、混合チャンバと、異なる第1および第2液体を保持し、混合チャンバと連通する第1および第2流体供給源と、流体ポンプと、第1および第2液体の流量を制御する第1および第2バルブとを有する医療用流体装置であって、バルブおよびポンプが、交互にチャンバに第1流体を部分的に充填し、次にチャンバに第2流体を部分的に充填して、全部ではないがある程度の第1流体をチャンバから実質的に除去するように動作可能な医療用流体装置を含む。該装置は、混合チャンバの可撓性膜部分に動作可能に結合された圧力センサを備え、該センサは、ポンプと患者の流体接続部との間の相対的な頭部高さ位置による圧力を測定する。第1および第2供給源は、混合チャンバに至る共通入口流路に一緒に結合することができる。
【0058】
本発明の第9実施態様は、複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、流体ポートの1つに接続された管であって、該管が、管内を移動する流体のpH値を指示する指示値を取得することを可能にする導電性部分を含む管と、該指示値を入力して、流体のpH値が許容可能であるかどうかを判断するように動作可能なプロセッサとを有する使い捨て式カセットを含む。導電性部分は、管の少なくとも1つの部分に結合された導電性取付具を備えることができる。この装置は、プロセッサを密閉してカセットを収容するハウジングを備えることができ、ハウジングは、導電性部分を収容して保持するように動作可能な連結器を備える。
【0059】
本発明の第10実施態様は、複数の流路と、複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、第1の流体ポートに連通する供給容器と、第2の流体ポートに連通する排出管ラインと、第3の流体ポートに連通する患者充填ラインと、供給バッグから、どのバルブチャンバが開放し、どのバルブチャンバが閉鎖しているかに応じて流体を患者充填ラインまたは排出管ラインに楊送するように動作可能な蠕動ポンプと、バルブチャンバに対して配置された空気センサであって、空気センサによって流体内に空気が検出された場合、供給容器からの流体が、患者に楊送されるのではなく、迂回させて排出できる空気センサとを有する医療用流体装置を含む。空気センサは、(i)蠕動ポンプから上流または下流に直接配置され、(ii)カセットに動作可能に結合し、(iii)供給容器をカセットに接続する供給ラインに動作可能に接続し、および(iv)第1空気センサであり、患者充填ラインに動作可能に結合された第2空気センサを備える。
【0060】
本発明の第11実施態様は、複数の流路と、複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、カセットに連通する蠕動ポンプと、流体ポートの1つに接続された患者ラインと、患者ラインが内部に配置されて保持されるからホルダーと、ホルダーと協働して、(i)患者ラインがホルダー内に配置されていない、(ii)患者ラインがホルダー内に配置されているが、流体がまだ感知可能なレベルに達していない、(iii)患者ラインがホルダー内に配置され、流体が感知可能なレベルに達していることを指示する信号を送信するセンサと、信号を入力して、該信号に基づいて少なくとも1つの決定を行うように動作可能な制御装置またはプロセッサとをを有する医療用流体システムを含む。
【0061】
本発明の第12実施態様は、透析液を楊送する際の容積測定精度を改善するためのシステムを含む。該システムは、(i)透析液を楊送する際に容積測定誤差生じる要素を特定し、(ii)該要素を隔離して、該要素と楊送される透析液の量との間の関係を実験的に判断し、(iii)実験的に判断した関係を使用して、該要素の定数Kを決定し、および(iv)定数Kと該要素の値との積によって、楊送される透析液の量を計算するための全体的な方程式を修正する装置を備える。該要素の値は、(i)測定または入力する、(ii)ダイヤフラムポンプシステムの場合、ポンプのダイアフラムの位置、ダイアフラム全体の圧力差、ダイアフラムの材料、ダイアフラムの応力および歪特性、並びにこれらの組合せから成る群から選択する、または(iii)蠕動ポンプシステムの場合、蠕動ポンプ管に対する入口圧力、蠕動ポンプ管に対する出口圧力、蠕動ポンプ管の材料、管類の温度、ポンプ頭部の磨耗、管類の寸法、およびこれらの組合せから成る群から選択することができる。
【0062】
本発明のその他の実施態様について、本明細書に示して説明する。
【0063】
したがって、本発明の利点は、透析およびその他の医療用流体療法による治療を改善することである。
【0064】
本発明のもう1つの利点は、流体ポンプシステムの精度を改善するための方法を提供することである。
【0065】
本発明のさらに他の利点は、流体ポンプシステムの信頼性および耐久性を改善するための方法および装置を提供することである。
【0066】
本発明のその他の利点は、改善された管類、改善されたカセット材料、改善された膜材料、改善された膜構成、およびカセットベースの蠕動ポンプシステムの製造方法を提供することである。
【0067】
さらに、本発明の利点は、頭部高さによる圧力を感知および補償する装置および方法を提供することである。
【0068】
さらに、本発明の利点は、複数の異なる溶液をインライン様式で混和し、追加の混合ポンプを必要としない方法および装置を提供することである。
【0069】
本発明のもう1つの利点は、カセットベースの蠕動ポンプシステムのインラインpH検出装置および方法を提供することである。
【0070】
さらに、本発明の利点は、カセットベースの蠕動ポンプシステムの空気検出および情報装置および方法を提供することである。
【0071】
さらに、本発明の利点は、カセットベースの蠕動ポンプシステムの能動的なプライミング装置および方法を提供することである。
【0072】
本発明のさらにもう1つの利点は、容積移送式ポンプ医療用流体システムを改善するための方法を提供することである。
【0073】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の「発明の詳細な説明」および図面に記載し、これらから明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
(発明の詳細な説明)
本発明は、蠕動ポンプなどのポンプを使用する医療用流体供給システムに関する。特に、本発明は、カセットベースの透析処置であって、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、何らかのタイプの持続的腎代替療法(「CRRT」)、鬱血性心不全治療、CAPD、APD(潮流理学療法を含む)、CFPDを含むが、これらだけに限らない透析処置のためのシステム、方法および装置を提供する。カセットは使い捨て式であり、一般に、1回の使用または治療後に廃棄されるため、汚染に関連する危険性が減少する。
【0075】
(医療用流体治療システム一般)
次に、図面、特に図1を参照すると、本発明の示唆は、上記タイプの治療のすべてに適用することができるが、分かりやすくするために、腹膜透析システム10による実例について説明する。図1は、動作時のシステム10および患者18を示す。後続の図面は、システム10の主要構成要素、つまり使い捨て式カセットまたはカートリッジ、およびカートリッジと共に動作する器具の詳細を説明する。明らかであるとおり、図示の蠕動タイプのシステムは、多くの場合に本発明の示唆にとって重要ではなく、このような示唆は、当業者が周知している様々なタイプの医療用流体治療システムのに容易に適用される。
【0076】
以下でさらに詳細に説明するとおり、システム10は、使い捨て式カセットまたはカートリッジ50を含む。カセット50は、流路と、バルブチャンバと、蠕動ポンプの管およびローラとを画定する。器具またはアクチュエータユニット60は、流体の量が患者18供給され、患者18から除去されるようにバルブおよびポンプを作動させる。
【0077】
カセットベースのシステム10は、患者18とバッグ14、24、22および16との間のライン12、20、32、28および54を通して交換流体量を制御可能かつ選択的に楊送する。管12は、透析液などの流体の交換量を患者18に投与し、患者18から除去するためにカセット50から提供される。供給貯留槽またはバッグ14、16および22は、患者18に投与される供給用の透析液量を含む。
【0078】
バッグ14、16および22は、各々6Lなど、任意の適切なサイズで良い。バッグ14、16および22は、それぞれライン20、54および28を介してカセット50に流体的に接続される。回収貯留槽24は、使用済みまたは消費済み透析液を患者18から回収する。システム制御バルブ26は、貯留槽22に接続されるライン28に流体的に接続される。システム制御バルブ30は、消費済み流体貯留槽24に接続されるライン32に流体的に接続される。バルブ30は、消費済み貯留槽24に対する流量を制御し、使用済み透析液が回収貯留槽24から偶発的に排出されるのを防止する。
【0079】
図示の実施態様では、システム10のカセット50は、7つのバルブ26、30、34、36、40、42および44を備えるか、または画定する。バルブ26、30、34、36、40、42および44は、バッグ14、16、22から患者18への流体の流れ、並びにバッグ24、および1つまたは複数のバッグ14、16および22に戻る流体の流れを制御する。供給バッグ14、16および22は、バッグ24と協働して排出または老廃物バッグとして2通りに使用することができる。バルブ34および36は、加熱器38に至る流体の流れを制御する。加熱された透析液が、ライン12を介して患者18の腹腔に供給されると、老廃物および毒素は、公知の方法で患者の腹膜を横断して透析液に移送される。
【0080】
上記の連通は、腹腔内において1回または複数回の交換が生じることを可能にする。最初の容積交換の時、ポンプ100は、初期量の液体を患者18から除去し、該量を当初は空の貯留バッグ24に楊送する。一実施態様では、排出バッグ24は、すべての消費済み流体を患者18から(バッグ14、16および22から開始して)収容して、消費済み流体管32からの新しい管を隔離するサイズになるように作る。
【0081】
流体の流動方向は、バッグ26、30、40、42および44、管類、カセット流路、並びにポンプ100によって制御される。ポンプ100は、ポンプの駆動または器具部分、並びに下に示す管類およびカセット部分78を意味する。一実施態様におけるポンプ100は、治療のポンプインサイクルおよびポンプアウトサイクルの両方の単一方向で駆動される。この場合、バルブ26、30、40、42および44は、流体を正しい源から正しい目的地に方向付けるように切り替わる。別法によると、ポンプ100は、バルブ26、30、40、42および44と協働して反対方向に楊送作用して、消費済み透析液を患者18から楊送する。図20、21、22、23Aおよび23B、並びに対応する本文は、治療のポンプインサイクルおよびポンプアウトサイクルを実行するようにバルブを切り替える一実施態様を良く説明している。
【0082】
何れの場合も、腹腔内において1回、老廃物および毒素は公知の方法で患者の腹膜を横断する交換量に移送される。何れの場合も、流体を患者18に供給する際、流体は、バルブ34および36を介してインライン加熱器38に楊送される。何れの場合も、流体を患者18に供給する際、流体は、バルブ34および36を介してインライン加熱器38に楊送される。インライン加熱器38は、電気プレート加熱器、赤外線加熱器、対流加熱器、放射加熱器、およびこれらの任意の組合せで良い。加熱器38を制御するための1つの制御機構は、米国特許出願第10/155,560号「Method and Apparatus for Controlling a Medical Fluid Heater」に記載および請求されており、該出願の全体的な内容は、引用することにより本明細書に援用する。
【0083】
一実施態様におけるシステム10は、ゼロ〜約500万L/分の流量で楊送することが可能な蠕動ポンプ100を使用する。ポンプ100は、供給バッグ14、16および22の各々から順に、または混和の場合は、バッグ14、16および22の2つ以上のバッグから同時に楊送することができる。どの供給バッグが活動状態であるかを判断するために使用されるバルブは、ユニット60内に収容される機械的、電気的、電子機械的または空気圧アクチュエータを介して選択的かつ自動的に作動される。
【0084】
次に、図2および3を参照すると、アクチュエータユニット60の様々な図または部分が示されている。図2に示すように、ユニット60は、使い捨て式カセット50と共に動作する。図3では、カセット50は、ユニット60内のアクチュエータのいくつかを露出させるために取り外されている。図4〜7は、カセット50をより詳細に示す。ユーザ(患者または介護者)は、コントロール62および64、並びにタッチスクリーンまたはタッチパッドで動作可能なディスプレーパネル66を介してモータ/バルブアクチュエータユニット60の動作を制御する。アクチュエータ60は、音声ガイダンスおよび/または音声起動を使用することもできる。
【0085】
移動可能なリッド70は、カセット50をモータ/バルブアクチュエータユニット60の表面108に対して所定の位置に保持し、治療セッションの間使い捨て式カセット50を取り付けて、その後廃棄することを可能にする。そのため、一実施態様におけるカセット50は、プラスチック、または容易に殺菌可能なその他の適切な使い捨て可能な材料から製造される。
【0086】
図7のカセット50の底面図に示すように、管32、68、20、54、28および12は、一実施態様における使い捨て式カセット50が設けられ、治療前に、任意の適切な装置および方法によって、それぞれバッグ24、加熱器38、供給バッグ14、16および22に取り付けられる。そのため、クランプおよび/または先端コネクタ/プロテクタには、様々な周辺装置に対する殺菌流体の接続を容易にするため、管32、68、20、54、28および12の1つもしくは複数、または全部が設けられる。
【0087】
図4は、カセット50がバルクヘッドポート118〜130を画定または含むことを示す。これらのポートは、それぞれ管32、68、20、54、28および12に結合される。カセット50およびポート118〜130は、一実施態様ではアクリル系である。管32、68、20、54、28および12は、一実施態様では超高分子量のポリ塩化ビニル(「UHMWPVC」)である。これらの材料は、シクロヘキサノンおよびメチルエチルケトン(MEK)などの溶剤を介して容易に溶剤結合される。溶剤は、ポートおよび管の表面を部分的に溶解させるため、これらの間に化学結合を形成し、容易に密封および減菌される強力な接続部が形成される。
【0088】
管32、68、20、54、28および12は、カセット50の外側に延在する。図4、7、8および9Aに示すように、変形可能な管76はカセット50の内部に延在する。図8および9Aは、図4および7にも示されているカセット50のポンプケーシング部分78を強調している。図9Aは、図8の線IX−IXに沿って見た図8の断面図である。
【0089】
管76は、ほぼ平坦であり、カセット50の他の部分と平行なループを形成する。管76のループ部分の外面は、カセット50のポンプケーシング78内に設けられている類似形状の支持表面74に接触して当たっている。表面74は、ポンプローラ80と協働して、管76を圧縮する。
【0090】
(蠕動ポンプローラの材料)
ポンプ100は、可変数のポンプローラ80を備える(3つ示す)。ローラ80は、任意の適切な金属、プラスチック、複合材料、またはその他の材料から製造され、一実施態様では、繊維強化材料から製造される。一実施態様では、材料は、繊維強化ポリアセタール(「POM」)である。別の実施態様では、材料は、繊維強化高密度ポリエチレン(「HDPE」)である。繊維はカーボン、ステンレス鋼、KEVLARQD、高分子量のポリエチレン、およびこれらの任意の組合せまたは誘導体で良い。繊維は、たとえば1〜50質量%などの任意の割合で供給することができる。
【0091】
各々のローラ80は独立軸82の周囲で回転し、変形可能な管76によって形成されるループ内に位置する。一実施態様では、ローラおよび対応するリンク機構(図8および9)は互いに同じである。駆動スピンドルまたはシャフト84は、ローラ80が周囲を回転する軸82に実質的に平行な軸の周囲で回転する。駆動シャフト84は、シャフトがローラ間に挿入された場合、ローラ80を分離する、つまり外側に押す。駆動シャフト84は、ローラ80を外側に圧迫する楔として作用し、それによって、図9Aに見られるように、変形可能な管76を部分78の支持表面74に対して圧迫する。
【0092】
駆動シャフト84は、ローラ80を管76および表面74に対して摩擦によって駆動する。一実施態様では、各々のローラ80は、軸82の周囲に円筒状リング86および88を備え、これらのリングは駆動シャフト84に接触して摩擦を生じる。ローラ80の支持表面90は、一実施態様では凸状またはバレル形であり、管76に接触して圧迫する。もう1つの実施態様では、支持表面90は平滑であり、実質的に円筒状または直線状の断面である。
【0093】
蠕動ポンプ100のポンプケーシング78は、基部92(図9A)、および基部92上にスナップ嵌合または圧着するカバー(図示しない)を備える。カセット50は、中空雄要素96および98も含むかまたは画定し、これらの要素には、変形可能な管76が、圧着または溶剤結合などの適切な方法によって密封接続される。
【0094】
図4および7に示すように、一実施態様では、ローラ80はハウジング94内に収容される。ハウジング94は、ローラ80を互いに分離し、回転可能に固定されるように各々のローラ80を保持する。ハウジング94およびローラ80は、駆動シャフト84が存在しない場合に、管76がローラ80を内側に互いの方向に押す寸法に作られる。つまり、反作用力が存在しない場合、管類76は、ローラ80を内側に弾性的に押す。図示の実施態様では、ポンプ100は、ローラ80と管類76との間の適切な摩擦に頼って、ローラを適切に移動させ、医療用流体を適切に楊送する。3つのローラ80が示されているが、任意の適切な数のローラ80を設けて良い。
【0095】
図8および9Aに示すとおり、駆動シャフト84を挿入すると(図3にも示す)、ローラ80は対側に半径方向に分離し、管類76をケーシングの支持表面74とローラの支持表面90との間に完全に圧縮する。このような圧縮は、ローラ80の各々における複数の場所で管類76を完全に塞ぐ。この圧縮は、ローラ80および駆動シャフト84上にも力を加える。したがって、駆動シャフト84が、モータ/バルブアクチュエータユニット60内に位置するモータによって回転する場合、ローラシャフト84およびローラ80は可逆的であっても可逆的ではなくもて良いし、流体が楊送される方向を決定しても、決定しなくても良い。
【0096】
(蠕動ポンプの正駆動係合および離脱)
次に、図9B〜9Dを参照すると、直接または正駆動蠕動ポンプ250の一実施態様が示されている。上記のとおり、ポンプ100は、ローラ80と管類76との間の適切な摩擦に頼って、ローラを移動させ、医療用流体を適切に楊送する。ポンプ100は、使い捨て式カセット50のユニット60への装填、およびユニット60からの取り外しを単純化する。しかし、ポンプ100の摩擦駆動は、(i)カセット50およびユニット60内における粒子の生成および蓄積(「PE」)、および/または(ii)駆動シャフト84とローラ80および/またはローラ80と管76との間の摩擦滑りによる精度の欠如を生じる場合がある。直接駆動ポンプ250は、PEおよび潜在的な不正確さをなくすのに役立つ。
【0097】
ポンプ250は、たとえば3つなどの可変数のローラ280を備える。ローラ280は、上記のとおり、適切な金属、プラスチック、複合材料またはその他の材料から製造され、一実施態様では、繊維強化材料から製造される。ローラ280は、変形可能な管76(図4、7および8に示す)によって形成されるループ内に位置する。各々のローラ280は、ピン282の周囲で回転する。ピン282は、自己潤滑性材料から製造され、円筒軸受けとしても機能する。別法によると、ローラまたは玉軸受け(図示しない)は、摩擦を減少させるために、ローラ280とピン282との間に配置される。さらに他の別法によると、ピン282はローラ280と一体であり、ローラ280と共に回転する。一実施態様では、ローラ280は、ピン282と同様に互いに同じである。ローラ280およびピン282は、中心線286の周囲に均一に、たとえば120°離して配置される。
【0098】
上記のポンプ100のシャフト84は、摩擦によってローラ80を回転させる駆動スピンドルである。一方、瞬間ポンプ250のシャフト284は、ローラ280を駆動しない。むしろ、シャフト284は、ローラ280のためのスペーサおよび安定器として作用する。シャフト284は、ピンがハウジング294に十分に固定されている場合は不要である。あるいは、シャフト284は、設けることはできるが、ローラ280に接触しないか、または緩やかに接触させる。シャフト284がローラ280に接触している限り、シャフトは自己潤滑性である。シャフト284および/またはローラ280は、スロットまたは溝を付けて、これらの間の表面接触量を減少させることができる。
【0099】
ローラ280は、ハウジング294内に収容される。図示の実施態様におけるハウジング294は、基部292、および基部292にスナップ嵌合または圧着するカバー296を備える。ハウジング294の基部292およびカバー296は協働して、ピン282によってローラ280を互いに分離し、各々のローラ280を回転可能に固定されるように保持する。ピン282がシャフト284上に挿入されると、シャフト284もローラ280を分離状態に保つ。
【0100】
一実施態様では、半径方向に延在するスロットは、基部292およびカバー296内に設けられる。ピン282およびローラ280は、基部292およびカバー296に対して半径方向内側および外側に移動することができる。この場合、上記と同様、ハウジング294およびローラ280は、シャフト284が存在しない場合、管76がローラ280を内側に互いの方向に押す寸法に作られる。つまり、つまり、反作用力が存在しない場合、管類76は、ローラ80を内側に弾性的に押す。シャフト284は、円錐端部288を備える。ローラ280の間に挿入されると、円錐端部は、ローラ280を半径方向に互いから離れるように押し、その結果、シャフト284は最終的に、管76をケーシングの支持表面とローラ280との間に完全に圧縮する。以前と同様、このような圧縮は、ローラ280の各々において管76を完全に塞ぐ。
【0101】
別法による実施態様では、基部292およびカバー296にスロットが形成されないため、ピン282およびローラ280は、基部292およびカバー296に対して半径方向内側および外側に移動することができない。この場合、上記と異なり、ハウジング294およびローラ280は、シャフト284が存在しない場合に、管76がローラ280を内側に互いの方向に押さない寸法に作られる。したがって、シャフト284は、ハウジング294の基部292およびカバー296、並びにピン282が十分に堅固である場合は省略して良い。この場合、ピン282を配置すると、ケーシングの支持表面とローラ280との間に管76を完全に圧縮し、その結果、管76は、ローラ280の各々において完全に閉塞する。
【0102】
図9Bおよび9Cに示すように、カセット50がユニット60内に配置されると、ピン282は、溝プレート260の溝262内に嵌合する。溝プレート260は、たとえば止めねじ264、または等業者が周知しているその他の方法によって、モータ270のシャフト272に結合される。溝プレート260は、モータ270のシャフト272に直接結合されているように示されているが、ベルトおよびプーリまたは比歯車組立体を代わりに使用して良い。図示の実施態様では、プレート260およびシャフト284間の摩擦は、玉軸受け274などの軸受けをシャフト284とプレート260との間に配置することによって減少する。
【0103】
図9B、9Cおよび9Dに示すように、溝262は、傾斜ストップ266によって分離される。これらのストップ266は、各々のピン282に1つ設けられる。ストップ266は、ピン282と同様、中心線286の周囲に、たとえば120°離して配置される。傾斜ストップ266は各々、実質的に垂直な面および傾斜面268を備える。傾斜面268は、自己整列を可能にする。ピン282が傾斜面268に対して圧迫されると、溝プレート260および/またはピン282が回転し、ピン282はプレート260の溝262の底を付く。この時点では、カセット50、ピン282およびローラ280は、ユニット60およびプレート260内に垂直に係止される。モータ270およびプレート260は、ピン282およびローラ280に対して回転し、ストップ266の垂直面がピン282に当接する。この時点では、ピンは、プレート260のストップ266に対して係止され、その後、モータ270は、ピン282、ローラ280、および管76を通る流体を正駆動することができる。プレート260はローラ280を中心線286の周囲で回転させるので、ローラ280と管76との間の摩擦によって、ローラ280はピン282の周囲で個々に回転する(あるいは、ローラ280およびピン282は、ハウジング294内で共に一体的に回転する。図9B〜9Dの実施態様は一方向だが、詰まりの解除を促進するのに必要な場合、双方向モータを使用することができる。
【0104】
次に、図9Eおよび9Fを参照すると、別法によるポンプ290および310が示されている。ポンプ290および310は共に、ポンプ250と同様に正駆動ポンプである。また、ポンプ250と同様、ポンプ290および310は、たとえば3つなどの可変数のポンプローラを備える。ローラ280は、上記と同様、任意の適切な金属、プラスチック、複合材料またはその他の材料から製造され、一実施態様では、繊維強化材料から製造される。ローラ280は、変形可能な管76(図4、7および8に示す)によって形成されるループ内に位置する。各々のローラ280は、ピン302(ポンプ290)、322(ポンプ310)の周囲で回転する。ピン302、322は、自己潤滑材料から製造され、円筒軸受けとしても機能する。別法によると、ローラおよび玉軸受け(図示しない)は、摩擦を減少させるために、ローラ280とピン302、322との間に配置される。さらに別法によると、ピン302、322はローラ280と一体であり、一緒に回転する。一実施態様では、ローラ280は、ピンと同様に互いに同じである。ローラ280およびピン302、322は、中心線286の周囲に均一に、たとえば120°離して配置される。
【0105】
ポンプ290および310は、ローラ280を駆動しないシャフト284も備える。代わりに、シャフト284は、ローラ280のためのスペーサおよび安定器として作用する。シャフト284は、ピン302、322が、ポンプ290、310の個々のローラおよびピン組立体300、320内に十分に固定されている場合は不要である。あるいは、シャフト284は、設けることはできるが、ローラ280に接触しないか、または緩やかに接触させる。シャフト284がローラ280に接触している限り、シャフトは自己潤滑性である。シャフト284および/またはローラ280は、スロットまたは溝を付けて、これらの間の表面接触量を減少させることができる。
【0106】
上記のとおり、ローラ280は、ポンプ290、310の個々のローラおよびピン組立体300、320内に収容される。組立体300、320は、ポンプ250の複数部分のハウジング294に取って代わる。図9Eの組立体300は、上部304および下部306を含む。組立体300の上部304および下部306は協働して、ピン302によってローラ280を互いに分離し、各々のローラ280を回転可能に固定されるように保持する。ピン302がシャフト284上に挿入されると、シャフト284もローラ280を分離状態に保つように作用する。同様に、図9Fの組立体320は、上部324および下部326を備える。組立体320の上部324および下部326は協働して、ピン322によってローラ280を互いに分離し、各々のローラ280を回転可能に固定するように保持する。
【0107】
一実施態様では、上部304、324および下部306、326内に、半径方向延在するスロットが設けられる。ピン302、322およびローラ280は、上部304、324および下部306、326に対して半径方向内側および外側に移動することができる。上部304、324、下部306、326、およびローラ280は、シャフト284が存在しない場合は、管76がローラ280を内側に互いの方向に押す寸法に作られる。つまり、反作用力が存在しない場合、管類76は、ローラ80を内側に弾性的に押す。シャフト284は、やはり円錐端部288を備える。円錐端部288は、ローラ280の間に挿入されると、ローラ280を半径方向に互いから離れるように押し、その結果、シャフト284は最終的に、管76をケーシングの支持表面とローラ280との間に完全に圧縮する。以前と同様、このような圧縮は、ローラ280の各々において管76を完全に塞ぐ。
【0108】
別法による実施態様では、上部304、324、下部306、326にはスロットが形成されていないため、ピン302、322およびローラ280は、上部304、324および下部306、326に対して半径方向内側および外側に移動することができない。この場合、上部304、324、下部306、326、およびローラ280は、シャフト284が存在しない場合、管76がローラ280を内側に互いの方向に押すことはない。したがって、シャフト284は、上部304、324、下部306、326、およびピン302、322が十分に堅固である場合は省略して良い。ピン302、322を配置すると、ケーシング78の支持表面とローラ280との間に管76を完全に圧縮し、その結果、管76は、ローラ280の各々において完全に閉塞する。
【0109】
ポンプ250と異なり、ポンプ290、310の組立体300、320のピン302、322は、ポンプ290、310のそれぞれの駆動プレート305、325内に延在しない。ピン302、322は、代わりにローラ280を個々の組立体300、320内に回転可能に保持する。むしろ、駆動プレート305、325の嵌合歯308、328と組立体300、320の下部306、326との間に、直接駆動接合部分が生じる。
【0110】
駆動プレート305、325は、ポンプ250の溝プレート260と同様の目的に役立つ。駆動プレート305、325は、たとえば止めねじ264、または等業者が周知しているその他の方法によって、モータ270のシャフト272に結合される。駆動プレート305、325は、モータ270のシャフト272に直接結合されているように示されているが、別法によるとおよびプーリまたは比歯車組立体を代わりに使用して良い。上記のとおり、駆動プレート305、325とシャフト284との間の摩擦は、玉軸受け274などの軸受けをシャフト284と駆動プレート305、325との間に配置することによって減少指される。
【0111】
ポンプ290の場合、カセット50がユニット60内に配置されると、駆動プレート305の歯308は、組立体300の下部306の歯308と嵌合する。図示の実施態様では(図9E)、歯308は、側部が約45°傾斜する適合する形状、たとえば三角形である。三角形の歯は、駆動プレート305と組立体300との間に、迅速に装填される自己調節接合部分を形成する。カセット50およびローラ280が、ユニット60内に垂直に係止されると、嵌合する歯308も、自己調節的に互いに係止する。その後、モータ270は、駆動プレート305、組立体300、ローラ280、および管76を通る流体を能動的に移動させることができる。組立体300が、ローラ280を中心線286の周囲で回転させると、ローラ280と管76との間の摩擦によって、ローラ280は、個々にピン302の周囲で回転する(あるいは、ローラ280およびピン302は、組立体300内で一体的に回転する)。モータ270は双方向モータであり、ローラ280を中心線286の周囲で2方向に駆動させることができる。
【0112】
ポンプ310の場合、カセット50がユニット60内に配置されると、駆動プレート325の歯328は、組立体320の下部326の歯328と嵌合し、互いに係止するまで自己調節する。図示の実施態様では(図9F)、歯328は丸みのあるU形であり、丸みがあるか、または円形端部を有する垂直縁部を含む。
【0113】
その後、モータ270は、駆動プレート325、組立体320、ローラ280、および管76を通る流体を能動的に移動させることができる。組立体320がローラ280を中心線286の周囲で回転させると、ローラ280と管との間の摩擦によって、ローラ280はピン322の周囲で個々に回転する(あるいは、ローラ280およびピン302は、組立体320内で一体的に回転する)。モータ270は双方向モータであり、ローラ280を中心線286の周囲で2方向に正駆動させることができる。
【0114】
U形の歯328も、駆動プレート325と組立体320との間に、比較的迅速に装填される自己調節接合部分を形成する。歯328は、垂直に接合する駆動面を有し、歯308よりも側方に推進して、垂直の力ベクトルを生成せず、摩擦およびPEを減少させる。U形の係合は、ポンプ290の傾斜付き歯308より確実かつ正確である。その結果、ローラ308を駆動させるのに必要な力の量、およびモータ270から必要なトルクが減少する。
【0115】
図9Gは、ポンプ310の組立体320の分解図を示す。ポンプ250に関する上記で分かるとおり、ハウジング294は、互いにスナップ嵌合する2つの部分292および296を必要とする。この構成は、より正確な工具製作、製造および組立体を必要とする。一方、上部324および下部326は、組立体320の本体330として一体に成形される。本体330の上部324および下部326は各々、適合するスロット332を確定する。各々のスロットは、ローラ280に一体に、または回転可能に結合されるピン322を収容する。スロット332は、ピン322がスロット332内にスナップ嵌合し、組立体320を容易に形成することができるように、刻み目または戻り止めを画定する。スロット322は、必要に応じてローラ280を離間位置する。ポンプ290の組立体300は、歯308対歯322以外、組立体320に類似している。
【0116】
(蠕動ポンプの管材)
管類76は、(i)ローラ80と表面74との間に捲縮される、(ii)ローラ80によって転動する、および(ii)その後膨張して、正しい量の応力が加わることを理解するべきである。また、こうした管類の性能は、正確さ、信頼性および耐久性の転で、医療用流体療法にとって重要である点も理解するべきである。
【0117】
本発明の1つの主な態様は、蠕動ポンプ用途のための新しい管類を提供することである。新しい管類は、たとえば管32、68、20、54、28および12を通るような図1に示されている回路または管類ラインのいずれかに使用することができる。特に、本発明の管類は、管76に良く適しており使用され、ローラ80と表面74との間に接触し、圧縮される。このため、説明の他の部分は管類76について言及しているが、この管類は、上記の管、回路または回路部分の何れにも使用することができる。
【0118】
改善された蠕動ポンプの管類は、公知の蠕動ポンプのシリコーン管類に代わって、比較的良好な品質、および競争力がある価格、つまり比較的低価格を提供する。本発明の改善された管類は、以下の材料の何れか1つ、または全部から製造される:高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセン−触媒超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)およびポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、並びにこれらの組合せ。上記の材料は、以下の表2および3に示すように蠕動ポンプの応力が加わった場合、単独で、または組み合わせて、標準のシリコーンに対して望ましい性質を示す。
【0119】
管類76は、バルクヘッドポート96および98を介して、たとえば機械的な接続具によって使い捨て式カセット50に組み立てられる。管類は、別法によるとカセットから押し出されるか、カセットに成形されるか、カセット50に押し出し成形されるか、カセット50に結合されるか、カセット50に無線周波(「RF」)シールまたはヒートシールされるか、カセット50にレーザ溶接または取り付けられるか、さもなければ、上記の何らかの組合せによって取り付けられる。溶剤結合は、カセットを大規模に製造する際に、費用効果の高い方法を提供するため、特に望ましい。
【0120】
特に、PVC、UHMWPVCおよびPUは、カセット50に容易に溶剤結合され、カセット50は、一実施態様ではアクリル系だが、別法によるとポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)、PVCおよびUHMWPVCである。カセット50および管類76は、カセット50および管類76は、EtOまたは放射線によって減菌される。EPDMおよび低PEシリコーンは共に、カセットに摩擦嵌合される。この場合、EtO減菌流体は、低PEシリコーンおよびEPDM管類の壁暑を通って浸透し、管類/カセットの接合部分に減菌状態を確立する。PUは、カセットポートに溶剤結合または摩擦嵌合される。
【0121】
カセット50は、図4〜7に示す剛性壁部または部分を含む。これらの剛性部分は、管類76と同じ材料で製造するか、または異なる材料で製造することができる。次に、これらの剛性部分に取り付けられた管類および/またはカセットは、任意の適切なプロセス、たとえば酸化エチレン(「EtO」)洗浄、またはγ放射線もしくは電子ビーム放射線などの放射線によって減菌することができる。
【0122】
管類76は、使用前に棚に置かれている、つまり保管されているが、管類および対応するカセットは、必要な機能性、減菌状態および完全性を満たし、これらを維持しなければならない。上記の管材は、圧縮永久歪、管類の可撓性、並びに直径の均一性、および壁厚の整合性などの性質の点で、望ましい平衡状態を提供するため、こうした用途に良く適している。これらの性質の各々は、少なくともある程度までは、流量精度および管の破砕に影響を与える。本発明の管76に使用される管材の性質は、結果として得られる流体量を正確にするか、または正確にするのに役立つ。これらの性質は管の破砕も最小限にし、粒状物質(「PM」)を減少させる。
【0123】
流量精度および低PMは、予め混合された透析液を患者に供給する場合、図1に関連して上記で述べたように重要な要素である。さらに、腹膜透析など、ある治療法では、溶液の処方によっては、混合形態で長期にわたって保管することはできない。こうしたある状況は、1種類の溶液のpHが低く、第2溶液のpHが高い場合に生じる。このような場合、個々の溶液は、使用箇所および/または使用時点で、あるいはその付近で混合しなければならない。これらの溶液は、たとえば1対1の比率で混合し、望ましい生理学的レベルであるpHを有する全体的な溶液を生成する。流量精度および低PMは、このような溶液を一緒に混和する場合、2つの重要な要素である。
【0124】
さらに、上記の何れかのタイプを含む何らかのタイプの腎臓治療法の場合、流体を正確に患者18に注入すると共に患者18から排出し、体内の流体を適切に平衡させることが重要である。本発明の蠕動ポンプの管類は、治療全体に正確な流体量を達成するのみならず、混和の際のpHが極端な状況で、かつ極端な頭部高さ、たとえば+.5m〜−.5mでも正確な流体量を達成し、逆の場合も同様である。さらに、管類は、4℃〜40℃などの広範囲にわたる温度範囲での正確な流体量に備えている。このような状態では、管類およびカセットは、溶液成分を正確に混和し、混合溶液を患者18に適切に注入し、消費済み流体を患者から排出する。同時に、管材は、24時間以下の動作時間全体で破砕を少なくし、その結果、患者18に対するPMが減少する。
【0125】
表1は、本発明の蠕動用途に適する管材の様々な性質または特性を示す。このリストは実例として示すもので、網羅的ではない。表1の重要な特徴のいくつかを簡単に要約すると、本発明の管類は、50〜85の範囲のショアA硬度を有することに注目するべきである。これらの管類は、73℃で22時間における管類で30%〜65%の圧縮永久歪を有することを示す。これらの管類は、110〜480in−lb/inの範囲の引裂抵抗を有することも示されている。SIPLA A/S (ASICOMO)、硬化過酸化シリコーンは、先ず、本発明の他の管材と比較するための対照材料として列挙されている。
【0126】
【表1】
蠕動ポンプに関して、上記の材料は、長期にわたって、減菌剤の存在下において形状および寸法を保持する。つまり、老化および減菌は、管類の形状、管類の長さおよび壁厚に対して無視できるか、さもなければ許容可能な衝撃を与える。さらに、本発明の管材は、蠕動ポンプのローラ80を収容し、該ローラが上記のとおり摩擦的に動作することを可能にするのに適する表面摩擦係数を有する。このような動作時の管類は、治療単位全体にわたって許容可能な衝撃および引裂抵抗を示す。
【0127】
蠕動ポンプに関する上記の管材は、使用する流体に対して優れた生体適合性、および低い毒性および抽出性を示す。EPDMおよびUHMWPVCは特に、高知のシリコーン管類が示すレベルより実質的に少ない割合、たとえば2%のPMを有する。EPDMは、pHが低い溶液、たとえば混和用途に使用される溶液にも特に適する。さらに、PU管類は、蠕動ポンプに良好な耐摩耗性を示す。
【0128】
上記の各々の管材は、シリコーンに比べて容易に押し出される。こうした押し出しは一貫した管類直径および壁厚を生じ、流量精度を高める。これらの材料は、圧縮永久歪と可撓性との平衡が保たれ、管類は比較的容易に圧縮し、適切に閉塞する結果、正確な量が楊送される。また、一貫した管類の寸法および材料の性質によって、楊送サイクル全体において流量出力が変化する割合が低くなる。極端なpHに耐える能力によって、材料は、センターまたは家庭におけるPD、血液透析、血液濾過および血液透析濾過用途にも良く適する。管材は、広範囲にわたる温度、極端な頭部高さ、極端なpHレベルで12時間以下にわたって、楊送応力が加わった場合、低いPMおよび高い流量精度を達成することも分かった。
【0129】
以下に、低pHの調査および高pHの調査からの結果を列挙する2つの表、つまり表2および3を示す。各々の調査には、3回の実験が含まれていた。各々の調査では、一般に蠕動ポンプに使用される標準シリコーンを、本発明の比較的好ましい材料の2つであるEPDMおよびUHMWPVCと比較した。実験は、このように高いpHおよび頭部高さレベルで合計約12時間にわたって行われ、管類には、蠕動ポンプ頭部から連続的な力および応力を加えた。
【0130】
これらの表は、本発明の管材が、公知の管類と比べて多くの利点を提供することを示す。コストの点で、標準シリコーンと少なくとも匹敵するほか、実験した管材は、1.8〜9.2のpHレベルで、比較的低いPMを示した。管材は、4℃〜40℃で高度の流量精度を示した。この材料は、±0.5mという極端な頭部高さで高度の流量精度を示し、全体的な頭部高さの変化は1mだった。
【0131】
この表は、EPDMおよびUHMWPVCが、30分および250分でも、蠕動ポンプの流量精度に関して、公知のシリコーンより良好に機能することを示す。各々の実験の最後の時間の項目は、頭部高さが、ある極値から別の極値に、たとえば+0.5mから−0.5mに、およびこの逆に直ちに変化した場合の精度を示す。テスト結果は、EPDMおよびUHMWPVCが、頭部高さを逆にした後、公知のシリコーンより良好に機能したことを示す。これらの結果は、表1では2という低いpHで一貫しており、表2では、9という高いpHで一貫している。当然、EPDMおよびUHMW−PVCは、広範囲にわたるpHレベル、供給源の頭部高さ、およびユーザの温度にも関わらず、長時間にわたる流量の変化は10%未満であることを示した。各々の表の3回の実験は管類の同じ部分で実行され、その結果が、12時間の治療時間全体で感知できるほど減少しないことを示す。
【0132】
以下に示すように、流量精度は、患者18内に注入された流体の量、および患者18から取り出された流体の量に基づく。精度は少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは99%である。つまり、充填および排出サイクルでは、患者に注入される流体の量、および患者から取り出される流体の量は、互いに90%の範囲内、好ましくは互いに95%の範囲内、最も好ましくは互いに99%の範囲内である。以下に示す精度データは、上記のタイプの流量精度、つまり1回の治療サイクルで、患者18に注入され、患者18から取り出される流体の量を反映している。
【0133】
一実施態様では、本発明の管類によって達成される流量精度は、他の方法で評価した場合、同じ精度レベル(たとえば、少なくとも90%)を達成する。その他のある方法では、患者から排出される量、および供給バッグから取り出され、患者に供給される最初の治療用の量は、少なくとも90%同じ、好ましくは少なくとも95%同じ、最も好ましくは少なくとも99%同じである。一般に、PD療法を受けようとしている患者は、患者の腹膜内に存在する流体の「最終充填」量を有する。この「最終充填」量は、治療の開始時に除去され、その後、新鮮な透析液の最初の量が患者に供給される。この第2のタイプの精度は、これらの2つの流体の量または総量を意味する。
【0134】
もう1つの実施態様では、複数サイクルを含み、たとえば9時間にわたって行われる治療全体で、患者18に供給される流体の合計量、および患者18から除去される合計量は、少なくとも90%同じ、好ましくは少なくとも95%同じ、および最も好ましくは少なくとも99%同じである。管類の特性は、複数回のサイクルおよび何時間もの間に変化し、その結果、後のサイクルでは、最初の頃のサイクルに比べて、患者18に供給される流体は減少する。相応して、後のサイクルで患者18から除去される流体は、管類の特性の変化によって、最初の頃のサイクルより減少する。供給量の変化は、注入される流体と除去される流体とでほぼ同じであり、上記の精度限度内で供給される流体の全体的な正味平衡状態が維持される。
【0135】
【表2】
*高さは、この時点で、最初の高さから2番目の高さに変更した。
【0136】
【表3】
*高さは、この時点で、最初の高さから2番目の高さに変更した。
【0137】
(カセットの改善)
次に、図6、7および10〜15を参照すると、カセット50、可撓性膜102、およびカセット50に対する膜102の取付具が示されている。図6は、膜102を取り外した上体のカセット50を示す。図7は、膜102を取り付けた上体のカセット50を示す。図6および7は共に、カセット50(溝)および膜102の両方によって画定される膜の形状134を示す。上記のとおり、カセット50および膜102は、好ましい一実施態様では互いに音波溶接されるため、このような密封シールに適合する材料から製造する。別法によると、膜102は、カセット50に機械的にシールすることができる。この場合、機械的な力は、膜102の周囲134に沿って加えられ、周囲134には、一実施態様ではシールフランジまたは突出部が設けられる。
【0138】
図12〜14は、膜102をカセット50に機械的にシールするための改善された1つの装置を示す。機械的な取付けでは、上記のPVC膜と異なり、ケイ素材料を膜102に使用する。ケイ素は、一般的に、PVCより可撓性である。図12は、改善された保持リング136を示し、保持リング136は、膜102、およびカセット50の周囲の両方に共通な形状134で製造される。改善された保持リング136は、係止部材138、140、142および144を含むか、または画定する。係止部材138、140、142および144はそれぞれ、カセット50によって画定される開口148、150、152および154内にスナップ嵌合または圧着される。同様に、別法による膜102は、開口158、160、162および164を画定し、部材138、140、142および144は、これらの開口を通ってそれぞれ挿入されて、保持リング136とカセット50との間に膜102を係止する。
【0139】
改善された保持リング136、対応する膜102およびカセット50によって、膜102は、密封ではないにしても固定されて所定の場所に保持され、カセット50は、アクチュエータユニット60に搬送されて使用される。このようにして、カセット50は機械的に予め組み立てることができるため、オペレータは、カセット50をシステム10のアクチュエータ60内に実装する時に、膜102をカセット50および密封リングと整列させる必要はない。
【0140】
改善された保持リング136、膜102およびカセット50によって提供される組立体は、従来のカセットより堅固であり、取り扱い、搬送および治療装置により良く適している。さらに、組み立てられた構造は不正な開封が分かるようになっている。一実施態様では、部材138〜144は、カセット50内の所定の場所に永久的に係止されるため、剛性のプラスチック部品136または50は、修正または手を加えるには、カセット50からリング136を引き離さなければならないであろう。
【0141】
一実施態様では、改善された保持リング136はカーボンファイバ強化ポリカーボネート、またはカーボンファイバ充填ポリカーボネートである。部材138〜144は、輪郭を狭めると、組立て時にリング136を所定の場所に案内するのに役立つ。スナップ嵌合組立体によって、膜102に対するリング136、およびカセット50内の対応する溝134の位置が適切に整合し、搬送および取り扱い時に、確実にこの状態を維持する。
【0142】
4つの係止部材が示されているが、任意の適切な数のスナップ嵌合部材および対応する開口を設けることができる。さらに、膜102の周囲は、リング136から下方に、かつカセット本体50から上方に延在する突出部を収容する形状およびサイズにすることができる。リング136および本体50が互いにスナップ嵌合すると、膜102の周囲に沿って圧迫点が形成され、シールを強化する。膜102の周囲134は、膜102と剛性部分136および50との間のシール表面が最大になるように輪郭を形成して賦形することも可能である。
【0143】
上記のとおり、膜102は、カセット50に機械的、化学的、または音響的に結合してシールすることができる。カセット50に超音波溶接されたPVC膜は、機械的シールに対して望ましい密封シールを形成する。密封シールは、カセット50を製造する時に、流体の漏れが存在しないことを保証する。膜102とカセット50との間のシールのタイプの関係なく、図6に最も良く示されているように、カセット50条のシールリブ176をできるだけ拡大することが望ましい。シールリブ176は、カセットの流路、たとえば図6に関連して上記で述べた流路114を画定するのに役立つ。シールリブ176は、カセット50が、図2に示すようにアクチュエータユニット60内に実装されて、組立体50を形成する場合、図3に示すアクチュエータ60の膜102および表面108をシールする。カセット50は、表面108に対して機械的に圧着され、膜102をリブ176に対して圧縮し、カセット50が実装された時にカセット50の下面に位置する流路を完成する。
【0144】
適切にシールするためには、シールリブ176をできるだけ広くすることが望ましい。たとえば、リブ176の幅は、.010in(254mm)から、約.015in〜約.030in(.038mm〜約.076mm)の範囲まで増加させることができる。拡大されたシールリブは、多くの利点を提供する。上記の最初の利点は、機械的または化学的シールの改善である。第2の利点は、膜102をリブ176に対して、かつリブ176に沿って超音波シールした場合に生じ、拡大したリブは、こうしたプロセス時に生成される熱に比較的良く耐えることができる。第3に、カセット50を製造するプロセスは、一実施態様では、射出成形プロセスである。このプロセスでは、既存のリブなどの極薄部材を拡大して、比較的厚いリブ176を形成する場合に、より正確かつ一貫した部品が得られる。
【0145】
図6は、本発明のカセット50におけるもう1つの改善点を示す。この場合、リブ176aおよび176b(仮想線で示す)は、以前は曲線状だった従来のリブが、現在は直線状になっていることを表す2つの例を示す。以前存在した曲線状のリブをシールするより、膜102に対する直線の側部をシールする方が容易である。直線状になったか、または平坦になったリブ176aおよび176bは、膜102が機械的、化学的、または音響的にリブ176aおよび176bにシールされる多くの状況で有利である。したがって、カセット50の何れかのリブ176によって画定される何らかの密閉ループの鋭利な縁部または曲線を平滑化または平坦化することは、可能かつ実際的である場合、本発明で明確に意図している。
【0146】
図11A、11Bおよび15は、膜をカセット50に超音波シールするための改善された膜102を示す。1つの改善点は、図11Aおよび11Bに示す。これらの図面は、それぞれ、膜102の連結器132に対して係合および離脱位置におけるバルブアクチュエータ104を示す。図7および10には、参考としてバルブ26、44、36、30および42に固有の連結器132も示す。バルブ26、44、36、30および42の各々に、バルブアクチュエータ104が存在し、係合フランジ132は、これらのバルブの各々に設けられている。図4および6では見えにくいが、カセット50は、図11Aおよび11Bに示されているバルブの環状壁部146によって、バルブ26、44、36、30および42を画定する。バルブの1つを閉鎖する場合、アクチュエータ104はそれぞれの連結器132に係合し、連結器および膜102を環状壁部146の縁部に対して押す。バルブの1つを開放する場合、アクチュエータ104は、個々の連結器132に係合し、壁部146から引き離され、連結器132および膜102を壁部から引き離し、流体が、カセット50およびリブ176によって画定されたチャンバに入ることを可能にする。
【0147】
膜102をカセット50に超音波シールする場合、PVCなどの適切な超音波材料を使用する。PVCは、機械的シールに使用されるケイ素材料より剛性である。したがって、リブ176がぶつかる直径または幅を拡大することが望ましく、その結果、リブ176と壁部146との間の距離が増加する。距離が増加すると、アクチュエータ104がバルブから引き離された場合、連結器132上のアクチュエータ104によって加える必要がある力が減少する。本質的に、バルブは、リブ176と壁部146との間の距離をできるだけ増加することによって、比較的容易に開閉される。これは、可撓性が比較的低いPVC材料に望ましい。したがって、リブ176によって形成される流路の直径および幅は、本発明のカセット50の場合、1inの1,000分の80などの適切な距離だけ増加される。
【0148】
図15に示すとおり、各々の連結器132は、リブ176の直径または幅に実質的に適合する外径156を含む。したがって、係合連結器132の外径156は、リブ176の増加されたシール直径または幅に適合するように増加される。
【0149】
図15は、膜102が、上記の形状134の外側に延在する追加の周囲材料(図7の膜と比較する)を備えることも示している。一実施態様では、カセット50の形状134の対応する周囲は、既存の溝ではなく、突出部を含むか、または画定する。図15のカセット50上の突出部、および膜102の増加したサイズは、膜102をカセット50に音波シールのに役立つ。つまり、図15の膜102の追加の材料によって、膜の領域はカセット50の嵌合剛性部分より大きくなり、これは、溶接には望ましい。さらに、図15の膜102に示されている比較的単純な五辺形は、比較的複雑な形状134に比べて、より一貫して、かつ正確に射出成形されると思われる。膜102の比較的大きい面積は、射出成形プロセス時の膜の反りを補償し、やはり溶接プロセスはさらに堅固になる。
【0150】
図15の膜102の外側フランジ領域には、指標孔166も画定され、溶接のために膜102とカセット50とを整列させるのに役立つ。図示されていないが、1つまたは複数の射出成形溶融半球体が形成され、膜102から横方向に突出する。一実施態様では、流量リーダー168も設けられ、これは、射出成形ゲートから外側に各々の連結器132に延在し、膜102の平坦な部分より、著しく多量の材料を必要とする。流量リーダー168によって、比較的大きい連結器132には、比較的迅速かつ比較的一貫して充填され、その結果、製造の不正確さが減少する。流量リーダー168は、部分組み立ての際に指標デバイスとしてさらに使用することができる。
【0151】
(ポンプ圧力を調整するための装置および方法)
次に、図1、3、4、5、16および17を参照すると、患者の頭部高さによる圧力を測定および補償するための装置、並びに関連する方法の一実施態様が示されている。カセット50は、モータ/バルブアクチュエータユニット60で動作可能な流路およびバルブチャンバ部分48を備える。カセット50の流路およびチャンバ部分48は、上記のとおり、カセット50の底面に沿って位置する可撓性膜102に機械的、音響的または化学的に結合される。可撓性膜102は、上記のポリマー、またはその他の適切なポリマーから製造することができ、好ましい一実施態様では、上記のとおりPVCである。可撓性膜102は、図3、11Aおよび11Bに示すように、バルブアクチュエータ104と協働する可撓性表面を提供する。バルブアクチュエータ104は、可撓性膜102を圧迫して、流体が管28、54、20、68、32および12を貫流して、選択的にカセット50に流入するか流入しないことを可能にする。
【0152】
図4では、カセット50が、特に一定量のチャンバ106、様々な流路、およびバルブチャンバ44、26、42、40、36、34および30を画定する剛性の垂直壁部を備えることを示すために、膜102は取り外されている。カセット50が、任意の適切な数の流量チャンバ、たとえばチャンバ106、流路、およびバルブチャンバ、たとえばチャンバ44、26、42、40、36、34および30を画定できることは、評価するべきである。
【0153】
図4は、図3のアクチュエータユニット60の表面108に係合するカセット50の下部、つまり可撓性膜側を示す。図5は、カセット50の上部、つまり剛性流路側を示す。図5の上部は、図2のドア70に面している。膜102(図4には示さない)は、バルブチャンバ44、26、42、40、36、34および30の下部、並びにチャンバ106の下部を覆い、図4のリブに関して上記で述べた方法に類似する方法で、これらの構造を画定する壁部の下部をシールする。
【0154】
供給管28、54および20は、それぞれバルクヘッドコネクタ128、126および124、並びにカセット50によって画定される内部管または流路を介して、バルブチャンバ26、42および40に連通する。バルブ26、42、40に流入する流体は、選択的に管76およびチャンバ106を貫流することができる。流体は、チャンバ106からカセット50を流れ、管12を通って患者18に流入する。
【0155】
図3に示すように、複数の圧力センサ116は、モータ/バルブアクチュエータユニット60内に収容される。センサ116は、可撓性膜102の真下に位置して、可撓性膜102に接触する。圧力センサ116は、当業者が周知しているように、流体の圧力変動を相対的または絶対的に感知するための任意の適切な圧力センサで良い。たとえば、圧力センサは、Invensysモデル865−02G−KDNにより提供することができる。センサ116によって測定した圧力は、使用する圧力センサのタイプに応じて、相対圧力でも絶対圧力でも良い。
【0156】
可撓性膜102は、一方の側でチャンバ106に入る流体に接触し、他方の側で圧力センサ116に結合される。圧力センサ116は、チャンバ106内の流体の圧力を感知し、流体圧力および膜102を介して圧力センサ116の表面に加わる絶対圧力もしくは相対圧力、または圧力の変化に対応するか、または指示する信号を出力する。
【0157】
圧力センサ116は、可撓性膜102内にわずかに突出するように配置することができる。別法によると、図16に示すように、わずかな真空Vacが、センサ116を収容するユニット60と、膜102の下側に引き込まれ、膜を吸収して圧力センサ106に付着させる。真空Vacは、圧力変換器の圧力感知表面と膜102との間の接触を常に維持する。膜102に真空を引き込むのに必要な装置は図示しないが、こうした装置は、一実施態様ではモータ/バルブアクチュエータユニット60内に存在し、当業者が周知している。図示しないが、センサ116は、真空Vacをセンサに引き込むように修正される。
【0158】
別法による実施態様では、可撓性膜102はモータ/バルブアクチュエータユニット60の表面108上に装填され、その結果、可撓性膜102と圧力センサ116との間に気密シールが形成され、ごくわずかな気体の量がこれらの間に閉じ込められる。気密シールによって、正および負の流体圧力が、可撓性膜102を通って、圧力センサ116の圧力感知表面に伝達される。
【0159】
センサ116の圧力感知表面は、感知できるほど移動せず、つまり変動する流体圧力で変形しないため、透析液またはその他の医療用流体の流体圧力は、フィルム102を通ってセンサ116の感知表面に直接伝達される。圧力センサ116は、それによって、カセット50のチャンバ106内に存在する流体の正圧または負圧を直接測定する。チャンバ106の高さは、蠕動ポンプのローラ80を囲む管76内の流体の高さと実質的に同じであるため、患者の頭部高さによる圧力は、ポンプでは、チャンバ106内の圧力と少なくともほぼ同じか、または実質的に同じである。
【0160】
圧力センサ116は、透析液または医療用流体に直接接触しないが、圧力センサは、膜102の薄く可撓性の性質によって、このような流体の圧力を正確に測定する。したがって、センサ116は、事実上、チャンバ106内の流体と接触する。
【0161】
圧力センサ116は頭部高さによる圧力を測定するが、この圧力は、さもなければ、以下の方程式によって計算することができる:
頭部圧力=ρ×g×h、
ここで、頭部圧力は、計算された流体圧力であり、ρは、透析液または医療用流体の密度、gは重力による加速、hは頭部高さの差である。つまり、hは、ポンプチャンバ106と、図1に見られる患者の流体管が患者18の腹腔に入る位置46との間の高さの距離の差である。したがって、頭部高さの差も、患者18の位置46とシステム10の蠕動ポンプ100との間の垂直距離の差と同じであるか、またはほぼ同じである。
【0162】
上記の方程式は、流体の速度がゼロの流路に適用される。動作時、流体は、本明細書に記載する管およびカセット内を移動する。したがって、センサ116によって得た指示値は、上記の方程式で予測した圧力と等しくないと思われるが、代わりに、チャンバ106および蠕動ポンプから患者18に流れる流路内の流量制限による圧力低下を考慮する要素によって、予測圧力から相殺される。しかし、管類12、およびチャンバ106に通じるカセットの部分によって画定される流路(図1、3および4参照)は、捩れていなければ、比較的平滑であり、著しい圧力低下を生じるはずがない点は、評価するべきである。しかし、医療用流体管類、たとえば5/32”(4mm)外径の管類の限られた内径によって、一定量の圧力低下は生じるであろう。腹腔内圧力(「IPP」)は、センサ116で測定される全体の圧力にも影響する可能性があり、その結果、頭部高さのみによると仮定された測定圧力は、頭部高さによる実際の圧力とは異なることになる。IPPの影響は、一般に最小限である。それにも関わらず、センサ116は、患者の頭部高さおよびIPPによる圧力差を感知し、上記の各々の要素の原因になる。
【0163】
本発明による頭部高さ調整感知および補正装置および方法は、どの医療用流体にも適用される。一実施態様では、この装置および方法は、ほぼ水分の密度、つまり1gm/cm3の密度を有する透析液の頭部高さによる圧力の補償に使用される。こうした液体密度は、静止頭部高さの変化が27.68in(0.703m)の場合、1psigの圧力差を生じる。つまり、患者の腹膜入口46が、ポンプまたはチャンバ106から27.68in上にある場合、ポンプは流体を移動させず、IPPがごくわずかであると仮定すると、ライン12内の圧力は、ポンプでは正数の1psig静圧を生じる。同様に、患者の位置46が、ポンプまたはチャンバ106の下の同じ距離に位置する場合、頭部高さによる静圧は、IPPがごくわずかであると仮定すると、1psigである。
【0164】
本発明による方法の一実施態様では、ポンプは、患者の腹腔に流体を楊送し、その後瞬間的に、たとえばダイヤフラムポンプの1行程の終わりに停止し、その結果、流体は比較的停滞し、上記のアルゴリズムが適用される。その時、圧力センサ116は圧力を記録し、この圧力は、上記の方程式に従って頭部高さによる患者の圧力である。ユニット60内に収容された圧力センサ116および制御装置は、患者が、治療時に位置を変えるか、または移動した時に、頭部高さの測定により断続的な圧力を繰り返すように動作可能である。
【0165】
蠕動ポンプシステムなどの連続ポンプシステムの場合、ゼロ速度の断続点は存在しない。この場合、測定圧力は、上記の方程式によって予測される圧力とは異なると考えられる。相殺は、ソフトウェア内で行われる。
【0166】
何れの場合も、流動ラインを通る圧力の低下は、ポンプ100を作動させて、患者18において所望の圧力を達成するのに必要な圧力を調節することができるように決定される。測定圧力は、ポンプ圧力を最大化することによって流量を最大化し、同時に、患者18側圧力は、安全な動作限度内に確実に維持される。患者18の安全性は、本発明のシステム10の場合、プライミングの問題である。安全な楊送は、患者の腹腔の流体接続位置46の流体圧力限度を越えないことによって維持される。患者18の接続位置46において許容可能な最大圧力は、従来+3psigおよび−1.5psigに設定されていた。しかし、様々なメーカーが様々な設定を行うことができ、本発明は特定の正圧または負圧安全性設定に限定されないことを評価するべきである。しかし、本明細書では、本発明の方法および装置を説明するために、これらの数字を使用する。
【0167】
以下の実施例は、センサ116を使用して頭部高さによる圧力を補正する方法を示す。バルブおよびポンプは、圧力センサ116と患者18との間に静止流路を形成する。この実施例では、+0.5psigによる頭部高さによる圧力を測定する。静止流体圧力は、以下の式のユニット60またはポンプ100に対する位置46の頭部高さに対応する:
頭部高さによる圧力÷(pxg)=h=.5psi÷(1gm/cm3÷xg)=器具上13.84in(.351m)。
【0168】
腹腔内圧、頭部高さの差を無視することは、器具またはチャンバ106で測定した圧力が、器具上の上記の高さに存在する患者18の位置46で測定した圧力より、+0.5psig高い指示値を示すことを意味する。したがって、流体を患者18から、たとえば流体速度ゼロで排出する場合、測定圧力は、位置46における圧力より+0.5psig高い。
【0169】
排出時、患者18における所望の圧力が。5psigであり、患者はポンプ上13.84inであることが分かっている場合、ポンプにおいて生成される流体圧力は、流体速度がゼロである時、−1psigに調節する必要がある。つまり、患者の流体接続部は、高さ的に器具の上であるため、頭部高さによる圧力は、ポンプが患者18から排出して、所望の患者18側負圧を達成するのを「支援」し、ポンプは、センサ116において測定された比較的低圧を使用して、所望の−1.5psigで患者から流体を取り出すことができる。逆に、患者が、高さ的に器具の下に位置する場合、ポンプは比較的強力に動作するか、あるいは比較的低い負圧で楊送して、所望の患者側負圧、たとえば−1.5psigを達成する。
【0170】
もう1つの実施例では、センサ116における測定圧力が1.0psigであり(患者18の位置46が、ユニット66の27.68inであることを示す)、マシンが現在充填モードである場合、患者18がマシンより上に位置するという事実は、流体が、位置46において許容可能な所望の最大圧力、たとえば+3.0psigで患者18に到達するように、ポンプが比較的強力に動作することを意味する。たとえば、最大患者側圧力が+3.0psigである場合、器具は、頭部高さによる+1.0psigの圧力を克服し、+3.0psigの圧力を生成する最大流量で患者に充填するには、+4.0psigで楊送しなければならないであろう。逆に、患者がポンプまたは装置50から27.68in下に位置する場合、ポンプは、患者18において+3.0psigの圧力を生成する最大流量を発生させるために、+2.0psigで動作すれば良い。
【0171】
蠕動ポンプが楊送する時の流体速度はゼロではないため、圧力差は、チャンバ106から患者18の位置46に通じる管類内に存在する。既知の長さの管類による圧力低下、またおそらく既知の数のエルボー、歯またはその他のタイプの流量コネクタによる圧力低下は公知である。流体制限による全体的な圧力硬化は、計算または概算することができる。次に、こうした圧力低下は、全体の方程式の要素として考慮に入れて、システム10の蠕動ポンプから楊送する時の適切な圧力を決定することができる。蠕動ポンプにおける流体圧力は、駆動シャフト84およびローラ80が、モータ/バルブアクチュエータユニット60内のモータによって回転する速度によって制御される。
【0172】
本発明の頭部高さ圧力感知および構成方法および装置は、蠕動ポンプで作動するように示されているが、蠕動ポンプは、この方法および装置を機能させるために必ずしも必要ではない点を評価するべきである。方法および装置は、ダイヤフラムポンプなどの任意のタイプの流体ポンプで動作することができる。圧力センサで動作可能なダイヤフラムポンプの実施例および方法は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/155,754号「Mecical Fluid Pump」に開示されており、この特許出願の全体的な内容は、引用することにより本明細書に援用する。特に、この出願の図17Aおよび17Bに関連する開示事項は、機械的に作動するピストンポンプタイプのダイヤフラムポンプだが、図18に関連する開示事項は、流体的または空気圧的に作動するダイヤフラムポンプを示す。
【0173】
空気圧、機械的または電子機械的タイプのダイヤフラムポンプは、頭部高さの装置および方法で動作するのに良く適している。当然、これらのポンプは、移動可能なダイアフラムで分離された一定容積のチャンバを備えるため、一定容積のチャンバを流体センサに関連して使用すると、ダイヤフラムポンプに使用されるダイアフラムに対する圧力を感知することができる。たとえば、ダイアフラムは、機械的または空気圧的供給源を通して、圧力センサに接触させることができる。次に、圧力ヘッドの高さの測定は、患者とポンプとの間の高さ差を判断するために行われる。圧力センサは、ダイヤフラムポンプの一実施態様では、ポンプに配置されるが、代わりにダイヤフラムポンプから上流または下流に配置することもある。
【0174】
次に、図17を参照すると、本発明による頭部高さ調節方法の一実施態様は、方法170で示されている。方法170は、楕円形172で指示するように、ソフトウェアにロードされている患者の圧力調節アルゴリズムで開始する。流路がプライミングされた後、ブロック174で示すように、ゼロ流量において患者18と圧力センサ116との間に連通が確立する。ブロック176で示すとおり、患者ライン12を通して(流体速度がゼロの場合)センサ116によって測定される静圧として、ソフトウェア内でpH値が測定され、設定される。
【0175】
ブロック178で示すとおり、動作または設定点圧力Pcは、指定された患者圧力Ppおよび測定圧力Phになるように計算される。指定患者圧力Ppは、流入と流出とでは異なり、一般に、多くの成功した治療で従来認められてきた圧力である。従来、流体を患者18から除去するため、Ppは、流入では+3.0psig、流出では−1.5psigの最大値に設定されていた。これらの指定圧力は、異なって良い。
【0176】
方法170は、菱形180で示すように、システム10の現在のサイクルが流入サイクルであるか、または流出サイクルであるかに応じて、別様に動作する。充填サイクルにある場合、ポンプ100およびバルブは、ブロック182で示すように、患者を充填するように構成される。次に、菱形184で示すように、保存圧力設定を使用すべきかどうかが判断される。保存圧力設定を使用し、計算設定点Pcが3.0psigより大きい場合、計算設定点Pcは、ブロック186に示すように、+3.0psigに設定される。
【0177】
次に、あるいは保存圧力設定を使用する場合、方法170は、菱形188で示すように、測定されたPcがPc設定点より大きいかどうかを判断する。測定Pcは、楊送時に測定されたサイクラーにおける圧力である。測定されたPcがPc設定点より大きい場合、流量は、ブロック190で示すとおり、制御された増分で減少される。菱形188で示す比較、およびブロック190で示される増分的な流量の減少によって形成されるループは、菱形188および192によって支持されるとおり、測定PcがPc設定点より大きくなくなるまで繰り返される。
【0178】
菱形192で示すように、流量は、最大流量と比較される。この流量が最大流量に等しくない場合、ブロック194で示すように、流量を増分的に増加させて、菱形188で開始する全体のループを繰り返す。また、この流量が、菱形192で示すように、現在最大流量である場合、菱形188で開始する全体のループが繰り返される。このプロセスは、所望の流体量が患者18に楊送されるか、またはアラーム状態など、別の条件が発生した時に終了する。
【0179】
排出サイクルでは、菱形180で示すように、ポンプおよびバルブは、ブロック196で示すように排出するように構成される。次に、方法170は、菱形198で示すように、保存圧力設定がプログラムされているかどうかを判断する。プログラムされており、かつPc設定点が−1.50psig未満である場合、Pc設定点は、ブロック200で示されるように、−1.5psigに設定される。次に、または別法によると、保存圧力設定が設定されていない場合、測定Pcが、菱形202で示すように、Pc設定点未満であるかどうかを判断する。
【0180】
測定PcがPc設定点未満である場合、流量は、ブロック204が示すように増分的に減少される。菱形202およびブロック204によって形成されるループは、測定PcがPc設定点より大きくなるまで繰り返される。同時に、菱形206で指示されるように、流量が最大量であるかどうかが判断される。流量は、最大量ではない場合、ブロック208で示すように増分的に増加され、菱形202で開始するループが繰り返される。また、流量が、現在、菱形206に関連して決定された最大流量である場合、菱形202で開始するループも繰り返される。
【0181】
方法170は、最大流量を望ましい安全条件の範囲内であるように保証する。Pc設定点は流量の関数として変化し、上記のとおり、患者の圧力センサ116と患者18における接続部46との間の圧力低下の説明になる点を評価するべきである。Pc設定点および最大流量の両方(充填および/または排出時)は、連続ハンティング、つまり流量が連続的に変化するのを防止するために、ある程度のヒステリシスをシステム10内に提供する範囲として設定することができる。好ましい一実施態様における安全性限界は、妥協されることはなく、確実に設定される。さらに、蠕動または連続楊送の場合、流量ループは、pHにおけるシーケンスをリセットするため、定期的に中断することができる。この特徴は、患者が頭部高さの位置を変更した場合は感知し、(i)たとえば、指定期間後、または指定数の行程後、自動的に、(ii)圧力が突然変化した後にトリガすることができる。
【0182】
(インライン混合方法および装置)
図1、3、4および5は、2つの供給流体を混合する方法を含む本発明のもう1つの態様を示す。上記のとおり、PDなどの一定の医療用途では、一定の溶液処方は、混合状態で長期にわたって保存することはできない。たとえば、非常に高成分および低成分(または異なる成分)のpH流体から製造される溶液の成分は、別個に保管する必要がある。カセット50は、供給管28、54および20を通して、同じかまたは異なる流体を収容することができる。図1は、管28によって、流体が供給容器22からカセット50に流入することが可能であることを示す。一方、流体ライン54によって、第2の異なる流体、たとえば、容器22内の流体とは異なるpHレベルを有する流体は、カセット50に流れることができる。さらに、第1および第2流体とは異なるpHまたはその他の性質を有する第3の異なる流体は、バッグ14およびライン20を介して導入することができる。
【0183】
一実施態様における流体混合方法および装置は、上記の流量チャンバ106とは異なる流量チャンバ112を使用する。一実施態様におけるチャンバ112は、入口圧力センサ116と共に使用される。さらに、一実施態様におけるチャンバ112は、管28、54および20を通って導入される異なる流体の混合チャンバとしてサイズを決められて構成される。この点で、チャンバ112は、バッフルまたはその他のタイプの混合障害物を備え、この場合、チャンバに入る異なる流体は、ポンプ100および管12を通って患者18まで前進する前に混合される。分かりやすくするために、これらのバッフルおよび障害物は図示しないが、当業者には周知されており、当業者は、このようなバッフルをチャンバ112内にどのように設けるかは理解するはずである。さらに、3種類の供給源すべての最初の混合位置であるバルブ40から通じる剛性流路140は、バッフルまたは攪拌器を備えることができる。
【0184】
本発明の目的上、チャンバ112は、全体の流体がVに等しい場合、ある容積を画定すると仮定される。各々のバルブ26、40および42から流路114、チャンバ112に延在し、さらにゲートキーパバルブ44に延在する流路110(図6)は、量Vのある割合または倍数に相当するある容積を画定する。1つの実施例では、各々の流量110によって画定される容積は1/2Vに等しい。このような比例は、個々の流路110/26、110/40および110/42の1つまたは複数の長さおよび/または直径を操作して、累積流路110が所望の容積を有するように調整することができる。
【0185】
好ましい1つの流動構成では、混合チャンバ112からの出口が設けられ、この出口は、チャンバ112が、ライン114から延在する静的容量である図示の構成ではなく、バルブ44に連通する。別法による構成では、バルブ26、40および42からの流体は、チャンバ112を通って移動してバルブ44に達するように強制され、その結果、確実に適切な混合が行われる。たとえば、バルブ40およびチャンバ112の位置は切り替えることができるため、バルブ26、40および42から通じる流路の各々はチャンバ112に至る。次に、チャンバ112からの1つの出口は、バルブ44に至る。
【0186】
流路110内の容積は、量Vの何らかの望ましい割合で良いことは評価するべきである。また、量Vは、一実施態様では、蠕動ポンプを通って1つまたは複数の制御された増分で楊送される流体の量に等しい。たとえば、チャンバ112の量Vは、一実施態様では、駆動シャフト84またはローラ80が完全に1回転することにより、蠕動ポンプによって楊送される流体の量で良い。
【0187】
別法によると、シャフト84またはローラ80の完全な1回転によって楊送される流体の量は、1/2Vまたは流路110の容積に相当するであろう。さらに別法によると、蠕動ポンプによって楊送される量は、シャフト84もしくはローラ80の1回転の制御可能部分、またはシャフト84もしくはローラ80の制御可能な複数回転に基づいて、チャンバ112内の量Vまたは流路110内の容積に相当させることができる。たとえば、1/2Vは、シャフト84もしくはローラ80の1/4回転、またはシャフト84もしくはローラ80の2回転によって楊送される量に等しくすることができる。重要なことは、この方法および装置は、制御可能な量の楊送が行われた後、たとえば、蠕動ポンプの駆動シャフト84またはローラ80が既知の量だけ回転した後、既知の流体量が流路110に入ったという前提で動作することである。
【0188】
単に説明の目的上、以下の実施例は、ポート28および126、並びにバルブ26および42を通る2種類の流体のみを混合する。さらに、シャフト84またはローラ80がたとえば1回転、5回転または10回転するなど、制御可能なポンプユニットは、量Vの流体を楊送すると仮定されている。さらに、流路110の容積は、1/2Vであると仮定される。
【0189】
2種類の流体を流路110/28および110/42を通して混合するため、バルブアクチュエータ104/26および104/42は、流体が、交互にたとえば入口管28から流れ、次に入口管54から流れるように変更される。バルブアクチュエータ104は、上記のダイヤフラムポンプアクチュエータと同様、機械的、電子機械的または空気圧的に動作することが可能である。たとえば、シャフト84が5回転して量Vが楊送されると、バルブアクチュエータ104は、5回転ごとに交互に切り替わり、5回転するごとに、異なる流体が流路110を完全に充填し、別の1/2Vの流体をチャンバ112から排除される。チャンバ112に流入する新しい流体は、バッフル、または単に前の共通流路を介して、事前に存在してチャンバ112から一掃されない流体内に予め混合される。こうして、制御された量の流体が任意の一定の時間にチャンバに入る。
【0190】
流体が2種類で、バルブ増分が等しい場合、チャンバ112内を流れる各々の流体の量は、2ポンプ行程が終わるごとに均一化される。つまり、チャンバ112が、たとえばシステムをプライミングするために、最初に流体Aを完全に充填され、次に、流体Bの量Vが、対応するバルブチャンバ26または42を通して楊送される場合、量Vの1/2は流路110を充填し、量Vの他の半分の充填量は、チャンバ112の1/2を充填し、その結果、チャンバの残りの半分には流体Aが充填される。次に、流体Aの量Vは、個々のバルブ26または42を通して楊送され、その結果、流路110には流体Aが充填され、流体Aの量Vの別の半分は、AおよびBの前の混合物と混合され、BよりAが多い混合物が生じる。次に、Bが再びシステム内に引き込まれると、混合物は平衡が取れるという具合に行われる。重要なことに、流体は、全体的な基準で所望の割合で計量され、チャンバ112内で混合される。有利にも、流体は、インラインで混合され、関連して費用および保守が必要な追加のポンプを追加する必要がない。
【0191】
システムをプライミングするため、プライミング流体を制御するバルブ26または42は開放され、蠕動ポンプ100が移動し、溶液の少なくとも1/2の量Vがポンプ内に引き込まれる。その結果、共通の流路110に、確実にプライミング溶液が充填される。その後、上記の混合サイクルを開始できる。
【0192】
2種類の溶液はチャンバ112内で完全に混合され、その後、混合溶液が患者に楊送される。交互の動作をn回繰り返すことによって、合計2nVの量の混合溶液が直接患者に供給される。上記の実施例では、ポンプ行程は、一様に同調させたバルブを使用する共通ポンプシステムであって、等しいポンプ速度を前提とするシステムによって行われるため、流体Aの量nVおよび流体Bの量nVから成り、全体的に1対1の混合比が非常に正確に達成される。
【0193】
本発明の流量混合装置および方法を使って、多くの別法による実施態様が可能であることを評価するべきである。第1に、流路の容積は修正することができ、および/またはバルブの切り替えは、所望の何らかの比率で達成するように修正することができる。さらに、チャンバ112の容積に対する流路110の容積1/2Vの精度は重要ではなく、なぜなら、何らかの不正確さの結果としては、1回の行程ごとに、得られる混合物がわずかに異なるということだと思われるからである。全体としては、患者に供給される流体の比率は正確であると考えられる。上記のとおり、差は、2回のポンプ行程ごとに、または制御されたポンプの回転ごとに平衡が取れるため、患者の腹膜に入る流体の混合物は正確である。
【0194】
本発明の方法は、2種類の流体に限られるわけではなく、別法によると、任意の適切な数の異なる流体に拡張できる。混合も、1対1以外の比率、たとえば2対1、3対1、3対2などで行うこともできる。このような場合、制御されたポンプ行程の混合によって、チャンバ112内の比率をさらに変えることが可能だが、混合されて、患者の腹膜に供給される全体の比率は、サイクルを繰り返すごとに正確になる。このような混合程度は、透析液濃縮混合の場合は一般に許容可能であり、特に、2種類の溶液の濃度のみが異なる場合は許容される。
【0195】
さらに、バルブの状態を変更することによって、この比率を変えることが可能である。たとえば、第1バルブは、ポンプが1回転する間だけ開放し、その後、第2バルブを2回転、3回転またはそれ以上、あるいは1回転の一部分の間だけ開放し、所望の比率を達成することができる。チャンバ112の容積は、この場合、バルブの順序付けを行うごとに、チャンバ内である程度混合するように修正する必要がある。チャンバ112は、ポンプ100が反転可能であるかどうかに関わらず、ポンプ100の上流または下流に配置することが可能である。
【0196】
本発明の頭部高さ補償態様と同様に、インライン混合機能は、蠕動ポンプに限られず、ダイヤフラムポンプを使用する楊送にも容易に適用可能であることも評価するべきである。当然、このような場合、追加のチャンバ112は不要であり、代わりにダイヤフラムポンプに関連する一定容積のチャンバを使用する。この場合、流路110は、ダイヤフラムポンプ内に直接供給される、流路の容積はポンプの容積のある割合である。
【0197】
(インライン溶液のpH測定)
次に、図18および19Aを参照すると、透析液のpH値をインラインで判定し、補償するための1つの装置および方法が示されている。この装置および方法は、異なるpH値を有する透析液成分が使用場所および使用時点で混合される混和状況に特に有用である。しかし、この装置および方法は、混和状況に限られるわけではなく、患者18に供給される透析液の適切なpH値を確認する状況で使用することができる。この装置および方法は、非侵襲的である。異なる透析液成分のpH値を測定して、予測値と比較する。たとえば、デキストロースが、たとえば供給ライン28を介してカセット50内に導入される場合、pHは、約3.2という適切なpHを確認するためにチェックすることができる。
【0198】
この装置は、感知した各々の流体について、1対の導電コネクタ210を備え、このコネクタは、管の2つの部分、たとえば図示の管28、管54または管68の2つの部分間に添え継ぎされる。コネクタは、多くの方法で管に接続することができ、管に溶接、溶剤結合、無線周波(「RF」)シール、圧縮嵌合またはねじ結合される。
【0199】
コネクタ210に適切な材料、および信号生成およびフィードバックシステムに関連するその他の情報は、2004年1月19日に出願された米国特許出願第10/760,849号「Conductive Polymer Materials and Application Thereof Including Monitoring and Providing Effective Therapy」に詳細に記載されており、この出願は、2002年4月10日に出願された米国特許出願第10/121,006号の一部継続出願であり、引用することにより、各々の出願の全体的な内容を本願に援用する。導電性ポリマーの取付具210の好ましい1つの処方について、以下で説明する。
【0200】
図示の実施態様における導電性管類取付具210は、ホルダー212内にクリップで固定されるか、ホルダー212内にスナップ嵌合され、ホルダー212は、コネクタ210を確実に保持するサイズおよび形状に作られる。ホルダー212は、導電性取付具210に接触して電機的に結合する1つまたは複数の導電性電極214を備える。コネクタ210は、ばねクリップ216によって所定の場所に保持され、一実施態様では非導電性である。コネクタの対210は、供給管28および54、並びに加熱器管68で動作可能であるように示されている。コネクタの対210には、カセット50が設けられた1つまたは複数、あるいは全部の管を設けることができる。
【0201】
図19Aに示すように、電極214は、電源52および導電率計56、またはその他のタイプの電流もしくは導電性測定および信号生成デバイスに電気的に連絡させて配線されるか、または配置される。電源52は、回路上の電圧を含む。管28、54および68は、一般に非導電性である。
【0202】
したがって、電流は、管28、54および68を横断する流体を貫流し、回路を完成する。図示のとおり、導電率計56は、流体の電流または導電率のレベルを感知し、レベルを指示する信号をシステム10のユニット60内にある制御装置またはマイクロプロセッサに送信する。制御装置またはマイクロプロセッサは、電極214およびコネクタ210から信号を受信し、該信号を閉ループフィードバックシステム内に入力する。
【0203】
図19Bに示すとおり、様々な溶液が、電圧入力の変化に応じて、異なる別個の電流出力を示すことが分かっている。デキストロースおよび緩衝剤のPos1およびPos2曲線は、接触する取付具210から受信する出力を表し、電極214は、コネクタ210の出力が不均一性によって変化するかどうかを確認する試験を行うために2つの異なる場所にある。結果は、取付具210は2つの異なる場所において接触し、なお良好な結果が得られることを示す。電圧および電流に使用するスケールは、実例を示すためのものであり、制限するものではないことに注意するべきである。実際の運用で印加される電圧は、図19Bに示す範囲より少なくても多くても良い。電流出力は、相応に変化する。
【0204】
システム10は、誘導電圧を認識し、図19Aの回路を通る電流を感知し、予測pH、予測導電率、または電流指示値を認識して、溶液のpH値が適切であるかどうかを判断することができる。たとえば、デキストロースが、供給管28を介して供給され、緩衝剤が供給管54を介して供給される場合、コネクタ210は、デキストロースが約3.2という適切なpH値を有し、緩衝剤が約5.1という適切なpHを有することをそれぞれ監視する。制御装置またはプロセッサは、所望の混和率、たとえば1:1を認識する。このような場合、制御装置またはプロセッサは、結果として生じるpHが5.05のはずであると認識する。混和溶液は、図18の管68で測定され、この管は、一実施態様では加熱器38に至る管である。透析液が加熱される以前のpHを測定することが望ましい。
【0205】
一実施態様では、導電性取付具210の材料は、ステンレス鋼繊維を充填された複合材料を含むアクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)である。ステンレス鋼の使用量は、約1重量%〜約3重量%で良い。ステンレス鋼を使用すると、医療グレードの機器を維持し、かつ導電性充填剤を提供する。
【0206】
図示のとおり、異なる溶液の異なるpH値は、異なる量の電流が図19Aのコネクタ210、電極214および残りの回路を貫流することを可能にする。制御装置またはマイクロプロセッサに対する導電率計56の出力信号は、電流または導電率を含む。次に、導電率は、たとえば特定のpH値と関連付けられ、マイクロプロセッサは信号を解釈し、信号の導電率指示値に基づいてpH値を決定し、pHの相関関係を予測相関関係と比較する。導電性取付具210および電子装置は、それによって、透析液の投入成分および/または結果として得られる透析液の成分pH値自体が適切であるように、安全機能を提供する。
【0207】
(空気検出および除去方法および装置)
次に、図20、21、22、23Aおよび23Bを参照すると、空気検出および除去装置および方法の別法による様々な実施態様が示されている。図20〜23Bの各々は、上記で詳細に説明した様々な構成要素を含む。これらの要素を簡潔に列挙すると、図20〜23Aおよび23Bは各々、供給流体ライン28、54および20を介して、それぞれバルブ26、42および40に結合される供給バッグ22、16および14を備える。図20〜23Aおよび23Bは、図4〜6に示されている流路を概略的に示す。特に、上記の圧力センサ116は、供給流体の入口圧力を流体的に感知するように配置される。流体の供給量は、供給量圧力センサ116を越えて流れ、ポンプ100を通って楊送される。いくつかの図面は、ポンプ100が、バルブ30を通って、または代わりにバルブ34および36を経て加熱器38を通って、排出管24に楊送することができることも示す。図22、23Aおよび23Bは、以下でさらに詳細に説明するとおり、図20および21とは異なる流路構成を示す。
【0208】
バルブ26、42、40、34、36、30および44は、ポンプ100で作動して、流体が患者18に贈られるか、または患者18から取り出されることを可能にする。つまり、バルブ44および30が閉鎖し、バルブ36、34、およびバルブ26、42または40のうちの1つが開放している場合、充填モードにおけるポンプ100は、加熱器38を通して流体を患者18に楊送する。別法によると、バルブ26、42、40、36および34が閉鎖し、加熱器が隔離され(図20および21)、バルブ44および30が開放している場合、ポンプ100は、流体を患者18から排出管24に楊送する。
【0209】
患者18の腹腔内に空気または過剰な空気が導入されると、安全上問題であると考えられ、特に、患者の四肢の痛みの原因になる。安全上の問題から、空気注入防止は、本発明のシステム10の必要条件である。空気がシステム10に入る可能性がある領域の様々な供給源が存在する。空気は、カセット50、患者ライン12、および様々な溶液ラインを減菌する時、またはプライミング以前に、これらの部品に自動的に存在する。この空気は、以下で詳細に説明するとおり、システムからプライミングする必要がある。また、溶液バッグの全体の容積に流体のみを充填することは、一般に非常に難しいため、溶液バッグ内には、減菌された空気も存在する。非減菌空気も、クランプされていないか、もしくは接続されていないラインを介して、または不適切な接続もしくは漏れのある接続を介して、透析液回路に入る可能性がある。さらに、非減菌空気は、膜102とカセット50との間の漏れ、または膜102の亀裂もしくは漏れによって、システム10の透析液回路に入る可能性がある。
【0210】
カセット内の減菌空気に関して、空気は、治療前に除去する必要がある。さらに、非減菌空気を含むすべての空気は、患者を保護し、汚染を防止するために、検出してシステムからパージすることが必要である。以下でさらに詳細に説明するとおり、システム10は、溶液回路を透析液でプライミングして、上記の供給源の1つに通じるラインから空気を除去する。
【0211】
漏れのある接続部、クランプされていないか、もしくは接続されていないラインによって、または漏れのあるカセットもしくは管を通してシステムに入る空気に関して、この空気は、患者に最初に充填する以前に検出する必要がある。漏れのあるカセットおよび管類は、洗剤的に汚染された溶液が患者に楊送されるのを防止するため、最初に患者に充填する前に廃棄して交換しなければならない。そのため、システム10は、治療の前に、膜102に関して1つまたは複数の完全性試験を行い、カセットの膜102に漏れがある場合、システム10に警告する。システム10は、洗浄またはプライミング時にセンサ222、最初に排出する時に組合せ220を使用して、これらの手順時に継続的に空気が感知される場合、警報を発して治療を停止する。
【0212】
溶液バッグを介してシステムに入る減菌空気に関して、空気は、一般に、供給バッグが大体空になった場合、電流充填サイクルの終わり付近で感知される。この時点では、供給バッグ内の減菌空気は、カセット50内に楊送される傾向がある。システム10は、こうした空気を検出して、治療を再開する前に、透析液回路からこの空気を除去するための以下の装置および方法を提供する。図20、21、23Aおよび23Bに示すとおり、蠕動APDシステムの場合、カセット50の出口に空気センサ220が設けられ、患者ライン12を通って患者18に流れる流体を感知する。この位置は、一態様では、流体が患者18に供給される前に、センサ220がカセット内の可能な最後の位置で空気を感知する点で望ましい。このようにして、センサ220は、その位置以前に透析液回路に入る空気を感知する。
【0213】
しかし、空気センサ220のこの位置は、以下などの一定の不利な点がある:(i)空気は、加熱器を通って患者18付近に楊送されるまで、回路内で検出されない;(ii)検出された空気は、気泡、または気泡の流れの前端にあるため、感知される気泡、または空気の一部の後に透析液回路に入った空気の量を判断する方法がない;(iii)空気を検出する場合、患者ライン12から空気を取り戻し、排出シーケンスを作動させることによって空気を排出管24移動させることができるが、システム内の流れは、空気がパージされる間は停止し、加熱器38内の流体が過熱し、その結果、患者18に供給する前に、流れを冷却しなければならない;(iv)良く見られることだが、空気が気泡の流れの形態で存在する場合、溶液は、空気をパージするために、多くの短い排出管および充填サイクルを必要とする。
【0214】
図20および21は、第2空気センサ222(センサ222a〜222cと総称する)は透析液回路内に配置され、上記のセンサ220と組んで動作する。図20および21は、第2センサ222の3つの可能な位置を示す。これらの位置の各々は、透析液回路内の溶液バッグ14、16および22と、これらのバッグからポンプ100を通って移動する供給流体の目的地を決定するバルブ30および36との間で空気を検出するための位置である。
【0215】
センサ222aで示される最初の位置は、1つの好ましい位置である。センサ222aで示されるこの位置で空気を検出すると、溶液バッグ、溶液ライン、またはセンサ222aまでの流路から出るすべての空気は、容易に排出管24に迂回されるため、流体および時間の損失が最小限である。特に、流体が患者18に楊送される時に、センサ222aが空気を検出すると、バルブ34および/または36は閉鎖し、バルブ30は開放して、排出管24に至る流体の流れを可能にするか、または迂回させる。このようなバルブの切り替えは、検出された空気が、加熱器38または患者18に達するのを防止する。空気を含む透析液は、気泡または流れが通過したことをセンサ222aが検出するまで排出管24に楊送され、この時点で、排出管のバルブ30が閉鎖し、加熱器のバルブ36および34が開放して、新鮮な溶液を再び患者18に楊送することが可能になる。
【0216】
第2空気センサ222の位置は、別法によると、センサ222bで指示されるように配置することができる。しかし、222bの位置では、患者18に至る流れを停止し、バルブを切り替えて流れを患者24に迂回させるための反応時間が短く、空気センサ222bの位置は、蠕動ポンプ100を介して、たとえば、図4および7に示すように、管76とポート96および98との接続部を通って入る空気を検出する。さらに、センサ222bは、蠕動ポンプの管76の欠陥または漏れを介して入る空気を検出する。
【0217】
センサ222cで示す第3位置は、実際上、各々が供給ライン28、54および20の1つをチェックする複数のセンサを備える。この場合の利点は、反応時間が比較的長く、センサは、図18の導電性取付具210に関して上記で示した方法とおそらく同様に、カセット50の外側に配置することができるため、カセット50は、実質的に修正および/または拡大する必要がないという事実である。不利な点は、複数のセンサが必要であり、入口バルブ26、42もしくは40、またはポンプ100を介して導入される空気は検出されないことである。
【0218】
第2空気センサ222の各々の位置に関して、図20は、通常の動作時には、流体は、ポンプ100、バルブ36、加熱器38、バルブ34を通り、センサ220を通過して、患者ライン12を通って患者18に流れる。図21は、第2センサ222の各々の異なる位置では、空気が検出されると、バルブ36および34の一方または両方が閉鎖され、排出バルブ30が開放し、代わりに流れを排出管24に方向付ける。
【0219】
図22は、流体および空気が排出管24に迂回されなくなる位置の前で、空気を検出するためのさらに他の別法による実施態様を示す。図22では、第1センサ220は、図20および21に示す位置から、図22に示す位置に移動し、加熱器38を出る加熱器ライン68を貫流して、再びカセット50に入る流体を感知する。さらに、排出ライン224は、空気センサ220の位置の下流でライン68と連通するように切り替えられる。この構成では、排出バルブ30が移動されて、第2排出バルブ58が、加熱器38出口68から排出ライン224および排出管24へのバイパスバルブとして追加される。充填サイクルで、図22のシステム10から空気をパージするため、バルブ34は閉鎖し、バルブ58は開放して、空気を含む透析液を排出管24に迂回させる。図22の利点は、1個の空気センサのみを使用する点である。不利な点は、カセット50の流路を変更する必要があり、バルブ34において、または出口圧力センサ116を介して生じる何らかの漏れに対して患者18に対する保護がないことである。さらに、空気は、流体が加熱された後に検出されるため、システムのエネルギーが多少無駄になる。しかし、空気センサ220の位置は、過熱した透析液をパージまたは迂回させるという利点もある。
【0220】
次に、図23Aを参照すると、第2空気センサ222の1つの場所が示されている。この場合、センサは、ライン68に沿って、図22の第1センサ220で示す位置と同じ位置に配置される。これは、センサ222は、カセット50内の中間位置ではなく、管68と整合するために望ましい。この構成では、加熱器のバルブ36は移動され、第2排出バルブ58が、加熱器38の出口68から排出ライン224および排出管24へのバイパスバルブとして追加される。流体を患者18に楊送するには、バルブ30、58および44は閉鎖し、バルブ34、およびバルブ26、42または40の1つが開放する。流体を患者18から排出管24に楊送するため、バルブ34および58は閉鎖し、バルブ44および30は開放する。充填サイクル時に、図23Aのシステム10から空気をパージするため、バルブ34は閉鎖し、バルブ58は開放して、空気を含む透析液を排出管24に迂回させる。一実施態様では、外側クランプ72が、加熱器のライン68内に設けられる。クランプ72は、洗浄およびプライミング時に、加熱器のライン68を塞ぐ。システム10は、クランプ72が、洗浄前に確実に閉鎖されるように構成することができる。
【0221】
次に、図23Bを参照すると、もう1つのバルブ構成が示されている。図23Bでは、センサ222は、再びライン68に沿って、以前に図23Aに示した位置と同じ位置に配置される。これは、センサ222は、カセット50内の中間位置ではなく、管68と整合するために望ましい。この構成では、加熱器のバルブ36はその場に留まり、第2排出バルブが、加熱器38の出口68から排出ライン224および排出管24へのバイパスバルブとして追加される。流体を患者18に楊送するため、バルブ30、58および44が閉鎖し、バルブ34、36、およびバルブ26、42または40の1つが開放する。流体を患者18から排出管24に楊送するため、バルブ34、36および58が閉鎖し、バルブ44および30が開放する。充填サイクル時に、図23Aのシステム10から空気をパージするため、バルブ34は閉鎖し、バルブ58は開放して、空気を含む透析液を排出管24に迂回させる。外側クランプ72は、図23Bでは不要である。
【0222】
図23Bのシステムによって、空気は、充填時に検出された場合、排出管24に直接迂回され、空気が検出された場合は、加熱器38を通る流れが維持され、加熱器38内の流れが停止したために、流体の温度が過熱した状態になるのを防止することができる。しかし、図23Bは、追加のセンサ222およびバルブ58を必要とし、追加のセンサ222は管類に配置され、カセットの修正を必要としない。
【0223】
次に、図23Cを参照すると、システム10のカセット50の8つのバルブ構成が示されている。この場合、第2空気センサ222(図20および21に示す)は、ポンプ100の直前に配置される。図23Cは、ポンプ100で作動するポンプモータ270を示す。光回転センサ(「ORS」)はポンプ100で作動して、たとえば、ポンプローラの位置、蠕動ポンプシャフトの回転数などを検出する。モータ270は、同様に、ホール効果センサ(「PHS」)および位置符号器(「PPE」)で作動する。PHSは、モータ270のシャフトの位置を検出する。PPEは、モータ270のシャフトに関する位置、および場合によって速度および加速度情報を与える。
【0224】
第3空気検出器242は、患者ライン12の末端、先端保護装置238(図25および26参照)の直前に配置される。図23Cに示す患者ラインのプライミング位置については、図25および26に関連して以下で詳細に説明する。空気トラップ246には、保温器パウチ38が設けられる。一実施態様では、保温器パウチ38は、ユニット60に対して垂直に配置される。
【0225】
図23Cのシステム10は、図20および21の場合とほぼ同じである。排出管および加熱器のバルブおよび流路は、センサ220および222の配置と同じである。図23Cのシステム10は第8バルブ58を追加し、このバルブは、加熱器38から出る流体を患者18から隔離するのを促進する。図23Cのバルブ調節構成は、3つの隔離領域を形成する。第1領域は、入口バルブ26、40および42と、ポンプ100入口との間に存在する(上記のとり、ポンプのローラ280は、バルブと同様にポンプの管類76を塞ぐ)。第2領域は、ポンプ100の出口、排出管24および加熱器38の入口間に存在する。第3領域は、加熱器38の出口、バイパスバルブ44、および患者18間に存在する。
【0226】
次に、図24A〜24Cを参照すると、3つのカセット50の各々は、図23Cのシステム10のバルブおよび圧力センサに関する区画化された様々な流路構成を示す。3つのカセット50は、一態様では有利であり、なぜなら、バルブポート118、120、122、124、126、128および130の各々は、カセット50の一方の側から延在するからである(たとえば、患者ポート130が、バルブポート118、120、122、124、126および128の異なる側から延在する図4と比較する)。ポートが延在する側の数が減少すると、成形の「プル」の数、または透析液がカセット50に流入およびカセット50から流出する方向が少なくなる。これは、カセット50用の成形ツールは比較的単純であり、サイドアクションまたは「プル」が少ないという点で有利である。
【0227】
3つのカセット50は、上記の領域のために、別の点で有利である。図24A〜24Cの各々では、第1領域218は、入口バルブ26、40および42、流量チャンバ112(図23Cに示すように、第1圧力センサ116で作動する)、およびポンプ100に至る入口98を囲む。図24A〜24Cの点線は、実線の流路より高さの点で下に位置する流路を示す。図5に示すとおり、これらの流路は、成形ツール上の「プル」を介してカセット50に一体成形される。図24A〜24Cに実線で示されている流路は、プル付き流路より高さの点で上に位置し、カセット50および可撓性膜102の剛性部分によって集合的に画定される。
【0228】
バイパスバルブ44も、液体が領域218および228と連通することを可能にする。図24A〜24Cの各々では、第2領域226は、加熱器のバルブ36およびチャンバ115(第3圧力センサ116で作動する)に至る排出バルブ30を囲む。図24A〜24Cの各々では、第3領域228は、加熱器のバルブ34、バイパスバルブ44から患者バルブ58および一定容積チャンバ106(第2圧力センサ116で作動する)までを囲む。
【0229】
カセット50は、シールリブ176(上記)を介して、カセット本体と可撓性膜102との間の透析液を隔離することによって密閉領域を完成し、図示のとおり、領域218、226および228の上部周囲を形成する。各々の領域は、図23Cに示す共通のノードを隔離し、他の流路から隔離されて、クロストークを防止する。各々の領域218、226および228は、独自の圧力センサ、および隔離バルブの集合を備え、これは、漏れが感知された場合、漏れの場所を判断するための診断ツールを追加する。「患者に至る」バルブ58によって、領域228(およびその他の領域)は患者18から隔離されるため、漏れ試験を適切かつ安全に行うことができる。「患者に至る」バルブ58によって、治療時に必要な場合、保温器バッグの空気トラップ246を空にすることもできる。保温器バッグの空気トラップ246を空にするため、バルブ30、44および34が開放し、ポンプ100が回転して、空気トラップが収縮し、空気が排出管24に移動する。
【0230】
図24Cに示すとおり、カセット50は、一実施態様では、一体の空気トラップ246を含む。空気トラップ246は、一実施態様では領域228に位置し、これは、この領域が加熱器38の下流にあり、患者18のすぐ上流に位置するためである。空気トラップ246は、図23Cの保温器バッグ38から図24Cのカセット50に移動する。この場合、カセット50は、操作上、ユニット60内に垂直に位置する。図示の実施態様では、空気トラップ246は、領域228内の特定の流路を取り外すことによって形成され、その結果、この領域内に比較的大きい容積が生じる。領域228内にスタンドオフまたは一体のリブを追加すると、たとえば領域228が負圧または正圧未満である場合など、必要に応じて膜102を支持することができる。
【0231】
垂直の向きでは、患者バルブ58は、透析液がポート130を介して患者18に流れることを可能にし、保温器38、および加熱器のバルブ34から領域228に入る気泡から保護される。バルブ34を通って領域228に入る気泡は、領域228内の空気トラップ246の上部に留まり、透析液は、領域228の下部から患者18に流れる。空気トラップ246の容積は、患者充填段階で生成される可能性がある空気の一般的な量を保持するのに十分であり、カセット50のサイズを増加する必要はない。システム10は、バイパスバルブ44が空気トラップ246の上部に位置するため、次の排出段階で自動的に空気をトラップ246から除去する。排出段階では、溶液が、患者18から空気トラップ246内に流入する時に、空気は、バイパスバルブ44を通してトラップ246から排出管24に押し出される。
【0232】
空気が、患者充填段階で空気トラップ246を完全に充填する場合、空気は、バルブ58から漏れる可能性があるが、図23Cに示されている患者ライン12内の空気検出器242によって検出される。このような検出によって、システム10に:(i)ポンプ100を停止する、(ii)バルブを患者排出構成に切り替える(バルブ58、44および30を開放する)、および(iii)患者ラインから排出ラインに十分な透析液を楊送し、バルブ44および領域228から空気を洗浄して除去するという信号が送信される。こうして、迅速に充填を再開することができ、加熱器38内の流体が過熱することはない。
【0233】
(能動的な患者ラインプライミング装置および方法)
次に、図1、18、25および26を参照すると、患者ライン12を能動的にプライミングするための本発明による1つの装置および方法が、システム230によって示されている。上記のとおり、システム10を患者18に接続する前に、患者ライン12は透析液でプライミングされて、このラインから空気が除去される。プライミングが不完全であると、ライン内に空気が残り、空気が患者18内に注入され、おそらく安全上の問題が生じる。作動時の患者ライン12は、一般に長さ10〜20ft(3〜5m)であり、治療時の患者18に移動性および快適性を与える。
【0234】
図25および26は、患者ライン12が患者ラインホルダー232内に装填されるか、またはスナップ嵌合することを示す。患者ラインホルダー232の1つの可能な場所は、図18に示す器具60の壁部234に結合されるか、または壁部234によって形成される。その結果、患者18が、カセット50をアクチュエータユニット60内に装填して、ドア70を閉鎖すると、患者は、図18に示すように、患者ライン12も患者ラインホルダー232内にスナップ嵌合させることになる。
【0235】
図25は、図26に示す患者流体ラインコネクタ238の下の断面における患者ラインホルダー232および患者流体ライン12の上面図を示す。患者流体ラインコネクタ238は、患者18が、患者流体ライン12をホルダー232内に適切に配置することを支援する。図26に示すとおり、患者18は、コネクタ238が、図18にも示されている上部壁部236の上部に当たるように、ライン12をホルダー232内に配置する。この位置は、ライン240で示される所望の流体プライミングレベルと、壁部234内に埋め込まれ、図25に示すようにホルダー232の一部分を通って延在する空気検出器242とを整列させる。
【0236】
空気検出器242は、アクチュエータユニット60内に収容された制御装置またはプロセッサに延在する信号ライン244を備える。空気検出器244は、以下の状態または状況を感知する:(i)ホルダー232が空である、つまり、患者の管類ライン12がまだホルダー232内に配置されていない取り出し状態;(ii)患者の管類ライン12がホルダー232内に配置されたが、ライン12は、まだ乾燥している(プライミングされていない)装填および乾燥状態;および(iii)患者ライン12がホルダー232内に配置され、ポンプ100が溶液を、ライン240で示される流体プライミングレベルまで楊送した装填および湿潤状態。
【0237】
空気検出器242は、当業者が周知している任意のタイプの空気検出器で良く、たとえば超音波、容量性、誘導または光タイプのセンサがある。感度は重要な要素ではなく、コストは1つの要素であるので、1つの好ましいタイプの空気検出器は光検出器である。
【0238】
治療のためにシステム10を組み立てる際、取り外し状態が感知された場合、システム10は、たとえばディスプレー66を介して、患者ライン12をホルダー232内に装填するように患者18に促す。次に、システム10は、患者が装填するまで待機し、この時点では、装填済み乾燥状態が感知される。
【0239】
空気検出器242が、装填済み乾燥状態を感知すると、システム10内のプロセッサまたは制御装置によって、器具60のポンプ100およびバルブは、一定量の流体がライン12内に配置される低速度で、最小ラインの長さ未満である初期量の溶液を患者ライン12に楊送する。その後、ポンプ100は、空気センサ242が、装填乾燥状態から装填湿潤状態への変化を感知するまで、均一な比較的低速度で楊送する。
【0240】
ポンプ100が流体を患者の管類ライン12内に、予め決められた時間にわたって楊送した後、または予め決められた量の流体が楊送された後、センサ242が、装填湿潤状態を感知しない場合、システム10は楊送を停止し、延長ラインを使用するかどうか、たとえばディスプレー66を介して、患者または操作者に入力を促す。場合によっては、患者はカセット50を設けられた標準管類長さの末端に、追加の管類長さを追加する。この場合、ライン12内に初期量を投与し、増分の流体量を楊送する上記のシーケンスは、初期量がライン12の末端に十分に接近しないために機能しない。この場合、システム10は、延長部分が追加されたと仮定し、ユーザにこれを確認するように要求する。システム10が、たとえば、ディスプレー66を介して、または器具60上のコントロール62および64を介して、「はい」という入力を受信した後、延長ラインが使用されたことを確認すると、システム10は、第2の予め決められた最大値まで楊送することを再開し、その後、装填湿潤状態に達するまで増分的に楊送する。
【0241】
別法による実施態様では、コントロール62および64、並びにディスプレー66は、患者またはオペレータが、たとえば「延長ライン」セットアップメニューを介して、延長ラインを使用するという事実を事前に入力することを可能にするように構成される。患者が、セットアップモードで、延長ラインを追加したことを入力すると、システム10によって、ポンプ100は、第2の最大値まで自動的に楊送し、上記のように中間の楊送およびそれを促す必要はない。第2の最大値では、増分楊送は、装填湿潤状態が感知されるまで行われる。
【0242】
図18は、ホルダー232が垂直の向きであることを示しているが、このような要件はなく、ホルダー232は、別法によると任意の所望の角度で向きを決められる。たとえば、ホルダー232は、患者の流体ライン12が、ホルダー232によって器具60の下に直接垂直に延在しないように、水平に向けることが望ましく、このように延在すると、テーブル上に平坦に器具60を配置しようと試みる時に、問題を生じる可能性がある。
【0243】
検出器242が多くの異なるタイプの技術を使用できることも、評価するべきである。上記のとおり、検出器242は、光または超音波で良い。しかし、光分岐センサの範囲内でも変形があり、そのどれもセンサ242に使用することができる。たとえば、光センサは、送信機/受信機の対を透析液および管類のホルダー232の対向側に向けることによって、透析液および管類の伝達性を使用することができる。別法によると、エミッタおよび受信機は、1個のユニット内に収容し、エミッタ/受信機からホルダー232の対向側に配置された反射部材と組み合わせて使用することができる。さらに、ホルダー232の位置は、比較的大きいタイプの流体ライン形成体内に組み込まれ、この形成体は、治療の開始時に様々な流体管を接続する適切なシーケンスをオペレータまたは患者18に案内するように構成および配列される。
【0244】
(容積測定精度改善方法)
システム10は、ポンプ100の容積測定精度をより正確に決定する少なくとも1つのアルゴリズムを使用する。以下の容積測定精度改善方法は、蠕動ポンプに適用されるが、この方法は、ダイヤフラムポンプおよびその他のタイプの容積移送式ポンプに適用することもできることを評価するべきである。厳密かつ十分に定義された運動を使用する理想的な容積移送式ポンプは、理論上、一定量の圧縮可能な流体を行程ごとに供給し、この量は、容易かつ正確に計算して合計することができる。
【0245】
ダイヤフラムポンプまたは蠕動ポンプの管の場合、非剛性の構成要素が使用され、その結果、ポンプサイクルごとに排除される流体の量が変化するか、または潜在的に変化する。この変化は、非剛性構成要素の変形、これらの構成要素に作用する力の変化など、多くの要素の関数である。したがって、容積測定精度は、材料に作用する重要な性質および力の少なくとも1つの関数である。さらに、容積移送式ポンプを駆動するために使用されるモータ機構が、予想したように正確に作動しない場合、不正確な運動または位置決めは、排除される流体全体の量に影響する場合がある。本明細書に記載する方法は、不正確さなどが過度に記述されるのをどのように克服するかを示唆している。この方法は、本質的に、容積測定ポンプシステムの誤差を生じる可能性がある要素の特定を含む。各々の要素は隔離され、こうした要素と、導入される誤差の量との間の相関関係は、理論上または経験上決定される。定数Kは、こうした要素と誤差との間の相関関係に基づいて計算または決定される。最後に、全体的な容積測定方程式、たとえばダイヤフラムポンプまたは蠕動ポンプによって楊送される量に対応する方程式は、決定された定数Kに要素の値を乗じた積を含むように修正される。
【0246】
場合によって、要素の値が入力される。たとえば、要素は、システム10内に投入される管材である可能性があり、この場合、要素は、材料の様々な性質を考慮に入れる。一方、要素の値は測定可能である。たとえば、要素は、蠕動ポンプの管に対する入口圧力、またはダイヤフラムポンプのダイアフラム全体の圧力差である可能性があり、この場合は、システム10内で実際に測定する必要がある。本発明の方法は、単に(i)ダイヤフラムポンプのポンプ行程の数を合計する;または(ii)蠕動ポンプの回転数を計算するのではなく、より正確なアルゴリズムを使用することを可能にする。
【0247】
本発明の方法は、ダイヤフラムポンプの量を計算するための従来の方法と比べて有利であり、従来の方法には、量は、ポンプの変位または行程ごとに一定であるという仮定が含まれていた。たとえば、ダイヤフラムポンプのチャンバには、流体が完全に充填されると仮定されるであろう。しかし、流体は、一定量の空気を含むことが分かっている。したがって、長期にわたる場合、楊送される全体量の一部は、空気の量によって消費されるという事実によって、楊送されたと仮定された流体より、実際に楊送された流体は少ないと思われる。本発明の方法は、楊送される流体全体の量を決定する時に、たとえば、あるポンプ行程内で一般に存在する空気の量を測定することによって、この要素を考慮に入れる。次に、空気の量は、排除されると仮定されるが、実際上、ある一定のポンプサイクルで排除されない流体全体の量を決定するために、異なる楊送圧力に応じて概算することが可能である。次に、この量を全体の量から控除すると、正確なアルゴリズムが得られる。
【0248】
もう1つの実施例では、ダイヤフラムポンプの場合、ダイアフラムを駆動するための機構、たとえばポンプピストンは、行程の可能な最下部部分から、行程の可能な最上部部分に、あるいはこの逆に常に移動すると仮定される。実際上、ポンプピストンは、少なくともすべての行程において、完全に上部まで、あるいは完全に下部まで移動するわけではない。したがって、精度を高めるため、ピストン頭部またはダイアフラムの実際の位置は、たとえば、ポンプのピストン頭部に取り付けられた回転または直線符号器によって測定することができる。何れの場合も、結果は、ポンプが、そのつど、ポンプ行程の命令された最上部および最下部の位置に移動すると単に仮定する場合に比べて、より正確である。
【0249】
空気およびポンプ行程の誤差のほかに、ダイヤフラムポンプは、ポンプ器具のその他の特性、たとえばダイアフラムの材料、ダイアフラム全体の差圧によっても影響を受ける。これらの要素のそれぞれ1つの定数を生成した後、分析および相関可能なできるだけ多くの要素を考慮した全体のアルゴリズムを決定する。一例の方程式は以下のとおりである:
ダイヤフラムポンプ内で楊送された量=Kl×PSME2+K2×PSME+K3×dp2+K4×dP+K5、
ここで、各々の定数Kは、実験または計算プロセスで発見される。PSME(ピストンステッパモータ符号器の位置)は、ステッパモータ駆動位置を使用するダイヤフラムポンプのピストン位置である。dPは、ダイアフラム全体の差圧であり、一実施態様では、ダイアフラムの後の真空圧力を差し引いたチャンバの流体圧力である。上記の方程式は、ポンプ行程数に、行程ごとに楊送されると仮定される量を単に乗じた場合より正確であるが、上記の方程式は、定数K1〜K5の決定に伴う努力、および圧力または温度など、ある要素を測定する場合の難しさに応じて、比較的正確であるか、または比較的正確ではないと思われる形態から修正することができる点を評価するべきである。
【0250】
蠕動ポンプによって楊送される量を計算するための公知の方法は、命令された回転速度にポンプ100の動作時間を乗じることによって、ポンプ頭部もしくはシャフト84の回転数を単に計算することを含む。これらの方法は、長期にわたると誤差を生じる。また、これらの方程式はポンプ頭部が回転するごとに、ポンプの管76の入口から管76の出口までの一定量の流体が排除されると仮定する。これらの方法は、入口および出口流体圧力、管類の温度、ポンプ頭部の回転速度、管類の磨耗、管類の性質、ローラの磨耗、並びに管類の寸法が、管の部分に作用するローラによって搬送される流体の量に影響しないと仮定している。これらの要素は、楊送される全体の量に影響する可能性があるので、より正確なアルゴリズムは、これらの要素の少なくともいくつかを考慮に入れるであろう。
【0251】
蠕動ポンプのアルゴリズムは、1回転ごとに排除される流体の量、つまり量/回転として指定することができる。ポンプ頭部が回転すると、少なくとも1つのローラおよび関連する閉塞は管に沿って移動し、次のローラが、管上の第2位置で管を閉塞させるまで、流体減からの管を充填する。第1および第2ローラは、2つの閉塞部間に流体を捕捉し、流体の量を管の出口に移動させる。流体の量が捕捉される位置までの管類の内径の寸法に影響する変数は、ポンプの量/回転に影響すると考えられるか、または影響する可能性がある。
【0252】
たとえば、負の入口圧力によって、管は、入口圧力がゼロの場合と同じ形状に戻る。したがって、負の入口圧力は、楊送される量/回転を低下させる。別法によると、正の入口圧力は、入口圧力がゼロの場合に存在すると考えられる直径に対する管の内径を増加させることによって、量/回転を増加させる。さらに、管類の温度も、少なくとも短時間だけ、たとえばポンプが高速度で作動している時に、管が元の形状に戻ることを妨げることによって、量/回転を低下させる可能性がある。管類は、一般に、上記のとおり長期にわたる楊送では変形し、量/回転にさらに影響する。管類の磨耗は、管類の性質によって予測するか、または実験的に測定することができる。ローラの磨耗は、実験的に測定して、全体の蠕動ポンプの容積測定方程式に考慮することができるが、こうした磨耗は長期にわたると変化する可能性があり、あるいは、マシンの寿命全体におけるポンプの総回転数に基づいて、磨定数Kが変化する可能性がある。
【0253】
ポンプ100などの蠕動ポンプの容積測定精度を改善する方法は、上記の誤差変数を考慮に入れるか、または概算し、こうした変数の定数を決定することによって、変数の影響をモデル化する機能に基づいて、量/回転の計算を修正する。次に、値を変数として入力するか、または測定する。たとえば、ポンプの管76の入口および出口における流体圧力は、センサ116などの1対の圧力センサを使って測定することができる。さらに、流体温度は測定可能であり、それによって管類の平均温度を計算することができる。ポンプモータの回転速度は、ポンプモータが十分に正確であるか、または回転速度計で測定される場合、正確であると仮定することができる。
【0254】
蠕動ポンプの回転アルゴリズムごとの量の一例は、以下のとおりである:
量/回転=(Kl×Pin2+K2×Pin)×(K3×温度2+K4×温度)×(K5×速度2+K6×速度)+K7、
ここで、K1〜K7は、実験的に、またはデータによって決定される定数である。Pinは、蠕動ポンプの管76の入口における流体圧力に等しい。温度は、管の平均温度に等しい。速度は、ポンプの回転駆動シャフトの速度であり、入力または測定される。次に、ポンプによって排除される合計量は、回転数に量/回転の計算値を乗じた値であり、回転数は、たとえば符号器またはその他のタイプの位置感知デバイスによって計算される。
【0255】
本明細書に記載する現在好ましい実施態様に対する様々な変更および修正は、当業者には明白である。こうした変更および修正は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、また意図された利益を損なうことなく行うことが可能である。したがって、こうした変更および修正は、添付の請求の範囲によって保護することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0256】
【図1】図1は、患者に連通する本発明のシステムを示す。
【図2】図2は、ポンプおよびバルブカセットが取り付けられたアクチュエータユニットの一実施態様の斜視図である。
【図3】図3は、カセットを取り外した図2のアクチュエータユニットの斜視図である。
【図4】図4は、蠕動ポンプ部分を有するカセットの一実施態様の様々な斜視図である。
【図5】図5は、蠕動ポンプ部分を有するカセットの一実施態様の様々な斜視図である。
【図6】図6は、蠕動ポンプ部分を有するカセットの一実施態様の様々な斜視図である。
【図7】図7は、蠕動ポンプ部分を有するカセットの一実施態様の様々な斜視図である。
【図8】図8は、本発明の一実施態様に使用される蠕動ポンプの上面図である。
【図9】図9Aは、図8の線IXA−IXAに沿って見た正断面図である。図9Bは、本発明の正駆動蠕動ポンプの一実施態様の正断面図である。図9Cは、図9Bの溝プレートの斜視図である。図9Dは、図9Bの溝プレートの駆動ストップを示す図9Cの断面図である。図9Eおよび図9Fは、本発明の正駆動蠕動ポンプの別法による実施態様の正面図である。図9Gは、図9Fの正駆動蠕動ポンプのローラ組立体の分解斜視図である。
【図10】図10は、カセットのバルブおよび流路チャンバを覆う可撓性膜の様々な実施態様を示す。
【図11】図11Aおよび11Bは、それぞれ可撓性膜から分離および可撓性膜に結合したバルブアクチュエータの断面図を示す。
【図12】図12は、膜をカセットに対して機械的に係止するための1つの装置および方法を示す。
【図13】図13は、膜をカセットに対して機械的に係止するための1つの装置および方法を示す。
【図14】図14は、膜をカセットに対して機械的に係止するための1つの装置および方法を示す。
【図15】図15は、カセットのバルブおよび流路チャンバを覆う可撓性膜の様々な実施態様を示す。
【図16】図16は、圧力センサと、膜と、カセットとの間の接合部分を示す。
【図17A】図17Aは、頭部高さを感知することによってポンプ圧力を制御するための方法の一実施態様を示すプロセスフロー図である。
【図17B】図17Bは、頭部高さを感知することによってポンプ圧力を制御するための方法の一実施態様を示すプロセスフロー図である。
【図18】図18は、図2および図3に示すアクチュエータユニットの背面斜視図であり、導電性取付具、および患者の流体ラインホルダーを示す。
【図19A】図19Aは、図18の導電性取付具で動作可能な電気回路である。
【図19B】図19Bは、図18の導電性取付具を使用した実験結果を示すグラフである。
【図20】図20は、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図21】図21は、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図22】図22は、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図23A】図23Aは、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図23B】図23Bは、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図23C】図23Cは、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図24A】図24Aは、本発明の使い捨て式カセットの区画化した流路およびバルブ構成の様々な実施態様の略図を示す。
【図24B】図24Bは、本発明の使い捨て式カセットの区画化した流路およびバルブ構成の様々な実施態様の略図を示す。
【図24C】図24Cは、本発明の使い捨て式カセットの区画化した流路およびバルブ構成の様々な実施態様の略図を示す。
【図25】図25は、それぞれ患者の管ホルダー、および患者ラインをプライミングするための対応する装置の上断面図および側断面図である。
【図26】図26は、それぞれ患者の管ホルダー、および患者ラインをプライミングするための対応する装置の上断面図および側断面図である。
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、2004年3月19日に出願された米国仮特許出願第60/554,803号および2005年3月16日に出願された代理人整理番号112713−1204の米国仮特許出願の「CASSETTE−BASED DIALYSIS MEDICAL FLUID THERAPY SYSTEMS,APPARATUSES AND METHODS」に対する優先権および利益を主張する。
【0002】
(発明の背景)
一般に、本発明は、ポンプカセットを使用する医療用流体供給システムに関する。特に、本発明は、カセットベースの透析医療用流体療法のためのシステム、方法および装置を提供し、蠕動ポンプおよびダイヤフラムポンプを使用する場合を含むが、コレラだけに限らない。
【背景技術】
【0003】
様々な原因によって、人の腎臓系は機能しなくなる。腎不全は、いくつかの生理学的障害を生じる。水分、ミネラル、および日常の代謝負荷の排出物の平衡状態はもはや不可能になり、窒素代謝の毒性最終生成物(尿素、クレアチニン、尿酸など)が血液および組織中に蓄積する可能性がある。
【0004】
腎不全および腎機能低下は、透析で治療されてきた。透析は、さもなければ正常に機能している腎臓によって除去されていた筈の老廃物、毒素および過剰な水分を身体から除去する。この療法は救命手段であるため、腎機能に代わる透析処置は多くの人にとって重大である。
【0005】
血液透析および腹膜透析は、腎臓機能の損失を治療するために一般に使用される2つのタイプの透析処置である。血液透析処置は、患者の血液を利用して、老廃物、毒素および過剰な水分を患者から除去する。患者は、血液透析機械に接続され、患者の血液は機械から楊送される。カテーテルは、血液が血液透析機械を出入りすることができるように、患者の静脈および動脈内に挿入される。血液は、機械の透析装置を通過し、透析装置は、老廃物、毒素および過剰な水分を血液から除去する。洗浄された血液は、患者に戻される。多量、たとえば約120リットルの透析液は、1回の血液透析処置時に、血液を透析するために消費される。血液透析処置は数時間持続し、一般に、治療センターにおいて週に3回または4回実施される。
【0006】
腹膜透析は、透析溶液つまり「透析液」を使用し、透析液は、カテーテルを介して患者の腹膜内に注入される。透析液は、腹腔の腹膜に接触する。老廃物、毒素および過剰な水分は、拡散および浸透作用によって患者の血流から腹膜を通過し、透析液内に流入する。つまり膜を横断して浸透圧格差が生じる。消費済み透析液は、患者から排出されて、老廃物、毒素および過剰な水分が患者から除去される。このサイクルが繰り返される。
【0007】
様々なタイプの腹膜透析処置があり、たとえば持続的外来腹膜透析(「CAPD」)、自動腹膜透析(「APD」)、潮流APDおよび連続流腹膜透析(「CFPD」)が挙げられる。CAPDは、手動透析処置である。患者は、埋め込みカテーテルを排出管に手動で接続し、消費済み透析液を腹腔から排出することできる。次に、患者は、カテーテルを新鮮な透析液のバッグに接続し、カテーテルを通して新鮮な透析液を患者に注入する。患者は、カテーテルを新鮮な透析液のバッグから取り外し、透析液を腹腔内に滞留させて、老廃物、毒素および過剰な水分を移動させることができる。滞留時間後、患者は、手動透析手順をたとえば1日に4回繰り返し、各々の治療は約1時間持続する。手動腹膜透析は、患者の多量の時間および努力を必要としており、改善の余地が十分にある。
【0008】
自動腹膜透析(「APD」)は、透析処置が排出、充填および滞留サイクルを含むという点でCAPDに類似している。しかし、APDマシンは、一般的に患者の睡眠中に自動的にこれらのサイクルを実行する。APDマシンは、手動で治療サイクルを実行する必要性、および必需品を日中運搬する必要性から患者を開放する。APDマシンは、埋め込まれたカテーテル、新鮮な透析液の源またはバッグ、および流体排出管に連通する。APDマシンは、新鮮な透析液を透析液源からカテーテルを通して患者の腹腔内に楊送し、透析液が腹腔内に滞留し、老廃物、毒素および過剰な水分が移動することを可能にする。この源は、複数の殺菌透析液溶液のバッグで良い。
【0009】
APDマシンは、消費済み透析液を腹腔からカテーテルを通して排出管に楊送する。手動プロセスと同様、何回かの排出、充填および滞留サイクルがAPD時に行われる。「最終充填」は、CAPDおよびAPDの終わりに行われ、次の治療まで患者の腹腔内に残存する。
【0010】
CAPDおよびAPDは共に、消費済み透析液を排出管に送り出すバッチタイプのシステムである。潮流システムは、修正されたバッチシステムである。潮流の場合、全部の流体を患者から比較的長時間にわたって除去するのではなく、流体の一部を除去し、比較的短い時間増分後に置換される。
【0011】
連続流つまりCFPDシステムは、消費済み透析液を廃棄するのではなく洗浄して再生する。このシステムは、ループを通して流体を患者の体内および体外に楊送する。透析液は、1つのカテーテル内腔を通って腹腔内に流入し、別のカテーテル内腔から流出する。患者から出る流体は、尿素除去コラムを介して老廃物を透析液から除去する再構成デバイスを通過し、尿素除去コラムは、尿素をアンモニアに酵素的に変換する。次に、アンモニアは、透析液を腹腔内に導入する前に、吸着作用によって透析液から除去される。追加のセンサは、アンモニアの除去を監視するために使用される。CFPDシステムは、一般に、バッチシステムより複雑である。
【0012】
血液透析、APD(潮流を含む)およびCFPDシステムは、ポンプカセットを使用することができる。ポンプカセットは、一般に、機械的に移動して透析液をそれぞれカセットから押し出し、カセット内に引き込む可撓性膜を備える。公知のシステムによっては、カセットの一方の側に可撓性シーティングを備え、他のシステムによっては、カセットの両側シーティングを備える。正圧および/または負圧を試用して、ポンプカセットを作動させることができる。
【0013】
ポンプカセットに関する1つの問題は、漏れである。可撓性膜にピンホールまたは亀裂が生じた場合、流体および/または空気は膜の一方の側から他方の側に移動する可能性がある。流体がカセット内部からマシンの内部機構に移動すると、マシンを損傷する可能性がある。空気がマシンから、または不良な流体接続部、たとえば不適切な供給バッグの接続部からカセット内に移動すると、カセットによって画定される流体通路の減菌状態を損なう可能性がある。透析液がカセットからマシンにいつ漏れたかを判断する検出システムがある。しかし、カセット内に漏れる空気を検出することは、比較的困難である。したがって、カセットの可撓性部分をカセットの剛性部分に適切にシールし、管類をカセットに適切に接続して漏れを防止することが重要である。
【0014】
カセットベースの流体療法システムの1つの重要な特徴は、カセットおよび管類に使用される材料である。この材料は減菌の過酷さに耐え、患者にとって安全であり、治療全体を通して良好な流動特性を示さなければならない。さらに、この材料は、患者が与える過酷さ、たとえば捩れ、治療マシンのポンプと患者の位置との間の高度におけるヘッドの高さの差による正圧および負圧の変化に耐えなければならない。
【0015】
ダイアフラムタイプのポンプを使用する流体システムのために、適切な材料が開発された。しかし、蠕動ポンプに使用される標準的な材料(たとえば、シリコーン)を改善する必要性が存在する。以下に示すとおり、蠕動ポンプは、材料にポンプヘッド応力を与えるが、この応力は、ダイヤフラムポンプに機械的または空気圧的に加わる応力とは異なり、場合によっては比較的局所的である。蠕動材料の必要性は、蠕動ポンプヘッドに接触する管類部分に関して特に存在する。この場合、改善された管材は、精度、弾力性および可撓性に関連する要素間に適切な平衡状態を示す必要がある。
【0016】
上記で暗に述べたとおり、カセットベースの流体ポンプシステムの1つの問題点は患者の頭部の高さである。一方、流体は治療を促進し、治療流体、たとえば透析液を適切に混合するために、できるだけ迅速に患者に充填し、患者から除去することが望ましい。他方では、患者側圧力は、安全な限度内に維持しなければならない。正圧および負圧の限度内の流体を楊送することは重要だが、安全性限界から不必要に離れた圧力で患者との間で楊送することによって、効率性を犠牲にすることは望ましくない。
【0017】
ポンプ側圧力は、患者側圧力が効率的かつ安全に制御されるように制御する必要がある。このような制御は、治療マシンに対する患者の相対的高度を考慮に入れなければならない。患者がマシンより下に存在する場合、この高度差は、患者に充填する場合はポンプを補助するが、患者から排出する場合はポンプに不利に作用する。患者が、高度的にマシンより高い位置に存在する場合、この差は、患者から排出する場合はマシンを補助するが、患者に充填する場合はポンプを妨げる。患者の頭部の高さによって生じる圧力を補償するため、ある試みが行われてきた。これらの試みの少なくともいくつかは、正確な結果を繰り返し生成しない複雑なアルゴリズムを伴った。したがって、および医療用流体ポンプシステムにおける頭部の高さによって生じる患者の圧力を検出して補償するための単純で再現可能、かつ正確な方法および装置を開発する必要性が存在する。
【0018】
カセットベースのポンプシステムに関するもう1つの問題は、使用時点で2つ以上の解決方法を混合する場合に生じる。現在のある習慣では、2種類の供給溶液の自動化混合は、少量の第1溶液および同量の別の溶液を1つの混合貯留槽内に交互に楊送することによって行われる。2種類の溶液は、混合貯留槽内で混合される。多量の2種類の溶液を貯留槽内に楊送した後、混合溶液は、第2作業として貯留槽から患者に楊送される。したがって、溶液は2回楊送され、1回は成分供給から混合貯留槽に、再び混合貯留槽から患者に楊送される。
【0019】
最終溶液のバッチ加熱を採用しているシステムの場合、溶液は、いずれの場合も加熱バッグに楊送して加熱してから、注入しなければならないため、混合貯留槽は、理論上加熱貯留槽である。しかし、加熱を使用するシステムの場合、混合のためのみに別個のポンプが必要である点が不利である。したがって、追加のポンプを必要とせずに、2種類以上の異なる流体を混合するインライン混合方法および装置に対する必要性が存在する。
【0020】
腹膜透析システムおよびカセットベースのAPDシステムのさらに他の一般的な問題は、流体システムのプライミングである。プライミングAPDシステムの目的は、患者の移送セットに接続する患者コネクタが位置する患者ラインの最端部に流体を押し進め、その際、透析液がコネクタを通過してシステムから溢出することはない。
【0021】
透析マシンは、重力を使用してプライミングを行う。公知の重力プライミングシステムには、多くの欠点がある。第1に、プライミングシステムによっては、特にサイズが決められたバッグのために設計される。その他のサイズのバッグを使用すると、プライミングシステムは適切に動作しない。第2に、多くのシステムでは、プライミングの始めに、使い捨て式カートリッジまたはカセットに近い近位端付近の患者ライン内に、空気と流体との混合物が存在する。場合によっては、透析液は、透析液の導入および/または完全性テストによって、カセット内に集合する。このような透析液の集合は、透析液と入って来るプライミング溶液との間に空気の隙間を生じる可能性がある。この空気の隙間は、重力プライミングを妨げ、場合によっては抑制する可能性がある。したがって、多くの処理プライミングガイドは、ラインが適切にプライミングしているように思われない場合、患者ラインのある部分をタッピングする工程を含む。タッピングは、流体ライン内に捕捉された気泡を除去することを意味する。プライミングに比較的頻繁に生じる第3の問題は、患者が、当該ラインをプライミングする前に、患者ライン上のクランプを取り外すのを忘れることである。患者ラインがクランプされていると、ラインを適切にプライミングすることができない。
【0022】
透析システムのさらにもう1つの問題は、容積測定流体の精度である。血液透析の場合、必要量の限外濾過液を患者から除去して、患者が、治療の終わりに、「乾燥体重」として周知されている状態を達成することが重要である。血液透析およびPD(CAPD、APD、CFPD、潮流システムなどと総称される)の場合、透析液は、所定量の不純物を患者から除去するのに十分な量を透析装置(血液透析)または腹膜(PD)に供給されることが重要である。また、PDの場合、透析液は患者に供給されるため、患者の腹膜に供給される流体の量も、腹膜から除去することが重要である。
【0023】
本明細書に記載するとおり、本発明は、上記の必要性および問題に対処する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0024】
(発明の要旨)
一実施態様における本発明は、医療用流体治療システム、方法および装置を提供する。本発明は、カセットベースの蠕動ポンプシステムに関する。しかし、本発明の様々な特徴は、ダイアフラムシステムなど、他のタイプのポンプシステムに適用することができる。このシステム、方法および装置は、様々な医療用流体療法、たとえば腹膜透析(APD、CAPD、CFPDおよび潮流理学療法を含む)、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、並びに何らかのタイプの持続的腎代替療法、鬱血性心不全療法、およびその他に適用することができる。特に、本発明は、部分的には、(i)蠕動システム用の改善された管類、(ii)改善された蠕動ポンプ、(iii)頭部の高さによる圧力を測定および補償するための改善された装置および方法、(iv)複数の異なる別個の成分溶液をインライン混和するための改善された装置および方法(混和は、1種類または複数種類の溶液の混合を含む)、(v)カセットベースのシステムのための改善されたバルブ調節、および(vii)改善された精度アルゴリズムを提供する。
【0025】
一態様では、本発明は、カセットベースの蠕動ポンプ用途のための改善された管類を提供する。一実施態様における管類は、蠕動ポンプの一部および/または使い捨て式ポンプカセットの一部である。管類は、高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、エチレンブロックコポリマー、メタロセン触媒による超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの何らかの組合せから成る群から選択される1つまたは複数の材料から製造される。これらの管類は、蠕動ポンプに望ましい多くの特徴および特性を示す。たとえば、管類は、蠕動ポンプのヘッドローラによって圧縮された後に、管類を回復させることが可能な圧縮永久歪を有する。管類は適切に可撓性であり、蠕動ポンプのギヤローラまたはポンプヘッドによって完全に圧縮される。管類は、適切に一貫した直径および壁厚を有し、その長さを適切に保持する。管類は、ローラヘッドの接触時に優れた引裂抵抗および耐衝撃性も示す。
【0026】
管類は、複数の異なる方法で、たとえば押し出し、成形、押し出し成形、溶剤結合、摩擦嵌合、無線周波シール、ヒートシールおよびレーザ溶接によって、対応するポンプカセットに結合するように構成される。管類は、優れた生体適合性、低毒性および抽出物を示す。管類は、50%〜85%のショアA硬度を示し、73℃×22時間で30%〜65%の圧縮永久歪を有し、110〜480in−lb/inの範囲の引裂抵抗を有する。管類は、良好に経年変化し、蠕動ポンプのポンプヘッドまたはローラに係合して、適切に動作するのに適する摩擦係数を有する。
【0027】
上記の有利な性質および特性は、高度に正確で、管類の破砕が最小限であり、粒状物質(「PE」)が少ない管材を形成する。低度のPEおよび正確な流量のほかに、本発明のポンプ管類は、多くのユーザ環境に対する広範な製品、摩擦および適用要件をも達成し、満たす。
【0028】
管類の性能は、流動粘稠度および反復性疲労要件に適合し、一定のポンプ入力が与えられる長期にわたって少ない変化率を示す。管類は、たとえば1.8〜9.2などの大きい範囲のpH値で良好に機能する。管類は、4℃〜40℃の温度範囲でも良好に機能する。管類は、頭部高さによる極端な圧力、たとえば患者と医療用流体ポンプとの間の±0.5mの頭部高さの差による圧力で使用することも可能であり、たとえば+.5m〜−.5mの頭部高さによる圧力が根本的に変化した後でも比較的正確である。したがって、管類は、事前に混合した透析液または医療用流体、管類内で混和される複数の成分溶液、たとえば高酸性および高アルカリ性pH値を有する溶液に使用するのに良く適する。
【0029】
本発明のもう1つの態様は、患者の頭部高さを測定および補償する方法および装置を含む。この方法は、腹膜透析器具などの医療用流体楊送装置に接続された患者の相対的な頭部高さを測定する。しかし、この方法は、患者の頭部高さの測定に明示的に限定されるわけではなく、器具に接続された溶液バッグまたは排出管バッグによって生じる頭部高さによる相対圧力を測定するために使用することもできる。
【0030】
対応する頭部高さ装置は、患者、供給バッグまたは排出管バッグによって生じる頭部高さによる圧力をマシンで(流体ポンプにおいて、または流体ポンプ付近で)直接測定するセンサを備える。この測定結果は、頭部高さを補償するために、医療用流体システムの制御装置またはマイクロプロセッサに供給される。センサに、またはセンサ付近に位置するポンプの動作圧力は、(i)患者側の流体圧力が、確実に患者の安全性限界内であるように減少されるか、または(ii)患者内に流入するか、または患者から流出する流体の流量を最大限にするように増加される。患者の安全性は、重要な問題点である。しかし、効率性および治療上の理由から、患者側圧力をできるだけ設定限界付近に調節し、この限界を越えないようにすることも望ましい。
【0031】
頭部高さ装置では、カセットはチャンバを備え、少なくともその一方の側には、可撓性のダイアフラムまたは膜を備える。流体は、そのチャンバ内に楊送される。圧力センサは、流体から膜の対向側に取り付けられる。真空は、膜の外側(非流体側)に引かれ、その結果、膜は、圧力センサの感知部分に接してシールされるかまたは保持される。別法によると、カセットは、膜とセンサとの間にごく少量の空気を装填され、その結果、カセットを装填した時に、これらの間にわずかな真空が形成される。圧力センサは、位置的にカセットに対して固定され、その結果、相対的であるか絶対的であるかに関わらず、チャンバ内の流体の圧力を検出する。
【0032】
頭部高さの方法では、一実施態様における圧力は、流体を患者に楊送し、ポンプを停止して、静圧ラインを形成した後に測定する。制御装置またはプロセッサは、必要な場合、単純なアルゴリズムを使用して、マシンに対する患者の高度を判断して表示させる。操作上のポンプ側圧力は、何れの場合も、(i)頭部高さによる測定圧力を補償し、(ii)流体が患者に供給される圧力を調節するために上下に移動される。
【0033】
本発明の第3態様は、混合溶液を患者に供給する直前に、2種類の溶液を混合するためのインライン装置および方法を含む。この装置および方法は、流体供給ポンプとは別に流体供給ポンプに追加して、混合ポンプの必要性をなくし、それでもなお溶液のインライン混合を提供する。この装置および方法は、様々なタイプの流体ポンプ、たとえば蠕動ポンプおよびダイヤフラムポンプで動作可能である(蠕動ポンプに関連して、以下で説明する)。蠕動ポンプの場合、別個のチャンバが設けられ、チャンバに対するY接続部を通して、異なる流体の個々の入口間に共通の流路が形成される。Y接続部の入口は、第1源からの流体が流路およびチャンバに入ることを選択的に可能にし、次に、交互に第2源からの流体が流路およびチャンバに入ることを可能にするバルブに連通することができる。このサイクルは、複数回繰り返すことができる。
【0034】
一実施態様では、蠕動ポンプの精度を改善するため、ポンプのモータは駆動プレートに直接結合される。次に、駆動プレートは、(i)蠕動ポンプ頭部のローラ、または(ii)ローラを収容するハウジングのいずれかに機械的に接続する。この構成では、ポンプモータは、ポンプ頭部のローラを正駆動し、その結果、透析液は対応する管を通る。
【0035】
上記のサイクルを繰り返すと、チャンバの直前の流路には、バルブの各々の順序付けの後に、新しい流体が充填される。しかし、一実施態様では、チャンバの一部のみに、新たに投入された流体が充填される。この方法では、2種類以上の流体がチャンバ内で混合し、チャンバは、このような混合を促進するためのバッフルまたはその他の障害物を備えることができる。
【0036】
チャンバの前の流路は、たとえばチャンバの2分の1に構成される。さらに、チャンバおよび/または流路の容積は、既知のポンプ増分、たとえば蠕動ポンプの駆動シャフトの完全な回転から達成されるか、またはダイヤフラムポンプの全行程から達成される容積などに関連する。これらの相関関係を使用すると、ダイヤフラムポンプのポンプ行程の3分の1、ポンプ行程の2分の1、全ポンプ行程もしくは複数の全ポンプ行程、または蠕動ポンプの駆動シャフトの3分の1回転、2分の1回転、全回転または複数回転に合わせて順序付けられる。バルブは、正確な量の流体をチャンバ内、およびポンプ直前の流路内に引き込むように、ポンプの動作に関連して順序付けられる。時間の経過とともに、このようなバルブおよびポンプの順序付けによって流体の正確な混合物が生じ、混合物は混合状態で患者に供給される。
【0037】
本発明の第4態様は、カセットの多くの改善を含み、たとえばシールリブの改善、これらのシールリブによって画定される流路の改善、可撓性膜をカセットにシールするための方法および材料の改善、つまり密封超音波シールを含む。
【0038】
本発明の第5態様は、インラインpH感知のための方法および装置を含む。このシステムは、導電性取付具および電源を使用して、供給流体の流路の一部を横断して電位を配置する。結果として得られ、測定された流路を通る電流は、流体のpHの指標である。
【0039】
本発明の第6の態様は、システムから空気を検出して除去するための改善された装置および方法を含む。空気センサは、供給流体の流れが患者または排出管に送られるバルブ構成のある位置から上流に配置される。空気が検出されると、供給流は排出管に迂回される。
【0040】
本発明の第7態様は、改善されたカセットベースの空気トラップを含む。空気トラップは、患者ラインに至る出口バルブも備える別個の領域のカセット内に配置される。カセットは、空気トラップを患者の出口バルブ上に配置して垂直に実装する。この構成は、空気が使い捨て式カセット内に集合することを可能にし、透析液が患者の出口バルブを通って患者に移動することを可能にする。
【0041】
本発明の第8態様は、患者ラインをプライミングするための装置および方法を含む。センサは、患者ラインをプライミング前に保持するホルダー内に配置される。センサは、(i)患者ラインがホルダー内に存在する場合;(ii)その場合、空気は、流体プライミングレベルにある;(iii)その場合、流体は流体プライミングレベルにある。
【0042】
本発明の第9態様は、容積移送式ポンプシステム、たとえばダイアフラムまたは蠕動システムなどの容積測定精度を決定するための改善されたアルゴリズムを含む。このアルゴリズムは、流量に影響するが、従来は無視されていた変数を考慮に入れる。
【0043】
本発明のその他の態様は、本明細書に示して説明する。
【0044】
上記の態様を考慮すると、本発明の一実施態様は、管類の断面を横断して移動して、管類を圧縮し、管類を通して流体を移動させる部材を有する蠕動ポンプを備え、この場合、管類は約50〜約85のショアA硬度、および約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗を有する。
【0045】
管類は、(i)約9.0のpHを有する流体の場合、少なくとも約12時間にわたって楊送した後、少なくとも約90%の流量精度;(ii)約2.0のpHを有する流体の場合、少なくとも約12時間にわたって楊送した後、少なくとも約90%の流量精度;および(iii)少なくとも約±0.5mの頭部高さから楊送される流体の場合、少なくとも約90%の流量精度を示すことが可能である。
【0046】
一実施態様では、管類は、(i)約50〜約85の範囲のショアA硬度;(ii)約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗;(iii)実質的に均一な直径;(iv)実質的に一定の壁厚;(v)約40℃の温度範囲で正確;(vi)73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、および(vii)使い捨て式カセット用としての販売適性から成る群から選択された少なくとも1つの特性を有する。
【0047】
本発明の第2実施態様は、管類の断面を横断して移動する部材を有すると共に、管類が圧縮および膨張して、流体が管類を通って移動することを可能にする蠕動ポンプを備え、管類は、約2.0〜約9.0のpHを有する流体の場合、少なくとも90%の流量精度を示し、流体は、少なくとも約±0.5mの頭部高さから管類を通して少なくとも12時間にわたって楊送される。管類は、使い捨て式カセットに導入するか、またはシールすることができる。
【0048】
本発明の第3実施態様は、少なくとも1つの流路および少なくとも1つのバルブチャンバを画定する使い捨て式カセットを有する蠕動使い捨て式透析装置を含み、流路はカセットが提供する多数のポートとレベルし、管類はこれらのポートとレベルし、管類は蠕動ポンプで動作するループを形成し、管類は、約50〜約85の範囲のショアA硬度、および約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗を有する。管類および使い捨て式カセットは、酸化エチレン洗浄処理および放射線から成る群から選択されたプロセスによって減菌することができる。管類は、成形、押し出し成形、溶剤結合、摩擦嵌合、無線周波シール、ヒートシール、レーザ溶接およびこれらの任意の組合せから成る群から選択されたプロセスによってポートに嵌合することができる。
【0049】
本明細書に記載する何れの蠕動ポンプも、蠕動ポンプ頭部を正駆動するモータを備えることができる。
【0050】
本発明の第4実施態様は、本発明の第4実施態様は、少なくとも1つの流路および少なくとも1つのチャンバを画定する少なくとも1つの使い捨て式カセットを有する使い捨て式透析装置を含み、流路は、カセットによって提供される1対のポートと連通し、管類は該ポートと連通して、蠕動ポンプで動作するループを形成し、管類は、約2.0〜約9.0のpHを有する流体の場合、約12時間にわたって少なくとも約90%の流量精度を示し、管類を通って楊送される流体は、少なくとも約±0.5mの頭部高さから楊送される。管類は、成形、押し出し成形、溶剤結合、摩擦嵌合、無線周波シール、ヒートシール、レーザ溶接、およびこれらの組合せから成る群から選択されたプロセスを介してポートに嵌合することができる。
【0051】
本発明の第5実施態様は、使い捨て式カセットを有する流体ポンプで動作可能な医療用流体装置を含み、カセットは本体と可撓性膜とを備え、本体および膜は、密閉チャンバをカセット内に画定し、チャンバは流体入口および流体出口を有し、圧力センサは、チャンバを貫流する流体の圧力変動を感知するように、チャンバを画定する膜の一部分に動作可能に結合され、電子制御装置は、患者の頭部高さによる圧力を指示する信号を圧力センサから受信し、該信号を使用して、ポンプを作動させる圧力を決定する。所望の圧力は、流量の最大化、および確立された少なくとも1つの圧力限度内での動作のうち、少なくとも一方の関数である。電子制御デバイスは、圧力信号、およびポンプと患者との間の少なくとも1つの流量制限により予測される圧力低下に対応する要素に基づいて、動作圧力を決定するように動作可能である。圧力センサおよび電子制御デバイスは、使い捨て式カセットに結合するユニット内に収容することができ、機械的または空気圧的に差動可能なポンプの駆動機構を収容する。ポンプは、カセットが蠕動ポンプの駆動機構に動作可能に結合される管を含む蠕動ポンプで良い。チャンバは、ポンプの楊送チャンバで良い。
【0052】
一実施態様では、頭部高さによる圧力が正である場合、電子制御デバイスは、動作ポンプ側正圧を所望の患者側正圧より高く設定して、所望の正圧で患者に充填し、動作ポンプ側負圧を所望の患者側負圧より低く設定して、所望の負圧で患者から排出するように動作可能である。もう1つの実施態様では、高さ圧力による圧力が負である場合、電子制御デバイスは、動作ポンプ側正圧を所望の患者側正圧より低く設定して、患者に充填し、動作ポンプ側負圧を所望の患者側負圧より低く設定して、所望の負圧で患者から排出するように動作可能である。
【0053】
本発明の第6実施態様は、ポンプを駆動する駆動機構と、圧力センサと、患者の頭部高さによる圧力を指示する信号を圧力センサから受信し、該信号を使用して、駆動機構を作動させる動作レベルを決定するように動作可能な電子制御デバイスとを有する医療用流体装置を含む。動作レベルは、流量の最大化、および確立された少なくとも1つの圧力限度内での動作のうち、少なくとも一方の関数である。ポンプは蠕動ポンプで良く、駆動機構は、流体搬送管に対して回転する頭部を備え、動作レベルは、頭部が該管に対して回転するレベルである。
【0054】
本発明の第7実施態様は、楊送増分ごとにある流体量Vを楊送する流体ポンプで動作可能な医療用流体装置であって、混合チャンバと、異なる第1および第2流体を保持する第1および第2流体供給源と、第1端部がチャンバの入口に連通する流路と、量Vの予め決められた部分である量Pを有する流路と、流路の第2端部に配置され、第1および第2流体の流量を制御する第1および第2バルブとを有し、バルブが、(i)第1流体の量Pが流路に楊送され、第1流体の量V−Pが第2楊送増分で混合チャンバに楊送され、(ii)第2流体の量Pが流路に楊送され、第2流体の量V−Pが、第2楊送増分で混合チャンバに楊送されるように交互に配置された医療用流体装置を含む。
【0055】
混合チャンバは、流体ポンプの楊送チャンバでも良い。該ポンプは(i)ダイヤフラムポンプおよび蠕動ポンプから成る群から選択されるタイプであり、(ii)蠕動ポンプ、チャンバおよび流路がポンプ上流に位置し、および(iii)蠕動ポンプ、チャンバおよび流路がポンプ下流に位置する。
【0056】
量Pは、量Vの少なくとも実質的に2分の1であるか、または量Vに等しくて良い。バルブは、1対1比以外で第1および第2流体の混合物を生成するように制御することができる。第1増分は、完全なポンプサイクルの第1の割合を構成することができ、第2増分は、ポンプサイクルの第2の割合を構成することができ、第1および第2の割合は、第1および第2流体の望ましい全体的な比率を形成するように選択される。ポンプが蠕動ポンプである場合、ポンプ増分は、(i)少なくとも1つのローラが流体管を圧迫する時の駆動シャフトまたはローラの回転の一部分;(ii)駆動シャフトの完全な1回転;および(iii)駆動シャフトまたはローラの複数回転で良い。
【0057】
本発明の第8実施態様は、混合チャンバと、異なる第1および第2液体を保持し、混合チャンバと連通する第1および第2流体供給源と、流体ポンプと、第1および第2液体の流量を制御する第1および第2バルブとを有する医療用流体装置であって、バルブおよびポンプが、交互にチャンバに第1流体を部分的に充填し、次にチャンバに第2流体を部分的に充填して、全部ではないがある程度の第1流体をチャンバから実質的に除去するように動作可能な医療用流体装置を含む。該装置は、混合チャンバの可撓性膜部分に動作可能に結合された圧力センサを備え、該センサは、ポンプと患者の流体接続部との間の相対的な頭部高さ位置による圧力を測定する。第1および第2供給源は、混合チャンバに至る共通入口流路に一緒に結合することができる。
【0058】
本発明の第9実施態様は、複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、流体ポートの1つに接続された管であって、該管が、管内を移動する流体のpH値を指示する指示値を取得することを可能にする導電性部分を含む管と、該指示値を入力して、流体のpH値が許容可能であるかどうかを判断するように動作可能なプロセッサとを有する使い捨て式カセットを含む。導電性部分は、管の少なくとも1つの部分に結合された導電性取付具を備えることができる。この装置は、プロセッサを密閉してカセットを収容するハウジングを備えることができ、ハウジングは、導電性部分を収容して保持するように動作可能な連結器を備える。
【0059】
本発明の第10実施態様は、複数の流路と、複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、第1の流体ポートに連通する供給容器と、第2の流体ポートに連通する排出管ラインと、第3の流体ポートに連通する患者充填ラインと、供給バッグから、どのバルブチャンバが開放し、どのバルブチャンバが閉鎖しているかに応じて流体を患者充填ラインまたは排出管ラインに楊送するように動作可能な蠕動ポンプと、バルブチャンバに対して配置された空気センサであって、空気センサによって流体内に空気が検出された場合、供給容器からの流体が、患者に楊送されるのではなく、迂回させて排出できる空気センサとを有する医療用流体装置を含む。空気センサは、(i)蠕動ポンプから上流または下流に直接配置され、(ii)カセットに動作可能に結合し、(iii)供給容器をカセットに接続する供給ラインに動作可能に接続し、および(iv)第1空気センサであり、患者充填ラインに動作可能に結合された第2空気センサを備える。
【0060】
本発明の第11実施態様は、複数の流路と、複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、カセットに連通する蠕動ポンプと、流体ポートの1つに接続された患者ラインと、患者ラインが内部に配置されて保持されるからホルダーと、ホルダーと協働して、(i)患者ラインがホルダー内に配置されていない、(ii)患者ラインがホルダー内に配置されているが、流体がまだ感知可能なレベルに達していない、(iii)患者ラインがホルダー内に配置され、流体が感知可能なレベルに達していることを指示する信号を送信するセンサと、信号を入力して、該信号に基づいて少なくとも1つの決定を行うように動作可能な制御装置またはプロセッサとをを有する医療用流体システムを含む。
【0061】
本発明の第12実施態様は、透析液を楊送する際の容積測定精度を改善するためのシステムを含む。該システムは、(i)透析液を楊送する際に容積測定誤差生じる要素を特定し、(ii)該要素を隔離して、該要素と楊送される透析液の量との間の関係を実験的に判断し、(iii)実験的に判断した関係を使用して、該要素の定数Kを決定し、および(iv)定数Kと該要素の値との積によって、楊送される透析液の量を計算するための全体的な方程式を修正する装置を備える。該要素の値は、(i)測定または入力する、(ii)ダイヤフラムポンプシステムの場合、ポンプのダイアフラムの位置、ダイアフラム全体の圧力差、ダイアフラムの材料、ダイアフラムの応力および歪特性、並びにこれらの組合せから成る群から選択する、または(iii)蠕動ポンプシステムの場合、蠕動ポンプ管に対する入口圧力、蠕動ポンプ管に対する出口圧力、蠕動ポンプ管の材料、管類の温度、ポンプ頭部の磨耗、管類の寸法、およびこれらの組合せから成る群から選択することができる。
【0062】
本発明のその他の実施態様について、本明細書に示して説明する。
【0063】
したがって、本発明の利点は、透析およびその他の医療用流体療法による治療を改善することである。
【0064】
本発明のもう1つの利点は、流体ポンプシステムの精度を改善するための方法を提供することである。
【0065】
本発明のさらに他の利点は、流体ポンプシステムの信頼性および耐久性を改善するための方法および装置を提供することである。
【0066】
本発明のその他の利点は、改善された管類、改善されたカセット材料、改善された膜材料、改善された膜構成、およびカセットベースの蠕動ポンプシステムの製造方法を提供することである。
【0067】
さらに、本発明の利点は、頭部高さによる圧力を感知および補償する装置および方法を提供することである。
【0068】
さらに、本発明の利点は、複数の異なる溶液をインライン様式で混和し、追加の混合ポンプを必要としない方法および装置を提供することである。
【0069】
本発明のもう1つの利点は、カセットベースの蠕動ポンプシステムのインラインpH検出装置および方法を提供することである。
【0070】
さらに、本発明の利点は、カセットベースの蠕動ポンプシステムの空気検出および情報装置および方法を提供することである。
【0071】
さらに、本発明の利点は、カセットベースの蠕動ポンプシステムの能動的なプライミング装置および方法を提供することである。
【0072】
本発明のさらにもう1つの利点は、容積移送式ポンプ医療用流体システムを改善するための方法を提供することである。
【0073】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の「発明の詳細な説明」および図面に記載し、これらから明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
(発明の詳細な説明)
本発明は、蠕動ポンプなどのポンプを使用する医療用流体供給システムに関する。特に、本発明は、カセットベースの透析処置であって、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、何らかのタイプの持続的腎代替療法(「CRRT」)、鬱血性心不全治療、CAPD、APD(潮流理学療法を含む)、CFPDを含むが、これらだけに限らない透析処置のためのシステム、方法および装置を提供する。カセットは使い捨て式であり、一般に、1回の使用または治療後に廃棄されるため、汚染に関連する危険性が減少する。
【0075】
(医療用流体治療システム一般)
次に、図面、特に図1を参照すると、本発明の示唆は、上記タイプの治療のすべてに適用することができるが、分かりやすくするために、腹膜透析システム10による実例について説明する。図1は、動作時のシステム10および患者18を示す。後続の図面は、システム10の主要構成要素、つまり使い捨て式カセットまたはカートリッジ、およびカートリッジと共に動作する器具の詳細を説明する。明らかであるとおり、図示の蠕動タイプのシステムは、多くの場合に本発明の示唆にとって重要ではなく、このような示唆は、当業者が周知している様々なタイプの医療用流体治療システムのに容易に適用される。
【0076】
以下でさらに詳細に説明するとおり、システム10は、使い捨て式カセットまたはカートリッジ50を含む。カセット50は、流路と、バルブチャンバと、蠕動ポンプの管およびローラとを画定する。器具またはアクチュエータユニット60は、流体の量が患者18供給され、患者18から除去されるようにバルブおよびポンプを作動させる。
【0077】
カセットベースのシステム10は、患者18とバッグ14、24、22および16との間のライン12、20、32、28および54を通して交換流体量を制御可能かつ選択的に楊送する。管12は、透析液などの流体の交換量を患者18に投与し、患者18から除去するためにカセット50から提供される。供給貯留槽またはバッグ14、16および22は、患者18に投与される供給用の透析液量を含む。
【0078】
バッグ14、16および22は、各々6Lなど、任意の適切なサイズで良い。バッグ14、16および22は、それぞれライン20、54および28を介してカセット50に流体的に接続される。回収貯留槽24は、使用済みまたは消費済み透析液を患者18から回収する。システム制御バルブ26は、貯留槽22に接続されるライン28に流体的に接続される。システム制御バルブ30は、消費済み流体貯留槽24に接続されるライン32に流体的に接続される。バルブ30は、消費済み貯留槽24に対する流量を制御し、使用済み透析液が回収貯留槽24から偶発的に排出されるのを防止する。
【0079】
図示の実施態様では、システム10のカセット50は、7つのバルブ26、30、34、36、40、42および44を備えるか、または画定する。バルブ26、30、34、36、40、42および44は、バッグ14、16、22から患者18への流体の流れ、並びにバッグ24、および1つまたは複数のバッグ14、16および22に戻る流体の流れを制御する。供給バッグ14、16および22は、バッグ24と協働して排出または老廃物バッグとして2通りに使用することができる。バルブ34および36は、加熱器38に至る流体の流れを制御する。加熱された透析液が、ライン12を介して患者18の腹腔に供給されると、老廃物および毒素は、公知の方法で患者の腹膜を横断して透析液に移送される。
【0080】
上記の連通は、腹腔内において1回または複数回の交換が生じることを可能にする。最初の容積交換の時、ポンプ100は、初期量の液体を患者18から除去し、該量を当初は空の貯留バッグ24に楊送する。一実施態様では、排出バッグ24は、すべての消費済み流体を患者18から(バッグ14、16および22から開始して)収容して、消費済み流体管32からの新しい管を隔離するサイズになるように作る。
【0081】
流体の流動方向は、バッグ26、30、40、42および44、管類、カセット流路、並びにポンプ100によって制御される。ポンプ100は、ポンプの駆動または器具部分、並びに下に示す管類およびカセット部分78を意味する。一実施態様におけるポンプ100は、治療のポンプインサイクルおよびポンプアウトサイクルの両方の単一方向で駆動される。この場合、バルブ26、30、40、42および44は、流体を正しい源から正しい目的地に方向付けるように切り替わる。別法によると、ポンプ100は、バルブ26、30、40、42および44と協働して反対方向に楊送作用して、消費済み透析液を患者18から楊送する。図20、21、22、23Aおよび23B、並びに対応する本文は、治療のポンプインサイクルおよびポンプアウトサイクルを実行するようにバルブを切り替える一実施態様を良く説明している。
【0082】
何れの場合も、腹腔内において1回、老廃物および毒素は公知の方法で患者の腹膜を横断する交換量に移送される。何れの場合も、流体を患者18に供給する際、流体は、バルブ34および36を介してインライン加熱器38に楊送される。何れの場合も、流体を患者18に供給する際、流体は、バルブ34および36を介してインライン加熱器38に楊送される。インライン加熱器38は、電気プレート加熱器、赤外線加熱器、対流加熱器、放射加熱器、およびこれらの任意の組合せで良い。加熱器38を制御するための1つの制御機構は、米国特許出願第10/155,560号「Method and Apparatus for Controlling a Medical Fluid Heater」に記載および請求されており、該出願の全体的な内容は、引用することにより本明細書に援用する。
【0083】
一実施態様におけるシステム10は、ゼロ〜約500万L/分の流量で楊送することが可能な蠕動ポンプ100を使用する。ポンプ100は、供給バッグ14、16および22の各々から順に、または混和の場合は、バッグ14、16および22の2つ以上のバッグから同時に楊送することができる。どの供給バッグが活動状態であるかを判断するために使用されるバルブは、ユニット60内に収容される機械的、電気的、電子機械的または空気圧アクチュエータを介して選択的かつ自動的に作動される。
【0084】
次に、図2および3を参照すると、アクチュエータユニット60の様々な図または部分が示されている。図2に示すように、ユニット60は、使い捨て式カセット50と共に動作する。図3では、カセット50は、ユニット60内のアクチュエータのいくつかを露出させるために取り外されている。図4〜7は、カセット50をより詳細に示す。ユーザ(患者または介護者)は、コントロール62および64、並びにタッチスクリーンまたはタッチパッドで動作可能なディスプレーパネル66を介してモータ/バルブアクチュエータユニット60の動作を制御する。アクチュエータ60は、音声ガイダンスおよび/または音声起動を使用することもできる。
【0085】
移動可能なリッド70は、カセット50をモータ/バルブアクチュエータユニット60の表面108に対して所定の位置に保持し、治療セッションの間使い捨て式カセット50を取り付けて、その後廃棄することを可能にする。そのため、一実施態様におけるカセット50は、プラスチック、または容易に殺菌可能なその他の適切な使い捨て可能な材料から製造される。
【0086】
図7のカセット50の底面図に示すように、管32、68、20、54、28および12は、一実施態様における使い捨て式カセット50が設けられ、治療前に、任意の適切な装置および方法によって、それぞれバッグ24、加熱器38、供給バッグ14、16および22に取り付けられる。そのため、クランプおよび/または先端コネクタ/プロテクタには、様々な周辺装置に対する殺菌流体の接続を容易にするため、管32、68、20、54、28および12の1つもしくは複数、または全部が設けられる。
【0087】
図4は、カセット50がバルクヘッドポート118〜130を画定または含むことを示す。これらのポートは、それぞれ管32、68、20、54、28および12に結合される。カセット50およびポート118〜130は、一実施態様ではアクリル系である。管32、68、20、54、28および12は、一実施態様では超高分子量のポリ塩化ビニル(「UHMWPVC」)である。これらの材料は、シクロヘキサノンおよびメチルエチルケトン(MEK)などの溶剤を介して容易に溶剤結合される。溶剤は、ポートおよび管の表面を部分的に溶解させるため、これらの間に化学結合を形成し、容易に密封および減菌される強力な接続部が形成される。
【0088】
管32、68、20、54、28および12は、カセット50の外側に延在する。図4、7、8および9Aに示すように、変形可能な管76はカセット50の内部に延在する。図8および9Aは、図4および7にも示されているカセット50のポンプケーシング部分78を強調している。図9Aは、図8の線IX−IXに沿って見た図8の断面図である。
【0089】
管76は、ほぼ平坦であり、カセット50の他の部分と平行なループを形成する。管76のループ部分の外面は、カセット50のポンプケーシング78内に設けられている類似形状の支持表面74に接触して当たっている。表面74は、ポンプローラ80と協働して、管76を圧縮する。
【0090】
(蠕動ポンプローラの材料)
ポンプ100は、可変数のポンプローラ80を備える(3つ示す)。ローラ80は、任意の適切な金属、プラスチック、複合材料、またはその他の材料から製造され、一実施態様では、繊維強化材料から製造される。一実施態様では、材料は、繊維強化ポリアセタール(「POM」)である。別の実施態様では、材料は、繊維強化高密度ポリエチレン(「HDPE」)である。繊維はカーボン、ステンレス鋼、KEVLARQD、高分子量のポリエチレン、およびこれらの任意の組合せまたは誘導体で良い。繊維は、たとえば1〜50質量%などの任意の割合で供給することができる。
【0091】
各々のローラ80は独立軸82の周囲で回転し、変形可能な管76によって形成されるループ内に位置する。一実施態様では、ローラおよび対応するリンク機構(図8および9)は互いに同じである。駆動スピンドルまたはシャフト84は、ローラ80が周囲を回転する軸82に実質的に平行な軸の周囲で回転する。駆動シャフト84は、シャフトがローラ間に挿入された場合、ローラ80を分離する、つまり外側に押す。駆動シャフト84は、ローラ80を外側に圧迫する楔として作用し、それによって、図9Aに見られるように、変形可能な管76を部分78の支持表面74に対して圧迫する。
【0092】
駆動シャフト84は、ローラ80を管76および表面74に対して摩擦によって駆動する。一実施態様では、各々のローラ80は、軸82の周囲に円筒状リング86および88を備え、これらのリングは駆動シャフト84に接触して摩擦を生じる。ローラ80の支持表面90は、一実施態様では凸状またはバレル形であり、管76に接触して圧迫する。もう1つの実施態様では、支持表面90は平滑であり、実質的に円筒状または直線状の断面である。
【0093】
蠕動ポンプ100のポンプケーシング78は、基部92(図9A)、および基部92上にスナップ嵌合または圧着するカバー(図示しない)を備える。カセット50は、中空雄要素96および98も含むかまたは画定し、これらの要素には、変形可能な管76が、圧着または溶剤結合などの適切な方法によって密封接続される。
【0094】
図4および7に示すように、一実施態様では、ローラ80はハウジング94内に収容される。ハウジング94は、ローラ80を互いに分離し、回転可能に固定されるように各々のローラ80を保持する。ハウジング94およびローラ80は、駆動シャフト84が存在しない場合に、管76がローラ80を内側に互いの方向に押す寸法に作られる。つまり、反作用力が存在しない場合、管類76は、ローラ80を内側に弾性的に押す。図示の実施態様では、ポンプ100は、ローラ80と管類76との間の適切な摩擦に頼って、ローラを適切に移動させ、医療用流体を適切に楊送する。3つのローラ80が示されているが、任意の適切な数のローラ80を設けて良い。
【0095】
図8および9Aに示すとおり、駆動シャフト84を挿入すると(図3にも示す)、ローラ80は対側に半径方向に分離し、管類76をケーシングの支持表面74とローラの支持表面90との間に完全に圧縮する。このような圧縮は、ローラ80の各々における複数の場所で管類76を完全に塞ぐ。この圧縮は、ローラ80および駆動シャフト84上にも力を加える。したがって、駆動シャフト84が、モータ/バルブアクチュエータユニット60内に位置するモータによって回転する場合、ローラシャフト84およびローラ80は可逆的であっても可逆的ではなくもて良いし、流体が楊送される方向を決定しても、決定しなくても良い。
【0096】
(蠕動ポンプの正駆動係合および離脱)
次に、図9B〜9Dを参照すると、直接または正駆動蠕動ポンプ250の一実施態様が示されている。上記のとおり、ポンプ100は、ローラ80と管類76との間の適切な摩擦に頼って、ローラを移動させ、医療用流体を適切に楊送する。ポンプ100は、使い捨て式カセット50のユニット60への装填、およびユニット60からの取り外しを単純化する。しかし、ポンプ100の摩擦駆動は、(i)カセット50およびユニット60内における粒子の生成および蓄積(「PE」)、および/または(ii)駆動シャフト84とローラ80および/またはローラ80と管76との間の摩擦滑りによる精度の欠如を生じる場合がある。直接駆動ポンプ250は、PEおよび潜在的な不正確さをなくすのに役立つ。
【0097】
ポンプ250は、たとえば3つなどの可変数のローラ280を備える。ローラ280は、上記のとおり、適切な金属、プラスチック、複合材料またはその他の材料から製造され、一実施態様では、繊維強化材料から製造される。ローラ280は、変形可能な管76(図4、7および8に示す)によって形成されるループ内に位置する。各々のローラ280は、ピン282の周囲で回転する。ピン282は、自己潤滑性材料から製造され、円筒軸受けとしても機能する。別法によると、ローラまたは玉軸受け(図示しない)は、摩擦を減少させるために、ローラ280とピン282との間に配置される。さらに他の別法によると、ピン282はローラ280と一体であり、ローラ280と共に回転する。一実施態様では、ローラ280は、ピン282と同様に互いに同じである。ローラ280およびピン282は、中心線286の周囲に均一に、たとえば120°離して配置される。
【0098】
上記のポンプ100のシャフト84は、摩擦によってローラ80を回転させる駆動スピンドルである。一方、瞬間ポンプ250のシャフト284は、ローラ280を駆動しない。むしろ、シャフト284は、ローラ280のためのスペーサおよび安定器として作用する。シャフト284は、ピンがハウジング294に十分に固定されている場合は不要である。あるいは、シャフト284は、設けることはできるが、ローラ280に接触しないか、または緩やかに接触させる。シャフト284がローラ280に接触している限り、シャフトは自己潤滑性である。シャフト284および/またはローラ280は、スロットまたは溝を付けて、これらの間の表面接触量を減少させることができる。
【0099】
ローラ280は、ハウジング294内に収容される。図示の実施態様におけるハウジング294は、基部292、および基部292にスナップ嵌合または圧着するカバー296を備える。ハウジング294の基部292およびカバー296は協働して、ピン282によってローラ280を互いに分離し、各々のローラ280を回転可能に固定されるように保持する。ピン282がシャフト284上に挿入されると、シャフト284もローラ280を分離状態に保つ。
【0100】
一実施態様では、半径方向に延在するスロットは、基部292およびカバー296内に設けられる。ピン282およびローラ280は、基部292およびカバー296に対して半径方向内側および外側に移動することができる。この場合、上記と同様、ハウジング294およびローラ280は、シャフト284が存在しない場合、管76がローラ280を内側に互いの方向に押す寸法に作られる。つまり、つまり、反作用力が存在しない場合、管類76は、ローラ80を内側に弾性的に押す。シャフト284は、円錐端部288を備える。ローラ280の間に挿入されると、円錐端部は、ローラ280を半径方向に互いから離れるように押し、その結果、シャフト284は最終的に、管76をケーシングの支持表面とローラ280との間に完全に圧縮する。以前と同様、このような圧縮は、ローラ280の各々において管76を完全に塞ぐ。
【0101】
別法による実施態様では、基部292およびカバー296にスロットが形成されないため、ピン282およびローラ280は、基部292およびカバー296に対して半径方向内側および外側に移動することができない。この場合、上記と異なり、ハウジング294およびローラ280は、シャフト284が存在しない場合に、管76がローラ280を内側に互いの方向に押さない寸法に作られる。したがって、シャフト284は、ハウジング294の基部292およびカバー296、並びにピン282が十分に堅固である場合は省略して良い。この場合、ピン282を配置すると、ケーシングの支持表面とローラ280との間に管76を完全に圧縮し、その結果、管76は、ローラ280の各々において完全に閉塞する。
【0102】
図9Bおよび9Cに示すように、カセット50がユニット60内に配置されると、ピン282は、溝プレート260の溝262内に嵌合する。溝プレート260は、たとえば止めねじ264、または等業者が周知しているその他の方法によって、モータ270のシャフト272に結合される。溝プレート260は、モータ270のシャフト272に直接結合されているように示されているが、ベルトおよびプーリまたは比歯車組立体を代わりに使用して良い。図示の実施態様では、プレート260およびシャフト284間の摩擦は、玉軸受け274などの軸受けをシャフト284とプレート260との間に配置することによって減少する。
【0103】
図9B、9Cおよび9Dに示すように、溝262は、傾斜ストップ266によって分離される。これらのストップ266は、各々のピン282に1つ設けられる。ストップ266は、ピン282と同様、中心線286の周囲に、たとえば120°離して配置される。傾斜ストップ266は各々、実質的に垂直な面および傾斜面268を備える。傾斜面268は、自己整列を可能にする。ピン282が傾斜面268に対して圧迫されると、溝プレート260および/またはピン282が回転し、ピン282はプレート260の溝262の底を付く。この時点では、カセット50、ピン282およびローラ280は、ユニット60およびプレート260内に垂直に係止される。モータ270およびプレート260は、ピン282およびローラ280に対して回転し、ストップ266の垂直面がピン282に当接する。この時点では、ピンは、プレート260のストップ266に対して係止され、その後、モータ270は、ピン282、ローラ280、および管76を通る流体を正駆動することができる。プレート260はローラ280を中心線286の周囲で回転させるので、ローラ280と管76との間の摩擦によって、ローラ280はピン282の周囲で個々に回転する(あるいは、ローラ280およびピン282は、ハウジング294内で共に一体的に回転する。図9B〜9Dの実施態様は一方向だが、詰まりの解除を促進するのに必要な場合、双方向モータを使用することができる。
【0104】
次に、図9Eおよび9Fを参照すると、別法によるポンプ290および310が示されている。ポンプ290および310は共に、ポンプ250と同様に正駆動ポンプである。また、ポンプ250と同様、ポンプ290および310は、たとえば3つなどの可変数のポンプローラを備える。ローラ280は、上記と同様、任意の適切な金属、プラスチック、複合材料またはその他の材料から製造され、一実施態様では、繊維強化材料から製造される。ローラ280は、変形可能な管76(図4、7および8に示す)によって形成されるループ内に位置する。各々のローラ280は、ピン302(ポンプ290)、322(ポンプ310)の周囲で回転する。ピン302、322は、自己潤滑材料から製造され、円筒軸受けとしても機能する。別法によると、ローラおよび玉軸受け(図示しない)は、摩擦を減少させるために、ローラ280とピン302、322との間に配置される。さらに別法によると、ピン302、322はローラ280と一体であり、一緒に回転する。一実施態様では、ローラ280は、ピンと同様に互いに同じである。ローラ280およびピン302、322は、中心線286の周囲に均一に、たとえば120°離して配置される。
【0105】
ポンプ290および310は、ローラ280を駆動しないシャフト284も備える。代わりに、シャフト284は、ローラ280のためのスペーサおよび安定器として作用する。シャフト284は、ピン302、322が、ポンプ290、310の個々のローラおよびピン組立体300、320内に十分に固定されている場合は不要である。あるいは、シャフト284は、設けることはできるが、ローラ280に接触しないか、または緩やかに接触させる。シャフト284がローラ280に接触している限り、シャフトは自己潤滑性である。シャフト284および/またはローラ280は、スロットまたは溝を付けて、これらの間の表面接触量を減少させることができる。
【0106】
上記のとおり、ローラ280は、ポンプ290、310の個々のローラおよびピン組立体300、320内に収容される。組立体300、320は、ポンプ250の複数部分のハウジング294に取って代わる。図9Eの組立体300は、上部304および下部306を含む。組立体300の上部304および下部306は協働して、ピン302によってローラ280を互いに分離し、各々のローラ280を回転可能に固定されるように保持する。ピン302がシャフト284上に挿入されると、シャフト284もローラ280を分離状態に保つように作用する。同様に、図9Fの組立体320は、上部324および下部326を備える。組立体320の上部324および下部326は協働して、ピン322によってローラ280を互いに分離し、各々のローラ280を回転可能に固定するように保持する。
【0107】
一実施態様では、上部304、324および下部306、326内に、半径方向延在するスロットが設けられる。ピン302、322およびローラ280は、上部304、324および下部306、326に対して半径方向内側および外側に移動することができる。上部304、324、下部306、326、およびローラ280は、シャフト284が存在しない場合は、管76がローラ280を内側に互いの方向に押す寸法に作られる。つまり、反作用力が存在しない場合、管類76は、ローラ80を内側に弾性的に押す。シャフト284は、やはり円錐端部288を備える。円錐端部288は、ローラ280の間に挿入されると、ローラ280を半径方向に互いから離れるように押し、その結果、シャフト284は最終的に、管76をケーシングの支持表面とローラ280との間に完全に圧縮する。以前と同様、このような圧縮は、ローラ280の各々において管76を完全に塞ぐ。
【0108】
別法による実施態様では、上部304、324、下部306、326にはスロットが形成されていないため、ピン302、322およびローラ280は、上部304、324および下部306、326に対して半径方向内側および外側に移動することができない。この場合、上部304、324、下部306、326、およびローラ280は、シャフト284が存在しない場合、管76がローラ280を内側に互いの方向に押すことはない。したがって、シャフト284は、上部304、324、下部306、326、およびピン302、322が十分に堅固である場合は省略して良い。ピン302、322を配置すると、ケーシング78の支持表面とローラ280との間に管76を完全に圧縮し、その結果、管76は、ローラ280の各々において完全に閉塞する。
【0109】
ポンプ250と異なり、ポンプ290、310の組立体300、320のピン302、322は、ポンプ290、310のそれぞれの駆動プレート305、325内に延在しない。ピン302、322は、代わりにローラ280を個々の組立体300、320内に回転可能に保持する。むしろ、駆動プレート305、325の嵌合歯308、328と組立体300、320の下部306、326との間に、直接駆動接合部分が生じる。
【0110】
駆動プレート305、325は、ポンプ250の溝プレート260と同様の目的に役立つ。駆動プレート305、325は、たとえば止めねじ264、または等業者が周知しているその他の方法によって、モータ270のシャフト272に結合される。駆動プレート305、325は、モータ270のシャフト272に直接結合されているように示されているが、別法によるとおよびプーリまたは比歯車組立体を代わりに使用して良い。上記のとおり、駆動プレート305、325とシャフト284との間の摩擦は、玉軸受け274などの軸受けをシャフト284と駆動プレート305、325との間に配置することによって減少指される。
【0111】
ポンプ290の場合、カセット50がユニット60内に配置されると、駆動プレート305の歯308は、組立体300の下部306の歯308と嵌合する。図示の実施態様では(図9E)、歯308は、側部が約45°傾斜する適合する形状、たとえば三角形である。三角形の歯は、駆動プレート305と組立体300との間に、迅速に装填される自己調節接合部分を形成する。カセット50およびローラ280が、ユニット60内に垂直に係止されると、嵌合する歯308も、自己調節的に互いに係止する。その後、モータ270は、駆動プレート305、組立体300、ローラ280、および管76を通る流体を能動的に移動させることができる。組立体300が、ローラ280を中心線286の周囲で回転させると、ローラ280と管76との間の摩擦によって、ローラ280は、個々にピン302の周囲で回転する(あるいは、ローラ280およびピン302は、組立体300内で一体的に回転する)。モータ270は双方向モータであり、ローラ280を中心線286の周囲で2方向に駆動させることができる。
【0112】
ポンプ310の場合、カセット50がユニット60内に配置されると、駆動プレート325の歯328は、組立体320の下部326の歯328と嵌合し、互いに係止するまで自己調節する。図示の実施態様では(図9F)、歯328は丸みのあるU形であり、丸みがあるか、または円形端部を有する垂直縁部を含む。
【0113】
その後、モータ270は、駆動プレート325、組立体320、ローラ280、および管76を通る流体を能動的に移動させることができる。組立体320がローラ280を中心線286の周囲で回転させると、ローラ280と管との間の摩擦によって、ローラ280はピン322の周囲で個々に回転する(あるいは、ローラ280およびピン302は、組立体320内で一体的に回転する)。モータ270は双方向モータであり、ローラ280を中心線286の周囲で2方向に正駆動させることができる。
【0114】
U形の歯328も、駆動プレート325と組立体320との間に、比較的迅速に装填される自己調節接合部分を形成する。歯328は、垂直に接合する駆動面を有し、歯308よりも側方に推進して、垂直の力ベクトルを生成せず、摩擦およびPEを減少させる。U形の係合は、ポンプ290の傾斜付き歯308より確実かつ正確である。その結果、ローラ308を駆動させるのに必要な力の量、およびモータ270から必要なトルクが減少する。
【0115】
図9Gは、ポンプ310の組立体320の分解図を示す。ポンプ250に関する上記で分かるとおり、ハウジング294は、互いにスナップ嵌合する2つの部分292および296を必要とする。この構成は、より正確な工具製作、製造および組立体を必要とする。一方、上部324および下部326は、組立体320の本体330として一体に成形される。本体330の上部324および下部326は各々、適合するスロット332を確定する。各々のスロットは、ローラ280に一体に、または回転可能に結合されるピン322を収容する。スロット332は、ピン322がスロット332内にスナップ嵌合し、組立体320を容易に形成することができるように、刻み目または戻り止めを画定する。スロット322は、必要に応じてローラ280を離間位置する。ポンプ290の組立体300は、歯308対歯322以外、組立体320に類似している。
【0116】
(蠕動ポンプの管材)
管類76は、(i)ローラ80と表面74との間に捲縮される、(ii)ローラ80によって転動する、および(ii)その後膨張して、正しい量の応力が加わることを理解するべきである。また、こうした管類の性能は、正確さ、信頼性および耐久性の転で、医療用流体療法にとって重要である点も理解するべきである。
【0117】
本発明の1つの主な態様は、蠕動ポンプ用途のための新しい管類を提供することである。新しい管類は、たとえば管32、68、20、54、28および12を通るような図1に示されている回路または管類ラインのいずれかに使用することができる。特に、本発明の管類は、管76に良く適しており使用され、ローラ80と表面74との間に接触し、圧縮される。このため、説明の他の部分は管類76について言及しているが、この管類は、上記の管、回路または回路部分の何れにも使用することができる。
【0118】
改善された蠕動ポンプの管類は、公知の蠕動ポンプのシリコーン管類に代わって、比較的良好な品質、および競争力がある価格、つまり比較的低価格を提供する。本発明の改善された管類は、以下の材料の何れか1つ、または全部から製造される:高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセン−触媒超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)およびポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、並びにこれらの組合せ。上記の材料は、以下の表2および3に示すように蠕動ポンプの応力が加わった場合、単独で、または組み合わせて、標準のシリコーンに対して望ましい性質を示す。
【0119】
管類76は、バルクヘッドポート96および98を介して、たとえば機械的な接続具によって使い捨て式カセット50に組み立てられる。管類は、別法によるとカセットから押し出されるか、カセットに成形されるか、カセット50に押し出し成形されるか、カセット50に結合されるか、カセット50に無線周波(「RF」)シールまたはヒートシールされるか、カセット50にレーザ溶接または取り付けられるか、さもなければ、上記の何らかの組合せによって取り付けられる。溶剤結合は、カセットを大規模に製造する際に、費用効果の高い方法を提供するため、特に望ましい。
【0120】
特に、PVC、UHMWPVCおよびPUは、カセット50に容易に溶剤結合され、カセット50は、一実施態様ではアクリル系だが、別法によるとポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)、PVCおよびUHMWPVCである。カセット50および管類76は、カセット50および管類76は、EtOまたは放射線によって減菌される。EPDMおよび低PEシリコーンは共に、カセットに摩擦嵌合される。この場合、EtO減菌流体は、低PEシリコーンおよびEPDM管類の壁暑を通って浸透し、管類/カセットの接合部分に減菌状態を確立する。PUは、カセットポートに溶剤結合または摩擦嵌合される。
【0121】
カセット50は、図4〜7に示す剛性壁部または部分を含む。これらの剛性部分は、管類76と同じ材料で製造するか、または異なる材料で製造することができる。次に、これらの剛性部分に取り付けられた管類および/またはカセットは、任意の適切なプロセス、たとえば酸化エチレン(「EtO」)洗浄、またはγ放射線もしくは電子ビーム放射線などの放射線によって減菌することができる。
【0122】
管類76は、使用前に棚に置かれている、つまり保管されているが、管類および対応するカセットは、必要な機能性、減菌状態および完全性を満たし、これらを維持しなければならない。上記の管材は、圧縮永久歪、管類の可撓性、並びに直径の均一性、および壁厚の整合性などの性質の点で、望ましい平衡状態を提供するため、こうした用途に良く適している。これらの性質の各々は、少なくともある程度までは、流量精度および管の破砕に影響を与える。本発明の管76に使用される管材の性質は、結果として得られる流体量を正確にするか、または正確にするのに役立つ。これらの性質は管の破砕も最小限にし、粒状物質(「PM」)を減少させる。
【0123】
流量精度および低PMは、予め混合された透析液を患者に供給する場合、図1に関連して上記で述べたように重要な要素である。さらに、腹膜透析など、ある治療法では、溶液の処方によっては、混合形態で長期にわたって保管することはできない。こうしたある状況は、1種類の溶液のpHが低く、第2溶液のpHが高い場合に生じる。このような場合、個々の溶液は、使用箇所および/または使用時点で、あるいはその付近で混合しなければならない。これらの溶液は、たとえば1対1の比率で混合し、望ましい生理学的レベルであるpHを有する全体的な溶液を生成する。流量精度および低PMは、このような溶液を一緒に混和する場合、2つの重要な要素である。
【0124】
さらに、上記の何れかのタイプを含む何らかのタイプの腎臓治療法の場合、流体を正確に患者18に注入すると共に患者18から排出し、体内の流体を適切に平衡させることが重要である。本発明の蠕動ポンプの管類は、治療全体に正確な流体量を達成するのみならず、混和の際のpHが極端な状況で、かつ極端な頭部高さ、たとえば+.5m〜−.5mでも正確な流体量を達成し、逆の場合も同様である。さらに、管類は、4℃〜40℃などの広範囲にわたる温度範囲での正確な流体量に備えている。このような状態では、管類およびカセットは、溶液成分を正確に混和し、混合溶液を患者18に適切に注入し、消費済み流体を患者から排出する。同時に、管材は、24時間以下の動作時間全体で破砕を少なくし、その結果、患者18に対するPMが減少する。
【0125】
表1は、本発明の蠕動用途に適する管材の様々な性質または特性を示す。このリストは実例として示すもので、網羅的ではない。表1の重要な特徴のいくつかを簡単に要約すると、本発明の管類は、50〜85の範囲のショアA硬度を有することに注目するべきである。これらの管類は、73℃で22時間における管類で30%〜65%の圧縮永久歪を有することを示す。これらの管類は、110〜480in−lb/inの範囲の引裂抵抗を有することも示されている。SIPLA A/S (ASICOMO)、硬化過酸化シリコーンは、先ず、本発明の他の管材と比較するための対照材料として列挙されている。
【0126】
【表1】
蠕動ポンプに関して、上記の材料は、長期にわたって、減菌剤の存在下において形状および寸法を保持する。つまり、老化および減菌は、管類の形状、管類の長さおよび壁厚に対して無視できるか、さもなければ許容可能な衝撃を与える。さらに、本発明の管材は、蠕動ポンプのローラ80を収容し、該ローラが上記のとおり摩擦的に動作することを可能にするのに適する表面摩擦係数を有する。このような動作時の管類は、治療単位全体にわたって許容可能な衝撃および引裂抵抗を示す。
【0127】
蠕動ポンプに関する上記の管材は、使用する流体に対して優れた生体適合性、および低い毒性および抽出性を示す。EPDMおよびUHMWPVCは特に、高知のシリコーン管類が示すレベルより実質的に少ない割合、たとえば2%のPMを有する。EPDMは、pHが低い溶液、たとえば混和用途に使用される溶液にも特に適する。さらに、PU管類は、蠕動ポンプに良好な耐摩耗性を示す。
【0128】
上記の各々の管材は、シリコーンに比べて容易に押し出される。こうした押し出しは一貫した管類直径および壁厚を生じ、流量精度を高める。これらの材料は、圧縮永久歪と可撓性との平衡が保たれ、管類は比較的容易に圧縮し、適切に閉塞する結果、正確な量が楊送される。また、一貫した管類の寸法および材料の性質によって、楊送サイクル全体において流量出力が変化する割合が低くなる。極端なpHに耐える能力によって、材料は、センターまたは家庭におけるPD、血液透析、血液濾過および血液透析濾過用途にも良く適する。管材は、広範囲にわたる温度、極端な頭部高さ、極端なpHレベルで12時間以下にわたって、楊送応力が加わった場合、低いPMおよび高い流量精度を達成することも分かった。
【0129】
以下に、低pHの調査および高pHの調査からの結果を列挙する2つの表、つまり表2および3を示す。各々の調査には、3回の実験が含まれていた。各々の調査では、一般に蠕動ポンプに使用される標準シリコーンを、本発明の比較的好ましい材料の2つであるEPDMおよびUHMWPVCと比較した。実験は、このように高いpHおよび頭部高さレベルで合計約12時間にわたって行われ、管類には、蠕動ポンプ頭部から連続的な力および応力を加えた。
【0130】
これらの表は、本発明の管材が、公知の管類と比べて多くの利点を提供することを示す。コストの点で、標準シリコーンと少なくとも匹敵するほか、実験した管材は、1.8〜9.2のpHレベルで、比較的低いPMを示した。管材は、4℃〜40℃で高度の流量精度を示した。この材料は、±0.5mという極端な頭部高さで高度の流量精度を示し、全体的な頭部高さの変化は1mだった。
【0131】
この表は、EPDMおよびUHMWPVCが、30分および250分でも、蠕動ポンプの流量精度に関して、公知のシリコーンより良好に機能することを示す。各々の実験の最後の時間の項目は、頭部高さが、ある極値から別の極値に、たとえば+0.5mから−0.5mに、およびこの逆に直ちに変化した場合の精度を示す。テスト結果は、EPDMおよびUHMWPVCが、頭部高さを逆にした後、公知のシリコーンより良好に機能したことを示す。これらの結果は、表1では2という低いpHで一貫しており、表2では、9という高いpHで一貫している。当然、EPDMおよびUHMW−PVCは、広範囲にわたるpHレベル、供給源の頭部高さ、およびユーザの温度にも関わらず、長時間にわたる流量の変化は10%未満であることを示した。各々の表の3回の実験は管類の同じ部分で実行され、その結果が、12時間の治療時間全体で感知できるほど減少しないことを示す。
【0132】
以下に示すように、流量精度は、患者18内に注入された流体の量、および患者18から取り出された流体の量に基づく。精度は少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは99%である。つまり、充填および排出サイクルでは、患者に注入される流体の量、および患者から取り出される流体の量は、互いに90%の範囲内、好ましくは互いに95%の範囲内、最も好ましくは互いに99%の範囲内である。以下に示す精度データは、上記のタイプの流量精度、つまり1回の治療サイクルで、患者18に注入され、患者18から取り出される流体の量を反映している。
【0133】
一実施態様では、本発明の管類によって達成される流量精度は、他の方法で評価した場合、同じ精度レベル(たとえば、少なくとも90%)を達成する。その他のある方法では、患者から排出される量、および供給バッグから取り出され、患者に供給される最初の治療用の量は、少なくとも90%同じ、好ましくは少なくとも95%同じ、最も好ましくは少なくとも99%同じである。一般に、PD療法を受けようとしている患者は、患者の腹膜内に存在する流体の「最終充填」量を有する。この「最終充填」量は、治療の開始時に除去され、その後、新鮮な透析液の最初の量が患者に供給される。この第2のタイプの精度は、これらの2つの流体の量または総量を意味する。
【0134】
もう1つの実施態様では、複数サイクルを含み、たとえば9時間にわたって行われる治療全体で、患者18に供給される流体の合計量、および患者18から除去される合計量は、少なくとも90%同じ、好ましくは少なくとも95%同じ、および最も好ましくは少なくとも99%同じである。管類の特性は、複数回のサイクルおよび何時間もの間に変化し、その結果、後のサイクルでは、最初の頃のサイクルに比べて、患者18に供給される流体は減少する。相応して、後のサイクルで患者18から除去される流体は、管類の特性の変化によって、最初の頃のサイクルより減少する。供給量の変化は、注入される流体と除去される流体とでほぼ同じであり、上記の精度限度内で供給される流体の全体的な正味平衡状態が維持される。
【0135】
【表2】
*高さは、この時点で、最初の高さから2番目の高さに変更した。
【0136】
【表3】
*高さは、この時点で、最初の高さから2番目の高さに変更した。
【0137】
(カセットの改善)
次に、図6、7および10〜15を参照すると、カセット50、可撓性膜102、およびカセット50に対する膜102の取付具が示されている。図6は、膜102を取り外した上体のカセット50を示す。図7は、膜102を取り付けた上体のカセット50を示す。図6および7は共に、カセット50(溝)および膜102の両方によって画定される膜の形状134を示す。上記のとおり、カセット50および膜102は、好ましい一実施態様では互いに音波溶接されるため、このような密封シールに適合する材料から製造する。別法によると、膜102は、カセット50に機械的にシールすることができる。この場合、機械的な力は、膜102の周囲134に沿って加えられ、周囲134には、一実施態様ではシールフランジまたは突出部が設けられる。
【0138】
図12〜14は、膜102をカセット50に機械的にシールするための改善された1つの装置を示す。機械的な取付けでは、上記のPVC膜と異なり、ケイ素材料を膜102に使用する。ケイ素は、一般的に、PVCより可撓性である。図12は、改善された保持リング136を示し、保持リング136は、膜102、およびカセット50の周囲の両方に共通な形状134で製造される。改善された保持リング136は、係止部材138、140、142および144を含むか、または画定する。係止部材138、140、142および144はそれぞれ、カセット50によって画定される開口148、150、152および154内にスナップ嵌合または圧着される。同様に、別法による膜102は、開口158、160、162および164を画定し、部材138、140、142および144は、これらの開口を通ってそれぞれ挿入されて、保持リング136とカセット50との間に膜102を係止する。
【0139】
改善された保持リング136、対応する膜102およびカセット50によって、膜102は、密封ではないにしても固定されて所定の場所に保持され、カセット50は、アクチュエータユニット60に搬送されて使用される。このようにして、カセット50は機械的に予め組み立てることができるため、オペレータは、カセット50をシステム10のアクチュエータ60内に実装する時に、膜102をカセット50および密封リングと整列させる必要はない。
【0140】
改善された保持リング136、膜102およびカセット50によって提供される組立体は、従来のカセットより堅固であり、取り扱い、搬送および治療装置により良く適している。さらに、組み立てられた構造は不正な開封が分かるようになっている。一実施態様では、部材138〜144は、カセット50内の所定の場所に永久的に係止されるため、剛性のプラスチック部品136または50は、修正または手を加えるには、カセット50からリング136を引き離さなければならないであろう。
【0141】
一実施態様では、改善された保持リング136はカーボンファイバ強化ポリカーボネート、またはカーボンファイバ充填ポリカーボネートである。部材138〜144は、輪郭を狭めると、組立て時にリング136を所定の場所に案内するのに役立つ。スナップ嵌合組立体によって、膜102に対するリング136、およびカセット50内の対応する溝134の位置が適切に整合し、搬送および取り扱い時に、確実にこの状態を維持する。
【0142】
4つの係止部材が示されているが、任意の適切な数のスナップ嵌合部材および対応する開口を設けることができる。さらに、膜102の周囲は、リング136から下方に、かつカセット本体50から上方に延在する突出部を収容する形状およびサイズにすることができる。リング136および本体50が互いにスナップ嵌合すると、膜102の周囲に沿って圧迫点が形成され、シールを強化する。膜102の周囲134は、膜102と剛性部分136および50との間のシール表面が最大になるように輪郭を形成して賦形することも可能である。
【0143】
上記のとおり、膜102は、カセット50に機械的、化学的、または音響的に結合してシールすることができる。カセット50に超音波溶接されたPVC膜は、機械的シールに対して望ましい密封シールを形成する。密封シールは、カセット50を製造する時に、流体の漏れが存在しないことを保証する。膜102とカセット50との間のシールのタイプの関係なく、図6に最も良く示されているように、カセット50条のシールリブ176をできるだけ拡大することが望ましい。シールリブ176は、カセットの流路、たとえば図6に関連して上記で述べた流路114を画定するのに役立つ。シールリブ176は、カセット50が、図2に示すようにアクチュエータユニット60内に実装されて、組立体50を形成する場合、図3に示すアクチュエータ60の膜102および表面108をシールする。カセット50は、表面108に対して機械的に圧着され、膜102をリブ176に対して圧縮し、カセット50が実装された時にカセット50の下面に位置する流路を完成する。
【0144】
適切にシールするためには、シールリブ176をできるだけ広くすることが望ましい。たとえば、リブ176の幅は、.010in(254mm)から、約.015in〜約.030in(.038mm〜約.076mm)の範囲まで増加させることができる。拡大されたシールリブは、多くの利点を提供する。上記の最初の利点は、機械的または化学的シールの改善である。第2の利点は、膜102をリブ176に対して、かつリブ176に沿って超音波シールした場合に生じ、拡大したリブは、こうしたプロセス時に生成される熱に比較的良く耐えることができる。第3に、カセット50を製造するプロセスは、一実施態様では、射出成形プロセスである。このプロセスでは、既存のリブなどの極薄部材を拡大して、比較的厚いリブ176を形成する場合に、より正確かつ一貫した部品が得られる。
【0145】
図6は、本発明のカセット50におけるもう1つの改善点を示す。この場合、リブ176aおよび176b(仮想線で示す)は、以前は曲線状だった従来のリブが、現在は直線状になっていることを表す2つの例を示す。以前存在した曲線状のリブをシールするより、膜102に対する直線の側部をシールする方が容易である。直線状になったか、または平坦になったリブ176aおよび176bは、膜102が機械的、化学的、または音響的にリブ176aおよび176bにシールされる多くの状況で有利である。したがって、カセット50の何れかのリブ176によって画定される何らかの密閉ループの鋭利な縁部または曲線を平滑化または平坦化することは、可能かつ実際的である場合、本発明で明確に意図している。
【0146】
図11A、11Bおよび15は、膜をカセット50に超音波シールするための改善された膜102を示す。1つの改善点は、図11Aおよび11Bに示す。これらの図面は、それぞれ、膜102の連結器132に対して係合および離脱位置におけるバルブアクチュエータ104を示す。図7および10には、参考としてバルブ26、44、36、30および42に固有の連結器132も示す。バルブ26、44、36、30および42の各々に、バルブアクチュエータ104が存在し、係合フランジ132は、これらのバルブの各々に設けられている。図4および6では見えにくいが、カセット50は、図11Aおよび11Bに示されているバルブの環状壁部146によって、バルブ26、44、36、30および42を画定する。バルブの1つを閉鎖する場合、アクチュエータ104はそれぞれの連結器132に係合し、連結器および膜102を環状壁部146の縁部に対して押す。バルブの1つを開放する場合、アクチュエータ104は、個々の連結器132に係合し、壁部146から引き離され、連結器132および膜102を壁部から引き離し、流体が、カセット50およびリブ176によって画定されたチャンバに入ることを可能にする。
【0147】
膜102をカセット50に超音波シールする場合、PVCなどの適切な超音波材料を使用する。PVCは、機械的シールに使用されるケイ素材料より剛性である。したがって、リブ176がぶつかる直径または幅を拡大することが望ましく、その結果、リブ176と壁部146との間の距離が増加する。距離が増加すると、アクチュエータ104がバルブから引き離された場合、連結器132上のアクチュエータ104によって加える必要がある力が減少する。本質的に、バルブは、リブ176と壁部146との間の距離をできるだけ増加することによって、比較的容易に開閉される。これは、可撓性が比較的低いPVC材料に望ましい。したがって、リブ176によって形成される流路の直径および幅は、本発明のカセット50の場合、1inの1,000分の80などの適切な距離だけ増加される。
【0148】
図15に示すとおり、各々の連結器132は、リブ176の直径または幅に実質的に適合する外径156を含む。したがって、係合連結器132の外径156は、リブ176の増加されたシール直径または幅に適合するように増加される。
【0149】
図15は、膜102が、上記の形状134の外側に延在する追加の周囲材料(図7の膜と比較する)を備えることも示している。一実施態様では、カセット50の形状134の対応する周囲は、既存の溝ではなく、突出部を含むか、または画定する。図15のカセット50上の突出部、および膜102の増加したサイズは、膜102をカセット50に音波シールのに役立つ。つまり、図15の膜102の追加の材料によって、膜の領域はカセット50の嵌合剛性部分より大きくなり、これは、溶接には望ましい。さらに、図15の膜102に示されている比較的単純な五辺形は、比較的複雑な形状134に比べて、より一貫して、かつ正確に射出成形されると思われる。膜102の比較的大きい面積は、射出成形プロセス時の膜の反りを補償し、やはり溶接プロセスはさらに堅固になる。
【0150】
図15の膜102の外側フランジ領域には、指標孔166も画定され、溶接のために膜102とカセット50とを整列させるのに役立つ。図示されていないが、1つまたは複数の射出成形溶融半球体が形成され、膜102から横方向に突出する。一実施態様では、流量リーダー168も設けられ、これは、射出成形ゲートから外側に各々の連結器132に延在し、膜102の平坦な部分より、著しく多量の材料を必要とする。流量リーダー168によって、比較的大きい連結器132には、比較的迅速かつ比較的一貫して充填され、その結果、製造の不正確さが減少する。流量リーダー168は、部分組み立ての際に指標デバイスとしてさらに使用することができる。
【0151】
(ポンプ圧力を調整するための装置および方法)
次に、図1、3、4、5、16および17を参照すると、患者の頭部高さによる圧力を測定および補償するための装置、並びに関連する方法の一実施態様が示されている。カセット50は、モータ/バルブアクチュエータユニット60で動作可能な流路およびバルブチャンバ部分48を備える。カセット50の流路およびチャンバ部分48は、上記のとおり、カセット50の底面に沿って位置する可撓性膜102に機械的、音響的または化学的に結合される。可撓性膜102は、上記のポリマー、またはその他の適切なポリマーから製造することができ、好ましい一実施態様では、上記のとおりPVCである。可撓性膜102は、図3、11Aおよび11Bに示すように、バルブアクチュエータ104と協働する可撓性表面を提供する。バルブアクチュエータ104は、可撓性膜102を圧迫して、流体が管28、54、20、68、32および12を貫流して、選択的にカセット50に流入するか流入しないことを可能にする。
【0152】
図4では、カセット50が、特に一定量のチャンバ106、様々な流路、およびバルブチャンバ44、26、42、40、36、34および30を画定する剛性の垂直壁部を備えることを示すために、膜102は取り外されている。カセット50が、任意の適切な数の流量チャンバ、たとえばチャンバ106、流路、およびバルブチャンバ、たとえばチャンバ44、26、42、40、36、34および30を画定できることは、評価するべきである。
【0153】
図4は、図3のアクチュエータユニット60の表面108に係合するカセット50の下部、つまり可撓性膜側を示す。図5は、カセット50の上部、つまり剛性流路側を示す。図5の上部は、図2のドア70に面している。膜102(図4には示さない)は、バルブチャンバ44、26、42、40、36、34および30の下部、並びにチャンバ106の下部を覆い、図4のリブに関して上記で述べた方法に類似する方法で、これらの構造を画定する壁部の下部をシールする。
【0154】
供給管28、54および20は、それぞれバルクヘッドコネクタ128、126および124、並びにカセット50によって画定される内部管または流路を介して、バルブチャンバ26、42および40に連通する。バルブ26、42、40に流入する流体は、選択的に管76およびチャンバ106を貫流することができる。流体は、チャンバ106からカセット50を流れ、管12を通って患者18に流入する。
【0155】
図3に示すように、複数の圧力センサ116は、モータ/バルブアクチュエータユニット60内に収容される。センサ116は、可撓性膜102の真下に位置して、可撓性膜102に接触する。圧力センサ116は、当業者が周知しているように、流体の圧力変動を相対的または絶対的に感知するための任意の適切な圧力センサで良い。たとえば、圧力センサは、Invensysモデル865−02G−KDNにより提供することができる。センサ116によって測定した圧力は、使用する圧力センサのタイプに応じて、相対圧力でも絶対圧力でも良い。
【0156】
可撓性膜102は、一方の側でチャンバ106に入る流体に接触し、他方の側で圧力センサ116に結合される。圧力センサ116は、チャンバ106内の流体の圧力を感知し、流体圧力および膜102を介して圧力センサ116の表面に加わる絶対圧力もしくは相対圧力、または圧力の変化に対応するか、または指示する信号を出力する。
【0157】
圧力センサ116は、可撓性膜102内にわずかに突出するように配置することができる。別法によると、図16に示すように、わずかな真空Vacが、センサ116を収容するユニット60と、膜102の下側に引き込まれ、膜を吸収して圧力センサ106に付着させる。真空Vacは、圧力変換器の圧力感知表面と膜102との間の接触を常に維持する。膜102に真空を引き込むのに必要な装置は図示しないが、こうした装置は、一実施態様ではモータ/バルブアクチュエータユニット60内に存在し、当業者が周知している。図示しないが、センサ116は、真空Vacをセンサに引き込むように修正される。
【0158】
別法による実施態様では、可撓性膜102はモータ/バルブアクチュエータユニット60の表面108上に装填され、その結果、可撓性膜102と圧力センサ116との間に気密シールが形成され、ごくわずかな気体の量がこれらの間に閉じ込められる。気密シールによって、正および負の流体圧力が、可撓性膜102を通って、圧力センサ116の圧力感知表面に伝達される。
【0159】
センサ116の圧力感知表面は、感知できるほど移動せず、つまり変動する流体圧力で変形しないため、透析液またはその他の医療用流体の流体圧力は、フィルム102を通ってセンサ116の感知表面に直接伝達される。圧力センサ116は、それによって、カセット50のチャンバ106内に存在する流体の正圧または負圧を直接測定する。チャンバ106の高さは、蠕動ポンプのローラ80を囲む管76内の流体の高さと実質的に同じであるため、患者の頭部高さによる圧力は、ポンプでは、チャンバ106内の圧力と少なくともほぼ同じか、または実質的に同じである。
【0160】
圧力センサ116は、透析液または医療用流体に直接接触しないが、圧力センサは、膜102の薄く可撓性の性質によって、このような流体の圧力を正確に測定する。したがって、センサ116は、事実上、チャンバ106内の流体と接触する。
【0161】
圧力センサ116は頭部高さによる圧力を測定するが、この圧力は、さもなければ、以下の方程式によって計算することができる:
頭部圧力=ρ×g×h、
ここで、頭部圧力は、計算された流体圧力であり、ρは、透析液または医療用流体の密度、gは重力による加速、hは頭部高さの差である。つまり、hは、ポンプチャンバ106と、図1に見られる患者の流体管が患者18の腹腔に入る位置46との間の高さの距離の差である。したがって、頭部高さの差も、患者18の位置46とシステム10の蠕動ポンプ100との間の垂直距離の差と同じであるか、またはほぼ同じである。
【0162】
上記の方程式は、流体の速度がゼロの流路に適用される。動作時、流体は、本明細書に記載する管およびカセット内を移動する。したがって、センサ116によって得た指示値は、上記の方程式で予測した圧力と等しくないと思われるが、代わりに、チャンバ106および蠕動ポンプから患者18に流れる流路内の流量制限による圧力低下を考慮する要素によって、予測圧力から相殺される。しかし、管類12、およびチャンバ106に通じるカセットの部分によって画定される流路(図1、3および4参照)は、捩れていなければ、比較的平滑であり、著しい圧力低下を生じるはずがない点は、評価するべきである。しかし、医療用流体管類、たとえば5/32”(4mm)外径の管類の限られた内径によって、一定量の圧力低下は生じるであろう。腹腔内圧力(「IPP」)は、センサ116で測定される全体の圧力にも影響する可能性があり、その結果、頭部高さのみによると仮定された測定圧力は、頭部高さによる実際の圧力とは異なることになる。IPPの影響は、一般に最小限である。それにも関わらず、センサ116は、患者の頭部高さおよびIPPによる圧力差を感知し、上記の各々の要素の原因になる。
【0163】
本発明による頭部高さ調整感知および補正装置および方法は、どの医療用流体にも適用される。一実施態様では、この装置および方法は、ほぼ水分の密度、つまり1gm/cm3の密度を有する透析液の頭部高さによる圧力の補償に使用される。こうした液体密度は、静止頭部高さの変化が27.68in(0.703m)の場合、1psigの圧力差を生じる。つまり、患者の腹膜入口46が、ポンプまたはチャンバ106から27.68in上にある場合、ポンプは流体を移動させず、IPPがごくわずかであると仮定すると、ライン12内の圧力は、ポンプでは正数の1psig静圧を生じる。同様に、患者の位置46が、ポンプまたはチャンバ106の下の同じ距離に位置する場合、頭部高さによる静圧は、IPPがごくわずかであると仮定すると、1psigである。
【0164】
本発明による方法の一実施態様では、ポンプは、患者の腹腔に流体を楊送し、その後瞬間的に、たとえばダイヤフラムポンプの1行程の終わりに停止し、その結果、流体は比較的停滞し、上記のアルゴリズムが適用される。その時、圧力センサ116は圧力を記録し、この圧力は、上記の方程式に従って頭部高さによる患者の圧力である。ユニット60内に収容された圧力センサ116および制御装置は、患者が、治療時に位置を変えるか、または移動した時に、頭部高さの測定により断続的な圧力を繰り返すように動作可能である。
【0165】
蠕動ポンプシステムなどの連続ポンプシステムの場合、ゼロ速度の断続点は存在しない。この場合、測定圧力は、上記の方程式によって予測される圧力とは異なると考えられる。相殺は、ソフトウェア内で行われる。
【0166】
何れの場合も、流動ラインを通る圧力の低下は、ポンプ100を作動させて、患者18において所望の圧力を達成するのに必要な圧力を調節することができるように決定される。測定圧力は、ポンプ圧力を最大化することによって流量を最大化し、同時に、患者18側圧力は、安全な動作限度内に確実に維持される。患者18の安全性は、本発明のシステム10の場合、プライミングの問題である。安全な楊送は、患者の腹腔の流体接続位置46の流体圧力限度を越えないことによって維持される。患者18の接続位置46において許容可能な最大圧力は、従来+3psigおよび−1.5psigに設定されていた。しかし、様々なメーカーが様々な設定を行うことができ、本発明は特定の正圧または負圧安全性設定に限定されないことを評価するべきである。しかし、本明細書では、本発明の方法および装置を説明するために、これらの数字を使用する。
【0167】
以下の実施例は、センサ116を使用して頭部高さによる圧力を補正する方法を示す。バルブおよびポンプは、圧力センサ116と患者18との間に静止流路を形成する。この実施例では、+0.5psigによる頭部高さによる圧力を測定する。静止流体圧力は、以下の式のユニット60またはポンプ100に対する位置46の頭部高さに対応する:
頭部高さによる圧力÷(pxg)=h=.5psi÷(1gm/cm3÷xg)=器具上13.84in(.351m)。
【0168】
腹腔内圧、頭部高さの差を無視することは、器具またはチャンバ106で測定した圧力が、器具上の上記の高さに存在する患者18の位置46で測定した圧力より、+0.5psig高い指示値を示すことを意味する。したがって、流体を患者18から、たとえば流体速度ゼロで排出する場合、測定圧力は、位置46における圧力より+0.5psig高い。
【0169】
排出時、患者18における所望の圧力が。5psigであり、患者はポンプ上13.84inであることが分かっている場合、ポンプにおいて生成される流体圧力は、流体速度がゼロである時、−1psigに調節する必要がある。つまり、患者の流体接続部は、高さ的に器具の上であるため、頭部高さによる圧力は、ポンプが患者18から排出して、所望の患者18側負圧を達成するのを「支援」し、ポンプは、センサ116において測定された比較的低圧を使用して、所望の−1.5psigで患者から流体を取り出すことができる。逆に、患者が、高さ的に器具の下に位置する場合、ポンプは比較的強力に動作するか、あるいは比較的低い負圧で楊送して、所望の患者側負圧、たとえば−1.5psigを達成する。
【0170】
もう1つの実施例では、センサ116における測定圧力が1.0psigであり(患者18の位置46が、ユニット66の27.68inであることを示す)、マシンが現在充填モードである場合、患者18がマシンより上に位置するという事実は、流体が、位置46において許容可能な所望の最大圧力、たとえば+3.0psigで患者18に到達するように、ポンプが比較的強力に動作することを意味する。たとえば、最大患者側圧力が+3.0psigである場合、器具は、頭部高さによる+1.0psigの圧力を克服し、+3.0psigの圧力を生成する最大流量で患者に充填するには、+4.0psigで楊送しなければならないであろう。逆に、患者がポンプまたは装置50から27.68in下に位置する場合、ポンプは、患者18において+3.0psigの圧力を生成する最大流量を発生させるために、+2.0psigで動作すれば良い。
【0171】
蠕動ポンプが楊送する時の流体速度はゼロではないため、圧力差は、チャンバ106から患者18の位置46に通じる管類内に存在する。既知の長さの管類による圧力低下、またおそらく既知の数のエルボー、歯またはその他のタイプの流量コネクタによる圧力低下は公知である。流体制限による全体的な圧力硬化は、計算または概算することができる。次に、こうした圧力低下は、全体の方程式の要素として考慮に入れて、システム10の蠕動ポンプから楊送する時の適切な圧力を決定することができる。蠕動ポンプにおける流体圧力は、駆動シャフト84およびローラ80が、モータ/バルブアクチュエータユニット60内のモータによって回転する速度によって制御される。
【0172】
本発明の頭部高さ圧力感知および構成方法および装置は、蠕動ポンプで作動するように示されているが、蠕動ポンプは、この方法および装置を機能させるために必ずしも必要ではない点を評価するべきである。方法および装置は、ダイヤフラムポンプなどの任意のタイプの流体ポンプで動作することができる。圧力センサで動作可能なダイヤフラムポンプの実施例および方法は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/155,754号「Mecical Fluid Pump」に開示されており、この特許出願の全体的な内容は、引用することにより本明細書に援用する。特に、この出願の図17Aおよび17Bに関連する開示事項は、機械的に作動するピストンポンプタイプのダイヤフラムポンプだが、図18に関連する開示事項は、流体的または空気圧的に作動するダイヤフラムポンプを示す。
【0173】
空気圧、機械的または電子機械的タイプのダイヤフラムポンプは、頭部高さの装置および方法で動作するのに良く適している。当然、これらのポンプは、移動可能なダイアフラムで分離された一定容積のチャンバを備えるため、一定容積のチャンバを流体センサに関連して使用すると、ダイヤフラムポンプに使用されるダイアフラムに対する圧力を感知することができる。たとえば、ダイアフラムは、機械的または空気圧的供給源を通して、圧力センサに接触させることができる。次に、圧力ヘッドの高さの測定は、患者とポンプとの間の高さ差を判断するために行われる。圧力センサは、ダイヤフラムポンプの一実施態様では、ポンプに配置されるが、代わりにダイヤフラムポンプから上流または下流に配置することもある。
【0174】
次に、図17を参照すると、本発明による頭部高さ調節方法の一実施態様は、方法170で示されている。方法170は、楕円形172で指示するように、ソフトウェアにロードされている患者の圧力調節アルゴリズムで開始する。流路がプライミングされた後、ブロック174で示すように、ゼロ流量において患者18と圧力センサ116との間に連通が確立する。ブロック176で示すとおり、患者ライン12を通して(流体速度がゼロの場合)センサ116によって測定される静圧として、ソフトウェア内でpH値が測定され、設定される。
【0175】
ブロック178で示すとおり、動作または設定点圧力Pcは、指定された患者圧力Ppおよび測定圧力Phになるように計算される。指定患者圧力Ppは、流入と流出とでは異なり、一般に、多くの成功した治療で従来認められてきた圧力である。従来、流体を患者18から除去するため、Ppは、流入では+3.0psig、流出では−1.5psigの最大値に設定されていた。これらの指定圧力は、異なって良い。
【0176】
方法170は、菱形180で示すように、システム10の現在のサイクルが流入サイクルであるか、または流出サイクルであるかに応じて、別様に動作する。充填サイクルにある場合、ポンプ100およびバルブは、ブロック182で示すように、患者を充填するように構成される。次に、菱形184で示すように、保存圧力設定を使用すべきかどうかが判断される。保存圧力設定を使用し、計算設定点Pcが3.0psigより大きい場合、計算設定点Pcは、ブロック186に示すように、+3.0psigに設定される。
【0177】
次に、あるいは保存圧力設定を使用する場合、方法170は、菱形188で示すように、測定されたPcがPc設定点より大きいかどうかを判断する。測定Pcは、楊送時に測定されたサイクラーにおける圧力である。測定されたPcがPc設定点より大きい場合、流量は、ブロック190で示すとおり、制御された増分で減少される。菱形188で示す比較、およびブロック190で示される増分的な流量の減少によって形成されるループは、菱形188および192によって支持されるとおり、測定PcがPc設定点より大きくなくなるまで繰り返される。
【0178】
菱形192で示すように、流量は、最大流量と比較される。この流量が最大流量に等しくない場合、ブロック194で示すように、流量を増分的に増加させて、菱形188で開始する全体のループを繰り返す。また、この流量が、菱形192で示すように、現在最大流量である場合、菱形188で開始する全体のループが繰り返される。このプロセスは、所望の流体量が患者18に楊送されるか、またはアラーム状態など、別の条件が発生した時に終了する。
【0179】
排出サイクルでは、菱形180で示すように、ポンプおよびバルブは、ブロック196で示すように排出するように構成される。次に、方法170は、菱形198で示すように、保存圧力設定がプログラムされているかどうかを判断する。プログラムされており、かつPc設定点が−1.50psig未満である場合、Pc設定点は、ブロック200で示されるように、−1.5psigに設定される。次に、または別法によると、保存圧力設定が設定されていない場合、測定Pcが、菱形202で示すように、Pc設定点未満であるかどうかを判断する。
【0180】
測定PcがPc設定点未満である場合、流量は、ブロック204が示すように増分的に減少される。菱形202およびブロック204によって形成されるループは、測定PcがPc設定点より大きくなるまで繰り返される。同時に、菱形206で指示されるように、流量が最大量であるかどうかが判断される。流量は、最大量ではない場合、ブロック208で示すように増分的に増加され、菱形202で開始するループが繰り返される。また、流量が、現在、菱形206に関連して決定された最大流量である場合、菱形202で開始するループも繰り返される。
【0181】
方法170は、最大流量を望ましい安全条件の範囲内であるように保証する。Pc設定点は流量の関数として変化し、上記のとおり、患者の圧力センサ116と患者18における接続部46との間の圧力低下の説明になる点を評価するべきである。Pc設定点および最大流量の両方(充填および/または排出時)は、連続ハンティング、つまり流量が連続的に変化するのを防止するために、ある程度のヒステリシスをシステム10内に提供する範囲として設定することができる。好ましい一実施態様における安全性限界は、妥協されることはなく、確実に設定される。さらに、蠕動または連続楊送の場合、流量ループは、pHにおけるシーケンスをリセットするため、定期的に中断することができる。この特徴は、患者が頭部高さの位置を変更した場合は感知し、(i)たとえば、指定期間後、または指定数の行程後、自動的に、(ii)圧力が突然変化した後にトリガすることができる。
【0182】
(インライン混合方法および装置)
図1、3、4および5は、2つの供給流体を混合する方法を含む本発明のもう1つの態様を示す。上記のとおり、PDなどの一定の医療用途では、一定の溶液処方は、混合状態で長期にわたって保存することはできない。たとえば、非常に高成分および低成分(または異なる成分)のpH流体から製造される溶液の成分は、別個に保管する必要がある。カセット50は、供給管28、54および20を通して、同じかまたは異なる流体を収容することができる。図1は、管28によって、流体が供給容器22からカセット50に流入することが可能であることを示す。一方、流体ライン54によって、第2の異なる流体、たとえば、容器22内の流体とは異なるpHレベルを有する流体は、カセット50に流れることができる。さらに、第1および第2流体とは異なるpHまたはその他の性質を有する第3の異なる流体は、バッグ14およびライン20を介して導入することができる。
【0183】
一実施態様における流体混合方法および装置は、上記の流量チャンバ106とは異なる流量チャンバ112を使用する。一実施態様におけるチャンバ112は、入口圧力センサ116と共に使用される。さらに、一実施態様におけるチャンバ112は、管28、54および20を通って導入される異なる流体の混合チャンバとしてサイズを決められて構成される。この点で、チャンバ112は、バッフルまたはその他のタイプの混合障害物を備え、この場合、チャンバに入る異なる流体は、ポンプ100および管12を通って患者18まで前進する前に混合される。分かりやすくするために、これらのバッフルおよび障害物は図示しないが、当業者には周知されており、当業者は、このようなバッフルをチャンバ112内にどのように設けるかは理解するはずである。さらに、3種類の供給源すべての最初の混合位置であるバルブ40から通じる剛性流路140は、バッフルまたは攪拌器を備えることができる。
【0184】
本発明の目的上、チャンバ112は、全体の流体がVに等しい場合、ある容積を画定すると仮定される。各々のバルブ26、40および42から流路114、チャンバ112に延在し、さらにゲートキーパバルブ44に延在する流路110(図6)は、量Vのある割合または倍数に相当するある容積を画定する。1つの実施例では、各々の流量110によって画定される容積は1/2Vに等しい。このような比例は、個々の流路110/26、110/40および110/42の1つまたは複数の長さおよび/または直径を操作して、累積流路110が所望の容積を有するように調整することができる。
【0185】
好ましい1つの流動構成では、混合チャンバ112からの出口が設けられ、この出口は、チャンバ112が、ライン114から延在する静的容量である図示の構成ではなく、バルブ44に連通する。別法による構成では、バルブ26、40および42からの流体は、チャンバ112を通って移動してバルブ44に達するように強制され、その結果、確実に適切な混合が行われる。たとえば、バルブ40およびチャンバ112の位置は切り替えることができるため、バルブ26、40および42から通じる流路の各々はチャンバ112に至る。次に、チャンバ112からの1つの出口は、バルブ44に至る。
【0186】
流路110内の容積は、量Vの何らかの望ましい割合で良いことは評価するべきである。また、量Vは、一実施態様では、蠕動ポンプを通って1つまたは複数の制御された増分で楊送される流体の量に等しい。たとえば、チャンバ112の量Vは、一実施態様では、駆動シャフト84またはローラ80が完全に1回転することにより、蠕動ポンプによって楊送される流体の量で良い。
【0187】
別法によると、シャフト84またはローラ80の完全な1回転によって楊送される流体の量は、1/2Vまたは流路110の容積に相当するであろう。さらに別法によると、蠕動ポンプによって楊送される量は、シャフト84もしくはローラ80の1回転の制御可能部分、またはシャフト84もしくはローラ80の制御可能な複数回転に基づいて、チャンバ112内の量Vまたは流路110内の容積に相当させることができる。たとえば、1/2Vは、シャフト84もしくはローラ80の1/4回転、またはシャフト84もしくはローラ80の2回転によって楊送される量に等しくすることができる。重要なことは、この方法および装置は、制御可能な量の楊送が行われた後、たとえば、蠕動ポンプの駆動シャフト84またはローラ80が既知の量だけ回転した後、既知の流体量が流路110に入ったという前提で動作することである。
【0188】
単に説明の目的上、以下の実施例は、ポート28および126、並びにバルブ26および42を通る2種類の流体のみを混合する。さらに、シャフト84またはローラ80がたとえば1回転、5回転または10回転するなど、制御可能なポンプユニットは、量Vの流体を楊送すると仮定されている。さらに、流路110の容積は、1/2Vであると仮定される。
【0189】
2種類の流体を流路110/28および110/42を通して混合するため、バルブアクチュエータ104/26および104/42は、流体が、交互にたとえば入口管28から流れ、次に入口管54から流れるように変更される。バルブアクチュエータ104は、上記のダイヤフラムポンプアクチュエータと同様、機械的、電子機械的または空気圧的に動作することが可能である。たとえば、シャフト84が5回転して量Vが楊送されると、バルブアクチュエータ104は、5回転ごとに交互に切り替わり、5回転するごとに、異なる流体が流路110を完全に充填し、別の1/2Vの流体をチャンバ112から排除される。チャンバ112に流入する新しい流体は、バッフル、または単に前の共通流路を介して、事前に存在してチャンバ112から一掃されない流体内に予め混合される。こうして、制御された量の流体が任意の一定の時間にチャンバに入る。
【0190】
流体が2種類で、バルブ増分が等しい場合、チャンバ112内を流れる各々の流体の量は、2ポンプ行程が終わるごとに均一化される。つまり、チャンバ112が、たとえばシステムをプライミングするために、最初に流体Aを完全に充填され、次に、流体Bの量Vが、対応するバルブチャンバ26または42を通して楊送される場合、量Vの1/2は流路110を充填し、量Vの他の半分の充填量は、チャンバ112の1/2を充填し、その結果、チャンバの残りの半分には流体Aが充填される。次に、流体Aの量Vは、個々のバルブ26または42を通して楊送され、その結果、流路110には流体Aが充填され、流体Aの量Vの別の半分は、AおよびBの前の混合物と混合され、BよりAが多い混合物が生じる。次に、Bが再びシステム内に引き込まれると、混合物は平衡が取れるという具合に行われる。重要なことに、流体は、全体的な基準で所望の割合で計量され、チャンバ112内で混合される。有利にも、流体は、インラインで混合され、関連して費用および保守が必要な追加のポンプを追加する必要がない。
【0191】
システムをプライミングするため、プライミング流体を制御するバルブ26または42は開放され、蠕動ポンプ100が移動し、溶液の少なくとも1/2の量Vがポンプ内に引き込まれる。その結果、共通の流路110に、確実にプライミング溶液が充填される。その後、上記の混合サイクルを開始できる。
【0192】
2種類の溶液はチャンバ112内で完全に混合され、その後、混合溶液が患者に楊送される。交互の動作をn回繰り返すことによって、合計2nVの量の混合溶液が直接患者に供給される。上記の実施例では、ポンプ行程は、一様に同調させたバルブを使用する共通ポンプシステムであって、等しいポンプ速度を前提とするシステムによって行われるため、流体Aの量nVおよび流体Bの量nVから成り、全体的に1対1の混合比が非常に正確に達成される。
【0193】
本発明の流量混合装置および方法を使って、多くの別法による実施態様が可能であることを評価するべきである。第1に、流路の容積は修正することができ、および/またはバルブの切り替えは、所望の何らかの比率で達成するように修正することができる。さらに、チャンバ112の容積に対する流路110の容積1/2Vの精度は重要ではなく、なぜなら、何らかの不正確さの結果としては、1回の行程ごとに、得られる混合物がわずかに異なるということだと思われるからである。全体としては、患者に供給される流体の比率は正確であると考えられる。上記のとおり、差は、2回のポンプ行程ごとに、または制御されたポンプの回転ごとに平衡が取れるため、患者の腹膜に入る流体の混合物は正確である。
【0194】
本発明の方法は、2種類の流体に限られるわけではなく、別法によると、任意の適切な数の異なる流体に拡張できる。混合も、1対1以外の比率、たとえば2対1、3対1、3対2などで行うこともできる。このような場合、制御されたポンプ行程の混合によって、チャンバ112内の比率をさらに変えることが可能だが、混合されて、患者の腹膜に供給される全体の比率は、サイクルを繰り返すごとに正確になる。このような混合程度は、透析液濃縮混合の場合は一般に許容可能であり、特に、2種類の溶液の濃度のみが異なる場合は許容される。
【0195】
さらに、バルブの状態を変更することによって、この比率を変えることが可能である。たとえば、第1バルブは、ポンプが1回転する間だけ開放し、その後、第2バルブを2回転、3回転またはそれ以上、あるいは1回転の一部分の間だけ開放し、所望の比率を達成することができる。チャンバ112の容積は、この場合、バルブの順序付けを行うごとに、チャンバ内である程度混合するように修正する必要がある。チャンバ112は、ポンプ100が反転可能であるかどうかに関わらず、ポンプ100の上流または下流に配置することが可能である。
【0196】
本発明の頭部高さ補償態様と同様に、インライン混合機能は、蠕動ポンプに限られず、ダイヤフラムポンプを使用する楊送にも容易に適用可能であることも評価するべきである。当然、このような場合、追加のチャンバ112は不要であり、代わりにダイヤフラムポンプに関連する一定容積のチャンバを使用する。この場合、流路110は、ダイヤフラムポンプ内に直接供給される、流路の容積はポンプの容積のある割合である。
【0197】
(インライン溶液のpH測定)
次に、図18および19Aを参照すると、透析液のpH値をインラインで判定し、補償するための1つの装置および方法が示されている。この装置および方法は、異なるpH値を有する透析液成分が使用場所および使用時点で混合される混和状況に特に有用である。しかし、この装置および方法は、混和状況に限られるわけではなく、患者18に供給される透析液の適切なpH値を確認する状況で使用することができる。この装置および方法は、非侵襲的である。異なる透析液成分のpH値を測定して、予測値と比較する。たとえば、デキストロースが、たとえば供給ライン28を介してカセット50内に導入される場合、pHは、約3.2という適切なpHを確認するためにチェックすることができる。
【0198】
この装置は、感知した各々の流体について、1対の導電コネクタ210を備え、このコネクタは、管の2つの部分、たとえば図示の管28、管54または管68の2つの部分間に添え継ぎされる。コネクタは、多くの方法で管に接続することができ、管に溶接、溶剤結合、無線周波(「RF」)シール、圧縮嵌合またはねじ結合される。
【0199】
コネクタ210に適切な材料、および信号生成およびフィードバックシステムに関連するその他の情報は、2004年1月19日に出願された米国特許出願第10/760,849号「Conductive Polymer Materials and Application Thereof Including Monitoring and Providing Effective Therapy」に詳細に記載されており、この出願は、2002年4月10日に出願された米国特許出願第10/121,006号の一部継続出願であり、引用することにより、各々の出願の全体的な内容を本願に援用する。導電性ポリマーの取付具210の好ましい1つの処方について、以下で説明する。
【0200】
図示の実施態様における導電性管類取付具210は、ホルダー212内にクリップで固定されるか、ホルダー212内にスナップ嵌合され、ホルダー212は、コネクタ210を確実に保持するサイズおよび形状に作られる。ホルダー212は、導電性取付具210に接触して電機的に結合する1つまたは複数の導電性電極214を備える。コネクタ210は、ばねクリップ216によって所定の場所に保持され、一実施態様では非導電性である。コネクタの対210は、供給管28および54、並びに加熱器管68で動作可能であるように示されている。コネクタの対210には、カセット50が設けられた1つまたは複数、あるいは全部の管を設けることができる。
【0201】
図19Aに示すように、電極214は、電源52および導電率計56、またはその他のタイプの電流もしくは導電性測定および信号生成デバイスに電気的に連絡させて配線されるか、または配置される。電源52は、回路上の電圧を含む。管28、54および68は、一般に非導電性である。
【0202】
したがって、電流は、管28、54および68を横断する流体を貫流し、回路を完成する。図示のとおり、導電率計56は、流体の電流または導電率のレベルを感知し、レベルを指示する信号をシステム10のユニット60内にある制御装置またはマイクロプロセッサに送信する。制御装置またはマイクロプロセッサは、電極214およびコネクタ210から信号を受信し、該信号を閉ループフィードバックシステム内に入力する。
【0203】
図19Bに示すとおり、様々な溶液が、電圧入力の変化に応じて、異なる別個の電流出力を示すことが分かっている。デキストロースおよび緩衝剤のPos1およびPos2曲線は、接触する取付具210から受信する出力を表し、電極214は、コネクタ210の出力が不均一性によって変化するかどうかを確認する試験を行うために2つの異なる場所にある。結果は、取付具210は2つの異なる場所において接触し、なお良好な結果が得られることを示す。電圧および電流に使用するスケールは、実例を示すためのものであり、制限するものではないことに注意するべきである。実際の運用で印加される電圧は、図19Bに示す範囲より少なくても多くても良い。電流出力は、相応に変化する。
【0204】
システム10は、誘導電圧を認識し、図19Aの回路を通る電流を感知し、予測pH、予測導電率、または電流指示値を認識して、溶液のpH値が適切であるかどうかを判断することができる。たとえば、デキストロースが、供給管28を介して供給され、緩衝剤が供給管54を介して供給される場合、コネクタ210は、デキストロースが約3.2という適切なpH値を有し、緩衝剤が約5.1という適切なpHを有することをそれぞれ監視する。制御装置またはプロセッサは、所望の混和率、たとえば1:1を認識する。このような場合、制御装置またはプロセッサは、結果として生じるpHが5.05のはずであると認識する。混和溶液は、図18の管68で測定され、この管は、一実施態様では加熱器38に至る管である。透析液が加熱される以前のpHを測定することが望ましい。
【0205】
一実施態様では、導電性取付具210の材料は、ステンレス鋼繊維を充填された複合材料を含むアクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)である。ステンレス鋼の使用量は、約1重量%〜約3重量%で良い。ステンレス鋼を使用すると、医療グレードの機器を維持し、かつ導電性充填剤を提供する。
【0206】
図示のとおり、異なる溶液の異なるpH値は、異なる量の電流が図19Aのコネクタ210、電極214および残りの回路を貫流することを可能にする。制御装置またはマイクロプロセッサに対する導電率計56の出力信号は、電流または導電率を含む。次に、導電率は、たとえば特定のpH値と関連付けられ、マイクロプロセッサは信号を解釈し、信号の導電率指示値に基づいてpH値を決定し、pHの相関関係を予測相関関係と比較する。導電性取付具210および電子装置は、それによって、透析液の投入成分および/または結果として得られる透析液の成分pH値自体が適切であるように、安全機能を提供する。
【0207】
(空気検出および除去方法および装置)
次に、図20、21、22、23Aおよび23Bを参照すると、空気検出および除去装置および方法の別法による様々な実施態様が示されている。図20〜23Bの各々は、上記で詳細に説明した様々な構成要素を含む。これらの要素を簡潔に列挙すると、図20〜23Aおよび23Bは各々、供給流体ライン28、54および20を介して、それぞれバルブ26、42および40に結合される供給バッグ22、16および14を備える。図20〜23Aおよび23Bは、図4〜6に示されている流路を概略的に示す。特に、上記の圧力センサ116は、供給流体の入口圧力を流体的に感知するように配置される。流体の供給量は、供給量圧力センサ116を越えて流れ、ポンプ100を通って楊送される。いくつかの図面は、ポンプ100が、バルブ30を通って、または代わりにバルブ34および36を経て加熱器38を通って、排出管24に楊送することができることも示す。図22、23Aおよび23Bは、以下でさらに詳細に説明するとおり、図20および21とは異なる流路構成を示す。
【0208】
バルブ26、42、40、34、36、30および44は、ポンプ100で作動して、流体が患者18に贈られるか、または患者18から取り出されることを可能にする。つまり、バルブ44および30が閉鎖し、バルブ36、34、およびバルブ26、42または40のうちの1つが開放している場合、充填モードにおけるポンプ100は、加熱器38を通して流体を患者18に楊送する。別法によると、バルブ26、42、40、36および34が閉鎖し、加熱器が隔離され(図20および21)、バルブ44および30が開放している場合、ポンプ100は、流体を患者18から排出管24に楊送する。
【0209】
患者18の腹腔内に空気または過剰な空気が導入されると、安全上問題であると考えられ、特に、患者の四肢の痛みの原因になる。安全上の問題から、空気注入防止は、本発明のシステム10の必要条件である。空気がシステム10に入る可能性がある領域の様々な供給源が存在する。空気は、カセット50、患者ライン12、および様々な溶液ラインを減菌する時、またはプライミング以前に、これらの部品に自動的に存在する。この空気は、以下で詳細に説明するとおり、システムからプライミングする必要がある。また、溶液バッグの全体の容積に流体のみを充填することは、一般に非常に難しいため、溶液バッグ内には、減菌された空気も存在する。非減菌空気も、クランプされていないか、もしくは接続されていないラインを介して、または不適切な接続もしくは漏れのある接続を介して、透析液回路に入る可能性がある。さらに、非減菌空気は、膜102とカセット50との間の漏れ、または膜102の亀裂もしくは漏れによって、システム10の透析液回路に入る可能性がある。
【0210】
カセット内の減菌空気に関して、空気は、治療前に除去する必要がある。さらに、非減菌空気を含むすべての空気は、患者を保護し、汚染を防止するために、検出してシステムからパージすることが必要である。以下でさらに詳細に説明するとおり、システム10は、溶液回路を透析液でプライミングして、上記の供給源の1つに通じるラインから空気を除去する。
【0211】
漏れのある接続部、クランプされていないか、もしくは接続されていないラインによって、または漏れのあるカセットもしくは管を通してシステムに入る空気に関して、この空気は、患者に最初に充填する以前に検出する必要がある。漏れのあるカセットおよび管類は、洗剤的に汚染された溶液が患者に楊送されるのを防止するため、最初に患者に充填する前に廃棄して交換しなければならない。そのため、システム10は、治療の前に、膜102に関して1つまたは複数の完全性試験を行い、カセットの膜102に漏れがある場合、システム10に警告する。システム10は、洗浄またはプライミング時にセンサ222、最初に排出する時に組合せ220を使用して、これらの手順時に継続的に空気が感知される場合、警報を発して治療を停止する。
【0212】
溶液バッグを介してシステムに入る減菌空気に関して、空気は、一般に、供給バッグが大体空になった場合、電流充填サイクルの終わり付近で感知される。この時点では、供給バッグ内の減菌空気は、カセット50内に楊送される傾向がある。システム10は、こうした空気を検出して、治療を再開する前に、透析液回路からこの空気を除去するための以下の装置および方法を提供する。図20、21、23Aおよび23Bに示すとおり、蠕動APDシステムの場合、カセット50の出口に空気センサ220が設けられ、患者ライン12を通って患者18に流れる流体を感知する。この位置は、一態様では、流体が患者18に供給される前に、センサ220がカセット内の可能な最後の位置で空気を感知する点で望ましい。このようにして、センサ220は、その位置以前に透析液回路に入る空気を感知する。
【0213】
しかし、空気センサ220のこの位置は、以下などの一定の不利な点がある:(i)空気は、加熱器を通って患者18付近に楊送されるまで、回路内で検出されない;(ii)検出された空気は、気泡、または気泡の流れの前端にあるため、感知される気泡、または空気の一部の後に透析液回路に入った空気の量を判断する方法がない;(iii)空気を検出する場合、患者ライン12から空気を取り戻し、排出シーケンスを作動させることによって空気を排出管24移動させることができるが、システム内の流れは、空気がパージされる間は停止し、加熱器38内の流体が過熱し、その結果、患者18に供給する前に、流れを冷却しなければならない;(iv)良く見られることだが、空気が気泡の流れの形態で存在する場合、溶液は、空気をパージするために、多くの短い排出管および充填サイクルを必要とする。
【0214】
図20および21は、第2空気センサ222(センサ222a〜222cと総称する)は透析液回路内に配置され、上記のセンサ220と組んで動作する。図20および21は、第2センサ222の3つの可能な位置を示す。これらの位置の各々は、透析液回路内の溶液バッグ14、16および22と、これらのバッグからポンプ100を通って移動する供給流体の目的地を決定するバルブ30および36との間で空気を検出するための位置である。
【0215】
センサ222aで示される最初の位置は、1つの好ましい位置である。センサ222aで示されるこの位置で空気を検出すると、溶液バッグ、溶液ライン、またはセンサ222aまでの流路から出るすべての空気は、容易に排出管24に迂回されるため、流体および時間の損失が最小限である。特に、流体が患者18に楊送される時に、センサ222aが空気を検出すると、バルブ34および/または36は閉鎖し、バルブ30は開放して、排出管24に至る流体の流れを可能にするか、または迂回させる。このようなバルブの切り替えは、検出された空気が、加熱器38または患者18に達するのを防止する。空気を含む透析液は、気泡または流れが通過したことをセンサ222aが検出するまで排出管24に楊送され、この時点で、排出管のバルブ30が閉鎖し、加熱器のバルブ36および34が開放して、新鮮な溶液を再び患者18に楊送することが可能になる。
【0216】
第2空気センサ222の位置は、別法によると、センサ222bで指示されるように配置することができる。しかし、222bの位置では、患者18に至る流れを停止し、バルブを切り替えて流れを患者24に迂回させるための反応時間が短く、空気センサ222bの位置は、蠕動ポンプ100を介して、たとえば、図4および7に示すように、管76とポート96および98との接続部を通って入る空気を検出する。さらに、センサ222bは、蠕動ポンプの管76の欠陥または漏れを介して入る空気を検出する。
【0217】
センサ222cで示す第3位置は、実際上、各々が供給ライン28、54および20の1つをチェックする複数のセンサを備える。この場合の利点は、反応時間が比較的長く、センサは、図18の導電性取付具210に関して上記で示した方法とおそらく同様に、カセット50の外側に配置することができるため、カセット50は、実質的に修正および/または拡大する必要がないという事実である。不利な点は、複数のセンサが必要であり、入口バルブ26、42もしくは40、またはポンプ100を介して導入される空気は検出されないことである。
【0218】
第2空気センサ222の各々の位置に関して、図20は、通常の動作時には、流体は、ポンプ100、バルブ36、加熱器38、バルブ34を通り、センサ220を通過して、患者ライン12を通って患者18に流れる。図21は、第2センサ222の各々の異なる位置では、空気が検出されると、バルブ36および34の一方または両方が閉鎖され、排出バルブ30が開放し、代わりに流れを排出管24に方向付ける。
【0219】
図22は、流体および空気が排出管24に迂回されなくなる位置の前で、空気を検出するためのさらに他の別法による実施態様を示す。図22では、第1センサ220は、図20および21に示す位置から、図22に示す位置に移動し、加熱器38を出る加熱器ライン68を貫流して、再びカセット50に入る流体を感知する。さらに、排出ライン224は、空気センサ220の位置の下流でライン68と連通するように切り替えられる。この構成では、排出バルブ30が移動されて、第2排出バルブ58が、加熱器38出口68から排出ライン224および排出管24へのバイパスバルブとして追加される。充填サイクルで、図22のシステム10から空気をパージするため、バルブ34は閉鎖し、バルブ58は開放して、空気を含む透析液を排出管24に迂回させる。図22の利点は、1個の空気センサのみを使用する点である。不利な点は、カセット50の流路を変更する必要があり、バルブ34において、または出口圧力センサ116を介して生じる何らかの漏れに対して患者18に対する保護がないことである。さらに、空気は、流体が加熱された後に検出されるため、システムのエネルギーが多少無駄になる。しかし、空気センサ220の位置は、過熱した透析液をパージまたは迂回させるという利点もある。
【0220】
次に、図23Aを参照すると、第2空気センサ222の1つの場所が示されている。この場合、センサは、ライン68に沿って、図22の第1センサ220で示す位置と同じ位置に配置される。これは、センサ222は、カセット50内の中間位置ではなく、管68と整合するために望ましい。この構成では、加熱器のバルブ36は移動され、第2排出バルブ58が、加熱器38の出口68から排出ライン224および排出管24へのバイパスバルブとして追加される。流体を患者18に楊送するには、バルブ30、58および44は閉鎖し、バルブ34、およびバルブ26、42または40の1つが開放する。流体を患者18から排出管24に楊送するため、バルブ34および58は閉鎖し、バルブ44および30は開放する。充填サイクル時に、図23Aのシステム10から空気をパージするため、バルブ34は閉鎖し、バルブ58は開放して、空気を含む透析液を排出管24に迂回させる。一実施態様では、外側クランプ72が、加熱器のライン68内に設けられる。クランプ72は、洗浄およびプライミング時に、加熱器のライン68を塞ぐ。システム10は、クランプ72が、洗浄前に確実に閉鎖されるように構成することができる。
【0221】
次に、図23Bを参照すると、もう1つのバルブ構成が示されている。図23Bでは、センサ222は、再びライン68に沿って、以前に図23Aに示した位置と同じ位置に配置される。これは、センサ222は、カセット50内の中間位置ではなく、管68と整合するために望ましい。この構成では、加熱器のバルブ36はその場に留まり、第2排出バルブが、加熱器38の出口68から排出ライン224および排出管24へのバイパスバルブとして追加される。流体を患者18に楊送するため、バルブ30、58および44が閉鎖し、バルブ34、36、およびバルブ26、42または40の1つが開放する。流体を患者18から排出管24に楊送するため、バルブ34、36および58が閉鎖し、バルブ44および30が開放する。充填サイクル時に、図23Aのシステム10から空気をパージするため、バルブ34は閉鎖し、バルブ58は開放して、空気を含む透析液を排出管24に迂回させる。外側クランプ72は、図23Bでは不要である。
【0222】
図23Bのシステムによって、空気は、充填時に検出された場合、排出管24に直接迂回され、空気が検出された場合は、加熱器38を通る流れが維持され、加熱器38内の流れが停止したために、流体の温度が過熱した状態になるのを防止することができる。しかし、図23Bは、追加のセンサ222およびバルブ58を必要とし、追加のセンサ222は管類に配置され、カセットの修正を必要としない。
【0223】
次に、図23Cを参照すると、システム10のカセット50の8つのバルブ構成が示されている。この場合、第2空気センサ222(図20および21に示す)は、ポンプ100の直前に配置される。図23Cは、ポンプ100で作動するポンプモータ270を示す。光回転センサ(「ORS」)はポンプ100で作動して、たとえば、ポンプローラの位置、蠕動ポンプシャフトの回転数などを検出する。モータ270は、同様に、ホール効果センサ(「PHS」)および位置符号器(「PPE」)で作動する。PHSは、モータ270のシャフトの位置を検出する。PPEは、モータ270のシャフトに関する位置、および場合によって速度および加速度情報を与える。
【0224】
第3空気検出器242は、患者ライン12の末端、先端保護装置238(図25および26参照)の直前に配置される。図23Cに示す患者ラインのプライミング位置については、図25および26に関連して以下で詳細に説明する。空気トラップ246には、保温器パウチ38が設けられる。一実施態様では、保温器パウチ38は、ユニット60に対して垂直に配置される。
【0225】
図23Cのシステム10は、図20および21の場合とほぼ同じである。排出管および加熱器のバルブおよび流路は、センサ220および222の配置と同じである。図23Cのシステム10は第8バルブ58を追加し、このバルブは、加熱器38から出る流体を患者18から隔離するのを促進する。図23Cのバルブ調節構成は、3つの隔離領域を形成する。第1領域は、入口バルブ26、40および42と、ポンプ100入口との間に存在する(上記のとり、ポンプのローラ280は、バルブと同様にポンプの管類76を塞ぐ)。第2領域は、ポンプ100の出口、排出管24および加熱器38の入口間に存在する。第3領域は、加熱器38の出口、バイパスバルブ44、および患者18間に存在する。
【0226】
次に、図24A〜24Cを参照すると、3つのカセット50の各々は、図23Cのシステム10のバルブおよび圧力センサに関する区画化された様々な流路構成を示す。3つのカセット50は、一態様では有利であり、なぜなら、バルブポート118、120、122、124、126、128および130の各々は、カセット50の一方の側から延在するからである(たとえば、患者ポート130が、バルブポート118、120、122、124、126および128の異なる側から延在する図4と比較する)。ポートが延在する側の数が減少すると、成形の「プル」の数、または透析液がカセット50に流入およびカセット50から流出する方向が少なくなる。これは、カセット50用の成形ツールは比較的単純であり、サイドアクションまたは「プル」が少ないという点で有利である。
【0227】
3つのカセット50は、上記の領域のために、別の点で有利である。図24A〜24Cの各々では、第1領域218は、入口バルブ26、40および42、流量チャンバ112(図23Cに示すように、第1圧力センサ116で作動する)、およびポンプ100に至る入口98を囲む。図24A〜24Cの点線は、実線の流路より高さの点で下に位置する流路を示す。図5に示すとおり、これらの流路は、成形ツール上の「プル」を介してカセット50に一体成形される。図24A〜24Cに実線で示されている流路は、プル付き流路より高さの点で上に位置し、カセット50および可撓性膜102の剛性部分によって集合的に画定される。
【0228】
バイパスバルブ44も、液体が領域218および228と連通することを可能にする。図24A〜24Cの各々では、第2領域226は、加熱器のバルブ36およびチャンバ115(第3圧力センサ116で作動する)に至る排出バルブ30を囲む。図24A〜24Cの各々では、第3領域228は、加熱器のバルブ34、バイパスバルブ44から患者バルブ58および一定容積チャンバ106(第2圧力センサ116で作動する)までを囲む。
【0229】
カセット50は、シールリブ176(上記)を介して、カセット本体と可撓性膜102との間の透析液を隔離することによって密閉領域を完成し、図示のとおり、領域218、226および228の上部周囲を形成する。各々の領域は、図23Cに示す共通のノードを隔離し、他の流路から隔離されて、クロストークを防止する。各々の領域218、226および228は、独自の圧力センサ、および隔離バルブの集合を備え、これは、漏れが感知された場合、漏れの場所を判断するための診断ツールを追加する。「患者に至る」バルブ58によって、領域228(およびその他の領域)は患者18から隔離されるため、漏れ試験を適切かつ安全に行うことができる。「患者に至る」バルブ58によって、治療時に必要な場合、保温器バッグの空気トラップ246を空にすることもできる。保温器バッグの空気トラップ246を空にするため、バルブ30、44および34が開放し、ポンプ100が回転して、空気トラップが収縮し、空気が排出管24に移動する。
【0230】
図24Cに示すとおり、カセット50は、一実施態様では、一体の空気トラップ246を含む。空気トラップ246は、一実施態様では領域228に位置し、これは、この領域が加熱器38の下流にあり、患者18のすぐ上流に位置するためである。空気トラップ246は、図23Cの保温器バッグ38から図24Cのカセット50に移動する。この場合、カセット50は、操作上、ユニット60内に垂直に位置する。図示の実施態様では、空気トラップ246は、領域228内の特定の流路を取り外すことによって形成され、その結果、この領域内に比較的大きい容積が生じる。領域228内にスタンドオフまたは一体のリブを追加すると、たとえば領域228が負圧または正圧未満である場合など、必要に応じて膜102を支持することができる。
【0231】
垂直の向きでは、患者バルブ58は、透析液がポート130を介して患者18に流れることを可能にし、保温器38、および加熱器のバルブ34から領域228に入る気泡から保護される。バルブ34を通って領域228に入る気泡は、領域228内の空気トラップ246の上部に留まり、透析液は、領域228の下部から患者18に流れる。空気トラップ246の容積は、患者充填段階で生成される可能性がある空気の一般的な量を保持するのに十分であり、カセット50のサイズを増加する必要はない。システム10は、バイパスバルブ44が空気トラップ246の上部に位置するため、次の排出段階で自動的に空気をトラップ246から除去する。排出段階では、溶液が、患者18から空気トラップ246内に流入する時に、空気は、バイパスバルブ44を通してトラップ246から排出管24に押し出される。
【0232】
空気が、患者充填段階で空気トラップ246を完全に充填する場合、空気は、バルブ58から漏れる可能性があるが、図23Cに示されている患者ライン12内の空気検出器242によって検出される。このような検出によって、システム10に:(i)ポンプ100を停止する、(ii)バルブを患者排出構成に切り替える(バルブ58、44および30を開放する)、および(iii)患者ラインから排出ラインに十分な透析液を楊送し、バルブ44および領域228から空気を洗浄して除去するという信号が送信される。こうして、迅速に充填を再開することができ、加熱器38内の流体が過熱することはない。
【0233】
(能動的な患者ラインプライミング装置および方法)
次に、図1、18、25および26を参照すると、患者ライン12を能動的にプライミングするための本発明による1つの装置および方法が、システム230によって示されている。上記のとおり、システム10を患者18に接続する前に、患者ライン12は透析液でプライミングされて、このラインから空気が除去される。プライミングが不完全であると、ライン内に空気が残り、空気が患者18内に注入され、おそらく安全上の問題が生じる。作動時の患者ライン12は、一般に長さ10〜20ft(3〜5m)であり、治療時の患者18に移動性および快適性を与える。
【0234】
図25および26は、患者ライン12が患者ラインホルダー232内に装填されるか、またはスナップ嵌合することを示す。患者ラインホルダー232の1つの可能な場所は、図18に示す器具60の壁部234に結合されるか、または壁部234によって形成される。その結果、患者18が、カセット50をアクチュエータユニット60内に装填して、ドア70を閉鎖すると、患者は、図18に示すように、患者ライン12も患者ラインホルダー232内にスナップ嵌合させることになる。
【0235】
図25は、図26に示す患者流体ラインコネクタ238の下の断面における患者ラインホルダー232および患者流体ライン12の上面図を示す。患者流体ラインコネクタ238は、患者18が、患者流体ライン12をホルダー232内に適切に配置することを支援する。図26に示すとおり、患者18は、コネクタ238が、図18にも示されている上部壁部236の上部に当たるように、ライン12をホルダー232内に配置する。この位置は、ライン240で示される所望の流体プライミングレベルと、壁部234内に埋め込まれ、図25に示すようにホルダー232の一部分を通って延在する空気検出器242とを整列させる。
【0236】
空気検出器242は、アクチュエータユニット60内に収容された制御装置またはプロセッサに延在する信号ライン244を備える。空気検出器244は、以下の状態または状況を感知する:(i)ホルダー232が空である、つまり、患者の管類ライン12がまだホルダー232内に配置されていない取り出し状態;(ii)患者の管類ライン12がホルダー232内に配置されたが、ライン12は、まだ乾燥している(プライミングされていない)装填および乾燥状態;および(iii)患者ライン12がホルダー232内に配置され、ポンプ100が溶液を、ライン240で示される流体プライミングレベルまで楊送した装填および湿潤状態。
【0237】
空気検出器242は、当業者が周知している任意のタイプの空気検出器で良く、たとえば超音波、容量性、誘導または光タイプのセンサがある。感度は重要な要素ではなく、コストは1つの要素であるので、1つの好ましいタイプの空気検出器は光検出器である。
【0238】
治療のためにシステム10を組み立てる際、取り外し状態が感知された場合、システム10は、たとえばディスプレー66を介して、患者ライン12をホルダー232内に装填するように患者18に促す。次に、システム10は、患者が装填するまで待機し、この時点では、装填済み乾燥状態が感知される。
【0239】
空気検出器242が、装填済み乾燥状態を感知すると、システム10内のプロセッサまたは制御装置によって、器具60のポンプ100およびバルブは、一定量の流体がライン12内に配置される低速度で、最小ラインの長さ未満である初期量の溶液を患者ライン12に楊送する。その後、ポンプ100は、空気センサ242が、装填乾燥状態から装填湿潤状態への変化を感知するまで、均一な比較的低速度で楊送する。
【0240】
ポンプ100が流体を患者の管類ライン12内に、予め決められた時間にわたって楊送した後、または予め決められた量の流体が楊送された後、センサ242が、装填湿潤状態を感知しない場合、システム10は楊送を停止し、延長ラインを使用するかどうか、たとえばディスプレー66を介して、患者または操作者に入力を促す。場合によっては、患者はカセット50を設けられた標準管類長さの末端に、追加の管類長さを追加する。この場合、ライン12内に初期量を投与し、増分の流体量を楊送する上記のシーケンスは、初期量がライン12の末端に十分に接近しないために機能しない。この場合、システム10は、延長部分が追加されたと仮定し、ユーザにこれを確認するように要求する。システム10が、たとえば、ディスプレー66を介して、または器具60上のコントロール62および64を介して、「はい」という入力を受信した後、延長ラインが使用されたことを確認すると、システム10は、第2の予め決められた最大値まで楊送することを再開し、その後、装填湿潤状態に達するまで増分的に楊送する。
【0241】
別法による実施態様では、コントロール62および64、並びにディスプレー66は、患者またはオペレータが、たとえば「延長ライン」セットアップメニューを介して、延長ラインを使用するという事実を事前に入力することを可能にするように構成される。患者が、セットアップモードで、延長ラインを追加したことを入力すると、システム10によって、ポンプ100は、第2の最大値まで自動的に楊送し、上記のように中間の楊送およびそれを促す必要はない。第2の最大値では、増分楊送は、装填湿潤状態が感知されるまで行われる。
【0242】
図18は、ホルダー232が垂直の向きであることを示しているが、このような要件はなく、ホルダー232は、別法によると任意の所望の角度で向きを決められる。たとえば、ホルダー232は、患者の流体ライン12が、ホルダー232によって器具60の下に直接垂直に延在しないように、水平に向けることが望ましく、このように延在すると、テーブル上に平坦に器具60を配置しようと試みる時に、問題を生じる可能性がある。
【0243】
検出器242が多くの異なるタイプの技術を使用できることも、評価するべきである。上記のとおり、検出器242は、光または超音波で良い。しかし、光分岐センサの範囲内でも変形があり、そのどれもセンサ242に使用することができる。たとえば、光センサは、送信機/受信機の対を透析液および管類のホルダー232の対向側に向けることによって、透析液および管類の伝達性を使用することができる。別法によると、エミッタおよび受信機は、1個のユニット内に収容し、エミッタ/受信機からホルダー232の対向側に配置された反射部材と組み合わせて使用することができる。さらに、ホルダー232の位置は、比較的大きいタイプの流体ライン形成体内に組み込まれ、この形成体は、治療の開始時に様々な流体管を接続する適切なシーケンスをオペレータまたは患者18に案内するように構成および配列される。
【0244】
(容積測定精度改善方法)
システム10は、ポンプ100の容積測定精度をより正確に決定する少なくとも1つのアルゴリズムを使用する。以下の容積測定精度改善方法は、蠕動ポンプに適用されるが、この方法は、ダイヤフラムポンプおよびその他のタイプの容積移送式ポンプに適用することもできることを評価するべきである。厳密かつ十分に定義された運動を使用する理想的な容積移送式ポンプは、理論上、一定量の圧縮可能な流体を行程ごとに供給し、この量は、容易かつ正確に計算して合計することができる。
【0245】
ダイヤフラムポンプまたは蠕動ポンプの管の場合、非剛性の構成要素が使用され、その結果、ポンプサイクルごとに排除される流体の量が変化するか、または潜在的に変化する。この変化は、非剛性構成要素の変形、これらの構成要素に作用する力の変化など、多くの要素の関数である。したがって、容積測定精度は、材料に作用する重要な性質および力の少なくとも1つの関数である。さらに、容積移送式ポンプを駆動するために使用されるモータ機構が、予想したように正確に作動しない場合、不正確な運動または位置決めは、排除される流体全体の量に影響する場合がある。本明細書に記載する方法は、不正確さなどが過度に記述されるのをどのように克服するかを示唆している。この方法は、本質的に、容積測定ポンプシステムの誤差を生じる可能性がある要素の特定を含む。各々の要素は隔離され、こうした要素と、導入される誤差の量との間の相関関係は、理論上または経験上決定される。定数Kは、こうした要素と誤差との間の相関関係に基づいて計算または決定される。最後に、全体的な容積測定方程式、たとえばダイヤフラムポンプまたは蠕動ポンプによって楊送される量に対応する方程式は、決定された定数Kに要素の値を乗じた積を含むように修正される。
【0246】
場合によって、要素の値が入力される。たとえば、要素は、システム10内に投入される管材である可能性があり、この場合、要素は、材料の様々な性質を考慮に入れる。一方、要素の値は測定可能である。たとえば、要素は、蠕動ポンプの管に対する入口圧力、またはダイヤフラムポンプのダイアフラム全体の圧力差である可能性があり、この場合は、システム10内で実際に測定する必要がある。本発明の方法は、単に(i)ダイヤフラムポンプのポンプ行程の数を合計する;または(ii)蠕動ポンプの回転数を計算するのではなく、より正確なアルゴリズムを使用することを可能にする。
【0247】
本発明の方法は、ダイヤフラムポンプの量を計算するための従来の方法と比べて有利であり、従来の方法には、量は、ポンプの変位または行程ごとに一定であるという仮定が含まれていた。たとえば、ダイヤフラムポンプのチャンバには、流体が完全に充填されると仮定されるであろう。しかし、流体は、一定量の空気を含むことが分かっている。したがって、長期にわたる場合、楊送される全体量の一部は、空気の量によって消費されるという事実によって、楊送されたと仮定された流体より、実際に楊送された流体は少ないと思われる。本発明の方法は、楊送される流体全体の量を決定する時に、たとえば、あるポンプ行程内で一般に存在する空気の量を測定することによって、この要素を考慮に入れる。次に、空気の量は、排除されると仮定されるが、実際上、ある一定のポンプサイクルで排除されない流体全体の量を決定するために、異なる楊送圧力に応じて概算することが可能である。次に、この量を全体の量から控除すると、正確なアルゴリズムが得られる。
【0248】
もう1つの実施例では、ダイヤフラムポンプの場合、ダイアフラムを駆動するための機構、たとえばポンプピストンは、行程の可能な最下部部分から、行程の可能な最上部部分に、あるいはこの逆に常に移動すると仮定される。実際上、ポンプピストンは、少なくともすべての行程において、完全に上部まで、あるいは完全に下部まで移動するわけではない。したがって、精度を高めるため、ピストン頭部またはダイアフラムの実際の位置は、たとえば、ポンプのピストン頭部に取り付けられた回転または直線符号器によって測定することができる。何れの場合も、結果は、ポンプが、そのつど、ポンプ行程の命令された最上部および最下部の位置に移動すると単に仮定する場合に比べて、より正確である。
【0249】
空気およびポンプ行程の誤差のほかに、ダイヤフラムポンプは、ポンプ器具のその他の特性、たとえばダイアフラムの材料、ダイアフラム全体の差圧によっても影響を受ける。これらの要素のそれぞれ1つの定数を生成した後、分析および相関可能なできるだけ多くの要素を考慮した全体のアルゴリズムを決定する。一例の方程式は以下のとおりである:
ダイヤフラムポンプ内で楊送された量=Kl×PSME2+K2×PSME+K3×dp2+K4×dP+K5、
ここで、各々の定数Kは、実験または計算プロセスで発見される。PSME(ピストンステッパモータ符号器の位置)は、ステッパモータ駆動位置を使用するダイヤフラムポンプのピストン位置である。dPは、ダイアフラム全体の差圧であり、一実施態様では、ダイアフラムの後の真空圧力を差し引いたチャンバの流体圧力である。上記の方程式は、ポンプ行程数に、行程ごとに楊送されると仮定される量を単に乗じた場合より正確であるが、上記の方程式は、定数K1〜K5の決定に伴う努力、および圧力または温度など、ある要素を測定する場合の難しさに応じて、比較的正確であるか、または比較的正確ではないと思われる形態から修正することができる点を評価するべきである。
【0250】
蠕動ポンプによって楊送される量を計算するための公知の方法は、命令された回転速度にポンプ100の動作時間を乗じることによって、ポンプ頭部もしくはシャフト84の回転数を単に計算することを含む。これらの方法は、長期にわたると誤差を生じる。また、これらの方程式はポンプ頭部が回転するごとに、ポンプの管76の入口から管76の出口までの一定量の流体が排除されると仮定する。これらの方法は、入口および出口流体圧力、管類の温度、ポンプ頭部の回転速度、管類の磨耗、管類の性質、ローラの磨耗、並びに管類の寸法が、管の部分に作用するローラによって搬送される流体の量に影響しないと仮定している。これらの要素は、楊送される全体の量に影響する可能性があるので、より正確なアルゴリズムは、これらの要素の少なくともいくつかを考慮に入れるであろう。
【0251】
蠕動ポンプのアルゴリズムは、1回転ごとに排除される流体の量、つまり量/回転として指定することができる。ポンプ頭部が回転すると、少なくとも1つのローラおよび関連する閉塞は管に沿って移動し、次のローラが、管上の第2位置で管を閉塞させるまで、流体減からの管を充填する。第1および第2ローラは、2つの閉塞部間に流体を捕捉し、流体の量を管の出口に移動させる。流体の量が捕捉される位置までの管類の内径の寸法に影響する変数は、ポンプの量/回転に影響すると考えられるか、または影響する可能性がある。
【0252】
たとえば、負の入口圧力によって、管は、入口圧力がゼロの場合と同じ形状に戻る。したがって、負の入口圧力は、楊送される量/回転を低下させる。別法によると、正の入口圧力は、入口圧力がゼロの場合に存在すると考えられる直径に対する管の内径を増加させることによって、量/回転を増加させる。さらに、管類の温度も、少なくとも短時間だけ、たとえばポンプが高速度で作動している時に、管が元の形状に戻ることを妨げることによって、量/回転を低下させる可能性がある。管類は、一般に、上記のとおり長期にわたる楊送では変形し、量/回転にさらに影響する。管類の磨耗は、管類の性質によって予測するか、または実験的に測定することができる。ローラの磨耗は、実験的に測定して、全体の蠕動ポンプの容積測定方程式に考慮することができるが、こうした磨耗は長期にわたると変化する可能性があり、あるいは、マシンの寿命全体におけるポンプの総回転数に基づいて、磨定数Kが変化する可能性がある。
【0253】
ポンプ100などの蠕動ポンプの容積測定精度を改善する方法は、上記の誤差変数を考慮に入れるか、または概算し、こうした変数の定数を決定することによって、変数の影響をモデル化する機能に基づいて、量/回転の計算を修正する。次に、値を変数として入力するか、または測定する。たとえば、ポンプの管76の入口および出口における流体圧力は、センサ116などの1対の圧力センサを使って測定することができる。さらに、流体温度は測定可能であり、それによって管類の平均温度を計算することができる。ポンプモータの回転速度は、ポンプモータが十分に正確であるか、または回転速度計で測定される場合、正確であると仮定することができる。
【0254】
蠕動ポンプの回転アルゴリズムごとの量の一例は、以下のとおりである:
量/回転=(Kl×Pin2+K2×Pin)×(K3×温度2+K4×温度)×(K5×速度2+K6×速度)+K7、
ここで、K1〜K7は、実験的に、またはデータによって決定される定数である。Pinは、蠕動ポンプの管76の入口における流体圧力に等しい。温度は、管の平均温度に等しい。速度は、ポンプの回転駆動シャフトの速度であり、入力または測定される。次に、ポンプによって排除される合計量は、回転数に量/回転の計算値を乗じた値であり、回転数は、たとえば符号器またはその他のタイプの位置感知デバイスによって計算される。
【0255】
本明細書に記載する現在好ましい実施態様に対する様々な変更および修正は、当業者には明白である。こうした変更および修正は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、また意図された利益を損なうことなく行うことが可能である。したがって、こうした変更および修正は、添付の請求の範囲によって保護することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0256】
【図1】図1は、患者に連通する本発明のシステムを示す。
【図2】図2は、ポンプおよびバルブカセットが取り付けられたアクチュエータユニットの一実施態様の斜視図である。
【図3】図3は、カセットを取り外した図2のアクチュエータユニットの斜視図である。
【図4】図4は、蠕動ポンプ部分を有するカセットの一実施態様の様々な斜視図である。
【図5】図5は、蠕動ポンプ部分を有するカセットの一実施態様の様々な斜視図である。
【図6】図6は、蠕動ポンプ部分を有するカセットの一実施態様の様々な斜視図である。
【図7】図7は、蠕動ポンプ部分を有するカセットの一実施態様の様々な斜視図である。
【図8】図8は、本発明の一実施態様に使用される蠕動ポンプの上面図である。
【図9】図9Aは、図8の線IXA−IXAに沿って見た正断面図である。図9Bは、本発明の正駆動蠕動ポンプの一実施態様の正断面図である。図9Cは、図9Bの溝プレートの斜視図である。図9Dは、図9Bの溝プレートの駆動ストップを示す図9Cの断面図である。図9Eおよび図9Fは、本発明の正駆動蠕動ポンプの別法による実施態様の正面図である。図9Gは、図9Fの正駆動蠕動ポンプのローラ組立体の分解斜視図である。
【図10】図10は、カセットのバルブおよび流路チャンバを覆う可撓性膜の様々な実施態様を示す。
【図11】図11Aおよび11Bは、それぞれ可撓性膜から分離および可撓性膜に結合したバルブアクチュエータの断面図を示す。
【図12】図12は、膜をカセットに対して機械的に係止するための1つの装置および方法を示す。
【図13】図13は、膜をカセットに対して機械的に係止するための1つの装置および方法を示す。
【図14】図14は、膜をカセットに対して機械的に係止するための1つの装置および方法を示す。
【図15】図15は、カセットのバルブおよび流路チャンバを覆う可撓性膜の様々な実施態様を示す。
【図16】図16は、圧力センサと、膜と、カセットとの間の接合部分を示す。
【図17A】図17Aは、頭部高さを感知することによってポンプ圧力を制御するための方法の一実施態様を示すプロセスフロー図である。
【図17B】図17Bは、頭部高さを感知することによってポンプ圧力を制御するための方法の一実施態様を示すプロセスフロー図である。
【図18】図18は、図2および図3に示すアクチュエータユニットの背面斜視図であり、導電性取付具、および患者の流体ラインホルダーを示す。
【図19A】図19Aは、図18の導電性取付具で動作可能な電気回路である。
【図19B】図19Bは、図18の導電性取付具を使用した実験結果を示すグラフである。
【図20】図20は、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図21】図21は、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図22】図22は、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図23A】図23Aは、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図23B】図23Bは、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図23C】図23Cは、本発明の空気検出および情報装置および方法の様々な実施態様を示す略フロー図である。
【図24A】図24Aは、本発明の使い捨て式カセットの区画化した流路およびバルブ構成の様々な実施態様の略図を示す。
【図24B】図24Bは、本発明の使い捨て式カセットの区画化した流路およびバルブ構成の様々な実施態様の略図を示す。
【図24C】図24Cは、本発明の使い捨て式カセットの区画化した流路およびバルブ構成の様々な実施態様の略図を示す。
【図25】図25は、それぞれ患者の管ホルダー、および患者ラインをプライミングするための対応する装置の上断面図および側断面図である。
【図26】図26は、それぞれ患者の管ホルダー、および患者ラインをプライミングするための対応する装置の上断面図および側断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蠕動ポンプであって、
部材であって、該部材は、管類の断面にわたって移動して管類を圧縮し、それによって該管類を通して流体を移動させる部材、
を備え、
ここで該管類が、約50〜約85の範囲のショアA硬度、および約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗を有する、蠕動ポンプ。
【請求項2】
前記管類が、高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセン−触媒超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の蠕動ポンプ。
【請求項3】
前記管類が、(i)約9.0のpHを有する流体について、少なくとも約12時間楊送した後、少なくとも約90%;(ii)約2.0のpHを有する流体について、少なくとも約12時間楊送した後、少なくとも約90%;および(iii)少なくとも約±0.5mの頭部高さから楊送される流体について、少なくとも約90%、から成る群から選択される少なくとも1つの流量精度を示す、請求項1に記載の蠕動ポンプ。
【請求項4】
前記管類が、(i)実質的に均一な直径、(ii)実質的に一定の壁厚、(iii)約40℃の温度範囲で正確であること、(iv)73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、(v)使い捨て式カセット用にシール可能であること、から成る群から選択された少なくとも1つの特性を有する、請求項1に記載の蠕動ポンプ。
【請求項5】
蠕動ポンプであって、
管類の断面にわたって移動する部材であって、該部材は、該管類が圧縮および拡張することを可能にし、それによって該管類を通って流体を移動させる、部材、
を備え、
該管類が、約2.0〜約9.0のpHを有する流体について、少なくとも90%の流量精度を示し、該流体が、少なくとも約±0.5mの頭部高さから管類を通して少なくとも12時間楊送される、蠕動ポンプ。
【請求項6】
前記管類が、高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセンベースの超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項5に記載の蠕動ポンプ。
【請求項7】
前記管類が、(i)約50〜約85の範囲のショアA硬度、(ii)約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗、(iii)約40℃の温度範囲で正確、かつ73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、および(iv)使い捨て式カセット用にシール可能であること、から成る群から選択された少なくとも1つの特性を有する、請求項5に記載の蠕動ポンプ。
【請求項8】
使い捨て式透析装置であって、
少なくとも1つの流路と、該流路と流体連通する少なくとも1つのバルブチャンバと、複数のポートとを備える使い捨て式カセットと、
該ポートと流体連通する管類であって、該管類が、蠕動ポンプで動作するループを形成し、該管類が、約50〜約85の範囲のショアA硬度、および約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗を有する管類と、
を備える、使い捨て式透析装置。
【請求項9】
少なくとも1つの前記管類および前記使い捨て式カセットが、酸化エチレン洗浄処理および放射線から成る群から選択されるプロセスによって減菌される、請求項8に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項10】
前記管類が、成形、押し出し成形、溶剤結合、摩擦嵌合、無線周波シール、ヒートシール、レーザ溶接およびこれらの任意の組合せから成る群から選択されるプロセスによって、ポートに嵌合される、請求項8に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項11】
前記管類が、高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセンベースの超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項8に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項12】
前記管類が、(i)約9.0のpHを有する流体について、少なくとも約12時間楊送した後、少なくとも約90%;(ii)約2.0のpHを有する流体について、少なくとも約4時間楊送した後、少なくとも約90%;および(iii)少なくとも約±0.5mの頭部高さから楊送される流体について、少なくとも約90%、から成る群から選択される少なくとも1つの流量精度を示す、請求項8に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項13】
前記管類が、(i)実質的に均一な直径、(ii)実質的に一定の壁厚、(iii)73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、(iv)約40℃の温度範囲において正確であること、から成る群から選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項8に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項14】
使い捨て式透析装置であって、
(i)少なくとも1つの流路と、(ii)該流路と連通する少なくとも1つのバルブチャンバと、(iii)1対のポートと、(iv)空気トラップとを備える使い捨て式カセットと、
該ポートと流体連通する管類であって、該管類が、蠕動ポンプで動作するループを形成し、該ポンプが、該カセットを出る流体を楊送するように動作可能であり、該流体からの空気が該空気トラップ内に収集される管類と、
を備える、使い捨て式透析装置。
【請求項15】
前記管類が、(i)高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセン−触媒超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの組合せから成る群から選択され、(ii)約50〜約85の範囲のショアA硬度、約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗、実質的に均一な直径、実質的に一定の壁厚、シリコーン管類によって示される粒状物質(「PM」)レベル未満のPMレベル、73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、および約40℃の温度範囲で正確であること、から選択される少なくとも1つの特性を有し、そして(iii)約2.0〜約9.0のpHを有する流体について、少なくとも約12時間で、少なくとも90%の流量精度を示し、該管類を通して楊送される流体が、少なくとも約±0.5mの頭部高さから楊送される、請求項14に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項16】
前記管類が、成形、押し出し成形、溶剤結合、摩擦嵌合、無線周波シール、ヒートシール、レーザ溶接およびこれらの任意の組合せから成る群から選択されるプロセスによって前記ポートに嵌合される、請求項14に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項17】
(i)前記空気トラップが、高さの点で、患者に通じるバルブポートの上に位置すること、(ii)各バルブポートが、前記カセットの同じ側に配置されること、および(iii)各バルブチャンバが、他の領域から互いに流体的に分離可能な領域の一部であること、からなる群から選択される少なくとも1つの特性を備える、請求項14に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項18】
流体ポンプで動作可能な医療用流体装置であって、該装置は、以下:
使い捨て式カセットであって、該カセットは本体および可撓性膜を備え、該本体および膜が該カセット内のチャンバを囲み、該チャンバが流体入口および流体出口を有する、使い捨て式カセットと、
該チャンバを通って流れる流体の圧力変動を感知するように、膜の一部分に動作可能に結合する圧力センサと、
(i)該圧力センサから信号を受信し、該信号が、患者の頭部高さを示し、そして(ii)該信号を使用して、該ポンプを作動させる圧力を決定するように構成される電子装置と、
を備える、医療用流体装置。
【請求項19】
所望の前記圧力が、流量の最大化、および圧力限界の遵守のうち、少なくとも一方の関数である、請求項18に記載の医療用流体装置。
【請求項20】
前記電子装置が、(i)圧力信号および要素に基づいて前記動作圧力を決定するように構成され、ここで該要素は、前記ポンプと前記患者との間の少なくとも1つの流量制限に起因する、予測される圧力低下に対応していること、(ii)使い捨て式カセットに結合されるユニット内に収容されること、および(iii)さらにポンプ駆動機構を備えるユニット内に収容されること、からなる群から選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項18に記載の医療用流体装置。
【請求項21】
前記駆動機構が、機械的に作動するかまたは空気圧的に作動する、請求項20に記載の医療用流体装置。
【請求項22】
前記ポンプが蠕動ポンプであり、前記カセットが、該蠕動ポンプの駆動機構に動作可能に結合される管類を備える、請求項18に記載の医療用流体装置。
【請求項23】
前記管類が、(i)高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセン−触媒超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料から製造され、(ii)約50〜約85の範囲のショアA硬度、約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗、実質的に均一な直径、実質的に一定の壁厚、シリコーン管類によって示される粒状物質(「PM」)レベル未満のPMレベル、および73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、から成る群から選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項22に記載の医療用流体装置。
【請求項24】
(i)前記頭部高さによる圧力が正である場合、前記電子装置は、前記ポンプ側の正の動作圧を前記患者側の所望の正圧より高く設定して、該所望の正圧で該患者に充填し、該ポンプ側の負の動作圧を該患者側の負の動作圧より低く設定して、該所望の負圧で該患者から排出するように構成され、(ii)該頭部高さによる圧力が負である場合、該電子装置は、該ポンプ側の正の動作圧を該患者側の正の動作圧より低く設定して該患者に充填し、該ポンプ側の負の動作圧を患者側の所望の負圧より低く設定して、該所望の負圧で患者から排出するように構成される、請求項18に記載の医療用流体装置。
【請求項25】
前記チャンバが前記ポンプの楊送チャンバである、請求項18に記載の医療用流体装置。
【請求項26】
医療用流体装置であって、
ポンプ駆動機構と;
圧力センサと;
電子装置であって、該電子装置は、(i)患者の頭部高さを示す該圧力センサから信号を受信し、(ii)該信号を使用して、該駆動機構を作動させる動作レベルを決定するように構成される、電子装置と、
を備える、医療用流体装置。
【請求項27】
前記動作レベルが、流量最大化および圧力限界の遵守のうちの少なくとも一方の関数である、請求項26に記載の医療用流体装置。
【請求項28】
前記電子装置が、前記圧力信号および要素に基づいて前記動作圧力を決定するように構成され、該要素は、前記ポンプと前記患者との間の少なくとも1つの流量制限によって、予測される圧力低下に対応する、請求項26に記載の医療用流体装置。
【請求項29】
前記ポンプが蠕動ポンプであり、前記駆動機構が、流体を運搬する管に対して回転する頭部を備え、前記動作レベルが、前記頭部が管に対して回転するレベルである、請求項26に記載の医療用流体装置。
【請求項30】
(i)頭部高さによる圧力が正である場合、電子装置が、前記機構における正動作レベルを前記所望の正レベルより高く設定して、該所望の正レベルで前記患者に充填し、該機構における負動作レベルを該患者における前記所望の負レベルより高く設定して、該所望の負レベルで該患者から排出するように構成され、(ii)該頭部高さによる圧力が負の場合、該電子装置が、該機構における正動作レベルを該所望の正レベルより高く設定して、該所望の正レベルで該患者に充填し、該機構における負動作レベルを該患者における所望の負レベルより高く設定して、該所望の負レベルで患者から排出するように構成される、請求項26に記載の医療用流体装置。
【請求項31】
楊送増分ごとに流体量Vを楊送する流体ポンプで動作可能な医療用流体装置であって、該装置は、以下:
混合チャンバと;
異なる第1流体および第2流体を保持する第1流体供給源および第2流体供給源と;
第1端部が前記チャンバの入口に流体連通する流路であって、該量Vの予め決められた一部分である量Pを有する流路と;
前記流路の第2端部に配置され、第1流体および第2流体の流量を制御する第1バルブおよび第2バルブであって、該バルブは、(i)第1楊送増分において、該第1流体の量Pが該流路に楊送され、該第1流体の量V−Pが、混合チャンバに楊送され、(ii)第2楊送増分において、該第2流体の量Pが流路に楊送され、該第2流体の量V−Pが、該混合チャンバに楊送されるように交替されるバルブと、
を備える、医療用流体装置。
【請求項32】
前記混合チャンバが前記流体ポンプの楊送チャンバでもある、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項33】
前記ポンプが、ダイヤフラムポンプおよび蠕動ポンプから成る群から選択されたタイプである、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項34】
前記ポンプが、以下の特性:(i)前記チャンバおよび流路の上流に位置すること;(ii)該チャンバおよび流路の下流に位置すること;(iii)前記ポンプ増分が、駆動シャフトの回転の一部であるように動作可能であること;(iv)該ポンプ増分が、該駆動シャフトの完全に1回転であるように動作可能であること;および(v)該ポンプ増分が、該駆動シャフトの複数回転であるように動作可能であること、の少なくとも1つを有する、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項35】
前記量Pが実質的に前記量Vの1/2である、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項36】
前記チャンバにより画定される量が、実質的に前記量Vに等しい、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項37】
前記バルブが、前記第1流体および前記第2流体の混合物を1対1以外の比率で生成するように制御される、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項38】
前記第1増分が完全なポンプサイクルの第1の割合であり、前記第2増分が、該ポンプサイクルの第2の割合であり、該第1の割合および第2の割合が、前記第1流体および前記第2流体の所望の全体的比率を生成するように選択される、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項39】
医療用流体装置であって、
混合チャンバと;
異なる第1流体および第2流体を保持する第1流体供給源および第2流体供給源であって、該供給源は、該混合チャンバと流体連通している、供給源と;
流体ポンプと;
該第1流体および該第2液体の流量を制御する第1バルブおよび第2バルブであって、
該バルブおよび該ポンプが交互に、該チャンバを該第1流体で部分的に充填し、次に、該チャンバを該第2流体で部分的に充填し、同時に、該第1流体の全部ではないにしても一部を該チャンバから除去するように構成されるバルブと、
を備える、医療用流体装置。
【請求項40】
前記混合チャンバの可撓性膜部分に動作可能に結合される圧力センサを備え、該センサが、前記ポンプと患者流体接続部との間の相対頭部高さ位置による圧力を測定する、請求項39に記載の医療用流体装置。
【請求項41】
前記第1供給源および前記第2供給源が、前記混合チャンバに通じる共通入口流路に一緒に結合される、請求項39に記載の医療用流体装置。
【請求項42】
医療用流体装置であって、該医療用流体装置は、以下:
複数の流路、複数のバルブチャンバ、および複数の流体ポートを画定する剛性本体と;
本体とループ状に接続される管であって、該ループが、蠕動ポンプのローラのポンプヘッド組立体の周囲に適合するサイズであり、該組立体が、ポンプモータによって移動される部材によって係合され、能動的に接触して駆動されるように構成される管と、
不正な開封が分かるように該本体にシールおよび結合され、流路およびバルブチャンバを囲む可撓性膜であって、該シールおよび結合が、該本体がポンプおよびバルブ作動器具内に装填される時点より前に行われる、可撓性膜と、
を備える、医療用流体装置。
【請求項43】
(i)前記膜が、音波溶接および機械的スナップ嵌合から成る群から選択されたプロセスによって前記本体に結合され、(ii)該本体がアクリル樹脂であり、該膜がポリ塩化ビニルであるという群から選択される少なくとも1つの特性を備える、請求項42に記載の医療用流体装置。
【請求項44】
(i)前記流路が、前記本体から突出するシールリブによって少なくとも部分的に画定され、該リブが、前記膜に接触したときに気密シールを形成するように構成され、(ii)該リブが、前記バルブチャンバと協働して、隔離された流体領域を形成する複数の気密シールを提供するように構成され、(iii)少なくとも1つの該領域が、空気トラップを画定する、の少なくとも1つである、請求項42に記載の医療用流体装置。
【請求項45】
前記組立体が、前記ポンプモータによって移動する部材の嵌合特徴と接合する特徴を備える、請求項42に記載の医療用流体装置。
【請求項46】
医療用流体装置であって、該医療装置は、以下:
複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、
第1の該流体ポートに流体連通する供給容器と、
第2の該流体ポートに流体連通する排出ラインと、
第3の該流体ポートに流体連通する患者充填ラインと、
どのバルブチャンバが開閉しているかに基づいて、供給バッグから該患者充填ラインまたは該排出ラインに流体を楊送するように構成される蠕動ポンプと、
空気センサであって、該空気センサによって流体内の空気が検出された場合に、供給容器からの流体が、患者に楊送されるのではなく、排出管に迂回できるようにバルブチャンバに対して配置された、空気センサと、
を備える、医療用流体装置。
【請求項47】
前記空気センサが、以下(i)前記蠕動ポンプからすぐ上流または下流に配置されること、(ii)前記カセットに動作可能に結合されること、(iii)前記供給容器を該カセットに接続する前記供給ラインに動作可能に結合されること、および(iv)第1空気センサであり、患者充填ラインに動作可能に結合された第2空気センサを含むこと、からなる群から選択される少なくとも1つの特性を備える、請求項46に記載の医療用流体装置。
【請求項48】
医療用流体システムであって、該装置は、以下:
複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、
該流体ポートの1つに接続された管であって、該管は導電性部分を備え、該導電性部分が、該管内を移動する流体のpH値を示す指示値を得ることができるように構成された管と、
該指示値を入力し、該流体の該pH値が許容可能かどうかを決定するように構成されたプロセッサと、
を備える、医療用流体システム。
【請求項49】
前記導電性部分が、前記管の少なくとも1つの部分に結合された導電性取付具を備える、請求項48に記載の医療用流体システム。
【請求項50】
前記プロセッサを囲み、前記カセットが実装されるハウジングであって、該ハウジングは、前記導電性部分を収容して保持するように構成された連結器を備える、請求項48に記載の医療用流体システム。
【請求項51】
医療用流体システムであって、該装置は、以下:
複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、
該カセットに連通する蠕動ポンプと、
該流体ポートの1つに接続された患者ラインと、
該患者ラインが内部に配置されて保持される患者ラインホルダーと、
該ホルダーと協働し、(i)該患者ラインが、該ホルダー内に配置されていないこと、(ii)該患者ラインが、該ホルダー内に配置されており、流体がまだ感知レベルに達していないこと、および(iii)該患者ラインが、該ホルダー内に配置され、流体が感知レベルに達したこと、を示す信号を送信するセンサと、
該信号を入力するように構成され、該信号に基づいて少なくとも1つの決定を行うように構成されたプロセッサと、
を備える、医療用流体システム。
【請求項52】
前記患者ラインの末端に配置されたコネクタを備え、該コネクタは、人が前記管を前記ホルダー内に適切に配置するのを支援する、請求項51に記載の医療用流体システム。
【請求項53】
前記センサが、光センサ、超音波センサ、容量性センサ、または誘導センサである、請求項51に記載の医療用流体システム。
【請求項54】
請求項51に記載の医療用流体システムであって、前記ホルダーが第1ホルダーであり、該システムは、人が治療を適切に開始することを支援するように構成されたさらなるホルダーを備える、システム。
【請求項55】
透析手順を実行する方法であって、該方法は、以下:
使い捨て式カセットによって保持される管類が、ポンプのポンプ頭部に動作可能に結合されるように、該カセットを実装する工程、および
該透析手順全体において少なくとも90%の精度で、該管類に対して該ポンプ頭部を移動させることによって流体を楊送することができるように、非ケイ素材料から該管類を製造する工程、
を包含する、方法。
【請求項58】
前記透析手順を実行する工程が、センター内血液透析、家庭内血液透析、センター内腹膜透析、家庭内腹膜透析、センター内血液透析濾過、家庭内血液透析濾過、持続的外来腹膜透析、自動化腹膜透析、潮流腹膜透析、鬱血性心不全療法、または任意のこれらの組合せを実行する工程を包含する、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
(i)±0.5mの頭部高さで前記ポンプを作動させる工程、(ii)前記流体のpHを2.0より大きく9.0より小さい範囲の外に維持する工程、(iii)前記管類の以下の特性の少なくとも1つを制御することにより、容積測定精度を維持する工程のうちの少なくとも1つを包含し、該特性は、(a)該管類の厚さを均一に制御すること、(b)該管類の直径を一定に制御すること、(c)該管類の長さを一定に制御する、(d)該管類の内面を平滑に制御する、(e)該管類が著しく変形しないように、該管類の引裂抵抗および圧縮永久歪の少なくとも一方を制御すること、のうちの少なくとも1つである、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
透析手順を実施する方法であって、該方法は、以下:
所望の患者側流体圧力を選択する工程、
流体ポンプに対する患者の頭部高さ位置による該流体ポンプ側圧力を感知する工程、
該ポンプの出力圧力を制御して、該圧力について補償する工程;および
該流体を所望の流体圧力で該患者に供給するために、該流体を該出力レベルで楊送する工程、
を包含する、方法。
【請求項61】
前記ポンプの出力圧力を制御する工程が、(i)安全な正および負の動作限度内で動作させる工程、および(ii)前記ポンプと前記患者との間の少なくとも1つの流量制限による圧力低下を補償する工程、のうちの少なくとも1つを包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
(i)前記頭部高さによる圧力が正である場合に、前記出力圧力を制御する工程が、前記ポンプ側の正の動作圧を前記所望の正圧より高く設定して、該所望の正圧で前記患者に充填し、該ポンプ側の負の動作圧を該所望の負圧より高く設定して、該所望の負圧で該患者から排出する工程を包含し、(ii)該頭部高さによる圧力が負である場合に、該出力圧力を制御する工程が、該ポンプ側の正の動作圧を該所望の正圧より低く設定して、該所望の正圧で該患者に充填し、該ポンプ側の負の動作圧を該所望の負圧より低く設定して、該所望の負圧で該患者から排出する工程を包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
透析処置を実行するための方法であって、該方法は、以下:
第1流体を混合チャンバに楊送する工程、
該第1流体とは異なる第2流体を該混合チャンバ内に楊送し、該第1流体の一部を排除して、第1混合物を生成する工程、
該第1流体を該混合チャンバ内に楊送して、該第1混合物の一部を排除し、第2混合物を生成する工程であって、該第2混合物が、該第1混合物の比率とは異なる該第1流体および該第2流体の比率を有する、工程、
混合流体の全体の量を患者に供給する工程であって、該全体の量が、該患者に対する該第1流体および該第2流体の少なくとも実質的に所望の比率を有する、工程、
を包含する、方法。
【請求項64】
(i)前記混合チャンバ内の流体圧力を測定し、該測定した圧力を使用して、ポンプ圧力を決定する際に頭部高さによる圧力を補償する工程;および(ii)共通ラインを通して前記第1流体および前記第2液体を該混合チャンバに楊送する工程、から成る群から選択される少なくとも1つの追加の工程を包含する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
(i)前記混合チャンバによって画定される量に対して所望の比率で、ある量を画定するため、または(ii)制御可能な楊送増分で送達される流体のある量に対して所望の比率で、ある量を確定するための共通ラインを構造化する工程を包含する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記混合チャンバが、さらなる楊送チャンバであり、そして前記楊送増分が、該チャンバの壁の間のダイアフラムの1行程の少なくとも一部分である、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記楊送増分が、蠕動ポンプの駆動シャフトまたはローラの回転の少なくとも一部分である、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
透析液ポンプシステム内の容積測定精度を改善する方法であって、該方法は、以下:
透析液を楊送する際に、容積測定誤差を生じる要素を特定する工程、
該要素を隔離して、該要素と、楊送される透析液の量との関係を実験的に決定する工程、
該実験的に決定された関係を使用して、該要素に対する定数Kを決定する工程、
該定数Kと該要素に対する値との積によって、楊送される透析液の量を計算するための全体の方程式を修正する工程、
を包含する、方法。
【請求項69】
前記要素に対する前記値が測定または入力される、請求項68の容積測定精度改善方法。
【請求項70】
前記ポンプシステムが、(i)ダイヤフラムポンプシステムであり、該要素が、ポンプダイアフラムの位置、該ダイアフラム全体の圧力差、該ダイアフラムの材料、該ダイアフラムの応力および歪特性、ならびに任意のこれらの組合せから成る群から選択されるか、または(ii)蠕動ポンプシステムであり、該要素が、蠕動ポンプ管に対する入口圧力、該蠕動ポンプ管に対する出口圧力、該蠕動ポンプ管の材料、管類の温度、ポンプヘッドの磨耗、管類の寸法、および任意のこれらの組合せから成る群から選択される、請求項68の容積測定精度改善方法。
【請求項1】
蠕動ポンプであって、
部材であって、該部材は、管類の断面にわたって移動して管類を圧縮し、それによって該管類を通して流体を移動させる部材、
を備え、
ここで該管類が、約50〜約85の範囲のショアA硬度、および約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗を有する、蠕動ポンプ。
【請求項2】
前記管類が、高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセン−触媒超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の蠕動ポンプ。
【請求項3】
前記管類が、(i)約9.0のpHを有する流体について、少なくとも約12時間楊送した後、少なくとも約90%;(ii)約2.0のpHを有する流体について、少なくとも約12時間楊送した後、少なくとも約90%;および(iii)少なくとも約±0.5mの頭部高さから楊送される流体について、少なくとも約90%、から成る群から選択される少なくとも1つの流量精度を示す、請求項1に記載の蠕動ポンプ。
【請求項4】
前記管類が、(i)実質的に均一な直径、(ii)実質的に一定の壁厚、(iii)約40℃の温度範囲で正確であること、(iv)73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、(v)使い捨て式カセット用にシール可能であること、から成る群から選択された少なくとも1つの特性を有する、請求項1に記載の蠕動ポンプ。
【請求項5】
蠕動ポンプであって、
管類の断面にわたって移動する部材であって、該部材は、該管類が圧縮および拡張することを可能にし、それによって該管類を通って流体を移動させる、部材、
を備え、
該管類が、約2.0〜約9.0のpHを有する流体について、少なくとも90%の流量精度を示し、該流体が、少なくとも約±0.5mの頭部高さから管類を通して少なくとも12時間楊送される、蠕動ポンプ。
【請求項6】
前記管類が、高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセンベースの超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項5に記載の蠕動ポンプ。
【請求項7】
前記管類が、(i)約50〜約85の範囲のショアA硬度、(ii)約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗、(iii)約40℃の温度範囲で正確、かつ73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、および(iv)使い捨て式カセット用にシール可能であること、から成る群から選択された少なくとも1つの特性を有する、請求項5に記載の蠕動ポンプ。
【請求項8】
使い捨て式透析装置であって、
少なくとも1つの流路と、該流路と流体連通する少なくとも1つのバルブチャンバと、複数のポートとを備える使い捨て式カセットと、
該ポートと流体連通する管類であって、該管類が、蠕動ポンプで動作するループを形成し、該管類が、約50〜約85の範囲のショアA硬度、および約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗を有する管類と、
を備える、使い捨て式透析装置。
【請求項9】
少なくとも1つの前記管類および前記使い捨て式カセットが、酸化エチレン洗浄処理および放射線から成る群から選択されるプロセスによって減菌される、請求項8に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項10】
前記管類が、成形、押し出し成形、溶剤結合、摩擦嵌合、無線周波シール、ヒートシール、レーザ溶接およびこれらの任意の組合せから成る群から選択されるプロセスによって、ポートに嵌合される、請求項8に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項11】
前記管類が、高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセンベースの超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項8に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項12】
前記管類が、(i)約9.0のpHを有する流体について、少なくとも約12時間楊送した後、少なくとも約90%;(ii)約2.0のpHを有する流体について、少なくとも約4時間楊送した後、少なくとも約90%;および(iii)少なくとも約±0.5mの頭部高さから楊送される流体について、少なくとも約90%、から成る群から選択される少なくとも1つの流量精度を示す、請求項8に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項13】
前記管類が、(i)実質的に均一な直径、(ii)実質的に一定の壁厚、(iii)73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、(iv)約40℃の温度範囲において正確であること、から成る群から選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項8に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項14】
使い捨て式透析装置であって、
(i)少なくとも1つの流路と、(ii)該流路と連通する少なくとも1つのバルブチャンバと、(iii)1対のポートと、(iv)空気トラップとを備える使い捨て式カセットと、
該ポートと流体連通する管類であって、該管類が、蠕動ポンプで動作するループを形成し、該ポンプが、該カセットを出る流体を楊送するように動作可能であり、該流体からの空気が該空気トラップ内に収集される管類と、
を備える、使い捨て式透析装置。
【請求項15】
前記管類が、(i)高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセン−触媒超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの組合せから成る群から選択され、(ii)約50〜約85の範囲のショアA硬度、約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗、実質的に均一な直径、実質的に一定の壁厚、シリコーン管類によって示される粒状物質(「PM」)レベル未満のPMレベル、73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、および約40℃の温度範囲で正確であること、から選択される少なくとも1つの特性を有し、そして(iii)約2.0〜約9.0のpHを有する流体について、少なくとも約12時間で、少なくとも90%の流量精度を示し、該管類を通して楊送される流体が、少なくとも約±0.5mの頭部高さから楊送される、請求項14に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項16】
前記管類が、成形、押し出し成形、溶剤結合、摩擦嵌合、無線周波シール、ヒートシール、レーザ溶接およびこれらの任意の組合せから成る群から選択されるプロセスによって前記ポートに嵌合される、請求項14に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項17】
(i)前記空気トラップが、高さの点で、患者に通じるバルブポートの上に位置すること、(ii)各バルブポートが、前記カセットの同じ側に配置されること、および(iii)各バルブチャンバが、他の領域から互いに流体的に分離可能な領域の一部であること、からなる群から選択される少なくとも1つの特性を備える、請求項14に記載の使い捨て式透析装置。
【請求項18】
流体ポンプで動作可能な医療用流体装置であって、該装置は、以下:
使い捨て式カセットであって、該カセットは本体および可撓性膜を備え、該本体および膜が該カセット内のチャンバを囲み、該チャンバが流体入口および流体出口を有する、使い捨て式カセットと、
該チャンバを通って流れる流体の圧力変動を感知するように、膜の一部分に動作可能に結合する圧力センサと、
(i)該圧力センサから信号を受信し、該信号が、患者の頭部高さを示し、そして(ii)該信号を使用して、該ポンプを作動させる圧力を決定するように構成される電子装置と、
を備える、医療用流体装置。
【請求項19】
所望の前記圧力が、流量の最大化、および圧力限界の遵守のうち、少なくとも一方の関数である、請求項18に記載の医療用流体装置。
【請求項20】
前記電子装置が、(i)圧力信号および要素に基づいて前記動作圧力を決定するように構成され、ここで該要素は、前記ポンプと前記患者との間の少なくとも1つの流量制限に起因する、予測される圧力低下に対応していること、(ii)使い捨て式カセットに結合されるユニット内に収容されること、および(iii)さらにポンプ駆動機構を備えるユニット内に収容されること、からなる群から選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項18に記載の医療用流体装置。
【請求項21】
前記駆動機構が、機械的に作動するかまたは空気圧的に作動する、請求項20に記載の医療用流体装置。
【請求項22】
前記ポンプが蠕動ポンプであり、前記カセットが、該蠕動ポンプの駆動機構に動作可能に結合される管類を備える、請求項18に記載の医療用流体装置。
【請求項23】
前記管類が、(i)高品質シリコーン、シリコーンブレンド、エチレンプロピレンジエンモノマー(「EPDM」)、ポリウレタン(「PU」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、超高分子量のPVC(「UHMWPVC」)、スチレンブロックコポリマー、メタロセン−触媒超低密度ポリエチレン(「m−ULDPE」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料から製造され、(ii)約50〜約85の範囲のショアA硬度、約110〜約480in−lb/inの引裂抵抗、実質的に均一な直径、実質的に一定の壁厚、シリコーン管類によって示される粒状物質(「PM」)レベル未満のPMレベル、および73℃において22時間で、約20%〜約85%の範囲の圧縮永久歪、から成る群から選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項22に記載の医療用流体装置。
【請求項24】
(i)前記頭部高さによる圧力が正である場合、前記電子装置は、前記ポンプ側の正の動作圧を前記患者側の所望の正圧より高く設定して、該所望の正圧で該患者に充填し、該ポンプ側の負の動作圧を該患者側の負の動作圧より低く設定して、該所望の負圧で該患者から排出するように構成され、(ii)該頭部高さによる圧力が負である場合、該電子装置は、該ポンプ側の正の動作圧を該患者側の正の動作圧より低く設定して該患者に充填し、該ポンプ側の負の動作圧を患者側の所望の負圧より低く設定して、該所望の負圧で患者から排出するように構成される、請求項18に記載の医療用流体装置。
【請求項25】
前記チャンバが前記ポンプの楊送チャンバである、請求項18に記載の医療用流体装置。
【請求項26】
医療用流体装置であって、
ポンプ駆動機構と;
圧力センサと;
電子装置であって、該電子装置は、(i)患者の頭部高さを示す該圧力センサから信号を受信し、(ii)該信号を使用して、該駆動機構を作動させる動作レベルを決定するように構成される、電子装置と、
を備える、医療用流体装置。
【請求項27】
前記動作レベルが、流量最大化および圧力限界の遵守のうちの少なくとも一方の関数である、請求項26に記載の医療用流体装置。
【請求項28】
前記電子装置が、前記圧力信号および要素に基づいて前記動作圧力を決定するように構成され、該要素は、前記ポンプと前記患者との間の少なくとも1つの流量制限によって、予測される圧力低下に対応する、請求項26に記載の医療用流体装置。
【請求項29】
前記ポンプが蠕動ポンプであり、前記駆動機構が、流体を運搬する管に対して回転する頭部を備え、前記動作レベルが、前記頭部が管に対して回転するレベルである、請求項26に記載の医療用流体装置。
【請求項30】
(i)頭部高さによる圧力が正である場合、電子装置が、前記機構における正動作レベルを前記所望の正レベルより高く設定して、該所望の正レベルで前記患者に充填し、該機構における負動作レベルを該患者における前記所望の負レベルより高く設定して、該所望の負レベルで該患者から排出するように構成され、(ii)該頭部高さによる圧力が負の場合、該電子装置が、該機構における正動作レベルを該所望の正レベルより高く設定して、該所望の正レベルで該患者に充填し、該機構における負動作レベルを該患者における所望の負レベルより高く設定して、該所望の負レベルで患者から排出するように構成される、請求項26に記載の医療用流体装置。
【請求項31】
楊送増分ごとに流体量Vを楊送する流体ポンプで動作可能な医療用流体装置であって、該装置は、以下:
混合チャンバと;
異なる第1流体および第2流体を保持する第1流体供給源および第2流体供給源と;
第1端部が前記チャンバの入口に流体連通する流路であって、該量Vの予め決められた一部分である量Pを有する流路と;
前記流路の第2端部に配置され、第1流体および第2流体の流量を制御する第1バルブおよび第2バルブであって、該バルブは、(i)第1楊送増分において、該第1流体の量Pが該流路に楊送され、該第1流体の量V−Pが、混合チャンバに楊送され、(ii)第2楊送増分において、該第2流体の量Pが流路に楊送され、該第2流体の量V−Pが、該混合チャンバに楊送されるように交替されるバルブと、
を備える、医療用流体装置。
【請求項32】
前記混合チャンバが前記流体ポンプの楊送チャンバでもある、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項33】
前記ポンプが、ダイヤフラムポンプおよび蠕動ポンプから成る群から選択されたタイプである、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項34】
前記ポンプが、以下の特性:(i)前記チャンバおよび流路の上流に位置すること;(ii)該チャンバおよび流路の下流に位置すること;(iii)前記ポンプ増分が、駆動シャフトの回転の一部であるように動作可能であること;(iv)該ポンプ増分が、該駆動シャフトの完全に1回転であるように動作可能であること;および(v)該ポンプ増分が、該駆動シャフトの複数回転であるように動作可能であること、の少なくとも1つを有する、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項35】
前記量Pが実質的に前記量Vの1/2である、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項36】
前記チャンバにより画定される量が、実質的に前記量Vに等しい、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項37】
前記バルブが、前記第1流体および前記第2流体の混合物を1対1以外の比率で生成するように制御される、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項38】
前記第1増分が完全なポンプサイクルの第1の割合であり、前記第2増分が、該ポンプサイクルの第2の割合であり、該第1の割合および第2の割合が、前記第1流体および前記第2流体の所望の全体的比率を生成するように選択される、請求項31に記載の医療用流体装置。
【請求項39】
医療用流体装置であって、
混合チャンバと;
異なる第1流体および第2流体を保持する第1流体供給源および第2流体供給源であって、該供給源は、該混合チャンバと流体連通している、供給源と;
流体ポンプと;
該第1流体および該第2液体の流量を制御する第1バルブおよび第2バルブであって、
該バルブおよび該ポンプが交互に、該チャンバを該第1流体で部分的に充填し、次に、該チャンバを該第2流体で部分的に充填し、同時に、該第1流体の全部ではないにしても一部を該チャンバから除去するように構成されるバルブと、
を備える、医療用流体装置。
【請求項40】
前記混合チャンバの可撓性膜部分に動作可能に結合される圧力センサを備え、該センサが、前記ポンプと患者流体接続部との間の相対頭部高さ位置による圧力を測定する、請求項39に記載の医療用流体装置。
【請求項41】
前記第1供給源および前記第2供給源が、前記混合チャンバに通じる共通入口流路に一緒に結合される、請求項39に記載の医療用流体装置。
【請求項42】
医療用流体装置であって、該医療用流体装置は、以下:
複数の流路、複数のバルブチャンバ、および複数の流体ポートを画定する剛性本体と;
本体とループ状に接続される管であって、該ループが、蠕動ポンプのローラのポンプヘッド組立体の周囲に適合するサイズであり、該組立体が、ポンプモータによって移動される部材によって係合され、能動的に接触して駆動されるように構成される管と、
不正な開封が分かるように該本体にシールおよび結合され、流路およびバルブチャンバを囲む可撓性膜であって、該シールおよび結合が、該本体がポンプおよびバルブ作動器具内に装填される時点より前に行われる、可撓性膜と、
を備える、医療用流体装置。
【請求項43】
(i)前記膜が、音波溶接および機械的スナップ嵌合から成る群から選択されたプロセスによって前記本体に結合され、(ii)該本体がアクリル樹脂であり、該膜がポリ塩化ビニルであるという群から選択される少なくとも1つの特性を備える、請求項42に記載の医療用流体装置。
【請求項44】
(i)前記流路が、前記本体から突出するシールリブによって少なくとも部分的に画定され、該リブが、前記膜に接触したときに気密シールを形成するように構成され、(ii)該リブが、前記バルブチャンバと協働して、隔離された流体領域を形成する複数の気密シールを提供するように構成され、(iii)少なくとも1つの該領域が、空気トラップを画定する、の少なくとも1つである、請求項42に記載の医療用流体装置。
【請求項45】
前記組立体が、前記ポンプモータによって移動する部材の嵌合特徴と接合する特徴を備える、請求項42に記載の医療用流体装置。
【請求項46】
医療用流体装置であって、該医療装置は、以下:
複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、
第1の該流体ポートに流体連通する供給容器と、
第2の該流体ポートに流体連通する排出ラインと、
第3の該流体ポートに流体連通する患者充填ラインと、
どのバルブチャンバが開閉しているかに基づいて、供給バッグから該患者充填ラインまたは該排出ラインに流体を楊送するように構成される蠕動ポンプと、
空気センサであって、該空気センサによって流体内の空気が検出された場合に、供給容器からの流体が、患者に楊送されるのではなく、排出管に迂回できるようにバルブチャンバに対して配置された、空気センサと、
を備える、医療用流体装置。
【請求項47】
前記空気センサが、以下(i)前記蠕動ポンプからすぐ上流または下流に配置されること、(ii)前記カセットに動作可能に結合されること、(iii)前記供給容器を該カセットに接続する前記供給ラインに動作可能に結合されること、および(iv)第1空気センサであり、患者充填ラインに動作可能に結合された第2空気センサを含むこと、からなる群から選択される少なくとも1つの特性を備える、請求項46に記載の医療用流体装置。
【請求項48】
医療用流体システムであって、該装置は、以下:
複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、
該流体ポートの1つに接続された管であって、該管は導電性部分を備え、該導電性部分が、該管内を移動する流体のpH値を示す指示値を得ることができるように構成された管と、
該指示値を入力し、該流体の該pH値が許容可能かどうかを決定するように構成されたプロセッサと、
を備える、医療用流体システム。
【請求項49】
前記導電性部分が、前記管の少なくとも1つの部分に結合された導電性取付具を備える、請求項48に記載の医療用流体システム。
【請求項50】
前記プロセッサを囲み、前記カセットが実装されるハウジングであって、該ハウジングは、前記導電性部分を収容して保持するように構成された連結器を備える、請求項48に記載の医療用流体システム。
【請求項51】
医療用流体システムであって、該装置は、以下:
複数の流路と、複数のバルブチャンバと、複数の流体ポートとを画定する使い捨て式カセットと、
該カセットに連通する蠕動ポンプと、
該流体ポートの1つに接続された患者ラインと、
該患者ラインが内部に配置されて保持される患者ラインホルダーと、
該ホルダーと協働し、(i)該患者ラインが、該ホルダー内に配置されていないこと、(ii)該患者ラインが、該ホルダー内に配置されており、流体がまだ感知レベルに達していないこと、および(iii)該患者ラインが、該ホルダー内に配置され、流体が感知レベルに達したこと、を示す信号を送信するセンサと、
該信号を入力するように構成され、該信号に基づいて少なくとも1つの決定を行うように構成されたプロセッサと、
を備える、医療用流体システム。
【請求項52】
前記患者ラインの末端に配置されたコネクタを備え、該コネクタは、人が前記管を前記ホルダー内に適切に配置するのを支援する、請求項51に記載の医療用流体システム。
【請求項53】
前記センサが、光センサ、超音波センサ、容量性センサ、または誘導センサである、請求項51に記載の医療用流体システム。
【請求項54】
請求項51に記載の医療用流体システムであって、前記ホルダーが第1ホルダーであり、該システムは、人が治療を適切に開始することを支援するように構成されたさらなるホルダーを備える、システム。
【請求項55】
透析手順を実行する方法であって、該方法は、以下:
使い捨て式カセットによって保持される管類が、ポンプのポンプ頭部に動作可能に結合されるように、該カセットを実装する工程、および
該透析手順全体において少なくとも90%の精度で、該管類に対して該ポンプ頭部を移動させることによって流体を楊送することができるように、非ケイ素材料から該管類を製造する工程、
を包含する、方法。
【請求項58】
前記透析手順を実行する工程が、センター内血液透析、家庭内血液透析、センター内腹膜透析、家庭内腹膜透析、センター内血液透析濾過、家庭内血液透析濾過、持続的外来腹膜透析、自動化腹膜透析、潮流腹膜透析、鬱血性心不全療法、または任意のこれらの組合せを実行する工程を包含する、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
(i)±0.5mの頭部高さで前記ポンプを作動させる工程、(ii)前記流体のpHを2.0より大きく9.0より小さい範囲の外に維持する工程、(iii)前記管類の以下の特性の少なくとも1つを制御することにより、容積測定精度を維持する工程のうちの少なくとも1つを包含し、該特性は、(a)該管類の厚さを均一に制御すること、(b)該管類の直径を一定に制御すること、(c)該管類の長さを一定に制御する、(d)該管類の内面を平滑に制御する、(e)該管類が著しく変形しないように、該管類の引裂抵抗および圧縮永久歪の少なくとも一方を制御すること、のうちの少なくとも1つである、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
透析手順を実施する方法であって、該方法は、以下:
所望の患者側流体圧力を選択する工程、
流体ポンプに対する患者の頭部高さ位置による該流体ポンプ側圧力を感知する工程、
該ポンプの出力圧力を制御して、該圧力について補償する工程;および
該流体を所望の流体圧力で該患者に供給するために、該流体を該出力レベルで楊送する工程、
を包含する、方法。
【請求項61】
前記ポンプの出力圧力を制御する工程が、(i)安全な正および負の動作限度内で動作させる工程、および(ii)前記ポンプと前記患者との間の少なくとも1つの流量制限による圧力低下を補償する工程、のうちの少なくとも1つを包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
(i)前記頭部高さによる圧力が正である場合に、前記出力圧力を制御する工程が、前記ポンプ側の正の動作圧を前記所望の正圧より高く設定して、該所望の正圧で前記患者に充填し、該ポンプ側の負の動作圧を該所望の負圧より高く設定して、該所望の負圧で該患者から排出する工程を包含し、(ii)該頭部高さによる圧力が負である場合に、該出力圧力を制御する工程が、該ポンプ側の正の動作圧を該所望の正圧より低く設定して、該所望の正圧で該患者に充填し、該ポンプ側の負の動作圧を該所望の負圧より低く設定して、該所望の負圧で該患者から排出する工程を包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
透析処置を実行するための方法であって、該方法は、以下:
第1流体を混合チャンバに楊送する工程、
該第1流体とは異なる第2流体を該混合チャンバ内に楊送し、該第1流体の一部を排除して、第1混合物を生成する工程、
該第1流体を該混合チャンバ内に楊送して、該第1混合物の一部を排除し、第2混合物を生成する工程であって、該第2混合物が、該第1混合物の比率とは異なる該第1流体および該第2流体の比率を有する、工程、
混合流体の全体の量を患者に供給する工程であって、該全体の量が、該患者に対する該第1流体および該第2流体の少なくとも実質的に所望の比率を有する、工程、
を包含する、方法。
【請求項64】
(i)前記混合チャンバ内の流体圧力を測定し、該測定した圧力を使用して、ポンプ圧力を決定する際に頭部高さによる圧力を補償する工程;および(ii)共通ラインを通して前記第1流体および前記第2液体を該混合チャンバに楊送する工程、から成る群から選択される少なくとも1つの追加の工程を包含する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
(i)前記混合チャンバによって画定される量に対して所望の比率で、ある量を画定するため、または(ii)制御可能な楊送増分で送達される流体のある量に対して所望の比率で、ある量を確定するための共通ラインを構造化する工程を包含する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記混合チャンバが、さらなる楊送チャンバであり、そして前記楊送増分が、該チャンバの壁の間のダイアフラムの1行程の少なくとも一部分である、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記楊送増分が、蠕動ポンプの駆動シャフトまたはローラの回転の少なくとも一部分である、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
透析液ポンプシステム内の容積測定精度を改善する方法であって、該方法は、以下:
透析液を楊送する際に、容積測定誤差を生じる要素を特定する工程、
該要素を隔離して、該要素と、楊送される透析液の量との関係を実験的に決定する工程、
該実験的に決定された関係を使用して、該要素に対する定数Kを決定する工程、
該定数Kと該要素に対する値との積によって、楊送される透析液の量を計算するための全体の方程式を修正する工程、
を包含する、方法。
【請求項69】
前記要素に対する前記値が測定または入力される、請求項68の容積測定精度改善方法。
【請求項70】
前記ポンプシステムが、(i)ダイヤフラムポンプシステムであり、該要素が、ポンプダイアフラムの位置、該ダイアフラム全体の圧力差、該ダイアフラムの材料、該ダイアフラムの応力および歪特性、ならびに任意のこれらの組合せから成る群から選択されるか、または(ii)蠕動ポンプシステムであり、該要素が、蠕動ポンプ管に対する入口圧力、該蠕動ポンプ管に対する出口圧力、該蠕動ポンプ管の材料、管類の温度、ポンプヘッドの磨耗、管類の寸法、および任意のこれらの組合せから成る群から選択される、請求項68の容積測定精度改善方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2007−529282(P2007−529282A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504146(P2007−504146)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/009098
【国際公開番号】WO2005/089832
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(504031746)バクスター インターナショナル インコーポレイテッド (30)
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/009098
【国際公開番号】WO2005/089832
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(504031746)バクスター インターナショナル インコーポレイテッド (30)
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
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