説明

カゼインキナーゼIεの阻害剤としての3−アリールチオインドール−2−カルボキサミド誘導体及びその類似体

本発明は、例えば大うつ病性障害、双極I型障害及び双極II型障害を含む気分障害、並びに例えば交代勤務睡眠障害、時差症候群、睡眠相前進症候群及び睡眠相後退症候群のような概日リズム睡眠障害を含む睡眠障害といったカゼインキナーゼIε活性の阻害によって改善されるヒト概日時計の障害と関連する中枢神経系の疾患又は障害にかかっている患者を、3-アリールチオインドール-2-カルボキサミド、5-置換-3-アリールチオインドール-2-カルボィサミド及び関連する類似物で治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト時計タンパク質Period(hPER)のヒトカゼインキナーゼIεリン酸化の阻害剤としての3-アリールチオインドール-2-カルボキサミド、5-置換された-3-アリールチオインドール-2-カルボキサミド及び関連した類似物の使用方法に関するものであって、そのため、特に中枢神経系に関連する疾患及び障害の治療及び/又は予防における医薬品として有用である。
【背景技術】
【0002】
行動における周期的な変化は単細胞からヒトに至るまで多くの生物によって示されている。温度に若干左右されるが、リズムが一定の条件下で持続して約一日の周期を有する場合、そのリズムを「概日性」と称する(Konopka, R.J. and Benzer, S. (1971) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 68, 2112-2116)。
【0003】
概日リズムは、内在性の生物学的ペースメーカー(概日時計)によって生じ、ヒト、真菌、昆虫及び細菌を含むほとんどの生体系に存在する(Dunlap, J.C. (1999) Cell 96, 271-290;Hastings, J.W. et al. Circadian Rhythms, The Physiology of Biological Timing. In:Prosser, C.L. ed. Neural and Integrative Animal Physiology, New York:Wiley-Liss (1991) 435-546;Allada, R. et al. (1998) Cell 93, 791-804;Kondo et al. (1994) Science 266, 1233-1236;Crosthwaite, S.K. et al. (1997) Science 276, 763-769;Shearman, L.P. et al. (1997) Neuron, 19, 1261-1269)。概日リズムは、真っ暗闇な条件下でも自動継続し、恒常性があるが、光及び温度サイクルのような環境シグナルによって新しい昼/夜の状況に同調する(synchronize)(同調する(entraine))ことができる(Pittendrigh, C.S. (1993) Annu. Rev. Physiol., 55, 16-54;Takahashi, J.S. (1995) Annu. Rev. Neurosci. 18, 531-553;Albrecht, U. et al. (1997) Cell, 91, 1055-1064)。概日時計は、生物リズムの維持に必須であり、そして行動における毎日の変動、食物摂取及び睡眠/覚醒周期のような種々の概日行動と同様にホルモン分泌及び体温変動のような生理学的変化を調節している(Hastings, M. (1997) Trends Neurosci. 20, 459-464;Reppert, S.M. and Weaver, D.R. (1997) Cell 89, 487-490)。
【0004】
ショウジョウバエ(fruit fly)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)における遺伝的及び分子的研究は、概日リズムに含まれるいくつかの遺伝子を解明した。これらの研究により、厳密に自己調節された、転写/翻訳に基づく負のフィードバックループからなる経路が認識されるようになった(Dunlap, J.C. (1999) Cell, 96, 271-290;Dunlap, J.C. (1996) Annu. Rev. Genet. 30, 579-601;Hall, J.C. (1996) Neuron, 17, 799-802)。ショウジョウバエ(Drosophila)における概日振動体 (circadian oscillator)の中心となる要素は、2種の刺激タンパク質dCLOCK/dBMAL(CYCLE)及び2種の抑制タンパク質dPERIOD(dPER)及びdTIMELESS(dTIM)からなる。dCLOCK及びdBMALはヘテロ二量体化してDrosophila Period(dper)及びDrosophila Timeless(dtim)と称する2種の遺伝子の発現を促進する転写因子dCLOCK/dBMALを形成する。最終的に、これらの遺伝子からmRNAを転写してそれぞれタンパク質dPER及びdTIMを得る。数時間の間にタンパク質産物dPER及びdTIMが合成され、細胞質中でリン酸化され、臨界レベルに到達し、そしてヘテロ二量体を形成して、これが核中に転位する。核中でdPER及びdTIMがそれ自体の転写における負の調節因子として機能すると、dPER及びdTIMの蓄積が減少し、そしてdCLOCK/dBMALによるdper及びdtimの活性化が再び開始される(Zylka, M.J. et al. (1998) Neuron 20, 1103-1110;Lowrey, P.L. et al. (2000) 288, 483-491)。dper遺伝子は、羽化(さなぎからハエ成虫の発生)行動及び運動活性における概日リズムの制御に必要な要素であることがわかった(Konopka, R.J., & Benzer, S. (1971) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 68, 2112-2116)。per遺伝子のミスセンス変異は概日リズムの周期を短縮(perS)又は延長(perL)することができるが、ナンセンス変異(perO)は行動における非周期性(arrhythmicity)を生じる(Hall, J.C. (1995) Trends Neurosci. 18, 230-240)。
【0005】
哺乳動物において、視床下部前部の視交差上核(SCN)は、体内時計を支配する部位である(総説については、Panda et al, (2002) Nature 417, 329 - 335;Reppert, S.M. and Weaver, D.R. (1997) Cell, 89, 487-490参照)。SCN時計は、網膜からSCNへの直接的及び間接的な両経路を通して光が作用する毎日の明暗サイクルによって1日24時間に同調されている(Klein, D.C. et al. (1991) Suprachiasmatic Nuclei:The Mind's Clock, Oxford Univeristy Press, New York)。齧歯類のSCNでは3種のPer遺伝子が同定され、クローニングされており、マウスPer1(mPer1)、mPer2及びmPer3と命名されている。これらの哺乳動物の遺伝子のタンパク質産物(mPER1、mPER2、mPER3)は、互いにいくつかの相同領域を共有しており、それぞれの哺乳動物のPer遺伝子は、PAS(PASは、この機能的に重要な二量化ドメインを共有することがわかった最初の3種のタンパク質PER、ARNT及びSIMの頭字語である)として表わされるタンパク質二量化ドメインを有するタンパク質をコードしており、これは昆虫PERのPASドメインと高度に相同性である。全てのPerメッセンジャーRNA(mRNA)及タンパク質レベルは、概日(circadian day)中に変動し、そして深く体内時計の正及び負の両方の調節に関与するが、しかし、mPER1及びmPER2のみは、光に対する反応で変動する(Zylka, M.J. et al. (1998) Neuron 20, 1103-1110.;Albrecht, U. et al., (1997) Cell 91, 1055-1064;Shearman, L.P. et al. (1997) Neuron 19, 1261-1269)。Drosophila tim遺伝子の哺乳動物相同物をクローニングしてmTimとして表わす。しかしながら、mPER-mTIM相互作用がショウジョウバエで観察されたものと類似しているという証拠はなく、そしてPER-PER相互作用は、哺乳動物の概日時計分子機構におけるPER-TIM二量体の機能と置き換えできることが示唆されている(Zylka, M.J. et al., (1998) Neuron 21, 1115-1122)。別の可能性は、PER1及びPER2のリズムは、Clockタンパク質の転写活性を調節(そのPASドメインを経て)する負のフィードバックループを形成し、さらにPer遺伝子のいずれか又は両方を発現に追いやる(Shearman, L.P. et al. (1997) Neuron 19, 1261-1269)。
【0006】
哺乳動物の時計の働きにおける3種のmPer遺伝子の役割を理解することは、多くの研究の主題であった。mPERタンパク質はdPERに対して構造的に相同性であるため、mPERタンパク質が哺乳動物のフィードバックループにおける負の要素として機能することが期待される。PER1はフィードバックループにおけるそれ自体の転写において負の調節に関与すると考えられるが、しかし、最近の所見によれば、それが入力経路に関与するということが指摘されている(Hastings, M.H. et al. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 26, 15211-15216)。PER2は最もよく特徴のわかっているタンパク質であり、PAS二量化ドメインのカルボキシル部分で87残基が欠如しているmPER2突然変異マウス(mPer2Brdm1)は、正常な明暗設定で短縮された概日周期を有するが、完全な暗闇では非周期性を示す。また突然変異は、SCNにおけるmPer1及びmPer2の両方の発現の変動を減少させ、mPer2が生体内でmPer1を調節できることを示している(Zheng, B. et al. (1999) Nature 400, 169-173)。PER2は、中枢時計の「ギア」の調節において二元機能を有することがわかっている(Shearman, L.P. et al. (2000) Science 288, 1013-1018)。その研究では、PER2はクリプトクローム(CRY)タンパク質に結合して核に転位し、ここでCLOCK及びBMAL1の正の転写複合体によってCRYは負に転写調節される。核が参入すると、PER2は、まだ未確認の機構によりBMAL1転写を正に調節することによって時計のアームを正に作動開始する(initiated the positive arm of the clock)。PER3の機能は、十分に理解されてない。しかしながら、mPer3ノックアウトマウスでは、概日活性における微妙な影響が観察されており、そのためPER3は概日制御された出力経路に関与することが示唆されている(Shearman, L.P. et al. (2000) Mol. Cell. Biol. 17, 6269-6275)。mPERタンパク質は互いに相互作用し、mPER3はmPER1及びmPER2の担体として役立ち、SCN中の概日シグナルの生成に重要な核中にそれらを運ぶことができると報告されている(Kume, K. et al. (1999) Cell 98, 193-205;Takano, A. et al. (2000), FEBS Letters, 477, 106-112)。
【0007】
概日時計成分のリン酸化は、周期の持続期間を調節すると推定されている。特定のプロテインキナーゼがショウジョウバエの概日リズムを調節するという第1の遺伝的根拠は、タンパク質セリン/トレオニンキナーゼ(DBT)をコードする新規な遺伝子ダブルタイム(dbt)の発見であった(Price J.L. et al. (1998) Cell 94, 83-95;Kloss B. et al. (1998) Cell 94, 97-107)。dbt中のミスセンス変異は、概日リズムを変える結果となった。dbtのヌル対立遺伝子は、dPERの低リン酸化及び非周期性を生じた。
【0008】
DBTと最も密接に関連がある哺乳動物キナーゼは、カゼインキナーゼIε(CKIε)及びカゼインキナーゼIδ(CKIδ)である。両キナーゼはmPER1に結合することがわかっており、いくつかの研究は、CKIεがマウス及びヒトPER1の両方をリン酸化することを示している(Price J.L. et al. (1998) Cell 94, 83-95;Kloss B. et al. (1998) Cell 94, 97-107)。野生型hCKIεで共トランスフェクションされたヒト胎生腎293T細胞を用いた研究では、hPER1はリン酸化における有意な増加を示した(分子質量におけるシフトによって明示された)。この研究では、リン酸化されたhPER1は、約12時間の半減期を有したが、非リン酸化hPER1は、24時間を超えても細胞中で安定なままであり、hPER1のリン酸化によりタンパク質安定性が減少することが示唆されている(Kessler, G.A. et al. (2000) NeuroReport, 11, 951-955)。また、別の研究において、hCKIεによるPER1リン酸化の結果には、細胞質保留及びタンパク質不安定性の両方が含まれる(Vielhaber, E. et al. (2000) Mol. Cell. Biol. 13, 4888-4899;Takano, A. et al. (2000) FEBS Letters 477, 106-112)。
【0009】
ローリー(Lowery)等[(2000) Science 288, 483-491]がシリアンゴールデンハムスターにおいてCKIεの半優性突然変異(tau mutation, Ralph, M.R. and Menaker, M. (1988) Science 241, 1225-1227)により、異種接合(22時間)及び同種接合動物(20時間)の両方で短縮された概日を報告するまで、哺乳動物における潜在的な調節因子としてCKIε又はCKIδのどちらかを選択する生化学的理由がなかった。この場合、CKIε活性のレベルが減少することによりPERリン酸化が少なくなり、おそらく細胞質のPERタンパク質がより高レベルになることで核の参入が増加して概日周期が変化する。最近では、哺乳動物の時計タンパク質hPER1及びhPER2の翻訳後修飾によってCKIδが概日リズムの調節に関与できることが示唆されている[Camacho, F. et al., (2001) FEBS Letters 489(2,3), 159-165]。従って、哺乳動物又はヒトのCKIε及び/又はCKIδの小分子阻害剤を含む阻害剤は、シフトを調整する又は概日時計をリセットする新規な手段を提供する。以下に議論するように、概日リズムを変えることは、睡眠又は気分障害の治療に有用性を見いだすことができる。
【0010】
米国特許第6,555,328 B1号は、ヒトカゼインキナーゼ1ε及び/又はヒトカゼインキナーゼ1δがヒト時計タンパク質hPER1、hPER2及びhPER3をリン酸化する能力を変える試験化合物に基づく、細胞における概日リズムを変える化合物を同定するためのスクリーニング法を開示している。例えば、HEK293T細胞を、hCKIε及びPer1又はPer2と共に共トランスフェクションする。CKIε阻害及びCKIε阻害剤と概日生物学との関連性を評価するために、概日リズムを常用のやり方でモニターすることができる高処理の細胞アッセイ(33rd Annual Meeting, Soc. for Neurosci., November 8-12, 2003, Abstract numbers 284.1, 284.2, and 284.3)が開発された。アッセイは、Mper1-luc構築物を安定に発現するRat-1線維芽細胞からなり、従って、数日にわたって光出力をモニタリングしてルシフェラーゼ活性を繰り返し評価することによって、生細胞におけるMper1プロモーターの周期的活性化の測定が可能となる。アッセイの繰り返し測定のフォーマットは、概日リズムにおけるCKIε阻害剤の濃度依存的な効果の正確な及び再現可能な評価ができ、そしてCKIε阻害が概日周期の変化に関与する関連性が得られる。
【0011】
睡眠障害は4つの大きなカテゴリーに分類されており、それには原発性睡眠障害(睡眠不全及び錯眠)、医学/精神医学的な障害に関連する睡眠障害及び不十分なデータのため分類することができない睡眠障害について提案された睡眠障害のカテゴリーがある。原発性睡眠障害は、睡眠-覚醒の生成(恒常系)又はタイミング(概日系)を司る内在系の異常から生じると考えられる。睡眠不全は、睡眠の開始又は維持における障害であり、そして原発性不眠症、睡眠過剰(過剰の眠気)、ナルコレプシー、呼吸関連睡眠障害、概日リズム睡眠障害、及び他の特定されない睡眠不全が含まれる。原発性不眠症は、睡眠の開始及び維持における困難又は元気が回復しない睡眠が持続(>1ヵ月)することを特徴とする。原発性不眠症に伴い睡眠が困難になると、昼間のいらいら感、注意力及び集中力の喪失、疲労及び倦怠感、並びに気分及び動機付けの低下を含む有意な苦痛又は障害に至る。概日リズム睡眠障害には、時差症候群、交代勤務睡眠障害、睡眠相前進症候群及び睡眠相後退症候群(J. Wagner, M.L. Wagner and W.A. Hening, Annals of Pharmacotherapy (1998) 32, 680-691)が含まれる。強制的に睡眠する範例(a forced sleep paradigm)の人は、一定周期の概日における睡眠時間のパーセンテージとしてより強度の覚醒状態を示す(Dijk and Lockley, J. Appl. Physiol. (2002) 92, 852-862)。年齢と共に睡眠の概日リズムが前進し、多くの場合、質の低い睡眠になることが一般に認められている(Am J Physiol Endocrinol Metab. (2002) 282, E297-E303)。従って、概日位相をはずれて生じる睡眠は、質的及び量的な部分で被害を受けることがあり、これは交代勤務及び時差を伴う睡眠における変化によってさらに説明される。ヒト概日時計の障害から睡眠障害が生じることがあり、そのためCKIε及び/又はCKIδの阻害剤のような概日リズムを調節する薬剤は、睡眠障害、特に概日リズム睡眠障害の治療に有用であるといえる。
【0012】
気分障害は、うつ病性障害(「単極性うつ病)、双極性障害、並びに一般内科的症状による気分障害及び物質誘発性気分障害を含む病因に基づく2つの障害に分類される。うつ病性障害は、大うつ病性障害、気分変調性障害及び他の特定されないうつ病性障害に下位分類される。双極性障害は、双極I型障害及び双極II型障害に下位分類される。「季節パターン」の指示子は、反復性である大うつ病性障害並びに双極I型障害及び双極II型障害における大うつ病エピソードのパターンに適用することができることが観察された。顕著なアネルギー、睡眠過剰、過食、体重増加、及び炭水化物渇望は、多くの場合、季節パターンで生じる大うつ病エピソードを特徴としている。季節パターンは、反復性である大うつ病性障害において又は双極性障害においてより生じやすいかどうかは不明である。しかしながら、双極性障害では、季節パターンは、双極I型障害よりも双極II型障害で生じやすいと考えられる。また、人により、躁病又は軽躁病エピソードの発症が特定の季節と関連していることがある。冬型の季節パターンは、寛容度、年齢及び性別により変化するようである。有病率は、寛容度が高まるにつれ増加し、より若い人では冬のうつ病エピソードの危険性がより高く、そして女性では季節パターンを有する人が60%〜90%を占める。文献に一般に用いられる用語、季節性感情障害(SAD)は、精神障害の診断と統計の手引きIV(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders IV)(DSM-IV)の気分障害のサブタイプ(American Psychiatric Association:"Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders", Fourth Edition, Text Revision. Washington, DC, American Psychiatric Association, 2000)であり、双極I型障害、双極II型障害又は反復性大うつ病性障害における大うつ病エピソードの季節パターンを記載する場合、用語「季節パターンを有する」によって表される(E. M. Tam et al., Can. J. Psychiatry (1995) 40, 457-466)。うつ病性障害、大うつ病性障害、大うつ病エピソード、双極I型障害、双極II型障害及び季節性の影響の特徴及び診断は、DSM-IVに記載されている。
【0013】
冬に典型的な反復性のうつ病エピソードを特徴とするSADを含む大うつ病性障害にかかっている患者は、光線療法に対して陽性に反応することがわかった(Kripke, Journal of Affective Disorders (1998) 49(2), 109-117)。SAD及び大うつ病患者に対する高照度光照射療法の成功により、光線の治療効果の根底にある作用機構を説明するいくつかの仮説が提案された。これらの仮説には、高照度の光線の抗うつ効果が、睡眠に関連する概日ペースメーカーの位相シフトに関与することができることを示唆する「概日リズム仮説」が含まれる(E. M. Tam et al., Can. J. Psychiatry (1995) 40, 457-466)。光線療法と概日リズムの関連を支持するものとして、大うつ病性障害における臨床上有効な光線療法により、概日位相における随伴性のシフトを生じ、光線療法の臨床的な有効性は、光線療法の位相シフト能力に左右されると考えられる(Czeisler et al., The Journal of Physiology (2000) 526 (Part 3), 683-694;Terman et al., Arch. Gen. Psychiatry (2001) 58, 69-75).さらに、光線療法は、大うつ病性障害の薬理学的治療の有効性を促進し、増大させることがわかっている(Benedetti et al., J. Clin. Psychiatry (2003) 64, 648-653)。従って、カゼインキナーゼIε及び/又はカゼインキナーゼIδの阻害は、概日位相変化を生じることが期待され、このような阻害は、気分障害についての臨床上有効な単一又は併用療法の可能性を示している。
【0014】
睡眠障害は、多くの精神障害について基準となる症状であることに留意する必要がある(W.V. McCall, J. Clin. Psychiatry (2001) 62 (suppl 10), 27-32)。睡眠障害は、うつ病性障害の一般的な特徴であり、不眠症はうつ病でしばしば報告される睡眠障害であり、90%の抑うつ患者で生じる(M.E. Thase, J. Clin. Psychiatry (1999) 60 (suppl 17), 28-31)。これまでの所見は、原発性不眠症及び大うつ病性障害についての一般的な病因を支持している。コルチコトロピン放出因子(CRF)活動亢進(遺伝的素因又はおそらく初期のストレスによる)及びストレスは、悪化した及び遅延性の睡眠障害、そして最終的には原発性不眠症に至る過程を誘発すると仮定されている。非ストレス条件下のCRF分泌における概日リズムは、正常な睡眠-覚醒の発現において役割を果たしているといえる(G.S. Richardson and T. Roth, J. Clin Psychiatry (2001) 62 (suppl 10), 39-45)。従って、例えばカゼインキナーゼIε及び/又はカゼインキナーゼIδの阻害によって概日リズムを調節する薬剤は、CRF分泌に対する効果によりうつ病性障害の治療に有用であることができる。
【0015】
先に引用した全ての文献は、それらの全体として参照により本明細書に組み込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の目的は、特に中枢神経系に関連する疾患及び障害の治療及び/又は予防における医薬品として有用である、ヒト時計タンパク質Period(hPER)のヒトカゼインキナーゼIεリン酸化の阻害剤として3-アリールチオインドール-2-カルボキサミド、5-置換された-3-アリールチオインドール-2-カルボキサミド及び関連した類似物の使用方法を提供することである。本発明のこの目的及び他の目的は、以下のような本発明の詳細な議論から明らかとなる。
【0017】
従って、本発明の実施によれば、例えば大うつ病性障害、双極I型障害及び双極II型障害を含む気分障害並びに例えば交代勤務睡眠障害、時差症候群、睡眠相前進症候群及び睡眠相後退症候群のような概日リズム睡眠障害を含む睡眠障害といったヒト概日時計の障害と関連する中枢神経系の疾患又は障害を治療するため、このような治療を必要とする患者に式Iの化合物の治療上有効量を投与することからなる、ヒトカゼインキナーゼIε活性及びヒト時計タンパク質period(hPER)のリン酸化を阻害する方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明の広い実施態様は、式I:
【化1】

の化合物又は前記化合物の立体異性体、エナンチオマー、ラセミ体若しくは互変異性体、又はその医薬上許容しうる塩の治療上有効量を患者に投与することからなる、カゼインキナーゼIε活性の阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法に関する。
【0019】
式中、
Xは、H、Cl、F、Br、NO2、CN、OR2、NR2R2、HNSO2-C1-3アルキル又はNHCO-C1-3アルキルであり;
Yは、-S(O)n-又は-O-であり、ここにおいて、nは0、1又は2であり;
R1は、
1) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
a) C1-5アルコキシ、
b) OH、
c) ハロゲン、
d) NR2R2、又は
e) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
i) OH又は
ii) C1-5アルコキシ
で置換されたC1-5アルキル;
で置換されたアリール;
2) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
a) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
i) OH又は
ii) C1-5アルコキシ
で置換されたC1-5アルキル、
b) C1-5アルコキシ、
c) OH、
d) ハロゲン、又は
e) NR2R2
で置換されたヘテロ環;
3) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
a) C1-5アルキル、
b) C1-5アルコキシ、
c) OH、又は
d) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
i) C1-5アルキル、
ii) C1-5アルコキシ、
iii) OH、
iv) ハロゲン、又は
v) NR2R2
で置換されたアリール、
で置換されたC1-5アルキルであり;
【0020】
Zは、
1) C(=O)NR2R3又は
2) C(=O)R4であり;
R2は、水素又はC1-3アルキルであり;
R3は、水素、C1-5アルキル又はC3-6シクロアルキルであり;
R4は、非置換、又は1つ又はそれ以上の
1) C1-5アルキル、
2) C1-5アルコキシ、
3) OH、
4) ハロゲン、又は
5) NR2R2
で置換された1-ピペリジニル、1-ピロリジニル、1-ピペラジニル又は4-モルホリニルである。
【0021】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物又は前記化合物の立体異性体、鏡像異性体、ラセミ体若しくは互変異性体、又はその医薬上許容しうる塩の治療上有効量を患者に投与することからなる、患者においてカゼインキナーゼIε活性を阻害する方法に関する。
【0022】
〔発明の詳述〕
本明細書に使用される「立体異性体」は、空間における原子の配置のみ異なる個々の分子の全ての異性体に使用される一般用語である。立体異性体なる用語には、鏡像異性体(エナンチオマー)、鏡像異性体の混合物(ラセミ体、ラセミ混合物)、幾何(シス/トランス又はE/Z)異性体、及び互いに鏡像でない複数のキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオ異性体)が含まれる。本発明の化合物は、不斉中心を有することができ、そしてラセミ体、ラセミ混合物、個々のジアステレオ異性体又はエナンチオマーとして生じるか、又は幾何異性体として存在することができ、前記化合物の全ての異性体形態は本発明に包含される。
【0023】
本明細書に使用される「R」及び「S」は、キラル中心の特定の配置を表すために有機化学において一般に使用されるように用いられる。用語「R」(右)は、最も低い優先順位基に向かって結合に沿って見た時に、基の優先順位(最も高いものから2番目に低いものへ)が時計回りの関係を有するキラル中心の配置のことである。用語「S」(左)は、最も低い優先順位基に向かって結合に沿って見た時に、基の優先順位(最も高いものから2番目に低いものへ)が反時計回りの関係を有するキラル中心の配置のことである。基の優先順位は順位規則に基づき、その際、優先順位はまず第一に原子番号に基づく(原子番号が減少する順)。優先順位のリスト及び議論は、Stereochemistry of Organic Compounds, Ernest L. Eliel, Samuel H. Wilen and Lewis N. Mander, editors, Wiley-Interscience, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に記載されている。
【0024】
また、さらに(R)-(S)系に対して、特にアミノ酸に関しては絶対配置を表すために、より古いD-L系を本明細書に用いることができる。この系では、フィッシャー投影式は、主鎖の1番の炭素が上部にあるように配置される。接頭辞「D」は、官能(決定)基がキラル中心で炭素の右側にある異性体の絶対配置を表すのに用いられ、そして「L」は、それが左にある異性体の絶対配置である。本明細書に使用される「互変異性体」又は「互変異性」は、1つ(又はそれ以上の)可動性原子の位置及び電子分布においてのみ相互に異なる共存する2つ(又はそれ以上の)化合物、例えばケト−エノール互変異性体又は互変異性のことである。
【0025】
本明細書に使用される「アルキル」は、1〜5個の炭素原子を有する飽和直鎖又は分枝鎖脂肪族炭化水素基のことであり、そしてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどの基が含まれる。
【0026】
本明細書に使用される「アルコキシ」は、エーテル酸素原子を通して結合された1〜5個の炭素原子を有し、エーテル酸素からの自由原子価結合を有する直鎖又は分枝アルキル鎖からなる一価の置換基のことであり、そしてメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどの基が含まれる。
【0027】
本明細書に使用される「C3-6シクロアルキル」なる用語は、3〜6個の炭素原子を含む飽和単環式炭化水素環式構造のことであり、そしてシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。
【0028】
本明細書に使用される「アリール」又は「Ar」は、各環中に7個までの構成メンバーを有するすべての安定な単環式、二環式又は三環式炭素環を意味し、その際、少なくとも1個の環は芳香族であり、そして非置換、又はヒドロキシ、C1-5アルコキシ、ハロゲン、-NH2、-NH(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)2、及び非置換又は1つ若しくはそれ以上のOH若しくはC1-5アルコキシで置換されたC1-5アルキルからなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されている。「アリール」又は「Ar」の例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル及びビフェニルが含まれる。「アリール-(C1-5アルキル)」なる用語には、4-メチルフェニル、2-メチルフェニル、フェニルメチル(ベンジル)、フェニルエチル、p-メトキシベンジル、p-フルオロベンジル及びp-クロロベンジルが含まれる。
【0029】
本明細書に使用される「アシル」なる用語は、カルボニル(C=O)部分構造に結合した1〜6個の炭素原子を有し、カルボニル部分構造からの自由原子価結合を有する直鎖又は分枝飽和脂肪族炭化水素基のことである。用語「アシル」には、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリルなどが含まれる。
【0030】
本明細書に使用される「ヘテロ環」又は「ヘテロ環式」は、安定な5〜7員単環式又は安定な8〜11員二環式ヘテロ環式環を意味し、これは飽和又は不飽和のいずれかであり、そして炭素原子並びにN、O及びSからなる群より選ばれる1〜3個のヘテロ原子からなり、その際、窒素及び硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてもよく、そして上記定義されたヘテロ環式環のいずれかがベンゼン環に縮合しているすべての二環式基を包含する。ヘテロ環は、安定な構造が生じるヘテロ原子又は炭素原子のところで結合することができる。このようなヘテロ環式成分の例としては、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、2-オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフリル、ベンゾフラニル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン及びオキサジアゾリルが含まれる。
【0031】
本明細書に使用される「ハロゲン」、「ハロ(hal)」又は「ハロ(halo)」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素ファミリーの構成メンバーのことである。
【0032】
すべての変数(例えばアリール、ヘテロ環、R1、R2、R3、R4、X、Y、Zなど)が、すべての成分中又は本発明の式I中で複数回生じる場合、各場合のその定義は、それぞれ別の場合のその定義と独立している。また、置換基及び/又は変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定化合物を生じる場合のみ許容される。
【0033】
本明細書に使用される「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、(i) 疾患、障害及び/又は状態にかかりやすいが、まだかかったと診断されていない患者において疾患、障害又は状態を予防すること;(ii) 疾患、障害又は状態を阻害する、すなわちその発症を抑えること;又は(iii) 疾患、障害又は状態を緩和する、すなわち疾患、障害及び/又は状態を後退させることに相当する。
【0034】
本明細書に使用される「患者」なる用語は、温血動物、例えば特定の疾患、障害又は状態で苦しむ哺乳動物のことである。用語の意味する範囲内にある動物の例は、モルモット、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、ヒツジ及びヒトであると理解されることは明らかである。
【0035】
本明細書に使用される「疾患」は、疾病、病気又は身体機能、システム若しくは器官の中断、停止若しくは障害のことである。
本明細書に使用される「障害」は、機能、構造の障害のことであり、すなわち両者は、発現における遺伝的若しくは発生学的な欠損から、又は毒、損傷若しくは疾患のような外来性因子から生じる。
【0036】
本明細書に使用される「状態」は、生存、健康又は体力良好の状態のことである。
本明細書に使用される「予防」は、疾患の予防のことである。
本明細書に使用される「睡眠障害」(“sleep disorder”,“sleep disorders”,“sleep disturbance”)なる用語は、不眠症を意味する。
【0037】
本明細書に使用される「不眠症」なる用語は、睡眠が通常生じるべき周期中に雑音、明るい照明などのような外部障害がない場合の睡眠不能を意味し、そして睡眠不能は、不穏状態又は睡眠侵害から正常の長さの睡眠短縮又は完全な覚醒状態まで程度が変化しうる。「不眠症」なる用語には、原発性不眠症、精神障害と関連がある不眠症、物質誘発性不眠症及び正常な睡眠-覚醒スケジュールの変化による不眠症である概日リズム不眠症(シフト変化、交代勤務睡眠障害、時差ボケ又は時差症候群など)が含まれる。
【0038】
本明細書に使用される「原発性不眠症」なる用語は、睡眠の開始、睡眠の維持又は回復性の睡眠が困難であることを意味し、これは精神障害によって又はある種の物質を摂取する若しくはやめることによる生理作用のため(物質誘発性不眠症)に生じるわけではない。
【0039】
本明細書に使用される「概日リズム睡眠障害」なる用語には、時差ボケ又は時差症候群、交代勤務睡眠障害、睡眠相前進症候群及び睡眠相後退症候群が含まれる。
【0040】
本明細書に使用される「化合物の有効阻害量」又は「化合物のカゼインキナーゼIε阻害有効量」なる用語は、このような治療に反応する疾患、障害又は状態で苦しむ患者を治療するための適当な投与経路を通して生物学的に利用可能になる化合物の十分な量を意味する。
【0041】
本明細書に使用される「治療上有効量」なる用語は、記載された疾患、障害又は状態の治療に有効である化合物の量を意味する。
【0042】
本明細書に使用される「概日リズム周期の延長」なる成句は、24時間毎に約1回の頻度で定期的に生じる過程において生産的な事象の間隔が長くなることである。
本明細書に使用される「概日リズム周期の短縮」なる成句は、24時間毎に約1回の頻度で定期的に生じる過程において生産的な事象の間隔が短くなることである。
【0043】
本明細書に使用される「医薬上許容しうる塩」なる用語は、医薬としての使用に適切な非毒性の有機又は無機の付加塩であり、当業者によって用いられる、以前から知られているか又は将来発見されるすべての塩に適用されるものとする。適切な塩を形成する具体的な塩基としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウム;アンモニア及び脂肪族、環式又は芳香族アミン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルジエチルアミン、ピリジン及びピコリンが含まれる。適切な塩を形成する具体的な酸としては、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸及び同様の酸、並びに有機カルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸及びジヒドロキシマレイン酸、安息香酸、フェニル酢酸、4-アミノ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、マンデル酸及び同様の酸、並びに有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸及び同様の酸が含まれる。
【0044】
本明細書に使用される「医薬担体」又は「医薬上許容しうる担体」は、投与するための治療上活性化合物の処方に有用であり、使用条件下で実質的に非毒性及び非感作性である知られている医薬賦形剤のことである。これらの賦形剤の厳密な比率は、活性化合物の溶解性及び化学的性質、選択された投与経路と同様に標準医薬業務によって決定される。本発明の方法を実施する際、医薬担体を含む組成物中に活性成分を組み込むことが好ましいが、化合物は、組成物中で及びそれ自体で有効であり、投与することができる。活性成分の比率は、約5〜90質量%で変化しうると考えられる。
【0045】
本明細書に記載されうるさらなる略語は、以下の通りである:Me(メチル)、Et(エチル)、Ph(フェニル)、Et3N(トリエチルアミン)、p-TsOH(パラ-トルエンスルホン酸)、TsCl(パラ-トルエンスルホニルクロリド)、hept(ヘプタン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、NMP(1-メチル-2-ピロリドン又はN-メチル-2-ピロリドン)、IPA(イソプロパノール又はイソプロピルアルコール)、TFA(トリフルオロ酢酸)、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン)、rt又はr.t.(室温又は周囲温度)、min又はmin.(分)、h(時間(hour)又は時間(hours))、UV(紫外線)、LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析法)、t-Boc又はBoc(tert-ブトキシカルボニル)、Bn(ベンジル)、t-Bu(第三級ブチル)、i-Pr(イソプロピル)、TFA(トリフルオロ酢酸)、HOAc(酢酸)、EtOAc(酢酸エチル)、Et2O(ジエチルエーテル)、EtOH(エタノール)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)、ng(ナノグラム)、mL(ミリリットル)、μL(マイクロリットル)、L(リットル)、HPLC(高性能液体クロマトグラフィ)、TLC、tlc又はTlc(薄層クロマトグラフィ)、g/l(リットル当たりのグラム)、SiO2(シリカゲル)、L/min(分当たりのリットル)、mL/min(分当たりのミリリットル)、mmol(ミリモル)、M(モル濃度)、mM(ミリモル濃度)、μM(マイクロモル濃度)、nM(ナノモル濃度)、μCi(マイクロキュリー)、CPM(分当たりのカウント)、rpm(分当たりの回転数)、mm(ミリメートル)、μm(マイクロメートル)、μ(ミクロン)、nm(ナノメートル)、ppm(100万当たりの部)、psi(平方インチ当たりのポンド)、eq.又はequiv.(当量)、RT(保持時間)、℃(摂氏)、及びK(ケルビン)。
【0046】
従って、本発明の広い実施態様は、式I:
【化2】

の化合物又は前記化合物の立体異性体、エナンチオマー、ラセミ体若しくは互変異性体、又はその医薬上許容しうる塩の治療上有効量を患者に投与することからなる、カゼインキナーゼIε活性の阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法に関する。
【0047】
式中:
Xは、H、Cl、F、Br、NO2、CN、OR2、NR2R2、HNSO2-C1-3アルキル又はNHCO-C1-3アルキルであり;
Yは、-S(O)n-又は-O-であり、ここにおいて、nは0、1又は2であり;
R1は、
1)非置換、又は1つ又はそれ以上のC1-5アルコキシ、OH、ハロゲン、NR2R2又は非置換若しくは1つ若しくはそれ以上のOH若しくはC1-5アルコキシで置換されたC1-5アルキルで置換されたアリール、
2)非置換、又は1つ又はそれ以上の非置換若しくは1つ若しくはそれ以上のOH若しくはC1-5アルコキシで置換されたC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、OH、ハロゲン又はNR2R2で置換されたヘテロ環;
3)非置換、又は1つ又はそれ以上のC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、OH又は非置換若しくは1つ若しくはそれ以上のC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、OH、ハロゲン若しくはNR2R2で置換されたアリールで置換されたC1-5アルキルであり;
【0048】
Zは、C(=O)NR2R3又はC(=O)R4であり;
R2は、水素又はC1-3アルキルであり;
R3は、水素、C1-5アルキル又はC3-6シクロアルキルであり;
R4は、非置換、又は1つ又はそれ以上のC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、OH、ハロゲン若しくはNR2R2で置換された1-ピペリジニル、1-ピロリジニル、1-ピペラジニル、又は、4-モルホリニルである。
【0049】
本発明の第2の実施態様は、カゼインキナーゼIε活性の阻害により概日リズム周期が延長される、カゼインキナーゼIε活性の阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法に関する。
本発明の第3の実施態様は、疾患又は障害が気分障害又は睡眠障害である、カゼインキナーゼIεの阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法に関する。
【0050】
本発明の第4の実施態様は、障害が気分障害である、カゼインキナーゼIεの阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法に関する。
本発明の第5の実施態様は、疾患又は障害がうつ病性障害及び双極性障害からなる群より選ばれる気分障害である、カゼインキナーゼIεの阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法に関する。
【0051】
本発明の第6の実施態様は、うつ病性障害が大うつ病性障害である、うつ病性障害にかかっている患者の治療方法に関する。
本発明の第7の実施態様は、障害が双極I型障害及び双極II型障害からなる群より選ばれる、カゼインキナーゼIεの阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法に関する。
【0052】
本発明の第8の実施態様は、障害が睡眠障害である、カゼインキナーゼIεの阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法に関する。
本発明の第9の実施態様は、睡眠障害が概日リズム睡眠障害である、睡眠障害にかかっている患者の治療方法に関する。
【0053】
本発明の第10の実施態様は、疾患又は障害が交代勤務睡眠障害、時差症候群、睡眠相前進症候群及び睡眠相後退症候群からなる群より選ばれる概日リズム睡眠障害である、カゼインキナーゼIεの阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法に関する。
【0054】
本発明の第11の実施態様は、式IにおいてYはS(O)2であり、ZはC(=O)NH2又はC(=O)NHCH3であり、そしてR1はフェニル又はピリジニルである式Iの化合物の治療上有効量を患者に投与することからなる、カゼインキナーゼIε活性の阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法を包含する。
【0055】
第11の実施態様の範囲内にある化合物の一種類は、式IにおいてYはS(O)2であり、ZはC(=O)NH2であり、そしてR1はフェニルである式Iの化合物にさらに限定される。以下の化合物は、この実施態様の範囲内の代表的な例である:
3-ベンゼンスルホニル-5-クロロ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、及び
3-ベンゼンスルホニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミド。
【0056】
第11の実施態様の範囲内にある第2の種類の化合物は、式Iにおいて、YはSであり、ZはC(=O)NHCH3であり、そしてR1はフェニル又はピリジニルである式Iの化合物にさらに限定される。以下の化合物は、この実施態様の範囲内にある代表的な例である:
3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-カルボン酸メチルアミド、及び
3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-カルボン酸メチルアミド。
【0057】
本発明の第12の実施態様は、式IにおいてYはOであり、ZはC(=O)NH2であり、そしてR1はフェニル、置換されたフェニル、C1-5アルキル又は置換されたC1-5アルキルである式Iの化合物の治療上有効量を患者に投与することからなる、カゼインキナーゼIε活性の阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法を包含する。以下の化合物は、この実施態様の範囲内にある代表的な例である:
3-フェノキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(4-メトキシ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(4-フルオロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(2-フルオロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(4-クロロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-エトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-イソプロポキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-tert-ブトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、及び
3-ベンジルオキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド。
【0058】
本発明の第13の実施態様は、式Iにおいて、YはS、S(O)又はS(O)2であり、ZはC(=O)R4であり、そしてR4は1-ピペリジニル、1-ピロリジニル、1-ピペラジニル又は4-モルホリニルである式Iの化合物の治療上有効量を患者に投与することからなる、カゼインキナーゼIε活性の阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法を包含する。以下の化合物は、この実施態様の範囲内にある代表的な例である:
(3-ベンゼンスルホニル-5-クロロ-1H-インドール-2-イル)-モルホリン-4-イル-メタノン、
(5-フルオロ-3-p-トリルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピロリジン-1-イル-メタノン、
(3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピペリジン-1-イル-メタノン、
(5-フルオロ-3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピロリジン-1-イル-メタノン、
[3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン、
[3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピペリジン-1-イル-メタノン、
[3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-5-フルオロ-1H-インドール-2-イル]-ピペリジン-1-イル-メタノン、
[5-フルオロ-3-(p-トルエン-4-スルフィニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン、
(3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピペラジン-1-イル-メタノン塩酸塩、
[5-フルオロ-3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン、
[3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン、
ピペリジン-1-イル-[3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-メタノン、及び
[5-フルオロ-3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピペリジン-1-イル-メタノン。
【0059】
本発明の第14の実施態様は、式Iにおいて、YはSであり、ZはC(=O)NH2であり、そしてR1はピリジニルである、式Iの化合物の治療上有効量を患者に投与することからなる、カゼインキナーゼIε活性の阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法を包含する。以下の化合物は、この実施態様の範囲内にある代表的な例である:
3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド。
【0060】
本発明の第15の実施態様は、式Iにおいて、YはSであり、ZはC(=O)NH2であり、そしてR1はフェニル又は置換されたフェニルである式Iの化合物の治療上有効量を患者に投与することからなる、カゼインキナーゼIε活性の阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法を包含する。以下の化合物は、この実施態様の範囲内の代表的な例である:
3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
5-ブロモ-3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(3-フルオロ-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-5-ブロモ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、及び
3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド。
【0061】
本発明の第16の実施態様は、式Iの化合物又はその立体異性体、エナンチオマー、ラセミ体若しくは互変異性体の治療上有効量を患者に投与して概日リズム周期を延長することからなる、患者においてカゼインキナーゼIε活性を阻害する方法に関する。
【0062】
本明細書に開示された本発明の種々の実施態様は、すべて本明細書に記載された種々の疾患及び障害の治療方法として用いることができる。本明細書に記載したように、本発明の方法に用いる化合物は、カゼインキナーゼIεの影響を阻害することができる。本明細書に具体的に記載された疾患及び障害は、本発明の化合物の有効性を説明するものであって、制限しようとするものではないことは当業者に容易に認められる。従って、本発明の化合物はカゼインキナーゼIεの阻害によって改善されるすべての疾患又は障害の治療に用いることができることを理解すべきである。
【0063】
化学合成
本発明の化合物は、当業者によく知られている方法によって製造される。具体的には、本発明の化合物は、米国特許第5,527,819号に開示されており、そしてその中に記載された方法に従って製造することができ、それは全体として参照により本明細書に組み込まれている。より具体的には、本発明の化合物の製造に用いることができる種々の合成をスキーム1、2及び3に説明し、そして方法論はその後の実施例によって詳細に記載する。
【0064】
製剤
本発明の医薬組成物は、医薬分野で知られている方法で製造される。担体又は賦形剤は、活性成分に対して賦形剤又は媒体として働くことができる固体、半固体又は液体物質であることができる。適切な担体又は賦形剤は、当分野でよく知られている。医薬組成物は、経口、吸入、非経口又は局所使用に適応させることができ、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、シロップ剤、エーロゾル剤、吸入剤、坐剤、軟膏剤、散剤、液剤などの形態で患者に投与することができる。本明細書に使用される「医薬担体」又は医薬上許容しうる担体」なる用語は、1つ又はそれ以上の賦形剤を意味する。
【0065】
本発明の化合物の医薬組成物又は製剤の製造する際には、経口、非経口及び皮下経路を含む選択された投与経路によって、治療上有効量の活性化合物(1つ又は複数)の生物学的利用能を確保するように注意しなければならない。例えば、有効な投与経路としては、皮下、静脈内、経皮的、鼻腔内、直腸、膣などの経路の他にインプラントからの放出や組織へ直接活性成分及び/又は組成物を直接注射することが含まれる。
【0066】
経口投与では、本発明の化合物を不活性希釈剤又は食用担体を用いて又は用いずにカプセル剤、丸剤、錠剤、トローチ剤、散剤、液剤、懸濁剤又は乳剤のような固体又は液体製剤に処方することができる。また、カプセル剤、丸剤、錠剤、トローチ剤などは、1つ又はそれ以上の以下の補助剤を含むことができる:結合剤、例えば微結晶性セルロース、トラガカントゴム;賦形剤、例えばデンプン又は乳糖、崩壊剤、例えばアルギン酸、コーンスターチなど;潤滑剤、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム又はSterotexR,(Stokely-Van Camp Inc., Indinapolis, Indiana)滑剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばショ糖又はサッカリン;及び着香剤、例えばハッカ、サリチル酸メチル又は果物香味料。投薬単位形がカプセルである場合、液体の担体、例えばポリエチレングリコール又は脂肪油を含むこともできる。使用する物質は、使用する量において医薬上純粋で非毒性でなければならない。
【0067】
非経口投与では、本発明の化合物を油中水型のような滅菌液体でありうる医薬担体と共に又は界面活性剤及び他の医薬上許容しうる賦形剤を添加することなく、生理学上許容しうる希釈剤中の化合物の溶液または懸濁液の注射剤として投与することができる。製剤に使用することができる具体的な油は、例えばラッカセイ油、ダイズ油及び鉱油のような石油、動物、野菜又は合成由来のものである。一般に、水、生理食塩水、水性デキストロース及び関連する糖溶液、エタノール及びグリコール、例えばプロピレングリコールは、特に注射液用の好ましい液体担体である。非経口製剤は、不活性プラスチック又はガラス製
のアンプル、使い捨て注射器又は多回用量バイアル瓶中に封入することができる。
【0068】
また、上記の溶液又は懸濁液は、1つ又はそれ以上の以下の補助剤:滅菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒、抗菌剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩及び張度調整剤、例えば塩化ナトリウム又はデキストロースを含むことができる。
【0069】
本発明の化合物は、皮膚貼付剤、蓄積注射又はインプラント製剤の形態で投与することができ、これは活性成分を持続放出できるやり方で処方することができる。活性成分をペレット又は小さな円筒に圧縮して蓄積注射又はインプラントとして皮下又は筋内に移植することができる。インプラントは、生分解性高分子及び合成シリコーンのような不活性物質を使用することができる。適切な医薬担体及び製剤技術は、標準テキスト(例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, Volumes 1 and 2, 1995, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania, U.S.A.)に見出すことができ、これは参照により本明細書に組み込まれている。
【0070】
本明細書に記載された種々の疾患、障害及び状態の治療において、適切な投薬レベルは、1日当たり約0.01mg/kg〜1日当たり約250mg/kg、好ましくは1日当たり約0.05mg/kg〜1日当たり約100mg/kg、特に1日当たり約0.05mg/kg〜1日当たり約40mg/kgである。本発明の化合物は、1日当たり1〜4回の処方計画で投与することができ、これは治療する疾患、障害又は状態の性質によって異なる。
【0071】
本発明の実施例の化合物を製造するためのスキーム1〜3を以下に記載する。表1及び2は、スキーム1〜3により合成することができる化合物を説明し、実施例の化合物によるカゼインキナーゼIεのin vitro阻害について生物学データを表3にまとめた。
【実施例】
【0072】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するためのものであって、本発明の範囲をなんら限定するものではない。
【0073】
一般的な合成方法
特に明記しない限り、物質は市販供給者から入手してさらに精製することなく使用した。全ての反応は、無水試薬及び溶媒を用いて窒素又はアルゴンのような不活性雰囲気下で実施した。フラッシュクロマトグラフィは、記載したような溶媒系を使用してEM Scienceシリカゲル60(40〜63mm )を用いて実施した。薄層クロマトグラフィは、0.25mmシリカゲルコーティングした60F-254プレート(EM)を用いて実施し、そしてヨウ素蒸気、紫外線又はKMnO4溶液のような染色試薬を用いて視覚化した。
【0074】
赤外線(IR)スペクトルは、記載したように製造した試料を用いてNexus 670 FTIR (Nicolet )分光計で記録し、波数(cm-1)で報告した。1H NMRスペクトルは、Varian Gemini及び/又はmercury 300、Unity 400又はUnity plus及び/又はInova 500MHz分光計で記録し、化学シフト(δ)は、対照基準としてテトラメチルシラン(0.0ppm)又はクロロホルム(CDCl3、7.26ppm)と比較してppmで報告した。13C NMRスペクトルは、Varian Unity機器(13C周波数100.57MHz)で記録し、特に明記しない限り、化学シフト(δ)はCDCl3(77.0ppm)と比較してppmで報告した。質量スペクトル(MS)は、メタン(CI,120eV)を用いた120eVでの化学イオン化によってFinnigan MAT Model TSQ 700質量分析器システムで得た。液体クロマトグラフィ質量分析法(LCMS)は、Gilson 215液体ハンドラに連結したMicromass LCTで実施した。高分解能質量分光分析(精密質量スペクトル)は、Micromass QTOF質量分析器を用いて質量分解能10,000、ESIモードで実施した。正確な質量値は、プロトン化された分子イオン(M + 1)について測定し、ここにおいて、Mは分子イオンに相当する。
【0075】
3-アリールチオインドール及び類似体
【化3】

a) K2CO3、MeOH;b) NH4OH/LiCl又はNH3/MeOH/LiCl、又はMe2NH/MeOH又はMe2NH/H2O;c) MeOH/H2O/NaOH、次いでHCl;d)カルボニルジイミダゾール及びNH4OH、又はカルボニルジイミダゾール及び第一級又は第二級アミン;e) NaH、DMF、R1-S-S-R1又はCs2CO3、DMF、R1-S-S-R1(R1 =アリール);f)過酸化水素
【0076】
一般的な合成方法I(トランス-エステル化;スキームI、工程a)
MeOH(50mL)中のエチルインドール-2-カルボキシレート1(42.3mmol)にK2CO3(1.20当量,50.7mmol)を加え、懸濁液を55℃に1時間加熱しながら撹拌した。tlc(エーテル/ヘプタン)によって反応をモニターし、真空下で反応液を完全に濃縮し、H2Oで希釈して15分間撹拌した。濾過して固形物を集め、真空下65℃で3時間乾燥し、メチルインドール-2-カルボキシレート2を得た。
【0077】
一般的な合成方法II(NH4OHを用いたアミド化;スキームI、工程b)
NH4OH(100mL)及びLiCl(1.0当量)中の1又は2(40.0mmol)の懸濁液を室温で16時間撹拌した。反応混合物から固形物を濾過し、H2Oで洗浄し、そして空気乾燥して対応する第一級アミド4を得た。
【0078】
一般的な合成方法III(NH3/MeOHを用いたアミド化;スキームI、工程b)
7N NH3/MeOH(20mL)中のエチルインドール-2-カルボキシレート1(X=H、4.67mmol)を撹拌し、そしてLiCl(1.0当量,4.67mmol)を加えた。tlc(10%MeOH/CH2Cl2)によってモニタリングしながら反応混合物を室温で5日間撹拌した。混合物を最少量に濃縮し、H2Oで希釈し、濾過して固形物を集めた。濾過ケーキをH2Oで洗浄し、真空下60℃で乾燥して第一級アミド4(X=R2 = R3 = H)を得た,tlc Rf(シリカゲル,10%MeOH/CH2Cl2):1 (X=H) 0.95, 2 (X=H) 0.93, 4 (X=R2 = R3 = H) 0.40.
【0079】
一般的な合成方法IV
(メチルエステル2のカルボン酸3への加水分解、スキームI、工程c)
NaOH(82.0mmol)をメチルインドール-2-カルボキシレート2(27.0mmol)にMeOH/H2O(3:1,160mL)中の懸濁液として加えた。室温で16時間撹拌し、濃縮してHClで酸性化した。濾過により沈殿を集め、H2Oで洗浄して真空下で乾燥し、インドール-2-カルボン酸3を得た。
【0080】
一般的な合成方法V(2-インドールカルボン酸3のアミド化;スキームI、工程d)
インドール-2-カルボン酸3(31.0mmol)及び無水THF(50ml)の溶液にカルボニルジイミダゾール(1.10当量,5.5g,34.0mmol)を加えた。1時間撹拌し、濃厚な懸濁液にconc. NH4OH(50mL)をひとかたまりで加えた。室温で撹拌し、16時間後、濾過によって固形物を集め、H2Oで洗浄して真空下40℃で乾燥し、インドール-2-カルボキサミド4(R2 = R3 = H)を得た。
【0081】
一般的な合成方法VIa(第一級又は第二級アミンを用いた2-インドールカルボン酸3のアミド化;スキームI、工程d)
インドール-2-カルボン酸3(12.4mmol)及び無水THF(30mL)の溶液にカルボニルジイミダゾール(1.5当量,18.6mmol)を加え、1時間撹拌した。次いで、アミン(例えばメチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ベンジルアミン又はモルホリン,3.0当量,37.2mmol)をひとかたまりで加え、反応液を室温で撹拌した。16時間後、反応液を水でクエンチし、濾過により沈殿を集め、真空下で乾燥し、N-置換されたインドール-2-カルボキサミド4を得た。
【0082】
一般的な合成方法VIb (第一級及び第二級アミンを用いたエチル又はメチルインドール-2-カルボキシレートのアミド化,スキームI,工程b)
Me2NH/H2O(50mL,40%)中のエチルインドール-2-カルボキシレート1(X=H,4.67mmol)又はメチルインドール-2-カルボキシレート2(X=H,4.67mmol)を撹拌した。tlc(10%MeOH/CH2Cl2)によりモニタリングしながら反応混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を最少量に濃縮し、H2Oで希釈し、濾過により固形物を集めた。濾過ケーキをH2Oで洗浄し、真空下60℃で乾燥してジメチルアミド4(X=H,R2 = R3 = Me)を得た,tlc Rf = 0.65(シリカゲル,10%MeOH/CH2Cl2)。
【0083】
一般的な合成方法VIIa (NaHを用いた3-アリールチオインドール;スキームI,工程e)
DMF(75mL)中NaHの撹拌懸濁液(60%オイルディスパージョン,1.2当量,9.8mmol)にN2下、室温でDMF(5mL)中のインドール-2-カルボキシアミド4(8.18mmol)の溶液を加えた。5分後、ジアリールジスルフィド(1.0当量,8.18mmol)をひとかたまりで加え、反応液を撹拌しながら95℃に16時間加熱した。反応に続いてアリコート試料をEtoAc/H2Oの間で分配し、10%MeOH/CH2Cl2を用いたシリカゲルの薄層クロマトグラフィによってアリコートの有機相を分析した。真空下で反応液を濃縮し、H2Oで希釈して30分間撹拌し、濾過して空気乾燥した。粗固形物を9:1のCH2Cl2/MeOHで溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィにかけて3-アリールチオ置換されたインドールIを得た。
【0084】
一般的な合成方法VIIb (Cs2CO3を用いた3-アリールチオインドール;スキームI,工程e)
インドール-2-カルボキサミド(0.418mmol)及びDMF(10mL)の溶液にCs2CO3(0.31mmol)を加え、次いでジアリールジスルフィド(0.65mmol)を加えた。反応液を窒素雰囲気下100℃で約2.5時間加熱した(反応が完了した時を決定するためtlc/LC-MSによってモニターした)。室温にさまし、最少量に濃縮し、ブラインとEtOAc(3mL)との間で分配した。再びEtOAcで抽出し、合わせた抽出物を乾燥し(MgSO4)、濾液を濾過して濃縮し、粗3-アリールチオインドール-2-カルボキサミドを得た。ISCO(SiO2 4.0g)カラム上で粗生成物を精製し、3-アリールチオインドール-2-カルボキサミドIを得た。
【0085】
一般的な合成方法VIIc(スキーム1,場合により工程f)
3-アリールチオインドール-2-カルボキサミド(1mmol)の溶液を過酸化水素(30%w/w,2.5mmol)及びNa2CO3(2.0mmol)で処理した。室温で16時間撹拌し、水でクエンチしてEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄して乾燥(MgSO4)、濾過して濃縮し、3-アリールスルホニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミドIを得た。
【0086】
1H-インドール-2-カルボン酸アミド4(X=H)(エチルエステルから)
一般的な合成方法IIに記載したように、エチルインドール-2-カルボキシレート1(X =H,2.0g,10.57mmol)を処理して象牙色の粉末として標題化合物(1.3g,76.9%)を得た:融点233〜234.5℃;1H NMR (DMSO-d6) δ 11.53 (brs, 1H), 7.95 (brs, 1H), 7.60 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.42 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.36 (brs, 1H), 7.17 (t, 1H, J = 8.1 Hz), 7.11 (s, 1H), 7.02 (t, 1H, J = 8.1 Hz).
【0087】
1H-インドール-2-カルボン酸アミド4(X=H)(インドール-2-カルボン酸から)
一般的な合成方法Vに記載したように、1H-インドール-2-カルボン酸3(X=H,1.0g,6.2mmol)を処理して黄色粉末として標題化合物(854mg,86.0%)を得た:融点233〜234.5℃;1H NMR (DMSO-d6) δ11.53 (brs, 1H), 7.95 (brs, 1H), 7.60 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.42 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.36 (brs, 1H), 7.17 (t, 1H, J = 8.1 Hz), 7.11 (s, 1H), 7.02 (t, 1H, J = 8.1 Hz).C9H8N2Oについての分析計算値:C, 67.50;H, 5.03;N, 17.50.実測値:C, 67.20;H, 4.95;N, 17.25.
【0088】
3-ベンゼンスルホニル-5-クロロ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Ia)
一般的な合成方法VIIcに記載したように、過酸化水素を用いて3-フェニルスルファニル-5-クロロ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(303mg,1.0mmol)を処理して白色固形物としてIa(表1)を得た;MS Obs 336(M + 1)。
【0089】
3-ベンゼンスルホニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Ib)
一般的な合成方法VIIcに記載したように過酸化水素を用いて3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Ic. 268 mg,1.0mmol)を処理して白色固形物としてIbを得た:融点204℃(分解);1H NMR (DMSO-d6) δ 12.9 (brs, 1H), 8.5 (brs, 1H), 8.2 (brs, 1H), 8.0 (m, 3H), 7.6 (m, 4H), 7.3 (m, 2H);MS Obs 301.1(M + 1);LC/MS:m/z = 301 (M + H).
【0090】
3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Ic)
一般的な合成方法VIIaに記載したようにフェニルジスルフィド(1.0当量,436mg)を用いて1H-インドール-2-カルボン酸アミド4(X =H,320mg,2.0mmol)を処理して象牙色の固形物として標題化合物(500mg,93.3%)を得た,融点197〜197.5℃。
C15H12N2SOについての分析計算値:C, 67.15;H, 4.51;N, 10.44.実測値:C, 66.03;H,
4.42;N, 10.18.
【0091】
5-ブロモ-3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Id)
一般的な合成方法IIIに記載したように7N NH3/MeOHを用いて5-ブロモ-1H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル1(X = Br,4.67mmol)を処理して象牙色の固形物として5-ブロモ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド4(X = Br,R2 = R3 =H)を得た。一般的な合成方法VIIbに記載したようにジフェニルジスルフィド(1.50当量,141mg,0.65mmol)を用いて5-ブロモ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(100mg,0.41mmol)を処理して象牙色の固形物として標題化合物Id(85mg)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ 12.5 (brs, 1H), 8.0 (brs, 1H), 7.72 (brs, 1H), 7.59-7.08 (m, 8H);LC/MS:m/z obs = 347 (M + 1).
【0092】
3-(2-アミノフェニルスルファニル)-5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Ie)
一般的な合成方法Vに記載したように5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸1(X = OCH3,1.09g,5.71mmol)を処理して黄色固形物として5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド4(X = OCH3,R2 = R3 =H;536mg,49%)を得た,融点204〜205℃;1H NMR (DMSO-d6) δ11.3 (brs, 1H), 7.9 (brs, 1H), 7.3 (d, 2H), 7.1 (d, 2H), 6.8 (d, 1H). 3.8 (s, 3H);LC/MS:m/z obs = 191 (M +1). 一般的な合成方法VIIaに記載したように2-アミノフェニルジスルフィド(1.4当量,546mg,2.2mmol)を用いて5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(300mg,1.6mmol)を処理して薄緑色の固形物として標題化合物Ie(321mg,65%)を得た,融点203℃(分解);1H NMR (DMSO-d6) δ 12.0 (brs, 1H), 8.0-7.8 (2brs, 2H), 7.4 (d, 1H), 7.1-6.9 (m, 4H), 6.8 (m, 1H). 6.6 (m, 1H), 5.5 (m, 2H), 3.8 (s, 3H);LC/MS:m/z obs = 314 (M +1).
【0093】
3-(3-フルオロフェニルスルファニル)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(If)
一般的な合成方法VIIaに記載したようにビス-3-フルオロフェニルジスルフィド(1.5当量,534mg,2.1mmol)を用いて1H-インドール-2-カルボン酸アミド4(X = R2 = R3 =H;225mg,1.4mmol)を処理して白色固形物として標題化合物If(322mg,80%)を得た:tlc(シリカゲル)Rf = 0.1(40%EtOAc/ヘプタン)。
【0094】
3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-5-ブロモ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Ig)
一般的な合成方法VIIbに記載したように2-アミノフェニルジスルフィド(1.5当量,161mg,0.65mmol)を用いて5-ブロモ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド4(X = Br,R2 = R3 =H;100mg,0.418mmol)を処理して象牙色の固形物として標題化合物Ig(113mg)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ 12.25 (brs, 1H), 8.01 (brs, 1H), 7.9 (brs, 1H), 7.7 (s, 1H), 7.25-6.2 (m, 6H), 5.45 (s, 2H);LC/MS:m/z obs = 361.99 (M +1).
【0095】
3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Ih)
一般的な合成方法VIIaに記載したように、2-アミノフェニルジスルフィド(1.4当量,347mg,1.4mmol)を用いて1H-インドール-2-カルボン酸アミド4(X = R2 = R3 =H;160mg,1.0mmol)を処理して薄緑色の固形物として標題化合物Ih(135mg,37%)を得た:1H NMR (DMSO-d6) δ 12.1 (brs, 1H), 8.0 (brs, 1H), 7.88 (brs, 1H), 7.58 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.48 (d, 1H, J = 8.7 Hz), 7.28-7.23 (m, 1H), 7.12-7.10 (m, 1H), 6.92-6.86 (m, 2H), 6.70-6.67 (m, 1H), 6.44-6.39 (m, 1H), 5.45 (brs, 2H);m/z obs = 284 (M +1).
【0096】
3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Ii)
一般的な合成方法VIIaに記載したように2,2'-ジチオピリジン(1.0当量,0.5mmol)を用いて1H-インドール-2-カルボン酸アミド4(X = R2 = R3 =H;80.0mg,0.5mmol)を処理して黄褐色の固形物として標題化合物Ii(71.0mg,53%)を得た:MS Obs. 270.2 (M + 1)。
【0097】
3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-カルボン酸メチルアミド(Ij)
1H-インドール-2-カルボン酸3(X =H,1.0g,6.21mmol)及び無水THF(50ml)の溶液に、カルボニルジイミダゾール(1.10当量,1.1g,6.83mmol)を加えた。室温で30分間撹拌し、次いでMeNH2.HCl(1.30当量,541mg,8.07mmol)をひとかたまりで加えた。DMF(10mL)を反応液に加え、室温で撹拌した。2時間後、透明な黄色反応溶液をH2Oへ注いだ。濾過により沈殿を集め、真空下40℃で乾燥し、黄色固形物として1H-インドール-2-カルボン酸メチルアミド4(X = R2 = H, R3 = CH3);860mg,80%)を得た,融点222〜223℃;1H NMR (DMSO-d6) δ 11.6 (brs, 1H), 8.45 (m, 1H), 7.60 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.44 (dd, 1H, J = 1.05, 8.25 Hz), 7.20-7.14 (m, 1H), 7.60-7.00 (m, 1H), 2.82 (d, 3H, J = 4.2 Hz). m/z obs = 175 (M +1). 一般的な合成方法VIIaに記載したようにフェニルジスルフィド(1.1当量,240mg,1.1mmol)を用いて1H-インドール-2-カルボン酸メチルアミド(174mg,1.0mmol)を処理して象牙色の固形物として標題化合物Ij(140mg,50%)を得た,融点201〜204℃;1H NMR (DMSO-d6) δ12.3 (brs, 1H), 8.3 (m, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.3-7.0 (m, 7H), 2.9 (d, 3H).
【0098】
3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-カルボン酸メチルアミド(Ik)
一般的な合成方法VIIaに記載したように2,2'-ジチオピリジン(1.3当量,143mg)を用いて1H-インドール-2-カルボン酸メチルアミド4(X = R2 = H,R3 = CH3;87mg,0.5mmol)を処理して白色固形物として標題化合物Ik(93mg,66%)を得た:1H NMR (DMSO-d6) δ 12.3 (brs, 1H), 8.4 (m, 1H), 8.3 (m, 1H), 7.6 (m, 2H), 7.4 (m, 1H), 7.3 (m, 1H), 7.2 (m, 2H), 6.7 (d, 1H), 2.9 (d, 3H);MS obs 362 (M + 1).
【0099】
インドール酸素同配体(Il-IU)の合成
【化4】

【0100】
3-ジアゾ-3H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル(5)(スキーム2,工程a)
N2下、CH2Cl2(20mL)中のインドール-2-カルボン酸エチルエステル(1,X=H ,2.0g,10.6mmol)及び亜硝酸ナトリウム(7.3g,106mmol,10当量)の溶液に室温で5分かけて撹拌しながら氷酢酸(6mL)滴加した。約10分後、CH2Cl2(100mL)を加えて生成した懸濁液の撹拌を促進した。1.5時間後、H2Oを用いて反応液をクエンチし、有機層を除去し、そして水相をCH2Cl2で抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO3及びブラインで順に洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過して濃縮し、精製した後、黄色固形物として5(1.62g,71%)を得た(Kettle et al. Tetrahedron Lett. 2000, 6905-6907)。
【0101】
一般的な合成方法VIII(ジアゾ化合物5をアルコールと反応させてインドールエチルエステル6を得る;スキーム2,工程b)
1,2-ジクロロエタン(10mL)及び触媒量のRh2(OAc)4(0.08当量,0.072mmol,32mg)中で3-ジアゾ-3H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル5(0.9mmol)を望ましいアリール又はアルキルアルコール(1.5mmol)と反応させ、85℃で3時間加熱した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、CeliteR(珪藻土)を通して濾過し、濃縮して粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィによって物質を精製し、エチルエステルとして所望のインドール酸素同配体6を得た。
【0102】
一般的な合成方法IX
(エチル2-インドールカルボキシレート6l-uからカルボン酸7l-uへの加水分解;スキームII,工程c)
エタノール(10mL)中のインドール-2-カルボン酸エチルエステル6(0.50mmol)の懸濁液にKOH(5.0当量,2.5mmol,140mg)及びH2O(2.0mL)の溶液を加えた。室温で16時間撹拌し、pH 1に酸性化(HCl)して濾過により沈殿を集め、対応するカルボン酸7を得た。
【0103】
3-フェノキシ-1H-インドール-2カルボン酸アミド(Il)
一般的な合成方法VIIIに記載するように3-ジアゾ-3H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル5(300mg,1.38mmol)をフェノール(5.0当量,650mg,6.90mmol)と反応させた。フラッシュクロマトグラフィによって精製して黄色固形物として3-フェノキシ-1H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル6(R1 =フェニル,303mg,78%)を得た。一般的な合成方法IXを用いてエステルをカルボン酸7(R1 =フェニル)に加水分解し、次いで一般的な合成方法Vに記載したようにカルボン酸を対応する第一級アミドに変換し、薄紫色の固形物として標題化合物Ilを得た,tlc(シリカゲル)Rf = 0.15。
【0104】
3-(4-メトキシ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Im)
一般的な合成方法VIIIに記載したように3-ジアゾ-3H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル5(231mg,1.10mmol)を4-メトキシフェノール(1.4当量,186mg,1.5mmol)と反応させ、象牙色の固形物として3-(4-メトキシ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル6(R1 = 4-メトキシフェニル,169mg,51%)を得た。一般的な合成方法IXを用いてエステルをカルボン酸7(R1 = 4-メトキシフェニル)に加水分解し、次いで一般的な合成方法Vに記載したようにカルボン酸を対応する第一級アミドに変換して無色の油として標題化合物Imを得た,tlc(シリカゲル)Rf = 0.10。
【0105】
3-(4-フルオロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(In)
一般的な合成方法VIIIに記載したように3-ジアゾ-3H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル5(220mg,1.0mmol)を4-フルオロフェノール(10.0当量,1.1g,10.0mmol)と反応させて白色固形物として3-(4-フルオロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル6(R1 = 4-フルオロフェニル,184mg)を得た。一般的な合成方法IXを用いてエステルをカルボン酸7(R1 = 4-フルオロフェニル)に加水分解し、次いで一般的な合成方法Vに記載したようにカルボン酸を対応する第一級アミドに変換して白色固形物として標題化合物(109mg)を得た,tlc(シリカゲル)Rf = 0.40。
【0106】
3-(2-フルオロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Io)
一般的な合成方法VIIIに記載したように3-ジアゾ-3H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル5(220mg,1.0mmol)を2-フルオロフェノール(10.0当量,1.1g,10.0mmol)と反応させて象牙色の固形物として3-(2-フルオロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル6(R1 = 2-フルオロフェニル,100mg)を得た。一般的な合成方法IXを用いてエステルをカルボン酸7(R1 = 2-フルオロフェニル)に加水分解し、次いで一般的な合成方法Vに記載したようにカルボン酸を対応する第一級アミドに変換して白色固形物として標題化合物Io(59mg)を得た,tlc(シリカゲル)Rf = 0.07。
【0107】
3-(4-クロロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Ip)
一般的な合成方法VIIIに記載したように3-ジアゾ-3H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル5(220mg,1.0mmol)を4-クロロフェノール(10.0当量,1.3g,10.0mmol)と反応させて白色固形物として3-(4-クロロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル6(R1 = 4-クロロフェニル,90mg)を得た。一般的な合成方法IXを用いてエステルをカルボン酸7(R1 = 4-クロロフェニル)に加水分解し、次いで一般的な合成方法Vに記載したようにカルボン酸を対応する第一級アミドに変換して象牙色の固形物として標題化合物Ip(50mg)を得た,tlc(シリカゲル)Rf = 0.09。
【0108】
3-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Iq)
一般的な合成方法VIIIに記載したように3-ジアゾ-3H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル5(300mg,1.38mmol)をメタノール(5.0当量,0.3mL,6.91mmol)と反応させて白色固形物として3-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル6(R1 =メチル,210mg)を得た[tlc(シリカゲル),Rf = 0.50]。一般的な合成方法IXを用いてエステルをカルボン酸7(R1 =メチル)に加水分解し、次いで一般的な合成方法Vに記載したようにカルボン酸を対応する第一級アミドに変換して、黄褐色固形物として標題化合物にIq(40mg)を得た,tlc(シリカゲル)Rf = 0.03。
【0109】
3-エトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Ir)
一般的な合成方法VIIIに記載したように3-ジアゾ-3H-インドール-2カルボン酸エチルエステル5(300mg,1.38mmol)をエタノール(5.0当量,0.4mL,6.90mmol)と反応させて白色固形物として3-エトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル6(R1 =エチル)を得た。一般的な合成方法IXを用いてエステルをカルボン酸7(R1 =エチル)に加水分解し、次いで一般的な合成方法Vに記載したようにカルボン酸を対応する第一級アミドに変換して、黄褐色固形物として標題化合物Ir(124mg)を得た,tlc(シリカゲル)Rf = 0.07。
【0110】
3-イソプロポキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Is)
一般的な合成方法VIIIに記載したように3-ジアゾ-3H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル5(300mg,1.38mmol)をイソプロパノール(5.0当量,0.53mg,6.90mmol)と反応させて白色固形物として3-イソプロポキシ-1H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル6(R1 =イソプロピル)(33mg)を得た;tlc(シリカゲル)Rf = 0.45。一般的な合成方法IXを用いてエステルをカルボン酸7(R1 =イソプロピル)に加水分解し、次いで一般的な合成方法Vに記載したようにカルボン酸を対応する第一級アミドに変換して黄褐色固形物として標題化合物Is(126mg)を得た,tlc(シリカゲル)Rf = 0.10。
【0111】
3-tert-ブトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(It)
一般的な合成方法VIIIに記載したように3-ジアゾ-3H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル5(220mg,1.0mmol)をt-BuOH(10.0当量,0.95mL,10.0mmol)と反応させ、白色固形物として3-t-ブトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル6(R1 = tert-ブチル,149mg)を得た。一般的な合成方法IXを用いてエステルをカルボン酸7(R1 = tert-ブチル)に加水分解し、次いで一般的な合成方法Vに記載したようにカルボン酸を対応する第一級アミドに変換し、薄緑色固形物として標題化合物It(39mg)を得た,tlc(シリカゲル)Rf = 0.09。
【0112】
3-ベンジルオキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド(Iu)
一般的な合成方法VIIIに記載したように3-ジアゾ-3H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル5(305mg,1.4mmol)をベンジルアルコール(5.0当量,0.73mL,7.05mmol)と反応させて白色固形物として3-ベンジルオキシ-1H-インドール-2-カルボン酸エチルエステル6(R1 =ベンジル)を得た[MS obs = 296(M+ 1)]。一般的な合成方法IXを用いてエステルをカルボン酸7(R1=ベンジル)に加水分解し、次いで一般的な合成方法Vに記載したようにカルボン酸を対応する第一級アミドに変換し、黄褐色固形物として標題化合物Iu(115mg)を得た,tlc(シリカゲル)Rf = 0.1。
【0113】
第二級アミドIv-Iaiの合成
【化5】

R4=4-モルホリノ、1-ピペリジニル、1-ピロリジニル、4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル又は4-ピペラジン-1-イル
a) カルボニルジイミダゾール/THF及びモルホリン、ピペリジン、ピロリジン又はN-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン;b) NaH/DMF/R1-S-S-R1;c) t-Boc保護基が存在する場合、除去するためのCF3CO2H/HOAC;d) H2O2
【0114】
(3-ベンゼンスルホニル-5-クロロ-1H-インドール-2-イル)-モルホリン-4-イル-メタノン(Iv)
一般的な合成方法VIIaに記載したように5-クロロ-(1H-インドール-2-イル)-モルホリン-4-イル-メタノン8(X = Cl,R4 =モルホリン-4-イル)をフェニルジスルフィドで処理し、3-フェニルスルファニル-5-クロロ-1H-インドール-2-イル)-モルホリン-4-イル-メタノンを得た。一般的な合成方法VIIcに記載したように3-フェニルスルファニル-5-クロロ-1H-インドール-2-イル)-モルホリン-4-イル-メタノンを過酸化水素(30%w/v,2.5mmol)で処理し、白色固形物として標題化合物Ivを得た。
【0115】
(5-フルオロ-3-p-トリルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピロリジン-1-イル-メタノン(Iw)
一般的な合成方法VIaに記載したように5-フルオロ-1H-インドール-2-カルボン酸3(X = F,516mg,3.0mmol)をピロリジン(3.0当量,0.76mL,9.0mmol)で処理して白色固形物として5-フルオロ-1H-インドール-2-イル-ピロリジン-1-イル-メタノン8(X = F,R4 =ピロリジン-1-イル; 620mg,89%)を得た,融点254〜255℃。1H NMR (DMSO-d6) δ11.7 (brs, 1H), 7.5-7.4 (m, 2H), 7.1 (td, 1H), 6.9 (s, 1H), 3.8 (t, 2H), 3.5 (t, 2H), 2.0-1.9 (m, 4H)。一般的な合成方法VIIaに記載したように5-フルオロ-1H-インドール-2-イル-ピロリジン-1-イル-メタノン(327mg,2.0mmol)をp-トリルジスルフィド(450mg,2.6mmol,1.3当量)で処理して白色非晶質固形物として標題化合物Iw(334mg,47%)を得た:1H NMR (DMSO-d6)δ12.2 (brs, 1H), 7.5 (m, 1H), 7.2-7.0 (m, 6H), 3.5 (m, 2H), 2.2 (s, 3H), 1.9-1.7 (m, 4H);m/z = 355 (M + 1).
【0116】
(3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピペリジン-1-イル-メタノン(Ix)
一般的な合成方法VIaに記載したように1H-インドール-2-カルボン酸3(X=H ,750mg,4.66mmol)をピペリジン(3.0当量,1.4mL,13.98mmol)で処理して白色固形物として1H-インドール-2-イル-ピペリジン-1-イル-メタノン8(X = H,R4 =ピペリジン-1-イル;979mg,92%),融点161〜162℃を得た1H NMR (DMSO-d6) δ 11.5 (s, 1H), 7.6 (d, 1H), 7.4 (d, 1H), 7.2 (t, 1H), 7.1 (t, 1H), 6.7 (s, 1H), 3.7 (m, 4H), 1.7-1.5 (m, 6H)。一般的な合成方法VIIaに記載したように1H-インドール-2-イル-ピペリジン-1-イル-メタノン(456mg,2.0mmol)をフェニルジスルフィド(480mg,2.2mmol)で処理して不透明な油として標題化合物Ix(440mg,65%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ 12.1 (brs, 1H), 7.5 (d, 1H), 7.4 (d, 1H), 7.3-7.1 (m, 3H), 7.1-7.0 (m, 4H), 6.7 (s, 1H), 3.6 (m, 2H), 3.4 (s, 8H), 3.2 (m, 2H), 1.8 (m, 4H), 1.4 (m, 2H).m/z = 337(M + 1)
【0117】
(5-フルオロ-3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピロリジン-1-イル-メタノン(Iy)
一般的な合成方法VIaに記載したように5-フルオロ-1H-インドール-2-カルボン酸3(X = F,516mg,3.0mmol)をピロリジン(3.0当量、0.76mL、9.0mmol)で処理して白色固形物として5-フルオロ-1H-インドール-2-イル-ピロリジン-1-イル-メタノン8(X = F,R4 =ピロリジン-1-イル; 620mg,89%)を得た,融点254〜255℃。1H NMR (DMSO-d6) δ 11.7 (brs, 1H), 7.5-7.4 (m, 2H), 7.1 (td, 1H), 6.9 (s, 1H), 3.8 (t, 2H), 3.5 (t, 2H), 2.0-1.9 (m, 4H)。一般的な合成方法VIIaに記載したように5-フルオロ-1H-インドール-2-イル)-ピロリジン-1-イル-メタノン(200mg,0.86mmol)をフェニルジスルフィド(1.5当量,281mg,1.29mmol)で処理して淡黄色の固形物として標題化合物Iy(220mg,75%)を得た,融点184〜186℃。1H NMR (DMSO-d6) δ 12.3 (brs, 1H), 7.5 (m, 1H), 7.2 (m, 2H), 7.1-7.0 (m, 5H), 3.5 (m, 2H), 1.9-1.7 (m,4H);m/z = 341 (M + 1).
【0118】
[3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン(Iz)
一般的な合成方法VIaに記載したように1H-インドール-2-カルボン酸3(X =H、2.0g、12.4mmol)をピロリジン(3.0当量,3.1mL,37.2mmol)で処理して白色固形物として1H-インドール-2-イル-ピロリジン-1-イル-メタノン8(X = H,R4 =ピロリジン-1-イル; 2.46g,93%)を得た,融点213〜214℃。1H NMR (DMSO-d6) δ 11.5 (brs, 1H), 7.6 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.4 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.2 (m, 1H), 7.1 (m, 1H), 6.9 (m, 1H), 3.8 (m, 2H), 3.5 (m, 2H), 1.9-1.8 (m, 4H)。一般的な合成方法VIIaに記載したように1H-インドール-2-イル-ピロリジン-1-イル-メタノン(428mg,2.0mmol)を2-アミノフェニルジスルフィド(1.4当量,694mg,2.8mmol)で処理して白色固形物として標題化合物Iz(468mg,69%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ 11.9 (brs, 1H), 7.5 (d, 1H), 7.4 (d, 1H), 7.2 (m, 2H), 7.1 (m, 1H), 7.0 (m, 1H), 6.9 (d, 1H), 6.7 (m, 1H), 5.5 (brs, 2H), 3.5 (m, 2H), 1.9-1.7 (m,4H);m/z = 338 (M + 1).
【0119】
[3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン塩酸塩(Iaa)
1N HCl(1mL)入りのEt2O(5mL)中の[3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン(Iz,60mg)を撹拌し、濾過により沈殿を集めた。濾過ケーキをEt2Oで洗浄して乾燥し、白色固形物として標題化合物Iaa(48mg)を得た,融点154〜155℃;m/z = 338(M + 1)。
【0120】
[3-(2-アミノフェニルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピペリジン-1-イル-メタノン(Iab)
一般的な合成方法VIaに記載したように1H-インドール-2-カルボン酸3(X=H,750mg,4.66mmol)をピペリジン(3.0当量,1.4mL,13.98mmol)で処理して白色固形物として1H-インドール-2-イル-ピペリジン-1-イル-メタノン8(X=H,R4 =ピペリジン-1-イル;979 mg,92%)を得た。一般的な合成方法VIIaに記載したように1H-インドール-2-イル-ピペリジン-1-イル-メタノン(116mg,0.51mmol)を2-アミノフェニルジスルフィド(347mg,1.4当量)で処理して黄褐色固形物として標題化合物Iab(103mg,29%)を得た,m/z = 352,M + 1。
【0121】
[3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-5-フルオロ-1H-インドール-2-イル]-ピペリジン-1-イル-メタノン(Iac)
一般的な合成方法VIaに記載したように5-フルオロ-1H-インドール-2-カルボン酸3(X = F,1.7g,9.5mmol)をピペリジンで処理して白色固形物として5-フルオロ-1H-インドール-2-イル-ピペリジン-1-イル-メタノン8(X = F,R4 =ピペリジン-1-イル;2.3g,100%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ 11.7 (brs, 1H), 7.5-7.3 (m, 2H), 7.1-7.0 (m, 1H), 6.7 (s, 1H), 3.7 (m, 4H), 1.7-1.5 (m, 6H)。一般的な合成方法VIIaに記載したように5-フルオロ-1H-インドール-2-イル-ピペリジン-1-イル-メタノン(125mg,0.51mmol)を2-アミノフェニルジスルフィド(347mg,1.4当量)で処理し、象牙色の固形物として標題化合物にIac(92mg,25%)を得た,m/z = 369(M + 1)。
【0122】
[5-フルオロ-3-(p-トルエン-4-スルフィニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン(Iad)
1w(100mg,0.28mmol)をMeCN(5mL)中の過酸化水素(5mL)及びNa2CO3(50mg)で処理して白色固形物として標題化合物Iad(10mg)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ 12.4 (brs, 1H), 7.6 (d, 2H), 7.5 (m, 1H), 7.3 (d, 2H), 7.1-7.0 (m, 2H), 3.6-3.5 (m, 4H), 2.3 (s, 3H), 1.9 (m, 4H);m/z = 371 (M + 1).
【0123】
(3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピペラジン-1-イル-メタノン塩酸塩(1ae)
一般的な合成方法VIaに記載したように1H-インドール-2-カルボン酸3(X=H,1.0mg,6.21mmol)をN-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン(1.10当量,1.3g,6.83mmol)で処理して白色固形物として4-(1H-インドール-2-カルボニル)-ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル8 (X = H,R4 =ピペラジン-4-イル-1-カルボン酸tert-ブチルエステル;2.0g,99%)を得た,融点205〜206℃。1H NMR (DMSO-d6) δ 11.6 (brs, 1H), 7.6 (d, 1H), 7.4 (d, 1H), 7.2 (t, 1H), 7.1 (t, 1H0, 6.8 (s, 1H), 3.8-3.7 (m, 4H), 3.5-3.4 (m, 4H), 1.4 (s, 9H);m/z = 330 (M + 1)。一般的な合成方法VIIaに記載したように4-(1H-インドール-2-カルボニル)-ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(329g,1.0mmol)をフェニルジスルフィド(283mg,1.3当量,1.3mmol)で処理し、次いでHOAc中のトリフルオロ酢酸(4mL)で処理してBoc保護基を除去し、(3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピペラジン-1-イル-メタノンを得た。(3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピペラジン-1-イル-メタノンをEtOAcに溶解し、1N HCl/Et2Oで処理し、黄褐色固形物として標題化合物Iae(103mg,29%)を得た,融点240℃(分解);m/z = 338(M + 1)。
【0124】
[5-フルオロ-3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン(Iaf)
一般的な合成方法VIaに記載したように5-フルオロ-1H-インドール-2-カルボン酸3(X=F,516mg,3.0mmol)をピロリジン(3.0当量,0.76mL,9.0mmol)で処理して白色固形物として5-フルオロ-1H-インドール-2-イル-ピロリジン-1-イル-メタノン8(X = F,R4 =ピロリジン-1-イル;620mg,89%)を得た,融点254〜255℃。1H NMR (DMSO-d6) δ11.7 (brs, 1H), 7.5-7.4 (m, 2H), 7.1 (td, 1H), 6.9 (s, 1H), 3.8 (t, 2H), 3.5 (t, 2H), 2.0-1.9 (m, 4H)。一般的な合成方法VIIaに記載したように5-フルオロ-1H-インドール-2-イル-ピロリジン-1-イル-メタノン(464mg,2.0mmol)を2,2'-ジチオピリジン(220mg,2.6mmol,1.3当量)で処理して白色固形物として標題化合物Iaf(258mg,38%)を得た:融点204〜206℃。1H NMR (DMSO-d6) δ 12.2 (brs, 1H), 7.5 (m, 1H), 7.2-7.0 (m, 6H), 3.5 (m, 2H), 2.2 (s, 3H), 1.9-1.7 (m, 4H);m/z = 355 (M + 1).
【0125】
[3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン(Iag)
一般的な合成方法VIaに記載したように1H-インドール-2-カルボン酸3(X =H,2.0g,12.4mmol)をピロリジン(3.0当量,3.1mL,37.2mmol)で処理して1H-インドール-2-イル-ピロリジン-1-イル-メタノン8 (X = H,R4 =ピロリジン-1-イル;2.46g,93%)を得た,融点213〜214℃。1H NMR (DMSO-d6) δ 11.5 (brs, 1H), 7.6 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.4 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.2 (m, 1H), 7.1 (m, 1H), 6.9 (m, 1H), 3.8 (m, 2H), 3.5 (m, 2H), 1.9-1.8 (m, 4H)。一般的な合成方法VIIaに記載したように1H-インドール-2-イル-ピロリジン-1-イル-メタノン(214mg,1.0mmol)を2,2'-ジチオピリジン(1.3当量,286mg,1.3mmol)で処理して淡黄色の固形物として標題化合物Iag(200mg,69%)を得た,融点211〜213℃。1H NMR (DMSO-d6) δ 12.3 (brs, 1H), 8.4 (m, 1H), 7.5 (m, 2H), 7.2-7.0 (m, 3H), 6.7 (d, 1H), 1.9-1.7 (m,4H);m/z = 342 (M + 1).
【0126】
ピペリジン-1-イル-[3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-メタノン(Iah)
一般的な合成方法VIaに記載したように1H-インドール-2-カルボン酸3(X=H,750mg,4.66mmol)をピペリジン(3.0当量,1.4mL,13.98mmol)で処理して白色固形物として1H-インドール-2-イル-ピペリジン-1-イル-メタノン8(X=H,R4 =ピペリジン-1-イル;979mg,92%)を得た。一般的な合成方法VIIaに記載したように1H-インドール-2-イル-ピペリジン-1-イル-メタノン(114mg,0.50mmol)を2,2'-ジチオピリジン(1.3当量,143mg)で処理して淡黄色の固形物として標題化合物Iah(117mg,69%)を得た,m/z = 338(M + 1)。
【0127】
[5-フルオロ-3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピペリジン-1-イル-メタノン(Iai)
一般的な合成方法VIaに記載したように5-フルオロ-1H-インドール-2-カルボン酸3(X = F,1.7g,9.5mmol)をピペリジンで処理して白色固形物として5-フルオロ-1H-インドール-2-イル-ピペリジン-1-イル-メタノン8(X = F,R4 =ピペリジン-1-イル;2.3g,100%)を得た。1H NMR (DMSO-d6) δ 11.7 (brs, 1H), 7.5-7.3 (m, 2H), 7.1-7.0 (m, 1H), 6.7 (s, 1H), 3.7 (m, 4H), 1.7-1.5 (m, 6H). 一般的な合成方法VIIaに記載したように5-フルオロ-1H-インドール-2-イル-ピペリジン-1-イル-メタノン(123mg,0.50mmol)を2,2'-ジチオピリジン(1.3当量,143mg)で処理して黄色固形物として標題化合物Iai(120mg,68%)を得た,m/z = 356(M + 1)。
【0128】
【表1】

【0129】
【表2】

【0130】
【表3】

【0131】
生物学的方法
CK1ε阻害剤をスクリーニングするためのカゼインキナーゼε33P-ATPフィルタープレートアッセイ
目的:このアッセイでは、in vitro 33P-ATP濾過アッセイを用いて酵素カゼインキナーゼ1εによる基質カゼインのリン酸化を阻害する化合物の効果を測定する。IC50値又は10マイクロモル濃度の%阻害を得るために化合物を5種の濃度で2通り試験して表4にまとめた。
【0132】
物質:
装置:
ベックマンバイオメク2000液体処理ロボット(Beckman Biomek 2000 Liquid Handling Robot)
ベックマンマルチメク 96自動96チャネルピペッター(Beckman Multimek 96 Automated 96 Channel Pipettor)
ミリポア真空マニホールドベイシックキット(Millipore Vacuum Manifold Basic Kit)#
MAVM0960R
タイターテックマルチドロップ液体分配器(Titertek Multidrop Liquid Dispenser)
パッカードトップカウントNXT液体シンチレーションカウンター(Packard TopCount NXT
Liquid Scintillation Counter)
【0133】
プレート:
コスターEIA/RIAプレート(Costar EIA/RIA Plate)#9018
ファルコン96穴U底ポリスチレンプレート(Falcon 96 well U bottom Polystyrene Plate)#353910
ミリポアマルチスクリーン96穴濾過プレート(Millipore Multiscreen 96 well Filtration Plates)#MAPHNOB50
ミリポアマルチスクリーントップカウントアダプタープレート(Millipore Multiscreen
TopCount Adapter Plates)#SE3M203V6
【0134】
化学物質:
シグマ(SIGMA)#E-3889からのEGTA
シグマ#C-4032からのカゼイン(脱ホスホリル化された)
シグマ#A-7699からのATP
フィッシャーバイオテック(Fisher Biotech)#BP1725からのDTT
シグマ#T-6399からのトリクロロ酢酸
パーキンエルマーライフサイエンス(Perkin Elmer Life Sciences)#NEG-602Hからのγ-33P-ATP 1mCi/37MBq
【0135】
酵素:
当業者によく知られた発酵及び精製方法から得た最終濃度0.58mg/mlのカゼインキナーゼ1ε。上記をマイナス80℃で100μLアリコートとして保存した。
化合物:
試験用の化合物は、100%DMSOに溶解して凍結した10mM化合物保存液として供給した。
【0136】
アッセイ条件:
穴当たりの最終的な総アッセイ容積は、以下のようにして50μLにした:
希釈された化合物保存液(10,1,0.1,0.01又は0.001μM)5μL、
最終濃度0.2μg/μLの脱ホスホリル化されたカゼイン5μL、
最終濃度3ng/μLのCK1ε20μL及び最終濃度0.02uCi/μLのγ-33P-ATP20μLを冷ATP(最終的に10μM)と混合した。
【0137】
方法論:
1. 新たなアッセイ緩衝液500mLを調製した:50mMトリスpH 7.5,10mM MgCl2,2mM DTT及び1mM EGTA
2. 評価する化合物は、100%DMSOに溶解した10mM保存液10μLとして得た。バイオメク2000液体処理ロボットを用いて段階希釈を行い、10、1、0.1、0.01及び0.001μMの最終的な
化合物希釈溶液を得、ファルコンU底プレートに5μLの添加物として加えた。典型的に、96穴プレート当たり8種の化合物を試験して列1及び12を対照穴として用いた。常用スクリーニングアッセイは、32種の化合物から構成され、これは4枚のアッセイプレートにあたる。
3. アッセイプレートマップは、図1のパターンCK1ePlateMap.xlsに従って設定した
4. 化合物5μLを記載したように加えてから、脱ホスホリル化カゼイン(蒸留H2Oに溶解した)(0.2μg/μL)5μL及び20μL CK1ε(3ng/uL)を適当な穴に加えた。
5. 最終的にγ-33P-ATP(0.02uCi/uL)/10μM冷ATP20μLを加えた(穴当たり約2x106 CPM)。
6. 50μLを超える反応容積を含むファルコンU底アッセイプレートをかき混ぜてから室温で2時間インキューベートした。
7. 2時間の終わりに、ベックマンマルチメクを用いてアッセイプレートに氷冷2mM冷ATP(アッセイ緩衝液中で作る)65μLを添加することで反応を停止した。8. 同時に、蒸留H2O中に作成した100%氷冷TCA25μLをミリポアMAPH濾過プレートの数に合わせて加えた。
9. 携帯型8チャネルピペッターを用いて、反応混合物100μLをファルコンU底プレートから予めTCAに浸漬したミリポアMAPH濾過プレートに移した。
10. ミリポアMAPH濾過プレートを穏やかに混合し、室温で少なくとも30分間静置してタンパク質を沈殿させた。
11. 30分後、濾過プレートをミリポア真空マニホールドに置き、MAPHフィルターはより高い真空設定で「エアロック」の傾向があるため8mm Hg以下で濾過した。
12. 濾過プレートを順次洗浄し、そして20%TCA2x150uL、10%TCA2x150μL及び5%TCA2x150uL(全部でプレート当たり6回洗浄/穴当たり900μL)で濾過した。
13. プレートを室温で一夜乾燥した。翌日タイターテクマルチドロップ分配器を用いて各穴にパッカードMicroscint-20シンチレーション液体40μLを加え;プレートを密閉し、パッカードトップカウントNXTシンチレーションカウンターで2分/穴についてカウントした(CPM値/穴を集めた)。
【0138】
計算:
1. 1分当たりのカウント数(CPM)のデータを集め、そして専用のデータ計算及び記録データベースにインポートした(IDBSバージョン5.0によるActivity Base)。
2. 各プレートについての列1は、阻害化合物が全くない場合の酵素の総数リン酸化活性を反映しており、従って100%を表す。列12は、阻害化合物及び酵素がない場合のすべての非特異的リン酸化/保持された放射活性を反映する。典型的には、全体のCPMの約1%が「非特異的」であった。
3. 各プレートについて「全体の」及び「非特異的な」CPMを測定することによって試験化合物のそれぞれの濃度について基質をリン酸化する酵素能力の%阻害を決定することができる。この%阻害データは、Activitybase計算プロトコールを含む非線形曲線適合プログラム(DG0027-CK1-D-BL)(研究:RESR0290)を用いて化合物についてのIC50値(化合物が50%酵素活性を阻害することができる濃度)を算出するのに使用した。
4. 動態学的研究では、このアッセイシステムにおいてATPについてのKm値は21μMであると測定された。
【0139】
CKIδ阻害剤についてカゼインキナーゼ1δストレプトアビジン親和性膜プレートアッセイ目的:ストレプトアビジン親和性膜(SAM)中のCKIδ活性について試験化合物をビオチンキャプチャープレート(プロメガV7542)を用いて評価すること。
供給者及び試薬:
HEPESシグマ# H3375 MW = 238.3;β-グリセロールリン酸シグマ# G-9891 MW = 216.0;EDTA0.5M,pH 8.0 GibcoBRL;オルトバナジウム酸ナトリウム ACROS # 205330500 MW = 183.9;DTT(DL-ジチオスレイトール) シグマ# D-5545MW = 154.2;塩化マグネシウム ACROS # 41341-5000 MW = 203.3;ATPシグマ# A-7699MW = 551.1;γ33P ATP NEN # NEG602H;カゼインキナーゼ1δシグマ# C4455;カゼインキナーゼ1基質 ニューイングランドペプチドビオチン-RRKDLHDDEEDEAMSITA MW = 2470
【0140】
以下のようにキナーゼ緩衝液(kB,100mL)を調製した:
50mM HEPES,pH 8.0 1M保存液5mL
10mM MgCl 1M保存液1mL
10mMβ-グリセロリン酸 1M保存液1mL
2.5mM EDTA 500mM保存液500μL
1mMオルトバナジウム酸ナトリウム 1M保存液100μL
1mM DTT 1M保存液100μL
水 92.3mL
以下のようにATPマスター混合物を調製した:
水中の1M ATP溶液(1M ATP保存液)1mLを調製した。
12mLキナーゼ緩衝液(KB)に:
1M ATP溶液12μlを加え、
次いで33P ATP(10uCi/μl)12μl、NEG602H、パーキンエルマー(Perkin Elmer)を加えた。
【0141】
反応プレートを調製し、以下のようにアッセイを実施した:
1. 試験化合物阻害剤と共に又はなしで反応プレート穴に穴当たり10μLのKBを加えた。
2. 穴当たり60μLのKBを加えた。
3. 穴当たり10μLの500μMペプチド基質を加えた。
4. プレートを37℃にした。
5. 穴当たりCK1δの1:10希釈液10μL =0.42μg又は0.68単位を加えた。
6. 穴当たり10μLのATPマスター混合物で反応を開始した。
7. 反応プレートを37℃のインキュベーター中に10分間置いた。
8. 1M ATP10μLで反応を停止した。20μLをSAMプレートに移し、室温で10分間放置した。
9. 2M NaCl溶液100μLで3回、次いで2M NaCl及び1%H3PO4溶液100μLで3回、次いで真空マニホールドにおいて水100μlで3回洗浄した。
10. ランプ下で濾過プレートを30分間乾燥した。
11. プレートの底面を密閉し、MicroScint 20(20μL)を加えた。
12. TOPCOUNTで読みとった。
【0142】
細胞の概日アッセイ実験方法
細胞培養:Mper1-luc Rat-1線維芽細胞(P2C4)培養物を3〜4日(〜10〜20%密生)毎に150cm2の穴をあけたポリスチレン組織培養フラスコ(Falcon # 35-5001)上に分配し、そして37℃及び5%CO2で成長培地[EMEM(Cellgro #10-010-CV);10%ウシ胎児血清(FBS;ギブコ#16000-044);及び50I.U./mLペニシリン-ストレプトマイシン(Cellgro #30-001-C1)]中に維持した。
【0143】
安定なトランスフェクション:30〜50%密生のRat-1線維芽細胞培養物に、安定なトランスフェクションのためのゼオシン耐性の選択可能なマーカー含むベクター及びmPer-1プロモーター駆動ルシフェラーゼレポーター遺伝子で同時にトランスフェクションした。24〜48時間後、培養物を96穴プレートに分配し、50〜100μg/mLゼオシン(インビトロゲン(Invitrogen)#45-0430)で補充された成長培地中に10〜14日間維持した。ゼオシン耐性のある安定なトランスフェクタントを100μMルシフェリン(プロメガ(Promega)#E1603)入りの成長培地で補充してトップカウントシンチレーションカウンター(パッカードモデル#C384V00)でルシフェラーゼ活性を検定することによってレポーター発現について評価した。ゼオシン-耐性及びmPer1駆動ルシフェラーゼ活性の両方を発現するRat-1クローンを50%ウマ血清[HS(ギブコ#16050-122)]血清ショックによって同調させて、概日レポーター活性について評価した。Mper1-luc Rat-1線維芽細胞クローンP2C4を化合物試験に選んだ。
【0144】
同調プロトコール:Mper1-luc Rat-1線維芽細胞(P2C4)を不透明な96穴組織培養プレート(パーキンエルマー#6005680)上で培養し(40〜50%密生)、培養物が100%密生(48〜72時間)に達するまで、100μg/mLゼオシン(インビトロゲン#45-0430)で補充された成長培地中に維持した。同調培地[EMEM(Cellgro #10-010-CV);100I.U./mLペニシリン-ストレプトマイシン(Cellgro #30-001-C1);50%HS(ギブコ#16050-122)]100μLを用いて37℃及び5%CO2で2時間、培養物を同調させた。同調後、培養物を室温で10分間EMEM(Cellgro #10-010-CV)100μLですすいだ。すすいだ後、培地をCO2に依存しない培地[CO2I(ギブコ(Gibco)#18045-088);L-グルタミン(セレグロ(Cellgro) #25-005-C1)2mM;100I.U./mLペニシリン-ストレプトマイシン(セレグロ #30-001-C1);100μMルシフェリン(プロメガ#E1603)] 300μLで置き換えた。概日効果について試験する化合物を0.3%DMSO(最終濃度)中のCO2に依存しない培地に加えた。培養物をトップシール(TopSeal)-Aフィルム(パッカード#6005185)で直ちに密閉し、ルシフェラーゼ活性測定のために移した。
【0145】
自動化された概日レポーター測定:同調した後、組織培養インキュベーター(フォルマサイエンティフィックモデル(Forma Scientific Model)#3914)中でアッセイプレートを37℃に維持した。トップカウントシンチレーションカウンター(パッカードモデル#C384V00)で相対的な光出力を測定することによってin vivoルシフェラーゼ活性を評価した。ORCAロボットアーム(ベックマンインストルメンツ(Beckman Instruments))及びSAMI-NT自動化されたスケジューリングソフトウェア(バージョン3.3;SAGIAN/ベックマンインストルメンツ)を用いてプレートをインキュベーターから読取り機まで移した。
【0146】
データ分析:データのインポート、操作及びグラフ化するためにマイクロソフトエクセル及びXLfit(バージョン2.0.9;IDBS)を使用した。数日にわたる相対的な光出力の最小値間の間隔を測定することによって又はフーリエ変換によっていずれかにより周期分析を実施した。両方の方法では、概日周期の範囲にわたってほとんど同一の周期が推定された。効力はECΔτ+1hとして報告し、これは周期の1時間延長を誘発するのに有効なマイクロモル濃度として示した。XLfitにおいて周期の変化(y軸)対試験化合物の濃度(x軸)として示したデータに双曲線を適合させることによってデータを分析し、そしてECΔτ+1hをこの曲線から補間した。
【0147】
ラット概日周期アッセイ
このアッセイでは、in vivo概日周期における試験化合物の効果を評価するための手段を提供する。出発体重200〜250gの雄ウィスターラット(Charles River)を用いた。管理された環境で試験する前にそれぞれの動物を個々に収容し、12/12時間(h)の明/暗周期(06:00時に照光)下で24〜28℃の温熱中間の周囲温度を維持して自由に標準飼料及び水を与えた。それぞれのラットに腹腔内バイオテリメトリートランスミッター(intra-abdominal biotelimetry transmitter)(Minnimitter-VMFH,シリーズ4000,Sunriver,OR)を移植し、中核体温及び一般的な活性をモニターした。製造者の推奨に従って各トランスミッターをケタミン/キシラジン(78/13mg,kg-1,ip)全身麻酔下で移植し、7〜10日で動物から回収した。回復期の後、各動物の内部概日周期を定着させるため、一定の暗周期(0/24時間,明/暗周期)に動物を置き、試験化合物を投与する前に7〜10日間動物を自由に走らせた。投与処方計画において、48時間の周期にわたり特定のCT(概日時間)で動物に賦形剤又は化合物(ip、sc又はpo)を摂取させた。投与処方計画を完了した後一定の暗周期(0/24時間の明/暗周期)で5〜7日間動物をモニターした。各実験では、腹部温度及び一般的な活性データを5分間隔で集めた。分析には、ミニミッター(Minimitter)によって供給されたバイタルビュー(VitalView)及びアクチビュー(Actiview)ソフトウェアを用いた。水平線上の1日目に各ラットについて得た観察された腹部温度をプロットした。概日時間(x軸)で横座標線より下に観察された腹部温度の線を並べた。同様のやり方で個々の線としてそれぞれの連続した日について観察された腹部温度をプロットして縦座標(y軸,日)を得た。毎日生じる中核体温の初期増加を直線でつなぎ、これは個々のラットについていずれか所定の日の概日位相を評価するため複数日の使用が可能である。投与の前及び後に位相の複数日評価の直線を用いることによって位相における治療効果を測定した。活性化合物で治療すると治療の前及び後の賦形剤対照の線に対して、化合物治療前の中核体温の毎日の初期増加に関する直線と化合物治療後の中核体温の初期増加に関する直線との変位がより大きくなる。治療する動物について投与前の日に推定されたそれらの位相間の差を算出した。スチューデントt検定と共にANOVAを用いて群間の平均体温概日シフト(分)を比較した。
【0148】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】CKIε濾過アッセイプレートマップを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物又は該化合物の立体異性体、鏡像異性体、ラセミ体若しくは互変異性体、又はその医薬上許容しうる塩の治療上有効量を患者に投与することからなる、カゼインキナーゼIε活性の阻害によって改善される疾患又は障害にかかっている患者の治療方法。
式中、
Xは、H、Cl、F、Br、NO2、CN、OR2、NR2R2、HNSO2-C1-3アルキル又はNHCO-C1-3アルキルであり;
Yは、-S(O)n-又は-O-であり、ここにおいて、nは0、1又は2であり;
R1は、
1) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
a) C1-5アルコキシ、
b) OH、
c) ハロゲン、
d) NR2R2
e) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
i) OH又は
ii) C1-5アルコキシ
で置換されたC1-5アルキル
で置換されたアリール;
2) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
a) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
i) OH又は
ii) C1-5アルコキシ
で置換されたC1-5アルキル、
b) C1-5アルコキシ、
c) OH、
d) ハロゲン、又は
e) NR2R2
で置換されたヘテロ環;
3) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
a) C1-5アルキル、
b) C1-5アルコキシ、
c) OH、又は
d) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
i) C1-5アルキル、
ii) C1-5アルコキシ、
iii) OH、
iv) ハロゲン、又は
v) NR2R2
で置換されたアリール
で置換されたC1-5アルキルであり;
Zは、
1) C(=O)NR2R3又は
2) C(=O)R4であり;
R2は、水素又はC1-3アルキルであり;
R3は、水素、C1-5アルキル又はC3-6シクロアルキルであり;
R4は、非置換、又は1つ又はそれ以上の
1) C1-5アルキル、
2) C1-5アルコキシ、
3) OH、
4) ハロゲン、又は
5) NR2R2
で置換された1-ピペリジニル、1-ピロリジニル、1-ピペラジニル、又は、4-モルホリニルである。
【請求項2】
カゼインキナーゼIε活性の阻害により概日リズム周期を延長する請求項1記載の方法。
【請求項3】
疾患又は障害が気分障害又は睡眠障害である請求項1記載の方法。
【請求項4】
障害が気分障害である請求項3記載の方法。
【請求項5】
気分障害がうつ病性障害及び双極性障害からなる群より選ばれる請求項4記載の方法。
【請求項6】
うつ病性障害が大うつ病性障害である請求項5記載の方法。
【請求項7】
双極性障害が双極I型障害及び双極II型障害からなる群より選ばれる請求項5記載の方法。
【請求項8】
障害が睡眠障害である請求項3記載の方法。
【請求項9】
睡眠障害が概日リズム睡眠障害である請求項8記載の方法。
【請求項10】
概日リズム睡眠障害が交代勤務睡眠障害、時差症候群、睡眠相前進症候群及び睡眠相後退症候群からなる群より選ばれる請求項9記載の方法。
【請求項11】
式Iにおいて
YはS(O)2であり、
ZはC(=O)NH2又はC(=O)NHCH3であり、そして
R1はフェニル又はピリジニルである、
請求項1記載の方法。
【請求項12】
式Iにおいて
ZはC(=O)NH2であり、そして
R1はフェニルである、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
化合物が、
3-ベンゼンスルホニル-5-クロロ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、及び
3-ベンゼンスルホニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミド
からなる群より選ばれる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
式Iにおいて、
YはSであり、
ZはC(=O)NHCH3であり、そして
R1はフェニル又はピリジニルである、
請求項11記載の方法。
【請求項15】
化合物が、
3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-カルボン酸メチルアミド、及び
3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-カルボン酸メチルアミド
からなる群より選ばれる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
式Iにおいて
YはOであり、
ZはC(=O)NH2であり、そして
R1はフェニル、置換されたフェニル、C1-5アルキル又は置換されたC1-5アルキルである、
請求項1記載の方法。
【請求項17】
化合物が、
3-フェノキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(4-メトキシ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(4-フルオロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(2-フルオロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(4-クロロ-フェノキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-エトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-イソプロポキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-tert-ブトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、及び
3-ベンジルオキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド
からなる群より選ばれる、請求項16記載の方法。
【請求項18】
式Iにおいて、
YはS、SO又はS(O)2であり、
ZはC(=O)R4であり、そして
R4は1-ピペリジニル、1-ピロリジニル、1-ピペラジニル又は4-モルホリニルである、
請求項1記載の方法。
【請求項19】
化合物が
(3-ベンゼンスルホニル-5-クロロ-1H-インドール-2-イル)-モルホリン-4-イル-メタノン、
(5-フルオロ-3-p-トリルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピロリジン-1-イル-メタノン、
(3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピペリジン-1-イル-メタノン、
(5-フルオロ-3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピロリジン-1-イル-メタノン、
[3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン、
[3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピペリジン-1-イル-メタノン、
[3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-5-フルオロ-1H-インドール-2-イル]-ピペリジン-1-イル-メタノン、
[5-フルオロ-3-(p-トルエン-4-スルフィニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン、
(3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-イル)-ピペラジン-1-イル-メタノン塩酸塩、
[5-フルオロ-3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン、
[3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピロリジン-1-イル-メタノン、
ピペリジン-1-イル-[3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-メタノン、及び
[5-フルオロ-3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-イル]-ピペリジン-1-イル-メタノン
からなる群より選ばれる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
式Iにおいて、
YはSであり、
ZはC(=O)NH2であり、そして
R1はピリジニルである、
請求項1記載の方法。
【請求項21】
化合物が、3-(ピリジン-2-イルスルファニル)-1H-インドール-2-カルボン酸アミドである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
式Iにおいて、
YはSであり、
ZはC(=O)NH2であり、そして
R1はフェニル又は置換されたフェニルである、
請求項1記載の方法。
【請求項23】
化合物が、
3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
5-ブロモ-3-フェニルスルファニル-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(3-フルオロ-フェニルスルファニル)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、
3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-5-ブロモ-1H-インドール-2-カルボン酸アミド、及び
3-(2-アミノ-フェニルスルファニル)-1H-インドール-2-カルボン酸アミド
からなる群より選ばれる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
式I:
【化2】

の化合物又は該化合物の立体異性体、鏡像異性体、ラセミ体若しくは互変異性体、又はその医薬上許容しうる塩の治療上有効量を患者に投与することからなる、患者においてカゼインキナーゼIε活性を阻害する方法。
式中、
Xは、H、Cl、F、Br、NO2、CN、OR2、NR2R2、HNSO2-C1-3アルキル又はNHCO-C1-3アルキルであり;
Yは、-S(O)n-又は-O-であり、ここにおいて、nは0、1又は2であり;
R1は、
1) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
a) C1-5アルコキシ、
b) OH、
c) ハロゲン、
d) NR2R2
e) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
i) OH又は
ii) C1-5アルコキシ
で置換されたC1-5アルキル
で置換されたアリール;
2) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
a) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
i) OH又は
ii) C1-5アルコキシ
で置換されたC1-5アルキル、
b) C1-5アルコキシ、
c) OH、
d) ハロゲン、又は
e) NR2R2
で置換されたヘテロ環;
3) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
a) C1-5アルキル、
b) C1-5アルコキシ、
c) OH、又は
d) 非置換、又は1つ又はそれ以上の
i) C1-5アルキル、
ii) C1-5アルコキシ、
iii) OH、
iv) ハロゲン、又は
v) NR2R2
で置換されたアリール
で置換されたC1-5アルキルであり;
Zは、
1) C(=O)NR2R3又は
2) C(=O)R4であり;
R2は、水素又はC1-3アルキルであり;
R3は、水素、C1-5アルキル又はC3-6シクロアルキルであり;
R4は、非置換、又は1つ又はそれ以上の
1) C1-5アルキル、
2) C1-5アルコキシ、
3) OH、
4) ハロゲン、又は
5) NR2R2
で置換された1-ピペリジニル、1-ピロリジニル、1-ピペラジニル又は4-モルホリニルである。
【請求項25】
カゼインキナーゼIε活性の阻害により概日リズム周期が延長される、請求項24記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−510704(P2008−510704A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527987(P2007−527987)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/029306
【国際公開番号】WO2006/023590
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(500137976)アベンティス・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテツド (76)
【Fターム(参考)】