説明

カメラ付ドアホン子機

【課題】 照明をカメラカバー内から外部へ移動させても別途カバー等を必要とせず、部材の削減が可能なカメラ付ドアホン子機を提供する。
【解決手段】 呼出ボタン1は、照明用LEDの発する光を透過させる光透過性部材で形成され、呼出ボタン1の背部に照明用LEDが配置される。呼出ボタン1は、カメラ付ドアホン子機のケースに固定される固定部15と、呼出信号を発生させるための呼出スイッチに係合する係合部1cと、押下操作を可能とする弾性片14と、通電表示部5とを備えた合成樹脂製の呼出ボタン部材12に一体に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関ドア付近に設置されて居住者を呼び出すためのカメラ付ドアホン子機に関し、詳しくは夜間でもカメラによる来訪者の撮像を可能とするために設けた照明の配置を改良したカメラ付ドアホン子機に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関ドア付近に設置されて居住者を呼び出すためのカメラ付ドアホン子機は、夜間でも来訪者を撮像できるように照明としてLEDを内蔵したものが普及している。この場合、LED設置部から雨水が浸入することが無いように、カメラを保護するために設けられているカメラカバー内にLEDを収容したものが普及している。
ところが、カメラカバー内にLEDを配置した場合、LEDが発する光がカメラカバーに反射してカメラに映り込んでしまう状況が発生してしまうため、これを防止するためにカメラとLEDの間にリブ等の遮蔽部材を設けて映りこみを防止していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2071025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
居住者の希望としては、来訪者の顔を確認し易いように来訪者にカメラを見ることを望むが、従来のカメラ付ドアホン子機は上述したようにカメラとLEDが接近して設置されているため、来訪者としてはLEDの光が眩しくカメラを直視し辛かった。また、カメラカバーの反射によるカメラへの映りこみを防止するために別途リブ等を設けていたため、構成が複雑化し部品点数が増えていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、照明をカメラカバー内から外部へ移動させても別途カバー等を必要とせず、部材の削減が可能なカメラ付ドアホン子機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者を撮像するカメラと、夜間照明用のLEDと、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタンと、来訪者が居住者と通話するためのマイク及びスピーカとを有するカメラ付ドアホン子機であって、LEDは呼出ボタン背部に配置されて、当該呼出ボタンはLEDの発する光を透過させる光透過性部材で形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、呼出ボタンの背部にLEDを配置するため、別途照明取付エリアを確保することなくカメラから離して設置することができ、眩しさを軽減できる。そして、カメラとLEDを離して設置できるため、カメラへの映りこみを防止する部材が必要無くなる。また、呼出ボタンがLEDのカバー部材となるので、LEDに別途カバー部材を設ける必要がない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、呼出ボタンの背面はダイヤカットが施され、LEDの発する光が拡散して透過することを特徴とする。
この構成によれば、LEDの光が拡散するため、カメラの撮像範囲全体にわたって光を照射させることができ、見やすい映像の撮像が可能となる。また、ダイヤカットによりLEDが外部から視認し難くなり、外観上も好ましい。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、呼出ボタンは、カメラ付ドアホン子機ケースに固定するための固定部と、呼出信号を発生させるためのスイッチ機構に係合する係合部と、押下操作を可能とする弾性片と、通電状態であることを発光表示する通電表示部とを備えた合成樹脂製の呼出ボタン部材に一体に形成され、固定部が呼出ボタン部材の上端に配置されると共に呼出ボタンは下端に配置され、固定部と呼出ボタンとは左右端部が弾性片により連結される一方、通電表示部は左右の弾性片の間であって固定部に一体に形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、呼出ボタンを備えた呼出ボタン部材が、LEDと通電表示部の発光部と双方のカバーとして機能するため、部材を削減できる。更に、弾性片を備えるので別途弾性部材を必要としない。
また、通電表示部は固定部に一体に形成されるので、呼出ボタンが押下操作されて前後動しても連動して前後動するようなことが無く、通電表示部を呼出ボタンの近くに配置しても通電表示部の発光状態が不安定になるようなことがない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、呼出ボタンの背部にLEDを配置するため、別途照明取付エリアを確保することなくカメラから離して設置することができ、眩しさを軽減できる。そして、カメラへの映りこみを防止する部材が必要無くなる。また、呼出ボタンがLEDのカバー部材となるので、LEDに別途カバー部材を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るカメラ付ドアホン子機の一例を示す正面図である。
【図2】図1のA−A線縦断面説明図である。
【図3】呼出ボタンを形成した呼出ボタン部材を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図、(c)は背面斜視図である。
【図4】呼出ボタン部材とLEDを組み付けた基板の関係を示す説明図であり、(a)は分離した状態、(b)は組み付け状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るカメラ付ドアホン子機の正面図を示し、1は呼出ボタン、2は来訪者を撮像するためのカメラ、3はマイク、4はスピーカ、5は通電状態を表示する通電表示部、6は明るさを検知する照度センサーであり、カメラ2の前面はカメラカバー7で覆われている。
【0012】
図2は図1のA−A線断面の説明図を示している。図2において、8は夜間等暗い時に来訪者を撮像できるよう点灯する高輝度の照明用LEDであり、呼出ボタン1背部に呼出ボタン1に収容されるよう配置され、呼出ボタン1は夜間の照明灯を兼ねている。また、カメラ付ドアホン子機のケース10は、表側に配置されるケース上10aと、後側に配置されるケース下10bとで構成され、ケース上10aの前面は化粧板としてのパネル11が覆設される。尚、10cは壁面に取り付ける際に使用する基台である。
【0013】
呼出ボタン1は、通電表示部等を備えた呼出ボタン部材12に一体に形成され、図3はこの呼出ボタン部材12を示している。図3(a)は正面図、(b)は斜視図、図3(c)は背面斜視図であり、呼出ボタン部材12は略四角形に形成され、光を透過する略透明の合成樹脂により形成されている。
呼出ボタン部材12は、呼出ボタン1、通電表示部5に加えて、呼出ボタン1の押下操作を可能とする弾性片14、ケース上10aに固定する固定部15を備えている。
【0014】
呼出ボタン1と固定部15とは、呼出ボタン部材12の下辺と上辺を構成するよう分離して配置され、双方とも横長に形成されている。そして、左右に設けた弾性片14,14により両者は連結され、呼出ボタン1と固定部15とで挟まれた空間に通電表示部5が配置されている。
【0015】
具体的に、呼出ボタン1は長方形の箱状に形成され、ケース上10aに露出する操作面1aが前方に突出して形成されている。また、基部周囲には雨水の浸入を防止するための止水枠18が形成され、背部空間は照明用LED8収容部となり、基板9に組み付けられた照明用LED8が収容される。また、操作面1aの背面1bはダイヤカットが施され、照明用LED8の発する光が拡散するよう形成されている。
更に、呼出ボタン1裏面の中央下部には呼出スイッチ22(図4に示す)に当接する係合部としてのT字状突起1cが形成されている。
尚、背面1bと照明用LED8の間には所定の隙間が設けられ、呼出ボタン1の押下操作により照明用LED8に接触しないよう構成されている。
【0016】
固定部15は、ケース上10aにネジ止めするための透孔19を有するネジ止め部15aが左右に設けられ、左右のネジ止め部15a,15aの間にはブリッジ片15bが掛け渡されている。このブリッジ片15bはスピーカ4の背部を支持する支持部材を構成している。
【0017】
通電表示部5は、固定部15から垂下するように形成された板状の通電表示部形成片20上に設けられ、呼出ボタン1と略同一の高さを有する棒状の表示突起20aの先端に設けられている。この表示突起20aの背部に配置される基板9には、表示灯23(図4に示す)が配置される。
通電表示部5は、ケース上10aに開口形成された表示窓から露出し、前方から視認することができる。
【0018】
図4は基板9と呼出ボタン部材12との関係を示している。図4(a)は分離した状態、図4(b)はケース10に双方を組み付けた状態の関係を示している。基板9には、照明用LED8に加えて呼出ボタン1の押下によりオン動作して呼出信号を生成させる呼出スイッチ22や、ドアホン子機が通電されている状態で常時発光するLEDから成る表示灯23、更に通話するための音響回路(図示せず)等が組み付けられており、ケース上10aにネジ止め固定される。
【0019】
こうして形成されたカメラ付ドアホン子機は、呼出ボタン1が押下されると、照度センサー6により明るさが検知されて、別途設けられているCPUにより撮像のための照度が不足していると判断されたら照明用LED8が点灯する。この点灯による光は呼出ボタン1を通過して前方を照らす。尚、呼出ボタン1が押下されたら、呼出信号が生成されて別途設けられているドアホン親機に対して伝送され、呼び出しが行われる作用は従来と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0020】
このように、呼出ボタン1の背部に照明用LED8を配置するため、別途照明取付エリアを確保することなくカメラ2から離して設置することができ、来訪者がカメラ2を見ても眩しさを軽減できる。そして、照明用LED8の光がカメラ2へ映り込むのを防止する部材が必要無くなる。また、呼出ボタン1自体が防水用のカバー部材になるので、照明用LED8に別途カバー部材を設ける必要がない。
更に、呼出ボタン1の背面1bがダイヤカットされていることで照明用LED8の光が拡散するため、カメラ2の撮像範囲全体にわたって光を照射させることができ、見やすい映像の撮像が可能となるし、照明用LED8が外部から視認し難くなり、外観上も好ましい。
また、呼出ボタン1を備えた呼出ボタン部材12が、照明用LED8と通電表示部5の双方のカバーとして機能するため、部材を削減できる。更に、弾性片14を備えるので別途弾性部材を必要としない。
また、通電表示部5は固定部15に連続形成されるので、呼出ボタン1が押下されて前後動しても連動して前後動するようなことが無く、通電表示部5を呼出ボタン1の近くに配置しても、通電表示部5の発光状態が不安定になるようなことがない。
【0021】
尚、上記実施形態では、呼出ボタン1と照明用LED8とを独立してケース上10aに固定しているが、照明用LED8と呼出ボタン1とを一体化して、呼出ボタン1が押下操作されて前後動したら照明用LED8を連動させても良い。この場合、呼出ボタン1と照明用LED8の間に所定の空間を設ける必要がない。
【符号の説明】
【0022】
1・・呼出ボタン、1c・・T字状突起(係合部)、2・・カメラ、5・・通電表示部、8・・照明用LED(LED)、9・・基板、10・・ケース、12・・呼出ボタン部材、14・・弾性片、15・・固定部、22・・呼出スイッチ(スイッチ機構)、23・・表示灯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者を撮像するカメラと、夜間照明用のLEDと、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタンと、来訪者が居住者と通話するためのマイク及びスピーカとを有するカメラ付ドアホン子機であって、
前記LEDは呼出ボタン背部に配置されて、当該呼出ボタンは前記LEDの発する光を透過させる光透過性部材で形成されたことを特徴とするカメラ付ドアホン子機。
【請求項2】
前記呼出ボタンの背面はダイヤカットが施され、LEDの発する光が拡散して透過することを特徴とする請求項1記載のカメラ付ドアホン子機。
【請求項3】
前記呼出ボタンは、カメラ付ドアホン子機ケースに固定するための固定部と、呼出信号を発生させるためのスイッチ機構に係合する係合部と、押下操作を可能とする弾性片と、通電状態であることを発光表示する通電表示部とを備えた合成樹脂製の呼出ボタン部材に一体に形成され、
前記固定部が呼出ボタン部材の上端に配置されると共に前記呼出ボタンは下端に配置され、前記固定部と前記呼出ボタンとは左右端部が前記弾性片により連結される一方、前記通電表示部は前記左右の弾性片の間であって前記固定部に一体に形成されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ付ドアホン子機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−257149(P2012−257149A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129974(P2011−129974)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】