説明

カメラ

【課題】撮影レンズ内に高輝度な被写体が入り込んだ場合でも、撮影者の眼を傷めることのないカメラを提供する。
【解決手段】本発明に係わるカメラ1は、入射した被写体光Aを屈折させて射出側に被写体像を結像する撮影レンズ4と、撮影レンズ4により形成された被写体像を撮像する撮像部7と、撮影レンズ4に結像された被写体像を視認可能なファインダー40と、入射した被写体光A1の輝度を検出する測光センサ32と、撮像部7により撮像された画像を表示する表示パネル8と、被写体光A1をファインダー40側へ反射するメインミラー11と、測光センサ32で検出された被写体光A1の輝度が所定の閾値以上であるときは、被写体光がファインダー40へ反射しないようにメインミラー11を所定方向に回動させるとともに、表示パネル8に撮像部7により撮像された画像を表示させる制御部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル一眼レフカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル一眼レフカメラなどのレンズ交換式カメラでは、望遠レンズを装着することにより高倍率な撮影が可能となっている。このような望遠レンズでは被写体像が大きく写し出されるため、撮影中に撮影レンズ内に太陽のような高輝度な被写体が入り込むと、撮影者の眼を傷めるおそれがある。
【0003】
従来、ファインダーを用いた撮影中に被写体輝度が低くなった場合に、画像を画像表示部に表示するようにしたカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−94133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例のカメラは、被写体の輝度が低い場合の視認性を向上させることを目的としたものであり、被写体の輝度が高い場合については何ら考慮されていない。したがって、撮影レンズ内に高輝度な被写体が入り込んだ場合でも、撮影者の眼を傷めることがないカメラを提供することが望まれていた。
【0005】
本発明の課題は、撮影レンズ内に高輝度な被写体が入り込んだ場合でも、撮影者の眼を傷めることのないカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、入射した被写体光を屈折させて射出側に被写体像を結像する光学部材(4)と、前記光学部材により形成された被写体像を撮像する撮像手段(7)と、前記光学部材により結像された被写体像を視認可能なファインダー(40)と、入射した被写体光の輝度を検出する測光手段(32)と、前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段(8)と、前記光学部材を通過した被写体光を前記ファインダー側へ反射する反射材からなり、定位置から所定方向に回動自在に構成された回動ミラー(11)と、前記測光手段で検出された被写体光の輝度が所定の閾値以上であるときは、被写体光が前記ファインダーへ反射しないように前記回動ミラーを所定方向に回動させるとともに、前記表示手段に前記撮像手段により撮像された画像を表示させる制御手段(15)とを備えることを特徴とするカメラである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカメラであって、前記制御手段(15)は、前記表示手段(8)に表示させる画像の輝度を減少させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、入射した被写体光を屈折させて射出側に被写体像を結像する光学部材(4)と、前記光学部材により結像された被写体像を視認可能なファインダー(40)と、入射した被写体光の輝度を検出する測光手段(32)と、前記光学部材と前記ファインダーとの間に配置されて、電圧の印加により光を全透過または減光する調光機能を備えたパネル(46)と、前記測光手段で検出された被写体光の輝度が所定の閾値以上であるときは、入射した被写体光の光量が減少するように前記パネルに所定電圧を印加する制御手段(15)とを備えることを特徴とするカメラである。
請求項4に記載の発明は、入射した被写体光を屈折させて射出側に被写体像を結像する光学部材(4)と、入射した被写体光の輝度を検出する測光手段(32)と、前記光学部材により結像された被写体像を視認可能なファインダー(40)と、入射した被写体光を前記ファインダーへ反射させる複数の反射部材からなり、少なくとも一部の前記反射部材が可動自在に構成されたファインダー光学部(25)と、前記ファインダー光学部の一部の反射部材を駆動する反射部材駆動機構(53)と、前記測光手段で検出された被写体光の輝度が所定の閾値以上であるときは、被写体像が前記ファインダーに反射しないように前記反射部材駆動機構を駆動させる制御手段(15)とを備えることを特徴とするカメラである。
請求項5に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のカメラであって、前記ファインダー(40)の近傍において撮影者の接近を検知する検知手段(42)を備え、前記制御手段(15)は、前記測光手段(32)で検出された被写体光の輝度が所定の閾値以上であり、且つ前記検知手段により撮影者の接近が検知されたときのみ、減光のための動作を実行することを特徴とする。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮影レンズ内に高輝度な被写体が入り込んだ場合でも、撮影者の眼を傷めることのないカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係わるカメラの実施形態について説明する。なお、以下に示す各図には、説明と理解とを容易にするために、XYZの直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸Aを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラ位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZ方向とする。
【0009】
図1は、第1実施形態に係わるカメラ1の断面図である。カメラ1はデジタル一眼レフカメラであり、カメラ本体2と、カメラ本体2に対して着脱自在に装着されるレンズ鏡筒3とを有している。
【0010】
レンズ鏡筒3は、被写体光Aが入射する複数の撮影レンズ4及び絞りユニット5が内部に設けられている。撮影レンズ4は、入射した被写体光Aを屈折させてカメラ本体2側に出射する光学部材である。また、絞りユニット5は、撮影レンズ4を通過する被写体光Aの光量を調節するものであり、機械的又は電気的に制御されている。なお、図1、図4、図5では、レンズ鏡筒3に入射した被写体光を「被写体光A」と表記し、レンズ鏡筒3を通過してカメラ本体2内へ導かれた被写体光を「被写体光A1」と表記する。
【0011】
カメラ本体2は、ミラーユニット10、ファインダー光学系20、測光光学系30、ファインダー40、撮像部7、表示パネル8などを備えている。
【0012】
表示パネル8はカメラ本体2の背面に設けられ、撮像部7で撮影した被写体像や操作に関連した情報などを表示する液晶ディスプレイによって構成されている。撮像部7で撮影した被写体像を表示パネル8で表示する状態をライブビューという。
【0013】
ミラーユニット10は、メインミラー11及びサブミラー12を有している。ミラーユニット10は撮影レンズ4からの光が入射する位置に設けられ、後述するように、ファインダー光学系20、又はシャッター6及び撮像部7に被写体光A1を入射させる。
【0014】
メインミラー11は、被写体光A1をファインダー光学系20に反射させるものであり、中央部には光の一部を透過させる特性を有する半透過ミラーが用いられている。したがって、メインミラー11は、被写体光A1の一部を透過させてサブミラー12に被写体光A1を入射させるようになっている。また、メインミラー11は、端部に回動部13を有しており、破線及び実線で示すようにカメラ本体2の内部で回動可能に構成されている。
【0015】
サブミラー12は、メインミラー11を透過した被写体光A1の一部を測距センサ51に反射させる反射ミラーである。サブミラー12はメインミラー11に対して回動可能に取り付けられており、その回動によりメインミラー11に折り畳まれた状態及びメインミラー11の裏側で起立した状態となる。測距センサ51はサブミラー12の近辺に配置されている。この測距センサ51は、画面内に設定された所定の測距エリアにおいて被写体像のデフォーカス量を検出するものである。
【0016】
メインミラー11及びサブミラー12は、撮影前においては、破線で示す定位置において、被写体光A1をファインダー光学系20及び測距センサ51へそれぞれ反射する。ファインダー光学系20への反射により、撮影者がファインダー40において被写体を観察できる状態となる。そして、撮影のために不図示のレリーズボタンが押されると、回動部13によりメインミラー11が回動してファインダー光学系20へ退避し、それと同時にサブミラー12が回動してメインミラー11に重なるように折り畳まれて実線の状態となる(ミラーアップ)。これにより、被写体光A1がミラーユニット10の後側に配置されているシャッター6及び撮像部7に入射されて撮影が可能となる。
【0017】
シャッター6はミラーユニット10の後方に配置されており、ミラーユニット10が撮影可能状態となったときに被写体光A1が入射される。シャッター6は不図示の複数のシャッター羽根を備えており、レリーズボタンなどによる撮影指示に応じてシャッター羽根を開閉させ、撮像部7に被写体光A1を入射する。
【0018】
撮像部7は、被写体の撮像を行う部分であり、被写体光A1を露光して電気的な画像信号に変換し、不図示の画像処理部へ出力する。撮像部7は、CCD、CMOSなどの撮像素子により構成される。
【0019】
ファインダー光学系20は、ファインダースクリーン21、ペンタプリズム22及び接眼レンズ23を備えている。ファインダースクリーン21は、ミラーユニット10の上方に配置されており、ミラーユニット10で反射された被写体光A1がファインダースクリーン21に投影されて投影像が形成される。ファインダースクリーン21上の投影像からの光は、ペンタプリズム22によって接眼レンズ23に導かれ、接眼レンズ23からファインダー40に導かれる。これにより、撮影者はファインダー40を覗いて被写体像を観察することができる。ファインダー40は接眼レンズ23の後方側に配置されている。また、ファインダースクリーン21は、投影像からの光の一部を分岐させ、この分岐光をペンタプリズム22を介して測光光学系30へ導いている。
【0020】
測光光学系30は、プリズムやレンズなどの測光部31及び測光センサ32を備えている。測光部31はペンタプリズム22からの分岐光を測光センサ32に入射させるものである。測光センサ32は、入射した分岐光に基づいて被写体光A1の輝度を検出する。
【0021】
また、カメラ本体2には、接近検知部42が設けられている。接近検知部42は、カメラ本体2の背面側におけるファインダー40に近接した位置に配置されており、撮影者がファインダー40に顔を近づけることにより撮影者の接近を検知する検知手段として機能する。接近検知部42としては、赤外線センサ等を用いることができる。接近検知部42を設けて撮影者を検知することにより、撮影者がいない場合に後述する被写体光A1の光量制御が回避される。
【0022】
図2は、カメラ本体2の機能的な構成を示すブロック図である。この図2では、図1と同等部分を同一符号で示している。以下、各部について説明する。
【0023】
画像処理部14は、撮像部7から出力された画像信号に対し、ノイズ除去、A/D変換、色補正処理、サイズ変更、符号化などの処理を行い、デジタルの画像データを作成する。この画像データはDRAM18に一時的に記憶される。
【0024】
EEPROM16は、カメラ1の電源がオフしても記憶した情報を保持する不揮発性メモリであり、ユーザ設定やカスタム設定などの入力情報が記憶される。
【0025】
ROM17は、カメラ1の動作や制御に必要なプログラムのほか、このプログラムの実行に必要な初期値や設定値などが記憶される。
【0026】
DRAM18は、カメラ1の電源がオフしたときに記憶した情報が消去される揮発性メモリであり、上述した画像データのほか、画像処理部14、制御部15などが処理を行う際に必要なデータが一時的に記憶される。
【0027】
メモリカードI/F(インターフェース)部19は、DRAM18に記憶されている画像データをメモリカード100に記録し、またメモリカード100に記録されている画像データを読み出す機能を備えた書き込み/読み出し装置である。このメモリカードI/F部17の図示しないメモリカードスロットには、メモリカード100が着脱自在に装着される。
【0028】
制御部15は、カメラ1全体の動作を制御する回路であり、マイクロプロセッサにより構成されている。
【0029】
この制御部15では、レリーズボタン24が半押しされると、測距センサ51で検出された被写体像のデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を演算する。このレンズ駆動量に関する情報をレンズ鏡筒3側の図示しないレンズ制御部へ送信することにより、レンズ鏡筒3のレンズ内モータによる焦点調節がなされる。または、このレンズ駆動量に基づいて図示しないボディ内モータを駆動することにより、カップリング機構を介して駆動力がレンズ鏡筒3側に伝達されて焦点調節がなされるものであってもよい。
【0030】
また、制御部15は、測光センサ32による被写体光A1の輝度や、装着されたレンズ鏡筒3のレンズの種類、開放F値、焦点距離などのレンズ情報のほか、ユーザにより設定された撮影モード、図示しない感度設定部から入力された感度情報などに基づいて適正な露出値を演算する。そして、その露出値に応じた絞り値とシャッタースピード値を選択し、絞りユニット5や図示しないシャッターユニットへ送信することにより、露出制御がなされる。
【0031】
また、制御部15は、測光光学系30の測光センサ32によって検出された被写体光A1の輝度が所定の閾値以上であるときは、被写体光がファインダー40へ反射しないように、メインミラー11が被写体光A1の光路から退避するように回動部13を回動制御するとともに、被写体光A1をシャッター6から撮像部7に導いて、撮像部7で撮像した画像を表示パネル8で表示させるように制御している。
【0032】
なお、制御部15には、その他にも各種の操作部材や制御回路、検出部などが接続されているが、ここでは図示と説明を省略する。
【0033】
図3は、第1実施形態のカメラにおける光量調節の処理手順を示すフローチャートである。
【0034】
ステップS11において、制御部15は、測光センサ32で検出された被写体光A1の輝度が所定の閾値以上であるか否かを判断する。ここで、被写体光A1の輝度が所定の閾値以上のときには、ステップS12に移行する。
【0035】
ステップS12において、制御部15は、接近検知部42が撮影者の接近が検知されたかどうかを判断する。ここで、撮影者の接近が検知されないときは、本ルーチンの処理を終了する。この場合は、撮影者がファインダー40を覗いていないので、被写体光A1の光量調節は行わない。
【0036】
一方、ステップS12において、撮影者の接近が検知されたときには、制御部15は、ステップS13へ移行し、回動部13を制御してメインミラー11をファインダー光学系20の方向に回動させるミラーアップを行う。このときには、サブミラー12はメインミラー11に重なるように折り畳まれる。このミラーアップにより撮像部7には被写体光A1が入力されるため、撮像部7による被写体の撮像が行われる。
【0037】
続くステップS14において、制御部15は、撮像された被写体の画像が表示されるように表示パネル8を制御し、ライブビュー表示を行なう。ライブビュー表示により、撮影者は表示パネル8を見ながら撮影を継続することができる。
【0038】
なお、本実施形態において、被写体光A1の輝度が所定の閾値未満となったとき、或いは接近検知部42により撮影者が検知されなくなったときに、制御部15は、メインミラー11及びサブミラー12を元の位置に戻すミラーダウンを行う。これにより、撮影者は再びファインダー40による被写体の視認が可能となる。
【0039】
また、以上の制御に加えて、本実施形態においては、表示パネル8が表示する画像の輝度を減少させることができる。すなわち、制御部15は、被写体光A1の輝度が所定の閾値以上のときに行うライブビュー表示の際に、表示パネル8への電圧等を制御して表示パネル8の画像の輝度を減少させるものである。
【0040】
以上、本実施形態によると、以下の効果を奏する。
(1)被写体光A1の光量が閾値以上のときは、ミラーアップによりファインダー40側では被写体光A1が遮断されるため、撮影レンズ4内に高輝度な被写体が入り込んだ場合でも、撮影者の眼を傷めることがない。また、被写体光A1の光量が閾値以上のときにおいては、表示パネル8が被写体の画像を表示するライブビュー表示を行うため、撮影者はファインダー40を用いることなく撮影を継続することができる。
(2)上記ミラーアップとライブビュー表示の制御は、接近検知部42が接近を検知したときのみ行い、撮影者の接近がないときは、これらの制御を行わないため、ミラーユニット10や撮像部7の無駄な作動を防止することができる。
(3)ミラーアップとともに行うライブビュー表示において、画像の輝度を減少させるようにした場合は、表示パネル8側においても、画像輝度が減少するため、撮影者の眼を傷めることがない。
(第2実施形態)
【0041】
図4は、第2実施形態に係わるカメラ1Aの断面図である。カメラ1Aにおけるカメラ本体2Aの内部には、第1実施形態と同様にミラーユニット10、シャッター6、撮像部7、ファインダー光学系20、測光光学系30及びファインダー40が配置されている。また、カメラ本体2Aの背面側には、被写体像や操作情報を表示する表示パネル8が設けられている。
【0042】
以上に加えて、本実施形態のカメラ本体2Aには、調光パネル46が設けられている。調光パネル46は、ファインダー光学系20のファインダースクリーン21の下方(被写体光A1の光路上流側)に配置されており、ファインダースクリーン21とメインミラー11との間に位置している。調光パネル46は液晶パネルからなり、制御部15(図2)により制御される不図示の電源回路に接続されている。
【0043】
この調光パネル46は、電源回路から所定の電圧が印加されることにより、被写体光A1の全部を遮光し、電圧印加がなされないと、被写体光A1の全部が透過するように作動する。ただし、電圧印加と遮光/透過の関係は逆であってもよい。測光センサ32において検出された被写体光A1の輝度が所定の閾値以上となったとき、制御部15は電源回路を制御して、被写体光A1の全部が遮光されるように所定の電圧を印加する。また、被写体光A1の輝度が所定の閾値未満となったとき、制御部15は電源回路を制御して、被写体光A1の全部が透過されるように電圧の印加を停止させる。
【0044】
本実施形態では、測光センサ32において検出された被写体光A1の輝度が所定の閾値以上となったとき、制御部15が電源回路を制御して、被写体光A1を遮光させるように調光パネル46へ所定の電圧を印加させる。これにより、ファインダー40へ導かれる被写体光A1が遮断されることになる。したがって、撮影レンズ4内に高輝度な被写体が入り込んだ場合でも、撮影者は眼を傷めることがない。
【0045】
本実施形態では、調光パネル46として液晶パネルを用いていることから機械的な駆動部分がない。このため、カメラ本体2への実装が容易となる。また、液晶パネルの種類によっては、被写体光A1を完全に遮光するだけでなく、光量を減光させることもできる。このように減光させた場合、撮影者はまぶしさを感じることなしにファインダー40内で被写体像を視認することができる。
(第3実施形態)
【0046】
図5は、第3実施形態に係わるカメラ1Bの断面図である。カメラ1Bにおけるカメラ本体2Bの内部には、第1実施形態と同様にミラーユニット10、シャッター6、撮像部7、ファインダー光学系20、測光光学系30及びファインダー40が配置され、カメラ本体2Bの背面側には、被写体像や操作情報を表示する表示パネル8が設けられている。
【0047】
本実施形態では、ファインダー光学系20のペンタプリズム22の代わりに、反射光学系25が設けられている。反射光学系25は、ファインダースクリーン21側から第1ミラー26、第2ミラー27、第3ミラー28、及び図示しない側面ミラーを組み合わせた構造体として形成されている。これらのミラー26、27、28などの部材は、入射した被写体光A1がファインダー40に導かれるように被写体光A1を反射するものであり、ペンタプリズム22と同様に機能するように構成されている。
【0048】
反射光学系25における少なくとも一つのミラーは、反射面の角度が変更可能となるように構成されている。本実施形態においては、第1ミラー26がヒンジ軸29に支持されており、ヒンジ軸29が回動することにより、定位置からずれた鎖線で示す変位位置26bまで回動可能となるように構成されている。また、ヒンジ軸29は、ヒンジ用モータ53に連結され、ヒンジ用モータ53はモータ駆動部55に連結されている。モータ駆動部55は、制御部15(図2)に接続されている。そして、制御部15によって制御されることにより第1ミラー26が定位置及び変位位置の間で回動するように構成されている。なお、第1ミラー26が変位位置26bにあるときには、被写体光A1がファインダー40に入射しないように反射するように設定されるものとする。
【0049】
本実施形態では、測光センサ32において検出された被写体光A1の輝度が所定の閾値以上となったとき、制御部15はモータ駆動部55を制御する。この制御により、モータ駆動部55は、ヒンジ用モータ53を駆動してヒンジ軸29を介して第1ミラー26を定位置から変位位置26bまで回動させる。これによれば、被写体光A1がファインダー40に入射することがないため、撮影レンズ4内に高輝度な被写体が入り込んだ場合でも、撮影者の眼を傷めることがない。
【0050】
また、本実施形態において、被写体光A1の輝度が所定の閾値未満となったとき、或いは接近検知部42により撮影者が検知されなくなったときに、制御部15は、モータ駆動部55を制御して、第1ミラー26を定位置まで回動させる。これにより、撮影者は再びファインダー40による被写体の視認が可能となる。
(変形形態)
【0051】
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)上述した第1実施形態では、被写体光A1の輝度が所定の閾値を超えたときにライブビュー表示を行っているが、被写体光A1の輝度が所定の閾値未満となってもライブビュー表示を継続するようにしてもよい。また、ライブビュー表示において、撮影者が何らかの操作を行ったときにライブビュー表示を終了するようにしてもよい。
(2)ファインダー40として光学ファインダーを用いた例を示したが、本発明はこれに限定されることなく、EVF(エレクトリックビューファインダー)であってもよい。
(3)上記各実施形態では、本発明をカメラ本体に対してレンズ鏡筒が着脱自在に装着されるデジタル一眼レフカメラに適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されることなはない。すなわち、少なくともレンズ鏡筒とファインダーを備えたカメラであれば適用可能であり、例えば、高倍率ズームレンズをカメラ本体と一体化しカメラに適用することもできる。
【0052】
上記の第1実施形態〜第3実施形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、各実施形態の構成は図示により明らかであるため、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施形態に係わるカメラの断面図である。
【図2】第1実施形態におけるカメラ本体の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態のカメラにおける光量調節の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態に係わるカメラの断面図である。
【図5】第3実施形態に係わるカメラの断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1、1A、1B:カメラ、5:絞りユニット、7:撮像部、8:表示パネル、10:ミラーユニット、11:メインミラー、13:回動部、15:制御部、20:ファインダー光学系、25:反射光学系、26:第1ミラー、32:測光センサ、40:ファインダー、42:接近検知部、46:調光パネル、55:モータ駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した被写体光を屈折させて射出側に被写体像を結像する光学部材と、
前記光学部材により形成された被写体像を撮像する撮像手段と、
前記光学部材により結像された被写体像を視認可能なファインダーと、
入射した被写体光の輝度を検出する測光手段と、
前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、
前記光学部材を通過した被写体光を前記ファインダー側へ反射する反射材からなり、定位置から所定方向に回動自在に構成された回動ミラーと、
前記測光手段で検出された被写体光の輝度が所定の閾値以上であるときは、被写体光が前記ファインダーへ反射しないように前記回動ミラーを所定方向に回動させるとともに、前記表示手段に前記撮像手段により撮像された画像を表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラであって、
前記制御手段は、
前記表示手段に表示させる画像の輝度を減少させること、
を特徴とするカメラ。
【請求項3】
入射した被写体光を屈折させて射出側に被写体像を結像する光学部材と、
前記光学部材により結像された被写体像を視認可能なファインダーと、
入射した被写体光の輝度を検出する測光手段と、
前記光学部材と前記ファインダーとの間に配置されて、電圧の印加により光を全透過または減光する調光機能を備えたパネルと、
前記測光手段で検出された被写体光の輝度が所定の閾値以上であるときは、入射した被写体光の光量が減少するように前記パネルに所定電圧を印加する制御手段と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項4】
入射した被写体光を屈折させて射出側に被写体像を結像する光学部材と、
入射した被写体光の輝度を検出する測光手段と、
前記光学部材により結像された被写体像を視認可能なファインダーと、
入射した被写体光を前記ファインダーへ反射させる複数の反射部材からなり、少なくとも一部の前記反射部材が可動自在に構成されたファインダー光学部と、
前記ファインダー光学部の一部の反射部材を駆動する反射部材駆動機構と、
前記測光手段で検出された被写体光の輝度が所定の閾値以上であるときは、被写体像が前記ファインダーに反射しないように前記反射部材駆動機構を駆動させる制御手段と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のカメラであって、
前記ファインダーの近傍において撮影者の接近を検知する検知手段を備え、
前記制御手段は、
前記測光手段で検出された被写体光の輝度が所定の閾値以上であり、且つ前記検知手段により撮影者の接近が検知されたときのみ、減光のための動作を実行すること、
を特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−72320(P2010−72320A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239459(P2008−239459)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】