説明

カラオケボックス避難経路誘導システム

【課題】
カラオケボックスにおいて火災や地震等の緊急事態が発生した場合に、同じような外見のカラオケルームが連接して設けられ、目印が見つかり難く迷路のような館内であっても、カラオケ利用者を、それぞれ現に居る場所から非常口までの経路を好適に案内し、適切に避難誘導できる緊急経路誘導システムの提供を課題とする。
【解決手段】
カラオケ装置と双方向通信可能なリモコン装置を用いて、災害報知器からの緊急情報をカラオケ装置が受信すると、各カラオケ装置はリモコン装置にカラオケルームから非常口までの避難経路情報を送信し、リモコン装置は最も近接したカラオケ装置から新たな避難経路情報を受信すると、リモコン装置では、受信した避難経路図を更新表示するように制御されるようにしたシステムの構築。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ装置と双方向通信可能なカラオケリモコン装置を用いて、緊急時、災害報知器からの緊急情報に基づき、カラオケボックス利用者を避難経路にて好適に誘導するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、カラオケボックスとは、個室となっている複数のカラオケルームを館内に設け、利用者がカラオケルームに設置されているカラオケ装置にて、気の知れた仲間やグループで楽曲の歌唱を楽しむ施設である。このカラオケ装置が設置されているカラオケルームは、各々が隣接して設置されていることから、カラオケ装置からの楽曲の演奏音や、歌唱者の歌唱音等が、隣接するカラオケルームに伝わらないように防音構造となっている。したがって、火災や地震等の緊急事態が発生した場合でも、カラオケボックス館内での利用者は災害報知器等の報知音に気が付かなかったり、歌唱に夢中になるあまりに、あるいは飲酒により、カラオケルームの外の様子が分からなかったりする。よって、緊急事態が発生した時には、カラオケボックスの従業員が、カラオケルームに備え付けられているインターホンを用いて緊急事態を知らせたり、利用者が使用している各カラオケルームに直接緊急事態を知らせに行ったりしていた。しかし、これでは人為的な対応が必要であるため必ずしも効率的に避難誘導できるものではなかった。
【0003】
このような問題に対して、特許文献1では、カラオケボックスのフロントに設置された受信機が、火災発生時に煙や熱を感知する感知器からの火災信号を受信すると、カラオケ装置本体の電源を遮断すると共に移報信号を送信して、その接続されているモニタ表示画面に避難誘導情報を表示させることにより、それまで歌唱に熱中していた利用者にも、火災発生と避難誘導の指示を伝える技術が開示されている。また、特許文献2では、カラオケルーム内や廊下に複数配置されたセンサからの火災検出信号を集中管理端末が受信した場合には、集中管理端末がその受信信号に応じて火災発生場所を判定し、カラオケ端末機に避難経路情報を送信することにより、カラオケ端末機に接続されているモニタ表示画面にて表示される避難経路図に従って、利用者が避難することができる技術が開示されている。したがって、特許文献1の開示技術を用いて、カラオケ装置の電源を遮断してモニタに避難誘導情報を表示させることで、確かに、迅速に利用者に避難誘導指示を伝えることはでき、また、特許文献2では、火災発生時に、利用者へ避難誘導指示を伝えることもできると共に、利用者に非常口までの避難経路情報を伝えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−251265号公報
【0005】
【特許文献2】特開平7−200974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カラオケボックスのように同じような外見のカラオケルームが連接して設けられている館内では、実際に利用者が避難行動を行った時に、目印が見つかり難く迷路のように見えることから、自身の居る場所(現在位置)から非常口までどのような経路をたどって移動すれば良いのか分からないことも多々あり、避難誘導を十分に行い得るものではない。換言すれば、表示される避難経路情報は、カラオケ端末機の表示画面に表示されるために、利用者は自身が居たカラオケルームから外に出て、非常口まで避難している間の情報、すなわち、避難移動中の現在位置を利用者は確認することができず、指示された避難経路に従い避難しているか利用者は不安にならないとも限らない。
そこで、本発明は、カラオケボックスにおいて火災や地震等の緊急事態が発生した場合に、同じような外見のカラオケルームが連接して設けられ、目印が見つかり難く迷路のような館内であっても、カラオケ利用者を、それぞれ現に居る場所から非常口までの経路を好適に案内し、適切に避難誘導できる緊急経路誘導システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を鑑み、発明者は、現在のカラオケ装置には、LCDの表示画面を備えたタブレット型PCの機能を有し、カラオケ楽曲の検索や選曲ができる所謂「電子目次本」と呼ばれるリモコン装置が通常に付帯されていることに着目し、これを好適に利用する誘導システムの提供を想到した。すなわち、本発明の誘導システムとは、カラオケ装置と双方向通信可能であり、かつ、カラオケルーム外に持ち出すことができ、LCDにて避難経路の誘導表示は勿論、場合によっては、音声出力にて避難経路の誘導も可能であるリモコン装置を含めたシステムを想到し、災害発生時、このリモコン装置を携帯させた利用者に、その避難中、現に居る場所から非常口までの避難経路を好適に案内できることを見出し、本発明を想到した。
【0008】
具体的には、本発明の請求項1記載のカラオケボックス避難経路誘導システムとは、カラオケ装置と双方向通信可能なカラオケリモコン装置を用いて、災害報知器からの緊急情報に基づきカラオケボックス利用者を避難経路にて誘導するシステムであって、各カラオケルームのレイアウトと非難口の位置を含む館内配置図を記憶し、カラオケルームのルーム番号と当該ルーム内に備えられているカラオケIDとを対応付けて管理し、災害報知器が緊急時に送信される緊急情報をカラオケ装置が緊急情報を受信すると、リモコン装置に対し、カラオケIDと対応付けられたルーム番号と館内配置図に基づき、カラオケ装置が備えられたルームから非難口までの避難経路情報を送信し、最も近接した任意のカラオケ装置から避難経路情報を受信すると、リモコン装置は、その付帯する所定の表示部に避難経路図を表示して、利用者の避難中、現に居る場所から非常口までの避難経路を好適に案内するものである。
【0009】
すなわち、本発明の請求項1記載のカラオケボックス避難経路誘導システムとは、カラオケ装置と双方向通信可能なカラオケリモコン装置を用いて、災害報知器からの緊急情報に基づきカラオケボックス利用者を避難経路にて誘導するシステムであって、館内配置図記憶手段と、カラオケ配置管理手段と、緊急情報受信手段と、避難経路情報送信手段と、避難経路図表示手段とを有してなり、
(ア)館内配置図記憶手段とは、各カラオケルームのレイアウトと非難口の位置を少なくとも含む館内配置図を所定の館内配置図記憶部に記憶させるものであり、
(イ)カラオケ配置管理手段とは、前記カラオケルームのルーム番号と当該ルーム内に備えられているカラオケIDとを対応付け、所定のカラオケ配置管理テーブルにて管理するものであり、
(ウ)緊急情報受信手段とは、前記災害報知器から緊急時に送信される緊急情報を受信するものであり、
(エ)避難経路情報送信手段とは、任意のカラオケ装置が前記緊急情報を受信すると、前記双方向通信可能なリモコン装置に対し、当該カラオケIDと対応付けられたルーム番号と前記館内配置図に基づき、当該カラオケ装置が備えられたルームから前記非難口までの避難経路情報を送信するものであり、
(オ)避難経路図表示手段とは、最も近接した任意のカラオケ装置から前記避難経路情報を受信すると、前記リモコン装置は、その付帯する所定の表示部に当該避難経路図を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1記載のカラオケボックス避難経路誘導システムによれば、災害報知器からの緊急情報をカラオケ装置が受信すると、カラオケ装置はカラオケルームから非常口までの避難経路をリモコン装置に送信し、リモコン装置は最も近接したカラオケ装置から避難経路情報を受信し、所定の表示部に表示させることにより、利用者を避難口まで誘導することができる。すなわち、カラオケボックスのような、同じような外見のカラオケルームが連接して設けられた館内で利用者が避難行動を行った時に、目印が見つかり難く迷路のような場所でも、リモコン装置に表示されている避難経路を事前に確認しながら、非常口までの避難行動を開始でき、さらに、利用者が実際に避難行動を開始し、カラオケルームから外に出て、非常口まで移動している間でも、利用者の現在位置をリモコン装置で確認することができ、指示されている避難経路に従い非常口まで、実際に自身が正しく移動しているのかどうか確認することができるため、利用者の不安を覚えず冷静に非常口まで避難できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のシステムに関する主要構成部のブロック構成図である。
【図2】リモコン装置による避難経路情報受信の概略図である。
【図3】カラオケ配置管理テーブル及び避難経路データテーブルを示す図である。
【図4】館内配置図及び避難経路図の表示例を示す図である。
【図5】緊急情報の受信から避難経路図を表示するまでの処理を示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明のカラオケボックス避難誘導システムについて適切な実施例を挙げ、先ずは、図1に示す「本発明のシステムに関する主要構成部のブロック構成図」について説明する。
【0013】
図1は、本発明のシステムに関する主要構成部のブロック構成図である。本システムは、カラオケボックス内で生じる可能性のある災害、例えば、火災、地震、ガス漏れ等が発生すると、館内の利用者や消防署に災害発生を知らせる災害報知器(A)に通信可能としてなり、災害発生時に記憶された避難経路情報を送信するカラオケ装置(1)及び、このカラオケ装置(1)に付帯されてなり、送信された避難経路情報を受信し、LCD(液晶表示手段)の表示画面にて表示するリモコン装置(R)から構成されている。
【0014】
ここで本システムの各種機能手段について説明する。先ず、災害報知器(A)には、緊急情報手段(A1)が設けられており、災害報知器が何らかの災害を感知した場合には、当該緊急情報手段(A1)を用いて、これに接続されたカラオケボックス館内の各ルームに設置されたカラオケ装置(1)に対し緊急情報を送信する。そして、各カラオケ装置(1)には、各種制御手段を制御する中央制御手段(2)と、館内配置情報(BD)や、避難経路情報(ED)等を記憶するハードディスク(3)(以下HDD)及び、RAM(4)が設けられている。具体的には、中央制御手段(2)が制御する機能手段としては、リモコン装置(R)からの送信信号を受信するリモコン信号受信手段(5)と、カラオケ事業者とカラオケボックス施工者がレイアウトした各カラオケルームや非常口の館内配置情報(BD)をHDD(3)に設けられた館内配置図記憶部(B)に登録するための館内配置図記憶手段(6)と、予め設定され、各カラオケ装置を識別可能とする管理番号(以下カラオケID)と、それぞれのカラオケ装置が設置されたカラオケルームのルーム番号とを対応付け、HDD(3)に設けられたカラオケ配置管理テーブル(T1)に登録するためのカラオケ配置管理手段(7)と、災害報知器(A)から送信される緊急情報を受信するための緊急情報受信手段(8)と、緊急情報受信後に、事前登録された前記館内配置情報(BD)に基づく避難経路情報(ED)をリモコン装置(R)に送信するための避難経路情報送信手段(9)などがある。
【0015】
そして、上記でも説明したように、HDD(3)及びRAM(4)には、各種データが記憶されておいる。先ず、HDD(3)には、演奏データや歌詞データあるいは背景映像データ等を管理する楽曲DB(DB)に加え、本発明では、さらに、館内配置図記憶手段(6)を用いて登録された館内配置図を館内配置情報(BD)として記憶する館内配置図記憶部(B)と、カラオケIDとルーム番号を対応付け記憶するカラオケ配置管理テーブル(T1)が設けられており、また、RAM(4)には、緊急情報受信手段(8)にて受信した緊急情報を記憶する緊急情報記憶部(E)と、HDD(3)に記憶されている館内配置情報(BD)に基づき、カラオケ装置が設置されている各ルームから非常口までの避難経路を記憶している避難経路情報(ED)が設けられている。なお、本実施例では、避難経路情報(ED)は、災害発生箇所を問わず、各カラオケルームから非常口までの最短ルートが示された、予め、設定された避難経路図を使用するが、本発明はこれに限らず、館内カラオケルームの配置及び非常口の座標データを記憶する避難経路データテーブル(T2)を用いて災害発生箇所により、最適ルートを災害発生時に避難経路図を生成するように構成しても構わない。
【0016】
次に、リモコン装置(R)とは、従来、一般的な機能として、利用者が歌唱したい楽曲名や歌手名をタッチパネルセンサーを内蔵したLCD(R1)からなるグラフィックインタフェイスにて入力することにより、楽曲を検索し、検索した楽曲をカラオケ装置(1)に送信する楽曲検索部(R3)に加え、本発明では特に、カラオケ装置(1)から送信された避難経路情報を受信する避難経路情報受信部(R2)と、受信した避難経路情報をLCD(R1)を利用して表示する避難経路表示手段(10)が設けられている。なお、避難経路情報の送受信ための電波強度は、カラオケルーム外にも送受信可能となるように設定されている。そして、本実施例のリモコン装置には、最も電波強度が強い、すなわち、最も近接したカラオケルームに設置されたカラオケ装置からの避難経路情報を優先的に受け取るための電波強度検出・比較器が内蔵され、このリモコン装置を携帯した避難者の移動により、異なるカラオケ装置から最も強い電波強度を検出した場合、それまでの避難経路情報は更新され、当該カラオケ装置からの新たな避難経路図を表示するように構成されている。
【0017】
次に、図2に示す「リモコン装置による避難経路情報受信の概略図」を用いて、本発明をさらに詳述する。
【0018】
図2は、先ず、避難者の当初利用していたカラオケルームにおけるカラオケ装置(1a)と、当該利用者が避難のために移動する最中にて、ある時点で最も近接したカラオケ装置(1b)から避難経路を、当該避難者が携帯しているリモコン装置(R)が受信している状態を図示したものである。このリモコン装置(R)と、これらカラオケ装置(1a,1b)は、IEEE.802.11方式の無線LANや、Bluetooth等の無線通信方式で通信されており、リモコン装置(R)に一番近く電波強度の強いカラオケ装置、すなわち、避難開始当初ではカラオケ装置(1a)から、移動している現時点で最も近接したカラオケ装置(1b)から、避難経路情報を受信するものである。なお、リモコン装置は任意のカラオケ装置から所定の距離内例えば、半径3m乃至5m以内のエリアに入ると、そのカラオケ装置から避難経路情報が受信可能となるように構成されており、複数のカラオケ装置に対応してエリアが重複しても、最も電波強度が強い(最も近接しているものと想定できる)カラオケ装置からの避難経路情報が受信される。
【0019】
具体的には、災害報知機(A)が、カラオケルーム内や廊下等に取り付けられた感知器より熱や煙、ガス漏れ等を感知すると報知ベル等の内部音響装置を用いて館内に、災害警告を報知すると共に、各カラオケルームに緊急情報を送信する。そして、例えば、当初「利用者A」がカラオケルーム「101号室」を使用している場合には、カラオケ装置(1a)は、予め記憶されている館内配置図に基づき、当該カラオケルーム「101号室」から非常口までの避難経路図をリモコン装置(R)に送信し、避難経路情報を受信したリモコン装置(R)は、本体LCDを用いて、当該非常口までの避難経路図を表示する。
【0020】
そして、この表示された避難経路図により、利用者Aが館内に緊急事態が発生したと気が付き、避難のために「101号室」の外に出て、非常口へ移動する最中に通過するカラオケルームの内、最も近接したカラオケルームに設置されたカラオケ装置から避難経路情報を順次、受信する。例えば、リモコン装置(R)は、避難当初の「101号室」や移動中に通過したカラオケルームに備え付けられているカラオケ装置から避難経路情報を順次受信するが、現時点にて「106号室」付近に移動した場合には、それまでの避難経路図は「106号室」に設置されたカラオケ装置(1b)から送られてきた避難経路情報に基づくものに更新される。すなわち、リモコン装置(R)が近接しており電波強度が最も強い「106号室」のカラオケ装置(1b)から避難経路情報を受信して採用されるものである。そして、この「106号室」のカラオケ装置(1b)から避難経路情報を受信により、リモコン装置(R)のLCDの表示は、それまで表示されていた、例えば「105号室」(図示省略)からの避難経路図ではなく、「106号室」から非常口までの避難経路図に切り替わることになる。
【0021】
次に、図3に示す「カラオケ配置管理テーブル及び避難経路データテーブルを示す図」について説明し、カラオケIDとルームIDの対応付け及び、座標データを用いた場合の避難経路データに関して詳述する。
【0022】
先ず、図3(a)に示すカラオケ配置管理テーブル(T1)とは、各カラオケ装置を識別可能とする管理番号等のカラオケIDと、所定のカラオケ装置が所定のカラオケルーム設置された場合、そのカラオケ装置のカラオケIDとそのカラオケルームのルーム番号であるルームIDとを対応付け記録することで、カラオケ装置の所在を管理するものである。そのテーブル(T1)の構成要件としては、管理番号を示す「管理番号」フィールド(f1)と、カラオケIDを示す「カラオケID」フィールド(f2)と、カラオケルームのルーム番号を示す「ルームID」フィールド(f3)から構成されており、当該テーブル(T1)にて、カラオケIDとルームIDを対応付けることにより、カラオケルーム内に備え付けられているカラオケ装置の所在が明確になり、別途記憶されている館内配置図に基づき各カラオケルームから非常口までの避難経路を示すことができる。
【0023】
次に、図3(b)避難経路データテーブル(T2)とは、館内カラオケルームの配置及び非常口の座標データを記憶しているもので、火災等が発生した場合、その発生箇所の座標データと各カラオケルームの座標データ及び各非常口の座標データとを比較し、それぞれのカラオケルームからの好適な避難経路を導き出すものである。これは、例えば、所定のアルゴリズムを利用したり、あるいは、災害発生箇所の座標に基づく所定のエリア毎に各カラオケルームに複数の避難経路を選択可能に保持してもかまわない。
そして、この避難経路データテーブル(T2)の構成要件として、災害発生箇所を主に特定するための館内配置座標データを示す「館内配置座標データ」(f1)と、館内に設けられた2つの非常口の座標を示す「非常口座標データ1」(f2)及び「非常口座標データ2」(f3)と、管理番号を示す「管理番号」フィールド(f4)と、カラオケ装置を識別するための「カラオケID」フィールド(f5)、カラオケルームを識別するルーム番号を示す「ルームID」フィールド(f6)と、火災等が発生した場合、館内配置座標データ及び非常口座標データを用いて生成された、各カラオケルームから非常口までの最適な避難経路の座標を示す「避難経路座標データ」フィールド(f7)から構成されている。なお、実施例の避難経路データは、災害報知器等により災害発生箇所が特定され、特定された災害箇所の座標データに基づき、各カラオケルームから非常口までの避難経路を生成するように例示しているが、本発明はこれに限定されず、災害発生箇所に関係なく、各カラオケルームから非常口までの最短ルートを事前に設定した避難経路を用意しておいても構わない。
【0024】
次に、図4に示す「館内配置図及び避難経路図の表示例」を用いて、災害発生時にリモコン装置に表示される避難経路図に関して説明する。
【0025】
先ず、図4(a)館内配置図の表示例とは、館内配置図記憶部に記憶されている館内配置情報をリモコン装置のLCDに表示した時の表示例であり、館内の各カラオケルームのルーム番号と緊急事態が発生した時に避難する非常口が表示されている。そして、各カラオケ装置が災害報知器から緊急情報を受信すると、あるリモコン装置につき、最も近接したカラオケ装置から避難経路情報が受信される。すると、次の(b)避難経路図の表示例1に示すように、当該館内配置図と避難経路情報に基づく避難経路図がリモコン装置のLCDに表示される。この避難経路図の表示例1は、利用者が「101号室」にて歌唱中に緊急事態が発生した場合のリモコン装置に表示される表示例であり、当該表示される避難経路図は、リモコン装置が近接している「101号室」に備えられているカラオケ装置から受信しており、カラオケルーム「101号室」から非常口までの避難経路図が表示される。そして、利用者が「101号室」から非常口付近である「106号室」付近に移動した場合には、(c)避難経路図の表示例2に示すように、リモコン装置のLCDの表示は、「101号室」からの避難経路図を表示するのではなく、「106号室」から非常口までの避難経路図の表示に自動で切り替わる。
【0026】
次に、図5に示す「緊急情報の受信から避難経路図を表示するまでの処理を示すフロー」を用いて、災害報知器からの緊急情報受信後に、リモコン装置に避難経路を表示するまでの処理について説明する。
【0027】
先ず、カラオケボックス施工者等がレイアウトしたカラオケボックスの館内配置図を事前に登録すると、当該館内配置図を各カラオケ装置のHDDに記憶し(S1)、さらに、カラオケルームのルーム番号とカラオケIDを対応付けカラオケ配置管理テーブルに記憶した(S2)後に、災害報知器からの緊急情報を受信した場合には(S3)、各カラオケ装置はカラオケIDと対応付けられたルーム番号と館内配置図に基づき非常口までの避難経路情報を送信する(S4)。本実施例では、リモコン装置は任意のカラオケ装置から所定の距離内(4m以内)に入ると、そのカラオケ装置から避難経路情報が受信可能となるように構成されており、リモコン装置は避難経路情報を受信する(S5)と、当該避難経路情報が新たなものか否かを判別する(S6)。そして、新たなものである場合(YES)には、新規のデータ登録ないし既に受信した避難経路情報がある場合にはこれとのデータ更新を行う(S7)。一方、新たなものでない場合(NO)には、既に受信した避難経路情報のデータ更新は行わない。そして、リモコン装置の避難経路図表示手段は、この避難経路情報に基づき生成された避難経路図をLCD等の表示部を用いて表示(S8)させる。
【0028】
以上のように、本発明のカラオケボックス避難経路誘導システムによれば、災害報知器からの緊急情報をカラオケ装置が受信すると、カラオケ装置はリモコン装置に避難経路情報を送信し、リモコン装置は最も近接したカラオケ装置から避難経路情報を受信した後に、所定の表示部に表示させることにより、避難中に正しく移動しているかどうかを確認することができ、利用者を効率的に非常口まで誘導することができる。すなわち、同じような外見のカラオケルームが連接して設けられ、目印が見つかり難く迷路のような館内であっても、カラオケ利用者を、それぞれ現に居る場所から非常口までの経路を好適に案内し、適切に避難誘導できるものである。
【符号の説明】
【0029】
1 カラオケ装置
2 中央制御手段
3 HDD
4 RAM
6 館内配置図記憶手段

カラオケ配置管理手段
8 緊急情報受信手段
9 避難経路情報送信手段
10 避難経路図表示手段
R リモコン装置
A 災害報知器
B 館内配置図記憶部
E 緊急情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ装置と双方向通信可能なカラオケリモコン装置を用いて、災害報知器からの緊急情報に基づきカラオケボックス利用者を避難経路にて誘導するシステムであって、館内配置図記憶手段と、カラオケ配置管理手段と、緊急情報受信手段と、避難経路情報送信手段と、避難経路図表示手段とを有してなり、
(ア)館内配置図記憶手段とは、各カラオケルームのレイアウトと非難口の位置を少なくとも含む館内配置図を所定の館内配置図記憶部に記憶させるものであり、
(イ)カラオケ配置管理手段とは、前記カラオケルームのルーム番号と当該ルーム内に備えられているカラオケIDとを対応付け、所定のカラオケ配置管理テーブルにて管理するものであり、
(ウ)緊急情報受信手段とは、前記災害報知器から緊急時に送信される緊急情報を受信するものであり、
(エ)避難経路情報送信手段とは、任意のカラオケ装置が前記緊急情報を受信すると、前記双方向通信可能なリモコン装置に対し、当該カラオケIDと対応付けられたルーム番号と前記館内配置図に基づき、当該カラオケ装置が備えられたルームから前記非難口までの避難経路情報を送信するものであり、
(オ)避難経路図表示手段とは、最も近接した任意のカラオケ装置から前記避難経路情報を受信すると、前記リモコン装置は、その付帯する所定の表示部に当該避難経路図を表示させるものである、
ことを特徴とするカラオケボックス避難経路誘導システム。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−200804(P2010−200804A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46465(P2009−46465)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】