説明

カラー部材、緩衝装置並びに金属製カバー

【課題】この発明は、所望の制振性を安定して得ることができる緩衝装置を構成するカラー部材、緩衝装置並びに当該緩衝装置を用いて取付ける金属製カバーを提供することを目的とする。
【解決手段】取付ボルト42の挿通を許容するボルト孔40を径内側に備えるとともに、取付ボルト42の挿通方向における両側から、カラー部材装着部53を挟み込んで保持するフランジ部31a,32aで構成する嵌合凹部33を径外側に備え、挿通方向における両側から挟み込むフランジ部31a,32aのそれぞれを含む上側カラー部材31及び下側カラー部材32を組付けて構成し、挿通方向における両側から挟み込むフランジ部31a,32a同士の間隔を保持するように上側カラー部材31の厚肉部底面31baと下側カラー部材32の厚肉部上面32baとを対面させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、振動を発生する部材に対して、カバー類やハウジングなどを装着するために用いられる緩衝装置を構成するカラー部材に関するものであり、さらに詳しくは、ヒートインシュレータのようなカバー類を内燃機関のエキゾーストマニホールド(以下、「エキマニ」という)等に取付けるために用いられる緩衝装置を構成するカラー部材、緩衝装置自体、並びに緩衝装置を用いて取付ける金属製カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図11に示すように、エンジン2の側面に取付けられたエキマニ1は、エンジンの駆動に応じて、圧力や温度が脈動する燃焼排気ガスが内部を通過するため、エキマニ1自体が振動し、振動音を発生する。さらに、エキマニ1は、内部を通過する高温の燃焼排気ガスによって加熱され、エキマニ1自体が熱を発する。このように、エキマニ1から発せられる振動音や熱が、エンジン2の周辺へ伝播することを抑制するため、エキマニ1を覆うようにヒートインシュレータ3が取付けられている。
【0003】
しかし、振動するエキマニ1やエンジン2にヒートインシュレータ3を直接取付けると、ヒートインシュレータ3が共振して、ヒートインシュレータ3自体が振動源となって、騒音が大きくなるおそれがあった。
【0004】
そこで、特許文献1では、上述のように、エンジン2のエキマニ1に対して、ヒートインシュレータ3を取付けるためのフローティングマウント構造の緩衝装置5が提案されている(図43参照)。なお、図43は下記特許文献における緩衝装置5の断面図を示している。
【0005】
従来技術の緩衝装置5は、金属繊維をメッシュ状に編み、それを平板のマット状に形成して構成する円環状の緩衝部材8と、片断面が略S字状で円環状の結合部材であるグロメット20と、緩衝装置5をエキマニ1に取り付けるための取付ボルト42と緩衝部材8との間に配置されるカラー部材10とで構成している。
【0006】
そして、カラー部材10と緩衝部材8との間に、取付ボルト42の軸線方向及び半径方向の隙間17を形成している。この隙間17により、エキマニ1から入力された振動がカラー部材10から緩衝部材8に伝達することを抑制する、つまり優れた制振性を有するとされている。
【0007】
しかし、取付ボルト42による締結力を増大させるために、過剰に取付ボルト42を螺入すると、カラー部材10において径外側に突出するフランジ部10aが、取付ボルト42のボルトヘッド42aによって押し潰されて緩衝部材8側に変形し、カラー部材10と緩衝部材8との間に形成される軸線方向の隙間17が確保できず、つまり、カラー部材10におけるフランジ部10aによる緩衝部材8の保持状態が変化するため、所望の制振性を得ることができないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−360496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、所望の制振性を安定して得ることができる緩衝装置を構成するカラー部材、緩衝装置並びに当該緩衝装置を用いて取付ける金属製カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、振動源である振動対象部材と接続対象である接続対象部材との間に配置し、締結部材で前記振動対象部材に締結することによって、前記振動対象部材と前記接続対象部材とを連結するとともに、前記振動対象部材から前記接続対象部材への振動の伝達を緩衝する緩衝装置を、振動を緩衝する緩衝部材、及び該緩衝部材及び前記接続対象部材を結合する結合部材とともに構成し、前記締結部材と前記緩衝部材との間に介在させるカラー部材であって、前記締結部材の挿通を許容する締結部材挿通部を径内側に備えるとともに、前記締結部材の挿通方向における両側から、前記カラー部材装着部を挟み込んで保持するフランジ部で構成する緩衝部材保持部を径外側に備え、前記挿通方向における両側から挟み込む前記フランジ部のそれぞれを含むフランジ構成部品を組付けて構成し、前記挿通方向における両側から挟み込むフランジ部同士の間隔を保持する間隔保持手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記接続対象部材は、上記エンジン本体、排気管や触媒部分等に接続してカバーするヒートインシュレータ、あるいは車体の底部をカバーするアンダーカバーやミッションカバー等とすることができる。
【0012】
上記振動対象部材は、例えば、自動車等のエンジン本体や、エンジンに装着された部分における排気管(特にエキマニ)や触媒部分、あるいは車体を構成するフレーム等とすることができる。
【0013】
結合部材は、いわゆるグロメットといわれる部材とすることができる。
締結部材は、例えば、振動対象部材とカラー部材とを螺着するボルトやナット、あるいはかしめによるカシメ治具等の部材とすることができる。
【0014】
上記緩衝部材は、所定の形状に形成した鋼製線材による緩衝部材、弾性を有する平板状体で構成する緩衝部材、金属繊維をメッシュ状に編み込んで平板のマット状に形成した緩衝部材、あるいは鋼線をネット状に編み込んだ緩衝部材等の所望の弾性を有する緩衝部材とすることができる。
【0015】
上記フランジ構成部品は、前記締結部材挿通部を構成し、径方向に適宜の厚みを有する厚肉リング部と、該厚肉リング部の上下端の一方から径外側向きに突出する円盤状のフランジ部とで片断面が略L字状に構成されたフランジ構成部品のように、前記締結部材挿通部の一部と前記フランジ部とを一体構成した二つの部品を、締結部材の挿通方向において対向させて組み付けてカラー部材を構成する構成部品、あるいは前記締結部材挿通部と前記フランジ部とを一体構成した第1部品と、フランジ部のみで構成する第2部品とを組み付けてカラー部材を構成する構成部品等とすることができる。
【0016】
上記間隔保持手段は、フランジ構成部品の一部で構成し、フランジ構成部品同士を組付けることによって作用する間隔保持手段、あるいは、フランジ構成部品とは別部品で構成し、フランジ構成部品同士を組付けてカラー部材を構成してから装着する間隔保持手段とすることができる。
【0017】
この発明により、所望の制振性を安定して得ることができる緩衝装置を構成するカラー部材を形成することができる。
詳しくは、前記締結部材の挿通を許容する締結部材挿通部を径内側に備えるとともに、前記締結部材の挿通方向における両側から、前記カラー部材装着部を挟み込んで保持するフランジ部で構成する緩衝部材保持部を径外側に備え、前記挿通方向における両側から挟み込む前記フランジ部のそれぞれを含むフランジ構成部品を組付けて構成し、前記挿通方向における両側から挟み込むフランジ部同士の間隔を保持する間隔保持手段を備えたことにより、前記締結部材の挿通方向における両側から挟み込むフランジ部と、前記カラー部材装着部との相対関係を確実に保持することができる。
【0018】
よって、例えば、制振性向上のためにフランジ部と、前記カラー部材装着部との間に隙間を設けたり、緩衝部材保持部における緩衝部材のばたつきを防止するためにフランジ部と前記カラー部材装着部とを密着させたりした場合であっても、間隔保持手段により、フランジ部及びカラー部材装着部について所望の相対関係を確実に保持することができる。したがって、当該カラー部材を用いることにより、緩衝部材保持部におけるカラー部材装着部の保持状態を確保でき、確実な保持状態により所望の制振性を有する緩衝装置を構成することができる。
【0019】
この発明の態様として、前記各フランジ構成部品において、前記挿通方向に直交する方向の直交面を備え、前記間隔保持手段を、前記各フランジ構成部品を前記挿通方向に組付けた状態において対面する前記直交面で構成することができる。
【0020】
この発明により、簡易な構造で、前記締結部材の挿通方向における両側から挟み込むフランジ部と、前記カラー部材装着部との相対関係を確実に保持することができる。また、間隔保持手段を、前記各フランジ構成部品における一部である直交面で構成するため、別の構成部品で間隔保持手段を構成する場合と比べて、部品点数を低減することができ、組み立て工程やコストを低減することができる。
【0021】
さらに、別の構成部品で間隔保持手段を構成する場合、間隔保持手段が脱落して間隔保持できなくなるおそれがあるが、間隔保持手段を、前記各フランジ構成部品における一部である直交面で構成するため、脱落することがなく、確実にフランジ部の間隔を保持することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記直交面を、前記締結部材挿通部の径外側において連続して形成することができる。つまり、直交面を締結部材挿通部の径外側一部で構成することができる。したがって、締結部材挿通部と別部分で直交面を形成する場合と比較し、カラー部材の形状をシンプルに構成でき、フランジ構成部品の加工成形性を向上することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記締結部材を、前記接続対象部材に植設されたボルトに対して螺合するナット、あるいは、前記接続対象部材に設けられた螺合孔やナットに螺合するボルトで構成し、前記直交面を、前記直交方向において、前記ナット、あるいは、前記ボルトの頭部よりも大きく形成することができる。
【0024】
上記ナット、あるいは、ボルトの頭部、つまりボルトヘッドよりも大きく形成する直交面は、挿通方向が垂直方向である場合における直交方向、つまり平面視において、ナットやボルトヘッドの外径よりも小さな内径及び大きな外径を有する直交面とすることができる。
【0025】
この発明により、ボルトヘッドやナットから作用する締結力に対して、間隔を保持することができる。詳しくは、直交面を、前記直交方向において、前記ナット、あるいは、前記ボルトの頭部よりも大きく形成することにより、ボルトヘッドやナットによる締結力が、直交面における平面視内側に作用するため、確実に、間隔を保持することができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記各フランジ構成部品同士を組付けた状態で固定する部品固定手段を備えることができる。
上記部品固定手段は、フランジ構成部品の一部同士をかしめるカシメ手段、螺合手段、あるいはスポット溶接等で構成することができる。
【0027】
この発明により、直交面同士が対面した状態でフランジ構成部品同士を一体化してカラー部材を構成することができる。したがって、確実にフランジ部同士の間隔を保持できるカラー部材を得ることができる。また、フランジ構成部品同士を組付けた状態において、離れる方向の外力が作用した場合であっても、部品固定手段でフランジ構成部品同士を一体化してカラー部材を構成しているため、フランジ部同士が離れることはない。したがって、フランジ部及びカラー部材装着部について所望の相対関係を確実に保持することができる。つまり、部品固定手段は、フランジ部同士の間隔が離れる方向の外力に対して間隔を保持する間隔保持手段としても機能することができる。
【0028】
またこの発明は、上述のカラー部材、前記緩衝部材、並びに、前記結合部材で構成し、前記結合部材を、前記緩衝部材を外囲するとともに、該接続対象部材を径外側に保持する第一保持部と、該緩衝部材を径内側に保持する第二保持部と、前記第一保持部と前記第二保持部とを連結する連結部とで構成し、前記緩衝部材を、前記カラー部材の装着を許容するカラー部材装着部を径方向中心部に備えるとともに、前記第二保持部に保持される被保持部を径方向外側部に備えた線材で構成し、前記緩衝部材保持部を構成するフランジ部で、前記挿通方向における両側から、前記カラー部材装着部を挟み込んで保持する構成とした緩衝装置であることを特徴とする。
【0029】
上記線材は、抑制すべき振動の周波数帯域や振幅、使用下温度などの各種使用条件に応じて適宜選定される線材であり、丸形、長円形、略矩形あるいはその他の任意の閉曲面形状での断面形状である線材とすることができる。
【0030】
なお、線材で構成する緩衝部材は、例えば、平面視において、旋回するにつれ、少なくとも一部が中心から遠ざかる二次元曲線である、いわゆるスパイラル状あるいは、中心から遠ざかるにつれて、少なくとも一部の平面サイズが大きくなり、連続する略多角形による渦巻き状の平面視渦巻き状、あるいは側面視円筒状、円錐台状、及び鼓状に巻き付けたつる巻き部であり、いわゆるコイルバネ状に構成する略円筒状に巻き付けたつる巻き状等の線材を様々な形状に形成した緩衝部材とすることができる。
【0031】
この発明により、安定して優れた制振性を奏する緩衝装置を構成することができる。
詳しくは、上述のカラー部材、前記緩衝部材、並びに、前記結合部材で構成し、前記結合部材を、前記緩衝部材を外囲するとともに、該接続対象部材を径外側に保持する第一保持部と、該緩衝部材を径内側に保持する第二保持部と、前記第一保持部と前記第二保持部とを連結する連結部とで構成し、前記緩衝部材を、前記カラー部材の装着を許容するカラー部材装着部を径方向中心部に備えるとともに、前記第二保持部に保持される被保持部を径方向外側部に備えた線材で構成し、前記緩衝部材保持部を構成するフランジ部で、前記挿通方向における両側から、前記カラー部材装着部を挟み込んで保持する構成としたため、カラー部材から緩衝部材に伝達された振動により、線材で構成した緩衝部材自身が撓み運動を行う。
【0032】
この撓み運動により、緩衝装置は、カラー部材から伝達された振動の振動エネルギーを緩衝部材の撓みの運動エネルギーに変換し、前記接続対象部材に伝達する振動を抑制することができる。
【0033】
また、前記緩衝部材を、前記カラー部材の装着を許容するカラー部材装着部を径方向中心部に備えるとともに、前記第二保持部に保持される被保持部を径方向外側部に備えた線材で構成することによって、金属繊維をメッシュ状に編み、マット状に形成した緩衝部材に比べて、製品のバラつきが少ない。したがって、安定した弾性を有する緩衝部材を構成することができる。つまり、安定した制振性を有する緩衝装置を構成することができる。
【0034】
また、間隔保持手段を有する上述の前記カラー部材を用いているため、線状の緩衝部材の径方向中心部に備えたカラー部材装着部を緩衝部材保持部で保持する保持状態において、所望の保持状態を確保することができ、緩衝部材とカラー部材とが衝突することなく振動の伝達を抑制することができる。
このように緩衝装置を上述の構成とすることにより、振動源である振動対象部材と接続対象部材とを、振動を伝達することなく連結することができる。
【0035】
この発明の態様として、前記フランジ部と前記カラー部材装着部との間に制振性向上のための隙間を設けることができる。
この発明により、緩衝装置における制振性をさらに向上することができる。詳しくは、線状の緩衝部材のカラー部材装着部を挿通方向の両側から挟み込む態様の前記フランジ部と前記カラー部材装着部との間に制振性向上のための隙間を形成しているため、カラー部材装着部とフランジ部との嵌着凹部において衝突音が生じることなく、カラー部材を介して入力された振動を隙間で吸収することができる。また、隙間により、熱の伝達を遮断することができる。なお、上述のカラー部材を用いているため、フランジ部の間隔は間隔保持手段によって確実に保持されているため、制振性を安定して向上することができる。
【0036】
さらにまたこの発明は、相互に交差する方向にそれぞれ延びるコルゲート形状が形成された1枚または複数枚のアルミニウム合金板で構成し、立体形状をなす金属製カバーであって、押し潰し対象部位の前記コルゲート形状を押し潰して略平板形状に形成し、前記相互に交差するいずれか一方の方向が前記立体形状を構成する主要な稜線相当部位に対して交差する方向に定められるとともに、請求項7に記載の緩衝装置を用い、前記振動対象部材を内燃機関及び/またはその排気経路で構成するとともに、前記第一保持部で前記押し潰し対象部位を保持する構成としたことを特徴とする。
【0037】
この発明により、例えば、自動車等の内燃機関及び/またはその排気経路からの熱の放散及び振動の伝達を抑制することのできる金属製カバーを構成することができる。
【0038】
詳しくは、例えば、適宜の耐熱性能を有する材料で構成する金属製カバーを、制振性の高い上述の緩衝装置で取付けるため、熱源である内燃機関及び/またはその排気経路からの熱の放散を防止するとともに、振動源でもある内燃機関及び/またはその排気経路からの振動を金属製カバーに伝達することを防止できる。
したがって、例えば、振動源から入力された振動に対して金属製カバー自体が共振する場合と比較して、制振性の高い状態で金属製カバーを取付けることができる。
【0039】
また、金属製カバーを相互に交差する方向にそれぞれ延びるコルゲート形状が形成された1枚または複数枚のアルミニウム合金板で構成するため、変形加工性の高い金属製カバーを構成することができる。したがって、例えば複雑な形状の内燃機関及び/またはその排気経路であっても、それらの形状に応じた形状の金属製カバーを形成できる。また、それらの形状に応じた形状の金属製カバーを取付けできるため、内燃機関及び/またはその排気経路からの熱の放散をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0040】
この発明により、所望の制振性を安定して得ることができる緩衝装置を構成するカラー部材、緩衝装置並びに当該緩衝装置を用いて取付ける金属製カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】緩衝装置の底面側からの斜視図。
【図2】緩衝装置の説明図。
【図3】緩衝装置の底面図。
【図4】カラー部材の説明図。
【図5】カラー部材の説明図。
【図6】多段コイル渦巻きバネの説明図。
【図7】多段コイル渦巻きバネの説明図。
【図8】グロメットの説明図。
【図9】緩衝装置の装着状態についての断面図。
【図10】ヒートインシュレータを構成するコルゲート板についての説明図。
【図11】緩衝装置の装着状態についての概略正面図。
【図12】別の形態のカラー部材についての説明図。
【図13】第2の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図14】第2の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図15】第3の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図16】第3の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図17】第4の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図18】第4の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図19】第5の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図20】第5の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図21】第6の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図22】第6の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図23】第7の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図24】第7の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図25】第8の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図26】第8の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図27】第9の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図28】第9の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図29】第10の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図30】第10の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図31】第11の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図32】第11の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図33】第12の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図34】第12の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図35】第13の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図36】第13の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図37】第14の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図38】第14の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図39】第15の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図40】第15の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図41】第16の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図42】第16の実施例の緩衝部材を備えた緩衝装置についての説明図。
【図43】従来技術の緩衝装置の装着状態についての断面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は本実施例の緩衝装置10の底面側からの斜視図であり、図2は緩衝装置10の説明図を示し、図3は緩衝装置10の底面図を示している。なお、図2(a)は緩衝装置10の正面図を示し、図2(b)は緩衝装置10の断面図を示している。
【0043】
また、図4,図5はカラー部材30の説明図を示し、図6,図7は螺旋多段コイル渦巻きバネ50の説明図を示し、図8はグロメット20の説明図を示している。
なお、図4(a)は緩衝装置10のカラー部材30の平面図を示し、図4(b)はカラー部材30の断面図を示し、図4(c)はカラー部材30の分解断面図を示している。図5(a)は底面側から見たカラー部材30の分解斜視図を示し、図5(b)は上面側から見たカラー部材30の分解斜視図を示し、図5(c)は上面側から見たカラー部材30の斜視図を示している。
【0044】
また、図6(a)は緩衝装置10の螺旋多段コイル渦巻きバネ50の底面図を示し、図6(b)は螺旋多段コイル渦巻きバネ50の正面図を示し、図7(a)は螺旋多段コイル渦巻きバネ50の底面側からの斜視図を示し、図7(b)は正面側が透過状態である螺旋多段コイル渦巻きバネ50の底面側からの斜視図を示している。さらに、図8(a)はグロメット20の平面図を示し、図8(b)はグロメット20の断面図を示し、図8(c)はグロメット20の底面図を示している。
【0045】
また、図9は緩衝装置10の装着状態についての断面図を示し、図10はヒートインシュレータ3を構成するコルゲートシート120についての説明図を示し、図11は緩衝装置10の装着状態についての概略正面図を示している。
【0046】
なお、図10(a)はコルゲートシート120の斜視図を示し、図10(b)は図10(a)におけるI−I端面図を示し、図10(c)は図10(a)におけるII−II端面図を示し、図10(d)は図10(a)におけるIII−III端面図を示している。
【0047】
自動車などの車両のエンジン2の側面には、図11に示すように、燃焼排気ガスを排出するためのエキマニ1が取付けられている。そして、このエキマニ1に対して、エキマニ1を覆う態様のヒートインシュレータ3が取付けられている。
【0048】
本発明の緩衝装置10は、ヒートインシュレータ3をエキマニ1に取付けるためのフローティングマウント構造の緩衝装置であり、振動を緩衝する螺旋多段コイル渦巻きバネ50、グロメット20及びカラー部材30で構成している。
【0049】
カラー部材30は、径に対して高さの低い円柱状であり、SPCCなどの鉄系材料で構成される。また、カラー部材30は、図4(a)に示すように、平面視中央に取付ボルト42の挿通を許容するボルト孔40を備え、側面には、後述する螺旋多段コイル渦巻きバネ50のカラー部材装着部53の嵌着を許容する嵌合凹部33を備えている。
【0050】
カラー部材30は、下向きに凸な上側カラー部材31と、下側カラー部材32と嵌着し、かしめて構成している。
詳しくは、上側カラー部材31は、径外側に配置したフランジ部31aと、該フランジ部31aの径内側に配置した円環状の厚肉部31bと、厚肉部31bの内周縁から上向きに突出する円筒状の嵌合筒部31cとを一体に構成している。なお、厚肉部31bの底面を31baとしている。
【0051】
下側カラー部材32は、底面におけるフランジ部31aに対応する径外側に配置したフランジ部32aと、内周部に上述の嵌合筒部31cの嵌着を許容する嵌着開口32cを備えた環状の厚肉部32bとで構成している。なお、厚肉部32bの上面を32baとしている。また、フランジ部31a,32aは、厚肉部31b,32bに比べて、後述する螺旋多段コイル渦巻きバネ50の断面半径分ほど薄く形成している。
【0052】
このように構成した上側カラー部材31の厚肉部31bの厚肉部底面31baと、下側カラー部材32の厚肉部32bの厚肉部上面32baとを対面させ、嵌着開口32cに挿入した嵌合筒部31cを径外側向きにかしめることにより、上側カラー部材31と下側カラー部材32とを一体化している。そして、このとき、上側カラー部材31のフランジ部31aと、下側カラー部材32のフランジ部32aとによって、平面視円周状で、円柱状のカラー部材30の側面から径内側向きに凹状の嵌合凹部33を構成している。
【0053】
なお、上側カラー部材31の厚肉部31bの厚肉部底面31baと、下側カラー部材32の厚肉部32bの厚肉部上面32baとは、図9に示すように、平面視において取付ボルト42のボルトヘッド42aの外径より大きく形成している。
また、厚肉部底面31baと厚肉部上面32baとは、取付ボルト42の挿通方向に対して直交し、挿通方向において対面している。
【0054】
また、嵌合凹部33は、螺旋多段コイル渦巻きバネ50の断面半径分ほど薄く形成したフランジ部31a,32aを対面させて構成しているため、螺旋多段コイル渦巻きバネ50の断面直径よりわずかに高さの高い平面視円周状の凹部を構成している。
【0055】
螺旋多段コイル渦巻きバネ50は、円形断面線材を巻き回して形成しており、径外側の螺旋渦巻き部51と、径内側の多段コイル部52とで構成している。
詳しくは、径外側から内側に向かうとともに、徐々に高さ方向に変化する螺旋渦巻き部51と、螺旋渦巻き部51の径内側端部から連続し、円筒状に巻き回した多段コイル部52とで構成している。このように構成することによって、螺旋渦巻き部51と多段コイル部52とは同じ円形断面線材を巻き回して構成しているものの、ピッチが異なるため螺旋渦巻き部51と多段コイル部52とでバネ定数が異なる。つまり、螺旋渦巻き状と円筒状とのように巻き回し方を変えることによって、一本の連続する円形断面線材を巻き回して形成する螺旋多段コイル渦巻きバネ50は、二種類の見かけのバネ定数を有することとなる。なお、カラー部材装着部53を多段コイル部52の端部に形成し、後述するグロメット20の連結部23に保持される被保持部54を、螺旋渦巻き部51の径方向外側部に備えている。
【0056】
螺旋多段コイル渦巻きバネ50の螺旋渦巻き部51について詳述すると、螺旋渦巻き部51は、渦巻き方向に沿って高さ方向(図6(b)における上下方向)に徐々に変化し、三巻きの螺旋渦巻き状に形成している。
また、螺旋多段コイル渦巻きバネ50は、上述したように、螺旋渦巻き状の径方向外側部に円弧状の被保持部54を備え、螺旋渦巻き状の径方向中心部の端部から連続して多段コイル部52を形成している。
【0057】
多段コイル部52は、上述したように、螺旋渦巻き部51の径内側の端部から連続し、高さ方向において狭ピッチ且つ同じ巻き径で巻き回して構成している。そして、その端部を、嵌合凹部33に装着するカラー部材装着部53としている。
【0058】
カラー部材装着部53及び被保持部54は、端部から3/4円である270度の中心角度で、曲率が変化しない円弧形状で形成している(図6(a)参照)。なお、カラー部材装着部53の内周円は、上述のカラー部材30における嵌合凹部33の内側円33cよりわずかに大きな径で形成している。具体的には、約0.2mm大きな径で形成している。したがって、カラー部材装着部53の内周と、嵌合凹部33の内側円33cとの間に制振性向上のための隙間sが形成される(図2(b)a部拡大図参照)。
【0059】
なお、螺旋多段コイル渦巻きバネ50は、SUS304などのステンレスバネ鋼からなる線材で構成している。
また、螺旋多段コイル渦巻きバネ50を、螺旋渦巻き部51と多段コイル部52とで構成したが、抑制すべき振動の周波数帯域や振幅、使用状態温度などの各種使用条件にしたがって、長円形でも略矩形でも、その他の随意の閉曲面形状の断面線材で構成してもよく、線材の径や材料あるいは巻き数とともに、適宜選定すればよい。
【0060】
グロメット20は、ヒートインシュレータ3を保持する第一保持部21と、螺旋多段コイル渦巻きバネ50を保持する第二保持部22と、第一保持部21と第二保持部22とを連結する連結部23とで、平面視中央に挿通穴24を有し、片断面略S字形状となる円環状に構成している。
【0061】
詳しくは、ヒートインシュレータ3を径外側で保持する第一保持部21は、円環状の金属板の外周縁から内周側における所定の半径方向長さ部分を、図8の上方から下方に向かい、径方向内周側から外周側に折り返して径外向き倒位のJ字形状に形成している。なお、第一保持部21は、後述するヒートインシュレータ3を挟み込む厚みで形成している。
【0062】
また、螺旋多段コイル渦巻きバネ50を径内側で保持する第二保持部22は、環状の金属板の内周縁から外周側における所定の半径方向長さ部分を、図8の下方から上方に向かい、径方向外周側から内周側に折り返して径内向き倒位のJ字形状に形成している。
【0063】
なお、第二保持部22は、上述の螺旋多段コイル渦巻きバネ50を挟み込む厚みで形成されている。さらに、螺旋多段コイル渦巻きバネ50の被保持部54の外周円と、倒位のJ字形状の第二保持部22の内側との間にわずかな隙間sを形成している(図2(b)b部拡大図参照)。
【0064】
連結部23は、第一保持部21と第二保持部22とに亘って屈曲して形成され、径外向き倒位のJ字形状に形成した第一保持部21の径内側の下側端部と、径内向き倒位のJ字形状に形成した第二保持部22の径外側の上側端部とを相互に連結する構成である。これら第二保持部22、連結部23及び第一保持部21は、エキマニ1に設けたボルト用ボス41の側からこの順序で配置される。
【0065】
上述したように緩衝装置10は、上述の構成のカラー部材30、螺旋多段コイル渦巻きバネ50、及びグロメット20を組み付けて構成している。詳述すると、カラー部材30の嵌合凹部33に、螺旋多段コイル渦巻きバネ50の多段コイル部52のカラー部材装着部53を嵌合させて、カラー部材30と螺旋多段コイル渦巻きバネ50とを組み付ける。このとき、上述したように、嵌合凹部33の内側円33cと螺旋多段コイル渦巻きバネ50のカラー部材装着部53の内周側との間に隙間sが設けられるとともに、カラー部材装着部53は、内側円33cの周面に対して3/4の範囲を巻き付けることができる。
【0066】
また、グロメット20の第二保持部22に、螺旋多段コイル渦巻きバネ50の螺旋渦巻き部51の被保持部54を嵌合させて、グロメット20と螺旋多段コイル渦巻きバネ50とを組み付ける。このとき、上述したように、グロメット20の第二保持部22の内周面と、螺旋多段コイル渦巻きバネ50の被保持部54との外周の間に隙間sが設けられるとともに、被保持部54は、第二保持部22の内周面に対して3/4の範囲に配置される。
【0067】
また、図2(b)に示すように、径外側の被保持部54が径内側のカラー部材装着部53より高くなるように螺旋多段コイル渦巻きバネ50を緩衝装置10とカラー部材30との間に配置するため、嵌合凹部33でカラー部材装着部53を嵌合するカラー部材30は、被保持部54を保持する第二保持部22は、高い位置(図2(b)において上方向)となるように組み付けられる。
【0068】
このように構成された緩衝装置10は、図9に示すように、ヒートインシュレータ3に形成された装着孔3aに装着され、エキマニ1に形成されたボルト用ボス41に螺挿される取付ボルト42によって、ボルト用ボス41に固定される。
【0069】
ヒートインシュレータ3は、図11に示すように、エンジン2の側面に取付けられたエキマニ1を覆うように形成されており、エキマニ1に設けられた複数のボルト用ボス41に対して、緩衝装置10を介して、取付ボルト42によって固定される。
【0070】
コルゲートシート120は、図10(b),(c)に示すように、隆起部121と谷部122とが交互に連続してX方向に連なるとともに、Y方向において、各隆起部121と谷部122との高さがそれぞれ、図10(d)に示すように、一定間隔で頂部(121a,122a)と底部(121b,122b)とを繰り返して形成されたコルゲート形状のアルミ板である。
【0071】
なお、隆起部121と谷部122とは、X方向において、等間隔で幅広と幅狭とを一定間隔毎に交互に繰り返して上記コルゲート形状を形成している。
詳しくは、コルゲートシート120のコルゲート形状は、それぞれがY方向に沿って延びる隆起部121と谷部122とがX方向に交互に繰り返されている。
【0072】
隆起部121は、Y方向に沿って、頂部121aと底部121bとが谷部122から立上って交互に配列され、谷部122は、Y方向に沿って、頂部である平坦部122aと底部である凹部122bとが交互に配列されている。
【0073】
頂部121aは、谷部122から略逆台形状に立上がる一対の側壁と、側壁の先端が相互に連結されて形成される比較的平坦な頂部とで構成するとともに、頂部121aは内曲しており、頂部121aの基端部よりも先端部のほうが幅広になる。
【0074】
底部121bは、平坦部122aからそれぞれ立上がる一対の側壁と、側壁の先端を相互に連結した凹状の凹部122bとで構成され、頂部121a及び凹部122b、並びに底部121b及び平坦部122aが、X方向に沿ってそれぞれ断続的に連なるように形成している。
【0075】
そして、このコルゲートシート120を所定形状に形状加工したヒートインシュレータ3において、エキマニ1に設けたボルト用ボス41に対応する箇所に装着孔3aを形成するとともに、装着孔3aの周辺のコルゲート形状を潰して略平板形状に形成する押し潰し部3bを、グロメット20の第一保持部21で保持している。
【0076】
また、立体形状に形成されたヒートインシュレータ3は、上記コルゲート形状において相互に交差するいずれか一方の方向が立体形状を構成する主要な稜線相当部位に対して交差する方向に定められている。
【0077】
より詳述すると、ヒートインシュレータ3は上述したようにエキマニ1の立体的な外観形状に沿った立体形状に形成されるので、ヒートインシュレータ3には屈曲部位であるひとつ、あるいは複数の稜線相当部位が形成される。本実施例では、コルゲート形状の長手方向が、これら複数の稜線相当部位のうちの主要な稜線相当部位に交差する方向となるように、立体形状へのプレス加工を施している。
【0078】
ここで、主要な稜線相当部位とは、ヒートインシュレータ3の全体的な形状を特徴付ける比較的大きな曲率を有する折り曲げ部位が連続する部位である。即ち、ヒートインシュレータ3に形成される大小種々の折り曲げ部位のうち、ヒートインシュレータ3の外観形状を実質的に決定付ける比較的長寸に亘って延びる折り曲げ部位である。
【0079】
ヒートインシュレータ3がエキマニ1に対して装着されると、エキマニ1からの振動の伝達によりヒートインシュレータ3も振動する。この振動によりヒートインシュレータ3が振動すると、主要な稜線相当部位を中心にしてその両側のヒートインシュレータ3の部位が蝶の羽根のように大きく振動する。このような振動が発生すると、ヒートインシュレータ3の稜線相当部位付近の部位が繰り返しの屈曲により金属疲労を生じクラックを発生しやすくなる。
【0080】
これに対して、本実施例のヒートインシュレータ3は、ヒートインシュレータ3に形成されているコルゲート形状の一方向が、主要な稜線相当部位に対して交差する方向、好適には直交する方向となるように定められているので、コルゲート形状が稜線相当部位を中心とする振動に対してリブの作用を実現する。これにより、ヒートインシュレータ3の振動を抑制することができ、ヒートインシュレータ3のクラックの発生を防止することができ、ヒートインシュレータ3の品質を格段に向上することができる。
【0081】
このように構成することによって、ヒートインシュレータ3は、図9に示すように、ヒートインシュレータ3に形成された装着孔3aに装着された緩衝装置10を介して、エキマニ1に設けられたボルト用ボス41に対して固定することができる。
【0082】
上述したように、緩衝装置10は、振動源であるエキマニ1に設けたボルト用ボス41と接続対象であるヒートインシュレータ3との間に配置し、エキマニ1に設けたボルト用ボス41とヒートインシュレータ3とを連結するとともに、エキマニ1に設けたボルト用ボス41からヒートインシュレータ3への振動の伝達を緩衝する装置であり、上記構成により、上述したように、緩衝装置10は安定して優れた制振性を奏することができる。
【0083】
詳しくは、カラー部材30を、径方向に適宜の厚みを有する厚肉部31b,32bと、リング部の上下端の一方から径外側向きに突出する円盤状のフランジ部31a,32aとで片断面が略L字状に構成された上側カラー部材31,下側カラー部材32を、フランジ部31a,32aが外側となるように、厚肉部31bの厚肉部底面31baと、厚肉部32bの厚肉部上面32baとを、取付ボルト42の挿通方向において対面させて組み付けて構成することにより、制振性の高い緩衝装置10の製品信頼性を向上することができる。
【0084】
詳しくは、カラー部材30を、径方向に適宜の厚みを有する厚肉部31b,32bと、リング部の上下端の一方から径外側向きに突出する円盤状のフランジ部31a,32aとで片断面が略L字状に構成した上側カラー部材31及び下側カラー部材32を、フランジ部31a,32aが外側となるように、厚肉部31bの厚肉部底面31baと、厚肉部32bの厚肉部上面32baとを対面させて組み付けて構成することによって、対面する厚肉部31b,32bと、両フランジ部31a,32aとで囲まれる空間で嵌合凹部33を構成することができる。
【0085】
また、組み付け状態の上側カラー部材31,下側カラー部材32の厚肉部31bの厚肉部底面31baと、厚肉部32bの厚肉部上面32baとを対面させているため、組み付けられたカラー部材30のボルト孔40に取付ボルト42を挿通してエキマニ1に固定する際に、両フランジ部31a,32aが取付ボルト42の締結圧力によって、変形することを防止できる。
【0086】
さらには、上側カラー部材31の厚肉部31bの厚肉部底面31baと、下側カラー部材32の厚肉部32bの厚肉部上面32baとは、図9に示すように、平面視において取付ボルト42のボルトヘッド42aの外径よりも小さな内径及び大きな外径を有するリング形状で形成しているため、取付ボルト42の締め付けによるボルトヘッド42aからの締結圧力によって、両フランジ部31a,32aが取付ボルト42の締結圧力によって、変形することを防止できる。
【0087】
したがって、取付ボルト42の締結状態に関わらず、カラー部材装着部53と嵌合凹部33との間に形成された制振性向上のための隙間Sを確保することができ、カラー部材装着部53と嵌合凹部33において衝突音が生じることなく、カラー部材30を介して入力された振動を隙間Sで吸収することができる。また、隙間Sにより、熱の伝達を遮断することができる。
【0088】
さらにまた、嵌合凹部33とカラー部材装着部53との間に制振性を向上するための隙間Sを設けているため、緩衝装置10における制振性をさらに向上することができる。詳しくは、円弧状に形成したカラー部材装着部53を嵌合凹部33で保持する状態において制振性を向上するための隙間Sを形成しているため、つまり、制振性向上のためにわずか0.2mm程度の隙間Sを形成しているため、従来技術の緩衝装置5のように、カラー部材10と緩衝部材8との間に形成し、それぞれが遊動するように積極的に形成した軸線方向及び半径方向(平面方向)の隙間17(図43参照)のように、カラー部材装着部53と嵌合凹部33において衝突音が生じることなく、カラー部材30を介して入力された振動を隙間Sで吸収することができる。また、隙間Sにより、熱の伝達を遮断することができる。
【0089】
また、カラー部材30は、上側カラー部材31及び下側カラー部材32の一部分である厚肉部底面31baと厚肉部上面32baとを対面させて組付けることにより間隔保持手段を構成し、取付ボルト42の挿通方向における両側から挟み込むフランジ部31a,32aと、カラー部材装着部53との相対関係を確実に保持しているため、別の構成部品で間隔保持手段を構成する場合と比べて、部品点数を低減することができ、組み立て工程やコストを低減することができる。
【0090】
さらに、別の構成部品で間隔保持手段を構成する場合、例えば間隔保持手段が脱落して間隔保持できなくなるおそれがあるが、間隔保持手段として、カラー部材30は、上側カラー部材31及び下側カラー部材32の一部分である厚肉部底面31baと厚肉部上面32baとを対面させて組付けているため、カラー部材30から脱落することがなく、確実にフランジ部31a,32aの間隔を保持することができる。
【0091】
また、厚肉部底面31ba及び厚肉部上面32baを、ボルト孔40を構成する厚肉部31b,32bの一部として構成しているため、カラー部材30の形状をシンプルに構成することができる。したがって、上側カラー部材31や下側カラー部材32の加工成形性を向上することができる。
【0092】
さらには、上側カラー部材31の嵌合筒部31cを下側カラー部材32の嵌着開口32cに挿入するとともにかしめて一体化しているため、カラー部材30に対して、フランジ部31a,32aが離れる方向の外力が作用した場合であっても、フランジ部31a,32a同士が離れることはない。したがって、フランジ部31a,32aとカラー部材装着部53との所望の相対関係を確実に保持することができる。つまり、上側カラー部材31の嵌合筒部31cと下側カラー部材32の嵌着開口32cとのカシメ固定は、フランジ部31a,32a同士の間隔が離れる方向の外力に対して間隔を保持する間隔保持手段としても機能することができる。
【0093】
また、緩衝部材を、平面視渦巻き状の線材で構成する螺旋多段コイル渦巻きバネ50とし、カラー部材30の装着を許容するカラー部材装着部53を、平面視渦巻き状における径方向中心部に備えるとともに、カラー部材装着部53を保持する嵌合凹部33をカラー部材30の径外側に備えたため、カラー部材30から螺旋多段コイル渦巻きバネ50に伝達された振動により、平面視渦巻き状の線材で構成した螺旋多段コイル渦巻きバネ50自身が撓み運動を行う。この撓み運動により、緩衝装置10は、カラー部材30から伝達された振動の振動エネルギーを螺旋多段コイル渦巻きバネ50の撓みの運動エネルギーに変換し、ヒートインシュレータ3に伝達する振動を抑制することができる。
【0094】
つまり、従来技術の緩衝装置5において、カラー部材10と緩衝部材8との間に、それぞれが遊動するように積極的に形成した軸線方向、つまり挿通方向及び半径方向(平面方向)の隙間17の役目を螺旋多段コイル渦巻きバネ50における螺旋渦巻き部51の線材同士のクリアランスで実現し、入力振動の伝達を抑制する、つまり優れた制振性を実現している。
【0095】
なお、本実施例の緩衝装置10は、自動車のエンジン2に装着されるエキマニ1用のヒートインシュレータ3に関連して説明されたが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、例えば、車体の底部をカバーするアンダーカバー等の自動車の他の部位に装着される種々の用途のカバー類の取付に実施してもよい。また、自動車以外の種々の用途のカバー類の取付に実施できるものである。
【0096】
また、上述のカラー部材30では、上側カラー部材31の嵌合筒部31cを、下側カラー部材32の嵌着開口32cに挿入してカシメて一体化したが、図12に示すように、異なる方法で上側カラー部材31と下側カラー部材32とを固定してもよい。なお、別の形態のカラー部材30についての説明図である図12において、図12(a)は螺合によって固定するカラー部材30についての説明図であり、図12(b)は凹部への圧入によって固定するカラー部材30についての説明図を示している。
【0097】
詳しくは、螺合によって固定するカラー部材30は、図12(a−2),(a−3)に示すように、上側カラー部材31の嵌合筒部31cの外周面31caと、下側カラー部材32における嵌着開口32cの内周面32caとに形成したネジ溝を螺合し、図12(a−1)に示すように上側カラー部材31と下側カラー部材32とを固定する。
【0098】
なお、下側カラー部材32を、嵌着開口32cを有するフランジ部32aのみで構成するとともに、上側カラー部材31の厚肉部31bを嵌合凹部33に対応する高さで形成し、その端部から下方に突出するように、フランジ部32aに対応する高さの嵌合筒部31cを形成してもよい。
【0099】
この場合も、嵌着開口32cの内面32caと、嵌合筒部31cの外周面31caとに形成したネジ溝を螺合して上側カラー部材31と下側カラー部材32とを固定することとなる。なお、この場合、厚肉部底面31baは、フランジ部32aの上面と対面して面接触する構成となる。
【0100】
また、下側カラー部材32の厚肉部上面32baに形成した圧入凹部32bbへの圧入によって固定するカラー部材30は、図12(b−2),(b−3)に示すように、厚肉部底面31baと厚肉部上面32baとを対面させた状態で、厚肉部上面32baに形成した圧入凹部32bbに対応する位置の厚肉部31bをプレスして、圧入凹部32bbに上側カラー部材31の厚肉部31bの一部を圧入し、図12(b−1)に示すように上側カラー部材31と下側カラー部材32とを固定する。このように、カラー部材30における上側カラー部材31と下側カラー部材32との固定方法は、このほかスポット溶接等で固定する等、様々な方法があり、その方法を限定するものではない。
【0101】
また、上述の説明では、緩衝部材として、螺旋渦巻き状の線材で構成する螺旋多段コイル渦巻きバネ50を用いたが、これに限定されず、図13乃至図42に示すように、様々な形状の緩衝部材を用いても、螺旋多段コイル渦巻きバネ50による効果以外の効果を得ることができるのは明らかである。
【0102】
なお、以下の説明においては、緩衝部材の代替について説明するため、図13乃至図42において、緩衝装置10におけるグロメット20及びカラー部材30については上述の説明の緩衝装置10におけるグロメット20及びカラー部材30と同様の構成であるため点線で示し、この説明の本質部分である緩衝部材150についてのみ実線で表している。
【0103】
第2の実施例の緩衝部材150は、対向する2方向に配置された略扇状部分と、扇状部分の間を連結する円弧状部分とを1本の鋼製線材で構成し、扇状部分の外周を第二保持部22で保持するとともに、円弧状部分をカラー部材30の嵌合凹部33で保持する構成である。なお、第2の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図13、図14において、図13(a)は平面図、図13(b)は底面図、図13(c)は正面図、図13(d)は右側面図、図13(e)は平面方向断面図、図13(f)は図13(a)におけるA−A断面図を示している。また、図14(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図14(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図14(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0104】
第3の実施例の緩衝部材150は、3方向に配置された略扇状部分と、扇状部分の間を連結する円弧状部分とを1本の鋼製線材で構成し、あたかも放射能標識のように形成され、扇状部分の外周を第二保持部22で保持するとともに、円弧状部分をカラー部材30の嵌合凹部33で保持する構成である。なお、第3の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図15、図16において、図15(a)は平面図、図15(b)は底面図、図15(c)は正面図、図15(d)は右側面図、図15(e)は平面方向断面図、図15(f)は図15(a)におけるA−A断面図を示している。また、図16(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図16(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図16(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0105】
第4の実施例の緩衝部材150は、鋼製線材を、角部が円弧状の略三角形状に形成し、角部を第二保持部22で保持するとともに、辺部の中央付近をカラー部材30の嵌合凹部33で保持する構成である。なお、第4の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図17、図18において、図17(a)は平面図、図17(b)は底面図、図17(c)は正面図、図17(d)は右側面図、図17(e)は平面方向断面図、図17(f)は図17(a)におけるA−A断面図を示している。また、図18(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図18(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図18(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0106】
第5の実施例の緩衝部材150は、鋼製線材を、角部が円弧状の略三角形が四方向に配置された略十字型に形成し、角部を第二保持部22で保持するとともに、内側をカラー部材30の嵌合凹部33で保持する構成である。なお、第5の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図19、図20において、図19(a)は平面図、図19(b)は底面図、図19(c)は正面図、図19(d)は右側面図、図19(e)は平面方向断面図、図19(f)は図19(a)におけるA−A断面図を示している。また、図20(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図20(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図20(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0107】
第6の実施例の緩衝部材150は、略四角形を構成する径内向きに開放されたコ字状部分が四方向に配置され、コ字状部分の内側同士を連結する円弧状部分とで鋼製線材を略十字型に形成し、コ字状部分の径外周側部を第二保持部22で保持するとともに、円弧状部分をカラー部材30の嵌合凹部33で保持する構成である。なお、第6の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図21、図22において、図21(a)は平面図、図21(b)は底面図、図21(c)は正面図、図21(d)は右側面図、図21(e)は平面方向断面図、図21(f)は図21(a)におけるA−A断面図を示している。また、図22(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図22(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図22(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0108】
第7の実施例の緩衝部材150は、鋼製線材を、カラー部材30の嵌合凹部33の内側に沿う外周部と、カラー部材30の嵌合凹部33の外側に沿う内周部との端部同士を1本の連結部で連結し、外周部を第二保持部22で保持するとともに、内周部をカラー部材30の嵌合凹部33で保持する構成である。なお、第7の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図23、図24において、図23(a)は平面図、図23(b)は底面図、図23(c)は正面図、図23(d)は右側面図、図23(e)は平面方向断面図、図23(f)は図23(a)におけるA−A断面図を示している。また、図24(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図24(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図24(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0109】
第8の実施例の緩衝部材150は、第二保持部22の内側に沿う外周部と、嵌合凹部33の外側に沿う内周部とのそれぞれの端部を2本の径方向の連結部で連結して、鋼製線材を略ドーナツ状に形成し、外周部を第二保持部22で保持するとともに、内周部をカラー部材30の嵌合凹部33で保持する構成である。なお、第8の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図25、図26において、図25(a)は平面図、図25(b)は底面図、図25(c)は正面図、図25(d)は右側面図、図25(e)は平面方向断面図、図25(f)は図25(a)におけるA−A断面図を示している。また、図26(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図26(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図26(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0110】
第9の実施例の緩衝部材150は、第8の実施例の緩衝部材150を構成する外周部と内周部とを連結する連結部が斜交い状となる構成である。なお、第9の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図27、図28において、図27(a)は平面図、図27(b)は底面図、図27(c)は正面図、図27(d)は右側面図、図27(e)は平面方向断面図、図27(f)は図27(a)におけるA−A断面図を示している。また、図28(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図28(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図28(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0111】
第10の実施例の緩衝部材150は、第二保持部22の内側半分に沿う半外周部と、嵌合凹部33の外側半分に沿う半内周部とを径方向の連結部で連結して、鋼製線材を半ドーナツ状に形成し、それらを左右対称に配置する一対構成である。なお、第10の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図29、図30において、図29(a)は平面図、図29(b)は底面図、図29(c)は正面図、図29(d)は右側面図、図29(e)は平面方向断面図、図29(f)は図29(a)におけるA−A断面図を示している。また、図30(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図30(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図30(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0112】
第11の実施例の緩衝部材150は、一対構成であった第10の実施例の緩衝部材150を一本の連続する鋼製線材で一筆書き状に形成している。したがって、カラー部材30の嵌合凹部33及びグロメット20の第二保持部22は、上下に重ね合わせた緩衝部材150の重なり部分の嵌め込みが許容できるよう、高さを高く形成している。なお、第11の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図31、図32において、図31(a)は平面図、図31(b)は底面図、図31(c)は正面図、図31(d)は右側面図、図31(e)は平面方向断面図、図31(f)は図31(a)におけるA−A断面図を示している。また、図32(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図32(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図32(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0113】
第12の実施例の緩衝部材150は、鋼製線材を、第二保持部22の内側から嵌合凹部33の反対側の外側に沿い、第二保持部22の対向する内側までつながる略へ字状部分を上下対称にし、その間を第二保持部22の内側に沿って連結部分で連結しており、連結部分を第二保持部22で保持するとともに、略へ字状部分の頂点付近をカラー部材34の嵌合凹部33で保持する構成である。したがって、カラー部材30の嵌合凹部33は、上下に重ね合わせた緩衝部材150の重なり部分の嵌め込みが許容できるよう、高さを高く形成している。なお、第12の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図33、図34において、図33(a)は平面図、図33(b)は底面図、図33(c)は正面図、図33(d)は右側面図、図33(e)は平面方向断面図、図33(f)は図33(a)におけるA−A断面図を示し、図33(g)は図33(a)におけるB−B断面図を示している。また、図34(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図34(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図34(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0114】
第13の実施例の緩衝部材150は、鋼製線材をカラー部材30の嵌合凹部33の内側を左右から挟み込む2本の直線部分と、第二保持部22の内側に沿う円弧部とで構成する俵型に形成し、それらを直交させるとともに、上下に重ね合わせた一対構成である。したがって、カラー部材30の嵌合凹部33及びグロメット20の第二保持部22は、上下に重ね合わせた緩衝部材150の重なり部分の嵌め込みが許容できるよう、高さを高く形成している。なお、第13の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図35、図36において、図35(a)は平面図、図35(b)は底面図、図35(c)は正面図、図35(d)は右側面図、図35(e)は平面方向断面図、図35(f)は図35(a)におけるA−A断面図を示している。また、図36(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図36(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図36(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
【0115】
第14の実施例の緩衝部材150は、鋼製線材をあたかも一筆書きで書いた星形に形成し、角部を第二保持部22で保持するとともに、片部の中央付近をカラー部材30の嵌合凹部33で保持する構成である。したがって、カラー部材30の嵌合凹部33は、上下に重ね合わせた緩衝部材150の重なり部分の嵌め込みが許容できるよう、高さを高く形成している。なお、第14の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図37、図38において、図37(a)は平面図、図37(b)は底面図、図37(c)は正面図、図37(d)は右側面図、図37(e)は左側面図、図37(f)は背面図、図37(g)は図37(a)におけるA−A断面図を示している。また、図38(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図38(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図38(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。
【0116】
第15の実施例の緩衝部材150は、鋼製線材を4半ドーナツ状、つまり幅広円弧形状の外形に形成し、直線部分同士を間隔を隔てて円周方向に4つ配置し、外周部を第二保持部22で保持するとともに、内周部をカラー部材30の嵌合凹部33で保持する構成である。なお、第15の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図39、図40において、図39(a)は平面図、図39(b)は底面図、図39(c)は正面図、図39(d)は右側面図、図39(e)は左側面図、図39(f)は背面図、図39(g)は図39(a)におけるA−A断面図を示している。また、図40(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図40(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図40(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。
【0117】
第16の実施例の緩衝部材150は、円形の平板に対して、4半ドーナツ状、つまり幅広円弧形状の開口を等間隔に4か所設け、第二保持部22の外側に沿う外周円部と、カラー部材30の嵌合凹部33の内側に沿う内周円部とを十字状に連結する構成である。なお、第二保持部22で保持する外周円部と、カラー部材30の嵌合凹部33で保持する内周円部とは、平板部より厚みを厚く形成している。なお、第16の実施例の緩衝部材150を備えた緩衝装置10についての説明図である図41、図42において、図41(a)は平面図、図41(b)は底面図、図41(c)は正面図、図41(d)は右側面図、図41(e)は平面方向断面図、図41(f)は図41(a)におけるA−A断面図を示している。また、図42(a)は底面側から見た拡大斜視図を示し、図42(b)は底面側から見た斜視片側拡大断面図を示し、図42(c)は鉛直方向の軸線Lに沿って、グロメット20とカラー部材30と緩衝部材150とを分解した参考分解底面側斜視図を示している。なお、背面図は正面図を同一、左側面図は右側面図と同一に表れる。
このように、カラー部材30を上述のように構成することにより、様々な形状の螺旋多段コイル渦巻きバネ50や緩衝部材150であっても、同様の効果を得ることができる。
【0118】
以上、この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
この発明の振動対象部材や排気経路は、エキマニ1に対応し、
以下同様に、
接続対象部材や金属製カバーは、ヒートインシュレータ3に対応し、
緩衝部材は、螺旋多段コイル渦巻きバネ50や緩衝部材150に対応し、
結合部材は、グロメット20に対応し、
締結部材は、取付ボルト42に対応し、
締結部材挿通部は、ボルト孔40に対応し、
緩衝部材保持部は、嵌合凹部33に対応し、
フランジ構成部品は、上側カラー部材31及び下側カラー部材32に対応し、
間隔保持手段や直交面は、上側カラー部材31の厚肉部底面31ba及び下側カラー部材32の厚肉部上面32baに対応し、
ボルトの頭部は、ボルトヘッド42aに対応し、
部品固定手段は、下側カラー部材32の嵌着開口32cに対する上側カラー部材31の嵌合筒部31cのカシメや、嵌着開口32cの内周面32ca及び嵌合筒部31cの外周面31caに形成したネジ溝の螺合、厚肉部上面32baに形成した圧入凹部32bbに対する圧入に対応し、
内燃機関は、エンジン2に対応し、
押し潰し対象部位は、押し潰し部3bに対応するも、この発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。
【0119】
例えば、本実施形態では、カラー部材30において、第二保持部22、連結部23及び第一保持部21は、エキマニ1に設けたボルト用ボス41の側からこの順序で配置したが、エキマニ1に設けたボルト用ボス41の側から第一保持部21、連結部23及び第二保持部22を配置してもよい。
【0120】
また、上述のグロメット20は、ヒートインシュレータ3を径外側に保持する第一保持部21と、螺旋多段コイル渦巻きバネ50を径内側に保持する第二保持部22と、第一保持部21と第二保持部22とを連結する連結部23とで、片断面略S字形状となる円環状に構成したが、径外側でヒートインシュレータ3を保持し、径内側で螺旋多段コイル渦巻きバネ50を保持できればよく、例えば、ヒートインシュレータ3及び螺旋多段コイル渦巻きバネ50を保持する倒位のU字型やV字型の保持部を外向きに配置するとともに、それらの保持部の間を連結する片断面形状となる円環部材で構成してもよい。
【0121】
また、上述の説明においては、下向きに凸な上側カラー部材31と、下側カラー部材32と嵌着し、かしめてカラー部材30を構成し、この向きで緩衝装置10に装備したが、上側カラー部材31と、下側カラー部材32とが上下逆さまとなる上下逆向きで緩衝装置10に装備してもよい。
【0122】
さらには、取付ボルト42のボルトヘッド42aと、厚肉部底面31baや厚肉部上面32baとの径方向の大きさは、上述の説明のように、厚肉部底面31baや厚肉部上面32baを、取付ボルト42のボルトヘッド42aの外径より小さな内径を有するとともに、ボルトヘッド42aの外径より大きな外径を有する大きさに形成することが、締結圧力に対する耐力の観点より好ましいが、これに限定されず、厚肉部底面31baや厚肉部上面32baを、取付ボルト42のボルトヘッド42aの外径より小さな内径を有するとともに、ボルトヘッド42aの外径よりと同径程度あるいはひと回り小さな外径を有する大きさに形成してもよい。
【符号の説明】
【0123】
1…エキマニ
2…エンジン
3…ヒートインシュレータ
10…緩衝装置
20…グロメット
21…第1保持部
22…第2保持部
23…連結部
30…カラー部材
31…上側カラー部材
32…下側カラー部材
31a,32a…フランジ部
31ba…厚肉部底面
32ba…厚肉部上面
32bb…圧入凹部
31c…嵌合筒部
32c…嵌着開口
31ca…外周面
32ca…内周面
33…嵌合凹部
40…ボルト孔
42…取付ボルト
42a…ボルトヘッド
50…螺旋多段コイル渦巻きバネ
53…カラー部材装着部
54…被保持部
150…緩衝部材
S…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動源である振動対象部材と接続対象である接続対象部材との間に配置し、締結部材で前記振動対象部材に締結することによって、前記振動対象部材と前記接続対象部材とを連結するとともに、前記振動対象部材から前記接続対象部材への振動の伝達を緩衝する緩衝装置を、振動を緩衝する緩衝部材、及び該緩衝部材及び前記接続対象部材を結合する結合部材とともに構成し、前記締結部材と前記緩衝部材との間に介在させるカラー部材であって、
前記締結部材の挿通を許容する締結部材挿通部を径内側に備えるとともに、
前記締結部材の挿通方向における両側から、前記カラー部材装着部を挟み込んで保持するフランジ部で構成する緩衝部材保持部を径外側に備え、
前記挿通方向における両側から挟み込む前記フランジ部のそれぞれを含むフランジ構成部品を組付けて構成し、
前記挿通方向における両側から挟み込むフランジ部同士の間隔を保持する間隔保持手段を備えた
カラー部材。
【請求項2】
前記各フランジ構成部品において、前記挿通方向に直交する方向の直交面を備え、
前記間隔保持手段を、
前記各フランジ構成部品を前記挿通方向に組付けた状態において対面する前記直交面で構成した
請求項1に記載のカラー部材。
【請求項3】
前記直交面を、前記締結部材挿通部の径外側において連続して形成した
請求項2に記載のカラー部材。
【請求項4】
前記締結部材を、
前記接続対象部材に植設されたボルトに対して螺合するナット、あるいは、前記接続対象部材に設けられた螺合孔に螺合するボルトで構成し、
前記直交面を、前記直交方向において、前記ナット、あるいは、前記ボルトの頭部よりも大きく形成した
請求項3に記載のカラー部材。
【請求項5】
前記各フランジ構成部品同士を組付けた状態で固定する部品固定手段を備えた
請求項1乃至4のうちいずれかに記載のカラー部材。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれかに記載のカラー部材、前記緩衝部材、並びに、前記結合部材で構成し、
前記結合部材を、
前記緩衝部材を外囲するとともに、
該接続対象部材を径外側に保持する第一保持部と、
該緩衝部材を径内側に保持する第二保持部と、
前記第一保持部と前記第二保持部とを連結する連結部とで構成し、
前記緩衝部材を、
前記カラー部材の装着を許容するカラー部材装着部を径方向中心部に備えるとともに、前記第二保持部に保持される被保持部を径方向外側部に備えた線材で構成し、
前記緩衝部材保持部を構成するフランジ部で、前記挿通方向における両側から、前記カラー部材装着部を挟み込んで保持する構成とした
緩衝装置。
【請求項7】
前記フランジ部と前記カラー部材装着部との間に制振性向上のための隙間を設けた
請求項6に記載の緩衝装置。
【請求項8】
相互に交差する方向にそれぞれ延びるコルゲート形状が形成された1枚または複数枚のアルミニウム合金板で構成し、立体形状をなす金属製カバーであって、
押し潰し対象部位の前記コルゲート形状を押し潰して略平板形状に形成し、
前記相互に交差するいずれか一方の方向が前記立体形状を構成する主要な稜線相当部位に対して交差する方向に定められるとともに、
請求項7に記載の緩衝装置を用い、
前記振動対象部材を内燃機関及び/またはその排気経路で構成するとともに、前記第一保持部で前記押し潰し対象部位を保持する構成とした
金属製カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2012−149698(P2012−149698A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8769(P2011−8769)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(391061831)三和パッキング工業株式会社 (28)
【Fターム(参考)】