説明

カルシウムチャンネル遮断剤としての1,4−ジヒドロピリジンおよびピリジン化合物

本発明の一部は、ピリジン-または1,4-ジヒドロピリジンに基づいた化合物により、カルシウムチャンネルの機能を修飾する方法に関するものである。加えて本発明は、生体の循環器病または神経学的疾患を、本発明により同定された化合物で防御および治療する方法を述べるものである。更に本発明は、ピリジン-または1,4-ジヒドロピリジンに基づいた化合物およびそれらの化合物を含む薬剤組成物に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウムチャンネルの活性を修飾することが可能な、特定の1,4-ジヒドロピリジンおよびピリジン化合物に関する。これらの化合物は、カルシウムチャンネルと関連する疾患、例えば、循環器病や神経学的疾患の治療に用いることも可能である。
【背景技術】
【0002】
カルシウム拮抗剤またはカルシウムチャンネル遮断剤の薬理機能や重要性については十分に文献に記載されている。例えば、非特許文献1参照。カルシウム拮抗剤の内、ニフェジピン型の4-アリル-1,4-ジヒドロピリジン-3,5-ジカルボン酸ジエステル類は、循環器疾患の治療にほとんど不可欠のものになっている。構造・活性関係(SAR)に関する総説については非特許文献2を参照。4-フェニル環における置換が薬理学的活性にとって極めて重要であることは十分文献に記載されている。オルトまたはメタ位置における置換基は活性を向上させるが、一方パラの置換は必ず活性を低下させる。また、大量のオルト置換基はカルシウム拮抗剤活性を向上させることも公刊されている。非特許文献3参照。
【0003】
電位依存性カルシウムチャンネルは、カルシウムイオンの細胞内濃度を調節する大型の膜貫通蛋白である。この蛋白は、それらが活性化される膜電位に従って、高電位依存性(HVA)チャンネルと低電位依存性(LVA)チャンネルに分類される。非特許文献4、5、6。LVAチャンネルは極めて速やかに開放し、非活性化するが、脱活性化は、HVAカルシルムチャンネルよりも約10-100倍遅い。HVAチャンネルは、活性化するのにより強力な膜の脱分極を必要とし、かつ、その薬理学的性質によってさらにN、P/Q,R、および、L型に分けることが可能である。LVAチャンネルは、心臓、脳、後根神経節、および、副腎のような様々の組織中に検出が可能である。哺乳類発現配列標識cDNA、または、線虫Caenorhabditis elegansの類似配列に対して、各種探索アルゴリスムを用いることによっていくつかの遺伝子が特定され、その内の3種はLVAカルシウムチャンネル(T型チャンネル)をコードしており、かつ、それらはα1G、α1H、α1Iと名づけられた。非特許文献7(総説)を参照されたい。前述の型のカルシウムチャンネルの内、L型が広い関心を受けた。このL型チャンネル遮断剤の内、ジヒドロピリジン(DHP)がもっとも広範に調べられている。しかしながら、DHPの多くのものはT型チャンネルにたいして選択的でなく、T型チャンネルを抑制するDHPは依然として乏しい。
【0004】
電位依存性カルシウムチャンネルは、多くの型の細胞においてカルシウム流入の重要な制御因子である。これらのチャンネルを通じて起こるカルシウム進入は、広範な遺伝子発現の刺激や、カルシウム依存性第二メッセンジャーカスケードおよび細胞増殖から、神経系内部における特異的な神経伝達物質の放出と平滑筋・心筋における収縮に至る、過剰な細胞内事象を活性化させる。非特許文献8-11。多くの異なる型のカルシウムチャンネルが、生体組織において特定されており、その生物物理的特性に基づいて、低電位依存性(LVA)チャンネルと高電位依存性(HVA)チャンネルに分類されている。非特許文献6および12。先ず、LVAチャンネルが比較的過分極電位で活性化し、急速に非活性化する(非特許文献13、14)。それとは対照的に、HVAチャンネルは活性化するのにより強度の膜の脱分極を必要とし、これは、その薬理学的性質に基づいてさらにN、P/Q-、R、および、L型に分類することが可能である。総説については、非特許文献15および16参照。分子クローニングによって、HVAチャンネルは、α1サブユニットと付属的なα2-δ、βと恐らくγサブユニットを形成する小孔から成る複合マルチマーであり(非特許文献17-19、総説については非特許文献20参照)、一方、LVAチャンネルはα1サブユニットしか含んでいないらしい(非特許文献21)ことが明らかになった。現在まで、カルシウムチャンネルα1サブユニットについては10種の異なる型が特定され、以前に特定されていた天然のカルシウムチャンネルのアイソフォームをコードしていることが示された。発現実験により、α1AのオルタナティブスプライシングがP型およびQ型Ca2+チャンネルの両方をを生成すること(非特許文献22)、α1BはN型チャンネルをコードしていること(非特許文献23)、α1C、α1Dおよびα1FはL型チャンネルであること(非特許文献24と25)、α1G、α1Hおよびα1IはT型チャンネルを形成すること(非特許文献26)、かつ、α1EはR型チャンネルをコードする可能性のあること(非特許文献27と28)、および、α1Sは、骨格筋のL型チャンネルアイソフォームをコードすること(非特許文献29)が明らかになった。
【0005】
L型カルシウムチャンネルのジヒドロピリジン(DHP)拮抗剤は、高血圧、狭心症、不整脈、うっ血性心不全、心筋症、動脈硬化症、および、脳および抹消血管障害の治療に広く用いられる治療薬である(非特許文献30)。DHPは、天然のL型チャンネルの活性を選択的に阻止・強化する傾向を有する。非特許文献31と32。L型チャンネルの活性に加えて、DHPの内のあるものは、T型チャンネルの活性に対しても感受性を持つ(非特許文献33)。
【0006】
【非特許文献1】アールエー・ジャニスおよびディージェイ・トリッグル(R.A. Janis and D.J. Triggle)、「Ca2+チャンネル拮抗剤における最新の進歩(”New Developments in Ca2+ channel antagonists”)」、Journal of Medical Chemistry, 26, 775-785(1983)
【非特許文献2】エス・ゴールドマンおよびジェイ・ストルトファス(S. Goldmann and J. Stoltefuss)、「1,4-ジヒドロピリジン−キラリティーおよび立体配座のカルシウム拮抗剤およびカルシウム作用剤活性に及ぼす作用(”1,4-Dihydropyridine: Effects of chirality and conformation on the calcium antagonist and calcium agonist activities”)」、Angewandte Chemie International Edition(英語)30, 1559-1578, (1991)
【非特許文献3】ビー・レーブ、エムエム・グッドマン、ケーエム・スネイダー、アール・テデシ、イー・マッコ(B. Loev, M.M. Goodman, K.M. Snader, R. Tedeschi, E. Macko)、「ハンチュ型ジヒドロピリジン高血圧剤(”Hantzsch-Type Dihydropyridine hypertensive Agents”)」、Journal of Medical Chemistry 17, 956-965(1974)
【非特許文献4】イー・カルボーンおよびエイチディー・ラックス(E. Carbone and H.D. Lux)、「脊椎動物感覚神経細胞における、低電位活性化による、完全不活性Caチャンネル(”A low voltage activated, fully inactivating Ca channel in vertebrate sensory neurons”)」、Nature, 310, 501-502(1984)
【非特許文献5】ビー・ニリウス、ピー・ヘス、ジェイビー・ランスマンおよびアールダブリュー・ツィエン(B. Nilius, P. Hess, J.B. Lansman and R.W. Tsien)、「心室細胞における新型心臓カルシウムチャンネル(”A novel type of cardiac calcium channel in ventricular cells”)」、Nature 316, 443-446(1985)
【非特許文献6】エムシー・ノウィッキー、エーピー・フォックス、アールダブリュー・ツィエン(M.C. Nowycky, A.P. Fox, R.W. Tsien)、「異なるカルシウム作用感受性を有する、三種の神経カルシウムチャンネル(”Three types of neuronal calcium channels with different calcium agonist sensitivity”)」、Nature 316, 440-443(1985)
【非特許文献7】エル・ラシノーバ、エヌ・クルックバウアー、エフ・ホフマン(L. Lacinova, N. Klugbauer, F. Hofmann)、「低電位依存性カルシウムチャンネル−遺伝子から機能まで(”Low voltage activated calcium channels: from genes to function”)」、Gen. Physiol. Biophys., 19, 121-136(2000)
【非特許文献8】ツィエン等(Tsien et al., 1988)
【非特許文献9】ウィーラー等(Wheeler et al., 1994)
【非特許文献10】ダンラップ等(Dunlap et al., 1995)
【非特許文献11】ツィエン等(Tsien et al., 1995)
【非特許文献12】ツィエン等(Tsien et al., 1991)
【非特許文献13】アカイケ等(Akaike et al., 1989)
【非特許文献14】タカハシ等(Takahashi et al., 1991)
【非特許文献15】ステア等(Stea et al., 1995)
【非特許文献16】ザンポーニ(Zamponi, 1997)
【非特許文献17】プラグネル等(Pragnell et al., 1994)
【非特許文献18】クルックバウアー等(Klugbauer et al., 1999)
【非特許文献19】クルックバウアー等(Klugbauer et al., 2000)
【非特許文献20】キャッタラル(Catterall, 2000)
【非特許文献21】ラシノーバ等(Lacinova et al., 2000)
【非特許文献22】ブリネ等(Bourinet et al., 1999)
【非特許文献23】デュベル等(Dubel et al., 1992)
【非特許文献24】ウィリアムス等(Williams et al., 1992b)
【非特許文献25】ベック・ハンセン等(Beck-Hansen et al., 1998)
【非特許文献26】マックローリ等(McRory et al., 2001)
【非特許文献27】スング等(Soong et al., 1993)
【非特許文献28】トッテン等(Tottene et al., 1996)
【非特許文献29】タナベ等(Tanabe et al., 1987)
【非特許文献30】ジャニスおよびトリッグル(Janis and Triggle, 1990)
【非特許文献31】ビーピー・ビーン(B.P. Bean, 1984)
【非特許文献32】ビーゼット・ピーターソン、キャッタラル(B.Z. Peterson and Catterall, 1995)
【非特許文献33】エヌ・アカイケ、エイチ・カナイデ、ティー・クガ、エム・ナカムラ、ジェイ・サドシマ、トモイケ(N. Akaike, H. Kanaide, T. Kuga, M. Nakamura, J. Sadoshima and Tomoike)、「一次培養体におけるラット大動脈平滑筋細胞における低電位依存性カルシウム電流(”Low Voltage Activated Calcium Current in rat Aorta Smooth Muscle Cells in Primary Culture”)」、J. Physiol. 416, 141-160(1989)
【発明の開示】
【0007】
開示されるのは、式IまたはIIの化合物、


または、その薬学的に受容可能な塩、アミド、エステル、または、薬剤前駆物質であり、
ここで、
a)R1は、8を越える炭素原子を有する、直鎖、分枝鎖、または、環状アルキル基であり、
b)R2-R9は、水素、ハロゲン、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、ジアゾ塩、随意に置換された低級アルキル、随意に置換された低級アルキレン、随意に置換された低級アルコキシ、随意に置換された低級アルコキシアルキル、随意に置換された低級アルコキシアルコキシ、随意に置換された低級メルカプチル、随意に置換された低級メルカプトアルキル、随意に置換された低級メルカプトメルカプチル、-C(O)OH、-OC(O)H、-C(O)OR-、-OC(O)R、-C(S)OR、-OC(S)R、-C(O)SR、-SC(O)R、-C(S)SR、-SC(S)R、C-アミド、N-アミド、および、随意に置換された5員環又は6員環のアリル複素環または随意に置換された6員環のアリル環またはアリル複素環、から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
ここで前記低級アルキルおよび低級アルキレンの機能基は、ハロゲン、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、スルフヒドリル、チオエーテル、シアノ、アミド、エステル、および、


から成るグループから選ばれる1種以上の置換基によって、それぞれ独立に、かつ、随意に置換され、
ここで、Aは、酸素、硫黄および-NHから成るグループから選ばれ、R12は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、および、ジアゾ塩から成るグループから選ばれ、nは0-4の間にあり、かつ、
ここで、前記環の機能基は、低級アルキル、低級アルキレンから成るグループから選ばれる1種以上の置換基によって、それぞれ独立に、かつ、随意に置換され、
c)式Iの化合物におけるR10およびR11は、水素および低級アルキルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれる。
【0008】
さらに開示されるのは、細胞のカルシウムチャンネルの活性を修飾する方法であって、細胞を前記化合物に接触させる工程を含む方法である。
【0009】
さらにまた開示されるのは、細胞のカルシウムチャンネルに関連する疾患の治療法であって、そのような治療を必要とする対象者を特定し、かつ、その対象者に前述の化合物の薬学的に有効な量を投与することを含む方法である。
【0010】
さらに、薬剤組成物であって、前述の化合物、および、生理学的に受容可能な担体、希釈剤または賦形剤、または、それらの混合物を含む組成物が開示される。
【0011】
発明の詳細な説明
本申請書において、一連の新規DHP誘導体(ジアルキル1,4-ジヒドロ-4-(2’-アルコキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジンジカルボキシレート)を報告する。これらの化合物は、カルシウムチャンネル拮抗剤として活性を表すが、この種の化合物において既知の様々な目的のために使用が可能である。
I.本発明の化合物
【0012】
従って、本発明の一つの局面は、式IまたはIIの化合物、


または、その薬学的に受容可能な塩、アミド、エステル、または、薬剤前駆物質であり、
ここで、
a)R1は、8を越える炭素原子を有する、直鎖、分枝鎖、または、環状アルキル基であり、
b)R2-R9は、水素、ハロゲン、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、ジアゾ塩、随意に置換された低級アルキル、随意に置換された低級アルキレン、随意に置換された低級アルコキシ、随意に置換された低級アルコキシアルキル、随意に置換された低級アルコキシアルコキシ、随意に置換された低級メルカプチル、随意に置換された低級メルカプトアルキル、随意に置換された低級メルカプトメルカプチル、-C(O)OH、-OC(O)H、-C(O)OR-、-OC(O)R、-C(S)OR、-OC(S)R、-C(O)SR、-SC(O)R、-C(S)SR、-SC(S)R、C-アミド、N-アミド、および、随意に置換された5員環又は6員環のアリル複素環または随意に置換された6員環のアリル環またはアリル複素環、から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
ここで前記低級アルキルおよび低級アルキレンの機能基は、ハロゲン、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、スルフヒドリル、チオエーテル、シアノ、アミド、エステル、および、


から成るグループから選ばれる1種以上の置換基によって、それぞれ独立に、かつ、随意に置換され、
ここで、Aは、酸素、硫黄および-NHから成るグループから選ばれ、R12は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、および、ジアゾ塩から成るグループから選ばれ、nは0-4の間にあり、かつ、
ここで、前記環の機能基は、低級アルキル、低級アルキレンから成るグループから選ばれる1種以上の置換基によって、それぞれ独立に、かつ、随意に置換され、
c)式Iの化合物におけるR10およびR11は、水素および低級アルキルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれる。
【0013】
もう一つの局面において本発明は、式IまたはIIの化合物、


または、その薬学的に受容可能な塩、アミド、エステル、または、薬剤前駆物質であり、
ここで、
a)R1は、8を越える炭素原子を有する、直鎖、分枝鎖、または、環状アルキル基であり、
b)R2-R9は、水素、ハロゲン、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、ジアゾ塩、随意に置換された低級アルキル、随意に置換された低級アルキレン、随意に置換された低級アルコキシ、随意に置換された低級アルコキシアルキル、随意に置換された低級アルコキシアルコキシ、随意に置換された低級メルカプチル、随意に置換された低級メルカプトアルキル、随意に置換された低級メルカプトメルカプチル、-C(O)OH、-OC(O)H、-C(O)OR-、-OC(O)R、-C(S)OR、-OC(S)R、-C(O)SR、-SC(O)R、-C(S)SR、-SC(S)R、C-アミド、N-アミド、および、随意に置換された5員環又は6員環のアリル複素環または随意に置換された6員環のアリル環またはアリル複素環、から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
ここで前記低級アルキルおよび低級アルキレンの機能基は、ハロゲン、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、スルフヒドリル、チオエーテル、シアノ、アミド、エステル、および、


から成るグループから選ばれる1種以上の置換基によって、それぞれ独立に、かつ、随意に置換され、
ここで、Aは、酸素、硫黄および-NHから成るグループから選ばれ、R12は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、および、ジアゾ塩から成るグループから選ばれ、nは0-4の間にあり、かつ、
ここで、前記環の機能基は、低級アルキル、低級アルキレンから成るグループから選ばれる1種以上の置換基によって、それぞれ独立に、かつ、随意に置換され、
c)式Iの化合物におけるR10およびR11は、水素および低級アルキルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
ただしここで、
R1がC15H31であり、R2とR3が共にCH3であり、R4がC(O)OCH(CH3)2であり、かつ、R6がOCH3、OCH2CH3またはOCH(CH3)2のいずれかである場合、R5はC(O)OCH3、C(O)OCH2CH3またはC(O)OCH(CH3)2ではなく、または、
R1がC15H31であり、R2とR3が共にCH3であり、R4がC(O)OCH2CH3であり、かつ、R6がOCH3またはOCH2CH3のいずれかである場合、R5はC(O)OCH3またはC(O)OCH2CH3ではなく、または、
R1がC15H31であり、R2とR3が共にCH3であり、R6がOCH(CH3)2であり、かつ、R4がC(O)OCH3またはC(O)OCH2CH3のいずれかである場合、R5はC(O)OCH3またはC(O)OCH2CH3ではない。
【0014】
「薬学的に受容可能な塩」という用語は、それが投与される生物体に重大な刺激作用をもたらさない化合物の処方であって、その化合物の生物学的活性や特性を抑止しない処方を指す。製薬学的な塩は、本発明の化合物を、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルフォン酸、エタンスルフォン酸、p-トルエンスルフォン酸、サリチル酸等の無機酸と反応させることによって入手が可能である。製薬学的な塩はまた、本発明の化合物を塩基と反応させて、アンモニウム塩、ナトリウムまたはカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウムまたはマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシラミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチラミンのような有機塩基の塩、および、アルギニン、リジン等のようなアミノ酸との塩を形成することによって入手することも可能である。
【0015】
「エステル」という用語は、式-(R)n-COOR’の化学式を有する化学的機能基であって、RとR’は随意に置換され、アルキル、シクロアルキル、アリル、ヘテロアリル(炭素環によって結合される)、および、複合脂環(炭素環によって結合される)から独立に選ばれ、かつ、nは0から1である化学的機能基を指す。
【0016】
「アミド」は、化学式-(R)n-C(O)NHR’または-(R)n-NHC(O)R’を有する化学的機能基であって、RとR’は随意に置換され、アルキル、シクロアルキル、アリル、ヘテロアリル(環状炭素によって結合される)、および、複合脂環(環状炭素によって結合される)から独立に選ばれ、かつ、nは0から1である化学的機能基を指す。アミドは、本発明の分子に結合したアミノ酸またはペプチド分子であって、薬剤前駆物質を形成するものであってもよい。
【0017】
本発明の化合物上のアミン、ヒドロキシまたはカルボキシル側鎖はいずれのものもエステル化またはアミド化することが可能である。このために使用される手順および特異的基は当業者には既知であり、かつ、グリーンとワッツ(”Greene and Wuts”)、「有機合成における保護基(”Protective Groups in Organic Synthesis”)」、3版、John Wiley & Sons、ニューヨーク、ニューヨーク州、1999年のような参考書において簡単に見出すことが可能である。
【0018】
「薬剤前駆物質」とは、生体内で本来の薬物に変換される薬剤を指す。薬剤前駆物質は、ある状況では、本来の薬剤よりも投与が容易であるという理由で有用であることがよくある。例えば、薬剤前駆物質は、経口投与によりバイオアベイラビィティを獲得するのに、本来の薬剤ではそうならないことがある。さらに、薬剤前駆物質は、薬剤組成物において、本来の薬剤よりも溶解度を改善することがある。薬剤前駆物質の一つの例は−といってそれに限定されないが−エステルとして投与される本発明の化合物(「薬剤前駆物質」)であって、これは、水溶性が移動度にとって阻害的である細胞膜において、膜を横切る伝導を促進するが、次に、水溶性が有利な細胞内部に入ると、代謝的に加水分解されて、活性体であるカルボン酸となる。薬剤前駆物質のもう一つの例は、酸性基に結合する短いペプチド(ポリアミノ酸)であろう。この場合、ペプチドは代謝されて活性基を現す。
【0019】
「芳香族」という用語は、パイ結合電子系を持つ少なくとも一つの環を有し、炭素環アリル・グループ(例えばフェニル)および複素環アリル・グループ(例えばピリジン)の両方を含む芳香族グループを指す。本用語は、単一環グループ、または、融合環グループ(すなわち、隣接炭素原子ペアを共有する複数の環)を含む。「炭素環の」という用語は、共有結合を通じて閉鎖される1個以上の環状構造を含む化合物であって、環のバックボーンを形成する原子が皆炭素原子である化合物を指す。従って、本用語は、炭素環を、その環バックボーンが少なくとも1個の、炭素とは異なる原子を含む複素環と区別する。「芳香族複素環の」という用語は、少なくとも1個の複素環を含む芳香族グループを指す。
【0020】
本申請書で使用する場合、「アルキル」という用語は、脂肪族炭化水素グループを指す。アルキル機能基は、「飽和アルキル」基であってもよい。この用語は、アルケンまたはアルキン機能基を全く含まないことを意味する。アルキル機能基はまた、「不飽和アルキル」機能基であってもよい。この用語は、少なくとも1個のアルケンまたはアルキン機能基を含むことを意味する。「アルケン」機能基とは、少なくとも2個の炭素原子と、少なくとも1個の炭素・炭素二重結合から成る基を指す。また、「アルキン」機能基とは、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1個の炭素・炭素三重結合から成る基を指す。飽和であると不飽和であるとを問わず、アルキル機能基は分枝状でも、直鎖でも、または、環状であってもよい。
【0021】
アルキル基は、1から40個の炭素原子を有してもよい(「1から40個」のような数字範囲が本申請書に現れる場合、必ずそれはその範囲内の各整数を指す。例えば、「1から40個の炭素原子」とは、そのアルキル基は、1炭素原子、2炭素原子、3炭素原子等々、最大40炭素原子から成っていてもよいことを意味する。ただし、この定義は、数字範囲の指示されていない「アルキル」という用語の出現をも許容する)。このアルキル基は、1から20個の炭素原子を有するサイズが中等度のアルキルであってもよい。このアルキル基は、1から5個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。本発明の化合物のアルキル基は、「C1-C4アルキル」または類似の表示によって表示される。ただ例示のために述べるのであるが、「C1-C4アルキル」とは、そのアルキル鎖の中に1から4個の炭素原子が存在すること、すなわち、そのアルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、および、t-ブチルから成るグループから選ばれることを示す。
【0022】
前記アルキル基は置換体であっても、非置換体であってもよい。置換体である場合、置換基(単数または複数)は、シクロアルキル、アリル、ヘテロアリル、ヘテロ脂環、ヒドロキシ、アルコキシ、アリロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリルチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルフォナミド、N-スルフォナミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、トリハロメタンスルフォニル、および、一および二置換アミノ基を含むアミノ、および、それらの保護された誘導体、から個々に独立に選ばれる一種以上の基である。典型的アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられるが、これらに全く限定されるものではない。置換基が「随意に置換される」と記述される場合、その置換基は、前述の置換基の内の一つによって置換されてもよい。
【0023】
独立して現われ、数字表示のない置換基”R”または”R’”は、アルキル、シクロアルキル、アリル、ヘテロアリル(環状炭素によって結合される)、および、ヘテロ脂環(環状炭素によって結合される)から成るグループから選ばれる、随意に置換される置換基を指す。
【0024】
「アルコキシ」基とは、Rが本申請書に定義される通りのRO-基を指す。
【0025】
「アルコキシアルキル」基とは、RおよびR’が本申請書に定義される通りのR’OR-基を指す。
【0026】
「アルコキシアルコキシ」基とは、Rが本申請書に定義される通りのROR’O-基を指す。
【0027】
「メルカプチル」基とは、Rが本申請書に定義される通りのRS-基を指す。
【0028】
「メルカプトアルキル」基とは、RとR’とが本申請書に定義される通りのR’SR-基を指す。
【0029】
「メルカプトメルカプチル」基とは、Rが本申請書に定義される通りのRSR’S-基を指す。
【0030】
「O-カルボキシ」基とは、Rが本申請書に定義される通りのRC(=O)O-基を指す。
【0031】
「C-カルボキシ」基とは、Rが本申請書に定義される通りの-C(=O)ORを指す。
【0032】
「アセチル」基とは、-C(=O)CH3基を指す。
【0033】
「トリハロメタンスルフォニル」基とは、XがハロゲンであるX3CS(=O)2基を指す。
【0034】
「シアノ」基とは-CN基を指す。
【0035】
「イソシアナート」基とは-NCO基を指す。
【0036】
「チオシアナート」基とは-CNS基を指す。
【0037】
「イソチオシアナート」基とは-NCS基を指す。
【0038】
「スルフィニル」基とは-S(=O)-R基を指し、Rは本申請書に定義する通りである。
【0039】
「S-スルフォナミド」基とは-S(=O)2NR基を指し、Rは本申請書に定義する通りである。
【0040】
「N-スルフォナミド」基とはRS(=O)2NH-基を指し、Rは本申請書に定義する通りである。
【0041】
「トリハロメタンスルフォナミド」基とはX3CS(=O)2NR-基を指し、XとRは本申請書に定義する通りである。
【0042】
「O-カルバミル」基とは-OC(=O)-NR基を指し、Rは本申請書に定義する通りである。
【0043】
「N-カルバミル」基とはROC(=O)NH-基を指し、Rは本申請書に定義する通りである。
【0044】
「O-チオカルバミル」基とは-OC(=S)-NR基を指し、Rは本申請書に定義する通りである。
【0045】
「N-チオカルバミル」基とはROC(=S)NH-基を指し、Rは本申請書に定義する通りである。
【0046】
「C-アミド」基とは-C(=O)-NR2基を指し、Rは本申請書に定義する通りである。
【0047】
「N-アミド」基とはRC(=O)NH-基を指し、Rは本申請書に定義する通りである。
【0048】
「パーハロアルキル」という用語は、全ての水素原子がハロゲン原子によって置換されたアルキル基を指す。
【0049】
別様に指示しない限り、置換基が「随意に置換」されると言われる場合、その置換基は、シクロアルキル、アリル、ヘテロアリル、ヘテロ脂環、ヒドロキシ、アルコキシ、アリロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリルチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルフォナミド、N-スルフォナミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、トリハロメタンスルフォニル、および、一および二置換アミノ基を含むアミノ、および、それらの保護された誘導体、から成るグループから個々に独立に選ばれる一種以上の基によって置換されてもよい基であることを意味する。前記置換基の保護誘導体を形成する可能性のある保護基は当業者には既知であり、前述したグリーンとワッツのような参考書の中に見出すことが可能である。
【0050】
いくつかの実施態様では、式IまたはIIの化合物において、R1は10個以上の炭素原子を有する随意に置換されるアルキル基である。別の実施態様では、R1は12個以上の炭素原子を有し、また別の実施態様ではR1は15個以上の炭素原子を有する。ある実施態様では、R1はC10直鎖アルキル基、または、C11直鎖アルキル基、または、C12直鎖アルキル基、または、C13直鎖アルキル基、または、C14直鎖アルキル基、または、C15直鎖アルキル基である。
【0051】
いくつかの実施態様では、R2とR3は、それぞれ独立に、随意に置換されるアルキル基である。ある実施態様では、R2とR3は同じであり、別の実施態様ではそれらは異なる。いくつかの実施態様では、R2とR3は低級アルキルである。式IまたはIIのいくつかの化合物においては、R2とR3はメチル、エチルまたはイソプロピルからそれぞれ独立に選択される。本発明の実施態様は、R2とR3が同じで、両方ともメチルであるものを含む。
【0052】
いくつかの実施態様では、R4


であり、ここにAは、酸素、硫黄および-NHから成るグループから選ばれ、R12は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、および、ジアゾ塩から成るグループから選ばれ、nは0-4の間にある。
【0053】
「ジアゾ塩」とは、Xがハロゲンである式-NH+Xで表される基である。ある実施態様では、このハロゲンは塩素であるが、別の実施態様では、そのハロゲンはフッ素または臭素である。
【0054】
ある実施態様では、Aは酸素であり、別の実施態様では、Aは硫黄であり、さらに別の実施態様では、Aは-NHである。
【0055】
R4とR5は同じであっても別々であってもよい。ある実施態様ではR4とR5は、下記から成るグループから選ばれる、すなわち、
a)随意に置換されるアルキル基、
b)式-(X1)n1-O-X2のアルコキシであって、
X1は、低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X2は、水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n1は0または1である、上記アルコキシ、
c)式-(X3)n3-S-X4のチオエーテルまたはチオールで、
X3は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X4は水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n3は0または1である上記チオエーテルまたはチオール、
d)式-(X5)n5-C(=E)-E’Hのカルボン酸で、
X5は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n5は0または1である、上記カルボン酸、および、
e)式-(X6)n6-C(=E)-E’X7または式―(X6)n6-E’-C(=E)-X7のエステルであって、
X6は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
X7は水素、低級アルキル、アリル、ヘテロアリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、および、-NX8X9から成るグループから選ばれ、
X8およびX9は水素、アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n6は0または1である、上記エステル。
【0056】
ある実施態様では、R4とR5はそれぞれ独立に低級アルキルである。いくつかの実施態様では、R4とR5は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、および、tert-ブチルから成るグループから選ばれる。
【0057】
上式におけるn1、n3、n5またはn6がそれぞれ独立に1である別の実施態様では、X1、X3、X5およびX6はそれぞれ独立にメチレン(-CH2-)である。いくつかの実施態様では、X2、X4およびX7はそれぞれ独立に低級アルキルである。この低級アルキルは、メチル、エチル、および、イソプロピルから成るグループからそれぞれ独立に選択されてよい。
【0058】
いくつかの実施態様では、EおよびE’はそれぞれ独立に酸素であり、一方、別の実施態様ではEは硫黄であり、E’はもし存在するなら酸素であってもよい。
【0059】
いくつかの実施態様では、R4とR5は、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-C(O)OCH2CH3、-C(O)OCH(CH3)2、-CH2OCH3、-CH2OCH2CH3、および、-CH2OCH(CH3)2から成るグループからそれぞれ独立に選ばれる。
【0060】
いくつかの実施態様では、R6は下記から成るグループから選ばれる、すなわち、
a)水素、
b)随意に置換されるアルキル基、
c)式-(X1)n1-O-X2のアルコキシで、
X1は、低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X2は、水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n1は0または1である、上記アルコキシ、
d)式-(X3)n3-S-X4のチオエーテルまたはチオールで、
X3は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X4は水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n3は0または1である、上記チオエーテルまたはチオール、
e)式-(X5)n5-C(=E)-E’Hのカルボン酸で、
X5は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n5は0または1である、上記カルボン酸、および、
f)式-(X6)n6-C(=E)-E’X7または式-(X6)n6-E’-C(=E)-X7のエステルであって、
X6は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
X7は水素、低級アルキル、アリル、ヘテロアリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、および、-NX8X9から成るグループから選ばれ、
X8およびX9は水素、アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n6は0または1である、上記エステル。
【0061】
いくつかの実施態様では、前述のアルキルは低級アルキルである。これら実施態様のあるものでは、アルキルは、メチル、エチル、および、イソプロピルから成るグループから選ばれる。別のある実施態様では、R6は、メトキシ、エトキシ、および、イソプロポキシから成るグループから選ばれるアルコキシである。
【0062】
いくつかの実施態様では、R7-R9はそれぞれ独立に下記のグループから選ばれる、すなわち、
a)水素、
b)随意に置換されるアルキル基、
c)式-(X1)n1-O-X2のアルコキシで、
X1は、低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X2は、水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n1は0または1である、上記アルコキシ、
d)式-(X3)n3-S-X4のチオエーテルまたはチオールで、
X3は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X4は水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n3は0または1である、上記チオエーテルまたはチオール、
e)式-(X5)n5-C(=E)-E’Hのカルボン酸で、
X5は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n5は0または1である、上記カルボン酸、および、
f)式-(X6)n6-C(=E)-E’X7または式-(X6)n6-E’-C(=E)-X7のエステルであって、
X6は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
X7は水素、低級アルキル、アリル、ヘテロアリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、および、-NX8X9から成るグループから選ばれ、
X8およびX9は水素、アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n6は0または1である、上記エステル、
g)式-(X10)n10-NX11X12のアミンであり、
X10は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
X10とX11は、水素、アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n10は0または1である、上記アミン、
h)NO2
i)ハロゲンまたはパーハロアルキル、および、
j)CN
【0063】
いくつかの実施態様では、前述のアルキルは低級アルキルである。これらの実施態様のあるものでは、アルキルはメチル、エチル、および、イソプロピルから成るグループから選ばれる。別のある実施態様では、R7-R9は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシ、シアノ(CN)、ニトロ(NO2)、アミノ(NH2)、メチル、エチル、イソプロピル、フッ素、および、塩素である。ある実施態様ではR7-R9は同じであり、別の実施態様ではR7-R9はそれぞれ異なることが理解される。
【0064】
いくつかの実施態様では、R10とR11は、水素およびアルキルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれる。いくつかの実施態様では、アルキルは低級アルキルである。これらの実施態様のあるものでは、アルキルはメチル、エチル、および、イソプロピルから成るグループから選ばれる。
【0065】
本申請書において、本発明の化合物は、特定の立体化学を全く表示することなく示されている。本発明の化合物のあるものはキラル中心を持ち、光学的異方性を示す。本発明の範囲は、本申請書に開示される化合物の、個々のRおよびS異性体に加えて、その異性体のラセミ混合物を含むことが理解される。ラセミ混合物から光学的異性体を分離することは、従来技術に通常に習熟している人々に既知の方法を用いて実現が可能である。
【0066】
いくつかの実施態様では、本発明は式IまたはIIの化合物に関し、化合物は下記から成るグループから選ばれる。すなわち、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンジミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3-エチル-5-(メトキシエチル)ピリジン・ジカルボキシレート、
1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3-メチル-5-(メトキシエチル)ピリジン・ジカルボキシレート、
1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3-イソプロピル-5-(メトキシエチル)ピリジン・ジカルボキシレート、
1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3-エチル-5-(メトキシエチル)ピリジン・ジカルボキシレート、
1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3-エチル-5-(メトキシエチル)ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-((2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、および、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、である。
【0067】
本発明の化合物の内のいくつかを下記の表Iに列挙し、これらをDHP-1からDHP-655で表示する。
【0068】
【表1】
























上記化合物の全てにおいて、R10=R11=H





【0069】
さらに、本発明の一部と考えられるものとして、他に、表1中のものに相似の4系列の化合物がある。これらの系列は、接尾数-11、-12、-13および-14によって表示される。それらは、DHP-1からDHP-326まで、および、DHP-653からDHP-655までと同一である。ただし、-11系列化合物のそれぞれにおいてR1はC11H23であり、-12系列の化合物のそれぞれにおいてR1はC12H25であり、-13系列の化合物のそれぞれにおいてR1はC13H27であり、かつ、-14系列の化合物のそれぞれにおいてR1はC14H29である。従って、本発明は具体的には、DHP-1-11からDHP-326-11まで、および、DHP-653-11からDHP-655-11まで、DHP-1-12からDHP-326-12まで、および、DHP-653-12からDHP-655-12まで、DHP-1-13からDHP-326-13まで、および、DHP-653-13からDHP-655-13まで、かつ、DHP-1-14からDHP-326-14まで、および、DHP-653-14からDHP-655-14までを、あたかもそれぞれの厳密な式が個別に本申請書に記載されるのと同程度にはっきりと含む。
II.治療法
【0070】
別の局面において、本発明は、細胞内のカルシウムチャンネルの活性を修飾する方法であって、前記細胞を、前述の式Iの化合物に接触させる工程を含む方法に関する。修飾されるカルシウムチャンネルは、低電圧依存性カルシウムチャンネルであっても、または、高電圧依存性カルシウムチャンネルであってもよい。
【0071】
さらに別の局面において、本発明は、細胞のカルシウムチャンネルに関連する疾患の治療法であって、そのような治療を必要とする対象者を特定すること、および、その対象者に、前述の式Iの化合物の製薬学的有効量を投与することを含む治療法に関する。ある実施態様では、対象者は哺乳動物である。哺乳動物は、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、犬、猫、羊、山羊、牛、猿やチンパンジーや類人猿およびヒトのような霊長類から成るグループから選ばれてよい。いくつかの実施態様では、対象者はヒトである。本発明の実施態様は、治療される疾患が循環器病または神経学的疾患である態様を含む。
III.薬剤組成物
【0072】
別の局面において、本発明は、前述の式IまたはIIの化合物、および、薬学的に受容可能な担体、希釈剤または賦形剤、またはそれらの混合物を含む薬剤組成物に関する。
【0073】
「薬剤組成物」という用語は、本発明の化合物と、担体、希釈剤またが賦形剤のような、他の化学成分との混合物を指す。薬剤組成物は、その化合物の生物体への投与を促進する。化合物を投与するための多数の技法が従来技術にはあり、そのような従来技術として静脈、経口、噴霧、非経口、点眼、吸入および局所投与が挙げられるが、ただしそれらに限定されない。薬剤組成物は、化合物を、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルフォン酸、エタンスルフォン酸、p-トルエンスルフォン酸、サリチル酸等の無機酸と反応させても入手が可能である。
【0074】
「担体」という用語は、化合物の細胞や組織への取り込みを促進する、非毒性化学的化合物を定義する。例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)は、生物体の細胞や組織にたいする多くの有機化合物の摂取を促進するので、一般に利用される担体となっている。
【0075】
「希釈剤」という用語は、搬送前に所望の化合物を希釈するのに用いられる化学的化合物を定義する。希釈剤はまた、それらが比較的安定な環境を与える可能性があるために化合物を安定化させるのにも使用される。緩衝液(pH調節が得られる)に溶解させた塩は従来から希釈剤として利用されている。一般に使用される一つの緩衝液はリン酸緩衝生理食塩水である。これは、血液組織中に天然に見出される緩衝液(バッファー)である。バッファー塩は、低濃度で溶液のpHを調節できるので、緩衝された希釈液が、化合物の生物活性を修飾することは滅多にない。
【0076】
「薬学的に受容可能な」という用語は、化合物の生物活性や特性を抑止せず、かつ、非毒性の担体または希釈剤を定義する。
【0077】
本申請書に記載される化合物は、ヒトの患者にそのまま、または、併用治療の場合のように他の活性成分と、または、適当な担体または賦形剤(単数または複数)と混合された薬剤組成物として投与が可能である。緊急塗布用化合物の処方および投与技法については、「レミントンの製薬科学(”Remington’s Pharmaceutical Sciences”)」、20版、アルフォンソ・ゲナロ(Alfonso Gennaro)編、2000年に見出すことが可能である。
a)投与経路
【0078】
適当な投与経路としては、例えば、経口、直腸、経粘膜、吸入、点眼または腸管投与、および、筋肉内、皮下、静脈内、脊髄内に加えて、硬膜下腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内、または、眼球内を含む非経口輸送が挙げられる。
【0079】
別態様として、化合物を、全身的にではなく局所的に、直接器官の中に化合物を直接注入し、貯蔵製剤として、または、徐放処方として投与してもよい。さらに、本薬剤を、標的薬剤搬送系、例えば、器官特異的抗体で被覆されたリポソーム中に入れて投与してもよい。リポソームは、その器官を標的として向かい、その器官によって選択的に摂取される。
b)組成物/処方
【0080】
本発明の薬剤組成物は、それ自体が既知のやり方で、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖剤製造、粉砕、乳化、カプセル封入、捕捉、または、圧縮工程によって製造が可能である。
【0081】
本発明によって使用される薬剤組成物は、賦形剤や補助剤を含む、1種以上の生理学的に受容可能な担体を用いて従来のやり方で処方してよい。この賦形剤や補助剤は、薬学的に使用が可能な製剤中に活性成分を取り込む工程を促進するものである。適正な処方は選択された投与ルートに左右される。既知の技法、担体、および、賦形剤のいずれのものも、従来技術で適当とされるやり方で、例えば、前述のレミントンの製薬科学に理解される通りに使用が可能である。
【0082】
静脈内注射用としては、本発明の薬剤は、水溶液として、好ましくは、ハンクス液、リンゲル液、または、生理的食塩水緩衝液のような生理的に適合性を持つ緩衝液に溶解して処方される。経粘膜処方用としては、浸透すべき障壁にたいして適切な浸透剤が処方の中に用いられる。このような浸透剤は一般に従来技術において既知である。その他の非経口注入用としては、本発明の作用剤は、水溶液または非水溶液として処方が可能であるが、好ましくは、生理的に適合性を持つ緩衝液または賦形剤によって処方される。このような賦形剤は一般に従来技術において既知である。
【0083】
経口投与用としては、化合物は、活性化合物を、従来技術で既知の薬学的に受容可能な担体または賦形剤と結合することによって簡単に処方が可能である。このような担体により本発明の化合物は、治療される患者によって経口的に服用される、錠剤、散剤、丸剤、糖剤、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、エリキシル、スラリー、懸濁剤等として処方することが可能となる。経口用製剤は、1種以上の固形賦形剤を、1種以上の本発明の化合物と混合し、得られた混合物を要すれば随意に粉砕し、望むなら適当な補助剤を添加後、その顆粒混合物を処理して錠剤または糖衣錠芯とすることによって入手が可能である。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、蔗糖、マンニトール、または、ソルビトールを含む糖類のような充填剤、例えば、トウモロコシでん粉、小麦でん粉、米でん粉、ジャガイモでん粉、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微細結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース等のセルロース調製剤、または、その他、例えば、ポリビニールピロリドン(PVPまたはポビドン)またはリン酸カルシウムである。要すれば、架橋結合されたクロスカルメローゼ・ナトリウム、ポリビニールピロリドン、寒天、または、アルギン酸または、アルギン酸ナトリウムのようなその塩のような崩壊剤を加えてもよい。
【0084】
糖衣錠の芯には適当なコーティングが設けられる。このために、随意にアラビアゴム、タルク、ポリビニールピロリドン、カルボポル・ゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー液、および、適当な有機溶媒または溶媒混合物を含む濃縮砂糖液を用いてもよい。特定のために、または、活性化合物用量の様々の組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングには染料または色素を加えてもよい。
【0085】
経口的に使用が可能な製剤は、ゼラチン性嚥下カプセルばかりでなく、ゼラチンと、グリセロールやソルビトールのような可塑剤から成る、軟性、密封カプセルを含む。嚥下カプセルは、ラクトースのような充填剤、でん粉のような結合剤、および/または、タルクやステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、および、随意に安定剤と混合した活性成分を含むことが可能である。軟性カプセルの場合、活性化合物は、脂性オイル、液状パラフィン、または、液状ポリエチレングリコールのような適当な液体に溶解ないし懸濁させてもよい。さらに、安定剤を加えてもよい。経口投与用処方は全て、その投与にとって適切な用量・剤形において行われなければならない。
【0086】
頬内投与または舌下投与のためには、組成物は、従来のやり方で処方された錠剤、ロゼンジまたはゲルの形を取ってもよい。
【0087】
吸入による投与のためには、本発明によって使用される組成物は、加圧パックまたは噴霧器から、適切な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素、または、その他の適切な気体と共に、エロゾル噴霧の形で好適に搬送されてもよい。加圧エロゾルの場合、用量単位は、量られた一定量を搬送するためのバルブを設けることによって確定してもよい。吸入器または吸引器に使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジは、化合物と、ラクトースまたはでん粉のような適切な粉末基剤との粉末混合物を含むよう処方されてもよい。
【0088】
化合物は、注入、例えば、ボーラス注入または連続注入による非経口投与用に処方されてもよい。注入用処方は、添加防腐剤と共に、単位剤形の形で、例えば、アンプルまたは多数用量容器に入れられて提示されてもよい。組成物は、油状または水性担体に溶解させた懸濁液、溶液または乳液のような形態を取ってもよく、また、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤のような処方剤を含んでもよい。
【0089】
非経口投与用製剤処方としては、水溶性形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液を、適当な油状注入懸濁液として調製してもよい。適当な親油溶媒または担体として、ごま油のような脂性オイル、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、または、リポソームが挙げられる。注射用水溶性懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、または、デキストランのような懸濁液の粘度を増す物質を含んでもよい。随意に、懸濁液はさらに、安定剤または、化合物の溶解度を増し、高濃度溶液の調製を可能とする因子を含んでもよい。
【0090】
別法として、活性成分は、使用前に、適当な担体、例えば、無菌の、発熱性物質無添加水と組み合わせるための散剤の形を取ってもよい。
【0091】
化合物はまた、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドのような通例の坐剤基剤を含む、坐剤または体内保存浣腸のような直腸組成物として処方することも可能である。
【0092】
前述の処方に加えて、化合物は貯蔵製剤として処方することも可能である。このような持続性処方は、埋め込み(例えば、皮下または筋肉内)、または、筋肉内注入によって投与してもよい。従って、例えば、化合物は、適当なポリマー材料または疎水性材料(例えば、受容可能なオイルに溶解させた乳剤として)、または、イオン交換樹脂と併用して処方してもよいし、または、溶解度の低い誘導体として、例えば、溶解度の低い塩として処方してもよい。
【0093】
本発明の疎水性化合物のための薬学的担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および、水相を含む共同溶媒系である。この共同溶媒系は、10%エタノール、10%ポリエチレングリコール、10%ポリエチレングリコール40ひまし油(PEG-40ひまし油)を70%水溶液と合わせたものであってもよい。この共同溶媒系は、疎水性化合物をよく溶かし、かつ、全身投与してもそれ自体低い毒性しか示さない。もちろん、共同溶媒系の割合は、その溶解度や毒性を損なうこと無しに、相当程度変更することが可能である。さらに、共同溶媒化合物の同一性を変更することも可能である。例えば、PEG-40ひまし油の代わりに他の低毒性非極性界面活性剤を用いてもよいし、ポリエチレングリコール300の比率サイズを変えてもよいし、他の生体適合性ポリマーがポリエチレングリコールに取って代わってもよいし、また、この水溶液の中に他の糖または多糖が含まれてもよい。
【0094】
別態様として、疎水性薬剤化合物のために他の搬送系を用いてもよい。リポソームおよび乳剤は、疎水性薬剤のための、搬送担体すなわち搬送剤のよく知られた例である。N-メチルピロリドンのようないくつかの有機溶媒も、通常さらに大きな毒性を伴うという対価はともなうものの、採用が可能である。さらに、化合物は、治療因子を含む固相疎水性ポリマーから成る半透性基質のような徐放システムを用いて搬送してもよい。従来から様々の徐放材料が確立されており、当業者にはよく知られている。徐放カプセルは、その化学的性質に応じて、数週から100日に渡って化合物を放出することが可能である。治療試薬の化学的性質と生物学的安定性に応じて、さらに、蛋白安定化のための方策を採用してもよい。
【0095】
本発明の化合物の多くは、薬学的に適合的な対イオンを持つ塩として提供することが可能である。薬学的に適合性を持つ塩は、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等を含む多くの酸によって形成することが可能であるが、ただしこれらの酸に限定されない。塩は、水溶液や他のプロトン溶媒にたいしても方が、対応する遊離酸や塩基形にたいしてよりも溶解しやすい傾向がある。
c)有効用量
【0096】
本発明において使用するのに好適な薬剤組成物としては、活性成分が、その意図された目的を実現するのに有効な量において包含される組成物が挙げられる。より具体的に言うと、治療的有効量とは、病気の症状を予防、緩和または寛解する、または、治療される対象者の生存を長引かせるのに有効な組成物の量を意味する。治療有効量の確定は、特に、本申請書に示される詳細な開示に照らすならば、十分当業者の能力の範囲内にある。
【0097】
本発明の方法に用いられる全ての化合物において、治療有効量は、最初は、細胞培養アッセーによって推定が可能である。例えば、細胞培養で確定したIC50を含む循環濃度範囲を実現するために、動物モデルにおいてある用量を処方することが可能である。このような情報を用いて、ヒトにおける有効量をさらに正確に確定することが可能である。
【0098】
本申請書に記述される化合物の毒性および効力は、細胞培養または実験動物における、例えば、LD50(集団の50%にたいして致死的な用量)やED50(集団の50%にたいして治療的に有効な用量)を確定するのに必要な標準製薬学手順によって求めることが可能である。毒性作用と治療作用の間の用量比は治療係数であり、それは、LD50とED50の間の比で表される。高い治療係数を示す化合物が好まれる。これらの細胞培養アッセーや動物実験から得られたデータを、ヒトに使用する際の用量範囲を処方するのに用いることが可能である。こうした化合物の用量は、殆んどまたは全く毒性を示すことなくED50を含む循環濃度範囲内に収まることが好ましい。用量は、採用される剤形、利用される投与ルートに応じてこの範囲内で変動してよい。正確な処方、投与ルート、および、用量は、患者の状態に照らして、個々の医師によって選択されることが可能である。(例えば、フィングル等(Fingl et al.)、1975年、「治療の薬理学的基盤(”The Pharmacological Basis of Therapeutics”)、第1章、1ページ参照」。典型的には、患者に投与される組成の用量範囲は、患者の体重のkg当たり約0.5から1000 mgであってよい。用量は、患者の要求に応じて、1日以上の日程に渡って、単回、または、2回以上の連続であってもよい。
【0099】
ヒトの成人患者にたいする一日当たり投与処方は、式(I)の化合物の、または、遊離塩基として計算した製薬学的に受容可能なその塩の、例えば、0.1 mgと500 mgの間、好ましくは1 mgと250 mgの間の、例えば、5から200 mgの経口用量、または、0.01 mgと100 mgの間、好ましくは0.1 mgと60 mgの間、例えば、1から40 mgの静脈内、皮下、または、筋肉内用量である。ただし、この化合物は1日当たり1から4回投与される。別法として、本発明の化合物は、連続静脈注入により、好ましくは1日当たり最大400 mgの用量で投与されてもよい。従って、経口投与による1日当たり全投与量は、1から2000 mgの範囲にあり、非経口投与による1日当たりの全投与量は0.1から400 mgの範囲にあることになる。望ましくは、化合物は、一定期間の連続治療のために、例えば、1週間またはそれ以上の期間投与される。
【0100】
用量および投与間隔は、修飾作用を維持するのに十分な活性機能基の血漿濃度、すなわち、最小有効濃度(MEC)を実現するよう個別に調整されてもよい。MECは各化合物で変動するが、従来技術で既知のアッセーを用いて、インビトロのデータ、例えば、カルシウムチャンネル阻止の50-90%を実現するのに必要な濃度に基づいて推定が可能である。MECを実現するのに必要な用量は、個人の特性と投与ルートによって左右される。しかしながら、血漿濃度を測定するには、HPLCアッセーまたはバイオアッセーを用いることが可能である。
【0101】
投与間隔もMEC値を用いて確定することが可能である。化合物は、血漿濃度を、時間の10-90%、好ましくは30と90%の間、もっとも好ましくは50と90%の間、MECの上に維持する処方を用いて投与すべきである。
【0102】
局所投与または選択的摂取の場合、薬剤の有効局所濃度は血漿濃度に関係しないことがある。
【0103】
投与される組成物の量はもちろん、治療される対象者、対象者の体重、病気の重度、投与法、および、処方する医師の判断に依存する。
d)包装
【0104】
組成物は、望むなら、活性成分を含む1個以上の単位剤形を含むパック、または、その他の投与装置に収めて提供されてもよい。パックは、例えば、水泡パックのような、金属またはプラスチックフォイルを含んでいてもよい。パックまたは投与装置は、投与指示を伴っていてもよい。パックまたは投与装置はまた、薬剤の製造、使用または販売を規制する政府の代理機関によって規定される書式で書かれた、容器と関連する注意書きであって、ヒトまたは家畜投与用薬剤の形式に関する代理機関の容認を反映させた注意書きを伴っていてもよい。このような注意書きは、処方薬にたいして米国食品薬品局によって承認された表示法、または、承認された製品パンフレットであってもよい。本発明の化合物をそれと適合的な薬剤担体の中に含む組成物はまた、調製し、適当な容器に収め、かつ、適応病態の治療用として表示されてよい。
IV.本発明の化合物の合成
【0105】
本発明の化合物の内のいくつかは、下記の、合成工程1-12に記載される一般的な合成過程を用いて合成することが可能である。


合成工程1
試薬:(i)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(ii)H2O2、HCOOH、(iii)NaIO4、THF-水、5℃、2時間、(iv)R1CH=PPh3、カリウム-t-ブトキシド、ジクロロメタン、12時間、(v)Pd/C、H2、メタノール、3時間、(vi)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(vii)PCC、ジクロロメタン、放置3時間、(viii)CH3COCH2COOR2/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(ix)(CH3)(NH2)C=CH(COOR3)、n-ブタノール、還流、10時間


合成工程2
試薬:(i)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(ii)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(iii)PCC、ジクロロメタン、放置、3時間、(iv)CH3COCH2COOR1/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(v)(CH3)(NH2)C=CH(COOR2)、n-ブタノール、還流、10時間


合成工程3
試薬:(i)H2SO4/HNO3、5℃、2時間、(ii)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(iii)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(iv)PCC、ジクロロメタン、放置、3時間、(v)CH3COCH2COOR1/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(v)(CH3)(NH2)C=CH(COOR2)、n-ブタノール、還流、10時間


合成工程4
試薬:(i)H2SO4/HNO3、5℃、2時間、(ii)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(iii)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(iv)PCC、ジクロロメタン、放置、3時間、(v)CH3COCH2COOR1/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(vi)(CH3)(NH2)C=CH(COOR2)、n-ブタノール、還流、10時間、(vii)Sn、濃縮HCl


合成工程5
試薬:(i)H2SO4/HNO3、5℃、2時間、(ii)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(iii)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(iv)PCC、ジクロロメタン、放置、3時間、(v)CH3COCH2COOR1/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(vi)(CH3)(NH2)C=CH(COOR2)、n-ブタノール、還流、10時間、(vii)Sn、濃縮HCl、(viii)NANO2/濃縮HCl、2時間、(ix)Cu(I)CN、ジクロロメタン、3時間


合成工程6
試薬:(i)H2SO4/HNO3、5℃、2時間、(ii)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(iii)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(iv)PCC、ジクロロメタン、放置、3時間、(v)CH3COCH2COOR1/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(vi)(CH3)(NH2)C=CH(COOR2)、n-ブタノール、還流、10時間、(vii)Sn、濃縮HCl、(viii)NANO2/濃縮HCl、2時間、(ix)H2O、30分


合成工程7
試薬:(i)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(ii)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(iii)PCC、ジクロロメタン、放置、3時間、(iv)CH3COCH2COOR1/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(v)(CH3)(NH2)C=CH(COOR2)、n-ブタノール、還流、10時間、(vi)NaOH、メタノール、還流、4時間


合成工程8
試薬:(i)H2SO4/HNO3、5℃、2時間、(ii)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(iii)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(iv)PCC、ジクロロメタン、放置、3時間、(v)CH3COCH2COOR1/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(vi)(CH3)(NH2)C=CH(COOR2)、n-ブタノール、還流、10時間、(vii)Sn、濃縮HCl、(viii)NANO2/濃縮HCl、2時間、(ix)SbF6、ジクロロメタン、3時間


合成工程9
試薬:(i)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(ii)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(iii)PCC、ジクロロメタン、放置、3時間、(iv)CH3COCH2C(S)OR1/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(v)(CH3)(NH2)C=CH(COOR2)、n-ブタノール、還流、10時間


合成工程10
試薬:(i)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(ii)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(iii)PCC、ジクロロメタン、放置、3時間、(iv)CH3COCH2C(O)SR1/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(v)(CH3)(NH2)C=CH(COOR2)、n-ブタノール、還流、10時間


合成工程11
試薬:(i)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(ii)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(iii)PCC、ジクロロメタン、放置、3時間、(iv)CH3COCH2CH2OR1/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(v)(CH3)(NH2)C=CH(CH2OR2)、n-ブタノール、還流、10時間


合成工程12
試薬:(i)2C10H21Li、THF、3時間、(ii)CO2、4時間、(iii)HI/P、ジクロロメタン、還流、6時間、(iv)R2SO4/K2CO3、アセトン、還流3時間、(v)LiAlH4、テトラヒドロフラン、還流、3時間、(vi)PCC、ジクロロメタン、放置、3時間、(vii)CH3COCH2COOR1/ピペリジン、酢酸、n-ブタノール、放置3時間、(viii)(CH3)(NH2)C=CH(COOR2)、n-ブタノール、還流、10時間
【0106】
一般式IまたはIIの化合物の内のあるものは、よく知られたハンチュ(Hantzsch)のジヒドロピリジン合成によって調製された。この方法では、適当なアルデヒドを、不活性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、1,2-ジメトキシエタンまたはテトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル溶媒、ジメチルフォルムアミド(DMF)またはN-メチルピロリドンのようなアミド溶媒、ジメチルスルフォキシド(DMSO)またはスルフォランのようなスルフォキシド溶媒、ベンゼン、トルエンまたはキシレンのような芳香族炭化水素溶媒において、ピペリジンと酢酸の存在下に、適当なベータ・ケトエステル、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸エチル4-クロロ等によって圧縮した。要すれば、このクネーフェナーゲル反応産物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、適当なクロトン酸アミノ、例えば、メチル-3-アミノクロトネート、エチル-3-アミノクロトネート、イソプロピル3-アミノクロトネートと反応させる。この反応は、通常、室温から200℃、好ましくは60から140℃で、1-100時間、好ましくは6から40時間実行する。対応するハンチュ産物は、シリカゲル(100-200メッシュ)使用カラムクロマトグラフィーにて精製し、および/または、ヘキサン、石油エーテル(40-60℃)、エタノール等のような適当な有機溶媒を用いて結晶化する。請求項1で前述した2-メルカプト・ベンジミダゾール、(5-メチル)2-メルカプト・ベンジミダゾール、2-アミノ・メタノール等のような物質を、ジヒドロピリジン環の置換基として用いた。
【0107】
前述の工程では、反応に関与する物質についてはいかなる所望の比率も使用が可能である。しかしながら、一般に、工程は、反応物質のモル量において実行される。
【0108】
化合物の合成は光学異性体上純粋な形態を含む。このような形態は、一般式IまたはIIの化合物の互いに反対のジアステレオマー混合物を、通常法によって光学異性体上純粋なキラルアルコールから分離し、次いで、光学異性体上純粋なカルボン酸を調製することによって、および/または、エナンチオマーを分離するのに用いられるいずれの方法によっても、例えば、エス・ゴールドマンおよびジェイ・ストルトファス(S. Goldmann and J. Stoltefuss)、「1,4-ジヒドロピリジン−キラリティーおよび立体配座のカルシウム拮抗剤およびカルシウム作用剤活性に及ぼす作用(”1,4-Dihydropyridine: Effects of chirality and conformation on the calcium antagonist and calcium agonist activities”)」、Angewandte Chemie International Edition(英語)30, 1559-1578, (1991)に記述される方法によって入手される。
【0109】
前述したように、本発明の化合物および組成物は、カルシウム進入阻止剤として有用であり、従って、(i)心臓代謝にたいするエネルギー節約作用を伴う著明で、かつ、持続的な血管拡張作用、(ii)心筋細胞にたいする抗不整脈作用と抗狭心症作用、(iii)血管鎮痙作用、(iv)抗高血圧作用、(v)腸管および泌尿生殖管および循環系・呼吸系の平滑筋にたいする鎮痙作用、(vi)高コレステロール血症・高脂血症にたいする拮抗剤として、(vii)虚血性心筋症の保護、(viii)興奮性下腹症候群および食道痙攣抑制作用、(ix)偏頭痛抑制作用、および、(x)癲癇抑制作用を示すという点で広範な薬理学的有用性を有する。化合物の内のいくつかは有用な強心剤でもある。このリストにはさらに、低電位依存性(LVA)および高電位依存性(HVA)カルシウムチャンネルに関連する、全ての循環器障害が含まれる。
【0110】
本発明の代表的化合物は、血管のカルシウム収縮を抑制し、心臓の収縮力を下げ、カルシウム仲介性気管収縮を抑制し、下垂体細胞のカルシウム摂取を抑制し、または、膜からトリチウム化したニトレンジピンを移動させる可能性がある。
【実施例】
【0111】
下記の実施例は本発明の実施態様の内のいくつかを例示するものであって、請求項の範囲を制限するものと考えてはならない。
実施例1:溶媒抽出CNSLからの、アナカルド酸(2-ヒドロキシ-6-ペンタデシル安息香酸)のエン混合物の抽出
【0112】
市販の、溶媒抽出カシューナッツ皮殻液(CNSL)(100 g)を、5%メタノール水溶液(600 mL)に溶解した。このメタノール液に活性化木炭(20 g)を添加し、15分攪拌し、セライトベッドにてろ過し、不溶の物質を全て除去した。透明なろ液を、二重表面還流コンデンサーおよび機械的攪拌器を装着した、3本枝管付き丸底フラスコに移した。水酸化カルシウム(50 g)を、いくつかの部分に分けて室温で加え、反応物の全体温度を50℃に上げ、3時間維持した。反応の進行は、移動相としてヘキサン-酢酸エチル(8:2)を用いた薄層クロマトグラフィー(TLC)にて監視した。反応完了後、沈殿したアナカルド酸カルシウムをろ過回収し、メタノール(200 mL)にて十分に洗浄した。得られた固塊(ケーキ)を真空下に45-50℃で2時間乾燥させ、アナカルド酸カルシウム(120 g)を得た。
【0113】
乾燥ケーキ(120 g)を蒸留水(440 mL)に懸濁し、濃縮塩酸(33%, 60 mL)を加え、1時間攪拌した。得られた溶液を酢酸エチル(2 x 150 mL)にて抽出した。合わせた有機層を蒸留水(2 x 500 mL)にて洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧濃縮し、アナカルド酸のエン混合物を得た(収量、60 g)
実施例2:アナカルド酸エン混合物の水素添加
【0114】
アナカルド酸エン混合物(30 g)をメタノール(120 mL)に溶解し、5%Pd/C(0.75 g, 2.5%)をゆっくり添加し、この溶液を250-mLの水素添加フラスコに移した。先ず、溶液に窒素をフラッシュし、次に水素をフラッシュした。水素添加は、2.5 kg/cm2の水素ガス圧の下で2時間行った。次にこの溶液をセライトベッドを通してろ過し、触媒非含有の溶液を得た。これを減圧蒸留し未精製の飽和アナカルド酸を得た。次にこれを石油エーテルから再結晶させた(収量、25 g)。
実施例3:エチル2-エトキシ-6-ペンタデシル-ベンゾエートの合成
【0115】
アナカルド酸(10.11 g, 29 mmol)をアセトン(60 mL)に溶解し、炭酸カリウム(4.0 g, 29 mmol)を加えた。硫酸ジエチル(8.93 g, 58 mmol)を攪拌しながらゆっくり加えた。次に、この溶液を、還流コンデンサーおよび機械的攪拌器を装着した、3本枝管付きフラスコに移した。反応の進行は、TLC(移動層−ヘキサン:酢酸エチル、9:1)にて監視した。反応完了後、ろ過し、アセトンは真空下蒸発させた。未精製産物をジクロロメタン(50 mL)に溶解し、水(2 x 50 mL)、5%重炭酸ナトリウム液(50 mL)、飽和食塩水(50 mL)、および、最後に蒸留水(2 x 50 mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧蒸留しエチル2-エトキシ-6-ペンタデシル-ベンゾエートを油状物として得た。次に、これを、極小量の石油エーテル(40-60℃に溶解させ、0℃に冷却して軽い、褐色結晶を得た(収量、12 g)。
実施例4:イソプロピル2-イソプロポキシ-6-ペンタデシル-ベンゾエートの合成
【0116】
アナクルド酸(10.11 g, 29 mmol)をイソブチル・メチル・ケトン(60 mL)に溶解した。これに、微粉末の炭酸カリウム(4.0 g, 29 mmol)とベンジルトリブチルアンモニウムクロリド(1 g)を加えた。臭化イソプロピル(7.13 g, 58 mmol)をゆっくり加え、8時間還流した。ヘキサン:EtOAc(9:1)にてTLCをチェックした。溶液をろ過し、減圧蒸留し、粘ちょうな液体を得た。未精製産物をジクロロメタン(50 mL)に溶解し、水(2 x 50 mL)、5%重炭酸ナトリウム液(50 mL)、飽和食塩水(50 mL)、および、最後に蒸留水(2 x 50 mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧蒸留しイソプロピル2-イソプロポキシ-6-ペンタデシル-ベンゾエートを油状物として得た(収量、12 g)。
実施例5:2-エトキシ-6-ペンタデシル-ベンジル・アルコールの合成
【0117】
エチル2-エトキシ-6-ペンタデシル-ベンゾエート(10.9 g, 27 mmol)を乾燥したテトラヒドロフラン(60 mL)に溶解した。この溶液を、還流コンデンサーと機械的攪拌器を装着した、250 mLの3本枝管付き丸底フラスコに移し、反応の間中窒素雰囲気下に保持した。これに、水素化アルミニウムリチウム(2.04 g, 54 mmol)をゆっくり加えた。反応はきわめて発熱性が高かった。添加後、溶液をゆっくりと還流温度にし、その温度に約2時間維持し、ヘキサン:EtOAc(8:2)にてTLCをチェックした。反応完了後、過剰な水素化アルミニウムリチウムを、酢酸エチル(80 mL)の滴下によって分解した。これに、5M HCl(100 mL)を加え、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上にて乾燥させ、真空下に濃縮して、軽い褐色固体を得た。これを石油エーテルから再結晶し(40-60℃)、白色固体を得た。収量、8 g。
実施例6:2-エトキシ-6-ペンタデシル-ベンズアルデヒドの合成
【0118】
還流コンデンサーを装着した250 mLの丸底フラスコに、無水ジクロロメタン(100 mL)に溶解したピリジニウムクロロクロメート(PCC)(16.1 g, 75 mmol)を加えた。ジクロロメタン(10 mL)に溶解した2-エトキシ-6-ペンタデシル-ベンジル・アルコール(18.1 g, 50 mmol)を、磁力攪拌溶液に一度に加えた。1.5時間後、乾燥エーテル(100 mL)を加え、上清を、黒色ゴム状物から傾斜除去した。この不溶残留物をジエチルエーテル(3 x 25 mL)にて十分に洗浄したところ、黒色顆粒状固体となった。有機液を、セライトから成る浅層を通過させ、溶媒を蒸留除去して、褐色の低融点固体を得た(収量、15 g)。
実施例7:ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート(DHP-4)の合成

【0119】
2-エトキシ-6-ペンタデシル・ベンズアルデヒド(3 g, 8.3 mmol)とアセト酢酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)をn-ブチル(20 mL)に溶解した。酢酸(0.5 g, 8.3 mmol)とピペリジン(0.7 g, 8.3 mmol)を加え、室温で3-4時間攪拌した。次に3-アミノクロトン酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)を加え、10時間還流した。n-ブタノールを蒸発させ、反応混合物を蒸留水で洗浄し、ジクロロメタン(10 mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、かつ、化合物を、ヘキサン:EtOAc(94:6)溶媒系によるシリカゲル使用(100-200メッシュ)カラムクロマトグラフィーにて精製し、ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレートを白色粉末として得た。
実施例8:エチルイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート(DHP-12)の合成

【0120】
2-エトキシ-6-ペンタデシル・ベンズアルデヒド(3 g, 8.3 mmol)とアセト酢酸イソプロピル(1.19 g, 8.3 mmol)をn-ブタノール(20 mL)に溶解した。酢酸(0.5 g, 8.3 mmol)とピペリジン(0.7 g, 8.3 mmol)を加え、室温で3-4時間攪拌した。次に3-アミノクロトン酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)を加え、10時間還流した。n-ブタノールを蒸発させ、反応混合物を蒸留水で洗浄し、ジクロロメタン(10 mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、かつ、化合物を、ヘキサン:EtOAc(94:6)溶媒系によるシリカゲル使用(100-200メッシュ)カラムクロマトグラフィーにて精製し、エチルイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレートを粘ちょう液体として得た。
実施例9:ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート(DHP-5)の合成

【0121】
2-イソプロポキシ-6-ペンタデシル・ベンズアルデヒド(3.1 g, 8.3 mmol)とアセト酢酸メチル(0.96 g, 8.3 mmol)をn-ブタノール(20 mL)に溶解した。酢酸(0.5 g, 8.3 mmol)とピペリジン(0.7 g, 8.3 mmol)を加え、室温で3-4時間攪拌した。次に3-アミノクロトン酸メチル(0.97 g, 8.3 mmol)を加え、10時間還流した。n-ブタノールを蒸発させ、反応混合物を蒸留水で洗浄し、ジクロロメタン(10 mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、かつ、化合物を、ヘキサン:EtOAc(94:6)溶媒系によるシリカゲル使用(100-200メッシュ)カラムクロマトグラフィーにて精製し、ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレートを粘ちょう液体として得た。
実施例10:ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-6-メチル-2-(2’-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾール)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート(DHP-27)の合成

【0122】
2-エトキシ-6-ペンタデシルベンズアルデヒド(3 g, 8.3 mmol)とアセト酢酸4-クロロエチル(1,36 g, 8.3 mmol)をn-ブタノール(20 mL)に溶解した。酢酸(0.5 g, 8.3 mmol)とピペリジン(0.7 g, 8.3 mmol)を加え、室温で3-4時間攪拌した。次に3-アミノクロトン酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)を加え、10時間還流した。n-ブタノールを蒸発させ、反応混合物を蒸留水で洗浄し、ジクロロメタン(10 mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、かつ、化合物を、ヘキサン:EtOAc(94:6)溶媒系によるシリカゲル使用(100-200メッシュ)カラムクロマトグラフィーにて精製し、ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-6-メチル-2-クロロメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレートを得た。この化合物(0.6 g, 1.2 mmol)をジクロロメタン(10 mL)に溶解し、次に2-メルカプト-1H-ベンズイミダゾール(0.18 g, 1.2 mmol)とNaOH(0.048 g, 1.2 mmol)を添加した。テトラブチルアンモニウムブロマイドの触媒量を加え、室温で2時間磁力攪拌した。最終化合物を、実施例7にて前述したカラムクロマトグラフィーにて精製した。
実施例11:エチル2-メトキシエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート(DHP-653)の合成

【0123】
2-エトキシ-6-ペンタデシルベンズアルデヒド(3 g, 8.3 mmol)とアセト酢酸メトキシエチル(1.32 g, 8.3 mmol)をn-ブタノール(20 mL)に溶解した。酢酸(0.5 g, 8.3 mmol)とピペリジン(0.7 g, 8.3 mmol)を加え、室温で3-4時間攪拌した。次に3-アミノクロトン酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)を加え、10時間還流した。n-ブタノールを蒸発させ、反応混合物を蒸留水で洗浄し、ジクロロメタン(10 mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、かつ、化合物を、ヘキサン:EtOAc(94:6)溶媒系によるシリカゲル使用(100-200メッシュ)カラムクロマトグラフィーにて精製し、エチル2-メトキシエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレートを得た。
実施例12:ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-(2’’メトキシ)エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート(DHP-654)の合成

【0124】
2-(2’-メトキシエトキシ)-6-ペンタデシル・ベンズアルデヒド(3.2 g, 8.3 mmol)とアセト酢酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)をn-ブタノール(20 mL)に溶解した。酢酸(0.5 g, 8.3 mmol)とピペリジン(0.7 g, 8.3 mmol)を加え、室温で3-4時間攪拌した。次に3-アミノクロトン酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)を加え、10時間還流した。n-ブタノールを蒸発させ、反応混合物を蒸留水で洗浄し、ジクロロメタン(10 mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、かつ、化合物を、ヘキサン:EtOAc(94:6)溶媒系によるシリカゲル使用(100-200メッシュ)カラムクロマトグラフィーにて精製し、ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-(2’’メトキシ)エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレートを得た。
実施例13:ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-((2’-アミノエトキシ)メチル)-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート(DHP-84)の合成

【0125】
2-エトキシ-6-ペンタデシル・ベンズアルデヒド(3 g, 8.3 mmol)とアセト酢酸4-クロロエチル(1.36 g, 8.3 mmol)をn-ブタノール(20 mL)に溶解した。酢酸(0.5 g, 8.3 mmol)とピペリジン(0.7 g, 8.3 mmol)を加え、室温で3-4時間攪拌した。次に3-アミノクロトン酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)を加え、10時間還流した。n-ブタノールを蒸発させ、反応混合物を蒸留水で洗浄し、ジクロロメタン(10 mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、かつ、化合物を、ヘキサン:EtOAc(94:6)溶媒系によるシリカゲル使用(100-200メッシュ)カラムクロマトグラフィーにて精製し、ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-クロロメチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート)を得た。この化合物(0.6 g, 1 mmol)をジクロロメタン(10 mL)に溶解し、2-アミノエタノール(0.061 g, 1 mmol)とKOH(0.06 g, 1 mmol)を加え、磁力により15分攪拌した。次に、ジベンゾ18-クラウン-6とテトラブチルアンモニウムブロマイドを加え、1時間攪拌した。この産物を、実施例7にて前述したカラムクロマトグラフィーにて精製した。
実施例14:ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート(DHP-132)の合成

【0126】
2-エトキシ-3,5-ジニトロ-6-ペンタデシル・ベンズアルデヒド(3.73 g, 8.3 mmol)とアセト酢酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)をn-ブタノール(20 mL)に溶解した。酢酸(0.5 g, 8.3 mmol)とピペリジン(0.7 g, 8.3 mmol)を加え、室温で3-4時間攪拌した。次に3-アミノクロトン酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)を加え、10時間還流した。n-ブタノールを蒸発させ、反応混合物を蒸留水で洗浄し、ジクロロメタン(10 mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、かつ、化合物をヘキサン:EtOAc(94:6)溶媒系によるシリカゲル使用(100-200メッシュ)カラムクロマトグラフィーにて精製し、ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレートを得た。
実施例15:ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’-アミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート(DHP-655)の合成

【0127】
2-エトキシ-3-アセトアニリド-6-ペンタデシル・ベンズアルデヒド(3.46 g, 8.3 mmol)とアセト酢酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)をn-ブタノール(20 mL)に溶解した。酢酸(0.5 g, 8.3 mmol)とピペリジン(0.7 g, 8.3 mmol)を加え、室温で3-4時間攪拌した。次に3-アミノクロトン酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)を加え、10時間還流した。n-ブタノールを蒸発させ、反応混合物を蒸留水で洗浄し、ジクロロメタン(10 mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、かつ、化合物を加水分解し、ヘキサン:EtOAc(94:6)溶媒系によるシリカゲル使用(100-200メッシュ)カラムクロマトグラフィーにて精製し、ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’-アミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン)を得た。
実施例16:ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-6-メチル-2-(5’’-メチル-2’-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート(DHP-276)の合成

【0128】
2-エトキシ-6-ペンタデシル・ベンズアルデヒド(3 g, 8.3 mmol)とアセト酢酸4-クロロエチル(1.36 g, 8.3 mmol)をn-ブタノール(20 mL)に溶解した。酢酸(0.5 g, 8.3 mmol)とピペリジン(0.7 g, 8.3 mmol)を加え、室温で3-4時間攪拌した。次に3-アミノクロトン酸エチル(1.08 g, 8.3 mmol)を加え、10時間還流した。n-ブタノールを蒸発させ、反応混合物を蒸留水で洗浄し、ジクロロメタン(10 mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させ、かつ、化合物を加水分解し、ヘキサン:EtOAc(94:6)溶媒系によるシリカゲル使用(100-200メッシュ)カラムクロマトグラフィーにて精製し、ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-6-メチル-2-クロロメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレートを得た。この化合物(0.6 g, 1 mmol)をジクロロメタン(10 mL)に溶解し、(5’-メチル)2-メルカプト-1H-ベンズイミダゾール(0.164 g, 1 mmol)
とNaOH(0.04 g, 1 mmol)を加えた。テトラブチルアンモニウムブロマイドとジベンゾ18-クラウン-6の触媒量を加え、室温にて磁力により2時間攪拌した。最終産物を、実施例7にて前述したカラムクロマトグラフィーにて精製した。
実施例17:ハンチュの1,4-ジヒドロピリジンのFeCl3/酢酸による芳香族化。

【0129】
本発明の1,4-ジヒドロピリジン化合物のいずれかを、下記の手順を用いて、合成工程13に示すように対応するピリジン化合物に変換することが可能である。ハンチュの1,4-ジヒドロピリジン(10 mmol)と塩化第二鉄(21 mmol)を室温で酢酸(30 mL)に溶解させた混合物を適当な期間(20分から2時間)攪拌した。反応の進行はTLCにて監視した。完了後、反応は、溶液を水(300 mL)に投じて急冷停止した。沈殿した油状物を酢酸エチル(3 x 50 mL)にて抽出した。有機層を分離し、NaHCO3溶液(2M, 2 x 100 mL)で中和し、飽和食塩水(100 mL)で、次いで蒸留水(100 mL)で洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ濃縮してピリジン類縁体を得た。得られた未精製産物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(100-200メッシュ、EtOAc/ヘキサン、7:3)にて精製し、対応するピリジンを得た。
実施例18:哺乳類細胞におけるT型チャンネルの発現
【0130】
T型カルシウムチャンネル(α1G)はHEK293細胞にて安定に発現させ、DMEM中に37℃で維持した。トリプシンとEGTAまたはアクターゼ(細胞分散剤)を用いて細胞を皿から遊離させ、分離4時間以内に調べた。個々の細胞を倒立顕微鏡のステージの上に置き、0.8-1.5 Mohmの抵抗を持つ、アルミナケイ酸塩ガラス毛細管を細引きして得たピペットをパッチした。電流は、Axopatch 200(Axon Instruments, Inc.)とpClampデータ獲得ソフトウェア(8.1)を用いて記録した。ピペット溶液は(mMで)下記のものを含んでいた。KCl 130, EGTA 11, HEPES 10, MgATP 5, pH=7.4。外浴溶液は(mMで)下記のものを含んでいた。NaCl 140, CaCl2 1, HEPES 10, pH=7.4。試験化合物は、保存液(DMSOに3または10 mMに溶解させたもの)から、外浴溶液にて希釈し所望の濃度(100 nM -10 μM)とした。電流測定は20-23℃で行った。細胞は、閉鎖状態の占有度を最大とするため-110 mVに保持し、100 msの間様々の電位に脱分極させた。電流は、保持電位と0 mV間の電流の直線内挿に基づいて、16-64の閾下反応(10または20 mVの電圧ステップ)を用いて容量補正し、リーク差し引きした。細胞はコントロールチェンバーから試験化合物を含むチェンバーに移し、薬剤の効果は、5秒に1回、-110 mVの保持電位から100 msの間-30 mVにステップさせるという電圧固定プロトコールを用いて評価した。10-13分の経過ごとに、連続プロトコールを中断し、完全な電流電圧関係を実現した。一般に、各化合物について4個の細胞を最短13分間調べた。すなわち、2個は500 nMの薬剤中で、2個は1 μMの薬剤中で調べた。いくつかの場合で、その他の濃度も調べた。データはMatlab(Mathworks、Natick、マサチューセッツ州)を用いて分析した。薬効は下記の関係式を用いて推定した。
遮断率=[薬剤]/(IC50+[薬剤])
【0131】
結果を下表に挙げる。
【表2】

【0132】
参考文献
化合物の薬理活性の試験法
1.T型カルシウムチャンネル(低電位依存性カルシウムチャンネル)にたいして
a)エル・ラシノーバ、エヌ・クルックバウアー、エフ・ホフマン(L. Lacinova, N. Klugbauer, F. Hofmann)、「二価陽イオンと有機性遮断剤によるカルシウムチャンネルα1Gサブユニットの制御(”Regulation of the calcium channel α1G subunit by divalent cations and organic blockers”)」、Neuropharmacology, 39, 1254-1266(2000)
b)ジェイピー・クロゼル、イーエー・エルテル、エスアイ・エルテル(J.P. Clozel, E.A. Ertel, S.I. Ertel)、「T型カルシウムチャンネルの最初の選択的遮断剤、ミベフラジル(Ro 40-5967)の発見と主な薬理学的性質(”Discovery and main pharmacological properties of mibefradil (Ro 40-5967), the first selective T-type calcium channel blocker”)」、Journal of hypertension, 15, S17-S25(1997)
c)ジー・メールケ、エックスジー・ゾン、ブィ・フロッカージ、エフ・ホフマン(G. Mehrke, X.G. Zong, V. Flockerzi, F. Hofmann)、「Ca2+チャンネル遮断剤Ro 40-5967はT型とL型のCa2+チャンネルを違ったやり方で遮断する(”The Ca2+ channel blocker Ro 40-5967 blocks differently T-type and L-type Ca2+ channels”)」、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 271, 1483-1488(1994)
d)エス・リチャード、エス・ジオチョット、ジェイ・ナージョット、エム・ボールディムーリニエ、ジェイ・バルミエ(S. Richard, S. Diochot, J. Nargeot, M. Baldy-Moulinier, J. Valmier)、「マウス胚後根神経節細胞における、ジヒドロピリジンによるT型カルシウム電流の抑制(”Inhibition of T-type calcium currents by dihidropyridines in mouse embryonic dorsal root ganglion neurons”)」、Neuroscience Letters, 132, 229-234(1991)
e)アールエスアイ・チョン、エイチ・ヤッフェ、エル・クリッブス、イー・ペレスレイエス、ケージェイ・シュワルツ(R.S.I. Chaung, H. Jaffe, L. Cribbs, E. Perez-Reyes, K.J. Swartz)、「新規サソリ毒素による、T型電圧開門カルシウムチャンネルの抑制(”Inhibition of T-type voltage gated calcium channel by a new scorpion toxin”)」、Nature Neuroscience, 1, 668-674(1998)
2.L型カルシウムチャンネル(高電圧依存性カルシウムチャンネル)にたいして
a)ビーゼット・ピーターソン、シーディー・デマリア、ディーティー・ユエ(B.Z. Peterson, C.D. DeMaria, D.T. Yue)、「カルモジュリンは、L型カルシウムチャンネルのCa2+依存性不活性化に与るCa2+センサーである(”Calmodulin is the Ca2+ sensor for Ca2+ dependent inactivation of L-type calcium channels”)」、Neuron, 22, 549-558(1999)
b)ジーシー・ロブニャック、エスディー・キンボール、ビー・ベイヤー、ジー・キュシノッタ、ジェイディー・ジマルコ、ジェイ・グーグタス、エイ・ヘドバーグ、エム・マーレィ、ジェイピー・マッカーシー、アール・ジャン、エス・モアランド(G.C. Rovnyak, S.D. Kimball, B. Beyer, G. Cucinotta, J.D. DiMarco, J. Gougoutas, A. Hedberg, M. Malley, J.P. McCarthy, R. Zhang, S. Moreland)、「カルシウム進入遮断剤および活性化剤−ジヒドロピリジンというカルシウムチャンネル修飾因子の立体配置・構造における決定因子(”Calcium Entry Blockers and Activators: Conformational and Structural Determinants of Dihydropyrimidine Calcium Channel Modulators”)」、Journal of Medicinal Chemistry, 38, 199-129(1995)
3.N-、P/Q-、R-型カルシウムチャンネルにたいして
a)ステア・エイ、スーン・ティーダブリュー、スナッチ・ティーピー(Stea, A., Soong, T.W., Snutch, T.P.)、「電圧開門カルシウムチャンネル(”Voltage gated calcium channels”)」、Handbook of Receptors and Channels: Ligand- and Voltage-Gated Ion Channels(ノース・アールエイ(North, R.A.)編)、1995, 113-152, CRC Press Inc., Boca Raton、フロリダ州
b)ザンポーニ・ジーダブリュー(Zamponi, G.W.)「電圧依存性カルシウムチャンネルの拮抗剤作用部位(”Antagonist sites of voltage dependent calcium channels”)」、Drug Development Research, 1997, 42, 131-143
c)ニーランズ・ティーアール、キング・エイピー、マクドナルド・アールエル(Neelands, T.R., King, A.P., Macdonald, R.L.)、「ヒトNT2-N細胞系統における、L-、N-、P/Q-、および、R-型カルシウムチャンネルの機能的発現(”Functional expression of L-, N-, P/Q-, and R-type calcium channels in the human NT2-N cell line”)」、J. Neurophysiology, 2000, 84(6), 393-401
4. 1,4-ジヒドロピリジンに関する参考文献
a)ゴールドマン・エス、ストルトファス(Goldmann, S., Stoltefuss)、J. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1991, 30, 1559
b)レーブ・ビー、グッドマン・エムエム、スネイダー・ケーエム、テデチ・アール、マッコ・イー(Loev, B., Goodman, M.M., Snader, K.M., Tedeschi, R., Macko, E.)、J. Med. Chem., 1974, 17, 956
【0133】
結論
以上から、当業者であれば、本申請書に開示されるこれらの化合物と用法は、カルシウムチャンネル遮断剤として使用が可能であり、治療効果をもたらすことが了解されるであろう。
【0134】
当業者であれば、これらの方法や化合物は、言及された目的を実行するため、また、言及された目標や利点を獲得するために適応が可能であるだけではなく、本申請書に内在するものの実行・獲得のためにも適応が可能であることが了解されるであろう。本申請書に記述される方法、手順および化合物は単に好ましい実施態様を代表するものであり、例示的であって、本発明の範囲を制限することを意図していない。それらのものの変更、および、その他の用法が当業者には思い浮かぶであろうが、それらは本発明の精神に含まれるもので、請求項の範囲によって定義される。
【0135】
本申請書に開示される発明にたいして、本発明の範囲や精神から逸脱することなく、置き換えや修飾を施すことが可能であることが当業者には明白であろう。
【0136】
当業者であれば、本申請書に記載される本発明の局面や実施態様は、それぞれ別々に実施が可能であろうし、あるいは、相互に共同的に実施が可能であろう。従って、別々の実施態様の組み合わせは、本申請書に請求される通り本発明の範囲内にある。
【0137】
本申請書に引用された特許や刊行物は全て、本発明の関わる当業者のレベルを示すものである。
【0138】
本申請書に具体的に記述された発明は、本申請書に具体的に開示されていない一つの要素または複数の要素、一つの制限または複数の制限がなくとも実行可能な場合がある。従って、例えば、本申請書の各実施例において、「・・・を含む」、「実質的に・・・から成る」、および、「・・・から成る」という用語のいずれにおいても、他の二つの用語のどれかによって代替が可能である。これまで用いられた用語や表現は、記述の用語であって、限定の用語ではなく、このような用語や表現の使用において、表示・記述された特徴、または、その一部にたいして等価的なものを排除することを示す意図は全く無い。請求される本発明の範囲内において様々な修飾が可能であることが理解される。従って、本発明は、好ましい実施態様や特別な利点に基づいて具体的に開示されてきたけれども、本申請書に開示される概念の修飾・変更に当業者が依存するのはあり得ることであるが、そのような修飾や変更は、付属の請求項によって定義される本発明の範囲内にあると考えられることを理解しなければならない。
【0139】
さらに、本発明の特長や局面がマーカッシュグループに基づいて記述されている場合、当業者であれば、本発明は、マーカッシュグループの内の、個別のどのメンバーまたはサブグループに基づいても記述が可能であることが理解されよう。例えば、Xが、臭素、塩素およびヨウ素から成るグループから選ばれると記述されている場合、Xは臭素であるという請求項、および、Xは臭素と塩素であるとする請求項は完全に記述されている。
【0140】
他の実施態様は、上記請求項の中に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IまたはIIの化合物、


または、その薬学的に受容可能な塩、アミド、エステル、または、薬剤前駆物質であり、
ここで、
a)R1は、8を越える炭素原子を有する、直鎖、分枝鎖、または、環状アルキル基であり、
b)R2-R9は、水素、ハロゲン、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、ジアゾ塩、随意に置換された低級アルキル、随意に置換された低級アルキレン、随意に置換された低級アルコキシ、随意に置換された低級アルコキシアルキル、随意に置換された低級アルコキシアルコキシ、随意に置換された低級メルカプチル、随意に置換された低級メルカプトアルキル、随意に置換された低級メルカプトメルカプチル、-C(O)OH、-OC(O)H、-C(O)OR-、-OC(O)R、-C(S)OR、-OC(S)R、-C(O)SR、-SC(O)R、-C(S)SR、-SC(S)R、C-アミド、N-アミド、および、随意に置換された5員環又は6員環のアリル複素環または随意に置換された6員環のアリル環またはアリル複素環、から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
ここで前記低級アルキルおよび低級アルキレンの機能基は、ハロゲン、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、スルフヒドリル、チオエーテル、シアノ、アミド、エステル、および、


から成るグループから選ばれる1種以上の置換基によって、それぞれ独立に、かつ、随意に置換され、
ここで、Aは、酸素、硫黄および-NHから成るグループから選ばれ、R12は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、および、ジアゾ塩から成るグループから選ばれ、nは0-4の間にあり、かつ、
ここで、前記環の機能基は、低級アルキル、低級アルキレンから成るグループから選ばれる1種以上の置換基によって、それぞれ独立に、かつ、随意に置換され、
c)式Iの化合物におけるR10およびR11は、水素および低級アルキルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
ただしここで、
R1がC15H31であり、R2とR3が共にCH3であり、R4がC(O)OCH(CH3)2であり、かつ、R6がOCH3、OCH2CH3またはOCH(CH3)2のいずれかである場合、R5はC(O)OCH3、C(O)OCH2CH3またはC(O)OCH(CH3)2ではなく、または、
R1がC15H31であり、R2とR3が共にCH3であり、R4がC(O)OCH2CH3であり、かつ、R6がOCH3またはOCH2CH3のいずれかである場合、R5はC(O)OCH3またはC(O)OCH2CH3ではなく、または、
R1がC15H31であり、R2とR3が共にCH3であり、R6がOCH(CH3)2であり、かつ、R4がC(O)OCH3またはC(O)OCH2CH3のいずれかである場合、R5はC(O)OCH3またはC(O)OCH2CH3ではない、
ことを特徴とする、上記化合物。
【請求項2】
R1は、10個以上の炭素原子を有する随意に置換されたアルキル基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1は、12個以上の炭素原子を有することを特徴とする、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R1は、15個以上の炭素原子を有することを特徴とする、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R1は、随意に置換されたC10直鎖アルキル基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R1は、随意に置換されたC11直鎖アルキル基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R1は、随意に置換されたC12直鎖アルキル基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R1は、随意に置換されたC13直鎖アルキル基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R1は、随意に置換されたC14直鎖アルキル基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R1は、随意に置換されたC15直鎖アルキル基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
R2およびR3は、それぞれ独立の、随意に置換されたアルキル基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
R2およびR3が同一であることを特徴とする、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
R2およびR3は異なることを特徴とする、請求項11記載の化合物。
【請求項14】
前記アルキルは低級アルキルであることを特徴とする、請求項11記載の化合物。
【請求項15】
R2およびR3は、メチル、エチル、または、イソプロピルから成るグループからそれぞれ独立に選択されることを特徴とする、請求項11記載の化合物。
【請求項16】
R2およびR3は同一であり、共にメチルであることを特徴とする、請求項11記載の化合物。
【請求項17】
R4は、


であって、Aは、酸素、硫黄および-NHから成るグループから選ばれ、R12は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、パーハロアルキル、ニトロ、アミノ、および、ジアゾ塩から成るグループから選ばれ、nは0-4の間にあることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
Aは酸素であることを特徴とする、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
Aは硫黄であることを特徴とする、請求項17記載の化合物。
【請求項20】
Aは-NHであることを特徴とする、請求項17記載の化合物。
【請求項21】
R4とR5は、下記から成るグループから選ばれる、すなわち、
a)随意に置換されるアルキル基、
b)式-(X1)n1-O-X2のアルコキシであって、
X1は、低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X2は、水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n1は0または1である、上記アルコキシ、
c)式-(X3)n3-S-X4のチオエーテルまたはチオールであって
X3は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X4は水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n3は0または1である、上記チオエーテルまたはチオール、
d)式-(X5)n5-C(=E)-E’Hのカルボン酸であって、
X5は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n5は0または1である、上記カルボン酸、および、
e)式-(X6)n6-C(=E)-E’X7または式―(X6)n6-E’-C(=E)-X7のエステルであって、
X6は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
X7は水素、低級アルキル、アリル、ヘテロアリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、および、-NX8X9から成るグループから選ばれ、
X8およびX9は水素、アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n6は0または1である、上記エステル、
であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
R4とR5は、それぞれ独立に低級アルキルであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項23】
R4とR5は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、および、tert-ブチルから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項21記載の化合物。
【請求項24】
n1、n3、n5およびn6はそれぞれ独立に1であり、かつ、X1、X3、X5およびX6はそれぞれ独立にメチレンであることを特徴とする、請求項21記載の化合物。
【請求項25】
X2、X4およびX7はそれぞれ独立に低級アルキルであることを特徴とする、請求項21記載の化合物。
【請求項26】
前記低級アルキルは、メチル、エチル、および、イソプロピルから成るグループから選択される、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
EおよびE’はそれぞれ独立に酸素であることを特徴とする、請求項21記載の化合物。
【請求項28】
Eは硫黄であり、E’はもし存在するなら酸素であることを特徴とする、請求項21記載の化合物。
【請求項29】
いくつかの実施態様では、R4とR5は、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-C(O)OCH2CH3、-C(O)OCH(CH3)2、-CH2OCH3、-CH2OCH2CH3、および、-CH2OCH(CH3)2から成るグループからそれぞれ独立に選ばれることを特徴とする、請求項21記載の化合物。
【請求項30】
RおよびRは同一であることを特徴とする、請求項21記載の化合物。
【請求項31】
RおよびRは異なることを特徴とする、請求項21記載の化合物。
【請求項32】
R6は下記から成るグループから選ばれる、すなわち、
a)水素、
b)随意に置換されるアルキル基、
c)式-(X1)n1-O-X2のアルコキシであって、
X1は、低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X2は、水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n1は0または1である、上記アルコキシ、
d)式-(X3)n3-S-X4のチオエーテルまたはチオールであって、
X3は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X4は水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n3は0または1である、上記チオエーテルまたはチオール、
e)式-(X5)n5-C(=E)-E’Hのカルボン酸であって、
X5は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n5は0または1である、上記カルボン酸、および、
f)式-(X6)n6-C(=E)-E’X7または式-(X6)n6-E’-C(=E)-X7のエステルであって、
X6は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
X7は水素、低級アルキル、アリル、ヘテロアリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、および、-NX8X9から成るグループから選ばれ、
X8およびX9は水素、アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n6は0または1である、上記エステル、
であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項33】
前記アルキルは低級アルキルであることを特徴とする、請求項32記載の化合物。
【請求項34】
前記低級アルキルは、メチル、エチル、および、イソプロピルから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項33記載の化合物。
【請求項35】
R6は、メトキシ、エトキシ、および、イソプロポキシから成るグループから選ばれるアルコキシであることを特徴とする、請求項32記載の化合物。
【請求項36】
R7-R9はそれぞれ独立に下記のグループから選ばれる、すなわち、
a)水素、
b)随意に置換されるアルキル基、
c)式-(X1)n1-O-X2のアルコキシであって、
X1は、低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X2は、水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n1は0または1である、上記アルコキシ、
d)式-(X3)n3-S-X4のチオエーテルまたはチオールであって、
X3は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X4は水素、低級アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、かつ、
n3は0または1である、上記チオエーテルまたはチオール、
e)式-(X5)n5-C(=E)-E’Hのカルボン酸であって、
X5は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n5は0または1である、上記カルボン酸、および、
f)式-(X6)n6-C(=E)-E’X7または式-(X6)n6-E’-C(=E)-X7のエステルであって、
X6は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
EおよびE’は、酸素および硫黄から成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
X7は水素、低級アルキル、アリル、ヘテロアリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、および、-NX8X9から成るグループから選ばれ、
X8およびX9は水素、アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、
n6は0または1である、上記エステル、
g)式-(X10)n10-NX11X12のアミンであって、
X10は低級アルキレン、低級アルケニレン、低級アルキニレン、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループから選ばれ、
X10とX11は、水素、アルキル、アリル、および、ヘテロアリルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれ、かつ、
n10は0または1である、上記アミン、
h)NO2
i)ハロゲンまたはパーハロアルキル、および、
j)CN、
であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項37】
前記アルキルは低級アルキルであることを特徴とする、請求項36記載の化合物。
【請求項38】
前記低級アルキルはメチル、エチル、および、イソプロピルから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項37記載の化合物。
【請求項39】
R7-R9は、水素、ヒドロキシ、シアノ(CN)、ニトロ(NO2)、アミノ(NH2)、メチル、エチル、イソプロピル、フッ素、および、塩素から成るグループからそれぞれ独立に選ばれることを特徴とする、請求項36記載の化合物。
【請求項40】
R-Rは同一であることを特徴とする、請求項36記載の化合物。
【請求項41】
R-Rは異なることを特徴とする、請求項36記載の化合物。
【請求項42】
R10とR11は、水素およびアルキルから成るグループからそれぞれ独立に選ばれることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項43】
前記アルキルは低級アルキルであることを特徴とする、請求項42記載の化合物。
【請求項44】
前記低級アルキルはメチル、エチル、および、イソプロピルから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項43記載の化合物。
【請求項45】
R10とR11はそれぞれ水素であることを特徴とする、請求項42記載の化合物。
【請求項46】
下記、すなわち、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンジミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(2’-メルカプト-1’Hベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3-エチル-5-(メトキシエチル)ピリジン・ジカルボキシレート、
1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3-メチル-5-(メトキシエチル)ピリジン・ジカルボキシレート、
1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3-イソプロピル-5-(メトキシエチル)ピリジン・ジカルボキシレート、
1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3-エチル-5-(メトキシエチル)ピリジン・ジカルボキシレート、
1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3-エチル-5-(メトキシエチル)ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-((2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-(2’-アミノエトキシ)メチル-6-メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジニトロ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-3’,5’-ジアミノ-6’-ペンタデシルフェニル)-2,6-ジメチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-エトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-メトキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジエチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
ジメチル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、および、
ジイソプロピル1,4-ジヒドロ-4-(2’-イソプロポキシ-6’-ペンタデシルフェニル)-2-メチル-6-(5’-メチル-2-メルカプト-1’H-ベンズイミダゾリル)メチル-3,5-ピリジン・ジカルボキシレート、
から成るグループから選ばれる化合物。
【請求項47】
DHP-21からDHP-655まで、DHP-1-11からDHP-326-11まで、DHP-653-11からDHP-655-11まで、DHP-1-12からDHP-326-12まで、DHP-653-12からDHP-655-12まで、DHP-1-13からDHP-326-13まで、DHP-653-13からDHP-655-13まで、DHP-1-14からDHP-326-14まで、および、DHP-653-14からDHP-655-14までから成るグループから選ばれる化合物。
【請求項48】
細胞を請求項1記載の化合物と接触させることからなる、細胞中のカルシウムチャンネルの活性を修飾する方法。
【請求項49】
前記カルシウムチャンネルは、低電位依存性カルシウムチャンネルまたは高電位依存性カルシウムチャンネルであることを特徴とする、請求項48記載の方法。
【請求項50】
細胞のカルシウムチャンネルと関連する疾患を治療する方法であって、
a)そのような治療を必要とする対象者を特定すること、
b)前記対象者に、請求項1の化合物の、カルシウムチャンネルに拮抗する有効量を投与すること、
からなる方法。
【請求項51】
前記対象者は哺乳動物であることを特徴とする、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記対象者はヒトであることを特徴とする、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記疾患は循環器病または神経学的疾患であることを特徴とする、請求項50記載の方法。
【請求項54】
請求項1記載の化合物、および、生理学的に受容可能な担体、希釈剤または賦形剤、またはそれらの混合物を含む薬剤組成物。

【公表番号】特表2006−508890(P2006−508890A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−562083(P2003−562083)
【出願日】平成15年1月14日(2003.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/001407
【国際公開番号】WO2003/062201
【国際公開日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【出願人】(504276624)ヴィッタル マリア サイエンティフィック リサーチ ファウンデーション (1)
【Fターム(参考)】