説明

カルボジイミドをベースとする新規結合剤、結合剤を含む水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系、接着性向上繊維、その製造方法およびその使用

【課題】カルボジイミドをベースとする新規結合剤、結合剤を含む水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系、接着性向上繊維、その製造方法およびその使用を提供する。
【解決手段】本発明は、カルボジイミドをベースとする新規結合剤に、結合剤を含む水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系に、接着性向上繊維に、その製造方法に、およびタイヤにおける接着性を向上させるためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボジイミドをベースとする新規結合剤に、結合剤を含む水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系に、接着性向上繊維に、その製造方法に、およびタイヤにおける接着性を向上させるためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボジイミドは、タイヤコードの処理に頻繁に使用されている。(特許文献1)および(特許文献2)を参照されたい。前記処理は、PET繊維の耐加水分解性を向上させるために実施される。(特許文献3)は、ポリカルボジイミドを含むポリイソシアネートを記載している。しかし、これらの方法は、望ましくない有機溶媒をベースとしており、かつ非経済的である。
【0003】
レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系(RFL dip)は、それがゴムへの人造繊維(コード)の接着性を向上させるので、タイヤ部門において特に定着するようになった。
【0004】
しかし、ポリエステルがコード材料として使用されるときの欠点は、RFL dipの接着促進特性が不十分であることである。
【0005】
前記欠点を、二量体イソシアネートを加えることによって排除するための試みがそれ故行われてきたが、これらは、低い性能レベルおよび比較的低い貯蔵寿命のために失敗した。
【0006】
ポリエステルコードが使用されるとき、カプロラクタムでキャップされたイソシアネートが、タイヤ/ゴムへの接着性を向上させるためにRFL dipに添加される((特許文献4)を参照されたい)。これらの欠点は、今度は、このプロセスの後期において破壊的効果を有する有毒な単量体イソシアネートとカプロラクタムとの脱離である。
【0007】
(特許文献5)は、接着促進特性を向上させるためのマイクロカプセル化された二量体ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートおよびジフェニルメタン2,4−ジイソシアネート(MDI)の使用をさらに開示している。しかし、当該公文書に記載されている物質は、高価であり、かつ、商業的に入手可能でないという欠点、および同様に有毒な単量体ジイソシアネートを脱離し得るという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第A−3,867,181号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第A−1770495号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第A−2326540号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第A2008/0300347号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第A 2159241号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系における接着性を向上させるために特に使用することができ、かつ、先行技術の欠点を持たない結合剤を提供することが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
意外にも、カルボジイミド化イソシアネートおよび/またはこれらと、アミンなどの、表面不活性化剤との反応生成物を含む、新規結合剤が、優れた接着性を提供することが今見いだされた。これらは、それらが本プロセスの後期における処理中にいかなる有毒な単量体イソシアネートも脱離せず、そして簡単な製造方法によって製造できるという利点を有する。
【0011】
本発明はそれ故、
式(I)
R’−(−N=C=N−R−)−R” (I)
[式中、
mは、1〜500、好ましくは1〜20の整数であり、
R=C〜C18アルキレン、C〜C18シクロアルキレン、アリーレンおよび/またはC〜C18アラルキレンであり、
R’=R−NCO、R−NHCONHR、R−NHCONRまたはR−NHCOORであり、そして
R”=−NCO、−NHCONHR、−NHCONRまたは−NHCOORであり、
ここで、R’におけるRおよびRは互いに独立して同一であるかまたは異なり、C〜Cアルキル部分、C〜C10シクロアルキル部分またはC〜C18アラルキル部分であり、Rは、Rについて定義された通りであるか、またはポリエステル部分もしくはポリアミド部分または−(CH−(O−(CH−O)−R、−C(OH)もしくは−C(OH)−((CH−C(OH))であり、
ここで、l=1〜3、k=1〜3、g=0〜12、h=1〜2およびy=1〜50であり、
=HまたはC〜Cアルキルである]
の化合物であって、
少なくとも1つのアミンとの反応によって表面不活性化された化合物をベースとする少なくとも1つのカルボジイミドを含む、結合剤を提供する。
【0012】
相当するオリゴマーおよび/またはポリマーを含めて、式(I)のカルボジイミドの混合物を使用することもまた同等に可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特に好ましい一実施形態においては、カルボジイミドは式(II)〜(IV)
【化1】

および/または
【化2】

(ここで、R=C〜C18アルキレン、C〜C18シクロアルキレン、アリーレンおよび/またはC〜C18アラルキレンであり、
jは分子内で同一であるかまたは異なり、そして1〜5であり、
p=0〜500である)
および/または式(IV)の立体障害のあるカルボジイミド
【化3】

(ここで、x=1〜500、好ましくは1〜50である)
に相当し、
ここで、これらは、少なくとも1つのアミンとの反応によって表面不活性化されている。
【0014】
製造方法の結果として、カルボジイミドは多くの場合、単量体の、オリゴマーのおよび/またはポリマーのカルボジイミドでできている混合物で生じる。前記混合物は、本発明の主題内である。
【0015】
たとえば、ラクタム、特に好ましくはカプロラクタムで、またはフェノール類で、ノボラックで、レゾルシノールで、オキシムでおよび/またはエポキシドでキャップされた式(I)〜(IV)の化合物を使用することは同等に可能である。
【0016】
本発明の範囲には、一般的であるか好ましい範囲に引用されるかのどちらかであり、そして互いにあらゆる所望の組み合わせに、すなわちまた、それぞれの範囲と好ましい範囲とのあらゆる所望の組み合わせにある、上述のおよび本明細書で以下にリストされる部分定義、指数、パラメーターおよび説明のすべてが含まれる。
【0017】
表面不活性化プロセス前の式(I)〜(IV)に従った化合物は、たとえばRhein Chemie Rheinau GmbHから商業的に入手可能であるか、または、例として独国特許出願公開第A−11 30 594号明細書もしくは米国特許第2,840,589号明細書に記載されているような、当業者におなじみの方法によって、もしくは触媒の存在下に、高められた温度での、たとえば40℃〜200℃での二酸化炭素の脱離でジイソシアネートの縮合によって製造することができる。成功を収めた触媒の例は、強塩基またはリン化合物である。ホスホレンオキシド、ホスホリジンまたはホスホリンオキシド、あるいは相当するスルフィドを使用することが好ましい。使用できるその他の触媒は、第三級アミン、塩基として反応する金属化合物、カルボン酸の金属塩および非塩基性有機金属化合物である。
【0018】
使用されるカルボジイミドおよび/またはポリカルボジイミドを製造するための好適な化合物は、任意のジイソシアネートであるが、本発明の目的のためには、C〜Cアルキル置換芳香族イソシアネート、たとえばトリレン2,4−ジイソシアネート、トリレン2,6−ジイソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネートおよびトリレン2,6−ジイソシアネートでできた混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリエチルフェニル1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリメチルフェニル1,3−ジイソシアネート、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレン1,5−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン4,4’−ジイソシアネート、フェニレン1,3−ジイソシアネート、フェニレン1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン2,2’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニレンイソシアネートおよび1,3,5−トリイソプロピルベンゼン2,4−ジイソシアネートまたはこれらの混合物をベースとするか、または置換アラルキレン、たとえば1,3−ビス(1−メチル−1−イソシアナトエチル)ベンゼンをベースとするカルボジイミドおよび/またはポリカルボジイミドを使用することが好ましい。カルボジイミドおよび/またはポリカルボジイミドは、トリレン2,4−ジイソシアネートおよびトリレン2,6−ジイソシアネートをまたはトリレン2,4−ジイソシアネートおよびトリレン2,6−ジイソシアネートでできた混合物をベースとすることが特に好ましい。
【0019】
本発明の別の実施形態においては、様々なカルボジイミドの混合物を使用することもまた可能である。
【0020】
使用される固体カルボジイミドの粒度は50μm未満であることが特に好ましい。
【0021】
本発明の一実施形態においては、本発明による結合剤は、水溶液および/または水性分散系の形態をとることができ、そしてまたさらなる添加剤、たとえばレオロジー助剤(沈降防止剤)、たとえばBorchi(登録商標)Gel ALA(OMG Borchers GmbH)またはMonsantoから得られるKelzan(登録商標)S、あるいはR.T.Vanderbiltから得られるTragacanth、安定剤、乳化剤、湿潤剤および/または分散剤、たとえばBASF AG製のTamol(登録商標)NN 9104もしくはCytec Surface Specialities GmbH製のAerosol(登録商標)OT45、またはClariant International Ltd製のDispersogen(登録商標)HRを含むことができる。
【0022】
水性分散系中のカルボジイミドの割合は、好ましくは1〜80%、特に好ましくは40〜60%である。
【0023】
本発明によるカルボジイミドは、少なくとも1つのアミンとの反応によって式(I)〜(IV)に従い表面不活性化されている。
【0024】
表面不活性化(マイクロカプセル化)プロセスのために使用されるアミンは、あらゆるアミノ官能性化合物を含むことができる。これらは、好ましくは多官能性の第一級および第二級アミン、特に好ましくは多官能性の脂肪族アミンである。本発明に従った好適なアミンは特に、ヘテロ原子、特に酸素または硫黄によるアルキル鎖の少なくとも幾らかの、あるいは完全な割り込みがあってもよい、および/またはアルキル鎖がさらなる置換基、たとえばヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲンなどを含むことができる、環状および脂肪族の、直鎖もしくは分岐の(C〜C14)アルキルアミン、−ジアミンおよび−ポリアミン、特に(C〜C10)アルキルアミン、−ジアミンおよび−ポリアミン、好ましくは(C〜C)アルキルアミン、−ジアミンおよび−ポリアミンの群から選択されるものである。
【0025】
次の化合物が、本発明に従った好適なアミンの例として挙げられてもよい:2−メチルペンタメチレン−1,5−ジアミンならびにその異性体および同族体、たとえば1,6−ヘキサメチレンジアミン;ジ−第二ブチルアミン;エチレンジアミン;1,3−プロピレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン;メチルノナンジアミン;イソホロンジアミン;4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン;アルカノールアミンおよび−ジアミン、たとえばエタノールアミンおよびジエタノールアミン、および/またはアミドアミン。これらの中で、2−ペンタメチレン−1,5−ジアミンならびにその異性体および同族体、たとえば1,6−ヘキサメチレンジアミンが特に好ましい。
【0026】
これらは、特に好ましくは多官能性の第一級および第二級アミン、特に好ましくは多官能性の脂肪族アミン、たとえばHuntsman製のJeffamine(登録商標)T 403、BASF AG製のジイソプロパノールアミン、またはCognis製のVersamid(登録商標)140、もしくはWitco製のEuretek 505などの、アミドアミンである。特に、これらは、親水性基、たとえば特にアミノ基またはヒドロキシ基を有する化合物であり、これらは固体ジイソシアネートの遊離のイソシアネート基と反応し、イソシアネート上に表面コーティングを形成することができ、これがその結果イソシアネートを不活性化する。例はそれ故、アミン、ジアミンおよびポリアミンである。
【0027】
本発明の好ましい一実施例においては、使用される表面不活性化剤は、第一級および/または第二級アミノ基を有する低分子量のモノ−、ジ−またはポリアミンを含み、その使用量は具体的には、表面不活性化剤のアミノ基対不活性化を必要とするカルボジイミドのイソシアネート基および/またはカルボジイミド基イソシアネート基の当量の比(nNH/nNCO)として計算される、不活性化の程度(DD)が0.2〜8当量%であるようなものである。
【0028】
特に、表面不活性化剤のモル質量は、最大MM600g/モルであることができる。
【0029】
結合剤の量を基準とする、表面不活性化剤(アミン)の好ましい濃度はここでは、1〜10重量%、特に2〜5重量%である。
【0030】
表面不活性化プロセスは好ましくは、撹拌しながらおよび/またはミリングしながら、任意選択的にまた分散剤および沈降防止剤を含むカルボジイミドの水性分散系へアミンを添加することによって行われる。しかし、カルボジイミドの有機分散系への、たとえばアルコール、トルエンなどへのアミンの添加によって表面不活性化プロセスを実施することもまた可能である。
【0031】
商業的に入手可能な機械を撹拌/ミリングプロセスのために使用することができる。例はビーズミル、溶解機および/または羽根攪拌機である。
【0032】
カルボジイミドの不活性化は、それ自体公知の方法(特に、その全体内容が参照のために本明細書に援用される、欧州特許出願公開第0 205 970 A号明細書および米国特許第4,888,124号明細書を参照されたい)で、たとえば
a)アミンの溶液中の粉状固体カルボジイミドの分散、または、
b)固体の微細粒子カルボジイミドの分散系へのアミンのまたはアミンの溶液の添加
によって行われる。
【0033】
この表面不活性化プロセスは、水中でおよび/または有機溶媒中で行うことができる。
【0034】
本発明は、式(I)〜(IV)の本発明による結合剤を含むレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系をさらに提供する。
【0035】
本発明の目的のためには、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系は、個々の成分レゾルシノールおよびホルムアルデヒド、および/またはレゾルシノールとホルムアルデヒドとでできたプレ縮合物(たとえばRhein Chemie Rheinau GmbH製のRhenosin(登録商標)およびIndspec Chemical Corp.から得られるPenacolite(登録商標)50)と一緒のホルムアルデヒド、ならびに本明細書において以下に言及されるラテックス分散系の1つ以上の分散系である。
【0036】
本発明の目的のために使用されるラテックス分散系は、先行技術において公知のラテックス、たとえばXSBRラテックス(カルボキシル化スチレン−ブタジエンコポリマー)、 HSSBRラテックス(スチレン−ブタジエンコポリマー)、ニトリル−ブタジエンコポリマー(NBRラテックス)、CRラテックス(ポリクロロプレン)、PSBRラテックス(ピリジン−スチレン−ブタジエンコポリマー)および/またはアクリレートラテックス(アクリレートのみのコポリマーおよびスチレン−アクリレートコポリマー)および/またはスチレン−ブタジエン−ビニルピリジンコポリマーラテックスのいずれかであることができ、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジンコポリマー(たとえEliochemから得られる、Pliocord VP 106)が好ましい。これらは、例としてPolymer Latex GmbHからまたはEliokemから得られる商業的に入手可能な物質である。
【0037】
レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系はここでは、レゾルシノールおよびホルムアルデヒドでできた塩基性の水性混合物、または好ましくはホルムアルデヒドおよびレゾルシノールとホルムアルデヒドとのプレ縮合物でできた塩基性の水性混合物を、塩基性の水性ラテックスに組み入れるための撹拌によって好ましくは得られる。
【0038】
レゾルシノール対ホルムアルデヒドの比は好ましくは1:1〜2.5:1である。
【0039】
その固形分を基準とする、ラテックス対レゾルシノールとホルムアルデヒドとでできた縮合物の比は、好ましくは10:1〜4:1、特に好ましくは6:1である。
【0040】
使用される水性の塩基性溶液は好ましくは、水性の水酸化ナトリウムおよび/または水酸化アンモニウム溶液である。好ましいpHはここで10〜11である。
【0041】
カルボジイミドおよび/または表面不活性化カルボジイミドの好ましい使用量はここでは、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系中の固形分を基準として、0.5〜10%、特に5〜8%である。
【0042】
本発明は、本発明によるレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系の製造方法であって、式(I)〜(IV)の少なくとも1つの化合物を含む、本発明による結合剤の少なくとも1つが、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ撹拌によって組み入れられる方法をさらに提供する。
【0043】
本発明は、本発明による表面不活性化結合剤の少なくとも1つを含む、本発明によるレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系のさらなる製造方法であって、表面不活性化プロセスのために、式(I)〜(IV)に従った少なくとも1つのカルボジイミドが、
a)少なくとも1つのアミンの溶液中の式(I)〜(IV)に従った少なくとも1つの粉状カルボジイミドの分散によって、または
b)式(I)〜(IV)に従ったカルボジイミドの少なくとも1つの分散系への少なくとも1つのアミンまたは少なくとも1つのアミンの溶液の添加によって
のどちらかで少なくとも1つのアミンで不活性化され、次に
レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ撹拌によって組み入れられるか、またはレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系が、これらa)もしくはb)の溶液へ撹拌によって組み入れられる方法をさらに提供する。
【0044】
商業的に入手可能な混合アセンブリ、たとえば撹拌タンクおよび分散機が、カルボジイミドおよび/または表面不活性化カルボジイミドを含む、本発明による結合剤を、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ撹拌によって組み入れるために、またはレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系を、カルボジイミドでのおよび/または不活性化カルボジイミドでの本発明による結合剤へ撹拌によって組み入れるためにここでは用いられる。
【0045】
本発明は、本発明による少なくとも1つの水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系およびまた少なくとも1つの活性化剤を含む接着剤配合物をさらに提供する。
【0046】
本発明の目的のための活性化剤の例は、Raschig製のグリシジルエーテルGE 500、またはEditya Birla Chemical製のビスフェノールAエポキシノボラックなどの、エポキシドである。
【0047】
ここで接着剤配合物を製造するために、式(I)〜(IV)のカルボジイミド、または少なくとも1つのアミンの反応によって表面不活性化されたカルボジイミドを含む本発明による結合剤がレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ撹拌によって組み入れられること、および活性化剤が次に加えられることが好ましいが、あらゆるその他の添加順序も排除されない。
【0048】
本発明は、架橋したゴムまたはエラストマーへの強化繊維の接着性の向上方法であって、強化繊維(繊維、コード)が本発明による接着剤配合物へ導入され、次に乾燥されるか、または強化繊維(繊維、コード)が1つ以上の工程において本発明による接着剤配合物の成分の1つ以上で処理される方法をさらに提供する。
【0049】
特に、本発明による接着剤配合物の1つ以上の成分を使用する複数の工程における最後の言及される処理の場合には、繊維はまた中間乾燥にかけることができる。
【0050】
本発明による上述の方法が本発明による接着剤配合物の1つ以上の成分を使用する複数の工程において実施される限りにおいて、可能な実施形態の例は、次の通りである:
例として、強化繊維を、先ず少なくとも1つのエポキシドへ導入し、そして任意選択的に乾燥させ、次に、本発明によるレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ導入することができるか(ここで、この分散系は本発明による少なくとも1つの結合剤、すなわちアミンとの反応後の式(I)〜(IV)の少なくとも1つのカルボジイミドを含む)、または
強化繊維は先ず、少なくとも1つのエポキシドおよび本発明による少なくとも1つの結合剤でできた分散系へ導入され(ここで、この結合剤は、アミンとの反応後の式(I)〜(IV)の少なくとも1つのカルボジイミドを含む)、そして任意選択的に乾燥され、次に、レゾルシノールおよびホルムアルデヒド、またはホルムアルデヒドおよびレゾルシノール−ホルムアルデヒドプレ縮合物をまた含むラテックス分散系へ導入される。
【0051】
架橋したゴムまたはエラストマーはここでは好ましくは、スチレン−ブタジエンゴム(SBRゴム)、ブタジエンゴム(BRゴム)、天然ゴム(NRゴム)、合成天然ゴム(IRゴム)、ポリウレタンエラストマー、またはそれらの任意の混合物である。
【0052】
上述の場合には、前もって活性化された(前処理された)強化繊維かあるいは前もって活性化されていない強化繊維かのどちらかを使用することが可能である。
【0053】
前もって活性化された(前処理された)強化繊維は、例として、それらの製造(紡糸)中にサイズで処理されたポリエステル−またはポリアミド−ベースの繊維である。商業的に入手可能な製品の例は、KoSa製のKoSa 793およびKoSa 748である。多くの場合に、サイズはエポキシドを含む。
【0054】
非前処理強化繊維は、例としてポリエステル−またはアラミド−ベースの繊維である。商業的に入手可能な製品の例はKoSa 792である。
【0055】
本発明はまた、架橋したゴムまたはエラストマーへの強化繊維の接着性の向上方法であって、前もって活性化された(前処理された)強化繊維が、本発明による水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ導入され、次に乾燥される方法を含む。
【0056】
本発明の目的のためには、用語繊維は、例としてポリエステルまたはアラミド、たとえばとりわけポリエチレンテレフタレート−ベースの繊維をベースとする、繊維のみならず、糸、コード、およびまた補強織物も意味する。
【0057】
本発明はまた、活性化剤前処理繊維を本発明による少なくとも1つの水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系と接触させることによってか、または非前処理繊維を本発明による少なくとも1つの接着剤配合物と接触させることによって、180〜260℃の温度でのその後の乾燥(硬化)によって得られる接着性向上繊維を提供する。
【0058】
本発明は、タイヤ、駆動ベルト、コンベアベルトおよび/またはホースにおける強化繊維とエラストマーとの間の結合強度を向上させるための任意選択的に活性化剤の存在下での本発明によるレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系の使用をさらに提供し、そしてまたタイヤ、駆動ベルト、コンベアベルトおよび/またはホースにおける強化繊維とエラストマーとの間の結合強度を向上させるための任意選択的に活性化剤の存在下での本発明による結合剤の使用を提供する。
【0059】
以下の実施例は本発明を例示するのに役立つが、結果として得られるいかなる限定効果も持たない。
【実施例】
【0060】
使用される化学薬品:
TDIカルボジイミド、任意選択的にオリゴマー含量を含むことができる式(II)に従ったカルボジイミド、
Addolink(登録商標)CBM、Rhein Chemie Rheinau GmbHから得られる、カプロラクタム−キャップされたMDI(ジフェニルメタン4,4−ジイソシアネート)、
Tamol(登録商標)NN 9104、BASF AGから得られる、湿潤/分散剤、
Borchi Gel(登録商標)L 75、OMG Borchers GmbHから得られる、沈降防止剤、
Aerosol(登録商標)OT 75、Cytec Surface Specialties GmbHから得られる、湿潤/分散剤、
Kelzan(登録商標)S、Monsantoから得られる、沈降防止剤、
Jeffamin(登録商標)T 403、Huntsman International LLCから得られる、ポリエーテルアミン、
Penacolite(登録商標)50、Indspec Chemical Corpから得られる、レゾルシノール−ホルムアルデヒド・プレ縮合物、およびまた
Pliocord(登録商標)VP 106、Eliokemから得られる、41%固形分を有するスチレン−ブタジエン−ビニルピリジンコポリマーラテックス。
【0061】
表1は、水性分散系を製造するために使用される量をまとめる。
【0062】
【表1】

【0063】
水性分散系の製造方法はここでは次の通りであった:
水と湿潤/分散剤(Aerosol(登録商標)OT 75またはTamol(登録商標)NN 9104)とを組み合わせ、溶解/混合した。TDIカルボジイミドまたはAddolink(登録商標)CBMを次に加え、混合物を溶解機で均質にした。実施例1(Ex.1)においてはJeffamin T 403を次に加え、剪断力を回避しながら混合することによって組み入れた。Borchi Gel(登録商標)L 75または新鮮に製造したKelzan(登録商標)S調製物を次に混合によって組み入れ、混合物を均質にした。
【0064】
表2は、前もって活性化されたポリエステル繊維を処理するための接着剤配合物の構成を示す。
【0065】
【表2】

【0066】
処理された繊維を約135℃で約60秒間予備乾燥し、硬化プロセスは230℃で120秒を要した。
【0067】
加硫および接着試験は、ASTM D 4393に従って実施した。使用された試験エラストマー混合物は、活性化剤PET糸入りの、Dunlopから得られる、Dunlop SP 5320であった。接着試験の結果を表3にまとめる。
【0068】
【表3】

【0069】
本実験は、本発明による結合剤が、先行技術より製造するのが著しく容易であり、それ故より費用効果的であり、さらにヒートセットの目的のための乾燥プロセス中に有毒な単量体イソシアネートをまったく脱離しないのに、極めて良好な接着性を示すことを明らかに示す。本発明による結合剤はそれ故、先行技術において公知の化合物よりも著しい環境上のおよび製造関連の利点を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
R’−(−N=C=N−R−)−R” (I)
[式中、
mは、1〜500の整数であり、
R=C〜C18アルキレン、C〜C18シクロアルキレン、アリーレンおよび/またはC〜C18アラルキレンであり、
R’=R−NCO、R−NHCONHR、R−NHCONRまたはR−NHCOORであり、そして
R”=−NCO、−NHCONHR、−NHCONRまたは−NHCOORであり、
ここで、R’におけるRおよびRは互いに独立して同一であるかまたは異なり、C〜Cアルキル部分、C〜C10シクロアルキル部分またはC〜C18アラルキル部分であり、Rは、Rについて定義された通りであるか、またはポリエステル部分もしくはポリアミド部分または−(CH−(O−(CH−O)−R、−C(OH)もしくは−C(OH)−((CH−C(OH))であり、
ここで、l=1〜3、k=1〜3、g=0〜12、h=1〜2およびy=1〜50であり、
=HまたはC〜Cアルキルである]
の化合物であって、
少なくとも1つのアミンとの反応によって表面不活性化された化合物をベースとする少なくとも1つのカルボジイミドを含む結合剤。
【請求項2】
前記カルボジイミドが式II、IIIおよびIVの化合物
【化1】

および/または
【化2】

(ここで、R=C〜C18アルキレン、C〜C18シクロアルキレン、アリーレンおよび/またはC〜C18アラルキレンであり、jは分子内で同一であるかまたは異なり、そして1〜5であり、p=0〜500である)
および/または
【化3】

(ここで、x=1〜500である)
であって、少なくとも1つのアミンとの反応によって表面不活性化された化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の結合剤。
【請求項3】
前記アミンが、1,6−ヘキサメチレンジアミン;ジ−第二ブチルアミン;エチレンジアミン;1,3−プロピレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン;メチルノナンジアミン;イソホロンジアミン;4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン;アルカノールアミンおよび−ジアミンを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の結合剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の少なくとも1つの結合剤を含む、水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系。
【請求項5】
レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系が、個々の成分レゾルシノールおよびホルムアルデヒド、および/またはレゾルシノールとホルムアルデヒドとでできたプレ縮合物と一緒のホルムアルデヒド、および次の群:カルボキシル化スチレン−ブタジエンコポリマー(XSBRラテックス)、ニトリル−ブタジエンコポリマー(NBRラテックス)、ポリクロロプレン(CRラテックス)、ピリジン−スチレン−ブタジエンコポリマー(PSBRラテックス)および/またはアクリレートのみのコポリマーおよび/またはスチレン−アクリレートコポリマー(アクリレートラテックス)および/またはスチレン−ブタジエン−ビニルピリジンコポリマーラテックスから選択されるラテックス分散系の1つ以上の分散系を含むことを特徴とする、請求項4に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の少なくとも1つの結合剤が、前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ撹拌によって組み入れられることを特徴とする、請求項4または5に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系の製造方法。
【請求項7】
表面不活性化プロセスのために、式(I)〜(IV)に従った少なくとも1つのカルボジイミドが、
a)少なくとも1つのアミンの溶液中の式(I)〜(IV)に従った少なくとも1つの粉状カルボジイミドの分散によって、または
b)式(I)〜(IV)に従ったカルボジイミドの少なくとも1つの分散系への少なくとも1つのアミンまたは少なくとも1つのアミンの一溶液の添加によって
のどちらかで少なくとも1つのアミンで不活性化され、次に
前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ撹拌によって組み入れられるか、または前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系が、これらa)もしくはb)の溶液へ撹拌によって組み入れられることを特徴とする、請求項4または5に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系の製造方法。
【請求項8】
請求項4または5に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系およびまた少なくとも1つの活性化剤を含む、接着剤配合物。
【請求項9】
前記活性化剤が少なくとも1つのエポキシドであることを特徴とする、請求項8に記載の接着剤配合物。
【請求項10】
架橋したゴムおよび/またはエラストマーへの強化繊維の接着性を向上させる方法であって、
前記繊維が請求項8または9に記載の接着剤配合物へ導入されるか、または
前記繊維が1つ以上の工程において請求項8または9に記載の接着剤配合物の成分の1つ以上で処理される
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前もって活性化された繊維が請求項4または5に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系へ導入され、次に乾燥されることを特徴とする、架橋したゴムまたはエラストマーへの強化繊維の接着性を向上させる方法。
【請求項12】
前記活性化剤前処理繊維を請求項4または5に記載の少なくとも1つの水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系と接触させることによって、または非前処理繊維を請求項8または9に記載の少なくとも1つの接着剤配合物と接触させることによって、およびその後180〜260℃の温度で乾燥(硬化)させることによって得られる、接着性向上繊維。
【請求項13】
タイヤ、駆動ベルト、コンベアベルトおよび/またはホースにおける強化繊維とエラストマーとの間の結合強度を向上させるための任意選択的に活性化剤の存在下での請求項4または5に記載の水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系の使用。
【請求項14】
タイヤ、駆動ベルト、コンベアベルトおよび/またはホースにおける強化繊維とエラストマーとの間の結合強度を向上させるための任意選択的に活性化剤の存在下でのおよび水性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス分散系における請求項1〜3のいずれか一項に記載の結合剤の使用。

【公開番号】特開2012−46749(P2012−46749A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−185787(P2011−185787)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(511206984)ライン・ケミー・ライノー・ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】