説明

カーシェアリングシステムにおける認証システム、認証方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体

【課題】認証処理のためだけに必要なアイテムを利用することなく、容易に認証処理を行うことができるようにしたカーシェアリングシステムを提供する。
【解決手段】利用者からの予約に応じて車両を管理し、上記利用者による上記車両利用前に上記車両のセキュリティを解除するカーシェアリングシステムにおける認証システムにおいて、車両に搭載されるとともに利用者の予約に応じた認証番号を表示する表示手段と、上記利用者の携帯電話から、上記表示手段に表示された認証番号と同一の番号が入力されたか否かを判定する判定手段と、上記判定手段により、上記利用者の携帯電話から、上記表示手段に表示された認証番号と同一の番号が入力されたと判定された場合にのみ、上記車両のセキュリティを解除する制御手段とを有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシェアリングシステムにおける認証システム、認証方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体に関し、さらに詳細には、利用者の利便性を向上させたカーシェアリングシステムにおける認証システム、認証方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一台の自動車を複数の会員が共同で利用する自動車の新しい利用形態として、所謂、カーシェアリングが注目されている。
【0003】
ここで、カーシェアリングとは、利用者は自ら自動車を所有せず、管理団体の会員となり、必要に応じてその団体の自動車を借りるというものである。
【0004】
また、カーシェアリングは、ある地域に限定したコミュニティーの中で会員同士で自動車を共有し、インターネットなどを通じて車両の利用状態の確認や利用予約を行うようにしているため、貸し出し手続に時間を必要とせず、貸し出し・返却場所は、居住しているマンションの駐車場であったり、あるいは、通勤駅の近くであったりと、会員が利用するにあたって便利な場所に設定されていることが多い。
【0005】
こうしたカーシェアリングにより、利用者は、自動車を所有する場合に比べて、自動車取得費用、維持経費ならびに駐車料金といった費用を削減することができるようになる。
【0006】
さらに、カーシェアリングが広く普及されることにより、自動車の総台数の低減が見込まれ、都市の交通渋滞の緩和やエネルギー消費量の低減により、二酸化炭素による地球温暖化を抑止する効果が期待されている。
【0007】

ところで、上記したような従来のカーシェアリングにおいては、例えば、図1のブロック構成図に示すようなシステムを構築し、このシステムにより車両の予約や運行の管理が行われている。
【0008】
即ち、従来の技術によるカーシェアリングシステム100は、カーシェアリングシステム100の管理団体のパーソナルコンピューター102と接続されるとともに当該管理団体の会員となった利用者のパーソナルコンピューター104や当該利用者の携帯電話106とネットワークを介して接続されるサーバー108と、車両110に設けられかつ携帯電話網でサーバー108と接続される車載器112と、車両110に設けられるとともに車載器112と接続されるカードリーダー114と、車両110に設けられるとともに車載器112に接続されるキーボックス116とを有して構成されている。
【0009】

以上の構成において、図2乃至図4を参照しながら、カーシェアリングシステム100を利用して車両110の予約や利用を行う場合について説明する。
【0010】
まず、利用者が管理団体に対し会員登録を申請すると、管理団体は、利用者固有の登録コードを作製し、当該登録コードを利用者に配布するとともに、サーバー108内に設けられた記憶手段(図示せず。)に記憶させる。
【0011】
さらに、上記した登録コードと同じ認証用コードが記憶されたICカードと、利用者がサーバー108に設けられた予約サイトにログインする際に必要となるIDおよびパスワードとが利用者に対して配布される。
【0012】
ここで、上記したICカードを取得した利用者が、カーシェアリングシステム100を利用して車両110の予約や利用を行う場合には、利用者がパーソナルコンピューター104または携帯電話106を利用してサーバー108に設けられた予約サイトにアクセスして会員登録時に取得したIDおよびパスワードを入力してログインし、車両110の状態や車両110の予約状況といった情報を閲覧し、利用者の要望にあった車両110の予約を行う(ステップS202)。
【0013】
こうした利用者による車両110の予約が完了し、予約時間になると、携帯電話網を利用して、この予約の情報がサーバー108から車載器112に送られる。
【0014】
そして、利用者は予約した時間に車両110が駐車された駐車場まで行き(ステップS204)、車両110に設けられたカードリーダー114に、会員登録時に取得したICカードを読み取らせて認証を受ける(ステップS206)。
【0015】

ここで、図3のフローチャートには、このステップS206における車両利用前のICカードによる認証処理の詳細な処理内容が示されており、予約時間になり、サーバー108から予約の情報が車載器112に送られると、車載器112の制御により、カードリーダー114に設けられたLEDランプ(図示せず。)を点滅させて利用者にカードリーダー114の起動を知らせるとともに、カードリーダー114が起動されるので、予約時間に車両110が駐車している駐車場に来た利用者はカードリーダー114に対して会員登録時に取得したICカードを翳し、カードリーダー114に当該ICカードを読み取らせる(ステップS302)。
【0016】
即ち、利用者がカードリーダー114にICカードを翳すことにより、カードリーダー114ではICカードの認証用コードを読み取り、読み取った認証用コードを車載器112に出力し、車載器112から携帯電話網を利用してサーバー108に出力する(ステップS304)。
【0017】
認証用コードがサーバー108に入力されると、サーバー108では、当該認証用コードとサーバー108に予め記憶されている利用者の登録コードとが一致するか否かを判断する(ステップS306)。
【0018】
ステップS306の判断処理において、認証用コードと利用者の登録コードとが一致しないと判断された場合には、サーバー108から認証用コードと登録コードとが一致しないという判断結果を携帯電話網を利用して車載器112に出力し、車載器112の制御により、カードリーダー114に設けられたLEDランプ(図示せず。)を点滅させることで、利用者に対して再びICカードをカードリーダー114に翳すように促し(ステップS308)、再度、ステップS302の処理に戻る。
【0019】
一方、ステップS306の判断処理において、認証用コードと利用者の登録コードとが一致すると判断された場合には、サーバー108から認証用コードと登録コードとが一致するという判断結果を携帯電話網を利用して車載器112に出力し、車載器112の制御により、カードリーダー114に設けられたLEDランプ(図示せず。)を点滅させるとともに、キーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)から車両110のセキュリティを解除した旨の音声ガイダンスを流し、車両110のセキュリティを解除した状態、具体的には、車両110のドアロックを解除するとともに、キーボックス116からキーを取り出すことができる状態とする(ステップS310)。
【0020】
なお、カードリーダー114にICカードが翳されて認証処理が開始され、認証用コードと登録コードとが一致するか否かの判断処理による判断がなされるまで(つまり、認証処理中のことである。)は、車載器112の制御により、カードリーダー114に設けられたLEDランプ(図示せず。)を点滅させる。
【0021】
上記した説明において、カードリーダー114が起動したとき、認証処理中、認証用コードと登録コードとが一致しないと判断されたときにおいて、車載器112の制御により、カードリーダー114に設けられたLEDランプ(図示せず。)を点滅させるものであるが、こうしたLEDランプの点滅は、それぞれ点滅パターンが異なっている。
【0022】

上記したステップS206の処理による認証が完了すると、利用者は、車両110に乗車してキーボックス116からキーを取り出し(ステップS208)、取り出したキーを利用してエンジンをかけて車両110を利用する(ステップS210)。
【0023】
その後、車両110を利用した利用者は、予約時間が終了するまでに車両110を決められた駐車場に駐車させ(ステップS212)、車両110のキーをキーボックス116に返却し、車両110の全てのドアを閉める(ステップS214)。
【0024】
ステップS214の処理の後に、再度、ICカードを車両110に設けられたカードリーダー114に翳し、車両110に設けられたカードリーダー114にICカードを読み取らせて認証を受ける(ステップS216)。
【0025】

ここで、図4のフローチャートには、このステップS216における車両利用後のICカードによる認証処理の詳細な処理内容が示されており、この車両利用後のICカードによる認証処理においては、まず、車載器112において、車両110のエンジンが停止され、キーボックス116にキーが返却され、かつ、車両110の全てのドアが閉じられているか否かの判断を行う(ステップS402)。
【0026】
ステップS402の判断処理において、「車両110のエンジンの停止」、「キーボックスへのキーの返却」、「車両110の全てのドアが閉じられていること」の3つのうち、1つでも行われていないと判断された場合には、継続して車両110を使用すると判断され、認証処理を行わずに処理を終了する。
【0027】
一方、ステップS402の判断処理において、車両110のエンジンが停止し、キーボックス116にキーが返却され、かつ、車両110の全てのドアが閉じられていると判断された場合には、車載器112の制御により、カードリーダー114に設けられたLEDランプ(図示せず。)を点滅させて利用者にカードリーダー114の起動を知らせるとともに、利用者に対してカードリーダー114にICカードを翳す旨の音声ガイダンスをキーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)から流し、車両110に設けられたカードリーダー114を起動させる。
【0028】
そして、利用者がICカードをカードリーダー114に翳して、カードリーダー114にICカードを読み取らせる(ステップS404)。
【0029】
即ち、利用者がICカードをカードリーダー114に翳すことにより、カードリーダー114ではICカードの認証用コードを読み取り、読み取った認証用コードを車載器112に出力し、車載器112から携帯電話網を利用してサーバー108に出力する(ステップS406)。
【0030】
認証用コードがサーバー108に入力されると、サーバー108においては、当該認証用コードと予めサーバー108に記憶された利用者の登録コードとが一致するか否かの判断を行う(ステップS408)。
【0031】
このステップS408の判断処理において、認証用コードと利用者の登録コードとが一致しないと判断された場合には、サーバー108から認証用コードと登録コードとが一致しないという判断結果を携帯電話網を利用して車載器112に出力し、車載器112に制御により、カードリーダー114に設けられたLEDランプ(図示せず。)を点滅させることで、利用者に対して再びカードリーダー114にICカードを翳すように促し(ステップS410)、再びステップS404の処理に戻る。
【0032】
一方、ステップS408の判断処理において、認証用コードと利用者の登録コードとが一致すると判断された場合には、サーバー108において、サーバー108で管理されている予約情報から認証用コードと一致する登録コードの利用者の予約状況を確認し(ステップS412)、当該利用者が利用している車両110が存在しているか否かの判断を行う(ステップS414)。
【0033】
このステップS414の判断処理において、利用者が利用している車両110が存在しないと判断された場合には、サーバー108から利用者が利用している車両110が存在しないとの判断結果を携帯電話網を利用して車載器112に出力し、車載器112の制御により、カードリーダー114を起動した状態で、車両110のセキュリティを起動させることなく処理を終了する。
【0034】
即ち、ステップS414の判断処理において、利用者が利用している車両110が存在しないと判断された場合には、当該利用者による車両110の返却は不可能であると判断され、車両110が返却されていない状態、つまり、利用者が車両110を利用している状態となる。
【0035】
一方、ステップS414の判断処理において、利用者が利用している車両110が存在すると判断された場合には、サーバー108から利用者が利用している車両110が存在するとの判断結果を携帯電話網を利用して車載器112に出力し、車載器112の制御により、カードリーダー114に設けられたLEDランプ(図示せず。)を点滅させて車両110の返却処理の完了を知らせるとともに、車両110のセキュリティが起動した状態、具体的には、車両110のドアロックを行うとともに、キーボックス116からキーを取り出すことができない状態とする(ステップS416)。
【0036】
なお、カードリーダー114にICカードが翳されて認証処理が開始され、利用者が利用している車両110が存在するか否かの判断処理による判断がなされるまで(つまり、返却処理中のことである。)は、車載器112の制御により、カードリーダー114に設けられたLEDランプ(図示せず。)を点滅させる。
【0037】
上記した説明において、カードリーダー114が起動したとき、返却処理中、認証用コードと登録コードとが一致しないと判断されたとき、利用者が利用している車両110が存在すると判断されたときにおいて、車載器112の制御により、カードリーダー114に設けられたLEDランプ(図示せず。)を点滅させるものであるが、こうしたLEDランプの点滅は、それぞれ点滅パターンが異なっている。
【0038】

そして、上記したステップS216の処理による認証が完了すると、車載器112により、走行距離、走行時間ならびに車両110の状態などが確認され、確認された情報をサーバー108に出力し、管理団体がパーソナルコンピューター102によりサーバー108にアクセスし、車載器112からの情報に基づいて車両110の利用に関する料金を算出し、算出した料金を会員のパーソナルコンピューター104もしくは携帯電話106に通知する(ステップS218)。
【0039】

ところで、上記において説明したように、従来のカーシェアリングシステムにおいては、車両利用前ならびに車両利用後の認証処理において、管理団体に対して会員登録する際に取得したICカードを利用している。
【0040】
しかしながら、ICカードを利用した認証処理では、ICカードを紛失すると、その都度、ICカードの再発行を行わなければならず、再発行手続などに手間がかかってしまうという問題点があった。
【0041】
また、ICカードは、カーシェアリングによる車両の利用時だけ使用されるため、常に携帯しているものではなく、実際に使用する際には忘れてしまうこともあり、その都度、ICカードを取りに戻らなければならず、認証処理が煩わしい作業になっていた。
【0042】
このため、認証処理のためだけに必要なるようなICカードなどを利用することなく、容易に認証処理を行うことのできるカーシェアリングシステムの提案が強く望まれていた。
【0043】

なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
本発明は、従来の技術の有する上記したような要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、認証処理のためだけに必要なICカードなどのアイテムを利用することなく、容易に認証処理を行うことができるようにしたカーシェアリングシステムにおける認証システム、認証方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0045】
上記目的を達成するために、本発明は、車両に表示手段を設け、当該表示手段に認証番号を表示することにより利用者に認証番号を確認させ、利用者は当該認証番号を携帯電話から入力することにより認証処理を行うようにしたものである。
【0046】
また、本発明は、携帯電話のGPS機能を利用して利用者の位置情報を取得し、取得した利用者の位置情報と車両の位置情報とを比較することにより認証処理を行うようにしたものである。
【0047】
こうした本発明によれば、認証処理のためだけのICカードのようなアイテムを用いることなく、容易に認証処理することができるものである。
【0048】
また、本発明によれば、外出時などには、常に携帯することが一般的である携帯電話を利用して認証処理を行うので、認証処理の煩わしさを軽減することができるものである。
【0049】

即ち、本発明によるカーシェアリングシステムにおける認証システムは、利用者からの予約に応じて車両を管理し、上記利用者による上記車両利用前に上記車両のセキュリティを解除するカーシェアリングシステムにおける認証システムにおいて、車両に搭載されるとともに利用者の予約に応じた認証番号を表示する表示手段と、上記利用者の携帯電話から、上記表示手段に表示された認証番号と同一の番号が入力されたか否かを判定する判定手段と、上記判定手段により、上記利用者の携帯電話から、上記表示手段に表示された認証番号と同一の番号が入力されたと判定された場合にのみ、上記車両のセキュリティを解除する制御手段とを有するようにしたものである。
【0050】
また、本発明によるカーシェアリングシステムにおける認証システムは、利用者からの予約に応じて車両を管理し、上記利用者による上記車両利用前に上記車両のセキュリティを解除するカーシェアリングシステムにおける認証システムにおいて、GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて利用者の携帯電話において取得された該携帯電話の位置情報と、上記利用者が予め予約した車両の位置情報とが一致するか否かを判定する判定手段と、上記判定手段により、上記携帯電話の位置情報と上記利用者が予め予約した車両の位置情報とが一致すると判定された場合にのみ、上記車両のセキュリティを解除する制御手段とを有するようにしたものである。
【0051】
また、本発明によるカーシェアリングシステムにおける認証方法は、利用者からの予約に応じて車両を管理し、上記利用者による上記車両利用前に上記車両のセキュリティを解除するカーシェアリングシステムにおける認証方法において、車両に搭載した表示手段に利用者の予約に応じた認証番号を表示し、上記利用者の携帯電話から、上記表示手段に表示した認証番号と同一の番号が入力されたか否かを判定し、上記利用者の携帯電話から、上記表示手段に表示した認証番号と同一の番号が入力されたと判定された場合にのみ、上記車両のセキュリティを解除するようにしたものである。
【0052】
また、本発明によるカーシェアリングシステムにおける認証方法は、利用者からの予約に応じて車両を管理し、上記利用者による上記車両利用前に上記車両のセキュリティを解除するカーシェアリングシステムにおける認証方法において、GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて利用者の携帯電話において取得された該携帯電話の位置情報と、上記利用者が予め予約した車両の位置情報とが一致するか否かを判定し、上記携帯電話の位置情報と上記利用者が予め予約した車両の位置情報とが一致すると判定された場合にのみ、上記車両のセキュリティを解除するようにしたものである。
【0053】
また、本発明によるプログラムは、上記した本発明によるカーシェアリングシステムにおける認証システムとしてコンピューターを機能させるためのプログラムである。
【0054】
また、本発明によるプログラムは、上記した本発明によるカーシェアリングシステムにおける認証方法をコンピューターに実行させるためのプログラムである。
【0055】
また、本発明によるコンピューター読み取り可能な記録媒体は、上記した本発明によるプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0056】
本発明は、以上説明したように構成されているので、認証処理のためだけに必要なICカードなどのアイテムを利用することなく、容易に認証処理を行うことができるようになるという優れた作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、従来の技術によるカーシェアリングシステムの概要を示すブロック構成図である。
【図2】図2は、従来の技術によるカーシェアリングシステムの利用手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、カーシェアリングシステムにおける車両利用前のICカードによる認証処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図4は、カーシェアリングシステムにおける車両利用後のICカードによる認証処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明によるカーシェアリングシステムの概要を示すブロック構成図である。
【図6】図6は、本発明によるカーシェアリングシステムの利用手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、カーシェアリングシステムにおける車両利用前の携帯電話による認証処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図8は、カーシェアリングシステムにおける車両利用後の携帯電話による認証処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】図9は、カーシェアリングシステムにおける携帯電話に設けられたGPS機能を利用して行われる車両利用前の携帯電話による認証処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるカーシェアリングシステムにおける認証システム、認証方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0059】
なお、以下の説明においては、図1乃至図4を参照しながら説明した従来の技術によるカーシェアリングシステム100と同一または相当する構成については、上記において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な構成ならびに作用の説明は適宜に省略することとする。
【0060】

ここで、図5には、本発明によるカーシェアリングシステムの概要を示すブロック構成図が示されている。
【0061】
この図5に示す、本発明によるカーシェアリングシステム10は、カーシェアリングシステム10の管理団体のパーソナルコンピューター102と接続されるとともに管理団体の会員となった利用者のパーソナルコンピューター104や当該利用者の携帯電話106とネットワークなどを介して接続されるサーバー108と、車両110に設けられるとともにサーバー108と携帯電話網を利用して接続される車載器12と、車両110に設けられるとともに車載器12と接続されるディスプレイ14と、車両110に設けられるとともに車載器12と接続されるキーボックス116とを有して構成されている。
【0062】

より詳細には、車載器12は、車両110に備えられた装置や機能に対する監視や当該監視に基づく制御を行うものであり、GPS衛星16と通信するGPSモジュール12aと、携帯電話網と接続する通信モジュール12bと、GPSモジュール12a、通信モジュール12bおよび監視部12e(後述する。)からの各種情報を処理するとともに、ディスプレイ14、キーボックス116ならびに車載器12の全体の動きを制御するメインコントローラー12cと、メインコントローラー12cからの情報により車両110に設けられたエンジンスタータ110aおよびドアロックアンロックシステム110bを操作する操作部12dと、車両110に設けられたドアスイッチ110c、イグニッション110d、バッテリー電圧110e、燃料計110fおよび車速110gを監視する監視部12eと、メインコントローラー12cからの情報によりキーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)から音声ガイダンスなどを出力させる音声モジュール12fとを有して構成されている。
【0063】
また、GPSモジュール12aは、GPS衛星16からGPS信号を受信するために必要なアンテナ12aaを備えており、また、通信モジュール12bは、車載器12が各種情報を携帯電話網を介して送受信するためのアンテナ12baを備えている。
【0064】
さらに、音声モジュール12fは、キーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)に接続されている。
【0065】
また、ディスプレイ14は、複数桁の数字や所定の文章を表示可能なものであり、車両110内に配設されるとともに、利用者が車両110の外からディスプレイ14に表示された表示内容を確認可能な位置に配置されており、メインコントローラー12cの制御により、ディスプレイ14に複数桁の数字や所定の文章を表示したり、表示した数字や文章を点滅するものである。
【0066】

以上の構成において、図6乃至図8を参照しながら、カーシェアリングシステム10を利用して車両110の予約や利用を行う場合について説明するが、はじめに各構成要素の機能について説明する。
【0067】
まず、メインコントローラー12cは、サーバー108、監視部12eおよびGPS衛星16からの各種情報の入力を行い、入力した情報を記憶するとともに、サーバー108に対して各種情報を出力する。
【0068】
さらに、このメインコントローラー12cは、操作部12d、監視部12e、音声モジュール12f、ディスプレイ14およびキーボックス116といった構成要素に対してそれらを制御する出力を行う。
【0069】
また、操作部12dは、監視部12eにおけるイグニッション110dの監視結果などに基づいて、認証処理なしにドアを開けてエンジンをかけようとしてキーが使用されたと判断された場合に、メインコントローラー12cの制御により、エンジンスタータ110aを起動しないように制御することでエンジンがかからないようにする。
【0070】
さらに、操作部12dは、メインコントローラー12cから認証処理による認証が完了したとの情報を入力すると、ドアロックアンロックシステム110bを制御して車両110のドアのロックならびにロックの解除を行う。
【0071】
また、監視部12eは、ドアスイッチ110cから開閉信号を取得することによりドアの開閉状態の監視を行い、イグニッション110dからIG信号を取得することによりエンジンが起動した状態であるか否かの監視を行い、バッテリー電圧110eから電位を取得することにより車両110が動作状態か否かの監視を行い、燃料計110fから燃料の残量信号を取得することにより車両110の燃料の残量を監視を行い、車速110gから車速信号を取得することにより車両110の走行距離の監視を行い、キーボックス116から所定の情報を取得することによりキーの有無などの監視を行うものであるとともに、こうした監視結果をメインコントローラー12cに出力するものである。
【0072】

また、GPSモジュール12aは、GPS衛星16からのGPS信号を取得し、当該GPS信号をメインコントローラー12cに出力するものであり、メインコントローラー12cにおいては、取得したGPS信号に基づいて車両110の位置情報を取得する。
【0073】
また、通信モジュール12bは、メインコントローラー12cにおける各種情報を携帯電話網を利用してサーバー108に出力するとともに、サーバー108から携帯電話網を利用して出力された各種情報をメインコントローラー12cに入力する。
【0074】
また、音声モジュール12fは、キーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)から音声ガイダンスを流すものである。
【0075】
そして、ディスプレイ14は、メインコントローラー12cによりその起動が制御されるとともに、メインコントローラー12cの制御により、数字または文字を表示するとともに、所定の条件下において表示した数字または文字を点滅表示する。
【0076】
また、キーボックス116は、認証処理が完了した後に、メインコントローラー12cによって、キーの取り出しを可能または不可能な状態に制御されるとともに、音声モジュール12fからの音声ガイダンスを、設けられたスピーカー(図示せず。)から流すものである。
【0077】

次に、図6乃至図8を参照しながら、カーシェアリングシステム10における利用手順および携帯電話を利用した認証処理について説明する。
【0078】
まず、カーシェアリングシステム10を利用するに際して、利用者が管理団体に対し会員登録を申請すると、管理団体は、利用者固有の登録コードを作製し、当該登録コードを利用者に配布するとともに、サーバー108内に設けられた記憶手段(図示せず。)に記憶させる。
【0079】
さらに、利用者に対して、利用者がサーバー108に設けられた予約サイトならびに認証サイト(後述する。)にログインする際に必要となるIDおよびパスワードが配布される。
【0080】
そして、管理団体への会員登録を完了した利用者は、カーシェアリングシステム10において、パーソナルコンピューター104または携帯電話106を利用してサーバー108に設けられた予約サイトにアクセスして会員登録時に取得したIDおよびパスワードを入力してログインし、車両110の状態や車両110の予約状況といった情報を閲覧し、利用者の要望にあった車両110の予約を行う(ステップS602)。
【0081】
利用者による車両110の予約が完了し、予約時間になると、この予約の情報がサーバー108から携帯電話網を利用し、通信モジュール12bを介してメインコントローラー12cに出力される。
【0082】
そして、利用者は携帯電話106を携帯して、予約した時間に車両110が駐車している駐車場まで行き(ステップS604)、車両110に設けられたディスプレイ14に表示された認証番号を利用して携帯電話106による認証処理を行う(ステップS606)。
【0083】

ここで、図7のフローチャートには、このステップS606における車両利用前の携帯電話による認証処理の詳細な処理内容が示されており、車両利用前の携帯電話による認証処理においては、まず、予約時間になり、予約の情報がサーバー108から携帯電話網を利用して、通信モジュール12bを介してメインコントローラー12cに出力されると、メインコントローラー12cの制御によりディスプレイ14が起動されるとともに、サーバー108から認証処理のための認証番号が携帯電話網を利用し、通信モジュール12bを介してメインコントローラー12cに出力され(ステップS702)、メインコントローラー12cに入力した認証番号はメインコントローラー12cからディスプレイ14に出力され、ディスプレイ14に認証番号が表示される(ステップS704)。
【0084】
そして、予約時間に車両110が駐車している駐車場に来た利用者は、携帯電話106からサーバー108に設けられた認証サイトにアクセスして会員登録時に取得したIDおよびパスワードを入力してログインするが、この際、サーバー108においては予約時間になった時点で、車両110が使用可能状態であると認識されるので、車両110の利用を予約している利用者が認証サイトにログインすると、携帯電話106の表示画面上に認証番号入力部と認証開始ボタンとが表示される(ステップS706)。
【0085】
つまり、認証サイトでは、サーバー108で車両110が使用可能状態であると認識された場合に、携帯電話106の表示画面上に認証番号入力部と認証開始ボタンとが表示されることとなる。
【0086】
次に、利用者は、携帯電話106の表示画面上に表示された認証番号入力部にディスプレイ14に表示された認証番号を入力して、認証開始ボタンを押す(ステップS708)。
【0087】
ステップS708の処理により、認証サイトの認証開始ボタンが押されると、サーバー108において、認証サイトの認証番号入力部に入力された認証番号とサーバー108からメインコントローラー12cに出力してディスプレイ14に表示した認証番号とが一致するか否かを判断する(ステップS710)。
【0088】
このステップS710の判断処理において、認証サイトの認証番号入力部に入力された認証番号とサーバー108からメインコントローラー12cに出力されディスプレイ14に表示された認証番号とが一致しないと判断された場合には、サーバー108から携帯電話106に対してエラーメッセージが出力され、携帯電話106の表示画面上にエラーメッセージが表示されるとともに(ステップS712)、サーバー108から認証サイトの認証番号入力部に入力された認証番号とサーバー108からメインコントローラー12cに出力された認証番号とが一致しないとの判断結果を携帯電話網を利用し、通信モジュール12bを介してメインコントローラー12cに出力し、メインコントローラー12cの制御により、ディスプレイ14に表示されている認証番号を点滅させる(ステップS714)。
【0089】
その後、携帯電話106の表示画面上に、認証サイトの認証番号入力部および認証開始ボタンが表示され、再度、ステップS708の処理に戻り、利用者により認証番号入力部へ認証番号を入力し、認証開始ボタンを押して、ステップS710の判断処理を行う。
【0090】
一方、ステップS710の判断処理において、認証サイトの認証番号入力部に入力された認証番号とサーバー108からメインコントローラー12cに出力されディスプレイ14に表示された認証番号とが一致すると判断された場合には、サーバー108から、認証サイトの認証番号入力部に入力された認証番号とサーバー108からメインコントローラー12cに出力されディスプレイ14に表示された認証番号とが一致するという判断結果を携帯電話網を利用し、通信モジュール12bを介してメインコントローラー12cに出力し、メインコントローラー12cが音声モジュール12fを制御することにより、キーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)からキーボックス116からキーを取り出すことが可能となった旨の音声ガイダンスを流すとともに、車両110のセキュリティの解除した状態、つまり、操作部12dを介してドアロックアンロックシステム110bにより車両110の全てのドアに対してドアロックの解除を行うとともに、キーボックス116からキーを取り出すことができる状態とする(ステップS716)。
【0091】

上記のようにして、ステップS606の車両利用前の携帯電話による認証処理により認証が完了すると、メインコントローラー12cによってディスプレイ14の電源が切られ、利用者は、車両110に乗車してキーボックス116からキーを取り出し(ステップS608)、取り出したキーを利用してエンジンをかけて車両110を利用する(ステップS610)。
【0092】
その後、車両110を利用した利用者は、予約時間が終了するまでに車両110を決められた駐車場に駐車させ(ステップS612)、キーを利用して車両110のエンジンを止め、当該キーをキーボックス116に返却し、車両110の全てのドアを閉め(ステップS614)、携帯電話106を用いて認証処理を行う(ステップS616)。
【0093】

ここで、図8のフローチャートには、このステップS616における車両利用後の携帯電話による認証処理の詳細な処理内容が示されており、車両利用後の携帯電話による認証処理においては、まず、監視部12eにおけるイグニッション110d、キーボックス116ならびにドアスイッチ110cの監視結果に基づいて、メインコントローラー12cにより、車両110のエンジンが停止され、キーボックス116にキーが返却され、かつ、車両110の全てのドアが閉められているか否かの判断を行う(ステップS802)。
【0094】
ステップS802の判断処理において、「車両110のエンジンの停止」、「キーボックス116へのキーの返却」、「車両110の全てのドアが閉じられていること」の3つのうち、1つでも行われていないと判断された場合には、継続して車両110を使用すると判断され、認証処理を行わずに処理を終了する。
【0095】
一方、ステップS802の判断処理において、車両110のエンジンが停止され、キーボックス116にキーが返却され、かつ、車両110の全てのドアが閉められていると判断された場合には、メインコントローラー12cの制御によりディスプレイ14が起動し、ディスプレイ14に車両110の返却処置を行うよう利用者に促すメッセージを表示するとともに、車両110のエンジンが停止され、キーボックス116にキーが返却され、かつ、車両110の全てのドアが閉められていると判断されたという判断結果が、メインコントローラー12cから通信モジュール12bを介し、携帯電話網を利用してサーバー108に出力され、当該判断結果によりサーバー108において車両110が返却可能状態であると認識される(ステップS804)。
【0096】
ディスプレイ14に表示されたメッセージにより返却処理を促された利用者は、携帯電話106からサーバー108に設けられた認証サイトにアクセスして会員登録時に取得したIDおよびパスワードを入力してログインするが、ステップS804の処理でサーバー108において車両110が返却可能状態であると判断されたため、車両110を利用している利用者が認証サイトにログインすると、携帯電話106の表示画面上には返却ボタンが表示される(ステップS806)。
【0097】
つまり、認証サイトでは、サーバー108で車両110が返却可能状態であると認識された場合に、携帯電話106の表示画面上に返却ボタンが表示されることとなる。
【0098】
ステップS806の処理により携帯電話106の表示画面上に表示された返却ボタンを利用者が押すと(ステップS808)、監視部12eにおけるイグニッション100dの監視結果に基づいてメインコントローラー12cにより、車両110のエンジンが停止しているか否かの判断を行う(ステップS810)。
【0099】
ステップS810の判断処理において、車両110のエンジンが停止していないと判断された場合には、車両110のエンジンが停止していないとの判断結果が、メインコントローラー12cから通信モジュール12bを介し、携帯電話網を利用してサーバー108に出力され、当該判断結果に基づいてサーバー108から予めサーバー108に記憶されていた車両110のエンジンの停止を促すメッセージを携帯電話106に出力して、当該メッセージを携帯電話106の表示画面上に表示して(ステップS812)、再びステップS810の判断処理を行う。
【0100】
一方、ステップS810の判断処理において、車両110のエンジンが停止していると判断された場合には、監視部12eによるキーボックス116の監視結果に基づいて、メインコントローラー12cにより、キーボックス116にキーが返却されているか否かの判断を行う(ステップS814)。
【0101】
このステップS814の判断処理において、キーボックス116にキーが返却されていないと判断された場合には、キーボックス116にキーが返却されていないという判断結果が、メインコントローラー12cから通信モジュール12bを介し、携帯電話網を利用してサーバー108に出力され、当該判断結果に基づいてサーバー108から予めサーバー108に記憶されていたキーボックス116にキーの返却を促すメッセージを携帯電話106に出力して、当該メッセージを携帯電話106の表示画面上に表示して(ステップS816)、再びステップS814の判断処理を行う。
【0102】
一方ステップS814の判断処理において、キーボックス116にキーが返却されていると判断された場合には、監視部12eによるドアスイッチ110cの監視結果に基づいて、メインコントローラー12cにより、車両110の全てのドアが閉められているか否かの判断を行う(ステップS818)。
【0103】
ステップS818の処理において、車両110の全てのドアが閉められていないと判断された場合には、車両110の全てのドアが閉められていないとの判断結果が、メインコントローラー12cから通信モジュール12bを介し、携帯電話網を利用してサーバー108に出力され、当該判断結果に基づいてサーバー108から予めサーバー108に記憶されていた車両110の全てのドアを閉めるように促すメッセージを携帯電話106に出力して、当該メッセージを携帯電話106の表示画面上に表示して(ステップS820)、再びステップS818の判断処理を行う。
【0104】
一方、ステップS818の判断処理において、車両110の全てのドアが閉められていると判断された場合には、認証サイトにログインした利用者の予約状況を確認し(ステップS822)、当該利用者が利用している車両110が存在しているか否かの判断を行う(ステップS824)。
【0105】
このステップS824の判断処理において、利用者が利用している車両110が存在しないと判断された場合には、サーバー108から利用者が利用している車両110が存在しないとの判断結果を携帯電話網を利用してメインコントローラー12cに出力し、メインコントローラー12cの制御により、ディスプレイ14を起動した状態で車両110のセキュリティを起動することなく処理を終了する。
【0106】
即ち、ステップS824の判断処理において、利用者が利用している車両110が存在しないと判断された場合には、当該利用者による車両110の返却は不可能であると判断され、車両110が返却されていない状態、つまり、利用者が車両110を利用している状態となる。
【0107】
一方、ステップS824の判断処理において、利用者が利用している車両110が存在すると判断された場合には、サーバー108から利用者が利用している車両110が存在するとの判断結果を携帯電話網を利用し、通信モジュール12bを介してメインコントローラー12cに出力し、メインコントローラー12cにより、車両110のセキュリティを起動した状態、つまり、操作部12dを介してドアロックアンロックシステム110bにより車両110の全てのドアに対してドアロックを行うように制御するとともに、キーボックス116からキーを取り出すことができない状態とする(ステップS826)。
【0108】

そして、上記したステップS616による車両利用後の携帯電話による認証処理による認証が完了すると、メインコントローラー12cによりディスプレイ14の電源が切られ、監視部12eにより走行時間、走行距離、車両110の状態などが監視され、この監視結果をメインコントローラー12cに出力し、さらに、当該監視結果を通信モジュール12bを介し、携帯電話網を利用してサーバー108に出力する。
【0109】
こうしてサーバー108に出力された監視情報に基づいて、管理団体がパーソナルコンピューター102からサーバー108の管理システムにアクセスして、車両110の利用により生じた料金を算出し、算出した料金を利用者のパーソナルコンピューター104や携帯電話106に通知する(ステップS618)。
【0110】

以上において説明したように、カーシェアリングシステム10においては、車載器12に接続されたディスプレイ14を車両110に設け、携帯電話106により認証サイトを介してサーバー108にアクセスし、ディスプレイ14に表示された認証番号を入力することにより認証処理を行うようにしたため、ICカードのような認証処理のためだけに必要なアイテムを利用することなく、予約などに使用する携帯電話106を利用して、容易に認証処理を行うことができるものである。
【0111】

なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(5)に示すように変形するようにしてもよい。
【0112】
(1)上記した実施の形態においては、ディスプレイ14に表示される認証番号を用いて携帯電話106による認証処理を行うようにしているが、携帯電話106に設けられたGPS機能を利用して携帯電話106による認証処理を行うようにしてもよい。
【0113】
以下、カーシェアリングシステム10において、携帯電話106に設けられたGPS機能を利用して行われる携帯電話による認証処理について説明する。
【0114】
なお、携帯電話106はGPS衛星118からのGPS信号を受信して、当該携帯電話106の位置情報を取得するGPS機能を備えたものとする。
【0115】
また、携帯電話106に設けられたGPS機能を利用した携帯電話による認証処理を行うようにする場合には、ステップS616の車両利用後の携帯電話による認証処理については、図6および図8に示すフローチャートと同様の処理手順のため、以下の説明においては、ステップS606の処理による車両利用前の携帯電話による認証処理についてのみ説明することとする。
【0116】
即ち、携帯電話106に設けられたGPS機能を利用した携帯電話による認証処理を行う場合には、図7に示すフローチャートの処理に代えて、図9のフローチャートに示す処理をステップS606の処理として実行する。
【0117】
以下、図9に示すフローチャートの処理を説明すると、まず、予約時間になり、予約の情報がサーバー108から携帯電話網を利用し、通信モジュールを介してメインコントローラー12cに出力されると、メインコントローラー12cの制御によりディスプレイ14が起動されるとともに、ディスプレイ14に車両110が利用可能であることを表示する(ステップS902)。
【0118】
そして、予約時間に車両110が駐車している駐車場に来た利用者は、携帯電話106からサーバー108に設けられた認証サイトにアクセスして会員登録時に取得したIDおよびパスワードを入力してログインするが、この際、サーバー108においては予約時間になった時点で、車両110が使用可能状態であると認識されるので、車両110の利用を予約している利用者が認証サイトにログインすると、携帯電話106の表示画面上に利用開始ボタンが表示される(ステップS904)。
【0119】
つまり、認証サイトでは、サーバー108で車両110が使用可能状態であると認識された場合に、携帯電話106の表示画面上に利用開始ボタンが表示されることとなる。
【0120】
そして、利用者が携帯電話106の表示画面上に表示された利用開始ボタンを押すことにより(ステップS906)、携帯電話106においてGPS衛星16から受信したGPS信号に基づいて携帯電話106の位置情報、即ち、携帯電話106を携帯している利用者の位置情報を取得する(ステップS908)。
【0121】
ステップS908の処理により、携帯電話106から利用者の位置情報を取得すると、この利用者の位置情報が携帯電話106からサーバー108に出力され、サーバー108において、利用者の位置情報と予めサーバー108に記憶されている車両110が駐車されている駐車場の位置情報とが一致するか否かを判断する(ステップS910)。
【0122】
このステップS910の判断処理において、利用者の位置情報と車両110が駐車されている駐車場の位置情報とが一致しないと判断された場合には、サーバー108から携帯電話106に対してエラーメッセージが出力されるとともに(ステップS912)、サーバー108から、利用者の位置情報と車両110が駐車されている駐車場の位置情報とが一致しないとの判断結果を携帯電話網を利用し、通信モジュール12bを介してメインコントローラー12cに出力し、メインコントローラー12cの制御によりディスプレイ14にエラーメッセージを表示させて当該エラーメッセージを点滅させる(ステップS914)。
【0123】
その後、携帯電話106の表示画面上に、認証サイトの利用開始ボタンが表示され、再度、ステップS906の処理に戻り、利用者により利用開始ボタンが押され、ステップS910の判断処理を行う。
【0124】
一方、ステップS910の判断処理において、利用者の位置情報と車両110が駐車されている駐車場の位置情報とが一致すると判断された場合には、サーバー108から、利用者の位置情報と車両110が駐車されている駐車場の位置情報とが一致するとの判断結果が、携帯電話網を利用し、通信モジュール12bを介してメインコントローラー12cに出力され、メインコントローラー12cが音声モジュール12fを制御することより、キーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず。)からキーボックス116からキーを取り出すことが可能となった旨の音声ガイダンスを流すとともに、車両110のセキュリティの解除した状態、つまり、操作部12dを介してドアロックアンロックシステム110bにより車両110の全てのドアに対してドアロックの解除を行うとともに、キーボックス116からキーを取り出せる状態とする(ステップS916)。
【0125】
このように、携帯電話106によるGPS機能を利用して、利用者の位置情報を取得して認証処理を行うようにすることにより、利用者はより容易に認証処理を行うことができることとなる。
【0126】
(2)上記した実施の形態においては、認証処理において、「認証番号が一致しない」、「キーが返却されていない」などの不具合が認められた場合には、ディスプレイにエラーメッセージを表示したり、表示を点滅させるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0127】
即ち、ディスプレイ14にエラーメッセージを表示したり、表示を点滅させることに変えて、メインコントローラー12cにより音声モジュール12fを制御してキーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず)からその不具合を解消するような指示を音声ガイダンスとして流すようにしてもよい。
【0128】
また、ディスプレイ14にエラーメッセージを表示したり、表示を点滅させることに加えて、メインコントローラー12cにより音声モジュール12fを制御してキーボックス116に設けられたスピーカー(図示せず)からその不具合を解消するような指示を音声ガイダンスとして流すようにしてもよい。
【0129】
(3)上記した実施の形態においては、予約時間になると自動的にディスプレイ14が起動されるとともに、ディスプレイ14に認証番号が表示されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、利用者が車両110の駐車場まで行き、携帯電話106から認証サイトにアクセスした段階で、ディスプレイ14が起動され、ディスプレイに認証番号が表示されるようにしてもよい。
【0130】
(4)上記した実施の形態においては、車両利用後の携帯電話による認証処理において、車両110のエンジンが停止され、キーボックス116にキーが返却され、かつ、車両110の全てのドアが閉められていると判断された場合に、車両110が返却可能状態であると認識され、認証サイトにログインした携帯電話の表示画面上に表示された返却ボタンを押した後に、さらに、車両110のエンジンの停止、キーボックス116へのキーの返却、車両110の全てのドアが閉められているかの確認を行い、その後、利用者の予約状況を確認する処理を行うようにしているが、これに限られるものではないことは勿論であり、車両110のエンジンが停止され、キーボックス116にキーが返却され、かつ、車両110の全てのドアが閉められていると判断された場合に、車両110が返却可能状態であると認識され、認証サイトにログインした携帯電話の表示画面上に表示された返却ボタンを押した後に、再度、車両110のエンジンの停止、キーボックス116へのキーの返却、車両110の全てのドアが閉められているかの確認することなしに、利用者の予約状況を確認する処理を行うようにしてもよい。
【0131】
(5)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(4)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、カーシェアリングを管理する団体が用いて好適なカーシェアリングシステムである。
【符号の説明】
【0133】
10、100 カーシェアリングシステム
12、112 車載器
12a GPSモジュール
12b 通信モジュール
12c メインコントローラー
12d 操作部
12e 監視部
14 ディスプレイ
16 GPS衛星
102、104 パーソナルコンピューター
106 携帯電話
108 サーバー
110 車両
114 カードリーダー
116 キーボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者からの予約に応じて車両を管理し、前記利用者による前記車両利用前に前記車両のセキュリティを解除するカーシェアリングシステムにおける認証システムにおいて、
車両に搭載されるとともに利用者の予約に応じた認証番号を表示する表示手段と、
前記利用者の携帯電話から、前記表示手段に表示された認証番号と同一の番号が入力されたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記利用者の携帯電話から、前記表示手段に表示された認証番号と同一の番号が入力されたと判定された場合にのみ、前記車両のセキュリティを解除する制御手段と
を有することを特徴とするカーシェアリングシステムにおける認証システム。
【請求項2】
利用者からの予約に応じて車両を管理し、前記利用者による前記車両利用前に前記車両のセキュリティを解除するカーシェアリングシステムにおける認証システムにおいて、
GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて利用者の携帯電話において取得された該携帯電話の位置情報と、前記利用者が予め予約した車両の位置情報とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記携帯電話の位置情報と前記利用者が予め予約した車両の位置情報とが一致すると判定された場合にのみ、前記車両のセキュリティを解除する制御手段と
を有することを特徴とするカーシェアリングシステムにおける認証システム。
【請求項3】
利用者からの予約に応じて車両を管理し、前記利用者による前記車両利用前に前記車両のセキュリティを解除するカーシェアリングシステムにおける認証方法において、
車両に搭載した表示手段に利用者の予約に応じた認証番号を表示し、
前記利用者の携帯電話から、前記表示手段に表示した認証番号と同一の番号が入力されたか否かを判定し、
前記利用者の携帯電話から、前記表示手段に表示した認証番号と同一の番号が入力されたと判定された場合にのみ、前記車両のセキュリティを解除する
ことを特徴とするカーシェアリングシステムにおける認証方法。
【請求項4】
利用者からの予約に応じて車両を管理し、前記利用者による前記車両利用前に前記車両のセキュリティを解除するカーシェアリングシステムにおける認証方法において、
GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて利用者の携帯電話において取得された該携帯電話の位置情報と、前記利用者が予め予約した車両の位置情報とが一致するか否かを判定し、
前記携帯電話の位置情報と前記利用者が予め予約した車両の位置情報とが一致すると判定された場合にのみ、前記車両のセキュリティを解除する
ことを特徴とするカーシェアリングシステムにおける認証方法。
【請求項5】
請求項1または2のいずれか1項に記載のカーシェアリングシステムにおける認証システムとしてコンピューターを機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項3または4のいずれか1項に記載のカーシェアリングシステムにおける認証方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項5または6のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−154420(P2011−154420A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13781(P2010−13781)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(508077654)株式会社サージュ (14)
【Fターム(参考)】