説明

カートニングマシン

【課題】生産性を向上させつつ扁平に折り畳まれたカートンの位置決めを正しく行うことができるカートニングマシンを提供する。
【解決手段】カートニングマシン1は、扁平カートンCfを重ねて収容するカートンマガジン11と、カートンマガジン11から引き出された扁平カートンCfを搬送する搬送コンベア13と、搬送コンベア13による搬送の慣性で移動を続け得る扁平カートンCfの移動を止めて箱形に開く位置を決定する位置決めガイド14と、搬送コンベア13に搬送されている扁平カートンCfを吸着保持して位置決めガイド14まで届けるバキュームコンベア15とを備える。而して、生産性向上のために搬送速度を上昇させても、バキュームコンベア15が扁平カートンCfを吸着保持して位置決めガイド14まで届けることで、搬送コンベア13による搬送の慣性で扁平カートンCfが飛ばされ跳ね返ることを回避でき、位置決めを正しく行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカートニングマシンに関し、特に生産性を向上させつつカートンの位置ずれを抑制するカートニングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
食品包装等に用いられる合成樹脂製のラップフィルムやアルミホイル等の長尺物は、巻回されたうえで紙製の直方体形状のカートンに収容されて販売されている。長尺物の巻回体を収容するカートンとして、長方形の底板と、底板の4辺に立設された前板、後板及び2枚の脇板とを有し、一面が開口された箱本体と、後板に回動可能に連接されて箱本体の開口を塞ぐ蓋板と、蓋板に対して直角に折り曲げられた掩蓋片及び掩蓋片の先端に連続して設けられて使用時に除去される切取片であって販売時は箱本体の前板を覆っている掩蓋片及び切取片とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−280076号公報(段落0013−0023等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の巻回体が収容されたカートンは、カートニングマシンによって、脇板が開口したカートンに対して巻回体を開口から挿入した後に脇板を閉じて製造することができる。カートニングマシンでは、脇板が開口したカートンが扁平に折り畳まれた状態でカートンマガジンに収容されており、扁平に折り畳まれたカートンをカートンマガジンから1つずつ取り出してコンベアで搬送し、位置決めガイドに衝突させて位置及び向きを決めた後に扁平のカートンを筒状に開くことで、巻回体を収容する準備が整うこととなる。
【0005】
カートニングマシンによって巻回体が収容されたカートンを製造する際、生産性を向上させるために、扁平に折り畳まれたカートンの搬送速度を上昇させると、カートンが位置決めガイドに衝突した際に跳ね返ることによって位置及び向きが適切に定まらないことがあった。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑み、生産性を向上させつつ扁平に折り畳まれたカートンの位置決めを正しく行うことができるカートニングマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るカートニングマシンは、例えば図1に示すように、側面が開口して扁平に折り畳まれたカートンである扁平カートンCfを重ねて収容するカートンマガジン11と;カートンマガジン11から引き出された扁平カートンCfを搬送する搬送コンベア13と;搬送コンベア13の搬送方向D末端から扁平カートンCfの幅Cfw(例えば図2(C)参照)以上離れて設けられた位置決めガイド14であって、搬送コンベア13による搬送の慣性で移動を続け得る扁平カートンCfの移動を止めて扁平カートンCfを箱形に開く位置を決定する位置決めガイド14と;搬送コンベア13よりも上方に設置され、搬送コンベア13に搬送されている扁平カートンCfを吸着保持して位置決めガイド14まで届けるバキュームコンベア15とを備える。
【0008】
このように構成すると、扁平カートンを吸着保持して位置決めガイドまで届けるバキュームコンベアを備えるので、生産性向上のために搬送速度を上昇させても、搬送コンベアによる搬送の慣性で扁平カートンが飛ばされることを回避することができ、ひいては扁平カートンが位置決めガイドに衝突して跳ね返ることを回避することができるため、位置決めガイドによる位置決めを正しく行うことができる。
【0009】
また、本発明の第2の態様に係るカートニングマシンは、例えば図1及び図3に示すように、上記本発明の第1の態様に係るカートニングマシン1において、搬送コンベア13が、バキュームコンベア15の幅を超える間隔を空けて設けられた一対の突起13cであって、搬送される扁平カートンCfの向きを整える突起13cを有する。
【0010】
このように構成すると、扁平カートンの向きのずれを修正することができる。
【0011】
また、本発明の第3の態様に係るカートニングマシンは、例えば図1に示すように、上記本発明の第2の態様に係るカートニングマシン1において、バキュームコンベア15の搬送方向D反対側の末端が、カートンマガジン11から引き出された扁平カートンCfが搬送コンベア13に載置される位置の近傍に位置するようにバキュームコンベア15が設けられると共に、バキュームコンベア15と搬送コンベア13との間に突起13cの高さよりも短い距離の間隔Sが形成されるようにバキュームコンベア15が配設されている。
【0012】
このように構成すると、カートンマガジンから引き出された扁平カートンが速やかにバキュームコンベアと搬送コンベアとの間隔に引き込まれることとなり、引き出された扁平カートンが突起の上に乗り上げることを回避することができて、引き出された扁平カートンが突起に乗り上げたまま搬送されることを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の第4の態様に係るカートニングマシンは、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第2の態様又は第3の態様に係るカートニングマシン1において、搬送コンベア13の搬送速度が、バキュームコンベア15の搬送速度と異なる。
【0014】
このように構成すると、突起が扁平カートンに接触しない状況が生じることを抑制することができ、扁平カートンの向きがずれることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、生産性向上のために搬送速度を上昇させても、搬送コンベアによる搬送の慣性で扁平カートンが飛ばされることを回避することができ、ひいては扁平カートンが位置決めガイドに衝突して跳ね返ることを回避することができるため、位置決めガイドによる位置決めを正しく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るカートニングマシンの概略構成を示す概念図である。
【図2】(A)は本発明の実施の形態に係るカートニングマシンで製造される製品の使用状態を示す斜視図、(B)はカートンの展開図、(C)は扁平カートンの平面図である。
【図3】カートンマガジンの概略構成を示す部分斜視図である。
【図4】(A)はバキュームコンベアを底面側から見た斜視図、(B)はバキュームコンベアまわりの側面図である。
【図5】(A)は本発明の実施の形態に係るカートニングマシンの搬送コンベアまわりの概念図、(B)は従来の搬送コンベアまわりの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0018】
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係るカートニングマシン1の概略構成を説明する。図1は、カートニングマシン1の概略構成を示す概念図である。カートニングマシン1は、扁平に折り畳まれたカートン(以下「扁平カートンCf」という。)を重ねて収容するカートンマガジン11と、扁平カートンCfを所定の場所に搬送する搬送コンベア13、位置決めガイド14、バキュームコンベア15と、扁平カートンCfが広げられて形成されたカートンCを搬送するカートンコンベア31と、カートンCに挿入されるロールRを搬送するロールコンベア21と、ロールRをカートンCに挿入する挿入装置41と、制御装置60とを備えている。以降の説明で、カートニングマシン1の構成に言及しているときは、適宜図1を参照することとする。
【0019】
図2(A)に、カートニングマシン1で製造される製品Pの使用状態を示す。製品Pは、カートンCの中にロールRが収容されて構成されている。ロールRは、本実施の形態では、合成樹脂製のラップフィルムFが巻回されたものである。カートンCは、紙製の箱であり、細長い直方体の箱の一面が開口Chとなった本体部Cbと、開口Chまわりの本体部Cbを覆うようにして開口Chを塞ぐ蓋部Ccとから構成されている。図2(B)には、カートンCの展開図を示している。ロールRが挿入される前のカートンCは、本体部Cbの前板Cbfに蓋部Ccの切取片Cccが重ねられて接着され、両端が開口した四角筒状に形成されている。この筒状のカートンCを対向する稜線で折り畳んで扁平にしたものが扁平カートンCfである。図2(C)に、扁平カートンCfの平面図を示している。
【0020】
図3及び図4を、図1と併せて参照して、カートンマガジン11、搬送コンベア13、位置決めガイド14、バキュームコンベア15まわりの構成を説明する。図3はカートンマガジン11の概略構成を示す部分斜視図である。図4(A)はバキュームコンベア15を底面側から見た斜視図、図4(B)はバキュームコンベア15まわりの側面図である。カートンマガジン11は、前述のように、扁平カートンCfを重ねて収容する構成部材である。カートンマガジン11は、扁平カートンCfの長辺を支える前ステー11f及び後ステー11bと、扁平カートンCfの短辺を支える横ステー11sとを有している。各ステー11f、11b、11sは、扁平カートンCfが重なる方向に延びている。本実施の形態では、前ステー11f及び後ステー11bがそれぞれ2本ずつ設けられ、横ステー11sが両側に1本ずつ合計2本設けられている。各ステー11f、11b、11sの下端には、積み重ねられた扁平カートンCfのうちの最下部の扁平カートンCfの底面を支える支持爪11pが設けられている。カートンマガジン11は、内部の扁平カートンCfが平らなときは支持爪11pがこれを支え、扁平カートンCfがたわんだときに、たわんだ扁平カートンCfが支持爪11pの間を通過してカートンマガジン11の下部から外に出されるように構成されている。本実施の形態では、積み重ねられた扁平カートンCfの束が鉛直線に対して傾いた状態で保持されるように、各ステー11f、11b、11sが傾いて設置されている(図1参照)。
【0021】
カートンマガジン11の下方には、扁平カートンCfをカートンマガジン11から取り出すサクションカップ12が設けられている。サクションカップ12は、扁平カートンCfに密着する吸盤12cと、吸盤12cを上下に動かすアーム12aとを有している。吸盤12cは、アーム12aの一端の側面に取り付けられている。アーム12aは、吸盤12cが上方(カートンマガジン11の方向)を向く態様で、吸盤12cが取り付けられている端部とは反対側の端部が駆動ロッド(不図示)に取り付けられている。本実施の形態では、吸盤12cの取り付けられたアーム12aが駆動ロッド(不図示)に4組取り付けられており、扁平カートンCfの吸引力の向上が図られている。サクションカップ12は、駆動ロッド(不図示)が軸線まわりに1回転するごとに、アーム12aが駆動ロッド(不図示)側の端部を支点として吸盤12c側が上下に動く揺動運動をするように構成されている。サクションカップ12は、アーム12aが揺動運動をすることで、カートンマガジン11内の扁平カートンCfを取り出して搬送コンベア13に載置するように構成されている。また、サクションカップ12の吸盤12cの下方には、扁平カートンCfを搬送コンベア13側に引き付けるバキュームプレート(不図示)が設けられており、搬送コンベア13に載置された扁平カートンCfが搬送コンベア13から離れることを抑制することができるように構成されている。
【0022】
搬送コンベア13は、カートンマガジン11から取り出された扁平カートンCfを所定の場所まで搬送する装置である。ここでの所定の場所は、扁平カートンCfを筒状に広げる場所の近傍である。搬送コンベア13は、2つのプーリ13p(図1参照)に張架された無端ベルト13vを有している。本実施の形態では、プーリ13pとしてスプロケットが、無端ベルト13vとしてローラーチェーンが、それぞれ用いられている。無端ベルト13vには、突起としての爪13cが、無端ベルト13vの外側に突き出る態様で、所定の間隔ごとに複数設けられている。本実施の形態では、このような無端ベルト13vが2つ対になって設けられており、各無端ベルト13vの対をなす爪13cを結んだ仮想線が、扁平カートンCfが搬送される方向(以下「搬送方向D」という。)に直交するように調節されている。各無端ベルト13vの両脇には、扁平カートンCfが上面を摺動する摺動台13hが配設されている。摺動台13hは、平らに形成された上面が、無端ベルト13vの上端よりも上方、かつ、爪13cの上端よりも下方となる位置で、水平になるように配設されている。摺動台13hは、一端がカートンマガジン11の下方に位置し、カートンマガジン11が鉛直線に対して倒れる方向とは反対側に延びるように配設されている。摺動台13hは、揺動運動を行うサクションカップ12に対して相互に干渉しないように配設されている。搬送コンベア13は、平面視において、無端ベルト13vが、扁平カートンCfの長辺に直交する方向に延びる態様で設けられている。無端ベルト13vは、プーリ13pが駆動源(不図示)に回転させられることにより、摺動台13hの上面側において、カートンマガジン11側の一端から他端の方向(搬送方向D)に移動するように構成されている。搬送コンベア13は、扁平カートンCfの搬送速度(コンベアの移動速度)が可変に構成されており、あらかじめ定められた範囲内で任意の搬送速度に設定することができるように構成されている。
【0023】
位置決めガイド14(図1及び図4(B)参照)は、搬送コンベア13によって直線運動させられてきた扁平カートンCfの移動を止めて、扁平カートンCfを筒状に広げる位置を決定する部品である。位置決めガイド14は、断面が矩形(長方形又は正方形)の四角柱状に形成された柱部14bと、梁状に形成された突部14pとを有している。位置決めガイド14は、2つの柱部14bがバキュームコンベア15を挟んでそれぞれ鉛直に延びるように設けられており、突部14pが2つの柱部14bの下端をつなぐように水平に延びている。突部14pは、柱部14bよりも搬送コンベア13側に突き出る態様で取り付けられている。突部14pは、柱部14bよりも搬送コンベア13側に突き出た部分の上側が、面取りされている。位置決めガイド14は、搬送方向Dの下流側の搬送コンベア13の末端(搬送方向末端)から、扁平カートンCfの幅Cfw(図2参照)以上搬送方向Dに離れて設けられている。このように設けられることにより、搬送コンベア13により搬送されてきた扁平カートンCfが、搬送コンベア13と位置決めガイド14とに挟まれて詰まりを起こすことが回避される。位置決めガイド14の高さ方向の配置については後述する。また、扁平カートンCfが位置決めガイド14に衝突した位置における扁平カートンCfの下方には、扁平カートンCfを吸着可能で上下に往復動する吸引棒(不図示)が配設されている。扁平カートンCfは、位置決めガイド14に衝突したときに上昇した吸引棒(不図示)に吸着され、吸引棒(不図示)の下降に伴って下方に引かれる際に、位置決めガイド14の突部14pに引っかかった部分が残ろうとすることにより、箱形(筒状)に開くこととなる。
【0024】
バキュームコンベア15は、搬送コンベア13に搬送されている扁平カートンCfを吸着保持して位置決めガイド14まで届ける装置である。バキュームコンベア15は、図4(A)に概要を示すように、扁平カートンCfの長辺の長さCfv(図2参照)の1/5乃至3/4程度の幅の幅広無端ベルト15vと、幅広無端ベルト15vに張力を付与しつつ幅広無端ベルト15vを移動させるプーリ15pと、搬送コンベア13側(プーリ15pの下側)の幅広無端ベルト15vに沿って設けられたガイド15hと、チャンバー15cとを有している。なお、図4(A)では、説明の便宜上、幅広無端ベルト15vの一部を切り欠いて示している。幅広無端ベルト15vには、長孔15vdが多数形成されている。長孔15vdは、長手方向が、幅広無端ベルト15vの幅方向に一致する態様で、幅広無端ベルト15vの長さ方向に所定の間隔を空けて形成されている。ここでの所定の間隔は、扁平カートンCf上に長孔15vdが確実に重なるようにする観点から、扁平カートンCfの幅Cfw(図2参照)から長孔15vdの幅を差し引いた距離よりも小さい任意の距離である。本実施の形態では、長孔15vdの長さが幅広無端ベルト15vの幅の1/3程度に形成されており、所定の間隔で連なる長孔15vdが2列で幅広無端ベルト15vに形成されている。
【0025】
プーリ15pは、中心に軸15paが貫通しており、軸15paは、カートニングマシン1の枠(不図示)に軸受け(不図示)を介して固定できるように構成されている。プーリ15pには幅広無端ベルト15vが張架されており、軸15paの固定位置を調節することにより張架された幅広無端ベルト15vの張力を調節することができるように構成されている。あるいは、図示した2つのプーリ15p以外の張力調節プーリ(不図示)をも幅広無端ベルト15vに介在させる構成として、張力調節プーリ(不図示)の位置を調節することにより張力を調節することとしてもよい。ガイド15hは、張架されて環状となった幅広無端ベルト15vの内側に設けられている。ガイド15hは、幅広無端ベルト15vとほぼ同じ(あるいはやや狭い)幅の板状に形成された部材であり、その長さはプーリ15pに干渉しない限度でできるだけ長く形成されている。ガイド15hは、内部に空気が流通する空間(吸引流路15rとなる)が形成されている。また、ガイド15hには、所定の間隔で配列された長孔15vdの列に沿うように形成されて吸引流路15rに通ずる溝状の隙間15gが形成されている。隙間15gは、長孔15vdの列数に対応して、2本形成されている。ガイド15hは、搬送コンベア13側(プーリ15pの下側)の幅広無端ベルト15vに接するように設けられている。
【0026】
チャンバー15cは、外観形状が概ね立方体に形成されており、ガイド15hに近接する側とは反対側(プーリ15pの上側)の幅広無端ベルト15vの搬送方向D中央部分を覆うように設けられている。チャンバー15cは、中空に形成された矩形板状の天板15cuと、天板15cuの四隅からそれぞれ天板15cuに直交して延びる脚15csと、隣接する脚15csの間を塞ぐ外周板15cbとを有している。天板15cuには、可撓性のある風導15tが接続されており、天板15cuの中空部分と風導15tの内部とが連絡している。各脚15csは、中空の四角柱状に形成されており、天板15cuに接続された側とは反対側の端部が、ガイド15hに対して側面から挟むように接続されている。脚15csの中空部分は、天板15cuの中空部分及びガイド15h内部の空間に連絡している。これにより、風導15tの内部から、天板15cu、脚15cs、及びガイド15hの内部を介して隙間15gに通ずる吸引流路15rが形成される。このような構成により、バキュームコンベア15は、風導15tに接続されたブロワ(不図示)を起動することにより、吸引流路15rの末端に相当する隙間15gに負圧が作用するため、長孔15vd内に現れる扁平カートンCfを吸着保持することができるように構成されている。扁平カートンCfが吸着保持されている状態で幅広無端ベルト15vを動かすことにより、扁平カートンCfを吸着保持しながら搬送することができるように構成されている。バキュームコンベア15は、扁平カートンCfの搬送速度(コンベアの移動速度)が可変に構成されており、あらかじめ定められた範囲内で任意の搬送速度に設定することができるように構成されている。本実施の形態では、バキュームコンベア15の搬送速度が、搬送コンベア13の搬送速度よりも遅く設定されている。
【0027】
バキュームコンベア15は、風導15tが設けられた側とは反対側の幅広無端ベルト15vの面が、搬送コンベア13の摺動台13hに対向して水平になるように設けられている。このとき、幅広無端ベルト15vと摺動台13hとの間が、爪13cの高さよりも短い距離の間隔Sだけ空くようにして、バキュームコンベア15が配設されている。ここで、2列に設けられている一対の爪13cの距離は、幅広無端ベルト15vの幅よりも広いので、爪13cがバキュームコンベア15に接触することはなく、かつ、扁平カートンCfの長辺の長さCfv(図2参照)よりも狭いので、一対の爪13cで確実に扁平カートンCfを搬送方向Dに押すことができる。また、幅広無端ベルト15vの一方の端部(バキュームコンベア15の搬送方向D反対側の末端)が、カートンマガジン11から引き出された扁平カートンCfが搬送コンベア13に載置される位置の近傍となり、幅広無端ベルト15vの他方の端部が、位置決めガイド14を横断してその反対側まで延びるように、バキュームコンベア15が設けられている。扁平カートンCfが搬送コンベア13に載置される位置の近傍は、典型的には、カートンマガジン11からの扁平カートンCfの引き出しを阻害せず、引き出された扁平カートンCfが爪13cの高さ以上に跳ねあがる前に間隔Sに引き込まれる近さである。搬送コンベア13側の幅広無端ベルト15vは、位置決めガイド14の突部14pよりも上方で、位置決めガイド14を横断している。
【0028】
再び図1に戻ってカートニングマシン1の構成の説明を続ける。カートンコンベア31は、扁平カートンCfが箱形に開かれたカートンCを搬送する装置であり、扁平カートンCfが位置決めガイド14に衝突する位置の下方から、搬送方向Dに水平に延びている。カートンコンベア31は、搬送コンベア13よりも低い位置で、吸引棒(不図示)を跨ぐように配設されている。カートンコンベア31は、カートンCの搬送速度(コンベアの移動速度)が可変に構成されており、あらかじめ定められた範囲内で任意の搬送速度に設定することができるように構成されている。カートンコンベア31に搬送されるカートンCは、筒状の両端面が開口している。カートンコンベア31は、カートンCの開口面が搬送方向Dに対して側面となる状態でカートンCを搬送するように、カートン抑え32が設けられている。カートン抑え32は、カートンCの幅(長手方向に直交する方向の距離)よりも少し広い所定のピッチで設けられている。
【0029】
ロールコンベア21は、製品P(図2参照)の規格に適合したロールRが前工程で準備される場所(不図示)からカートンコンベア31の側近までロールRを搬送する装置である。ロールコンベア21は、少なくとも位置決めガイド14の下方の位置から所定の距離は、カートンコンベア31と並走するように設けられている。ここでの所定の距離は、ロールRをカートンCに挿入するのに必要な距離である。ロールコンベア21は、カートンコンベア31と並走する部分はカートンコンベア31と同じ高さに設けられている。ロールコンベア21には、ロールRが落ち込むことによりロールRの揺れを防ぐ支持窪み22dが形成されている。支持窪み22dは、カートンコンベア31に載置されるカートンCのピッチと同じピッチで形成されている。ロールコンベア21の表面(ロールRが載置される面)には、ロールRの損傷を防ぎつつロールRの意図しない軸回りの回転を抑制するために、モケットが貼付されている。ロールコンベア21は、ロールRの搬送速度(コンベアの移動速度)が可変に構成されており、あらかじめ定められた範囲内で任意の搬送速度に設定することができるように構成されている。本実施の形態では、ロールコンベア21とカートンコンベア31とが、同一の駆動軸(不図示)にそれぞれ取り付けられた同一規格かつ同一歯数のスプロケット(不図示)でそれぞれ駆動されるように構成されていることにより、同じ搬送速度でかつ同期するようになっている。
【0030】
挿入装置41は、ロールコンベア21に搬送されているロールRを、カートンコンベア31に搬送されているカートンCに挿入する装置である。挿入装置41は、ロールRをカートンCに向けて押す挿入棒42を有している。図1では、挿入棒42が、二次元の紙面に表している都合上、上下に延びるように示されているが、実際には、ロールR及びカートンCの長手方向に対して平行で、水平に延びるように配設されている。挿入棒42は、環状に周回する周回チェーン(不図示)に、支持窪み22dのピッチと同じピッチで取り付けられている。挿入棒42は、カートンコンベア31との間にロールコンベア21を挟むように配設されている。挿入棒42は、ロールコンベア21とカートンコンベア31とが並走する部分では、ロールコンベア21に並走する軌跡を描くように設けられている。挿入装置41は、周回チェーン(不図示)が動いて挿入棒42がロールコンベア21と並走する際に、挿入棒42が搬送方向Dに移動するに連れてカートンコンベア31に近づくように構成されている。これにより、搬送方向Dに移動するに連れて、ロールRが挿入棒42に押されてカートンCに挿入されることとなる。挿入装置41は、周回チェーン(不図示)の移動速度が、あらかじめ定められた範囲内で任意に設定することができるように可変に構成されており、本実施の形態では、ロールコンベア21及びカートンコンベア31の搬送速度と同じ移動速度でかつ同期するように設定されている。
【0031】
制御装置60は、カートニングマシン1の作動を制御する装置であり、搬送コンベア13、バキュームコンベア15、カートンコンベア31、ロールコンベア21、挿入装置41の発停及び移動速度を制御することができるように構成されている。
【0032】
引き続きカートニングマシン1の作用を説明する。カートニングマシン1を作動させるに際し、カートンマガジン11に扁平カートンCfを充填しておく。ここで、扁平カートンCfは、保管しやすいように箱形のカートンCを折り畳んで扁平にしたものであるが、折り畳んだ直後は紙(材質)の弾性による復元力が比較的大きいため、平らな面に置いたときの最高点までの高さ(カートンボリューム)が比較的大きく、他方、重量が加わった状態で時間が経過して折り癖がつくと、カートンボリュームが比較的小さくなる。また、カートンボリュームは、材料の紙の坪量によっても変動する。
【0033】
搬送コンベア13が搬送方向Dに動いている状態で、サクションカップ12が上下に揺動することにより、カートンマガジン11の最下部にある扁平カートンCfが、カートンマガジン11から取り出され、搬送コンベア13に載置される。このとき、扁平カートンCfが、搬送方向Dに所定の間隔で設けられている爪13cの間に順次載置されるように、サクションカップ12の揺動の周期及びタイミングが調節されている。扁平カートンCfが搬送コンベア13に載置される際、扁平カートンCfのカートンボリュームが大きいほど跳ね返りやすい傾向にあるが(跳ね返ると爪13cに乗り上げる等の不都合を生じ得る)、本実施の形態ではバキュームプレート(不図示)によって扁平カートンCfが搬送コンベア13に引き付けられるので、カートンボリュームが比較的大きくても跳ね返りが抑制される。
【0034】
搬送コンベア13に載置された扁平カートンCfは、爪13cによって搬送方向Dに押される。扁平カートンCfは、扁平カートンCfの長手方向(水平で搬送方向Dに直交する方向)に離れた対になった2つの爪13cで押されることにより、扁平カートンCfの長手方向の辺が搬送方向Dに対して直交するように、向きが整えられる。爪13cに押された扁平カートンCfは、搬送コンベア13とバキュームコンベア15との間の間隔Sに入り込む。このとき、バキュームコンベア15の一端は、扁平カートンCfが搬送コンベア13に載置される位置の近傍にあるので、搬送コンベア13に載置された扁平カートンCfが速やかに間隔Sに入り込み、カートンボリュームにかかわらず扁平カートンCfの跳ね返りを回避することができる。
【0035】
間隔Sに入り込んだ扁平カートンCfは、バキュームコンベア15の下方に至ると、幅広無端ベルト15vの長孔15vdを介して隙間15gから空気が吸い込まれることに伴って幅広無端ベルト15vに密着することで、バキュームコンベア15に吸い寄せられる。バキュームコンベア15に吸着された扁平カートンCfは、幅広無端ベルト15vの移動に伴って、搬送方向Dに搬送される。このとき、幅広無端ベルト15vの移動速度が、搬送コンベア13の移動速度よりも遅くなっているので、扁平カートンCfが爪13cで押されている状態を維持することができ、扁平カートンCfの向きがずれることを抑制することができる。幅広無端ベルト15vと搬送コンベア13との移動速度の差は、典型的には、両者が並走している距離だけ進んだときに、搬送方向Dにおける2つの爪13cの間隔の半分の距離の差がつく程度である。幅広無端ベルト15vに吸着されている扁平カートンCfは、移動速度の異なる爪13cで押されることにより、幅広無端ベルト15vの表面を摺動することとなる。
【0036】
図5(A)の概念図に示すように、扁平カートンCfが搬送コンベア13の末端に至ると、扁平カートンCfから爪13cが外れ、以降は幅広無端ベルト15vの移動速度で扁平カートンCfが位置決めガイド14まで搬送されることとなる。図5(B)の従来例に示すように、バキュームコンベア15(図5(A)参照)が設けられていない場合、搬送コンベア13Bに搬送されてきた扁平カートンCfは、位置決めガイド14Bに向けて爪13Bcで飛ばされる。図5(B)の従来例では、カートンボリュームが大きい場合は飛ばされた扁平カートンCfの先端が位置決めガイド14Bまで届かないことがあり、逆にカートンボリュームが小さい場合は飛ばされた扁平カートンCfが位置決めガイド14Bに衝突して跳ね返ることがあって、いずれの場合も位置決めガイド14Bにおける位置決めが不安定になってしまっていた。図5(A)に示す本実施の形態では、扁平カートンCfが爪13cから外れた後もバキュームコンベア15で搬送されるので、位置決めガイド14に対して扁平カートンCfを過不足なく当接させることができ、確実に適切な位置に扁平カートンCfを搬送することができる。
【0037】
扁平カートンCfは、位置決めガイド14の柱部14bに当接すると、下方から上昇してきた吸引棒(不図示)に吸着されて下方に引き寄せられる。吸引棒(不図示)によって下方へ引かれた扁平カートンCfは、バキュームコンベア15から剥離されて下方へ移動する。そして、吸引棒(不図示)によって下方へ引かれた扁平カートンCfは、搬送方向D下流側の端部が突部14pに当たることで下降を阻害されるため、搬送方向D上流側の端部片側が下方に移動することで、箱形に開かれてカートンCとなる。カートンCは、カートンコンベア31に載置され、搬送方向Dに搬送される。カートンコンベア31に搬送されるカートンCの横には、ロールRがロールコンベア21に搬送されて来ている。搬送されているロールR及びカートンCは、挿入装置41の位置まで来ると、挿入棒42によってロールRがカートンCの方向に押され、カートンCの側面の開口からロールRが挿入される。ロールRが挿入されたカートンCは、さらに搬送方向D下流側に搬送される際に、側面の開口が糊付けされて閉じられて(不図示)、製品P(図2参照)となる。
【0038】
以上で説明したように、本実施の形態に係るカートニングマシン1によれば、扁平カートンCfが搬送コンベア13に載置される際の跳ね返りを抑制することができ、また、位置決めガイド14に向かう扁平カートンCfを確実に適切な位置に搬送することができるので、生産性向上のために扁平カートンCfの搬送速度を上昇させても、位置決めを正しく行うことができる。
【0039】
以上の説明では、幅広無端ベルト15vの移動速度が、搬送コンベア13の移動速度よりも遅くなっていることとしたが、幅広無端ベルト15vの移動速度が、搬送コンベア13の移動速度よりも速くなっていることとしてもよい。この場合は、バキュームコンベア15に吸着された扁平カートンCfが、搬送方向D前方の爪13cに押し付けられることで、扁平カートンCfの向きが整えられることとなる。
【符号の説明】
【0040】
1 カートニングマシン
11 カートンマガジン
13 搬送コンベア
13c 突起
14 位置決めガイド
15 バキュームコンベア
Cf 扁平カートン
Cfw 扁平カートンの幅
D 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面が開口して扁平に折り畳まれたカートンである扁平カートンを重ねて収容するカートンマガジンと;
前記カートンマガジンから引き出された前記扁平カートンを搬送する搬送コンベアと;
前記搬送コンベアの搬送方向末端から前記扁平カートンの幅以上離れて設けられた位置決めガイドであって、前記搬送コンベアによる搬送の慣性で移動を続け得る前記扁平カートンの移動を止めて前記扁平カートンを箱形に開く位置を決定する位置決めガイドと;
前記搬送コンベアよりも上方に設置され、前記搬送コンベアに搬送されている前記扁平カートンを吸着保持して前記位置決めガイドまで届けるバキュームコンベアとを備える;
カートニングマシン。
【請求項2】
前記搬送コンベアが、前記バキュームコンベアの幅を超える間隔を空けて設けられた一対の突起であって、搬送される前記扁平カートンの向きを整える突起を有する;
請求項1に記載のカートニングマシン。
【請求項3】
前記バキュームコンベアの前記搬送方向反対側の末端が、前記カートンマガジンから引き出された前記扁平カートンが前記搬送コンベアに載置される位置の近傍に位置するように前記バキュームコンベアが設けられると共に、前記バキュームコンベアと前記搬送コンベアとの間に前記突起の高さよりも短い距離の間隔が形成されるように前記バキュームコンベアが配設された;
請求項2に記載のカートニングマシン。
【請求項4】
前記搬送コンベアの搬送速度が、前記バキュームコンベアの搬送速度と異なる;
請求項2又は請求項3に記載のカートニングマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−218745(P2012−218745A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83591(P2011−83591)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】